(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】低静電気接触クリーニングシステム
(51)【国際特許分類】
H05F 3/02 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
H05F3/02 R
H05F3/02 K
(21)【出願番号】P 2021521355
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(86)【国際出願番号】 US2019053876
(87)【国際公開番号】W WO2020081223
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】シーラ ハミルトン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン フランク ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ハンター パターソン
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3140166(JP,U)
【文献】特表2016-504248(JP,A)
【文献】特開平09-190095(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109755(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/134112(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00 - 7/00
B08B 1/00 - 1/04
B08B 5/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニングされる基板からデブリを除去するために位置し動作可能である接触クリーニングローラーと、該接触クリーニングローラーの表面からデブリを除去するために位置し動作可能である接着ロールとを備える接触クリーニングシステムにおいて、動作中に該システム内で生成される最大電界強度が300ボルトであ
り、
前記接触クリーニングローラーは、バルク導電性を有するエラストマーローラーであり、前記接着ロールは電気伝導性を有する接着剤を備える、接触クリーニングシステム。
【請求項2】
動作時に前記システム内で生成される
電界強度を測定するために動作可能で位置する少なくとも1つのセンサーを備える請求項1に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項3】
前記接触クリーニングローラーの材料及び前記接着ロールの材料は、前記接触クリーニングローラーと前記接着ロールとの間の摩擦帯電効果を最小にするようなものである請求項1又は2に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項4】
電荷輸送を提供する手段を備える請求項1~
3の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項5】
電荷輸送を提供する前記手段は、前記接触クリーニングローラー及び/又は前記接着ロールから電気接地までの電荷移送路を提供するために配置された電荷輸送要素を含む請求項
4に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項6】
前記システムの動作中に生成される電界は電荷輸送によってのみ除去される請求項1~
5の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項7】
イオン化エネルギーは、動作中に前記システムに入力されない請求項1~
6の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項8】
前記接触クリーニングローラーは、バルク導電性(例えば、電気伝導性)を有するエラストマー層及び電気伝導性コアを備え、該電気伝導性コアは、前記エラストマー層を支持し、前記接触クリーニングローラーから電気接地までの電荷輸送用の導電性通路を提供するように構成される請求項
5に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項9】
前記電荷輸送要素は、前記電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される
請求項
8に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項10】
前記電荷輸送要素は、該電荷
輸送要素を保持するハウジングによって前記電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される請求項
9に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項11】
前記ハウジングはスピゴットを含む請求項
10に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項12】
前記電荷輸送要素は電気伝導性材料で形成される請求項
5、8~11の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項13】
前記電荷輸送要素は金属製である請求項
12に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項14】
前記電荷輸送要素は、ピン、及び、該ピンを前記接触クリーニングローラーの外方に付勢するように構成される弾性付勢手段を含む請求項
5、8~13の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項15】
前記システム内の電界は、前記電荷輸送要素を通してのみ、前記システムから除去(移送、抽出)される請求項
8~14の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項16】
電気接地要素を備える請求項
5、8~15の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項17】
前記電気接地要素は平面である請求項
16に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項18】
前記システムからの電荷移送路は、前記電荷輸送要素及び前記電気接地要素を含む請求項
16又は
17に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項19】
前記電荷輸送要素は前記電気接地要素と接触状態になるよう押しやられる請求項
16~
18の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項20】
前記接触クリーニングローラーは、導電性要素を備えるエラストマー層を備える請求項
5、8~19の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項21】
ハウジングを備え、前記接触クリーニングローラー及び前記接着ロールは前記ハウジング内に配設される請求項
5、8~20の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項22】
電荷輸送を提供する前記手段は前記ハウジング内に配設される請求項
21に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項23】
