(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】電池および該電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/474 20210101AFI20240325BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240325BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240325BHJP
H01M 10/28 20060101ALI20240325BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240325BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240325BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20240325BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20240325BHJP
H01G 11/72 20130101ALI20240325BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20240325BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20240325BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240325BHJP
【FI】
H01M50/474
H01M50/538
H01M50/533
H01M50/534
H01M50/103
H01M50/55 101
H01M50/15
H01M10/04 W
H01M10/28 A
H01M10/052
H01M10/0587
H01M50/486
H01M50/449
H01M50/417
H01G11/72
H01G11/76
H01G11/82
H01G11/84
(21)【出願番号】P 2021137242
(22)【出願日】2021-08-25
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】米山 顕啓
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/060009(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/066476(WO,A1)
【文献】特開2016-219143(JP,A)
【文献】特開2017-162716(JP,A)
【文献】特開2019-125493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/40、50/50
H01M10/04、10/28、10/052、10/0587
H01G11/72、11/76、11/82、11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口部と、を有する外装体と、
前記開口部を封口する封口板と、
前記外装体に収容され、かつ、正極、負極、および該正極と該負極とを離隔するセパレータを含む電極体と、
前記電極体を収容する樹脂製の電極体ホルダであって、該電極体を収容した状態で前記外装体に収容される電極体ホルダと、
前記封口板に取り付けられた、正極端子および負極端子と、
前記電極体の前記正極と前記正極端子とを電気的に接続する正極集電体、および、前記電極体の前記負極と前記負極端子とを電気的に接続する負極集電体、と、
を備える電池であって、
前記電極体は、前記第1側壁に対向する一対の第1側面を有しており、
前記第1側面の面方向における前記電極体の第1端部には、該第1端部から突出した複数の正極タブを含む正極タブ群が設けられており、
前記第1側面の面方向における、前記第1端部とは異なる前記電極体の第2端部には、該第2端部から突出した複数の負極タブを含む負極タブ群が設けられており、
ここで、前記正極タブ群は、該正極タブ群を構成する各々の前記正極タブの先端が前記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げられており、折り曲げられた前記正極タブの一部分が前記正極集電体と接合されており、
前記負極タブ群は、該負極タブ群を構成する各々の前記負極タブの先端が前記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げられており、折り曲げられた前記負極タブの一部分が前記負極集電体と接合されており、
前記電極体は、前記電極体ホルダの内壁面に固着されて
おり、
前記セパレータは、基材と該基材の表面の少なくとも一部に設けられた第2接着層とを備える接着セパレータを有しており、該第2接着層の少なくとも一部は前記第1側面を構成しており、該第2接着層を介して前記電極体が前記内壁面に固着されている、電池。
【請求項2】
前記電極体の前記第1側面と前記電極体ホルダの前記内壁面との間に第1接着層を備えており、該第1接着層を介して前記電極体が前記内壁面に固着されている、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1接着層は、前記電極体ホルダの前記内壁面の少なくとも一部、または、前記電極体の前記第1側面の少なくとも一部に設けられている、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1接着層または前記第2接着層は、前記第1側面の面積の1/3以下の面積を有する、請求項
2または3に記載の電池。
【請求項5】
底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口部と、を有する外装体と、
前記開口部を封口する封口板と、
前記外装体に収容され、かつ、正極、負極、および該正極と該負極とを離隔するセパレータを含む電極体と、
前記電極体を収容する樹脂製の電極体ホルダであって、該電極体を収容した状態で前記外装体に収容される電極体ホルダと、
前記封口板に取り付けられた、正極端子および負極端子と、
前記電極体の前記正極と前記正極端子とを電気的に接続する正極集電体、および、前記電極体の前記負極と前記負極端子とを電気的に接続する負極集電体、と、
を備える電池であって、
前記電極体は、前記第1側壁に対向する一対の第1側面を有しており、
前記第1側面の面方向における前記電極体の第1端部には、該第1端部から突出した複数の正極タブを含む正極タブ群が設けられており、
前記第1側面の面方向における、前記第1端部とは異なる前記電極体の第2端部には、該第2端部から突出した複数の負極タブを含む負極タブ群が設けられており、
ここで、前記正極タブ群は、該正極タブ群を構成する各々の前記正極タブの先端が前記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げられており、折り曲げられた前記正極タブの一部分が前記正極集電体と接合されており、
前記負極タブ群は、該負極タブ群を構成する各々の前記負極タブの先端が前記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げられており、折り曲げられた前記負極タブの一部分が前記負極集電体と接合されており、
前記電極体は、前記電極体ホルダの内壁面に固着されており、
前記電極体の前記第1側面と前記電極体ホルダの前記内壁面との間に第1接着層を備えており、該第1接着層を介して前記電極体が前記内壁面に固着されており、
前記第1接着層は、前記第1側面の面積の1/3以下の面積を有する、電池。
【請求項6】
前記正極タブはアルミニウム箔からなり、
前記電極体ホルダは、前記電極体の一対の前記第1側面に対向する一対の幅広面を有しており、
前記第1接着層が形成された領域は、前記幅広面の長辺方向の中央線よりも前記正極タブ側に位置する、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、前記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、前記底壁に対向する開口部と、を有する外装体と、
