IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ピペット構造体及びその利用方法
(51)【国際特許分類】
   B01L 3/02 20060101AFI20240325BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240325BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240325BHJP
   C12N 1/02 20060101ALN20240325BHJP
【FI】
B01L3/02 B
G01N1/00 101K
C12M1/00 A
C12N1/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021513839
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019049283
(87)【国際公開番号】W WO2020055623
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】62/729,626
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】パルド,アナ マリア デル ピラール
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,グレゴリー ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】タナー,アリソン ジーン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206334690(CN,U)
【文献】中国実用新案第204294248(CN,U)
【文献】米国特許第05494828(US,A)
【文献】特公昭48-010192(JP,B1)
【文献】特開昭63-100940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0125696(US,A1)
【文献】米国特許第05693033(US,A)
【文献】米国特許第06497155(US,B1)
【文献】国際公開第2007/119448(WO,A1)
【文献】特表2017-532974(JP,A)
【文献】特許第5902319(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 3/00-02
C12M 1/00、26-32
C12N 1/02
G01F 11/00、19/00
G01N 1/00-44、35/00-10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペット構造体であって、前記ピペット構造体は:
第1の流体通路を画定する第1の本体セクション;及び
試料導入端部を備える第2の本体セクションであって、接合点において前記第1の本体セクションに接続され、前記第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を画定する、第2の本体セクション
を備え、
前記ピペット構造体は、以下の特徴(i)及び(ii):
(i)前記接合点は、前記第1の本体セクションと前記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備える;及び
(ii)前記第2の流体通路は、前記試料導入端部と前記接合点との間に、前記試料導入端部における幅寸法が前記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅、及び前記試料導入端部と前記接合点との間に、前記試料導入端部における幅寸法が前記接合点における幅寸法より小さな、不均一な横幅を備える
両方を有する、ピペット構造体。
【請求項2】
一体型メスピペットとして具現化され、
前記第1の本体セクションは前記一体型メスピペットの管状本体を構成し;
前記第2の本体セクションは前記一体型メスピペットの先端領域を構成し;
前記管状本体は前記一体型メスピペットの前記先端領域と吸口領域との間に配置される、請求項1に記載のピペット構造体。
【請求項3】
メスピペットと共に使用するための拡張先端装置として具現化され、
前記第1の本体セクションは、前記メスピペットの先端領域を受容するよう構成されたキャビティを画定する、請求項1に記載のピペット構造体。
【請求項4】
前記キャビティは内面によって範囲を定められ、前記内面は、前記拡張先端装置と前記メスピペットの前記先端領域との間の封止を促進するための封止リングを受承するよう構成された、環状凹部を画定するか;
前記第2の本体セクションの、前記試料導入端部付近の少なくとも一部分は、長手方向中心軸を備え、前記試料導入端部の先端は、前記長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断されるか;
前記試料導入端部の前記先端は、前記長手方向中心軸に対する垂直方向から5°~45°の範囲内の角度で切断されるか;
前記試料導入端部の前記先端は、一次幅寸法及び横幅寸法を備え、前記一次幅寸法は前記横幅寸法より少なくとも約2倍大きいか;
前記試料導入端部における前記一次幅寸法は、前記接合点における前記幅寸法より大きく、前記試料導入端部における前記横幅寸法は、前記接合点における前記幅寸法より小さいか;
前記第1の本体セクション及び前記第2の本体セクションは、少なくとも1つのポリマー材料を含み;又は
これらの組み合わせである、請求項3に記載のピペット構造体。
【請求項5】
前記第1の本体セクションと前記第2の本体セクションとの間に、前記接合点の少なくとも一部分に沿って、溶接界面を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のピペット構造体。
【請求項6】
前記第1の本体セクション及び前記第2の本体セクションは、前記第2の本体セクションの長手方向中心軸を、前記第1の本体セクションの長手方向中心軸に対して100°~170°の範囲内の角度で配向できるよう構成される、又は構成可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載のピペット構造体。
【請求項7】
前記第1の本体セクションと前記第2の本体セクションとの間に配置された非直線状曲管移行部を更に備え、
前記非直線状曲管移行部は、5°~60°の範囲内の、前記第1の本体セクションの前記長手方向中心軸及び前記第2の本体セクションの前記長手方向中心軸の間の角度の余角である移行角度を有する、請求項6に記載のピペット構造体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第120条の下で、2018年9月11日出願の米国仮特許出願第62/729626の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は依拠され、その全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は一般に、一体型メスピペット等のピペット構造体、及び上記メスピペットと共に使用するための拡張先端装置、並びにこのようなピペット構造体を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ピペットは、通常は両端部に開口を有し、測定された量の液体を分注するよう設計された、周知の管状装置である。ピペットは、流体の正確な測定及び送達が要求される多数の産業、特に医学及び実験室の試験及び分析の分野において広く使用されてきた。メスピペットは典型的には、一方の端部が先細である直管状のガラス管又はプラスチック管を具現化したものであり、1つのピペットで様々な量の液体を測定できるように、小さく区分けして目盛付けされている。メスピペットは、モールピペット(先端付近で先細りが始まる前に終了する目盛線を有する)、及び血清学ピペット(先端付近の先細領域まで続く目盛線を有する)を含む。
【0004】
ピペットを製作するための複数の異なる方法が存在しており、これらの方法は、(i)吸口部及び先端構成部品を中空管に溶接すること、(ii)太管を再加熱し、その後下方に引出し、ピペットの一端又は両端をトリミングして、先端及び吸口部を形成すること、並びに(iii)真空成形及び吹込み成形を含む、圧力差の印加による成形を含む。
【0005】
ピペットを形成するための方法(iii)による、圧力差の印加による成形の例は、「Unitary Serological Pipette and Methods of Producing The Same」という名称の特許文献1に開示されており、これはコーニング社へ譲渡され、参照により本明細書に援用される。このような方法により製造できる例示的なピペット10は図1Aに示されており、ここでピペット10は、先端領域16、本体領域14、及び吸口領域12を含み、上述の領域の部分拡大図が図1B~1Dにそれぞれ示されている。(図1A~1Dは特許文献1に含まれる図に対応し、上記刊行物の内容は参照により本明細書に援用される。)吸口領域12、本体領域14、及び先端領域16はそれぞれ、対応する壁厚(即ち吸口厚さ22、本体厚さ24、及び先端厚さ26)、並びに対応する直径(即ち吸口直径32、本体直径34、及び先端直径36)を有し得る。図1B~1Dはまた、ピペット10を、空間18を囲む湾曲した内面11を有するものとして示す。図1Aを参照すると、ピペット10は、長手方向軸に沿って整列された吸口13及び先端15を含み、また吸口13付近にフィルタ19を含む。任意に、ピペット10は、吸口領域12と本体領域14との間の吸口‐本体移行領域20、並びに本体領域14と先端領域16との間の本体‐先端移行領域21を有してよい。特定の実施形態では、実質的に平滑な内面31が移行領域20、21に設けられ、これにより、流体及び/又は微粒子材料の残留が低減される。ピペット10は、ピペット10内の空間に収容された液体の体積を示すために(少なくとも)本体領域14の外面30に沿って印刷(またはインプリント)された、一連の体積目盛線17を有してもよい。ピペット10は、特定の体積(例えば、1mL、2mL、5mL、10mL、25mL、50mL、100mL、又は別の所望の体積)の液体を保持するようにサイズ設定されていてよい。ピペット10は、いずれの適切な材料、例えばガラス又はポリマー(例えばポリスチレン、ポリエチレン若しくはポリプロピレン)で製造できる。
【0006】
任意に、吸口厚さ22、先端厚さ26、又は吸口厚さ22及び先端厚さ26の両方は、本体厚さ24と同様であってよい。特定の実装形態では、吸口厚さ22、先端厚さ26、及び本体厚さ24のうちの1つ、いくつか、又は全ては、0.25mm~2.5mm、又は0.4mm~1.5mm、又は0.6mm~1.0mm、又は0.25mm~約0.5mm、又は約0.25mm~約0.5mmの範囲内であってよい。吸口領域12及び先端領域16の厚さを厚くすると、例えば使用中の損傷又は破損に対するこれらの領域の耐性を高めることによる、特定の利点を提供できる。吸口直径32、本体直径34、及び先端直径36はそれぞれ、外側(例えばピペット10の外面上の対向する点の間)において測定してよい。任意に、本体直径34は、吸口直径32又は先端直径36より大きくてよい。具体的な本体直径34は、ピペット10が保持するようにサイズ設定される液体の体積に応じたものであってよい。特定の例では、本体直径は、約4.0mm~約25.0mmの範囲内であってよい。
【0007】
圧力差を印加しながら成形することによるピペット10の製造は、加熱されたパリソン(例えば、典型的には中空円筒体の形状の管又はプリフォーム)を型内に供給し、パリソンの内部と外部との間に圧力差を生じさせることで、パリソンを膨張させて上記型のキャビティに合致させることを含んでよい。任意に、加熱されたパリソンを型内へと直接押出成形してよい。パリソンは、いずれの適切な材料(ポリスチレン及びポリプロピレン等のポリマー、又はガラスを含む)で、例えばポリマー溶融物を押出成形して中空円筒管を形成することにより、製造してよい。パリソンの壁部にまたがる圧力差は、パリソンの内部に加圧ガス(例えば0.05~1.5MPaの圧縮空気)を供給することによって、又は型のキャビティを画定する面に沿って大気圧未満の条件(例えば0.01~0.09MPaの圧力の真空条件としても知られる)を生じさせることによって、形成してよい。膨張した材料(この時点でピペットとして具現化されている)が十分に冷却されると、型が開放されてピペットが排出され、型は(例えば型内への押出成形によって)別の加熱されたパリソンを受容して、このプロセスを繰り返すことができる。その後、(典型的には繊維材料で構成される)フィルタ19をピペット10の吸口13内に挿入して、吸口領域12内で保持してよい。
【0008】
ピペットは、細胞培養装置を含む様々な商業上の及び実験室の状況において、材料(例えば液体)を移送するのに有用であり得る。従来の2次元(2D)細胞培養は、基板(例えばペトリ皿の中の寒天)上での層タイプの細胞の増殖を伴う。3次元(3D)細胞培養は、細胞の凝集体又はクラスタ(例えばスフェロイド)を、3次元の全ての次元において増殖させる、及び/又は(細胞が主に基板と相互作用する2D細胞培養と比較して)主に互いに相互作用させる、人工的に作り出された環境における、細胞の増殖を伴う。3D細胞培養は、少なくとも、細胞が基板に付着するのではなく互いに相互作用するため、3D条件が細胞コミュニケーション及び細胞外マトリックスの発現に関して生体内環境をより正確にモデル化するという理由で、2D細胞増殖法に対する改善を示す。
【0009】
スフェロイドをベースとしたアッセイの問題の1つは、アッセイの結果が、典型的にはスフェロイドのサイズによって変動することである。例えば、システムごとの変数の変動(例えば播種密度及び増殖時間)は、システムごとの、又は所与のシステム内のウェルごとの、アッセイの再現性に影響を及ぼし得る。細胞培養装置内で増殖する細胞の密度が上昇するにつれて、より大きな体積の細胞培養培地、又は細胞培養培地のより頻繁な交換が、細胞を維持するために必要となり得る。しかしながら、培地交換の頻度の増加は不便であり得る。加えて、細胞培養培地の体積の増加は、培養される細胞の上の培地の高さの望ましくない増加につながり得る。培地の高さが増加するにつれて、培地を通じた細胞のためのガス交換速度は低下する。
【0010】
