(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】航空機用灯具
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20240325BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240325BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20240325BHJP
B64D 47/06 20060101ALI20240325BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240325BHJP
【FI】
F21V23/00 130
F21S2/00 320
F21S2/00 330
F21S2/00 340
B64C1/00 A
B64D47/06
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021533010
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2020026817
(87)【国際公開番号】W WO2021010271
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2019130110
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019130111
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019140219
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】塚本 三千男
(72)【発明者】
【氏名】澤田 成生
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-032812(JP,A)
【文献】特開平09-282927(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03342717(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21S 2/00
B64C 1/00
B64D 47/06
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられたカバーとによって構成され内部空間が配置空間として形成された灯具外筐と、
前記配置空間に配置され光源を有する光源ユニットと、
前記光源の点消灯を制御する制御基板と前記制御基板において生じるノイズを遮蔽する遮蔽板とを有する制御ユニットとを備え、
前記ランプハウジングには挿脱口を有する凹状のユニット収納部が設けられ、
前記制御基板が前記挿脱口を介して前記ユニット収納部に対して収納可能及び取出可能にされ、
前記制御基板が前記ユニット収納部に収納された状態において前記挿脱口の少なくとも一部が前記遮蔽板によって閉塞され
、
前記光源ユニットとして第1の光源ユニットと第2の光源ユニットが設けられ、
前記制御基板として前記第1の光源ユニットの前記光源を制御する第1の制御基板と前記第2の光源ユニットの前記光源を制御する第2の制御基板とが設けられ、
前記第1の制御基板と前記第2の制御基板が前記挿脱口を介して前記ユニット収納部に対して収納可能及び取出可能にされた
航空機用灯具。
【請求項2】
前記制御ユニットには前記ユニット収納部に収納可能にされ前記遮蔽板に直交する取付板が設けられ、
前記取付板の両面に前記第1の制御基板と前記第2の制御基板が取り付けられた
請求項1に記載の航空機用灯具。
【請求項3】
前記ランプハウジングには前記第1の制御基板と前記第2の制御基板の前記ユニット収納部への収納時に前記取付板の両端部を案内する一対のガイド溝が形成された
請求項2に記載の航空機用灯具。
【請求項4】
前記取付板が放熱性を有する材料によって形成され、
前記第1の制御基板と前記第2の制御基板にはそれぞれ駆動時に発熱する電子部品が設けられ、
前記電子部品と前記取付板の間に伝熱シートが介在された
請求項2又は請求項3に記載の航空機用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機において使用され灯具外筐の内部に光源が配置された航空機用灯具についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用灯具には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光源(光源ユニット)が配置されたものがある(例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0003】
このような航空機用灯具には、使用用途に応じて様々な種類が存在し、例えば、外部照明としては、航空機同士の衝突を防止する衝突防止灯、機体の飛行姿勢や飛行方向を示す航空灯、離着陸時に滑走路を照射する着陸灯、機体に記された航空会社等のロゴを照明するロゴ灯等が存在する。
【0004】
特許文献3にはロゴ灯として機能する航空機用灯具が記載されており、灯具外筐の内部に多数の灯具ユニットが縦横に並んで配置され、各灯具ユニットにそれぞれ光源が設けられている。
【0005】
このような航空機用灯具として用いられるロゴ灯は、水平尾翼に取り付けられ、ロゴが付された垂直尾翼に対して光を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-33840号公報
【文献】特開2010-33841号公報
【文献】US 10269274 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような航空機用灯具においては、航空機に設けられる各機器や各計器等に対するノイズの影響を抑制して各機器や各計器等の良好な動作状態を確保することが必要とされる。
【0008】
また、航空機用灯具には光源の点消灯が制御基板によって制御されるものがあるが、制御基板に不具合が生じた場合には、光源の良好な駆動状態を確保することができなくなるおそれがあり、制御基板に関するメンテナンス性の向上を図ることも必要である。
【0009】
そこで、本発明航空機用灯具は、制御基板に関するメンテナンス性の向上を図った上で光源の良好な駆動状態を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1に、本発明に係る航空機用灯具は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられたカバーとによって構成され内部空間が配置空間として形成された灯具外筐と、前記配置空間に配置され光源を有する光源ユニットと、前記光源の点消灯を制御する制御基板と前記制御基板において生じるノイズを遮蔽する遮蔽板とを有する制御ユニットとを備え、前記ランプハウジングには挿脱口を有する凹状のユニット収納部が設けられ、前記制御基板が前記挿脱口を介して前記ユニット収納部に対して収納可能及び取出可能にされ、前記制御基板が前記ユニット収納部に収納された状態において前記挿脱口の少なくとも一部が前記遮蔽板によって閉塞され、前記光源ユニットとして第1の光源ユニットと第2の光源ユニットが設けられ、前記制御基板として前記第1の光源ユニットの前記光源を制御する第1の制御基板と前記第2の光源ユニットの前記光源を制御する第2の制御基板とが設けられ、前記第1の制御基板と前記第2の制御基板が前記挿脱口を介して前記ユニット収納部に対して収納可能及び取出可能にされたものである。
【0011】
これにより、制御基板がランプハウジングに設けられたユニット収納部に対して収納可能及び取出可能にされると共に制御基板がユニット収納部に収納された状態においてユニット収納部の挿脱口の少なくとも一部が遮蔽板によって閉塞される。
【0013】
これにより、第1の制御基板と第2の制御基板が何れもユニット収納部に対して同時に収納可能及び取出可能にされるため、第1の制御基板と第2の制御基板のユニット収納部に対する収納及び取出を各別に行う必要がない。
【0014】
上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記制御ユニットには前記ユニット収納部に収納可能にされ前記遮蔽板に直交する取付板が設けられ、前記取付板の両面に前記第1の制御基板と前記第2の制御基板が取り付けられることが望ましい。
【0015】
これにより、第1の制御基板と第2の制御基板を取り付けるための二つの取付板を必要としない。
【0016】
上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記ランプハウジングには前記第1の制御基板と前記第2の制御基板の前記ユニット収納部への収納時に前記取付板の両端部を案内する一対のガイド溝が形成されることが望ましい。
【0017】
これにより、ガイド溝に取付板が案内されて第1の制御基板と第2の制御基板がユニット収納部に収納される。
【0018】
上記した本発明に係る航空機用灯具においては、前記取付板が放熱性を有する材料によって形成され、前記第1の制御基板と前記第2の制御基板にはそれぞれ駆動時に発熱する電子部品が設けられ、前記電子部品と前記取付板の間に伝熱シートが介在されることが望ましい。
