(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】勃起不全および他の適応症の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240325BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20240325BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240325BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240325BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240325BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240325BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240325BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240325BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240325BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240325BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P15/10
A61P15/00
A61P43/00 111
A61K47/18
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/02
A61K9/08
A61K9/06
(21)【出願番号】P 2022150051
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2020196696の分割
【原出願日】2011-12-29
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2010-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506283639
【氏名又は名称】ストラテジック サイエンス アンド テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エリック ティー. フォッセル
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-532697(JP,A)
【文献】特表2007-532696(JP,A)
【文献】特開2009-196934(JP,A)
【文献】特表2006-511491(JP,A)
【文献】特表2003-516363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、前記組成物は、以下:
2.5重量%から15重量%の濃度の、L-アルギニンおよび/またはL-アルギニン塩酸塩を含む一酸化窒素供与体、
0.5重量%から1重量%のキサンタンガム、
1重量%から10重量%のプロピレングリコール、
1重量%から4重量%以下の
、ポリソルベート20であるポリソルベート界面活性剤、
シルデナフィルおよび/またはその塩、ならびに、
イオン性塩
を含み、ここで、前記組成物は、0.25Mから15Mのイオン強度を有する、
組成物。
【請求項2】
前記イオン性塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および、塩化マグネシウムの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
クリーム、ゲルまたはローションである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、ステアリン酸グリセリル、セチルアルコール、スクアレン、ミリスチン酸イソプロピル、および、オレイン酸の1つまたは複数を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記シルデナフィルおよび/またはその塩が、1重量%から10重量%の濃度で存在する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記シルデナフィルが、5重量%の濃度で存在する、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
40℃の温度に少なくとも4週間暴露された場合に安定である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記イオン性塩が前記組成物の少なくとも5重量%の濃度で存在する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記イオン性塩が、塩化コリン、および塩化カルシウムからなる群より選択される1つまたは複数の塩をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、少なくとも1Mのイオン強度を有する、請求項1から
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記一酸化窒素供与体を含有する包装をさらに含み、該包装が、リポソーム、コラーゲンのエマルション、コラーゲンペプチド、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記シルデナフィルおよび/またはその塩が、クエン酸シルデナフィルである、請求項1から
11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
保存剤をさらに含む、請求項1から
12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、被験体の生殖器領域に塗布されることを特徴とする、前記被験体における性機能不全を処置するための、請求項1から
13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記被験体が女性である、請求項
14に記載の組成物。
【請求項16】
前記被験体が男性である、請求項
14に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、前記男性の陰茎に塗布されることを特徴とする、請求項
16に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、塗布後10分未満に勃起を促進する、請求項
16または17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、30分以内に効果を発揮する、請求項
14から17のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、E.T. Fosselによって2010年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/427,999号(発明の名称「Treatment of Erectile Dysfunction and Other Indications,」)およびE.T. Fosselによって2010年12月29日に出願された米国仮特許出願第61/428,213号(発明の名称「Methods and Compositions for Preparing Emulsions for Topical Drug Delivery,」)の利益を主張する。これら各々は、その全体が本明細書において参照として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、経皮送達、特に、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および他の化合物の経皮送達に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤は、陰茎の海綿体に血液を供給する血管を覆う平滑筋細胞において、環状GMPに対する5型ホスホジエステラーゼの分解作用を遮断するために使用される薬物である。これらの薬物は、一般に、勃起不全の処置に使用されている。
【0004】
