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特許7459061四節リンクを備えるロボットおよびロボット用のジョイント軸受を組み立てる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】四節リンクを備えるロボットおよびロボット用のジョイント軸受を組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 25/08 20060101AFI20240325BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F16C25/08 Z
B25J17/00 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021512385
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2019073826
(87)【国際公開番号】W WO2020049152
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】18193108.0
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518239787
【氏名又は名称】フルーツコア ロボティックス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】fruitcore robotics GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】フッスル ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】フレイ マヌエル トビアス
(72)【発明者】
【氏名】リエガー イェンス ローベルト
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/118953(WO,A1)
【文献】特開平05-240244(JP,A)
【文献】特開昭58-181596(JP,A)
【文献】特開2003-176814(JP,A)
【文献】特開2004-009276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 25/08
B25J 17/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのロボットアーム(3、4)を駆動する第1四節リンク(9、11)を備えるロボットであって、
前記第1四節リンク(9、11)は、クランクと、連結リンク(13、17)と、ロッカーアーム(14、18)とを形成する複数のリンク部材を備え、
前記クランクは前記連結リンク(13、17)に一つのジョイント軸受により接続されると共に、前記連結リンク(13、17)は前記ロッカーアーム(14、18)に他の一つのジョイント軸受により接続され、
前記ジョイント軸受の少なくとも一つは、
シャフト(21)と、
前記シャフト(21)上に設けられた二つのアキシャル軸受(43、44、45、46)と、
前記アキシャル軸受に軸方向の予圧力を加える弾性圧縮可能な予圧部材(4、65、66)を備え、
前記複数のリンク部材のうち、前記クランク、前記連結リンク(13、17)、または、前記ロッカーアーム(14、18)のうちのいずれかを形成する一対のリンク部材は、前記シャフト(21)上で前記二つのアキシャル軸受(43、44、45、46)の間に回転可能に取り付けられ、
前記予圧部材(49、65、66)は、前記一対のリンク部材の間に配置され、前記一対のリンク部材のそれぞれに対して軸方向外側に向かう予圧力を加えることを特徴とするロボット。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットにおいて、前記アキシャル軸受(22、23、43、44、45、46、54、55、63、64、69)の少なくとも一つは、前記シャフト(21)の各軸方向端部に設けられた係止部、スペーサスリーブ(47、48、58、67、68)および/または前記予圧部材(33、49、52、53、56、57、65、66)の少なくとも一つに軸方向に当接することを特徴とするロボット。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットにおいて、前記係止部の少なくとも一つが前記シャフトまたは前記シャフト(21)の肩部に取り付けられた軸方向外側リンク部材(26、27)によって形成されることを特徴とするロボット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロボットにおいて、前記予圧部材(33、49、52、53、56、57、65、66)は圧縮コイルばね、皿ばね、フィンガースプリングワッシャ、弾性Oリング、エラストマーリング、またはばね座金であることを特徴とするロボット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロボットにおいて、少なくとも一つのスペーサスリーブ(47、48、58、67、68)が前記シャフト(21)上の前記予圧部材(33、49、52、53、56、57、65、66)に軸方向に隣接して配置されることを特徴とするロボット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロボットにおいて、いくつかの回転可能に取り付けられるリンク部材(35、36、37、38、59、60)が前記シャフト(21)上に設けられることを特徴とするロボット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のロボットにおいて、前記シャフト(21)は、外側リンク部材(26、27)が所定の軸方向位置で前記シャフト(21)に接続されるよう取り付けられる少なくとも一つの軸方向端部に肩部(28、29)を備えることを特徴とするロボット。
