(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】自動車シートに取り付けるためのチャイルドシート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/28 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
B60N2/28
(21)【出願番号】P 2021514580
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2019073645
(87)【国際公開番号】W WO2020057984
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】202018105300.0
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペレスカ、フランツ
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-233094(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2861658(FR,A1)
【文献】欧州特許出願公開第0537019(EP,A2)
【文献】特開2003-25881(JP,A)
【文献】特開2009-137520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車シートに取り付けるためのチャイルドシート(100)であって、
前記チャイルドシート(100
)を係止するための第1の係止手段(120)と、前記チャイルドシート(100
)を係止するための第2の係止手段(110)とを備え、
前記第1の係止手段(120)が上側係止手段を形成し、前記第2の係止手段(110)が下側係止手段を形成し
、
前記第1の係止手段(120)は、少なくとも第1および第2の構成をとり得るように構成され、前記第1の係止手段(120)が前記第1の構成をとる時、前記第2の係止手段(110)の係止は
不可能であり、
前記第1の構成は、前記チャイルドシート(100)の前記自動車シートへの係止効果を有さない不使用構成であり、前記第2の構成は、前記チャイルドシート(100)の前記自動車シートへの係止効果を有する使用構成であり、
前記第1の係止手段(120)および前記第2の係止手段(110)は、前記チャイルドシート(100)を前記自動車シートに係止するように構成されている、
チャイルドシート。
【請求項2】
前記第1の係止手段(120)は、第3の構成をとり得るように構成され、前記第1の係止手段(120)の前記第3の構成において、前記第2の係止手段(110)の係止
が可能であり、
または、
前記第2の係止手段(110)は、少なくとも
前記第1
の構成、前記第2の構成、およ
び第3の構成をとり得るように構成され、前記第2の係止手段(110)の前記第3の構成において、前記第2の係止手段(110)の係止
が可能であ
り、
前記第3の構成は、前記チャイルドシート(100)の前記自動車シートへの係止効果を有さない不使用構成である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記第1の係止手段(120)は、
機械的張力が付与されるベル
トを備え
、または、
前記第2の係止手段(110)は、少なくとも1つの係止アームを有するアン
カを備える
ことを特徴とする、請求項1
または2に記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記少なくとも1つの係止アームは、Isofixアンカである
ことを特徴とする、請求項3に記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記第1の係止手段(120
)または前記第2の係止手段(110)が、前記第
1または第
2また
は第3の構成にあるかを決定するために、センサ手
段が提供される
ことを特徴とする、請求項
2に記載のチャイルドシート。
【請求項6】
前記センサ手段は、少なくとも1つの近接スイッチまたはトグルスイッチである
ことを特徴とする、請求項5に記載のチャイルドシート。
【請求項7】
前記第1の係止手段が、
前記第3の構成にある時
、警報を生成するように構成された警報デバイスが提供されることを特徴とする、請求項
2に記載のチャイルドシート。
【請求項8】
前記第1の係止手段(120)を
前記自動車シートに固定するために少なくとも1つの第1の締付け手段(121)が提供され
る、
ことを特徴とする、請求項1乃至
7の1項に記載のチャイルドシート。
【請求項9】
前記第1の係止手段に張力を付与するために、張力付与デバイ
スが前記第1の係止手段(120)と関連する
ことを特徴とする、請求項1乃至
8の1項に記載のチャイルドシート。
【請求項10】
前記張力付与デバイスは、ベルト緊張デバイスである
ことを特徴とする、請求項9に記載のチャイルドシート。
【請求項11】
前記第1の係止手段への張力は、前記第1の係止手段が係止されている時に付与される
ことを特徴とする、請求項9または10に記載のチャイルドシート。
【請求項12】
請求項1乃至
11の1項に記載のチャイルドシートを備える自動車。
【請求項13】
請求項1乃至10の1項に記載のチャイルドシートの第2の係止手段(110)に影響を及ぼ
す前記チャイルドシートの第1の係止手段(120)の使用法であって、
前記第1の係止手段が上側係止手段を形成し、前記第2の係止手段が下側係止手段を形成
する、使用法。
【請求項14】
請求項12に記載の自動車において
、請求項1乃至
11の1項に記載のチャイルドシート(100)
を設置する方法であって、前記チャイルドシートは、
前記チャイルドシート(100
)を係止するための第1の係止手段(120)と、前記チャイルドシート(100
)を係止するための第2の係止手段(110)とを備え、
前記第1の係止手段(120)が上側係止手段を形成し、前記第2の係止手段(110)が下側係止手段を形成し
、
