(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
A61N1/40
(21)【出願番号】P 2021502968
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 KR2020009527
(87)【国際公開番号】W WO2022014761
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0088365
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(73)【特許権者】
【識別番号】521021834
【氏名又は名称】フィールドキュア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ミョン クン
(72)【発明者】
【氏名】オ、クン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョン ヒョン
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0004228(KR,A)
【文献】国際公開第2019/148268(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0030211(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器と腫瘍とが含まれた患者の医療映像において臓器と腫瘍とを分類し、前記臓器と前記腫瘍との位置関係を区分する映像分類部と、
前記映像分類部によって分類された各領域の物性情報を設定する物性情報設定部と、
腫瘍の種類及び腫瘍の状態情報を考慮して、処方方法を設定し、処方線量、治療回数、治療時間及び治療周波数を含む処方情報を決定する処方情報決定部と、
前記映像分類部によって分類された各領域の位置を考慮して、電場癌治療のために使われる電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度を初期設定し、該初期設定に基づいて体内線量分布を計算する線量算出部と、
前記電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度のうち少なくとも1つを変更して、前記処方線量が腫瘍に最大限付与され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、線量を最適化する線量最適化部と、
を含み、
前記物性情報は、人体内の各組織の電気伝導度と質量密度とを含み、
前記処方方法は、吸収エネルギー密度基盤の方式及び吸収比エネルギー基盤の方式のうち何れか1つであり、設定された処方方法によって、前記処方線量の単位が吸収エネルギー密度及び吸収比エネルギーのうち何れか1つに決定され、
前記吸収エネルギー密度は、前記物性情報に基づいて、下記の数式、
吸収エネルギー密度=電力損失密度×電場印加時間
によって計算し、
前記吸収比エネルギーは、前記物性情報に基づいて、下記の数式、
吸収比エネルギー=(電力損失密度×電場印加時間)÷(質量密度)
によって計算し、
前記電力損失密度は、前記電気伝導度
と前記電場強度を用いて定義される
システム。
【請求項2】
前記電気伝導度は、磁気共鳴映像(MRI)または既構築の人体組織別の電気伝導度DBに基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記質量密度は、コンピュータ断層映像(CT)または既構築の人体組織別の質量密度DBに基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処方情報決定部は、既定の基準周波数に対して組織に伝達された吸収エネルギーによって、前記処方線量を決定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処方情報決定部は、前記治療周波数が前記基準周波数と異なる場合、周波数による生物学的効果を反映するための周波数加重値を適用して、前記処方線量を修正することを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
システムが、臓器と腫瘍とが含まれた患者の医療映像において臓器と腫瘍とを分類し、前記臓器と前記腫瘍との位置関係を区分する段階と、
前記システムが、分類された各領域の物性情報を設定する段階と、
前記システムが、腫瘍の種類及び腫瘍の状態情報を考慮して、処方方法を設定し、処方線量、治療回数、治療時間及び治療周波数を含む処方情報を決定する段階と、
前記システムが、分類された各領域の位置を考慮して、電場癌治療のために使われる電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度を初期設定し、該初期設定に基づいて体内線量分布を計算する段階と、
前記システムが、前記電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度のうち少なくとも1つを変更して、前記処方線量が腫瘍に最大限付与され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、線量を最適化する線量最適化段階と、
