(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】硬質ポリウレタンフォームの製造
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20240325BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240325BHJP
【FI】
C08G18/00 G
C08G18/00 L
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021539556
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019085264
(87)【国際公開番号】W WO2020144004
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン グロース
(72)【発明者】
【氏名】ヨープスト グリミンガー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フェレンツ
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-003565(JP,A)
【文献】特開平04-018431(JP,A)
【文献】特開昭57-212219(JP,A)
【文献】特開2012-001574(JP,A)
【文献】特開平05-255468(JP,A)
【文献】特開平08-156143(JP,A)
【文献】特開2005-171102(JP,A)
【文献】特開昭63-227614(JP,A)
【文献】特開昭62-167313(JP,A)
【文献】特開2009-046652(JP,A)
【文献】特開2008-169368(JP,A)
【文献】特開2008-168281(JP,A)
【文献】特開2007-186551(JP,A)
【文献】国際公開第2010/073651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00- 18/87
C08G 101:00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンフォームを製造するための組成物であって、前記組成物は、少なくとも1つのイソシアネート成分と、ポリオール成分と、任意に、ウレタン結合またはイソシアヌレート結合の形成を触媒する触媒と、任意に発泡剤と、任意にポリアルキルシロキサンとを含み、前記組成物は、標準圧力で>100℃の沸点を有する炭化水素HCと、ポリエーテル修飾シロキサンとをさらに含み、前記炭化水素HCは、デセン、ドデセン、ドデカン、テトラデカン、トリブテン、トリブタン、テトラブテン、テトラブタン、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキルベンゼンおよび/またはオキソ油であり、前記炭化水素HCは、1:5~1:200の重量比でポリエーテル修飾シロキサンと組み合わせて使用され、かつ、ポリオール成分100重量部に対する、炭化水素HCとポリエーテル修飾シロキサンと任意のポリアルキルシロキサンとの総量の重量割合は、0.1~10pphpである、組成物。
【請求項2】
前記組成物は、ポリアルキルシロキサンをさらに含み、前記ポリアルキルシロキサンは、前記ポリエーテル修飾シロキサンに対して、1:5~1:200の重量比で使用される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリアルキルシロキサンは、20個未満のSi原子を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリアルキルシロキサンは、式(1):
M
aD
bT
cQ
d (式1)
を満たし、ここで、
Mは、R
11R
12R
13SiO
1/2であり、
Dは、R
14R
15SiO
2/2であり、
Tは、R
16SiO
3/2であり、
Qは、SiO
4/2であり、
R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16は、1~12個の炭素原子を有する同一のもしくは異なる炭化水素基、またはHであり、ここで、前記炭化水素基は、ヘテロ原子で置換されていてもよく、
a=2~6であり、
b=0~8であり、
c=0~4であり、
d=0~2であるが、
ただし、a+b+c+d<20である、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
c+d>0.5である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
d=0でかつc>0.5である、請求項4または5記載の組成物。
【請求項7】
c+d<0.5である、請求項4記載の組成物。
【請求項8】
R
16は、R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15とは異なり、
かつ/または
R
11、R
12およびR
13は異なる、請求項4から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
1つ以上のポリオール成分と1つ以上のイソシアネート成分との反応による硬質ポリウレタンフォームの製造方法であって、前記反応を、炭化水素HCと、ポリエーテル修飾シロキサンと、任意にポリアルキルシロキサンとの存在下で、請求項1記載の組成物を使用して行うことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記炭化水素HCと、ポリエーテル修飾シロキサンと、任意のポリアルキルシロキサンとの成分を、硬質PUフォームの製造のために反応混合物に別個にまたは一緒に供給する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
硬質ポリウレタン発泡物質を製造するための、請求項1記載の組成物を使用した、炭化水素HCと、ポリエーテル修飾シロキサンと、任意のポリアルキルシロキサンとの組合せ物の使用。
【請求項12】
泡安定剤としての、請求項11記載の使用。
【請求項13】
前記発泡物質の断熱特性を改善するための、請求項11記載の使用。
【請求項14】
遮断板および/または断熱材としての、
請求項9または10記載の方法によって得られる、硬質ポリウレタン発泡物質の使用。
【請求項15】
冷却装置への、請求項
14記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの分野に属する。本発明は、特に、特定のシロキサン化合物を炭化水素と組み合わせて使用した硬質ポリウレタンフォームの製造、およびそれにより製造されたフォームの使用に関する。
【0002】
本発明におけるポリウレタン(PU)とは、特に、ポリイソシアネートとポリオール、またはイソシアネート反応性基を有する化合物との反応によって得られる生成物を意味すると理解される。ここで、ポリウレタンに加えて、例えばウレトジオン、カルボジイミド、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、尿素および/またはウレトイミンなどのさらなる官能基も形成され得る。したがって、PUは、本発明の趣意においては、ポリウレタンだけでなく、ポリイソシアヌレート、ポリ尿素、ならびにウレトジオン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビウレット基およびウレトイミン基を有するポリイソシアネート反応生成物をも意味すると理解される。本発明において、ポリウレタンフォーム(PUフォーム)とは、特に、ポリイソシアネートおよびポリオールまたはイソシアネート反応性基を有する化合物をベースとする反応生成物として得られるフォームを意味すると理解される。ここで、ポリウレタンと呼ばれるものに加えて、例えばアロファネート、ビウレット、尿素、カルボジイミド、ウレトジオン、イソシアヌレートまたはウレトイミンなどのさらなる官能基も形成され得る。