3D細胞凝集体の培養に適したマイクロウェルのアレイを含む例示的な細胞培養フラスコ又はハウシングが、コーニング社の「Devices and Methods for Generation and Culture of 3D Cell Aggregates」という名称の特許文献2に開示されており、これはコーニング社へ譲渡され、参照により本明細書に援用される。上述の刊行物による第1の例示的な細胞培養ハウジングは、本出願の図2Aに再現される。細胞培養ハウジング40は細胞培養チャンバ42を取り囲み、細胞培養チャンバ42は、細胞培養チャンバ42の底部に沿ってマイクロウェル46のアレイを画定する構造化表面44(図2Aの構造化表面の中央部分50の拡大図である図2Bにも示されている)の範囲を定める。細胞培養ハウジング40は更に、上壁52、及び構造化表面44から上壁52まで上向きに延在する側壁54を含む。細胞培養ハウジング40は更に、ねじキャップ58を有する開口として具現化され得るポート56を含む。使用中、細胞培養チャンバ42の少なくとも一部分は、マイクロウェル46に内包された細胞の上の細胞培養培地の所望の高さの、細胞培養培地で充填してよい。
【0011】
3D細胞凝集体を培養するためのハウジングは、操作要件が2D細胞培養に適した容器とは異なる。高密度3D細胞培養ハウジングの文脈では、細胞凝集体/スフェロイドを除去することなく、使用済み細胞培養培地を定期的に除去することが必要である。別途、培養全体を中断することなく、選択された細胞凝集体/スフェロイドの試料を3D細胞培養ハウジングから採取する必要が頻繁にある。
【0012】
組織培養フラスコから培地を吸引するためには、一般に、従来の血清学ピペット(例えば2mL容量)が使用される。このようなピペットの使用は、付着性2D細胞培養のための十分に確立された方法であるが、マイクロウェルのアレイ(例えば図2Aに示すもの)を含む細胞培養ハウジングは、位置上の制約を有する。マイクロウェルを画定する構造化表面に対する先端の水平からの角度が大きすぎる場合、細胞凝集体/スフェロイドはマイクロウェルから移動し、培養が台無しになる。標準的な血清学ピペットは、細胞凝集体を容易に乱す及び/又は除去する可能性がある。ペトリ皿及びウェルプレート上で一般に使用されるピペット先端吸引器は、無菌状態に関する懸念により、細胞培養ハウジングと共に使用できない。ウェルプレート又はペトリ皿からの凝集体/スフェロイドの採取に使用できる大口径ピペットは、構造化表面内に画定されるマイクロウェルに対する細胞培養ハウジングポートの幾何学的形状を少なくとも一因として、細胞培養ハウジングへ、及び細胞培養ハウジングからの材料の移送に不適当であり得る。
【0013】
図3は、従来の血清学ピペット60の一部分を受容する、別の細胞培養ハウジング70の側面の部分断面図である。細胞培養ハウジング70は、細胞培養培地78を内包する細胞培養チャンバ72を取り囲み、細胞培養チャンバ72の底部は、マイクロウェル76のアレイを画定する構造化表面74を内包する。細胞培養ハウジング70は更に、上壁82、構造化表面74から上壁82まで上向きに延在する側壁84、及び外向きかつ上向きに延在してポート開口85を画定する管状首部86を含む。管状首部86の中心軸は、上向きに鋭角(例えば20°~45°の範囲内)の角度を有してよい。管状首部86は、ねじ付きキャップ(図示せず)を受承するのに適した雄ねじ87を含む。血清学ピペット60は、吸口領域62、管状本体領域64、及び先端領域66を含み、上記領域62、64、66は、長手方向軸に沿って整列された吸口63と先端65との間に、順次配置される。ピペット60の内容物の測定を補助するために、目盛線が、管状本体領域64の少なくとも一部分に沿って設けられる。図3に示すように、ピペット60は管状首部86に、管状首部86と細胞培養チャンバ72の底部との間の浅い角度によって決定される浅い角度で挿入される。ピペット60のこの浅い角度での位置決めにより、先端65は、構造化表面74に対して明らかに非平行に配置され、これにより、所望のマイクロウェル76から、特にポート開口85から遠距離に配置されたマイクロウェルから、細胞凝集体の試料を抜き取ることが困難になる。ピペット60の先端65に画定された開口の直径が小さいことも、複数の隣接したマイクロウェル76から細胞凝集体を同時に抜き取る能力を制限する。比較的大きなピペットは比較的大きな先端開口を備え得るが、ポート開口85に対するピペット本体の操作性を考慮するため、直径が大きいピペットは、図3に示すような細胞培養ハウジング70と共に使用できない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第2017/091540号明細書
【文献】国際公開第2016/069892A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上のことを考えると、上記の欠点を有しない装置、及びマイクロウェルのアレイを含む細胞培養ハウジングと共に使用するための改良された材料移送方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ピペット構造体は、接合点において接続された第1の本体セクション及び第2の本体セクションを含み、これらはそれぞれ第1及び第2の流体通路を含み、(i)上記ピペット構造体は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含み、及び/又は(ii)上記第2の本体セクションの上記第2の流体通路は、試料導入端部において、上記接合点における幅寸法よりも大きな幅寸法を有する。一体型メスピペット又はメスピペットのための拡張先端装置として具現化できる、上記ピペット構造体の上述の特徴は、細胞培養ハウジング(例えば複数の細胞の凝集体の3次元培養に適したマイクロウェルのアレイを画定する構造化表面を含む)の内部と上記細胞培養ハウジングの外部の環境との間での材料の移送に対する、上記ピペット構造体の適合性を高めることができる。
【0017】
第1の独自の態様では、本開示はピペット構造体に関し、上記ピペット構造体は、第1の流体通路を画定する第1の本体セクションと、試料導入端部を備える第2の本体セクションであって、接合点において上記第1の本体セクションに接続され、上記第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を画定する、第2の本体セクションとを備える。上記ピペット構造体は更に、以下の特徴(i)又は(ii)のうちの少なくとも一方を有する:(i)上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備える;又は(ii)上記第2の流体通路は、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備える。
【0018】
特定の実施形態では、上記ピペット構造体は特徴(i)を有し;他の実施形態では、上記ピペット構造体は特徴(ii)を有する。更に他の実施形態では、上記ピペット構造体は、特徴(i)と特徴(ii)とを組み合わせて有する。
【0019】
特定の実施形態では、上記ピペット構造体は一体型メスピペットとして具現化され:上記第1の本体セクションは上記メスピペットの管状本体を構成し;上記第2の本体セクションは上記メスピペットの先端領域を構成し;上記管状本体は上記メスピペットの上記先端領域と吸口領域との間に配置される。
【0020】
特定の実施形態では、上記ピペット構造体は、メスピペットと共に使用するための拡張先端装置として具現化され、上記第1の本体セクションは、上記メスピペットの先端領域を受容するよう構成されたキャビティを画定する。特定の実施形態では、上記キャビティは内面によって範囲を定められ、上記内面は、上記拡張先端装置と上記メスピペットの上記先端領域との間の封止及び/又は保持を促進するための封止リングを受承するよう構成された、環状凹部を画定する。
【0021】
特定の実施形態では、上記第2の本体セクションの、上記試料導入端部付近の少なくとも一部分は、長手方向中心軸を備え、上記試料導入端部の先端は、上記長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断される。特定の実施形態では、上記試料導入端部の上記先端は、上記長手方向中心軸に対する垂直方向から5°~45°の範囲内(又は10°~40°の範囲内、又は15~35°の範囲内)の角度で、切断される。
【0022】
特定の実施形態では、上記試料導入端部の先端は、一次幅寸法及び横幅寸法を備え、上記一次幅寸法は上記横幅寸法より少なくとも約2倍大きい。特定の実施形態では、上記試料導入端部における上記一次幅寸法は、上記接合点における上記幅寸法より大きく、上記試料導入端部における上記横幅寸法は、上記接合点における上記幅寸法より小さい。
【0023】
特定の実施形態では、上記第1の本体セクション及び上記第2の本体セクションは、少なくとも1つのポリマー材料を含む。特定の実施形態では、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間に、上記接合点の少なくとも一部分に沿って、溶接界面が設けられる。
【0024】
特定の実施形態では、上記第1の本体セクション及び上記第2の本体セクションは、上記第2の本体セクションの長手方向中心軸を、上記第1の本体セクションの長手方向中心軸に対して100°~170°の範囲内(又は110~160°の部分範囲内、又は115~155°の部分範囲内、又は115~145°の部分範囲内)の角度で配向できるよう構成される、又は構成可能である。
【0025】
特定の実施形態では、非直線状曲管移行部が上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間に配置され、上記非直線状曲管移行部は、5°~60°の範囲内(又は10~50°の部分範囲内、又は15~45°の部分範囲内、又は20~40°の部分範囲内)の移行角度を有する。
【0026】
第2の個別の態様では、本開示は、(i)複数の細胞の凝集体の3次元培養に適したマイクロウェルのアレイを画定する構造化表面を含む、細胞培養ハウジングの内部と、(ii)上記細胞培養ハウジングの外部の環境との間で、少なくとも1つの材料を移送するための方法に関する。上記方法の1つのステップは、上記細胞培養ハウジングのポートを通して、ピペット構造体の少なくとも一部分を上記細胞培養ハウジングの上記内部へと挿入するステップを含み、上記ピペット構造体は:第1の流体通路を画定する第1の本体セクション;試料導入端部を備える第2の本体セクションであって、接合点において上記第1の本体セクションに接続され,上記第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を画定する、第2の本体セクション;及び以下の特徴(i)又は(ii)のうちの少なくとも一方を有する:(i)上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備える;又は(ii)上記第2の流体通路は、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備える。上記方法の更なるステップは、上記ピペット構造体の中へ又は上記ピペット構造体を通して、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取るステップ;及び上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記ピペット構造体の上記少なくとも一部分を引き出すステップを含む。
【0027】
特定の実施形態では、上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備え;上記方法は更に、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップの前に、上記ベローズ継手の枢動を実施して、上記第2の本体セクションの長手方向中心軸と上記第1の本体セクションの長手方向中心軸との間の配向を調整するステップを含む。
【0028】
特定の実施形態では、上記少なくとも1つの材料は、上記細胞培養ハウジングの上記内部の中の細胞培養培地を含み、上記方法は更に、上記試料導入端部を上記構造化表面に対して非接触の関係に維持することによって、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップ中に、上記マイクロウェルのアレイから複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、上記細胞培養ハウジングの上記内部から細胞培養培地を優先的に除去できるようにするステップを含む。
【0029】
特定の実施形態では、上記少なくとも1つの材料は上記複数の細胞の凝集体を含み、上記方法は更に、上記試料導入端部を、上記マイクロウェルのアレイのうちの1つ以上の選択されたマイクロウェルの近傍に維持することによって、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップ中に、上記1つ以上の選択されたマイクロウェルから少なくともいくつかの複数の細胞の凝集体を優先的に除去できるようにするステップを含む。
【0030】
別の独自の態様では、本開示は、上記ピペット構造体を製作するための方法に関し、上記ピペット構造体は、第1の流体通路を画定する第1の本体セクション、及び試料導入端部を備える第2の本体セクションであって、接合点において上記第1の本体セクションに接続され、上記第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を画定する、第2の本体セクションを含む。上記ピペット構造体は更に、以下の特徴(i)又は(ii)のうちの少なくとも一方を有する:(i)上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備える;又は(ii)上記第2の流体通路は、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備える。上記方法は:加熱されたパリソンを型に供給するステップ;上記パリソンの内部と外部との間に圧力差を生成して、上記パリソンを膨張させて上記型のキャビティに合致させるステップ;上記型を開放するステップ;及び上記ピペット構造体を上記型から取り出すステップを含む。
【0031】
別の独自の態様では、更なる利点のために、本明細書中で開示されるいずれの2つ以上の態様又は実施形態を組み合わせてよい。
【0032】
本開示の主題の追加の特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、その一部はその記述から当業者に容易に明らかとなり、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む本明細書に記載される開示の主題を実践することによって認識されるであろう。
【0033】
