(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】角型電池および角型電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20240325BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2021170291
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】前田 仁史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光広
(72)【発明者】
【氏名】高林 洋志
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-031523(JP,A)
【文献】国際公開第2021/193184(WO,A1)
【文献】特開2013-118152(JP,A)
【文献】特開2018-085180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 10/04
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が設けられた略長方形の蓋と、
前記蓋の周縁部に接続された2対の対向する側面を備えた略直方体のケース本体と、
前記ケース本体の内部に収容され、前記端子に接続された電極体と、を備え
、
前記2対の対向する側面は、1対の幅広の側面と、1対の幅狭の側面とを含み、
前記1対の幅狭の側面のうちの少なくとも一方は、当該幅狭の側面に対向する幅狭の側面とともに前記電極体に当接するように前記ケース本体の内方に向かってくびれており、
前記1対の幅広の側面は、少なくとも一方が前記電極体と離れている、
角型電池。
【請求項2】
前記ケース本体のくびれた側面は、前記電極体に当接する当接部と、前記当接部の両側に位置し前記電極体から離れた離間部と、を備えている、
請求項1
に記載の角型電池。
【請求項3】
略直方体のケース本体の内部に電極体を収容するステップと、
前記ケース本体の少なくとも1つの側面を押圧して、前記押圧された側面と前記押圧された側面に対向する側面とが前記電極体に当接するように、前記押圧された側面を変形させるステップと、を含
み、
前記ケース本体の側面は、端子が設けられた蓋が装着される側面と、前記蓋が装着される側面にそれぞれ接続された1対の幅広の側面および1対の幅狭の側面と、を含み、
前記1対の幅広の側面は、少なくとも一方が前記電極体と離れており、
前記側面を変形させるステップでは、前記1対の幅狭の側面のうちの少なくとも一方を変形させる、
角型電池の製造方法。
【請求項4】
前記側面を変形させるステップでは、前記押圧される側面の一部を押圧する、
請求項
3に記載の角型電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角型電池と角型電池の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、渦巻状電極体が収容された外装缶の側壁を径方向内側に向けて絞る縮径ステップを含む、円筒型電池の製造方法が開示されている。特許文献1に開示された縮径ステップでは、テーパ状の透孔に対して外装缶を通過させることにより、外装缶の側壁の底部分から開口縁端までの全領域にわたって絞り加工を実施している。特許文献1によれば、かかる方法により、電池容積に対する電池容量が高い電池を製造できる、とされる。特許文献1には、角型のリチウムイオン電池なども対象とし得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
略直方体のケース本体に電極体が収容された角型電池においては、ケース本体内で電極体が動くことを抑制することも求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示する角型電池は、端子が設けられた略長方形の蓋と、蓋の周縁部に接続された2対の対向する側面を備えた略直方体のケース本体と、ケース本体の内部に収容され端子に接続された電極体と、を備える。2対の対向する側面のうちの少なくとも1つの側面は、当該側面に対向する側面とともに電極体に当接するように、ケース本体の内方に向かってくびれている。
