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特許7459084追従走行時における車両の横方向制御のための方法および制御ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】追従走行時における車両の横方向制御のための方法および制御ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/165 20200101AFI20240325BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240325BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240325BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20240325BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20240325BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240325BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20240325BHJP
【FI】
B60W30/165
B60W60/00
G08G1/16 C
B62D6/00
B62D101:00
B62D113:00
B62D119:00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021522390
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2019078806
(87)【国際公開番号】W WO2020083964
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102018126832.7
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592245937
【氏名又は名称】バイエリッシェ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Petuelring 130, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ニーテン
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト ヴァイザー
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン シュテュービング
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132923(JP,A)
【文献】特開2004-206275(JP,A)
【文献】特開平10-166895(JP,A)
【文献】国際公開第2017/184052(WO,A1)
【文献】特開2010-188854(JP,A)
【文献】特開2004-231096(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
B62D 6/00
B62D 101/00
B62D 113/00
B62D 119/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(101)のための制御ユニット(201)であって、前記自車両(101)は、横方向制御アクチュエータ(203)を含み、前記横方向制御アクチュエータ(203)は、前方車両の走行軌道に基づいて実施される追従走行時に、前記自車両(101)の横方向制御を少なくとも部分的に自動的に実施するように構成されており、
前記制御ユニット(201)は、
・前記前方車両の車線変更を検出すると、追従走行のために必要とされる前記自車両(101)の前記横方向制御アクチュエータ(203)による横方向制御操作を検出し、
・前記自車両(101)の運転者に関連する運転者情報を特定し、前記運転者情報は、前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対してどれだけ関与しているかを示す少なくとも1つの指標を含み、
・前記横方向制御操作のために前記自車両(101)の前記横方向制御アクチュエータ(203)によって実施される介入の量を、特定された前記運転者情報に基づいて設定する、
ように構成されており、
・前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して集中的に関与していることを前記運転者情報が示している場合には、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の量が高く設定され、かつ/または、
・前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して関与していないことを前記運転者情報が示している場合には、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の量が低く設定される、
制御ユニット(201)。
【請求項2】
・前記運転者情報は、前記自車両(101)の操舵に対する前記運転者の操舵寄与を含み、
・高い操舵寄与は、前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の実施に対して集中的に関与していることを示す指標であり、
・低い操舵寄与は、前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の実施に対して関与していないことを示す指標である、
請求項1記載の制御ユニット(201)。
【請求項3】