前記開口部を封口する封口板と、
前記外装体に収容され、かつ、正極、負極、および該正極と該負極とを離隔するセパレータを含み、前記第1側壁に対向する一対の第1側面を有する電極体と、
前記電極体を収容する樹脂製の電極体ホルダであって、該電極体を収容した状態で前記外装体に収容される電極体ホルダと、
前記封口板に取り付けられた、正極端子および負極端子と、
前記電極体の前記正極と前記正極端子とを電気的に接続する正極集電体、および、前記電極体の前記負極と前記負極端子とを電気的に接続する負極集電体、と、
を備える電池の製造方法であって、
前記第1側面の面方向における前記電極体の第1端部に設けられた、該第1端部から突出した複数の正極タブを含む正極タブ群を、前記正極タブ群を構成する各々の前記正極タブの先端が前記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げ、折り曲げられた状態の前記正極タブの一部分と前記正極集電体とを接合すること;
前記第1側面の面方向における、前記第1端部とは異なる前記電極体の第2端部に設けられた、該第2端部から突出した複数の負極タブを含む負極タブ群を、前記負極タブ群を構成する各々の前記負極タブの先端が前記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げ、折り曲げられた状態の前記負極の一部分と前記負極集電体とを接合すること;
前記正極タブ群および前記負極タブ群がそれぞれに対応する集電体と接合された状態で、前記電極体を前記電極体ホルダに収容すること;および、
前記電極体を収容した状態の前記電極体ホルダに圧力および/またはエネルギーを付与して、前記第1側面を前記電極体ホルダの内壁面に固着すること、
を包含
し、
前記セパレータとして、基材と該基材の表面の少なくとも一部に設けられた第2接着層とを備える接着セパレータが用いられ、該第2接着層の少なくとも一部で前記第1側面が構成されており、該第2接着層を介して前記第1側面と前記内壁面とが固着される、製造方法。
【請求項8】
前記第1側面と前記電極体ホルダの前記内壁面との間に第1接着層を形成して、該第1接着層を介して前記第1側面と前記内壁面とを固着させることを包含する、請求項
7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記電極体が収容された状態の前記電極体ホルダを前記外装体に収容することと、
前記電極体ホルダを収容した後の前記外装体を前記封口板で封口することと、
を包含し、
前記固着では、前記封口後の前記外装体の前記第1側壁に前記圧力および/または前記エネルギーを付与する、請求項
7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記エネルギーは、熱エネルギー、光エネルギー、または超音波エネルギーである、請求項
7~9のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池および該電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の電池は、一般に、電極を有する電極体と、開口部を有し電極体を収容する外装体と、外装体の開口部を封口する封口板と、外装体の内部で電極と電気的に接続され、かつ封口板から外装体の外側に延出された端子と、電極体および端子を電気的に接続する集電体と、を備える。この種の電池は、典型的には、電極に集電用の複数の電極タブを含む電極タブ群が設けられ、当該電極タブ群を介して電極が端子に接続された構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、電極組立体(電極体)の幅方向の両端部に正極タブおよび負極タブがそれぞれ設けられた電池が開示されている。同公報によれば、これら電極タブは、電極組立体の幅方向の端面に沿って折り曲げられており、電極タブの折り曲げ部が集電体に接続(接合)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電池には、外部から電池に対して振動や衝撃等が加わることがある。電極タブは、例えば電極芯体の一部からなり、柔らかく外力の影響を受けやすい。例えば、電極体の幅方向から外力が電極タブ群に加わると、電極体が所定の配設位置からずれ、電極タブ群(正極タブ群および/または負極タブ群)が同方向に引っ張られたり、電極体や外装体の内壁に押し付けられたりする。電極タブ群に対してこのような負荷が加わることは、電極タブ群が損傷する要因となるため、好ましくない。電極タブ群が損傷すると、電極と端子との電気的な接続が不安定になったり接続不良になったりする虞がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電極タブ群が損傷しにくい電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される技術によると、底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、上記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、上記底壁に対向する開口部と、を有する外装体と、上記開口部を封口する封口板と、上記外装体に収容され、かつ、正極、負極、および該正極と該負極とを離隔するセパレータを含む電極体と、上記電極体を収容する樹脂製の電極体ホルダであって、該電極体を収容した状態で上記外装体に収容される電極体ホルダと、上記封口板に取り付けられた、正極端子および負極端子と、上記電極体の上記正極と上記正極端子とを電気的に接続する正極集電体、および、上記電極体の上記負極と上記負極端子とを電気的に接続する負極集電体、と、を備える電池が提供される。上記電極体は、上記第1側壁に対向する一対の第1側面を有している。上記第1側面の面方向における上記電極体の第1端部には、該第1端部から突出した複数の正極タブを含む正極タブ群が設けられている。上記第1側面の面方向における、上記第1端部とは異なる上記電極体の第2端部には、該第2端部から突出した複数の負極タブを含む負極タブ群が設けられている。ここで、上記正極タブ群は、該正極タブ群を構成する各々の上記正極タブの先端が上記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げられており、折り曲げられた上記正極タブの一部分が上記正極集電体と接合されている。上記負極タブ群は、該負極タブ群を構成する各々の上記負極タブの先端が上記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げられており、折り曲げられた上記負極タブの一部分が上記負極集電体と接合されている。上記電極体は、上記電極体ホルダの内壁面に固着されている。
【0008】
かかる構成の電池では、電極体が電極体ホルダの内壁面に固着されていることによって、外部から該電池に振動や衝撃等の外力が加わった場合でも、外装体内における電極体の移動(特に上記第1側面の面方向への移動)を抑制することができる。そのため、かかる電極体の移動によって電極タブ群に負荷が加わるのを抑制し、電極タブ群の損傷を抑制することができる。なお、以下、本明細書における「正極タブ」および「負極タブ」に関して、特に正負の区別をつけない場合には、「電極タブ」と称することがある。「電極集電体」についても同様である。
【0009】
好ましい一態様では、ここで開示される電池は、上記電極体の上記第1側面と上記電極体ホルダの上記内壁面との間に第1接着層を備えており、該第1接着層を介して上記電極体が上記内壁面に固着されている。かかる構成の電池では、上記部位に第1接着層が設けられることによって、より効率よく電極タブ群の損傷抑制効果を実現することができる。
【0010】
好ましい他の一態様では、上記第1接着層は、上記電極体ホルダの上記内壁面の少なくとも一部、または、上記電極体の上記第1側面の少なくとも一部に設けられている。かかる構成によると、上記効果に加えて、電池の製造をより容易にすることができる。
【0011】