前記電荷輸送要素は前記ハウジングによって画定される空間内にある請求項
21又は
22に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項24】
少なくとも1つのセンサーを備え、前記ハウジング内の前記少なくとも1つのセンサーによって測定される最大電界は300ボルト未満である請求項
21~
23の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【請求項25】
複数の接触クリーニングローラーを備える請求項1~
24の何れか1項に記載の接触クリーニングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許は、「Low Static Contact Cleaning System」という名称の2018年10月18日に出願された英国特許出願第1816956.5号に対して優先権を主張する。英国特許出願第1816956.5号の全体は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、接触クリーニングシステムに関し、排他的ではないが特に、動作中に低電界強度を生成し、静電気を接地に流す(transport)ように構成される接触クリーニングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
接触クリーニングは、基板表面をクリーニングするのに用いられる。クリーニング後、基板表面は、電子機器、光起電機器、及びフラットパネルディスプレイの製造等における様々な精巧なプロセスに用いることができる。通常、ゴム又はエラストマー製のクリーニングローラーが、基板表面から汚染粒子を除去するのに用いられ、その後、接着ローラーを用いて、クリーニングローラーから汚染粒子を除去することができる。
【0004】
動作時、接触クリーニングローラーは、少なくとも基板の上面に接触し、接着除去メカニズム(例えば、ファンデルワールス力及び接着力)によってデブリを除去する。この場合、接触クリーニングローラーを形成するのに用いられる材料の固有の特性により、デブリが引き寄せられ、接触クリーニングローラーの表面に付着する。このように、接触クリーニングローラーは、粒子とローラーとの間のファンデルワールス力による引力に起因して、基板表面から汚染粒子を引き離すことが考えられる。したがって、既存の接触クリーニングローラーが、基板表面との接触を最大限にすることによって、汚染粒子の除去の効力を保証することができる。
【0005】
接触クリーニングローラーの材料に固有の弱いファンデルワールス力とは別に、他の電荷も生じ得る。異なる表面間の接触による接触クリーニングプロセスは、摩擦帯電効果及び静電荷の蓄積から電荷源となる可能性を有する。したがって、電子機器アセンブリ工場において基板の非常に近位で(例えば、100mm以内で)用いられるいずれの機器も、非絶縁性とし、静電放電による基板の損傷を防ぐのに十分小さい表面抵抗を有しなければならない。
【0006】
米国国家規格協会(ANSI)のESD STM11.11-2015に与えられている表面抵抗を測定する既知の方法によれば、基板の100mm以内で用いられる電子機器アセンブリ工場のあらゆる機器は、表面抵抗が1×109Ω未満でなければならない。
【0007】
表面抵抗Rsは、材料の表面にわたる電圧対電流の比によって定義される。オーム(Ω)で測定される材料の特性は、以下の通りに定義される。
Rs=U/Is
ここで、UはDC電圧であり、表面電流がIsである。
【0008】
したがって、或る特定のクリーニング用途の条件は、クリーニング表面の表面抵抗が1×109Ω未満であることである。これは、接触クリーニングローラーに1×109Ω未満の表面抵抗を有するという要件を課すだけでなく、必然的に、ローラーは、静電荷がクリーニング表面から離れて接地に導かれるようにすることができなければならない。またこれは、連続動作している間、行わなければならず、すなわち、ローラーは、回転時は常に、電荷を導くことが可能でなければならない。
【0009】
バルク導電率は、通常、体積抵抗を測定することによって確立される。体積抵抗を測定する既知の方法は、米国国家規格協会(ANSI)のESD STM11.12-2015に与えられている。
【0010】
接触クリーニングローラーが、基板(すなわち、クリーニングされる部分)をクリーニングするのに十分な表面接着力を有する場合、接触クリーニングプロセス中に、静電荷が発生しやすい。最大6000ボルトの静電荷が、接触クリーニングローラーとクリーニングされる基板との間の摩擦、接触クリーニングローラーと接着ロールとの間の摩擦、そしてまた、クリーニングされる基板を搬送する支持ベルトと基板自体との間の摩擦の結果として、接触クリーニングシステムにおいて通常は生成される。
【0011】
静電気除去装置(static eliminator)又は除電バー(anti-static bar)としても知られるスタティックバー(static bar)は、動作中にそのような接触クリーニングシステムを通過する部品上に生成される静電気をなくす1つの方法を提供する。接触クリーニング装置において、スタティックバーは、クリーニングされる基板表面上の静電気(static)を中和するイオン化空気のストリームを提供するために、クリーニングローラーの出口に位置することができる。或る特定のシステムにおいて、第2のスタティックバーは、クリーニングされる基板から静電気を除去するためにクリーニングローラーの入口に位置することができる。しかしながら、スタティックバーは、高価であり、誤って位置決めされる場合、接触クリーニングプロセス中の表面に望ましくない静電荷を導入する可能性がある。スタティックバーは、電気的過剰ストレス(electric overstress)を誘起する場合がある、すなわち、デバイスに印加される電気信号は、クリーニングされる基板内のデバイスの公差パラメーター(tolerance parameter)を超える。電子デバイスが小さくなるにつれて、デバイスを駆動するために必要とされる電圧は小さくなる(例えば、50mV~500mV)。スタティックバー、より具体的には、スタティックバーから出るイオンは、デバイス内の導体内に電流を誘起し、回路の部分破壊及び/又は吹き飛び(blowing)をもたらすことになる。こうして、スタティックバーは、デバイスについての電圧公差を超える電界、したがって、電流を回路要素(circuitry)内に生成することによって、デバイスの回路要素内に潜在的欠陥(脆弱点又は電子部品の故障)を誘起する場合がある。
【0012】
接触クリーニングシステムにおいて、電気的過剰ストレスが生じ得る少なくとも2つの場所が存在する。第1は機械の内部であり、接触クリーニングローラー及び接着ローラーが互いに接触し、接触クリーニングローラーがクリーニングされる基板に接触するシステムの動作中に電界が生成されることによる。第2は機械の外部であり、クリーニングされる基板内で過剰ストレスを引き起こす場合がある電界をスタティックバーが誘起することによる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述の問題のうちの少なくとも1つ以上を緩和又は軽減することである。
【0014】
本発明の目的は、接触クリーニングシステムの動作に由来する、静電荷蓄積、したがって、電界強度蓄積の問題を緩和又は軽減することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、好適な接触クリーニング装置において用いられる接触クリーニングローラーを用いる場合に、静電荷蓄積を緩和又は軽減することである。