前述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも、本開示の主題の実施形態を提示するものであり、特許請求の範囲に記載される本開示の主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、本開示の主題の更なる理解を提供するために含まれているものであり、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の主題の様々な実施形態を例示しており、本説明と併せて、本開示の主題の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0034】
以下は、添付の図面中の図の説明である。図は必ずしも縮尺通りではなく、明確性又は簡潔性のために、特定の機能及び特定のビューを、縮尺の点で強調して又は概略的に示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1A】目盛線を有する一体型メスピペットの斜視図
図1B図1Aのピペットの先端領域の拡大斜視図
図1C図1Aのピペットの本体領域の拡大斜視図
図1D図1Aのピペットの吸口領域の拡大斜視図
図2A】3D細胞培養に適したマイクロウェルのアレイを画定する下側構造化表面の範囲を定める細胞培養チャンバを取り囲む、例示的な細胞培養ハウジングの斜視図
図2B図2Aの下側構造化表面の部分拡大図
図3】従来の血清学ピペットの一部分を受容する細胞培養ハウジングの側面の部分断面図
図4A】第1の管状本体セクションに対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含み、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に非直線状曲管移行部(図4Cに示す)を有する、一実施形態による血清学ピペットの正面立面図
図4B図4Aのピペットの後面立面図であり、破線はピペットの内部の流体通路の境界を示す
図4C図4Aのピペットの右側立面図であり、破線はピペットの内部の流体通路の境界を示す
図4D図4A~4Cの実施形態と同様の、代替的な血清学ピペットの後面立面図であり、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断されている
図4E図4A~4Cの実施形態と同様の、代替的な血清学ピペットの右側立面図であり、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断され、ピペットの内部の流体通路の境界を示す破線を含む
図5A】第1の管状本体セクションに対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含み、第1の本体セクション及び第2の本体セクションは共線に配置される、一実施形態による血清学ピペットの正面立面図
図5B図5Aのピペットの正面立面図であり、破線はピペットの内部の流体通路の境界を示す
図5C図5Aのピペットの右側立面図であり、破線はピペットの内部の流体通路の境界を示す
図5D図5A~5Cのピペットの底面図
図6A】第1の管状本体セクションに対して増大した一次幅(及び増大した横幅)を有する第2の本体セクションを含み、第1の本体セクション及び第2の本体セクションは共線に配置される、一実施形態による血清学ピペットの正面立面図
図6B図6Aのピペットの正面立面図であり、破線はピペットの内部の流体通路の境界を示す
図6C図6Aのピペットの右側立面図であり、破線はピペットの内部の流体通路の境界を示す
図6D】ピペットの試料導入端部を円形のものとして示す、図6A~6Cのピペットの底面図
図6E】ピペットの試料導入端部を略正方形のものとして示す、図6A~6Dの実施形態と同様の代替的なピペットの底面図
図7A】第1の管状本体セクションに対して増大した一次幅(及び増大した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による血清学ピペットの正面立面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図7B】第1の管状本体セクションに対して増大した一次幅(及び増大した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による血清学ピペットの右側立面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図7C】第1の本体セクション及び第2の本体セクションを非共線に配置するためのベローズ継手の枢動の後の、図7A~7Bのピペットの右側立面図
図7D図7A~7Cの実施形態と同様の、代替的な血清学ピペットの右側立面図であり、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断され、直線的な構成のベローズ継手は、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図7E】第1の本体セクション及び第2の本体セクションを非共線に配置するためのベローズ継手の枢動の後の、図7Dのピペットの右側立面図
図8A】第1の管状本体セクションに対して一定の一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による血清学ピペットの正面立面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図8B】第1の管状本体セクションに対して一定の一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による血清学ピペットの右側立面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図8C図8A~8Bのピペットの底面図
図8D図8A~8Cの実施形態と同様の、代替的な血清学ピペットの右側立面図であり、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断されている
図9A】メスピペットの先端領域を受容するよう構成された第1の本体セクションを含み、第1の本体セクションに対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による拡張先端装置の正面断面図
図9B】メスピペットの先端領域を受容するよう構成された第1の本体セクションを含み、第1の本体セクションに対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による拡張先端装置の右側断面図
図9C図9A~9Bの拡張先端装置の底面図
図9D図9A~9Cの拡張先端装置の正面の部分断面図であり、メスピペットの先端領域は、拡張先端装置の第1の本体セクションのキャビティ内に受容されている
図10A】拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の封止及び/又は保持を促進するための封止リング(例えばOリング)を受承する環状凹部を含むよう修正された、図9A~9Cの拡張先端装置と実質的に同様の拡張先端装置の正面断面図
図10B】拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の封止及び/又は保持を促進するための封止リング(例えばOリング)を受承する環状凹部を含むよう修正された、図9A~9Cの拡張先端装置と実質的に同様の拡張先端装置の右側断面図
図10C図10A~10Bの拡張先端装置の正面の部分断面図であり、メスピペットの先端領域は、拡張先端装置の第1の本体セクションのキャビティ内に受容されている
図11A】メスピペットの先端領域を受容するよう構成された第1の本体セクションを含み、第1の本体セクションに対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による拡張先端装置の正面断面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図11B】メスピペットの先端領域を受容するよう構成された第1の本体セクションを含み、第1の本体セクションに対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による拡張先端装置の右側断面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図11C図11A~11Bの拡張先端装置の底面図
図11D図11A~11Bの拡張先端装置の正面の部分断面図であり、ここでメスピペットの先端領域は、拡張先端装置の第1の本体セクションのキャビティ内に受容されていえる
図12A】拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の封止及び/又は保持を促進するための封止リング(例えばOリング)を受承する環状凹部を含むよう修正された、図11A~11Cの拡張先端装置と実質的に同様の拡張先端装置の正面断面図
図12B】拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の封止及び/又は保持を促進するための封止リング(例えばOリング)を受承する環状凹部を含むよう修正された、図11A~11Cの拡張先端装置と実質的に同様の拡張先端装置の正面断面図
図12C図12A~12Bの拡張先端装置の正面の部分断面図であり、メスピペットの先端領域は、拡張先端装置の第1の本体セクションのキャビティ内に受容されている
図13図9A~9Cの拡張先端装置と同様の、一実施形態による拡張先端装置の右側立面図であり、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断されている
図14図9A~9Cの拡張先端装置と同様の、一実施形態による拡張先端装置の右側立面図であり、非直線状曲管移行部が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図15図11A~11Cの拡張先端装置と同様の一実施形態による拡張先端装置の右側立面図であり、非直線状曲管移行部が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に、ベローズ継手に近接して配置され、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断されている
図16A図11A~11Cの拡張先端装置と同様の、一実施形態による拡張先端装置の正面立面図であり、第2の本体セクションは、第1の本体セクションの幅に対して増大した一次幅及び増大した横幅を有する
図16B】ピペットの試料導入端部を円形のものとして示す、図16Aの拡張先端装置の底面図
図16C】拡張先端装置の試料導入端部を略正方形のものとして示す、図16Bの実施形態と同様の代替的な拡張先端装置の底面図
図17A】第1の本体セクションに対して一定の一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による拡張先端装置の正面立面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図17B】第1の本体セクションに対して一定の一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクションを含む、一実施形態による拡張先端装置の右側立面図であり、直線的な構成のベローズ継手が、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されている
図17C図17A~17Bの拡張先端装置の底面図
図17D図17A~17Cの実施形態と同様の、代替的な拡張先端装置の右側立面図であり、試料導入端部の先端は、第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断されている
図18A】一実施形態による血清学ピペットの一部分を受容する細胞培養ハウジングの側面の部分断面図であり、ピペットは、ピペットの第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含み、第1の本体セクション及び第2の本体セクションは非共線に配置され、ピペットの試料導入端部は、複数の細胞の凝集体を1つ以上の選択されたマイクロウェルから優先的に除去するように、切断され、マイクロウェルに近接して位置決めされている
図18B図18Aの細胞培養ハウジング及びピペットの側面の部分断面図であり、第1の本体セクション及び第2の本体セクションは共線に配置され、ピペットの試料導入端部は、細胞培養ハウジングの構造化表面から離間しており、また、マイクロウェルのアレイから細胞複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、細胞培養ハウジングの内部から細胞培養培地を優先的に除去するよう配置される
図19A】血清学ピペットの先端領域を受容する一実施形態による拡張先端装置を受容する細胞培養ハウジングの側面の部分断面図であり、拡張先端装置は、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含み、第1の本体セクション及び第2の本体セクションは非共線に配置され、拡張先端装置の試料導入端部は、複数の細胞の凝集体を1つ以上の選択されたマイクロウェルから優先的に除去するように、切断され、マイクロウェルに近接して位置決めされている
図19B図19Aの細胞培養ハウジング、拡張先端装置、及び血清学ピペットの側面の部分断面図であり、第1の本体セクション及び第2の本体セクションは共線に配置され、拡張先端装置の試料導入端部は、細胞培養ハウジングの構造化表面から離間しており、また、マイクロウェルのアレイから細胞複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、細胞培養ハウジングの内部から細胞培養培地を優先的に除去するよう配置される
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、ピペット構造体に関し、上記ピペット構造体は、接合点において接続された第1の本体セクション及び第2の本体セクションを含み、これらは第1及び第2の流体通路を含み、(i)上記ピペット構造体は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含み、及び/又は(ii)上記第2の本体セクションの上記第2の流体通路は、試料導入端部において、上記接合点における幅寸法よりも大きな幅寸法を有する。このようなピペット構造体は、一体型メスピペット又はメスピペットのための拡張先端装置として具現化できる。
【0037】
