(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】アクチュエータユニット
(51)【国際特許分類】
F16H 61/28 20060101AFI20240325BHJP
F16H 63/32 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
F16H61/28
F16H63/32
(21)【出願番号】P 2021541161
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2020050800
(87)【国際公開番号】W WO2020148272
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-09-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】102019200498.9
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ガイス-エッサー
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219051(JP,A)
【文献】特開2017-180603(JP,A)
【文献】特開平7-127739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフト可能なトランスミッション用のアクチュエータユニット(A)であって、前記アクチュエータユニット(A)は、
前記トランスミッション(G)における少なくとも2つのシフトポジションを調整するように構成されている作動要素(5)
と、
作動要素(5)の位置を検出するように構成されている少なくとも1つの検出手段(2)と、
を有しており、
前記アクチュエータユニット(A)は、前記トランスミッション(G)のハウジング内に設けられるように構成されているハウジング(7)を有し、前記アクチュエータユニット(A)の前記ハウジング(7)は、前記作動要素(5)と結合されたアクチュエータ(4)
と前記検出手段(2)とを含み、前記アクチュエータユニット(A)は、前記トランスミッション(G)のハウジング内に別個のユニットとして設けられるように構成されている、
アクチュエータユニット(A)。
【請求項2】
前記作動要素(5)は、少なくとも2つのシフトポジションを調整するために、前記トランスミッション(G)の少なくとも1つのシフト要素と係合するように構成されている、かつ/または
前記作動要素(5)は、作動方向(X)に対して平行に変位させられるように構成されている、
請求項1記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項3】
前記作動要素(5)は、少なくとも1つのシフト要素と一体的に構成されている、請求項2記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項4】
前記アクチュエータ(4)は、前記作動要素(5)を前記作動要素(5)の作動方向(X)に対して平行に変位させるように構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項5】
前記アクチュエータ(4)は空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、電気機械的なアクチュエータまたはモータで動くアクチュエータとして構成されている、請求項4記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(4)が空気圧式または油圧式に構成されている場合、前記アクチュエータ(4)の作動のために構成されている操作要素が、前記アクチュエータユニット(A)内に設けられている、請求項5記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項7】
前記アクチュエータユニット(A)の制御のために構成されている少なくとも1つの制御手段(1)、および/または、
前記作動要素(5)の作動方向(X)に沿った前記作動要素(5)の位置を検出するように構成されている少なくとも1つの検出手段(2)
を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの制御手段(1)は電子的な制御手段として構成されている、または前記少なくとも1つの検出手段(2)は変位センサとして構成されている、請求項7記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの制御手段(1)と前記少なくとも1つの検出手段(2)とは統合して構成されている、請求項7または8記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項10】
制御信号を受信するように、かつ/またはステータス信号を出力するように構成されている少なくとも1つの信号インターフェース(3)を有している、かつ/または、
前記アクチュエータユニットの動作のためのエネルギを受け取るように構成されている少なくとも1つのエネルギインターフェース(6)を有している、