【0016】
なお更なる目的は、信頼性が高く、クリーニングされる基板内の潜在的欠陥を誘起する傾向が減少した接触クリーニングシステムを提供することである。
【0017】
本発明は、少なくとも、従来技術の接触クリーニングシステムに対する代替物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の態様及び実施形態は、添付の特許請求の範囲で請求される接触クリーニングシステムを提供する。
【0019】
本明細書で参照される場合、「クリーニングされる基板(substrate to be cleaned)」という用語は、プリント回路基板(PCB)、電子製品、コンポーネント、フィルム、又はデバイスを含むと考えるものとする。
【0020】
一態様によれば、本発明は、クリーニングされる基板からデブリを除去するために位置し動作可能である接触クリーニングローラー、接触クリーニングローラーの表面からデブリを除去するために位置し動作可能である接着ロールを備える接触クリーニングシステムであって、動作中にシステム内で生成される最大電界強度は300ボルトである、接触クリーニングシステムを提供する。
【0021】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムは、動作時にシステム内で生成される静電界強度を測定するために動作可能で位置する少なくとも1つのセンサーを備える。
【0022】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングローラーの材料及び接着ロールの材料は、接触クリーニングローラーと接着ロールとの間の摩擦帯電効果を最小にするように選択される。接触クリーニングシステムの動作中、接触クリーニングローラーと接着ロールとの摩擦係合は、システムにおける主要な電界発生器である。接触クリーニングローラーと接着ロールとの間の摩擦帯電効果を低減することによって、動作中にシステム内で生成される電界強度を著しく低減することができる。
【0023】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングローラーは、バルク導電性を有するエラストマーローラーである。或る特定の実施形態において、エラストマーローラーは、1×109Ω未満の表面抵抗を有する導電性表面を有するエラストマー層を備える。こうして、接触クリーニングローラーの表面から電気接地までの電気伝導性電荷移送路を設けることによって、動作中にシステム内で生成される最大電界強度を低減することができる。
【0024】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングローラーは、電気伝導性改質剤を含むエラストマー層を備える。
【0025】
或る特定の実施形態において、電気伝導性改質剤は導電性要素を含む。
【0026】
或る特定の実施形態において、電気伝導性改質剤は、導電性要素の相互接続ネットワークを含む。
【0027】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、細長い。このようにして、エラストマー層のエラストマーと接触する導電性要素の表面積が増大し、エラストマー層内におけるそれらの要素の保持が高まる。
【0028】
或る特定の実施形態において、細長い導電性要素は、中空である。
【0029】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、炭素である。
【0030】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、ナノチューブである。
【0031】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、カーボンナノチューブである。
【0032】
或る特定の実施形態において、ナノチューブは、単壁カーボンナノチューブである。このようにして、エラストマー層のクリーニング特性とそのバルク導電性との間のバランスが維持される。ナノチューブの大きな表面積により、炭素微粒子又は炭素繊維と比較して、エラストマーへの炭素の結合が向上する。
【0033】
より具体的には、カーボンナノチューブは、炭素原子1つ分の壁厚である。
【0034】
或る特定の実施形態において、細長い導電性要素は、エラストマー材料全体に均一に分散される。
【0035】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、エラストマー材料内に埋め込まれ保持されるように分散される。
【0036】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、エラストマー材料内でランダムな向きになっている。
【0037】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、約5μm~約30μmの範囲内の長さを有する。
【0038】
或る特定の実施形態において、導電性要素は、約1nm~約200nmの範囲内の直径を有する。
【0039】
或る特定の実施形態において、エラストマー内の導電性要素の濃度は、エラストマーの重量のうち約0.015%である。
【0040】
或る特定の実施形態において、エラストマー層は任意の適切なエラストマー材料を含む。より具体的には、エラストマー層は、シリコーンゴム又はポリウレタンのうちの一方を含む。
【0041】
或る特定の実施形態において、エラストマーは、シリコーンを含む。このようにして、導電性シリコーン層は、カーボンナノチューブがシリコーン材料内に分散される場合に形成することができる。ナノチューブは、共有結合を通してシリコーンポリマーマトリックス内に保持される。微粒子材料等の他の添加剤は、シリコーンマトリックスの流動性に起因して、シリコーンマトリックスから流出する傾向がある。したがって、カーボンナノチューブは、シリコーンマトリックス内に保持された状態で保持される改質剤を提供する。
【0042】
或る特定の実施形態において、エラストマー層は、2成分室温硬化シリコーンゴムから形成される。
【0043】
或る特定の実施形態において、エラストマー層はバルク導電性(例えば、電気伝導性)を有する。より具体的には、エラストマー層は、クリーニングされる部品と接触するための導電性表面、及び、導電性層から、電気伝導性コアに、電気伝導性コアと電気接続している電荷輸送要素に電荷抽出するための導電性通路と電気接触している更なる導電性表面を有する。
【0044】
或る特定の実施形態において、導電性表面の表面抵抗は、1×109Ω未満である。より具体的には、エラストマー層の導電性表面及び更なる導電性表面の双方の表面抵抗は、1×109Ω未満である。更により具体的には、エラストマー層の導電性表面及び更なる導電性表面の双方の表面抵抗は、実質的に等しい。
【0045】
或る特定の実施形態において、導電性表面の表面抵抗は、約1×106Ω~約1×109Ωの範囲である。より具体的には、エラストマー層の導電性表面及び更なる導電性表面の双方の表面抵抗は、約1×106Ω~約1×109Ωの範囲である。更により具体的には、エラストマー層の導電性表面及び更なる導電性表面の双方の表面抵抗は、実質的に等しい。
【0046】
或る特定の実施形態において、エラストマー層は導電性通路と電気接触している。こうして、接触クリーニングローラーは、永久的に電気接地され、静電気は、イオン化バー等の、電荷を中和する更なる手段を設ける必要なしで、接触クリーニングローラーから輸送されることになる。
【0047】
