(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】トプラメゾンのマイクロエマルション組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 43/80 20060101AFI20240325BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20240325BHJP
A01N 25/04 20060101ALI20240325BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A01N43/80 101
A01N25/00 101
A01N25/04 101
A01P13/00
(21)【出願番号】P 2021518552
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2019075167
(87)【国際公開番号】W WO2020069876
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-15
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ディッケス,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】エスター,ディーン エー
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-500299(JP,A)
【文献】特表2010-535741(JP,A)
【文献】米国特許第08138120(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第102017962(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/
A01N 25/
A01P 13/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相及び水相を含むマイクロエマルション組成物であって、油相が、トプラメゾン又は農学的に許容されるその塩、第1の溶媒、第1の溶媒とは異なる第2の溶媒、及び第1の乳化界面活性剤を含み、水相が、安定剤、及び第1の乳化界面活性剤とは異なる第2の乳化界面活性剤を含
み、
前記第1の溶媒がベンジルアルコールであり、前記第2の溶媒がオレイン酸メチルであり、
前記第1の乳化界面活性剤がオレイン酸グリセリルであり、前記第2の乳化界面活性剤がC
8
~C
10
アルキルポリグルコシドであり、
前記安定剤がカチオン性ポリエチレンイミンポリマーである、マイクロエマルション組成物。
【請求項2】
カチオン性ポリエチレンイミンポリマーが、直鎖状、分枝鎖状又は超分枝鎖状であり、式(IV)
-(CH
2-CH
2-NH)
n- (IV)
(式中、
nは、10~10000の整数である)
で表され、
200~2000000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項
1に記載のマイクロエマルション組成物。
【請求項3】
カチオン性ポリエチレンイミンポリマーが、800g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、請求項
2に記載のマイクロエマルション組成物。
【請求項4】
マイクロエマルション組成物のpHを6.1~7.4の範囲に調節するための、クエン酸、硫酸、酢酸、マレイン酸、リン酸カリウム、オレイン酸及びその混合物から選択されるpH調節剤を更に含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載のマイクロエマルション組成物。
【請求項5】
それぞれマイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、
0.1重量%~1.0重量%のトプラメゾン、
10重量%~40重量%の第1の溶媒及び第2の溶媒、
10重量%~40重量%の第1の乳化界面活性剤及び第2の乳化界面活性剤、
0.01重量%~5重量%の安定剤、及び
1重量%~99重量%の水
を含み、
マイクロエマルション組成物のpHが、6.1~7.4の範囲である、請求項1から
4のいずれか一項に記載のマイクロエマルション組成物。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載のマイクロエマルション組成物を製造する方法であって、
(a)第2の乳化界面活性剤及び塩基を水中に溶解し、50%クエン酸溶液を使用して、pHを7±0.1に調節するステップ、
(b)追加の50%クエン酸溶液を添加することによって溶液のpHを7±0.1で維持しながら、ステップ(a)の溶液を撹拌するステップ、
(c)トプラメゾンを第1の溶媒中に溶解するステップ、
(d)第1の乳化界面活性剤、第2の溶媒、及びステップ(c)のトプラメゾンを含有する第1の溶媒を、15分間撹拌するステップ、
(e)ステップ(b)の溶液をステップ(d)の混合物に添加し、5時間撹拌して結果として得られた混合物を形成し、結果として得られた混合物をろ過してマイクロエマルション組成物を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項7】
望ましくない植生を防除する方法であって、請求項1から
5のいずれか一項に記載のマイクロエマルション組成物を、植物、その環境及び種子に施用するステップを含む、方法。
【請求項8】
望ましくない植生を防除するための、請求項1から
5のいずれか一項に記載のマイクロエマルション組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求される本発明は、トプラメゾンを含む除草剤用マイクロエマルション組成物に関連する。本発明は、作物及び非作物における望ましくない植生を防除するための、これらのマイクロエマルション組成物の使用にも関連する。非作物領域には、茂み、芝生、ゴルフ場、又は公園が含まれる。
【背景技術】
【0002】
作物保護において、原則として、活性化合物の作用の特異性及び確実性を高めることが望ましい。特に作物保護製品は、有害な植物(雑草)の生育を有効に防除すると同時に、当該の有用な植物によって許容されることが望ましい。
【0003】
除草剤は、商業的農業において幅広い用途を見出し、作物収量及び生産物の品質を高めることを可能としてきた。除草剤は、様々な雑草、例えば、草及び広葉雑草、例えば、ヒユ属(amaranthus)、エノコログサ(foxtail)等が作物収量に損失をもたらす場合は常に、これらの雑草を防除するのに慣例的に用いられる。
【0004】
トプラメゾン(4-[3-(4,5-ジヒドロ-1,2-オキサゾール-3-イル)-2-メチル-4-メチルスルホニルベンゾイル]-2-メチル-1H-ピラゾール-3-オン)及び農学的に許容される塩は、周知の除草剤活性化合物である(C.D.S Tomlin(Ed.)、The Pesticide Manual、第14版、2006、BCPC Alton、Hampshire、UK、1047頁参照)。トプラメゾン及びその調製のための一般的な手順は、PCT出願WO98/31681及びWO99/58509に記載されている。
【0005】
トプラメゾンは、阻害剤4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-HPPD阻害剤)として既知であり、一年生暖地型草、例えばヒエ属(Echinochloa)、セタリア・ディギタリア(Setaria Digitaria)、及びキビ属(Panicum)の種、並びに双子葉植物の雑草、例えばアカザ属(Chenopodium)、アトリプレックス属(Atriplex)、ヒユ属、ナス属(Solanum)、コゴメギク属(Galinsoga)、コハコベ(Stellaria media)、オドリコソウ属(Lamium)、及びクワガタソウ属(Veronica)の種の生育を防除する。しかし、除草剤の活性及び活性スペクトルは、限定されることがある。トプラメゾンの市販製剤は、アジュバント、例えばDash(登録商標)と組み合わせて施用して、確実な除草剤作用を得ることが推奨される。トプラメゾンの製剤は、BASF SEによって、商標名Clio(登録商標)及びClio(登録商標)super(トプラメゾン及びジメテナミド-Pの共製剤)で販売されている。
【0006】
トプラメゾンは、しばしば、顆粒水和剤(WG)として、又は濃縮懸濁剤(SC)、すなわち固体懸濁剤として製剤化される。こうした製剤では、活性成分を特定のサイズに粉砕することができ、続いて、固体を水系キャリア溶媒に懸濁させることができる。WG製剤は、典型的には、アジュバント性(adjuvancy)をほぼ有さない不活性化合物で製造され、雑草を防除する、生物学的に利用可能(バイオアベイラブル)な活性成分を製造することが難しいことがある。これらの製剤の、及び施用中の活性成分の粒子サイズは、しばしば、依然として大きすぎて、相当な量の製剤が、雑草を防除するために、1エーカー当たりに施用されねばならない。同様に、濃縮懸濁剤製剤は、アジュバントを有用な比率で組み込むことが難しく、アジュバントが葉面吸収及びバイオトランスロケーション(biotranslocation)に対してあまり勢いを与えず、故に、相当な量の製剤を、雑草の蔓延を防除するために、1エーカー当たりに施用せねばならないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO98/31681
【文献】WO99/58509
【非特許文献】
【0008】
【文献】C.D.S Tomlin(Ed.)、The Pesticide Manual、第14版、2006、BCPC Alton、Hampshire、UK、1047頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、上記の制限を克服するために、トプラメゾンをマイクロエマルションとして製剤化することが望ましい。
