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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】フォトニックニューラルネットワーク
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/067 20060101AFI20240325BHJP
   G06G 7/60 20060101ALI20240325BHJP
   G06E 3/00 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G06N3/067
G06G7/60
G06E3/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021571577
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020035750
(87)【国際公開番号】W WO2020247391
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】62/856,603
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510119843
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ジップ
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-308452(JP,A)
【文献】特開平03-198031(JP,A)
【文献】特開平03-256032(JP,A)
【文献】特開2019-061496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/067
G06G 7/60
G06E 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニックニューラルネットワークデバイスであって、
シングルモード平面導波路である平面導波路と、
前記平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、
複数の電極であって、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置で前記可変屈折率を有する層に電気的に結合され、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を前記対応する位置に印加して前記フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うために前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成するように構成された、複数の電極と、
を備え
トレーニングに基づいて、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングされたモデルが、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスに物理的に実装されており、前記トレーニングは、前記対応するニューロンが入力波形に応答して所望の出力波形を生成するように、前記対応するニューロンの対応する電極に印加される前記対応する設定可能な電圧を選択することを有する、フォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項2】
前記複数の電極は、複数の電極列に配置され、前記複数の電極列の電極の各列は、ニューラルネットワークのニューラルネットワーク層である、請求項1に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項3】
前記複数の電極列の電極の第1の列と前記複数の電極列の電極の第2の列との間の回折又は屈折要素の列を更に備える、請求項2に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項4】
前記回折又は屈折要素の列は、複数の平面導波路レンズを備える、請求項3に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項5】
前記電極の第1の列と前記電極の第2の列との間の選択された光の広がりを達成するために、前記電極の第1の列と前記電極の第2の列との間の間隔、前記電極の第1の列と前記回折又は屈折要素の列との間の間隔、前記電極の第2の列内の互いに隣接するニューロンの間の間隔又は前記回折又は屈折要素の列の特性のうちの少なくとも一つが選択される、請求項3又は4に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項6】
前記回折又は屈折要素の列は、前記電極の第1の列と前記電極の第2の列との間の光の広がりを制御するように調整可能である少なくとも一つの調整可能な要素を備える、請求項3から5のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項7】
前記平面導波路は、前記光波形の波長未満の厚さを規定する、請求項1から6のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項8】
前記可変屈折率を有する層は、液晶を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項9】
非線形計算を行うために前記平面導波路の光学的非線形性を利用する、請求項1から8のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項10】
光学効果を制御するために前記複数の電極のそれぞれの形状が選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項11】
前記平面導波路に光学的に結合された光変調器を更に備え、前記光変調器は、前記平面導波路に入力波形を提供するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項12】
前記平面導波路に結合された複数の光検出器を更に備え、前記複数の光検出器は、前記平面導波路からの出力波形を検出するように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
【請求項13】
プロセッサが、フォトニックニューラルネットワークデバイスのモデルを作り出すことであって、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスは、
シングルモード平面導波路である平面導波路と、
前記平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、
複数の電極であって、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置で前記可変屈折率を有する層に電気的に結合され、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を前記対応する位置に印加して前記フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うために前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成するように構成された、複数の電極と、
を備えることと、
前記プロセッサが、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの前記モデルをトレーニングすることであって、前記トレーニングは、前記対応するニューロンが入力波形に応答して所望の出力波形を生成するように、前記対応するニューロンの対応する電極に印加される前記対応する設定可能な電圧を選択することを有することと、
