(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】疎水性または非疎水性変性アニオン性ポリマーを含有する洗浄液中の増強された保湿剤の沈着
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20240325BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/72 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/97 20170101ALI20240325BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240325BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/36
A61K8/46
A61K8/72
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/97
A61Q5/02
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2021505895
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2019068536
(87)【国際公開番号】W WO2020025275
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ドウアティ,リンゼイ・ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェイミー・リン
(72)【発明者】
【氏名】バスデバン,チルチエライ・バラハン
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0296442(US,A1)
【文献】特開平04-036226(JP,A)
【文献】特表2010-506036(JP,A)
【文献】特表2006-525282(JP,A)
【文献】特開平03-153798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0242573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラメラ状組成物であって、
a) 1~70%の、アシルグルタメート、アシルグリシネート、アシルイセチオネートおよび/もしくはメチルアシルタウレートを含むアニオン性界面活性剤;アンホアセテートを含む両性界面活性剤ならびに/またはココアミドプロピルベタインおよび/もしくはスルホベタインを含む双性イオン性界面活性剤の混合物であって、該混合物は非イオン性および他の界面活性剤を含んでもよく;
b) 0.1~20重量%のC
8~C
14脂肪酸またはその混合物;
c) 0.1~25%の保湿/コンディショニング剤;
d) 0.01~5%のグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドを含むカチオン性沈着ポリマー(カチオン性コンディショニングポリマーとも呼ばれる);
e) 0.01~5%の疎水性または非疎水性変性アニオン性架橋ポリマーであって、pH6.35およびせん断速度5s
-1で測定した場合、該ポリマーの2%溶液の粘度が1~100センチポアズの範囲であり;粘度せん断速度曲線の勾配は-0.6~-1.2の範囲である、前記アニオン性架橋ポリマー;
f) 0.1~20重量%のラメラ構造化剤;
を含み、
ここで、クレンジング製剤は、HLB 1.4~13の非イオン性乳化剤の濃度が0~0.4%であり、且つ、塩化ナトリウムを含まないか2.7%以下の濃度で含み、該組成物は硫酸塩含有界面活性剤を含まないか0.1%以下の濃度で含み、
成分b)は、ラウリン酸を含み、成分c)は、大豆油を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物が、53以上の、Liuら、Journal of Cosmetic Science 2016、38、178~186に定義されているコーネオサーファメトリー・マイルド性の熱量指数(CIM)を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記保湿/コンディショニング剤がサブミクロンサイズのワセリンエマルジョンである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記保湿/コンディショニング剤がトリグリセリド油である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記トリグリセリド油がヒマワリ種子油または大豆油である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記カチオン性沈着ポリマーがグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記疎水性または非疎水性変性アニオン性架橋ポリマーが、カルボマー、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20クロスポリマー、アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーまたはアクリレーツ/ビニルイソデカノエートクロスポリマーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤が存在し且つCMEAである、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラメラ構造であり、ワセリンやトリグリセリド油などの油性保湿剤(以下、「保湿剤」という)を含有する身体および毛髪クレンジング組成物に関する。このような保湿剤は、通常、クレンジング組成物にニートな材料として、または予備乳化形態で添加される。本発明の組成物は、保湿剤の沈着を増強するために典型的に使用されるカチオン性沈着ポリマーも含有する。このようなカチオン性沈着ポリマーが、典型的には、このようなラメラ構造保湿組成物においても典型的に使用されるアニオン性構造化ポリマーと相互作用し;カチオン性沈着ポリマー(「CDP」)とアニオン性構造化ポリマーとの間のこのような相互作用がCDPの沈着効率を低下させ、それにより、より少ない保湿剤が沈着される。
【背景技術】
【0002】
保湿性であり、皮膚および毛髪に対する損傷が少ない皮膚および毛髪クレンジング製剤が、消費者によって非常に望まれている。マイルドな界面活性剤を用いて処方されるラメラ状クレンジング組成物は、ラメラ構造が湿潤化を引き起こすローション様コンシステンシーを提供し、そしてマイルドな界面活性剤が皮膚および毛髪に対してより少ない損傷を引き起こすので、上記の基準を満たす。さらに、等方性製剤とは異なり、ラメラ状製剤は、臨床的保湿効果を提供するトリグリセリド油やワセリンなどの疎水性皮膚軟化剤を大量に保持することもできる。これらの保湿剤の沈着は、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドのようなカチオン性沈着ポリマーの添加によって促進される(米国特許第5,085,857号)。
