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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】三次元タイル化可能なガンマ線検出器
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240325BHJP
   G01T 1/29 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G01T1/161 C
G01T1/29 C
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022025047
(22)【出願日】2022-02-21
(65)【公開番号】P2022172442
(43)【公開日】2022-11-16
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】17/302,464
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ハンス ビジャ
(72)【発明者】
【氏名】ミーシェル ロドリゲス
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163868(JP,A)
【文献】特表2015-506117(JP,A)
【文献】国際公開第2020/032922(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/032923(WO,A1)
【文献】米国特許第06323492(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用イメージングのためのガンマ線検出器システムであって、
互いに平行で最大の第1の表面および第2の表面を有するプレートを備えたガンマ線検出器と、
少なくとも1つの回路基板と、
を有し、
前記少なくとも1つの回路基板が、
互いに平行で最大の第1の表面および第2の表面の間の縁部であって、前記縁部が前記ガンマ線検出器の前記第1の表面の近傍に配置され、前記少なくとも1つの回路基板の前記第1の表面が前記ガンマ線検出器の前記第1の表面から45°~135°の間の角度をなす、縁部と、
前記ガンマ線検出器の前記第1の表面に対する前記角度で前記少なくとも1つの回路基板の前記配置によって、前記少なくとも1つの回路基板と前記ガンマ線検出器との間に形成され気体を含むギャップであって、前記ガンマ線検出器のガンマ線検出器ボリュームの少なくとも10倍のギャップボリュームを有する、ギャップと、を有し、
前記ガンマ線検出器及び前記少なくとも1つの回路基板が、第1のモジュールを形成し、
第2のガンマ線検出器を形成する少なくとも1つの第2のモジュールと、前記第2のモジュールに第2のギャップを形成する少なくとも1つの第2の回路基板と、を更に備え、
前記第1のモジュールが、多面体を形成する前記第2のモジュールにスタックされ、
前記第1のモジュールの前記ガンマ線検出器が、前記第2のモジュールの前記ガンマ線検出器に対して平行にかつ対向して配置されており、
前記第1のモジュールの前記少なくとも1つの回路基板が、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールの前記ガンマ線検出器の間に延びる側壁を形成し、
前記第1のモジュールの前記ギャップが、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールの前記ガンマ線検出器の間にある、
ガンマ線検出器システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回路基板が、前記ガンマ線検出器の前記第1の表面に対する前記角度において、互いに平行に配置された2つの回路基板を備え、
前記2つの回路基板の前記縁部が、前記ガンマ線検出器の前記第1の表面の対向する縁部に向かって前記第1の表面の長さの10%以内に配置されて、前記ギャップが前記2つの回路基板の間に形成される、
請求項1に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項3】
前記2つの回路基板の前記縁部が、前記ガンマ線検出器の前記対向する縁部にある、請求項2に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項4】
前記ギャップを囲むとともに、前記ガンマ線検出器及び前記少なくとも1つの回路基板と接続される、ハウジングを更に備える、請求項1に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項5】
前記ハウジングに接続された熱交換器及びファンを更に備え、
前記熱交換器が前記ガンマ線検出器の前記第1の表面に沿って配置される、
請求項4に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項6】
前記角度が約90°であり、前記少なくとも1つの回路基板が前記ガンマ線検出器の前記第1の表面に対して略直角である、請求項1に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項7】
前記気体が空気を含む、請求項1に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの回路基板が、アナログ・デジタル変換器基板に電子的に接続されたフィールドプログラマブルゲートアレイを含み、
前記アナログ・デジタル変換器基板が前記ガンマ線検出器に電子的に接続されて、ガンマ線検出器からのアナログ信号がデジタル信号として前記フィールドプログラマブルゲートアレイに渡される、
請求項1に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項9】
前記ギャップがソリッドを含まない、請求項1に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項10】
前記第1のモジュールの前記ガンマ線検出器がコンプトンカメラの散乱検出器として構成されるとともに、前記第2のモジュールの前記ガンマ線検出器が前記コンプトンカメラの捕獲検出器として構成される、請求項に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項11】
医用イメージングのためのガンマ線検出器システムであって、
互いに平行で最大の第1の表面および第2の表面を有するプレートを備えたガンマ線検出器と、
少なくとも1つの回路基板と、