請求項1から9までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの信号インターフェース(3)は、前記制御信号を受信するために、前記トランスミッション(G)のハウジングの外側の要素と接続するように構成されており、
前記少なくとも1つのエネルギインターフェース(6)は、前記エネルギを受け取るために、前記トランスミッション(G)の前記ハウジングの外側の要素と接続するように構成されている、
請求項10記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項12】
前記作動要素(5)の作動方向(X)は、直線または円形経路として構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項13】
前記アクチュエータユニット(A)は、前記トランスミッション(G)に対して、組み立て配向および/またはポジショニングを有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)。
【請求項14】
トランスミッション(G)であって、前記トランスミッション(G)は、請求項1から13までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)の組み立てのために構成されている組み立てセクションを有しており、
前記トランスミッション(G)は少なくとも2つのシフトポジションを有している、
トランスミッション(G)。
【請求項15】
トランスミッション(G)であって、前記トランスミッション(G)は、請求項1から13までのいずれか1項記載のアクチュエータユニット(A)を有しており、
前記アクチュエータユニット(A)は、前記トランスミッション(G)における前記少なくとも2つのシフトポジションを調整するように構成されている、
トランスミッション(G)。
【請求項16】
前記トランスミッション(G)は、電気的に駆動される車両用に構成されている、請求項14または15記載のトランスミッション(G)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスミッション用のアクチュエータユニットならびにそのようなアクチュエータユニットを備えるトランスミッションに関する。
【0002】
トランスミッションは、トランスミッションのシフト要素と係合し、これらのシフト要素を偏向させる1つまたは複数の作動要素によってシフトされる。ここで、シフト要素がシフトポジションへ偏向することによって、たとえば、歯車とシャフトとの相対回動不能な結合が確立される、または再び解除される。したがって、トランスミッションのギアが入れられる、または再び解除される。シフト要素は通常、トランスミッションの他の要素、たとえばシフトスリーブと接触している。ギアが入れられていない場合には、シフト要素はニュートラルなシフトポジション、すなわちニュートラルポジションにある。
【0003】
「シフト要素」という用語は、本明細書では、トランスミッションのギアを入れる、もしくは解除するように構成されている、トランスミッションのすべての要素を代表するものと理解される。たとえば、シフト要素にはロッドが続いており、ロッドはシフト要素をシフトフォークと連結する。シフトフォークは、最終的に、シフトスリーブを変位させるように構成されている。しかし、たとえば、シフトフォークへの直接的なアクセスを可能にする、トランスミッションの実施形態も考えられる。さらに、シフト要素がシフトフォークを有していないトランスミッションを設けることが可能である。シフトフォークおよびロッドも、以下ではシフト要素として理解される。したがって、「シフト要素」という用語は以降では、これらの要素の上位概念として理解される。
【0004】
さらに、シフト要素が外されているか否かに関する情報は、このような情報を、たとえば、トランスミッション制御部内でさらに処理するために有利である。
【0005】
今日のトランスミッションでは、上述の機能を実行するすべての構成要素が個別に設けられている、もしくは異なる位置に配置されているため、簡単な組み立てまたは分解は困難である。とりわけ、たとえば、最終組み立てと同じ場所では行われない組み立て計画または事前組み立てにおいては、このような欠点が顕著である。
【0006】
したがって、本発明の課題は、上述のすべての機能を有しており、同時に上述の問題を解決する、トランスミッション用のアクチュエータユニットを提供することである。さらに、そのようなアクチュエータユニットを備えるトランスミッションが提供されるべきである。
【0007】
上述の課題は、独立請求項の対象によって解決される。有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0008】
本発明に相応に、シフト可能なトランスミッション用のアクチュエータユニットが提供され、アクチュエータユニットは、トランスミッションにおける少なくとも2つのシフトポジションを調整するように構成されている作動要素を有しており、ここで
アクチュエータユニットは、少なくとも部分的にトランスミッション内に別個のユニットとして設けられるように構成されている。
【0009】