上述の特徴(i)及び(ii)は、細胞培養ハウジング(例えば複数の細胞の凝集体の3次元培養に適したマイクロウェルのアレイを画定する構造化表面を含む)の内部と上記細胞培養ハウジングの外部の環境との間での材料の移送を補助できる。第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手の存在により、本体セクション間の角度を所望に応じて変化させることができる。このような角度変化は、例えば細胞培養ハウジング(図2A及び3に示す細胞培養ハウジング等)の構造化表面に沿った異なる複数のマイクロウェル領域を標的とするために有利であり得る。あるいは、このような角度変化は:材料抜き取りステップ中に細胞培養培地を細胞培養ハウジングの内部から優先的に除去するために、試料導入端部をマイクロウェルから離して位置決めするため;又は材料抜き取りステップ中に少なくともいくつかの複数の細胞の凝集体を優先的に除去するために、試料導入端部を1つ以上の選択されたマイクロウェルに近接して位置決めするために、有用であり得る。
【0038】
試料導入端部と接合点との間に不均一な幅を有し、試料導入端部における幅寸法が接合点における幅寸法より大きい、第2の流体通路の存在により、有益なことに、細胞培養ハウジング(図2A及び3に示す細胞培養ハウジング等)のポート開口に対するピペットの操作性を妨げる大径管状ピペット本体セクションを必要とせずに、細胞培養ハウジングの複数の隣接したマイクロウェルから複数の細胞の凝集体を同時に抜き取ることができる。
【0039】
上述の特徴(i)及び(ii)のうちの一方又は両方と組み合わせると、本開示によるピペット構造体は、更なる特徴を含むことができる。特定の実施形態は、ピペット構造体の試料導入端部の、図2A及び3の細胞培養ハウジングによる幾何学的制限を有する細胞培養ハウジングの所望の領域にアクセスする能力を高める、特徴を含むことができる。例えば、特定の実施形態では、試料導入端部の先端は、試料導入端部に近接した第2の本体セクションの長手方向中心軸に対して非垂直な角度(例えば5°~45°又は本明細書中で指定されるその他の角度範囲)で切断される。特定の実施形態では、ピペット構造体は、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に恒久的な屈曲部を含んでよい。このような屈曲部は、例えば第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置された非直線状曲管移行部によって提供でき、上記非直線状曲管移行部は、5°~60°の範囲(又は本明細書中で指定される他のいずれの角度範囲)内の移行角度を有する。
【0040】
特定の実施形態では、本明細書中で開示されるピペット構造体は、成形(真空成形及び/若しくは吹込み成形)、事前に製作された(例えば押出若しくは成形済みの)構成部品の溶接、並びに/又は他の製作技法等の1つ以上の方法によって、ガラス又はポリマー材料から製造してよい。ポリマー材料の溶接は、超音波溶接、レーザ溶接、及び/又は溶剤溶接(溶剤接合法とも呼ばれる)を含んでよい。特定の実施形態では、ピペット構造体の全ての構成部品は、組成的に同一であってよい。
【0041】
製作後、本明細書中で開示されるピペット構造体を、ユーザへの出荷に備えて、殺菌し、適切な無菌パッケージで包装してよい。拡張先端装置が提供されると、上記装置は有益なことに、無菌状態を損なうことなく、従来のピペットと共に使用できる。特定の実施形態では、本明細書中で開示される複数の同一の拡張先端装置を互いに積み重ねたときに、少なくとも部分的に互いに入れ子になるよう構成してよい。このような構成は、複数の拡張先端装置を1つのパッケージ(例えば殺菌済みパッケージ)又はディスペンサの中で積み重ねる場合に、包装効率を提供し得る。
【0042】
本明細書中で開示されるピペット構造体の様々な特徴及び態様は、添付の図面及びその説明を検討することにより、明らかになるであろう。
【0043】
図4A~4Cは、吸口端部101に近接した吸口部102、全体的に管状である第1の本体セクション104、及び試料導入端部109に近接した第2の本体セクション106を含む、一実施形態による血清学ピペット100を示す。第1の本体セクション104は、一連の目盛線103を含み、全体的に一定の直径を有する。非直線状曲管移行部108(図4A及び4Cにおいて確認できる)は、第1の本体セクション104と第2の本体セクション106との間の接合点105(任意に溶接界面を含む)に配置される。第2の本体セクション106は、試料導入端部109の試料導入ポート110に向かって開いている流体通路112(即ち第2の流体通路112)の範囲を定める、壁構造体107を含む。対応する流体通路114、116が、第1の本体セクション104及び吸口部102(並びに曲管移行部108)内に画定され、またこれらは、第2の本体セクション106内に画定された流体通路112と流体連通する。第1の本体セクション104及び第2の本体セクション106内にそれぞれ画定された流体通路114、112はこれ以降、第1の流体通路114及び第2の流体通路112と呼ぶ場合がある。
【0044】
ピペット100の様々なセクションは、一次幅寸法W図4Aに示す)、及び一次幅寸法Wに直交し得る横幅寸法W図4Cに示す)を含む。図4A及び4Bに示すように、第2の本体セクション106は、試料導入端部109に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション104の一次幅より大きな、不均一な一次幅を有し、第2の流体通路112は、試料導入端部109に近づくにつれて増大する、第1の流体通路114の一次幅より大きな一次幅を有する。図4Cを参照すると、第2の本体セクション106は、試料導入端部109に近づくにつれて減少する、第1の本体セクション104の横幅より小さな、不均一な横幅を有し、第2の流体通路112は、試料導入端部109に近づくにつれて減少する、第1の流体通路114の横幅より小さな横幅を有する。試料導入端部109と接合点105との間に不均一な幅を有し、試料導入端部109における一次幅寸法が接合点105における一次幅寸法より大きい、第2の流体通路112の存在により、有益なことに、ピペット100は、細胞培養ハウジングの複数の隣接したマイクロウェルから複数の細胞の凝集体を同時に抜き取ることができる。
【0045】
図4Cに示すように、第1の本体セクション104は、第2の本体セクション106の長手方向中心軸118に対して非平行である長手方向中心軸119を有し、このような軸119、118は互いに対して角度αで配向される。特定の実施形態では、角度αは、100°~170°の範囲内(又は110°~160°の範囲内、又は115°~155°の範囲内、又は120°~150°の範囲内)であってよい。この角度αは、非直線状曲管移行部108のための移行角度として機能する余角を有してよく、ここで移行角度は、10°~80°の範囲(又は上で概説した角度αに関する範囲に対して相補的な他のいずれの範囲)内であってよい。
【0046】
特定の実施形態では、本明細書中で開示されるピペットは、第2の本体部分の長手方向中心軸に対して非平行な角度で切断された、試料導入端部の先端を含んでよい。このような実施形態は図4D及び4Eに示されている。図4D及び4Eは、図4A~4Cのピペット100と同様の代替的な血清学ピペット100Aの後面立面図及び右側立面図をそれぞれ提供する。ピペット100Aは、吸口端部101に近接した吸口部102、一連の目盛線103を有する第1の本体セクション104、及び試料導入端部109Aに近接した第2の本体セクション106Aを含む。非直線状曲管移行部108は、第1の本体セクション104と第2の本体セクション106Aとの間の接合点105に配置される。第2の本体セクション106Aは、試料導入端部109Aの試料導入ポート110Aに向かって開いている流体通路112(即ち第2の流体通路)の範囲を定める、壁構造体107Aを含む。対応する流体通路114、116が、第1の本体セクション104及び吸口部102内に画定される。第2の本体セクション106Aは、試料導入端部109Aに近づくにつれて増大する、第1の本体セクション104の一次幅より大きな、不均一な一次幅を有し、第2の流体通路112は、試料導入端部109Aに近づくにつれて増大する、第1の流体通路114の一次幅より大きな一次幅を有する。第2の本体セクション106Aは、試料導入端部109Aに近づくにつれて減少する、第1の本体セクション104の横幅より小さな、不均一な横幅を有し、第2の流体通路112は、試料導入端部109Aに近づくにつれて減少する、第1の流体通路114の横幅より小さな横幅を有する。第1の本体セクション104は、第2の本体セクション106Aの長手方向中心軸118に対して非平行である長手方向中心軸119を有する。図4Eに示すように、試料導入端部109Aの先端は、長手方向中心軸に対して非垂直な角度βで切断されている。特定の実施形態では、試料導入端部109Aの先端は、第2の本体セクション106Aの長手方向中心軸118に対する垂直方向から5°~45°の範囲内(又は10°~40°の範囲内、又は15°~35°の範囲内)の角度で切断される。試料導入端部109Aのこの切断は、本明細書中で既に開示したように、このようなハウジングのマイクロウェルから複数の細胞の凝集体を抜き取るために、試料導入端部109Aを接触させるのを容易にすることができ、またピペット100Aと細胞培養ハウジングの構造化表面との間のよりコンフォーマルな接触を促進できる。
【0047】
特定の実施形態では、本明細書中で開示されるピペットは、本明細書中で開示される他の特徴を含みながら、第1の本体セクションと共線に配置された第2の本体セクションを含んでよい。図5A~5Dは、図4A~4Cのピペット100と同様であるが、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の非直線状曲管移行部を含まない、一実施形態による血清学ピペット120を示している。ピペット120は、吸口端部121に近接した吸口部122、一連の目盛線123を有する第1の本体セクション124、及び試料導入端部129に近接した第2の本体セクション126を含む。第1の本体セクション124と第2の本体セクション126との間に、直接接合点125が設けられる。第2の本体セクション126は、試料導入端部129の試料導入ポート130に向かって開いている流体通路132(即ち第2の流体通路)の範囲を定める、壁構造体127を含む。対応する流体通路134、136が、第1の本体セクション124及び吸口部122内に画定される。第2の本体セクション126は、試料導入端部129に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション124の一次幅より大きな、(一次幅寸法Wに沿った)不均一な一次幅を有し、第2の流体通路132は、試料導入端部129に近づくにつれて増大する、第1の流体通路134の一次幅より大きな一次幅を有する。第2の本体セクション126は、試料導入端部129に近づくにつれて減少する、第1の本体セクション124の横幅より小さな、(横幅寸法W2に沿った)不均一な横幅を有し、第2の流体通路132は、試料導入端部129に近づくにつれて減少する、第1の流体通路134の横幅より小さな横幅を有する。第1の本体セクション124及び第2の本体セクション126の長手方向軸は、共線に配置される。
【0048】
本明細書中で上述した様々な実施形態では、ピペットは、試料導入端部に近づくにつれて増大する一次幅及び減少する二次幅を有する、第2の本体部分を含んでいた。特定の実施形態では、ピペットは、試料導入端部に近づくにつれて増大する一次幅及び二次幅を有する、第2の本体部分を含んでよい。
【0049】
図6A~6Dは、図5A~5Dのピペット120と同様の、一実施形態による血清学ピペット140を示し、ここで第2の本体部分は、試料導入端部に近づくにつれて増大する一次幅及び二次幅を有する。ピペット140は、吸口端部141に近接した吸口部142、一連の目盛線143を有する第1の本体セクション144、試料導入端部149に近接した第2の本体セクション146を含む。第1の本体セクション144と第2の本体セクション146との間に、直接接合点145が設けられる。第2の本体セクション146は、試料導入端部149の試料導入ポート150に向かって開いている流体通路152の範囲を定める、壁構造体147を含む。対応する流体通路154、156は、第1の本体セクション144及び吸口部142内に画定される。第2の本体セクション146は、試料導入端部149に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション144の一次幅より大きい、一次幅寸法W及び横幅寸法Wの両方に沿った不均一な一次幅を有する。第1の本体セクション144及び第2の本体セクション146の長手方向軸は、共線に配置される。図6Dに示すように、壁構造体147及び流体通路152は、円形断面を有する円錐台形状であってよい。壁構造体及び流体通路は、いずれの適切な断面形状を有してよいことに留意されたい。例えば、図6Eは、図6A~6Dの実施形態と同様の代替的なピペットの底面図であり、試料導入端部149A、試料導入ポート150A、及び流体通路152Aの全てを、実質的に正方形であるものとして、いずれも円形の断面形状を有する第1の流体通路154及び第2の流体通路156と組み合わせて示している。
【0050】
特定の実施形態では、ピペットは、その第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含んでよい。図7A~7Cは、図4A~4Cのピペット100と同様であるが、第1の本体セクション164と第2の本体セクション166との間の非直線状曲管移行部の代わりに、ベローズ継手165を含む、一実施形態による血清学ピペット160を示している。ピペット160は、吸口端部161に近接した吸口部162、一連の目盛線163を有する第1の本体セクション164、及び試料導入端部169に近接した第2の本体セクション166を含む。第1の本体セクション164と第2の本体セクション166との間に、ベローズ継手165が設けられる。任意に、ベローズ継手165と第1の本体セクション164との間、及びベローズ継手165と第2の本体セクション166との間に、溶接界面165’を設けてよい。第2の本体セクション166は、試料導入端部169の試料導入ポート170に向かって開いている流体通路172(即ち第2の流体通路)の範囲を定める、壁構造体167を含む。対応する流体通路174、176が、第1の本体セクション164及び吸口部162内に画定される。第2の本体セクション166は、試料導入端部169に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション164の一次幅より大きな、(一次幅寸法Wに沿った)不均一な一次幅を有し、第2の流体通路172は、試料導入端部169に近づくにつれて増大する、第1の流体通路174の一次幅より大きな一次幅を有する。第2の本体セクション166は、試料導入端部169に近づくにつれて減少する、第1の本体セクション164の横幅より小さな、(横幅寸法W2に沿った)不均一な横幅を有し、第2の流体通路172は、試料導入端部169に近づくにつれて減少する、第1の流体通路174の横幅より小さな横幅を有する。図7A及び7Bは、ピペット160の正面立面図及び右側立面図を提供し、ここでは、直線的な構成のベローズ継手165が第1の本体セクション164と第2の本体セクション166との間に配置され、第1の本体セクション164の長手方向中心軸179及び第2の本体セクション166の長手方向中心軸178は、共線に配置される。図7Cは、長手方向中心軸第1の本体セクション164の長手方向中心軸179及び第2の本体セクション166の長手方向中心軸178を非平行とするためのベローズ継手165の枢動後の、ピペット160の右側立面図であり、ここでこれらの軸179、178は、互いに対して角度αで配向される。角度αは、本明細書中で上述したいずれの範囲に調整してよい。ベローズ継手165の存在により、角度αをユーザの所望に応じて調整できる。特定の実施形態では、ベローズ継手165は、(例えばユーザによって)特定の位置に調整でき、その後意図的に再調整されるまでその位置を保つことができる。ピペット160の第1の本体セクション164と第2の本体セクション166との間の角度変化を可能とすることは、例えば、細胞培養ハウジングの内部と外部環境との間で材料を移送する際に、細胞培養ハウジングの構造化表面に沿った異なる複数のマイクロウェル領域を標的とするために、有用であり得る。あるいは、このような角度変化は:材料抜き取りステップ中に細胞培養培地を細胞培養ハウジングの内部から優先的に除去するために、試料導入端部をマイクロウェルから離して位置決めするため;又は材料抜き取りステップ中に少なくともいくつかの複数の細胞の凝集体を優先的に除去するために、試料導入端部を1つ以上の選択されたマイクロウェルに近接して位置決めするために、有用であり得る。