【0010】
マイクロエマルションは、分散相及び連続相を含む多相系である。マクロエマルションとは対照的に、マイクロエマルションの分散相の平均粒子(液滴)サイズ(Z=光散乱によって決定される通りの平均直径)はマクロエマルションの5分の1以下であり、一般に200nmを超えず、一方、マクロエマルションの液滴の平均直径はμm範囲である。マイクロエマルションは、油性相及び水性相の入り組んだチャネルを有する両連続構造として公知である。分散相の小さな粒子サイズ(液滴サイズ)、又は入り組んだチャネルに起因して、マイクロエマルションは半透明の外見を有する。
【0011】
除草剤化合物のマイクロエマルション製剤は、通常水系であり、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の共溶媒又は補助界面活性剤を付加的に含有する。マイクロエマルションを使用することによって、水が主構成成分であることから、製剤化リスク、例えば、可燃性及び毒性、環境問題、並びに費用は、乳剤(emulsifiable concentrate、EC)技術と比較して減少する。活性成分を含有する分散相の小さな粒子サイズに起因して、多くの場合、生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)の増加を達成できる。しかしながら、活性成分の液滴サイズ、均一性及び結晶化に関して、低水溶性を有する活性成分のマイクロエマルション製剤の安定性を維持することは困難である。更に、マイクロエマルション製剤が水で希釈される場合、液滴サイズ安定性を維持することも困難である。しかしながら、希釈後の安定な液滴サイズ、すなわち、小さな液滴サイズを維持することが、好ましい生物活性を達成するために重要である。したがって、安定な水系マイクロエマルション製剤を開発するために多大な努力がなされている。
【0012】
したがって、本発明の目的は、使用に容易に適用でき、且つ容易に生物学的に利用可能である、トプラメゾンの安定なマイクロエマルション製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意外なことに、トプラメゾンが、安定なマイクロエマルションとして製剤化できることが見出された。
【0014】
したがって、一態様において、本発明は、0.1重量%~1.0重量%のトプラメゾンを含むマイクロエマルション組成物に関連する。
【0015】
更に別の態様において、組成物は、25℃で測定される場合、pH6.1~7.4を有する。
【0016】
別の態様において、本発明は、溶媒、乳化界面活性剤、安定剤及びpH調節剤を含むマイクロエマルション組成物に関連する。
【0017】
更に別の態様において、本発明は、10重量%~40重量%の、芳香族アルコール、エーテル、乳酸アルキル、脂肪酸のアルキルエステル及びその混合物の群からのものである第1の溶媒、並びに芳香族アルコール、エーテル、乳酸アルキル、脂肪酸のアルキルエステル及びその混合物の群からのものである第2の溶媒を含むマイクロエマルション組成物に関連し、第2の溶媒は第1の溶媒とは異なる。
【0018】
本発明の更なる態様において、第1の溶媒は、δd 8~12cal1/2cm-3/2、δp 2~4cal1/2cm-3/2及びδh 5~8cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン(Hansen)溶解度パラメーターを有し、第2の溶媒は、δd 6~8cal1/2cm-3/2、δp 1~3cal1/2cm-3/2及びδh 1~3cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0019】
本発明の更なる態様において、第1の乳化界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、マイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、10重量%~40.0重量%の範囲で存在し、第2の乳化界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、マイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、10重量%~40.0重量%の範囲で存在する。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態において、非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、脂肪酸のグリセロールエステル、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化天然油、グリセロールエステル、アルコキシル化還元糖エステル、アルコキシル化モノヤシ脂肪酸グリセロール(alkoxylated glycerol monococoate)、多価アルコールのエステル、アルコキシル化アミン、アルコキシル化エステル、アルコキシル化アルキル又はアリールフェノール(alkoxylated alkyl or arylphenols)及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、並びにその混合物から選択される。
【0021】
本発明の更なる態様において、安定剤は、トリエタノールアミン及びカチオン性ポリエチレンイミンポリマーの群からのものである塩基である。
【0022】
本発明の更に別の態様において、カチオン性ポリエチレンイミンポリマーは、500g/mol~1000g/molの分子量を有する。
【0023】
本発明の態様において、pH調節剤は、クエン酸、硫酸、酢酸、マレイン酸、リン酸カリウム、オレイン酸及びその混合物から選択される。
【0024】
ある態様において、本発明は、即時使用可能製剤又は噴霧剤として、0.1重量%~1.0重量%の範囲のトプラメゾンを含むマイクロエマルション組成物を施用することによって望ましくない植生を防除する方法に関連する。
【0025】
更に別の態様において、本発明は、望ましくない植生を防除するための、0.1重量%~1.0重量%の範囲のトプラメゾンを含むマイクロエマルション組成物の使用に関連する。
【0026】
本発明のマイクロエマルション組成物は、トプラメゾンの安定な組成物を提供する。
【0027】
本発明のマイクロエマルション組成物は、希釈時に安定である。
【0028】
本発明のマイクロエマルション組成物は、50℃で少なくとも120日間の保存時に透明且つ安定である安定な液体組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の組成物及び本発明の製剤を説明する前に、こうした組成物及び製剤は、勿論多様であり得るので、本発明は、記載された組成物及び製剤に限定されるものではないことを理解されたい。請求される本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書における専門用語は、限定的なものではないことも理解されたい。
【0030】
以下で、群が、少なくともある数の実施形態を含むように定められる場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみで構成される群を含むことも意味する。更に、記載及び特許請求の範囲における、各用語「第1」、「第2」、「第3」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等は、同様の要素間を識別するために用いられ、必ずしも、順序又は時系列を説明するために用いられるわけではない。こうして用いられる用語は、適切な状況で互換性があり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載され、又は説明されたものと異なる、他の順序で実施可能であることを理解されたい。各用語「第1」、「第2」、「第3」、又は「(A)」、「(B)」、及び「(C)」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等が、方法又は使用又はアッセイのステップに関連する場合、ステップ間に時間コヒーレンス又は時間間隔コヒーレンスは存在しない。すなわち、本明細書の上記又は下記で示される適用において、別段の指示がない限り、各ステップを同時に行うことができるか、又はこうしたステップ間に秒、分、時間、日、週、月、若しくは更に年の時間間隔が存在し得る。
【0031】
以下の文において、本発明の様々な態様がより詳細に定められる。こうして定められた各態様は、明らかに矛盾しない限り、任意の1つ以上の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいもの又は有利であるものとして示される任意の特徴は、好ましいもの又は有利であるものとして示される、任意の他の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0032】
本明細書を通して、「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」と称することは、実施形態と関連して記載された、特定の特徴、構造又は特性が、請求される本発明の、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な場所での、語句「一実施形態において(in one embodiment)」又は「一実施形態において(in an embodiment)」の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を示しているわけではないが、その場合もある。更に、1つ以上の実施形態において、特定の特徴、構造、又は特性は、本開示より当業者に明らかなように、任意の好適な方法で組み合わせることができる。更に、本明細書に記載の一部の実施形態は、幾つかの特徴を含み、但し他の実施形態に含まれる他の特徴を含まないものの、様々な実施形態の特徴の組み合わせは、当業者に理解されるように、本発明の範囲内にあり、様々な実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、請求項に記載の実施形態のいずれかを、任意の組み合わせで用いることができる。