前記プロセッサが、前記トレーニングに基づいて、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングされた前記モデルを、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスに物理的に実装することと、
を備える、方法。
【請求項14】
前記複数の電極は、複数の電極列に配置され、前記複数の電極列の電極の各列は、ニューラルネットワークのニューラルネットワーク層であり、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの前記モデルをトレーニングすることは、前記複数の電極列の互いに隣接する列の間の間隔を選択することを更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの前記モデルをトレーニングすることは、前記複数の電極列の列内の互いに隣接する電極の間の間隔を選択することを更に備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フォトニックニューラルネットワークデバイスは、前記複数の電極列の電極の第1の列と前記複数の電極列の電極の第2の列との間の回折又は屈折要素の列を更に備え、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの前記モデルをトレーニングすることは、前記回折又は屈折要素の列と前記電極の第2の列との間の間隔を選択することを更に備える、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記フォトニックニューラルネットワークデバイスは、前記複数の電極列の電極の第1の列と前記複数の電極列の電極の第2の列との間の回折又は屈折要素の列を更に備え、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの前記モデルをトレーニングすることは、電極の第1の列と電極の第2の列との間の選択された光の広がりを達成するために前記回折又は屈折要素の特性を選択することを更に備える、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの前記モデルをトレーニングすることは、光学効果を制御するために複数の電極のそれぞれの形状を選択することを更に備える、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記トレーニングに基づいて、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングされた前記モデルを、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスに物理的に実装することは、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングされた前記モデルの物理的インスタンス化を定義するために、前記平面導波路に隣接するとともに前記可変屈折率を有する層の上の電極のアレイからの対応する電極及び選択した電極の対応する設定可能な電圧を構成することを備える、請求項13から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
フォトニックニューラルネットワークデバイスであって、
ニューラルネットワークのための複数のニューラルネットワーク層を備え、各ニューラルネットワーク層は、
ニューロンの列であって、各ニューロンは、可変屈折率を有する層に隣接する対応する電極を備え、前記可変屈折率を有する層は、シングルモード平面光導波路に隣接する、ニューロンの列と、
前記シングルモード平面光導波路に隣接する屈折又は回折要素の列であって、フォトニックニューラルネットワークは、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うために前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成する、屈折又は回折要素の列と、
を備え
トレーニングに基づいて、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングされたモデルが、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスに物理的に実装されており、前記トレーニングは、前記対応するニューロンが入力波形に応答して所望の出力波形を生成するように、前記対応するニューロンの対応する電極に印加される前記対応する設定可能な電圧を選択することを有する、フォトニックニューラルネットワークデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年6月3日に出願された米国出願第62/856,603号の利益を主張し、その全内容は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、ニューラルネットワーク及びニューラルネットワークを実行するためのフォトニックプロセッサに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人工ニューラルネットワーク(ANN)は、機械学習及び人工知能(AI)ベースのアプリケーションで広く使用されており、デジタルプロセッサ技術に対する要求が高まっている。これに応えて、特定用途向け集積回路(ASIC)の形のAIハードウェアアクセラレータが、この需要を満たすために開発された。ASICは、従来のデジタル電子機器の速度及びエネルギー効率によって依然として根本的に制限されている。光又はフォトニックベースのプロセッサは、損失を最小限に抑えて広帯域データストリームを効率的に伝送及び処理できるので、有望な代替アプローチである。しかしながら、ニューラルネットワークの以前のフォトニック実装は、少ないニューロンの数、ノード間の専用光接続による再構成可能性の欠如、チップスケール統合に適さない自由空間光要素への依存のような厳しい制限に悩まされてきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの例では、本開示は、平面導波路と、平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、複数の電極と、を有するフォトニックニューラルネットワークデバイスを記載する。各電極は、可変屈折率を有する層の対応する位置で可変屈折率を有する層に電気的に結合されてもよい。各電極は、可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を対応する位置に印加してフォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うためにフォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成するように構成されてもよい。
【0005】
いくつかの例では、本開示は、フォトニックニューラルネットワークデバイスをモデル化することを有する方法を記載する。フォトニックニューラルネットワークデバイスは、平面導波路と、平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、複数の電極と、を有してもよい。各電極は、可変屈折率を有する層の対応する位置で可変屈折率を有する層に電気的に結合されてもよい。各電極は、可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を対応する位置に印加してフォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うためにフォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成するように構成されてもよい。方法は、モデル化したフォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることを有してもよい。モデル化したフォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることは、対応するニューロンが入力波形に応答して所望の出力波形を生成するように、対応する位置の対応する設定可能な電圧を選択することを有してもよい。方法は、トレーニングされた前記フォトニックニューラルネットワークを前記トレーニングに基づいてデバイスに物理的に実装することを更に有してもよい。