或る特定の実施形態において、エラストマー層は導電性通路と直接機械的接触している。こうして、接触クリーニングローラーが永久的に電気接地されるだけでなく、きわめて重要なクリーニング表面上のいかなる静電気蓄積も、クリーニング性能を損なうことになる摩耗又は損傷のリスクを普通ならもたらすことになる表面に対する物理的接触の必要性なしで、導電性通路に沿って除去される。
【0048】
或る特定の実施形態において、導電性経路は、エラストマー層から接地(すなわち、電気アース)への電荷抽出をもたらす。
【0049】
或る特定の実施形態において、エラストマー層は、電気伝導性コアに取り付けられる。
【0050】
或る特定の実施形態において、エラストマー層は、電気伝導性コアに密接する。より具体的には、エラストマー層は、エラストマー層の更なる導電性表面全体にわたって電気伝導性コアに密接する。このようにして、エラストマー層から電気伝導性コアへの電荷抽出が、エラストマー層の更なる導電性表面全体にわたって起こる。
【0051】
或る特定の実施形態において、電気伝導性コアは、金属製の導電体材料で形成される。より具体的には、金属製導電体コアは、ステンレス鋼である。
【0052】
或る特定の実施形態において、電気伝導性コアは、非金属製の導電体材料で形成される。より具体的には、非金属製導電体コアは、炭素繊維である。
【0053】
或る特定の実施形態において、電気伝導性コアは、シャフトを含む。
【0054】
或る特定の実施形態において、接着ロールはベース層及び接着層を備える。
【0055】
或る特定の実施形態において、接着層は電気伝導性を有する接着剤を含む。こうして、接着ロールの表面から電気接地までの電気伝導性電荷移送路を設けることによって、動作中にシステム内で生成される最大電界強度を低減することができる。
【0056】
或る特定の実施形態において、接着剤は1×10-6Sm-1~1×10-9Sm-1の電気伝導率を有する。
【0057】
或る特定の実施形態において、接着剤はシリコーンフリー接着剤である。
【0058】
或る特定の実施形態において、ベース層は紙基材(paper substrate)である。こうして、動作中にシステム内で生成される、静電気(static electricity)、したがって、最大電界強度が低減される。なぜならば、接着ロールの紙ベース層及び接触クリーニングローラーのエラストマーが、接触クリーニングローラーのエラストマー並びに例えば他の接着ロールのためのシリコーン接着剤層及び/又はポリマーフィルムベース層に比べて、摩擦帯電列(triboelectric series)内で互いにずっと近いからである。
【0059】
或る特定の実施形態において、システムは、紙ベース層及び電気伝導性を有する接着剤を有する接着ロール及びバルク導電性を有するエラストマーローラーを備える。こうして、接触クリーニングローラーの材料と接着ロールの材料との間の小さい摩擦帯電効果により、また同様に、システムの動作中に生成される電荷を、接触クリーニングローラー及び接着ロールから輸送することができるため、動作中にシステム内で生成される最大電界強度は制限される。
【0060】
或る特定の実施形態において、システムは、動作中にシステム内で生成される電荷を電気接地に対して除去するように構成される電荷輸送を提供する手段を備える。こうして、システムは、生成される電荷を中和させることなく及び/又はイオンをシステム内に及び/又は基板上に提供することなく、クリーニングされる基板内の潜在的欠陥を低減する。
【0061】
或る特定の実施形態において、電荷輸送を提供する手段は、接触クリーニングローラー及び/又は接着ロールから電気接地までの電荷移送路を提供するために配置された電荷輸送要素を含む。
【0062】
接触クリーニングローラーが、バルク導電性(例えば、電気伝導性)を有するエラストマー層及び電気伝導性コアを備え、電気伝導性コアが、エラストマー層を支持し、接触クリーニングローラーから電気接地までの電荷輸送用の導電性通路を提供するように構成される或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は、電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合する。
【0063】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は、接触クリーニングローラーの電気伝導性コアと同軸であるように配置される。
【0064】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は、電荷輸送要素を保持するハウジングによって電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される。
【0065】
或る特定の実施形態において、ハウジングはスピゴットを含む。
【0066】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は電気伝導性材料で形成される。
【0067】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は金属製である。
【0068】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素はステンレス鋼から形成される。
【0069】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は金めっき鋼から形成される。
【0070】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素はピンを含む。
【0071】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は、ピン、及び、ピンを接触クリーニングローラーの外方に付勢するように構成される弾性付勢手段を含む。こうして、ピンは、ローラーが回転するときに、ピンの少なくとも一端がコアの外に突出するような伸長位置に保持される。さらに、ピンの長さ及び弾性付勢手段の伸長部は、ピンの突出端が、適切な電気接地要素との接触を維持するように適切に配置されることを確実にするために修正することができる。
【0072】
或る特定の実施形態において、弾性付勢手段はばね機構である。
【0073】
或る特定の実施形態において、システム内の電界は、電荷輸送要素を通してのみ、システムから除去(移送、抽出)される。
【0074】
或る特定の実施形態において、イオン化エネルギーは、システムの動作中にシステム及び/又は基板に入力されない。
【0075】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムは、電気接地要素を備える。
【0076】
或る特定の実施形態において、電気接地要素は平面である。
【0077】
或る特定の実施形態において、電気接地要素は、接触クリーニングローラーの端に位置する。より具体的には、電気接地要素は、接触クリーニングローラーの長手方向軸を含む平面に垂直な平面内に位置する。
【0078】
或る特定の実施形態において、電気接地要素は電気伝導性材料で形成される。より具体的には、電気接地要素は金属である。更により具体的には、電気接地要素はステンレス鋼で形成される。こうして、接地要素は接地への電気経路を提供する。
【0079】
或る特定の実施形態において、システムからの電荷移送路は、電荷輸送要素及び電気接地要素を含む。
【0080】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は電気接地要素と接触状態になるよう押しやられる。
【0081】