を含み、
前記物性情報は、人体内の各組織の電気伝導度と質量密度とを含み、
前記処方方法は、吸収エネルギー密度基盤の方式及び吸収比エネルギー基盤の方式のうち何れか1つであり、設定された処方方法によって、前記処方線量の単位が吸収エネルギー密度及び吸収比エネルギーのうち何れか1つに決定され、
前記吸収エネルギー密度は、前記物性情報に基づいて、下記の数式、
吸収エネルギー密度=電力損失密度×電場印加時間
によって
前記システムが計算し、
前記吸収比エネルギーは、前記物性情報に基づいて、下記の数式、
吸収比エネルギー=(電力損失密度×電場印加時間)÷(質量密度)
によって
前記システムが計算し、
前記電力損失密度は、前記電気伝導度
と前記電場強度を用いて定義される
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画システム及び方法に係り、より詳細には、人体内の各組織に付与された電場強度、組織の密度、組織の電気伝導度及び電場印加時間に基づいて、各組織に付与された物理的な吸収エネルギーを計算し、これに基づいて患者の処方線量(prescription dose)を決定し、該決定された処方線量が腫瘍に最大限よく付与され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、治療計画を樹立し、これに基づいて治療を行う吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2000年代初め、イスラエル生物理学教授であるYoram Paltiは、分裂する癌細胞に交流電場をかければ、分裂が遅延されるか、死滅する現象を初めて見つけ、2004年には、Cancer Researchジャーナルに世界初めて電場癌治療効果についての研究結果を発表した(非特許文献1参照)。次いで、電場癌治療についての多様な研究論文が発表され、癌治療学界では、電場治療の3種の強みによって大きく注目している。
【0003】
電場治療の最初の強みは、電場は、分裂する細胞のみに大きな影響を及ぼすと知られているために、正常細胞に比べて、分裂速度が速い癌細胞に集中的に影響を及ぼし、副作用も、既存の治療法と比較した時、非常に微小であると予想されるという点である(非特許文献2参照)。実際に、2013年に発表された論文(非特許文献3参照)によれば、抗癌治療と電場治療との副作用比較項目の総9個のうち、7個の項目で電場治療の副作用が格段に低く表われ、2個の項目に対しては、抗癌治療と電場治療とがほぼ同等なレベルの副作用を示した。
【0004】
二番目に、電場を利用した癌治療は、まだ初期段階であることにも拘らず、治療効能側面で既存の治療法に比べて、さらに良い結果を示している。その例として、難治癌の1つである悪性膠芽腫(glioblastoma multiforme、GBM)患者が抗癌治療のみ受けた場合、無増悪生存期間(Progression Free Survival、PFS)と全生存率(Overall Survival、OS)及び2年以上生存確率が、それぞれ4.0ヶ月、16.0ヶ月、31%に表われたが、一方、電場治療が追加された場合には、6.7ヶ月、20.9ヶ月、43%に表われて、既存の治療法に比べて、約1.7、1.3、1.4倍さらに良い結果を示した(非特許文献4)。
【0005】
最後に、三番目の強みは、電場が治療部位を含んで広範囲に適用される場合、CTなどの医療映像で見えない非常に微細な腫瘍に対しても、治療効果があると期待されるという点である。腫瘍を中心に電場をかければ、腫瘍だけではなく、腫瘍周辺にも無視することができない電場が伝達されるために、腫瘍周辺に存在するが、肉眼で確認不可能な程度の微細なサイズの腫瘍にも、電場が影響を及ぼして癌細胞の分裂を抑制させ、これにより、癌の転移確率も画期的に下げることができると期待される(非特許文献5参照)。
【0006】
現在、電場癌治療法は、2011年に再発した膠芽腫の癌に対して、2015年には、最初診断された膠芽腫に対して米国FDA承認を受け、ヨーロッパでは、CEマークを獲得して、米国、ドイツ、スイスなどで約1000個余りの病院を通じて施行されており、日本でも、再発した膠芽腫患者に対して治療許可を受けた状態である。また、治療された患者数は毎年急増しており、2014年に152人から2018年には8813人に50倍以上の増加率を示している(非特許文献6参照)。
【0007】
しかし、現在の電場癌治療は、治療効果を極大化するために、幾つかの解決しなければならない課題がある。
【0008】
現在までの研究結果によれば、癌細胞に対する電場治療の効果は、組織に印加された電場強度と電場の印加時間とによって差を示す。具体的に、電場強度及び印加時間が大きければ大きいほど癌細胞に対する死滅及び分裂抑制効果が大きくて、電場強度と印加時間とが電場の細胞死の効果と比例関係にあると言える(非特許文献7及び非特許文献8参照)。
【0009】
現在、商用化された電場癌治療システムの場合、使用する電場強度は、皮膚に副作用のない範囲で最大限の電場を印加することに制限され、治療時間は、患者が収容することができる限り、ほぼ一日中(18~24時間/日)電場を印加して治療を進行している実情である(非特許文献7及び非特許文献9参照)。
【0010】