【0003】
硬質ポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡物質の製造には、通常は泡安定化添加剤が使用され、これにより微細気泡性の均一で欠陥の少ないフォーム構造が得られ、ひいては硬質発泡物質の性能特性、特に断熱性能に対して大いに良好な影響が及ぼされる。ポリエーテル修飾シロキサンベースの界面活性剤は特に効果的であり、したがって、これは好ましい泡安定剤タイプである。
【0004】
この場合、炭化水素が発泡剤としてよく使用される。この場合、好ましくは、3~7個の炭素を有する化合物が使用される。なぜならば、これらの化合物は沸点が適切な温度範囲内にあるため、発泡プロセスで蒸発し、体積の増加、つまり泡の形成に寄与するためである。完成フォームにおいて、これらの発泡剤は、なおも気泡ガスとしてフォーム内に含まれている。
【0005】
シロキサンベースの添加剤の使用に関する様々な刊行物がすでに公開されている。ここで、硬質フォーム用途では、通常はポリエーテルシロキサン泡安定剤(PES)が使用される。
【0006】
欧州特許第0570174号明細書には、有機発泡剤、特にCFC-11などのハイドロクロロフルオロカーボンを使用した硬質ポリウレタンフォームの製造に適したポリエーテルシロキサンが記載されている。
【0007】
欧州特許出願公開第0533202号明細書には、SiC結合ポリアルキレンオキシド基を有し、例えばHCFC-123などのハイドロクロロフルオロカーボンを発泡剤として使用した場合に適しているポリエーテルシロキサンが記載されている。
【0008】
欧州特許第0877045号明細書には、この製造方法について類似の構造が記載されているが、比較的高分子量であり、かつシロキサン鎖に2つのポリエーテル置換基の組合せを有するという点で前述の泡安定剤とは異なる。
【0009】
欧州特許出願公開第1544235号明細書には、硬質PUフォーム用途の典型的なポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここでは、混合モル質量が450~1000g/モルであり、エチレンオキシド含有量が70~100モル%である、60~130個のケイ素原子と、異なるポリエーテル置換基Rとを有するシロキサンが使用されている。
【0010】
中国特許出願公開第103055759号明細書には、気泡の開放性の改善をもたらすポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。このシロキサンには少なくとも18個のSi単位が含まれており、様々なタイプの側鎖が修飾に使用されている。
【0011】
欧州特許出願公開第1873209号明細書には、燃焼性が改善された硬質PUフォームを製造するためのポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここでは、シロキサンには10~45個のSi原子が含まれており、ポリエーテル側鎖は少なくとも90%がエチレンオキシド単位からなる。
【0012】
欧州特許出願公開第2465891号明細書には、ポリエーテル側鎖の一部がOH基を有するポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここでは、シロキサンは少なくとも10個のSi原子を含む。
【0013】
欧州特許出願公開第2465892号明細書には、ポリエーテル側鎖が主に第二級OH末端基を有するポリエーテル修飾シロキサンが記載されている。ここでも、シロキサンは少なくとも10個のSi原子を含む。
【0014】
独国特許発明第3234462号明細書には、軟質フォーム、特に軟質成形フォームで使用するためのシロキサンが記載されている。ここでは、ポリエーテル修飾シロキサン(PES)とポリジメチルシロキサンとの組合せが記載されており、PESは、4~15個のSi単位を含む。ここでは、硬質フォームでの使用については記載されていない。
【0015】
最大で7個の炭素を有する炭化水素の使用は、多くの文献に記載されている。
【0016】
米国特許出願公開第20110218259号明細書には、例えば冷却ユニットまたはパネルの製造に際して必要とされるような、流動性が改善された硬質PUフォーム系におけるシクロペンタンの使用が記載されている。
【0017】
欧州特許出願公開第421269号明細書には、シクロペンタン、ならびにシクロペンタンおよびシクロヘキサンおよび沸点が35℃未満である最大で4つの炭素を有する様々な炭化水素およびエーテルおよびフルオロアルカンの混合物の使用が記載されている。したがって、ここで使用されているのは、PU発泡時にすべて蒸発し、したがって発泡剤として機能する炭化水素である。
【0018】
国際公開第2016202912号には、発泡剤としての様々な炭化水素ならびにエーテル、ケトン、エステル、アセタールおよびフルオロアルカンが記載されている。有利には、沸点は50℃以下である。
【0019】
中国特許出願公開第101880452号明細書には、ポリオール100部に対して10~30部の量でフィラーとして使用される相間移動材料としての、14~21個の炭素を有するアルカンの使用が記載されている。ここでは、その熱伝導率に関して、これを用いて製造されたPUフォームの品質への影響については記載されていない。
【0020】
特開平09-165427号公報には、特にペンタンが発泡剤として使用される場合に、ポリオール混合物の貯蔵安定性を改善するのに役立つ、9~12個の炭素を有するアルカンの使用が記載されている。ポリオール100部に対して1~10部のアルカンが使用される。ここでは、その熱伝導率に関して、これを用いて製造されたPUフォームの品質への影響については記載されていない。
【0021】
米国特許出願公開第20070066697号明細書には、10~70個の炭素を有する炭化水素の使用により改善された圧縮硬さが得られる軟質PUフォームが記載されている。供給量は、0.01~100pphp、1~25、2~8pphpである。ここでは硬質フォームは記載されていない。
【0022】
特開平04-018431号公報には、ラムダ値に関してフォームの老化を改善するとされている、0.1~10pphpの量で硬質PUフォームに添加されるパラフィンまたは他の炭化水素などの非反応性成分の使用が記載されている。ここでの実施例は、パラフィンを添加するとラムダの初期値が悪化することを示している。
【0023】
ポリエーテル修飾を含まないシロキサンは、主に軟質ポリウレタンフォーム、特に成形フォームにおいて添加剤として知られている。
【0024】
この例は、N=12までの鎖長を有する軟質フォーム用のポリジメチルシロキサンが記載されている独国特許出願公開第2533074号明細書、好ましくは7~9個のSi原子を有する軟質フォーム用のポリジメチルシロキサンが記載されている欧州特許出願公開第1095968号明細書、5~16個のSi原子を含むアルキルアリール修飾シロキサンを使用したコールドキュアフォームの製造が記載されている独国特許発明第4444898号明細書である。独国特許発明第3215317号明細書には、アリルグリシジルエーテルで修飾した後にアミンと反応させるシロキサンを使用したコールドキュアフォームの製造が記載されている。ここでも、シロキサンには最大で10個のSi原子が含まれている。欧州特許出願公開第0258600号明細書には、3~20個のSi単位と1~8個の側鎖修飾とを有するクロロプロピル修飾シロキサンを含むコールドキュアフォームが記載されている。
【0025】
しかし、これらの文献のいずれにも、硬質PUフォームでの使用は記載されていない。
【0026】
欧州特許出願公開第2368927号明細書には、発泡剤としてCO2を使用し、かつ2つの異なるポリオールタイプを使用した硬質PUフォームの製造が記載されており、ここで、これらのポリオールタイプは、一方はノボラックおよびアルキレンオキシドから製造されたフェノール樹脂をベースとし、もう一方は芳香族アミンのアルコキシル化によって製造された芳香族アミンポリオールをベースとしている。ここでは、通常のPESだけでなく、特にヘキサメチルジシロキサンなどのポリジメチルシロキサンを使用することもできる。