を有し、
前記少なくとも1つの回路基板が、
互いに平行で最大の第1の表面および第2の表面の間の縁部であって、前記縁部が前記ガンマ線検出器の前記第1の表面の近傍に配置され、前記少なくとも1つの回路基板の前記第1の表面が前記ガンマ線検出器の前記第1の表面から45°~135°の間の角度をなす、縁部と、
前記ガンマ線検出器の前記第1の表面に対する前記角度で前記少なくとも1つの回路基板の前記配置によって、前記少なくとも1つの回路基板と前記ガンマ線検出器との間に形成され気体を含むギャップであって、前記ガンマ線検出器のガンマ線検出器ボリュームの少なくとも10倍のギャップボリュームを有する、ギャップと、を有し、
前記ガンマ線検出器及び前記少なくとも1つの回路基板が、第1のモジュールを形成し、
第2のガンマ線検出器を形成する少なくとも1つの第2のモジュールと、前記第2のモジュールに第2のギャップを形成する少なくとも1つの第2の回路基板と、を更に備え、
前記第1のモジュールが、前記第2のモジュールの近傍に配置されて、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールの前記ガンマ線検出器が同一平面内に存在しないガンマ線検出器システム。
【請求項12】
前記第1のモジュールの前記ガンマ線検出器が、前記第1のモジュールの前記ガンマ線検出器の前記第1の表面が前記第2のモジュールの前記ガンマ線検出器の前記第1の表面に対して45~135°の角度をなすように配置される、請求項11に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項13】
前記ガンマ線検出器が、医用核イメージングシステムの検出器を含む、請求項1または11に記載のガンマ線検出器システム。
【請求項14】
医用イメージングのためのコンプトンカメラであって、
散乱検出器と第1のエレクトロニクスを備える散乱モジュールであって、前記第1のエレクトロニクスが、前記散乱検出器から延びる側壁を形成するように前記散乱検出器に対して約90°の角度に配置された、散乱モジュールと、
捕獲検出器と第2のエレクトロニクスを備える捕獲モジュールであって、前記第2のエレクトロニクスが、前記捕獲検出器から延びる側壁を形成するように前記捕獲検出器に対して約90°の角度に配置された、捕獲モジュールと、
を備え、
前記散乱モジュールが、前記捕獲モジュールとスタックされ、前記散乱モジュールの前記側壁及び/又は前記捕獲モジュールの前記側壁の少なくとも1つが前記散乱検出器と前記捕獲検出器との間を隔てるとともに空間を形成する、
コンプトンカメラ。
【請求項15】
前記第1のエレクトロニクスが、前記散乱検出器の対向する縁部から延びて前記散乱検出器の対向する側壁を形成する2つの回路基板を備え、
前記第2のエレクトロニクスが、前記捕獲検出器の対向する縁部から延びて前記捕獲検出器の対向する側壁を形成する2つの回路基板を備え、
前記空間が、前記散乱モジュールの前記対向する側壁および前記捕獲モジュールの前記対向する側壁からの4つの側壁を含む、
請求項14に記載のコンプトンカメラ。
【請求項16】
請求項1または11に記載のガンマ線検出器システムを形成するための方法であって、
複数のモジュールを互いにスタックするステップであって、前記複数のモジュールがそれぞれガンマ線検出器を備え、前記複数のモジュールがスタックされて、前記複数のモジュールの前記ガンマ線検出器が異なる平面内に存在する、ステップと、
スタックされた前記複数のモジュールを電気的に接続するステップと、
を備えた方法。
【請求項17】
前記スタックするステップが、前記複数のモジュール間に空気ギャップを有するとともに、前記複数のモジュールの前記ガンマ線検出器が実質的に並行であり、前記空気ギャップの少なくとも1つの側壁が信号プロセッサを含む回路基板によって形成されるように、スタックするステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スタックするステップが、前記複数のモジュールの前記ガンマ線検出器が互いに実質的に垂直になるように、前記複数のモジュールをスタックするステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ガンマ線検出器のそれぞれが、互いに平行で対向する最大表面を有するスラブを含み、
前記スタックするステップが、前記平面内の前記複数のモジュールの前記ガンマ線検出器の前記対向する最大表面に、スタックするステップを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、核医学イメージング用などのガンマ線検出器に関する。検出器は、放射されたガンマ線を検出するために配置される。
【背景技術】
【0002】
一次元または二次元(1Dまたは2D)のタイル化可能なガンマ線検出器は、深宇宙探査、国土安全保障、核医療、原子力発電所、原子力処理施設などの多くの用途で使用されている。エレクトロニクス、ヒートシンク、EMIシールド、および他の構成要素は、活性検出領域の下の層に実装され、光子および光子散乱を1つの層から下の他の層へと部分的または完全に遮断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このタイプの実装は、最適な信号対雑音性能を有する活性検出材料の複数の散乱層には理想的ではない。コンプトンイメージングは、散乱検出器および捕獲検出器に依存するため、検出器の1つの背後の構成要素によって生じる減衰に、特に影響されやすい。エレクトロニクスは、検出器のフットプリントの外側に配置されてもよく、これは、1Dまたは2D内の検出器のタイル化能力を低下させ、信号対雑音を悪化させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
まず、後述する好ましい実施形態は、ガンマ線検出のための方法およびシステムを含む。3Dタイルは、ガンマ線検出器を含むモジュールによって可能になり、少なくともいくつかのエレクトロニクスが側壁として検出器から離間して延在し、ガンマ線検出器の背後に空気または低減衰ギャップを残す。モジュールは、任意の形状のアレイを3Dで形成するようにスタックすることが可能であり、エレクトロニクスが検出器間の少なくとも1つの側壁を形成する低減衰ギャップによって捕獲検出器から離間された散乱検出器を有するコンプトン検出器を形成するようにスタックすることが含まれる。モジュールは、複数のモジュールから形成された検出器が、別々の平面内にあるように、および/または同じ表面(例えば、ちょうど1Dまたは2Dタイルを備えた同じ表面)の一部でないように、スタックされてもよい。
【0005】