【0006】
いくつかの例では、本開示は、ニューラルネットワークのための複数のニューラルネットワーク層を有するフォトニックニューラルネットワークデバイスを記載する。各ニューラルネットワーク層は、ニューロンの列であって、各ニューロンは、可変屈折率を有する層に隣接する対応する電極を有するニューロンの列を有してもよい。可変屈折率を有する層は、平面光導波路に隣接する。各ニューラルネットワーク層は、平面光導波路に隣接する屈折又は回折要素の列であって、フォトニックニューラルネットワークは、フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うためにフォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成する、屈折又は回折要素の列も有してもよい。
【0007】
一つ以上の例の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的及び利点は、明細書及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的なフォトニックニューラルネットワークデバイスの平面図を示す概念図である。
図2図1の例示的なフォトニックニューラルネットワークデバイスの側面断面図を示す概念図である。
図3】シミュレートされた波の伝播及び電界強度の画像であり、10μmx10μmの電極は、1.5から1.6に調整される屈折率を有する可変屈折率を有する層に応答して波長1.55μmの光にπ/4位相シフトを課す。
図4】可変屈折率を有する電圧制御層のTE偏光屈折率の種々の値での例示的なフォトニックニューラルネットワークデバイスにおけるTEOモードのシミュレートされた電界分布のプロットである。
図5】SiO2-Ta2O5導波路層の上のシリコンリューネブルクレンズ構造を通る1.55μmの光のシミュレートされた波の伝播の画像である。
図6】フォトニックニューラルネットワークデバイスをトレーニングするとともにトレーニングされたフォトニックニューラルネットワークデバイスをハードウェアに実装するための例示的な技術を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、フォトニックニューラルネットワークデバイス及びフォトニックニューラルネットワークデバイスにおいてニューラルネットワークをトレーニング及び実装するための技術を記載する。
【0010】
過去数十年に亘るフォトニクス、特に、フォトニック集積回路(PIC)技術においてなされた進歩にもかかわらず、光信号処理は、単一の機能及びアルゴリズムを実行することに限定されてきた。再構成可能なフォトニックプロセッサの開発は困難であることが証明されており、設計は、通常、固定フォトニック処理ユニット間の信号経路の光学的又は機械的な切り替えに依存してきた。これらのソリューションは、依然として光学素子の制限された再構成可能性及び再利用に悩まされており、機能が追加されるに従ってフォトニックプロセッサ全体のサイズが大きくなる。マッハツェンダー変調器ユニットのリンクメッシュネットワークのより一般的なアプローチは、より広い範囲のネットワークの柔軟性を提供するが、調整可能なバンドパスフィルタリング又はチャネライゼーションのようないくつかの単純なRF処理タスクに制限される。これは、プロセッサが論理ブロックレベルで再構成可能であるとともに幅広い機能又はアルゴリズムの実装を可能にするデジタルエレクトロニクス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA)によって提供される再構成可能性の範囲とはまったく対照的である。
【0011】
高度の再構成可能性を備えたフォトニックプロセッサを、より一般化可能な計算アーキテクチャを実装することによって達成することができる。人工ニューラルネットワーク及びニューロモルフィックコンピューティングは、アナログフォトニックの実装に最適であり、幅広い機能を計算するようにトレーニング及び再プログラムすることができる。画像分類及び人工知能タスクに加えて、ニューラルネットワークは、RF信号分類及び最尤推定を正確に実行することが実証されている。
【0012】
ニューラルネットワークアーキテクチャの強力な機能及びそのアナログフォトニック処理との互換性は、様々なタイプのフォトニックニューラルネットワークの開発をもたらした。これらのアーキテクチャは、自由空間光通信に基づくアーキテクチャとPICの固定導波路アーキテクチャに基づくアーキテクチャとにグループ化できる。自由空間光通信の実装は、大きいシステムのサイズ、重量及び電力(SWaP)並びにオンチップの統合及び制御との互換性がないことに悩まされる。導波管回路ベースのアプローチは、限られた数の人工ニューロン及び導波路結合での実質的な光損失を提供する。米国国立標準技術研究所(NIST)の研究者によって製造された複雑な多層ニューラルネットワーク導波路構造でさえ10個の入力ニューロン及び100個の導波路接続に制限される。これは、画像及び信号処理タスクに必要な種類の強力なニューラルネットワークを実現するために必要な1000以上のニューロン及び接続よりも桁違いに小さい。
【0013】
PICにおける密度及び結合効率は増加し続けるとしても、近い将来に純粋な導波管ベースのアーキテクチャが大規模ニューラルネットワークに必要な密度を達成することはありそうにない。数千のニューロン及び接続にスケーラブルであるプログラム可能なチップベースのフォトニックニューラルネットワークアーキテクチャの実装のためには、新しいアプローチが必要である。
【0014】
平面導波路と、平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、複数のプログラム可能又は構成可能なニューロンと、を有するフォトニックニューラルネットワークデバイスをここに記載する。各プログラム可能又は構成可能なニューロンは、可変屈折率を有する層の対応する位置で可変屈折率を有する層に電気的に結合された電極を有する。各電極は、電源から対応する設定可能な電圧を受け取り、可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を対応する位置に印加するように構成される。電圧は、可変屈折率を有する層の組成に応じて、DC電圧、AC電圧又はその組み合わせであってもよい。可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率を制御することは、対応するプログラム可能又は構成可能なニューロンを構成する。このようにして、フォトニックニューラルネットワークデバイスは、コヒーレントフォトニックニューラルネットワークを実装するために電圧制御の位相及び振幅波面エンジニアリングを使用する。
【0015】
数十、数百、数千又はそれ以上のニューロンを備えた再プログラム可能なフォトニックニューラルネットワークデバイスを有効にすることにより、多くの異なる処理アルゴリズムを実装する柔軟性を維持しながら最先端のデジタルプロセッサの速度及びエネルギー効率を上回ることができる。いくつかの例では、フォトニックニューラルネットワークデバイスが5ワット未満の消費で最大10000TOPS(1秒あたりのテラオペレーション)の処理速度を可能とする(1ワット当たりのパフォーマンスが2000TOPS/ワットを超えるようになる)場合がある。比較すると、現在の最先端の特定用途向け集積回路(ASIC)人工知能(AI)アクセラレーターは、約2TOPS/ワットの電力性能で約90TOPSを達成する。このタイプのフォトニックニューラルネットワークデバイスは、データスループットレートが現在デジタル処理能力によって制約されている高性能のリアルタイム信号及びセンサー処理システムに適用される可能性がある。
【0016】