【0051】
特定の実施形態では、ベローズ継手を含むピペットは、第2の本体部分の長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断された試料導入端部の先端を含んでよい。図7Dは、図7A~7Cのピペット160と同様の、一実施形態による代替的な血清学ピペット160Aを示し、ここで試料導入端部169Aの先端は、第2の本体セクション166Aの長手方向中心軸178に対して非垂直な角度で切断され、直線的な構成のベローズ継手165が、第1の本体セクション164と第2の本体セクション166Aとの間に配置される。任意に、ベローズ継手165と第1の本体セクション164との間、及びベローズ継手165と第2の本体セクション166Aとの間に、溶接界面165’を設けてよい。ピペット160Aは、吸口端部161に近接した吸口部162、一連の目盛線163を有する第1の本体セクション164、及び試料導入端部169Aに近接した第2の本体セクション166Aを含む。第2の本体セクション166Aは、試料導入端部169Aの試料導入ポート170Aに向かって開いている流体通路の範囲を定める、壁構造体167Aを含む。流体通路は、図7A~7Cのピペット160と同じ様式で、ピペット160Aの中に画定される。第1の本体セクション164は、第2の本体セクション166Aの長手方向中心軸178に対して平行な長手方向中心軸179を有する。試料導入端部169Aの先端は、第2の本体セクション166Aの長手方向中心軸178(第1の本体セクション164の長手方向中心軸179と共線であるものとして示されている)に対して非垂直な角度βで切断される。特定の実施形態では、試料導入端部169Aの先端は、5°~45°の範囲(又は切断された先端に関して本明細書中で開示される他のいずれの範囲)内の角度で切断される。
【0052】
特定の実施形態では、ベローズ継手を含むピペットは更に、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置された非直線状曲管移行部を含んでよい。図7Eは、第1の本体セクション164とベローズ継手165との間に配置された非直線状曲管移行部168Bが追加され、(直線的な構成の)ベローズ継手165が、非直線状曲管移行部168Bと第2の本体セクション166Bとの間に配置されている、ピペット160Aと同様の代替的な血清学ピペット160Bを示す。任意に、ベローズ継手165と第2の本体セクション166Bとの間、及びベローズ継手165と非直線状曲管移行部168Bとの間に、溶接界面165’を設けてよい。ピペット160Bは、吸口端部161に近接した吸口部162、一連の目盛線163を有する第1の本体セクション164、及び試料導入端部169Bに近接した第2の本体セクション166Bを含む。第2の本体セクション166Bは、試料導入端部169Bの試料導入ポート170Bに向かって開いている流体通路の範囲を定める、壁構造体167Bを含む。流体通路は、図7A~7Cのピペット160と同じ様式で、ピペット160Bの中に画定される。第1の本体セクション164は、(例えば非直線状曲管移行部168Bの存在により)第2の本体セクション166Bの長手方向中心軸178に対して非平行な長手方向中心軸179を有し、このような角度は、ベローズ継手165の操作によって所望に応じて更に調整してよい。試料導入端部169Bの先端は、第2の本体セクション166Bの長手方向中心軸178に対して非垂直な角度βで切断される。
【0053】
特定の実施形態では、ベローズ継手を含むピペットは、第1の本体セクションに対して一定の幅及び/又は1つ以上の寸法が減少した幅を有する、第2の本体セクションを含んでよい。図8A~8Cは、第1の管状本体セクション184に対して一定の一次幅及び減少した横幅を有する第2の本体セクション186を含み、第1の本体セクション184と第2の本体セクション186との間に配置された直線的な構成のベローズ継手185を有する、一実施形態による血清学ピペット180を示す。ベローズ継手185は、第1の本体セクション184と第2の本体セクション186との間に配置された直線的な構成で示されている。ピペット180は、吸口端部181に近接した吸口部182、一連の目盛線183を有する第1の本体セクション184、及び試料導入端部189に近接した第2の本体セクション186を含む。任意に、ベローズ継手と第1の本体セクション184との間、及びベローズ継手と第2の本体セクション186との間に、溶接界面185’を設けてよい。第2の本体セクション186は、試料導入端部189の試料導入ポート190に向かって開いている流体通路192の範囲を定める、壁構造体187を含む。対応する流体通路194、196が、第1の本体セクション184及び吸口部182内に画定される。第2の本体セクション186は、第1の本体セクション184の一次幅に等しい、(一次幅寸法Wに沿った)一定の一次幅を有し、第2の流体通路192は、第1の流体通路194の一次幅に等しい一定の一次幅を有する。第2の本体セクション186は、試料導入端部189に近づくにつれて減少する、第1の本体セクション184の横幅より小さな、(横幅寸法W2に沿った)不均一な横幅を有し、第2の流体通路192は、試料導入端部189に近づくにつれて減少する、第1の流体通路194の横幅より小さな横幅を有する。
【0054】
特定の実施形態では、ベローズ継手を含み、第1の本体セクションに対して一定の幅及び/又は1つ以上の寸法が減少した幅を有する第2の本体セクションを含む、ピペットは、第2の本体部分の長手方向中心軸に対して非平行な角度で切断された試料導入端部の先端を更に含んでよい。図8Dは、図8A~8Cのピペット180と同様の、一実施形態による代替的な血清学ピペット180Aを示し、ここで試料導入端部189Aの先端は、第2の本体セクション186Aの長手方向中心軸198に対して非垂直な角度で切断され、直線的な構成のベローズ継手185が、第1の本体セクション184と第2の本体セクション186Aとの間に配置される。ピペット180Aは、吸口端部181に近接した吸口部182、一連の目盛線183を有する第1の本体セクション184、及び試料導入端部189Aに近接した第2の本体セクション186Aを含む。任意に、ベローズ継手185と第1の本体セクション184との間、及びベローズ継手185と第2の本体セクション186Aとの間に、溶接界面185’を設けてよい。第2の本体セクション186Aは、試料導入端部189Aの試料導入ポート190Aに向かって開いている流体通路の範囲を定める、壁構造体187Aを含む。流体通路は、図8A~8Cのピペット180と同じ様式で、ピペット180Aの中に画定される。試料導入端部189Aの先端は、第2の本体セクション186Aの長手方向中心軸198に対して非垂直な角度βで切断される。特定の実施形態では、試料導入端部189Aの先端は、5°~45°の範囲(又は切断された先端に関して本明細書中で開示される他のいずれの範囲)内の角度で切断される。
【0055】
前述の様々な実施形態は、メス(例えば血清学)ピペットの形態のピペット構造体を対象としていたが、特定の実施形態では、ピペット構造体は、従来のメスピペットと共に使用するための拡張先端装置として具現化してよい。このような実施形態では、第1の本体セクションは、メスピペットの先端領域を受容するよう構成されたキャビティを画定し、第2の本体セクションは、本明細書中で定義される特性を含む。特定の実施形態では、上記キャビティは内面によって範囲を定められ、上記内面は、拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の封止及び/又は保持を促進するための封止リングを受承するよう構成された環状凹部を画定する。
【0056】
特定の実施形態では、メスピペットのための拡張先端装置は、試料導入端部において、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の接合点における第1の本体セクションの幅寸法よりも大きな幅寸法を有する、第2の本体セクションの流体通路を含む。図9A~9Cは、メスピペットの先端領域を受容するよう構成された上部本体セクション202、上部本体セクション202と整列された第1の本体セクション204、並びに第1の本体セクション204に対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクション206を含む、一実施形態による拡張先端装置200を示す。第1の本体セクション204と第2の本体セクション206との間に、少なくとも1つの接合点205(任意に溶接界面を含む)が形成される。第1の本体セクション204と上部本体セクション202との間に、外径の変化を示す肩部203を設けてよい。拡張先端装置200は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に密封係合するよう構成された内向きテーパ面217によって部分的に範囲を定められた、上部本体セクション202で始まるキャビティ216を画定する、ピペット受容端部201を含む。内向きテーパ面217は、第1の本体セクション204へと続いてよい。第2の本体セクション206は、試料導入端部209の試料導入ポート210に向かって開いている流体通路212の範囲を定める、壁構造体207を含む。連続して配置された流体通路214、215は、第1の本体セクション204及び上部本体セクション202内にそれぞれ画定され、ここで流体通路215は、ピペット受容端部201に近接したキャビティ216に向かって開いている。
【0057】
拡張先端装置200の様々なセクションは、一次幅寸法W図9Aに示す)、及び一次幅寸法Wに直交し得る横幅寸法W図9Bに示す)を含む。図9A及び9Bに示すように、第2の本体セクション206は、試料導入端部209に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション204の一次幅より大きな、不均一な一次幅を有する。同様に、第2の流体通路212は、試料導入端部209に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション204及び上部本体セクション202内に画定される流体通路214、215の一次幅より大きな一次幅を有する。より具体的には、第2の流体通路212の最大一次幅は、第1の本体セクション204内に画定された第1の流体通路214の最大一次幅より大きい。第2の本体セクション206及び第2の流体通路212は、試料導入端部209に近づくにつれて減少する不均一な横幅を有し、ここで上記横幅は、対応する第1の本体セクション204及び第1の流体通路214の横幅より小さい。図9Cは、図9A~9Bの拡張先端装置の底面図を示し、これは、試料導入ポート210が横幅に対してはるかに大きな一次幅を有することを示している。
【0058】
図9Dは、図9A~9Cの拡張先端装置200の正面の部分断面図であり、メスピペット60の先端領域は、ピペット受容端部201に近接した拡張先端装置200の上部本体セクションで始まるキャビティ(即ち図9A~9Bに示すキャビティ216)内に受容されている。メスピペット60の外面は、拡張先端装置200の内向きテーパ面(即ち図9A~9Bに示す内向きテーパ面217)に密封係合し得る。図示したように、試料導入端部210に近接した拡張先端装置200の流体通路は、ピペット60の流体通路より大幅に大きな幅を有する。メスピペット60と拡張先端装置200との間の係合により、結果として得られる組立体は、図5A~5Dに関連して上述したピペット120と同様の様式で機能できる。
【0059】
特定の実施形態では、メスピペットのための拡張先端装置は、拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の密閉及び/又は保持を促進するための、環状凹部内に配置された封止リングを含む。図10A及び10Bは、図9A~9Bと関連して説明した拡張先端装置200と同様の実施形態による拡張先端装置220を示し、ここでは、内向きテーパ面237内に画定された環状凹部238の中に受承された封止リング(例えばOリング)239が追加されている。拡張先端装置220は、メスピペットの先端領域を受容するよう構成された上部本体セクション222、上部本体セクション222と整列された第1の本体セクション224、並びに第1の本体セクション224に対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクション226を含む。第1の本体セクション224と第2の本体セクション226との間に、少なくとも1つの接合点225(任意に溶接界面を含む)が形成される。第1の本体セクション224と上部本体セクション222との間に、外径の変化を示す肩部223を設けてよい。ピペット受容端部221は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に係合するよう構成された内向きテーパ面237によって部分的に範囲を定められた、上部本体セクション222で始まるキャビティ236を画定し、ここで封止リング239はピペットの係合を更に補助する。内向きテーパ面237は、第1の本体セクション224へと続いてよい。第2の本体セクション226は、試料導入端部229の試料導入ポート230に向かって開いている流体通路232の範囲を定める、壁構造体227を含む。連続して配置された流体通路234、235は、第1の本体セクション224及び上部本体セクション222内にそれぞれ画定され、ここで流体通路235は、ピペット受容端部221に近接したキャビティ236に向かって開いている。拡張先端装置220内に画定された流体通路232、234、235は、図8A~8Cの拡張先端装置200の対応する通路212、214、215に関して上述したものと同一の相対的形状及びサイズを有するものとして示されている。