第1の態様において、ガンマ線検出器システムは、医用イメージングのために提供される。ガンマ線検出器は、第1及び第2の平行な最大の表面を有するプレートを含む。少なくとも1つの回路基板は、第1および第2の平行な最大の表面の間に縁部を有する。縁部は、回路基板の第1の表面がガンマ線検出器の第1の表面から45°から135°の間の角度(例えば、約90°または直交)にあるように、ガンマ線検出器の第1の表面に隣接して配置される。ギャップは、気体(例えば、空気)を有し、ガンマ線検出器の第1の表面に対する少なくとも1つの回路基板の角度における配置に起因して、少なくとも1つの回路基板とガンマ線検出器との間に形成される。ギャップは、ガンマ線検出器のガンマ線検出器ボリュームの少なくとも10倍のギャップボリュームを有する。
【0006】
一実施形態では、2つの回路基板は、ガンマ線検出器の第1の表面に対して角度をなして互いに平行に配置される。2つの回路基板の縁部は、ギャップが2つの回路基板の間に形成されるように、ガンマ線検出器の第1の表面の長さの10%以内に、ガンマ線検出器の第1の表面の対向する縁部に配置される。2つの回路基板は、ガンマ線検出器の対向する側の縁部にあってもよい。
【0007】
ハウジングは、ギャップを囲み、ガンマ線検出器及び少なくとも1つの回路基板と接続することができる。熱交換器および/またはファンがハウジングに接続されてもよい。熱交換器は、ガンマ線検出器の第1の表面に沿って配置されていてもよい。
【0008】
他の実施形態では、少なくとも1つの回路基板は、アナログ・デジタル変換器基板に電子的に接続されたフィールドプログラマブルゲートアレイである。アナログ・デジタル変換器ボードは、ガンマ線検出器と電子的に接続し、ガンマ線検出器からのアナログ信号がデジタル信号としてフィールドプログラマブルゲートアレイに渡されるようにする。
【0009】
ギャップは、いくつかの物体を含み得る。一実施形態では、ギャップはソリッドを含まない。ギャップは、回路基板、ハウジング、検出器、及び/又は他の構成要素によって縁取られている。ギャップに対してより多くの気体またはボリュームを含めることにより、ギャップ中のソリッドによる減衰がより少なくなる。
【0010】
一実施形態では、ガンマ線検出器及び少なくとも1つの回路基板は、第1のモジュールを形成する。少なくとも第2のモジュールには、第2ガンマ線検出器と、第2のモジュールに第2ギャップを形成する少なくとも第2回路基板とが形成されている。第1のモジュールは、第2のモジュールにスタックされ、多面体を形成する。例えば、第1のモジュールのガンマ線検出器は、第2のモジュールのガンマ線検出器と平行でかつ対向してもよい。第1のモジュールの少なくとも1つの回路基板は、第1のモジュール及び第2のモジュールのガンマ線検出器の間に延在する側壁を形成し、第1のモジュールの間隙は、第1のモジュール及び第2のモジュールのガンマ線検出器の間にある。この例は、コンプトンカメラに使用できる。第1のモジュールのガンマ線検出器は、コンプトンカメラの散乱検出器として構成され、第2のモジュールのガンマ線検出器は、コンプトンカメラの捕獲検出器として構成される。
【0011】
別の例として、第1のモジュールは、第2のモジュールに隣接して配置され、その結果、第1のモジュール及び第2のモジュールのガンマ線検出器は、同一平面内に存在しない。例えば、第1のモジュールのガンマ線検出器は、第1のモジュールのガンマ線検出器の第1の表面が第2のモジュールのガンマ線検出器の第1の表面に対して45~135°になるように配置される。
【0012】
ガンマ線検出器システムは、例えば、1つのモジュール又は複数のモジュールのように、様々な用途に使用され得る。例えば、ガンマ線検出器は、医療用核撮像システムの検出器である。
【0013】
第2の態様では、コンプトンカメラが、医用イメージングのために提供される。散乱モジュールは、散乱検出器および第1のエレクトロニクスを有する。第1のエレクトロニクスは、散乱検出器に対して約90°に配置されて、散乱検出器から延びる側壁を形成する。捕獲モジュールは、捕獲検出器及び第2のエレクトロニクスを有する。第2のエレクトロニクスは、捕獲検出器に対して約90°に配置され、捕獲検出器から延びる側壁を形成する。散乱モジュールは、散乱モジュールの側壁及び/又は捕獲モジュールの側壁の少なくとも側壁が隔てられ、捕獲検出器と捕獲検出器との間に空間を形成するように、捕獲モジュールと共にスタック可能である。
【0014】
一実施形態では、第1のエレクトロニクスは、散乱検出器の対向する縁部から延在して対向する側の壁を形成する2つの回路基板であり、第2のエレクトロニクスは、捕獲検出器の対向する縁部から延在して対向する側壁を形成する2つの回路基板を備える。スタックされたときの空間は、散乱モジュールの対向する側壁と捕獲モジュールの対向する側壁とからの4つの側壁を含む。
【0015】
第3の態様では、ガンマ線検出器システムを形成するための方法が提供される。複数のモジュールが互いにスタックされる。各モジュールがガンマ線検出器を有する。モジュールは、複数のモジュールのガンマ線検出器が複数の平面内にあるようにスタックされている。スタックされた複数のモジュールは電気的に接続される。
【0016】
一実施形態では、モジュールは、モジュール間にギャップを介してスタックされる。モジュールのガンマ線検出器は、空気ギャップの少なくとも1つの側壁が信号プロセッサを有する回路基板によって形成される実質的に平行である。
【0017】
別の実施形態では、モジュールは、モジュールのガンマ線検出器が互いに実質的に垂直になるようにスタックされる。さらに別の実施形態では、各ガンマ線検出器は、互いに平行かつ対向する側の最大表面を有するスラブである。別モジュールのガンマ線検出器の対向する側の最大表面は、別平面内にあるようにスタックされている。
【0018】
本発明は、次の請求の範囲によって定義され、この欄の何れも、それらの請求の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本発明のそれ以上の観点及び利点については、好ましい実施形態と関連して以下において説明し、これらを独立して又は組合せ状態でクレーム請求する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
構成要素(コンポーネント)及び図面は、必ずしも縮尺通りにはなっておらず、それどころか、本発明の原理を説明する際に誇張がなされている。さらに、図面に関し、同一の参照符号は、互いに異なる図全体にわたり対応の部分を示している。
図1】一実施形態による、回路基板によって形成された側壁を有するガンマ線検出器の断面図である。
図2】3Dタイル化可能ガンマ線検出器モジュールの分解図である。