或る特定の実施形態において、弾性付勢手段は、電荷抽出要素を電気接地要素と接触するように押しやる(urge)ために構成され位置する。
【0082】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムはハウジングを備える。より具体的には、ハウジングは、少なくとも接触クリーニングローラー及び接着ロールを入れる(収容する、囲む、閉囲する)。すなわち、少なくとも接触クリーニングローラー及び接着ロールはハウジング内に配設される。
【0083】
或る特定の実施形態において、電荷輸送を提供する手段は、ハウジングによって画定された空間内に配設される。
【0084】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素はハウジングによって画定される空間内にある。
【0085】
或る特定の実施形態において、本発明の一態様による電気接地要素及び少なくとも1つの接触クリーニングローラーはハウジング内に取り付けられる。より具体的には、電気接地要素はハウジング内に取り付けられ、少なくとも1つの接触クリーニングローラーはハウジングに取り付けられ、それにより、電荷抽出要素は、電気接地要素と接触する(電気接地要素との電荷抽出通路を形成する)。
【0086】
或る特定の実施形態において、動作中にシステム内で生成される静電界を測定するために動作可能であり位置する少なくとも1つのセンサーは、ハウジングによって画定された空間内に配設される。
【0087】
或る特定の実施形態において、ハウジング内の少なくとも1つのセンサーによって測定される最大電界は300ボルト未満である。
【0088】
或る特定の実施形態において、動作中にシステム内で生成される最大電界強度は200ボルトである。より具体的には、動作中にシステム内で生成される最大電界強度は100ボルトである。
【0089】
或る特定の実施形態において、動作中にシステム内で生成される最大電界強度は30ボルトである。
【0090】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムは、複数の接触クリーニングローラーを備える。
【0091】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムは、それぞれが、システムの接触クリーニングローラーの表面からデブリを除去するために位置し動作可能である複数の接着ロールを備える。
【0092】
本発明の一態様によれば、バルク導電性(例えば、電気伝導性)を有するエラストマー層を備えるクリーニング表面アセンブリと、クリーニング表面アセンブリを支持し、クリーニング表面アセンブリからの電荷抽出のための導電性通路を提供するように構成される電気伝導性コアと、電気伝導性コアからの電荷移送路を提供するために配置された電荷輸送要素とを備える接触クリーニングローラーが提供される。
【0093】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は、電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される。こうして、接触クリーニングローラーは永久的に電気接地され、静電気は、スタティックバー等の、電荷を中和する更なる手段を設ける必要なしで、アセンブリから輸送されることになる。さらに、きわめて重要なクリーニング表面上のいかなる静電気蓄積も、クリーニング性能を損なうことになる摩耗又は損傷のリスクを普通ならもたらすことになる表面に対する物理的接触の必要性なしで、クリーニング表面から輸送される。
【0094】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素は、電荷輸送要素を保持するハウジングによって電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される。こうして、ハウジングは、電気伝導性コアの端に保持され、次に、電荷輸送要素は、ハウジング内に保持され、ハウジング及びコアから外方に突出する。
【0095】
或る特定の実施形態において、ハウジングはスピゴットを含む。或る特定の実施形態において、ハウジングは、電荷輸送要素に結合した弾性付勢手段に係合及び係脱するように適合されるスピゴットを含む。或る特定の実施形態において、スピゴットは、電気伝導性コア、典型的には電気伝導性コアの端に挿入することができる。こうして、電荷輸送要素は、電気伝導性コアの端でスピゴットによって保持され、コアから外方に突出することができる。
【0096】
或る特定の実施形態において、ハウジングはコアと一体である。
【0097】
或る特定の実施形態において、弾性付勢手段はばね機構である。
【0098】
或る特定の実施形態において、ばね機構は、電気伝導性コアと同軸であるように配置される。
【0099】
或る特定の実施形態において、ばね機構は、ハウジング(例えば、スピゴット)内のばねコンタクトレセプタクルに収納される。或る特定の実施形態において、ばねコンタクトレセプタクルは(電気)伝導性材料で被覆された表面を有する。より具体的には、導電性材料は金めっきである。
【0100】
或る特定の実施形態において、電気伝導性コアはシャフトを含む。こうして、シャフトは、接触クリーニング装置のハウジング上に取り付けることができ、ローラーが装置のハウジングに対して回転することを可能にする。
【0101】
或る特定の実施形態において、シャフトは中空である。より具体的には、中空シャフトは電気伝導性材料で形成される。
【0102】
或る特定の実施形態において、電荷輸送要素(例えば、ピン)は、シャフトの端上に又は端内に取り付けられる。或る特定の実施形態において、電荷抽出要素(例えば、ピン)は、シャフトによって電気伝導性コアに、直接的に又は間接的に、機械的に且つ電気的に結合される。
【0103】
或る特定の実施形態において、シャフトは、ローラーの中空コアの端のそれぞれの端に取り付けられたスピゴットを収納する。より具体的には、各スピゴットは、接触クリーニングシステムのハウジングに結合するための据え付け台(mounting)を備えることができる。据え付け台は、接触クリーニングローラーがシステムのハウジングに取り付けられると、ハウジングに対してローラーが回転することを可能にする。
【0104】
或る特定の実施形態において、1つの又はそれぞれのスピゴットは電荷輸送要素(例えば、ピン)を収納する。
【0105】
別の態様によれば、本発明は、クリーニングされる基板からデブリを除去するように構成される接触クリーニングローラー、接触クリーニングローラーの表面からデブリを除去するように構成され位置する接着ロールを備える接触クリーニングシステムを提供し、接触クリーニングローラーは本発明の態様によるローラーであり、さらに、動作中にシステム内で生成される最大電界強度は300ボルトである。
【0106】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムはイオン化バーを備えない。本発明のシステムは、接触クリーニングプロセス中に生成される静電荷を除去(低減)するイオン化バーの存在を必要としない。本発明の接触クリーニングシステムは、接触クリーニングローラーの出口及び/又は入口におけるイオン化バーについての必要なしで、低静電気システムである要件を満たす。
【0107】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して以降で更に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】本発明の実施形態による接触クリーニングシステムの概略側面図である。