【請求項8】
請求項7に記載のロボットにおいて、前記シャフト(21)は、内部シャフト(50)と、前記内部シャフト(50)上に滑り嵌めされる中空シャフト(51)とを備え、前記肩部(28、29)は前記中空シャフト(51)の端面により形成されることを特徴とするロボット。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のロボットにおいて、前記ジョイント軸受は、軸方向に対称であることを特徴とするロボット。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のロボットにおいて、前記シャフト(21)は、二つの軸方向外側リンク部材(26、27)の間の径が均一であることを特徴とするロボット。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のロボットにおいて、
前記ロボットは、第2四節リンク(10、12)を備え、
前記第2四節リンク(10、12)は、クランク、連結リンク(15、19)、およびロッカーアーム(16、20)を形成する複数の第2のリンク部材を備え、
前記第1四節リンク(9、11)の前記ロッカーアーム(14、18)は、前記第2四節リンク(10、12)の前記クランクに相当し、
前記第1四節リンク(9、11)の前記連結リンク(13、17)と、前記第2四節リンク(10、12)の前記クランクと、前記第2四節リンク(10、12)の前記連結リンク(15、19)との間の接続は、前記ジョイント軸受として構成されることを特徴とするロボット。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載のロボットにおいて、前記第1または第2四節リンク(9、10、11、12)の前記クランク、リンク(13、15、17、19)またはロッカーアーム(14、16、18、20)は、回転可能に取り付けられる前記ジョイント軸受の少なくとも一つのリンク部材(24、35、36、37、38、59、60)により形成されることを特徴とするロボット。
【請求項13】
ロボット用のジョイント軸受を組み立てる方法であって、前記ロボットは、少なくとも一つのロボットアーム(3、4)を駆動する第1四節リンク(9、11)を備え、
前記第1四節リンク(9、11)は、クランクと、連結リンク(13、17)と、ロッカーアーム(14、18)とを形成する複数のリンク部材を備え、
前記クランクは前記連結リンク(13、17)に一つのジョイント軸受により接続されると共に、前記連結リンク(13、17)は前記ロッカーアーム(14、18)に他の一つのジョイント軸受により接続され、
前記ジョイント軸受の少なくとも一つは、以下の工程を含めて組み立てられる方法であって、
シャフト(21)を設け、
二つのアキシャル軸受(43、44、45、46)と、前記複数のリンク部材のうち、前記クランク、前記連結リンク(13、17)、または、前記ロッカーアーム(14、18)のうちのいずれかを形成する一対のリンク部材と、弾性圧縮可能な予圧部材(49、57、65、66)とを前記シャフト(21)上に滑り嵌めし、
前記アキシャル軸受(43、44、45、46)、前一対のリンク部材と、前記弾性圧縮可能な予圧部材(4、65、66)とが自由に変位可能に設けられる軸方向領域が、所定の長さに限られるよう軸方向係止部を前記シャフト(21)上に取り付け
前記一対のリンク部材は、前記シャフト(21)上で前記二つのアキシャル軸受(43、44、45、46)の間に回転可能に取り付けられ、
前記予圧部材(49、65、66)は、前記一対のリンク部材の間に配置され、前記一対のリンク部材のそれぞれに対して軸方向外側に向かう予圧力を加えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトと、二つのアキシャル軸受の間でこのシャフトに回転可能に取り付けられるリンク部材とを有するロボット用ジョイント軸受に関する。本発明は、さらに少なくとも一つのこのようなジョイント軸受を有するロボット、ならびにロボット用ジョイント軸受を組み立てる方法に関する。本発明に係るジョイント軸受は、主にロボットの駆動トレインに用いられる。
【背景技術】
【0002】
ロボット設計について様々な機構が先行技術で公知である。シリアル機構では、駆動部がロボットの各軸に設けられる。しかし、これは、これらの駆動部の重量により移動質量が増大するというデメリットがある。
【0003】
偏心スリーブが圧縮ばねと固定リングとの間でシャフトに取り付けられる産業用ロボット用の装置がCN106989142Aから公知である。
【0004】
これに代えて、例えば、ロボットアームと別個に設けられた装置により各ロボットアームに駆動動作が伝えられるいくつかの駆動部がロボットのベース内に設けられるパラレル機構がロボット設計において公知である。例えば、四節リンクがここで用いられる。
【0005】
加えて、例えば、基礎のシリアル機構がパラレル機構を介して駆動部と組み合わされるハイブリッド機構も公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ハイブリッドおよびパラレル機構は、ロボットアームの間の軸上のみならず、駆動チェーン内部にも多数の取付点を必要とする。これが特に当てはまるのは、精密に構成されたパラレル機構を備えることが好ましいことから、ロボットが大きな作業空間中で柔軟な動きをすることが予定される場合である。