【0060】
図10Cは、図10A~10Bの拡張先端装置220の正面の部分断面図であり、メスピペット60の先端領域は、ピペット受容端部221に近接した拡張先端装置220の上部本体セクションで始まるキャビティ(即ち図10A~10Bに示すキャビティ236)内に受容されている。メスピペット60の外面は、拡張先端装置220の内向きテーパ面及び封止リング(即ち図10A~10Bに示す内向きテーパ面237及び封止リング239)に密封係合し得る。図示したように、試料導入端部230に近接した拡張先端装置220の流体通路は、ピペット60の流体通路より大幅に大きな幅を有する。メスピペット60と拡張先端装置220との間の係合により、結果として得られる組立体は、図5A~5Dに関連して上述したピペット120と同様の様式で機能できる。
【0061】
特定の実施形態では、拡張先端装置は、拡張先端装置の第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含んでよい。図11A~11Cは、図9A~9Cの拡張先端装置200と同様の、一実施形態による拡張先端装置240を示し、これは、メスピペットの先端領域を受承するよう構成された第1の本体セクション242を含み、第1の本体セクション242に対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクション246を含み、第1の本体セクション242と第2の本体セクション246との間にベローズ継手245(直線的な構成で示されているが、枢動可能である)を有する。任意に、ベローズ継手245と第1の本体セクション242との間、及びベローズ継手245と第2の本体セクション246との間に、溶接界面245’を設けてよい。拡張先端装置240は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に密封係合するよう構成された内向きテーパ面257によって範囲を定められた、第1の本体セクション242で始まる(流体通路も具現化する)キャビティ256を画定する、ピペット受容端部241を含む。第2の本体セクション246は、試料導入端部249の試料導入ポート250に向かって開いている流体通路252の範囲を定める、壁構造体247を含む。ベローズ継手245は、第1の本体セクション244及び第2の本体セクション246内に画定された流体通路256、252間に延在する、流体通路254を画定し、流体通路256は、ピペット受容端部241に近接したキャビティ256としても機能する。拡張先端装置240の様々なセクションは、一次幅寸法W図11Aに示す)、及び一次幅寸法Wに直交し得る横幅寸法W図11Bに示す)を含む。図示したように、第2の本体セクション246は、試料導入端部249に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション242の一次幅より大きな、不均一な一次幅を有する。同様に、第2の流体通路252は、試料導入端部249に近づくにつれて増大する、第1の本体セクション242内に画定された流体通路256の一次幅より大きい、一次幅を有する。第2の本体セクション246及び第2の流体通路252は、試料導入端部249に近づくにつれて減少する不均一な横幅を有し、ここで上記横幅は、対応する第1の本体セクション242及び第1の流体通路256の横幅より小さい。図11Cは、図11A~11Bの拡張先端装置240の底面図を示し、これは、試料導入ポート250が横幅に対してはるかに大きな一次幅を有することを示している。
【0062】
図11Dは、図11A~11Cの拡張先端装置240の正面の部分断面図であり、メスピペット60の先端領域は、拡張先端装置240の上部本体セクション内に画定されるキャビティ(即ち図11A~11Bに示すキャビティ246)内に受容されている。メスピペット60の外面は、拡張先端装置240の内向きテーパ面(即ち図11A~11Bに示す内向きテーパ面257)に密封係合し得る。図示したように、試料導入端部250に近接した拡張先端装置240の流体通路は、ピペット60の流体通路より大幅に大きな幅を有する。メスピペット60と拡張先端装置240との間の係合により、結果として得られる組立体は、図7A~7Cに関連して上述したピペット160と同様の様式で機能できる。
【0063】
特定の実施形態では、拡張先端装置は、拡張先端装置の第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を含んでよく、また、拡張先端装置とメスピペットの先端領域との間の密閉及び/又は保持を促進するための、環状凹部内に配置された封止リングを更に含んでよい。図12A及び12Bは、図11A~11Bと関連して説明した拡張先端装置240と同様の実施形態による拡張先端装置260を示し、ここでは、内向きテーパ面277内に画定された環状凹部278の中に受承された封止リング(例えばOリング)279が追加されている。拡張先端装置260は、第1の本体セクション262及び第2の本体セクション266を含み、これらの間にはベローズ継手265が配置される。任意に、ベローズ継手265と第1の本体セクション262との間、及びベローズ継手265と第2の本体セクション266との間に、溶接界面265’を設けてよい。拡張先端装置260は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に密封係合するよう構成された内向きテーパ面277によって範囲を定められた、第1の本体セクション262で始まる(流体通路も具現化する)キャビティ276を画定する、ピペット受容端部261を含む。第2の本体セクション266は、試料導入端部269の試料導入ポート270に向かって開いている流体通路272の範囲を定める、壁構造体267を含む。ベローズ継手265は、第1の本体セクション262及び第2の本体セクション266内に画定された流体通路276、272間に延在する、流体通路274を画定し、流体通路276は、ピペット受容端部261に近接したキャビティ276としても機能する。拡張先端装置260内に画定された流体通路272、276は、図11A~11Cの拡張先端装置240の対応する通路252、256に関して上述したものと同一の相対的形状及びサイズを有するものとして示されている。
【0064】
図12Cは、図12A~12Bの拡張先端装置260の正面の部分断面図であり、メスピペット60の先端領域は、ピペット受容端部261に近接した拡張先端装置260の第1の本体セクション内に画定されるキャビティ(即ち図12A~12Bに示すキャビティ266)内に受容されている。メスピペット60の外面は、拡張先端装置260の内向きテーパ面及び封止リング(即ち図12A~12Bに示す内向きテーパ面277及び封止リング279)に密封係合し得る。図示したように、試料導入ポート270に近接した拡張先端装置260の流体通路は、ピペット60の流体通路より大幅に大きな幅を有する。メスピペット60と拡張先端装置260との間の係合により、結果として得られる組立体は、図5A~5Dに関連して上述したピペット120と同様の様式で機能できる。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書に記載の拡張先端装置は、第2の本体部分の長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断された、試料導入端部の先端を含んでよい。図13は、図9A~9Cに示す拡張先端装置200と同様の、一実施形態による拡張先端装置280の右側立面図であり、ここで、試料導入端部289の先端は、第2の本体セクション286の長手方向中心軸298に対して非垂直な角度βで切断されている。拡張先端装置280は、メスピペットの先端領域を受容するよう構成された上部本体セクション282、上部本体セクション282と整列された第1の本体セクション284、並びに第1の本体セクション284に対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクション286を含む。第1の本体セクション284と第2の本体セクション286との間に、少なくとも1つの接合点285(任意に溶接界面を含む)が形成される。第1の本体セクション284と上部本体セクション282との間に、外径の変化を示す肩部283を設けてよい。拡張先端装置280は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に密封係合するよう構成された内向きテーパ面297によって部分的に範囲を定められた、上部本体セクション282で始まるキャビティ296を画定する、ピペット受容端部281を含む。内向きテーパ面297は、第1の本体セクション284へと続いてよい。第2の本体セクション286は、試料導入端部289の試料導入ポート290に向かって開いている流体通路292の範囲を定める、壁構造体287を含む。連続して配置された流体通路294、296は、第1の本体セクション284及び上部本体セクション282内にそれぞれ画定され、ここで流体通路294は、ピペット受容端部281に近接したキャビティ296に向かって開いている。拡張先端装置220内に画定された流体通路292、294、296は、図9A~9Cの拡張先端装置200の対応する流体通路212、214、215に関して上述したものと同一の相対的形状及びサイズを有するものとして示されている。特定の実施形態では、試料導入端部289の先端は、5°~45°の範囲(又は切断された先端に関して本明細書中で開示される他のいずれの範囲)内の角度で切断される。
【0066】
特定の実施形態では、本明細書に記載の拡張先端装置は、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置された非直線状曲管移行部を含んでよい。図14は、図9A~9Cに示す拡張先端装置200と同様の、一実施形態による拡張先端装置300の右側立面図であり、ここでは、第1の本体セクション304と第2の本体セクション306との間に配置された非直線状曲管移行部308が追加されている。第1の本体セクション304は、非直線状曲管移行部308の存在により、第2の本体セクション306の長手方向中心軸318に対して非平行な長手方向中心軸319を有する。第1の本体セクション304と上部本体セクション302との間に、外径の変化を示す肩部303を設けてよい。拡張先端装置300は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に密封係合するよう構成された内向きテーパ面317によって部分的に範囲を定められた、上部本体セクション302で始まるキャビティ316を画定する、ピペット受容端部301を含む。内向きテーパ面317は、第1の本体セクション304へと続いてよい。第2の本体セクション306は、試料導入端部309の試料導入ポート310に向かって開いている流体通路312の範囲を定める、壁構造体307を含む。第1の本体セクション304内の流体通路314は、流体通路312及びキャビティ316と流体連通する。拡張先端装置300内に画定される流体通路312、314、315は、図9A~9Cの拡張先端装置200の対応する通路212、214、215に関して上述したものと同一の相対的形状及びサイズを有してよい。
【0067】
特定の実施形態では、本明細書に記載の拡張先端装置は、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置された非直線状曲管移行部及びベローズ継手、並びに第2の本体部分の長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断された試料導入端部の先端を含んでよい。図15は、図11A~11Cの拡張先端装置240と同様の、一実施形態による拡張先端装置320の右側立面図であり、ここでは、非直線状曲管移行部328及びベローズ継手325が第1の本体セクション304と第2の本体セクション326との間に配置される。第1の本体セクション304は、上部本体セクション302と非直線状曲管移行部328との間に配置される。任意に、ベローズ継手325と第2の本体セクション326との間、及びベローズ継手325と非直線状曲管移行部328との間に溶接界面325’を設けてよい。上部本体セクション302は、ピペットの端部を受容するのに適したキャビティを画定する、ピペット受容端部321を含む。第1の本体セクション304は、非直線状曲管移行部328の存在により、第2の本体セクション326の長手方向中心軸338に対して非平行な長手方向中心軸339を有する。第1の本体セクション304と上部本体セクション302との間に、外径の変化を示す肩部303を設けてよい。第2の本体セクション326は、第2の本体部分326の長手方向中心軸338に対して非垂直な角度βで切断された、試料導入端部309を含む。
【0068】