すなわち、現在の電場治療は、特定の腫瘍を治療するために適切な電場強度や治療時間が定められておらず、副作用のない範囲で最大限の電場強度と最大限の治療時間とで治療が進められている。言い換えれば、電場治療は、放射線治療や抗癌治療で一般的に使用する線量(dose)という概念がなく、腫瘍の種類や状態によって異なって適用される処方線量も適用されない治療法であると言える。
【0011】
しかし、このように処方線量なしに治療を進行する場合、ある程度の強度の電場をどれほど腫瘍に印加して初めて治療効果を示すことができるか、電場強度、電場印加時間、電場によって伝達されたエネルギー、電場と治療時間との関数などで治療効果と最もよく符合する項目が何なのかが分からず、その基準も提示することができない。言い換えれば、単に電場強度と電場印加時間とが治療効果と比例関係であることは汲み取ることができるが、その関係が線形的(linear)であるか、それともさらに複雑な関係式を有するかは正確に分からないために、電場治療で治療計画を最適化することができず、治療も効果的に進行することができない。
【0012】
340人の脳腫瘍患者に対する電場治療を行った最近の臨床研究結果によれば、電場治療で単位体積当たり電力損失の単位である電力損失密度(power loss density)が腫瘍で0.77mW/cm3以上である場合が、そうではない場合に比べて、著しく良い予後を示している(非特許文献10参照)。たとえ電力損失密度という単位が電場治療に対して現在まで提示されたほぼ唯一の処方の基準と見なされることはできるとしても、この単位を電場治療の線量単位として使用するには、致命的な限界がある。すなわち、癌細胞の死滅程度が電場印加時間に比例するにも拘らず、電力損失密度には、患者が治療されなければならない総治療時間(すなわち、電場印加時間)と関連する項目が含まれておらず、これを基盤としては処方をすることはできず、治療も最適化することができない(非特許文献8参照)。
【0013】
また、人体内には、多様な癌種が発生し、多様な癌種を構成するそれぞれ他の細胞は、電場の周波数によって、それぞれ異なって反応する(非特許文献7参照)。したがって、印加された電場が細胞に及ぶ影響は、電場強度と印加された時間とによって決定される物理量だけではなく、印加された周波数の値によって、異なって反応する生物学的な効果によって決定されると言える。
【0014】
このような理由によって、電力損失密度は、電場治療の予後を予測する因子として使用するには適するが、電場治療の線量単位として使用するには限界があり、電場の印加時間と周波数とが追加的に考慮された新たな概念の電場治療線量の単位が必要な実情である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【文献】Eilon D.Kirson et al,disruption of cancer cell replication by alternating electric fields,cancer research,64,3288-3295(2004)
【文献】Miklos Pless,Uri Weinberg,tumor treating fields:concept,evidence,future,Expert Opinion,20(8),1099-1106(2011)
【文献】Angela M.Davies et al,Tumor treating fields:a new frontier in cancer therapy,Annals of the New York academy of sciences,1291,86-95(2013)
【文献】Stupp et al,Effect of Tumor-Treating Fields Plus Maintenance Temozolomide vs Maintenance Temozolomide Alone on Survival in Patients With Glioblastoma:A Randomized Clinical Trial、Journal of the American Medical Association,318(23),2306-2316(2017)
【文献】Eilon D.Kirson et al.Alternating electric fields(TTFields)inhibit metastatic spread of solid tumors to the lungs,Clin Exp Metastasis 26,633-640(2009)
【文献】Novocure Corporate Presentation(https://3sj0u94bgxp33grbz1fkt62h-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2019/05/201905_NVCR_Corporate_Presentation_vFF.pdf)
【文献】Eilon D.Kirson et al,alternating electric fields arrest cell proliferation in animal tumor models and human brain tumors,PNAS,104(24),10152-10157(2007)
