(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】電子レンジ用調理器具及び電子レンジ
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240325BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A47J27/00 107
F24C7/02 551B
(21)【出願番号】P 2021006365
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】石井 琢也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義治
(72)【発明者】
【氏名】稗田 雅則
(72)【発明者】
【氏名】椋田 朋訓
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-78302(JP,A)
【文献】特開2016-214392(JP,A)
【文献】特開2007-139226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
F24C 7/02、15/16、15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジの庫内に設けられた第1支持機構に着脱可能に支持されるプレートと、
前記プレートの下面に設けられた第2支持機構と、
前記第2支持機構に着脱可能に支持される、調理物が収容され
る容器と
を備え、
前記庫内の底面と前記第2支持機構に支持された前記容器の底面との間に間隔が設けられる、電子レンジ用調理器具。
【請求項2】
前記第2支持機構はマイクロ波透過体からなる、請求項1に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項3】
前記プレートの前記容器の上部と対向する部分がマイクロ波反射体からなる、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項4】
前記プレートの全体がマイクロ波反射体からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項5】
前記容器の側面を間隔をあけて取り囲むマイクロ波反射体からなる補助部材をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項6】
前記補助部材は前記電子レンジの前記庫内に着脱可能である、請求項5に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項7】
前記容器は、形状の異なる複数の容器を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項8】
前記容器は前記調理物を収容する部分を2以上の部分に仕切る仕切部を備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項9】
前記プレートは、プレート本体と、前記プレート本体に着脱可能であって前記容器の上部と対向するアタッチメント部材とを備える、請求項1から8のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項10】
前記プレートは複数種類のプレートを含み、
前記複数種類のプレートのうちの一つには下面にマイクロ波発熱体が貼り付けられている、請求項1から9のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項11】
前記プレートの前記容器の上部と対向する部分に孔が設けられ、
前記孔は前記電子レンジの前記庫内に配置されたセンサと対向し、
前記センサにより前記調理物の温度が直接又は間接的に検出される、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項12】
前記プレートの前記容器の上部と対向する部分に、蒸気は通過させるがマイクロ波は通過させない孔が設けられている、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項13】
前記容器の少なくとも一部が透明である、請求項1から12のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項14】
電子レンジ本体と、
請求項1から13のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具と
を備える、電子レンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ用調理器具及び電子レンジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調理物を収容した容器を電子レンジの庫内において庫内の底面から浮かせて配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の技術は、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御することに関し改善の余地がある。
