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特許7459036情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240325BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021179684
(22)【出願日】2021-11-02
(65)【公開番号】P2023068511
(43)【公開日】2023-05-17
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504103984
【氏名又は名称】ウイングアーク1st株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】名護屋 豊
(72)【発明者】
【氏名】池田 知樹
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524125(JP,A)
【文献】特開2008-140411(JP,A)
【文献】特開2010-079682(JP,A)
【文献】特開2012-145996(JP,A)
【文献】特開2002-203186(JP,A)
【文献】特開2021-114224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザーが使用する第1端末と、第2ユーザーが使用する第2端末と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置と、を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援手段と、
前記ファイル作成支援手段の前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶手段と、
前記所定の記憶部から前記相互合意の文書ファイルを取得すると共に、前記相互合意の文書ファイルとは異なる他の文書ファイルであって、前記相互合意の文書ファイルから得られる情報により特定される前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのうち一方により生成されたことが既知の前記他の文書ファイルのうち、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのうち他方のユーザーに関連すると判断した他の文書ファイルを取得して、夫々取得した当該相互合意の文書ファイル及び当該他の文書ファイルの紐付けを行う紐付け手段と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置前記ファイル記憶手段は、前記相互合意の文書ファイルを原本として前記所定の記憶部に記憶し、
前記情報処理装置は、
前記所定の記憶部に前記原本として記憶された前記相互合意の文書ファイルに基づいて、前記原本とは異なる閲覧用の文書ファイルを生成する閲覧ファイル生成手段と、
生成された前記閲覧用の文書ファイルを前記第1端末及び前記第2端末のうち閲覧要求のあった何れかに送信するファイル送信手段と、
を更に備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ファイル作成支援手段は、前記支援の一つとして、前記第1端末からの、前記相互合意の文書ファイルの最終版となる第1最終版文書ファイルと、前記第2端末からの、前記相互合意の文書ファイルの最終版となる第2最終版文書ファイルと、に差が生じているか否かの判断をする、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
第1ユーザーが使用する第1端末と、第2ユーザーが使用する第2端末と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置と、を備える情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置が実行するステップとして、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援ステップと、
前記ファイル作成支援ステップの前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶ステップと、
前記所定の記憶部から前記相互合意の文書ファイルを取得すると共に、前記相互合意の文書ファイルとは異なる他の文書ファイルであって、前記相互合意の文書ファイルから得られる情報により特定される前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのうち一方により生成されたことが既知の前記他の文書ファイルのうち、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのうち他方のユーザーに関連すると判断した他の文書ファイルを取得して、夫々取得した当該相互合意の文書ファイル及び当該他の文書ファイルの紐付けを行う紐付けステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項5】
第1ユーザーが使用する第1端末と、第2ユーザーが使用する第2端末と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置と、を備える情報処理システムのうち、前記情報処理装置を制御するコンピュータに、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援ステップと、
前記ファイル作成支援ステップの前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶ステップと、
前記所定の記憶部から前記相互合意の文書ファイルを取得すると共に、前記相互合意の文書ファイルとは異なる他の文書ファイルであって、前記相互合意の文書ファイルから得られる情報により特定される前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのうち一方により生成されたことが既知の前記他の文書ファイルのうち、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーのうち他方のユーザーに関連すると判断した他の文書ファイルを取得して、夫々取得した当該相互合意の文書ファイル及び当該他の文書ファイルの紐付けを行う紐付けステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、発注側企業と受注側企業との取引には、契約書が作成される(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-240826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術にあっては、インターネットを介して契約書等の文書が企業間でやり取りされるが、このやり取りは暗号通信による高い信頼性の確保に重点が置かれていた。そのため、少なくとも企業間が相互合意するまでの文書作成をサービス提供者が支援したり保管したりすることは、なされていなかった。