前記第2の係止手段(110)
の係止が最初
は不可能であり、その後、前記第1の係止手段(120)の構成の変化
が前記第2の係止手段(110)の係止が
可能となるように作用する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の自動車シートに取り付けるためのチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、自動車(motor vehicle)シートに取り付けるためのチャイルドシートは一般に知られている。そのようなチャイルドシートは、たとえば上側係止手段(たとえばトップテザー)および下側係止手段(たとえばIsofix)によって自動車または自動車内に係止され得ることも知られている。係止手段(たとえばトップテザー(top tether))が正しく設置されていない、たとえば固定されておらず、または十分に緊張されていないという危険性がある。これは、事故の発生時、負傷の危険性の増加を伴う。
【0003】
DE20 2012 007 314 U1号は、トップテザーおよび表示器要素を有するチャイルドシートを開示し、これにより、トップテザーが正しく設置されていない場合、表示器要素が明確に視認でき、トップテザーが正しく設置されている場合、視認できない。したがって、表示器は、誤使用の危険性を低減または防止することが意図される。しかし、結局のところ、誤使用は防止されない。
【0004】
DE20 2012 007 313 U1号は、トップテザーおよび可動要素を有するチャイルドシートを開示し、これにより、可動要素は、トップテザーが正しく設置されていない時にチャイルドシートへの子供の着座を妨げることが意図され、トップテザーが正しく設置されている時に妨げないことが意図される。これは比較的複雑な解決策であり、また、無批判ではない。正面衝突後の跳ね返りにおいて、トップテザーは既に張力を有さず、可動要素は、干渉位置に再び戻される。
【0005】
FR 2 861 658 A1号は、トップテザーおよび下側締付け手段を有するチャイルドシートを開示し、これにより、トップテザーまたは下側締付け手段のどちらかしか正しく設置されていない場合、警報信号が発される。トップテザーまたは下側締付け手段のどちらも正しく設置されておらず、または両方のシステムが正しく設置されている場合、警報は生じない。しかし、特に下側締付け手段がIsofixアンカである場合、Isofixラッチは通常、可動式に設計されるので、Isofixラッチ内のセンサの接続は移動の後である必要があるため、この解決策は比較的複雑かつ面倒である。
【0006】
EP 3 256 343 A1号は、シート領域および背もたれを有するチャイルドシートを開示し、これにより、チャイルドシートは、シート領域が背もたれに対し折り畳まれた小型構成から、子供がチャイルドシートに着座し背を付けることができる使用構成へ移行され得る。このチャイルドシートは、トップテザーを更に有し、1つの実施形態において、小型構成から使用構成への移行は、トップテザーが固定され、十分に緊張した状態の時にしか起こり得ない。これは、比較的複雑な解決策であり、また、特定の型のチャイルドシートにしか適用できない(たとえば、乳児用シェルには適用できない)。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、チャイルドシートが可能な限り正しく係止されていることを確実にするための単純かつ安価な上に安全な解決策を提案することである。特に、チャイルドシートのユーザは、係止手段(特に上側係止手段)の適切な設置に確実に注意しなければならない。
【0008】
この目的は、好適には、請求項1に記載の特徴によって解決される。
【0009】
特に、このタスクは、(車両(vehicle)に)チャイルドシートおよび/または(基部に)チャイルドシートのシートユニットを係止するための第1の係止手段と、(車両に)チャイルドシートおよび/または(基部に)チャイルドシートのシートユニットを係止するための第2の係止手段とを備える、自動車(motor vehicle)シートに取り付けるためのチャイルドシートによって解決される。第1の係止手段は、好適には上側係止手段であり、第2の係止手段は、好適には下側係止手段である。あるいは、第1の係止手段は、(好適にはチャイルドシートを車両に係止するための)下側係止手段を形成してよく、第2の係止手段は、(好適にはチャイルドシートを車両に係止するため、および/またはシートユニットを基部に係止するための)上側係止手段を形成してよい。第1の係止手段は、好適には、少なくとも第1および第2の構成をとり得るように構成され、第1の係止手段が第1の構成をとる時、第2の係止手段の係止(または、特に、対応する係止手段が実際にその係止機能を果たし得る状態という意味での係止の実現性)は阻止される。
【0010】
本発明の核心となる概念は、第1の係止手段が再構成可能であり、それぞれの構成が、第2の係止手段が(係止的に)作動し得る(すなわち、アンカを形成し得る)範囲に必然的に関係する点に存する。この因果関係は、間接的または直接的であってよい。間接関係(相互作用)とは、特に、第1および第2の係止手段の間の(物理的)接触の結果として阻止が生じるのではなく、たとえば伝達装置によって伝達されることが理解され、この構成において、第1の係止手段が阻止され、またはされず、それに応じて第2の係止手段が(たとえば別の阻止デバイスによって)阻止され、またはされない。直接関係または直接相互作用(直接阻止)とは、特に、第1の係止手段が第2の係止手段と物理的に接触しており、たとえば第2の係止手段の少なくとも一部と係合していることが理解される。
【0011】
第1および第2の係止手段は、好適には、それぞれ第1および第2の係止デバイスを形成する。第1および/または第2の係止手段は、(各々が)独立したアセンブリを形成してよく、および/または、(任意選択的に各々が)チャイルドシートの総重量の10%未満、好適には5%未満の重量を有してよい。チャイルドシートの座面(たとえばシート領域または背もたれ自体など)を形成する部品は、好適には、(それぞれの)係止手段の一部ではない。あるいは、第1および/または第2の係止手段は、いくつかのアセンブリ(各例において2つ以上または丁度2つのアセンブリ)から形成されてもよい。