・前記追従走行を実施するための前記横方向制御操作に関して、操舵トルクおよび操舵角の合計値を提供すべきであり、
・前記操舵寄与は、前記自車両(101)の前記運転者による前記自車両(101)の操舵手段の操作の結果として提供される操舵トルクおよび操舵角の合計値の前記運転者の寄与の割合を示す、
請求項2記載の制御ユニット(201)。
【請求項4】
前記操舵手段は、ステアリングホイールである、
請求項3記載の制御ユニット(201)。
【請求項5】
前記制御ユニット(201)は、
・前記追従走行のための前記横方向制御操作を実施するために必要とされる、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の目標量を特定し、
・前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して関与していないことを前記運転者情報が示している場合には、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の実際の量を、前記目標量よりも低く設定し、かつ/または、
・前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して集中的に関与していることを前記運転者情報が示している場合には、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の実際の量として、前記目標量を設定する、
ように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の制御ユニット(201)。
【請求項6】
・前記横方向制御アクチュエータ(203)は、前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の量に影響を与える1つまたは複数の動作パラメータ(310)を有し、
・前記制御ユニット(201)は、前記1つまたは複数の動作パラメータ(310)の最大可能値(321,323)を、前記運転者情報に基づいて設定するように構成されており、かつ/または、
・前記制御ユニット(201)は、前記1つまたは複数の動作パラメータ(310)の時間勾配(330)の最大可能値(321,323)を、前記運転者情報に基づいて設定するように構成されており、
・前記制御ユニット(201)は、前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して関与していないことを前記運転者情報が示している場合に、前記1つまたは複数の動作パラメータ(310)および/または前記1つまたは複数の動作パラメータ(310)の前記時間勾配(330)の最大可能値(321,323)を絶対値的に低減するように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の制御ユニット(201)。
【請求項7】
前記1つまたは複数の動作パラメータ(310)は、
・前記自車両(101)の操舵装置における、前記横方向制御アクチュエータ(203)によって引き起こされる操舵トルク、および/または、
・前記横方向制御アクチュエータ(203)によって引き起こされる前記自車両(101)の前記操舵装置の操舵角
を含む、
請求項6記載の制御ユニット(201)。
【請求項8】
前記制御ユニット(201)は、車道(110)上の前記自車両(101)の自動化された車線誘導の枠内で、
・前記自車両(101)の周囲に関連するセンサデータを特定し、
・前記自動化された車線誘導をもはや前記車道(110)の車線標示に基づいて実施することは不可能であるが、少なくとも一時的に、前記センサデータによって示される前方車両(102)に基づいて追従走行として実施することが可能であるということを、前記センサデータに基づいて決定する、
ように構成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の制御ユニット(201)。
【請求項9】
・前記追従走行は、SAEレベル2に準拠した運転者支援システムの枠内で実施され、かつ/または、
・前記追従走行は、前記自車両(101)を少なくとも一時的に自動的に車道(110)の車線に沿って誘導するように構成された車線誘導支援の枠内で実施され、
・前記追従走行は、前記自車両(101)の前方を走行する前方車両(102)の走行軌道(302)に基づいて実施され、かつ/または、
・前記追従走行は、部分的に自動的に実施される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の制御ユニット(201)。
【請求項10】
前方車両の走行軌道に基づいて実施される追従走行時における自車両(101)の少なくとも部分自動化された横方向制御のための方法(400)であって、前記方法(400)は、
・前記自車両(101)の制御ユニット(201)によって、前記前方車両の車線変更を検出すると、前記追従走行のために必要とされる前記自車両(101)の横方向制御アクチュエータ(203)による横方向制御操作を識別するステップ(401)と、
・前記制御ユニット(201)によって、前記自車両(101)の運転者に関連する運転者情報を特定するステップ(402)であって、前記運転者情報は、前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対してどれだけ関与しているかを示す少なくとも1つの指標を含むステップ(402)と、
・前記制御ユニット(201)によって、前記横方向制御操作のために前記自車両(101)の横方向制御アクチュエータ(203)によって実施される介入の量を、特定された前記運転者情報に基づいて設定するステップ(403)と、
を含み、
・前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して集中的に関与していることを前記運転者情報が示している場合には、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の量が高く設定され、かつ/または、