【0033】
更に、明細書を通して記載された範囲は、終値も含み、すなわち、範囲1~10は、1と10との両方が範囲に含まれることを暗示する。疑問を避けるために、出願人は、適用法に従って任意の均等物に権利を与えるものとする。
【0034】
本明細書において、用語「安定な」は、配合が依然として不変である、すなわち、任意の沈殿又は濁り又は相分離がない、トプラメゾンを含むマイクロエマルション組成物を示す。
【0035】
本発明は、0.1重量%~1.0重量%のトプラメゾンを含むマイクロエマルション組成物に関連し、組成物は、25℃で測定される場合、pH6.1~7.4を有する。
【0036】
トプラメゾンは、主に、広葉雑草、及び畑トウモロコシ、スイートコーン、及びポップコーンの一部の草の、種子の出芽後(postemergence)の防除に用いられる、フェニルピラゾリルケトン化学族の選択的除草剤である。それは、以下の構造によって表される。
【0037】
【化1】
トプラメゾンの水への溶解度は、25℃で約0.305g/Lである。更に、様々な有機溶媒中のトプラメゾンの溶解度も制限される。
【0038】
意外なことに、トプラメゾンはマイクロエマルションとして製剤化でき、トプラメゾンの量は、組成物の最終重量に基づいて、0.1重量%~1.0重量%であり、組成物のpHは6.5~7.4であることが見出された。
【0039】
マイクロエマルションは、分散相及び連続相を含む多相系である。マクロエマルションとは対照的に、マイクロエマルションの分散相の平均粒子(液滴)サイズ(Z=光散乱によって決定される通りの平均直径)はマクロエマルションの5分の1以下であり、一般に200nmを超えず、一方、マクロエマルションの液滴の平均直径はμm範囲である。マイクロエマルションは、油性相及び水性相の入り組んだチャネルを有する両連続構造として公知である。分散相の小さな粒子サイズ(液滴サイズ)、又は入り組んだチャネルに起因して、マイクロエマルションは半透明の外見を有する。
【0040】
本発明のマイクロエマルション組成物は、水が分散相であり、且つ油が連続相であるか、又は油が分散相であり、且つ水が連続相であるかに応じて、油中水マイクロエマルション又は水中油マイクロエマルションであり得る。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明のマイクロエマルションは水中油エマルションである、すなわち、水は連続相を形成し、一方、溶媒及びトプラメゾンは分散相中に存在する。
【0042】
一実施形態において、トプラメゾンの量は、それぞれの場合で、組成物の最終重量に基づいて、0.1~1.0重量%、又は0.1~0.9重量%、又は0.1~0.8重量%、又は0.1~0.7重量%、又は0.1~0.6重量%、又は0.1~0.5重量%、又は0.1~0.4重量%、又は0.1~0.3重量%、又は0.1~0.2重量%の範囲である。
【0043】
本発明は、溶媒、乳化界面活性剤、安定剤及びpH調節剤を含むマイクロエマルション組成物に関連する。
【0044】
る本発明の実施形態において、溶媒は、芳香族アルコール、エーテル、乳酸アルキル、脂肪酸のアルキルエステル及びその混合物のクラスから選択される。
【0045】
一実施形態において、本発明は、それぞれ芳香族アルコール、エーテル、乳酸アルキル、脂肪酸のアルキルエステル及びその混合物から選択される、10重量%~40重量%の第1の溶媒及び第2の溶媒を含むマイクロエマルション組成物に関連する。
【0046】
本発明の実施形態において、芳香族アルコールの代表例は、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシ-エタノールである。
【0047】
好ましい実施形態において、芳香族アルコールはベンジルアルコールである。
【0048】
本発明の別の実施形態において、エーテルの代表例は、エチレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル及びジプロピレングリコールn-プロピルエーテルである。
【0049】
更に別の実施形態において、乳酸アルキルの代表例は、乳酸エチル、乳酸プロピル及び乳酸ブチルである。
【0050】
別の実施形態において、脂肪酸のアルキルエステルの代表例は、脂肪酸のメチルエステル、脂肪酸のエチルエステル及び脂肪酸のイソプロピルエステル、例えば、オレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル及びパルミチン酸イソプロピルである。
【0051】
所与の物質、例えば、トリアゾール殺菌剤を溶解する溶媒の能力は、CRC Press(2000)によって出版された「Hansen Solubility Parameters -A Users Handbook」に記載の「ハンセン(Hansen)システム」に従うパラメーター考察によって好都合に評価され得る。ハンセンシステムによると、溶媒又は溶媒の混合物は、3つの溶解度パラメーターδd(分散パラメーター)、δp(極性パラメーター)及びδh(水素結合パラメーター)によって記載され得る。ハンセン溶解度パラメーター及び分子構造に関して異なる溶媒は、溶媒として特に有用であることが見出されている。
【0052】
本発明の実施形態において、第1の溶媒は、δd 8~12cal1/2cm-3/2、δp 2~4cal1/2cm-3/2及びδh 5~8cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有し、第2の溶媒は、δd 6~8cal1/2cm-3/2、δp 1~3cal1/2cm-3/2及びδh 1~3cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0053】
本発明の実施形態において、第1の溶媒は、δd 8~10cal1/2cm-3/2、δp 2~3.5cal1/2cm-3/2及びδh 5~7cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0054】
本発明の更なる実施形態において、第1の溶媒は、δd 8~10cal1/2cm-3/2、δp 2.5~3.5cal1/2cm-3/2及びδh 6~7cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0055】
本発明の実施形態において、第1の溶媒は、δd 9cal1/2cm-3/2、δp 3.1cal1/2cm-3/2及びδh 6.7cal1/2cm-3/2のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0056】
本発明の実施形態において、第1の溶媒はベンジルアルコールである。
【0057】
本発明の実施形態において、第2の溶媒は、δd 6.5~8cal1/2cm-3/2、δp 1.5~3cal1/2cm-3/2及びδh 1.5~3cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0058】
本発明の更なる実施形態において、第2の溶媒は、δd 6.5~7.5cal1/2cm-3/2、δp 1.5~2.5cal1/2cm-3/2及びδh 1.5~2.5cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0059】
本発明の実施形態において、第2の溶媒は、δd 7.1cal1/2cm-3/2、δp 1.9cal1/2cm-3/2及びδh 1.8cal1/2cm-3/2のハンセン溶解度パラメーターを有する。
【0060】
本発明の実施形態において、第2の溶媒はオレイン酸メチルである。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、第1の溶媒の量は、それぞれの場合で、組成物の最終重量に基づいて、0.1~10%、又は0.1~9%、又は0.1~8%、又は0.1~7%、又は0.1~6%、又は0.1~5%、又は0.1~4%、又は0.1~3%、又は0.1~2%、又は0.1~1%の範囲、より好ましくは、0.1~9.5%、又は0.1~8.5%、又は0.1~7.5%、又は0.1~6.5%、又は0.1~5.5%の範囲である。
【0062】
本発明の好ましい実施形態において、第2の溶媒の量は、それぞれの場合で、組成物の最終重量に基づいて、1~25%、又は1~22.5%、又は1~20%、又は1~17.5%、又は1~15%、又は1~12.5%、又は1~10%、又は1~7.5%、又は1~5%、又は1~2.5%の範囲、より好ましくは、5~25%、又は5~22.5%、又は5~20%、又は5~17.5%、又は10~25%、又は10~22.5%、又は10~20%、又は10~17.5%、又は15~25%、15~22.5%、15~20%の範囲である。
【0063】
本発明の実施形態において、マイクロエマルション組成物は、乳化界面活性剤を含む。
【0064】
本発明の実施形態において、マイクロエマルション組成物は、第1の乳化界面活性剤及び第2の乳化界面活性剤を含む。
【0065】
本発明の実施形態において、第1の乳化界面活性剤は、マイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、10重量%~40.0重量%の範囲で存在する非イオン性界面活性剤であり、第2の乳化界面活性剤は、マイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、10重量%~40.0重量%の範囲で存在する非イオン性界面活性剤である。
【0066】