図3】立方形ガンマ線検出器モジュールの形成を示す図である。
図4】多面体ガンマ線検出器の別の実施形態の形成を示す図である。
図5】3Dタイル化可能なゲーム線検出器モジュールをスタックする2つの実施形態の断面図である。
図6】3Dタイル化可能なゲーム線検出器モジュールをスタックする2つの実施形態の断面図である。
図7】2つのモジュールをスタックすることによって形成されたコンプトンカメラの一実施形態の斜視図である。
図8】ガンマ線検出器モジュールの別の3Dスタッキングの一実施形態の斜視図である。
図9】ガンマ線検出器配置を形成する方法の一実施形態のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
3Dタイル可能なガンマ線検出器が提供される。モジュールはタイル化のために使用される。モジュールでは、読取りエレクトロニクスは、センサ面に対して近傍の空間内にある。この配置は、光子減衰を最小化し、好ましい方向において信号対雑音比(SNR)を最大化するために、アクティブ領域と非アクティブ領域を最適な幾何学的形状に保つ。モジュール化により、個々の要求とメンテナンスの容易さが最適化された柔軟な設計ジオメトリが可能になる。
【0021】
3Dタイル化可能なガンマ線検出器は、コンプトンカメラのような種々の用途に使用され得る。他の用途には、電子的コリメーション、熱量計、宇宙望遠鏡、コンパクトな撮像システム、または、他の放射線検出を必要とする医用イメージングが含まれる。
【0022】
図1は、医用イメージングのためのガンマ線検出器システムの一実施形態を示す図である。例えば、ガンマ線検出器システムは、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、陽電子放射形断層撮影(PET)、又はコンプトン医用イメージングシステムのような医用核イメージングシステム用である。
【0023】
ガンマ線検出器システムは、ギャップ14(断面図で示す)を形成する検出器10及び回路基板12と、画像処理装置16と、ディスプレイ18とを含む。追加の、異なる又は少ない構成要素を設けることができる。例えば、ディスプレイ18及び/又は画像処理装置16は設けられていない。別の例として、追加の検出器10および/または撮像システム構成要素(例えば、ベッド、ハウジング、電源、および/またはガントリ)が提供される。
【0024】
ガンマ線検出器10は、ソリッド検出器である。任意の材料、例えばSi、CZT、CdTe、HPGe、及び/又は他の材料を使用することができる。検出器10は、CZTについて、約4~10mm又は1~25mmのような任意の厚さでウエハ製造を伴って作成される。
【0025】
検出器10は、プレートまたはスラブ形状を有するなど、ウエハとして形成される。検出器10は、単一のセンサではなく、並んで配置されたセンサアレイであってもよい。任意の効率損失を最小化する最小ギャップを設けて、アレイが連続ウエハのように作用するようにしてもよい。プレートは、2つの平行な、最大の表面11と、表面11の間の任意の厚さを有し、例えば、CZTのために4mmの厚さを有する。プレートおよび対応する表面11は、5×5cm正方形、長方形、六角形、または他の多角形形状など、任意の形状を有していてもよい。形状は、多面体(ピラミッドまたは台形)などの種々の幾何学的形状であってもよい。代替の実施形態では、表面11は、平行ではなく、断面において楔形を形成してもよい。非板状構造体、例えば立方体または多面体形状を使用してもよい。任意のサイズ領域及び/又は厚さを設けることができる。
【0026】
検出器10は、センサアレイを形成する。例えば、5×5cmの検出器10は、約2.2mmのピクセルピッチを有する21×21ピクセルアレイである。他のピクセル数、ピクセルピッチ、および/またはアレイのサイズを使用してもよい。
【0027】
検出器10は、処理のためにフォーマットされた半導体を含んでもよい。例えば、検出器10は、検出器10内の電子と相互作用する構成を検出するため、および/または、検出された放射光の信号のアナログ・デジタル変換のため、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む。検出された信号は、増幅されるように調整され、1つまたは複数の回路基板12に送られる。フレキシブル回路、ワイヤ、または他の通信経路が、ASICから回路基板12に信号を伝える。
【0028】
ASICは、検出器10の画素と並置される。ASICは任意の厚さである。複数のASIC、例えば、検出器10の3×3グリッドに9個のASICSを設けることができる。他の実施形態では、検知機能のためのADCおよび/またはプロセッサは、回路基板12上に、基板内で検出器10に対して平行または対向して、または、別の位置に配置される。
【0029】
回路基板12はプリント回路基板であるが、他のエレクトロニクス基板、ウエハ、および/または他の材料を使用してもよい。回路基板12は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたはアレイなどのエレクトロニクスを含む。デジタルシグナルプロセッサ、一般的なプロセッサ、アナログ回路、デジタル回路、それらの組み合わせ、及び/又は他のエレクトロニクスコンポーネントを設けることができる。回路基板12は、信号をルーティングするためのトレースを含む。回路基板12は、検出された信号を処理して画像処理装置16にパラメータを提供する取得エレクトロニクスを含む。検出された信号の任意のパラメータ化を使用することができる。一実施形態では、エネルギ、到達時間、および位置が出力される。イベントのペアリングおよび/または角度決定など、他の取得処理が提供されてもよい。
【0030】
検出器10、画像処理装置16、検出器10のASIC、及び/又は他のエレクトロニクスとの物理的及び/又は電気的接続のための1つ又は複数のコネクタを設けることができる。例えば、トレース又はワイヤを有する可撓性の回路材料は、ADCボード及びADCが検出器10に沿ってかつその背後に配置されるか又は一体化された状態で、回路基板12上のフィールドプログラマブルゲートアレイを接続する。ADCボードは、ガンマ線検出器10からのアナログ信号がデジタル信号として回路基板12のフィールドプログラマブルゲートアレイに渡されるように、検出器10と電子的に接続するか、又はその内部で接続する。接続は、代替の実施形態においてアナログ信号を通過させることができる。回路基板12は、互いに及び/又はガルバニック接続を介して他のエレクトロニクスに、データブリッジに、及び/又は、光ファイバデータリンクに、接続される。ファイバデータリンクは、検出器10によって検出されたイベントに対する取得パラメータを画像処理装置16に提供することができる。