【0019】
これにより、伝熱シートによって第1の制御基板と第2の制御基板に発生する熱が取付板に伝達される。
【0020】
第6に、別の本発明に係る航空機用灯具は、航空機の垂直尾翼に光を照射する航空機用灯具であって、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられたカバーとによって構成され内部空間が配置空間として形成された灯具外筐と、前記配置空間に配置され第1のインナーレンズと複数の第1の光源とを有する第1の光源ユニットと、前記配置空間に配置され第2のインナーレンズと複数の第2の光源とを有する第2の光源ユニットとを備え、前記第1の光源ユニットからの光の照射方向と前記第2の光源ユニットからの光の照射方向とが異なる方向にされ、前記第1のインナーレンズには前記第1の光源から出射される光をそれぞれ制御する複数の第1の制御レンズ部が設けられ、前記第2のインナーレンズには前記第2の光源から出射される光をそれぞれ制御する複数の第2の制御レンズ部が設けられ、前記複数の第2の制御レンズ部が第1の方向制御部又は第2の方向制御部として設けられ、前記第2の光源から出射され前記第1の方向制御部によって制御される光の照射方向と前記第2の光源から出射され前記第2の方向制御部によって制御される光の照射方向とが異なる方向にされたものである。
【0021】
これにより、第1の光源ユニットからの光の照射方向と第2の光源ユニットからの光の照射方向とが異なる方向にされると共に第2の光源ユニットにおいて第1の方向制御部によって制御される光と第2の方向制御部によって制御される光との照射方向が異なる方向にされる。
【0022】
第7に、上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記第1の方向制御部と前記第2の方向制御部における光の屈折角度が異なることが望ましい。
【0023】
これにより、光の屈折角度が異なる第1の方向制御部と第2の方向制御部によって光の照射方向が異なる方向にされる。
【0024】
第8に、上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記第2の方向制御部の屈折角度が前記第1の方向制御部の屈折角度より大きくされ、前記第2の方向制御部が前記第1の方向制御部の少なくとも一つより前記カバーに近付いて位置されることが望ましい。
【0025】
これにより、第1の方向制御部より屈折角度が大きくされた第2の方向制御部が第1の方向制御部よりカバーに近付いて位置されるため、第2の方向制御部に制御されて照射される光がランプハウジングによって遮蔽され難くなる。
【0026】
第9に、上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記第1のインナーレンズと前記第2のインナーレンズがそれぞれ前記ランプハウジングに対して着脱可能にされることが望ましい。
【0027】
これにより、第1のインナーレンズと第2のインナーレンズを航空機の機種に応じて交換することが可能になる。
【0028】
第10に、上記した別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記第1の光源ユニットと前記第2の光源ユニットにはそれぞれ前記第1の光源と前記第2の光源が搭載された基板が設けられ、前記第1の光源が搭載された基板と前記第2の光源が搭載された基板として同一の基板が用いられることが望ましい。
【0029】
これにより、同一の基板が第1の光源ユニットの基板と第2の光源ユニットの基板として設けられる。
【0030】
第11に、また別の本発明に係る航空機用灯具は、開口を有するランプハウジングと前記ランプハウジングに前記開口を閉塞した状態で取り付けられたカバーとによって構成され内部空間が配置空間として形成された灯具外筐と、前記配置空間に配置された複数の灯具ユニットとを備え、前記灯具ユニットには光源として機能する複数の半導体発光素子と前記半導体発光素子から出射される光を制御する制御レンズとが設けられ、前記灯具ユニットにおける前記複数の半導体発光素子が各別に点消灯制御可能にされたものである。
【0031】
これにより、各灯具ユニットに複数の半導体発光素子がそれぞれ設けられると共に複数の半導体発光素子の点消灯が各別に行われる。
【0032】
第12に、上記したまた別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記複数の灯具ユニットから照射される光によって垂直尾翼に対する照明が行われ、前記複数の灯具ユニットは少なくとも二つの前記灯具ユニットが左右方向において異なる位置に配置され、左右方向において異なる位置に配置された前記灯具ユニットのうち前記垂直尾翼に近い位置に配置された前記灯具ユニットを近方灯具ユニットとし前記近方灯具ユニットより前記垂直尾翼に対して遠い位置に配置された前記灯具ユニットを遠方灯具ユニットとしたときに、前記近方灯具ユニットから照射される光によって前記垂直尾翼の上方側のエリアの照明が行われ、前記遠方灯具ユニットから照射される光によって前記垂直尾翼の下方側のエリアの照明が行われることが望ましい。
【0033】
これにより、下方側のエリアへ向けて照射される光がランプハウジングによって遮蔽され難くなる。
【0034】
第13に、上記したまた別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記遠方灯具ユニットが二つ配置され、前記二つの遠方灯具ユニットから光が交差する状態で照射されることが望ましい。
【0035】
これにより、照射される光がランプハウジングによって遮蔽され難くなると共に照明方向における自由度が高くなる。
【0036】
第14に、上記したまた別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記ランプハウジングに対する前記カバーの取付方向において前記遠方灯具ユニットが前記近方灯具ユニットよりカバーに近付いて配置されることが望ましい。
【0037】
これにより、下方側のエリアへ向けて照射される光がランプハウジングによって遮蔽され難くなる。
【0038】
第15に、上記したまた別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記複数の灯具ユニットのうち少なくとも二つの前記灯具ユニットからの光の照射方向が異なる方向にされることが望ましい。
【0039】
これにより、配置空間に配置された複数の灯具ユニットのうち少なくとも二つの灯具ユニットから異なる方向へ光が照射される。
【0040】
第16に、上記したまた別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記灯具ユニットの内部に前記複数の半導体発光素子と前記複数の半導体発光素子が搭載された基板とを有する光源モジュールが配置され、少なくとも二つの前記灯具ユニットにおいて前記複数の半導体発光素子の前記基板に対する配列状態が異なることが望ましい。
【0041】
これにより、半導体発光素子の配列が異なる灯具ユニット毎に光の照射エリアや照射範囲を変化させることが可能になる。
【0042】
第17に、上記したまた別の本発明に係る航空機用灯具においては、前記光源モジュールには前記複数の半導体発光素子からそれぞれ出射された光を前記制御レンズへ向けて各別に反射する複数の反射部を有するリフレクターが設けられることが望ましい。
【0043】
これにより、光が複数の反射部でそれぞれ反射されて制御レンズへ向かうため、半導体発光素子から出射された光が制御レンズに入射され易くなる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、制御基板がランプハウジングに設けられたユニット収納部に対して収納可能及び取出可能にされると共に制御基板がユニット収納部に収納された状態においてユニット収納部の挿脱口の少なくとも一部が遮蔽板によって閉塞されるため、制御基板の交換が容易になると共に制御基板において生じるノイズが遮蔽板によって遮蔽され、制御基板に関するメンテナンス性の向上を図った上で航空機に設けられる各機器や各計器等の良好な動作状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図2乃至
図9と共に本発明航空機用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、航空機の一部を示す斜視図である。
【
図2】カバーを取り外して示す航空機用灯具の斜視図である。
【
図7】ランプハウジングに制御ユニットの遮蔽板が取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図8】垂直尾翼に対する光の照射状態を示す概念図である。
【
図9】第2のインナーレンズの制御レンズ部によって制御される光の経路を示す概念図である。
【
図10】
図2乃至
図7と共に本発明航空機用灯具の実施の形態を示すものであり、本図は、航空機の一部を示す斜視図である。
【
図11】カバーを取り外して示す航空機用灯具の斜視図である。
【
図14】ランプハウジングの配列状態の一例を示す斜視図である。
【
図15】ランプハウジングの配列状態の別の例を示す斜視図である。
【