【
図2】電気接地要素と接触している本発明の一実施形態による接触クリーニングローラーを備える、本発明の一実施形態による接触クリーニングシステムの概略表現である。
【
図3】線A-Aに沿って切り取られた
図2の接触クリーニングシステムの概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による接触クリーニングローラーを備える、本発明の実施形態による接触クリーニングシステムの概略表現であり、電気接地要素は接触クリーニングローラーから切り離されている。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1は、本発明の実施形態による接触クリーニングシステムの概略側面図である。接触クリーニングシステム1は、接触クリーニングローラー2及び接着ローラー3を備え、これらのローラーは、クリーニングされる複数の基板5が保持されるコンベヤ4上に取り付けられる。接触クリーニングローラー2は、細長く、概ね円筒形状であり、図の平面に対して垂直な軸を有するホルダー(図示せず)上に取り付けられ、その軸の周りに接触クリーニングローラー2が自由に回転する。接触クリーニングローラー2は、電気伝導性シャフトを囲むシリコーンエラストマー層を備える。接触クリーニングローラー2の特定の構造は以下でより詳細に述べられる。接着ローラー3は、概ね円筒形状であり、電気伝導性を有する接着剤が存在する表面を有する本体を備え、同様に、図の平面に対して垂直で且つ接触クリーニングローラー2の軸に対して平行な軸を有するホルダー(図示せず)上に取り付けられ、その軸の周りに接着ローラー3が自由に回転する。接着ローラー3は、紙ベースと、ベース層上に接着剤とを備え、接着剤は電気伝導性を有する。接触クリーニングローラー2及び接着ローラー3は、接触クリーニングローラー2の時計回りの回転運動が接着ローラー3の反時計回りの回転運動をもたらす、及びその逆であるように、互いに接触するようにしてハウジング25a、25b内に取り付けられる。接触クリーニングローラー2と接着ローラー3とを接触させる必要性は、以下の使用の記載から明らかになる。また、接触クリーニングローラー2は、基板5がコンベヤ4の軸の下に位置するコンベヤ上を通過する際に、クリーニングされる基板5の表面に接触することが可能であるように取り付けられる。
【0110】
接触クリーニングローラー2及び接着ロール3は、互いに回転するので、接触クリーニングローラー2及び接着ロール3の材料は、摩擦帯電列内で十分に近く、それにより、動作時にシステム内で生成される最大電界強度が300ボルトである。示す実施形態において、接着ロールは、紙ベース及び電気伝導性を有するシリコーンフリー接着剤を有するシート状ロールで形成され、接触クリーニングローラー2は、単一壁カーボンナノチューブ等の導電性改質剤の相互接続されたネットワークを備えるエラストマー層を有し、したがって、エラストマー層にバルク導電性を与える。こうして、接触クリーニングシステム1の動作中に生成される最大電界強度は1ボルト~300ボルトである。
【0111】
クリーニングされる基板5は、以下のように処理される。基板5は、
図1において矢印Aによって示されるように右から左に移動するコンベヤ4の上面6に位置する。クリーニングされる基板5は、矢印Bによって示されるように時計回り方向に回転する接触クリーニングローラー2の下を通る。接触クリーニングローラー2に接触する前に、基板5の上面は、ごみ等の除去が必要なデブリ7によって覆われている。接触クリーニングローラー2は、基板5の上面に接触し、除去メカニズムによってデブリ7を除去する。ここでは、接触クリーニングローラー2を形成するのに用いられる材料の固有の極性により、デブリ7を引き寄せ、接触クリーニングローラー2の表面に付着させる。接触クリーニングローラー2の表面とデブリ7との間の相対的な引力は、デブリ7と基板5の表面との間の引力よりも大きいため、デブリ7が除去される。ここできれいになった基板5は、引き続き、コンベヤ4に沿って除去ステーション(図示せず)に向かい、コンベヤの下面8は、ループを形成しながら、矢印Dによって示されるように、
図1における左から右の方向に戻る。接触クリーニングローラー2をクリーニングするために、矢印Cによって示されるように反時計回り方向に回転する接着ローラーは、接触クリーニングローラー2の表面に接触する。これに関して、デブリ7と接着ローラー3の表面上に存在する接着剤との間の接着力は、デブリ7を接触クリーニングローラー2の表面に保持する接着力よりも大きいため、デブリが除去される。そして、接触クリーニングローラー3が回転し、次にクリーニングされる基板5のためにきれいな表面を呈する。
【0112】
図2は、本発明の一実施形態による接触クリーニングシステム100を示す。接触クリーニングシステム100は、
図1の接触クリーニングシステム1において接触クリーニングローラー2として使用することができる接触クリーニングローラー102を備える。
【0113】
接触クリーニングローラー102は、導電性表面を有するシリコーンエラストマー層110、並びに、電気伝導性表面及びそれを貫通するボアを有する中空コア(
図3、
図112を参照されたい)を備える、細長く概ね円筒形状である。コアの電気伝導性表面の外側表面は、その長さに沿ってシリコーンエラストマー層110の内側表面と機械的且つ電気的に接触している。こうして、コア及びコアと接触しているシリコーンエラストマー層の表面全体は電荷経路を提供する。
【0114】
エラストマー層110及びコア112は、接触クリーニングローラー102がその周りに自由に回転する、線CAで示す共通軸を共有する。スピゴット118、118bは、コア112の各端に取り付けられ、各端に据え付け台116、116bを提供する。据え付け台116、116bは、据え付け台116、116b、したがって、クリーニングローラー102が軸CAの周りに回転することを可能にする、システム100のハウジング(図示せず)に取り付けることができる。各スピゴット118、118bは、ステンレス鋼(又はアルミニウム)導電性材料で形成され、コア112の電気伝導性表面と機械的且つ電気的に接触するとともに電気伝導性表面に当接する。スピゴット118は、金めっきしたステンレス鋼電荷抽出要素であるピン120を、その表面が金めっきされている凹所122内に保持して、コア112の表面から、スピゴット118に、凹所122の表面に、そしてピン120内への電荷移送を支援する。ピン120は、ステンレス鋼プレートとして構成される接地要素124に向かってスピゴット118の外方にピン120を弾性的に付勢するために、凹所122内で、ばねで留められている(図示せず)。換言すれば、ピン120は、ピンの一端が凹所122を超えて突出し、接地要素124に接触するように配置されるように、凹所122内に閉囲された部品である。接地要素124は電気接地126と電気接触している。示す実施形態において、接地要素124は、共通軸CAに実質的に垂直である平面を有して位置決めされる。
【0115】
ピン120は、据え付け台116を通してスピゴット118に挿入され、接地要素124に向かってまたそれから離れて、ばね(図示せず)によって共通軸CAに沿って変位可能である。こうして、接触クリーニングローラー102は、接触クリーニングシステム100内に容易に設置され、電気接地126に接続される。
【0116】