【0027】
本発明の課題は、特に、低い熱伝導率および/または良好な表面品質などの特に有利な性能特性を有する硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質を提供することであった。
【0028】
驚くべきことに、特定の炭化水素HCと、ポリエーテル修飾シロキサン(PES)とを組み合わせて使用することで、この課題を解決することができ、かつ性能特性(特に、ラムダ値など)が改善された硬質フォームが製造されることが判明した。特に、低い熱伝導率および/または良好な表面品質が可能となる。優れた微細気泡性が可能となる。フォームの欠陥を低減することができる。
【0029】
したがって、本発明により、例えば断熱パネルや冷却ユニットといった、硬質PUフォームをベースとする製品をより高品質で製造することや、製造プロセスをより効率的にすることが可能となる。
【0030】
本発明による炭化水素HCをごくわずかに添加するだけで、ポリエーテル修飾シロキサンと相互作用して、相応する改善が可能となる。
【0031】
本発明の特に好ましい実施形態において、さらにポリアルキルシロキサン(PAS)も使用され、したがってその場合には、炭化水素(HC)と、ポリアルキルシロキサン(PAS)と、ポリエーテル修飾シロキサン(PES)との混合物あるいは組合せ物が使用される。
【0032】
本発明による炭化水素HCは、100℃を超える、好ましくは150℃を超える沸点を有する。飽和炭化水素のみならず、不飽和の、さらには芳香族の炭化水素も使用することができる。炭化水素HCは、分岐状であっても非分岐状であってもよい。
【0033】
好ましい炭化水素HCは、本発明の好ましい実施形態によれば、オレフィン、パラフィン、イソパラフィン、またはアルキルベンゼンである。そのような材料は、例えば以下の商品名でSasol社より入手可能である:HF-1000、LINPAR、SASOLAB、PARAFOL。
【0034】
本発明による炭化水素HCは、好ましくは、10~24個の炭素原子を有する炭化水素(分岐状、非分岐状、飽和、不飽和または芳香族)である。
【0035】
これらは、例えば、独国特許出願公開第102008007081号明細書および独国特許出願公開第102013212481号明細書に記載されているように、オレフィンのオリゴマー化によって製造することができる。
【0036】
同様に、欧州特許第1515934号明細書および欧州特許出願公開第2947064号明細書に記載されているようなオキソアルコールの製造時に得られる対応する物質流を使用することも可能である。
【0037】
本発明による非常に特に好ましい炭化水素HCは、デセン、ドデセン、ドデカン、テトラデカン、トリブテン、トリブタン、テトラブテン、テトラブタン、少なくとも10個の炭素原子を有するアルキルベンゼンおよび/またはオキソ油である。
【0038】
ポリエーテル修飾シロキサン(PES)について、以下に詳説する。ポリエーテル修飾シロキサンとして、硬質PUフォームの製造に適した従来技術による既知の構造を使用することができる。これらは当業者に知られている。
【0039】
好ましく使用することができるポリアルキルシロキサン(PAS)について、以下に詳説する。ポリアルキルシロキサン(PAS)の使用は、本発明では任意であるが、有利には、ポリアルキルシロキサン(PAS)の使用は、必須である。すなわち、有利には、ポリアルキルシロキサン(PAS)が使用される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、任意に使用可能なポリアルキルシロキサンは、20個未満、好ましくは15個未満、特に好ましくは11個未満のSi原子を含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、任意に使用可能なポリアルキルシロキサンは、1:5~1:200の重量比でポリエーテル修飾シロキサンと組み合わせて使用される。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、炭化水素HC、ポリエーテル修飾シロキサンおよび任意のポリアルキルシロキサンは、別個に、または混合物として、被発泡材料に添加することができる。
【0043】
任意のポリアルキルシロキサンが別個に添加される場合、この添加は、好ましくは分散媒(溶媒)において行われる。有用な分散媒としては、例えばグリコール、アルコキシレート、または合成および/もしくは天然由来の油が挙げられる。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、任意のポリアルキルシロキサンは、式(1):
MaDbTcQd (式1)
に従い、ここで、
Mは、R11R12R13SiO1/2であり、
Dは、R14R15SiO2/2であり、
Tは、R16SiO3/2であり、
Qは、SiO4/2であり、
R11、R12、R13、R14、R15、R16は、1~12個の炭素原子を有する同一のもしくは異なる炭化水素基、またはHであり、ここで、これらの炭化水素基は、ヘテロ原子で置換されていてもよく、
好ましくは、1~8個の炭素原子を有する同一のもしくは異なる炭化水素基、またはHであり、ここで、これらの炭化水素基は、ヘテロ原子で置換されていてもよく、
特に好ましくは、フェニル基、CH3-基、CH3CH2-基、CH2CH-ClCH2CH2CH2-基、およびH-基であり、
a=2~6であり、
b=0~8であり、
c=0~4であり、
d=0~2であるが、
ただし、a+b+c+d<20、好ましくは<15、特に好ましくは<11である。
【0045】
好ましくは、c+d>0.5、特に好ましくはc+d≧1である。
【0046】
さらに特に好ましい実施形態において、d=0でかつc>0.5であり、特にd=0でかつcは1以上である。
【0047】
さらに好ましい実施形態において、c+d<0.5、特に好ましくはc+d<0.1である。
【0048】
さらに好ましい実施形態において、R16は、R11、R12、R13、R14およびR15とは異なる。
【0049】
さらに好ましい実施形態において、R11、R12、R13は、互いに異なり、したがって、シロキサン中のM単位は、2つまたは3つの異なる基を有する。
【0050】
好ましいポリアルキルシロキサンは、式2:
【化1】
を満たし、ここで、R
11~R
16、およびb、c、dは、上記のとおりである。
【0051】
式2の好ましいポリアルキルシロキサンは、式3または4:
【化2】
を満たし、ここで、b、c、dは、上記のとおりである。
【0052】
好ましいポリアルキルシロキサンは、以下のとおりである:
【化3-1】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
ポリエーテル修飾シロキサンについて、以下により詳細に説明する。本発明では、ポリエーテル修飾シロキサンの使用は必須である。
【0057】
原則として、従来技術から知られているすべてのポリエーテル修飾シロキサンを使用することができる。
【0058】
好ましいポリエーテル修飾シロキサンは、以下の式:
【化4】
で表すことができ、ここで、
nは、互いに独立して、0~500、好ましくは1~300、特に2~150であり、
mは、互いに独立して、0~60、好ましくは1~50、特に1~30であり、
pは、互いに独立して、0~10、好ましくは0または>0~5であり、
kは、互いに独立して、0~10、好ましくは0または>0~5であるが、
ただし、式(1)の1分子について、1分子あたりのT単位の平均数ΣkおよびQ単位の平均数Σpは、それぞれ50以下であり、1分子あたりのD単位の平均数Σnは、2000以下であり、1分子あたりのR
1を有するシロキシ単位の平均数Σmは、100以下であり、
Rは、互いに独立して、1~20個のC原子を有する、直鎖状、環状または分岐状の、脂肪族または芳香族の、飽和または不飽和炭化水素基の群からの少なくとも1つの基であるが、好ましくはメチル基であり、
R
2は、互いに独立して、R
1またはRであり、
R
1は、Rとは異なり、互いに独立して、有機基および/またはポリエーテル基であり、
好ましくは、R