好ましい他の一態様では、上記セパレータは、基材と該基材の表面の少なくとも一部に設けられた第2接着層とを備える接着セパレータを有しており、該第2接着層の少なくとも一部は上記第1側面を構成している。上記第2接着層を介して上記電極体が上記内壁面に固着されている。かかる構成によると、上記効果に加えて、電池の製造をより容易にすることができるとともに、電池が複数の電極体を含む場合において、各電極体の位置ズレを抑制することができる。
【0012】
また、ここで開示される電池の他の一態様では、上記第1接着層または上記第2接着層は、上記第1側面の面積の1/3以下の面積を有する。かかる構成によると、上記効果に加えて、電極体への電解液の含浸をよりよくすることができる。
【0013】
また、ここで開示される技術によると、底壁と、該底壁から延び相互に対向する一対の第1側壁と、上記底壁から延び相互に対向する一対の第2側壁と、上記底壁に対向する開口部と、を有する外装体と、上記開口部を封口する封口板と、上記外装体に収容され、かつ、正極、負極、および該正極と該負極とを離隔するセパレータを含み、上記第1側壁に対向する一対の第1側面を有する電極体と、上記電極体を収容する樹脂製の電極体ホルダであって、該電極体を収容した状態で上記外装体に収容される電極体ホルダと、上記封口板に取り付けられた、正極端子および負極端子と、上記電極体の上記正極と上記正極端子とを電気的に接続する正極集電体、および、上記電極体の上記負極と上記負極端子とを電気的に接続する負極集電体、と、を備える電池の製造方法が提供される。この製造方法は、上記第1側面の面方向における上記電極体の第1端部に設けられた、該第1端部から突出した複数の正極タブを含む正極タブ群を、上記正極タブ群を構成する各々の上記正極タブの先端が上記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げ、折り曲げられた状態の上記正極タブの一部分と上記正極集電体とを接合すること;上記第1側面の面方向における、上記第1端部とは異なる上記電極体の第2端部に設けられた、該第2端部から突出した複数の負極タブを含む負極タブ群を、上記負極タブ群を構成する各々の上記負極タブの先端が上記第2側壁に沿って配置されるように折り曲げ、折り曲げられた状態の上記負極の一部分と上記負極集電体とを接合すること;上記正極タブ群および上記負極タブ群がそれぞれに対応する集電体と接合された状態で、上記電極体を上記電極体ホルダに収容すること;および、上記電極体を収容した状態の上記電極体ホルダに圧力および/またはエネルギーを付与して、上記第1側面を上記電極体ホルダの内壁面に固着すること、を包含する。
【0014】
かかる構成によると、電極体を電極体ホルダの内壁面に固着することによって、外部から該電池に振動や衝撃等の外力が加わった場合でも、外装体内における電極体の移動(特に上記第1側面の面方向への移動)を抑制することができる。そのため、上記製造方法を実施することによって、電極タブ群の損傷が抑制された電池を製造することができる。
【0015】
好ましくは、この製造方法は、上記第1側面と上記電極体ホルダの上記内壁面との間に第1接着層を形成して、該第1接着層を介して上記第1側面と上記内壁面とを固着させることを包含する。かかる構成によると、上記部位に第1接着層を形成することによって、より効率よく電極タブ群の損傷抑制効果を実現することができる。
【0016】
また、好ましくは、この製造方法は、上記セパレータとして、基材と該基材の表面の少なくとも一部に設けられた第2接着層とを備える接着セパレータを使用し、該第2接着層の少なくとも一部で上記第1側面を構成させて、上記第2接着層を介して上記第1側面と上記内壁面とを固着させることを包含する。かかる構成によると、上記効果に加えて、より容易に電池を製造することができる。また、複数の電極体を含み、各電極体の位置ズレが抑制された電池を製造することができる。
【0017】
また、他の一態様では、ここで開示される製造方法は、上記電極体が収容された状態の上記電極体ホルダを上記外装体に収容することと、上記収容後の上記外装体を上記封口板で封口することと、を包含する。上記固着では、上記封口後の上記外装体の上記第1側壁に上記圧力および/または上記エネルギーを付与する。かかる構成によると、固着における圧力やエネルギーに付与による電極体へのダメージを低減することができる。
【0018】
また、好ましくは、上記エネルギーは、熱エネルギー、光エネルギー、または超音波エネルギーである。ここで開示される製造方法は、固着において上記エネルギーを付与することによって、所望の効果が実現された電池を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池1を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る電池1を模式的に示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、電極体20の構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、正極タブ群23と正極集電体50との接合を説明する、封口板14側からみた部分断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態で使用される電極体ホルダ29の展開図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る電池1の封口板14側からみた、電極体20と電極体ホルダ29の内壁面が固着した状態を説明する部分断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示される電極体ホルダ29の展開図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る電池1で使用される電極体ホルダ29において接着層100を設ける部位の一例を説明する展開図である。
【
図10】
図10は、一実施形態に係る電池1で使用される接着セパレータ27の構成を説明する部分断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係る電池1の製造方法を説明する工程図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る電池1の製造方法の一工程を説明する斜視図である。
【
図13】
図13は、一実施形態に係る電池1の製造方法の一工程を説明する斜視図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係る電池1の製造方法の一工程を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であってここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここで開示される技術を特徴付けない電池(ここで開示される技術においては、二次電池)の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0021】
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。本明細書では、二次電池を単に「電池」とも称する。
【0022】
<電池1>
図1は、一実施形態に係る電池1を模式的に示す斜視図である。
図2は、一実施形態に係る電池1を模式的に示す分解斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な断面図である。また、本明細書において参照する図面における符号Xは「奥行方向」を示し、符号Yは「幅方向」を示し、符号Zは「高さ方向」を示す。また、奥行方向XにおけるFは「前」を示し、Rrは「後」を示す。幅方向YにおけるLは「左」を示し、Rは「右」を示す。そして、高さ方向ZにおけるUは「上」を示し、Dは「下」を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池1の設置形態を何ら限定するものではない。
【0023】
図1~3に示すように、電池1は、電池ケース10と、電極体20と、電極体ホルダ29と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電体50と、負極集電体60と、インシュレータ70と、ガスケット90と、を備えている。図示は省略するが、電池1は、ここではさらに電解液を備えている。電池1は、ここではリチウムイオン二次電池である。