アクチュエータユニットは、有利には、電気的に駆動される商用車のトランスミッション用に構成されている。
【0010】
アクチュエータユニットは有利には、作動要素がトランスミッションの内部に延在するように、トランスミッション内に、またはトランスミッションに接して配置可能なように構成されている。ここでアクチュエータユニットのさらなる部品は、トランスミッションの外側に設けられていてよい。特に有利には、アクチュエータユニット全体は、トランスミッション内に設けられている。
【0011】
作動要素は、有利には、少なくとも2つのシフトポジションを調整するために、トランスミッションの少なくとも1つのシフト要素と係合するように構成されている。さらに、この係合は有利には、永久的な係合として構成されていてよく、これによって、作動要素の変位は常にシフト要素へ影響を与え、有利にはシフト要素の変位または偏向を生じさせる。
【0012】
さらに、作動要素は、有利には、作動方向に対して平行に変位させられるように構成されている。
【0013】
たとえば、アクチュエータユニットを、トランスミッション内の別個の構成部分として設けることができ、このような場合には、該当するのは1つの構成部分のみであるため、組み立てまたはメンテナンスの目的での組み込みおよび取り外しが容易になる。
【0014】
作動要素は、有利には、少なくとも1つのシフト要素と一体的に構成されている。これによって、さらに、トランスミッションの構成部分をアクチュエータユニット内に統合することができる。たとえば、作動要素は、シフトフォークと一体的に構成されており、シフトフォークは、トランスミッションの対応するシフトスリーブまたは別のシフト要素と一致し、有利にはトランスミッションの対応するシフトスリーブまたは別のシフト要素と係合している。
【0015】
アクチュエータユニットは、有利には、ハウジングを有しており、このハウジングは、トランスミッション内にまたはトランスミッションに接して設けられるように構成されている。ハウジングは、有利には、固定手段、たとえばネジによって、トランスミッション内またはトランスミッションに接して固定されるように構成されている。さらに有利には、アクチュエータユニットのハウジング自体が結合要素を有していてよく、これらの結合要素は、トランスミッションの相応に一致する結合要素、有利にはトランスミッションのハウジングの結合要素と接触するように構成されており、これによって、アクチュエータユニットをトランスミッション内で固定する、または少なくとも配向することができる。このような結合要素によって形成される結合は、たとえば、溝・キー結合として構成されていてよい。
【0016】
トランスミッションは、有利には電気的に駆動される車両用に、有利には商用車用に構成されている。
【0017】
有利には、少なくとも2つのシフトポジションのうちの1つには、トランスミッションのニュートラルポジションまたは逆進ギアが含まれている。有利な実施形態では、トランスミッションは2速トランスミッションとして設けられており、ここで2つのシフトポジションが走行ギアとして構成されており、すなわち、第1のギアおよび第2のギアとして、または前進ギアおよび逆進ギアとして構成されており、ニュートラルポジションとして構成されている第3のシフトポジションが設けられている。
【0018】
アクチュエータユニットは、有利には、作動要素を作動方向に対して平行に変位させるように構成されているアクチュエータを有している。
【0019】
アクチュエータは有利には、流体アクチュエータとして、特に空気圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータとして構成されている。択一的に、アクチュエータは、有利には、電気機械的なアクチュエータまたはモータで動くアクチュエータとして構成されている。したがって、アクチュエータユニットもしくはアクチュエータのエネルギ供給を、線路の導きを相応に構成することによって構造的に良好に解決することができる。なぜなら対応する流体線路または電流を供給するための線路を既存の間隙に良好に導くことができるからである。
【0020】
有利にはアクチュエータが流体式に構成されている場合、特に空気圧式または油圧式に構成されている場合、アクチュエータの作動のために構成されている操作要素が、アクチュエータユニット内に、有利にはアクチュエータユニットのハウジング内に設けられている。そのような操作要素は、たとえば、流体の流れを制御するように構成されている電磁弁である。
【0021】
アクチュエータユニットは、有利には、アクチュエータユニットの制御のために構成されている少なくとも1つの制御手段を有している。
【0022】
有利にはアクチュエータユニットは、作動方向に沿った作動要素の位置を検出するように構成されている少なくとも1つの検出手段を有している。
【0023】
少なくとも1つの制御手段は、有利には、電子制御手段として構成されている。そのような制御手段は、有利には、アクチュエータユニットを制御するように構成されている電子制御装機器を有することができる。
【0024】