1は、以下の群:
【化5-1】
【0059】
【化5-2】
から選択され、ここで、
x=0~100、有利には>0、特に1~50であり、
x’=0または1であり、
y=0~100、有利には>0、特に1~50であり、
R
6は、互いに独立して、置換されていてもよく、例えばアルキル基、アリール基またはハロアルキルもしくはハロアリール基で置換されている、1~12個のC原子を有するアルキルまたはアリール基であり、1つのR
1基および/または式(1)の1つの分子内に、互いに異なる置換基R
1が存在することができ、
R
7は、互いに独立して、水素基、または1~4個のC原子を有するアルキル基、-C(O)-R
8基(ここで、R
8は、アルキル基である)、-CH
2-O-R
6基、アルキルアリール基、例えば、ベンジル基、または-C(O)NH-R
6基を表し、
R
8は、1~50個、有利には9~45個、好ましくは13~37個のC原子を有する、直鎖状、環状または分岐状の、置換されていてもよい、例えばハロゲンで置換された炭化水素基であり、
R
5は、
【化6】
であり、ここで、Dは、2~50個、有利には3~45個、好ましくは4~37個のC原子を有する、直鎖状、環状または分岐状の、置換されていてもよい、例えば、O、Nまたはハロゲンなどのヘテロ原子で置換された、飽和または不飽和炭化水素基であり、
Gは、以下の式:
【化7】
のいずれかに相当し、
zは、0または1であってよく、
ここで、R
1は、架橋していてもよく、これは、式(1)の2つまたは3つのシロキサン構造がR
1を介して互いに結合していてもよいことを意味し、この場合、R
7またはR
8は、相応して二官能性基、すなわちR
5と同じであり、
R
4は、互いに独立して、R、R
1および/またはヘテロ原子で置換された、官能化された、飽和または不飽和の有機基であってよく、これらは、アルキル基、アリール基、クロロアルキル基、クロロアリール基、フルオロアルキル基、シアノアルキル基、アクリルオキシアリール基、アクリルオキシアルキル基、メタクリルオキシアルキル基、メタクリルオキシプロピル基、またはビニル基の群から選択されるが、
ただし、R
1、R
2、およびR
4のうちの少なくとも1つの置換基は、Rと同じではない。
【0060】
R3は、T単位およびQ単位によって形成できるシロキサン側鎖を表す。これらの分岐の位置を正確に制御することはできないため、R3についての式(1)において再びR3が出現する。したがって、例えばデンドリマーの場合のように、ハイパーブランチ構造を得ることができる。
【0061】
特に好ましいポリエーテル修飾シロキサンは、式5:
【化8】
を満たし、ここで、
R
1は、同じかまたは異なって、
【化9】
であるか、またはC
8~C
22-アルキル基であり、
R
2は、同じかまたは異なって、-CH
3、またはR
1であり、
n+m+2=10~150、有利には25~120であり、
m=0~25、有利には0.5~15であり、
w=2~10、有利には3であり、
x+y=1~30、有利には5~25であり、
R
6は、同じかまたは異なって、-CH
3、-CH
2CH
3、またはフェニル基であり、
R
5は、同じかまたは異なって、H、アルキル基、またはアシル基であり、有利には、-H、-CH
3、または-COCH
3であり、
ここで、x+yが3より大きい基が少なくとも1つ含まれている必要がある。
【0062】
好ましい実施形態において、少なくとも1つのR2基は、R1と同じである。
【0063】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式5[式中、オキシエチレン単位のモル分率は、オキシアルキレン単位の少なくとも70%を占め、すなわち、x/(x+y)>0.7である]のポリエーテル修飾シロキサンが使用される。さらに、ポリオキシアルキレン鎖がその末端に水素またはメチル基を有し、それと同時にオキシエチレン単位のモル分率は、オキシアルキレン単位の最大で70%を占め、すなわちx/(x+y)<0.7であり、かつR5が、水素またはメチル基を表す場合にも有利であり得る。
【0064】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(5)[式中、ヒドロシリル化の際に特にオレフィンが使用され、それにより、R1は、少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%が、CH2-R8からなり、ここで、R8は、9~17個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の炭化水素である]のポリエーテルシロキサンが使用される。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(5)[式中、シロキサン上の末端位置(α位およびω位とも呼ばれる)は、少なくとも部分的にR1基で官能化されている]のポリエーテルシロキサンが使用される。この場合、末端位置の少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも30モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%が、R1基で官能化されている。
【0066】
本発明の特に好ましい実施形態において、式(5)[式中、統計的平均で、シロキサンの総平均モル質量の最大で50%、好ましくは最大で45%、特に好ましくは最大で40%を、シロキサン中の、異なっていてもよいすべてのR1基の合計モル質量が占めている]のポリエーテルシロキサンが使用される。
【0067】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(5)[式中、添え字nを有する構造要素の数が、添え字mを有する構造要素よりも多くの数だけ存在し、商n/mは、少なくとも4であり、有利には6より大きく、特に好ましくは7より大きい]のポリエーテルシロキサンが使用される。
【0068】
本発明により使用可能な炭化水素HC、ポリエーテル修飾シロキサンおよび任意のポリアルキルシロキサンはまた、異なる分散媒を有する組成物の一部として使用することもできる。
【0069】
分散媒としては、例えばグリコール、アルコキシレート、または合成および/もしくは天然由来の油が挙げられる。完成ポリウレタンフォーム中の炭化水素HC、ポリエーテル修飾シロキサンおよび任意のポリアルキルシロキサンの総重量割合が、0.01~10重量%、好ましくは0.1~3重量%である場合に、本発明の好ましい実施形態に相当する。
【0070】
本発明の特に好ましい実施形態において、PASの使用は必須であり、その際、有利には、PASおよびPESの以下の組合せが使用される:
a)式3[式中、c+d>0.5である]のPASと、式5[式中、商n/mは、少なくとも4であり、有利には6より大きく、特に好ましくは7より大きい]のPESとの組合せ、
b)式3[式中、c+d>0.5である]のPASと、式5[式中、統計的平均で、シロキサンの総平均モル質量の最大で50%、好ましくは最大で45%、特に好ましくは最大で40%を、シロキサン中の、異なっていてもよいすべてのR1基の合計モル質量が占めている]のPESとの組合せ、
c)式3[式中、c+d>0.5である]のPASと、式5[式中、ポリオキシアルキレン鎖は、その末端に水素またはメチル基を有し、それと同時にオキシエチレン単位のモル分率は、オキシアルキレン単位の最大で70%を占め、すなわちx/(x+y)<0.7であり、かつR5は、水素またはメチル基を表す]のPESとの組合せ、
d)式3[式中、c+d<0.5、特に好ましくはc+d<0.1である]のPASと、式5[式中、商n/mは、少なくとも4であり、有利には6より大きく、特に好ましくは7より大きい]のPESとの組合せ、
e)式3[式中、c+d<0.5、特に好ましくはc+d<0.1である]のPASと、式5[式中、統計的平均で、シロキサンの総平均モル質量の最大で50%、好ましくは最大で45%、特に好ましくは最大で40%を、シロキサン中の、異なっていてもよいすべてのR1基の合計モル質量が占めている]のPESとの組合せ、
または
