(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】紡績工場および前記紡績工場を運転するための方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240325BHJP
G06F 8/00 20180101ALI20240325BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06F8/00
(21)【出願番号】P 2021519855
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 IB2019058459
(87)【国際公開番号】W WO2020075028
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH-8406 Winterthur,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニクラウス ブラザー
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-538621(JP,A)
【文献】米国特許第07565351(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維機械(2)および補助紡績工場装置(6)と、
前記複数の繊維機械(2)に接続された紡績工場プラットフォーム(4)であって、前記複数の繊維機械(2)のデータをコンパイルするとともに設定を前記複数の繊維機械(2)に送信する前記紡績工場プラットフォーム(4)と、
を備える、紡績工場(1)において、
前記繊維機械(2)および前記紡績工場プラットフォーム(4)には、前記繊維機械(2)および前記紡績工場プラットフォーム(4)のデータベース(30,50)に接続されたアプリケーションプログラミングインタフェース(11)が装備されており、前記紡績工場プラットフォーム(4)には、紡績工場アプリケーション(8)および/またはサードパーティアプリケーション(9)のアプリケーションプログラミングインタフェース(11)に接続されたデータベース(80,90)が装備された前記紡績工場アプリケーション(8)および/または前記サードパーティアプリケーション(9)のアプリケーションプログラミングインタフェース(11)に接続可能なアプリケーションプログラミングインタフェース(11)がさらに装備されており、これにより、前記データベース(30,50,80,90)間で、かつ/または前記データベース(30,50,80,90)と、前記繊維機械(2)、前記紡績工場プラットフォーム(4)、前記紡績工場アプリケーション(8)および/または前記サードパーティアプリケーション(9)のアプリケーション(3,5,8,9)との間で、情報および/またはデータの直接の交換が可能となる
ことを特徴とする、紡績工場(1)。
【請求項2】
前記紡績工場プラットフォーム(4)の1つまたは複数の前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)は、前記紡績工場プラットフォーム(4)を、ERPシステム、輸送物流システムまたは紡績工場自動化システムのうちの1つである前記紡績工場アプリケーション(8)に接続可能にする、請求項1記載の紡績工場(1)。
【請求項3】
前記紡績工場プラットフォーム(4)の1つまたは複数の前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)は、前記紡績工場プラットフォーム(4)を、原材料情報プロバイダ、最終製品ブローカ、物流会社、または紡績アフタマーケットシステムのうちの1つまたは複数である前記サードパーティアプリケーション(9)に接続可能にする、請求項1または2記載の紡績工場(1)。
【請求項4】
前記紡績工場(1)は、アプリケーションプログラミングインタフェース(11)を介して前記紡績工場プラットフォーム(4)に接続されたセンサ(7)および/またはアクタを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の紡績工場(1)。
【請求項5】
前記補助紡績工場装置(6)は、アプリケーションプログラミングインタフェース(11)を介して前記紡績工場プラットフォーム(4)に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の紡績工場(1)。
【請求項6】
前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)は、機械のタイプおよび数、故障率およびアラーム、効率、稼働時間およびシフト生産、原材料および最終材料の在庫、スペア部品の在庫、半製品情報、物流情報財務情報が、前記紡績工場プラットフォーム(4)と前記紡績工場アプリケーション(8)との間で交換可能であることを可能にする、請求項1から5までのいずれか1項記載の紡績工場(1)。