【0024】
電池ケース10は、電極体20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。なお、電池ケース10の内部には、電極体20の他に、電解液(図示省略)も収容されている。かかる電解液については、リチウムイオン二次電池において使用され得るものを特に制限なく使用することができ、ここで開示される技術を特徴づけるものではないため詳細な説明を省略する。
【0025】
電池ケース10は、開口部12hを有する外装体12と、開口部12hを塞ぐ封口板(蓋体)14と、を備えている。外装体12は、
図1、2に示すように、平面矩形の底壁12aと、底壁12aの長辺の各々から高さ方向Zに延びて相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aの短辺から高さ方向に延びて相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。長側壁12bは、ここで開示される電池における第1側壁の一例である。短側壁12cは、ここで開示される電池における第2側壁の一例である。底壁12aは、開口部12hと対向している。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。封口板14は、外装体12の開口部12hを封口している。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、平面視において略矩形状である。電池ケース10は、外装体12の開口部12hの周縁に封口板14が接合されることによって、一体化されている。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0026】
封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後に電解液を注液するためのものである。注液孔15は、封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。端子引出孔18、19は、封口板14の幅方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子引出孔18、19は、封口板14を高さ方向Zに貫通している。端子引出孔18、19は、それぞれ、封口板14に取り付けられる前の(かしめ加工前の)の正極端子30および負極端子40を挿通可能な大きさの内径を有する。
【0027】
封口板14には、正極端子30および負極端子40のそれぞれが取り付けられている。正極端子30は、封口板14の幅方向Yの一方側(
図1~3の左側)に配置されている。負極端子40は、封口板14の幅方向Yの他方側(
図1~3の右側)に配置されている。正極端子30には、例えば、アルミニウム等が用いられる。負極端子40には、例えば、銅等が用いられる。
【0028】
正極端子30は、封口板14の外側の表面に配置される平板状の基部31と、基部31から高さ方向Zの下側(底壁12a側)に延びる軸部32と、を有する。正極端子30の基部31は、封口板14の外側の表面に露出している。正極端子30の軸部32は、端子引出孔18を挿通して封口板14の外部から内部へと延びている。軸部32は、電池ケース10の内部で、後述する正極集電体50の正極第1集電部51の貫通孔を挿通して、正極第1集電部51に固定されている。正極端子30は、ここでは、かしめ加工により、封口板14の端子引出孔18を囲む周縁部分に固定されている。なお、電池1では、負極端子40も正極端子30と略同様の構造を有している。そのため、負極端子40の構造について、詳細な図示と説明とを省略する。
図3中における符号41は負極端子40の基部であり、符号42は軸部である。
【0029】
封口板14の外側の面には、板状の正極外部導電部材35および負極外部導電部材45が取り付けられている。正極外部導電部材35は、正極端子30と電気的に接続されている。負極外部導電部材45は、負極端子40と電気的に接続されている。正極外部導電部材35および負極外部導電部材45は、複数の電池1を相互に電気的に接続する際に、バスバーが付設される部材である。正極外部導電部材35および負極外部導電部材45は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。正極外部導電部材35および負極外部導電部材45は、外部絶縁部材92によって封口板14と絶縁されている。ただし、正極外部導電部材35および負極外部導電部材45は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。なお、外部絶縁部材92の構成材料として、後述のインシュレータ70やガスケット90の構成材料として挙げられた樹脂材料を使用することができる。
【0030】
インシュレータ70は、正極集電体50(詳しくは、正極第1集電部51の端子接続部51a)と封口板14の内側の表面との間に配置されている。インシュレータ70には、貫通孔が形成されている。ガスケット90は、正極端子30(詳しくは、基部31)と封口板14の外側の表面との間に配置されている。ガスケット90は、封口板14の端子引出孔18に挿入される筒状の突起を有している。かかるガスケット90の突起は、インシュレータ70の貫通孔の内周に沿うように配置されている。上記構成のインシュレータ70とガスケット90を設けることによって、正極集電体50と封口板14との接触、および、正極端子30と封口板14との接触を防止することができる。なお、インシュレータおよびガスケットを用いた絶縁構造について、負極端子40側にも同様の構造が設けられているが、詳細な説明は省略する。なお、インシュレータ70やガスケット90の構成材料は、特に限定されず、ポリオレフィン樹脂(例、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE))、フッ素樹脂(例、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))等の樹脂材料であり得る。
【0031】
電池1は、一つまたは複数の電極体20を備えており、
図2に示す実施形態では、3つの電極体20を備えている。
図3に示すように、電池1は、外装体12の内部に、電極体20の正極と正極端子30とを電気的に接続する正極集電体50、および、電極体20の負極と負極端子40とを電気的に接続する負極集電体60を備えている。
【0032】
図4は、電極体20の構成を示す模式図である。
図4に示すように、電極体20は、正極、負極、および該正極と該負極とを離隔するセパレータ(
図4では、正極板22、負極板24、およびセパレータ26)を有する。電極体20は、ここでは、帯状の正極板22と帯状の負極板24とが帯状のセパレータ26を介して積層され、捲回軸WLを中心として捲回されてなる扁平形状の捲回電極体である。なお、正極板22、負極板24、およびセパレータ26の構成材料には、この種のリチウムイオン二次電池に使用される材料を特に制限なく使用することができる。かかる構成材料は、ここで開示される技術を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0033】
電極体20は、一対の幅広な第1側面20aと、矩形部および該矩形部を挟み込む2つの湾曲部を有する一対の第2側面20bと、を有している。
図1~4に示すように、電極体20は、捲回軸WLが幅方向Yと平行になる向きで、外装体12の内部に配置されている。すなわち、電極体20は、捲回軸WLが底壁12aと平行になり、短側壁12cと直交する向きで、外装体12の内部に配置されている。第1側面20aは外装体12の長側壁12bに対向しており、第2側面20bは短側壁12cに対向している。第1側面20aの面方向(例えば
図1~4における幅方向Y)における電極体20の第1端部201には、該第1端部201から突出した複数の正極タブ22tを含む正極タブ群23が設けられている。第1端部201は、正極集電体50に近接した側(