f)式3[式中、c+d<0.5、特に好ましくはc+d<0.1である]のPASと、式5[式中、ポリオキシアルキレン鎖は、その末端に水素またはメチル基を有し、それと同時にオキシエチレン単位のモル分率は、オキシアルキレン単位の最大で70%を占め、すなわちx/(x+y)<0.7であり、かつR5は、水素またはメチル基を表す]のPESとの組合せ。
【0071】
本発明による炭化水素HCとポリエーテル修飾シロキサンと任意のポリアルキルシロキサンとの組合せは、これらの成分が硬質PUフォームの製造のために反応混合物に別個に供給されるか一緒に供給されるかにかかわらず、以下で「混合物」とも称される。
【0072】
本発明のさらなる主題は、硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質の製造に適した組成物であって、少なくとも1つのイソシアネート成分、少なくとも1つのポリオール成分、少なくとも1つの泡安定剤、少なくとも1つのウレタンおよび/もしくはイソシアヌレート触媒、水および/または発泡剤、および任意に少なくとも1つの難燃剤、および/またはさらなる添加剤を含む組成物において、泡安定剤として、本発明による炭化水素HCとポリエーテル修飾シロキサンと任意のポリアルキルシロキサンとの混合物が含まれていることを特徴とする組成物、該組成物を反応させることによる硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質の製造方法、ならびにそれによって得られる硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質である。
【0073】
さらに、本発明の主題は、遮断板および断熱材としての、本発明による硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質の使用、および本発明による硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質を断熱材料として含む冷却装置である。
【0074】
本発明による炭化水素HCとポリエーテル修飾シロキサンと任意のポリアルキルシロキサンとの混合物は、該混合物を用いることで、良好な微細気泡性および良好な断熱特性を特徴とすると同時にフォームの欠陥がほとんどないポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム、特に硬質フォームを製造することができるという利点を有する。
【0075】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質の製造に適した本発明による好ましい組成物は、少なくとも1つのイソシアネート成分、少なくとも1つのポリオール成分、少なくとも1つの泡安定剤、少なくとも1つのウレタンおよび/もしくはイソシアヌレート触媒、水および/または発泡剤、および任意に少なくとも1つの難燃剤、および/またはさらなる添加剤を含んでおり、本発明による炭化水素HCとポリエーテル修飾シロキサンと任意のポリアルキルシロキサンとの少なくとも1つの混合物が含まれていることを特徴とする。
【0076】
本発明による好ましい組成物は、以下の成分を含む:
a)少なくとも1つのイソシアネート反応性成分、特にポリオール、
b)少なくとも1つのポリイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートプレポリマー、
c)(任意に)ポリオールa)およびb)とイソシアネートc)との反応を加速あるいは制御する触媒、
d)本発明による炭化水素HCとポリエーテル修飾シロキサンと任意のポリアルキルシロキサンとの混合物、
e)1つ以上の発泡剤、
f)さらなる添加剤、フィラー、難燃剤など。
【0077】
本発明による組成物において、ポリオール成分a)100重量部に対する、本発明による混合物(すなわち、炭化水素HC、ポリエーテル修飾シロキサン、および任意のポリアルキルシロキサン)d)の重量割合は、有利には0.1~10pphp、好ましくは0.5~5pphp、特に好ましくは1~3pphpである。
【0078】
本発明の趣意におけるポリオール成分a)として適切なポリオールは、1つ以上のイソシアネート反応性基、有利にはOH基を有するすべての有機物質、およびそれらの配合物である。好ましいポリオールは、ポリウレタン系、特にポリウレタンコーティング、ポリウレタンエラストマー、またはさらには発泡物質の製造に慣習的に使用されるすべてのポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはヒドロキシル基含有脂肪族ポリカーボネート、特にポリエーテルポリカーボネートポリオール、および/または「天然油ベースのポリオール」(NOP)として知られる天然由来のポリオールである。ポリオールは通常、1.8~8の官能基数、および500~15000の範囲の数平均分子量を有する。10~1200mgKOH/gの範囲のOH価を有するポリオールが通常使用される。
【0079】
ポリエーテルポリオールは、既知の方法によって製造することができ、例えば、触媒としてのアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドもしくはアミンの存在下で、好ましくは2つもしくは3つの反応性水素原子を結合形態で含む少なくとも1つのスターター分子を添加してアルキレンオキシドをアニオン重合させることよって、またはルイス酸、例えば五塩化アンチモンもしくは三フッ化ホウ素エーテラートの存在下でのアルキレンオキシドのカチオン重合によって、または複合金属シアン化物触媒作用によって製造することができる。適切なアルキレンオキシドは、アルキレン基に2~4個の炭素原子を含む。例としては、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、および2,3-ブチレンオキシドがあり、エチレンオキシド、および1,2-プロピレンオキシドが有利に使用される。アルキレンオキシドは、個別に、累積的に、ブロック状で、連続して交互に、または混合物として使用することができる。スターター分子として、特に、分子内に少なくとも2つ、有利には2~8個のヒドロキシル基を有するか、または少なくとも2つの第一級アミノ基を有する化合物が挙げられる。スターター分子として、例えば、水、二価、三価、もしくは四価のアルコール、例えばエチレングリコール、プロパン-1,2-および-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油など、高級多官能性ポリオール、特に糖化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マンニトールおよびスクロース、多価フェノール、レゾール、例えばフェノールとホルムアルデヒドとのオリゴマー縮合生成物、およびフェノールとホルムアルデヒドとジアルカノールアミンとのマンニッヒ縮合物、ならびにメラミン、またはアミン、例えばアニリン、EDA、TDA、MDAおよびPMDA、特に好ましくはTDAおよびPMDAを使用することができる。適切なスターター分子の選択は、ポリウレタンの製造において得られるポリエーテルポリオールのそれぞれの適用分野に依存する。
【0080】
ポリエステルポリオールは、好ましくは2~12個の炭素原子を有する多価脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルをベースとする。脂肪族カルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸およびフマル酸である。芳香族カルボン酸の例は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、および異性体のナフタレンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールは、これらの多価カルボン酸と、多価アルコール、有利には2~12個、特に好ましくは2~6個の炭素原子を有するジオールまたはトリオール、好ましくはトリメチロールプロパンおよびグリセリンとの縮合によって得られる。