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤は、一般に経口送達される。現在、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の経皮製剤は、FDAによって承認されていない。したがって、臨床的に有用な量の5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を経皮送達するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明は、概して、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および他の化合物の経皮送達に関する。本発明の主題は、いくつかの事例において、相関する生成物、特定の問題の代替的解決策、ならびに/または1つもしくは複数のシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる使用に関わる。
【0006】
特定の状態の予防または処置のための組成物を被験体に投与する数種の方法が本明細書において開示される。本発明のそのような各態様において、本発明は、その特定の状態の処置または予防において使用するための組成物、およびその特定の状態の処置または予防用薬剤の製造のための組成物の使用も具体的に含むことが理解されるべきである。
【0007】
いくつかの実施形態において、本発明の態様は5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を被験体に送達するための組成物に関する。いくつかの実施形態において、組成物は、被験体の皮膚への局所送達のための適さない生物物理学的環境(a hostile biophysical environment)中に、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を含む。いくつかの実施形態において、組成物は一酸化窒素供与体も含む。いくつかの実施形態において、組成物は、貯蔵および/または送達の有効性を(例えば、一酸化窒素供与体を加えてまたは加えずに)安定化させる、および/または別様に促進する、1つまたは複数の化合物をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、経皮送達を使用することによって標的部位への直接的な化合物送達の効率を増加させ、それにより、全身暴露を大幅に低下させ、かつ潜在的副作用を低減させる。例えば、本発明による経皮送達は、全身暴露を、化合物の有効な送達に必要とされる経口投薬によって生じる全身暴露の10%未満(例えば、5%未満、または0.1%から1%の間、またはさらに少ない)に低減させることができる。例えば、本発明に従って局所送達される5型ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シルデナフィル)の全身暴露は、経口製剤から生じる全身暴露の約0.3%であり得る。また、いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、送達されている化合物の予想外に高速の作用(例えば、経口送達または化合物に使用される他の送達技術と比べて)も提供する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の態様は、短期間内に治療量の化合物の送達が必要とされる場合、急速療法に有用である。本明細書において記述されている局所送達製剤は、例えば経口製剤よりも急速に、化合物を標的組織へ送達することができる。局所送達製剤は、化合物の量における大幅な全身的増量を必要とすることなく、治療有効量の化合物の標的化された局部的送達も可能にする。しかしながら、局所製剤は、それが必要とされるならば、全身送達に使用され得ることを理解すべきである。
【0009】
本発明の一態様は、概して、組成物、例えば、被験体の皮膚への局所送達のための組成物を対象とする。1セットの実施形態によれば、組成物は、一酸化窒素供与体と、適さない生物物理学的環境と、安定化ポリマーと、プロピレングリコールと、ポリソルベート界面活性剤と、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩とを含む。
【0010】
別のセットの実施形態において、組成物の少なくとも約80重量%は、水と、少なくとも1つの塩化物塩と、一酸化窒素供与体と、安定化ポリマーと、プロピレングリコールと、ポリソルベート界面活性剤と、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩とを含む。
【0011】
また別のセットの実施形態によれば、組成物は、一酸化窒素供与体、適さない生物物理学的環境、ならびに5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を含む。
【0012】
さらに別のセットの実施形態によれば、組成物は、水と、塩化ナトリウムと、一酸化窒素供与体と、ステアリン酸グリセリルと、セチルアルコールと、塩化マグネシウムと、スクアランと、安定化ポリマーと、ミリスチン酸イソプロピルと、オレイン酸と、プロピレングリコールと、ポリソルベート界面活性剤と、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩とを含む、あるいはそれらから本質的になる。
【0013】
また別のセットの実施形態において、組成物は、記載濃度の±20%以下の濃度の、下記の化合物:約35重量%から約55重量%の濃度の水、約2.5重量%から約15重量%の濃度の塩化ナトリウム、約2.5重量%から約15重量%の濃度の一酸化窒素供与体、約4重量%から約10重量%の濃度のステアリン酸グリセリル、約4重量%から約10重量%の濃度のセチルアルコール、約0.1重量%から約5重量%の濃度の塩化マグネシウム、約1重量%から約8重量%の濃度のスクアラン、約0.2重量%から約2重量%の濃度のポリソルベート界面活性剤、約0.1重量%から約5重量%の濃度のミリスチン酸イソプロピル、約0.1重量%から約5重量%の濃度のオレイン酸、約1重量%から約10重量%の濃度のプロピレングリコール、約1重量%から約10重量%の濃度の安定化ポリマー、ならびに約1重量%から約10重量%の濃度の5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩のそれぞれを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は、油/水エマルション中、およそ5重量%(例えば、1重量%~15重量%程度)の阻害剤(例えば、シルデナフィルまたは他の阻害剤)を含み、約10%塩化ナトリウム、5%塩化カリウムおよび約2.5%塩化マグネシウムをさらに含む。例えば、阻害剤は、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩であってよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物のpHは、阻害剤をイオン化する一方で、皮膚との接触に許容されるpH範囲(例えば、約pH5から約pH8の範囲内)との適合性を維持するように最適化される。いくつかの実施形態では、10未満のpHであれば、シルデナフィルまたは関連化合物などの阻害剤をイオン化するのに十分である。いくつかの実施形態では、5~8(+/-0.5)のpHが有効である。いくつかの実施形態では、6.5(例えば、+/-0.5)のpHが特に有効である。いくつかの実施形態では、特にpHが、特に皮膚との局所的な直接接触に適合性がある約pH5.0~8.0の範囲内にある場合には、阻害剤のpKaより少なくとも約1pH単位高いまたは低い(例えば、少なくとも約2pH単位高いまたは低い)pHを使用することができる。阻害剤は、例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/もしくはその塩、または本明細書で論じられる任意の阻害剤であってよい。
【0016】
本発明の態様によれば、比較的高い塩濃度、例えば少なくとも約2%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約25~50%、重量%)は、阻害剤(例えば、シルデナフィル)の経皮的移動を促進する、適さない生物物理学的環境を提供するために有用である。いくつかの実施形態では、例えば、安定化ポリマーおよび/またはポリソルベート界面活性剤および/またはプロピレングリコール(または低分子量グリコール、またはポリエチレングリコールもしくは他のポリグリコール等のポリグリコール-しかしながら、偶数個の炭素を持つグリコールは特にエチレングリコールおよびブチレングリコール等のより小さいグリコールにとって毒性となることがあり、回避または排除されるべきであることを理解すべきである)を含有する、本明細書において記述されているエマルションは、予想外にも、長期間にわたって有効なままの形態の高塩組成物中で阻害剤を安定化させる-例えば、阻害剤の急速経皮送達を少なくとも数週間または数か月にわたって保持するのに有効である。ある場合には、阻害剤は、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩である。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、局部的な血流を増加させ、化合物の送達をさらに促進するために有用となり得る一酸化窒素供与体(例えば、L-Arg)も含む。別のセットの実施形態によれば、組成物は、安定化ポリマーと、プロピレングリコールと、ポリソルベート界面活性剤と、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩とを含む。
【0018】
さらに別のセットの実施形態では、組成物の少なくとも約80重量%は、水と、少なくとも1つの塩化物塩と、安定化ポリマーと、プロピレングリコールと、ポリソルベート界面活性剤と、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩とを含む。
【0019】
本発明は、別の態様に従って、概して方法を対象とする。1セットの実施形態では、方法は、本明細書において記述されている組成物のいずれかを、被験体に、例えば被験体の皮膚に塗布する方法である。別のセットの実施形態によれば、方法は、被験体の皮膚の一部に、適さない生物物理学的環境中に5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を含む送達ビヒクルを塗布する行為を含む。
【0020】
方法は、また別のセットの実施形態では、被験体の皮膚の少なくとも一部に、一酸化窒素供与体と、適さない生物物理学的環境と、安定化ポリマーと、プロピレングリコールと、ポリソルベート界面活性剤と、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩とを含む組成物を塗布する行為を含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、本明細書において記述されている実施形態の1つまたは複数、例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む組成物を作製する方法を網羅する。さらに別の態様では、本発明は、本明細書において記述されている実施形態の1つまたは複数、例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む組成物を使用する方法を網羅する。また別の態様では、本発明は、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む組成物の種々の使用を網羅する。例えば、組成物は、勃起不全を処置するために使用され得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明の態様は、本発明の組成物を(例えば、一酸化窒素供与体を加えてまたは加えずに、および1つまたは複数の安定化化合物を加えてまたは加えずに)含むパッチに関する。いくつかの実施形態において、組成物は、パッチに組み込まれるクリームまたは軟膏の形態である。しかしながら、他の構成を使用してもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明の態様は、化合物を、経口送達を使用するのに必要とされる全身用量の何分の1かで局部的に送達するための方法および製剤に関する。いくつかの実施形態において、適さない生物物理学的環境は、局所塗布を通して局部的送達を強化するために評価され得る。有効な治療用途のために必要とされる化合物の全身量を低減させるために、治療用途に応じて、適切な送達構成(例えば、化合物濃度、適さない生物物理学的環境、クリーム、パッチ等の組合せ)を使用することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明の態様は、経口投与される場合に所望の局所効果をもたらすのに必要な5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の全身レベルに関連する副作用(男性および女性において、FDAが承認を拒否する原因となっている副作用)を低減または回避することに関する。いくつかの実施形態では、本発明の態様は、1つまたは複数の5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の局所製剤を提供することによって、男性および/または女性の性機能障害を処置するために使用することができる。局所製剤は、有効な経口投与に必要な投与量に関連する高い全身レベルを引き起こすことなく、有効な局所レベルをもたらすために使用することができる(例えば、男性または女性の生殖器に局所塗布することによって)。いくつかの実施形態では、本発明の態様は、経口投与では効果を得るのに30分間から1時間以上待つのに対して、局所塗布後では約5分以内(例えば、約30分未満、約20分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満)に効果を発揮する局所送達製剤を提供する。
【0025】
本発明の他の利点および新規特色は、添付の図と併せて考慮した場合に、本発明の種々の非限定的実施形態の下記の詳細な説明から明らかとなる。本明細書および参照によって組み込まれる文書が相反するかつ/または一貫性のない開示を包含する事例においては、明確な誤りが存在しなければ、本明細書を優先するものとする。参照により組み込まれる2つ以上の文書が互いに相反するかつ/または一貫性のない開示を包含するのであれば、遅い発効日を有する文書を優先するものとする。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、
適さない生物物理学的環境と、
安定化ポリマーと、
プロピレングリコールと、
ポリソルベート界面活性剤と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と、場合により
一酸化窒素供与体と
を含む組成物。
(項目2)
前記一酸化窒素供与体、前記適さない生物物理学的環境、前記キサンタンガム、前記プロピレングリコール、前記ポリソルベート界面活性剤、ならびに前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩のそれぞれが、送達ビヒクル内に含有される、項目1に記載の組成物。
(項目3)
40℃の温度に少なくとも約1日間暴露された場合に安定である、項目1から2のいずれか一項に記載の組成物。
(項目4)
40℃の温度に少なくとも約1週間暴露された場合に安定である、項目1から3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
40℃の温度に少なくとも約4週間暴露された場合に安定である、項目1から4のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
クリームである、項目1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
ゲルである、項目1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
ローションである、項目1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
経皮パッチ内に含有される、項目1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目10)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニンを含む、項目1から9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニン塩を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の組成物。
(項目12)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニンHClを含む、項目1から11のいずれか一項に記載の組成物。
(項目13)
前記一酸化窒素供与体が、前記組成物の少なくとも約0.5重量%の濃度で存在する、項目1から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
前記一酸化窒素供与体が、前記組成物の少なくとも約5重量%の濃度で存在する、項目1から13のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
前記一酸化窒素供与体が、前記組成物の少なくとも約7重量%の濃度で存在する、項目1から14のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
前記適さない生物物理学的環境が、角質層を経由して前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を運ぶことができる、項目1から15のいずれか一項に記載の組成物。
(項目17)
前記適さない生物物理学的環境がイオン性塩を含む、項目1から16のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