【0006】
上記角型電池によれば、ケース本体の少なくとも1対の側面が電極体に当接して電極体を押さえる。そのため、電極体がケース本体内で動くことが抑制される。
【0007】
ここに開示する角型電池の製造方法は、略直方体のケース本体の内部に電極体を収容するステップと、ケース本体の少なくとも1つの側面を押圧して、押圧された側面と上記押圧された側面に対向する側面とが電極体に当接するように、上記押圧された側面を変形させるステップと、を含む。上記角型電池の製造方法によれば、電極体がケース本体内で動くことを抑制する角型電池を製造することができる。
【0008】
上記角型電池においては、2対の対向する側面は、1対の幅広の側面と、1対の幅狭の側面とを含んでいてもよい。1対の幅狭の側面のうちの少なくとも一方は、当該幅狭の側面に対向する幅狭の側面とともに電極体に当接するようにケース本体の内方に向かってくびれており、1対の幅広の側面は、少なくとも一方が電極体と離れていてもよい。上記角型電池の製造方法においては、ケース本体の側面は、端子が設けられた蓋が装着される側面と、蓋が装着される側面にそれぞれ接続された1対の幅広の側面および1対の幅狭の側面と、を含み、側面を変形させるステップでは、1対の幅狭の側面のうちの少なくとも一方を変形させてもよい。
【0009】
上記角型電池において、ケース本体のくびれた側面は、電極体に当接する当接部と、当接部の両側に位置し電極体から離れた離間部と、を備えていてもよい。上記角型電池の製造方法において、側面を変形させるステップでは、押圧される側面の一部を押圧してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、角型電池の製造工程の一部を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の変形例に係る角型電池の部分断面図である。
【
図4】
図4は、第2の変形例に係る角型電池の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、角型電池の一実施形態を説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも実際の実施品が忠実に反映されたものではない。以下では、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
[角型電池の構成]
図1は、角型電池10の部分断面図である。
図1は、略直方体のケース本体20の1つの側面(後述する1対の幅広面21のうちの一方)に向かって見た図であり、ケース本体20の内部の一部を露出させた状態で描かれている。
図1に示すように、角型電池10は、ケース本体20と、蓋30と、電極体40と、電極端子50と、ガスケット61と、インシュレータ62とを備えている。
【0013】
ケース本体20は、電極体40と電解液とを収容している。ケース本体20は、略直方体の扁平な角型の容器である。ここで、「略直方体」とは、直方体の他、ほぼ直方体とみなしてもよい形状、例えば、角が面取りされていたり、丸められていたりする形状を含む。ケース本体20は、対向する1対の側面21と、他の対向する1対の側面22と、底面23と、底面23に対向する位置に開口した開口部24と、を備えている。開口部24は、蓋30が装着されるケース本体20の一側面である。以下、2対の側面21、22のうち、1対の幅広の側面を1対の幅広面21と呼ぶ。また、2対の側面21、22のうち、1対の幅狭の側面を1対の幅狭面22と呼ぶ。例えば
図2に示すように、幅狭面22の幅(
図1の紙面奥行き方向の長さ)は、幅広面21の幅(
図1の左右方向の長さ)よりも短い。1対の幅広面21および1対の幅狭面22は、蓋30が装着される側面である開口部24に接続されている。ケース本体20は、例えば、アルミニウムまたはアルミ合金によって形成されている。
【0014】
蓋30は、ケース本体20の開口部24に装着され、開口部24を塞いでいる。蓋30は、プレート状の部材である。蓋30は、略長方形に形成され、電極端子50が設けられている。ここで、「略長方形」とは、長方形の他、ほぼ直方体とみなしてもよい形状、例えば、孔、凹み、突起等が形成されている形状を含む。ケース本体20の1対の幅広面21および1対の幅狭面22は、蓋30の周縁部に接続されている。蓋30も、例えば、アルミニウムまたはアルミ合金によって形成されている。蓋30の長手方向に沿った両端部付近には、貫通孔31が1個ずつ設けられている。2つの貫通孔31には、それぞれ、電極端子50が挿通されている。2つの電極端子50のうちの一方は正極端子50Pであり、他方は負極端子50Nである。