【0031】
各モジュールのための任意の数の回路基板12を使用することができる。2つの回路基板12が示されている。1つ、3つ、4つ、または5つ以上の回路基板12を使用することができる。
【0032】
回路基板12は、プレートまたはスラブ形状を有する。プレートは、2つの平行な、最大の表面15と、表面15の間の任意の厚さ、例えば、2~5mmを有する。4つの縁部13は、最大の表面15を接続し及び/又は表面15間にある表面を形成する。プレートは、5×5cmの正方形または長方形の形状など、任意の形状を有することができる。代替の実施形態では、表面15は、断面において楔形を形成しており、平行ではない。非プレート構造体、例えば立方体または多面体形状を使用してもよい。任意のサイズ領域及び/又は厚さを設けることができる。
【0033】
各回路基板12の縁部13のうちの1つは、ガンマ線検出器10のうち最大の面11のうちの1つに隣接して配置される。フレキシブル回路材料、ADCボード、および/または物理的ヒンジなどの介在接続があってもよく、一方では、隣接している。縁部13は、隣接する面11に直接当接してもよい。縁部13は、ガンマ線検出器10の縁部に沿って、表面に隣接するように配置されてもよい。図1に図示の実施形態では、縁部13は、依然として隣接している間、表面11の背後に又は表面11上にあることを回避するように配置される。代替的な実施形態では、縁部13は、表面11の長さの10%以内、表面の縁部など、表面11の背後にまたは表面11上に配置される。複数の回路基板12が設けられている場合、縁部13は、ガンマ線検出器10の表面11の異なる(例えば、図1に示すように対向する側の)縁部までの表面11の長さの10%以内に配置される。
【0034】
縁部13は、回路基板12の表面15がガンマ線検出器10の表面11から45~135°の間の角度になるように、ガンマ線検出器10の表面11に隣接して配置される。図1に図示の実施形態では、回路基板12は、検出器10に対して約90°(垂直または直交)であり、「約」は、材料および応力による製造公差および/または柔軟性を説明するために使用される。2つの回路基板12は、平行である(すなわち、表面11に対して同じ角度である)が、検出器10に対して異なる角度で配置されてもよい(すなわち、平行ではない)。回路基板12が表面11の両側にない場合、回路基板12は、表面11に対して同じ角度(例えば、90°)であってもよいが、平行でなくてもよい。
【0035】
回路基板12の検出器10に対する相対位置は、ギャップ14を形成する。ギャップ14は囲まれていないが、囲まれていてもよい。1つの回路基板12が設けられている場合、ギャップ14は、検出器10と回路基板12との間に形成され、例えば、三角形の領域、断面における台形の領域または長方形の領域である。ギャップ14は、回路基板12及び検出器10が2つの側面を形成する立方体又は多面体のボリュームであってもよい。2つ以上の回路基板12では、立方体または多面体のボリュームがギャップ14として形成され、2つ以上の回路基板12が異なる側壁を形成し、検出器10がさらに別の側壁を形成する。1つまたは複数の回路基板12および検出器10の相対的配置(例えば、縁部13の位置および角度)は、ギャップ14を形成する。
【0036】
ギャップ14にはガスが充填される。例えば、ギャップ14は空気で満たされる。ギャップ14が内張りされて封入されたチャンバを形成する場合など、他のガスを使用してもよい。低ガンマ減衰ソリッドは、ギャップ14を埋めることができる。一実施形態では、ギャップ14はソリッドを含まない。ギャップ14内ではガンマ線減衰ソリッドは排除される。ギャップ14の縁部に沿ったものなど、いくつかのソリッドを設けることができる。例えば、ADCボードは、検出器10と共に動作するために、ギャップ14内の表面11に沿って配置される。ギャップ14の残部は、回路基板12から延びる支持構造またはエレクトロニクス以外のソリッドを含まない。一実施形態では、ギャップ14は、ギャップ14内にソリッドがなく、取り囲まれた又は形成された、構造体又はソリッドによって規定される。
【0037】
ギャップ14は、任意のボリュームを有する。検出器10からのギャップ14の深さは、検出器10の厚さの少なくとも10倍(例えば、40~100mmまたは1~25mm)など、任意の深さであってもよい。深さは、回路基板12の全長、それよりも長く、またはそれよりも短くてもよい。一実施形態では、ギャップボリュームは、ガンマ線検出器10のボリュームの少なくとも5倍、10倍、又は20倍である。
【0038】
ギャップ14は、検出器10に平行な領域を有し、検出器10の表面11の領域の少なくとも50、75、90、95、99、または100%を形成する。このガス充填領域またはボリュームは、側壁に散乱しない角度を仮定すると、検出器10を通過するガンマ線減衰を最小限に抑える。
【0039】
図2は、検出器10、高電圧分配層22、回路基板12、及びギャップ14によって形成されるモジュールの一実施形態の分解図を示す。モジュールは、ハウジング20を含む。付加的な、異なる、又はより少ない構成要素を設けることができる。
【0040】
ハウジング20は、ギャップ14の少なくとも一部を取り囲み、検出器10及び回路基板12を保持するフレームを提供する。ハウジング20は、低減衰材料から形成することができる。ハウジング20は、ギャップ14を取り囲むことができ、又は、側壁を設けず又は開放して片側を残す等、ギャップ14の一部のみを取り囲むことができる。ハウジング20は、ガンマ線検出器10及び/又は回路基板12と物理的に接続される。接続部は、直接的または間接的(例えば、1つ以上の他の構造を通して)であってもよい。組み立てられると、概ね立方体形状が、図1の検出器10および回路基板12配置と共に提供される。いくつかのファンおよびコントローラおよび通信基板以外では、検出器10と対向する側のモジュールの側面は、解放されているか、または囲まれている(例えば、ファンまたはフレームによって)。他の実施形態では、ハウジング20は、開口部を覆うことができる。
【0041】
ハウジング20によって形成されるモジュールは、平坦な側面を有するようにスタックされるための形状である。空気取り入れ口のような平坦でない部分を設けてもよい。グルーブ、舌状部、オスコネクタ、メスコネクタ、ラッチ、クリップ、ボルト及びボルト孔、及び/又は別のリンク機構のような嵌合構造体をハウジング20上に設けることができる。モジュールは、互いにスタックおよび/または係合する。他の実施形態では、ハウジング20は、何らかの隣接するモジュールに直接接続するか、または直接接続しないで、ガントリまたは他のフレームワークに取り付けるように形成される。