図16】垂直尾翼に対する光の照射状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本発明航空機用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0047】
航空機用灯具は灯具外筐の内部に光源が配置され、灯具外筐がランプハウジングとカバーによって構成されているが、以下の説明にあっては、ランプハウジングとカバーの結合方向を上下方向とし、カバーを上方とし、ランプハウジングを下方とし、前後上下左右の方向を示すものとする。また、航空機用灯具は水平尾翼の上面側に取り付けられ、左右方向は垂直尾翼側を左右方向における内方とし水平尾翼の先端側を外方として示す。
【0048】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0049】
以下には、本発明の航空機用灯具を外部照明であるロゴ灯に適用した例を示したが、本発明の適用範囲はロゴ灯に限られることはなく、航空機に用いられる他の外部照明に適用されてもよい。
【0050】
<第1の実施の形態に係る航空機用灯具>
まず、第1の実施の形態に係る航空機用灯具1について説明する。
【0051】
航空機用灯具1は外部照明である、例えば、ロゴ灯として用いられ、航空機100の機体、例えば、後側の双方の水平尾翼200、200にそれぞれ取り付けられ、垂直尾翼300に付された図示しないロゴを照明する機能を有している(
図1参照)。従って、一方の航空機用灯具1から出射された光は垂直尾翼300における左右の一方の面に照射され、他方の航空機用灯具1から出射された光は垂直尾翼300における左右の他方の面に照射され、垂直尾翼300の左右の面はそれぞれ被照射面301、301とされる。水平尾翼200には上方に開口された図示しない配置凹部が形成されている。
【0052】
航空機用灯具1は上端に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞した状態でランプハウジング2に取り付けられたカバー3とを備えている(
図2及び
図3参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が配置空間5として形成されている。
【0053】
ランプハウジング2は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって各部が一体に形成されて成る。ランプハウジング2は上下方向を向く底面部6と底面部6の外周部から上方に突出された周面部7と周面部7の上端部から外方に張り出された円環状のフランジ部8とを有している(
図2乃至
図5参照)。
【0054】
ランプハウジング2には底面部6から下方に突出されたユニット収納部9が設けられている。ユニット収納部9は底面部6の左右方向における内方側の部分から下方に突出され、上方に開口された箱状に形成されている。ユニット収納部9における上端の開口は挿脱口9aとして形成されている。
【0055】
ユニット収納部9には左右方向における内方側に突出されたコネクター取付部9bが設けられている。コネクター取付部9bはユニット収納部9において前後方向における中央部に設けられている。コネクター取付部9bにはコネクター10が貫通された状態で取り付けられている。コネクター10はコネクター取付部9bの外面側に位置された部分とコネクター取付部9bの内面側に位置された部分とを有し、コネクター取付部9bの外面側に位置された部分が航空機100の図示しない電源回路に図示しない接続コードを介して接続される。
【0056】
ランプハウジング2には底面部6から下方に突出された放熱フィン11、11、・・・が設けられている。放熱フィン11、11、・・・は底面部6の左右方向における外方側の部分から下方に突出され、前後に並んで設けられている。
【0057】
ランプハウジング2には底面部6からそれぞれ上方に突出された第1の配置部12と第2の配置部13が設けられ、第1の配置部12と第2の配置部13は前後に並び底面部6の左右方向においてユニット収納部9より外方側の部分から上方に突出されている。第1の配置部12と第2の配置部13の上面はそれぞれ傾斜部12aと傾斜部13aとして設けられている。傾斜部12aは傾斜部13aの後側に位置されている。
【0058】
傾斜部12aと傾斜部13aは何れも左右方向において外方へ行くに従って下方に変位するように傾斜されると共に傾斜部12aは前上がりに傾斜され傾斜部13aは後上がりに傾斜されている。傾斜部13aは左右方向における傾斜角度が傾斜部12aの左右方向における傾斜角度より大きくされている。
【0059】
ランプハウジング2には底面部6から上方に突出された台座部14が設けられ、台座部14は底面部6の左右方向において第1の配置部12と第2の配置部13の外方側の部分から上方に突出されている。台座部14は上面が傾斜部12a、13aより上側に位置されている。
【0060】
ランプハウジング2にはユニット収納部9における前後両端部にそれぞれガイド溝15、15が形成されている。ガイド溝15、15は前後方向において対向する方向に開口されると共に上方に開口されている。
【0061】
カバー3はアルミニウム等の金属材料によって円環状に形成されたリテイナー16と外周部がリテイナー16に固定された透過カバー部17とを有している(
図2及び
図3参照)。カバー3はリテイナー16と同じ大きさ及び形状のガスケット18を介してランプハウジング2のフランジ部8にネジ止め等によって結合される。ガスケット18は、例えば、シリコン材料によって形成され、ランプハウジング2とカバー3の間の密閉性を確保する機能を有している。
【0062】
航空機用灯具1は、カバー3がフランジ部8に結合された状態において、リテイナー16とフランジ部8がネジ止め等によって水平尾翼200に固定され、水平尾翼200に形成された配置凹部に配置される。
【0063】
ランプハウジング2には第1の光源ユニット19と第2の光源ユニット20がそれぞれ着脱可能にされている(
図3参照)。第1の光源ユニット19は第1の配置部12に取り付けられ、第2の光源ユニット20は第2の配置部13に取り付けられる(
図2乃至
図5参照)。
【0064】
第1の光源ユニット19は回路パターンが形成された基板21と基板21に搭載された第1の光源22、22、・・・と第1の光源22、22、・・・から出射される光を制御する第1のインナーレンズ23とを有している(
図3参照)。
【0065】
基板21は第1の配置部12の傾斜部12aに放熱シート24を介して配置される。
【0066】
第1の光源22としては、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。第1の光源22、22、・・・は基板21の一方の面に規則的に搭載され、例えば、前後方向において三つが搭載され、左右方向において二つが搭載され、合計六つが搭載されている。
【0067】
第1のインナーレンズ23は透明な樹脂又はガラスによって形成され、平板状のベース面部25とベース面部25からそれぞれ上方に突出された略半球状の第1の制御レンズ部26、26、・・・とベース面部25の外周部から突出された脚部27、27とを有している(
図6参照)。第1の制御レンズ部26、26、・・・は第1の光源22、22、・・・と同数が第1の光源22、22、・・・に対応する位置に設けられている(
図3参照)。第1の制御レンズ部26、26、・・・は、例えば、自由曲面の凸レンズであり、それぞれ第1の光源22、22、・・・から出射された光を集光する制御を行って照射する機能を有している。
【0068】
第1のインナーレンズ23はベース面部25と第1の制御レンズ部26、26、・・・が基板21と第1の光源22、22、・・・を上方から覆う状態で傾斜部12aに配置され、脚部27、27がネジ止め等によってそれぞれ第1の配置部12と台座部14に結合されることによりランプハウジング2に取り付けられる。従って、基板21と第1の光源22、22、・・・と第1のインナーレンズ23は配置空間5に配置される。
【0069】
第2の光源ユニット20は回路パターンが形成された基板28と基板28に搭載された第2の光源29、29、・・・と第2の光源29、29、・・・から出射される光を制御する第2のインナーレンズ30とを有している。
【0070】
基板28は第2の配置部13の傾斜部13aに放熱シート31を介して配置される。基板28は第1の光源ユニット19の基板21と同一のものが用いられている。
【0071】
このように第1の光源22、22、・・・が搭載された基板21と第2の光源29、29、・・・が搭載された基板28として同一のものが用いられているため、同一の基板が第1の光源ユニット19の基板21と第2の光源ユニット20の基板28として設けられ、航空機用灯具1の製造コストの低減を図ることができる。
【0072】
第2の光源29としては、例えば、発光ダイオードが用いられている。第2の光源29、29、・・・は基板28の一方の面に規則的に搭載され、例えば、前後方向において三つが搭載され、左右方向において二つが搭載され、合計六つが搭載されている。
【0073】
第2のインナーレンズ30は透明な樹脂又はガラスによって形成され、平板状のベース面部32とベース面部32からそれぞれ上方に突出された第2の制御レンズ部33、33、・・・とベース面部32の外周部から突出された脚部34、34とを有している(