少なくとも1つの検出手段は、有利には、変位センサとして構成されている。そのような変位センサは、任意の既知の構成のものであってよい。たとえば、このセンサは電磁的な原理に従って動作することができる。センサは、特に有利にはホールセンサとして構成されている。択一的に、機械的な連結を介した作動要素の変位から、さらなる要素の運動、たとえば回転運動がもたらされ得る。このような回転運動は、有利にはカウンタを、特に有利には制御手段において増分し、その結果、作動要素の位置を、カウンタの値から導き出すことができる。
【0025】
検出手段は、有利には、制御手段と一体的に構成されている。これによって有利には、コンパクトな構造が可能になり、したがって、アクチュエータユニット全体をコンパクトに構造することができる。
【0026】
アクチュエータユニットは、有利には、制御信号を受信するように、かつ/またはステータス信号を出力するように構成されている少なくとも1つの信号インターフェースを有している。制御信号は、有利には、制御手段に目標シフトポジションを伝達するように構成されている。制御手段自体は、さらに有利には、制御信号から、特に有利には、目標シフトポジションおよび作動方向に沿った作動要素の位置から、現在のシフトポジションを求め、それに応じてアクチュエータを駆動制御して、現在のシフトポジションを目標シフトポジションに合わせるように構成されている。ステータス信号は、有利には、存在している実際のシフトポジションに関する情報を含んでいる。このような情報は、トランスミッション外のさらなる処理手段によって処理され得る。
【0027】
アクチュエータユニット内に制御手段が設けられていない場合には、受信した制御信号は有利には、アクチュエータユニット内のアクチュエータおよび/またはアクチュエータユニットの動作のためのさらなる要素を駆動制御するために構成されている。
【0028】
少なくとも1つの信号インターフェースは、有利には、アクチュエータユニット内で、たとえば、検出手段または制御手段によって得られた情報を、アクチュエータユニットの内側または外側のさらなる要素に転送するように構成されている。そのような情報として、たとえば、シフトポジションまたは作動要素の位置が伝送され得る。
【0029】
信号インターフェースは、有利には、CAN-BUS等の車両ネットワークまたは上位の担当部分、たとえばトランスミッション制御機器と接続されるように構成されている。
【0030】
アクチュエータユニットは、有利には、アクチュエータユニットの動作のためのエネルギを受け取るように構成されている少なくとも1つのエネルギインターフェースを有している。
【0031】
有利には、少なくとも1つの信号インターフェースは、制御信号を受信するために、トランスミッションのハウジングの外側の要素と接続するように構成されている。アクチュエータユニットの少なくとも1つの信号インターフェースは、有利には、トランスミッションハウジングを通って、たとえば、トランスミッションハウジングの開口部を通って延在するように構成されている。
【0032】
有利には、少なくとも1つのエネルギインターフェースは、エネルギを受け取るために、トランスミッションのハウジングの外側の要素と接続するように構成されている。アクチュエータユニットの少なくとも1つのエネルギインターフェースは、有利には、トランスミッションハウジングを通って、たとえば、トランスミッションハウジングの開口部を通って延在するように構成されている。
【0033】
作動方向は、有利には、直線または円形経路として構成されている。全般的に、円形要素と直線要素との両方を有する作動方向の構成可能である。
【0034】
有利には、アクチュエータユニット、特にハウジングは、トランスミッションに対して組み立て配向を有している。これは、それでもってハウジングがトランスミッション、有利にはトランスミッションハウジング内に取り付けられる、ハウジングの側面が、特に点対称ではない幾何学的形状を有していることを意味している。同時に、そこにアクチュエータユニットが取り付けられるトランスミッションの側面も、そのような相補的な幾何学的形状を有しており、この場合には、組み立てのために両方の幾何学的形状が係合されるはずであり、このために、アクチュエータユニットとトランスミッションとが相応に相互に配向されるはずである。したがって、ハウジングの配向が誤っている、トランスミッションでのアクチュエータユニットの組み立てが排除されている。
【0035】
択一的または付加的に、アクチュエータユニットは、トランスミッションに対するポジショニング、有利にはトランスミッションハウジングに対するポジショニングを有することができる。ポジショニングは、有利には、ポジショニングピンおよび/またはセンタリングピンを有している。これらのピンは、特定の配向においてのみ、アクチュエータユニットがトランスミッションに組み立てられるように構成されている。このために、有利にはアクチュエータユニットおよび/またはトランスミッションに設けられているポジショニングピンもしくはセンタリングピンは、トランスミッションおよび/またはアクチュエータユニットの対応する開口部に挿入されなければならず、これによって、誤りのない組み立てが保証される。
【0036】
この組み立て配向および/またはポジショニングは、有利には、トランスミッションの組み立て配向および/またはポジショニングと係合するように構成されている。
【0037】