【文献】Yunhui Jo et al,Effectiveness of a Fractionated Therapy Scheme in Tumor Treating Fields Therapy,Technology in Cancer Research & Treatment,18,1-10(2019)
【文献】Denise Fabian et al,Treatment of Glioblastoma(GBM)with the Addition of Tumor-Treating Fields(TTF):A Review,Cancers,11,174(2019)
【文献】Matthew T.Ballo et al,Correlation of Tumor Treating Fields Dosimetry to Survival Outcomes in Newly Diagnosed Glioblastoma:A Large-Scale Numerical Simulation-Based Analysis of Data from the Phase 3 EF-14 Randomized Trial,Int J Radiation Oncol Biol Phys,Vol.104,No.5,pp.1106-1113(2019)
【文献】Dimitris J.Panagopoulos et al,Evaluation of Specific Absorption Rate as a Dosimetric Quantity for Electromagnetic Fields Bioeffects,PLoS One,8(6),e62663(2013)
【文献】Stefano Mandija et al.Opening a new window on MR-based Electrical Properties Tomography with deep learning,Scientific Reports,9,8895(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、当該技術分野では、電場治療時に使用可能な線量単位を導入して、処方線量が腫瘍に最大限よく印加され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、治療計画を樹立し、これを通じて導出されたパラメータを電場治療器と連携して治療を行うことにより、治療効果は極大化し、副作用は最小化できるように、電場治療に対する線量の基準を設定することが要求されている。
【0017】
本発明の目的は、前述した目的に制限されず、言及されていないさらなる目的は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本発明の一実施形態は、吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画システムを提供する。
【0019】
前記吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画システムは、臓器と腫瘍とが含まれた患者の医療映像において臓器と腫瘍とを分類する映像分類部;前記映像分類部によって分類された各領域の物性情報を設定する物性情報設定部;入力された腫瘍の種類及び腫瘍の状態情報を考慮して、処方方法を設定し、処方線量、治療回数、治療時間及び治療周波数を含む処方情報を決定する処方情報決定部;前記映像分類部によって分類された各領域の位置を考慮して、電場癌治療のために使われる電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度を初期設定し、該初期設定に基づいて体内線量分布を計算する線量算出部;及び前記電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度のうち少なくとも1つを変更して、前記処方線量が腫瘍に最大限付与され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、線量を最適化する線量最適化部;を含みうる。
【0020】
また、本発明の他の実施形態は、吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画方法を提供する。
【0021】
前記吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画方法は、患者の医療映像において腫瘍及び臓器を含む関心領域を分割する段階;吸収エネルギー密度基盤または吸収比エネルギー基盤のうち何れか1つの方式で処方方法を設定する段階;設定された処方方法によって、処方線量、治療回数、治療時間及び治療周波数を含む処方情報を決定する段階;腫瘍及び臓器を考慮して、初期設定した電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度に基づいて体内線量分布を計算する段階;及び計算された体内線量分布に基づいて治療計画を評価及び最適化する段階;を含みうる。
【0022】