【0012】
係止(またはその阻止)は好適には、シート領域が、背もたれに対して旋回(または場合によっては他の方法で調整)されることを暗示するものではない。一般に、シート領域は、背もたれに対して旋回可能(任意選択的に他の方法で調整可能)であってよく、または不可能(たとえば背もたれに強固に連結された状態)であってもよい。
【0013】
係止(または係止の実現性)の阻止または防止は特に、たとえば次に別の作動手段が作動する必要がある、および/またはそれぞれの係止手段への(手動)アクセスが制限されるという事実により、(固定された)係止が不可能であるか、または少なくとも(著しく)妨げられることを意味する。
【0014】
上側係止手段とは、特に、チャイルドシートまたはシートユニットの上部領域(たとえば、最上部50%、好適には最上部20%以内であり、チャイルドシートまたはシートユニットの高さが可変である場合、これは特に、最大高さに到達するチャイルドシートの(使用)構成に当てはまる)に部分的または全体的に配置された係止手段を意味する。上側係止手段がトップテザーを備える場合、トップテザーは、シートの上部領域において保持され、少なくとも巻き付けられ得る。具体的には、トップテザーベルトが(頂部において)巻き付けられ、シート内部で下方へガイドされ得る。任意選択的に、(最下の)底までのガイドが実現され得る(この場合、トップテザーは、特に構造的に何らかの方法で着脱可能である場合、下側係止手段に取り付けられ得る)。上側係止手段、特にトップテザーは、任意選択的に、取外し可能に配置/保持され得る。上側係止手段は、場合によっては、上部保持またはたわみ点と、車両上の係止点との間に延びてよく、よってこの係止点は、たとえば車両の床(すなわち、場合によっては下側係止手段より下)に位置し得る。
【0015】
下側係止手段とは、好適には、それぞれシートユニットのチャイルドシートの下部領域(たとえば、下側50%、好適には下側20%に配置され、それぞれシートユニットのチャイルドシートの高さが可変である場合、これは特に、最大高さに到達するチャイルドシートの(使用)構成に当てはまる)に(部分的または全体的に)配置された(保持され、または少なくとも巻き付けられた)係止手段を意味する。
【0016】
いずれの場合も、上側係止手段は(少なくとも主に、好適には完全に)、(少なくとも、チャイルドシートまたはシートユニットへの取付け点が関係する限り)下側係止手段より上に位置してよい。上側係止手段の配置(すなわち、特に上側係止手段がチャイルドシートまたはシートユニットに配置され、または取り付けられる点)は、下側係止手段の配置よりも10cm以上、好適には30cm以上、更に好適には50cm以上、上であってよい(様々な高さに調整され得るチャイルドシートまたはシートユニットの場合、これは好適には、チャイルドシートまたはシートユニットが最大高さを有する構成に少なくとも当てはまる)。
【0017】
特に、好適には、上側係止手段はトップテザーであり、下側係止手段はIsofixアンカである。
【0018】
チャイルドシートは、基部(部品)を有して、または有さずに設計され得る。チャイルドシートが基部を有して形成される場合、チャイルドシートは好適には、基部に対して(取外し可能および/または調整可能、たとえば回転可能に)構成されたシートユニットを備える。その場合、シートユニットは好適には、実際のシート、すなわち、特に(たとえば乳児用シェルの形状であり、必ずしも互いに構造的に分離される必要はない)シート領域および背もたれを備える。
【0019】
チャイルドシートまたはシートユニットは、一般に、構造的に分離されたシート領域および背もたれを有して設計され得る。シート領域および背もたれは、互いに対して調整可能(たとえば旋回可能)であってよく、そうでなくてもよい。チャイルドシートは、乳児用シェルまたは他の子供用の「伝統的な」チャイルドシートであってよい。特に、シートが乳児用シェルとして設計される場合、シートは、場合によっては、乳児または幼児を乗せるための一体型シェルおよびそれ自体のハーネスシステム(のみ)、場合によってはヘッドレストおよび場合によっては他の部品を備えてよい。
【0020】
背もたれ(背部領域)およびシート領域が互いに構造的に分離されている限り、この分離は、たとえば屈曲(など)によって画定され得る。
【0021】
第2の係止手段の使用は好適には、第1の係止手段の構成に必然的に依存するという事実により、動作誤差の危険性が少なくとも低減され得る。一般的に、第1の係止手段の少なくとも1つの構成において、第1に、(第2の係止手段の作動の阻止によって)この特定の構成がもたらされたことをユーザが認識することが少なくとも実現される(好適な配置が詳しく後述される)。これは、少なくとも様々構成が何らかで第1の係止手段と関係し得ること(または第1の係止手段が何らかで「存在する」こと)へのユーザの認識を(最も一般的な場合でも)少なくとも促す。これにより、第1の係止手段が(正しく)使用される可能性が少なくとも増加する。これは特に、第2の係止手段自体が十分である場合、または少なくとも、第2の係止手段の係止によって、チャイルドシートまたはシートユニットの十分な(安全な)係止が実現されることを提示する場合、特に有利である。
【0022】
第1および第2の係止手段は、(たとえばシートシェルまたは背もたれおよび/またはシート領域を介してのみ連結が生じるが、直接的な連結は存在しないように)互いに構造的に分離してよく、および/または、(一方における第1の係止手段の構成と、他方における第2の係止手段の動作の阻止または非阻止との相互作用を除いて)互いに機能的に分離してよい。好適には、第1および第2の係止手段は、ベルトによって互いに連結されない。
【0023】
好適には、第1の係止手段は、第3の構成をとってよい。第1の係止手段の第3の構成において、第2の係止手段の係止(または効果)は、好適には阻止されない(したがって、第3の構成は好適には、この点に関して第2の構成と対応する)。第3の構成が存在するかにかかわらず、第2の構成は好適には、第2の係止手段の係止または効果が阻止されておらず/阻止されることがない、第1の係止手段の構成である。