図3中の幅方向Yの左側)の短側壁12cと対向する端部である。第1側面20aの面方向における、第1端部201とは異なる電極体20の第2端部202には、該第2端部202から突出した複数の負極タブ24tを含む負極タブ群25が設けられている。第2端部202は、負極集電体60に近接した側(
図3中の幅方向Yの右側)の短側壁12cと対向する端部である。
【0034】
正極板22は、
図4に示すように、長尺な帯状の部材である。かかる正極板22は、正極集電箔22cと、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aとを有する。特に限定するものではないが、正極板22の幅方向Yにおける一方の側縁部には、必要に応じて、正極保護層22pが設けられていてもよい。
【0035】
帯状の正極集電箔22cの幅方向Yの一方の端部(
図4の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ幅方向Yの一方側(
図4の左側)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも幅方向Yの外側に突出している。複数の正極タブ22tは、正極板22の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ台形状である。正極タブ22tは、ここでは正極集電箔22cの一部であり、金属箔(例えばアルミニウム箔)からなっている。正極タブ22tは、正極集電箔22cの正極活物質層22aおよび正極保護層22pが形成されていない部分(集電箔露出部)である。ただし、正極タブ22tは、正極集電箔22cとは別の部材であってもよい。
【0036】
正極板22と同様に、負極板24も、長尺な帯状の部材である。負極板24は、
図4に示すように、負極集電箔24cと、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。
【0037】
帯状の負極集電箔24cの幅方向Yの一方の端部(
図4の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、幅方向Yの一方側(
図4の右側)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも幅方向Yの外側に突出している。複数の負極タブ24tは、負極板24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。複数の負極タブ24tは、それぞれ台形状である。負極タブ24tは、ここでは負極集電箔24cの一部であり、金属箔(例えば銅箔)からなっている。負極タブ24tは、ここでは、負極集電箔24cの負極活物質層24aが形成されていない部分(集電箔露出部)である。ただし、負極タブ24tは、負極集電箔24cとは別の部材であってもよい。
【0038】
上記捲回を行うと、第1端部201から突出した複数の正極タブ22tが積層され、正極タブ群23が形成される。
図5は、正極タブ群23と正極集電体50との接合を説明する、封口板14側からみた部分断面図である。
図1~5に示すように、正極タブ群23を構成する各々の正極タブ22tの先端が短側壁12cに沿って配置されるように折り曲げられている。かかる折り曲げによって、正極タブ群23には、正極折り曲げ部23aが形成されている。また、折り曲げられた正極タブ22tの一部分は、正極集電体50(具体的には、タブ接合部52b)と接合されている。具体的には、正極タブ22tの、正極折り曲げ部23aよりも先端に近い一部分が正極集電体50に接合され、正極タブ22tと正極集電体50との接合部Jが形成されている。なお、かかる接合の手段として、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等が挙げられる(負極についても同じ)。
【0039】
また、上記捲回を行うと、第2端部202から突出した複数の負極タブ24tが積層され、負極タブ群25が形成される。詳細な図示は省略するが、負極タブ群25を構成する各々の負極タブ24tの先端が短側壁12cに沿って配置されるように折り曲げられている。かかる折り曲げによって、負極タブ群25には、負極折り曲げ部が形成されている。また、折り曲げられた負極タブ24tの一部分は、負極集電体60(具体的には、
図12中のタブ接合部62b)と接合されている。具体的には、負極タブ24tの、負極折り曲げ部よりも先端に近い一部分が負極集電体60に接合され、負極タブ24tと負極集電体60との接合部が形成されている。
【0040】
図3に示すように、正極集電体50は、正極第1集電部51と、正極第2集電部52とを備えている。正極第1集電部51は、断面L字型に形成されている。正極第1集電部51は、封口板14の内側の面に沿って配置される端子接続部51aと、端子接続部51aの幅方向Yの一方の端部から底壁12aに向かって延びるリード部51bと、を有している。端子接続部51aには、封口板14の端子引出孔18に対応する位置に貫通孔が形成されている。該貫通孔には、正極端子30の軸部32が挿通されている。
【0041】
図2、3に示すように、正極第2集電部52は、外装体12の底壁12aに向かって伸びている。正極第2集電部52は、第1集電部接続部52aと、タブ接合部52bとを有している。第1集電部接続部52aは、正極第1集電部51と電気的に接続される部位である。第1集電部接続部52aは、上下方向Zに沿って延びている。第1集電部接続部52aは、各々の電極体20の捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。タブ接合部52bは、複数の正極タブ22tと接合される部位である。タブ接合部52bは、上下方向Zに沿って延びている。タブ接合部52bは、各々の電極体20の捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。タブ接合部52bの複数の正極タブ22tと接続される面は、外装体12の短側壁12cと略平行に配置されている。
【0042】
負極集電体60は、
図2、3に示すように、負極第1集電部61と、負極第2集電部62とを備えている。負極第1集電部61は、端子接続部61aと、リード部61bと、を有している。負極第2集電部62は、第1集電部接続部62aと、タブ接合部62bとを有している(
図12参照)。負極集電体60の構成は、上述した正極集電体50の構成と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0043】
電極体ホルダ29は、
図2に示すように、矩形状底面291と、底面291から延び相互に対向する一対の幅広面292と、底面291から延び相互に対向する一対の幅狭面294と、を有している。電極体ホルダ29は、電極体20を収容する内部空間29sを有しており、該内部空間29sに連通する開口部29hを有している。電極体20は、電極体ホルダ29の内部空間29sに収容されている。電極体ホルダ29には、正極タブ群23および正極タブ群23に接合された正極集電体50と、負極タブ群25および負極タブ群25に接合された負極集電体60が収容されている。電極体20が電極体ホルダ29の内部空間29sに収容された状態では、第1側面20aが幅広面292に対向し、第2側面20bが幅狭面294に対向している。このとき、正極集電体50の正極第2集電部52、および、負極集電体60の負極第2集電部62(
図12参照)は、それぞれ幅狭面294に対向している。また、電極体ホルダ29が外装体12に収容された状態では、電極体ホルダ29の幅広面292が外装体12の長側壁12bに対向し、幅狭面294が短側壁12cに対向し、底面291が底壁12aに対向している。
【0044】
特に限定するものではないが、電極体ホルダ29としては、例えば、樹脂製のフィルム(例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂製フィルム)が折り曲げられて成形されたものを使用することができる。
図6は、一実施形態で使用される電極体ホルダ29の展開図である。
図6に示すように、電極体ホルダ29は、展開された状態で、底面291と、底面291の一対の対向する長辺から延びた一対の幅広面292と、底面291の一対の対向する短辺から延びた一対の底面隣接部293と、各々の幅広面292における短辺から延びた幅狭面形成部29a~29dと、を有している。これを