【0007】
ロボットの動作に必要な精密さを実現するためには、軸受を精密に位置決めし、遊びをほぼなくさなければならない。
【0008】
先行技術の各ロボットでは、リンク部材がシャフトに対し径方向にラジアル軸受によって、かつ軸方向に二つのアキシャル軸受の間に取り付けられ、軸方向に係止部によって位置決めされ、精密に位置が調整されたクランプ部材によって軸方向の予圧が加えられる。
【0009】
調整リング、クランプカラーまたはナット(すなわち、シャフト上のその軸方向位置に精密に調整可能な部材)がクランプ部材として用いられる。しかし、軸受予圧のみならず、軸受位置も入念に調整されなくてはならないことから、クランプ部材の初期調整とメンテナンス中の後調整とには、かなりの作業量が必要となる。
【0010】
したがって、本発明の目的は、パラレルおよびハイブリッド機構の要件を満たし、操作の信頼性が高く、かつ製造および組立が複雑すぎないロボット用ジョイント軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シャフトと、シャフトに回転可能に取り付けられる二つのアキシャル軸受の間のリンク部材を少なくとも一つと、を備えるロボット用ジョイント軸受であって、軸方向予圧力をアキシャル軸受に加える弾性圧縮可能な予圧部材が設けられるものを提供する。
【0012】
弾性圧縮可能な予圧部材により、遊びを補償することが可能となり、操作信頼性の高い軸受予圧が得られる。加えて、本発明のジョイント軸受は、作用する力が径方向に主に向けられることから十分に精密である。なお、軸方向に生じる力は、十分な位置精度をもって吸収可能である。
【0013】
予圧部材の弾性圧縮により所定の予圧力が軸方向に加えられることから、本発明にかかる構成により精密な予圧が可能となる。さらに、リンク部材は予圧部材によって位置が揃えられ、製造公差を補償可能である。
【0014】
具体的に、アキシャル軸受は、軸転がり軸受、円錐ころ軸受、プラスチック、金属、複合材料、または焼成金属製のカラーを有する摺動軸受、またはプラスチック、金属、複合材料、または焼成金属製のスラストワッシャである。
【0015】
回転可能に取り付けられるリンク部材は、それぞれラジアル軸受によってシャフトに取り付けられる。具体的に、これらはプラスチック、金属、複合材料、または焼成金属製のカラーを有してもよいラジアル転がり軸受、円錐ころ軸受または摺動軸受ブッシュである。ラジアル軸受用の摺動軸受ブッシュは、一端または両端でリンク部材から軸方向に突出し、これにより一端または両端にアキシャル軸受が設けられるよう設計されてもよい。このブッシュは、具体的にスラストワッシャまたはアキシャル軸受の軸受レースを形成する。
【0016】
具体的に、いくつかの部品がシャフト上を調整不能な係止部の間で軸方向に変位可能に配置される。これらの部品としては、回転可能に取り付けられる一つ以上のリンク部材、スペーサスリーブ、アキシャル軸受および/または予圧部材である。係止部は、シャフトに緊結されるリンク部材、シャフト中の径変化部、および/またはナットおよび/または保持カラー等の純粋な固定部材であってよい。
【0017】
アキシャル軸受は、回転可能に取り付けられるリンク部材上に直接配置され、または、予圧部材またはスペーサスリーブ等の他の部品がリンク部材とアキシャル軸受との間に設けられる場合、軸方向に離隔配置される。
【0018】
一つの実施形態において、軸方向に調整不能な係止部がシャフトの各軸方向端部に設けられる。これらの係止部により、回転可能に取り付けられる少なくとも一つのリンク部材と別の部品が配置されるシャフト上のアセンブリ領域の長さが規定される。
【0019】
一つの実施形態において、アキシャル軸受の少なくとも一つは、係止部、スペーサスリーブ、および/または予圧部材の一つに対して軸方向に当接する。このアキシャル軸受によりリンク部材がこれらの部品に対して回転可能となる。
【0020】
具体的に、アキシャル軸受の一つは、一方の側面が係止部に当接し、他方の側面がスペーサスリーブ、予圧部材上、または回転可能に取り付けられるリンク部材に直接当接するよう配置されてよい。
【0021】
具体的に、アキシャル軸受の一つは、回転可能に取り付けられるリンク部材に一方の側面が当接し、回転可能に取り付けられる別のリンク部材、スペーサスリーブまたは予圧部材に他方の側面が当接するよう配置されてよい。
【0022】
具体的に、アキシャル軸受の一つは、一方の側面がスペーサスリーブに当接し、他方の側面が別のスペーサスリーブまたは予圧部材に当接するよう配置されてよい。
【0023】
予圧部材は、一方の側面が係止部に当接し、他方の側面がスペーサスリーブ、アキシャル軸受の一方または回転可能に取り付けられるリンク部材に当接するよう配置されてよい。
【0024】
具体的に、予圧部材は、一方の側面が、回転可能に取り付けられるリンク部材に当接し、他方の側面が、回転可能に取り付けられる別のリンク部材、スペーサスリーブまたはアキシャル軸受の一方に当接するよう配置されてよい。一つの実施形態において、予圧部材は回転可能に取り付けられる一対のリンク部材の間に配置され、一体に回転する対を形成してもよい。
【0025】
具体的に、予圧部材の一つは、一方の側面がスペーサスリーブに当接し、他方の側面が別のスペーサスリーブまたはアキシャル軸受の一方に当接するよう配置されてよい。
【0026】