また、前記課題の解決手段は、本発明の特徴をいずれも列挙したものではない。本発明の多様な特徴とそれによる長所と効果は、下記の具体的な実施形態を参照してより詳細に理解される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態によれば、分裂する細胞に電場が印加される時、細胞増殖抑制効果と実質的に比例関係にある吸収エネルギーに基づいて電場治療の線量を設定し、これに基づいて、各腫瘍治療に適用可能な臨床的な処方線量を決定させうる。これを通じて、現在まで電場治療で線量単位の不存在によって不可能であった体系的な治療計画の樹立及び評価が可能となる。
【0024】
さらに、処方線量が人体内で最適化(Optimization)されるように、治療計画を樹立し、これを通じて導出されたパラメータを電場治療器に適用することにより、処方線量を腫瘍に最大限伝達すると共に周辺正常組織には最小限に伝達するように治療を行える。
【0025】
また、臨床結果に対する統計的な分析を進行し、これを通じて患者治療のための合理的な処方線量の樹立が可能となって、電場癌治療の治療効果を極大化させうる。
【0026】
本発明の効果は、前述した効果に制限されず、言及されていないさらなる効果は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】電場印加時に、電場強度による細胞増殖抑制効果を示す図面である。
【
図2】電場印加時に、電力損失密度と電場印加時間とによる細胞増殖抑制効果を示す図面である。
【
図3】電場印加時に、互いに異なる電力損失密度と互いに異なる電場印加時間とを適用した場合、細胞増殖抑制効果を示す図面である。
【
図4】電場治療時に、患者の医療映像を用いて体内吸収エネルギー密度または吸収比エネルギー分布を計算する過程を示す図面である。
【
図5】人体模型ファントムで正常組織の質量密度(mass density)を1g/cm
3と仮定し、腫瘍(tumor)の質量密度が1.2g/cm
3である場合と0.6g/cm
3である場合とに対して200kHzの電場を印加した場合の吸収エネルギー密度と吸収比エネルギーの分布とを示す図面である。
【
図6】電場治療計画樹立時に、吸収エネルギー基盤の線量単位を利用した体内線量最適化過程を示す図面である。
【
図7】人体模型ファントムに仮想の腫瘍組織と正常細胞とからなる重要臓器(organ at risk)を仮定し、電場治療時に、吸収エネルギー基盤の線量単位を用いて進行した線量最適化の結果を示す図面である。
【
図8】電場印加時に、細胞増殖抑制効果の電場周波数依存度を示す図面である。
【
図9】本発明の一実施形態による電場癌治療計画方法のフローチャートである。
【
図10】本発明の他の実施形態による電場癌治療計画システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、当業者が本発明を容易に実施できるように望ましい実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明するに当って、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、類似した機能及び作用を行う部分に対しては、図面全体にわたって同じ符号を使用する。
【0029】
また、明細書の全体において、ある部分が、他の部分と「連結」されているとする時、これは、「直接連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素を「含む」ということは、特に反対となる記載のない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
【0030】
まず、本発明の実施形態による吸収エネルギー基盤の電場癌治療計画システム及び方法について説明するのに先立って、細胞増殖抑制効果を定量化するための基準について具体的に説明する。
【0031】
このために、
図1ないし
図3では、悪性神経膠腫細胞株(U373)に強度~1V/cm、周波数150kHzの電場を印加した後、細胞の生存能(viability)を細胞カウンティング(cell counting)を通じて対照群と比較して、電場を印加した細胞株(実験群)の細胞増殖抑制効果(inhibitory effect of cell proliferation)を対照群に比べて、百分率で示した。この結果は、3回実験を進行した後、平均値を表示したものであって、細胞増殖抑制効果の対照群に比べて、百分率は、下記の数式1によって算出した。
【0032】
[数1]
細胞増殖抑制効果(%)=(1-実験群の細胞数/対照群の細胞数)×100
【0033】
例えば、電場が印加された実験群の生存した細胞数が、対照群に比べて、70%であれば、実験群の対照群に比べて、細胞増殖抑制効果は、30%になる。
【0034】
図1は、電場印加時に、電場強度による細胞増殖抑制効果を示す図面であって、(a)は、150kHz交流電場による細胞増殖抑制効果の検証のための実験装備の構成を示し、(b)は、電場強度(Electric field intensity)による細胞増殖抑制効果を示すグラフである。
【0035】
図1の(b)を参照すれば、電場印加時に、細胞増殖抑制効果は、電場強度と比例関係であることが分かる。しかし、細胞増殖抑制効果と電場強度は、単純線形関係であるよりは非線形的な関係に近いことが分かる。(b)に示された曲線は、データを2次曲線にフィッティングした結果であって、決定系数R2=0.9916である。