図6中の点線に沿って同方向に折り曲げることによって、電極体ホルダ29が成形される。
【0045】
上記のように成形された電極体ホルダ29において、一方の幅狭面294は、幅狭面形成部29a、29b、および底面隣接部293から構成されている。具体的には、例えば、まず底面隣接部293を折り曲げる。次いで、幅狭面形成部29aを折り曲げて、折り曲げられた底面隣接部293に重ねる。次いで、幅狭面形成部29bを折り曲げて、折り曲げられた幅狭面形成部29aに重ねる。こうすることによって、上記一方の幅狭面294を形成することができる。このとき、
図6に示す樹脂製のフィルムは、電極体ホルダ29の内側から外側に向かって、底面隣接部293、幅狭面形成部29a、幅狭面形成部29bの順に重なるように折り曲げられている。また、他方の幅狭面294は、幅狭面形成部29c、29d、および底面隣接部293から構成されている。具体的には、例えば、まず底面隣接部293を折り曲げる。次いで、幅狭面形成部29cを折り曲げて、折り曲げられた底面隣接部293に重ねる。次いで、幅狭面形成部29dを折り曲げて、折り曲げられた幅狭面形成部29cに重ねる。こうすることによって、上記他方の幅狭面294を形成することができる。このとき、上記樹脂製のフィルムは、電極体ホルダ29の内側から外側に向かって、底面隣接部293、幅狭面形成部29c、幅狭面形成部29dの順に重なるように折り曲げられている。
【0046】
電池1では、電極体20は、電極体ホルダ29の内壁面に固着されている。電極体20と電極体ホルダ29の内壁面とが固着されることによって、振動や衝撃等の外力が電池1に加わった場合でも、外装体内における電極体の移動(特に幅方向Yへの移動)を抑制することができる。そのため、かかる電極体の移動によって電極タブに負荷が加わるのを抑制し、電極タブ群の損傷を抑制することができる。すなわち、かかる構成によって、電極体移動抑制効果、延いては電極タブ群損傷抑制効果を実現することができる。
【0047】
上記固着手段としては、例えば、接着性を有する接着層を形成することが挙げられる。
図7は、一実施形態に係る電池1の封口板14側からみた、電極体20と電極体ホルダ29の内壁面が固着した状態を説明する部分断面図である。同図中、外装体12および封口板14の図示を省略している。
図2、7に示すように、電池1は、電極体20の第1側面20aと電極体ホルダ29の内壁面(具体的には、電極体ホルダ29の一方または両方の幅広面292の内側表面。
図7では両方。)との間に第1接着層100を備えており、該第1接着層100を介して電極体20が上記内壁面に固着されている。ここで、第1接着層100は、電極体ホルダ29に収容されている3つの電極体のうち、電極体ホルダ29の幅広面292と対向する2つの電極体に設けられている。かかる部位に第1接着層100を形成することによって、上記電極体移動抑制効果、延いては上記電極タブ群損傷抑制効果を実現することができる。
【0048】
特に限定するものではないが、第1接着層100は、電極体ホルダ29の内壁面(例えば幅広面292の内表面)の少なくとも一部に設けられていることが好ましい。
図8は、
図7に示される電極体ホルダ29の展開図である。具体的には、
図8に示すように、成形前の樹脂フィルムにおける幅広面292に、例えば、第1接着層100を形成するための材料(例えば後述の樹脂材料を含むスラリー、ペースト等)を所定部位に塗布して適宜乾燥させ、所定の工程を実施する、あるいは接着テープ(粘着テープを含む。)を貼り付ける、等の手段で第1接着層100を設けておくことによって、幅広面292に第1接着層100を備える電極体ホルダ29を作製することができる。電極体ホルダ29に第1接着層100を設けることによって、上記電極体の移動抑制効果、延いては電極タブ群の損傷抑制効果を実現することができる。また、電極体20への第1接着層100の形成を省略することができる。また、例えば製造過程において第1接着層100に接触するリスクを低減することができる。なお、電極体ホルダ29に第1接着層100を設ける方法する詳細は後述する。
【0049】
第1接着層100の構成材料としては、この種の二次電池においてバインダとして使用される、接着性(あるいは粘着性)を有する種々の樹脂材料を使用することができる。例えば、上記樹脂材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂;アクリル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;等が挙げられる。電池1の製造をより容易とするため、第1接着層100の構成材料として、種々の粘着剤(感圧接着剤)が好ましく用いられ得る。上記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。あるいは、上記樹脂材料は、光硬化性樹脂(例えば、光硬化性を有するアクリル樹脂)、熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性を有するアクリル樹脂)であってもよい。
【0050】
電極体ホルダ29の幅広面292において第1接着層100を形成する領域(以下、「第1接着層形成領域」ともいう。)は、ここで開示される技術の効果を実現できる限り、特に限定されない。一例として、
図8に示すように、幅広面292の長辺方向の中央線CL1と短辺方向の中央線CL2との交点Pを含む中央領域を、第1接着層形成領域とすることができる。かかる中央領域(すなわち、第1接着層形成領域)は、例えば、電極体20の第1側面20aの面積の1/2以下、1/3以下、1/4以下、あるいは1/5以下とすることができる。電解液を電極体20に効率よく含浸させる観点からは、第1接着層形成領域は、第1側面20aの面積の1/3以下の面積を有することが好ましい。なお、上記のとおり、中央領域は交点Pを含んでいればよく、必ずしも中央領域の中心と交点Pとが一致していなくてもよい。電極体20への電解液の含浸の観点から、中央領域の中心が交点Pよりも開口部29h側(すなわち、底面291と反対側。
図2も参照。)にあるとよい。なお、上述の第1接着層形成領域の面積は、1つの第1側面20aにおける面積を意味する。
【0051】
あるいは、電極タブ群近傍領域を、第1接着層形成領域としてもよい。
図9は、一実施形態に係る電池1で使用される電極体ホルダ29において接着層100を設ける部位の一例を説明する展開図である。
図9に示す樹脂フィルムでは、電極体ホルダ29を成形した後における幅広面292の長辺方向の中央線CL1よりも電極タブ側の電極タブ群近傍領域を、第1接着層形成領域とすることができる。例えば、正極タブ群近傍領域における第1接着層100の形成は、正極タブ22tが負極タブ24tよりも破損しやすい材料で構成されている場合に、好ましい。なお、第1接着層100は、負極タブ群近傍領域に形成されてもよく、正極タブ群近傍領域および負極タブ群近傍領域の両方に形成されてもよく電極タブ近傍領域に加えてさらに上記中央領域やその他の形成を所望する領域に設けてもよい。複数個所に第1接着層100を設ける場合は、各第1接着層形成領域の面積の合計を上述の範囲内に設定とするとよい。
【0052】
一方、詳細な図示は省略するが、第1接着層100は、電極体20の第1側面20aの少なくとも一部に設けられていてもよい。具体的には、電極体ホルダ29に挿入する前の電極体20の第1側面20aに、例えば、第1接着層100を形成するための材料(例えば後述の樹脂材料を含むスラリー、ペースト等)を所定部位に塗布して適宜乾燥させ、所定の工程を実施する、あるいは接着テープ(粘着テープを含む。)を貼り付ける、等の手段によって、第1接着層100を設けることができる。この場合でも、上記電極体移動抑制効果、延いては上記電極タブ群損傷抑制効果を実現することができる。また、かかる部位に第1接着層100を設けることによって、電極体ホルダ29への第1接着層100の配置を省略することができる。そのため、製造時に電極体ホルダ29を成形する前の樹脂フィルムを重ねておくことができる。なお、第1側面20aにおける第1接着層形成領域は、電極体20を収容した後、電極体ホルダ29の幅広面292における当該領域と合うように設定すればよい。また、第1接着層100の面積に関しては、電極体ホルダ29の幅広面292に第1接着層100を設ける場合と同様とすることができる。