【0081】
特に好ましい実施形態において、芳香族カルボン酸をベースとするポリエステルポリオールは、ポリオール成分100重量部に対して、50pphpより多く、好ましくは70pphpより多く使用される。
【0082】
さらに非常に特に好ましい実施形態において、ノボラックおよびアルキレンオキシドから製造されたフェノール樹脂をベースとするポリオール、ならびに芳香族アミンのアルコキシル化によって製造された芳香族アミンポリオールをベースとするポリオールは使用されない。このことは、この好ましい実施形態において、ノボラックおよびアルキレンオキシドから製造されたフェノール樹脂をベースとするポリオールが20pphp未満、有利には10pphp未満、特に2pphp未満使用され、最も有利にはまったく使用されず、かつ芳香族アミンのアルコキシル化によって製造された芳香族アミンポリオールをベースとするポリオールがまったく使用されないことを意味する。
【0083】
ポリエーテルポリカーボネートポリオールは、二酸化炭素をカーボネートとして結合形態で含むポリオールである。二酸化炭素は、化学工業の多くのプロセスで副生成物として大量に生成されるため、アルキレンオキシド重合におけるコモノマーとしての二酸化炭素の使用は、商業的観点から特に興味深い。ポリオール中のアルキレンオキシドを二酸化炭素で部分的に置き換えることは、ポリオールの製造コストを大幅に低下させる可能性を有する。さらに、コモノマーとしてのCO2の使用は、この反応が温室効果ガスからポリマーへの転化であることから、環境的観点から非常に有利である。触媒を使用してH官能性スターター物質にアルキレンオキシドおよび二酸化炭素を付加させることによるポリエーテルポリカーボネートポリオールの製造は、長い間知られている。ここでは、様々な触媒系を使用することができ、第1世代は、例えば米国特許第3900424号明細書または米国特許第3953383号明細書に記載されているような、不均一系の亜鉛またはアルミニウム塩であった。さらに、CO2とアルキレンオキシドとの共重合への単核および二核金属錯体の使用に成功している(国際公開第2010/028362号、国際公開第2009/130470号、国際公開第2013/022932号、または国際公開第2011/163133号)。二酸化炭素とアルキレンオキシドとの共重合のための最も重要な触媒系クラスは、DMC触媒とも呼ばれる複合金属シアン化物触媒のクラスである(米国特許第4500704号明細書、国際公開第2008/058913号)。適切なアルキレンオキシドおよびH官能性スターター物質は、上記のような、カーボネート不含のポリエーテルポリオールの製造にも使用されるものである。
【0084】
再生原料をベースとするポリオールである、ポリウレタンフォーム製造用の「天然油ベースのポリオール」(NOP)は、化石資源、すなわち石油、石炭、およびガスの入手可能性の長期的な制限に鑑み、また原油価格の上昇を背景として、重要性を増しており、そのような用途ですでに何度も説明されている(国際公開第2005/033167号、米国特許出願公開第2006/0293400号明細書、国際公開第2006/094227号、国際公開第2004/096882号、米国特許出願公開第2002/0103091号明細書、国際公開第2006/116456号、および欧州特許出願公開第1678232号明細書)。これらの一連のポリオールは、現在、様々なメーカーから市販されている(国際公開第2004/020497号、米国特許出願公開第2006/0229375号明細書、国際公開第2009/058367号)。ベース原料(例えば、大豆油、パーム油、またはヒマシ油)およびその後の後処理に応じて、異なる特性を有するポリオールが得られる。ここでは、実質的に2つの群に区別することができ、すなわち、a)再生原料をベースとするポリオールであって、ポリウレタンの製造に100%使用できるように変更されたもの(国際公開第2004/020497号、米国特許出願公開第2006/0229375号明細書)と、b)再生原料をベースとするポリオールであって、その後処理および特性により、石油化学ベースのポリオールを特定の割合でのみ置き換えることができるもの(国際公開第2009/058367号)とに区別することができる。
【0085】
使用可能なポリオールのさらなるクラスは、いわゆる充填ポリオール(ポリマーポリオール)である。これは、該ポリオールが、固体有機フィラーを固形分が40%以上になるまで分散分配形態で含むことを特徴とする。特にSAN、PHD、およびPIPAポリオールを使用することができる。SANポリオールは、スチレン-アクリロニトリル(SAN)をベースとするコポリマーを分散形態で含む反応性の高いポリオールである。PHDポリオールは、ポリ尿素を同様に分散形態で含む反応性の高いポリオールである。PIPAポリオールは、例えば従来のポリオール中でイソシアネートとアルカノールアミンとをその場で反応させることによって形成されたポリウレタンを分散形態で含む反応性の高いポリオールである。
【0086】
使用可能なポリオールのさらなるクラスは、有利には100:1~5:1、好ましくは50:1~10:1のモル比でポリオールとイソシアネートとを反応させることによりプレポリマーとして得られるものである。そのようなプレポリマーは、有利にはポリマー中に溶解した形態で調製され、その際、ポリオールは、好ましくは、プレポリマーの製造に使用されるポリオールに相応するものである。
【0087】
配合指数として表され、すなわちイソシアネート反応性基(例えば、OH基、NH基)に対するイソシアネート基の化学量論比に100を乗じたものとして表されるイソシアネートとポリオールとの好ましい比は、10~1000の範囲であり、好ましくは40~600の範囲である。指数が100であることは、反応性基のモル比が1:1であることを表す。
【0088】
本発明による好ましい実施形態において、配合指数は、150~550、特に好ましくは200~500の範囲である。これは、好ましい実施形態において、イソシアネート反応性基に対して明らかに過剰のイソシアネート基が存在することを意味する。これにより、イソシアネートの三量化反応が生じ、イソシアヌレートが形成される。これらのフォームタイプは、ポリイソシアヌレート(PIR)フォームとも呼ばれ、燃焼挙動の改善、すなわち難燃性を特徴とする。これらのフォームタイプは、本発明の好ましい主題である。
【0089】
イソシアネート成分b)として、有利には2つ以上のイソシアネート官能基を有する1つ以上の有機ポリイソシアネートが使用される。ポリオール成分として、有利には2つ以上のイソシアネート反応性基を有する1つ以上のポリオールが使用される。
【0090】
本発明の趣意においてイソシアネート成分として適切なイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を含むすべてのイソシアネートである。総じて、自体公知のすべての脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、有利には芳香族の多官能性イソシアネートを使用することができる。特に好ましくは、イソシアネートは、イソシアネートを消費する成分の合計に対して、60~200モル%の範囲で使用される。
【0091】