【0036】
図2は、電場印加時に、電力損失密度と電場印加時間とによる細胞増殖抑制効果を示す図面であって、(a)は、150kHz交流電場による電力損失密度と細胞増殖抑制効果との関係を示すグラフであり、(b)は、電力損失密度が11.5mW/cm
3に固定された場合の電場印加時間(Treatment duration)と細胞増殖抑制効果との関係を示すグラフである。
【0037】
図2の(a)を参照すれば、電場印加時に、細胞増殖抑制効果は、電力損失密度と比例関係であることが分かる。ここで、電力損失密度は、1/2σE2(σ:電気伝導度、E:電場強度)と定義され、(a)に示された曲線は、データを1次曲線にフィッティングした結果である。
【0038】
図1の(b)と
図2の(a)とを総合的に考慮すれば、電場印加時に、細胞増殖抑制効果は、電場強度よりは電場強度の二乗に直接に比例し、これにより、電力損失密度にさらに線形的に比例するということが分かる(R
2=0.9759)。
【0039】
また、
図2の(b)を参照すれば、電場印加時に、細胞増殖抑制効果は、電場印加時間と比例するということが分かる。
【0040】
図3は、電場印加時に、互いに異なる電力損失密度と互いに異なる電場印加時間とを適用した場合、細胞増殖抑制効果を示す図面であって、(a)は、電力損失密度がそれぞれ6.5mW/cm
3及び11.5mW/cm
3である場合、電場印加時間による細胞増殖抑制効果を示すグラフであり、(b)は、単位体積当たりまたは単位質量当たり吸収エネルギーによる細胞増殖抑制効果を示すグラフである。
【0041】
図3の(a)を参照すれば、電場印加時間が同一である場合に、電力損失密度が大きな場合よりも高い細胞増殖抑制効果が得られるということが分かる。
【0042】
図3の(b)は、細胞増殖抑制効果と吸収エネルギー密度(すなわち、単位体積当たり吸収エネルギー、absorbed energy density)または吸収比エネルギー(すなわち、単位質量当たり吸収エネルギー、specific energy absorbed)との関係を示すものであって、ここで、吸収エネルギー密度及び吸収比エネルギー密度は、それぞれ下記の数式2及び数式3によって算出することができる。
【0043】
[数2]
吸収エネルギー密度=電力損失密度×電場印加時間
【0044】
[数3]
吸収比エネルギー=(電力損失密度×電場印加時間)÷(質量密度)
【0045】
図3の(b)を参照すれば、電場印加時に、電場を印加した細胞株の細胞増殖抑制効果は、吸収エネルギー密度または吸収比エネルギーと比例するということが分かる。細胞に伝達された吸収エネルギー、すなわち、吸収エネルギー密度または吸収比エネルギーは、電力損失密度と共に細胞増殖抑制効果と比例する電場印加時間(s)が含まれた概念として電場印加時間を考慮していない電力損失密度に比べて、細胞増殖抑制効果を定量化するのにより実質的かつ合理的な基準であると言える。ここで、吸収エネルギー密度と吸収比エネルギーは、単位体積当たり質量が考慮されたか否かによって区分されるものであって、両者いずれも電場印加時に、細胞増殖抑制効果を定量化する基準として使われる。
【0046】
図4は、電場治療時に、患者の医療映像を用いて体内吸収エネルギー密度または吸収比エネルギー分布を計算する過程を示す図面である。
【0047】
図4を参照すれば、まず、患者の医療映像を読み込んで関心領域(Region of interest)を分割した後(ステップS41)、治療計画条件(例えば、電極位置、電極別の電場強度、治療時間など)を設定することができる(ステップS42)。
【0048】
以後、吸収エネルギー密度分布を計算しようとする場合、人体の各組織の電気伝導度情報を獲得した後(ステップS43)、前記の数式2によって人体内の3次元吸収エネルギー密度分布を計算することができる(ステップS44)。
【0049】
一方、吸収比エネルギー分布を計算しようとする場合、人体の各組織の電気伝導度情報を獲得し(ステップS45)、前記の数式2によって人体内の3次元吸収エネルギー密度分布を計算した後(ステップS46)、体内の各組織の質量密度情報を獲得し(ステップS47)、吸収エネルギー密度を体内の各組織の質量密度で割ることにより、人体内の3次元吸収比エネルギー分布を計算することができる(ステップS48)。
【0050】
図5は、人体模型ファントムで正常組織の質量密度を1g/cm
3と仮定し、腫瘍の質量密度が1.2g/cm
3である場合と0.6g/cm
3である場合とに対して200kHzの電場を印加した場合の吸収エネルギー密度と吸収比エネルギーの分布とを示す図面であって、(a)及び(b)は、それぞれ人体模型ファントムの冠状面(coronal plane)及び軸面(axial plane)を図示し、(c)は、腫瘍の質量密度が1.2g/cm
3である場合の吸収エネルギー密度(J/cm
3)分布を示し、(d)は、腫瘍の質量密度が1.2g/cm
3である場合の吸収比エネルギー(J/g)分布を示し、(e)は、腫瘍の質量密度が0.6g/cm
3である場合の吸収エネルギー密度(J/cm
3)分布を示し、(f)は、腫瘍の質量密度が0.6g/cm
3である場合の吸収比エネルギー(J/g)分布を示す。
【0051】
図5の(c)及び
図5の(d)を参照すれば、腫瘍の質量密度が1.2g/cm