図6参照)。第2の制御レンズ部33、33、・・・は第2の光源29、29、・・・と同数が第2の光源29、29、・・・に対応する位置に設けられている(
図3参照)。
【0074】
第2の制御レンズ部33は第1の方向制御部33a又は第2の方向制御部33bとして設けられている。例えば、左右方向において内方側に位置された三つの第2の制御レンズ部33、33、33と左右方向において外方側に位置され最も後方側に位置された第2の制御レンズ部33とが第1の方向制御部33a、33a、・・・として設けられ、左右方向において外方側に位置され前方側に位置された二つの第2の制御レンズ部33、33が第2の方向制御部33b、33bとして設けられている。
【0075】
第2の制御レンズ部33、33、・・・はそれぞれ第2の光源29、29、・・・から出射された光を集光する制御を行って照射する機能を有しているが、第1の方向制御部33a、33a、・・・が、例えば、自由曲面の略半球状に形成された凸レンズであり、第2の方向制御部33b、33bが、例えば、プリズムレンズである。第1の方向制御部33aと第2の方向制御部33bにおける光の屈折角度は異なり、第2の方向制御部33bの屈折角度が第1の方向制御部33aの屈折角度より大きくされている。
【0076】
第2のインナーレンズ30はベース面部32と第2の制御レンズ部33、33、・・・が基板28と第2の光源29、29、・・・を上方から覆う状態で傾斜部13aに配置され、脚部34、34がネジ止め等によってそれぞれ第2の配置部13と台座部14に結合されることによりランプハウジング2に取り付けられる。従って、基板28と第2の光源29、29、・・・と第2のインナーレンズ30は配置空間5に配置される。
【0077】
第2のインナーレンズ30が配置空間5に配置された状態においては、傾斜部13aが左右方向において外方へ行くに従って上方に変位するように傾斜されているため、第2の方向制御部33b、33bが左右方向において内方側に位置された三つの第1の方向制御部33a、33a、33aよりカバー3に近付いて位置されている(
図4及び
図5参照)。
【0078】
上記したように、第1の光源ユニット19は傾斜部12aに配置され、第2の光源ユニット20は傾斜部13aに配置され、傾斜部12aと傾斜部13aの傾斜角度が異なるため、第1の光源ユニット19からの光の照射方向と第2の光源ユニット20からの光の照射方向とは異なる方向にされている。
【0079】
上記のように、第1のインナーレンズ23と第2のインナーレンズ30は脚部27、27又は脚部34、34がネジ止め等によってランプハウジング2に取り付けられるため、ランプハウジング2に対して着脱可能にされている。
【0080】
従って、第1のインナーレンズ23と第2のインナーレンズ30を航空機100の機種に応じて交換することが可能になる。これにより、機種の異なる航空機100に応じた第1のインナーレンズ23と第2のインナーレンズ30をランプハウジング2に取り付けることにより、機種の異なる航空機100における垂直尾翼300の被照射面301に対して広範囲に光を照射することが可能になり、航空機用灯具1の汎用性の向上を図ることができる。
【0081】
ランプハウジング2には制御ユニット35が着脱可能にされている(
図3参照)。制御ユニット35は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって形成されたブラケット36とブラケット36にそれぞれ取り付けられた第1の制御基板37及び第2の制御基板38とを有している。
【0082】
ブラケット36は上下方向を向く平板状の遮蔽板39と遮蔽板39の左右方向における中央部から下方に突出された取付板40とから成り、取付板40が左右方向を向く平板状に形成されている。遮蔽板39には挿通孔39a、39bが左右に離隔して形成されている。
【0083】
第1の制御基板37は第1の光源ユニット19における第1の光源22、22、・・・の点消灯を制御する機能を有し、左右方向を向くベース基板41とベース基板41の左右両面に搭載された電子部品42、42、・・・とを有している。第1の制御基板37はスペーサー43、43、・・・を介して取付板40にネジ止め等によって取り付けられている。
【0084】
第2の制御基板38は第2の光源ユニット20における第2の光源29、29、・・・の点消灯を制御する機能を有し、左右方向を向くベース基板44とベース基板44の左右両面に搭載された電子部品45、45、・・・とを有している。第2の制御基板38はスペーサー43、43、・・・を介して取付板40にネジ止め等によって取り付けられている。
【0085】
第1の制御基板37と第2の制御基板38は取付板40を挟んで左右反対側に位置されている。従って、第1の制御基板37は遮蔽板39に形成された挿通孔39aの下方に位置され、第2の制御基板38は遮蔽板39に形成された挿通孔39bの下方に位置されている。
【0086】
第1の制御基板37の少なくとも一つの電子部品42と取付板40の間には伝熱シート46が介在され、第2の制御基板38の少なくとも一つの電子部品45と取付板40の間には伝熱シート46が介在されている(
図7参照)。従って、第1の制御基板37と第2の制御基板38に発生する熱が伝熱シート46、46から取付板40に伝達され、取付板40に伝達された熱がランプハウジング2に伝達されて外部に放出される。また、第1の制御基板37と第2の制御基板38に発生し取付板40に伝達された熱は取付板40から遮蔽板39にも伝達され、遮蔽板39から配置空間5にも放出される。
【0087】
このように伝熱シート46、46によって第1の制御基板37と第2の制御基板38に発生する熱が取付板40に伝達されるため、第1の制御基板37と第2の制御基板38の温度上昇が抑制され、第1の制御基板37と第2の制御基板38の良好な駆動状態を確保することができる。
【0088】
尚、伝熱シート46は最も発熱量の大きな電子部品42、45と取付板40の間に介在されることが望ましい。また、複数の電子部品42、42、・・・と取付板40との間に伝熱シート46が介在され、複数の電子部品45、45、・・・と取付板40との間に伝熱シート46が介在されてもよい。
【0089】
また、第1の制御基板37と第2の制御基板38が何れも取付板40に取り付けられるため、第1の制御基板37と第2の制御基板38を取り付けるための二つの取付板を必要とせず、部品点数の削減及び制御ユニット35の小型化を図ることができる。
【0090】
上記のように構成された制御ユニット35は取付板40と第1の制御基板37と第2の制御基板38が挿脱口9aを介してユニット収納部9に対して収納可能及び取出可能にされる。制御ユニット35は取付板40と第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9に収納された状態において遮蔽板39がネジ止め等によって底面部6に取り付けられ、挿脱口9aの一部を除いた部分が遮蔽板39によって閉塞される(
図7参照)。
【0091】
取付板40と第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9に収納されるときには、取付板40の前後両端部がそれぞれユニット収納部9のガイド溝15、15に案内される。
【0092】
このようにガイド溝15、15に取付板40が案内されて第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9に収納されるため、第1の制御基板37と第2の制御基板38のユニット収納部9への収納を容易に行うことができると共に第1の制御基板37と第2の制御基板38のランプハウジング2との接触を回避して第1の制御基板37と第2の制御基板38の損傷を防止することができる。
【0093】
上記したように、遮蔽板39が底面部6に取り付けられた状態においては、第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9の各面部によって上方以外の方向から覆われると共に遮蔽板39によって上方から覆われる。
【0094】
このように第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9の内部に収納されユニット収納部9と遮蔽板39によって覆われることにより、第1の制御基板37と第2の制御基板38において発生するノイズがユニット収納部9と遮蔽板39によって遮蔽される。
【0095】
上記のように、第1の光源ユニット19と第2の光源ユニット20と制御ユニット35がランプハウジング2に取り付けられた状態においては、遮蔽板39の挿通孔39aを挿通される図示しない第1の接続ケーブルによって第1の光源ユニット19の基板21と第1の制御基板37とが接続され、遮蔽板39の挿通孔39bを挿通される図示しない第2の接続ケーブルによって第2の光源ユニット20の基板28と第2の制御基板38とが接続される。また、図示しない第1のコネクター用ケーブルによって第1の制御基板37とコネクター10におけるコネクター取付部9bの内面側に位置された部分とが接続され、図示しない第2のコネクター用ケーブルによって第2の制御基板38とコネクター10におけるコネクター取付部9bの内面側に位置された部分とが接続される。
【0096】
従って、電源回路からコネクター10と第1の制御基板37を介して基板21に搭載されている第1の光源22、22、・・・に電流が供給され、電源回路からコネクター10と第2の制御基板38を介して基板28に搭載されている第2の光源29、29、・・・に電流が供給される。