本発明の実施形態において、非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、脂肪酸のグリセロールエステル、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化天然油、グリセロールエステル、アルコキシル化還元糖エステル、アルコキシル化モノヤシ脂肪酸グリセロール、多価アルコールのエステル、アルコキシル化アミン、アルコキシル化エステル、アルコキシル化アルキル又はアリールフェノール及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、並びにその混合物から選択される。
【0067】
本発明の実施形態において、第1の乳化界面活性剤は、脂肪酸のグリセロールエステルである。
【0068】
脂肪酸は、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、リノール酸、カプリン酸及びカプリル酸、並びにその混合物から選択される。
【0069】
脂肪酸のグリセロールエステルの例は、BASF製のMonomuls(登録商標)90-O 18として市販のオレイン酸グリセリル、及びMonomuls(登録商標)90-L 12として市販のラウリン酸グリセリルである。
【0070】
本発明の好ましい実施形態において、第1の乳化界面活性剤の量は、それぞれの場合で、組成物の最終重量に基づいて、1~10重量%、又は1~9重量%、又は1~8重量%、又は1~7重量%、又は1~6重量%、又は1~5重量%、又は1~4重量%、又は1~3重量%、又は1~2重量%の範囲、より好ましくは、2~6重量%、又は2~5重量%、又は2~4重量%の範囲である。
【0071】
本発明の一実施形態において、第2の非イオン性界面活性剤は、式(I)
R1O(R2O)b(Z)a (I)
(式中、
R1は、直鎖状若しくは分枝鎖状の、非置換若しくは置換のC4~C30アルキル又は
直鎖状若しくは分枝鎖状の、非置換若しくは置換のC4~C30アルケニルであり、
R2は、直鎖状又は分枝鎖状の、非置換又は置換のC2~C4アルキレンであり、
bは0~100であり、
Zは、5個~6個の炭素原子を有する糖残基であり、
aは整数1~6である)
で表されるアルキルポリグリコシドである。
【0072】
より好ましい実施形態において、式(I)で表されるアルキルポリグリコシドは、以下の置換を有する。
R1は、直鎖又は分枝鎖、非置換又は置換のC4~C22アルキル、直鎖又は分枝鎖、非置換又は置換のC4~C22アルケニルであり、
R2は直鎖C2~C4アルキレンである。
bは0~12であり、
Zは、5個~6個の炭素原子を有する糖残基である。Zは、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、タロース、グロース、アルトロース、アロース、アピオース、ガロース(gallose)、イドース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、又はその混合物であってもよく、
「a」は整数1~3である。
【0073】
一実施形態において、式(I)で表されるアルキルポリグリコシドは、以下の置換を有する。
R1は、直鎖状又は分枝鎖状の、非置換C8~C16アルキルであり、
bは0であり、
Zはグルコースであり、且つ
aは整数1~2である。
【0074】
典型的な式(I)の化合物は、式(Ia)
【0075】
【化2】
(式中、nは重合度であり、1~3、好ましくは1又は2であり、Pは、分枝鎖若しくは直鎖の、4~18個の炭素原子を有するアルキル基又は4~18個の炭素原子を有するアルキル基の混合物である)
の化合物である。典型的には、アルキルポリグルコシド(APG)は、8~10個の炭素原子を含むアルキル基を含み、平均重合度1.7を有し;9~11個の炭素原子を含むアルキル基を含み、平均重合度1.3~1.6を有し;又はその混合物を含む。
【0076】
例示的なアルキルポリグリコシドには、APG(登録商標)325(BASF)(アルキル基が9~11個の炭素原子を含み、平均重合度1.6を有するアルキルポリグリコシド)、PLANTAREN(登録商標)2000(BASF)(アルキル基が8~16個の炭素原子を含み、平均重合度1.4を有するアルキルポリグリコシド)、PLANTAREN(登録商標)1300(BASF)(アルキル基が12~16個の炭素原子を含み、平均重合度1.6を有するアルキルポリグリコシド)、AGNIQUE(登録商標)PG8107(BASF)(アルキル基が8~10個の炭素原子を含み、平均重合度1.7を有するアルキルポリグリコシド)、AGNIQUE(登録商標)PG9116(BASF)(アルキル基が9~11個の炭素原子を含み、平均重合度1.6を有するアルキルポリグリコシド)、及びAGNIQUE(登録商標)PG8105(BASF)(アルキル基が8~10個の炭素原子を含み、平均重合度1.5を有するアルキルポリグリコシド)が挙げられる。
【0077】
一実施形態において、アルキルポリグリコシドはC8~C10アルキルポリグルコシドである。
【0078】
本発明の実施形態において、第2の乳化界面活性剤は、それぞれの場合で、組成物の最終重量に基づいて、5~40%、又は5~35%、又は5~30%、又は5~25%、又は5~20%、又は5~10%、又は10~40%、又は10~35%、又は10~30%、又は10~25%、又は10~20%の範囲、より好ましくは、15~30%、又は15~25%、又は20~30%、又は20~25%、又は25~30%の範囲の量で存在する。
【0079】
本発明の更なる態様において、安定剤は、トリエタノールアミン、カチオン性ポリエチレンイミンポリマー及びその混合物から選択される塩基である。
【0080】
ポリエチレンイミン化合物(PEI)は、高分子アミン又はポリアミンであり、ポリエチレンイミン化合物(PEI)及び/又はその誘導体を含む。ポリエチレンイミンは、第一級、第二級又は第三級アミン化合物を含み得る。ポリエチレンイミン化合物及び/又はその誘導体は、直鎖状及び/又は分枝鎖状ポリエチレン-イミンを含み得る。なお更に、ポリエチレンイミン及び/又はその誘導体は、分子量、トポロジー及び形状が大幅に多様であり得、例えば、エチレンイミンの開環重合の結果として、直鎖状、分枝鎖状又は櫛様の構造を含む。Angelescuら、Langmuir、27、9961~9971(2011)を参照されたい。
【0081】
直鎖状ポリエチレンイミンは、オキサゾリン及びオキサジン誘導体のカチオン重合によって調製される。直鎖状PEIを調製する方法は、Advances in Polymer Science、Vol.102、171~188頁、1992(参考文献6-31)に記載されている。ポリエチレンイミンはまた、アジリジンの重合によって作製して、多くの場合、第一級、第二級及び第三級アミン官能性を含有する高分子アミンを得ることができる。
【0082】
例示的なPEI生成物は、以下の式(-(CH2-CH2-NH)n-)に従い、分子質量43.07(反復単位として)を有する分枝鎖状ポリマー構造を有する、多官能性カチオン性ポリエチレンイミンを含む。ある特定の態様において、式(-(CH2-CH2-NH)n-)は、少なくとも10~105の値nを有し、窒素と炭素との比は1:2である。PEIポリマーは、以下の一般ポリマー構造:
【0083】
【0084】
例えば、Lupasol(登録商標)FG、Lupasol(登録商標)G、Lupasol(登録商標)PR 8515、Lupasol(登録商標)WF、Lupasol(登録商標)G 20/35/100、Lupasol(登録商標)HF、Lupasol(登録商標)P、Lupasol(登録商標)PS、Lupasol(登録商標)PO 100、Lupasol(登録商標)PN 50/60及びLupasol(登録商標)SKを含む、例えば商品名Lupasol(登録商標)(BASF)で販売されているものを含む、様々な市販のポリエチレンイミンが入手可能である。そのような例示的なポリエチレンイミンは、水溶液又はメトキシプロパノール(Lupasol(登録商標)PO 100)中に提供される無水ポリエチレンイミン及び/若しくは修飾ポリエチレンイミンが入手可能である。修飾ポリエチレンイミンを含むポリエチレンイミンのモル質量は、800g/mol~2,000,000g/molの範囲である。ある特定の態様において、高分子アミン漂白活性化剤、好ましくはPEI漂白活性化剤は、分枝鎖状球形高分子アミンであり得る。
【0085】
本発明の実施形態において、カチオン性ポリエチレンイミンポリマーは、直鎖状、分枝鎖状又は超分枝鎖状であり、式(III)
-(CH2-CH2-NH)n- (III)
(式中、
nは、10~10000の整数である)
で表される。
【0086】
本発明の更に別の実施形態において、カチオン性ポリエチレンイミンポリマーは、200g/mol~2000000g/molの重量平均分子量を有する。
【0087】
本発明の実施形態において、カチオン性ポリエチレンイミンポリマーは、200g/mol~1000g/molの重量平均分子量を有する。
【0088】
本発明の実施形態において、カチオン性ポリエチレンイミンポリマーは、800g/molの重量平均分子量を有する。
【0089】
本発明の実施形態において、pH調節剤は、クエン酸、硫酸、酢酸、マレイン酸、リン酸カリウム及びオレイン酸、並びにその混合物から選択される。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、pH調節剤はクエン酸である。
【0091】
一実施形態において、pH調節剤は水に溶解されて、溶液が得られる。
【0092】
本発明の実施形態において、pH調節に使用されるクエン酸溶液の量は、水中10%、20%、30%、40%、50%、60%及び80%濃度を有する。
【0093】
本発明の実施形態において、pH調節に使用されるクエン酸溶液は、水中50%濃度を有する。
【0094】
本発明の好ましい実施形態において、マイクロエマルション組成物のpHは、25℃で測定される場合、6.5~7.4の範囲、より具体的には6.8~7.2の範囲、特に6.9~7.1の範囲である。