【0005】
本発明は、サービス提供者から見てユーザーとなる、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成を支援すると共に保管することが可能な情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
第1ユーザーが使用する第1端末と、第2ユーザーが使用する第2端末と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置と、を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援手段と、
前記ファイル作成支援手段の前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶手段と、
を備える。
【0007】
また、本発明の一態様の情報処理方法は、上述の本発明の一態様の情報処理システムに対応する方法とする。
【0008】
また、本発明の一態様のプログラムは、上述の本発明の一態様の情報処理システムにおける情報処理装置に対応するプログラムとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成を支援すると共に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の情報処理システムが提供する本サービスの概要を示す図である。
図2】発注側企業と受注側企業との間でやり取りされる文書の例を示す図である。
図3】情報処理システムに関するシステム構成の一例を示すブロック図である。
図4図3のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図3のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6】相互合意の文書ファイルを作成する際の支援に関するファイル作成支援ステップの一例を示すフローチャートである。
図7図6の説明対象となる、端末間でやり取りされる文書ファイルの一例を示す図である。
図8】最終版文書ファイルに差が生じているか否かの判断結果の一例を示す図である。
図9図8の要部を抜粋した図である。
図10】企業間のやり取りに対するサービス提供会社の関わりについての一例を示す図である。
図11】文書と他の文書との紐付けに関する一例を示すフローチャートである。
図12図11の説明対象となる文書の一例を示す図である。
図13図11の説明対象となる他の文書の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本サービスの概要について>
図1は、本発明の情報処理システムが提供する本サービスの概要を示す図である。
本サービスは、サービス提供者から見てユーザーとなる、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成(文書ファイル作成)を支援することを目的の一つとする。
【0012】
図1において、情報処理システム100が提供する本サービスは、例えば、第1ユーザーである発注側企業C1で使用される発注側端末2A(第1端末)と、第2ユーザーである受注側企業C2で使用される受注側端末2B(第2端末)と、これら発注側端末2A及び受注側端末2Bが所定のネットワークNを介して通信可能になるサービス提供会社WA(サービス提供者)の管理するサーバ1(情報処理装置)とを備えて、上述の目的の達成が実現される。
【0013】
本サービスにおいて、作成の支援がなされる文書(文書ファイル)は、契約書、見積書、注文書、マニュアル等、ユーザー間で相互合意が得られた上で確定するような文書が該当する。
図1におけるユーザーとしては、発注側企業C1及び受注側企業C2が一例として示されるが、これに限定されないものとする。また、図1においては、企業間取引のビジネスモデルが示されるが、これに限定されないものとする。即ち、BtoBのビジネスモデルに限らず、BtoC、CtoC等の何れのビジネスモデルであってもよいものとする。この他、本サービスを導入していれば、例えば、企業における部署間や、大学における学部間等においても本サービスが適用されるものとする。
【0014】
発注側端末2A及び受注側端末2Bとしては、PC(Personal Computer)等の通信機能を備えた情報処理装置や、スマートフォン、タブレット等のモバイル端末が該当する。発注側端末2A及び受注側端末2Bには、本サービスの導入の許可に基づき、操作に必要なアプリケーションプログラムがインストールされる。
所定のネットワークNとしては、例えば、インターネットが挙げられる。
【0015】
サービス提供会社WAが管理するサーバ1には、本サービスに係るアプリケーションプログラムが記憶される。サーバ1は、本サービスの一つとして、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成(文書ファイル作成)の支援の処理を実行する。また、サーバ1は、本サービスの一つとして、ユーザー間で相互合意した文書、即ち、相互合意の文書ファイルSGを記憶部18に記憶し保管する処理を実行する。また、サーバ1は、本サービスの一つとして、記憶部18に記憶した相互合意の文書ファイルSGを、要求のあったユーザーに対し閲覧可能にする処理を実行する。また、サーバ1は、本サービスの一つとして、相互合意の文書ファイルSGと、他の文書ファイルとの関連付けを行う処理を実行する。
なお、サーバ1は、ここではサービス提供会社WAに設置されているようになるが、クラウド環境に設置されてもよいものとする。また、サーバ1は、1台に限らず複数台あってもよいものとする。
【0016】
本サービスについて、より具体的に説明する前に、企業間でやり取りされる文書として、どのようなものがあるかを、図2を参照ながら説明する。