【0097】
航空機用灯具1においては、第1の光源22、22、・・・と第2の光源29、29、・・・に電源回路から、例えば、同時に電流が供給される。
【0098】
第1の光源22、22、・・・に電流が供給されると、第1の光源22、22、・・・から光が出射され、出射された光がそれぞれ第1のインナーレンズ23の第1の制御レンズ部26、26、・・・によって制御され、垂直尾翼300の被照射面301における上端側のエリアAに照射される(
図8参照)。
【0099】
一方、第2の光源29、29、・・・に電流が供給されると、第2の光源29、29、・・・から光が出射され、出射された光がそれぞれ第2のインナーレンズ30の第2の制御レンズ部33、33、・・・によって制御される(
図9参照)。このとき第1の方向制御部33a、33a、・・・に入射された光は、第1の方向制御部33a、33a、・・・によって制御されて光Pとして垂直尾翼300へ向かい、被照射面301の上下方向における中央のエリアBに照射される(
図8参照)。また、第2の方向制御部33b、33bに入射された光は、第2の方向制御部33b、33bによって制御されて大きく屈折されて光Qとして垂直尾翼300へ向かい(
図9参照)、被照射面301の下端側のエリアCに照射される(
図8参照)。
【0100】
このように航空機用灯具1においては、第1のインナーレンズ23の第1の制御レンズ部26、26、・・・によって制御された光が垂直尾翼300の被照射面301における上端側のエリアAに照射され、第2のインナーレンズ30の第1の方向制御部33a、33a、・・・によって制御された光が垂直尾翼300の被照射面301の上下方向における中央のエリアBに照射され、第2のインナーレンズ30の第2の方向制御部33b、33bによって制御された光が垂直尾翼300の被照射面301の下端側のエリアCに照射される。従って、第1の光源22、22、・・・と第2の光源29、29、・・・から出射された光によってロゴが付されている垂直尾翼300における被照射面301の全体の照明が行われる。
【0101】
以上に記載した通り、航空機用灯具1にあっては、ランプハウジング2に挿脱口9aを有する凹状のユニット収納部9が設けられ、第1の制御基板37と第2の制御基板38が挿脱口9aを介してユニット収納部9に対して収納可能及び取出可能にされ、第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9に収納された状態において挿脱口9aの少なくとも一部が遮蔽板39によって閉塞される。
【0102】
従って、第1の制御基板37と第2の制御基板38がランプハウジング2に設けられたユニット収納部9に対して収納可能及び取出可能にされると共に第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9に収納された状態においてユニット収納部9の挿脱口9aの少なくとも一部が遮蔽板39によって閉塞される。これにより、第1の制御基板37と第2の制御基板38の交換が容易になると共に第1の制御基板37と第2の制御基板38において生じるノイズが遮蔽板39によって遮蔽され、第1の制御基板37と第2の制御基板38に関するメンテナンス性の向上を図った上で航空機100に設けられる各機器や各計器等の良好な動作状態を確保することができる。
【0103】
尚、ランプハウジング2の内部において各部をケーブルによって接続することにより電源回路から第1の光源22、22、・・・と第2の光源29、29、・・・に電源を供給する構成にし、第1の制御基板37と第2の制御基板38がユニット収納部9に収納された状態において挿脱口9aの全体が遮蔽板39によって閉塞される構成にすることが可能である。
【0104】
このような構成にすることにより、第1の制御基板37と第2の制御基板38において生じるノイズの遮蔽板39による遮蔽効果を高めることが可能になる。
【0105】
また、第1の光源ユニット19と第2の光源ユニット20が設けられ、第1の光源ユニット19の第1の光源22、22、・・・を制御する第1の制御基板37と第2の光源ユニット20の第2の光源29、29、・・・を制御する第2の制御基板38とが設けられ、第1の制御基板37と第2の制御基板38の双方が挿脱口9aを介してユニット収納部9に対して収納可能及び取出可能にされている。
【0106】
従って、第1の制御基板37と第2の制御基板38が何れもユニット収納部9に対して同時に収納可能及び取出可能にされる。これにより、第1の制御基板37と第2の制御基板38のユニット収納部9に対する収納及び取出を各別に行う必要がなく、第1の制御基板37と第2の制御基板38に関する一層のメンテナンス性の向上を図った上で航空機100に設けられる各機器や各計器等の良好な動作状態を確保することができる。
【0107】
ところで、航空機100の垂直尾翼300に付されるロゴは、付される位置や大きさが航空会社によって異なるため、ロゴを照明するロゴ灯においては広範囲の照射を可能にして、ロゴの付される位置や大きさに拘わらず効率的な照明が行われることが望まれる。
【0108】
また、このような効率的な照明を行う構造として、簡素な構造であることも望まれる。
【0109】
そこで、航空機用灯具1にあっては、第1の光源ユニット19からの光の照射方向と第2の光源ユニット20からの光の照射方向とが異なる方向にされ、第2の制御レンズ部33、33、・・・が第1の方向制御部33a、33a、・・・又は第2の方向制御部33b、33bとして設けられ、第2の光源29、29、・・・から出射され第1の方向制御部33a、33a、・・・によって制御される光の照射方向と第2の光源29、29から出射され第2の方向制御部33b、33bによって制御される光の照射方向とが異なる方向にされている。
【0110】
従って、第1の光源ユニット19からの光の照射方向と第2の光源ユニット20からの光の照射方向とが異なる方向にされると共に第2の光源ユニット20において第1の方向制御部33a、33a、・・・によって制御される光と第2の方向制御部33b、33bによって制御される光との照射方向が異なる方向にされる。これにより、航空機用灯具1から三つの異なる方向へ光が照射され、構造の簡素化を確保した上で垂直尾翼300に対する広範囲の照射状態を確保することができる。
【0111】
さらにまた、第1の方向制御部33a、33a、・・・と第2の方向制御部33b、33bにおける光の屈折角度が異なるため、光の屈折角度が異なる第1の方向制御部33a、33a、・・・と第2の方向制御部33b、33bによって光の照射方向が異なる方向にされる。
【0112】
従って、簡素な構成によって光を異なる方向へ照射することが可能になり、航空機用灯具1の製造コストの高騰を来すことなく光を垂直尾翼300に対して広範囲に照射することができる。
【0113】
加えて、第2の方向制御部33b、33bの屈折角度が第1の方向制御部33a、33a、・・・の屈折角度より大きくされ、第2の方向制御部33b、33bが第1の方向制御部33a、33a、・・・の少なくとも一つよりカバー3に近付いて位置されている。
【0114】
従って、第1の方向制御部33a、33a、・・・より屈折角度が大きくされた第2の方向制御部33b、33bが第1の方向制御部33a、33a、・・・よりカバー3に近付いて位置されるため、第2の方向制御部33b、33bに制御されて照射される光がランプハウジング2によって遮蔽され難くなり、第2の方向制御部33b、33bによって垂直尾翼300における被照射面301の下端側を効率的に照射することができる。
【0115】
尚、上記には、第1のインナーレンズ23と第2のインナーレンズ30にそれぞれ六つずつの第1の制御レンズ部26と第2の制御レンズ部33が設けられた例を示したが、第1の制御レンズ部26と第2の制御レンズ部33の数はそれぞれ六つに限られることはなく任意である。また、第1の制御レンズ部26と第2の制御レンズ部33が複数設けられる場合に、その配列状態も任意に設定することが可能である。
【0116】
また、上記には、第2のインナーレンズ30に四つの第1の方向制御部33aと二つの第2の方向制御部33bが設けられた例を示したが、第1の方向制御部33aと第2の方向制御部33bの数は光の照射方向や照射範囲に応じて任意に設定することが可能である。
【0117】
さらに、上記には、第2のインナーレンズ30に第1の方向制御部33aと第2の方向制御部33bが設けられた例を示したが、逆に、第1のインナーレンズ23に第1の方向制御部と第2の方向制御部が設けられていてもよく、第1のインナーレンズ23と第2のインナーレンズ30の双方にそれぞれ第1の方向制御部と第2の方向制御部が設けられていてもよい。
【0118】
さらにまた、上記には、航空機用灯具1から三つの異なる方向へ光が照射される例を示したが、航空機用灯具1から四つ以上の異なる方向へ光が照射される構成にして垂直尾翼300に対する広範囲の照射状態を確保することも可能である。
【0119】
<第2の実施の形態に係る航空機用灯具>
次に、第2の実施の形態に係る航空機用灯具51について説明する。
【0120】
航空機用灯具51は外部照明である、例えば、ロゴ灯として用いられ、航空機100の機体、例えば、後側の双方の水平尾翼200、200にそれぞれ取り付けられ、垂直尾翼300に付された図示しないロゴを照明する機能を有している(