前記イオン性塩が、前記組成物の少なくとも約5重量%の濃度で存在する、項目17に記載の組成物。
(項目19)
前記イオン性塩が、前記組成物の少なくとも約7重量%の濃度で存在する、項目17または18のいずれか一項に記載の組成物。
(項目20)
前記イオン性塩が、前記組成物の少なくとも約10重量%の濃度で存在する、項目17から19のいずれか一項に記載の組成物。
(項目21)
前記適さない生物物理学的環境が塩化コリンを含む、項目1から20のいずれか一項に記載の組成物。
(項目22)
前記適さない生物物理学的環境が塩化マグネシウムを含む、項目1から21のいずれか一項に記載の組成物。
(項目23)
前記塩化マグネシウムが、前記組成物の約0.1重量%から約5重量%の間の濃度で存在する、項目22に記載の組成物。
(項目24)
前記適さない生物物理学的環境が塩化カルシウムを含む、項目1から23のいずれか一項に記載の組成物。
(項目25)
前記適さない生物物理学的環境が、少なくとも約0.25Mのイオン強度を有する、項目1から24のいずれか一項に記載の組成物。
(項目26)
前記適さない生物物理学的環境が、少なくとも約1Mのイオン強度を有する、項目1から25のいずれか一項に記載の組成物。
(項目27)
約5から約9の間のpHを有する、項目1から26のいずれか一項に記載の組成物。
(項目28)
約5から約8.5の間のpHを有する、項目1から27のいずれか一項に記載の組成物。
(項目29)
前記適さない生物物理学的環境が、少なくとも約1000のオクタノール-水分配係数を有する成分を含む、項目1から28のいずれか一項に記載の組成物。
(項目30)
前記組成物が前記被験体に塗布される場合に、前記適さない生物物理学的環境が、前記一酸化窒素供与体を、前記組成物から前記被験体の皮膚へ移動させることができる、項目1から29のいずれか一項に記載の組成物。
(項目31)
前記被験体がヒトである、項目1から30のいずれか一項に記載の組成物。
(項目32)
前記一酸化窒素供与体を含有する包装をさらに含み、前記包装は、リポソーム、コラーゲンのエマルション、コラーゲンペプチド、およびそれらの組合せからなる群から選択される、項目1から31のいずれか一項に記載の組成物。
(項目33)
前記安定化ポリマーがキサンタンガムを含む、項目1から32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目34)
前記安定化ポリマーがKELTROL(登録商標)BTを含む、項目1から33のいずれか一項に記載の組成物。
(項目35)
前記安定化ポリマーが、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDから本質的になる、項目1から32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目36)
前記組成物内におけるKELTROL(登録商標)BT対KELTROL(登録商標)RDの比率が3:5である、項目35に記載の組成物。
(項目37)
前記KELTROL(登録商標)BTが、前記組成物の約0.3重量%の濃度で存在し、かつ、前記KELTROL(登録商標)RDが、前記組成物の0.5重量%の濃度で存在する、項目35または36のいずれか一項に記載の組成物。
(項目38)
前記安定化ポリマーが、前記組成物の少なくとも約0.5重量%の濃度で存在する、項目1から37のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
前記安定化ポリマーが、前記組成物の少なくとも約0.8重量%の濃度で存在する、項目1から38のいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
前記プロピレングリコールが、前記組成物の少なくとも約3重量%の濃度で存在する、項目1から39のいずれか一項に記載の組成物。
(項目41)
前記プロピレングリコールが、前記組成物の少なくとも約5重量%の濃度で存在する、項目1から40のいずれか一項に記載の組成物。
(項目42)
前記ポリソルベート界面活性剤がポリソルベート20を含む、項目1から41のいずれか一項に記載の組成物。
(項目43)
前記ポリソルベート界面活性剤が、ソルビタンモノラウレート部分を含むポリソルベートを含む、項目1から42のいずれか一項に記載の組成物。
(項目44)
前記ポリソルベート界面活性剤が、前記組成物の少なくとも約1重量%の濃度で存在する、項目1から43のいずれか一項に記載の組成物。
(項目45)
前記ポリソルベート界面活性剤が、前記組成物の少なくとも約2重量%の濃度で存在する、項目1から44のいずれか一項に記載の組成物。
(項目46)
前記ポリソルベート界面活性剤が、式:
【化4】
を有する化合物を含む、項目1から45のいずれか一項に記載の組成物。
(項目47)
w+x+y+zが20である、項目46に記載の組成物。
(項目48)
約1:6.25:2.5の前記安定化ポリマー対プロピレングリコール対前記ポリソルベート界面活性剤の比率を有する、項目1から47のいずれか一項に記載の組成物。
(項目49)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む、項目1から48のいずれか一項に記載の組成物。
(項目50)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩を含む、項目1から49のいずれか一項に記載の組成物。
(項目51)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤のナトリウム塩を含む、項目50に記載の組成物。
(項目52)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤のクエン酸塩を含む、項目50または51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目53)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がアバナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目54)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がロデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目55)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がミロデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目56)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がシルデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目57)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がタダラフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目58)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がバルデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目59)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がウデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目60)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がアセチルデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目61)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤がチオメチソシルデナフィルである、項目1から52のいずれか一項に記載の組成物。
(項目62)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の少なくとも約1重量%の濃度で存在する、項目1から61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目63)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の少なくとも約5重量%の濃度で存在する、項目1から62のいずれか一項に記載の組成物。
(項目64)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の少なくとも約7重量%の濃度で存在する、項目1から63のいずれか一項に記載の組成物。
