(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】対象物への注意を引かせる装置、対象物への注意を引かせるための方法、およびコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240325BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2021557846
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014335
(87)【国際公開番号】W WO2020203898
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】小林 士朗
(72)【発明者】
【氏名】山下 昌哉
(72)【発明者】
【氏名】石井 岳史
(72)【発明者】
【氏名】目島 壮一
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】松尾 俊介
【審判官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/059213(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/026361(WO,A1)
【文献】特開2016-76047(JP,A)
【文献】特開2006-172189(JP,A)
【文献】特開2003-166847(JP,A)
【文献】山本友紀子 ほか3名,指向性スピーカを用いたオブジェクト提示システム,ヒューマンインタフェースシンポジウム2006論文集,2006年,p.303-308
【文献】戒能孝治 ほか4名,超指向性スピーカを用いたロボットによる視覚障がい者のための遠隔作業訓練に関する基礎的検討と評価実験,FIT2014 第13回情報科学技術フォーラム講演論文集第3分冊,社団法人電子情報通信学会,一般社団法人情報処理学会,2014年,p.429-430
【文献】OCHIAI,Yoichi ほか2名,Holographic Whisper: Rendering Audible Sound Spots in Three-dimensional Space by Focusing Ultrasonic Waves,Sound of Music,CHI 2017,2017年05月,[検索日2023.07.31],インターネット<URL:https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/3025453.3025989>,p.4314-4325
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の個人情報を取得するように構成された情報取得ユニットと、
前記個人情報に基づいて、対象物を決定し、前記対象物の位置情報を識別するプロセッサと、
前記位置情報に基づいて、前記対象物に、超音波を放射するエミッタと、
前記対象物の位置情報を含むデータベースと、
を備え、
前記プロセッサは、前記データベースから前記対象物の前記位置情報を検索して識別し、
前記プロセッサは、前記対象物の前記位置情報に基づいて、前記エミッタのビーム方向を調整することで前記対象物から可聴音を発生させる、対象物への注意を引かせる装置。
【請求項2】
前記情報取得ユニットは、カメラを備え、
前記個人情報は、前記カメラで撮影された前記人物の画像情報を含み、
前記プロセッサは、前記画像情報から前記人物の属性情報を抽出し、抽出された前記属性情報に基づいて、前記対象物を決定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記情報取得ユニットは、マイクロフォンを備え、
前記個人情報は、前記人物が発声し、前記マイクロフォンで拾った音声情報を含み、
前記プロセッサは、前記音声情報から重要用語を抽出し、抽出された前記重要用語に基づいて、前記対象物を決定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記情報取得ユニットは、カメラおよびマイクロフォンを備え、
前記個人情報は、前記カメラで撮影された前記人物の画像情報、および前記人物が発声し、前記マイクロフォンで拾った音声情報を含み、
前記プロセッサは、前記画像情報から前記人物の属性情報を抽出し、前記音声情報から重要用語を抽出し、抽出された前記属性情報および抽出された前記重要用語に基づいて、前記対象物を決定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
ネットワークインターフェースをさらに備え、
前記プロセッサは、前記ネットワークインターフェースを介して補足情報を取得し、前記個人情報および前記補足情報に基づいて、前記対象物を決定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
ネットワークインターフェースをさらに備え、