【請求項7】
前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)は、前記サードパーティアプリケーション(9)と前記紡績工場プラットフォーム(4)との間で、次の情報および/またはデータのうちの1つ、すなわち、財務情報、マーケットインテリジェンス情報、原材料の価格および入手可能性、ならびに最終製品の価格のうちの1つが交換可能であることを可能にする、請求項1から6までのいずれか1項記載の紡績工場(1)。
【請求項8】
前記紡績工場プラットフォーム(4)は、前記繊維機械(2)、前記補助紡績
工場装置(6)および/またはセンサ(7)から情報および/またはデータをコンパイルまたは収集し、該情報および/またはデータを視覚化し、分析し、データマイニングし、これにより予測的分析および/または規範的分析を提供し、または適応制御機能を提供するアプリケーションを備える、請求項1から7までのいずれか1項記載の紡績工場(1)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法であって、前記紡績工場(1)は、複数の繊維機械(2)と、補助紡績
工場装置(6)と、前記複数の繊維機械(2)のデータをコンパイルするとともに設定を前記複数の繊維機械(2)に送信するための紡績工場プラットフォーム(4)とを備え、前記複数の繊維機械(2)および前記紡績工場プラットフォーム(4)にはアプリケーションプログラミングインタフェース(11)が装備されている、前記紡績工場(1)を運転するための方法において、
前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)によって、情報および/またはデータを、前記複数の繊維機械(2)と、前記紡績工場プラットフォーム(4)と、前記紡績工場プラットフォーム(4)の前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)に接続可能なアプリケーションプログラミングインタフェース(11)が装備された紡績工場アプリケーションまたはサードパーティアプリケーション(8,9)との間で交換する、前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【請求項10】
前記方法が、情報および/またはデータを、前記紡績工場プラットフォーム(4)と、前記紡績工場アプリケーション(8)としてのERPシステム、輸送物流システムまたは紡績工場自動化システムのうちの1つとの間で交換するステップを含む、請求項9記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【請求項11】
前記方法が、情報および/またはデータを、前記紡績工場プラットフォーム(4)と、前記サードパーティアプリケーション(9)としての原材料情報プロバイダ、最終製品ブローカ、物流会社、または紡績アフタマーケットシステムのうちの1つとの間で交換するステップを含む、請求項9または10記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【請求項12】
前記方法が、情報および/またはデータを、センサ(7)および/またはアクタと前記紡績工場プラットフォーム(4)との間でアプリケーションプログラミングインタフェース(11)を介して交換するステップを含む、請求項9から11までのいずれか1項記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【請求項13】
前記方法が、情報および/またはデータを、前記補助紡績
工場装置(6)と前記紡績工場プラットフォーム(4)との間でアプリケーションプログラミングインタフェース(11)を介して交換するステップを含む、請求項9から12までのいずれか1項記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【請求項14】
前記方法が、前記データおよび情報にアクセスするために前記アプリケーションプログラミングインタフェース(11)によって使用されるプロトコルを事前定義するステップを含む、請求項9から13までのいずれか1項記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【請求項15】
前記方法が、機械のタイプおよび数、故障率およびアラーム、効率、稼働時間およびシフト生産、原材料および最終材料の在庫、スペア部品の在庫、半製品情報、物流情報財務情報のうちの1つまたは複数を、前記紡績工場プラットフォーム(4)と前記紡績工場アプリケーション(8)との間で交換するステップを含む、請求項9から14までのいずれか1項記載の前記紡績工場(1)を運転するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、独立請求項による紡績工場および前記紡績工場を運転するための方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