図2は、発注側企業C1と受注側企業C2との間でやり取りされる文書の例を示す図である。
【0017】
図2において、発注側企業C1と受注側企業C2との間で取引が行われる場合に、その2つの企業間で発生する文書のやり取り(以下、文書交換や単に交換ということもある)としては、商品の購入に関する例が挙げられる。
図2には、受注側企業C2が販売する商品の購入に係る契約から、その契約による取引が完了するまでの作業の流れの例が示される。
【0018】
発注側企業C1の取引に係る部署として、法務部、経理部、及び発注部門の3つが一例として挙げられる。また、受注側企業C2の取引に係る部署も、法務部、経理部、及び営業部の3つが一例として挙げられる。なお、取引に係る部署は、商品の種類、組織体制等によって異なるものとする。
【0019】
発注側企業C1の発注部門は、法務部の審査を受け、必要な商品を購入するための契約を受注側企業C2の営業部との間で結ぶ準備をする。一方、受注側企業C2の営業部も、発注側企業C1の発注部門と同様に、法務部の審査を受けて契約を結ぶ準備をする。この後の契約を結ぶ契約段階では、契約書のドラフトや契約書が発注側企業C1と受注側企業C2との間で交換される。
【0020】
発注側企業C1の発注部門は、結んだ契約の内容に沿って発注書を作成し、作成した発注書を受注側企業C2の営業部に送付することにより、商品の発注を行う。受注側企業C2の営業部は、送付された発注書を処理し、発注書で要求された商品を発注側企業C1に納品するための手続きを行う。この発注段階では、発注側企業C1と受注側企業C2との間で発注書が交換される。
【0021】
受注側企業C2の営業部では、例えば発注書により要求された商品の配送方法を決定し、決定した方法で商品を発注側企業C1に配送することを行う。その配送が行われる前には、発注側企業C1に納品する商品の納品書が作成される。作成された納品書は、発注側企業C1の、例えば、発注部門に商品を届けようとする者に渡される。発注側企業C1の発注部門は、納品書が渡されるとその納品書を確認し、納品書に記載の商品が実際に納品されたか否かを確認する。そして、商品の受け取りに係る検収を行う。この検収においては、納品書に記載された商品の納品が確認できた場合に、発注部門が受注側企業C2に対して受領書を渡すようになる。この商品の納品段階では、発注側企業C1と受注側企業C2との間で納品書及び受領書が交換される。
【0022】
受注側企業C2の営業部は、受領書を受け取ることにより、商品の代金の支払いを求める請求書を作成し、これを発行する。発行された請求書は、発注側企業C1の発注部門に渡される。発注側企業C1の発注部門では、請求書で求められた代金の支払いを経理部に対して依頼する。依頼を受けた経理部は、商品の代金支払いを行う。
【0023】
発注側企業C1の経理部は、例えば、受注側企業C2が指定した口座に代金を振り込むことを行う。代金が支払われた後、受注側企業C2の経理部では、口座の取引明細により、発注側企業C1による代金の入金を確認することができる。代金の入金を確認できた場合、受注側企業C2の経理部は、代金の入金が確認できた旨を営業部に伝える。受注側企業C2の営業部は、領収書を作成してこれを発行し、発行した領収書を発注側企業C1の発注部門に送付する。領収書が発注側企業C1の発注部門に届くことにより、送付された領収書を受け取りが完了する。商品を納品した後の精算段階では、請求書及び領収書が交換される。
【0024】
図1に戻り、発注側企業C1と受注側企業C2との間で発生する文書のやり取り(文書交換)に関し、受注側企業C2が販売する商品の購入に係る契約書を一例に挙げて、本サービスの概要を説明する。
【0025】
商品の購入に係る電子契約を結ぶにあたり、契約前のプロセスとして、発注側企業C1は、文書ファイルである契約書ドラフトAを作成して、この契約書ドラフトAを受注側企業C2に提供する。受注側企業C2への契約書ドラフトAの提供は、サービス提供会社WAを介して行われる。サービス提供会社WAでは、発注側企業C1から受注側企業C2への提供を支援すると共に、契約書ドラフトAの提供に関する履歴を記憶する。
【0026】
契約書ドラフトAが提供された受注側企業C2では、契約書ドラフトAの内容を確認し、修正が必要であれば受注側企業C2で契約書ドラフトB(文書ファイル)を作成してこれを発注側企業C1に返送する。契約書ドラフトBの返送に関してもサービス提供会社WAは支援をすると共に履歴を記憶する。この他、サービス提供会社WAは、契約書ドラフトA及び契約書ドラフトBのやり取りの中で差が生じているか否かを判断する支援も行う(この支援に関しては、図8及び図9を参照しながら後述する)。
【0027】
以上のようなやり取り(文書交換)が行われた後、発注側企業C1と受注側企業C2が契約書に関し相互合意して、相互合意の文書ファイルSGが作成される(ここまでの流れをファイル作成支援ステップと呼ぶことにする)。
発注側企業C1と受注側企業C2との間で結ばれる契約書に関し、サービス提供会社WAが支援する。これにより、相互合意の文書ファイルSGの作成をスムーズに進めることができる。また、サービス提供会社WAが支援することにより、作成の過程や、作成された相互合意の文書ファイルSGの、ユーザー間の納得性を確保すること等ができる。
【0028】
相互合意の文書ファイルSGが作成されると、サービス提供会社WAでは、これを原本として記憶し保管することを行う(これをファイル記憶ステップと呼ぶことにする)。
【0029】
サービス提供会社WAでは、原本として相互合意の文書ファイルSGを保管していることから、閲覧要求があれば、原本を閲覧させるのでなく、閲覧用の文書ファイル(閲覧用の相互合意の文書ファイル)を作成して、発注側企業C1の発注側端末2A、及び、受注側企業C2の受注側端末2Bのうち、閲覧要求をしてきた端末に送信することを行う(閲覧ファイル生成ステップ及びファイル送信ステップと呼ぶことにする)。ここでは、閲覧用の文書ファイルを生成してこれを送信するようにしているが、端末側で契約書の画像をWebページで見られるようにしてもよい。
【0030】
サービス提供会社WAでは、発注側企業C1と受注側企業C2との間で発生する他の文書(発注書、納品書、受領書、請求書、及び領収書)のやり取りに関し、例えば、請求書が契約書に基づき作成されているか否かの確認が必要になることがある。この場合に、確認を迅速に行えるようにするために、原本としての相互合意の文書ファイルSGと、上述の他の文書との関連付けもサービス提供会社WAは行う(紐付けステップと呼ぶことにする)。例えば、架空の請求書を発行していないことを証明する際に、迅速に契約書までさかのぼって確認することができる。