前記プロセッサは、前記ネットワークインターフェースを介して外部装置と通信する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エミッタは、所定の方向に超音波を放射する指向性スピーカを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記エミッタは、所定の方向に光ビームを生成する発光デバイスを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記対象物は、販売商品である、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
データ処理装置による、対象物への注意を引かせるための方法であって、
人物の個人情報を取得するステップと、
前記個人情報に基づいて、対象物を決定するステップと、
前記対象物の位置情報を含むデータベースから、前記対象物の前記位置情報を検索して識別するステップと、
前記位置情報に基づいて、エミッタのビーム方向を調整するステップと、
前記エミッタから前記対象物に、超音波を放射するステップと、
前記対象物から可聴音を発生させるステップと、
を含む、対象物への注意を引かせるための方法。
【請求項11】
前記個人情報は、カメラで撮影された前記人物の画像情報を含み、
前記画像情報から前記人物の属性情報を抽出するステップと、
抽出された前記属性情報に基づいて、前記対象物を決定するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記個人情報は、前記人物が発声し、マイクロフォンで拾った音声情報を含み、
前記音声情報から重要用語を抽出するステップと、
抽出された前記重要用語に基づいて、前記対象物を決定するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ネットワークインターフェースを介して補足情報を取得するステップと、
前記個人情報および前記補足情報に基づいて、前記対象物を決定するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ネットワークインターフェースを介して外部装置と通信するステップをさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記エミッタは、所定の方向に超音波を放射する指向性スピーカを備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記エミッタは、所定の方向に光ビームを生成する発光デバイスを備える、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
対象物への注意を引かせるための操作を実行させるプログラムを格納した記憶媒体であって、
コンピュータに、
人物の個人情報を取得するステップと、
前記個人情報に基づいて、対象物を決定
するステップと、
前記対象物の位置情報を含むデータベースから、前記対象物の前記位置情報を検索し、前記対象物の
前記位置情報を識別するステップと、
前記位置情報に基づいて、エミッタのビーム方向を調整するステップと、
前記エミッタから前記対象物に、超音波を放射するステップと、
前記対象物から可聴音を発生させるステップと、
を含む操作を実行させる、
前記コンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物体への注意を引かせる装置、物体への注意を引かせるための方法、およびコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性スピーカは、展示会、ギャラリー、美術館などで、特定のエリアにいる人だけが聞くことができる音声情報を提供するために使用されてきた。例えば、特許文献1は、指向性スピーカを介して、特定の人物に個人情報を含む音声通知を提供するためのシステムを開示している。
【0003】
これらの従来システムは、不特定の人物に一般的な情報を送信する、あるいは、固定されたスピーカから、特定の人物に関連付けられた特定の情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デパート、ドラッグストア、スーパーマーケットなどのような小売店は、通路で区切られた長い棚に類似商品を配置することがよくある。買い物客は、必要な商品を探しながら通路を歩く。類似商品の売り上げは、買い物客の目を引く商品の魅力および商品の配置に大きく依存する。
【0006】
しかしながら、商品の包装は慣習的に制限されているため、買い物客の興味に関連する特定の商品に、買い物客の注意を引かせるためのより効果的な方法を実現したいという要望がある。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、人物から取得した情報に基づいて、特定の対象物に人物の注意を引かせることが可能な物体への注意を引かせる装置、物体への注意を引かせるための方法、およびコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る対象物への注意を引かせる装置は、人物の個人情報を取得するように構成された情報取得ユニットと、前記個人情報に基づいて、対象物を決定し、前記対象物の位置情報を識別するプロセッサと、前記位置情報に基づいて、前記対象物に、超音波を放射するエミッタと、前記対象物の位置情報を含むデータベースと、を備え、前記プロセッサは、前記データベースから前記対象物の前記位置情報を検索して識別し、前記プロセッサは、前記対象物の前記位置情報に基づいて、前記エミッタのビーム方向を調整することで前記対象物から可聴音を発生させる、ことを特徴とする。