【0003】
Puvvadaらに付与されたいくつかの特許には、高含量の皮膚軟化油(保湿剤)を含有するラメラ状製剤が例示されている。例えば、米国特許第5,952,286号、米国特許第5,962,395号、米国特許第6,150,312号および米国特許第6,426,326号を参照のこと。しかしながら、これらの文献のいずれも、効率的に沈着させることができるサブミクロンサイズの保湿剤液滴をカチオン性沈着ポリマーを含むラメラ状液体中で安定化させるための、疎水性変性または非疎水性変性アニオン性ポリマー構造化剤の使用を開示していない。
【0004】
Weiらの米国特許第8,105,996号および第8,158,566号は保湿剤(例えば、皮膚軟化油)を含有するラメラ状製剤における疎水性変性アニオン性ポリマーの使用を教示している。しかしながら、これらの文献に例示されているラメラ状製剤は、かなりの量の非イオン性乳化剤を用いて構造化されている。
【0005】
それらはさらに、ラメラ構造を形成するために高レベルの塩の使用を必要とする。対照的に、本発明の組成物は、0.4%、好ましくは0.35%以下のレベルのHLBが1.4~13の非イオン性乳化剤を有する。さらに、Weiの組成物に見られる高塩分は、製造中に装置に腐食を引き起こす可能性があるので、本発明の製剤においても望ましくない。対照的に、本発明者らの製剤は、2.75%、好ましくは2.7%以下の塩化ナトリウムを用いて製剤化される。さらに、これらのWeiの文献には、構造化ポリマーが保湿剤の沈着にどのように影響するか、およびそのような保湿剤の沈着において製剤のマイルドさがどのような役割を果たすかについての認識はない。本発明の組成物は、定義されたマイルド値(コーネオサーファメトリー(Corneosurfametry)を使用したCIM値によって測定される)を有し、その方法論は後に定義される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5,085,857号公報
【文献】米国特許第5,952,286号公報
【文献】米国特許第5,962,395号公報
【文献】米国特許第6,150,312号公報
【文献】米国特許第6,426,326号公報
【文献】米国特許第8,105,996号公報
【文献】米国特許第8,158,566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、カチオン性沈着ポリマーは、典型的にはラメラ状液体中の油ベースの保湿剤の沈着を促進するために使用される。また、示されるように、アニオン性ポリマーは液体を構造化するために使用されるが、これらは典型的にはカチオン性沈着ポリマーと相互作用して沈着を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外にも、本出願人は、特定のタイプの構造化ポリマー、より具体的にはアニオン性構造化ポリマー、殊に特定の架橋疎水性または非疎水性変性アニオン性ポリマーが優れた安定性を提供しながら、カチオン性沈着ポリマーによるサブミクロンサイズの保湿剤液滴の沈着を最小限に妨害することを見出した。
【0009】
より具体的に、出願人は、本発明の疎水性または非疎水性変性アニオン性ポリマーが、(a)特定のpHレベルで2%ポリマー溶液中で測定された粘度;および(b)該ポリマー溶液のせん断速度曲線の粘度の勾配の組み合わせによって定義され得ることを見出した。理論に束縛されることを望まないが、これらの変数はポリマーの陰イオン性度および分子量に関連すると考えられる。ポリマーが上記の値(a)および(b)によって規定される範囲内にある場合、増強された保湿剤沈着は、カチオン性沈着ポリマーの存在下で見出される。
【0010】
この効果は製剤のマイルドさによってさらに影響される(製剤が53より大きい、好ましくは55より大きい、コーネオサーファメトリー・マイルド性の熱量指数(Calorimetric Index of Mildness(CIM))を有する)。また上記のように、本発明の組成物は、ラメラ状組成物の安定性を維持しながら、HLB 1.4~13の非イオン性乳化剤を0.4%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下含む。対照的に、Weiの組成物はラメラ安定性を維持するために、この量よりも多量の乳化剤を必要とする(末尾の表6を参照のこと)。本発明の組成物はまた、好ましくは2.7重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、例えば0.1~2重量%の塩を含む。
【0011】
より具体的には、本発明の組成物が以下のように定義することができる。
【0012】
それらは、以下を含むマイルドな界面活性剤系を有するラメラ構造化クレンザーである:
a) 1~70%、好ましくは2~30%、より好ましくは5~20%のアニオン性界面活性剤;両性および/または双性イオン性界面活性剤;ならびに任意の非イオン性および他の界面活性剤の混合物;
b) 0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~5重量%の、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸またはこれらの混合物のような中鎖(例えば、C8~C14)脂肪酸;
c) 0.1~25%、好ましくは1~15%、より好ましくは2~10%の保湿コンディショニング剤、例えばワセリンおよび/またはトリグリセリド油のエマルジョン;
d) 0.01~5%、好ましくは0.1~2%、より好ましくは0.2~1%のカチオン性沈着ポリマー(カチオン性コンディショニングポリマーとも呼ばれる);および
e) 0.01~5%、好ましくは0.05~2%または0.1~1%の疎水性または非疎水性変性アニオン性架橋ポリマーであって、該ポリマーは、pH6.35およびせん断速度5s-1で測定した場合、該ポリマーの2%溶液の粘度が1~100センチポアズ、より好ましくは10~80センチポアズおよび最も好ましくは20~60センチポアズの範囲である、前記ポリマー;
ここで、粘度せん断速度曲線の勾配は-0.6~-1.2の範囲であり、より好ましくは-0.7~-1.1の範囲であり、最も好ましくは-0.8~-1.0の範囲であり、
またここで、クレンジング製剤は0.4%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下のHLB 1.4~13の非イオン性乳化剤、および2.7%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下の塩、特に塩化ナトリウムを含み、そして、好ましくは、53以上、好ましくは55以上、より好ましくは55~65のコーネオサーファメトリー・マイルド性の熱量指数(CIM)を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例を除いて、または他に明示的に示される場合を除いて、材料の量または反応条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書中のすべての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されるべきである