【0005】
本発明は、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、電子レンジという用語は、特に言及する場合を除き、オーブンとしての機能を有するもの(オーブンレンジ)、及びグリルとしての機能を有するものを含む。
【0007】
本発明の第1の態様は、電子レンジの庫内に設けられた第1支持機構に着脱可能に支持されるプレートと、前記プレートの下面に設けられた第2支持機構と、前記第2支持機構に着脱可能に支持される、調理物が収容される容器とを備え、前記庫内の底面と前記第2支持機構に支持された前記容器の底面との間に間隔が設けられる、電子レンジ用調理器具を提供する。
【0008】
第1支持機構、第2支持機構、プレート、容器の設計により、庫内の底面と容器の底面との間の間隔を設定できるので、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御できる。
【0009】
前記第2支持機構はマイクロ波透過体からなってもよい。
【0010】
マイクロ波が第2支持機構を透過して容器の上側に回り込むことができるため、調理物を全体から加熱できる。
【0011】
前記プレートの前記容器の上部と対向する部分がマイクロ波反射体からなってもよい。
【0012】
容器に収容された調理物の上面を効果的に加熱できる。
【0013】
前記プレートの全体がマイクロ波反射体からなってもよい。
【0014】
電子レンジの庫内は、全体がマイクロ波反射体であるプレートより2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち、電子レンジのマイクロ波発生源が位置している方がマイクロ波による加熱対象の空間(加熱空間)となり、マイクロ波発生源が位置していない方がマイクロ波による加熱対象とならない空間(非加熱空間)となる。加熱空間でのみマイクロ波が加熱に供されるので、調理物を効率よく加熱できる。
【0015】
電子レンジ用調理器具は、前記容器の側面を間隔をあけて取り囲むマイクロ波反射体からなる補助部材をさらに備えてもよい。
【0016】
容器の側面においてマイクロ波による加熱対象となる空間を補助部材で囲まれた領域に限定できるので、容器の側部において調理物を効率よく加熱できる。
【0017】
前記補助部材は前記電子レンジの前記庫内に着脱可能であってもよい。
【0018】
形状、寸法等の異なる複数の補助部材を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0019】
また、表面状態(シボ加工の粗さ、鏡面度、マット度)、材質、コーティングの種類等が異なる複数の補助部材を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0020】
前記容器は、形状の異なる複数の容器を含んでもよい。
【0021】
形状の異なる複数の容器の内のいずれかを選択して使用することで、つまり容器を取り換えて使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0022】
前記容器は前記調理物を収容する部分を2以上の部分に仕切る仕切部を備えてもよい。
【0023】
複数種類の調理物を同時に加熱することができる。
【0024】
前記プレートは、プレート本体と、前記プレート本体に着脱可能であって前記容器の上部と対向するアタッチメント部材とを備えてもよい。
【0025】
アタッチメント部材として、マイクロ波反射体からなるものと、マイクロ波発熱体を貼り付けたものとを準備しておけば、前者をプレート本体に取り付けることでレンジ加熱が可能であり、後者をプレート本体に取り付けることでオーブンプレートやグリルプレートとしても使用できる。
【0026】
前記プレートは複数種類のプレートを含み、前記複数種類のプレートのうちの一つには下面にマイクロ波発熱体が貼り付けられてもよい。
【0027】
前記プレートの前記容器の上部と対向する部分に孔が設けられ、前記孔は前記電子レンジの前記庫内に配置されたセンサと対向し、前記センサにより前記調理物の温度が直接又は間接的に検出されてもよい。
【0028】
センサにより調理物の温度を直接又は間接的に検出することで、電子レンジによる加熱の制御が可能となる。センサが赤外線センサの場合、赤外線センサは調理物から放射された孔を通過した赤外線を光学的に読み取ることで調理物の温度を直接的に検出できる。センサが蒸気センサの場合、孔から出る蒸気の有無等により調理物の温度を間接的に検出できる。センサがサーミスタの場合、孔から出る蒸気よる庫内の温度上昇から調理物の温度を間接的に検出できる。
【0029】