【0009】
一実施形態に係る対象物への注意を引かせるための方法は、人物の個人情報を取得するステップと、前記個人情報に基づいて、対象物を決定するステップと、前記対象物の位置情報を含むデータベースから、前記対象物の前記位置情報を検索して識別するステップと、前記位置情報に基づいて、エミッタのビーム方向を調整するステップと、前記エミッタから前記対象物に、超音波を放射するステップと、前記対象物から可聴音を発生させるステップと、を含む、ことを特徴とする。
【0010】
一実施形態に係るコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体は、対象物への注意を引かせるための操作を実行させるプログラムを格納した記憶媒体であって、コンピュータに、人物の個人情報を取得するステップと、前記個人情報に基づいて、対象物を決定するステップと、前記対象物の位置情報を含むデータベースから、前記対象物の前記位置情報を検索し、前記対象物の前記位置情報を識別するステップと、前記位置情報に基づいて、エミッタのビーム方向を調整するステップと、前記エミッタから前記対象物に、超音波を放射するステップと、前記対象物から可聴音を発生させるステップと、を含む操作を実行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、人物の興味に関連する特定の商品に、人物の注意を効果的に引き付けることが可能な物体への注意を引かせる装置、物体への注意を引かせるための方法、およびコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明に係る各種の他の目的、特徴、および付随する利点は、添付している図面と併せて検討すると、よりよく理解されるようになり、且つ、十分に認識されるようになるであろう。ここで、同様の参照文字は、複数の図面を通して同じ部分または類似の部分を示している。
【0013】
【
図1】本開示の一実施形態に係る物体への注意を引かせる装置の一例を示す概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る注意を引かせる装置におけるデータベーステーブルの一例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の別の実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一般的な流れの一例を示す図である。
【
図5】本開示の別の実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一般的な流れの一例を示す図である。
【
図6】本開示のさらに別の実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一般的な流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る物体への注意を引かせる装置10の一例を示すブロック図である。
【0015】
注意を引かせる装置10は、一般的に、後述する個人情報を取得し、個人情報に基づいて、対象物を決定するように構成されている。そして、注意を引かせる装置10は、対象物の位置情報を識別し、識別された位置情報に基づいて、エミッタ15から対象物に超音波および/または光を放射して、対象物を目立たせる。例えば、超音波が使用される場合、対象物は、対象物の近くにいる人物の注意を引かせるために可聴音を生成する。例えば、光が使用される場合、対象物は、対象物の近くにいる人物の注意を引かせるためにスポットライトが当てられる。
【0016】
対象物は、人物以外の物体であってよい。対象物は、人物以外の商品であってよい。対象物は、食品、飲料、家庭用品、衣服、化粧品、家電製品、医薬品などのような販売商品、標識、看板、バナーなどの広告用材料を含む任意の物体であってよい。超音波が使用される場合、対象物は、超音波を受信すると可聴音を生成できることが好ましい。注意を引かせる装置10における各構成要素について、以下、さらに詳細に説明する。
【0017】
<注意を引かせる装置10の構成>
図1に示すように、注意を引かせる装置10は、情報取得ユニット11と、ネットワークインターフェース12と、メモリ13と、プロセッサ14と、エミッタ15と、を備え、これらは、それぞれバス16を介して、互いに電気的に接続されている。
【0018】
情報取得ユニット11は、注意を引かせる人物に関連する任意の情報である個人情報を取得する。個人情報は、例えば、人物の静止画情報および動画情報(以下、総称して画像情報と呼ぶ)、あるいは人物が発生した発話情報を含んでよい。情報取得ユニット11は、個人情報を取得することができる1つまたは複数のセンサを備えており、例えば、カメラおよびマイクロフォンを含んでよいが、当該センサは、これらに限定されるものではない。情報取得ユニット11は、取得した個人情報を、プロセッサ14へ出力する。
【0019】