【0095】
本発明の別の実施形態において、マイクロエマルション組成物のpHは、25℃で測定される場合、6.5±0.01、6.6±0.01、6.7±0.01、6.8±0.01、6.9±0.01、7.0±0.01、7.1±0.01、7.2±0.01、7.3±0.01、7.4±0.01である。
【0096】
添加剤/助剤(auxiliary agent)
請求される本発明の組成物は、消泡剤、増粘剤、殺細菌剤(bactericides)、不凍剤、UV-保護剤、着色剤、接着剤、及びその混合物から選択される少なくとも1種の添加剤/助剤化合物を更に含むことができる。
【0097】
組成物は消泡剤を含む。好適な消泡剤の非限定的な例には、シリコーンエマルション、例えばWacker Germany製のSilikon SRE又はRhodia、France製のRhodorsil、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物、及びその混合物などが挙げられる。
【0098】
好適な増粘剤は、多糖類、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、有機質粘土(有機修飾又は非修飾)、ポリカルボキシレート、及びケイ酸塩などである。
【0099】
好適な不凍剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、及びグリセリンである。
【0100】
好適な殺細菌剤は、ブロノポール誘導体及びイソチアゾリノン誘導体、例えば、アルキルイソチアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノンである。
【0101】
好適な着色剤には、水に難溶性である顔料と、水に可溶性である染料との両方が含まれる。非限定的な例は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112及びC.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、35ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108、酸化鉄、酸化チタン、ヘキサシアノ鉄酸鉄である。
【0102】
好適な接着剤は、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、生物学的ワックス又は合成ワックス、及びセルロースエーテルである。
【0103】
本発明の好ましい実施形態において、助剤の量は、それぞれの場合で、組成物の最終重量に基づいて、0.1~10%又は0.1~9%又は0.1~8%又は0.1~7%又は0.1~6%又は0.1~5%又は0.1~4%又は0.1~3%又は0.1~2%又は0.1~1%の範囲であり、より好ましくは0.1~2.5%又は0.1~2.25%又は0.1~1.75%又は0.1~1.5%又は0.1~1.25%の範囲である。
【0104】
本発明のマイクロエマルションは、通常水中油エマルションである、すなわち、水は連続相を形成し、一方、溶媒及びトプラメゾンは分散相中に存在する。
【0105】
本発明のマイクロエマルション組成物は、トプラメゾンの安定な製剤を提供する。
【0106】
本発明のマイクロエマルション組成物は、保存時に透明且つ安定である安定な液体製剤である。
【0107】
本発明のマイクロエマルション組成物は、希釈時に安定である。
【0108】
好ましい一実施形態において、本発明による組成物の個々の構成成分を噴霧タンクで混合して、適宜、さらなる添加剤/助剤を添加することができる。
【0109】
請求される本発明による組成物は、投与量設定装置、背負式噴霧器、噴霧タンク、噴霧飛行機、又は灌漑システムから施用することができる。
【0110】
本発明の組成物は、単子葉植物雑草及び双子葉植物雑草を含む、多数の有害な植物を防除するのに好適である。本発明の組成物は、特に、一年生雑草、例えば、イネ科雑草(草)、例えば、ヒエ属の種、例えば、イヌビエ(Echinochloa crusgalli var.crusgalli)、ジギタリア属(Digitaria)の種、例えば、メヒシバ(Digitaria sanguinalis)、セタリア属(Setaria)の種、例えば、グリーンエノコログサ(Setaria vindis)及びアキノエノコログサ(Setaria faberii)、モロコシ属(Sorghum)の種、例えばジョンソングラス(Sorghum halepense Pers.)、カラスムギ属(Avena)の種、例えば野生カラスムギ(Avena fatua)、クリノイガ属(Cenchrus)の種、例えばシンクリノイガ(Cenchrus echinatus)、スズメノチャヒキ属(Bromus)の種、ネズミムギ(Lolium)の種、クサヨシ属(Phalaris)の種、ナルコビエ属(Eriochloa)の種、キビ属の種、ビロードキビ属(Brachiaria)の種、一年生イチゴツナギ(スズメノカタビラ(Poa annua))、ノスズメノテッポウ(Alopecurus myosuroides)、ヤギムギ(Aegilops cylindrica)、シバムギ(Agropyron repens)、セイヨウヌカボ(Apera spicaventi)、オヒシバ(Eleusine indica)、ギョウギシバ(Cynodon dactylon)等を防除するために有用である。本発明の組成物はまた、多数の双子葉植物の雑草、特に、広葉雑草、例えば、特定の広葉雑草、例えば、タデ属(Polygonum)の種、例えばソバカズラ(Polygonum convolvolus)、ヒユ属の種、例えばアカザ(アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus))、アカザ属の種、例えば一般的なシロザ(Chenopodium album L.)、キンゴジカ属(Sida)の種、例えばアメリカキンゴジカ(Sida spinosa L.)、ブタクサ属(Ambrosia)の種、例えば一般的なブタクサ(Ambrosia artemisllfolia)、アメリカトゲミギク属(Acanthospermum)の種、アンセミス属(Anthemis)の種、アトリプレックス属の種、アザミ属(Cirsium)の種、セイヨウヒルガオ属(Convolvulus)の種、イズハハコ属(Conyza)の種、例えばヒメムカシヨモギ(Conyza canadensis)、カッシア(Cassia)の種、ツユクサ属(Commelina)の種、チョウセンアサガオ属(Datura)の種、トウダイグサ属(Euphorbia)の種、フクロウソウ属(Geranium)の種、コゴメギク属の種、アサガオ(サツマイモ属(Ipomoea)の種)、オドリコソウ属の種、ゼニアオイ属(Malva)の種、マトリカリア属(Matricaria)の種、キハナハタザオ属(Sysimbrium)の種、ナス属の種、オナモミ属(Xanthium)の種、クワガタソウ属の種、スミレ属(Viola)の種、一般的なハコベ(コハコベ)、ベルベットリーフ(イチビ(Abutilon theophrasti))、ヘンプ・セスバニア(Hemp sesbania)(アメリカツノクサネム(Sesbania exaltata Cory))、アノダ・クリスタータ(Anoda cristata)、コセンダングサ(Bidens pllosa)、ブラシカ・カベル(Brassica kaber)、ナズナ(Capsella bursa-pastoris)、セントラーナ・シアナス(Centaurea cyanus)、タヌキジソ(Galeopsis tetrahit)、ヤエムグラ(Galium aparine)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、デルモジウム・トルツオスム(Desmodium tortuosum)、コチア・スコパリア(Kochia scoparia)、メルクリアリス・アンヌア(Mercurialis annua)、ノハラムラサキ(Myosotis arvensis)、ヒナゲシ(Papaver rhoeas)、セイヨウノダイコン(Raphanus raphanistrum)、ハリヒジキ(Salsola kali)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)、タイワンハチジョウナ(Sonchus arvensis)、グンバイナズナ(Thlaspi arvense)、シオザキソウ(Tagetes minuta)、リカルディア・ブラジリエンシス(Richardia braslliensis)等を防除するのに好適である。
【0111】
本発明の組成物は、植物、その環境及び/又は種子における所望されない植生を除去する/防除するのに好適である。植物は作物及び非作物を含む。
【0112】
本発明の組成物は、小粒の穀物、例えば、小麦、デュラム、ライ小麦、ライ麦、及び大麦において、所望されない植生を除去する/防除するのに好適である。
【0113】
本発明の組成物は、茂み、芝生、ゴルフ場、又は公園を含む非作物領域における所望されない植生を除去する/防除するのに好適である。
【0114】
別段の指示がない限り、本発明の組成物は、いずれの、多様な前述の作物植物における施用にも好適である。
【0115】