係止部の少なくとも一つは、シャフト上の軸方向端部領域内に固定または回転可能に取り付けられる軸方向外側リンク部材、シャフトの肩部、または固定部材によって形成されてよい。軸方向外側リンク部材が係止部を形成する場合、別個に設けられた固定部材を省略することができ、これによりジョイント軸受の製造および組立が簡略化される。
【0027】
肩部は、旋削加工により生成されるシャフトの径変化によって設けられてよい。
【0028】
軸方向外側リンク部材は、例えば、螺合によりシャフトの端面に取り付けられてよい。外側リンク部材はシャフトに対して回転可能であってよいが、これに代えて、シャフトに緊結されるのが好ましい。外側リンク部材は、例えば、ねじ、ナットとしての固定部材、バヨネットコネクタを有する張力部材、または具体的にねじを備える別の固定部材によってシャフトに固定される。
【0029】
固定部材は、具体的に、シャフトに所定位置まで滑り嵌めまたは螺合され、これによりシャフト上の所定位置に取り付けられてよい。固定部材はナットまたは保持カラーであってよい。
【0030】
結果として、調整不能な係止部により、アキシャル軸受と回転可能に取り付けられる少なくとも一つのリンク部材、弾性圧縮可能な予圧部材、ならびに任意に設けられるスペーサスリーブと場合により別の部品とが設けられる軸方向距離が定められ、これらの軸方向長さと弾性圧縮可能な予圧部材の弾性とにより軸受の予圧力と回転可能に取り付けられるリンク部材の位置とが規定される。
【0031】
具体的に、予圧力は、一つだけの弾性圧縮可能な予圧部材によって提供されてよい。しかし、別の実施形態では、いくつかの弾性圧縮可能な予圧部材が設けられてもよい。
【0032】
一つの実施形態において、予圧部材は圧縮コイルばね、皿ばね、フィンガースプリング、弾性Oリング(具体的にシールリング)、エラストマーリング、固定プレートまたはばね座金である。これらの部品は、具体的にシャフトの周方向に延び、これにより周方向全体にわたり略均一の予圧力、均一の軸受予圧力、および精密な位置決めが実現される。加えて、所望の弾性特性を得るため、いくつかのこれら同一または異なる部品の組み合わせが予圧部材として設けられてもよい。予圧部材の部品は、例えば二つの半片からなるいくつかの部材からなってもよい。
【0033】
一つの実施形態において、少なくとも一つのスペーサスリーブがシャフト上で予圧部材に軸方向に隣接して配置される。例えば、これにより予圧部材とアキシャル軸受との間の距離を維持することが可能となる。
【0034】
回転可能に取り付けられるいくつかのリンク部材がシャフトに設けられるのが好ましい。回転可能に取り付けられるいくつかのリンク部材が一体に回転するよう設けられてよい。一体に回転可能に取り付けられるリンク部材は、スペーサスリーブと合わせて、内部にアキシャル軸受が設けられる必要のない一体して回転するユニットを形成してよい。具体的に、回転可能に取り付けられるいくつかのリンク部材は、それぞれ一体に回転するリンク部材の対によって設けられてよい。
【0035】
シャフトは少なくとも一方の軸方向端部に、外側リンク部材が取り付けられる肩部を有してもよく、これにより外側リンク部材がシャフトに所定の、調整不能な軸方向位置で接続されるようにされてよい。肩部は、外側リンク部材を固定するための係止部を形成する。この固定は、具体的にリンク部材をシャフトに螺合することによって行われる。外側リンク部材は、具体的にシャフトと一体にのみ回転可能、すなわちシャフトに緊結されてよい。
【0036】
シャフトは、一体形成またはいくつかの部材で形成されてよい。具体的に、シャフトは、具体的に円筒形の中実シャフトとしての内部シャフトと、内部シャフト上に滑り嵌めされる中空シャフトとを備え、上記の肩部は中空シャフトの端面によって形成されてよい。
【0037】
具体的に、内部シャフトに当接する肩部は、中空シャフトの各端面のそれぞれによって設けられてよい。したがって、外側リンク部材の間の距離は、中空シャフトの長さによって決定される。外側中空シャフトに対して回転可能に取り付けられるリンク部材は、この距離内で中空シャフト上に配置可能である。外側リンク部材は、固定部材により中空シャフトの端面に強く押圧されるのが好ましい。
【0038】
ジョイント軸受は、軸方向に対称であるのが好ましい。具体的に、回転可能に取り付けられるリンク部材は、軸方向に中央に対称配置された平面に関して対になって対称に配置される。
【0039】
好ましい実施形態において、シャフトは二つの軸方向外側リンク部材の間で均一の径を有する。これにより、回転可能に取り付けられる少なくとも一つの内側リンク部材と弾性圧縮可能な予圧部材とがシャフトに滑り嵌めされ、その軸方向長さに応じて位置決め可能となる。さらに、これにより軸方向外側リンク部材の間の全ての部品に沿って一定の軸方向予圧力を加えることが可能となる。
【0040】
具体的に、一つ、二つ、三つまたはそれ以上の対の回転可能に取り付けられるリンク部材がシャフトに配置され、全ての回転可能なリンク部材に、弾性予圧部材によって予め決められる同じ軸方向の予圧力が加えられる。
【0041】
それぞれのアキシャル軸受は、これらのリンク部材が互いに対してシンプルに回転可能となるよう、互いに対して独立にそれぞれ回転可能に取り付けられるリンク部材の間に設けられるのが好ましい。
【0042】
以下の部品が、用途に応じて、シャフト上で調整不能な係止部の間に好ましい順に配置される。少なくとも二つのアキシャル軸受、少なくとも一つの回転可能に取り付けられるリンク部材、任意に設けられる少なくとも一つのスペーサスリーブ、および少なくとも一つの弾性圧縮可能な予圧部材。任意の組み合わせの素材の、具体的に以下の素材からなる対を、これらの材料から用いてよい。鋼鉄、焼成青銅、プラスチック素材およびアルミニウム。部品は、軸方向に関して対称に配置されるのが好ましい。