【0031】
以上、図1及び図2を参照しながら本サービスの概要について説明してきたように、本サービスでは、発注側企業C1と受注側企業C2との間で相互合意するまでの文書作成を支援することができる。発注側企業C1と受注側企業C2としては、スムーズに作成が進むことから効率性を高めることができる。また、本サービスでは、相互合意の文書ファイルSGの保管もすることができる。発注側企業C1と受注側企業C2としては、例えば、文書管理の手間を削減することができる。
【0032】
<情報処理システム100のシステム構成について>
図3は、情報処理システム100に関するシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
情報処理システム100は、サーバ1(情報処理装置)と、このサーバ1が接続されるネットワークNと、ネットワークNを介してサーバ1と通信可能な端末2とを備えて構成される。
【0034】
サーバ1は、端末2の動作と協働して各種処理を実行する装置である。サーバ1は、例えば、PC(Personal Computer)等の通信機能を備えた情報処理装置が該当する。サーバ1には、本サービスに係るアプリケーションプログラムが記憶される。
ネットワークNは、例えば、インターネットが該当する。
端末2は、PC(Personal Computer)等の通信機能を備えた情報処理装置や、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末が該当する。端末2には、本サービスの導入の許可に基づき、操作に必要なアプリケーションプログラムがインストールされる。端末2は、符号2-1~2-nで示すように複数設けられる(nは2以上の整数である)。
複数の端末2-1~2-nのうち、2つが特許請求の範囲に記載された第1端末及び第2端末に該当する。
【0035】
<サーバ1のハードウェア構成について>
図4は、図3のサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0036】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、表示部16(出力部)と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えて構成される。
【0037】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0038】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続される。このバス14には、入出力インターフェース15が接続される。
入出力インターフェース15には、表示部16(出力部)、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続される。
【0039】
表示部16(出力部)は、ディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。入力部17は、マウスやキーボード等の各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、所定のネットワークNを介して他の装置(図3の場合、端末2が該当する)との間で行う通信を制御する。
【0040】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。
ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0041】
以上のようなサーバ1に関し、各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現されるようになる。
【0042】
<サーバ1の機能的構成について>
図5は、図3のサーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0043】
図5において、サーバ1は、図4を参照しながら上述したように、CPU11と、記憶部18と、通信部19と、その他機能(図5での図示は省略)とを備えて構成される。
【0044】
CPU11は、ファイル作成支援処理部111(ファイル作成支援手段)と、ファイル記憶処理部112(ファイル記憶手段)と、閲覧ファイル生成処理部113(閲覧ファイル生成手段)と、ファイル送信処理部114(ファイル送信手段)と、紐付け処理部115(紐付け手段)とを備えて構成される。
別な言い方をすれば、サーバ1のCPU11においては、動作する際に、ファイル作成支援処理部111と、ファイル記憶処理部112と、閲覧ファイル生成処理部113と、ファイル送信処理部114と、紐付け処理部115とが機能する。
【0045】
記憶部18は、文書記憶部181と、紐付け情報記憶部182とを備えて構成される。
【0046】
CPU11のファイル作成支援処理部111は、相互合意の文書ファイルSGを作成する際の支援をするための各種処理を実行する。具体的には、2つの端末2(第1端末としての発注側端末2A及び第2端末としての受注側端末2B)の間でやり取りされる文書ファイルから、上述の2つの端末2のうち一方を操作するユーザー(第1ユーザー)と、上述の2つの端末2のうち他方を操作するユーザー(第2ユーザー)とが相互合意する、相互合意の文書ファイルSGを作成する際の支援をするための各種処理を実行する。
【0047】
上述の各種処理とは、2つの端末2の間で文書ファイルの交換をしつつ、この交換された文書ファイルを情報として、例えば、メタデータ及びこのメタデータと異なるタグで関連付けして記憶部18に記憶する処理が挙げられる(一例であるが、やり取りの文書ファイルを文書記憶部181に記憶すると共に、関連付けに係る情報を紐付け情報記憶部182に記憶する)。
【0048】
また、2つの端末2のうち一方(第1端末)からの、文書ファイルの最終版となる第1最終版文書ファイルと、2つの端末2のうち他方(第2端末)からの、文書ファイルの最終版となる第2最終版文書ファイルとに差が生じているか否かの判断(比較)をする処理が挙げられる(この処理については、図8及び図9を参照しながら後述する。図8及び図9では、差が生じている場合の例を挙げ、差分を視認可能にする)。
【0049】
ファイル記憶処理部112は、ファイル作成支援処理部111の上述の支援により作成され、且つ、ユーザー同士が相互合意した、相互合意の文書ファイルSGを記憶部18の文書記憶部181に記憶する処理を実行する。
【0050】