本発明による組成物は、育種、突然変異生成、又は遺伝子工学によって改変された作物植物において、例えば、育種又は遺伝子工学の従来の方法の結果として、特定の類の除草剤、例えば、オーキシン除草剤、例えばジカンバ又は2,4-D;漂白剤除草剤、例えば4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤又はフィトエンデサチュラーゼ(PDS)阻害剤;アセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤、例えば、スルホニル尿素又はイミダゾリノン;エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSP)阻害剤、例えばグリホサート;グルタミンシンテターゼ(GS)阻害剤、例えばグルホシネート;プロトポルフィリノーゲン-IXオキシダーゼ阻害剤;脂質生合成阻害剤、例えばアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)阻害剤;又はオキシニル(すなわち、ブロモキシニル若しくはアイオキシニル)除草剤の施用に耐性がある作物植物においても使用することができ;更に、植物は、複数の遺伝子改変によって、複数の類の除草剤に対する耐性、例えばグリホサートとグルホシネートとの両方に対する耐性、又はグリホサートと、別の類からの除草剤、例えばALS阻害剤、HPPD阻害剤、オーキシン除草剤、若しくはACCase阻害剤の両方に対する耐性を有するものとなった。これらの除草剤耐性技術は、例えば、Pest Management Science61、2005、246;Pest Management Science61、2005、258;Pest Management Science61、2005、277;Pest Management Science61、2005、269;Pest Management Science61、2005、286;Pest Management Science64、2008、326;Pest Management Science64、2008、332;Weed Science57、2009、108;Australian Journal of Agricultural Research58、2007、708;Science316、2007、1185、及びそこに引用された参照に記載されている。幾つかの栽培植物は、突然変異生成及び従来の育種の方法によって除草剤に耐性があるものにされた。例えば、イミダゾリノン、例えば、イマザモックスに耐性があるClearfield(登録商標)夏ナタネ(Canola、BASF SE、Germany)又はスルホニル尿素、例えば、トリベヌロンに耐性があるExpressSun(登録商標)ヒマワリ(DuPont、USA)。遺伝子工学法を用いて、栽培植物、例えば大豆、綿、トウモロコシ、ビート、及びセイヨウアブラナを、除草剤、例えばグリホサート、イミダゾリノン、及びグルホシネートに耐性があるものにしてきた。その一部は、商品名又は商標Roundup Ready(登録商標)(グリホサート耐性、Monsanto、USA)、Cultivance(登録商標)(イミダゾリノン耐性、BASF SE、Germany)、及びLiberty Link(登録商標)(グルホシネート耐性、Bayer CropScience、Germany)で開発され、市販されている。
【0116】
本発明による組成物は、遺伝子改変作物植物において使用することもできる。用語「遺伝子改変植物」は、その遺伝子素材が、組換えDNA技術を使用することによって、その植物種のゲノムに由来しない挿入DNA配列を含むように、又はその種のゲノムに由来のDNAの欠失を示すように改変された植物として理解されるものであり、但し、その改変(複数可)は、交雑育種、突然変異生成、又は天然の組換えのみでは容易に得ることができない。しばしば、特定の遺伝子改変植物は、ゲノムが、組換えDNA技術を使用することによって直接処理されたものであった祖先植物からの自然の育種又は繁殖過程を通した遺伝的性質によってその遺伝子改変(複数可)を得たものである。典型的には、1種以上の遺伝子が、遺伝子改変植物の遺伝子素材に統合されて、植物のある種の性質を改善してきた。こうした遺伝子改変には、それに限定されないが、例えば、グリコシル化又はポリマー添加、例えばプレニル化、アセチル化、ファルネシル化、若しくはPEG部分結合を可能にし、減らし、又は促進するアミノ酸変異(複数可)を含むことによる、タンパク質(複数可)、オリゴペプチド又はポリペプチドの標的翻訳後修飾も含まれる。
【0117】
本発明による組成物はまた、例えば、組換えDNA技術を使用することによって改変された作物植物において、1種以上の殺虫性タンパク質、とりわけ、バチルス(Bacillus)属細菌から、特にバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)から既知のもの、例えばデルタエンドトキシン、例えば、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)、又はCry9c;栄養生長期分泌殺虫性タンパク質(VIP)、例えば、VIP1、VIP2、VIP3、又はVIP3A;線虫共生細菌、例えば、フォトラブダス属の種(Photorhabdus spp.)又はゼノラブダス属の種(Xenorhabdus spp.)の殺虫性タンパク質;動物によって生成される毒素、例えばサソリの毒素、クモ形類動物の毒素、スズメバチの毒素、又は他の昆虫特異的な神経毒;真菌類によって生成される毒素、例えばストレプトマイセス(Streptomycetes)毒素、植物レクチン、例えばエンドウレクチン又は大麦レクチン;アグルチニン;プロテイナーゼ阻害剤、例えばトリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン阻害剤、シスタチン阻害剤又はパパイン阻害剤;リボソーム不活性化タンパク質(RIP)、例えば、リシン、トウモロコシRIP、アブリン、ルフィン、サポリン又はブリオジン;ステロイド代謝酵素、例えば3-ヒドロキシ-ステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-IDP-グリコシル-トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤又はHMG-CoA-レダクターゼ;イオンチャネル遮断薬、例えばナトリウムチャネル又はカルシウムチャネルの遮断薬;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体(ヘリコキニン受容体);スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼ又はグルカナーゼの合成を可能にするために使用することもできる。本発明において、これらの殺虫性タンパク質又は毒素は、プレ毒素(pre-toxin)、ハイブリッドタンパク質、末端が切除されたタンパク質又は別の修飾をされたタンパク質を含むものとしても明らかに理解される。ハイブリッドタンパク質は、タンパク質ドメインの新しい組み合わせによって特徴づけられる(例えば、WO02/015701参照)。こうした毒素又はこうした毒素を合成することができる遺伝子改変植物のさらなる例は、例えば、EP-A374753、WO93/007278、WO95/34656、EP-A427529、EP-A451878、WO03/18810、及びWO03/52073において開示されている。こうした遺伝子改変植物を製造する方法は、概して、当業者に既知であり、例えば、上記の文献において記載されている。遺伝子改変植物に含有される、これらの殺虫性タンパク質は、これらのタンパク質を生成する植物に、節足動物の全ての分類学的群の有害生物に対する耐性、特に、甲虫類(Coleoptera)、双翅目昆虫(Diptera)及び鱗翅目(Lepidoptera)に対する耐性、並びに線虫類(Nematoda)に対する耐性を付与する。1種以上の殺虫性タンパク質を合成することできる遺伝子改変植物は、例えば、上記の文献に記載されており、その一部は市販されている:例えばYieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を生成するトウモロコシ品種)、YieldGard(登録商標)Plus(Cry1Ab毒素及びCry3Bb1毒素を生成するトウモロコシ品種)、Starlink(登録商標)(Cry9c毒素を生成するトウモロコシ品種)、Herculex(登録商標)RW(Cry34Ab1、Cry35Ab1、及び酵素ホスフィノトリシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(PAT)を生成するトウモロコシ品種);NuCOTN(登録商標)33B(Cry1Ac毒素を生成する綿品種)、Bollgard(登録商標)I(Cry1Ac毒素を生成する綿品種)、Bollgard(登録商標)II(Cry1Ac毒素及びCry2Ab2毒素を生成する綿品種);VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を生成する綿品種);NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を生成するジャガイモ品種);BtXtra(登録商標)、NatureGard(登録商標)、KnockOut(登録商標)、BiteGard(登録商標)、Protecta(登録商標)、Syngenta Seeds SAS、France製のBt11(例えば、Agrisure(登録商標)CB)及びBt176(Cry1Ab毒素及びPAT酵素を生成するトウモロコシ品種)、Syngenta Seeds SAS、France製のMIR604(Cry3A毒素の改変型を生成するトウモロコシ品種、WO03/018810参照)、Monsanto Europe S.A.、Belgium製のMON863(Cry3Bb1毒素を生成するトウモロコシ品種)、Monsanto Europe S.A.、Belgium製のIPC531(Cry1Ac毒素の改変型を生成する綿品種)、及びPioneer Overseas Corporation、Belgium製の1507(Cry1F毒素及びPAT酵素を生成するトウモロコシ品種)。
【0118】