【0024】
第2の係止手段は、少なくとも第1および第2の構成をとり得るように構成され得る。ここで、第1の構成は好適には、第2の係止手段がチャイルドシートまたはシートユニットを係止しない不使用構成と対応し、および/または、第2の構成は好適には、第2の係止手段がチャイルドシートまたはシートユニットを係止する使用構成と対応する。
【0025】
また、第2の係止手段は任意選択的に、第3の構成をとってよい。第2の係止手段の第3の構成において、好適には、第2の係止手段の係止が可能にされる(が、場合によっては実現されない)。第2の係止手段の係止を可能にすることとは、ユーザによって(第2の係止手段をその設置位置または対応する設置位置に連結することによって)係止が実行され得るように第2の係止手段が構成されることと理解され、すなわち、第2の係止手段は、そのような(固定された)連結または締付けが防止されるように基本的に構成される(成される)ものではない。
【0026】
第1および/または第2の係止手段の第1および/または第3の構成は、好適には、不使用構成である。不使用構成とは、好適には、係止手段が係止されず、または係止効果を有さないように構成されることを意味する。第1および/または第2の係止手段の第2の構成は、好適には、係止手段が実際に係止され、または係止効果を有するという意味で、使用構成である。
【0027】
それぞれの係止手段の構成の下で、係止手段の固有の状態(たとえば、係止手段に固有の機械的張力および/またはそれぞれの係止手段の互いに対する構成要素の位置)、および/または、係止手段の外側の構成要素(たとえば、チャイルドシートおよび/またはシートユニットおよび/または車両の他の構成要素)に対するそれぞれの係止手段の状態が理解され得る。様々な構成が、チャイルドシートに対し外側にあるとみなされる車両または他の構成要素に対する位置によって定義される場合、これは、これらの様々な構成/位置がチャイルドシート自体および/またはシートユニット自体において検出可能であるように、チャイルドシート自体の少なくとも1つの対応するセンサデバイスが、これらの様々な位置を示すことを暗示し得る。
【0028】
チャイルドシートは、車両の背もたれに当接するための第1の(後側または上側)部分と、車両シートの座面に当接するための第2の(下側)部分とを有してよい。好適には、少なくとも1つの第1の(上側)係止手段および少なくとも1つの第2の(下側)係止手段の両方が、各々、対応する係止手段がチャイルドシートを車両に固定しない第1の構成(不使用構成)または対応する係止手段がチャイルドシートを車両に固定する第2の構成(使用構成)のいずれかであってよい。好適には、第1の構成にある少なくとも1つの第1の(上側)係止手段は、少なくとも1つの第2の(下側)係止手段の第1の構成から第2の構成への移行を妨げ、それによって更に好適には、少なくとも1つの第1の(上側)係止手段は、チャイルドシートを車両に固定することなく、少なくとも1つの第2の(下側)係止手段の移行を妨げることもない第3の構成を更にとってよい。したがって、チャイルドシート(またはシートユニット)の設置のために、特に、少なくとも1つの第1の(上側)係止手段が第1の構成にないことが確実にされなければならない。
【0029】
第1の係止手段は好適には、ハーネスおよび/またはトップテザーを備える(またはハーネスおよび/またはトップテザーとして構成される)。トップテザーは好適には、ベルト、車両と連結するための要素、たとえばフック、および場合によっては表示器を備える。この場合、第1の係止手段の第1および第2の構成は好適には、各々が、(トップテザーのベルトが使用可能である場合)(特に第3の構成に対する)ベルトの(最小)張力によって特徴付けられ得る。第1および/または第2の構成において、たとえば、(特定の位置における)ベルトの(機械的)張力値は、閾値より上(または場合によっては、第1の代替例によると、閾値丁度)であってよい。同様に、第3の構成は、閾値未満(または場合によっては、第2の代替例によると、閾値丁度)であることによって特徴付けられ得る。
【0030】
第1の係止手段は、特にチャイルドシートまたはシートユニットの上端または上端付近に(近位端を有して)配置され得る(特に取り付けられ、および/または巻き付けられ得る)。また、第1の(上側)係止手段は、車両または基部内/上に位置する第1の相手部との組み合わせで(最終的に係止を実現するために)作動することができる少なくとも第1の締付け手段を(特に遠位端において)備えてよい。
【0031】
第2の係止手段は、少なくとも1つの係止アームを有するアンカ、特にIsofixアンカを備えてよい。より具体的には、少なくとも1つの第2の(下側)係止手段は、2つの(剛性)係止アームを備えてよく、それらの端部に、車両または基部に位置する第2の相手部との組み合わせで作動する第2の締付け手段が提供される。特に、これらはIsofixアームであってよい。
【0032】
実施形態において、少なくとも1つの係止アーム(2つ以上または丁度2つの係止アーム)は、この目的のためにチャイルドシート(またはシートユニット)の裏側に提供されたガイド要素において(チャイルドシートまたはシートユニットの)背もたれの方向および反対方向へ摺動可能に取り付けられてよく、係止アーム(複数の係止アーム)の第1の構成は好適には、チャイルドシート内へ(車両シートの背もたれから離れる方向へ)退縮する位置に対応し、ここで更に好適には、第2の締付け手段は、第2の相手部との組み合わせで(または少なくとも第2の相手部において)作動できない。少なくとも1つの係止アーム(複数の係止アーム)の第2の構成は、車両シートの背もたれの方向へ延伸した位置に対応してよく、ここで第2の締付け手段は、少なくとも1つの第2の(または使用可能な場合、2つの第2の)相手部(複数も可)との組み合わせで作動することができる。
【0033】
係止アーム(Isofixアーム)は、必要であれば(車両シートの背もたれまたは基部の方向または反対方向へ)一体的に動くように相互連結され得るが、必ずしもそうである必要はない。