図10参照)。従って、一方の航空機用灯具51から出射された光は垂直尾翼300における左右の一方の面に照射され、他方の航空機用灯具51から出射された光は垂直尾翼300における左右の他方の面に照射され、垂直尾翼300の左右の面はそれぞれ被照射面301、301とされる。水平尾翼200には上方に開口された図示しない配置凹部が形成されている。
【0121】
航空機用灯具51は上端に開口を有するランプハウジング52とランプハウジング52の開口を閉塞した状態でランプハウジング52に取り付けられたカバー53とを備えている(
図11及び
図12参照)。ランプハウジング52とカバー53によって灯具外筐54が構成され、灯具外筐54の内部空間が配置空間55として形成されている。
【0122】
ランプハウジング52は、例えば、アルミニウム等の金属材料によって各部が一体に形成されて成る。ランプハウジング52は上下方向を向く底面部56と底面部56の外周部から上方に突出された周面部57と周面部57の上端部から外方に張り出された環状のフランジ部58とを有している。
【0123】
底面部56は、例えば、矩形状に形成され、周面部57は、例えば、角筒状に形成され、フランジ部58は、例えば、矩形の枠状に形成されている。
【0124】
ランプハウジング52には底面部56から上方に突出された第1の取付台部59が設けられている。第1の取付台部59は左右方向における内方側の部分から突出され、前後方向における略中央部に位置されている。
【0125】
ランプハウジング52には底面部56と周面部57に亘る位置からそれぞれ斜め上方に突出された第2の取付台部60と第3の取付台部61が前後に離隔して設けられている。第2の取付台部60と第3の取付台部61は第1の取付台部59より左右方向における外方側に位置され、第1の取付台部59の前後に位置されている。
【0126】
第1の取付台部59と第2の取付台部60と第3の取付台部61は何れも突出方向における端面59a、60a、61aが平面に形成され、端面59a、60a、61aが底面部56に対して左右方向において上下に傾斜されている。端面60aと端面61aは前後方向においても上下に傾斜されている。第1の取付台部59の端面59aは第2の取付台部60の端面60aより傾斜角度が大きくされ、第2の取付台部60の端面60aと第3の取付台部61の端面61aとは傾斜角度が略同じにされている。また、第1の取付台部59の端面59aと第2の取付台部60の端面60aと第3の取付台部61の端面61aは何れも異なる向きにされている。
【0127】
ランプハウジング52には底面部56の左右方向における外方側の半部から下方に突出された放熱フィン62、62、・・・が前後に並んで設けられている。
【0128】
ランプハウジング52には図示しないコネクターが貫通された状態で取り付けられている。コネクターはランプハウジング52の外面側に位置された部分とランプハウジング52の内面側に位置された部分とを有し、ランプハウジング52の外面側に位置された部分が航空機100の図示しない電源回路に図示しない接続コードを介して接続される。
【0129】
カバー53はアルミニウム等の金属材料によって円環状に形成されたリテイナー63と外周部がリテイナー63に固定された透過カバー部64とを有している。カバー53はリテイナー63と同じ大きさ及び形状のガスケット65を介してリテイナー63がランプハウジング52のフランジ部58にネジ止め等によって結合される。ガスケット65は、例えば、シリコン材料によって形成され、ランプハウジング52とカバー53の間の密閉性を確保する機能を有している。
【0130】
航空機用灯具51は、カバー53がフランジ部58に結合された状態において、リテイナー63とフランジ部58がネジ止め等によって水平尾翼200に固定され、水平尾翼200に形成された配置凹部に配置される。
【0131】
ランプハウジング52には配置空間55に配置された状態で第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68がそれぞれ取り付けられている。第1の灯具ユニット66は第1の取付台部59の端面59aに取り付けられ、第2の灯具ユニット67は第2の取付台部60の端面60aに取り付けられ、第3の灯具ユニット68は第3の取付台部61の端面61aに取り付けられている。
【0132】
尚、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68は内部に配置された光源モジュールの構成のみが相違する。従って、以下の第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68の説明において、光源モジュール以外の構成については第1の灯具ユニット66のみで詳細に説明し第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68では第1の灯具ユニット66における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0133】
第1の灯具ユニット66は筒状に形成されたレンズホルダー69とレンズホルダー69の一端部に保持された制御レンズ70とレンズホルダー69の他端部に取り付けられたベース板71とベース板71に配置された第1の光源モジュール72とを有している(
図13参照)。
【0134】
制御レンズ70は、例えば、凸レンズであり、光を集光する制御を行って被照射面301へ向けて照射する機能を有している。制御レンズ70はレンズホルダー69の一端部に一部が嵌合された状態で保持されている。
【0135】
ベース板71は、例えば、放熱性の高い金属材料によって形成され、外周部がレンズホルダー69の他端部に取り付けられている。ベース板71は第1の灯具ユニット66が第1の取付台部59に取り付けられた状態において、第1の取付台部59の端面59aに面接触される。尚、ベース板71はレンズホルダー69と一体に形成されていてもよい。
【0136】
第1の光源モジュール72は回路パターンが形成された第1の基板73と第1の基板73に搭載された第1の半導体発光素子74、74、・・・と第1の半導体発光素子74、74、・・・から出射される光を反射する第1のリフレクター75とを有している。第1の光源モジュール72は図示しない放熱シートを介してベース板71における制御レンズ70側の面に配置されている。
【0137】
第1の半導体発光素子74、74、・・・は第1の基板73に、例えば、等間隔の状態でマトリクス状に搭載されている(
図14参照)。第1の半導体発光素子74、74、・・・は各別に点消灯制御可能にされている。第1のリフレクター75は第1の基板73に取り付けられ、複数の反射部75a、75a、・・・が一体に形成されて成る(
図13参照)。反射部75a、75a、・・・は第1の半導体発光素子74、74、・・・に応じて同数が設けられている。反射部75aは第1の半導体発光素子74の周囲に位置され、第1の半導体発光素子74から出射された光を制御レンズ70へ向けて反射する機能を有している。
【0138】
第2の灯具ユニット67はレンズホルダー69と制御レンズ70とベース板71とベース板71に配置された第2の光源モジュール76とを有している。
【0139】
ベース板71は第2の灯具ユニット67が第2の取付台部60に取り付けられた状態において、第2の取付台部60の端面60aに面接触される。
【0140】
第2の光源モジュール76は回路パターンが形成された第2の基板77と第2の基板77に搭載された第2の半導体発光素子78、78、・・・と第2の半導体発光素子78、78、・・・から出射される光を反射する第2のリフレクター79とを有している。第2の光源モジュール76は図示しない放熱シートを介してベース板71における制御レンズ70側の面に配置されている。
【0141】
第2の半導体発光素子78、78、・・・は第2の基板77に、例えば、等間隔の状態でマトリクス状に搭載されている(
図14参照)。第2の半導体発光素子78、78、・・・は各別に点消灯制御可能にされている。第2の半導体発光素子78、78、・・・の第2の基板77に対する配列状態は第1の光源モジュール72における第1の基板73に対する第1の半導体発光素子74、74、・・・の配列状態と異なる配列状態にされていてもよい(
図15参照)。尚、
図14には、例として、4×2にされた半導体発光素子の配列状態を示し、
図15には、例として、3×4にされた半導体発光素子の配列状態を示しているが、第1の基板73に対する第1の半導体発光素子74、74、・・・と第2の基板77に対する第2の半導体発光素子78、78、・・・の配列状態はこれらの例に限られることはなく、照射範囲等に応じて任意に定めることが可能である。
【0142】
第2のリフレクター79は第2の基板77に取り付けられ、複数の反射部79a、79a、・・・が一体に形成されて成る(
図13参照)。反射部79a、79a、・・・は第2の半導体発光素子78、78、・・・に応じて同数が設けられている。反射部79aは第2の半導体発光素子78の周囲に位置され、第2の半導体発光素子78から出射された光を制御レンズ70へ向けて反射する機能を有している。
【0143】
第3の灯具ユニット68はレンズホルダー69と制御レンズ70とベース板71とベース板71に配置された第3の光源モジュール80とを有している。
【0144】
ベース板71は第3の灯具ユニット68が第3の取付台部61に取り付けられた状態において、第3の取付台部61の端面61aに面接触される。