閲覧ファイル生成処理部113は、2つの端末2のうち何れかから閲覧要求があった場合に、記憶部18の文書記憶部181から相互合意の文書ファイルを取得して閲覧用の文書ファイルを生成する処理を実行する(これに限らず、閲覧用の文書ファイルを予め生成し、これを文書記憶部181に記憶させておいてもよいものとする。また、Webページで見られるような画像にし、これを文書記憶部181に記憶させておいてもよいものとする)。
【0051】
ファイル送信処理部114は、閲覧ファイル生成処理部113により生成された閲覧用の文書ファイルを、閲覧要求のあった端末2に送信する処理を実行する(これに限らず、予め生成し文書記憶部181に記憶させておいた閲覧用の文書ファイルを取得し、これを送信するようにしてもよいものとする)。
【0052】
紐付け処理部115は、記憶部18の文書記憶部181から相互合意の文書ファイルSGを取得して、この取得した相互合意の文書ファイルとは異なる他の文書ファイルとの関連付けを行う処理を実行する(この処理については、図11乃至図13を参照しながら後述する)。
【0053】
記憶部18の文書記憶部181は、相互合意の文書ファイルSGや、2つの端末2の間でやり取りされる文書ファイル等を記憶する記憶領域として備えられる。
紐付け情報記憶部182は、相互合意の文書ファイルSGと、紐付け処理部115で紐付け対象となる上述の他の文書ファイルとの関連付けに関する情報を記憶する記憶領域として備えられる。
【0054】
<サーバ1の処理動作について>
図6は、相互合意の文書ファイルSGを作成する際の支援に関するファイル作成支援ステップの一例を示すフローチャートである。
また、図7は、図6の説明対象となる、2つの端末2の間でやり取りされる文書ファイルの一例を示す図である。
また、図8は、最終版文書ファイルに差が生じているか否かの判断結果の一例を示す図であり、図9は、図8の要部(差が生じている箇所)を抜粋した図である。
【0055】
図6では、上述と同様に契約書の例を挙げて、本サービスのファイル作成支援ステップをステップS11から順に説明する。
【0056】
ステップS11では、電子契約の契約前プロセスとして、A社(例えば、図1の発注側企業C1)からB社(例えば、図1の受注側企業C2)に、図7に示すような契約書ドラフトAを提供することを行う。
より詳細には、ステップS11では、ファイル作成支援処理部111が第1端末である発注側端末2Aからの契約書ドラフトAを受信し、そして、契約書ドラフトAを記憶する等の所定の処理をした後に、第2端末である受注側端末2Bに契約書ドラフトAを送信することを行う。
【0057】
ステップS12では、提供された契約書ドラフトAをB社で確認し、そして、修正が必要であると判断した場合、修正依頼をした契約書ドラフトB(図7参照)をA社に返送することを行う。なお、修正が不要であれば、後述するステップS14に移行することになる。
ステップS12では、ファイル作成支援処理部111が、修正依頼をした契約書ドラフトBを受注側端末2Bから受信し、そして、修正依頼をした契約書ドラフトBを記憶する等の所定の処理をした後に、修正依頼をした契約書ドラフトBを発注側端末2Aに送信することを行う。
【0058】
ステップS13では、返送された契約書ドラフトBをA社で確認し、そして、修正したもの(A社による修正した契約書のドラフト)をB社に再度提供することを行う。
ステップS13では、ファイル作成支援処理部111が、A社による修正した契約書のドラフトを発注側端末2Aから受信し、そして、A社による修正した契約書のドラフトを記憶する等の所定の処理をした後に、A社による修正した契約書のドラフトを受注側端末2Bに再度送信することを行う。
【0059】
ステップS14では、修正した契約書のドラフトをB社で確認する。B社での確認において特に問題が無ければ、B社は修正した契約書のドラフトに同意する旨をA社に送信する。修正した契約書のドラフトは、B社に保持されると共に、サービス提供会社WA(図1参照)のサーバ1にも保持される。
ステップS14では、ファイル作成支援処理部111が、受注側端末2Bからの、修正した契約書のドラフトに対する同意の旨を受信し、これを記憶すると共に発注側端末2Aに送信することを行う。
【0060】
ステップS15では、B社から受信した、契約書のドラフトに同意する旨の情報に基づき、A社は最終版の契約書(契約書ファイル(第1最終版文書ファイル))を作成し、この作成した最終版の契約書で電子契約プロセスを開始する。電子契約プロセスの開始により、最終版の契約書(契約書ファイル)がA社からB社に提供される。
ステップS15では、ファイル作成支援処理部111が、最終版の契約書(契約書ファイル)を発注側端末2Aから受信し、そして、これを記憶する等の所定の処理をした後に、受注側端末2Bに送信することを行う。
【0061】
ステップS16では、A社から提供された最終版の契約書(契約書ファイル(第1最終版文書ファイル))が、B社が保持しておいた、修正した契約書のドラフト(第2最終版文書ファイル)と一致しているか否かを確認する。この確認は、本サービスの支援の一つとして、例えば、図8に示すような状態で行われる。即ち、B社の端末2の表示部には、例えば、左側に最終版の契約書(契約書ファイル(第1最終版文書ファイル))から抽出された情報が表示され、表示部の右側には、B社が保持しておいた、修正した契約書のドラフト(第2最終版文書ファイル)と同じもので抽出された情報が表示される。仮に、情報が一致していない場合には、図8の枠Fで囲んだ箇所が差分として検出され、そして、その差分が強調表示される(強調表示は一例であるものとする)。
ステップS16では、ファイル作成支援処理部111が、上述の最終版の契約書と、上述の修正した契約書のドラフトとに差が生じているか否かの判断を行う。そして、差が生じていると判断した場合には、差分を視認可能にすることを行う。
【0062】
図8で差分として検出された箇所は、図9に示すように強調表示される。即ち、表示部の左側に表示された委託者側(A社)の検出箇所IT1は、「技術者U 1,400,000円 技術者V 1,200,000円」と表示され、このうち数字の4と2に強調表示の一例であるハイライトH1、H2が設けられる。これに対し、表示部の右側に表示された受託者側(B社)の検出箇所IT2は、「技術者U 1,500,000円 技術者V 1,300,000円」と表示され、このうち数字の5と3に強調表示の一例であるハイライトH3、H4が設けられる。ハイライトH1とハイライトH3、ハイライトH2とハイライトH4、を見比べると分かるように、差が生じている。即ち、A社から提供された最終版の契約書(契約書ファイル)は、技術者に対する基本月額が安くなるように書き換わっている(B社にとって不利益が生じる)。