【0053】
なお、電極体20と電極体ホルダ29との接着性をより高めたい場合は、電極体20の第1側面20a、および、電極体ホルダ29の幅広面292の内表面の両方に第1接着層100を設けてもよい。また、
図7では、第1接着層100は各幅広面292の内表面と第1側面20aとの間に設けられているが、ここで開示される技術の効果を十分に実現できる場合には、第1接着層100の形成を片側としてもよい。
【0054】
<他の実施形態>
上述の実施形態では、電極体20の第1側面20aと電極体ホルダ29の内壁面(幅広面292の内表面)との間に、別途接着層(すなわち、第1接着層100)を設けることで、電極体20と電極体ホルダ29との固着が実現されている。しかし、これに限定されない。例えば、電極体20のセパレータ26の一部として、接着層を備えるセパレータ(以下、「接着セパレータ」と称する。)を使用することによって、上記固着を実現することができる。
図10は、一実施形態に係る電池1で使用される接着セパレータ27の構成を説明する部分断面図である。すなわち、本実施形態に係る電池1は、
図4に示すセパレータ26の少なくとも一部として、基材27aと該基材27aの表面の少なくとも一部に設けられた第2接着層27bとを備える接着セパレータ27を有している。ここで、上記第2接着層27bの少なくとも一部は、第1側面20aを構成しており、該第2接着層27bを介して電極体20が電極体ホルダ29の内壁面に固着されている。これによって、上記電極体移動抑制効果、延いては上記電極タブ群損傷抑制効果を実現することができる。また、第1側面20aや電極体ホルダ29の内壁面に別途接着層100を設ける工程を省略することができる。さらに、電極体ホルダ29の内壁面に接着層100が形成されないため、製造時に電極体ホルダ29を成形する前の樹脂フィルムを重ねておくことができる。また、電池1が複数の電極体20を備える場合、接着セパレータ27の第2接着層27bによって電極体20と電極体20との間の接着性を高め、相互に位置ズレするのを抑制することができる。
【0055】
接着セパレータ27の基材27aは、例えば、微多孔薄膜、織布、不織布等であり得る。該基材の構成材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとαオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン;を好ましく使用することができる。基材27aは、単層構造であってもよく、複数層の積層構造(例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン等)であってもよい。
【0056】
第2接着層27bは、基材27aの両面もしくは片面(
図10では片面)に形成されている。ここで、
図4に示される電極体20では、正極板22、負極板24、およびセパレータ26を重ね合わせて捲回したときに、電極体20の最外層がセパレータ26となっている。そのため、少なくとも、該最外層を構成するセパレータ26を接着セパレータ27に替えて、かつ、接着セパレータ27を、第2接着層27bが電極体20における各部材の積層方向の最外層となるように(すなわち、捲回後の電極体20の最外層)となるように配置して、上記捲回を行うとよい。特に限定するものではないが、第2接着層27bを基材27aの表面の略全体に形成してもよい。すなわち、第1側面20aにおける第2接着層27bの面積は、第1側面20aの面積と略同一としてもよい。そうすることで、捲回後に第2接着層27bを介して接着セパレータ27と正極活物質層22aとを接着させることができるため、上記電極体移動抑制効果および上記電極タブ群損傷抑制効果に加えて、正負極間の極間距離を小さくする効果、電極体20の変形を抑制する効果等をよりよく実現することができる。あるいは、上記第1接着層100と同様、第1側面20aにおける第2接着層27bの面積が、第1側面20aの面積の1/2以下、1/3以下、1/4以下、あるいは1/5以下となるように、第2接着層27bを形成してもよい。
【0057】
第2接着層27bの構成材料としては、粘着性(あるいは接着性)を有する種々の樹脂材料を使用することができる。例えば、上記樹脂材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂が挙げられる。
【0058】
なお、電極体20と電極体ホルダ29との固着状態をよりよくする観点から、電極体20の最外層を構成するセパレータとして接着セパレータ27を用い、さらに上記実施形態の接着層100を電極体20および/または電極体ホルダ29の内壁面に設けてもよい。
【0059】
また、上記固着手段としては、接着層100の形成および接着セパレータ27の使用に限定されず、その他の手段を採用してもよい。例えば、後述のように、電極体20の第1側面20aと電極体ホルダ29の幅広面292とは、超音波接合によっても固着され得る。この場合、幅広面292の外表面の少なくとも一部に、上記超音波接合の溶接痕が存在し得る。
【0060】
<<電池1の製造方法>>
図11は、一実施形態に係る電池1の製造方法を説明する工程図である。
図12~14は、一実施形態に係る電池1の製造方法の一工程を説明する斜視図である。電池1の製造方法では、まず、上述のような電池ケース10(外装体12および封口板14)と、電極体20(1つまたは複数個。例えば3個。)と、電解液と、電極体ホルダ29と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電体50と、負極集電体60と、を用意する。そして、
図11に示されるように、封口板準備工程S1、電極タブ群接合工程S2、電極体ホルダ収容工程S3、固着工程S4、および外装体収容工程S5を実施することによって、電池1を製造することができる。なお、ここで開示される製造方法は、任意の段階でさらにほかの工程を含んでもよい。下記の説明において、適宜
図1~14を参照する。
【0061】
封口板準備工程S1では、封口板14に正極端子30と、負極端子40と、正極集電体50と、負極集電体60と、を取り付け、次いで電極体20の取り付けが可能な状態の封口板14を準備する。具体的には、まず、封口板14に、正極端子30と、正極第1集電部51と、負極端子40と、負極第1集電部61と、インシュレータ70と、を取り付ける。正極端子30と正極第1集電部51とインシュレータ70は、例えば、かしめ加工(リベッティング)によって封口板14に固定する。かしめ加工は、
図3に示すように、封口板14の外側の表面と正極端子30との間にガスケット90を挟み、さらに封口板14の内側の表面と正極第1集電部51との間にインシュレータ70を挟んで行われる。詳しくは、かしめ加工前の正極端子30を、封口板14の上方から、ガスケット90の貫通孔と、封口板14の端子引出孔18と、インシュレータ70の貫通孔と、正極第1集電部51の貫通孔と、に順番に挿入して、封口板14の下方に突出させる。そして、上下方向Zに対して圧縮力が加わるように正極端子30の封口板14よりも下方に突出した部分をかしめる。このようにして、ガスケット90と封口板14とインシュレータ70と正極第1集電部51とが封口板14に一体に固定される。負極側に関して、正極側と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0062】
電極タブ群接合工程S2では、封口板準備工程S1で準備した封口板14の電極集電体に対応する電極タブ群を接合し、封口板14と電極体20とを一体化する。具体的には、まず、
図12に示すように、正極第2集電部52および負極第2集電部62の付設された電極体20を3つ用意する。次いで、この3つの電極体20を短辺方向Xに並べて配置する(
図2参照)。このとき、3つの電極体20は、いずれも、正極第2集電部52が長辺方向Yの一方側(
図2の左側)に配置され、負極第2集電部62が長辺方向Yの他方側(
図2の右側)に配置される。
【0063】