図1は、例示的なフォトニックニューラルネットワークデバイス10の平面図を示す概念図である。図2は、図1のフォトニックニューラルネットワークデバイス10の例の側面断面図を示す概念図である。フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、図2に示すように、複数の層を有する本体12を有する。各層は、フォトニックニューラルネットワークデバイス10の機能に寄与する。
【0017】
一般的には、フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、複数のニューラルネットワーク層14A~14D(総称して「ニューラルネットワーク層14」)を有する。各ニューラルネットワーク層は、ニューロン16A~16Hの列(総称して「ニューロン16」)と、任意選択で、屈折又は回折要素18A~18Hの列(総称して「屈折又は回折要素18」)と、を有する。図1が、各ニューラルネットワーク層が八つのニューロン16及び八つの屈折又は回折要素18を有する四つのニューラルネットワーク層14を示すが、フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、任意の数のニューラルネットワーク層14を有してもよく、各ニューラルネットワーク層に任意の数のニューロン16を有してもよく、各ニューラルネットワーク層に任意の数の屈折又は回折要素18を有してもよい。各層のニューロン16の数及び屈折要素又は回折要素18の数は、同一であっても異なっていてもよい。さらに、各層内で、屈折又は回折要素18の数は、ニューロン16の数と同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、光22をフォトニックニューラルネットワークデバイス10に入力するように構成された光源20と、最後のニューラルネットワーク層(例えば、ニューラルネットワーク層14D)からの光出力を検知するように構成された光検出器26のアレイとを、更に有する。光源20は、無線周波数(RF)レートで光を変調するように構成された高速変調器のような一つ以上の光変調器を有してもよい。光変調器は、ニューラルネットワークへの入力ベクトル内の情報を表すために光22の振幅変調、光22の位相変調等を行ってもよい。いくつかの例では、光源20を、フォトニックニューラルネットワークデバイス10内に非線形性を誘導するために使用してもよい高ピーク電力パルス光を出力するように構成してもよい。(高速変調器を含む)光源20及び光検出器26を、本体12に統合されてもよい又は本体12から分離するとともに本体12に結合してもよい。
【0019】
フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、ニューロン16に印加するための電圧又は電圧のセットを出力するように構成された電源28を更に有する。図1は、電源28をニューロン16に接続する単一の線を示すが、(固有の)対応する設定可能な電圧を各ニューロン16A~16Hに印加するために電源28が各ニューロン16A~16Hを個別にアドレス指定するように電源28を各ニューロン16A~16Hに並列に接続してもよい。したがって、ニューロン16の各々に印加される電圧は、互いに異なってもよい。電源28は、ニューラルネットワーク層14B~14Dの各々の各ニューロンに同様に接続してもよい。電源28は、いくつかの実装形態では、ニューロン16に出力される電圧を制御するための制御回路を有してもよい。電源28を、DC電圧、AC電圧又はその両方を出力するように構成してもよい。
【0020】
図2に示すように、本体12は、複数の層を有する。例えば、本体12は、基板32を有してもよい。基板32は、本体12に機械的支持を提供してもよく、後続の層を成長、堆積又は他の方法で形成することができる層を提供する。いくつかの例では、基板32は、シリコン、シリコン合金又は集積回路製造プロセスで使用可能な別の材料を含む。
【0021】
下側クラッド層34は基板32上にある。下側クラッド層34は、下側クラッド層34上にある導波路層36のクラッド層として機能する。したがって、下側クラッド層34は、例えば、導波路層36の屈折率よりも比較的に低い導波路層36の屈折率と比較的に異なる屈折率を示す。いくつかの例では、下側クラッド層34は、シリカ(SiO2)又は別の比較的に低い屈折率の材料を含む。
【0022】
導波路層36は、下側クラッド層34上の平面光導波路である。導波路層36は、光22の波長に対して十分透明である材料を含む。さらに、導波路層36は、例えば、下側クラッド層34の屈折率より比較的に高い下側クラッド層34の屈折率と比較的に異なる屈折率を示す。いくつかの例では、導波路層36は、シリカと五酸化タンタルの混合物(SiO2-Ta25)のような材料の混合物を含んでもよい。シリカは、約1.45の屈折率を示し、五酸化タンタルは、約2.05の屈折率を示す。導波路層36中のシリカ及び五酸化タンタルの量を変えることにより、導波路層36の屈折率を、1.45と2.05との間にすることができる。下側クラッド層34と導波路層36との間の屈折率差の選択は、ニューロン16で達成可能な位相及び振幅変調に影響を及ぼす。さらに、導波路層36と層40との間の屈折率差の選択は、層40に入力するとともにニューロン16で位相及び/又は振幅変調する光22の量を制御する。導波路層36の材料を、デバイス10内の伝搬損失を低減するように選択してもよい。
【0023】
本体12は、任意選択で、導波路層36上に、導波路層36と可変屈折率を有する層40との間に比較的薄い表面処理層38を有する。存在する場合、表面処理層38は、電界が印加されていない状態で、層40内の分子44の整列を制御するように構成される。例えば、表面処理層38は、約50nm未満の厚さを有するシリカを含んでもよく、これによって、印加される電界がないときに層40の分子44が層40と略平行に整列することができる。他の例では、別の材料及び/又は別の厚さを表面処理層38に対して使用することができ、これは、印加電界がないときに層40で異なる分子配列(例えば、層40に略垂直な配列)をもたらすことができる。
【0024】
層40は、導波路層36に隣接する。ここで使用される場合、「隣接する」という用語は、別の層の隣にある層を意味するために使用され、第2の層のすぐ隣の(例えば、接触する)第1の層と一つ以上の中間層が第1の層と第2の層との間に存在する第2の層の隣の第1の層の両方を包含する。それに対し、「直接隣接する」という用語は、別の層に直接隣接する(例えば、接触する)層を意味するために使用され、互いに直接隣接すると述べられる層間に中間層がない。層40は、可変屈折率を有する材料を含む。例えば、材料は、印加された電界(例えば、ニューロン16Aで電源28によって印加された電圧)に応答して可変屈折率を有してもよい。可変屈折率を有する材料は、例えば、液晶ポリマー(LCP)のような液晶を含んでもよい。液晶の結晶性ドメインは、印加された電界に応答して回転することができ、回転の量は、動作範囲内で、印加された電界の大きさに対応してもよい。いくつかの例では、可変屈折率を有する材料は、印加されていない電界と最大の印加された電界との間で大きな屈折率変化を示すように選択され、これによって、ニューロン(例えば、ニューロン16A)で達成可能な動的範囲(位相又は振幅変調)を増加させてもよい。
【0025】
いくつかの例では、層40はシングルモード導波路である。例えば、層40の厚さを、層40がシングルモードの振る舞いを示すように選択してもよい。いくつかの実装形態では、層40は、(図2のz軸方向で測定される)約1マイクロメートル未満のような光22の波長未満程度の厚さを規定することができる。
【0026】
本体12は、任意選択で、層40上に比較的薄い表面処理層42を有する。存在する場合、表面処理層42は、印加電界がないときに層40内の分子44の整列を制御するように構成される。例えば、表面処理層42は、約50nm未満の厚さを有するシリカを含んでもよく、これによって、印加された電界がないとき層40の分子44が層40と略平行に整列することができる。他の例では、別の材料及び/又は別の厚さを表面処理層42に対して使用することができ、これは、印加電界がないときに層40で異なる分子配列(例えば、層40に実質的に垂直な配列)をもたらすことができる。表面処理層38及び/又は表面処理層42の代わり又はそれに加えて、層40に液晶分子を配向させる他の既知の技術を使用することができる。