【0034】
第1の(上側)係止手段は好適には、その第1の構成において、少なくとも1つの係止アーム(その少なくとも1つの係止アーム)の第1の位置または構成からの(第2または第3の位置または構成への)移動を妨げてよい。この目的のため、第1の(上側)係止手段の第1の締付け手段は、たとえば、対応する係止アームの第1の構成外への移動が阻止されるように、少なくとも1つの係止アーム(その少なくとも1つの係止アーム)のガイド要素を係合してよい。好適には、第2の係止手段(下側係止手段)の第2または第3の構成において、係止アーム(複数の係止アーム)は、(少なくとも1つの)第1の締付け手段に関するガイド要素(複数も可)内への係合位置を遮断する。
【0035】
代替実施形態において、第2の(下側)係止手段の第1の構成は、好適には、第2の(上側)係止手段の(少なくとも1つの)第1の締付け手段が(それぞれの係止アームの)第2の締付け手段の少なくとも1つに直接係合することにより、対応する第2の締付け手段が関連する第2の相手部と係合することを妨げることによって実現され得る。
【0036】
実施形態において、第2の係止手段は、ベルトアンカを備えてよい。ベルトアンカとは、特に、ベルト(部)を備え、および/または受け入れる(ガイドする)ように適合されたデバイスを意味する。特に、ベルトアンカは、ベルトガイドおよび/またはベルトを備えてよい。具体的には、ベルトアンカは、ラッチシステムのために(またはラッチシステムとして)構成され得る。
【0037】
より具体的には、第2の(下側)係止手段は、チャイルドシートを車両シート(または基部におけるシートユニット)に取り付けるための少なくとも1つのベルトをガイドするように設計されたベルトガイドを備えてよい。このベルトは、車両自体のベルト(膝ベルト部および/または斜め掛けベルト部)であってよく、または、たとえばラッチシステムに対応する、チャイルドシートに属するベルトであってもよい。第1の(上側)係止手段および第2(下側)の係止手段がそれらの(それぞれの)第1の構成にある時、第1の(上側)係止手段の第1の締付け手段は、好適には、ベルトガイドへのベルトの受入れを阻止するために、この目的のためにベルトガイド内に提供されたレセプタクルに係合してよい。好適には、ベルトがベルトガイド内に受け入れられた後は、(第1の/上側係止手段の)第1の締付け手段がベルトガイドのレセプタクルに係合することは不可能である(妨げられる)べきである。
【0038】
実施形態において、チャイルドシートは、基部に(取外し可能に)取り付けられるのではなく、車両または車両シートに(直接)取り付けられるシートである。
【0039】
チャイルドシートは、シートユニットおよび基部も備えてよく、ここで、好適な実施形態において、第1の(上側)係止手段および第2の(下側)係止手段は好適には(各々が)基部に取付けられる。そのような実施形態において、シートユニットは、任意選択的に第1の(上側)係止手段および第2の(下側)係止手段から独立した、シートユニットを基部に(取外し可能に)固定するためのシート取付け手段を備えてよい。
【0040】
また、チャイルドシートは、シートユニットおよび基部も備えてよく、ここで、少なくとも1つの第1の(上側)係止手段はシートユニット上に位置し、第2の(下側)係止手段は、シートユニットを基部に(取外し可能に)固定するためのシート締付け手段によって実現され得る。その場合、必要であれば、基部を車両(または車両シート)に取り付けるために更なる締付け手段が提供され得る。この文脈において、第1の(上側)係止手段および第2の(下側)係止手段がそれらの第1の構成にある時、(第1の/上側係止手段の)少なくとも1つの第1の締付け手段は、好適には、第2の(下側)係止手段と直接係合し、それが対応する相手部(複数の対応する相手部)との組み合わせで作動することを妨げ、または阻止してよい。たとえば、第2の(下側)係止手段は少なくとも1つのロッドを備えてよく、少なくとも1つの関連する相手部は少なくとも1つのスナップフックを備えてよい(または逆である)。
【0041】
好適には、少なくとも1つのセンサ手段、更に好適には少なくとも1つの接触スイッチ、また更に好適には少なくとも1つのトグルスイッチは、それぞれの係止手段が特定の構成にあるかを決定するために提供される。特に好適には、センサ手段は、第1の(上側)係止手段が第3の構成にあるかを決定するように構成される。代替または追加として、センサ手段は、第1および/または第2の係止手段が第1および/または第2の構成にあるかを決定するためにも構成され得る(または更なる対応するセンサ手段が提供され得る)。そのような情報がセンサ手段によって取得されると、全体安全性が向上する。たとえば、第1の(上側)係止手段が、(特に、第2の係止手段による係止を可能にするが、それ自体が係止をもたらさず、または固定した係止をもたらさない)その第3の構成にあるという決定は、対応する評価および/または表示のために(特に、更に後述するように、対応する警報デバイスのために)用いられ得る。
【0042】
具体的には、センサ手段は、既定の機械的(最小)張力の存在を検出するように構成されたセンサ手段であってよい。実施形態によると、センサ手段は、特に既定の(最小)張力を上回るおよび/または下回る場合にトリガするスイッチ、好適には接触スイッチ、更に好適にはトグルスイッチとして作動し得る。警報デバイスが提供される場合、センサ手段(スイッチ)は好適には、警報デバイスが警報(または他の)表示を生成し、または生成を止めるように警報デバイスをオンおよび/またはオフに(直接)切り換えてよい。当然、原理的には、警報デバイスを制御するために他の種類のセンサ手段も適当であり、よって制御は、純粋に電子的であってもよい。
【0043】