【0042】
他のモジュールまたはガントリへの接続または接続は、解放可能であってもよい。モジュールが接続されており、外れている可能性がある。接続は解除可能で、すべてのモジュールを取り外すことなく、1つのモジュールまたはモジュールのグループを取り外すことができる。
【0043】
ハウジング20は、一般的な立方形または他の多面体形状を形成する。「一般的な」は、スタック可能な表面を維持しながら、形状の変動(例えば、孔、隆起部、通気孔、および/または面取り)を説明するために使用される。空気取り入れ口のような1つ以上の変形例を設けることができる。図1及び図2の例では、ハウジング20は、立方形又は他の略6面形状を形成している。検出器10が六角形または別の形状である場合、ハウジング20によって形成される多面体は、8つ以上の側面を有することができる。
【0044】
ハウジング20は、金属、プラスチック、ガラス繊維、炭素(例えば、炭素繊維)、別の材料、及び/又はそれらの組合せである。一実施形態では、ハウジング20の異なる部分は異なる材料である。例えば、回路基板12の周囲のハウジングには錫が使用される。アルミニウムは、検出器10を保持するために使用される。別の例では、ハウジング20は、アルミニウムのような同じ材料のものである。ハウジング20の一部にはプラスチックを使用してもよい。ブラケット、ボルト、ネジ、クリップ、ラッチ、及び/又はスタンドオフは、回路基板12及び検出器10をハウジング20の内部又は一部として適所に保持するために使用される。
【0045】
回路基板12及び検出器10は、ハウジング20内にあるが、ハウジング20を越えて延在してもよい。回路基板12及び/又は検出器10は、ハウジングの側壁である等、ハウジング20の一部を形成することができる。ハウジング20は接地されてもよく、回路基板12の接地面として作用する。
【0046】
組み立てられると、検出器10及び回路基板12はモジュール30を形成する。図3に一例を示す。検出器10と回路基板12との間の物理的接続は、フレキシブル回路材料及び/又はヒンジを使用するように、フレキシブルであってもよい。次いで、回路基板12を検出器10に対して所望の角度に配置して、モジュール30及び対応するギャップ14を形成する。一旦位置決めされると、回路基板12は、検出器10に対して適所に固定される。所望の角度で固定された接続が代替の実施形態において使用されてもよい。
【0047】
図4は、6辺検出器10を備えた例を示す。3つの回路基板12が検出器10に接続されている。3つの回路基板12は、検出器10に対して折り畳み、8つの側面を有するモジュールを形成する。回路基板12によって形成された3つの側壁と検出器10によって形成された上壁とを有するモジュール30のように、いくつかの側面が開いていてもよい。残りの4つの側面は、ハウジング20によって開口されるか、または形成される。他の数の回路基板12を使用してもよい。
【0048】
モジュール30は、様々な形状のいずれかを有する検出器アレイを形成するようにスタックされてもよい。任意の数のモジュール30をスタックすることができる。各モジュール30は、検出器10および1つまたは複数の回路基板12から形成される。所与のモジュールは、上部及び底部のように、2つの検出器10を含んでもよい。ギャップ14により、所与のモジュール30は、別のモジュールの検出器10又は別の検出器10に通過するガンマ線を減衰させにくくなり、1D又は2Dタイルに加えて、3Dにスタックして1つの検出器表面を形成することができる。
【0049】
スタックされたモジュール30は、任意の相対的な間隔および/または配置を有してもよい。ガントリまたはフレームを使用して、モジュール30を互いに対して配置することができる。あるいは、1つのモジュール30の別のモジュールへの直接接続を使用してスタックしてもよい。
【0050】
スタッキングは、1Dまたは2Dであってもよく、例えば、同じ平面または湾曲した表面に検出器10の表面を形成するようなものであってもよい。スタッキングは、検出器10を複数の平面に配置するか、または同じ曲面の外側に配置するなど、3Dであってもよい。2つ以上の表面または別々の表面に検出器を備えた種々の検出構造が形成されてもよい。
【0051】
図5にその一例を示す。2つのモジュール30は、垂直な平面に沿って検出器10を提供するために、3Dでスタックされている。第3のモジュール30を追加して、検出のための第3の平面を形成し、トラフを作ることができる。他のモジュール30は、検出のために側面が開放された立方体を形成するために追加されてもよい。他のモジュールを付加して、種々の形状を形成してもよく、例えば、互いの上にスタックして、複数の平面内に平行検出器10を設けてもよい。1つの平面を共有する検出器10と、他の平面または表面を形成する他の検出器10とを有する複雑な配置を設けることができる。複数のモジュール30からの回路基板12は、回路基板または検出器に沿って、および/または他のモジュール30のギャップ14内に配置されてもよい。間隔は、任意の形状の粗検出器を作成するために使用されてもよい。検出器10は、互いに対して3D内の任意の角度で配向されてもよい。図5は垂直を示すが、互いに対して他の角度(例えば、5~85°または95~175°)を使用してもよい。例えば、少なくとも2つのモジュール30は、検出器が互いに対して45~135°である平面を形成するようにスタックされる(例えば、表面11は、2つの検出器10に対して互いに45~135°である)。
【0052】
任意のN角形形状を形成することができる。インターロック構造、サッカーボール構造、リング、および/または二層または三層構造を形成するような、任意の3Dスタッキングが可能である。アッセンブリまたはスタッキングは、1Dまたは2Dタイル状になっていてもよく、複数のモジュール30の検出器10によって形成される検出表面の表面積を延ばしていてもよい。
【0053】
図6は、別の例のスタッキングを示す。1つのモジュール30は、別のモジュール30の上にスタックされ、2つの平行な平面または実質的に平行な平面に検出器10を生成する。「実質的に」は、材料における製造公差および/または柔軟性を説明するために使用される。スタッキングは、一方の検出器10が他方の検出器10からのギャップ14の一方に対向する6つの側面を有する多面体を形成する。1つのモジュール30の1つまたは複数の回路基板12は、検出器10の間に側壁を形成する。回路基板12は、一方の検出器10から他方の検出器まで完全に延びるが、ハウジング20または他の介在材料または意図的な間隔などのために、間隙を設けることができる。少なくとも1つのモジュール30のギャップ14は、2つの検出器10の間にあり、その結果、低減衰媒体が検出器10の間の空間の大部分を満たす。