【0043】
任意に設けられる一つ以上のスペーサスリーブと一つ以上の予圧部材とが、シャフト上に配置されてよい。加えて、回転可能に取り付けられるリンク部材を有する複数のジョイント軸受点がシャフト上に配置されてよい。それぞれのアキシャル軸受が軸方向に最も内側のリンク部材の間を除き、回転可能に取り付けられるリンク部材の間に設けられるのが好ましい。これにより、これらは一体に回転する部材として共に動作する。
【0044】
本発明の実施形態によれば、全てのジョイント軸受点は、それぞれ軸方向に等しく予圧され、位置が揃えられる。
【0045】
本発明の別の実施形態において、肩部または軸方向係止部をシャフトに設けて、異なる軸方向予圧力が加えられ、かつ少なくとも一つの(好ましくはいくつかの)回転可能に取り付けられるリンク部材をシャフトの別の軸方向領域に別々に配置され、または位置が揃えられるようにしてもよい。
【0046】
予圧部材は対称であっても、ただ一つの予圧部材がシャフトの一方の側に取り付けられてもよい。
【0047】
スペーサスリーブは、これらが追加的にスラストワッシャとしてのアキシャル軸受の機能を果たすよう、良好な摺動性を有する適切なプラスチック素材、または青銅などの金属からなってよい。
【0048】
ラジアル軸受は、シャフトと回転可能に取り付けられるリンク部材との間に設けられるのが好ましい。具体的に、ラジアル軸受は、回転可能に取り付けられるリンク部材の間に設けられるのが好ましい。
【0049】
シャフトは、具体的に肩部のないシンプルなシャフトとして構成され、軸方向外側リンク部材または代わりに設けられる固定部材がシャフトの端面に取り付けられる。
【0050】
本発明にかかるジョイント軸受はコンパクトかつ頑丈であり、低重量であり、自動的に中心に配置され、予圧力または軸方向位置を調整することなく力が理想的に吸収および分散される。さらに、製造公差が補償され、遊びが少なく操作の信頼性の高い取り付けが可能となる。加えて、ジョイント軸受は高い剛性を有する。
【0051】
具体的に、予圧部材は、軸方向に0.1mmから2mmの間、好ましくは0.2mmから1.3mmの間圧縮されることが意図される。30N(ニュートン)から800Nの間、好ましくは80Nから420Nの間の予圧力が生じる。一つの実施形態において、略180Nから220Nの間の予圧力が生じる。別の実施形態において、略30Nから50Nの予圧力が生じる。このような予圧力は、例えば予圧部材としてフィンガースプリングワッシャを用いることにより実現可能である。
【0052】
予圧部材に皿ばねを用いる場合、同じだけ圧縮することによって二倍の軸方向予圧力が生じるよう直列に(すなわち同じ向きで均一に)配置されても、または軸方向の予圧力が同じ圧縮距離で半分になるよう平行に(すなわち互い違いに)配置されてもよい。具体的に、皿ばねは、軸方向の圧縮により、500N/mmから2500N/mmまで、好ましくは1500N/mmから2000N/mmまでの弾性係数を有する。
【0053】
本発明では、さらに少なくとも一つのロボットアーム、具体的にピボットアーム、サポートアームまたはグリッピングアームを駆動する第1四節リンクを備えるロボットであって、第1四節リンクは、クランクと、リンクと、ロッカーアームとを備え、クランクはリンクに、かつリンクはロッカーアームにそれぞれジョイント軸受により接続され、これらジョイント軸受の少なくとも一つは、上述のように構成されるロボットが提供される。
【0054】
装置による駆動部を有するロボットに四節リンクとしてのジョイント軸受を用いることは、四節リンクにより複数のリンク部材が設けられてクランク、リンクおよびロッカーアームを形成する一方、これらの取り付け部には通常大きな軸方向の力は加わらず、主に径方向の力が加わるという理由で好ましい。
【0055】
運動列中の最初の四節リンク部材(具体的にはクランク)、および/または同じ四節リンク部材および/または後続の四節リンク部材である運動列中の最後の四節リンク部材(具体的にはロッカーアーム)が、具体的にベースまたはロボットアームに軸方向に変位不能に取り付けられ、具体的に緊結されるのが好ましい。クランクは、例えばベース内の装置またはモータに直接フランジ取付されてもよい。しかし、ロッカーアームは、ロボットアームまたはロボットジョイントに軸方向に変位不能に取り付けられてもよい。したがって、一つまたは複数の四節リンクの内側リンク部材の軸方向位置は、運動上の最初および最後の四節リンク部材によって規定される。
【0056】
この四節リンクは、互いにピボットジョイントのようにこの順で接続されるクランク、リンクおよびロッカーアームとしての四節リンク部材を備える。四節リンク部材は、一つ、二つ、三つ、四つまたはそれ以上の、好ましくはジョイント軸受の軸方向に対称に配置されたジョイント軸受のリンク部材により形成されてよい。全体として四節リンク部材を形成するリンク部材は、具体的には略平行に延びる。
【0057】
第1四節リンクに加え、ロボットは、そのクランクが第1四節リンクのロッカーアームに対応する第2四節リンクを備え、第1四節リンクのリンク、第2四節リンクのクランク、および第2四節リンクのリンクの間の接続部は、本発明のジョイント軸受として構成されるのが好ましい。本発明にかかるジョイント軸受をこのような直列接続された四節リンクに用いることで、互いに回転可能な複数の部品が一つのシャフト上のみに配置されることから特に好ましい。
【0058】
一つの実施形態において、第1または第2四節リンクのクランク、リンク、またはロッカーアームは、回転可能に取り付けられるジョイント軸受の少なくとも一つのリンク部材によって形成される。第1または第2四節リンクのクランク、リンク、またはロッカーアームは、それぞれ一体に回転するジョイント軸受の一対のリンク部材によって形成されるのが好ましい。