3である場合に、周辺正常組織の質量密度である1g/cm
3と差が小さくて、腫瘍(すなわち、中央の円)での吸収エネルギー密度の分布と吸収比エネルギーの分布とがほぼ類似しているということが分かる。
【0052】
一方、
図5の(e)及び
図5の(f)を参照すれば、腫瘍の質量密度が0.6g/cm
3である場合には、周辺正常組織の質量密度である1g/cm
3と差が相対的に大きくて、腫瘍(すなわち、中央の円)での吸収エネルギー密度の分布と吸収比エネルギーの分布とが確実に変わるということが分かる。
【0053】
これに基づいて、腫瘍と正常組織との質量密度の差が大きいほど吸収エネルギー密度の分布と吸収比エネルギーの分布とが大きく異なるということが分かり、これは、吸収エネルギー密度と吸収比エネルギーとのうち何れか1つを選択して線量の単位で一貫して使用する必要があることを示唆する。
【0054】
図6は、電場治療計画樹立時に、吸収エネルギー基盤の線量単位を利用した体内線量最適化過程を示す図面である。
【0055】
図6を参照すれば、まず、患者の医療映像を読み込んで関心領域を分割した後(ステップS61)、処方線量、分割治療回数(例えば、1日治療時間及び総治療日数など)、治療周波数などを含む処方情報を決定することができる(ステップS62)。ここで、処方線量は、吸収エネルギー密度と吸収比エネルギーとのうち何れか1つである。
【0056】
以後、電極位置、電極別の電場強度及び治療時間を初期設定した後(ステップS63)、これに基づいて体内電場線量を計算し(ステップS64)、計算された体内電場線量分布を評価して(ステップS65)、既定の基準を満足するか否かを判断することができる(ステップS66)。
【0057】
計算された体内電場線量分布が、既定の基準を満足することができない場合、電極位置及び電極別の電場強度のうち少なくとも1つを変更した後(ステップS68)、体内電場線量分布が、既定の基準を満足できるようにする最適化過程を繰り返して行うことができる(ステップS64ないしステップS66)。
【0058】
このような最適化過程を通じて処方線量(すなわち、吸収エネルギー密度または吸収比エネルギー)が腫瘍に最大限よく付与され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、治療を行うことができる(ステップS67)。
【0059】
図7は、人体模型ファントムに仮想の腫瘍組織と正常細胞とからなる重要臓器を仮定し、電場治療時に、吸収エネルギー基盤の線量単位を用いて進行した線量最適化の結果を示す図面であって、(a)は、腫瘍組織と重要臓器とが含まれたファントムを図示し、(b)は、線量最適化以前の線量分布を図示し、(c)は、線量最適化以後の線量分布を図示し、(d)は、本発明の一実施形態による電場癌治療計画システムと連携された電場癌治療システムを図示する。
【0060】
具体的に、
図7の(a)に示したように、人体模型ファントム内に仮想の「コ」字状の腫瘍と正常組織である球状の重要臓器とを設定した後、200kHz交流電場を印加した。
【0061】
図7の(b)及び
図7の(c)は、それぞれ
図6に示された体内線量最適化過程を進行する前及び進行した後に腫瘍と重要臓器との線量分布を図示するものであって、最適化過程を進行する前には、腫瘍と重要臓器とに印加される吸収比エネルギーは同様に~20J/gである一方、最適化過程を進行した後には、腫瘍と重要臓器とに印加される吸収比エネルギーは、それぞれ20J/gと10~15J/gであって、最適化過程を通じて重要臓器に印加される吸収比エネルギーを最小化することができるということを確認することができる。
【0062】
図8は、電場印加時に、細胞増殖抑制効果の電場周波数依存度を示す図面であって、膵臓癌細胞株(CFPAC-I、HPAF-II)に電場強度が約1.2V/cmである多様な周波数の電場を48時間印加し、周波数によって変わる細胞増殖抑制効果を150kHz周波数に比べて、百分率で示したものである。すなわち、
図8は、電場強度と電場印加時間は、同一であり、周波数のみ異なるので、細胞に伝達される吸収エネルギーは、いずれも同一であり、周波数による生物学的効果を示すものである。
【0063】
図8を参照すれば、実験に使われた2つの細胞株は、同量の吸収エネルギーが細胞に伝達される場合、150kHzで最も効果的に細胞増殖が抑制されることが分かる。例えば、100kHzの周波数で治療する場合、150kHzの周波数で治療した場合に比べて、細胞増殖抑制効果が約60~70%のレベルに落ちる。このような周波数依存現象は、膵臓癌細胞だけではなく、あらゆる種類の細胞で起こる一般的な現象である(非特許文献7参照)。
【0064】
したがって、特定の癌種に対して吸収エネルギーに基づいて処方線量を決定する場合、その処方線量の基準となる周波数(すなわち、基準周波数)を共に設定することが望ましく、基準周波数ではない他の周波数を使用する場合、それによる周波数加重値(Frequency weighting factor)を適用して処方線量を修正する必要がある。例えば、基準周波数で処方線量が100J/gであり、使用周波数の周波数加重値が2.0であると仮定すれば、処方線量は、200J/gに修正して設定されなければならない。ここで、使用周波数に対する周波数加重値は、下記の数式4によって定義され、使用周波数での処方線量は、下記の数式5によって修正される。