独国特許出願公開第4306095号明細書の
図2は、クロスリンクした紡績工場を制御するための方法およびデバイスを開示している。紡績工場コントローラおよび紡績工場プラットフォームは、現在のところ、リレー接点、RS232、RS455、CANまたは同様の通信インタフェース、あるいは様々な種類のファイル転送(FTP、SFTPまたは同様の規格)などの様々な通信手段によって、紡績機械、制御デバイス、サードパーティプログラムまたはアプリケーションに接続されている。
【0003】
欧州特許出願公開第0712949号明細書は、プロセスコンピュータによって制御される機械のグループを有し、各機械がアクティブな機械要素用の独自のコントローラを有する紡績プラントの設置を開示している。ネットワークは、コンピュータと各機械との間の双方向通信を提供する。機械には、プロセスに不可欠なセンサが冗長的に取り付けられており、これらのセンサが一緒になって機械状況の状態を提供する。生のセンサデータは、ネットワークを介して、生のセンサデータ間の相関関係を評価できるソフトウェアを有するコンピュータに送信される。コマンド信号は、機械を制御するためにネットワークを介して送信される。
【0004】
独国特許出願公開第102006025747号明細書は、繊維機械を制御するための手段、マンマシンインタフェースユニット、および機械とユニットとの間の有線接続部および/または無線ネットワークを有する通信ネットワークを備える、繊維機械を制御するための自動システムを開示している。マンマシンインタフェースユニットはシンクライアントとして形成され、その機能装備はデータの表示および入力に制限されている。サーバのマンマシンインタフェースユニット上の通信ネットワークを介してプロセスデータおよび/またはソフトウェアを取得かつロードするための手段が意図されている。繊維機械を制御するための自動システムは、繊維機械、マンマシンインタフェースユニット、および機械とユニットと間の有線接続部および/または無線ネットワークを有する通信ネットワークを制御するための手段を備える。
【0005】
これらのタイプの開示された接続部は、センシングデバイスからのデータ、ステータス情報、または制御メッセージを通信するのに非常に適している。これらの開示された接続部は、通信の柔軟性、速度および量の点で多くの制限があり、特に分析のためのビッグデータ通信について考えると、異なるソフトウェアアプリケーション間の相互作用にはあまり適していない。これらは、ビッグデータ、機械学習、およびディープラーニングのアプローチに基づく紡績工場のインテリジェンスの将来の開発にとって深刻な制限である。
【0006】
本発明の概要
本発明の目的は、繊維機械と、紡績工場プラットフォームと、紡績工場ソフトウェアアプリケーションおよびサードパーティシステムと、ERPシステム(ERP:Enterprise Resource Planning)などのようなソフトウェアとの間で交換されるべき情報およびデータを、紡績工場およびクラウドの両方の領域で正確に定義することを可能にする、紡績工場および前記紡績工場を運転するための方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、紡績工場プラットフォームと外部のサードパーティソフトウェアとの間で交換されるべき情報およびデータを正確に定義することを可能にする、紡績工場および前記紡績工場を運転するための方法を提供することである。
【0008】
この目的は、独立請求項による方法によって達成され、実現される。各従属請求項により、有利な実施形態が得られる。
【0009】
具体的には、この目的は、独立請求項の前提部に記載の紡績工場であって、繊維機械および紡績工場プラットフォームには、繊維機械および紡績工場プラットフォームのデータベースに接続されたアプリケーションプログラミングインタフェースが装備されており、紡績工場プラットフォームには、紡績工場アプリケーションおよび/またはサードパーティアプリケーションのアプリケーションプログラミングインタフェースに接続されたデータベースが装備された紡績工場アプリケーションおよび/またはサードパーティアプリケーションのアプリケーションプログラミングインタフェースに接続可能なアプリケーションプログラミングインタフェースがさらに装備されており、これにより、データベース間で、かつ/またはデータベースと、繊維機械、紡績工場プラットフォーム、紡績工場アプリケーションおよび/またはサードパーティアプリケーションのアプリケーションとの間で情報および/またはデータの直接の交換が可能となることを特徴とする紡績工場によって解決される。アプリケーションプログラミングインタフェースは、データベース間かつ/またはデータベースとアプリケーションとの間での通信の柔軟性、速度および量、分析のためのビッグデータ通信などを可能にするために特異的に設計されうる。