【0015】
電極体40は、ケース本体20の内部に収容されている。電極体40は、正極シート41と、負極シート42と、第1セパレータシート43と、第2セパレータシート44と、を備えている。第1セパレータシート43、正極シート41、第2セパレータシート44、および負極シート42は、この順に複数回重ねられ、積層電極体を形成している。ただし、第1セパレータシート43、正極シート41、第2セパレータシート44、および負極シート42は、重ねられた上で巻回され、巻回電極体を形成していてもよい。電極体40は、ここでは、絶縁体の電極体ホルダ45が装着された状態でケース本体20の内部に収容されている。電極体ホルダ45は、例えば、絶縁体のフィルムによって構成され、正極シート41または負極シート42がケース本体20に接触しないように、第1セパレータシート43、正極シート41、第2セパレータシート44、および負極シート42を覆っている。ただし、電極体ホルダ45は、絶縁体のフィルムには限定されず、例えば、弾性変形可能な箱状の部材等であってもよい。
【0016】
第1セパレータシート43および第2セパレータシート44は、正極シート41および負極シート42よりも大きく構成され、正極シート41および負極シート42よりも外方にはみ出している。これにより、正極シート41と負極シート42との接触が防止されている。正極シート41および負極シート42は、それぞれ、正極端子50Pおよび負極端子50Nに接続されるタブ41aおよび42aを備えている。
【0017】
本実施形態では、角型電池10は、正極シート41に正極活物質層が形成され、負極シート42に負極活物質層が形成された二次電池である。角型電池10の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウムイオン二次電池である。第1セパレータシート43、正極シート41、第2セパレータシート44、および負極シート42は、ケース本体20の1対の幅広面21の並び方向(
図1の紙面奥行き方向)に積層されている。
【0018】
電極端子50は、電極体40に接続されている。詳しくは、正極端子50Pは、正極シート41のタブ41aに接続されている。負極端子50Nは、負極シート42のタブ42aに接続されている。電極端子50は、集電端子51と、外部端子52と、ボルト端子53と、を備えている。集電端子51は、蓋30の貫通孔31を通してケース本体20の内部に挿入されており、タブ41aまたはタブ42aに接続されている。外部端子52は、蓋30の上面に沿うように設けられており、集電端子51に接続されている。ボルト端子53は、外部端子52に接続されている。蓋30と集電端子51との間には、絶縁体で形成されたガスケット61が挟まれている。ガスケット61は、蓋30と集電端子51との間を電気的に絶縁するとともに、貫通孔31を封止している。蓋30と外部端子52との間には、絶縁体で形成されたインシュレータ62が挟まれている。インシュレータ62は、蓋30と外部端子52との間を電気的に絶縁している。
【0019】
ケース本体20の2対の側面21、22のうちの少なくとも1つの側面は、当該側面に対向する側面とともに電極体40に当接するように、ケース本体20の内方に向かってくびれている。ケース本体20の内方は、ケース本体20の側面21または22から見て電極体40の方向であり、例えば、
図1の右側の幅狭面22の場合は、左方である。本実施形態では、
図1に示すように、1対の幅狭面22に、電極体40に当接するくびれが形成されている。本実施形態では、1対の幅広面21には、くびれが形成されていない。
【0020】
ただし、くびれは、1対の幅狭面22にではなく、1対の幅広面21に形成されていてもよい。または、くびれは、1対の幅狭面22とともに、1対の幅広面21にも形成されていてもよい。さらに、くびれは、1対の幅狭面22の両方にではなく、一方にだけ形成されていてもよい。1対の幅狭面22の一方にだけくびれが形成されている場合も、くびれた幅狭面22と、それに対向する幅狭面22とは、いずれも電極体40に当接する。同様に、くびれは、1対の幅広面21の一方にだけ形成されていてもよい。なお、ケース本体20の側面21または22が電極体40に「当接する」とは、ここでは、電極体40が動きにくいようにケース本体20によって電極体40を押さえることを意味する。ケース本体20の側面21または22が電極体40に当接することには、側面21または22が直接に電極体40に触れることの他、押さえる力を伝達し得る部材、例えば電極体ホルダ45を介して側面21または22が電極体40を押さえることを含む。