次いで、正極第2集電部52と一体化した状態の正極タブ群23を折り曲げる。すなわち、正極タブ群23を構成する各々の正極タブ22tの先端を折り曲げる。そして、正極タブ群23が折り曲げられた状態で、正極第2集電部52(第1集電部接続部52a)を上記工程S1で準備した封口板14に固定された正極第1集電部51のリード部51bに接合する。接合方法としては、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接を用いることができる。負極側に関して、正極側と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。このようにして、3つの電極体20と封口板14とを接合し、
図2に示すような電極体20と封口板14との合体物2を得る。
【0064】
電極体ホルダ収容工程S3では、電極タブ群接合工程S2で用意した合体物2を、電極体ホルダ29に収容する。ここで、正極タブ群23および負極タブ群25がそれぞれに対応する集電体と接合された状態で、電極体20を電極体ホルダ29に収容する。具体的には、例えば、
図8または
図9に示される樹脂フィルムを上記のとおり折り曲げて、袋状(箱状)の電極体ホルダ29を作製する。この電極体ホルダ29に、電極体20の第1側面20aと電極体ホルダ29の幅広面292とが対向するように、合体物2を挿入する(
図13参照)。なお、第1側面20aが幅広面292に対向するように、電極体20を成形前の樹脂フィルムに重ね合わせて、包み込むようにして合体物2を作製してもよい。
【0065】
固着工程S4では、電極体20を収容した状態の電極体ホルダ29に圧力および/またはエネルギーを付与して、第1側面20aを電極体ホルダ29の内壁面に固着する。上記のとおり、
図8または
図9に示される樹脂フィルムには、幅広面292の少なくとも一部に第1接着層100が設けられている。電極体ホルダ29の幅広面292の外表面から、第1接着層形成領域(例えば
図13の二点鎖線で囲った領域。
図8も参照。)に対して圧力および/またはエネルギーを付与すればよい。圧力の大きさ、エネルギーの種類、およびエネルギー量は、第1接着層形成領域の大きさ、第1接着剤層100の構成材料、電極体20の構成材料等によって適宜変更することができる。例えば、第1接着剤層100が粘着剤(感圧接着剤)で構成されている場合、上記領域に圧力を付与することによって、第1接着層100を介した上記固着を実現することができる。このときの圧力の大きさは、第1接着層100を介した上記固着が実現する限り、特に限定されず、0.01kgf/cm
2~0.05kgf/cm
2であってもよく、例えば指圧程度であってもよい。必要に応じて、圧力を付与するときに、加熱(例えば、40℃~60℃)してもよい。
【0066】
また、例えば、熱硬化性樹脂やその他の樹脂材料を用いて第1接着層100を形成する場合は、所定の大きさの圧力(例えば、0.05kgf/cm2~0.2kgf/cm2)を付与しつつ、加熱(例えば、60℃~70℃)して、該樹脂を硬化あるいは熱溶着させるための熱エネルギーを付与することが好ましい。上記加熱時の温度は、使用する樹脂材料の種類によって適宜変更し得る。また、例えば、光硬化性樹脂を用いて第1接着層100を形成する場合は、所定の大きさの圧力(例えば、0.01kgf/cm2~0.1kgf/cm2)を付与しつつ、該樹脂を硬化させるための光エネルギーを付与することが好ましい。照射する光の種類(波長)は、光硬化性樹脂の種類によるため、特に限定されない。例えば、光硬化性樹脂が紫外線硬化樹脂である場合は、紫外線を照射するとよい。あるいは、光硬化性樹脂が可視光で硬化する樹脂である場合は、該樹脂を硬化できる波長の可視光を照射するとよい。なお、第1接着層100が熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いて形成される場合は、圧力の付与を省略することができる。
【0067】
固着工程S4を、後述の外装体収容工程S5の前に行うことによって、電極体20と電極体ホルダ29との接着状態を目視で確認することができる。また、外装体12への圧力や熱エネルギーによるダメージを低減することができる。
【0068】
外装体収容工程S5では、上記固着工程S4を行い、電極体ホルダ29の内壁面に固着された状態の電極体20を外装体12に収容する(
図2参照)。そして、外装体12の開口12hの縁部に封口板14を接合して、開口12hを封止する。外装体12と封口板14とは、溶接接合されることが好ましい。かかる溶接接合は、例えばレーザ溶接等で行うことができる。その後、注液孔15から電解液を注入し、注液孔15を封止部材16で塞ぐことによって、電池1を密閉する。以上のようにして、電池1を製造することができる。
【0069】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、固着工程S4を外装体収容工程S5の前に実施しているが、これに限定されない。すなわち、固着工程を、外装体収容工程の後に実施してもよい。具体的には、上記電極体ホルダ収容工程S3において電極体20を電極体ホルダ29に収容した後、この電極体ホルダ29に圧力やエネルギーを付与することなく、外装体12に収容する。その後、外装体12の開口部12hを封口板14で封口する。当該封口後、外装体12の長側壁12bの所定の領域(接着層100が形成された部分を含む領域。例えば
図14の二点鎖線で囲った領域。)に対して圧力および/またはエネルギー(例えば、熱エネルギー)を付与し、電極体20と電極体ホルダ29とを固着させる。固着工程を、外装体収容工程の後に実施することによって、圧力やエネルギーの付与による電極タブ群へのダメージを低減することができる。圧力やエネルギーに関する諸条件は、上記実施形態に記載のとおりであるため、ここでの記載を省略する。
【0070】
あるいは、上記実施形態では、接着層100が形成された電極体ホルダ29を使用しているが、これに限定されない。すなわち、接着セパレータ27を使用してもよい。この場合、製造対象である電池1を構成するセパレータの一部として、基材27aと該基材27aの表面の少なくとも一部に設けられた第2接着層27bとを備える接着セパレータ27を使用し、該第2接着層27bの少なくとも一部で第1側面20aを構成させて、第2接着層27bを介して第1側面20aと電極体ホルダ29の内壁面とを固着させる。固着の際に付与する圧力の大きさは、例えば、0.1kgf/cm2~0.2kgf/cm2とすることができる。固着の際の加熱の温度は、第2接着層を構成する樹脂材料による熱溶着が可能な温度であればよく、例えば、60℃~80℃とすることができる。
【0071】
あるいは、電極体20の第1側面20aと電極体ホルダ29の内壁面とを、超音波エネルギーを付与することによって固着してもよい。この場合、第1接着層100の形成や接着セパレータ27の使用を省略することができる。市販の装置を用いて、固着を予定する領域を加圧しつつ、電極体ホルダ29の幅広面292に超音波エネルギーを付与することによって、上記固着を実現することができる(例えば、
図13の二点鎖線で囲った領域を参照)。電極体20の構成材料として、熱エネルギーの付与が好ましくない材料を用いている場合、超音波エネルギーを付与して上記固着を実現することが好ましい。超音波の周波数を適宜変更することによって、電極体20の構成材料にダメージを与えず、例えば電極体20の第1側面20a(セパレータ)と電極体ホルダ29の内壁面との固着のみを実現することができる。
【0072】
以上、ここで開示される技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 電池
2 合体物
10 電池ケース
12 外装体
14 封口板
15 注液孔
16 封止部材
17 ガス排出弁
18 端子引出孔
19 端子引出孔
20 電極体
22 正極板
22a 正極活物質層
22c 正極集電箔
22p 正極保護層
22t 正極タブ
23 正極タブ群
23a 正極折り曲げ部
24 負極板
24a 負極活物質層
24c 負極集電箔
24t 負極タブ
25 負極タブ群
26 セパレータ
27 接着セパレータ
29 電極体ホルダ
30 正極端子
35 正極外部導電部材
40 負極端子
45 負極外部導電部材
50 正極集電体
51 正極第1集電部
52 正極第2集電部
60 負極集電体
61 負極第1集電部
62 負極第2集電部
70 インシュレータ
90 ガスケット
92 外部絶縁部材
100 第1接着層
J 接合部