特定の実施形態では、本明細書に記載の拡張先端装置は、第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間に配置されたベローズ継手を含んでよく、試料導入端部は、第1の本体セクションの対応する幅寸法より大きな一次幅寸法及び横幅寸法を有する。図16A及び16Bは、メスピペットの先端領域を受容するよう構成された第1の本体セクション342を含み、第1の本体セクション342に対して増大した一次幅及び横幅を有する第2の本体セクション346を含む、拡張先端装置340の正面立面及び底面図を提供する。第1の本体セクション342と第2の本体セクション346との間にベローズ継手345(直線的な構成で示されているが、枢動可能である)が設けられる。任意に、ベローズ継手345と第1の本体セクション342との間、及びベローズ継手345と第2の本体セクション346との間に、溶接界面345’を設けてよい。拡張先端装置340は、ピペット受容端部341を含み、(流体通路も具現化する)キャビティ356はこれを通って第1の本体セクション342内へと延在し、ここでキャビティ356は、ピペットの先端に近接したピペットの外壁(図示せず)に密封係合するよう構成された内向きテーパ面357によって範囲を定められる。第1の本体セクション342の、流体通路355の範囲を定める第1の本体セクション342の幅が減少した部分に対応する部分に沿って、肩部343が設けられる。第2の本体セクション346は、試料導入端部349の試料導入ポート350に向かって開いている流体通路352の範囲を定める、壁構造体347を含む。ベローズ継手345もまた、流体通路354を画定する。試料導入端部349からピペット受容端部341に向かって、流体通路352、354、355、356は連続して配置され、互いに流体連通する。図示したように、第2の本体セクション346及び第2の流体通路352は、試料導入端部349に近づくにつれて増大する不均一な一次幅及び横幅を有し、これらの幅は、第1の本体セクション342及び第1の本体セクション342の各流体通路355、356の対応する一次幅及び横幅よりそれぞれ大きい。図16A~16Bに示すように、壁構造体347及び流体通路352は、円形断面を有する円錐台形状であってよい。壁構造体及び流体通路は、いずれの適切な断面形状を有してよいことに留意されたい。例えば、図16Cは、図16A~16Bの実施形態と同様の代替的な拡張先端装置340Aの底面図であり、試料導入端部349A、及び試料導入ポート350Aを、実質的に正方形であるものとして、いずれも円形の断面形状を有する流体通路354A及び355Aと組み合わせて示している。メスピペットと拡張先端装置340との間の係合により、結果として得られる組立体は、図6A~6Dに関連して上述したピペット140と同様の様式で機能できる。
【0069】
特定の実施形態では、ベローズ継手を有する拡張先端装置は、第1の本体セクションに対して一定の幅及び/又は1つ以上の寸法が減少した幅を有する、第2の本体セクションを含む。図17A~17Cは、メスピペットの先端領域を受容するよう構成された上部本体セクション362、上部本体セクション362と整列された第1の本体セクション364、並びに第1の本体セクション364に対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクション366を含む、一実施形態による拡張先端装置360を示す。第1の本体セクション364と第2の本体セクション366との間に、直線的な構成のベローズ継手365が配置される。任意に、ベローズ継手365と第1の本体セクション364との間、及びベローズ継手365と第2の本体セクション366Aとの間に溶接界面365’を設けてよい。第1の本体セクション364と上部本体セクション362との間に、外径の変化を示す肩部363を設けてよい。第2の本体セクション366は、試料導入端部369の試料導入ポート370に向かって開いている流体通路372の範囲を定める、壁構造体367を含む。対応する流体通路374、375、377は、ベローズ継手365、第1の本体セクション364、及び上部本体セクション362内に画定される。第1の本体セクション364及び上部本体セクション362内にそれぞれ画定される流体通路377、375は、テーパ壁によって範囲を定められ、またベローズ継手365に近づくにつれて減少する幅を有する。第2の本体セクション366は、第1の本体セクション364の一次幅に等しい(一次幅寸法Wに沿った)一定の一次幅を有し、第2の流体通路372は一定の一次幅を有する。第2の本体セクション366は、試料導入端部369に近づくにつれて減少する、第1の本体セクション364の横幅より小さな、(横幅寸法Wに沿った)不均一な横幅を有し、第2の流体通路372は、試料導入端部369に近づくにつれて減少する、第1の流体通路375の横幅より小さな横幅を有する。図17Cに示すように、拡張先端装置360の試料導入ポート370は、横幅より大幅に大きな一次幅を有する。メスピペットと拡張先端装置360との係合により、結果として得られる組立体は、図8A~8Cに関連して上述したピペット180と同様の様式で機能できる。
【0070】
特定の実施形態では、図17A~17Cの拡張先端装置360と同様の拡張先端装置は、切断された先端を含んでよい。図17Dは、図17A~17Cに示す拡張先端装置360と同様の、一実施形態による拡張先端装置360Aの右側立面図であり、試料導入端部369Aの先端は、第2の本体セクション366Aの長手方向中心軸378に対して非垂直な角度βで切断されている。拡張先端装置は、メスピペットの先端領域を受容するよう構成された上部本体セクション362、上部本体セクション362と整列された第1の本体セクション364、並びに第1の本体セクション364に対して増大した一次幅(及び減少した横幅)を有する第2の本体セクション366Aを含む。第1の本体セクション364と第2の本体セクション366との間に、直線的な構成のベローズ継手365が配置される。任意に、ベローズ継手365と第1の本体セクション364との間、及びベローズ継手365と第2の本体セクション366との間に溶接界面365’を設けてよい。第1の本体セクション364と上部本体セクション362との間に、外径の変化を示す肩部363を設けてよい。第2の本体セクション366Aは、試料導入端部369Aの試料導入ポート370Aに向かって開いている流体通路372Aの範囲を定める、壁構造体367Aを含む。対応する流体通路374、375、377は、ベローズ継手365、第1の本体セクション364、及び上部本体セクション362内に画定される。図17Dに示すメスピペットと拡張先端装置との係合により、結果として得られる組立体は、図8Dに関連して上述したピペット180Aと同様の様式で機能できる。
【0071】
上述したように、本明細書中で開示されるピペット構造体は、細胞培養ハウジングの内部(図2A及び3において開示されるハウジング等)の間で材料を移送するのに適している。本明細書中で開示される特定のピペット構造体の、(例えばベローズ継手を用いた)第1の本体セクションと第2の本体セクションとの間の角度の調整を可能とする能力により、ユーザは、このようなハウジングから複数の細胞の凝集体を優先的に除去する、又は細胞培養培地を優先的に除去することができる。
【0072】
例えば、図18Aは、一実施形態による血清学ピペット160Bの一部分を受容する細胞培養ハウジング70を示し、ピペット160Bは、ピペット160Bの第1の本体セクション164と第2の本体セクション166との間の枢動を可能とするベローズ継手165を含む。図示したように、ベローズ継手165は非直線状位置に配置され、ベローズ継手165に取り付けられた第1の本体セクション164及び第2の本体セクション166は互いに対して非平行である。細胞培養ハウジング70は細胞培養チャンバ72を取り囲み、細胞培養チャンバ72の底部は、マイクロウェル76のアレイを画定する構造化表面74を内包する。細胞培養培地78は、細胞培養チャンバ72の中で構造化表面74の上に配置される。図18Aに示すように、ピペット160Bの試料導入端部169は、1つ以上の選択されたマイクロウェル76から複数の細胞の凝集体を優先的に除去するように、切断され、マイクロウェル76に近接して(例えば任意に、マイクロウェル76を画定する構造化表面74に接触して)位置決めされる。細胞培養ハウジング70は更に、上壁82、構造化表面74から上壁82まで上向きに延在する側壁84、及び外向きかつ上向きに延在してポート開口85を画定する管状首部86を含む。吸口部162において減圧が確立されると、試料導入端部169付近の細胞培養ハウジング70の内容物は、ピペット160Bを通して細胞培養チャンバ72から除去され得る。図18Aの試料導入端部169は構造化表面74上に又はこれに近接して位置決めされるため、ピペット160Bは、細胞培養チャンバ72から複数の細胞の凝集体を(細胞培養培地よりも)優先的に除去するよう位置決めされる。
【0073】
図18Bは、図18Aに示したものと同一の細胞培養ハウジング70及び血清学ピペット160Bを示し、ここで第1の本体セクション164及び第2の本体セクション166は共線に配置され、ピペット160Bの試料導入端部169は、細胞培養ハウジング70の構造化表面74から離間している。このような配置は、マイクロウェル76のアレイから複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、細胞培養ハウジングの上記内部70から細胞培養培地78を優先的に除去するために、構成される。
【0074】
図19A及び19Bは、図18A及び18Bと同様の主題を示しているが、これらはそれぞれ、(図17Dに示した実施形態と同様の)拡張先端装置360A’の形態のピペット構造体を、(図18A及び18Bのピペット160Bを使用する代わりに)従来のメスピペットと組み合わせて利用している。図19Aは、非直線状位置に配置された第1の本体セクション362及び第2の本体セクション366Aとベローズ継手365とを有する拡張先端装置360A’が連結されたピペット380の一部分を受容する、細胞培養ハウジング70を示し、ベローズ継手365に取り付けられた第1の本体セクション362及び第2の本体セクション366Aは、互いに対して非平行である。細胞培養ハウジング70は細胞培養チャンバ72を取り囲み、細胞培養チャンバ72の底部は、マイクロウェル76のアレイを画定する構造化表面74を内包し、細胞培養培地78は、細胞培養チャンバ72の中に配置される。図19Aに示すように、拡張先端装置360A’の試料導入端部369Aは、1つ以上の選択されたマイクロウェル76から複数の細胞の凝集体を優先的に除去するように、切断され、マイクロウェル76に近接して(位置決めされる。細胞培養ハウジング70は更に、上壁82、側壁84、及びポート開口85を画定する管状首部86を含む。ピペット380の吸口部382において減圧が確立されると、試料導入端部369A付近の細胞培養ハウジング70の内容物は、拡張先端装置360A’及びピペット380を通して細胞培養チャンバ72から除去され得る。図19Aの試料導入端部369Aは構造化表面74上に又はこれに近接して位置決めされるため、ピペット380と組み合わされた拡張先端装置360A’は、細胞培養チャンバ72から複数の細胞の凝集体を(細胞培養培地よりも)優先的に除去するよう位置決めされる。
【0075】
図19Bは、図19Aに示したものと同一の細胞培養ハウジング70、血清学ピペット380、及び拡張先端装置360A’を示し、ここで第1の本体セクション362及び第2の本体セクション366Aは共線に配置され、拡張先端装置360A’の試料導入端部369Aは、細胞培養ハウジング70の構造化表面74から離間している。このような配置は、マイクロウェル76のアレイから複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、細胞培養ハウジングの上記内部70から細胞培養培地78を優先的に除去するために、構成される。
【0076】
本開示の態様は、(i)複数の細胞の凝集体の3次元培養に適したマイクロウェルのアレイを画定する構造化表面を含む、細胞培養ハウジングの内部と、(ii)上記細胞培養ハウジングの外部の環境との間で、少なくとも1つの材料を移送するための方法にも関する。上記方法の1つのステップは、上記細胞培養ハウジングのポートを通して、本明細書中で開示されるピペット構造体の少なくとも一部分を上記細胞培養ハウジングの上記内部へと挿入するステップを含む。上記方法の更なるステップは、上記ピペット構造体の中へ又は上記ピペット構造体を通して、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取るステップ;及び上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記ピペット構造体の上記少なくとも一部分を引き出すステップを含む。特定の実施形態では、上記ピペット構造体は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備え、上記方法は更に、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップの前に、上記ベローズ継手の枢動を実施して、上記第2の本体セクションの長手方向中心軸と上記第1の本体セクションの長手方向中心軸との間の配向を調整するステップを含む。特定の実施形態では、上記試料導入端部を上記構造化表面に対して非接触の関係に配置することによって、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップ中に、上記マイクロウェルのアレイから複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、上記細胞培養ハウジングの上記内部から細胞培養培地を優先的に除去できるようにしてよい。特定の実施形態では、上記少なくとも1つの材料は上記複数の細胞の凝集体を含み、上記方法は更に、上記試料導入端部を、上記マイクロウェルのアレイのうちの1つ以上の選択されたマイクロウェルの近傍に維持することによって、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップ中に、上記1つ以上の選択されたマイクロウェルから少なくともいくつかの複数の細胞の凝集体を優先的に除去できるようにするステップを含む。
【0077】
別の態様では、本開示は、本明細書中で開示されるピペット構造体を製作するための方法に関し、上記方法は複数のステップを含む。上記方法は:加熱されたパリソンを型に供給するステップ;上記パリソンの内部と外部との間に圧力差を生成して、上記パリソンを膨張させて上記型のキャビティに合致させるステップ;上記型を開放するステップ;及び上記ピペット構造体を上記型から取り出すステップを含む。本明細書中で上述したように、他の方法を用いてピペット構造体を製作してもよい。
【0078】
本開示の更なる態様では特に、更なる利点のために、本明細書中で開示されているいずれの2つ以上の態様、実施形態又は特徴を組み合わせることができると考えられる。
【0079】
本明細書で使用される単数形「ある(a、an)」及び「その、上記、前記(the)」は、文脈によってそうでないことが明確に指示されない限り、複数の指示物を含む。
【0080】
「含む(include、includes)」又は同様の用語は、包含するもののそれに限定されないこと、即ち包括的であるが排他的でないことを意味する。
【0081】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」とは、続けて記載されている事象、状況又は構成要素が発生しても又は発生しなくてもよいこと、及びこの記載に、該事象、状況又は構成部品が発生する場合と発生しない場合とが含まれることを意味する。
【0082】
本明細書では、範囲を、「約(about)」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現できる。範囲がこのように表される場合、実施例は、上記1つの特定の値から、及び/又は上記別の特定の値までを含む。同様に、先行語句「約」の使用によって、値が近似値として表現されている場合、上記特定の値は別の態様を形成することが理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係においても、他方の端点とは独立しても、重要であることが理解されるだろう。