・前記運転者が前記自車両(101)の前記横方向制御の監視および/または実施に対して関与していないことを前記運転者情報が示している場合には、前記横方向制御操作のための前記横方向制御アクチュエータ(203)による介入の量が低く設定される、
方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の少なくとも部分自動化された横方向制御のための方法と、対応する制御ユニットと、に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、車両の縦方向制御および/または横方向制御において車両の運転者を支援する1つまたは複数の運転車支援システム(ADAS)を有することができる。これは、とりわけいわゆるSAEレベル2のシステムとすることができ、このSAEレベル2のシステムでは、縦方向制御および/または横方向制御を車両によって自動的に提供することができるが、運転者は、車両の自動化された運転を永続的に監視する必要がある。
【0003】
例示的なADASは、車両を車線内に自動的に維持するために、車両の縦方向制御および横方向制御が自動的に車両によって提供されるような操舵支援および車線誘導支援である。車両は、車両の1つまたは複数の周囲センサのセンサデータに基づいて車線標示を識別し、識別された車線標示に基づいて車両を誘導するように構成可能である。さらに、車両は、センサデータに基づいて前方車両を識別し、車両が前方車両に追従するように車両を誘導するように構成可能である。このような追従走行は、とりわけ、(例えば、交通量が多いこと、および/または車道が汚染されていることに起因して)車線標示を一時的に識別できない場合に実施可能である。このようにして、(例えば、走行速度が100km/h以下の比較的低速である場合における)操舵支援および車線誘導支援の可用性を高めることができる。
【0004】
追従走行によって操舵支援および車線誘導支援が動作される場合には、車両の運転者が、支援されている運転を十分に監視していない場合、かつ前方車両が車線変更を実施する場合に、車両の側面衝突が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、(SAEレベル2の)運転者支援システム、とりわけ操舵支援および車線誘導支援の安全性および/または可用性を高めるという技術的課題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、それぞれの独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、とりわけ従属請求項に記載されている。独立請求項を引用する従属請求項の追加的な特徴は、独立請求項の特徴がなくても、または独立請求項の特徴の部分集合のみとの組み合わせでも、独立請求項の全ての特徴から独立した独自の発明を形成することができ、この発明は、独立請求項、分割出願、または後続出願の対象となり得るということを述べておく。このことは、本明細書に記載されている技術的教示にも同様に当てはまり、この技術的教示も、独立請求項の特徴から独立した発明を形成することができる。
【0007】
1つの態様によれば、自車両のための制御ユニットであって、自車両は、横方向制御アクチュエータ(例えば、電気的な操舵アクチュエータ)を含み、横方向制御アクチュエータは、追従走行時に、自車両の横方向制御を少なくとも部分的に自動的に実施するように構成されている、制御ユニットが記載されている。追従走行は、SAEレベル2に準拠した運転者支援システムの枠内で実施可能である。代替的または追加的に、追従走行は、自車両を少なくとも一時的に自動的に車道の車線に沿って誘導するように構成された車線誘導支援の枠内で実施可能である。追従走行は、(場合によっては専ら、または排他的に)自車両の前方を走行する前方車両の走行軌道に基づいて実施可能である。この目的で、自車両は、前方車両に関連するセンサデータを検出するために、1つまたは複数の周囲センサ(例えば、レーダセンサ、画像カメラ、超音波センサ、LIDARセンサ等)を含むことができる。
【0008】
とりわけ、制御ユニットは、車道上の自車両の自動化された車線誘導の枠内で、自車両の周囲に関連するセンサデータを特定するように構成可能である。さらに、自動化された車線誘導をもはや車道の車線標示に基づいて実施することは不可能であるが、少なくとも一時的に、(場合によっては専ら)センサデータによって示される前方車両に基づいて追従走行として実施することが可能であるということを、センサデータに基づいて決定することができる。本明細書に記載されている態様は、自車両のそのような(場合によっては純粋な)追従走行に関連することができる。
【0009】
制御ユニットは、追従走行のために必要とされる自車両の横方向制御操作を検出するように構成可能である。換言すれば、追従走行のために横方向制御アクチュエータによる介入が必要であることを識別することができる(例えば、前方車両の軌道に沿って自車両を誘導するために)。さらに、横方向制御アクチュエータの所要の介入が、事前定義された介入閾値に到達していること、またはそれを上回っていること(ひいては、自車両の走行方向の顕著な変化につながること)を識別することができる。
【0010】
さらに、制御ユニットは、自車両の運転者に関連する運転者情報を特定するように構成されている。運転者情報は、運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してどれだけ関与しているかを示す少なくとも1つの指標を含むことができる。
【0011】