【0010】
紡績工場システムおよび/または功績工場プラットフォームのための本発明の概念は、様々なソフトウェアにあらゆる種類の情報および/またはデータを交換可能にする特定のソフトウェアモジュールであるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)に基づいている。本発明によれば、アプリケーションプログラミングインタフェースを構築するための非限定的な例には以下が含まれる。
・GraphQLは、サーバからデータを取得するクエリ、およびデータを変更するミューテーションの2つのタイプのリクエストを活用する。
・SOAPは、GETおよびPOSTの2つの基本機能で動作する。GETはサーバからデータを取得するために使用される一方、POSTはデータを追加または変更するために使用される。
・RESTは、次に、URI(統一資源識別子(Uniform Resource Identifier))を要求することにより、対応するソースの状態を変更する。
・WSDL(ウェブサービス記述言語(Web Service Description Language))は、Webサービス対話で使用される動作、パラメータ、要求、および応答を定義するXML文書である。
・OPC統一アーキテクチャまたはOPC UA(OPC:オープンプラットフォーム通信(Open Platform Communication);UA:統一アーキテクチャ(Unified Architecture))は、OPC Foundationによって開発された産業オートメーション用の機械対機械通信プロトコルである。
【0011】
有利なことに、紡績工場プラットフォームの1つまたは複数のアプリケーションプログラミングインタフェースは、紡績工場プラットフォームを直接にまたはインターネットを介して紡績工場アプリケーションまたはサードパーティアプリケーションに接続可能にする。
【0012】
有利なことに、紡績工場プラットフォームの1つまたは複数のアプリケーションプログラミングインタフェースは、紡績工場プラットフォームを、ERPシステム、輸送物流システムまたは紡績工場自動化システムのうちの1つである紡績工場アプリケーションに接続可能にする。
【0013】
有利なことに、紡績工場プラットフォームの1つまたは複数のアプリケーションプログラミングインタフェースは、紡績工場プラットフォームを、原材料情報プロバイダ、最終製品ブローカ、物流会社、または紡績アフタマーケットシステムのうちの1つまたは複数であるサードパーティアプリケーションに接続可能にする。
【0014】
有利なことに、紡績工場は、アプリケーションプログラミングインタフェースを介して紡績工場プラットフォームに接続されたセンサおよび/またはアクタを含む。
【0015】
有利なことに、前記補助紡績工場装置は、アプリケーションプログラミングインタフェースを介して紡績工場プラットフォームに接続されている。
【0016】
有利なことに、アプリケーションプログラミングインタフェースは、機械のタイプおよび数、故障率およびアラーム、効率、稼働時間およびシフト生産、原材料および最終材料の在庫、スペア部品の在庫、半製品情報、物流情報財務情報が、紡績工場プラットフォームと紡績工場アプリケーションとの間で交換可能であることを可能にする。
【0017】
有利なことに、アプリケーションプログラミングインタフェースは、サードパーティアプリケーションと紡績工場プラットフォームとの間で、次の情報および/またはデータのうちの1つ、すなわち、財務情報、マーケットインテリジェンス情報、原材料の価格および入手可能性、ならびに最終製品の価格のうちの1つが交換可能であることを可能にする。
【0018】
有利なことに、アプリケーションプログラミングインタフェースの1つまたは複数は、GraphQL、SOAP、REST、WSDL、および/またはOPCとして構築されている。
【0019】
有利なことに、アプリケーションプログラミングインタフェースの1つまたは複数は、OAuth(OAuth:Open Authorization)、OAuth2、SAML(SAML:Security Assertion Markup Language)、および/または同様の認証メカニズムによる認証手順によって互いの識別を行う。
【0020】
有利なことに、データおよび情報にアクセスするためにアプリケーションプログラミングインタフェースによって使用されるプロトコルは事前定義されている。
【0021】
有利には、繊維機械は、ベールオープナ、カード、調整済みのまたは未調整のドローフレーム、コーマ準備機械もしくはコーマ、リング紡績機械やコンパクト紡績機械などのエンド紡績装置、ロータ紡績機械、エアジェット紡績機械、自動ワインダ、ロービングフレーム、織り機械、編み機械、糸巻取機械、ドローテクスチャリング機械のうちの1つまたは複数である。
【0022】