【0021】
本実施形態では、各幅狭面22は、電極体40に当接する当接部22aと、電極体40から離れた離間部22bと、を備えている。離間部22bは、当接部22aの両側に位置している。ここでは、離間部22bは、当接部22aよりもケース本体20の底面23の側(
図1の下方)、および、当接部22aよりも蓋30の側(
図1の上方)に位置している。当接部22aは、幅狭面22の長手方向(
図1の上下方向)の中央部に形成されている。幅広面21に向かって見ると、当接部22aは、ケース本体20の内方側に向かって二等辺三角形状に凹んでいる。図示は省略するが、当接部22aは、幅狭面22の幅方向(
図1の奥行き方向)の全幅にわたって形成されている。当接部22aは、電極体40がケース本体20内で動きにくいように、電極体40を押さえている。ただし、当接部22aは、幅狭面22の幅方向(
図1の奥行き方向)の一部にのみ形成されていてもよい。
【0022】
幅広面21は、その少なくとも一方が電極体40と離れている。言い換えると、幅狭面22の幅(1対の幅広面21同士の間の距離)は電極体40の厚みよりも大きく、製造上の理由によって電極体40がいずれかの幅広面21に接することはあるが、両方の幅広面21に接することはない。これにより、幅広面21の並び方向に関して、電極体40が充放電によって膨張収縮する際の寸法的な余裕が生じている。
【0023】
[角型電池の製造方法]
図2は、角型電池10の製造工程の一部を示す模式図である。
図2に示すように、角型電池10の製造工程は、略直方体のケース本体20の内部に電極体40を収容するステップS10と、蓋30をケース本体20に溶接するステップS20と、1対の幅狭面22をそれぞれ変形させて当接部22aを形成するステップS30と、を含む。ただし、
図2に示す工程は好適な一例に過ぎない。例えば、前述したように、当接部が形成されるケース本体20の側面は限定されない。よって、当接部を形成するステップでは、ケース本体20の少なくとも1つの側面を押圧して、当該押圧された側面とこれに対向する側面とが電極体40に当接するように、当該押圧された側面を変形させればよい。その他、実施形態で開示する方法は、角型電池10の製造方法を限定するものではない。
【0024】
図2に示すように、略直方体のケース本体20の内部に電極体40を収容するステップS10は、電極体40を作製するステップS11と、蓋30と電極端子50とのアッセンブリに2つの電極体40を接合するステップS12と、2つの電極体40を折りたたむステップS13と、蓋30、電極体40、および電極端子50のアッセンブリに電極体ホルダ45を被せるステップS14と、蓋30、電極体40、電極端子50、および電極体ホルダ45のアッセンブリをケース本体20に装着するステップS15と、を含んでいる。
【0025】
ステップS11の詳細は説明を省略する。ステップS12では、
図2に示すように、2つの電極体40が蓋30の両側に配置され、その状態で正極端子50Pの集電端子51(
図1参照)に正極シート41のタブ41aが、負極端子50Nの集電端子51に負極シート42のタブ42aが溶接される。ステップS13では、タブ41aおよびタブ42aが曲げられ、2つの電極体40が幅広面を付け合うように折りたたまれる。ステップS14では、電極体40が折りたたまれた後の蓋30、電極体40、および電極端子50のアッセンブリに電極体ホルダ45が被せられる。これにより、アッセンブリのうち、ケース本体20内に収容される部分(ここでは、正極シート41、負極シート42、第1セパレータシート43、および第2セパレータシート44を含む)が電極体ホルダ45に覆われる。ステップS15では、電極体ホルダ45を被せた後のアッセンブリをケース本体20に装着する。これにより、蓋30がケース本体20の開口部24に装着される。また、電極体40がケース本体20の内部に収容される。
【0026】