凹所122内のばね(図示せず)は、接触クリーニングローラー102が回転している間にピン120が接地要素124と機械的且つ電気的に接触する状態に押しやられるように、ピン120がコア112の外方に突出する伸長位置に保持されるように、接触クリーニングローラー102の外方にピン120を付勢するように構成される。こうして、接触クリーニングローラーが設置されると、電荷抽出経路が、エラストマー層110の表面から、電気伝導性コア112に入り、金属製スピゴット118及び凹所122の金めっきした表面に入り、金属製ピン120に入り、ステンレス鋼接地要素124に入り、そして接地126まで永久的に存在する。こうして、接触クリーニングローラー102の回転及びクリーニングされる基板(図示せず)とのその接触によって、接触クリーニングプロセス中に生成される静電荷は、接触クリーニングシステム100を通して接地126に対して散逸される。
【0117】
設置されると、この配置構成において、接地126に対する機械的且つ電気的な永久的接触によって、いずれの静電荷もエラストマー層110から自動的に散逸することになることも認識されるであろう。接触クリーニングシステム100から接地126までの電荷抽出経路は、接触クリーニングローラー102と接地要素124との間でわずかな相対的移動も容認し、静電気散逸は、機械的且つ電気的な接触が維持される限り、コンポーネント特徴部の精密な位置決めに依存しない。
【0118】
さらに、万一任意の部品が使用中にわずかに摩耗する又は位置ずれする場合、ピンの弾性的付勢は、電気的且つ機械的な接触が、電荷抽出経路を乱すことなく維持されることを確実にする。
【0119】
エラストマー層110内に単一壁カーボンナノチューブ(図示せず)のネットワークを設けることは層110がバルク電気伝導性を有することを確実にし、それは、次に、接地126までの電荷抽出通路がローラー102によって提供されることを確実にする。
【0120】
図3に最もよく見られるように、据え付け台116を含むスピゴット118は、スピゴット118を電気伝導性コア112の端に挿入することによってコア112に結合される。スピゴット118は、共通軸CAと同軸であり、スピゴット118の長さを通して部分的に延在する凹所122を有する。適切に、スピゴット118はアルミニウム又はステンレス鋼等の導電性材料から形成される。
【0121】
ピン120及び付勢ばね(図示せず)は、凹所(例えば、レセプタクル)122内に位置し、凹所122を囲む据え付け台116及びスピゴットの内側表面と機械的且つ電気的に接触している。
【0122】
接触ピン120は、凹所122に挿入され、接地要素124と電気的且つ機械的に接触するように据え付け台116の外方に突出する。適切に、接触ピン120は、凹所122内でばね機構(図示せず)によって囲まれる。接触ピン120及び凹所122の表面はそれぞれ、金めっきされる。
【0123】
接触クリーニングローラー102が使用中である(すなわち、回転運動中であり且つクリーニングされる基板5と接触している)とき、静電荷はエラストマー層110の表面上に蓄積する。単一壁カーボンナノチューブを備え、バルク導電性を有する層110は、エラストマー層110の外側表面からコア112まで、コア112からスピゴット118及び据え付け台116及び凹所122までの導電性通路を提供する。弾性付勢手段が、接触ピン120をローラー102の外方に付勢して、接地要素124と機械的且つ電気的に接触するように構成されると、静電荷は、導電性通路内で、スピゴット118、据え付け台116、及び凹所122の表面から接触ピン120を通して接地要素124上にそして電気接地126内に方向付けられる。本発明のこの実施形態において、ローラー102が使用されると、エラストマー層110の表面からの導電性通路は、電気接地126までに、(電荷散逸の順序で)エラストマー層110、コア112、スピゴット118、凹所122の表面及び据え付け台116、接触ピン120、接地要素124を含む。これの全体の効果は、ローラー102の外側表面から電気接地126に向かって方向付けられる静電荷の散逸である。
【0124】
図4は、エラストマー層110の外側表面と接地126との間の導電性通路が、接触ピン120を接地要素124から離すことによって切り離されるときの接触クリーニングシステム100を示す。
図4において、接触ピン120は接地要素124と機械的又は電気的に接触していない。この構成は、ローラー102が、交換されるか又はそうでなければシステムから取り外される必要があるときに有用である。
【0125】
接触クリーニングシステム1、100の種々の修正が想定される。例えば、更なる接触クリーニングローラー102及び関連する接着ローラーを、基板5の対向する側面をクリーニングするために設けることができる。そのような実施形態において、接触クリーニングローラー及び関連する接着ローラーは、コンベヤ4(
図1)の両側に位置決めされることになる。
【0126】
更なる接触クリーニングローラー102及び関連する接着ローラーを、コンベヤ4の一方の側又は両側に離間した関係で設けることができる。こうして、更なる片面及び/又は両面クリーニングを提供することができる。
【0127】
接触ピン、接地要素、及びスピゴットは任意の適切な導電性材料から形成することができる。アルミニウム又はステンレス鋼等の金属導体は、クリーンな作業環境において好ましい。なぜならば、金属導体は、容易にクリーニングされ、且つ、劣化しないか又はシステムの使用中に摩擦力が生成されるときにデブリを生成しないからである。
【0128】
或る特定の実施形態において、接触クリーニングシステムは、接触クリーニングローラーの両端に電荷抽出通路を備えることができる。そのようなシステムは、それぞれが電気接地要素と接触するように押しやられる電荷抽出要素(例えば、ピン)をローラーの両端に有することになり、電気接地要素は、次に、電気接地(電気アース)に電気接続される。
【0129】
或る特定の実施形態において、スピゴットは、コア内にハウジングを一体にすることによって置き換えることができる。例えば、環状壁又は別の適切な特徴部が、弾性付勢手段の内側端を支持するコアの内部表面上に設けることができる。コアと弾性付勢手段との間の機械的且つ電気的接触を提供する限り、また、ピン等の電荷抽出要素をコアから外方に付勢する限り、任意の適切な特徴部を選択することができる。
【0130】
或る特定の実施形態において、電荷抽出要素は、電気接地要素から突出することができる。この配置構成において、電荷抽出要素は、適切な機械的且つ電気的接触を提供するとともに、電荷移送通路を維持するために、コア内に若しくはコアに取り付けられた適切なハウジング内に収納されるように、又は同様に、コア内に配置された任意の他の適切な凹所に収納されるように延在することができる。
【0131】
本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、「備える」及び「含む」という用語並びにそれらの語尾変化形は、「~を含むが~に限定されるものではない」ことを意味し、他の成分、付加物、コンポーネント、完全体又はステップを排除することを意図していない(排除しない)。本明細書の説明及び特許請求の範囲全体を通して、単数形のものは、文脈上別の解釈が必要とされていない限り、複数形のものを含む。特に、個数が指定されていない場合、本明細書は、文脈上別の解釈が必要とされていない限り、単数だけでなく複数も考慮されていると理解されるべきである。
【0132】
本発明の特定の態様、実施形態又は例とともに説明した特徴、完全体、特性、合成物、化学成分又はグループは、本明細書で説明した他の任意の態様、実施形態又は例と矛盾しない限り、それらに適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された特徴の全て、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの全ては、そのような特徴及び/又はステップのうちの少なくともいくつかが互いに矛盾する組み合わせを除いて、任意の組み合わせに結合することができる。本発明は、上記のいずれの実施形態の詳細にも限定されるものではない。本発明は、本明細書(任意の添付の請求項、要約書及び図面を含む)に開示された特徴のうちの任意の新規の1つ若しくは任意の新規の組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップのうちの任意の新規の1つ若しくは任意の新規の組み合わせにも及ぶ。