運転者情報は、とりわけ、自車両の操舵に対する(とりわけ、横方向制御操作のための操舵に対する)運転者の操舵寄与を含むことができる。例えば、自車両の運転者によって自車両の操舵または横方向制御のためにどのくらいの操舵寄与が提供されるかを、所定の期間にわたって観察することができる。これにより、自車両の操舵に対する運転者の(時間平均された)操舵寄与を(例えば、パーセントで)特定することができる。比較的高い操舵寄与は、運転者が自車両の横方向制御の実施に対して比較的集中的に関与していることを示す指標として評価可能であり、その一方で、比較的低い操舵寄与は、運転者が自車両の横方向制御の実施に対してさほど関与していないことを示す指標として評価可能である。
【0012】
(自車両を前方車両の背後へと誘導するために)追従走行を実施するための検出された横方向制御操作に関して、例えば、操舵トルクおよび/または操舵角の合計値を提供すべきであり得る。その場合、運転者の操舵寄与は、自車両の運転者による自車両の操舵手段の操作、とりわけステアリングホイールの操作の結果として提供される操舵トルクおよび/または操舵角の合計値の割合を示すことができる。
【0013】
さらに、制御ユニットは、横方向制御操作のために自車両の横方向制御アクチュエータによって自動的に実施される介入のダイナミクスを、特定された運転者情報に基づいて設定するように構成されている。運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対して比較的集中的に関与していることを運転者情報が示している場合には、横方向制御操作のための横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを比較的高く設定することができる。他方で、運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してさほど関与していないことを運転者情報が示している場合には、横方向制御操作のための横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを比較的低く設定することができる。
【0014】
横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを、特定された運転者情報に基づいて適合または設定することにより、車線誘導支援の安全性および可用性を高めることができる。さらに、このようにして、運転者と少なくとも部分自動化された運転を実施する自車両との間の協調運転方式を可能にすること、または促進することができる。
【0015】
横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを、特定された運転者情報に基づいて適合または設定することは、場合により、検出された横方向制御操作が自車両の走行方向の顕著な変化をもたらすことが以前に識別されている場合にのみ、実施可能である。換言すれば、横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを、特定された運転者情報に基づいて適合または設定することは、横方向制御操作のための横方向制御アクチュエータの予測される介入が事前定義された介入閾値以上である場合にのみ、実施可能である。そうでない場合には、横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを、運転者情報に基づいて適合または設定することを、実施しないようにすることができる。このようにして、車線誘導支援の快適性および可用性をさらに高めることができる。
【0016】
制御ユニットは、追従走行のための横方向制御操作を実施するために必要とされる、横方向制御操作のための横方向制御アクチュエータによる介入の目標ダイナミクスを特定するように構成可能である。換言すれば、追従走行を引き続き実施するために、横方向制御アクチュエータによる介入のどのくらいのダイナミクスが必要とされるかを特定することができる。
【0017】
運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してさほど関与していないことを運転者情報が示している場合には、横方向制御操作のための横方向制御アクチュエータによる介入の実際のダイナミクスを、目標ダイナミクスよりも低く設定することができる。他方で、場合により、運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対して比較的集中的に関与していることを運転者情報が示している場合には、横方向制御操作のための横方向制御アクチュエータによる介入の実際のダイナミクスとして、目標ダイナミクスを設定することができる。
【0018】
したがって、運転者の参加および/または監視の程度が比較的高いことを運転者情報が示している場合には、場合により、横方向制御操作を完全にまたはほぼ完全に自動的に実施することができる。他方で、運転者の参加および/または監視の程度が比較的低いことを運転者情報が示している場合には、横方向制御アクチュエータによって引き起こされる横方向制御操作の実施割合を、大幅に(例えば、20%、40%、または50%以上)低減することができる。このようにして、車線誘導支援の安全性および可用性をさらに高めることができる。
【0019】
横方向制御アクチュエータは、当該横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスに影響を与える1つまたは複数の動作パラメータを有することができる。1つまたは複数の動作パラメータは、例えば、自車両の操舵装置における、横方向制御アクチュエータによって引き起こされる操舵トルクを含むことができる。代替的または追加的に、1つまたは複数の動作パラメータは、横方向制御アクチュエータによって引き起こされる自車両の操舵装置の操舵角を含むことができる。
【0020】