【0027】
図2に示すように、ニューロン16Aは、対応する電極30Aと、電極30Aに隣接する層40の対応する部分46(例えば、電極30Aに直接隣接する層40の部分)と、を有する。電極30Aは、任意の適切な導電性材料を含み、電源28に電気的に接続され、これによって、電源28は、設定可能な電圧を電極30Aに印加することができる。電極30Aの形状、サイズ及び材料は、ニューロン16Aでの光22の所望の最大振幅及び/又は位相シフトを可能にするために、層40の対応する部分46内に所望の電界形状を提供するように選択される。例えば、電極30Aは、マイクロメートル又は数十マイクロメートルのオーダーの(それぞれy軸及びx軸方向の)幅及び長さを規定してもよい。いくつかの例では、電極30Aは、約10μm×10μmの(それぞれy軸及びx軸方向の)幅及び長さを規定してもよい。電極30Aのサイズは、ニューロン16Aが光22に課すことができる最大位相及び/又は振幅シフトに影響を及ぼし、(x軸方向の)より長い電極30Aは、より長い部分46をもたらす。
【0028】
電極30Aは、図2のx-y平面において略正方形又は長方形の形状を規定する。他の例では、電極30Aは、図2のx-y平面において更に複雑な形状を規定してもよい。ニューロン16Aでのフリンジ電界の影響及び非線形の光学的な影響を制御(例えば、増加又は減少)するために、更に複雑な形状を選択してもよい。電極30の各電極は、同一の形状及びサイズを有してもよい又は異なる形状及び/又はサイズを有してもよい。
【0029】
ニューロン16Aでの位相及び振幅制御は、(単一モード平面導波路構造であってもよい)導波路層36上のネマチック液晶クラッディング層であってもよい)層40(内の電圧制御によって提供される。液晶を含む層40の使用は、導波路層36において低い光吸収及び散乱損失を維持しながら屈折率の大きな変調を提供することができる。層40が液晶を含む例では、電源28を、各電極30への対応する設定可能なAC電圧を出力するように構成してもよい。各対応する設定可能なAC電圧のRMS値は、各対応するニューロンでの屈折率変化の程度を決定してもよい。複屈折液晶配向の変化は、層40の対応する部分46の屈折率を変化させ、それによって、導波モードのフィールドプロファイル(field profile)を変化させ、有効モード指数を変更する。ガイドモード分析は、2π位相シフトが約30μm未満の伝搬距離で達成可能であることを示し、これにより、調整可能な位相シフターの高密度ネットワークが可能になる。それに対し、一般的なシリコン変調器は、2π位相シフトを達成するために1mmを超える相互作用長を必要とする。提案したフォトニックネットワークにおける単一ニューロンの電圧制御位相変調のシミュレーションを図3に示し、そこでは、10μmx10μmの電極が、屈折率が1.5から1.6に調整された層40の対応する部分46に応答して波長1.55μmの光にπ/4位相シフトを課す。
【0030】
振幅変調は、層40の屈折率を導波路層36の屈折率付近に調整することによっても達成することができる。電圧制御層40のTE偏光屈折率の種々の値でのフォトニックニューラルネットワークデバイス10におけるTEOモードのシミュレートされた電界分布のプロットである図4に示すように、導波路層36に導波モードが存在せずに光が層40に放射されるしきい値が存在する。フォトニックニューラルネットワークデバイス10のガイドモード分析は、屈折率がn=1.74である導波路層36が位相及び振幅変調の両方の十分な範囲を可能にすることを示唆する。これにより、同一の電極30Aが光22の位相又は振幅変調のいずれかを実行することが可能になる。振幅変調の程度は、層40における液晶配向分布の詳細な特性及びその光散乱特性に依存する。
【0031】
層40における非線形の影響の誘発を制御してもよい(例えば、意図的な誘発又は意図的な軽減のいずれか)。液晶は、ミリ秒を超える応答時間での液晶分子の熱的及びレーザー誘起配向に関連する大きな光学的非線形性(esu単位でχ3>10-4)を有する。これらの遅い非線形の影響は、フォトニックニューラルネットワークデバイス10の最終的なスループット率を低下させることがある。これらの影響は、層40全体に低振幅AC電圧を印加することによって軽減することができ、これによって、ネマチック液晶の光学非線形性を大幅に低下させることができる。一方、非線形的な計算を可能にするために、高ピークパワーパルス光源である光源20の使用、非線形性を誘発する形状の電極の使用等によって意図的に非線形性を誘発してもよい。
【0032】
屈折又は回折要素18Aも、電極30Aのように表面処理層42上にある。屈折又は回折要素18Aは、屈折又は回折要素18Aでの光22の制御された集束、焦点ぼけ、回折、散乱又は方向転換を引き起こす任意の適切な屈折又は回折構造であってもよい。例えば、屈折又は回折要素18Aは、リューネブルクレンズのような平面導波路レンズを含んでもよい。リューネブルクレンズは、導波路層40(又は存在する場合は表面処理層42)上に、徐々に変化する深さプロファイルを有する高屈折率材料の薄い堆積を有する。これにより、導波路層40内の導波路22の効果的なグレーデッドインデックスプロファイルが作成され、グレーデッドインデックスプロファイルを、異なるレンズ効果を実現するために調整することができる。グレーデッドインデックスプロファイルは、反射及び後方散乱を無視して、高開口数のレンズ効果を可能にする。図5は、SiO2-Ta25導波路層の上のシリコンリューネブルクレンズ構造を通る1.55μmの光のシミュレートされた波の伝播の画像である。SiO2-Ta25導波路層の屈折率は、約1.74である。シリコンリューネブルクレンズは、約5ミクロンの直径及び約50nmの高さを有する。図5は、そのようなレンズが最小の後方散乱を可能にするとともに高いピーク実効屈折率が大きな散乱角を生成することを示す。
【0033】
屈折又は回折要素18Aの構成を、屈折又は回折要素18Aで光22の選択された広がりを引き起こすように選択してもよい。光の広がり22、屈折要素又は回折要素18Aと図1及び図2のx軸におけるニューロン16の前の列との間の間隔、屈折要素又は回折要素18Aと図1及び図2のx軸におけるニューロン16の次の列との間の間隔及び図1及び図2のy軸におけるニューロン16の列内のニューロン16間の間隔は、一つの層14のニューロンと次の下流層のニューロンとの間の有効な接続の数に影響を及ぼす。例えば、光22の広がりが大きくなること、屈折又は回折要素18Aと図1及び図2のx軸におけるニューロン16の次の列との間の間隔が大きくなること及び図1及び図2のy軸におけるニューロン16の列内のニューロン16間の間隔が小さくなることは、一般的には、有効な接続の数を増加させることができるが、光22の広がりが小さくなること、屈折又は回折要素18Aと図1及び図2のx軸におけるニューロン16の次の列との間の間隔が小さくなること及び図1及び図2のy軸におけるニューロン16の列内のニューロン16間の間隔が大きくなることは、一般的には、有効な接続の数を増加させることができる。
【0034】
いくつかの例では、屈折又は回折要素18Aは、定義された構造を有するとともに結果として光22の広がりに影響を及ぼす静的構造であってもよい。他の例では、屈折又は回折要素18Aは、例えば、ニューロン16Aと同様に、調整可能又は構成可能であってもよい。例えば、屈折又は回折要素18Aは、電極を介して印加される電圧に基づいて屈折特性を変化させる液晶構造を有してもよい。屈折又は回折要素18Aでの光の広がりを制御することによりフォトニックニューラルネットワークデバイス10の層14間の接続を再構成することを可能にすることによって、調整可能又は構成可能な構造として屈折又は回折要素18Aを形成することによるフォトニックニューラルネットワークデバイス10の更に優れた構成可能性及びプログラム可能性が可能になる。
【0035】