ネットワークインターフェース12は、注意を引かせる装置10をネットワークに接続する通信モジュールを含む。ネットワークは、特定の通信ネットワークに限定されず、例えば、移動通信ネットワークおよびインターネットを含む任意の通信ネットワークを含んでよい。ネットワークインターフェース12は、第4世代(4G)および第5世代(5G)などのようなモバイル通信規格と互換性のある通信モジュールを含んでよい。通信ネットワークは、アドホックネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、公衆交換電話網(PSTN)、地上無線ネットワーク、光ネットワーク、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0020】
メモリ13は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、または光メモリを含む。メモリ13は、これらに特に限定されるものではなく、長期記憶、短期記憶、揮発性、不揮発性、および他のメモリの何れかを含んでよい。さらに、メモリ13として機能するメモリモジュールの数、および情報が記憶された記憶媒体の種類は、限定されない。メモリ13は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能してよい。メモリ13は、注意を引かせる装置10の動作に使用される各種の情報を記憶してもよい。例えば、メモリ13は、システムプログラムおよびアプリケーションプログラムを記憶してよい。メモリ13に記憶された情報は、例えば、ネットワークインターフェース12が、外部装置から取得した情報に基づいて更新可能であってよい。
【0021】
メモリ13はまた、データベース131を格納する。データベース131は、対象物、およびそれらの位置情報を含有するテーブルを含む。データベース131の一例が、
図2に示されている。
図2において、対象物A-Dのそれぞれは、位置情報の記録であるPos_A、Pos_B、Pos_C、およびPos_Dにそれぞれ関連付けられている。位置情報は、対象物の位置座標を指定するために必要とされる情報を含む。あるいは、またはさらに、位置情報は、エミッタ15によって放射される超音波または光のビーム方向を調整するために使用され得る情報を含んでよい。このような情報は、エミッタ15と対象物との間の距離、エミッタ15の位置および傾きに対する対象物の相対位置および/または相対角度を含んでよい。それゆえ、プロセッサ14は、データベース131のテーブルを検索し、対象物の位置を規定することができる。データベース131は、例えば、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置から取得された情報により更新されてよい。例えば、対象物の実際の位置が変更された場合、プロセッサ14は、対象物に関連付けられた記録である位置情報を、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置から取得された情報に、更新してよい。あるいは、例えば、プロセッサ14は、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置から対象物の位置情報を定期的に取得してよく、取得した情報に基づいて、それぞれの対象物に関連付けられた記録である位置情報を、更新してよい。
【0022】
プロセッサ14は、特定のプロセスに特化した汎用プロセッサまたは専用プロセッサであってよいが、これらに限定されない。プロセッサ14は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、およびこれらの任意の組み合わせであってよい。プロセッサ14は、注意を引かせる装置10の全体的な動作を制御する。
【0023】
例えば、プロセッサ14は、情報取得ユニット11によって取得された個人情報に基づいて対象物を決定する。具体的には、プロセッサ14は、例えば、以下の手順によって、個人情報に基づいて対象物を決定する。
【0024】
個人情報が、画像センサによってキャプチャされた人物の画像から取得された画像情報を含む場合、プロセッサ14は、画像情報から抽出された人物の属性情報に基づいて対象物を決定する。属性情報は、人物の属性を示す任意の情報であり、人物の性別、年齢層、身長、体型、髪型、服装、感情、所持品、頭の向き、視線方向などを含む情報である。プロセッサ14は、画像情報に対して画像認識処理を実行して、人物の属性情報の中から少なくとも1つの種類の属性情報を抽出してよい。プロセッサ14は、画像認識処理から得られた複数種類の属性情報に基づいて、対象物を決定してもよい。画像認識処理としては、当該技術分野で提案されている様々な画像認識方法が使用されてよい。例えば、プロセッサ14は、ニューラルネットワークまたは深層学習などの機械学習に基づく画像認識方法により画像情報を分析してよい。画像認識処理で使用されるデータは、メモリ13に記憶されてよい。あるいは、画像認識処理で使用されるデータは、注意を引かせる装置10におけるネットワークインターフェース12を介してアクセス可能な外部装置(以下、単に、外部装置と呼ぶ)の記憶装置に記憶されてよい。
【0025】