本発明による組成物はまた、例えば、組換えDNA技術を用いて改変された作物植物において、細菌類病原体、ウイルス類病原体又は菌類病原体に対する植物の抵抗性又は耐性を増強するための1種以上のタンパク質の合成を可能にするために使用することもできる。こうしたタンパク質の例は、いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRタンパク質、例えば、EP-A392225参照)、植物病抵抗性遺伝子(例えば、メキシコ産野生ジャガイモ(ソラヌム・ブルボカスタヌム(Solanum bulbocastanum))に由来するファイトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に対して作用する抵抗性遺伝子を発現するジャガイモ品種)、又はT4-リゾチーム(例えば、細菌、例えば、火傷病菌(Erwinia amylovora)に対する抵抗性が増強された、これらのタンパク質を合成することができるジャガイモ品種)である。こうした遺伝子改変植物を製造する方法は、概して、当業者に既知であり、例えば、上記の文献に記載されている。
【0119】
本発明による組成物はまた、例えば、組換えDNA技術を用いて改変された作物植物において、生産性(例えば、バイオマス生成、穀物の収量、デンプン含有量、油含有量、又はタンパク質含有量)を増大させるための1種以上のタンパク質、渇水、塩分、若しくは生長を制限する他の環境因子に対する耐性、又はそれら植物の害虫及び菌類病原体、細菌類病原体、若しくはウイルス類病原体に対する耐性を増強するための1種以上のタンパク質の合成を可能にするために使用することもできる。
【0120】
本発明による組成物はまた、例えば、組換えDNA技術を用いて改変された作物植物において、ヒト又は動物の栄養を改善するのに好適な成分又は新規成分、例えば、健康を促進する長鎖オメガ-3脂肪酸又は不飽和オメガ-9脂肪酸を生成する油料作物(例えば、Nexera(登録商標)セイヨウアブラナ、Dow AgroSciences、Canada)の増量生産を可能にするために使用することもできる。
【0121】
本発明の組成物は、除草剤を施用する技術を熟知した当業者によって、従来の方法で施用され得る。好適な技術には、噴霧、散布、散粉、拡散、又は散水が含まれる。施用の種類は、周知の方法で、本来の目的に応じて決まり、いずれの場合も、本発明による活性成分の最大限の分布を確実にするべきである。
【0122】
組成物は、望ましくない植物の、出芽前又は出芽後、すなわち、出芽の前、出芽の間及び/又は出芽の後で施用することができる。組成物は、作物において使用される場合、作物植物の播種後、及び出芽前又は出芽後に施用することができる。本発明の組成物は、作物植物の播種前に施用することもできる。
【0123】
本発明による組成物は、極めて良好な出芽後除草剤活性を示し、すなわち、出芽した望ましくない植物に対して良好な除草剤活性を示す。したがって、本発明の好ましい実施形態において、組成物は、望ましくない植物の、出芽後、すなわち、出芽の間及び/又は出芽の後に施用される。望ましくない植物が、葉の発育から始まり開花するまでの場合、本発明による混合物を出芽後に施用することが特に有利である。作物が既に出芽した場合でさえも、本発明の組成物は、良好な作物の耐性を示すので、作物植物の播種後、特に作物植物の出芽の間又は出芽の後に施用することができる。
【0124】
組成物は、主に、噴霧によって、特に葉面噴霧によって植物に施用される。施用は、通常の噴霧技術によって、例えば、キャリアとして水を用い、噴霧液比率10~2000l/ha又は50~1000l/ha(例えば、100~500l/ha)を用いて実施することができる。
【0125】
植物の出芽後処理の場合、本発明によるマイクロエマルション組成物は、好ましくは葉面施用によって施用される。施用は、例えば、キャリアとして水を用いた通常の噴霧技術によって、噴霧混合物量およそ50~1000l/haを用いて実行することができる。本発明の方法において、トプラメゾンとして計算された、本発明の組成物の施用比率は、概して5~50g/ha、好ましくは8~25g/haである。
【0126】
一実施形態において、農業に有用な領域1ヘクタール当たり、即時使用可能な噴霧液体20~2000リットル、好ましくは50~400リットルが施用される。
【0127】
作物植物を処理するのに使用するために、例えば、葉面施用による、本発明のトプラメゾンマイクロエマルション組成物の施用の比率は、0.0001g毎ヘクタール~4000g毎ヘクタール、例えば、1~2kg毎ヘクタール、又は1g毎ヘクタール~750g毎ヘクタール、望ましくは1g毎ヘクタール~100g毎ヘクタール、より望ましくは10g毎ヘクタール~50g毎ヘクタール、例えば、10~20g毎ヘクタール、20~30g毎ヘクタール、30~40g毎ヘクタール、又は40~50g毎ヘクタールの範囲であることができる。
【0128】
本発明のマイクロエマルション組成物は、水で、例えば、施用前に大量の水、例えば、製剤1部当たり5~10000部の水、特に製剤1部当たり10~5000部の水で、粗粒材料の形成なしに容易に希釈でき、水性希釈液は、強化された物理安定性を有し、すなわち、希釈後、長期間の保存後であってさえ、固体の形成は観察されず、例えば、室温で24時間後に結晶化は観察されない。希釈に使用される水の品質は重要な役割を果たさず、例えば、水道水及び井戸水を使用してもよい。
【0129】
水による希釈時、本発明のマイクロエマルション組成物は、青みがかった又は更には透明のエマルションを形成し、これは、その中に分散している液滴/粒子が、非常に小さなサイズのものであることを示している。液滴/粒子の平均粒子直径は、通常200nm、特に100nm、より詳細には50nmを超えず、10nmであってもよく、又は更には10nm未満であり得る。小さな粒子/サイズは、長期間の保存後であってさえ維持され、例えば、室温で24時間の保存後、粒子サイズの増加は、一般に10%未満である。平均粒子サイズは、本明細書で言及される場合、Z平均粒子直径であり、これは、動的光散乱によって決定できる。水による希釈後の小さな粒子サイズに起因して、活性成分の生物学的利用能及びしたがって生物活性は、多くの場合、従来の製剤と比較して上昇する。
【0130】
利点:
1. マイクロエマルション組成物は、即時使用可能又は即時噴霧可能溶液として好適であり、
したがって、直接使用できる。
2. マイクロエマルション組成物の形態での製剤化に適切な量のトプラメゾンを、効果的な生物学的作用のために作物又は非作物に噴霧できる。
3. マイクロエマルション組成物は、様々な温度条件で安定である。
【0131】
実施形態
1. 油相及び水相を含むマイクロエマルション組成物であって、油相が、トプラメゾン又は農学的に許容されるその塩、第1の溶媒、第1の溶媒とは異なる第2の溶媒、及び第1の乳化界面活性剤を含み、水相が、安定剤、及び第1の乳化界面活性剤とは異なる第2の乳化界面活性剤を含む、マイクロエマルション組成物。
2. 分散相及び連続相で更に画定され、油相が連続相であり、水相が分散相である、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
3. 分散相及び連続相で更に画定され、油相が分散相であり、水相が連続相である、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
4. 第1の溶媒が、芳香族アルコール、エーテル、乳酸アルキル、脂肪酸のアルキルエステル及びその混合物から選択される、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
5. 第1の溶媒が、δd 8~12cal1/2cm-3/2、δp 2~4 c cal1/2cm-3/2、及びδh 5~8cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する、実施形態4に記載のマイクロエマルション組成物。
6. 第1の溶媒がベンジルアルコールである、実施形態1から5のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物。
7. 第2の溶媒が、芳香族アルコール、エーテル、乳酸アルキル、脂肪酸のアルキルエステル及びその混合物から選択される、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
8. 第2の溶媒が、δd 6~8cal1/2cm-3/2、δp 1~3cal1/2cm-3/2、及びδh 1~3cal1/2cm-3/2の範囲のハンセン溶解度パラメーターを有する、実施形態7に記載のマイクロエマルション組成物。
9. 第2の溶媒がオレイン酸メチルである、実施形態1から8のいずれか1つに記載の組成物。
10. 第1の乳化界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
11. 第1の乳化界面活性剤が、アルキルポリグリコシド、脂肪酸のグリセロールエステル、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化天然油、グリセロールエステル、アルコキシル化還元糖エステル、アルコキシル化モノヤシ脂肪酸グリセロール、多価アルコールのエステル、アルコキシル化アミン、アルコキシル化エステル、アルコキシル化アルキル又はアリールフェノール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、及びその混合物から選択される、実施形態10に記載のマイクロエマルション組成物。
12. 第1の乳化界面活性剤が、オレイン酸のグリセロールエステルである、実施形態11に記載のマイクロエマルション組成物。
13. オレイン酸のグリセロールエステルが、オレイン酸グリセリルである、実施形態12に記載のマイクロエマルション組成物。
14. 第2の乳化界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