動作中、光源20は、第1のニューラルネットワーク層14Aへの入力ベクトルを構成する光22を出力する。光源20は、例えば、入力ベクトル内の情報を表すために光22を変調する線形アレイ空間光変調器を有してもよい。空間光変調器は、キロヘルツのオーダーの変調速度比較的低い変調速度を有する液晶ベースの位相及び振幅変調器である。別の例として、光源20は、10ギガヘルツを超える速度で光を変調する高速変調器のアレイ(例えば、Siベース又はInPベースの変調器)を有してもよい。光22を、導波路層36にエッジ結合してもよい。光22は、コヒーレントであってもよい。
【0036】
光22は、第1のニューラルネットワーク層14A、更に具体的には、ニューロン16に伝播する。電源28は、対応する設定可能な電圧(AC又はDC電圧)を、ニューロン16の各ニューロンの対応する電極に印加する。対応する設定可能な電圧により、各ニューロン16は、選択した位相及び/又は振幅シフトを当該ニューロン16で光22に適用する。位相制御は、誘導光22のエバネセント場と層40との相互作用によって可能になり、それは、光の誘導モードの実効屈折を変化させる。
【0037】
フォトニックニューラルネットワークデバイス10の光伝搬は、ニューロン16(電極)の各層の間の一連の加重接続として説明することができる。I番目の層のニューロンの電界は、前の層の全てのニューロンからの寄与のコヒーレントな合計として近似的にモデル化することができる。
【数1】
ここで、wiは、i番目のニューロンの複素数値の電圧制御された振幅及び位相バイアスであり、f(θij)は、屈折又は回折要素の複素数値の散乱位相関数であり、
【数2】
は、ニューロン間の距離rによって設定される伝搬係数である。電極に印加される対応する設定可能な電圧を制御することによりフォトニックニューラルネットワークの重みwiをプログラミングすることによって、フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、幅広いクラスの機能を実装することができる。ニューラルネットワークの出力は、光検出器のアレイ26によって検知される光である。
【0038】
他の実装形態では、フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、基準波形を生成するとともに最終ニューラルネットワーク層(例えば、層14D)によって出力された光22と干渉するために最終ニューラルネットワーク層の後に基準波形を導波路層36に導入するための波形発生器を有してもよい。フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、干渉によって生成された結果の波形を検出するために、複数の光検出器アレイを有してもよい。そのような構成は、ニューラルネットワークによって出力された光22の位相及び強度情報を検出することを可能にする。
【0039】
フォトニックニューラルネットワークデバイス10のこのようなハイブリッド設計によって、ユーザは、電極(例えば、電極30A)に印加される電圧によって制御されるニューロン16間の接続重みを用いて、コヒーレントフォトニックアナログニューラルネットワークの構造及びパラメータを再構成及び制御することができる。高密度の配置によって、1cm2の小さな領域で数千のニューロンと接続が可能になり、これは、(1cm2の領域で30未満のニューロンである)固定導波管接続を使用するRF信号処理用の以前のフォトニック集積回路(PIC)ニューラルネットワーク設計よりも桁違いに改善される。
【0040】
フィードフォワード処理は、受光要素を介した光伝搬によって完全に計算されるので、上述したフォトニックニューラルネットワークデバイスは、エネルギー効率が良い。消費電力は、入力電気光学変換、レーザー光源電力((特定の実装に依存する)ショットノイズ制限検出の場合は約50mW)及び電極(例えば、電極30A)のスタティック制御のための(約1mW未満の)低電力のAC電極電圧に限定される。フォトニックニューラルネットワークデバイス10への高速(GHz)信号入力の場合、電力消費は、(シリコン変調器の場合は約5pj/ビットと想定される)光源20の電気光学変調器によって支配され、5000TOPS/ワットを超えるシステム処理効率を付与する。それに対し、電子的なFPGAは、現在約80GFLOP/ワットに制限されているが、ディープラーニング用に高度に最適化されたASICは、2TOPS/ワットのパフォーマンスを達成した。フォトニックプロセッサのエネルギー効率は、スタティックフォトニックネットワークを介した光伝搬によって実行される高速で略無損失のフィードフォワード計算によって実現される。
【0041】
図6は、フォトニックニューラルネットワークデバイスをトレーニングするとともにトレーニングされたフォトニックニューラルネットワークデバイスをハードウェアに実装するための例示的な技術を示す流れ図である。図6の技術を、図1及び図2のフォトニックニューラルネットワークデバイス10を同時に参照しながら説明する。しかしながら、フォトニックニューラルネットワークデバイス10とは異なるデバイスを製造するために図6の技術を使用してもよく、かつ、当該フォトニックニューラルネットワークデバイス10を異なる技術を使用して製造することができることを理解されたい。
【0042】
図6の技術は、フォトニックニューラルネットワークデバイス10のモデル化を有する(52)。フォトニックニューラルネットワークデバイス10のモデル化は、例えば、少なくとも導波路層36、層40、(各々が電極30Aを有する)ニューロン16、(存在する場合の)屈折又は回折要素18等を有するフォトニックニューラルネットワークデバイス10の構成要素の関連する特性及び挙動を表す式又は他の数値モデルを生成することを有する。関連する特性は、(単独の又は層34,38,40及び/又は42と組み合わせた)導波路層36の光学的特性及び電気的特性、(単独の又は層34,36,38及び/又は42と組み合わせた)層40の光学的特性及び電気的特性を含む。関連する特性を、例えば、デバイス10のコンピュータ支援モデリング(CAM)及び/又はコンピュータ支援設計(CAD)表現に実装されるように、デバイス10の数値モデルに組み込んでもよい。例えば、CAD/CAMモデルは、複数のノードを有してもよく、各ノードは、当該ノードでのデバイス10の特性の表現に関連付けられる。ノードは、少なくとも導波路層36、層40、電極30A及び存在する場合の屈折要素又は回折要素18を介して延在してもよい。いくつかの例では、モデルは、光源20、光検出器のアレイ26又はその両方に延在してもよい。
【0043】
いくつかの例では、(デバイスの特定の構成要素の設定された間隔及びサイズを含む)特定のデバイスの物理的実装をモデル化するのではなく、モデルは、フォトニックニューラルネットワークデバイス10の個々の構成要素、例えば、ニューロン16、屈折又は回折要素18、導波路層36、可変屈折率を有する層40等の関連する特性及び動作を表してもよい。いくつかのそのような例では、(例えば、図1及び図2のx軸及び/又はy軸の)間隔は、モデルをトレーニングする際により多くの自由度を可能にするためにモデル内で構成可能であってもよい。
【0044】
図6の技術は、モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングも有する(54)。モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニング(54)は、ニューロン16又は(存在する場合の)屈折又は回折要素18の対応する位置又は対応するニューロン16が入力波形に応答して所望の出力波形を生成するようなニューロン16の各ニューロンの対応する電極30Aに印加される対応する設定可能な電圧(AC又はDC)の少なくとも一方の選択を有する。上記のように、いくつかの例では、ニューロン16(及び存在する場合の屈折又は回折要素18)の位置は、例えば、事前に製造されたデバイスに対応するように固定され、トレーニングは、ニューロン16の各ニューロンの対応する電極30Aに印加される対応する設定可能な電圧(AC又はDC)の選択のみを有する。他の例では、ニューロン16(及び存在する場合の屈折又は回折要素18)の位置は固定されておらず、例えば、モデルは、物理的に製造されたデバイスに対応しない、又は、デバイスは、ニューロン16の位置を定義するために個別に選択することができる選択可能な電極のアレイを有する。