(項目65)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の約1重量%から約10重量%の間の濃度で存在する、項目1から64のいずれか一項に記載の組成物。
(項目66)
項目1から65のいずれか一項に記載の組成物を被験体に塗布するステップを含む、方法。
(項目67)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、前記組成物の少なくとも約80重量%が、
水と、
少なくとも1つの塩化物塩と、
安定化ポリマーと、
プロピレングリコールと、
ポリソルベート界面活性剤と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と、場合により
一酸化窒素供与体と
を含む組成物。
(項目68)
ステアリン酸グリセリルをさらに含む、項目67に記載の組成物。
(項目69)
セチルアルコールをさらに含む、項目67または68のいずれか一項に記載の組成物。
(項目70)
スクアランをさらに含む、項目67から69のいずれか一項に記載の組成物。
(項目71)
ミリスチン酸イソプロピルをさらに含む、項目67から70のいずれか一項に記載の組成物。
(項目72)
オレイン酸をさらに含む、項目67から71のいずれか一項に記載の組成物。
(項目73)
前記水が、前記組成物の少なくとも約35重量%の濃度で存在する、項目67から72のいずれか一項に記載の組成物。
(項目74)
前記水が、前記組成物の少なくとも約40重量%の濃度で存在する、項目67から73のいずれか一項に記載の組成物。
(項目75)
約5から約8.5の間のpHを有する、項目67から74のいずれか一項に記載の組成物。
(項目76)
前記少なくとも1つの塩化物塩が塩化マグネシウムを含む、項目67から75のいずれか一項に記載の組成物。
(項目77)
前記塩化マグネシウムが、前記組成物の約0.1重量%から約5重量%の間の濃度で存在する、項目76に記載の組成物。
(項目78)
前記少なくとも1つの塩化物塩が、適さない生物物理学的環境を作り出す、項目67から77のいずれか一項に記載の組成物。
(項目79)
前記少なくとも1つの塩化物塩が塩化ナトリウムを含む、項目67から78のいずれか一項に記載の組成物。
(項目80)
前記少なくとも1つの塩化物塩が、前記組成物の少なくとも約5重量%の濃度で存在する、項目67から79のいずれか一項に記載の組成物。
(項目81)
前記少なくとも1つの塩化物塩が、前記組成物の少なくとも約10重量%の濃度で存在する、項目67から80のいずれか一項に記載の組成物。
(項目82)
前記少なくとも1つの塩化物塩が、前記組成物の少なくとも約15重量%の濃度で存在する、項目67から81のいずれか一項に記載の組成物。
(項目83)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニンを含む、項目67から82のいずれか一項に記載の組成物。
(項目84)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニン塩を含む、項目67から83のいずれか一項に記載の組成物。
(項目85)
前記一酸化窒素供与体が、前記組成物の少なくとも約3重量%の濃度で存在する、項目67から84のいずれか一項に記載の組成物。
(項目86)
前記一酸化窒素供与体が、前記組成物の少なくとも約7重量%の濃度で存在する、項目67から85のいずれか一項に記載の組成物。
(項目87)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の少なくとも約1重量%の濃度で存在する、項目67から86のいずれか一項に記載の組成物。
(項目88)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の約1重量%から約10重量%の間の濃度で存在する、項目67から87のいずれか一項に記載の組成物。
(項目89)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む、項目67から88のいずれか一項に記載の組成物。
(項目90)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩を含む、項目67から89のいずれか一項に記載の組成物。
(項目91)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤のナトリウム塩を含む、項目90に記載の組成物。
(項目92)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤のクエン酸塩を含む、項目90または91のいずれか一項に記載の組成物。
(項目93)
前記安定化ポリマーが、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDから本質的になる、項目67から92のいずれか一項に記載の組成物。
(項目94)
前記安定化ポリマーが、少なくとも約0.5%の濃度で存在する、項目67から93のいずれか一項に記載の組成物。
(項目95)
前記安定化ポリマーが、少なくとも約0.8%の濃度で存在する、項目67から94のいずれか一項に記載の組成物。
(項目96)
前記プロピレングリコールが、少なくとも約3%の濃度で存在する、項目67から95のいずれか一項に記載の組成物。
(項目97)
前記プロピレングリコールが、少なくとも約5%の濃度で存在する、項目67から96のいずれか一項に記載の組成物。
(項目98)
前記ポリソルベート界面活性剤が、前記組成物の少なくとも約1重量%の濃度で存在する、項目67から97のいずれか一項に記載の組成物。
(項目99)
前記ポリソルベート界面活性剤が、前記組成物の少なくとも約2重量%の濃度で存在する、項目67から98のいずれか一項に記載の組成物。
(項目100)
前記ポリソルベート界面活性剤がポリソルベート20を含む、項目67から99のいずれか一項に記載の組成物。
(項目101)
項目67から100のいずれか一項に記載の組成物を被験体に塗布するステップを含む、方法。
(項目102)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、
適さない生物物理学的環境と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と、場合により
一酸化窒素供与体と
を含む組成物。
(項目103)
前記適さない生物物理学的環境が、少なくとも約0.25Mのイオン強度を有する、項目102に記載の組成物。
(項目104)
前記適さない生物物理学的環境が、少なくとも約1Mのイオン強度を有する、項目102から103のいずれか一項に記載の組成物。
(項目105)
前記適さない生物物理学的環境が、約0.25Mから約15Mの間のイオン強度を有する、項目102から104のいずれか一項に記載の方法。
(項目106)
前記適さない生物物理学的環境が、角質層を経由して前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を運ぶことができる、項目102から105のいずれか一項に記載の組成物。
(項目107)
前記適さない生物物理学的環境がイオン性塩を含む、項目102から106のいずれか一項に記載の組成物。
(項目108)
前記適さない生物物理学的環境が、塩化ナトリウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、塩化カルシウムの1つまたは複数を含む、項目102から107のいずれか一項に記載の組成物。
(項目109)
前記適さない生物物理学的環境が塩化マグネシウムを含む、項目102から108のいずれか一項に記載の組成物。
(項目110)
前記塩化マグネシウムが、前記組成物の約0.1重量%から約5重量%の間の濃度で存在する、項目109に記載の組成物。
(項目111)
約5から約8.5の間のpHを有する、項目102から110のいずれか一項に記載の組成物。
(項目112)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニンを含む、項目102から111のいずれか一項に記載の組成物。
(項目113)
前記一酸化窒素供与体が、前記皮膚内の血流を増加させるのに有効な量で存在する、項目102から112のいずれか一項に記載の組成物。
(項目114)
クリームである、項目102から113のいずれか一項に記載の組成物。
(項目115)
ゲルである、項目102から113のいずれか一項に記載の組成物。
(項目116)
ローションである、項目102から113のいずれか一項に記載の組成物。
(項目117)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の約1重量%から約10重量%の間の濃度で存在する、項目102から116のいずれか一項に記載の組成物。
(項目118)
項目102から117のいずれか一項に記載の組成物を被験体に塗布するステップを含む、方法。
(項目119)