本発明ではさらに、本発明のアクチュエータユニットの組み立てのために構成されている組み立てセクションを有しているトランスミッションが設けられている。組み立てセクションは、有利には、上述のアクチュエータユニットに対する組み立て配向および/またはポジショニングを有している。この組み立てセクションおよび/またはポジショニングは、アクチュエータユニットの組み立てセクションおよび/またはポジショニングに相応に一致するように構成されている。したがって、トランスミッションは、アクチュエータユニットの誤った組み立てを阻止するように構成されている。
【0038】
トランスミッションはさらに、少なくとも2つのシフトポジションを有している。有利には少なくとも2つのシフトポジションのうちの1つは、トランスミッションのニュートラルポジションまたは逆進ギアを含んでいる。有利な実施形態では、トランスミッションは2速トランスミッションとして設けられており、ここで2つのシフトポジションが走行ギアとして構成されており、すなわち、第1のギアおよび第2のギアとして、または前進ギアおよび後進ギアとして構成されており、ニュートラルポジションとして構成されている第3のシフトポジションが設けられている。
【0039】
有利には、トランスミッションは、上述した本発明のアクチュエータユニットを有しており、アクチュエータユニットは、トランスミッションの作動のために、特に、トランスミッションにおける少なくとも2つのシフトポジションの調整のために構成されている。有利には、トランスミッションの組み立て配向および/またはポジショニングは、アクチュエータユニットと、有利には、アクチュエータユニットの組み立て配向および/またはポジショニングと係合している。これによってトランスミッションは、有利には容易に取り付け可能かつメンテナンス可能になる。なぜなら、アクチュエータユニットがユニットとして取り外し可能もしくは交換可能であるからである。これによって、組み立て時間とメンテナンス時間とを大幅に短縮することができる。さらに、アクチュエータユニットのハウジングが、トランスミッションに対して、組み立て配向を有することによって、誤った組み立てのリスクを阻止することができる。
【0040】
トランスミッションは、有利には電気的に駆動される車両用に、有利には商用車用に構成されている。
【0041】
トランスミッションは、有利には、トランスミッションハウジングを有しており、さらに有利には、アクチュエータユニットを少なくとも部分的に、有利には完全に、トランスミッションハウジング内に収容するように構成されている。
【0042】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。さらに、個々の機能を組み合わせる、置き換えるまたは省略することによって、さらなる実施形態が得られる。
【0043】
以降では、本発明の有利な実施形態を、添付の図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明のアクチュエータユニットの第1の実施形態を示す図である。
【
図2】本発明のアクチュエータユニットの第2の実施形態を示す図である。
【0045】
図1は、本発明のアクチュエータユニットAの第1の実施形態を示している。
【0046】
トランスミッションG内、すなわちトランスミッションGのトランスミッションハウジング内に設けられているアクチュエータユニットAが示されている。
【0047】
アクチュエータユニットAは、トランスミッションG内、たとえば、トランスミッションハウジング内に設けられるように構成されているハウジング7を有している。ハウジング7はさらに、トランスミッションGに対して密封して構成されているので、アクチュエータユニットAは、トランスミッションG内に別個のユニットとして設けられ得る。
【0048】
ハウジング7は、作動要素5が貫通する開口部8を有している。作動要素5は、ここでは、図面における自身の右側の端部でもって、トランスミッションG内へ延在している。ここでは作動要素5は、トランスミッションGにおいて少なくとも2つのシフトポジションを調整するために、トランスミッションGの少なくとも1つのシフト要素(図示せず)と係合するように構成されている。
【0049】
アクチュエータユニットAのハウジング7は、アクチュエータ4を含んでおり、アクチュエータ4は作動要素5と結合されている。アクチュエータ4は、作動要素5を、作動方向Xに対して平行に変位させるように構成されている。
【0050】
作動方向Xは、ここでは直線として構成されているので、作動方向Xに対して平行な作動要素5の変位は、作動要素5の並進変位に対応する。さらに、アクチュエータユニットAのハウジング7は、作動方向Xに対して平行な作動要素5の位置を検出するように構成されている検出手段2を含んでいる。これによって、作動方向Xに対して平行な作動要素5の位置を決定することが可能になり、これによってさらに、トランスミッションG内のシフトポジションを間接的に決定することが可能になる。なぜなら、作動要素5はシフト要素と係合しており、したがって、そのポジションを、作動要素5の位置から決定することができるからである。
【0051】