特定の実施形態において、第1の(上側)係止手段のベルト(部)は、ばね、特にねじりばねまたは脚ばねと関連してよい。その場合、脚ばねの第1の脚は、好適には、(たとえば、ブラケットセクション、またはねじりばねまたは脚ばねの回転軸に対し少なくとも略平行に走る部分を介して)ベルト(部)において支持または取付けされ、第2の脚は、チャイルドシートまたはシートユニットの本体に対し固定式に、および/またはセンサ手段(スイッチ)において支持または取付けされる。その場合、センサ手段(スイッチ)を作動させるために必要なばね定数または力は、好適には、(最小)張力が付与されていない時に第1の脚によってベルト(部)が迂回路へ押しやられるように適合される。しかし、(最小)張力を超えた場合、第1の脚にかかる力が生じ、ばねによって伝達され、第2の脚によってセンサ手段(スイッチ)に作用し、これが警報デバイスをオフに切り換える。張力が(最小)張力未満に再び下がると、必要であれば、逆のプロセスによって警報デバイスが再びオンに切り換えられ得る。
【0044】
好適には、第1の係止手段が、特に不使用構成として設定されたその第3の構成にある場合(場合によってはこの場合のみ)、警報を生成するように更に好適に構成された警報デバイスが提供される。警報は、たとえば音響警報および/または視覚警報であってよい。視覚警報は、色付き、特に赤色および緑色の表示要素および/または照明手段(たとえばLED)を備えてよい。
【0045】
第1の係止手段は、チャイルドシートを車両に、および/または(基部を有するチャイルドシートの)シートユニットを基部に係止するように構成され得る。代替または追加として、同じことが第2の係止手段にも当てはまり得る。基部が提供される場合、第1の係止手段は、車両に基部を係止(することにより間接的にシートユニットを係止)し、または車両にシートユニットを係止(することにより間接的に基部を係止)してよい。代替または追加として、同じことが第2の係止手段にも当てはまり得る。
【0046】
(それぞれの)係止手段の構成は、異なる機械的張力、特にベルト張力によって、および/または、特に係止手段の追加の要素および/または係止手段外の追加の要素、たとえばチャイルドシートおよび/または設置位置に対するそれぞれの係止手段の少なくとも1つの要素の異なる位置によって異なってよい。
【0047】
少なくとも1つの第1の締付け手段は、第1の係止手段を車両および/または基部に固定するために提供されてよく、第1の締付け手段は好適には、第1の構成において、第2の係止手段を(間接的または直接的に)、任意選択的に第2の係止手段の少なくとも1つの第2の締付け手段を(間接的または直接的に)阻止し、好適には第2の位置においてこれを阻止しない。
【0048】
実施形態において、張力付与デバイス、特にベルト緊張デバイスは、特に係止手段を係止(し、係止をもたらす)時、係止手段に(機械的)張力を付与するために、第1の(上側)係止手段と関連する。第1の(上側)係止手段は、ベルト(部)を備え、第1の(上側)係止手段の第1および第2の構成は更に、ベルト(部)の(最小)張力に有利に結合され得る。更に好適には、(最小)張力は、第1の(上側)係止手段のみの重量力によって提供することはできない。
【0049】
実施形態において、第1の(上側)係止手段は、(特に手動で操作可能な)ベルト緊張デバイスを備えてよい。最も単純な例において、これは、摩擦ベースの(ハーネスベルトまたは場合によってはバックパックによって知られる)(純粋に)機械的な解決策であってよい。ラッチまたは他の設計も考えられる。ベルト緊張デバイスを用いて、第1の(上側)係止手段のベルト(部)は、第1の(上側)係止手段がチャイルドシートを車両に(またはシートユニットを基部または車両に)取り付ける時、または第1の(上側)係止手段が、第2の(下側)係止手段の第1の位置(構成)から第2の位置(構成)への移行を防ぐ(また、たとえば第2の(下側)係止手段のガイド要素またはベルトガイドと相互作用する)時、緊張され得る。たとえばこのように、必要な(最小)張力が付与され得る。
【0050】
上述した目的は更に、上記種類のシートを有する自動車によって解決される。
【0051】
上述した目的は更に、チャイルドシートの第2の係止手段の係止または係止の実現性を(間接的または直接的に)阻止するために、特に上記種類のチャイルドシートの第1の係止手段を用いることによって解決される。好適には、第1の係止手段は上側係止手段であり、第2の係止手段は下側係止手段である。あるいは、第1の係止手段は下側係止手段を形成してよく、第2の係止手段は上側係止手段を形成してよい。
【0052】
上述した目的は更に、特に上記種類のチャイルドシートを、特に上記種類の自動車内に取り付けるための方法によって解決され、チャイルドシートは、(車両に)チャイルドシートおよび/または(基部に)チャイルドシートのシートユニットを係止するための第1の係止手段と、(車両に)チャイルドシートおよび/または(基部に)チャイルドシートのシートユニットを係止するための第2の係止手段とを備え、第1の係止手段は好適には上側係止手段を形成し、第2の係止手段は好適には下側係止手段を形成し(または逆に、第1の係止手段が下側係止手段を形成し、第2の係止手段が上側係止手段を形成し)、第2の係止手段は最初、その係止が防止される(ことになる)ように阻止され(ることになり)、その後、第1の係止手段の構成変化により、第2の係止手段の係止が防止されない状態が生じる。
【0053】
本発明の更なる実施形態は、従属クレームから明らかになる。
【0054】
以下、本発明は、図面を参照してより詳しく説明される典型的な実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】
図1は、本発明に係る、車両シート上のチャイルドシートの側面図(断面)である。
【
図4】
図4は、
図1に係るチャイルドシートの、
図1とは異なる(車両シートがない)構成における背面図である。
【
図5】
図5は、
図4に係るチャイルドシートの側面図(断面)である。
【
図7】
図7は、
図1とは異なる追加の構成の、
図1に係るチャイルドシートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下の説明において、同一および同様に作動する部品に関して同じ参照番号が用いられる。
【0057】