15. 第2の乳化界面活性剤が、アルキルポリグリコシド、脂肪酸のグリセロールエステル、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化天然油、グリセロールエステル、アルコキシル化還元糖エステル、アルコキシル化モノヤシ脂肪酸グリセロール、多価アルコールのエステル、アルコキシル化アミン、アルコキシル化エステル、アルコキシル化アルキル又はアリールフェノール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、及びその混合物から選択される、実施形態14に記載のマイクロエマルション組成物。
16. 第2の乳化界面活性剤が、アルキルポリグリコシドである、実施形態15に記載のマイクロエマルション組成物。
17. アルキルポリグリコシドが、式(I)
R1O(R2O)b(Z)a (I)
(式中、
R1は、直鎖状若しくは分枝鎖状の、非置換若しくは置換のC4~C30アルキル又は直鎖状若しくは分枝鎖状の、非置換若しくは置換のC4~C30アルケニルであり、
R2は、直鎖状又は分枝鎖状の、非置換又は置換のC2~C4アルキレンであり、
bは、0~100であり、
Zは、5~6個の炭素原子を有する糖残基であり、
aは、1~6の整数である)
によって表される、実施形態16に記載のマイクロエマルション組成物。
18. R1が、直鎖状又は分枝鎖状の、非置換のC8~C16アルキルであり、
Bが、0であり、
Zが、グルコースであり、
aが、1~2の整数である、実施形態17に記載のマイクロエマルション組成物。
19. アルキルポリグリコシドがC8~C10アルキルポリグルコシドである、実施形態18に記載のマイクロエマルション組成物。
20. 安定剤が塩基である、実施形態1に記載のマイクロエマルション組成物。
21. 塩基が、カチオン性ポリエチレンイミンポリマー又はトリエタノールアミンである、実施形態20に記載のマイクロエマルション組成物。
22. カチオン性ポリエチレンイミンポリマーが、直鎖状、分枝鎖状又は超分枝鎖状であり、式(IV)
-(CH2-CH2-NH)n- (IV)
(式中、
nは、10~10000の整数である)
で表され、
重量平均分子量(Mw)が200~2000000g/molである、実施形態21に記載のマイクロエマルション組成物。
23. カチオン性ポリエチレンイミンポリマーが、800g/molの重量平均分子量(Mw)を有する、実施形態22に記載のマイクロエマルション組成物。
24. マイクロエマルション組成物のpHが、6.1~7.4の範囲である、実施形態1から23のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物。
25. クエン酸、硫酸、酢酸、マレイン酸、リン酸カリウム、オレイン酸及びその混合物から選択されるpH調節剤を含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物。
26. それぞれマイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、
0.1重量%~1.0重量%のトプラメゾン、
10重量%~40重量%の第1の溶媒及び第2の溶媒、
10重量%~40重量%の第1の乳化界面活性剤及び第2の乳化界面活性剤、
0.01重量%~5重量%の安定剤、及び
1重量%~99重量%の水
を含み、
マイクロエマルション組成物のpHが、6.1~7.4の範囲である、実施形態1から25のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物。
27. それぞれマイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、
0.1重量%~0.2重量%のトプラメゾン、
25重量%~30重量%の第1の溶媒及び第2の溶媒、
20重量%~30重量%の第1の乳化界面活性剤及び第2の乳化界面活性剤、
0.1重量%~0.5重量%の安定剤、
35重量%~40重量%の水
を含み、
マイクロエマルション組成物のpHが、6.1~7.4の範囲である、実施形態26に記載のマイクロエマルション組成物。
28. それぞれマイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、
0.18重量%のトプラメゾン、
7.56重量%のベンジルアルコール、
20.05重量%のオレイン酸メチル、
4.19重量%のモノオレイン酸グリセリル、
28.77重量%のC8~C10アルキルポリグルコシド、
0.44重量%のカチオン性ポリエチレンイミンポリマー、
38.79重量%の水
を含み、
マイクロエマルション組成物のpHが、6.5~7.4の範囲である、実施形態27に記載の組成物。
29. それぞれマイクロエマルション組成物の全重量に基づいて、
0.0088重量%のトプラメゾン、
7.75重量%のベンジルアルコール、
20.14重量%のオレイン酸メチル、
4.21重量%のモノオレイン酸グリセリル、
28.89重量%のC8~C10アルキルポリグルコシド、
0.022重量%のトリエタノールアミン、
38.96重量%の水
を含み、
マイクロエマルション組成物のpHが、6.5~7.4の範囲である、実施形態27に記載のマイクロエマルション組成物。
30. 実施形態1から29のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物を製造する方法であって、
(a)第2の乳化界面活性剤及び塩基を水中に溶解し、50%クエン酸溶液を使用して、pHを7に調節するステップ、
(b)追加のクエン酸溶液を添加することによって溶液のpHを7で維持しながら、ステップ(a)の溶液を撹拌するステップ、
(c)トプラメゾンを第1の溶媒中に溶解するステップ、
(d)第1の乳化界面活性剤、第2の溶媒、及びステップ(c)のトプラメゾンを含有する第1の溶媒を、15分間撹拌するステップ、
(e)ステップ(b)の溶液をステップ(d)の混合物に添加し、5時間撹拌して結果として得られた混合物を形成し、結果として得られた混合物をろ過してマイクロエマルション組成物を形成するステップ
を含む、方法。
31. 望ましくない植生を防除する方法であって、実施形態1から30のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物を、植物、その環境及び/又は種子に施用するステップを含む、方法。
32. 望ましくない植生を防除する方法であって、実施形態28に記載のマイクロエマルション組成物を噴霧剤の形態で施用するステップを含む、方法。
33. 望ましくない植生を防除する方法であって、実施形態29に記載のマイクロエマルション組成物を即時使用可能溶液として施用するステップを含む、方法。
34. 望ましくない植生を防除するための、実施形態1から30のいずれか1つに記載のマイクロエマルション組成物の使用。
【実施例】
【0132】
下記の実施例は、開示された発明の主題による方法及び結果を説明するために以下に示される。これらの実施例は、本明細書で開示された発明の主題の全ての態様を含むものと意図されるのではなく、むしろ代表的な方法、組成物、及び結果を説明するものである。これらの実施例は、当業者に明らかな、本発明の均等物及び変更を除外するものではない。
【0133】
材料:
化合物1:低分子量、高荷電(high charged)カチオン性エチレンイミンコポリマー、
化合物2:オレイン酸グリセリル、エマルション中の非イオン性乳化剤及び共乳化剤として使用、
化合物3:重合度1.5のC8~C10アルキルポリグルコシド、
化合物4:オレイン酸メチル。オレイン酸メチルは、δd 7.1cal1/2cm-3/2、δp 1.9cal1/2cm-3/2及びδh 1.8cal1/2cm-3/2のハンセン溶解度パラメーターを有し、BASF SEから入手可能である。
トプラメゾン(純度95%超)は、BASF Corporationから入手可能である。
ベンジルアルコールは、Alfa Aesarから入手可能である。ベンジルアルコールは、δd 9cal1/2cm-3/2、δp 3.1cal1/2cm-3/2及びδh 6.7cal1/2cm-3/2のハンセン溶解度パラメーターを有する。
トリエタノールアミンは、Alfa Aesarから入手可能である(98%)。
【0134】
[実施例1]
製剤を作製する方法
1. 化合物3及び化合物1を水中に溶解し、50%クエン酸溶液を使用して、pHをpH7.0に調節した。
2. 追加のクエン酸溶液を添加することによって溶液のpHをpH7.0で維持しながら、ステップ(1)からの溶液を撹拌した。
3. トプラメゾンをベンジルアルコール中に溶解し、この溶液を取っておいた。
4. 化合物2、化合物4、及びトプラメゾンを含有するベンジルアルコール溶液を混合し、15分間撹拌した。
5. ステップ(2)の水溶液を、ステップ(4)の混合物に添加し、5時間撹拌してマイクロエマルションを形成した。
6. マイクロエマルションを、Whatman #2を通してろ過して、最終マイクロエマルション組成物を得た。
【0135】
【0136】
[実施例2]
マイクロエマルション評価手順
以下に記載の様々なマイクロエマルションを評価するために、以下の試験手順を定めた。
【0137】
マイクロエマルション組成物A、B及びCを、透明度について評価し、以下の尺度に従って等級付けした。
5=完全に透明であり、粒子又は濁りは不可視である。
4=ほぼ透明であるが、わずかに濁りがある。
3=ほぼ透明であるが、懸濁粒子がある。
2=わずかに濁っており、懸濁粒子がある。
1=非常に濁っており、不溶性沈殿物がある。
目視検査による安定性試験を、製剤A~Cのそれぞれに対して実施した。
マイクロエマルション組成物A、B及びCを異なる温度で保存し、次いで、表2に示される通り、透明度について評価した。
【0138】
【0139】
この試験を使用して、マイクロエマルション組成物の鋭い物理安定性を決定した。真のマイクロエマルションは、長期間にわたって透明なままであるが、他のコロイド状懸濁液は調製時(on setting)に沈殿するか、又は濁る。
【0140】
したがって、組成物が温度範囲にわたって長期間透明であることが見出され、それによって、マイクロエマルション組成物が長い保存期間にわたってその特徴を保持したことが、表2から分かる。