【0063】
従って、ステップS17では、B社はA社に対し最終版と異なる旨を連絡して修正を依頼する。即ち、電子契約プロセスの差し戻しを行う。
ステップS17では、ファイル作成支援処理部111が、電子契約プロセスの差し戻しに係る支援処理を行う。
【0064】
ステップS18では、B社からの修正依頼を受けて、A社は契約書(契約書ファイル)を修正し、再度電子契約プロセスを開始する。
ステップS18では、ファイル作成支援処理部111が、電子契約プロセスの再度開始に係る支援処理を行う。
【0065】
ステップS19では、A社から提供された修正後の最終版の契約書(契約書ファイル)が、B社が保持しておいた上述の修正した契約書のドラフトと一致しているか否かを確認する。そして、一致していることを確認したら、B社は電子契約プロセスで合意する(サインする)。
ステップS19では、ファイル作成支援処理部111が、上述の差が生じているか否かの判断を再度行う。
【0066】
ステップS20では、A社もサインして契約書である相互合意の文書ファイルSGが出来上がる。これにより、契約が成立する。
ステップS20では、ファイル作成支援処理部111が、契約成立に係る支援処理を行う。
相互合意の文書ファイルSGが出来上がり、そして、契約が成立することで、ファイル作成支援ステップが完了する。
以上のファイル作成支援ステップの説明から分かるように、本サービスは、A社とB社との間で相互合意するまでの文書作成を支援することができる。
【0067】
<企業間のやり取りに対するサービス提供会社WAの関わりについて>
図10は、企業間のやり取りに対するサービス提供会社WAの関わりについての一例を示す図である。
【0068】
図10において、サービス提供会社WAは、サービス導入企業C3と、取引先Aである企業C4及び取引先Bである企業C5との間での、文書のやり取り(文書交換)を支援する。
サービス導入企業C3は、サービス提供会社WAから本サービスの導入を済ませた企業である。このサービス導入企業C3は、企業C4との間で取引を行う。また、企業C5との間でも取引を行う。
【0069】
先ず、図10の右向き矢印(実線の矢印)で示す文書の流れについて説明する。
企業C4及び企業C5は、サービス導入企業C3に対する買掛金請求書を、例えば、紙で発行する(企業C4及び企業C5と、サービス導入企業C3との間は、データでのやり取りとは限らないものとする。ここでは、企業C4及び企業C5が紙で請求書を発行する例を挙げ、サービス提供会社WAがサービス導入企業C3に対するデータ化を実施するものとする)。買掛金請求書は、ここではサービス導入企業C3に対し直接送付されるのでなく、サービス提供会社WAが受け取ることになる。サービス提供会社WAでは、受け取った買掛金請求書を電子データ化し、この電子データ化したものを請求書(請求書ファイル)としてサービス導入企業C3に送信する。サービス導入企業C3では、受信した請求書(請求書ファイル)を基に社内で適切に処理をする。請求書(請求書ファイル)は、本サービスにより、例えば、契約書(相互合意の文書ファイル)に対し関連するものとして関連付けされる(紐付けされる)。
【0070】
次に、図10の左向き矢印(破線の矢印)で示す文書の流れについて説明する。
サービス導入企業C3は、企業C4及び企業C5の夫々に対する、例えば、未収金に係る請求書を文書ファイルで発行する。この時、未収金に係る請求書の文書ファイルは、本サービスにより、例えば、契約書(相互合意の文書ファイル)に関連するものとして紐付けられる(関連付けられる)。なお、この紐付けについては、図11乃至図13を参照しながら後述する。
サービス提供会社WAは、サービス導入企業C3から受け取った未収金に係る請求書の文書ファイルを、この請求書の文書ファイルの状態で企業C4及び企業C5の夫々に送信する(これに限らず、紙に印刷して郵送することも可能であるものとする)。
【0071】
<紐付け(関連付け)について>
図11は、紐付け処理部115が実行する、文書と他の文書との紐付けに関する一例を示すフローチャートである。
また、図12は、図11の説明対象となる文書の一例を示す図であり、図13は、図11の説明対象となる他の文書の一例を示す図である。
【0072】
上述の文書としては、例えば、業務委託個別契約書である契約書(相互合意の文書ファイルSG)が挙げられる。また、他の文書としては、未収金に係る請求書(請求書の文書ファイル)が挙げられる。本サービスの紐付けステップをステップS31から順に説明する。
【0073】
ステップS31では、事前に契約書の受託者情報の会社名と請求書の取引先名を関連付けする。
【0074】
ステップS32では、契約書の委託者情報(会社名、郵便番号、住所、代表者名)、受託者情報(会社名、郵便番号、住所、代表者名)、契約締結日、契約期間をデータ化したものを取得することを行う。
【0075】
ステップS33では、請求書の文書名、日付、取引先コード、取引先名、取引番号をデータ化したものを取得することを行う。
【0076】
ステップS34では、取得したデータのうち、契約書の受託者情報の会社名と請求書の取引先が「XXXXXXXX」で一致したため、例えば請求書のIDである関連文書IDをメタデータとして関連付け、及び、「XXXXXXXX」のタグ付けをすることを行う。また、追加情報として、取引番号をメタデータとして契約書及び請求書に付加するすることを行う。取引番号としては、例えば、図12及び図13に示す、複数の文字列領域MRのうちの「0001」と記載された番号である(この番号「0001」は一例であるものとする)。例えば、一か月の間に請求書が複数発行されることがあるが、請求書の夫々は取引番号として「0001」が付されることから、この取引番号「0001」をもとにし、必要に応じて契約書の内容確認を行うことができる。ここでは、取引番号を採用しているが、これと同様のことができれば他の方法であってもよいものとする。
なお、図13には、一例として、請求書が表示エリアHR1に表示され、また、情報入力等の入力ボックスが表示エリアHR2に表示される。
【0077】
ステップS35は、必要に応じて行われる処理である。
ステップS35では、新しい請求書が登録された場合に、契約書の受託者情報の会社名と請求書の取引先が「XXXXXXXX」であれば、上記と同様のメタデータ及びタグ付をすることを行う。
【0078】
ステップS36も必要に応じて行われる処理である。
ステップS36では、メタデータ及びタグについて、ユーザー操作により変更及び削除が可能(訂正できる)である。必要であれば変更及び削除することを行う。