図1によると、本発明に係るチャイルドシート100は、車両シート10上に配置される。車両シートは、座面11および背もたれ12を有する。また、(対応する係止手段との組み合わせで作動するための)少なくとも1つの第1の相手部20および少なくとも1つの第2の相手部21が(車両シートまたは車両の他の構成要素に)提供される。相手部20、21は好適には、係止手段およびそれに伴うチャイルドシートが(安全に)係止され得るように、対応する係止手段を受容するために適した構成要素/構造である。
【0058】
チャイルドシート100は、第1のセクション101(座面部)、第2のセクション102(背もたれ)、第1の締付け手段121を有する第1の(上側)係止手段120、および第2の締付け手段111を有する第2の(下側)係止手段110を備える。
【0059】
図1によると、第2の係止手段は、好適にはIsofixアンカであってよい。あるいは、第2の係止手段は、ベルトアンカ(ラッチシステム)であってよい。
【0060】
第1の係止手段は、好適にはトップテザーである。これは、たとえば車両の屋根、(後部)シェルフ、(
図1に示すような)後壁、または(後部区画の)床に配置され得る。
【0061】
第1の係止手段(120)は、少なくとも第1および第2の構成をとり得るように構成され、第1の係止手段(120)によって第1の構成がとられる時、第2の係止手段(110)の係止(係止の実現性)は阻止される。
【0062】
図4~6は、第1の係止手段120の第1の構成を示し、
図1~3は、第1の係止手段120の第2の構成を示し、
図7~9は、第1の係止手段120の第3の構成を示す。
【0063】
図1~3に係る第2の構成において、第1の係止手段120は、締付け手段121を介して車両に固定される。その結果、第1の係止手段120(たとえば、そのベルトまたはベルト部)は、(機械的)張力下にある。これは、ばね130(
図2および
図3を参照)の予圧の効果を有する。その結果、(ここではたとえば、任意選択的にブラケットの形状である、またはバーを備える、ばねの一部としての、またはばねと一体形成された)可動要素131は、(たとえば
図8および
図9に示すような)休止位置から逸脱する特定の位置に至る。それに応じて、この変位は、(たとえば可動要素131との組み合わせで作動する、および/または、特に静止時、ばねのばね支持部133との組み合わせで作動する、たとえば接触スイッチおよび/または圧力スイッチによって)この時点で検出され得る(詳細は不図示)。この点に関して、対応するセンサデバイスを介して、第1の係止手段120が機械的張力下にあるかが決定され得る。具体的には、これは、表示(たとえば音響警報および/または光信号)をもたらさなくてよい。対照的に、
図7~9に係る無張力位置において、対応する表示(警報および/または光信号)が生じてよく、ユーザは、ここで第1の係止手段の特定の構成がとられていること(すなわち第3の構成)を認識する。また、第2の係止手段110は、
図1~3に係る第2の構成において(具体的には、第2の相手部21と協働して)、係止効果を有し、またはアンカを形成し得ることが分かる。その点で、第2の構成は、使用構成に対応する。
【0064】
第1の係止手段120の第1の構成(
図4~6を参照)において、第1の係止手段はまた、背もたれ(第2の部分)102の下端132に配置された状態、(任意選択的な特徴として)具体的にはフック留めされた状態で(機械的)張力下にある。したがって、第1および第2の構成は、両方の構成において第1の係止手段120が(機械的)張力下にあるという点で共通であるが、第1の構成の場合は係止手段120がチャイルドシート(具体的には下端132)において保持され、第2の構成の場合はチャイルドシートに対し外部(のみ)で(たとえば車両の係止点に)保持されるという点で異なる。
【0065】
また、
図5から分かるように、第1の係止手段120が、第2の係止手段110(具体的には、第2の係止手段110の(Isofix)アーム)の移動経路を妨げるので、第2の係止手段110は、
図1に係る位置に到達することができず、第2の相手部21との係止を確立することができない。したがって、第2の係止手段110は、第1の係止手段120の第1の構成において阻止される。
【0066】
次に、
図6~9に係る第3の構成において、第1の係止手段120の締付け手段121は自由である(すなわち、車両にもチャイルドシートにも保持されていない)ため、ばね(デバイス)130は、(
図1~6から逸脱した)異なる位置にある。それに応じて、その後、この逸脱位置もまた検出され得ることにより、たとえばユーザが認識可能な表示(警報および/または視覚表示)が発生し得る。したがって、第1の係止手段120の第3の構成は、特に、第1の係止手段が任意の(十分な)(機械的)張力下にないという点で、第1の構成および第2の構成と異なる(これは、第1の係止手段120の第1の締付け手段121が自由であるという追加の相違点と関連する)。
【0067】
したがって、実施形態に従って要約すると、
第1の構成:第1の係止手段が張力(または閾値以上の張力)下にあり、第2の係止手段が阻止される。
第2の構成:第1の係止手段が張力(または閾値より大きい張力、場合によっては、第1の代替例において、閾値と等しい張力)下にあり、第2の係止手段が阻止されない。
第3の構成:第1の係止手段が張力(または閾値未満の張力、場合によっては、第2の代替例において、閾値と等しい張力)下になく、第2の係止手段は阻止されない。
【0068】
この点で、留意すべき点として、単独および任意の組み合わせで考えた場合、上述した全ての部品、特に図面に示す細部は、本発明に不可欠なものとして特許請求の範囲に記載される。それに関する変更点は、当業者に良く知られているものである。
本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を以下に付記する。
[1]
自動車シートに取り付けるためのチャイルドシート(100)であって、
前記チャイルドシート(100)および/または前記チャイルドシート(100)のシートユニットを係止するための第1の係止手段(120)と、前記チャイルドシート(100)および/または前記チャイルドシート(100)の前記シートユニットを係止するための第2の係止手段(110)とを備え、