【0054】
このスタッキング配置は、同様に、1Dまたは2Dタイルを含んでもよい。例えば、1つまたは複数のモジュール30(例えば、別のスタックまたは対になったモジュール30のスタック)がモジュール30に隣接して配置され、モジュール30のアレイを形成する。図8は、3Dスタッキングモジュール30(例えば、2×2×2)の2×2配置として、8つのモジュール30を2Dでタイル状に配置した例を示す。立方体、多面体、または他の形状を形成するための、より多くのまたはより少ないモジュール30の他のスタッキングが設けられてもよい。例えば、完全なリング、部分的なリング、リングの内側のリング、他の部分的なリングの内側の部分的なリング、又は別の組合せを使用することができる。モジュール化アプローチにより、任意の数のモジュール30を使用することができる。製造は、モジュール30の他のものに使用されるよりも、異なる配置で任意の所与のモジュール30を使用するにもかかわらず、同じ構成要素の複数を構築することにより、より効率的で低コストである。いくつかのモジュール30は、検出器10の複数の材料および/または厚さ、および/または回路基板12上の複数のエレクトロニクスを有するなど、他とは異なるものであってもよい。
【0055】
図6のスタックは、コンプトンカメラとして使用することができる。図6に示す向きの上部検出器のような1つの検出器10は、散乱検出器として使用される。他方の検出器10、例えば図6に示す向きの下部検出器は、捕獲検出器として使用される。より大きな面積の検出器配置のために、図8のスタックされたモジュール30を使用することができる。上部検出器10は、互いに隣接1つの平面内に検出器10の2×2のアレイを形成する。このより大きな散乱検出器は、他方の平面において検出器10の2×2アレイによって形成される、より大きな捕獲検出器と共に動作する。
【0056】
曲面内に検出器のアレイを形成するなど、他の配置を使用してもよい。1つ、2つ、3つ、または4つ以上の層の検出器および対応する湾曲または3D表面は、モジュール30をスタックすることによって形成されてもよい。
【0057】
図7は、コンプトンカメラとして使用する場合のような別のスタッキング配置を示す。図6に示す方向ではなく、モジュール30は、回路基板12が隣接する側壁に嵌合するか又は側壁を形成するようにスタックされている(例えば、図6の下側モジュール30は、図面から180°延びる軸を中心に回転され、各検出器10(散乱検出器の場合は10A、捕獲検出器の場合は10B)の中心を通る軸を中心に90°回転され、上方にスライドされる)。各モジュール30は、検出器10の対向する縁部上に2つの回路基板12を有する。一方のモジュール30を他方に対して回転させることによって、回路基板12の4つの側壁は、ギャップ14を囲むように側壁を形成するように整列される。このネスティングによる結果は、図6のスタックよりも少ないスペース(例えば、高さとしてではない)を使用する可能性がある。4×4コンプトンアレイが形成されるが、別サイズのアレイが使用されてもよい。
【0058】
図7において、1つのモジュール30は、高電圧分配層22と、検出器10Aと、散乱検出器の一部として使用されるADC/ASIC基板23とを含む。他のモジュール30はまた、捕獲検出器の一部として使用される高電圧分配層22、検出器10B、およびADC/ASIC基板23を含む。散乱検出器と捕獲検出器との間の4つの側壁はすべて、回路基板12、1つのモジュール30からの2つ、他のモジュール30からの2つの、によって形成されるか、または充填される。
【0059】
図7に示す例では、捕獲検出器のためのモジュール30の検出器10は、散乱検出器のためのモジュール30の検出器10よりも厚い。散乱モジュール30は、検出器10及びエレクトロニクスを含む。エレクトロニクスは、検出器10に対して約90°に配置され、検出器10から延びる側壁を形成する。散乱モジュール30は、検出器10及びエレクトロニクスを含む。エレクトロニクスは、捕獲検出器から延びる側壁を形成するために、検出器10に対して約90°に配置される。スタックすると、両方のモジュールのエレクトロニクスは、検出器10の間に延在する少なくとも2つの側壁上にある。スタックの1つまたは複数の側面が開いていてもよい。正方形または長方形の検出器10のための2組のエレクトロニクスが使用される場合、検出器10の間に延在する4つの側壁すべてがエレクトロニクスを有し、一方のモジュール30から2つ、他方のモジュール30から2つである。各モジュール30のエレクトロニクスは、検出器10の対向する縁部から延在することによって、対向する側壁を形成することができる。あるいは、各モジュール30のエレクトロニクスは、2つの隣接する側壁を形成する。
【0060】
検出器10間の空間すなわちギャップ14は、複数のモジュール30からのエレクトロニクスまたは側壁によって形成される。ギャップ14は、ガンマ線のエネルギで気体又は他の低減衰材料で満たされる。ガンマ線は、側壁上にエレクトロニクスを配置することによって形成されるギャップ14内でほとんど減衰せずに、一方の検出器(すなわち、散乱検出器)から他方の検出器(すなわち、捕獲検出器)へ通過(例えば、散乱または結託によって生成される)してもよい。エレクトロニクスは、モジュール30内の配向により、低減衰空間を生成する。
【0061】
エレクトロニクスは、たとえ複数のモジュール30からであっても、互いに通信可能に接続することができる。通信によってイベントのペアリングが可能になる場合がある。エネルギパラメータとタイミングパラメータを用いて、散乱イベントと捕獲イベントをペアリングした。各ペアに対して、一対のイベントの空間的位置及びエネルギを用いて、散乱検出器への光子の入射角を見出すのに使用される。あるいは、各モジュール30に対する処理は別々に実行され、画像処理装置16はペアリングを実行する。
【0062】
ペアリングされたイベントがリンクされると、画像処理装置16または別のプロセッサは、検出された発光の2次元または3次元における分布を再構成するために、コンピュータ断層撮影を実行してもよい。各イベントに対する入射角または入射線は、再構成において使用される。検出したコンプトンイベントの再構成分布を用いてコンプトン画像をレンダリングするのに使用される。スタックがコンプトン検出以外の検出に使用される場合、画像処理装置16は、物理的コリメーションに基づく入射角が検出器10又は検出器10に提供される位置、エネルギ、及び/又はタイミング情報に基づいて検出された発光を再構成することができる。非コンプトン検知のための電子的コリメーションは、2層の検知器10を使用して提供されてもよい。