さらに、ハウジング7は、アクチュエータユニットAの制御を実行するように構成されている制御手段1を含んでいる。この目的のために、制御手段1は、作動要素5の作動方向Xに対して平行な変位を引き起こすためにアクチュエータ4を駆動制御するように構成されている。さらに、制御手段1は、上位の担当部分、たとえば、トランスミッション制御装置の制御信号を受信するように構成されている。
【0052】
アクチュエータユニットAのハウジング7はさらに、より上位の担当部分、たとえばトランスミッション制御装置の制御信号を受信し、制御手段1に提供するように構成されている信号インターフェース3を有している。図示の実施形態では、信号インターフェース3は、トランスミッションGの境界、すなわち、特にトランスミッションGのトランスミッションハウジングを貫通している。信号インターフェース3はさらに、ステータス信号、たとえば、シフトポジションを、トランスミッションの外側の装置、たとえばトランスミッション制御装置に転送するように構成されている。
【0053】
さらに、信号インターフェース3と同様に、トランスミッションGのトランスミッションハウジングを貫通しているエネルギインターフェース6が示されている。エネルギインターフェース6は、アクチュエータユニットAの動作のためのエネルギを受け取り、アクチュエータユニットAの対応する要素、特に制御手段1、検出手段2およびアクチュエータ4に供給するように構成されている。
【0054】
信号インターフェース3とエネルギインターフェース6との両方が、トランスミッションGの外側の要素と接続し、さらに、信号もしくはエネルギを受け取るように構成されている。
【0055】
図2は、本発明のアクチュエータユニットAの第2の実施形態を示している。
【0056】
このようなアクチュエータユニットAの構造は、実質的に、
図1のアクチュエータユニットAの構造と同一である。しかし、トランスミッションGへの取り付けにおいて違いがある。
【0057】
トランスミッションGは、ここでは実質的にトランスミッションハウジング10によって暗示されており、これは断面図で示され、左に開放されている。明確にするために、トランスミッションGのさらなる要素は示されていない。アクチュエータユニットAは、トランスミッションハウジング10内へ、左から挿入されているので、作動要素5は、トランスミッションG内に位置しており、少なくとも2つのシフトポジションを調整するように構成されている。
【0058】
アクチュエータユニットAとトランスミッションハウジング10とは、固定要素9、たとえばネジによって固定されるように構成されている。これによって、アクチュエータユニットAは、トランスミッションGに対して固定され、位置決めされている。固定のために、アクチュエータユニットAは固定セクション11を有している。これによって、アクチュエータユニットAは、トランスミッションハウジング10の左の開口部を閉じている。
【0059】
アクチュエータユニットAの信号インターフェース3およびエネルギインターフェース6は、それらがトランスミッションハウジング10の外側に位置決めされているように、アクチュエータユニットAに設けられている。結果として、これらのインターフェース3、6は、トランスミッションGの外側のさらなる要素と問題なく接触することができる。この際に、トランスミッションハウジング10内にさらなる開口部を設ける必要はない。
【0060】
アクチュエータユニットAを導入するための開口部が、トランスミッションGのハウジングの幅の一部にわたってのみ延在している実施形態も設けることができることが自明である。
【0061】
アクチュエータユニットAの機能様式ならびに特定の実施形態の以降の説明は、特に断りのない限り、両方の図を参照して行われる。
【0062】
アクチュエータユニットAの機能様式を以下に示す。
【0063】
制御信号が信号インターフェース3を介してアクチュエータユニットAに伝送されると、制御信号は制御手段1において処理される。制御手段1は、検出手段2によって検出された作動要素5の位置によって、トランスミッションGにおいて、現下、どのシフトポジションが支配しているかを決定するように構成されている。支配しているシフトポジション(実際のシフトポジション)が、制御信号を介して制御手段1に伝達されたシフトポジション(目標シフトポジション)に対応していない場合には、制御手段1は、アクチュエータ4を駆動制御し、これによって、作動要素5を作動方向Xに対して平行に変位させる。これによって、トランスミッションG内に新しいシフトポジションが調整されて、ギアもしくはニュートラルポジションが入れられる。
【0064】
したがって、アクチュエータユニットAは、別個の、自己完結型のユニットとして構成されており、これを、それ自体、トランスミッションG内に組み入れることができる。アクチュエータユニットAのハウジング7は、トランスミッションG内に固定されるように構成されている。このために、たとえば、ハウジング7とトランスミッションGとの間にネジ結合手段が設けられている。
【0065】
本明細書で言及されたアクチュエータユニットAは、極めて多様な実施形態で存在していてよく、これについては、以降でより詳細に説明する。
【0066】
たとえば、アクチュエータ4は、流体アクチュエータとして、特に油圧アクチュエータまたは空気圧アクチュエータとして構成されていてよい。そのような実施形態では、エネルギインターフェース6は、流体、すなわち作動油または圧縮空気をアクチュエータ4に導くように構成されており、これによってアクチュエータ4にさらにアクチュエータユニットAの動作のための圧力ひいてはエネルギが提供される。