制御ユニットは、1つまたは複数の動作パラメータの最大可能値および/または最小可能値を、運転者情報に基づいて設定するように構成可能である。制御ユニットは、とりわけ、運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してさほど関与していないことを運転者情報が示している場合に、1つまたは複数の動作パラメータの最大可能値および/または最小可能値を絶対値的に低減するように構成可能である。このようにして、横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを、効率的かつ高信頼性に適合または設定することができる。
【0021】
代替的または追加的に、制御ユニットは、1つまたは複数の動作パラメータの時間勾配および/または変化率の最大可能値および/または最小可能値を、運転者情報に基づいて設定するように構成可能である。制御ユニットは、とりわけ、運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してさほど関与していないことを運転者情報が示している場合に、1つまたは複数の動作パラメータの勾配および/または変化率の最大可能値および/または最小可能値を絶対値的に低減するように構成可能である。このようにして、横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスを、効率的かつ高信頼性に適合または設定することができる。
【0022】
制御ユニットはさらに、追従走行の枠内での横方向制御アクチュエータによる介入のダイナミクスが低減された場合、とりわけ、ダイナミクスの低減に起因して追従走行の中断が必要となった場合に、自車両の運転者に通知を出力するように構成可能である。通知の出力により、運転者が、自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してより高程度で関与するようにすることができる。このようにして、車線誘導支援の安全性と、場合によっては可用性と、をさらに高めることができる。
【0023】
さらなる態様によれば、追従走行時における自車両の少なくとも部分自動化された横方向制御のための方法が記載されている。当該方法は、追従走行のために必要とされる自車両の横方向制御操作を識別することを含む。さらに、当該方法は、自車両の運転者に関連する運転者情報を特定することであって、運転者情報は、運転者が自車両の横方向制御の監視および/または実施に対してどれだけ関与しているかを示す少なくとも1つの指標を含む、ことを含む。さらに、当該方法は、横方向制御操作のために自車両の横方向制御アクチュエータによって自動的に実施される介入のダイナミクスを、特定された運転者情報に基づいて設定することを含む。
【0024】
さらなる態様によれば、本明細書に記載されている制御ユニットを含む、(道路)自動車(とりわけ、乗用車またはトラックまたはバス)が記載されている。
【0025】
さらなる態様によれば、ソフトウェア(SW)プログラムが記載されている。SWプログラムは、プロセッサ(例えば、車両の制御ユニット)上で実施されるように、かつそれによって本明細書に記載されている方法を実施するように構成可能である。
【0026】
さらなる態様によれば、記憶媒体が記載されている。記憶媒体は、プロセッサ上で実施されるように、かつそれによって本明細書に記載されている方法を実施するように構成されたSWプログラムを含むことができる。
【0027】
既に上で説明したように、本明細書は、少なくとも部分自動化された運転に関し、とりわけ、SAEレベル2に準拠した運転者支援システムに関する。本明細書の枠内における「自動化された運転」という用語は、自動化された縦方向制御または横方向制御による運転、または自動化された縦方向制御および横方向制御による自律運転であると理解することができる。自動化された運転は、例えば、高速道路上での比較的長時間の運転、または駐車または操縦の枠内での時限的な運転であり得る。「自動化された運転」という用語は、任意の自動化レベルによる自動化された運転を含む。例示的な自動化レベルは、支援された運転、部分自動化された運転、高度自動化された運転、または完全自動化された運転である。これらの自動化レベルは、ドイツ連邦道路研究所(BASt)によって定義されている(BAStの刊行物“Forschung kompakt”第11/2012版を参照)。支援された運転の場合には、運転者が、縦方向制御または横方向制御を永続的に実施し、その一方で、システムは、所定の制限範囲内でそれぞれ他の機能を引き受ける。部分自動化された運転(TAF)の場合には、システムが、所定の期間および/または特定の状況において縦方向制御および横方向制御を引き受け、運転者は、支援された運転の場合と同様に、システムを永続的に監視する必要がある。高度自動化された運転(HAF)の場合には、システムは、運転者がシステムを永続的に監視する必要なしに、所定の期間にわたって縦方向制御および横方向制御を引き受けるが、ただし、運転者は、所定の時間内に車両の運転を引き受けることが可能でなければならない。完全自動化された運転(VAF)の場合には、システムは、特定の用途のためにあらゆる状況での運転を自動的に対処することができ、この用途では、運転者はもはや不要である。上記の4つの自動化レベルは、SAE J3016規格(SAE-Society of Automotive Engineering)のSAEレベル1~4に対応する。例えば、高度自動化された運転(HAF)は、SAE J3016規格のレベル3に相当する。さらに、SAE J3016では、最高の自動化レベルとして、BAStの定義には含まれていないSAEレベル5がさらに設けられている。SAEレベル5は、システムが全行程にわたって人間の運転者のように全ての状況に自動的に対処することができる無運転者運転に相当し、一般的に、運転者はもはや不要である。
【0028】
本明細書に記載されている方法、装置、およびシステムは、単独で使用することも、本明細書に記載されている他の方法、装置、およびシステムと組み合わせて使用することも可能であることに留意すべきである。さらに、本明細書に記載されている方法、装置、およびシステムのあらゆる態様を、多種多様な手法で互いに組み合わせることが可能である。とりわけ、特許請求の範囲に記載されている特徴を、多種多様な手法で互いに組み合わせることが可能である。