ここで、例示的に、アルキレン基に4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えば、ドデカン 1,12-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン 1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン 1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン 1,4-ジイソシアネート、および有利にはヘキサメチレン 1,6-ジイソシアネート(HMDI)、脂環式ジイソシアネート、例えばシクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネート、ならびにこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、または略してIPDI)、2,4-および2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、ならびに対応する異性体混合物、有利には芳香族ジ-およびポリイソシアネート、例えばトルエン2,4-および2,6-ジジイソシアネート(TDI)、ならびに対応する異性体混合物、ナフタレンジイソシアネート、ジエチルトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-および2,2’-ジイソシアネート(MDI)とポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗MDI)との混合物、ならびに粗MDIとトルエンジイソシアネート(TDI)との混合物を挙げることができる。有機ジ-およびポリイソシアネートは、個別に、またはそれらの混合物の形態で使用することができる。同様に、ジイソシアネートの対応する「オリゴマー」(イソシアヌレート、ビウレット、ウレトジオンをベースとするIPDI三量体)を使用することもできる。さらに、上述のイソシアネートをベースとするプレポリマーを使用することができる。
【0092】
ウレタン基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、アロファネート基、および他の基を組み込むことによって修飾されたイソシアネート、いわゆる修飾イソシアネートを使用することも可能である。
【0093】
したがって、特に好ましく使用される特に適切な有機ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートの様々な異性体(純粋な形態の、または様々な組成の異性体混合物としての2,4-および2,6-トルエンジイソシアネート(TDI))、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、いわゆる「粗MDI」または「高分子MDI」(MDIの4,4’-異性体に加え、2,4’-および2,2’-異性体、ならびに多核生成物を含む)、ならびに「純MDI」と呼ばれ、主に2,4’-および4,4’-異性体混合物あるいはそのプレポリマーから構成される二核生成物である。特に適切なイソシアネートの例は、例えば、欧州特許出願公開第1712578号明細書、欧州特許出願公開第1161474号明細書、国際公開第00/58383号、米国特許出願公開第2007/0072951号明細書、欧州特許出願公開第1678232号明細書、および国際公開第2005/085310号に記載されており、これらは参照により完全に本明細書に援用される。
【0094】
本発明の趣意における適切な触媒c)は、イソシアネートとOH官能基、NH官能基または他のイソシアネート反応性基との、およびイソシアネート同士の反応を加速することができるすべての化合物である。ここでは、例えば、アミン(環状、非環状のモノアミン、ジアミン、1つ以上のアミノ基を有するオリゴマー)、アンモニウム化合物、有機金属化合物および金属塩であって、有利にはスズ、鉄、ビスマスおよび亜鉛のものを含む、従来技術から知られている通常の触媒を使用することができる。特に複数の成分の混合物を触媒として使用することができる。
【0095】
成分d)として、本発明による混合物(すなわち、炭化水素HC、ポリエーテル修飾シロキサン、および任意のポリアルキルシロキサン)が使用される。
【0096】
硬質フォームにおけるポリエーテル修飾シロキサン(PES)の使用は知られている。ここで、本発明において、泡の生成を促進するもの(安定化、気泡制御、気泡の開放性など)のいずれも使用することができる。これらの化合物は、従来技術から十分に知られている。
【0097】
本発明の趣意において使用可能な対応するPESは、例えば、以下の特許文献に記載されている:
中国特許出願公開第103665385号明細書、中国特許出願公開第103657518号明細書、中国特許出願公開第103055759号明細書、中国特許出願公開第103044687号明細書、米国特許出願公開第2008/0125503号明細書、米国特許出願公開第2015/0057384号明細書、欧州特許出願公開第1520870号明細書、欧州特許出願公開第1211279号明細書、欧州特許出願公開第0867464号明細書、欧州特許出願公開第0867465号明細書、欧州特許出願公開第0275563号明細書。上述のこれらの文献は、参照により援用され、本発明の開示内容の一部を成す。
【0098】
本発明により好ましく使用される任意のポリアルキルシロキサン(PAS)およびポリエーテル修飾シロキサン(PES)、ならびに炭化水素HCは、すでに上述されている。
【0099】
さらに好ましい実施形態によれば、使用される混合物の総量(すなわち、炭化水素HCと、ポリエーテル修飾シロキサンと、任意のポリアルキルシロキサンとの合計)は、完成ポリウレタンに対する重量割合が0.01~10重量%、好ましくは0.1~3重量%となるように計量されている。
【0100】
発泡剤e)の使用は、用いられる発泡プロセスに応じて任意である。化学および物理発泡剤を用いて作業することができる。
【0101】
使用される発泡剤の量に応じて、高密度または低密度のフォームが製造される。例えば、5kg/m3~900kg/m3の密度を有するフォームを製造することができる。好ましい密度は、8~800、特に好ましくは10~600kg/m3、特に30~150kg/m3である。
【0102】
物理発泡剤として、適切な沸点を有する対応する化合物を使用することができる。同様に、例えば水やギ酸といった、NCO基と反応してガスを放出する化学発泡剤を使用することも可能である。発泡剤の例は、液化CO2、窒素、空気、易揮発性液体、例えば、3、4または5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロペンタン、イソペンタンおよびn-ペンタン、ハイドロフルオロカーボン、好ましくはHFC 245fa、HFC 134aおよびHFC 365mfc、ハイドロクロロフルオロカーボン、好ましくはHCFC 141b、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)またはハイドロハロオレフィン、例えば、1234ze、1234yf、1233zd(E)または1336mzz、酸素含有化合物、例えばギ酸メチル、アセトンおよびジメトキシメタン、または塩素化炭化水素、好ましくはジクロロメタンおよび1,2-ジクロロエタンである。
【0103】
本発明の趣意における適切な水分含有量は、水に加えてさらに1つ以上の発泡剤が使用されるか否かに依存する。純粋に水で発泡されたフォームの場合、好ましい値は、典型的には1~20pphpであり、さらに他の発泡剤を使用する場合、好ましい使用量は、通常は0.1~5pphpに減少する。
【0104】
添加剤f)として、従来技術から知られており、かつポリウレタン、特にポリウレタンフォーム材の製造時に使用されるすべての物質を使用することができ、例えば、架橋剤および鎖延長剤、酸化分解に対する安定剤(いわゆる酸化防止剤)、難燃剤、界面活性剤、殺生物剤、気泡微細化添加剤、気泡開放剤、固体フィラー、帯電防止添加剤、核剤、増粘剤、染料、顔料、カラーペースト、香料、乳化剤などを使用することができる。
【0105】
本発明によるPUフォームの製造方法は、既知の方法によって、例えば、手動混合法で、または好ましくは発泡機を用いて実施することができる。発泡機を使用して該方法を実施する場合には、高圧または低圧の機器を使用することができる。本発明による方法は、バッチ式でも連続的でも実施可能である。
【0106】
本発明の趣意における好ましい硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォーム配合物は、5~900kg/m3の密度を提供し、表1に示す組成を有する。
【0107】
【0108】
本発明による方法のさらに好ましい実施形態および構成については、さらに、本発明による組成物に関連してすでに上記で与えられた詳論が参照される。有利には、これらの詳細が当てはまる。