前記第1の係止手段(120)が上側係止手段を形成し、前記第2の係止手段(110)が下側係止手段を形成し、または、前記第1の係止手段(120)が下側係止手段を形成し、前記第2の係止手段(110)が上側係止手段を形成し、
前記第1の係止手段(120)は、少なくとも第1および第2の構成をとり得るように構成され、前記第1の係止手段(120)が前記第1の構成をとる時、前記第2の係止手段(110)の係止は阻止される、チャイルドシート。
[2]
前記第1の係止手段(120)は、第3の構成をとり得るように構成され、前記第1の係止手段(120)の前記第3の構成において、前記第2の係止手段(110)の係止は、好適には阻止されない、および/または、
前記第2の係止手段(110)は、少なくとも第1および第2の構成、および任意選択的に第3の構成をとり得るように構成され、前記第2の係止手段(110)の前記第3の構成において、前記第2の係止手段(110)の係止は、好適には可能であるが、特に実現されない
ことを特徴とする、前記[1]に記載のチャイルドシート。
[3]
前記第1の係止手段(120)および/または前記第2の係止手段(110)の前記第1および/または第3の構成は、不使用構成である、および/または、
前記第1および/または第2の係止手段の前記第2の構成は、使用構成である
ことを特徴とする、前記[1]または[2]に記載のチャイルドシート。
[4]
前記第1の係止手段(120)は、ベルトおよび/またはベルト付きトップテザーを備え、および/または、前記第2の係止手段(110)は、少なくとも1つの係止アームを有するアンカ、特にIsofixアンカ、および/または、特に、好適にはラッチシステム用のベルトガイドおよび/またはベルトを備えるベルトアンカを備える
ことを特徴とする、前記[1]乃至[3]の1項に記載のチャイルドシート。
[5]
前記第1の係止手段(120)および/または前記第2の係止手段(110)が、前記第1および/または第2の、および/または更に好適には第3の構成にあるかを決定するために、センサ手段、特に少なくとも1つの接触スイッチ、好適にはトグルスイッチが提供される
ことを特徴とする、前記[1]乃至[4]の1項に記載のチャイルドシート。
[6]
前記第1の係止手段が、特に不使用構成として構成された第3の構成にある時、任意選択的にその時のみ、好適には警報を生成するように構成された警報デバイスが提供されることを特徴とする、前記[1]乃至[5]の1項に記載のチャイルドシート。
[7]
第1の係止手段(120)および/または第2の係止手段(110)は、前記チャイルドシート(100)を前記車両に係止するように構成され、および/または、
前記チャイルドシート(100)は、シートユニットおよび基部を備え、第1の係止手段(120)および/または第2の係止手段(110)は、任意選択的に、前記シートユニットを前記基部に係止するように構成され、および/または、第1の係止手段(120)および/または第2の係止手段(110)は、任意選択的に、前記基部を前記車両に係止するように構成される
ことを特徴とする、前記[1]乃至[6]の1項に記載のチャイルドシート。
[8]
前記それぞれの係止手段(120、110)の前記構成は、異なる機械的張力、特にベルト張力によって異なり、および/または、特に前記係止手段(120、110)の追加要素および/または前記係止手段(120、110)の外側の追加要素、たとえば前記チャイルドシート(100)および/または設置位置に対する、前記それぞれの係止手段の少なくとも1つの要素の異なる位置によって異なる
ことを特徴とする、前記[1]乃至[7]の1項に記載のチャイルドシート。
[9]
前記第1の係止手段(120)を前記車両および/または前記基部に固定するために少なくとも1つの第1の締付け手段(121)が提供され、
前記第1の締付け手段(121)は、第1の位置において前記第2の係止手段(110)を間接的または直接的に阻止し、第2の位置において阻止しない
ことを特徴とする、前記[1]乃至[8]の1項に記載のチャイルドシート。
[10]
特に前記第1の係止手段が係止されている時、前記第1の係止手段に張力を付与するために、張力付与デバイス、特にベルト緊張デバイスが前記第1の係止手段(120)と関連する
ことを特徴とする、前記[1]乃至[9]の1項に記載のチャイルドシート。
[11]
前記[1]乃至[10]の1項に記載のチャイルドシートを備える自動車。
[12]
特に前記[1]乃至[10]の1項に記載のチャイルドシートの第2の係止手段(110)に影響を及ぼす、特に阻止するための、前記チャイルドシートの第1の係止手段(120)の使用法であって、
前記第1の係止手段が上側係止手段を形成し、前記第2の係止手段が下側係止手段を形成し、または、前記第1の係止手段が下側係止手段を形成し、前記第2の係止手段が上側係止手段を形成する、使用法。
[13]
自動車において、特に前記[1]乃至[10]の1項に記載のチャイルドシート(100)を特に前記[11]に従って設置する方法であって、前記チャイルドシートは、
前記チャイルドシート(100)および/または前記チャイルドシートのシートユニットを係止するための第1の係止手段(120)と、前記チャイルドシート(100)および/または前記チャイルドシートのシートユニットを係止するための第2の係止手段(110)とを備え、
前記第1の係止手段(120)が上側係止手段を形成し、前記第2の係止手段(110)が下側係止手段を形成し、または、前記第1の係止手段(120)が下側係止手段を形成し、前記第2の係止手段(110)が上側係止手段を形成し、
前記第2の係止手段(110)は最初、その係止を妨げるために阻止されることにより、その後、前記第1の係止手段(120)の構成の変化は、前記第2の係止手段(110)の係止が妨げられなくなるように作用する、方法。
【符号の説明】
【0069】
10 車両シート
11 座面
12 背もたれ
20 第1の相手部
21 第2の相手部
100 チャイルドシート
101 第1のセクション
102 第2のセクション
110 第2の(下側)係止手段
111 第2の締付け手段
120 第1の(上側)係止手段
121 第1の締付け手段
130 ばね
131 可動要素(ブラケット)
132 下端
133 ばね支持部