前記プレートの前記容器の上部と対向する部分に、蒸気は通過させるがマイクロ波は通過させない孔が設けられてもよい。
【0030】
加熱により調理物が発生する蒸気を容器内から逃すことができる。また、孔によって温度検出や蒸気検出を行うことができる。
【0031】
前記容器は少なくとも側部の一部が透明であってもよい。
【0032】
調理物を側面から可視化でき、調理状態が分かり、利便性が向上する。
【0033】
本発明の第2の態様は、電子レンジ本体と、前記のいずれかの電子レンジ用調理器具とを備える、電子レンジを提供する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの斜視図。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの正面図。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの分解斜視図。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの斜視図。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの分解斜視図。
【
図18】本発明の第2実施形態に係る電子レンジ用調理器具の分解斜視図。
【
図19】オーブン及びグリル用のプレートを示す斜視図。
【
図20】本発明の第1の変形例に係るプレートを示す斜視図。
【
図21】本発明の第2の変形例に係る電子レンジ用調理器具を示す斜視図。
【
図22】本発明の第2の変形例に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの
図4と同様の断面図。
【
図23】本発明の第3の変形例に係る電子レンジ用調理器具及び電子レンジを示す部分的な模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
図1から
図4は、本発明の第1形態の電子レンジ用調理器具11(以下、単に調理器具11という)と、それが使用される電子レンジ2(電子レンジ本体)を示す。
【0037】
電子レンジ2は、
図1において手前側が開口となっている直方体状の空間である加熱室3aを備える筐体33と、開口を開閉するための扉4を備える。以下、加熱室3a内を「庫内」という場合がある。庫内の左右側壁には水平方向に延びる一対の概ね直線状のガイドレール5(第1支持機構)が設けられている。また、筐体3には、庫内の底部に臨むように、マイクロ波源6が備えられている。
【0038】
調理器具1は平面視で長方形状のプレート11と、容器21とを備える。
【0039】
図5A,5Bを併せて参照すると、プレート11は、平面視で長方形状のプレート本体12と、プレート本体12の中央から
図5Aにおいて上向きに膨出するドーム状部13とを備える。また、プレート11は、プレート本体12の
図5Aにおいて下面に間隔をあけて設けられた概ね直線状の一対の吊り下げレール14(第2支持機構)を備える。個々の吊り下げレール14は、プレート11に固定された台座部14aと、台座部14aから
図5Aにおいて下方に延びる垂下部14bと、垂下部14bの下端から内向きに突出する支持部14cとを備える。本実施形態では、吊り下げレール14はマイクロ波透過体(例えば樹脂)からなる。
【0040】
図6を併せて参照すると、容器21は、調理物が収容される上端が開口し、平面視で円形で概ね円形である容器本体22と、容器本体22の上端から広がるフランジ23を備える。フランジ23の前部には取っ手23aが設けられている。
【0041】
図3を参照すると容器本体22に調理物が収容された容器21は、フランジ23の両側がプレート11の吊り下げレール14に差し込まれることで、吊り下げレール14に着脱可能に支持される。具体的には、容器21のフランジ23は、吊り下げレール14の支持部14c上に載置されることで、吊り下げレール14に支持される。
図4を併せて参照すると、プレート11に容器21が支持されている状態では、容器本体22の上部とプレート11のドーム状部13が対向している。プレート11とそれに支持された容器21は、加熱室3aの開口から庫内に収容される。プレート本体12の両側がガイドレール5上に載置されることで、プレート11が庫内に支持される。
【0042】
本実施形態では、プレート11はプレート本体12とドーム状部13を含む全体がマイクロ波反射体からなる。例えば、プレート本体12とドーム状部13を金属製とすることで、これらをマイクロ波反射体とすることができる。また、本実施形態では、容器21の全体がマイクロ波透過体からなる。例えば、容器21を樹脂製とすることで、マイクロ波透過体とすることができる。
【0043】
ガイドレール5の庫内での高さ位置、プレート11の形状、吊り下げレール14の垂下部14bの長さ、及び容器21の高さは、庫内の底面と容器本体22の底面との間に間隔が設けられるように設定されている。
【0044】