【0067】
これに対して、アクチュエータ4が電気機械的または電気的に構成されており、ここで特に電気モータまたは磁気機構として構成されている場合には、エネルギインターフェース6は、電流の形態でエネルギをアクチュエータ4に、アクチュエータユニットAの動作のために導く電気的なインターフェースとして構成されている。
【0068】
制御手段1は、たとえば、電子制御手段として、特に制御機器として構成されていてよい。そのような場合、制御手段1は、特に制御信号を受信するために、信号インターフェース3と接続されており、この場合には、信号インターフェース3は電子的なインターフェースとして、特にデータインターフェースとして構成されており、それを介して、たとえば、内部にトランスミッションGが設けられている車両の制御データが、アクチュエータユニットAに、ひいては制御手段1に伝達され得る。
【0069】
本発明のさらなる実施形態は、ハウジング7内に制御手段1を有していない。このような場合には、制御手段1は、ハウジング7の外側に設けられており、ここではこれはたとえばハウジング7上に取り付けられている。しかし、制御手段1が、ハウジング7から離れて設けられていてもよく、このような場合には、たとえば、信号インターフェース3と制御手段1との間にコネクションが設けられており、これによって一方ではアクチュエータユニットA、特にアクチュエータ4の制御、他方では、特に検出手段2によるデータの受信が可能になる。
【0070】
さらに、検出手段2はたとえば、電子的なセンサとして構成されていてよい。この場合には、作動方向Xに対して平行な作動要素5の位置に対応する信号を、データ接続を介して、電子的な制御手段1に提供することができる。しかし択一的に、検出手段2が、機械的または電気機械的に構成されていてもよい。作動方向Xに対して平行な作動要素5の変位は、たとえば、検出手段2において機械的な作用、たとえば回転運動を引き起こし得る。このような回転運動はたとえば、電子的に検出され、角度の総計として合計され、ひいては、作動方向Xに対して平行な作動要素5の位置を求めるために、制御手段1に伝達され得る。
【0071】
図示の実施形態では、信号インターフェース3およびエネルギインターフェース6は、それらがトランスミッションGの境界、すなわち特にトランスミッションGのトランスミッションハウジングを貫通するように示されている。しかし、別の実施形態では、これらのインターフェース3、6のうちの少なくとも1つは、それがトランスミッションG内にのみ位置するように構成されていてもよい。このような場合には、トランスミッションGは、それに応じて、対応するインターフェース3、6への供給を行うように構成されている。
【0072】
アクチュエータ4の流体構成の場合には、たとえば、操作要素、特に電磁弁が、流体の流れを調整するために設けられている。これらはここでは、たとえば、同様に、アクチュエータユニットA内、特にハウジング7内に設けられているので、自己完結型の構成部分としてのアクチュエータユニットAの特性が危険にさらされることはない。これらの操作要素は、たとえば、制御手段1によって駆動制御されるように構成されている。このようにして、制御手段1は、流体の流れを制御し、それに応じてアクチュエータ4を作動させることができる。
【0073】
図示の実施形態では、作動要素5は、アクチュエータ4から始まって、右側へ、開口部8を通って、トランスミッションG内へ延在する棒として構成されている。作動方向Xに対して平行な作動要素5の変位はここでは、並進変位として設けられており、この並進運動は棒軸線に沿って行われる。しかし、さらに、たとえば作動要素5が、その棒軸線に沿って変位可能であるように構成されている棒として構成されていない実施形態が設けられていてよい。たとえば、旋回可能な作動要素5が設けられていてよい。さらに、作動方向Xが直線に対応していなくもよく、たとえば、作動要素5は、作動時に、円形の運動または異なるタイプの運動を実行するように構成されていてもよい。
【0074】
開口部8は、作動要素5と共に、トランスミッションGに対して密封して構成されていてよく、その結果、特に、トランスミッションGからの油または摩耗が、これを介してアクチュエータユニットAのハウジング7に浸透することができない。
【0075】
図2の実施形態では、アクチュエータユニットAは、トランスミッションハウジング10に対して密封して構成されていてよい。このために、たとえば、封止部が、アクチュエータユニットAの領域、たとえば、トランスミッションハウジング10と接触する固定セクション11に設けられていてよい。したがって、外部の影響、たとえば汚れまたは粉塵からのトランスミッションハウジング10のより確実な閉鎖が保証される。
【符号の説明】
【0076】
1 制御手段
2 検出手段
3 信号インターフェース
4 アクチュエータ
5 作動要素
6 エネルギインターフェース
7 ハウジング
8 開口部
9 固定要素
10 トランスミッションハウジング
11 固定セクション
A アクチュエータユニット
G トランスミッション
X 作動方向