有利なことに、補助紡績工場装置は、空気圧システム、輸送システム、気候制御システム、ならびにセキュリティおよび監視システムのうちの1つである。
【0023】
有利なことに、前記紡績工場プラットフォームは、繊維機械、補助紡績装置および/またはセンサから情報および/またはデータをコンパイルまたは収集し、当該情報および/またはデータを視覚化し、分析し、データマイニングし、これにより予測的分析および/または規範的分析を提供し、あるいは適応制御機能を提供するアプリケーションを備える。
【0024】
紡績工場を運転するための方法であって、前記紡績工場は、複数の繊維機械と、補助紡績装置と、複数の繊維機械のデータをコンパイルするための紡績工場プラットフォームとを備え、複数の繊維機械および紡績工場プラットフォームにはアプリケーションプログラミングインタフェースが装備されている、方法において、アプリケーションプログラミングインタフェースによって、情報および/またはデータを、複数の繊維機械と、紡績工場プラットフォームと、紡績工場プラットフォームのアプリケーションプログラミングインタフェースに接続可能なアプリケーションプログラミングインタフェースが装備された紡績工場アプリケーションまたはサードパーティアプリケーションとの間で交換することを特徴とする。
【0025】
有利なことに、この方法は、情報および/またはデータを紡績工場プラットフォームと紡績工場システムまたはアプリケーションとの間でアプリケーションプログラミングインタフェースによって直接にまたはインターネットを介して交換するステップを含む。
【0026】
有利なことに、この方法は、情報および/またはデータを紡績工場プラットフォームと、紡績工場アプリケーションとしてのERPシステム、輸送物流システムまたは紡績工場自動化システムのうちの1つとの間で交換するステップを含む。
【0027】
有利なことに、この方法は、情報および/またはデータを紡績工場プラットフォームと、サードパーティアプリケーションとしての原材料情報プロバイダ、最終製品ブローカ、物流会社、または紡績アフタマーケットシステムのうちの1つとの間で交換するステップを含む。
【0028】
有利なことに、この方法は、情報および/またはデータをセンサおよび/またはアクタと紡績工場プラットフォームとの間でアプリケーションプログラミングインタフェースを介して交換するステップを含む。
【0029】
有利なことに、この方法は、情報および/またはデータを補助紡績装置と紡績工場プラットフォームとの間でアプリケーションプログラミングインタフェースを介して交換するステップを含む。
【0030】
有利なことに、この方法は、情報および/またはデータをGraphQL、SOAP、REST、WSDL、および/またはOPCとしてのアプリケーションプログラミングインタフェースを介して交換するステップを含む。
【0031】
有利なことに、この方法は、データおよび情報にアクセスするためにアプリケーションプログラミングインタフェースによって使用されるプロトコルを事前定義するステップを含む。
【0032】
有利なことに、この方法は、機械のタイプおよび数、故障率およびアラーム、効率、稼働時間およびシフト生産、原材料および最終材料の在庫、スペア部品の在庫、半製品情報、物流情報財務情報のうちの1つまたは複数を、紡績工場プラットフォームと紡績工場アプリケーションとの間で交換するステップを含む。
【0033】
有利なことに、この方法は、財務情報、マーケットインテリジェンス情報、原材料の価格および入手可能性、ならびに最終製品の価格のうちの1つまたは複数を、サードパーティアプリケーションと紡績工場プラットフォームとの間で交換するステップを含む。
【0034】
本発明の概念の利点は、紡績工場アプリケーションおよびプログラム内のソフトウェアモジュールが、従来技術で言及された従来の通信インタフェースを必要とせずに、互いに直接にインタフェースできることである。特にソフトウェアアーキテクチャの分野における紡績工場システムおよび/またはプラットフォームの全体的なアーキテクチャを、効率的に設計することができる。さらに、アプリケーションプログラミングインタフェースは、いくつかのシステムおよび/またはプラットフォーム間で交換されるべき情報およびデータの正確な定義を可能にする。
【0035】
本発明は、図によって示される例によって与えられた実施形態の説明の助けを借りてよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明による紡績工場の全体的な構成を示す図である。
【0037】
本発明の詳細な説明
図1は、本発明による紡績工場1の全体的な構成を概略的に示している。紡績工場1は、複数の繊維機械2を備えており、