【0145】
第3の光源モジュール80は回路パターンが形成された第3の基板81と第3の基板81に搭載された第3の半導体発光素子82、82、・・・と第3の半導体発光素子82、82、・・・から出射される光を反射する第3のリフレクター83とを有している。第3の光源モジュール80は図示しない放熱シートを介してベース板71における制御レンズ70側の面に配置されている。
【0146】
第3の半導体発光素子82、82、・・・は第3の基板81に、例えば、等間隔の状態でマトリクス状に搭載されている(
図14及び
図15参照)。第3の半導体発光素子82、82、・・・は各別に点消灯制御可能にされている。第3の基板81に対する第3の半導体発光素子82、82、・・・の配列状態は第1の光源モジュール72における第1の基板73に対する第1の半導体発光素子74、74、・・・の配列状態や第2の光源モジュール76における第2の基板77に対する第2の半導体発光素子78、78、・・・の配列状態と異なる配列状態にされていてもよい。第3の基板81に対する第3の半導体発光素子82、82、・・・の配列状態は、第1の基板73に対する第1の半導体発光素子74、74、・・・と第2の基板77に対する第2の半導体発光素子78、78、・・・の配列状態と同様に、照射範囲等に応じて任意に定めることが可能である。
【0147】
第3のリフレクター83は第3の基板81に取り付けられ、複数の反射部83a、83a、・・・が一体に形成されて成る(
図13参照)。反射部83a、83a、・・・は第3の半導体発光素子82、82、・・・に応じて同数が設けられている。反射部83aは第3の半導体発光素子82の周囲に位置され、第3の半導体発光素子82から出射された光を制御レンズ70へ向けて反射する機能を有している。
【0148】
第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82としては、例えば、何れも発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられている。
【0149】
第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82と第1の基板73と第2の基板77と第3の基板81に発生する熱は、主として、伝熱シートからベース板71、71、71を介してランプハウジング52に伝達され、放熱フィン62、62、・・・から外部に放出される。
【0150】
上記したように、第1の灯具ユニット66は第1の取付台部59に配置され、第2の灯具ユニット67は第2の取付台部60に配置され、第3の灯具ユニット68は第3の取付台部61に配置され、端面59aと端面60aと端面61aが何れも異なる向きにされている。従って、第1の灯具ユニット66からの光の照射方向S1と第2の灯具ユニット67からの光の照射方向S2と第3の灯具ユニット68からの光の照射方向S3とは何れも異なる方向にされている(
図11及び
図12参照)。また、第1の灯具ユニット66からの光の照射方向S1は第2の灯具ユニット67からの光の照射方向S2と第3の灯具ユニット68からの光の照射方向S3より上向きにされ、第2の灯具ユニット67からの光の照射方向S2と第3の灯具ユニット68からの光の照射方向S3とは上下方向においては略同じ方向にされている。さらに、第2の灯具ユニット67からの光の照射方向S2と第3の灯具ユニット68からの光の照射方向S3とは左右方向においては異なる方向にされている。
【0151】
また、第1の灯具ユニット66は第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68より下方側に位置され、第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68は第1の灯具ユニット66よりカバー53に近付いて位置されている(
図12参照)。
【0152】
尚、航空機用灯具51にあっては、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68の何れもが上下方向において異なる位置に配置されていてもよい。
【0153】
また、上記には、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68からの光の照射方向S1、S2、S3が何れも異なる方向にされた例を示したが、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68のうち何れか二つの灯具ユニットからの光の照射方向が異なる方向にされていてもよい。
【0154】
第1の灯具ユニット66は左右方向において第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68より垂直尾翼300に近い位置に配置され、第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68は、例えば、左右方向において垂直尾翼300との距離が同じ位置に配置されている。第1の灯具ユニット66は垂直尾翼300に近い位置に配置された近方灯具ユニットとされ、第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68は垂直尾翼300に遠い位置に配置された遠方灯具ユニットとされる。
【0155】
ランプハウジング52の底面部56には、例えば、アルミニウム等の金属材料によって形成された基板ケース84が取り付けられている(
図11及び
図12参照)。基板ケース84は上方に開口された箱状に形成され、上端面が底面部56の下面に取り付けられランプハウジング52における放熱フィン62、62、・・・の側方に位置されている。基板ケース84の下端部は放熱用のフィン部84a、84a、・・・として前後に並んで設けられている。
【0156】
基板ケース84の内部には制御基板85が配置されている。制御基板85は第1の灯具ユニット66における第1の半導体発光素子74、74、・・・の点消灯と第2の灯具ユニット67における第2の半導体発光素子78、78、・・・の点消灯と第3の灯具ユニット68における第3の半導体発光素子82、82、・・・の点消灯とを制御する機能を有している。制御基板85はスペーサー86、86、・・・を介して基板ケース84の底板部に取り付けられている。制御基板85には上下両側にそれぞれ図示しない電子部品が搭載されている。
【0157】
制御基板85に発生する熱は、主として、フィン部84a、84a、・・・から外部に放出される。
【0158】
上記のように、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68と制御基板85がランプハウジング52に取り付けられた状態において、図示しない接続コードによって第1の灯具ユニット66の第1の基板73、第2の灯具ユニット67の第2の基板77及び第3の灯具ユニット68の第3の基板81とが制御基板85に接続され制御基板85がコネクターに接続される。
【0159】
従って、電源回路からコネクター及び制御基板85を経て第1の基板73、第2の基板77又は第3の基板81を介して第1の半導体発光素子74、74、・・・、第2の半導体発光素子78、78、・・・又は第3の半導体発光素子82、82、・・・に電源が供給される。
【0160】
航空機用灯具51においては、第1の半導体発光素子74、74、・・・と第2の半導体発光素子78、78、・・・と第3の半導体発光素子82、82、・・・に電源回路から、例えば、同時に電源が供給される。
【0161】
第1の半導体発光素子74、74、・・・に電源が供給されると、第1の半導体発光素子74、74、・・・から光が出射され、出射された光がそれぞれ第1のリフレクター75の反射部75a、75a、・・・で反射されて制御レンズ70によって制御され、垂直尾翼300の被照射面301における上端側のエリアDに照射される(
図16参照)。従って、近方灯具ユニットとして設けられた第1の灯具ユニット66から照射される光によって垂直尾翼300の上方側のエリアであるエリアDが照明される。
【0162】
また、第2の半導体発光素子78、78、・・・に電源が供給されると、第2の半導体発光素子78、78、・・・から光が出射され、出射された光がそれぞれ第2のリフレクター79の反射部79a、79a、・・・で反射されて制御レンズ70によって制御され、垂直尾翼300の被照射面301における下端側のエリアEに照射される。従って、遠方灯具ユニットとして設けられた第2の灯具ユニット67から照射される光によって垂直尾翼300の下方側のエリアであるエリアEが照明される。
【0163】
さらに、第3の半導体発光素子82、82、・・・に電源が供給されると、第3の半導体発光素子82、82、・・・から光が出射され、出射された光がそれぞれ第3のリフレクター83の反射部83a、83a、・・・で反射されて制御レンズ70によって制御され、垂直尾翼300の被照射面301における下端側のエリアFに照射される。エリアFは、例えば、エリアEの前側の領域である。従って、遠方灯具ユニットとして設けられた第3の灯具ユニット68から照射される光によって垂直尾翼300の下方側のエリアであるエリアFが照明される。
【0164】