マイクロ波源6からのマイクロ照射により調理物の加熱の際、庫内の底面(マイクロ波源6が配置されてる)と容器本体22の底面との間に間隔が設けられるので、容器本体22の底部において調理物が局部加熱されるのを回避できる。また、同じ容器21を使用する場合でも、吊り下げレール14の設計、より具体的には吊り下げプレートレール14の垂下部14bの長さを変更することで、庫内の底面と容器本体22の底面との間の間隔を調節できるので、電子レンジ2による調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御できる。庫内の底面と容器本体22の底面との間の間隔は、ガイドレール5の設計(例えば、庫内におけるガイドレール5の設置高さ)や、プレート11の設計(例えば、ガイドレール5からプレート11の下面までの距離)によっても調節できる。
【0045】
前述のようにプレート11の容器本体22の上部と対向する部分であるドーム状部13がマイクロ波反射体からなる。そのため、容器本体22に収容された調理物の上面を効果的に加熱できる。また、プレート11の容器本体22の上部と対向する部分が平坦状ではなく、ドーム状部13としているので、プレート11で反射されたマイクロ波を効率よく調理物の上面に入射させることができる。この点でも、容器本体22に収容された調理物の上面を効果的に加熱できる。
【0046】
電子レンジ2の庫内は、全体がマイクロ波反射体であるプレート11より上下方向に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち、マイクロ波源6が位置している下方の空間がマイクロ波による加熱対象の空間(加熱空間A)となり、マイクロ波源6が位置していない上方の空間がマイクロ波による加熱対象とならない空間(非加熱空間B)となる。加熱空間Aでのみマイクロ波が加熱に供されるので、調理物を効率より加熱できる。
【0047】
形状、寸法等の異なる複数のプレート11を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0048】
内面状態(シボ加工の粗さ、鏡面度、マット度)、材質、コーティングの種類等が異なる複数のプレート11を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0049】
前述のように吊り下げレール14はマイクロ波透過体からなるので、庫内の底面に配置されたマイクロ波源6から照射されたマイクロ波が、吊り下げルール14を透過して容器21の上側に回り込むことができる。そのため、マイクロ波を効率良く調理物の上面に入射させ、容器本体22内に収容された調理物の上面を効果的に加熱できる。言い換えれば、吊り下げレール14をマイクロ波透過体とすることで、調理物を全体から加熱できる。
【0050】
容器21のうち容器本体22の側部の全部又は一部を透明(完全な透明に限らず半透明を含む)としてもよい。これにより、容器本体22を側面から可視化でき、調理状態が分かり、利便性が向上する。
【0051】
以下、本体の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0052】
(第2実施形態)
図7から
図9に示す本発明の第2実施形態では、電子レンジ2の庫内において容器本体22の側面を間隔をあけて取り囲む、マイクロ波反射体からなる補助部材31をさらに備える。本実施形態では、補助部材31は、角筒を縦割りで2分割した形状の一対の半割体32からなり、これらの半割体32を突き合わせることで、容器本体22の側面を取り囲んでおり、電子レンジ2の庫内に着脱可能である。また、本実施形態の補助部材31は庫内の底面に載置されているが、プレート11に対して補助部材31を着脱可能とし、庫内に設置した際に補助部材31の下端と庫内の底面との間に間隔が設けられるようにしてもよい。
【0053】
本実施形態では、マイクロ波による加熱対象となる空間を加熱空間Aのうち補助部材31で囲まれた領域Cに限定できるので、さらに効率よく調理物を加熱できる。特に、補助部材31と対向する容器本体22の側面において調理物を効率よく加熱できる。
【0054】
また、形状、寸法等の異なる複数の補助部材31を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0055】
さらに、内面状態(シボ加工の粗さ、鏡面度、マット度)、材質、コーティングの種類等が異なる複数の補助部材31を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0056】
図10から
図17は、容器21の種々の変形例を示す。これらの変形例の容器21は容器本体22の形状が第1実施形態のものとは異なる。容器本体22の形状が異なる複数の容器21を準備し、それらのうちのいずれかを選択して使用することで、つまり容器21を取り換えて使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0057】
図10及び