画像認識処理は、外部装置上で実行されてよい。また、対象物の決定は、外部装置上で実行されてもよい。この場合、プロセッサ14は、画像情報を、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置へ送信する。外部装置は、画像情報から属性情報を抽出し、複数種類の属性情報に基づいて対象物を決定する。その後、属性情報および対象物の情報は、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置からプロセッサ14へ送信される。
【0026】
個人情報が人物により発声された発話情報を含む場合、プロセッサ14は、発話情報をテキストデータへ変換するために、発話情報に対して音声認識処理を施し、重要用語を抽出し、抽出された重要用語に基づいて、対象物を決定する。重要用語は、単語、句、または文であってよい。プロセッサ14は、様々な従来の音声認識方法を使用してよい。例えば、プロセッサ14は、隠れマルコフモデル(HMM)を使用して音声認識処理を実行してよい。また、例えば、プロセッサ14は、音声認識処理を実行する前に訓練データを使用して訓練されていてもよい。音声認識処理で使用される辞書およびデータは、メモリ13に記憶されてよい。あるいは、音声認識処理で使用される辞書およびデータは、ネットワークインターフェース12を介してアクセス可能な外部装置に記憶されてよい。テキストデータから重要用語を抽出するために、様々な方法を採用することができる。例えば、プロセッサ14は、形態素解析によってテキストデータを形態素単位に分割してよい。また、例えば、プロセッサ14は、構文解析によって形態素単位の依存関係をさらに分析してよい。そして、プロセッサ14は、分析結果に基づいて、発話情報から重要用語を抽出してよい。
【0027】
音声認識処理は、外部装置上で実行されてよい。また、対象物の決定は、外部装置上で実行されてもよい。この場合、プロセッサ14は、発話情報を、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置へ送信する。外部装置は、画像情報から重要用語を抽出し、重要用語に基づいて対象物を決定する。その後、重要用語および対象物の情報は、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置からプロセッサ14へ送信される。
【0028】
プロセッサ14はまた、決定された対象物の位置情報を識別する。具体的には、プロセッサ14は、対象物に関連付けられた位置情報の記録を見つけるために、メモリ13に格納されたデータベース131を検索する。プロセッサ14は、識別された対象物の位置情報に基づいて、音波/光がエミッタ15から対象物へ向けられるように、エミッタ15のビーム方向を調整する。ビーム方向とは、エミッタ15によって放射される超音波または光のビームの方向のことである。
【0029】
エミッタ15は、所定の方向に超音波を放射する指向性スピーカであってよい。対象物に超音波が当たると、対象物は、超音波を反射して、可聴音を発生させる。エミッタ15は、指向性スピーカであってよく、指向性スピーカは、パラメトリックアレイを実装するための超音波変換器アレイを含んでよい。パラメトリックアレイは、複数の超音波変換器で構成され、所望の可聴音に基づいて、超音波の振幅を変調する。それぞれの変換器は、変調された超音波の細いビームを、高エネルギーレベルで投射して、通過する空気中の音速を大幅に変更する。ビーム内の空気は、非線形に振る舞い、超音波から変調信号を抽出する。その結果、ビームが当たる対象物の表面から可聴音が発生する。これにより、音のビームを長距離で投影することができるため、限られたエリア内でのみ、音を聞くことが可能となる。エミッタ15のビーム方向は、パラメトリックアレイを制御することにより調整されてもよいし、および/または、エミッタの向きあるいはエミッタの傾きを変えることにより調整されてもよい。
【0030】
<注意を引かせる装置10の動作>
図3を参照して、注意を引かせる装置10の音声再生方法について説明する。
【0031】
ステップS10において、情報取得ユニット11は、個人情報を取得し、取得した個人情報をプロセッサ14へ送信する。
【0032】
ステップS20において、プロセッサ14は、情報取得ユニット11から受信した個人情報に基づいて、対象物を決定する。
【0033】
ステップS30において、プロセッサ14は、対象物の位置情報を識別する。具体的には、プロセッサ14は、メモリ13に記憶されたデータベース131を検索し、対象物に関連付けられた位置情報の記録を読み出す。
【0034】
ステップS40において、プロセッサ14は、対象物の位置情報に基づいて、エミッタ15のビーム方向を調整し、超音波または光のビームを対象物に放射するように、エミッタに指令を送信する。
【0035】
ビームが当てられることで、対象物は、可聴音を発生させる、あるいは、周囲の物体と区別することができるように強調表示される。このようにして、本開示に係る注意を引かせる装置10は、対象物に人の注意を引かせることができる。
【0036】
さらに、注意を引かせる装置10は、データベース311から対象物の位置情報を読み出し、これにより、対象物の正確な位置を、迅速かつ容易に特定することができる。
【0037】