【0045】
モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニング(54)を、デジタルニューラルネットワークのトレーニングと同様に進めてもよい。ニューラルネットワークは、一般的には、コンピューティングデバイスが入力データを分析するとともに入力データに応答して実行される動作を識別することを可能にする。ニューラルネットワークを、可能性のある入力データを反映するトレーニングデータを使用してトレーニングしてもよい。トレーニングデータにラベル付してもラベル付しなくてもよい(トレーニングデータのサンプルに基づいて実行する正確な動作が明示的に記述されているか明示的に記述されていないかを意味する)。ニューラルネットワークのトレーニングは、(コンピュータープログラマーのような設計者が正確な動作を識別するために機械学習モデルをガイドするようトレーニングを指示する)ガイド付きであっても(機械学習モデルが入力データを考慮して正確な動作を識別するために設計者によってガイドされない)ガイドなしであってもよい。場合によっては、ニューラルネットワークは、ラベル付きトレーニングデータとラベルなしトレーニングデータの組み合わせ、ガイド付きトレーニングとガイドなしトレーニングの組み合わせ又はあり得るその組み合わせによってトレーニングされる。
【0046】
モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスのトレーニングは、ニューロン16の各ニューロンの対応する電極30Aに印加される少なくとも対応する設定可能な電圧(AC又はDC)の決定をもたらし、その結果、対応するニューロン16は、入力波形に応答する所望の出力波形をもたらす。対応する設定可能な電圧は、ニューロン16のそれぞれのニューロンで光22に加えられる重みに対応する。ニューロン16及び/又は屈折又は回折要素18の対応する位置もトレーニング中に構成可能又は選択可能である例では、トレーニングの出力は、各ニューロン、各屈折要素又は回折要素又はその両方に対応する位置も有してもよい。
【0047】
モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスがトレーニングされると、トレーニングされたフォトニックニューラルネットワークを、トレーニングに基づいてデバイスに物理的に実装してもよい(56)。いくつかの例では、モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスを物理的に実装することは、トレーニングされたモデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスの物理的な特性に対応する物理的な特性(例えば、ニューロン16の位置、屈折又は回折要素18、電極30Aの形状等)を有するフォトニックニューラルネットワークデバイス10を製造することを有する。したがって、フォトニックニューラルネットワークデバイス10は、トレーニングされたモデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスに一意に対応する完全にカスタムのデバイスであってもよい。
【0048】
モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスを物理的に実装することは、追加的又は代替的に、トレーニングに基づいて事前に製造されたフォトニックニューラルネットワークデバイス10の動作を制御するファームウェア、ソフトウェア等を生成することを有してもよい。例えば、ファームウェア、ソフトウェア等は、ニューロン16の対応する各ニューロンのそれぞれの電圧値(例えば、各ニューロンの対応する電極30Aに印加される電圧)を有してもよい。
【0049】
他の例では、モデル化したフォトニックニューラルネットワークデバイスを物理的に実装することは、電極がニューロンの一部として機能するように電圧を印加する事前に製造されたフォトニックニューラルネットワークデバイス10の電極のアレイの中から電極を選択することを有する。例えば、事前に製造されたフォトニックニューラルネットワークデバイス10は、事前に製造されたフォトニックニューラルネットワークデバイス10の表面上に電極のアレイを有してもよい。電極のアレイからの電極を、電源28が対応する設定可能な電圧をそれぞれの電極に印加することができるようにするように電源28によって個別にアドレス指定してもよい。電源28が電圧を印加しない電極は、光22の挙動に影響を及ぼさない可能性がある。しかしながら、電源28が電圧を印加する電極は、電極に印加される電圧に応じて、ニューロン、屈折又は回折要素等として機能してもよい。したがって、特定の電極を選択できる電極のアレイを有することによって、フォトニックニューラルネットワークデバイス10の製造後に、ニューロン16、屈折要素又は回折要素18又はその両方の位置の選択を可能にする。
【0050】
本開示に記載される技術を、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はその任意の組み合わせで実施することができる。例えば、上述した技術の様々な態様を、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他の同等の集積又はディスクリートロジック回路及びそのような構成要素の任意の組合せを含む一つ以上のプロセッサ内に実装できる。「プロセッサ」又は「処理回路」という用語は、一般的には、単独で又は他の論理回路若しくは他の同等の回路と組み合わせた上記の論理回路のいずれかを意味する。ハードウェアを備える制御ユニットは、本開示の技術のうちの一つ以上を実行することができる。
【0051】
このようなハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアを、本開示に記載されている様々な動作及び機能をサポートするために同一のデバイス内又は別個のデバイス内に実装してもよい。さらに、上記ユニット、モジュール又は構成要素のいずれも、個別であるが相互運用可能なロジックデバイスとして一緒に又は別々に実装することができる。モジュール又はユニットとしての様々な機能の描写は、様々な機能的な態様を強調することを目的としており、必ずしもそのようなモジュール又はユニットが別個のハードウェア又はソフトウェアコンポーネントによって実現されなければならないことを意味するわけではない。むしろ、一つ以上のモジュール又はユニットに関連付けられた機能は、個別のハードウェア又はソフトウェアコンポーネントによって実行される、又は、共通又は個別のハードウェア又はソフトウェアコンポーネント内に統合される。
【0052】
本開示に記載される技術を、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体のようなコンピュータ可読媒体に具現化又はコード化してもよい。コンピュータ可読記憶媒体に埋め込まれた又はコード化された命令は、例えば、命令が実行されるときに、プログラム可能なプロセッサ又は他のプロセッサにその方法を実行させてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電子的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、CD-ROM、フロッピーディスク(登録商標)、カセット、磁気媒体、光媒体又は他のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
フォトニックニューラルネットワークデバイスであって、
平面導波路と、
前記平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、
複数の電極であって、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置で前記可変屈折率を有する層に電気的に結合され、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を前記対応する位置に印加して前記フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うために前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成するように構成された、複数の電極と、