【0063】
図1のディスプレイ18は、CRT、LCD、プロジェクタ、プリンタ、または他のディスプレイである。ディスプレイ18は、核画像(例えば、コンプトン画像またはSPECT画像)を表示するように構成される。画像は、表示平面バッファに記憶され、ディスプレイ18に読み出される。コンプトン画像をSPECT画像と重ねて表示したり、隣接して表示するなど、画像を別々に表示したり合成したりすることがある。
【0064】
図9は、ガンマ線検出器システムを形成、使用、及び修復するための方法のフローチャートの一実施形態を示す。ガンマ線検出器システムは、モジュールを3Dにスタックすることによりモジュール式に形成される。1Dまたは2Dタイルではなく、3Dタイルを使用して、コンプトンカメラなどのさまざまな検出器システムを形成することができる。
【0065】
この方法は、図1のシステム、図2のモジュール、図3のモジュール、図4のモジュール、または検出器の背後または横にギャップを作るためにエレクトロニクスを使用する他のモジュールによって実施される。その動作は、示された順序(すなわち、上から下へ、または数値的に)または他の順序で行われる。例えば、動作98は動作94の一部として行われてもよい。
【0066】
追加的、異なる、または少ない動作を提供することができる。例えば、動作96および98を実行せずに検出器システムを組み立てるための動作92および94が設けられる。別の例として、動作96は、他の作用なしに実行される。
【0067】
動作92では、2つ以上のモジュールが互いにスタックされる。各モジュールは、ガンマ線検出器を含む。モジュールは、モジュールのガンマ線検出器が複数の平面内にあるように(例えば、図5図8を参照)、及び/又は1つの平面に沿って延びるように、3Dでスタックされるか又はタイル状に配置される。一実施形態では、異なる平面内のモジュールの検出器は、実質的に平行な平面内にある。「実質的に」は、許容範囲および柔軟性を考慮するために使用される。スタッキングモジュールは、検出器間にギャップを有する。ギャップは、信号プロセッサを備えた回路基板によって形成されるスタックの少なくとも1つの側壁を有することによって形成することができる。モジュールのうちの1つまたは複数は、検出器から離れて延在する回路基板を有し、その結果、スタッキングは、検出器間にギャップを生じる。
【0068】
一実施形態では、スタックされるモジュールの各ガンマ線検出器は、互いに平行かつ対向する側の最大表面を有するスラブである。複数のモジュールのガンマ線検出器の対向する側の最大表面は、スタッキング内の複数の平面に配置される。別の実施形態では、モジュールは、モジュールのガンマ線検出器が互いに実質的に垂直になるようにスタックされる。
【0069】
モジュールは、ガントリまたはフレームに当接および/または取り付けるように成形される。人またはロボットが、3D でのスタックに対して互いにモジュールを配置する。例えば、人または機械は、2つ以上のモジュールからコンプトンセンサーを組み立てる。互いに隣接するモジュールをスペーサ、ガントリ、またはフレームワークを介して直接接触または接触させてスタックすることによって、隣接するモジュールはガンマ線検出器アレイを形成する。完全なリングまたは部分的なリングが、患者または検出空間の周囲に形成されてもよく、少なくとも部分的に規定されている。
【0070】
検出器システムの構成または設計は、モジュールの数および/または位置を規定する。一旦スタックすると、モジュールは、動作94において、1つまたは複数のブリッジを介してなどの通信のために接続されてもよい。スタックされたモジュールは、バス、光リンク、ブリッジ、及び/又は別の通信インターフェースを介して、画像処理及び/又は互いに電気的に接続される。モジュールのエレクトロニクスまたは回路基板は、空冷システムなどの他のコンポーネントと接続されてもよい。
【0071】
動作96では、組み立てられた検出器システムが発光を検出する。コンプトンカメラの例では、与えられた放射光子が散乱検出器と相互作用する。その結果、放出された光子の入射線から特定の角度における別の光子の散乱が生じる。この二次光子はエネルギが少ない。二次光子は捕獲検出器で検出される。検出された散乱イベントと捕獲イベントの両方のエネルギとタイミングに基づいて、両方のイベントがペアリングされる。空気または減衰ギャップが低いため、二次光子の減衰が少なく、検出されやすくなる。ペアリングされたイベントの位置とエネルギは、検出器間のラインと散乱角を与える。その結果、放出光子の入射線が決定される。
【0072】
SPECT又は他のガンマ放射線検出例では、ガンマ放射線が1つ又は複数の検出器によって検出される。電子的コリメーションおよび/または物理的コリメーションを使用して、モジュールの検出器によって検出された放射およびモジュールの相対的空間位置から放射の分布を再構成することができる。
【0073】
検出したイベントをカウントまたは収集する。応答のラインまたは複数のコンプトンまたは他の放出イベントが生じるラインは、再構成において使用される。患者からの放射の三次元における分布を再構成することができる。コンプトン検知で提供されるような電子的コリメーションの場合、検知が放出された光子の入射角を説明または提供するので、再構成は物理的コリメータを必要としない。
【0074】
検出されたイベントは、オブジェクト・スペースに再構成される。画像は、再構成されたイベントからディスプレイ装置にレンダリングされてもよい。画像は患者内の放射の分布を表す。
【0075】
動作98では、人又は機械(例えば、ロボット)がモジュールの1つを取り外す。モジュールの検出器または関連エレクトロニクスのうちの1つが故障した場合、または交換されるべき場合(例えば、異なるエネルギで検出するため)、モジュールを取り外してもよい。その他のモジュールは、撮像システム内に残される。これにより、検出器システム全体のより大きな分解及び/又は交換のコストなしに、修理及び/又は交換を容易にすることができる。
【0076】
本発明を種々の実施形態を参照して上述したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更及び改造を実施できることは理解されるべきである。したがって、上記詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示として解されるものであり、本発明の精神及び範囲を定めるのは、全ての均等例を含む特許請求の範囲の記載に基づくものであることは理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9