【0029】
以下では、本発明を、実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】例示的な走行状況を示す図である。
図2】自車両の例示的な構成要素を示す図である。
図3a】操舵支援および車線誘導支援による横方向ダイナミクスの例示的な適合を示す図である。
図3b】横方向制御アクチュエータの動作パラメータの例示的な適合を示す図である。
図3c】横方向制御アクチュエータの動作パラメータの時間勾配の例示的な適合を示す図である。
図4】追従走行時における自車両の横方向制御のための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
冒頭で述べたように本明細書は、(とりわけ操舵支援および車線誘導支援に関連する)車両の自動化された追従走行の安全性を高めることに関する。これに関連して、図1は、多車線式の車道110上の自車両101の例示的な走行状況を示す。自車両101は、自車両101を車道110の車線内に維持するために、自車両101を縦方向および横方向に自動的に誘導するように構成された操舵支援および車線誘導支援によって動作される。
【0032】
図2は、操舵支援および車線誘導支援を提供するための自車両101の例示的な構成要素を示す。自車両101は、自車両101の周囲に関連するセンサデータを検出するように構成された1つまたは複数の周囲センサ202を含む。例示的な周囲センサ202は、画像カメラ、レーダセンサ、超音波センサおよび/またはLIDARセンサである。自車両101の制御ユニット201は、センサデータに基づいて車道110上の少なくとも1つの車線標示を識別するように構成されている。さらに、制御ユニット201は、自車両101を現在走行中の車道110の車線内に自動的に維持するために、識別された車線標示に基づいて、自車両101の1つまたは複数の縦方向制御および/または横方向制御アクチュエータ203(例えば、駆動モータ、制動装置、および/または操舵装置)を動作させるように構成されている。
【0033】
自車両101の運転者は、操舵支援および車線誘導支援の動作中であっても、自車両101を少なくとも部分的に操舵することが可能である。例えば、自車両101を車線内に維持するためには、操舵装置の総操舵トルクおよび/または総操舵角が必要であり得る。総操舵トルクまたは総操舵角の一部は、自車両101の運転者によって(例えば、自車両101のステアリングホイールを介して)提供可能である。その場合、所要の総操舵トルクまたは所要の総操舵角の残りの残量は、自車両101の電気的な横方向制御アクチュエータまたは操舵アクチュエータ203によって自動的に提供可能である。このようにして、自車両101の運転者の協調的な操舵挙動が可能となる。操舵トルクまたは操舵角のうちの、運転者によって引き起こされる割合を、運転者の操舵寄与と呼ぶことができる。
【0034】
制御ユニット201は、1つまたは複数の周囲センサ202のセンサデータに基づいて自車両101の前方車両102を識別するように構成可能である。とりわけ、センサデータに基づいて前方車両102に対する縦方向距離を識別または特定することができる。さらに、センサデータに基づいて車道110上の1つまたは複数の車線標示を識別することができる。
【0035】
制御ユニット201は、自車両101が前方車両に対する所定の目標距離を維持するように、かつ/または、自車両101が所定の車線内に留まるように、自車両101の1つまたは複数の縦方向制御および/または横方向制御アクチュエータ203を動作させるように構成可能である。とりわけ、操舵支援および車線誘導支援を提供するために、(自車両101を所定の車線内に維持するための)自車両101の横方向制御を、識別された車線標示に基づいて実施することができる。さらに、(前方車両102に対する所定の目標距離を維持するための)自車両101の縦方向制御を、識別された前方車両に基づいて実施することができる。
【0036】
操舵支援および車線誘導支援の動作中に、(例えば、交通量が比較的多いこと、車道110が汚染されていることおよび/または車道110が摩耗していることに起因して)車道110の車線標示を少なくとも一時的に識別できないことが発生する可能性がある。それにもかかわらず、操舵支援および車線誘導支援の動作を(少なくとも一時的に)維持するために、制御ユニット201は、前方車両102に基づいて自車両101の横方向制御も実施するように構成可能である。とりわけ、少なくとも一時的に、自車両101が前方車両102の軌道を追従するように、前方車両102の(純粋な)追従走行を実施することができる。このようにして、車線識別の一時的または時限的な中断を切り抜けることができるので、操舵支援および車線誘導支援の可用性を高めることができる。このことは、例えば、走行速度が比較的低速および/または比較的中速(例えば、100km/h以下)である場合に実施可能である。
【0037】
SAEレベル2に準拠した自動化された車線誘導システム(例えば、操舵支援および車線誘導支援)は、このようにして、純粋な追従走行の可能性を提供する。この場合には、自車両101は、進路または走行軌道を決定するために自車両101が1つまたは複数の周囲センサ202のセンサデータ自体に基づいて車道110の車線標示を識別することなしに、前方車両の進路を追従する。
【0038】
純粋な追従走行では、とりわけ、同一の進行方向に複数の車線を有する多車線式の車道110上において前方車両102が車線変更を実施する場合であって、かつ自車両101の領域にある隣接する車線が1つまたは複数の他の道路利用者103によって占有されているにもかかわらず自車両101が前方車両102を追従する場合(例えば前方車両102が、例えば低速運転時または交通渋滞時に、隣接車線上の比較的小さな隙間へと移動する場合)には、側面衝突の危険が発生する可能性がある。このことは、とりわけ自車両101が、自車両101の側面周囲に関連するセンサデータを検出するように構成された周囲センサ202を有していない場合に当てはまる。