【0059】
本発明にかかるロボット用ジョイント軸受の組立方法は、シャフトを設ける工程と、アキシャル軸受と、回転可能に取り付けられる少なくとも一つのリンク部材と弾性圧縮可能な予圧部材とをシャフトに滑り嵌めする工程と、アキシャル軸受、回転可能に取り付けられるリンク部材、および弾性圧縮可能な予圧部材が自由に変位可能に設けられる軸方向領域が所定の調整不能な長さに限定されるよう軸方向係止部をシャフトに取り付ける工程とを備える。
【0060】
この方法により、互いに回転可能に取り付けられる複数のリンク部材がシャフト上に設けられる場合であっても、迅速かつ操作の信頼性の高いジョイント軸受の組立が可能となる。
【0061】
本発明にかかる方法により、組み立て時間を低減できる。組立中、全ての部品がシャフト上に所定の順で滑り嵌めされ、少なくとも一方が固定部材または軸方向外側リンク部材によって設けられる係止部間に取り付けられる。係止部の位置が規定されることから、追加の位置揃えは不要であり、部品の位置ならびに軸方向予圧力が理想的に調整される。
【0062】
本発明を、下記図面に示される例示的実施形態を用いてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明にかかるジョイント軸受の少なくとも一つの実施形態が用いられるロボットの斜視図を示す。
図2】本発明にかかるジョイント軸受の第1実施形態の断面図を示す。
図3】本発明にかかるジョイント軸受の第2実施形態の断面図を示す。
図4】本発明にかかるジョイント軸受の第3実施形態の断面図を示す。
図5】本発明にかかるジョイント軸受の第4実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1に示されるロボット1は、垂直軸を中心として回転可能なベース2と、ピボットアーム3と、支持アーム4と、関節アーム5とを備える。上記アーム3、4、5は、シリアル機構に準じて直列に配置される。
【0065】
示されるロボット1は、5軸ロボットまたは6軸ロボットである。ベース2が回転する垂直軸は、ロボット1の第1軸に相当する。ロボット1の第2軸を構成する第1ジョイント6がベース2とピボットアーム3との間に設けられる。ロボット1の第3軸を構成する第2ジョイント7が、ピボットアーム3と支持アーム4との間に設けられる。ロボット1の第4軸を構成する第3ジョイント8が支持アーム4と関節アーム5との間に設けられる。支持アーム4は、別のジョイントによりそれ自体で回転可能とされ、これによりロボット1の別の軸がそこに設けられてもよい。グリッパー(図示略)または別の作業部材が、ロボット1の第5または第6軸を中心として関節アーム5に対して回転可能である。
【0066】
ジョイント6、7により、ピボットアーム3と支持アーム4とがそれぞれの略水平なロボットの第2および第3軸を中心として旋回可能となる。純粋なシリアル機構の場合と同様、第3ジョイント8の駆動モータは、直接、または装置を介して設けられる。装置は駆動ベルトであってもよい。
【0067】
第1ジョイント6と第2ジョイント7との駆動動作は、それぞれ四節リンク9、10、11および12を介して伝えられる。
【0068】
第1四節リンク9と第2四節リンク10とは、後者がベース2に対して旋回可能なように、駆動動作をピボットアーム3に伝えるよう直列配置される。第1四節リンク9は、図1に示されず、第1駆動モータにより旋回可能、かつリンク13に関節接合されて、第1四節リンク9のリンク13を駆動する第1クランクをベース2内に備える。リンク13は、第1四節リンク9のロッカーアーム14に関節接合され、これを駆動する。ロッカーアーム14は、第2四節リンク10のクランクを同時に形成し、第2四節リンク10のリンク15に関節接合され、これを駆動する。第2四節リンク10のロッカーアーム16は、ピボットアーム3に緊結され、その旋回動作中に共に回転する。ロッカーアーム16とピボットアーム3とは一体形成されてもよい。具体的に、ロッカーアーム16とピボットアーム3とは、ジョイント6に対してロッカーを形成する。第1四節リンク9のクランクは、ベース2内のモータまたは装置に、軸方向に変位不能にフランジ取付されてもよい。装置は、駆動ベルト等でもよい。同様に、ロッカーアーム14は軸方向に変位不能にベース2に取り付けられてもよい。最後に、ロッカーアーム16は軸方向に変位不能にジョイント6に取り付けられてもよい。
【0069】
支持アーム4をピボットアーム3に対して旋回させる駆動動作は、ベース2内の第2駆動モータにより、第3四節リンク11と第4四節リンク12とを介して支持アーム4に伝えられる。第2駆動モータは、ベース2内部に配置され(したがって図1には示されず)、第3四節リンク11のリンク17に関節接合され、これを駆動する第3四節リンク11のクランクを旋回させる。リンク17は、第3四節リンク11のロッカーアーム18に関節接合され、これを駆動する。ロッカーアーム18は、同時に、第4四節リンクのリンク19に関節接合されこれを駆動する第4四節リンク12のクランクである。ロッカーアーム20と支持アーム4とは、第2ジョイント7に対してロッカーとして緊結される。第4四節リンク12のロッカーアーム20は、具体的に支持アーム4と一体形成される。第3四節リンク11のクランクは、軸方向に変位不能にベース2内のモータまたは装置にフランジ取付されてもよい。装置は、駆動ベルトなどであってもよい。ロッカーアーム18は軸方向に変位不能にピボットアーム3に取り付けられてもよい。最後に、ロッカーアーム20は軸方向に変位不能にジョイント7に取り付けられてもよい。