ステップS20では、蓋30をケース本体20に溶接する。なお、ステップS20は、ケース本体20に当接部22aを形成するステップS30よりも後に行われてもよい。
【0027】
ステップS30では、1対の幅狭面22を変形させ、1対の幅狭面22にそれぞれ当接部22aを形成する。ステップS30は、当接部22aを形成する押圧治具100にステップS20後の角型電池10(まだ完成品ではないが、以下では便宜上、単に角型電池10とも称する)を装着するステップS31と、プレス(図示せず)によって押圧治具100を押圧し、当接部22aを形成するステップS32と、押圧治具100から角型電池10を取り外すステップS33と、を含んでいる。
【0028】
ステップS31の詳しい図示は省略するが、角型電池10が装着された押圧治具100は、
図2に示すような状態となる。
図2に示すように、押圧治具100は、底側固定型101と、蓋側固定型102と、第1押圧型103と、第2押圧型104と、を備えている。底側固定型101は、ケース本体20の底面23に当接する。蓋側固定型102は、蓋30に当接する。底側固定型101と蓋側固定型102とは、角型電池10を保持している。第1押圧型103は、一方の幅狭面22に当接する。第1押圧型103は、当接部22aの形状に対応する形状の突起部を有している。第2押圧型104は、他方の幅狭面22に当接する。第2押圧型104も、当接部22aの形状に対応する形状の突起部を有している。
【0029】
図2に矢印で示すように、図示しないプレスは、第1押圧型103と第2押圧型104とを接近させるように押圧する。プレスは、例えば、図面寸法で所定量だけ第1セパレータシート43および第2セパレータシート44の縁が潰されるように、第1押圧型103と第2押圧型104とを押圧する。上記所定量は、例えば、好適には、プレス方向の片側につき0.5mm程度である。ただし、押圧治具100によってケース本体20を変形させる量は、上記に限定されるわけではない。
【0030】
なお、幅狭面22の一方だけに当接部22aを形成する場合には、当接部22aを形成しない側の押圧型103または104は、平坦な形状を有していてもよい。また、当接部22aは、幅狭面22の全部またはほぼ全部にわたって形成されていてもよく、その場合、当接部22aは、例えば、絞り加工によって形成されてもよい。
【0031】
[実施形態の作用効果]
上記のように、本実施形態に係る角型電池10は、電極端子50が設けられた略長方形の蓋30と、蓋30の周縁部に接続された2対の対向する側面21、22を備えた略直方体のケース本体20と、ケース本体20の内部に収容され電極端子50に接続された電極体40と、を備えており、2対の対向する側面21、22のうちの少なくとも1つの側面は、当該側面に対向する側面とともに電極体40に当接するように、ケース本体20の内方に向かってくびれている。かかる角型電池10によれば、ケース本体20の少なくとも1対の側面が電極体40に当接して電極体40を押さえる。そのため、電極体40がケース本体20内で動くことが抑制される。また、本実施形態では、ケース本体20の内法寸法を電極体40よりも確実に大きく作っておき、電極体40をケース本体20に収容した後にくびれを形成することで、電極体40をケース本体20に収容しやすくすることができる。
【0032】
本実施形態では、ケース本体20の2対の側面21、22は、1対の幅広面21と、1対の幅狭面22とを含んでいる。1対の幅狭面22のうちの少なくとも一方は、当該幅狭面22に対向する幅狭面22とともに電極体40に当接するように、ケース本体20の内方に向かってくびれている。一方で、1対の幅広面21は、少なくとも一方が電極体40と離れている。かかる角型電池10によれば、1対の幅狭面22によって電極体40の動きを抑えつつ、1対の幅広面21の並び方向に関しては、電極体40が膨張する余裕を生じさせることができる。電極体40は、第1セパレータシート43、正極シート41、第2セパレータシート44、および負極シート42の積層方向である幅広面21の並び方向に主に膨張する。そのため、角型電池10は、1対の幅広面21の並び方向に関して、電極体40が膨張可能な隙間を有していることが好ましい。このような隙間がないと、次第に第1セパレータシート43および第2セパレータシート44が潰れ、電池の特性が悪化するおそれがある。
【0033】