【0014】
全体を通して使用されるように、範囲は、その範囲内にある全ての値の各々を説明するための略語として使用される。範囲内の任意の値を範囲の末端として選択することができる。「および/または」の使用は、リストからの任意の1つが個別に選択され得ること、またはリストからの任意の組み合わせが選択され得ることを示す。
【0015】
疑義を回避するために、「含む」という語は「包含する」を意味するものであるが、必ずしも「からなる」または「構成される」を意味するものではなく、言い換えれば、列挙されたステップまたは選択肢は網羅的である必要はない。
【0016】
特に明記しない限り、使用される成分の量または量に対するすべてのパーセンテージは、組成物の総重量中の材料の活性重量に基づく重量パーセンテージであると理解されるべきであり、総計は100%である。(P.15参照)
【0017】
本発明の組成物は保湿剤とも呼ばれる保湿コンディショニング剤(例えば、ワセリン、トリグリセリド)を含むラメラ構造液体クレンジング組成物であり、カチオン性沈着ポリマーをさらに含む。
【0018】
アニオン性増粘ポリマーの存在下では、カチオン性沈着ポリマーが典型的にはそのような増粘剤と相互作用し、この相互作用は保湿剤の沈着に悪影響を及ぼす。
【0019】
予想外に、出願人は、特定の疎水性または非疎水性変性アニオン性架橋増粘ポリマーが選択される場合(定義された条件での粘度、および粘度せん断速度曲線の勾配の両方によって定義される)、保湿剤の沈着が一般にアニオン性構造化ポリマーの使用と比較して有意に増強されることを発見した。全く驚くべきことに、強化された沈着の効果は、CIMによって測定される組成物のマイルドさによってさらに強化される。さらに、本発明の組成物は、ラメラ状組成物の安定性を維持しながら、0.4%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下のHLB 1.4~13の非イオン性乳化剤、および2.7%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下の塩、特に塩化ナトリウムを使用する。より高レベルの塩は、組成物の調製に使用される機械に対して腐食性であり得る。
【0020】
より詳細には、本発明の組成物は以下を含む:
a) 1~70%、好ましくは2~30%、より好ましくは5~20%の(a)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤;(b)少なくとも1種の両性および/または双性イオン性界面活性剤;および(c)任意に1種以上の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤またはそれらのブレンド;
b) 0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~5重量%のラメラ相を形成する構造化剤;これは、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸またはそれらの混合物などの中鎖(例えば、C8~C14)脂肪酸であってもよい;
c) 0.1~25%、好ましくは1~15%、より好ましくは2~10%の保湿コンディショニング剤(油または皮膚軟化剤)、例えばワセリンおよび/またはトリグリセリド油のエマルジョン;
d) 0.01~5%、好ましくは0.1~2%、より好ましくは0.2~1%のカチオン性沈着ポリマー(カチオン性コンディショナーとしても知られる);および
e) 0.01~5%、好ましくは0.05~2%または0.1~1%の疎水性または非疎水性変性アニオン性架橋ポリマー、好ましくはpH6.35およびせん断速度5s-1で測定したとき、その2%溶液の粘度が1~100センチポアズ、より好ましくは10~80センチポアズ、最も好ましくは20~60センチポアズの範囲内であり;ここで、粘度せん断速度曲線の勾配は-0.6~-1.2、より好ましくは-0.7~-1.1、最も好ましくは-0.8~-1.0の範囲である架橋ポリマー;
ここで、クレンジング製剤は0.4%以下、好ましくは0.1~0.35%のHLB 1.4~13の非イオン性乳化剤;および2.7%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下の塩、特に塩化ナトリウムを含み、そして好ましくは、53以上、好ましくは55以上、より好ましくは55~65のコーネオサーファメトリー・マイルド性の熱量指数(CIM)を有する。
【0021】
当該組成物は、以下により詳細に記載される:
【0022】
界面活性剤
本発明の界面活性剤系は、組成物の1~50重量%、好ましくは2~30重量%、より好ましくは5~20重量%を構成し、以下のものを含む:
a) 少なくとも1種のアニオン性界面活性剤;
b) 少なくとも1つの両性および/または双性イオン性界面活性剤;および
c) 任意に、1種以上の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、またはそれらのブレンド。
【0023】
アニオン性界面活性剤(全組成物の2~40重量%を構成し得る)は例えば、第一級アルカン(例えば、C8~C22)スルホネート、第一級アルカン(例えば、C8~C22)ジスルホネート、C8~C22アルケンスルホネート、C8~C22ヒドロキシアルカンスルホネートまたはアルキルグリセリルエーテルスルホネート(AGS)などの脂肪族スルホネート;またはアルキルベンゼンスルホネートなどの芳香族スルホネートであり得る。
【0024】
アニオン性界面活性剤はまた、アルキルサルフェート(例えば、C
12~C
18アルキルサルフェート)またはアルキルエーテルサルフェート(アルキルグリセリルエーテルサルフェートを含む)などであってもよい。アルキルエーテルサルフェートの中には、次式のようなものがある:
【化1】
[式中、Rは8~18個の炭素を有するアルキルまたはアルケニルであり、好ましくは12~18個の炭素を有し、nは1.0より大きい、好ましくは2~3の平均値を有し、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。]
ラウリルエーテルサルフェートのアンモニウムおよびナトリウム塩が好ましい。
【0025】
アニオン性界面活性剤はまた、アルキルスルホサクシネート(モノおよびジアルキル、例えば、C6~C22スルホサクシネートを含む);アルキルおよびアシルタウレート、アルキルおよびアシルサルコシネート、スルホアセテート、C8~C22アルキルホスフェートおよびホスフェート、アルキルホスフェートエステルおよびアルコキシルアルキルホスフェートエステル、乳酸アシル、コハク酸およびマレイン酸C8~C22モノアルキル、スルホアセテート、およびアシルイセチオネートなどであってもよい。
【0026】
スルホサクシネートは、次式を有するモノアルキルスルホサクシネートであってもよい:
【化2】
【0027】
スルホサクシネートは、次式のアミド-MEAスルホサクシネートであってもよい:
【化3】
[式中、R
4はC
8~C
22アルキルであり、Mは可溶化カチオンである。];
【0028】
スルホサクシネートは、次式のアミド-MIPAスルホサクシネートであってもよい:
【化4】
[Mは上で定義した通りである。]。
【0029】
また、以下のようなアルコキシル化クエン酸スルホサクシネート、およびアルコキシル化スルホサクシネートも含まれる:
【化5】
[式中、n=1~20であり、Mは上で定義した通りである。]
【0030】
サルコシネートは一般に、式RCON(CH3)CH2CO2Mによって示され、ここで、RはC8~C20アルキルであり、Mは可溶化カチオンである。
【0031】
タウレートは一般に、次式によって示される:
【化6】
[式中、R
2はC
8~C
20アルキルであり、R
3はC
1~C
4アルキルであり、Mは可溶化カチオンである。]
【0032】
別のクラスのアニオン性界面活性剤は、以下のようなカルボキシレートである:
【化7】
[式中、RはC
8~C
20アルキルであり、nは0~20であり、Mは上記で定義されたとおりである。]
【0033】
使用することができる別のカルボキシレートはアミドアルキルポリペプチドカルボキシレート、例えば、Seppic社製のモンテイン(Monteine)LCQ(登録商標)である。
【0034】
使用することができる別の界面活性剤は、C8~C18アシルイセチオネートである。これらのエステルは、アルカリ金属イセチオネートと、6~18個の炭素原子および20未満のヨウ素価を有する混合脂肪族脂肪酸との間の反応によって調製される。混合脂肪酸の少なくとも75%は12~18個の炭素を有し、25%までは6~10個の炭素原子を有する。
【0035】
アシルイセチオネートは存在する場合、一般に、全組成物の約0.5~15重量%の範囲である。好ましくは、この成分は約1~約10%存在する。
【0036】
アシルイセチオネートは、Ilardiらに1995年2月28日に付与された「Fatty Acid Esters of Polyalkoxylated Isethionic Acid」と題する米国特許第5,393,466号(引用することにより本願に組込まれる)に記載されているようなアルコキシル化イセチオネートであってもよい。この化合物は、次の一般式を有する:
【化8】
[式中、Rは8~18個の炭素を有するアルキル基であり、mは1~4の整数であり、XおよびYは水素または1~4個の炭素を有するアルキル基であり、M
+は一価の陽イオン、例えば、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムなどである。]
【0037】
別の好ましいクラスのアニオン性界面活性剤は、アミノ酸のN-アシル誘導体である。同じ好ましい形態では、硫酸塩を含有する界面活性剤は実質的に存在せず、好ましくは0.1または0.05%以下でさえある。好ましくは、硫酸塩含有界面活性剤は全く存在しない。
【0038】
好ましい界面活性剤は、アシルグルタメート、アシルアスパルテート、アシルグリシネートおよびアシルアラニネート界面活性剤である。好ましくは、これらはアシルグルタメートまたはアシルアスパルテートまたはアシルグリシネートまたはアシルアラニネートのカリウム塩および/またはナトリウム塩であり、アシル鎖の65%超が鎖長C14以下、例えば、C8~C14(例えば、ココナッツ脂肪酸に由来する)を有する。アシル鎖は、好ましくは75%を超える、より好ましくは80%を超えるC14またはそれ未満の鎖長を有する。好ましくは、鎖長の75%超、最も好ましくは80%超がC12、C14またはそれらの混合物である。
【0039】
市販されているアミノ酸界面活性剤には2つの形態がある。1つは粉末またはフレークの形態であり、これは典型的にはより高価であり、純度が高い。固形ジカルボキシアミノ酸界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:
N-ココイル-L-グルタミン酸ナトリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)CS-11等)
N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)LS-11等)
N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)MS-11)
N-ココアシル-L-グルタミン酸カリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)CK-11等)
N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)MK-11)
N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)LK-11)
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム(旭化成ケミカル(株)製 AminoFoamer(商品名)FLMS-P1)
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム(旭化成ケミカル(株)製 Aminosurfact(商品名)ALMS-P1/S1)
ミリストイルグルタミン酸ナトリウム(旭化成ケミカル(株)製 Aminosurfact(商品名)AMMS-P1/S1)
【0040】
固形モノカルボキシアミノ酸界面活性剤の例としては、以下が挙げられる:
ココイルグリシネートナトリウム(味の素社製 Amilite(登録商標)GCS-11等)
ココイルグリシネートカリウム(味の素社製 Amisoft(登録商標)GCK-11等)
【0041】
液体アミノ酸界面活性剤は典型的には20~35%の界面活性剤を含み、pHおよび無機塩(例えば、3~6%のNaCl)が高い。例には:
AMISOFT(登録商標)ECS-22SB:ココイルグルタミン酸二ナトリウム(30%水溶液)
AMISOFT(登録商標)CS-22:ココイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム(25%水溶液)
AMISOFT(登録商標)CK-22:ココイルグルタミン酸カリウム(30%水溶液)
AMISOFT(登録商標)LT-12:TEA-ラウロイルグルタメート(30%水溶液)
AMISOFT(登録商標)CT-12:TEA-ココイルグルタメート(30%水溶液)
AMILITE(登録商標)ACT-12:TEA-ココイルアラニネート(30%水溶液)
AMILITE(登録商標)ACS-12:ココイルアラニネートナトリウム(30%水溶液)
AMILITE(登録商標)GCK-12/GCK-12K:ココイルグリシネートカリウム(30%水溶液)
Aminosurfact(商品名)ACDS-L:ココイルグルタミン酸ナトリウム(25%水溶液)
Aminosurfact(商品名)ACDP-L:ココイルグルタミン酸カリウム(22%)+ココイルグルタミン酸ナトリウム(7%)
Aminosurfact(商品名)ACMT-L:TEA-ココイルグルタミン酸(30%水溶液)