図11の変形例の容器21では、容器本体22の底部の平面視で中央部が、他の部分より図において上向きにドーム状に膨出した浅底部24となっている。浅底部24の部分では、容器本体22の深さが他の部分よりも浅い。浅底部24では調理物の厚みが浅くなるので、他の部分よりも効果的に調理物を加熱できる。
【0058】
図12及び
図13の変形例の容器21では、容器本体22の底部の平面視で中央部が他の部分より図において上向きに大きく山形状に膨出した仕切部25となっている。この仕切部25により容器本体22内は2つの部分26A,26Bに仕切られている。部分26A,26Bに異なる調理物を収容することで2種類の食材を同時に加熱できる。仕切部25を容器本体22内を3つ以上の部分に仕切るような形状としてもよい。
【0059】
図14及び
図15の変形例の容器21では、容器本体22の底部の平面視で中央部が他の部分より図において上向きに大きく円筒状に膨出した中空部27としている。中空部27を設けることで容器本体22内に収容された調理物の表面積、従ってマイクロ波が照射される面積が増すので、調理物を効率よく加熱できる。
【0060】
図16及び
図17の変形例の容器21では、中空部27を容器本体22とは別体とし、容器本体22の底部に平面視で環状の位置決め部材28設けている。中空部27は位置決め部材28に差し込むことで、容器本体22の底部の平面視で中央に着脱可能に装着される。
図14及び
図15の変形例と同様に、中空部27を設けて調理物の表面積を増すことで、調理物を効率よく加熱できる。また、容器本体22から中空部27を取り外すことで、容器本体22の内部を容易に洗浄することができ、容器本体22の手入れがしやすくなる。
【0061】
図18に示す変形例のプレート11は、プレート本体12と、それぞれプレート本体12に着脱可能であって容器21の上部と対向する3種類のアタッチメント部材41A,41B,41Cとを備える。
【0062】
プレート本体12には、アタッチメント部材41A~41Cを着脱可能に取付けるための取付孔15が設けられている。この取付孔15の孔縁は段付部16となっており、この段付部16によってアタッチメント部材41A~41Cの外周部が支持される。段付部16にはいずれも金属部材同士が直接接触回避して互いに絶縁するため、つまりスパーク発生を防止するため、樹脂部品17が取り付けられている。
【0063】
アタッチメント部材41Aは、第1実施形態と同様のドーム状部13を有しており全体がマイクロ波反射体(例えば金属)からなる。このアタッチメント部材41Aをプレート本体12に装着して使用する場合は、容器21も使用する(プレート11に取り付ける)、調理物は容器本体22内に収容される。マイクロ波源6(
図4及び
図9参照)からのマイクロ波が照射されることで、調理物が加熱される。
【0064】
アタッチメント部材41Bは、断面円弧状に膨らんだ平面視で細長い膨出部42と、膨出部42の表面(上面)に設けられた複数の細長いリブ43を備える。また、膨出部42の裏面(下面)には、マイクロ波吸収体44(例えばマイクロ波を吸収して発熱するフェライト発熱体)が貼り付けられている。このアタッチメント部材41Bをプレート本体12に装着して使用する場合は、容器21は使用せず(プレート11に取り付けない)、調理物は膨出部42上に載置される。マイクロ波源6(
図4及び
図9参照)からのマイクロ波が照射されたマイクロ波吸収体44が発熱し、それによって調理物が加熱される。つまり、アタッチメント部材41Bを使用することで、プレート11をオーブンプレートやグリルプレートとして使用できる。
【0065】
アタッチメント部材41Cは、断面円弧状に膨らんだ平面視で細長い膨出部42と、膨出部42に設けられた複数の細長いスリット45を備える。また、膨出部42の裏面(下面)には、マイクロ波吸収体44が貼り付けられている。このアタッチメント部材41Cをプレート本体12に装着して使用する場合は、容器21も使用する(プレート11に取り付ける)、調理物は膨出部42上に載置される。マイクロ波源6(
図4及び
図9参照)からのマイクロ波が照射されたマイクロ波吸収体44が発熱し、それによって調理物が加熱される。つまり、アタッチメント部材41Cを使用することで、プレート11をオーブンプレートやグリルプレートとして使用できる。調理物が肉等の場合、加熱により調理物から生じた油はスリット45から容器21に落下して調理物から除去される。従って、アタッチメント部材41Cを使用することで、肉等の調理物に対して油を減らした健康志向の調理が可能である。また、油は容器21内に溜まるので廃棄等の処理を簡単に行うことができ、掃除性が向上する。
【0066】
アタッチメント部材41B,41Cでは、マイクロ波吸収体44を膨出部42に貼り付ける位置、面積、並びマイクロ波吸収体44の形状を適宜設定することで、調理物の部分加熱が可能である。
【0067】
以上のように、アタッチメント部材41Aを使用することでレンジ加熱が可能であり、アタッチメント部材41B,41Cを使用することでプレート11をオーブンプレート11やグリルプレート11としても使用できる。