図1では2つの繊維機械2だけが例として示されている。繊維機械2は、例えば、ベールオープナ、カード、調整済みのまたは未調整のドローフレーム、コーマ準備機械もしくはコーマ、リング紡績機械やコンパクト紡績機械などのエンド紡績装置、ロータ紡績機械、エアジェット紡績機械、自動ワインダ、ロービングフレーム、織り機械、編み機械、糸巻取機械、ドローテクスチャリング機械などでありうる。各繊維機械2には、プログラマブル制御ロジック(PLC)3およびデータベース30が設けられている。当該データベース30は、単純な機械におけるストレージデバイスであってもよい。紡績工場1はさらに、紡績工場プラットフォーム4(エッジデバイス)を備え、当該紡績工場プラットフォーム4は、紡績工場1の全体的な制御を行う、プラットフォームの中央工場制御アプリケーションを備える。
【0038】
紡績工場プラットフォーム4は、格納されたデータおよびアプリケーション5を処理するために、データベース50に動作可能に接続されたローカル処理手段51、例えばプロセッサを備える。このようなアプリケーション5は、繊維機械2、補助紡績装置6およびセンサ7から情報および/またはデータを収集し、当該情報および/またはデータを視覚化し、分析し、データマイニングし、これにより予測的分析および/または規範的分析を提供し、あるいは適応制御機能を提供しうる。さらに、紡績工場プラットフォーム4は、設定(例えば、指定された値または所望の値)を前記複数の繊維機械2に送信する。
【0039】
空気圧システム、輸送システム、気候制御システム、セキュリティおよび監視システムのような、紡績工場における補助紡績装置6などもまた、紡績工場プラットフォーム4に接続されうる。
【0040】
繊維機械2はさらに、動作パラメータなどの、機械または機械部品もしくはセクションの複数の物理量を検出するための複数のセンサ7を備える。センサ7の数は一例としてのみ示されており、監視されるべき繊維機械2および機械部品に依存しうる。動作中、センサ7は、当該センサ7の測定値を対応する繊維機械2に送信し、当該繊維機械2はその情報をストレージまたはデータベース30に収集しかつ収集した情報を紡績工場プラットフォーム4に送信する。代替的または追加的に、センサ7は、さらなる分析のために、当該センサ7の測定値を紡績工場プラットフォーム4に直接に送信しうる。本発明におけるセンサ7の例は、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、速度センサ、加速度センサ、電流センサ、電圧センサ、光学センサ、カメラもしくは力センサ、容量性もしくは誘導性測定センサ、または対応する機械を監視できる任意の他のセンサである。
【0041】
さらに、紡績工場アプリケーション8または同様のプラットフォームもまた、紡績工場プラットフォーム4に接続されている。このような紡績工場システム8は、直接にまたはインターネット10を介して紡績工場プラットフォーム4に接続されうる。
【0042】
紡績工場アプリケーション8は、データベース80を含み、かつ例としてERPシステムまたはプロセスあるいは機械最適化アプリケーション(ERP:Enterprise Resource Planning)を含む。紡績工場アプリケーション8は、特別なサービスを提供するか、または紡績工場1からデータを収集し、分析し、最適化し、かつ処理する中央紡績工場アプリケーションでありうる。紡績工場アプリケーション8と紡績工場プラットフォーム4との間で、次の情報および/またはデータ、すなわち、機械のタイプおよび数、故障率およびアラーム、効率、稼働時間およびシフト生産、スペア部品の在庫、原材料および最終材料の在庫、半製品情報、物流情報財務情報が交換されうる。
【0043】
紡績工場プラットフォーム4に接続されたサードパーティアプリケーション9は、原材料情報プロバイダ、最終製品ブローカ、物流会社、および紡績アフタマーケットシステムのうちの1つまたは複数を含む。さらに、サードパーティアプリケーション9は、上記のアプリケーションプロバイダまたは消耗品のためのe-ショップを含む。サードパーティアプリケーション9と紡績工場プラットフォーム4との間で、次の情報および/またはデータ、すなわち、財務情報、マーケットインテリジェンス情報、原材料の価格および入手可能性、ならびに最終製品の価格が交換されうる。
【0044】
したがって、
図1に示されているように、紡績工場1は、アプリケーション3,5を含む。特に、アプリケーション3,5は、繊維機械2のプログラマブル制御ロジック3および紡績工場プラットフォーム4のアプリケーション5を含む。さらに、アプリケーション8,9は、紡績工場1に接続可能である。特に、アプリケーション8,9は、紡績工場アプリケーション8およびサードパーティアプリケーション9を含む。
【0045】