AminoFoamer(商品名)FLDS-L:ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム(25%水溶液)
が挙げられる。
【0042】
双性イオンおよび両性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤は脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体として広く記載することができるものによって例示され、ここで、脂肪族基は直鎖または分岐鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは約8~約18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する。これらの化合物の一般式は:
【化9】
[式中、R
2は約8~約18個の炭素原子、0~約10個のエチレンオキシド部分および0~約1個のグリセリル部分を有するアルキル、アルケニルまたはヒドロキシアルキル基を含み、Yは窒素、リンおよび硫黄原子からなる群から選択され、R
3は約1~約3個の炭素原子を含むアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、Yが硫黄原子である場合Xは1であり、Yが窒素またはリン原子である場合Xは2であり、R
4は約1~約4個の炭素原子を有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zはカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスホネートおよびホスフェート基からなる群から選択される基である。]
である。
【0043】
このような界面活性剤の例には:
4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート;
5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-サルフェート;
3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラデキソシルホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート;
3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルアンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート;
3-[N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート;
3-[N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート;
4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート;
3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1ホスフェート;
3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート;および
5-[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-サルフェート
が挙げられる。
【0044】
本発明において使用され得る両性界面活性剤は、少なくとも1つの酸基を含む。これは、カルボン酸またはスルホン酸基であってもよい。それらは第四級窒素を含み、従って第四級アミド酸である。それらは、一般に、7~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を含むべきである。それらは、通常、次の全体的な構造式に従う:
【化10】
[式中、R
1は、7~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニルである;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、1~3個の炭素原子を有するアルキル、ヒドロキシアルキルまたはカボキシアルキルであり;
nは2~4であり;
mは0~1であり;
Xはヒドロキシルで置換されていてもよい1~3個の炭素原子を有するアルキレンであり、および
Yは-CO
2
-または-SO
3
-である。]。
【0045】
上記一般式の範囲内の適切な両性界面活性剤には、次式の単純なベタイン:
【化11】
および次式のアミドベタイン:
【化12】
[式中、mは2または3である。]
が含まれる
【0046】
どちらの式でも、R1、R2およびR3は前記のように定義される。R1は特に、少なくともR1基の半分、好ましくは少なくとも4分の3が10~14個の原子を有するように、ココナツから導かれたC12およびC14のアルキル基の混合であってもよい。R2およびR3は、好ましくはメチルである。適切なベタインは、ココアミドプロピルベタインである。
【0047】
さらなる可能なものは、次式のスルホベタインである両性界面活性剤であるか:
【化13】
[式中、mは2または3である。]
またはこれらの誘導体であって、
【化15】
が
【化16】
で置き換えられた誘導体である。
【0048】
これらの式で、R1、R2およびR3は前記のとおりである。
【0049】
また、アンホアセテートおよびジアンホアセテート、特にC8~C20アンホアセテートまたはそれらの混合物などは、使用され得る可能な双性イオン性および/または両性化合物に包含されることが意図される。適切なアンホアセテートは、ラウリルアンホアセテートナトリウムである。
【0050】
両性/双性イオン性界面活性剤は使用される場合、一般に0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%含まれる。
【0051】
本発明の好ましい界面活性剤系は以下を含む:アニオン性界面活性剤(例えば、アルカリ金属アルキルエーテルサルフェート)-2~50%;両性界面活性剤(例えば、アルキルベタインまたはアルキルアンホアセテート)-1~20%。
【0052】
界面活性剤系はまた、任意に非イオン性界面活性剤を含んでもよい。上記のように、本発明の特徴は、非イオン性乳化剤のレベルが0.4%以下であっても、組成物は依然としてラメラ構造を維持することである。
【0053】
使用され得る非イオン性界面活性剤は特に、疎水性基および反応性水素原子を与える化合物、例えば脂肪族アルコール、酸、アミドまたはアルキルフェノールとアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド(単独またはプロピレンオキシドを含む)との反応生成物を含む。特定の非イオン性界面活性剤化合物は、アルキル(C6~C22)フェノール-エチレンオキシド縮合物、脂肪族(C8~C18)一級または二級直鎖または分枝アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、およびプロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合生成物である。他のいわゆる非イオン性界面活性剤化合物には、長鎖第三アミンオキシド、長鎖第三ホスフィンオキシドおよびジアルキルスルホキシドなどが含まれる。