【0083】
特段の記載がない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、そのステップを特定の順序で実施することを必要とするものとして解釈されることは、全く意図されていない。従って、方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、又は特許請求の範囲若しくは明細書において、これらのステップが特定の順序に限定されるべきであることが、具体的に記載されていない場合、特定の順序が推定されることは、いかなる点でも一切意図されていない。いずれの1つの請求項中に記載されているいずれの単数又は複数の特徴又は態様は、他のいずれの1つ以上の請求項中に記載されている他のいずれの特徴又は態様と組み合わせることができ、又は交換できる。
【0084】
また、本明細書中の記載は、ある構成要素がある特定の方法で機能する「よう構成される(configured)」又は「よう適合される(adapted to)」ことを指すことに留意されたい。この点に関して、このような構成要素は、ある特定の特性を実現するよう、又はある特定の様式で機能するよう、「構成され」又は「適合され」ており、このような記述は、目的とする使用法の記述ではなく、構造に関する記述である。より具体的には、本明細書中での、ある構成要素が「構成される」又は「適合される」様式に関する言及は、該構成要素の既存の物理的条件を示すものであり、従って該構成要素の構造的特徴の決定的な記載として解釈されるべきものである。
【0085】
特定の実施形態の様々な特徴、要素又はステップが、移行句「…を含む(comprising)」を用いて開示されている場合、移行句「…からなる(consisting of)」又は「…から本質的になる(consisting essentially of)」を用いて記載され得るものを含む代替的な実施形態も暗に含まれていることを理解されたい。
【0086】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の技術に対して様々な修正及び変更を行えることは、当業者には明らかであろう。本発明の技術の精神及び実体を組み込んだ開示の実施形態の修正、組み合わせ、部分組み合わせ及び変形は当業者に想到可能であるため、本発明の技術は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内の全てを含むものと解釈されるものとする。
【0087】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0088】
実施形態1
ピペット構造体であって、上記ピペット構造体は:
第1の流体通路を画定する第1の本体セクション;及び
試料導入端部を備える第2の本体セクションであって、接合点において上記第1の本体セクションに接続され、上記第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を画定する、第2の本体セクション
を備え、
上記ピペット構造体は、以下の特徴(i)又は(ii):
(i)上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備える;又は
(ii)上記第2の流体通路は、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備える
のうちの少なくとも一方を有する、ピペット構造体。
【0089】
実施形態2
上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備える、実施形態1に記載のピペット構造体。
【0090】
実施形態3
上記第2の流体通路は、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備える、実施形態1に記載のピペット構造体。
【0091】
実施形態4
上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備え;
上記第2の流体通路は、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備える、実施形態1に記載のピペット構造体。
【0092】
実施形態5
一体型メスピペットとして具現化され、
上記第1の本体セクションは上記メスピペットの管状本体を構成し;
上記第2の本体セクションは上記メスピペットの先端領域を構成し;
上記管状本体は上記メスピペットの上記先端領域と吸口領域との間に配置される、実施形態1~4のいずれか1項に記載のピペット構造体。
【0093】
実施形態6
メスピペットと共に使用するための拡張先端装置として具現化され、
上記第1の本体セクションは、上記メスピペットの先端領域を受容するよう構成されたキャビティを画定する、実施形態1又は5に記載のピペット構造体。
【0094】
実施形態7
上記キャビティは内面によって範囲を定められ、上記内面は、上記拡張先端装置と上記メスピペットの上記先端領域との間の封止を促進するための封止リングを受承するよう構成された、環状凹部を画定する、実施形態6に記載のピペット構造体。
【0095】
実施形態8
上記第2の本体セクションの、上記試料導入端部付近の少なくとも一部分は、長手方向中心軸を備え、上記試料導入端部の先端は、上記長手方向中心軸に対して非垂直な角度で切断される、実施形態1又は7に記載のピペット構造体。
【0096】
実施形態9
上記試料導入端部の上記先端は、上記長手方向中心軸に対する垂直方向から5°~45°の範囲内の角度で切断される、実施形態8に記載のピペット構造体。
【0097】
実施形態10
上記試料導入端部の上記先端は、一次幅寸法及び横幅寸法を備え、
上記一次幅寸法は上記横幅寸法より少なくとも約2倍大きい、実施形態1又は9に記載のピペット構造体。
【0098】
実施形態11
上記試料導入端部における上記一次幅寸法は、上記接合点における上記幅寸法より大きく、上記試料導入端部における上記横幅寸法は、上記接合点における上記幅寸法より小さい、実施形態10に記載のピペット構造体。
【0099】
実施形態12
上記第1の本体セクション及び上記第2の本体セクションは、少なくとも1つのポリマー材料を含む、実施形態1又は10に記載のピペット構造体。
【0100】
実施形態13
上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間に、上記接合点の少なくとも一部分に沿って、溶接界面を更に備える、実施形態1~12のいずれか1項に記載のピペット構造体。
【0101】
実施形態14
上記第1の本体セクション及び上記第2の本体セクションは、上記第2の本体セクションの上記長手方向中心軸を、上記第1の本体セクションの長手方向中心軸に対して100°~170°の範囲内の角度で配向できるよう構成される、又は構成可能である、実施形態1~13のいずれか1項に記載のピペット構造体。
【0102】
実施形態15
上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間に配置された非直線状曲管移行部を更に備え、
上記非直線状曲管移行部は、5°~60°の範囲内の移行角度を有する、実施形態1~14のいずれか1項に記載のピペット構造体。
【0103】
実施形態16
(i)複数の細胞の凝集体の3次元培養に適したマイクロウェルのアレイを画定する構造化表面を含む、細胞培養ハウジングの内部と、(ii)上記細胞培養ハウジングの外部の環境との間で、少なくとも1つの材料を移送するための方法であって、上記方法は:
上記細胞培養ハウジングのポートを通して、ピペット構造体の少なくとも一部分を上記細胞培養ハウジングの上記内部へと挿入するステップであって、上記ピペット構造体は:第1の流体通路を画定する第1の本体セクション;試料導入端部を備える第2の本体セクションであって、接合点において上記第1の本体セクションに接続され、上記第1の流体通路と流体連通した第2の流体通路を画定する、第2の本体セクション;及び以下の特徴(i)又は(ii):(i)上記接合点が、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備えること;又は(ii)上記第2の流体通路が、上記試料導入端部と上記接合点との間に、上記試料導入端部における幅寸法が上記接合点における幅寸法より大きな、不均一な幅を備えることのうちの少なくとも一方を有する、ステップ;
上記ピペット構造体の中へ又は上記ピペット構造体を通して、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取るステップ;並びに
上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記ピペット構造体の上記少なくとも一部分を引き出すステップ
を含む、方法。
【0104】
実施形態17
上記接合点は、上記第1の本体セクションと上記第2の本体セクションとの間の枢動を可能とするベローズ継手を備え;
上記方法は更に、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップの前に、上記ベローズ継手の枢動を実施して、上記第2の本体セクションの長手方向中心軸と上記第1の本体セクションの長手方向中心軸との間の配向を調整するステップを含む、実施形態16に記載の方法。
【0105】
実施形態18
上記少なくとも1つの材料は、上記細胞培養ハウジングの上記内部の中の細胞培養培地を含み、
上記方法は更に、上記試料導入端部を上記構造化表面に対して非接触の関係に維持することによって、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップ中に、上記マイクロウェルのアレイから複数の細胞の凝集体を除去する可能性を低減しながら、上記細胞培養ハウジングの上記内部から細胞培養培地を優先的に除去できるようにするステップを含む、実施形態16又は17に記載の方法。
【0106】
実施形態19
上記少なくとも1つの材料は上記複数の細胞の凝集体を含み、
上記方法は更に、上記試料導入端部を、上記マイクロウェルのアレイのうちの1つ以上の選択されたマイクロウェルの近傍に維持することによって、上記細胞培養ハウジングの上記内部から上記少なくとも1つの材料を抜き取る上記ステップ中に、上記1つ以上の選択されたマイクロウェルから少なくともいくつかの上記複数の細胞の凝集体を優先的に除去できるようにするステップを含む、実施形態16~18のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
実施形態20
実施形態1に記載のピペット構造体を製作するための方法であって、上記方法は:
加熱されたパリソンを型に供給するステップ;
上記パリソンの内部と外部との間に圧力差を生成して、上記パリソンを膨張させて上記型のキャビティに合致させるステップ;
上記型を開放するステップ;及び
上記ピペット構造体を上記型から取り出すステップ
を含む、方法。
【符号の説明】
【0108】
10 ピペット
11、31 内面
12、62 吸口領域
13、63 吸口
14、64 本体領域、管状本体領域
15、65 先端
16、66 先端領域
17 体積目盛線
18 空間
19 フィルタ
20 吸口‐本体移行領域
21 本体‐先端移行領域
22 吸口厚さ
24 本体厚さ
26 先端厚さ
30 外面
32 吸口直径
34 本体直径
36 先端直径
40、70 細胞培養ハウジング
42、72 細胞培養チャンバ
44、74 構造化表面
46、76 マイクロウェル
50 中央部分
52、82 上壁
54、84 側壁
56 ポート
58 ねじキャップ
60 血清学ピペット
78 細胞培養培地
85 ポート開口
86 管状首部
87 雄ねじ
100、100A、120、140、160、160A、160B、180、180A 血清学ピペット、ピペット
101、121、141、161、181 吸口端部
102、122、142、162、182 吸口部
103、123、143、163、183 目盛線
104、124、144、164、184、204、224、242、244、262、284、304、342、362、364 第1の本体セクション
105、125、145、205、225、285 接合点
106、106A、126、146、166、166A、166B、186、186A、206、226、246、266、286、306、326、346、366、366A 第2の本体セクション
107、107A、127、147、167、167A、167B、187、187A、207、227、247、267、287、307、347、367、367A 壁構造体
108、168B、308、328 非直線状曲管移行部
109、109A、129、149、149A、169、169A、189、189A、209、229、249、269、289、309、349、349A、369、369A 試料導入端部
110、110A、130、150、150A、170、170A、170B、190、190A、210、230、250、270、290、310、350、350A、370、370A 試料導入ポート
112、132、156、172、192、212、242、252、352、372 流体通路、第2の流体通路
114、134、154、174、194、214、256、375 流体通路、第1の流体通路
116、136、176、196 流体通路
118、179、319、339 第1の本体セクションの長手方向中心軸
119、178、198、298、318、338、378 第2の本体セクションの長手方向中心軸
152、152A、215、232、234、235、254、272、274、276、292、294、296、312、314、354、354A、355、355A、356、372A、374、377 流体通路
165、185、245、265、325、345、365 ベローズ継手
165’、185’、245’、265’、325’、345’、365’ 溶接界面
200、220、240、260、280、300、320、340、340A、360、360A、360A’ 拡張先端装置
201、221、241、261、281、301、321、341 ピペット受容端部
202、222、282、302、362 上部本体セクション
203、223、283、303、343、363 肩部
216、256、276、296、316、356 キャビティ
217、237、257、277、297、317、357 内向きテーパ面
238、278 環状凹部
239、279 封止リング
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図19A
図19B