【0079】
以上のような、紐付けステップにより、相互合意の文書ファイルと他の文書との関連付けをすることができ、例えば、請求書が契約書通りに作成されているか否かの確認が必要であれば、これを迅速に行うことができる。
【0080】
<効果について>
以上、図3乃至図13を参照しながら説明してきたように、本サービスによれば、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成(文書ファイル作成)を支援することができる。例えば、契約書では、複数の修正を経て内容が確定することが多く、且つ修正が適切に行われているか否かの確認も必要であることから、ユーザーとしては、スムーズに作成が進むことになり、結果、効率性を高めることができる。
また、本サービスによれば、上述の文書作成支援の中で、第1最終版文書ファイルと第2最終版文書ファイルとの間に差が生じているか否かの判断(比較)をすることができる。これにより、最終確認の手間を軽減することができるのは勿論のこと、正確性や信頼性等の高い支援をすることができる。
また、本サービスによれば、ユーザー間で相互合意した文書、即ち、相互合意の文書ファイルの原本の保管をすることができる。これにより、ユーザーとしては、例えば、文書管理の手間を削減することができる。また、極端な例であるが、一方が契約書の内容を変更し、変更した内容で他方に想定外の要求が行われるようなことを回避することができる。
また、本サービスによれば、要求のあったユーザーに対し上述の原本の閲覧を可能にすることができる。また、本サービスによれば、上述の原本と他の文書ファイルとの関連付けを行うことができる。これにより、例えば、契約書を参照しつつ、請求書の内容を確認することができる。
【0081】
<まとめ>
以上、本発明の情報処理システム100の一実施形態について説明したが、本発明は上述した本実施形態に限定されない。
即ち、上述では、ユーザー間で相互合意する文書(文書ファイル)を契約書としたが、見積書、注文書、マニュアル等のユーザー間で相互合意が得られた上で確定するような文書(文書ファイル)であれば、特に限定されない。
また、上述では、ユーザーが2者となるやり取りであったが、例えば、ユーザーが3者等となるやり取りであってもよい。
また、上述では、相互合意の文書ファイルSGや紐付け情報を記憶部18に記憶させていたが、これに限らず、例えば、外部記憶装置(図示省略)等、別な個所に記憶させてもよい。
本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果の列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されない。
【0082】
図4に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。また、図5に示す機能的構成も例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システム100に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図5の例に限定されない。
【0083】
また、機能ブロックの存在場所も、図5に特に限定されず、任意でよい。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0084】
また、例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれるコンピュータであってもよい。
コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば、サーバ1の他、汎用のパーソナルコンピュータやタブレットであってもよい。
【0085】
また、例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者にプログラムを提供するために、装置本体とは別に配布される図示しないリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成される。
【0086】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものとする。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0087】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザーにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図4のリムーバブルメディア21により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成される。
リムーバブルメディア21は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。
装置本体に予め組み込まれた状態でユーザーに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図4のROM12や、図4の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0088】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば、図1及び図3の情報処理システム100)は、
第1ユーザー(例えば、図1の発注側企業C1)が使用する第1端末(例えば、図1の発注側端末2A)と、第2ユーザー(例えば、図1の受注側企業C2)が使用する第2端末(例えば、図1の受注側端末2B)と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置(例えば、図1及び図3のサーバ1)と、を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイル(例えば、図1及び図7の契約書ドラフトA及び契約書ドラフトB)から、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイル(例えば、図1及び図12に示す相互合意の文書ファイルSG)を作成する際の支援をするファイル作成支援手段(例えば、図5のファイル作成支援処理部111)と、
前記ファイル作成支援手段の前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部(例えば、図5の記憶部18)に記憶するファイル記憶手段(例えば、図5のファイル記憶処理部112)と、