【0109】
本発明のさらなる主題は、上述の方法によって得られる硬質PUフォームである。
【0110】
本発明による好ましい実施形態において、ポリウレタンフォームは、5~900kg/m3、好ましくは8~800、特に好ましくは10~600kg/m3、特に30~150kg/m3の密度を有する。
【0111】
硬質ポリウレタンフォームあるいは硬質PUフォームは、確立された技術用語である。軟質フォームと硬質フォームとの既知の基本的な違いは、軟質フォームは弾性挙動を示すために変形が可逆的であるという点にある。対照的に、硬質フォームは恒久的に変形する。本発明において、硬質ポリウレタン発泡物質は、特にDIN 7726による発泡物質であって、DIN 53 421/DIN EN ISO 604による、有利には≧20kPa、有利には≧80kPa、好ましくは≧100kPa、さらに好ましくは≧150kPa、特に好ましくは≧180kPaの圧縮強さを有するものを意味すると理解される。さらに、有利にも、硬質ポリウレタン発泡物質は、DIN ISO 4590により、50%を超える、有利には80%を超える、特に好ましくは90%を超える独立気泡率を有する。
【0112】
本発明による硬質PUフォームは、断熱材料、有利には遮断板、冷蔵庫、断熱フォーム、ルーフライナー、包装フォーム、もしくは吹付けフォームとして、またはそれらの製造に使用することができる。
【0113】
特に冷蔵倉庫、冷蔵器具および家庭用器具産業において、例えば、屋根および壁用の遮断板の製造に、冷凍品用の容器および貯蔵倉庫内の断熱材料として、ならびに冷蔵および冷凍器具に、本発明によるPUフォームを有利には使用することができる。
【0114】
さらに好ましい適用分野は、自動車の組立、特に自動車のルーフライナー、車体部品、内装トリム、冷蔵車、大型コンテナ、輸送用パレット、包装用ラミネートの製造、家具産業、例えば家具部品、ドア、ライニング、電子機器用途である。
【0115】
本発明による冷却装置は、断熱材料として、本発明によるPUフォーム(ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡物質)を有する。
【0116】
本発明のさらなる主題は、冷却工業、冷却ユニット、建設分野、自動車分野、造船分野および/または電子機器分野における断熱材料としての、遮断板としての、吹付けフォームとしての、単一成分フォームとしての、硬質ポリウレタンフォームの使用である。
【0117】
本発明による主題を以下に例示的に説明するが、本発明はこれらの例示的な実施形態に限定されるものではない。以下に範囲、一般式、または化合物クラスが示されている場合、これらは、明示的に言及されている対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を抽出して得られるすべての部分範囲および化合物の部分群をも含むものとする。さらに、本明細書で文献が引用されている場合、その内容、特に該文献が引用されている文脈での状況に関する内容は、完全に本発明の開示内容の一部を構成するものとする。特に記載がない限り、パーセントの数値は、重量パーセントの数値である。以下に平均値が示されている場合、特に記載がない限り、重量平均である。測定により決定されたパラメータが以下に示されている場合、特に記載がない限り、測定は、温度25℃、圧力101,325Paで行った。
【0118】
以下に示す実施例は、本発明を例示的に説明するものである。本発明の適用範囲は明細書全体および特許請求の範囲から明らかであり、本発明は、実施例に挙げられた実施形態に限定されるものではない。
【0119】
実施例
ポリエーテル修飾シロキサン(PES)として、以下の材料を使用した。
【0120】
国際公開第2011/012390号、例4に記載されているPES No.1
国際公開第2011/012390号、例5に記載されているPES No.2
欧州特許出願公開第1544235号明細書、例14に記載されているPES No.3。
【0121】
本発明による炭化水素(HC)として、以下の材料を使用した:
【表2】
【0122】
ポリアルキルシロキサン(PAS)として、上記で定義したとおりの式(1)MaDbTcQdに相応する以下の材料を使用した。これらを、表3にまとめた。
【0123】
【0124】
硬質PUフォームの本発明による製造のために、ポリエーテル修飾シロキサンを、様々な炭化水素およびポリアルキルシロキサンと混合して、あるいは組み合わせて使用した。
【0125】
ここで、表4にまとめられている以下の混合物を使用した。
【0126】
ポリエーテルシロキサン(PES)と炭化水素(HC)との以下の混合物を製造した。
【0127】
【0128】
さらに、PESおよびHCの双方をPASと組み合わせた。
【0129】
【0130】
組成に従って、本発明による混合物を、以下の発泡試験において、対応する本発明によらないポリエーテルシロキサンと比較する。
【0131】
PES No.1を、混合物1~2と比較する。
【0132】
PES No.2を、混合物3~6、および20~22と比較する。
【0133】
PES No.3を、混合物7~19、および23~29と比較する。
【0134】
フォームを製造するために、以下の原料を使用した。
【0135】
Stepanpol PS 2352:Stepan社製ポリエステルポリオール
Stepanpol PS 2412:Stepan社製ポリエステルポリオール
Terate HT 5511:Invista社製ポリエステルポリオール
TCPP:Fyrol社製トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート
Kosmos 75、Evonik Nutrition & Care GmbH製、オクタン酸カリウムベースの触媒
Polycat 5、Evonik Nutrition & Care GmbH製、アミン触媒
MDI (44V20):Desmodur 44V20L、Covestro社製、異性体および多官能性ホモログを有するジフェニルメタン 4,4’-ジイソシアネート(MDI)。
【0136】
実施例:PUフォームの製造
発泡を、手動混合法によって行った。このために、本発明による化合物、ポリオール、難燃剤、触媒、水、本発明によるまたは本発明によらないシロキサン界面活性剤、本発明による炭化水素、および任意のポリアルキルシロキサン、ならびに発泡剤をビーカーに量り入れ、ディスク型撹拌子(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。混合過程で蒸発した発泡剤の量を再秤量によって求め、補充した。次いでイソシアネート(MDI)を加え、反応混合物を、記載された撹拌子を用いて3000rpmで5秒間撹拌した。
【0137】
ここで使用した、例えば建物の断熱などのパネル用途のPIR配合物の場合には、混合物を、65℃に調温された寸法50cm×25cm×7cmのアルミニウム金型にすぐに導入した。ここで、フォーム配合物の使用量は、その量が金型の最小充填に十分であるような量であった。フォームを10分後に離型し、次いで室温で24時間貯蔵した。
【0138】
フォームの切断面をもとに、内部欠陥の程度および細孔構造を1~10の等級で目視により評価し、ここで、10は、問題のないフォームを表し、1は、非常に重大な欠陥のあるフォームを表す。
【0139】
厚さ2.5cmのシートで、Hesto Lambda Control、HLC X206型の機器を使用して、規格EN12667:2001の規定に従って平均温度10℃で熱伝導率(λ値(mW/m・K))を測定した。
【0140】
表6に、使用したフォームの配合をまとめた。
【0141】
【0142】
【0143】
ポリエーテルシロキサンに加えて、HCおよびPASを使用して同様に発泡試験を行った。結果を、表8にまとめた。
【0144】
【0145】
試験から、本発明による混合物が、改善された断熱特性をもたらすことが明らかに判明した。
【0146】
ここで特に強調されるべきことは、本発明によるHCおよびPASをごくわずかに添加しただけで、測定可能な改善につながるということである。