図4は、本開示の別の実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一般的な流れの一例を示す図である。本実施形態では、情報取得ユニット11は、2Dカメラ、3Dカメラ、赤外線カメラなどのカメラを含み、所定の画面解像度および所定のフレームレートで、人物の画像をキャプチャする。キャプチャされた画像は、バス16を介して、プロセッサ14へ送信される。所定の画面解像度は、例えば、フルハイビジョン(FHD;1920×1080画素)であってよいが、キャプチャされた画像が次の処理である画像認識処理の実行に適している限り、別の解像度であっても構わない。所定のフレームレートは、30fpsであってよいが、これに限定されるものではない。エミッタ15は、変調された超音波の細いビームを投射する指向性スピーカである。
【0038】
ステップS110において、カメラは、人物の画像をキャプチャし、人物の画像情報をプロセッサ14へ送信する。
【0039】
ステップS120において、プロセッサ14は、キャプチャされた画像情報から人物の属性情報を抽出する。プロセッサ14は、画像情報に対して画像認識処理を施して、人物の1つまたは複数の種類の属性情報を抽出してよい。属性情報は、年齢層(例えば、40代など)、性別(例えば、女性など)を含んでよい。
【0040】
ステップS130において、プロセッサ14は、抽出された1つまたは複数の種類の属性情報に基づいて、対象物を決定する。例えば、プロセッサ14は、データベース131から抽出された属性に属する人々により、頻繁に購入される商品を検索する。例えば、40代の女性に属する人々により、食品ラップが最も頻繁に購入される場合、プロセッサ14は、当該食品ラップに関連する音声情報を検索する。食品ラップが40代の女性に属する人々によって最も頻繁に購入されるとき、プロセッサ14はさらに、食品ラップに関連する音声情報を読み出す。音声情報は、商品の詳細を説明する人の声、または、商品のテレビコマーシャルで使用される歌であってよい。
【0041】
それぞれの商品に対して、1種類の音声情報が用意されてよい。あるいは、1つの商品に対して、複数種類の音声情報が用意されてよく、複数種類の音声情報は、属性情報に基づいて選択されてよい。
【0042】
ステップS140において、プロセッサ14は、決定された対象物(例えば、食品ラップ)の位置情報を識別する。具体的には、プロセッサ14は、データベース131を再び検索し、対象物における位置情報の記録を読み出す。例えば、プロセッサ14は、食品ラップが、通路X1、倉庫Y1の棚に置かれていることを識別する。
【0043】
ステップS150において、プロセッサ14は、通路X1、倉庫Y1の方へ、エミッタ15のビーム方向を調整する。食品ラップに関連する音声情報、食品ラップの位置情報、および超音波を放射するという指令は、プロセッサ14からエミッタ15へ送信される。エミッタ15は、指令により動作し、食品ラップから可聴音が発生するように、超音波を食品ラップへ放射する。
【0044】
対象となる商品から発生する可聴音により、人物の目は、対象となる商品へ向けられ、人物の注意を引かせ得る。視覚情報と聴覚情報との組み合わせにより、人物が、対象となる商品を購入しようという動機付けを高められる。
【0045】
図5は、本開示の別の実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一般的な流れの一例を示す図である。本実施形態は、注意を引かせる装置10が、外部装置からの補足情報を用いて対象物を決定する以外は、
図4に示される実施形態と同様である。プロセッサ14は、補足情報を取得するために、ネットワークインターフェース12を介して、外部装置と通信する。補足情報は、気象条件、季節、気温、湿度、現在時刻、商品の販売情報、商品の価格情報、商品の在庫情報、ニュース情報などのような対象物を決定するために役立つ任意の情報であってよい。
【0046】
ステップS210およびステップS220は、上述した、ステップS110およびステップS120と同様である。この場合において、人物の属性は、性別:男性、年齢層:30代とする。ステップS230において、プロセッサ14は、抽出された1つまたは複数の種類の属性情報に基づいて、さらに補足情報を考慮して、対象物を決定する。この場合において、補足情報は、気象条件および現在時刻、それぞれ、例えば、晴れ、午後6時などを含む。上述した属性情報(例えば、30代男性)および補足情報(例えば、午後6時晴れ)に基づいて、プロセッサ14は、ビールなどのような対象物を決定する。プロセッサ14は、データベース131または外部装置から、ビールに関連する音声情報を読み出す。
【0047】
次に、ステップS240において、プロセッサ14は、決定された対象物(例えば、ビール)の位置情報を識別する。具体的には、プロセッサ14は、データベース311を検索し、対象物における位置情報の記録を読み出す。例えば、プロセッサ14は、ビールが、通路X2、倉庫Y2の棚に置かれていることを識別する。
【0048】
ステップS250において、プロセッサ14は、通路X2、倉庫Y2の方へ、エミッタ15のビーム方向を調整する。ビールに関連する音声情報、ビールの位置情報、および超音波を放射するという指令は、プロセッサ14からエミッタ15へ送信される。エミッタ15は、指令により動作し、ビールから可聴音が発生するように、超音波を食品ラップへ放射する。