【0065】
[数4]
周波数加重値(使用周波数)=細胞増殖抑制効果(基準周波数)/細胞増殖抑制効果(使用周波数)
【0066】
[数5]
処方線量(使用周波数)=処方線量(基準周波数)×周波数加重値
【0067】
図9は、本発明の一実施形態による電場癌治療計画方法のフローチャートである。
【0068】
図9を参照すれば、まず、治療計画システムに患者の医療映像(例えば、3次元医療映像データ)を読み込み(ステップS91)、対象腫瘍と重要臓器などの関心領域を分割することができる(ステップS92)。
【0069】
以後、吸収エネルギー密度基盤または吸収比エネルギー基盤のうち何れか1つの方式で処方方法を設定し(ステップS93、ステップS94)、設定された処方方法によって、処方線量、治療回数、治療時間、治療周波数などを含む処方情報を決定することができる(ステップS95)。
【0070】
以後、腫瘍の位置及び腫瘍周辺の重要臓器を考慮して、電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度を初期設定した後、これに基づいて体内線量分布を計算することができる(ステップS96)。
【0071】
以後、計算された体内線量分布に基づいて治療計画を評価し、
図6を参照して前述したように、治療計画最適化過程を行うことができる(ステップS97)。
【0072】
以後、最適化された治療計画を導出したパラメータを算出し(ステップS98)、算出されたパラメータを治療システムに適用して、電場治療を行わせる(ステップS99)。
【0073】
前述したような本発明の実施形態によれば、特別な治療計画システムなしに行われている既存の電場治療方法に比べて、より合理的かつ効率的な治療を患者に提供し、さらに実際の患者ごとに個別カスタマイズド治療を可能にし、それを用いて細胞増殖抑制効果を極大化することができる。
【0074】
図10は、本発明の他の実施形態による電場癌治療計画システムの構成図である。
【0075】
図10を参照すれば、本発明の他の実施形態による電場癌治療計画システム1000は、映像分類部1100、物性情報設定部1200、処方情報決定部1300、線量算出部1400及び線量最適化部1500を含んで構成することができる。
【0076】
映像分類部1100は、臓器と腫瘍とが含まれた患者の医療映像を入力され、医療映像に含まれた臓器と腫瘍とを分類することができる。
【0077】
一例によれば、映像分類部1100は、複数の臓器と腫瘍とが含まれた患者の3次元医療映像において腫瘍と各臓器とを分類し、該分類された各領域に対して3次元映像で再構成して、腫瘍と複数の臓器との位置関係を区分させうる。
【0078】
物性情報設定部1200は、映像分類部1100によって分類された各領域(例えば、腫瘍、臓器及びそれ以外の人体組織)の物性情報を設定することができる。
【0079】
ここで、物性情報は、人体内の各組織の電気伝導度と質量密度とを含みうる。電気伝導度は、磁気共鳴映像(MRI)または既構築の人体組織別の電気伝導度DBに基づいて設定しうる。また、質量密度は、コンピュータ断層映像(CT)または既構築の人体組織別の質量密度DBに基づいて設定しうる。
【0080】
処方情報決定部1300は、入力された腫瘍の種類及び腫瘍の状態情報を考慮して、処方方法を設定し、処方線量、治療回数、治療時間、治療周波数などを含む処方情報を決定することができる。ここで、処方方法は、吸収エネルギー密度基盤の方式及び吸収比エネルギー基盤の方式のうち何れか1つであり、これにより、処方線量の単位が吸収エネルギー密度と吸収比エネルギーとのうち何れか1つに決定される。
【0081】
また、処方線量は、既定の基準周波数に対して組織に伝達された吸収エネルギーによって決定され、使用周波数(すなわち、治療周波数)が基準周波数と異なる場合、周波数による生物学的効果を反映するための周波数加重値を適用して処方線量を修正することができる。
【0082】
線量算出部1400は、映像分類部1100によって分類された各領域(例えば、腫瘍、臓器及びそれ以外の人体組織)の位置を考慮して、電極の個数、電極の位置及び電極別の電場強度(すなわち、電極に印加される電圧)を初期設定し、これに基づいて体内線量分布を計算することができる。ここで、体内線量分布は、設定された処方方法によって吸収エネルギー密度分布または吸収比エネルギー分布であり、これらは、それぞれ前述した数式2及び数式3によって計算される。
【0083】
線量最適化部1500は、処方線量が腫瘍に最大限付与され、周辺の正常組織には最小限に付与されるように、電場癌治療器に備えられる電極パッドの電極の個数、電極の位置、電極別の電場強度のうち少なくとも1つを変更して線量を最適化することができる。
【0084】
一例によれば、線量最適化部1500は、線量算出部1400によって計算された体内線量分布を考慮して、電極の個数及び電極の位置を算定して、電極パッドのサイズを決定し、電極の配列を変更するか、電極別の電場強度(すなわち、電極に印加される電圧)を変更する過程を繰り返して線量を最適化することができる。
【0085】
本発明は、前述した実施形態及び添付図面によって限定されるものではない。当業者にとって、本発明の技術的思想を外れない範囲内で本発明による構成要素を置換、変形及び変更できるということが明白である。