【0070】
上述の四節リンク9、10、11、12のクランク、ロッカーアーム、およびリンクとしての四節リンク部材間のジョイント軸受は、一部またはすべて本発明にかかるジョイント軸受によって実装されてよい。
【0071】
本発明の一つの実施形態において、図2のようなジョイント軸受がロボット1の四節リンク部材間を接続するのに用いられる。
【0072】
図2において、軸方向Aに延びるシャフト21が設けられ、このシャフト21上に、回転可能なリンク部材24がラジアル軸受25上のアキシャル軸受22、23の間に配置される。軸方向外側リンク部材26、27がシャフト21の各軸方向端面に緊結され、具体的にシャフト21の軸方向端部の肩部28、29上に配置される。軸方向外側リンク部材26、27は、それぞれねじ30、31によって肩部28、29の軸方向側面に押圧され、これにより軸方向に正確に取り付けられる。ねじ30、31は、シャフト21内の中央雌ねじ32に螺合される。具体的に、軸方向外側リンク部材26、27は、ねじ30、31が同一平面を形成するよう挿入される面取り部または凹部を有してもよい。軸方向外側リンク部材26、27の内側面により、シャフト上に配置された部品のそれぞれの軸方向係止部が形成される。
【0073】
回転可能に取り付けられるリンク部材24および軸方向外側リンク部材26、27が、それぞれシャフト21から離れる径方向Rにほぼ延びる。
【0074】
アキシャル軸受22、23に軸方向の予圧力を加えて軸方向Aの製造公差を補償するため、皿ばねまたはフィンガースプリングワッシャとしての弾性圧縮可能な予圧部材33が軸方向外側リンク部材26とアキシャル軸受22との間に設けられる。具体的に、予圧部材33は、軸方向外側リンク部材26の凹部34内に設けられる。予圧部材33とアキシャル軸受22の隣接する軸受半片またはアキシャル軸受22自体とは、これがスラストワッシャによって形成される場合、例えば、ピンとしての篏合式連結・係止部材を用いてリンク部材26に対して回転しないよう固定されてもよい。これにより、動作が確実に所望の位置(例えば、アキシャル軸受22とリンク部材24との間)においてのみ起こるようにすることができる。
【0075】
本発明にかかる図2のジョイント軸受の組立方法の実施形態は、以下のように行うことが可能である。シャフト21を、肩部28まで軸方向外側リンク部材26内の開口部にまず挿入し、軸方向外側リンク部材26をねじ30を用いてシャフトに堅固に取り付ける。その後、予圧部材33、アキシャル軸受22、リンク部材24とラジアル軸受25、およびアキシャル軸受23を、シャフト21上に滑り嵌めする。最後に、軸方向外側リンク部材27を肩部29までシャフト21に滑り嵌めし、ねじ31を用いてシャフト21に堅固に取り付ける。肩部28、29により、係止部としての軸方向外側リンク部材26、27の間に、シャフト21上の上記部品の軸方向長さと予圧部材33の弾性とに応じてシャフト21への軸方向の予圧力を決定する空間が形成される。
【0076】
図3は、本発明にかかるジョイント軸受の第2実施形態を示す。本実施形態では、二組のリンク部材35、36、37、38がラジアル軸受39、40、41、42を介してシャフト21上に回転可能に配置される。回転可能に取り付けられるリンク部材35、36、37、38の内の二つにより、クランク、リンク、またはロッカーアーム等の四節リンク部材が形成される。具体的に、一対のリンク部材35、36が四節リンク部材を形成し、一対のリンク部材37、38が別の四節リンク部材を形成する。さらに、ここでも軸方向外側リンク部材26、27が、シャフト21に螺合されて堅固に取り付けられる。一対の軸方向外側リンク部材26、27も四節リンク部材を形成する。
【0077】
アキシャル軸受43、44がシャフトに堅固に取り付けられる軸方向外側リンク部材26、27と、回転可能に取り付けられる軸方向外側リンク部材37、38との間に配置される。さらに、アキシャル軸受45、46が回転可能に取り付けられる軸方向外側リンク部材37、38と、回転可能に取り付けられる径方向内側リンク部材35、36との間に設けられる。スペーサスリーブ47、48が回転可能に取り付けられる軸方向内側リンク部材35、36の軸方向内側に設けられる。弾性圧縮可能な予圧部材49が、スペーサスリーブ47、48の間の中央に設けられる。予圧部材49は、具体的に二枚の対向配置される皿ばねからなる。
【0078】
これにより、シャフト21上の各部品の軸方向長さ、ならびに、肩部28、29によって位置決めされる係止部としての軸方向外側リンク部材26、27の間のシャフト21の軸方向長さにより、予圧部材49の圧縮度合い、したがって、その弾性に応じて、アキシャル軸受43、44、45、46の軸方向予圧力が決定される。ラジアル軸受39、40、41、42は、具体的に摺動軸受として構成されてもよい。アキシャル軸受43、44、45、46は、具体的にスラストワッシャとして構成されてもよい。
【0079】
予圧部材49、スペーサスリーブ47、48、および軸方向内側リンク部材35、36は、一体に回転する部品のブロックを形成する。
【0080】
図3にかかるジョイント軸受は、例えば、図1のロボット1のリンク17、ロッカーアーム18、およびリンク19の間のジョイント軸受に用いることができる。例えば、リンク17は回転可能に取り付けられる軸方向内側リンク部材35、36によって、ロッカーアーム18は回転可能に取り付けられるリンク部材37、38によって、リンク19は軸方向外側リンク部材26、27によって形成される。
【0081】