【0054】
非イオン性界面活性剤は、多糖アミドなどの糖アミドであってもよい。具体的には、当該界面活性剤が1995年2月14日にAuらに対して付与された「非イオン性糖脂質界面活性剤を含む組成物」という名称の米国特許第5,389,279号に記載されたラクトビオナミドの1つであってもよく(これは参照により本明細書に組み込まれる)、または1991年4月23日にKelkenbergに対して付与された「液体水性界面活性剤系の増粘剤としてのn-ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドの使用」という名称の米国特許第5,009,814号に記載された糖アミドの1つであってもよい(これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0055】
使用することができる他の界面活性剤はParran Jr.の米国特許第3,723,325号に記載されており、および1986年1月21日にLlenadoに対して付与された「発泡界面活性剤組成物」という名称の米国特許第4,565,647号に開示されているようなアルキル多糖類非イオン性界面活性剤であり、これらは両方とも参照により本出願に組み込まれる。
【0056】
好ましいアルキル多糖類は、次式のアルキルポリグリコシドである:
【化17】
[式中、R
2はアルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびそれらの混合物からなる群から選択され、ここでアルキル基が約10~約18、好ましくは約12~約14の炭素原子を含有し;nが0~3、好ましくは2であり;tが0~約10、好ましくは0であり;xが1.3~約10、好ましくは1.3~約2.7である。]。グリコシル(glycosyl)は、好ましくはグルコースに由来する。これらの化合物を調製するために、アルコールまたはアルキルポリエトキシアルコールを最初に形成し、次いでグルコースまたはグルコース源と反応させて、グリコシド(1位で結合)を形成する。次いで、追加のグリコシル単位を、それらの1位と先のグリコシル単位の2-、3-、4-および/または6-位、好ましくは主に2-位との間に結合させることができる。
【0057】
非イオン性界面活性剤は、組成物の0~10重量%または0~5重量%を構成してもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、Weiによって例示されるタイプの非イオン性乳化剤が組成物の0.4重量%以下、好ましくは0.3重量%、より好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下を構成する。上記のWeiの参考文献とは異なり、ラメラ構造は、これらの低レベルの非イオン性乳化剤であっても安定なままである。
【0058】
ラメラ構造物
本発明の組成物は約0.1~20重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~5重量%の構造化剤を利用し、これは組成物中で作用してラメラ相を形成する。このようなラメラ相は良好なせん断減粘特性を依然として維持しながら、組成物が粒子(例えば、皮膚軟化剤粒子)をより容易に懸濁させることを可能にする。ラメラ状相はまた、消費者に所望のレオロジー(「ヒーピング」)を提供する。
【0059】
構造化剤は、好ましくは脂肪酸もしくはそのエステル誘導体、脂肪アルコールまたはトリヒドロキシステアリンなどである。より好ましくは、構造化剤がカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0060】
使用され得る脂肪酸の例は、以下のようなC8~C22酸である:ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エレイジン酸、アラキドン酸、ミリストレイン酸およびパルミトレイン酸など。エステル誘導体には、イソステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリルおよびジイソステアリン酸ポリグリセリルなどが含まれる。
【0061】
保湿およびコンディショニング剤(例えば、油/皮膚軟化剤)
本発明の主な利点の1つは、ラメラ相組成物中に油/皮膚軟化剤粒子を懸濁させる能力(および低量の非イオン性界面活性剤の存在下でそうする能力)である。例えば、以下の油/皮膚軟化剤を、本発明の組成物中に任意に懸濁させることができる。
【0062】
種々のクラスの油類を以下に記載する。
【0063】
植物油類:落花生油、ヒマシ油、ココアバター、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、菜種油、ベニバナ種子油、ゴマ種子油、ヒマワリ種子油および大豆油など。
【0064】
エステル類:ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸セチル、オレイン酸デシル、ラウリン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、モノラウリン酸プロピレングリコール、リシノール酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコールなど。
【0065】
動物脂肪類:アセチル化ラノリンアルコール、ラノリン、ラード、ミンク油および獣脂など。
【0066】
油皮膚軟化剤の他の例には、鉱油、ワセリン、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油、乳酸ラウリルおよび乳酸ミリスチルなどが含まれる。
【0067】
皮膚軟化剤/油は一般に組成物の約1~25重量%、好ましくは1~10重量%の量で使用される。
【0068】
カチオン性コンディショナー
本発明の組成物は、0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%のカチオン性沈着ポリマー(カチオン性コンディショナー)を含む。
【0069】
カチオン性コンディショナーは、Quatrisoft(登録商標)LM-200、ポリクォータニウム(polyquaternium)-24、Merquat(登録商標)puls 3330、ポリクォータニウム(polyquaternium)-39およびJaguar(登録商標)型ポリマーを含み得る。それらはさらに、ポリクォータニウム(polyquaternium) 10(Dow社製、UCareシリーズ)のようなカチオン性セルロース型ポリマー、ならびにポリクォータニウム(polyquaternium) 49およびポリクォータニウム(polyquaternium) 51(Lubrizol社製、Merquatシリーズ)のような合成カチオン性ポリマーを含み得る。
【0070】
カチオン性沈着ポリマーはまた、Dow Chemical Company社製のSoftCatシリーズのような疎水性変性カチオン性セルロースポリマーを含み得る。
【0071】
さらに、本発明の組成物は、以下のような任意の成分を含むことができる:
【0072】
有機溶媒、例えばエタノール;補助増粘剤、金属イオン封鎖剤、例えば0.01~1%、好ましくは0.01~0.05%の量のエチレンジアミン-四酢酸四ナトリウム(EDTA)、EHDPまたはそれらの混合物;および着色剤、乳白剤およびパーライザー、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO2またはEGMS(エチレングリコールモノステアレート);これらは全て、製品の外観、化粧品特性を高めるのに有効である。
【0073】
本発明の組成物は、2-ヒドロキシ-4,2’4’-トリクロロジフェニルエーテル(DP300)などの抗菌剤;ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL1000)、パラベン、ソルビン酸などの防腐剤などをさらに含んでもよい。
【0074】
本発明の組成物はまた、泡増強剤としてココナッツアシルモノ-またはジエタノールアミドを含んでもよい。
【0075】
例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)などの酸化防止剤は適切であれば、約0.01%以上の量で有利に使用することができる。
【0076】
添加することができる他の任意成分は、1992年9月15日にMontagueに対して付与された「Liquid Detergent Composition in the Form of Lamellar Deoplets Containing a Deflocculating Polymer」と題する米国特許第5,147,576号に教示されているような解凝集ポリマーである(参照により本出願に組込まれる)。
【0077】
含まれ得る他の成分は、ポリオキシエチレンビーズ、クルミシートおよびアプリコット種子などの剥離剤である。
【0078】
言及したように、本発明の組成物はラメラ組成物である。特に、ラメラ相は、全相体積の20~80%、好ましくは30~65%を構成する。相体積は例えば、導電率測定または当業者に周知の他の測定法によって測定することができる。理論に束縛されることを望まないが、より高い相体積は皮膚軟化剤のより良好な懸濁を提供すると考えられる。
【0079】
本発明の構造化ポリマーは、疎水性変性アニオン性架橋ポリマーである。このようなポリマーは、「会合性」ポリマーとも呼ばれる。
【0080】
これらのポリマーは、親水性主鎖および疎水性側鎖によって構成される。溶液中でのそれらの挙動は、それらの構造の疎水性と親水性との間の競合の結果である。疎水性ユニットは、高分子鎖間の結合点を構成する凝集体の形成をもたらす。レオロジーの観点から、これらの一般的に水溶性(例えば、わずかに酸性またはアルカリ性の条件下で典型的に可溶性)のポリマーは水中で非常に高い粘性化力を有し、そして生理食塩水媒体中でそれらの粘度を十分に保持する。ポリマーおよび界面活性剤混合系では界面活性剤凝集体を形成することができ、これは異なるタイプの相互作用:静電相互作用、双極子相互作用または水素結合によって安定化される。典型的な水溶性ポリマーはそれらの疎水性部分のために、界面活性剤とより特異的に相互作用することができる。
【0081】
これらのポリマーの親水性主鎖は特に、後にそこに疎水性鎖をグラフトすることができる官能基(例えば酸官能基)を含有する親水性モノマーの重合から得ることができる。当該ポリマーを調製するこの方法は特に、「水溶性ポリマー」、ACS Symposium Series 467 ed.(Shalaby W.Shalabyら、Am.Chem.Soc.、Washington(1991)、pp.82~200.)に記載されている。しかしながら、天然由来の水溶性ポリマーまたは化学修飾によって水溶性にされた天然ポリマーも使用することができる。ポリマーは、親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合によって形成することもできる。これらの疎水性ポリマーは、親水性ポリマーよりもずっと少ない量で反応媒体中に導入され、一般に脂肪族炭化水素鎖を含む。この調製方法は、S.Biggsらによる刊行物(J.Phys.Chem,1992,96、pp1505~11)に記載されている。
【0082】
これらのポリマーの例は、部分的に置換されていてもよいアクリルポリマー、ポリエーテルおよびポリオシディック(polyosidic)鎖である。親水性主鎖は、高度に疎水性のペンダント基を有するモノマーとして構成される。疎水性ペンダント基を有するモノマーのモルパーセンテージは、親水性鎖の修飾パーセンテージと呼ばれる。疎水性ペンダント基は、ポリマーを調製するために従来使用される任意の疎水性ペンダント基であり得る。1つの局面において、使用される疎水性基は、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは10~28個の炭素原子を含有する骨格を含む。
【0083】
これらの疎水性基の特定の例は、直鎖、分岐鎖、飽和または不飽和炭化水素鎖であり、環を含んでも含まなくてもよい。疎水性基の好ましい例は、8~28個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含有する炭化水素鎖、特にアルキル鎖である。修飾ユニットは、有利にはエーテル、エステルまたはアミドの形態である。これは、会合性ポリマーの主鎖がアクリル鎖である場合に特に当てはまる。使用される会合性ポリマーは、104~107の質量平均モル質量を有することができる。
【0084】
本発明の組成物中のポリマーの濃度は一般に、組成物の約0.01重量%~約5重量%、または約0.05重量%~約2.0重量%、好ましくは約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.1重量%~約0.5重量%の範囲である。好ましい会合性ポリマーには、疎水性変性ポリアクリレート;疎水性変性多糖;疎水性変性ウレタンが含まれる。ポリマーの非限定的な例には、アクリレーツ/ビニルイソデカノエートクロスポリマー(3V社製、Stabylen 30)、アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(Pemulen TR1およびTR2)、アクリロイルジメチルラウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25クロスポリマー(Clariant社製、Aristoflex HMB)、アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25コポリマー(Rohm and Haas社製、Aculyn 28)、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー(Rohm and Haas社製、Aculyn 22)、PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー(Rohm and Haas社製、Aculyn 44)、ジステアリン酸PEG-150(Rohm and Haas社製、Aculyn 60)、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20クロスポリマー(Rohm and Haas社製、Aculyn 88)が含まれる。