を備えるフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様2]
前記複数の電極は、複数の電極列に配置され、前記複数の電極列の電極の各列は、ニューラルネットワークのニューラルネットワーク層である、態様1に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様3]
前記複数の電極列の電極の第1の列と前記複数の電極列の電極の第2の列との間の回折又は屈折要素の列を更に備える、態様2に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様4]
前記回折又は屈折要素の列は、複数の平面導波路レンズを備える、態様3に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様5]
前記電極の第1の列と前記電極の第2の列との間の選択された光の広がりを達成するために、前記電極の第1の列と前記電極の第2の列との間の間隔、前記電極の第1の列と前記回折又は屈折要素の列との間の間隔、前記電極の第2の列内の互いに隣接するニューロンの間の間隔又は前記回折又は屈折要素の列の特性のうちの少なくとも一つが選択される、態様3又は4に記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様6]
前記回折又は屈折要素の列は、前記電極の第1の列と前記電極の第2の列との間の光の広がりを制御するように調整可能である少なくとも一つの調整可能な要素を備える、態様3から5のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様7]
前記平面導波路は、シングルモード平面導波路である、態様1から6のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様8]
前記可変屈折率を有する層は、液晶を含む、態様1から7のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様9]
非線形計算を行うために前記平面導波路の光学的非線形性を利用する、態様1から8のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様10]
光学効果を制御するために前記複数の電極のそれぞれの形状が選択される、態様1から9のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様11]
前記平面導波路に光学的に結合された光変調器を更に備え、前記光変調器は、前記平面導波路に入力波形を提供するように構成される、態様1から10のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様12]
前記平面導波路に結合された複数の光検出器を更に備え、前記複数の光検出器は、前記平面導波路からの出力波形を検出するように構成される、態様1から11のいずれか一つに記載のフォトニックニューラルネットワークデバイス。
[態様13]
フォトニックニューラルネットワークデバイスをモデル化することであって、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスは、
平面導波路と、
前記平面導波路に隣接するとともに可変屈折率を有する層と、
複数の電極であって、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置で前記可変屈折率を有する層に電気的に結合され、各電極は、前記可変屈折率を有する層の対応する位置の屈折率に影響を及ぼすために対応する設定可能な電圧を前記対応する位置に印加して前記フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うために前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成するように構成された、複数の電極と、
を備えることと、
モデル化した前記フォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることであって、前記トレーニングは、対応するニューロンが入力波形に応答して所望の出力波形を生成するように、対応する位置の対応する設定可能な電圧を選択することを有することと、
トレーニングされた前記フォトニックニューラルネットワークを前記トレーニングに基づいてデバイスに物理的に実装することと、
を備える方法。
[態様14]
前記複数の電極は、複数の電極列に配置され、前記複数の電極列の電極の各列は、ニューラルネットワークのニューラルネットワーク層であり、モデル化した前記フォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることは、前記複数の電極列の互いに隣接する列の間の間隔を選択することを更に備える、態様13に記載の方法。
[態様15]
モデル化した前記フォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることは、前記複数の電極列の列内の互いに隣接する電極の間の間隔を選択することを更に備える、態様14に記載の方法。
[態様16]
前記フォトニックニューラルネットワークデバイスは、前記複数の電極列の電極の第1の列と前記複数の電極列の電極の第2の列との間の回折又は屈折要素の列を更に備え、モデル化した前記フォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることは、前記回折又は屈折要素の列と前記電極の第2の列との間の間隔を選択することを更に備える、態様14又は15に記載の方法。
[態様17]
前記フォトニックニューラルネットワークデバイスは、前記複数の電極列の電極の第1の列と前記複数の電極列の電極の第2の列との間の回折又は屈折要素の列を更に備え、モデル化した前記フォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることは、電極の第1の列と電極の第2の列との間の選択された光の広がりを達成するために前記回折又は屈折要素の特性を選択することを更に備える、態様14から16のいずれか一つに記載の方法。
[態様18]
モデル化した前記フォトニックニューラルネットワークをトレーニングすることは、光学効果を制御するために複数の電極のそれぞれの形状を選択することを更に備える、態様13から17のいずれか一つに記載の方法。
[態様19]
トレーニングされた前記フォトニックニューラルネットワークを前記トレーニングに基づいてデバイスに物理的に実装することは、トレーニングされた前記フォトニックニューラルネットワークの物理的インスタンス化を定義するために、前記平面導波路に隣接するとともに前記可変屈折率を有する層の上の電極のアレイからの対応する電極及び選択した電極の対応する設定可能な電圧を構成することを備える、態様13から18のいずれか一つに記載の方法。
[態様20]
フォトニックニューラルネットワークデバイスであって、
ニューラルネットワークのための複数のニューラルネットワーク層を備え、各ニューラルネットワーク層は、
ニューロンの列であって、各ニューロンは、可変屈折率を有する層に隣接する対応する電極を備え、前記可変屈折率を有する層は、平面光導波路に隣接する、ニューロンの列と、
前記平面光導波路に隣接する屈折又は回折要素の列であって、フォトニックニューラルネットワークは、前記フォトニックニューラルネットワークデバイスを伝搬する光波形の振幅変調又は位相変調を誘発し、計算を行うために前記フォトニックニューラルネットワークデバイスの対応するニューロンを構成する、屈折又は回折要素の列と、
を備える、フォトニックニューラルネットワークデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6