被験体の皮膚の一部に、適さない生物物理学的環境中に5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を含む送達ビヒクルを塗布する行為を含む、方法。
(項目120)
前記適さない生物物理学的環境が、少なくとも約1Mのイオン強度を有する、項目119に記載の方法。
(項目121)
前記適さない生物物理学的環境が、約0.25Mから約15Mの間のイオン強度を有する、項目119または120のいずれか一項に記載の方法。
(項目122)
前記適さない生物物理学的環境が、角質層を経由して前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩を運ぶことができる、項目119から121のいずれか一項に記載の方法。
(項目123)
前記適さない生物物理学的環境がイオン性塩を含む、項目119から122のいずれか一項に記載の方法。
(項目124)
前記適さない生物物理学的環境が、塩化ナトリウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、塩化カルシウムの1つまたは複数を含む、項目119から123のいずれか一項に記載の方法。
(項目125)
前記適さない生物物理学的環境が塩化マグネシウムを含む、項目119から124のいずれか一項に記載の方法。
(項目126)
前記塩化マグネシウムが、前記送達ビヒクルの約0.1重量%から約5重量%の間の濃度で存在する、項目125に記載の方法。
(項目127)
前記送達ビヒクルが、約5から約8.5の間のpHを有する、項目119から126のいずれか一項に記載の方法。
(項目128)
前記送達ビヒクルが一酸化窒素供与体をさらに含む、項目119から127のいずれか一項に記載の方法。
(項目129)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニンを含む、項目128に記載の方法。
(項目130)
前記一酸化窒素供与体が、前記皮膚内の血流を増加させるのに有効な量で存在する、項目128または129のいずれか一項に記載の方法。
(項目131)
前記送達ビヒクルがクリームである、項目119から130のいずれか一項に記載の方法。
(項目132)
前記送達ビヒクルがゲルである、項目119から130のいずれか一項に記載の方法。
(項目133)
前記送達ビヒクルがローションである、項目119から130のいずれか一項に記載の方法。
(項目134)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記送達ビヒクルの約1重量%から約10重量%の間の濃度で存在する、項目119から133のいずれか一項に記載の方法。
(項目135)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、
水と、
塩化ナトリウムと、
一酸化窒素供与体と、
ステアリン酸グリセリルと、
セチルアルコールと、
塩化マグネシウムと、
スクアランと、
安定化ポリマーと、
ミリスチン酸イソプロピルと、
オレイン酸と、
プロピレングリコールと、
ポリソルベート界面活性剤と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と
から本質的になる組成物。
(項目136)
前記水が、前記組成物の約40.9重量%の濃度で存在する、項目135に記載の組成物。
(項目137)
前記塩化ナトリウムが、前記組成物の約10重量%の濃度で存在する、項目135または136のいずれか一項に記載の組成物。
(項目138)
前記一酸化窒素供与体がL-アルギニンHClを含む、項目135から137のいずれか一項に記載の組成物。
(項目139)
前記一酸化窒素供与体が、前記組成物の約7.5重量%の濃度で存在する、項目135から138のいずれか一項に記載の組成物。
(項目140)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む、項目135から139のいずれか一項に記載の組成物。
(項目141)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤のナトリウム塩を含む、項目135から140のいずれか一項に記載の組成物。
(項目142)
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤のクエン酸塩を含む、項目135から141のいずれか一項に記載の組成物。
(項目143)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩が、前記組成物の約1重量%から約10重量%の間の濃度で存在する、項目135から142のいずれか一項に記載の組成物。
(項目144)
前記ステアリン酸グリセリルが、前記組成物の約7重量%の濃度で存在する、項目135から143のいずれか一項に記載の組成物。
(項目145)
前記セチルアルコールが、前記組成物の約7重量%の濃度で存在する、項目135から144のいずれか一項に記載の組成物。
(項目146)
前記塩化マグネシウムが、前記組成物の約0.1重量%から約5重量%の間の濃度で存在する、項目135から145のいずれか一項に記載の組成物。
(項目147)
前記スクアレンが、前記組成物の約4重量%の濃度で存在する、項目135から146のいずれか一項に記載の組成物。
(項目148)
前記安定化ポリマーがキサンタンガムを含む、項目135から147のいずれか一項に記載の組成物。
(項目149)
前記安定化ポリマーが、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDから本質的になる、項目135から148のいずれか一項に記載の組成物。
(項目150)
前記安定化ポリマーが、前記組成物の約0.8重量%の濃度で存在する、項目135から149のいずれか一項に記載の組成物。
(項目151)
前記ミリスチン酸イソプロピルが、前記組成物の約1重量%の濃度で存在する、項目135から150のいずれか一項に記載の組成物。
(項目152)
前記オレイン酸が、前記組成物の約1重量%の濃度で存在する、項目135から151のいずれか一項に記載の組成物。
(項目153)
前記プロピレングリコールが、5%の濃度で存在する、項目135から152のいずれか一項に記載の組成物。
(項目154)
前記ポリソルベート界面活性剤がポリソルベート20を含む、項目135から153のいずれか一項に記載の組成物。
(項目155)
約5から約8.5の間のpHを有する、項目135から154のいずれか一項に記載の組成物。
(項目156)
項目135から155のいずれか一項に記載の組成物を被験体に塗布するステップを含む、方法。
(項目157)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、記載濃度の±20%以下の濃度の、下記の化合物:
約35重量%から約55重量%の濃度の水
約2.5重量%から約15重量%の濃度の塩化ナトリウム
約2.5重量%から約15重量%の濃度の一酸化窒素供与体
約4重量%から約10重量%の濃度のステアリン酸グリセリル
約4重量%から約10重量%の濃度のセチルアルコール
約0.1重量%から約5重量%の濃度の塩化マグネシウム
約1重量%から約8重量%の濃度のスクアラン
約0.2重量%から約2重量%の濃度のポリソルベート界面活性剤
約0.1重量%から約5重量%の濃度のミリスチン酸イソプロピル
約0.1重量%から約5重量%の濃度のオレイン酸
約1重量%から約10重量%の濃度のプロピレングリコール
約1重量%から約10重量%の濃度の安定化ポリマー、ならびに
約1重量%から約10重量%の濃度の5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩
のそれぞれを含む組成物。
(項目158)
前記安定化ポリマーがキサンタンガムを含む、項目157に記載の組成物。
(項目159)
前記安定化ポリマーが、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDから本質的になる、項目157から158のいずれか一項に記載の組成物。
(項目160)
前記ポリソルベート界面活性剤がポリソルベートグルコースを含む、項目157から159のいずれか一項に記載の組成物。
(項目161)
項目157から160のいずれか一項に記載の組成物において、記載濃度の±10%以下の濃度の、前記項目に記載されている前記化合物を含む組成物。
(項目162)
約5から約8.5の間のpHを有する、項目157から161のいずれか一項に記載の組成物。
(項目163)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩がシルデナフィルを含む、項目157から162のいずれか一項に記載の組成物。
(項目164)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩がタダラフィルを含む、項目157から162のいずれか一項に記載の組成物。