【0085】
一実施形態では、ポリマーが酸性モノマーおよび疎水性末端基を有する会合性モノマーを含む架橋アルカリ膨潤性会合性ポリマーであり、該ポリマーは一定の疎水性修飾パーセンテージで一定の長さを有するアルキル官能基を含有する疎水性側鎖を含む。理論によって限定されることを意図するものではないが、酸性モノマーは酸性基の中和時に水中で膨潤するポリマーの能力に寄与し、会合性モノマー(例えば、疎水性鎖を有するモノマー)はポリマーを構造化界面活性剤疎水性ドメイン(例えば、ラメラ)に固定して、界面活性剤組成物に構造を付与し、電解質の存在下でポリマーが崩壊して有効性を失わないようにすると考えられる。架橋された会合性ポリマーは一定の疎水性修飾パーセンテージを有し、これは、酸性および他の非酸性モノマーの両方を含むポリマー骨格中のすべてのモノマーの総数のパーセンテージとして表される当該モノマーのモルパーセンテージである。ポリマーの疎水性修飾パーセンテージ(以下、%HM)は、合成中に添加されるモノマーの比率によって、またはプロトン核磁気共鳴(NMR)などの分析技術によって決定することができる。アルキル側鎖長も同様に決定することができる。2個以下のアルキル炭化水素(例えば、エチル、メチル)のみを含むモノマーは、本発明の目的のために会合性であるとは考えられず、2個を超える炭素を有する全ての側鎖は会合性である。会合性のアルキル側鎖は例えば、ブチル、プロピル、ステアリル、ステアレス、セチル、ラウリル、ラウレス、オクチル、ベヘニル、ベヘネス、ステアレス、或いは他の直鎖、分岐鎖、飽和または不飽和アルキルもしくはアルケス(alketh)炭化水素側鎖を含む。
【0086】
本発明の好ましいポリマーは、疎水性変性された線状ポリアクリレートよりも、むしろ疎水性または非疎水性変性された架橋ポリアクリレートである。それらの粘度は、典型的にはるかに低い。
【0087】
より具体的には、(例えば水中の)2%溶液の粘度(pH6.35およびせん断速度5S-1で測定され、さらにレオメーターを用いて25℃で測定される)は1~100センチポアズ、より好ましくは10~80センチポアズ、最も好ましくは20~60センチポアズの範囲である。さらに、粘度せん断速度曲線の勾配は-0.6~-1.2の範囲であり、より好ましくは-0.7~-1.1の範囲であり、最も好ましくは-0.8~-1.0の範囲である。
【0088】
前記勾配はポリマーのせん断減粘性を測定し、勾配が高いほど(より負であるほど)、ポリマーはよりせん断減粘性である。
【0089】
本発明の組成物は、0.4%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下のHLB 1.4~13の非イオン性乳化剤、例えば米国特許第8,105,996号および第8,158,566号(上記のWeiらに付与された特許)で使用されているものを含有する。
【0090】
本発明のさらなる組成物は、2.7%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下の塩、特に塩化ナトリウムを含む。
【実施例】
【0091】
以下の組成物を調製した。ワセリンエマルジョンは、表2および表2の下に記載される調製の説明に記載されるように調製した。
【表1】
【0092】
【0093】
【0094】
上記の表3は組成物のマイルドさが、例えば、界面活性剤組成に依存して変化し得ることを実証している。
【0095】
【0096】
検討
表4から、沈着は、使用される構造化ポリマーの種類と相関関係があることが分かる。
【0097】
より具体的には、表4から、沈着はpH6.35および5s-1のせん断速度で測定された2%ポリマー溶液の粘度に反比例することが分かる。この関係は、疎水性ポリマーが線状であるか架橋されているかにかかわらず、90%を超える信頼水準で線形である。また、疎水性または非疎水性変性された架橋ポリマーは、疎水性変性された線状ポリマーよりもはるかに高いレベルのワセリンを沈着させることが分かる。
【0098】
ワセリン沈着を測定するために使用した手順は以下の通りであった:
絹の8×8インチ片を、PJエマルジョンを含まないボディウォッシュベース配合物12mlで洗浄した。ブランク沈着値は、洗浄し乾燥した絹の重量から未処理絹片の重量を差し引くことによって得た。次に、PJエマルジョンを含有するボディウォッシュ液で別の絹を洗浄した。全体のPJ沈着は、洗浄および乾燥後の絹の重量から絹の初期重量を引いたものからブランク沈着を引いたものとして測定される。
【0099】
【0100】
表5は、沈着が、統計的に同レベルのマイルドさを有する実施例1~3の配合物に使用されるポリマーに依存することを示す(表3参照)。対照的に、他の配合物よりも統計的に荒い配合物では、沈着が使用されるポリマーによって影響されない。これは、沈着に対する効果が、CIM値によって定義されるマイルドさと相関関係があることを示している。より低い粘度のポリマー(例えば、Pemulen TR1対Aculyn 88)は、組成物が例えば55以上のCIM値を有する場合、油の沈着を増強するが、組成物が55未満のCIM値を有する場合、粘度を増強しない。
【0101】
【0102】
会合性ポリマーとしてAculyn 28を使用する米国特許第8,158,566号の表3の実施例#2を、Trideceth-3(非イオン性乳化剤)の異なる濃度で、当該特許に列挙された手順に従って再現した。また、比較例A-3を再現した。結果は表6のとおりであった。その結果は、会合性ポリマーなしで本願出願人が得たヤング率値が22.4Paであることに比べて、当該特許に示されたヤング率値の90Paであることを示す。換言すれば、彼らのヤング率値の90は、我々のヤング率値の22.4にほぼ等しく、したがって換算係数は90を24で割って4.1となる。したがって、我々の実施例において約24.4Pa未満のものはいずれも、米国特許第8,158,566号の表3脚注に示されている同目標値の100Pa未満となることがわかる。すなわち、100を換算係数の4.1で割ったものは24.4Paに相当する。このような100Pa値(我々の再現実験における24.4Paに匹敵)未満のものはいずれも安定性が損なわれ、したがって組成物が望ましくないため使用できない。
【0103】
会合性ポリマーとしてStabylenを使用する米国特許第8,158,566号の表3の実施例1を、3.3%および2.7%の2つの異なる塩濃度で、そしてTrideceth-3(非イオン性乳化剤)を0.35%として、当該特許に列挙された手順に従って再現した。これらの結果は、0.35%の非イオン性乳化剤および2.7%の塩濃度で、ヤング率が閾値(24.4)Pa(これはWei特許における100Paに相当する)を十分に下回ることを示す。また、0.35%の非イオン性乳化剤および2.7%の塩濃度の試料は不安定であり、2週間後に完全な相分離を示した。
【0104】
これらの結果に基づいて、非イオン性乳化剤(Trideceth-3)の濃度が0.4%未満、特に0.35%未満で、且つ塩(塩化ナトリウム)濃度が2.7%未満がヤング率の閾値を規定する。