【0039】
側面衝突の危険性を低減するために、自動化された車線誘導システムの側方向ダイナミクス(すなわち、横方向ダイナミクス)を低減して、これにより、自車両101が、時間遅延を伴ってのみ、かつ/または、(前方車両102と比較して)低減されたダイナミクスを伴ってのみ、前方車両102を追従するようにすることが可能である。(純粋な)追従走行時における自車両101の側方向ダイナミクスを低減することにより、衝突を回避する操舵介入のために自車両101の運転者が利用可能な時間期間を増やすことができる。このようにして、操舵支援および車線誘導支援の安全性を高めることができる。
【0040】
図3aは、軌道302に沿った前方車両102の例示的な車線変更を示す。純粋な追従走行であれば、自車両101は、自車両101と前方車両102との間の距離を一定に維持するために、実質的に前方車両102の軌道302に相当する追従軌道301に沿って前方車両102を追従するはずである。
【0041】
追従軌道301は、図3bおよび図3cに示されているように、比較的高いダイナミクスを有する可能性がある。図3bは、追従軌道301の実施中における時間の関数として、横方向制御アクチュエータ203の動作パラメータ310の時間推移311を示す。動作パラメータ310は、例えば、操舵トルクおよび/または操舵角であり得る。図3bから見て取れるように、動作パラメータ310は、追従軌道301を実施するために(絶対値的に)比較的高い最大値311を有する。とりわけ、追従軌道301を走行するためには、絶対値的に比較的高い最大操舵トルク、および/または絶対値的に比較的高い最大操舵角が必要とされ得る。
【0042】
図3cは、追従軌道301の実施中における時間の関数として、横方向制御アクチュエータ203の動作パラメータ310の勾配または変化率330の時間推移331を示す。図3cから見て取れるように、動作パラメータ310の時間勾配330は、追従軌道301を実施するために(絶対値的に)比較的高い最大値311を有する。とりわけ、追従軌道301を走行するためには、操舵トルクおよび/または操舵角の、絶対的に比較的高い時間勾配330が必要とされ得る。
【0043】
自車両101の側方向ダイナミクスを制限するために、自車両101の電気的な横方向制御アクチュエータ203によって自動的に引き起こされる、1つまたは複数の動作パラメータ310の許容最大値323、または1つまたは複数の動作パラメータ310の時間勾配330の許容最大値323を低減することができる。例えば、自車両101の電気的な横方向制御アクチュエータ203によって最大限に提供されるまたは調節可能な操舵トルクを低減することができる。代替的または追加的に、自車両101の電気的な横方向制御アクチュエータ203によって最大限に設定されるまたは設定可能な操舵角を低減することができる。さらに、提供される操舵トルクまたは設定される操舵角の時間勾配330を低減することができる。
【0044】
自車両101の横方向制御アクチュエータ203の1つまたは複数の動作パラメータ310および/または1つまたは複数の動作パラメータ310の勾配330の可能値を制限することにより、(純粋な)追従走行時における自車両101の側方向ダイナミクスを低減することができる。図3aは、低減された側方向ダイナミクスを有する、自車両101の修正された軌道303を示す。図3bは、修正された軌道303のための動作パラメータ310の時間推移313を示す。さらに、図3cは、修正された軌道303のための動作パラメータ310の勾配330の時間推移333を示す。図3aから見て取れるように、修正された軌道303が使用される場合には、車線変更が(軌道301と比較して)より緩慢に実施されるので、自車両101の運転者は、隣接する車線上の他の車両103との間に起こり得る衝突を操舵介入によって阻止するために、より多くの時間を得ることとなる。
【0045】
しかしながら、純粋な追従走行時における自動化された車線誘導システムの側方向ダイナミクスの永続的な低下は、危機的でない走行状況(例えば、比較的大きな曲率を有する走行車線上での走行時)における自動化された車線誘導システムの可用性の低下につながる。とりわけ、純粋な追従走行の際に、側方向ダイナミクスが低減されていることに起因して、比較的小さな曲率を有する軌道301,303またはカーブだけしか自車両101によって自動的に走行することができなくなる。したがって、純粋な追従走行の際に、比較的大きな曲率を有する車道110の不変の車線内を走行すると、操舵支援および車線誘導支援の動作が中断されてしまうおそれがある。
【0046】
制御ユニット201は、自車両101の運転者が、自車両101の自動化された縦方向制御および/または横方向制御をどれだけ強力に監視しているかを示す運転者情報を特定するように構成可能である。運転者情報は、自車両101の1つまたは複数の運転者センサ204のセンサデータに基づいて特定可能である。運転者情報は、とりわけ、自車両101を操舵するために車両101の運転者によって手動で提供される操舵寄与を示すことができる。したがって、1つまたは複数の運転者センサ204は、自車両101の運転者の操舵寄与を示すセンサデータを特定するように構成された操舵センサを含むことができる。
【0047】
制御ユニット201は、(純粋な)追従走行時における自車両101の側方向ダイナミクスを、運転者情報に基づいて設定するように構成可能である。とりわけ、運転者が自車両101の走行動作に比較的強力に参与していることを運転者情報が示している場合(例えば、運転者が自車両101の操舵に対して比較的高い操舵寄与を提供している場合)には、比較的高い側方向ダイナミクスを可能にすることができる(1つまたは複数の動作パラメータ310の比較的高い最大値321,323を有する)。他方で、運転者が自車両101の走行動作にさほど参与していないことを運転者情報が示している場合(例えば、運転者が自車両101の操舵に対して比較的小さな操舵寄与しか提供していない場合)には、側方向ダイナミクスを比較的強力に制限または低減することができる(1つまたは複数の動作パラメータ310の(絶対値的に)比較的低い最大値321,323を有する)。このようにして、操舵支援および車線誘導支援の可用性および安全性を高めることができる。