本実施形態では、ケース本体20のくびれた側面(ここでは、1対の幅狭面22)は、電極体40に当接する当接部22aと、当接部22aの両側に位置し電極体40から離れた離間部22bと、を備えている。ケース本体20の側面を変形させて当接部22aを形成する際には、側面の全部が電極体40に当接するまで側面を変形させるよりも、側面の一部が電極体40に当接するまで側面を変形させる方が容易である。よって、かかる角型電池10は、より容易に製造可能である。また、離間部22bと電極体40との間の隙間には電解液が入るため、電池としての性能が向上し得る。離間部22bと電極体40との間の隙間は、電極体40と電解液との反応によってガスが発生した場合に、ガスの逃げ場としても機能し得る。
【0034】
本実施形態に係る角型電池10の製造方法は、略直方体のケース本体20の内部に電極体40を収容するステップS10と、ケース本体20の少なくとも1つの側面を押圧して、押圧された側面と当該押圧された側面に対向する側面とが電極体40に当接するように、押圧された側面を変形させるステップS30と、を含んでいる。かかる角型電池10の製造方法によれば、電極体40がケース本体20内で動きにくい角型電池10を製造することができる。
【0035】
本実施形態では、ケース本体20の側面は、電極端子50が設けられた蓋30が装着される側面(開口部24)と、蓋30が装着される側面(開口部24)にそれぞれ接続された1対の幅広面21および1対の幅狭面22と、を含んでいる。ケース本体20の側面を変形させるステップS30では、1対の幅狭面22のうちの少なくとも一方を変形させる。かかる角型電池10の製造方法によれば、1対の幅狭面22によって電極体40の動きを抑えつつ、1対の幅広面21の並び方向に関しては、電極体40が膨張する隙間を有する角型電池10を製造することができる。
【0036】
[実施形態の変形例]
上記した角型電池10は、他の態様によっても実施することができる。
図3は、第1の変形例に係る角型電池10の部分断面図である。
図3に示すように、この変形例では、幅狭面22の一部だけが変形されている(
図1の角型電池10では、電極体40に当接するのは当接部22aであるが、幅狭面22の全部またはほぼ全部が凹むように変形されていた)。このように、ケース本体20の側面を変形させるステップでは、押圧される側面の一部を押圧してもよい。かかる製造方法によれば、当接部22aを形成する際、当接部22aおよびその支持部分22c以外では、ケース本体20側面を変形させない。よって、さらに容易に(例えば、プレス圧の小さいプレスを使用して)、ケース本体20の側面を変形させることができる。なお、当接部22aの形状は、
図3に示したような台形状には限定されない。
【0037】
図4は、第2の変形例に係る角型電池10の部分断面図である。
図4に示すように、この変形例では、複数の当接部22aと複数の離間部22bとが、ケース本体20の側面に形成されている。複数の当接部22aと複数の離間部22bは、ケース本体20の側面を波打たせるようにして、交互に連なっている。かかる角型電池10によれば、1つの側面につき複数の当接部22aによって電極体40が押さえられる。そのため、電極体40の押さえがより安定する。なお、当接部22aの数や位置は特に限定されない。
【0038】
なお、最初の実施形態と変形例とは、適宜に組み合わせることができる。例えば、1対の幅狭面22(幅広面21でもよい)のうちの一方と他方とに、別の形状または異なる数のくびれを形成してもよい。
【0039】
以上、ここで提案される角型電池およびその製造方法について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた角型電池の実施形態などは、本発明を限定しない。
【符号の説明】
【0040】
10 角型電池
20 ケース本体
21 幅広面
22 幅狭面
22a 当接部
22b 離間部
22c 支持部分
23 底面
24 開口部
30 蓋
31 貫通孔
40 電極体
41 正極シート
41a タブ
42 負極シート
42a タブ
43 第1セパレータシート
44 第2セパレータシート
45 電極体ホルダ
50 電極端子(端子)
50N 負極端子
50P 正極端子
51 集電端子
52 外部端子
53 ボルト端子
61 ガスケット
62 インシュレータ
100 押圧治具
101 底側固定型
102 蓋側固定型
103 第1押圧型
104 第2押圧型