を備える。
【0089】
本発明によれば、ファイル作成支援手段により、第1ユーザー及び第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をすることができる。また、本発明によれば、ファイル記憶手段により、相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶することができる。
従って、本発明によれば、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成を支援すると共に、第1ユーザー及び第2ユーザーが相互合意した、相互合意の文書ファイルを原本として保管することができる。
【0090】
また、本発明が適用される情報処理システムは、
前記情報処理装置は、
前記記憶部から前記相互合意の文書ファイルを取得して閲覧用の文書ファイルを生成する閲覧ファイル生成手段(例えば、図5の閲覧ファイル生成処理部113)と、
生成された前記閲覧用の文書ファイルを前記第1端末及び前記第2端末のうち閲覧要求のあった何れかに送信するファイル送信手段(例えば、図5のファイル送信処理部114)と、
を更に備える。
【0091】
本発明によれば、閲覧ファイル生成手段により、上述の原本として保管した相互合意の文書ファイルから閲覧用の文書ファイルを生成することができる。また、本発明によれば、ファイル送信手段により、閲覧要求のあった端末に対し閲覧用の文書ファイルを送信することができる。本発明によれば、ユーザーは夫々、相互合意の文書ファイル(上述の原本)を持たず、必要に応じて閲覧用の文書ファイルを要求して内容の確認をすることができる。
【0092】
また、本発明が適用される情報処理システムは、
前記ファイル作成支援手段は、前記支援の一つとして、前記第1端末からの、前記文書ファイルの最終版となる第1最終版文書ファイル(例えば、図8の左側の最終版の契約書)と、前記第2端末からの、前記文書ファイルの最終版となる第2最終版文書ファイル(例えば、図8の右側の保持しておいた修正した契約書のドラフト)と、に差が生じているか否かの判断をする。
【0093】
本発明によれば、ファイル作成支援手段が第1最終版文書ファイルと第2最終版文書ファイルとに差が生じているか否かの判断をすることから、最終確認の手間を軽減することができるのは勿論のこと、正確性や信頼性等の高い支援をすることができる。
【0094】
また、本発明が適用される情報処理システムは、
前記情報処理装置は、
前記記憶部から前記相互合意の文書ファイルを取得して、前記相互合意の文書ファイルとは異なる他の文書ファイル(例えば、図13の請求書)との関連付けを行う紐付け手段(例えば、図5の紐付け処理部115)を更に備える。
【0095】
本発明によれば、紐付け手段により、相互合意の文書ファイルと、これとは異なる他の文書ファイルとの関連付けを行うことができる。これにより、例えば、他の文書ファイルが相互合意の文書ファイルの内容に合っているか否か等の確認を上述の関連付けを基に迅速に行うことができる。
【0096】
本発明が適用される情報処理方法は、
第1ユーザーが使用する第1端末と、第2ユーザーが使用する第2端末と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置と、を備える情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援ステップ(例えば、図6のフローチャート)と、
前記ファイル作成支援ステップの前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶ステップと、
を含む。
【0097】
本発明によれば、情報処理システムが実行する情報処理方法であることから、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成を支援すると共に、第1ユーザー及び第2ユーザーが相互合意した、相互合意の文書ファイルを原本として保管することができる。
【0098】
本発明が適用されるプログラムは、
第1ユーザーが使用する第1端末と、第2ユーザーが使用する第2端末と、これら前記第1端末及び前記第2端末との通信が可能な情報処理装置と、を備える情報処理システムの、前記情報処理装置を制御するコンピュータに、
前記第1端末及び前記第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援ステップ(例えば、図6のフローチャート)と、
前記ファイル作成支援ステップの前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶ステップと、
を含む制御処理を実行させる。
【0099】
本発明によれば、情報処理装置を制御するコンピュータに上述の制御処理を実行させることから、ユーザー間が相互合意するまでの文書作成を支援すると共に、第1ユーザー及び第2ユーザーが相互合意した、相互合意の文書ファイルを原本として保管することができる。
【0100】
以上とは別に、情報処理装置として特徴を挙げれば、次のようになる。
第1ユーザーが使用する第1端末、及び、第2ユーザーが使用する第2端末の間で交換される文書ファイルから、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが相互合意する、相互合意の文書ファイルを作成する際の支援をするファイル作成支援手段と、
前記ファイル作成支援手段の前記支援により作成され、且つ、前記第1ユーザー及び前記第2ユーザーが前記相互合意した、前記相互合意の文書ファイルを所定の記憶部に記憶するファイル記憶手段と、
を備える、情報処理装置。
【符号の説明】
【0101】
1・・・サーバ(情報処理装置)、2・・・端末、2A・・・発注側端末(第1端末)、2A・・・発注側端末(第1端末)、11・・・CPU、18・・・記憶部、111・・・ファイル作成支援処理部(ファイル作成支援手段)、112・・・ファイル記憶処理部(ファイル記憶手段)、113・・・閲覧ファイル生成処理部(閲覧ファイル生成手段)、114・・・ファイル送信処理部(ファイル送信手段)、115・・・紐付け処理部(紐付け手段)、181・・・文書記憶部、182・・・紐付け情報記憶部、WA・・・サービス提供会社、C1・・・発注側企業(第1ユーザー)、C2・・・受注側ユーザー(第2ユーザー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13