なお、本開示には以下の態様も含まれる。
〔態様1〕
クリーニングされる基板からデブリを除去するために位置し動作可能である接触クリーニングローラーと、該接触クリーニングローラーの表面からデブリを除去するために位置し動作可能である接着ロールとを備える接触クリーニングシステムにおいて、動作中に該システム内で生成される最大電界強度が300ボルトである接触クリーニングシステム。
〔態様2〕
動作時に前記システム内で生成される前記電界強度を測定するために動作可能で位置する少なくとも1つのセンサーを備える態様1に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様3〕
前記接触クリーニングローラーの材料及び前記接着ロールの材料は、前記接触クリーニングローラーと前記接着ロールとの間の摩擦帯電効果を最小にするようなものである態様1又は2に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様4〕
前記接触クリーニングローラーは、バルク導電性を有するエラストマーローラーである態様1~3の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様5〕
前記接着ロールは電気伝導性を有する接着剤を備える態様1~4の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様6〕
電荷輸送を提供する手段を備える態様1~5の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様7〕
電荷輸送を提供する前記手段は、前記接触クリーニングローラー及び/又は前記接着ロールから電気接地までの電荷移送路を提供するために配置された電荷輸送要素を含む態様6に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様8〕
前記システムの動作中に生成される電界は電荷輸送によってのみ除去される態様1~7の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様9〕
イオン化エネルギーは、動作中に前記システムに入力されない態様1~8の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様10〕
前記接触クリーニングローラーは、バルク導電性(例えば、電気伝導性)を有するエラストマー層及び電気伝導性コアを備え、該電気伝導性コアは、前記エラストマー層を支持し、前記接触クリーニングローラーから電気接地までの電荷輸送用の導電性通路を提供するように構成される態様1~9の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様11〕
前記電荷輸送要素は、前記電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される態様6~9の何れか1つに従属する場合の態様10に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様12〕
前記電荷輸送要素は、該電荷抽出要素を保持するハウジングによって前記電気伝導性コアに機械的に且つ電気的に結合される態様11に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様13〕
前記ハウジングはスピゴットを含む態様12に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様14〕
前記電荷輸送要素は電気伝導性材料で形成される態様7~13の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様15〕
前記電荷輸送要素は金属製である態様14に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様16〕
前記電荷輸送要素は、ピン、及び、該ピンを前記接触クリーニングローラーの外方に付勢するように構成される弾性付勢手段を含む態様7~15の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様17〕
前記システム内の電界は、前記電荷輸送要素を通してのみ、前記システムから除去(移送、抽出)される態様10~16の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様18〕
電気接地要素を備える態様1~17の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様19〕
前記電気接地要素は平面である態様18に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様20〕
前記システムからの電荷移送路は、前記電荷輸送要素及び前記電気接地要素を含む態様18又は19に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様21〕
前記電荷輸送要素は前記電気接地要素と接触状態になるよう押しやられる態様18~20の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様22〕
前記接触クリーニングローラーは、導電性要素を備えるエラストマー層を備える態様1~21の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様23〕
ハウジングを備え、前記接触クリーニングローラー及び前記接着ロールは前記ハウジング内に配設される態様1~22の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様24〕
電荷輸送を提供する前記手段は前記ハウジング内に配設される態様23に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様25〕
前記電荷輸送要素は前記ハウジングによって画定される空間内にある態様23又は24に記載の接触クリーニングシステム。
〔態様26〕
少なくとも1つのセンサーを備え、前記ハウジング内の前記少なくとも1つのセンサーによって測定される最大電界は300ボルト未満である態様23~25の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔態様27〕
複数の接触クリーニングローラーを備える態様1~26の何れか1つに記載の接触クリーニングシステム。
〔符号の説明〕
【符号の説明】
【0133】
1 接触クリーニングシステム
2 接触クリーニングローラー
3 接着ローラー
4 コンベヤ
5 基板
6 上面
7 デブリ
8 下面
25a ハウジング
25b ハウジング
100 接触クリーニングシステム
102 接触クリーニングローラー
102 クリーニングローラー
110 シリコーンエラストマー層
112 電気伝導性コア
116 据え付け台台
116b 据え付け台台
118 金属製スピゴット
118b スピゴット
120 接触ピン
122 凹所
124 接地要素
126 電気接地