【0048】
したがって、自動化された車線誘導システムを使用する場合における自車両101の運転者の運転者操舵挙動を観察することができる。その後、純粋な追従走行時における自動化された車線誘導システムのダイナミクスの低減を、運転者の操舵挙動に基づいて設定することができる。
【0049】
(所定の横方向制御操作に関する)運転者の操舵寄与が欠如している場合には、純粋な追従走行における自動化された車線誘導システムの側方向ダイナミクスを(場合によっては最小値まで)低減することができる。このような状況では、自車両101の運転者は、車両制御タスクを自動化された車線誘導システムに高程度で任せている(そしておそらく、比較的低水準の監視しか実施しない)と仮定することができる。
【0050】
運転者の操舵寄与が、自動化された車線誘導システム(すなわち、横方向制御アクチュエータ203)の操舵寄与と同じ方向である場合には、場合により、側方向ダイナミクスの低減を実施しなくてもよい。このような状況では、自車両101の運転者は、本来の車両制御タスクを引き受けていて、自動化された車線誘導システムを支援のために利用しているだけであると仮定することができる。
【0051】
図4は、追従走行時における自車両101の少なくとも部分自動化された横方向制御のための例示的な方法400のフローチャートを示す。追従走行は、例えば、操舵支援および/または車線誘導支援の枠内で実施可能である(例えば、車道110の車線標示に関する十分に良好なセンサデータが利用できない場合)。自車両101は、自車両101の前方を走行している前方車両102を少なくとも一時的に追従するように構成可能である。方法400は、自車両101の制御ユニット201によって実施可能である。
【0052】
方法400は、追従走行のために必要とされる自車両101の横方向制御操作を識別すること401を含む。換言すれば、追従走行のために、自車両101の横方向制御アクチュエータ203(とりわけ、電気的な操舵アクチュエータ)による介入が必要であることを識別することができる。とりわけ、所定の操舵角閾値および/または操舵トルク閾値よりも絶対値的に大きい操舵角および/または操舵トルクを必要とする操舵介入が、横方向制御アクチュエータ203によって必要とされていることを識別することができる。したがって、自車両101の顕著な方向変化を引き起こす、自車両101の所要の横方向制御操作を検出することができる。
【0053】
さらに、方法400は、自車両101の運転者に関連する運転者情報を特定すること402を含む。運転者情報は、少なくとも、運転者が自車両101の横方向制御の監視および/または実施に対してどれだけ関与しているかを示す指標を含むことができる。とりわけ、運転者情報は、自車両101の所要の操舵に対する運転者の操舵寄与が(例えば割合で)どのくらいであるかを示すことができる。さらに、運転者が自車両101の操舵手段、例えばステアリングホイールに接触しているかどうかを特定することができる。さらに、運転者の視線方向に関する情報を評価することができる。
【0054】
さらに、方法400は、横方向制御操作のために自車両101の横方向制御アクチュエータ203によって自動的に実施される介入のダイナミクスを、特定された運転者情報に基づいて設定すること403を含む。運転者が自車両101の横方向制御の監視および/または実施に対して比較的集中的に関与していることを運転者情報が示している場合、または運転者が自車両101の操舵に対して(例えば割合で)比較的高い操舵寄与を提供していることを運転者情報が示している場合には、(できるだけ正確に前方車両102を追従するために)比較的高いダイナミクスを可能にすることができる。他方で、運転者が自車両101の横方向制御の監視および/または実施に対してさほど関与していないことを運転者情報が示している場合、または運転者が自車両101の操舵に対して(例えば割合で)比較的低い操舵寄与を提供していることを運転者情報が示している場合には、(側面衝突の危険性を低減するために)比較的低いダイナミクスを可能にすることができる。
【0055】
自動化された車線誘導システムの側方向ダイナミクスの適合は、純粋な追従走行時における自車両101の側面衝突の危険性の低減をもたらす。さらに、記載されている手段によれば、SAEレベル2に準拠した自動化された車線誘導システムの協調的な使用が支援される。とりわけ、運転者が支援システムを操舵支援として利用することが可能となる。運転者は、ステアリングホイールを手で把持し、その際に自車両101の進路を指定することにより、支援システムの比較的高い支援を引き起こすことができる。他方で、運転者が車両制御タスクを自動化された車線誘導システムに比較的高程度で任せている場合(であって、かつ運転者が操舵に積極的に介入していない場合)には、自動化された車線誘導システムの側方向ダイナミクスを低減することができる。このようにして、運転者が車両制御に責任を負ったままである場合にのみ、自動化された車線誘導システムによって比較的高い支援レベルが提供されることを、学習プロセスの枠内で、運転者に伝えることができる。これにより、車両101と運転者との間の協調運転が可能になる。
【0056】
本発明は、提示されている実施例に限定されているわけではない。とりわけ、本明細書および図面は、提案されている方法、装置、およびシステムの原理を説明することだけを目的としていることに留意すべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4