本発明によれば、紡績工場プラットフォーム4と、繊維機械2、補助紡績工場装置6、センサ7およびアクタ、紡績工場アプリケーション8またはサードパーティアプリケーション9との間の通信(有線または無線)は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)11に基づいており、当該アプリケーションプログラミングインタフェースは、様々なソフトウェアがあらゆる種類の情報および/またはデータを交換できるようにする特定のソフトウェアモジュールである。アプリケーションプログラミングインタフェース11は、いくつかのシステムおよび/またはプラットフォーム間で交換されるべき情報およびデータの正確な定義を可能にする。紡績工場アプリケーション8またはサードパーティアプリケーション9との間の情報も、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)11に基づいて交換されうる。
【0046】
図1は、様々な場所に配置されたアプリケーションプログラミングインタフェース11を示している。例えば、参照番号11-80-4および11-80-10を有するアプリケーションプログラミングインタフェース11は、紡績工場アプリケーション8に関連して示されている。例えば、参照番号11-90-10を有するアプリケーションプログラミングインタフェース11は、サードパーティアプリケーション9に関連して示されている。
【0047】
図1に示されているように、参照番号11-80-4を有するアプリケーションプログラミングインタフェースは、紡績工場プラットフォーム4に接続されており、かつ紡績工場アプリケーション8のデータベース80に接続されており、参照番号11-80-10を有するアプリケーションプログラミングインタフェースは、例えば、サードパーティアプリケーション9への接続を可能にするインターネットまたはIPコネクティビティ(IP:インターネットプロトコル)10に接続されており、かつ紡績工場アプリケーション8のデータベース80に接続されている。したがって、参照番号11-80-4および11-80-10を有するアプリケーションプログラミングインタフェースは、データベース80に直接にアクセスする。
【0048】
図1に示されているように、参照番号11-90-10を有するアプリケーションプログラミングインタフェースは、例えば、紡績工場アプリケーション8または紡績工場プラットフォーム4への接続を可能にするインターネットまたはIPコネクティビティ10に接続されており、かつサードパーティアプリケーション9のデータベース90に接続されている。したがって、参照番号11-90-10を有するアプリケーションプログラミングインタフェースは、データベース90に直接にアクセスする。
【0049】
特に
図1に関連して、当業者は、該当する場合には、各アプリケーションプログラミングインタフェース11が、情報および/またはデータを直接交換するために、それぞれのデータベース30,50,80,90に直接にアクセスするという本開示を理解する。
【0050】
特に
図1に関連して、当業者は、紡績工場プラットフォーム4の各アプリケーションプログラミングインタフェース11が、紡績工場プラットフォーム4のアプリケーション5のデータベース50に接続され、そして各アプリケーションプログラミングインタフェース11が、情報および/またはデータを直接に交換するために、紡績工場プラットフォーム4のアプリケーション5のデータベース50に直接にアクセスするという本開示を理解する(図の明瞭性に問題が生じないよう、
図1には示していない)。
【0051】
特に
図1に関連して、当業者は、繊維機械2の各アプリケーションプログラミングインタフェース11が繊維機械2のプログラマブル制御ロジック3のそれぞれのデータベース30に接続されており、各アプリケーションプログラミングインタフェース11が繊維機械2のプログラマブルロジック3のそれぞれのデータベース30に直接にアクセスするものとして、本開示を理解する。
【0052】
したがって、当業者が明確に理解するように、アプリケーションプログラミングインタフェース11は、情報および/またはデータが例えば紡績工場プラットフォーム4のアプリケーション5のデータベース50と例えば紡績工場アプリケーション8のデータベース80との間で直接に交換されうることを可能にする。さらに、当業者が明確に理解するように、アプリケーションプログラミングインタフェース11は、情報および/またはデータが例えば紡績プラットフォーム4のアプリケーション5のデータベース50と例えば紡績工場アプリケーション8またはサードパーティアプリケーション9との間で直接に交換されうることを可能にする。
【0053】
特に
図1に関連して、当業者は、
図1がアプリケーション3,5,8,9を示しており、ここで、アプリケーション3,5,8,9に関連付けられたデータベース30,50,80,90のうちの1つとこれらのデータベース30,50,80,90のうちの別の1つとの間で情報および/またはデータが直接に交換されうること、ならびにこれらのデータベース30,50,80,90のうちの1つとデータベース30,50,80,90の別の1つに関連付けられたアプリケーション3,5,8,9との間で情報および/またはデータが直接に交換されうることを可能にするために、アプリケーションプログラミングインタフェース11が配置されているものとして、本開示を理解する。