【0068】
第1実施形態や
図18のようなプレート11に加え、
図19に示すようなオーブンプレートやグリルプレートとしての使用に特化したプレート11を準備してもよい。
図19のプレート11は、プレート本体12と、プレート本体12と一体構造であって断面円弧状に膨らんだ平面視で細長い膨出部42と、膨出部42に設けられた複数の細長いリブ43を備える。また、膨出部42の裏面(下面)には、マイクロ波吸収体44が貼り付けられている。このプレート11は吊り下げレール14(例えば
図18参照)は備えおらず、容器21は取り付けることができない。このプレート11を使用する場合、調理物は膨出部42上に載置される。マイクロ波源6(
図4及び
図9参照)からのマイクロ波が照射されたマイクロ波吸収体44が発熱し、それによって調理物が加熱される。
【0069】
図20に示す変形例では、プレート11のドーム状部13には、吊り下げレール14が設けられた面とは反対側の面にマイクロ波吸収体18が貼り付けられている。プレート11は、第1実施形態とは裏表逆の姿勢、つまり吊り下げレール14が設けられた面が上向きとなる姿勢で電子レンジ2の庫内のガイドレール5上に支持される。調理物(例えば、スープやパスタ麺等)はドーム状部13内に収容される。マイクロ波源6からのマイクロ波が照射されたマイクロ波吸収体18が発熱し、それによってドーム状部13内の調理物が加熱される。
【0070】
図21及び
図22に示す変形例では、容器21のフランジ23に容器本体22の開口を取り囲むようにパッキン29が取り付けられている。容器21がプレート11の吊り下げレール14に支持された際に、パッキン29がプレート本体12の下面に密接することで、調理物が収容され容器本体22内が密閉状態となる。そのため、容器本体22内に調理物を収容する際にラップで包装する必要がない。
【0071】
この変形例では、容器本体22の上部と対向するプレート11のドーム状部13の上部に、複数の通気孔19が設けられている。加熱時の調理物から発生する蒸気が通気孔19を介して容器本体22から排出されるので、容器本体22内の圧力を制御できる。
【0072】
通気孔19の寸法、形状等は、蒸気は通過させるが、マイクロ波は通過させないように設定することが好ましい。このような設定により、加熱効率を低下させることなく、容器本体22から蒸気を排出できる。
【0073】
図22を参照すると、電子レンジ2の庫内の上部に、1個の通気孔19と平面視で正対するようにセンサ61が配置されている。センサ61からの出力はコンローラ62に供給され、コントローラ62はセンサ62からの信号を使用してマイクロ波源6を制御する。
【0074】
センサ61は、例えば赤外線センサ、蒸気センサ、又はサーミスタである。
【0075】
センサ61が赤外線センサの場合、調理物から放射された通気孔19を通過した赤外線を光学的に読み取ることで調理物の温度を直接的に検出できる。コントローラ62は、直接的に検出された調理物の温度に応じて、マイクロ波源6の出力を制御する。
【0076】
センサ61が蒸気センサの場合、通気孔19から出る蒸気の有無等により調理物の温度を間接的に検出できる。コントローラ62は、間接的に検出された調理物の温度に応じて、マイクロ波源6の出力を制御する。
【0077】
センサがサーミスタの場合、通気孔19から出る蒸気よる庫内の温度上昇から調理物の温度を間接的に検出できる。コントローラ62は、間接的に検出された調理物の温度に応じて、マイクロ波源6の出力を制御する。
【0078】
通気孔19に代えて、容器本体22内が所定圧力となると開弁する通気弁を設けてもよい。
【0079】
図23に示す変形例では、プレート11は、容器21とドーム状部13で囲われた空間を外部と連通するための管部51を備える。この管部51は電子レンジ2の筐体3に設けられた排気経路7と連通している。排気経路7には筐体3外への排気のためのファン8が配置されている。容器本体22内の調理物から発生した蒸気はファン8によって排気経路7に吸い込まれ、庫外に効率よく排気されるので、庫内の結露を抑制ないし防止できる。
【符号の説明】
【0080】
1 調理器具
2 電子レンジ
3 筐体
3a 加熱室
4 扉
5 ガイドレール(第1支持機構)
6 マイクロ波源
7 排気経路
8 ファン
11 プレート
12 プレート本体
13 ドーム状部
14 吊り下げレール(第2支持機構)
14a 台座部
14b 垂下部
14c 支持部
15 取付孔
16 段付部
17 樹脂部品
18 マイクロ波吸収体
19 通気孔
21 容器
22 容器本体
23 フランジ
23a 取っ手
24 浅底部
25 仕切部
26A,26B 部分
27 中空部
28 位置決め部材
29 パッキン
31 補助部材
32 半割部材
41A,41B,41C アタッチメント部材
42 膨出部
43 リブ
44 マイクロ波吸収体
45 スリット
51 管部
61 センサ
62 コントローラ
A 加熱空間
B 非加熱空間
C 領域