また、第2の灯具ユニット67からは光が斜め前方へ向けて照射され、第3の灯具ユニット68からは光が斜め後方へ向けて照射され、遠方灯具ユニットとして設けられた第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68からは光が交差する状態で照射される。
【0165】
上記のように航空機用灯具51においては、第1の灯具ユニット66の制御レンズ70によって制御された光が垂直尾翼300の被照射面301における上端側のエリアDに照射され、第2の灯具ユニット67の制御レンズ70によって制御された光が垂直尾翼300の被照射面301の下端側のエリアEに照射され、第3の灯具ユニット68の制御レンズ70によって制御された光が垂直尾翼300の被照射面301の下端側のエリアFに照射される。従って、第1の半導体発光素子74、74、・・・と第2の半導体発光素子78、78、・・・と第3の半導体発光素子82、82、・・・から出射された光によってロゴが付されている垂直尾翼300における被照射面301の全体の照明が行われる。
【0166】
ところで、航空機は自動車等の車輌と比較して機体が大きいことが多く、照明が必要とされるエリアに応じて効率的な照明が行われることが望まれている。また、このような効率的な照明を行う構造として、簡素な構造にされ小型化が図られることも望まれている。
【0167】
しかしながら、特許文献1に記載されたような多数の灯具ユニットが縦横に並んで配置された構造では、広範囲のエリアに対する照明を行うことは可能であるが、照明を行うエリアの大きさや位置に応じて灯具ユニットの数を増減させる必要が生じ、効率的な照明を行うことが困難になってしまう。
【0168】
特に、ロゴ灯等のように航空会社のロゴの大きさや位置に応じて照明すべきエリアが変化する航空機用灯具においては、不必要なエリアの照明を行う可能性が生じ、効率的な照明状態を確保することができなくなる。
【0169】
また、多数の灯具ユニットが縦横に並んで配置された構造では、小型化及び構造の簡素化を図ることも困難になってしまう。
【0170】
そこで、以上に記載した通り、航空機用灯具51にあっては、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68にそれぞれ複数の第1の半導体発光素子74と複数の第2の半導体発光素子78と複数の第3の半導体発光素子82が設けられると共に光を制御する制御レンズ70、70、70が設けられ、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68における第1の半導体発光素子74、74、・・・と第2の半導体発光素子78、78、・・・と第3の半導体発光素子82、82、・・・が各別に点消灯制御可能にされている。
【0171】
従って、各灯具ユニットに複数の半導体発光素子がそれぞれ設けられると共に複数の半導体発光素子の点消灯が各別に行われるため、構造の簡素化及び小型化を確保した上で効率的な照明を行うことができる。
【0172】
特に、ロゴ灯等のように航空会社のロゴの大きさや位置に応じて照明すべきエリアが変化する場合に、各半導体発光素子の点消灯制御により照明が必要な部分のみ照明を行うことが可能になり、不必要なエリアの照明を行うことがなく、照明するエリアに応じた効率的な照明状態を確保することができる。
【0173】
また、近方灯具ユニットとして設けられた第1の灯具ユニット66から照射される光によって垂直尾翼の上方側のエリアDの照明が行われ、遠方灯具ユニットとして設けられた第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68から照射される光によって垂直尾翼の下方側のエリアE、Fの照明が行われる。
【0174】
従って、下方側のエリアE、Fへ向けて照射される光がランプハウジング52によって遮蔽され難くなり、被照射面301における下方側のエリアE、Fを効率的に照射することができる。
【0175】
さらに、それぞれ遠方灯具ユニットとして設けられた第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68から光が交差する状態で照射されるため、照射される光がランプハウジング52によって遮蔽され難くなると共に照明方向における自由度が高くなり、照明すべきエリアに対して効率的かつ高輝度で照明を行うことができる。
【0176】
さらにまた、航空機用灯具51にあっては、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68のうち少なくとも二つの灯具ユニットからの光の照射方向が異なる方向にされている。
【0177】
従って、配置空間55に配置された第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68のうち少なくとも二つの灯具ユニットから異なる方向へ光が照射されるため、各灯具ユニットから異なる方向へ向けて光を照射することが可能になり、構造の簡素化を確保した上で広範囲のエリアに対する効率的な照明を行うことができる。
【0178】
また、第1の半導体発光素子74、74、・・・と第2の半導体発光素子78、78、・・・と第3の半導体発光素子82、82、・・・のうち少なくとも二つの半導体発光素子の配列状態が異なる。
【0179】
従って、半導体発光素子の配列状態が異なる灯具ユニット毎に光の照射エリアや照射範囲を変化させることが可能になり、必要な照射範囲を効率的に照射することができる。
【0180】
さらに、第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82にはそれぞれ第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82から出射された光を制御レンズ70、70、70へ向けて各別に反射する複数の反射部75a、79a、83aを有する第1のリフレクター75と第2のリフレクター79と第3のリフレクター83が設けられている。
【0181】
従って、光が各反射部75a、79a、83aで反射されて制御レンズ70、70、70へ向かうため、第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82から出射された光が制御レンズ70、70、70に入射され易くなり、光の利用効率の向上を図ることができる。
【0182】
また、光の利用効率の向上が図られるため、必要な照度を確保するための第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82の数が少なくて済み、第1の半導体発光素子74と第2の半導体発光素子78と第3の半導体発光素子82の数を減らすことにより航空機用灯具51の小型化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0183】
さらにまた、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68において、ランプハウジング52に対するカバー53の取付方向である上下方向において少なくとも二つの灯具ユニットの位置が異なる。
【0184】
従って、ランプハウジング52に対するカバー53の取付方向において異なる位置に配置された灯具ユニットからそれぞれ光が照射される。これにより、各灯具ユニットから照射される光の照射領域を容易に異ならせることが可能になり、必要な照射エリアに対して効率的な照明を行うことができる。
【0185】
特に、下方側のエリアE、Fへ向けて光を照射する第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68が上方側のエリアDへ向けて光を照射する第1の灯具ユニット66よりカバー53に近付いて位置されているため、下方側のエリアE、Fへ向けて照射される光がランプハウジング52によって遮蔽され難くなり、被照射面301における下方側のエリアE、Fを効率的に照射することができる。
【0186】
尚、上記には、第1の灯具ユニット66と第2の灯具ユニット67と第3の灯具ユニット68の三つの灯具ユニットが設けられた例を示したが、航空機用灯具51に設けられる灯具ユニットの数は三つに限られることはなく、複数であれば任意である。
【符号の説明】
【0187】
1…航空機用灯具、2…ランプハウジング、3…カバー、4…灯具外筐、5…配置空間、9…ユニット収納部、9a…挿脱口、19…第1の光源ユニット、20…第2の光源ユニット、21…基板、22…第1の光源、23…第1のインナーレンズ、26…第1の制御レンズ部、28…基板、29…第2の光源、30…第2のインナーレンズ、33…第2の制御レンズ部、33a…第1の方向制御部、33b…第2の方向制御部、35…制御ユニット、37…第1の制御基板、38…第2の制御基板、39…遮蔽板、40…取付板、42…電子部品、45…電子部品、46…伝熱シート、51…航空機用灯具、52…ランプハウジング、53…カバー、54…灯具外筐、55…配置空間、66…第1の灯具ユニット、67…第2の灯具ユニット、68…第3の灯具ユニット、70…制御レンズ、72…第1の光源モジュール、73…第1の基板、74…第1の半導体発光素子、75…第1のリフレクター、75a…反射部、76…第2の光源モジュール、77…第2の基板、78…第2の半導体発光素子、79…第2のリフレクター、79a…反射部、80…第3の光源モジュール、81…第3の基板、82…第3の半導体発光素子、83…第3のリフレクター、83a…反射部、301…被照射面