【0054】
特に
図1に関連して、当業者は、繊維機械2および紡績工場プラットフォーム4には、繊維機械2および紡績工場プラットフォーム4のデータベース30,50に接続されたアプリケーションプログラミングインタフェース11が装備されており、紡績工場プラットフォーム4には、紡績工場アプリケーション8および/またはサードパーティアプリケーション9のアプリケーションプログラミングインタフェース11に接続されたデータベース80,90が装備された紡績工場アプリケーション8および/またはサードパーティアプリケーション9のアプリケーションプログラミングインタフェース11に接続可能なアプリケーションプログラミングインタフェース11がさらに装備されており、これにより、データベース30,50,80,90間で、かつ/またはデータベース30,50,80,90と繊維機械2、紡績工場プラットフォーム4、紡績工場アプリケーション8および/またはサードパーティアプリケーション9のアプリケーション3,5,8,9との間で、情報および/またはデータの直接の交換が可能となるものとして、本開示を理解する。
【0055】
好ましくは、本発明によれば、アプリケーションプログラミングインタフェース11は、異なる方式で構築することができる。非限定的な例は、次のとおりである。
・GraphQLは、サーバからデータを取得するクエリ、およびデータを変更するミューテーションの2つのタイプのリクエストを活用する。
・SOAPは、GETおよびPOSTの2つの基本機能で動作する。GETはサーバからデータを取得するために使用される一方、POSTはデータを追加または変更するために使用される。
・RESTは、次に、URI(統一資源識別子(Uniform Resource Identifier))を要求することにより、対応するソースの状態を変更する。
・WSDL(ウェブサービス記述言語(Web Service Description Language))は、Webサービス対話で使用される動作、パラメータ、要求、および応答を定義するXML文書である。
・OPC統一アーキテクチャまたはOPC UA(OPC:オープンプラットフォーム通信(Open Platform Communication);UA:統一アーキテクチャ(Unified Architecture))は、OPC Foundationによって開発された産業オートメーション用の機械対機械通信プロトコルである。
【0056】
アプリケーションプログラミングインタフェース11は、OAuth、OAuth2、SAMLまたは同様の認証メカニズムによる認証手順によって互いの識別を行う。
【0057】
こうした概念の利点は、紡績工場アプリケーションおよびプログラム内のソフトウェアモジュールが、上述した従来の通信インタフェースを必要とせずに、相互に直接にインタフェースできることである。例えば、アプリケーションプログラミングインタフェース11は、データベース30,50,80,90間で情報およびデータを自動的に同期させるための同期モジュールを含むことができる。同期モジュールは、例えば、データベース30,50,80,90のどの部分が、時刻、ネットワーク負荷などのどの条件の下で同期されるかに関して、同期ストラテジを定義するための同期テーブルを含むことができる。特にソフトウェアアーキテクチャの分野における紡績工場システムおよび/またはプラットフォームの全体的なアーキテクチャは、効率的に設計することができる。さらに、交換されるべき情報および/またはデータの正確な定義および制限が可能となる。例えば、アプリケーションプログラミングインタフェース11は、データベース30,50,80,90にアクセスするための異なる許可を割り当てることができる。紡績工場プラットフォーム4に関して、例えば、繊維機械2および補助紡績装置6とインタフェースする一組のアプリケーションプログラミングインタフェース11は、第1の許可を割り当てることができ、紡績工場アプリケーション8およびサードパーティアプリケーション9とインタフェースする一組のアプリケーションプログラミングインタフェース11は、第2の許可を割り当てることができ、第1の許可および第2の許可は、例えばデータベース50からのデータの読み取りやデータベース50への書き込みなどに関して、紡績工場プラットフォーム4のデータベース50に異なるアクセスレベルを割り当て、これによりセキュリティを向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 紡績工場
2 繊維機械
3 プログラマブル制御ロジック(PLC)
30 データベース
4 紡績工場プラットフォーム
5 アプリケーション
50 データベース
51 ローカル処理手段
6 補助紡績工場装置
7 センサ
8 紡績工場アプリケーション
80 データベース
9 サードパーティアプリケーション
90 データベース
10 インターネットまたはIPコネクティビティ
11 アプリケーションプログラミングインタフェース(API)