(項目165)
前記5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩がバルデナフィルを含む、項目157から162のいずれか一項に記載の組成物。
(項目166)
項目157から165のいずれか一項に記載の組成物を被験体に塗布するステップを含む、方法。
(項目167)
被験体の皮膚の少なくとも一部に、
適さない生物物理学的環境と、
安定化ポリマーと、
プロピレングリコールと、
ポリソルベート界面活性剤と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と、場合により
一酸化窒素供与体と
を含む組成物を塗布するステップを含む、方法。
(項目168)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、
安定化ポリマーと、
プロピレングリコールと、
ポリソルベート界面活性剤と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と
を含む組成物。
(項目169)
被験体の皮膚への局所送達のための組成物であって、前記組成物の少なくとも約80重量%が、
水と、
少なくとも1つの塩化物塩と、
安定化ポリマーと、
プロピレングリコールと、
ポリソルベート界面活性剤と、
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩と
を含む組成物。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本発明は、概して、種々の化合物の経皮送達に関する。いくつかの態様において、経皮送達は、適さない生物物理学的環境の使用によって推進され得る。1セットの実施形態は、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩、ならびに場合により、適さない生物物理学的環境および/または一酸化窒素供与体を含む、局所送達のための組成物を提供する。いくつかの事例において、組成物は、安定化ポリマー(キサンタンガム、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RD等)、プロピレングリコール、およびポリソルベート20等のポリソルベート界面活性剤の組合せを使用して安定化させることができ、該組合せは、予想外にも、これらの1つまたは複数を欠く組成物と比較すると、例えば少なくとも40℃(少なくとも約104°F)等の高温において、温度安定性を組成物に提供する。
【0027】
本発明の態様によれば、比較的高塩の組成物(a relatively high salt composition)(例えば、高い塩化物含有量)を含む組成物は、予想外にも、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シルデナフィルまたは他の阻害剤(その塩を含む))の局所送達に有効である。いくつかの実施形態において、塩で強化された送達(例えば、本明細書において記述されている通り、少なくとも2%の塩、少なくとも5%の塩、少なくとも10%の塩、少なくとも15%の塩、またはそれより多くを有する組成物中)は、組成物のpHが送達されている化合物を(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約99%以上)イオン化するように最適化される場合に特に有効である。化合物のpKaおよび組成物のpHに応じて、イオン化形態は(例えばプロトン化により)アニオン性またはカチオン性であってよいことを理解すべきである。いくつかの実施形態において、化合物は、それぞれが異なるpKaを有する数個のイオン化できる基を含有し得る。いくつかの実施形態において、塩で強化された送達のためにイオン化される基の少なくとも1、2または3個が有効となれば十分である。いくつかの実施形態において、イオン化できる基は、組成物のpHが該基のpKaより少なくとも1pH単位、または少なくとも2pH単位(例えば、1、1~2、2~3、またはそれより上のpH単位)低くあり、かつ、そのpKaを下回るカチオン性(プロトン化により)ならば、十分にイオン化される。同様に、いくつかの実施形態において、イオン化できる基は、組成物のpHが、該基のpKaより少なくとも1pH単位、または少なくとも2pH単位(例えば、1、1~2、2~3、またはそれより上のpH単位)高くあり、かつ、そのpKaを上回るアニオン性(脱プロトン化により)ならば、十分にイオン化される。いくつかの実施形態において、例えば0.1~5重量%の塩化マグネシウムの存在は、比較的高いpKa(例えば、8.0超、9.0超、10.0超またはそれより上)を持つ化合物を含有する組成物を安定化させる助けとなり得る。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、バッファーを使用して維持され得る。しかしながら、本発明の組成物のpHは、驚いたことに、バッファーがなくとも安定である。いくつかの実施形態において、所望のpHは、混合物を酸(例えばHCl)または塩基(例えばNaOH)で滴定することによって確立され得る。得られた組成物(例えば、本明細書において記述されている通りのエマルションとして製剤化された場合)のpHは、長期間(例えば、数週間、数か月、または1年以上)にわたって安定(例えば、組成物が経皮送達に有効となるのに十分に)であり得る。
【0028】
本発明の他の態様によれば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含有する高塩組成物は、エマルション(例えば、本明細書において記述されている安定化ポリマーおよび/またはポリソルベート界面活性剤および/またはプロピレングリコール(または他の低分子量グリコールもしくはポリグリコール)の1つまたは複数を含む、例えば、油中水エマルションまたは水中油エマルション)として製剤化されると、予想外に安定である。いくつかの実施形態では、エマルションおよび高い塩濃度を含む組成物のpHは、本明細書において記述されている通り送達される化合物をイオン化するように選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の局所送達(例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばシルデナフィルの局所送達)は、驚くべきことに、急速な効果を提供する(約1~5分以内)。それとは対照的に、経口対応物は、効果をもたらすのに約60分以上必要である。したがって、本発明の態様は、勃起不全を処置または予防するのに有効な処置を被験体に送達するための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態では、女性または男性被験体の生殖器領域(例えば、男性被験体の陰茎)に塗布して、塗布の60分未満、45分未満、30分未満、または15分未満以内に勃起不全を処置する(例えば、勃起を促進する)ことができる局所組成物が提供される。
【0030】
本発明の一態様は、薬学的作用物質(例えば、薬物、生体化合物等)等の物質の局所送達のための組成物を提供する。薬学的作用物質は、医学的状態もしくは疾患、および/またはそれに関連する症状の処置を補助するために、被験体、例えばヒトの皮膚に塗布され得る。いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的作用物質を(例えば、本明細書において記述されている通りの医学的状態または疾患と診断された被験体を処置するために)使用する、医学的状態または疾患および/または病気の処置を提供し、いくつかの事例において、本発明は、副作用を限定しながら有効なレベルの医薬を影響を受けた箇所に局所的に提供するための、最少量の薬学的作用物質の送達を提供する。いくつかの事例において、薬学的作用物質の有効な投薬量は、経口摂取される場合の薬学的作用物質の有効な投薬量よりも低くなり得る。
【0031】
例えば、1セットの実施形態では、薬学的作用物質は、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/またはその塩である。5型ホスホジエステラーゼ阻害剤は、例えば、陰茎の海綿体に血液を供給する血管を覆う平滑筋細胞において、環状GMPに対する5型ホスホジエステラーゼの分解作用を遮断する薬物である。勃起の生理的プロセスの一部では、性的刺激の結果として、海綿体の脈管構造において一酸化窒素(NO)が放出されることを伴う。NOは、酵素グアニル酸シクラーゼを活性化し、その結果、環状グアノシン一リン酸(cGMP)のレベルを増大し、海綿体に血液を供給する血管における平滑筋を弛緩し、血流の増大および勃起をもたらす。したがって、PDE5阻害剤は、5型ホスホジエステラーゼによるcGMPの分解を阻害し、性的刺激の間に陰茎への血流を増大する。
【0032】