【0049】
本実施形態によれば、対象物の商品(対象物)の決定に使用される情報は、動的に変更することができ、これにより、人物が、対象物となる商品を購入しようという動機付けをさらに高められる。
【0050】
図6は、本開示のさらに別の実施形態に係る注意を引かせる装置における動作の一般的な流れの一例を示す図である。本実施形態は、情報取得ユニット11が、無指向性マイクロフォンおよび指向性マイクロフォンなどのマイクロフォンなどのようなマイクロフォンである以外は、
図4に示される実施形態と同様である。
【0051】
ステップS310において、マイクロフォンは、発話情報として人物からの音または声を拾い上げ、それをプロセッサ14へ送信する。本実施形態では、例えば、「私の車の鍵はどこですか?」という文が、人物から発せられたものとする。
【0052】
ステップS320において、プロセッサ14は、発話情報から人物の属性情報を抽出する。プロセッサ14は、発話情報に対して音声認識処理を施して、発話情報をテキストデータに変換してよい。プロセッサ14は、テキストデータから、車の鍵などのような重要用語をさらに抽出し、抽出された重要用語に基づいて対象物を決定してよい。次に、プロセッサ14は、データベース131から、対象物に関連する音声情報を読み出す。音声情報は、例えば、ビープ音であってよい。
【0053】
ステップS330において、プロセッサ14は、決定された対象物(例えば、車の鍵)の位置情報を識別する。具体的には、プロセッサ14は、メモリ13に記憶されたデータベース131を検索し、対象物における位置情報の記録を読み出す。例えば、プロセッサ14は、車の鍵の位置情報がダイニングテーブル上にあるということを特定する。
【0054】
位置情報に基づいて、プロセッサ14は、ダイニングテーブルの方へ、エミッタ15のビーム方向を調整する。車の鍵に関連する音声情報、車の鍵の位置情報、および超音波を放射する指令は、プロセッサ14からエミッタ15へ送信される。エミッタ15は、指令により動作し、車の鍵からビープ音が発生するように、超音波をダイニングテーブルへ放射する。
【0055】
対象の商品から発生するビープ音は、人物の注意を引き付け、人物の目を、その人物が探している物体に向けさせ得る。指向性スピーカの代わりに、または、指向性スピーカに加えて、エミッタ15は、レーザ発振器などの発光デバイスを含んでよく、対象物を照らしてよい。これにより、対象物の視認性を向上させ、人物の注意を、より多く引かせることができる。エミッタ15が発光デバイスを含む場合、1つまたは複数の作動ミラーまたはプリズムは、エミッタ15のビーム方向を調整するために使用されてよい。
【0056】
本実施形態では、使用される音声情報が、ビープ音である場合を一例に挙げて説明したが、特に限定されるものではなく、使用される音声情報は、対象物の名前についての人物の発話情報であってよい。あるいは、注意を引かせる装置10は、位置情報のテキストデータを人物の発話情報に変換するテキスト-音声変換シンセサイザーをさらに含んでよい。
【0057】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本開示の趣旨及び範囲内で、多くの変更および置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。
【0058】
例えば、上記の実施形態は、コンピュータシステムまたはプログラムを実行可能な他のハードウェアによって実行される一連の操作または操作に関連するプログラムとして、コンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されてよい。本明細書で使用されるコンピュータシステムは、汎用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PCS(パーソナル通信システム)、携帯電話、スマートフォン、RFID受信機、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、およびその他のプログラム可能なデータ処理装置を含む。加えて、操作は、プログラムコードを実装する専用回路、1つまたは複数のプロセッサなどによって実行される論理ブロックまたはプログラムモジュールによって実行されてよい。さらに、ネットワークインターフェース12を含む注意を引かせる装置10についても上述した説明の通りである。しかしながら、ネットワークインターフェース12は、取り外されてよく、注意を引かせる装置10は、独立した装置として構成されてよい。
【0059】
さらに、音と光に加えて、またはその代わりに、振動が使用されてよい。この場合、エミッタは、例えば、空気圧のパルスを生成して対象物に空気を吹き込むことが可能な空気注入器であってよい。対象物がパルス状の空気に当たると、振動して人の注意を引きつける。
【0060】
求められる保護の実際の範囲は、先行技術に基づく適切な視点で見た場合、以下の特許請求の範囲で定義されることを意図している。
【符号の説明】
【0061】
10 注意を引かせる装置
11 情報取得ユニット
12 ネットワークインターフェース
13 メモリ
14 プロセッサ
15 エミッタ
16 バス
20 人物
30 対象物
131 データベース