図4は、本発明にかかるジョイント軸受の第3実施形態を示す。本実施形態において、シャフト21は、内部シャフト50と内部シャフト50上に滑り嵌めされる中空シャフト51とによって形成される。中空シャフト51が内部シャフト50よりも短く構成されることから、肩部28、29は中空シャフト51の端面により形成される。肩部28、29は、軸方向外側リンク部材26、27の当接面を形成する。本実施形態では、予圧部材52、53はシャフト21に緊結される軸方向外側リンク部材26、27と、アキシャル軸受54、55との間に直接配置される。別の予圧部材56、57を、アキシャル軸受54、55の軸方向内部に配置してもよい。これらの予圧部材は、軸方向に向きが互い違いの三つの皿ばねによって形成される。予圧部材56、57は、それぞれ単一の皿ばねによって形成される。しかし、用途に応じて別の組み合わせも可能である。具体的に、予圧部材ごとに皿ばねの数を変更可能である。さらに、予圧部材52、53または予圧部材56、57のいずれかを省略してもよい。スラストワッシャをアキシャル軸受54、55として用いる場合、予圧部材52、53および場合により56、57の摩擦面を拡げる別の摩擦ディスクを用いてスラストワッシャ上の摩擦点を緩和してもよい。これらは予圧部材に固定接続されてもよい。
【0082】
シャフト21上の、アキシャル軸受54、55または予圧部材56、57の軸方向内側に、それぞれ、ラジアル軸受41、42によって回転可能に取り付けられる軸方向外側リンク部材37、38が設けられる。さらに、回転可能に取り付けられる軸方向内側リンク部材35、36がシャフト21上、すなわち中央に配置されたスペーサスリーブ58に直接隣接して設けられる。この実施形態では、回転可能に取り付けられる中央リンク部材59、60が、追加的にシャフト21上にラジアル軸受61、62を介して取り付けられる。アキシャル軸受45、46が回転可能に取り付けられる軸方向外側リンク部材37、38と、回転可能に取り付けられる中央リンク部材59、60との間に設けられる。アキシャル軸受63、64が回転可能に取り付けられる軸方向内側リンク部材35、36と、回転可能に取り付けられる中央リンク部材59、60との間に配置される。
【0083】
図4に示されるジョイント軸受の組立方法は、以下のように行われてもよい。内部シャフト50がまずねじ30により軸方向外側リンク部材26に取り付けられる。中空シャフト51が内部シャフト50上に取り付けられ、軸方向外側リンク部材26の係止部まで滑り嵌めされる。中空シャフト51上に配置される部品が中空シャフト51上に連続的に取り付けられ、最後に軸方向外側リンク部材27がねじ31によって内部シャフト50に取り付けられて、中空シャフト51の端面に押圧される。このように軸方向予圧力は中空シャフト51の長さならびにその上に配置された部品、および予圧部材52、53、56、57の弾性に応じて決定される。予圧部材52、53、56、57は、皿ばねまたは皿ばねのパッケージによって構成される。予圧部材52、56;53、57の間のアキシャル軸受54、55は、具体的にスラストワッシャであってよい。スペーサスリーブ58と軸方向内側リンク部材35、36とは、シャフト21と一体のユニットとして一体に回転可能である。
【0084】
図4にかかるジョイント軸受は、例えば図1のリンク13、ロッカーアーム14、およびリンク15の間に使用可能である。ここで、リンク部材35、36、37、38は、リンク13を形成し、リンク部材59、60はリンク15を形成し、軸方向外側リンク部材26、27はロッカーアーム14を形成する。したがって、リンク13としての四節リンク部材は四つのリンク部材によって形成され、ロッカーアーム14とリンク15としての四節リンク部材は二つのリンク部材によって形成される。
【0085】
図5は、本発明にかかるジョイント軸受の別の実施形態を示す。ここで、弾性予圧部材65、66は、それぞれ回転可能に取り付けられる径方向外側リンク部材37、38に当接するアキシャル軸受45、46の軸方向内部に配置される。本実施形態または他の実施形態において、予圧部材65、66はエラストマーリングとして構成されてもよい。スペーサスリーブ67、68が予圧部材65、66の軸方向内側に配置される。回転可能に取り付けられる軸方向内側リンク部材35、36が、スペーサスリーブ67、68の軸方向内側に設けられる。リンク部材35、36は、内側スペーサスリーブ58と一体に回転可能である。
【0086】
アキシャル軸受69を一方のスペーサスリーブ68と隣接するリンク部材36との間に設けることも可能である。本実施形態およびその他の実施形態において、アキシャル軸受および/またはラジアル軸受は、転がり軸受として構成されてもよい。
【0087】
上記実施形態からわかるように、本発明にかかるジョイント軸受により、コンパクトな構成、個々のリンク部材の複雑な位置調整なしのジョイント軸受の簡単な組み立て、軸受予圧力の簡単な調整、部品(具体的にシャフトに回転可能に取り付けられるリンク部材)の自動位置調整、径方向のシステムの大きな剛性、および軸方向の十分な剛性が実現される。さらに、ジョイント軸受をメンテナンスフリーに構成することも可能であり、一定の軸受予圧力を耐用年数全体にわたって維持することができる。
【0088】
本発明にかかるジョイント軸受によれば、径方向の軸受遊びが少なくとも非常に小さくなり、軸方向の軸受遊びが解消される。径方向の遊びを防止する場合、例えば、回転可能に取り付けられるリンク部材を取り付けるのに円錐ころ軸受を設けてもよい。
【0089】
図2から図5の対称または略対称な実施形態において、リンク部材は、釣り合い力によってシャフト上に対称に整列配置されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5