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の非限定的な例には、それに限定されるものではないが、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル(pKa 6.0)、シルデナフィル(またはその類似体、例えば、アセチルデナフィル、ヒドロキシアセチルデナフィルもしくはジメチルシルデナフィル)、タダラフィル(pKa 18)、バルデナフィル(pKa 3.4、6.7、8.8および14)、ウデナフィル(pKa 10.53)、アセチルデナフィルまたはチオメチソシルデナフィルが含まれる。これらの化合物の構造を、それぞれ以下に示す。
【0033】
【0034】
【化2】
したがって、本発明の様々な態様は、被験体に経皮送達または局所塗布するための、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む組成物を対象とする。5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩または誘導体などの他の化合物(先の化合物の塩または誘導体を含む)も、他の実施形態に含まれる。したがって、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を使用する本明細書において記述されている任意の実施形態において、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤はほんの一例であり、本発明の他の実施形態は、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の代わりに、および/または5型ホスホジエステラーゼ阻害剤に加えて、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の誘導体等を対象とすることを理解されたい。
【0035】
5型ホスホジエステラーゼ阻害剤または他の薬学的作用物質(例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩または誘導体等)は、任意の適した濃度で存在し得る。例えば、いくつかの事例において、薬学的作用物質は、組成物の重量で少なくとも約0.1%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.7%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約7.5%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、または少なくとも約10%の濃度で存在し得る。ある特定の実施形態において、薬学的作用物質は、組成物の重量で約1%以下、約2%以下、約3%以下、約4%以下、約5%以下、約6%以下、約7%以下、約8%以下、約9%以下、約10%以下、約12%以下、約15%以下、または約20%以下の濃度で存在し得る。加えて、薬学的作用物質は、天然形態で、かつ/または1つもしくは複数の塩として存在し得る。例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤が存在する場合、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤は、その天然形態で使用することができ、そして/または5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の1つもしくは複数の塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、リシン塩、アルギニン塩、乳酸塩もしくはクエン酸塩、例えばアバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アセチルデナフィル、チオメチソシルデナフィル等として使用することができる。薬学的作用物質の塩形態について、「組成物の重量で」は、薬学的作用物質の塩形態全体、例えば、作用物質自体、およびナトリウム、カリウム等の任意の対イオンを含む。薬学的作用物質の量は、例えば、当業者に公知であるHPLCまたはHPLC/MS等の技術を使用して、組成物中で決定され得る。
【0036】
多くの5型ホスホジエステラーゼ阻害剤は、市販のものを容易に入手することができる。ある場合には、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤は、例えばタダラフィルのラセミ混合物(例えば、(R,R)-タダラフィル、(R,S)-タダラフィル、(S,R)-タダラフィルおよび(S,S)-タダラフィル)として得ることができる。しかし、他の場合には、鏡像異性体の一方は、他方を超える量で存在することができる。例えば、組成物中の5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%が、鏡像異性体の一方として存在することができる。ラセミ体の5型ホスホジエステラーゼ阻害剤を調製または分離するための技術は、公知である。例えば、Gaoら、「Chiral Separation of Two Pairs of Enantiomers of Tadalafil by High-Performance Liquid Chromatography」、J. Chromatogr. Sci.、45巻:540~543頁、2007年を参照。
【0037】
組成物は、いくつかの実施形態において、一酸化窒素供与体、例えば、L-アルギニンおよび/またはL-アルギニン塩酸塩も含み得る。いくつかの事例において、そのような一酸化窒素供与体を使用して、組成物が塗布される部位の限局性血流を増大させることができ、これにより、薬学的作用物質の送達を強化することができる。一酸化窒素供与体は、組成物内に任意の適した濃度で存在し得る。例えば、いくつかの事例において、一酸化窒素供与体は、組成物の重量で少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約7.5%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、または少なくとも約10%の濃度で存在する。いくつかの事例において、1つまたは複数の一酸化窒素供与体(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10等の一酸化窒素供与体)が使用され得る。いくつかの事例において、組成物内に3、5、7または10以下の一酸化窒素供与体が存在し得る。
【0038】
「一酸化窒素供与体」は、本明細書において使用される場合、直接的にまたは間接的に、例えば生物学的プロセスを経由して、一酸化窒素を放出し、かつ/または一酸化窒素部分を別の分子へ化学的に移すことができる化合物である。一酸化窒素供与体は、一酸化窒素を、皮膚、ならびに/または皮膚表面にごく近接する筋肉および/もしくは循環系の要素等の組織へ放出することができる。一酸化窒素供与体の非限定的例は、アルギニン(例えば、L-アルギニンおよび/またはD-アルギニン)、アルギニン誘導体(例えば、L-アルギニン塩酸塩および/またはD-アルギニン塩酸塩)、ニトログリセリン、多糖結合一酸化窒素-求核試薬付加体、N-ニトロソ-N-置換ヒドロキシルアミン、1,3-(ニトロオキシメチル)フェニル-2-ヒドロキシベンゾエート等、ならびに/またはこれらおよび/もしくは他の化合物の任意の組合せを含む。
【0039】
L-アルギニンおよびL-アルギニン塩酸塩以外にも、一酸化窒素供与体の他の非限定的例は、D,L-アルギニン、D-アルギニン、または、L-アルギニンおよび/もしくはD-アルギニンのアルキル(例えば、エチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル等)エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等)および/またはそれらの塩、ならびにアルギニンおよび他の一酸化窒素供与体の他の誘導体を含む。例えば、薬学的に許容される塩の非限定的例は、塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、またはグリコール酸塩(例えば、L-グルタミン酸アルギニン、L-酪酸アルギニン、L-グリコール酸アルギニン、D-アルギニン塩酸塩、D-グルタミン酸アルギニン等をもたらす)を含む。一酸化窒素供与体のさらに他の例は、L-ホモアルギニン、N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロシル化L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、ニトロシル化N-ヒドロキシ-L-アルギニン、シトルリン、オルニチン、リンシドミン、ニプリド(nipride)、グルタミン等であるがこれらに限定されないL-アルギニンベースの化合物およびそれらの塩(例えば、塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、グリコール酸塩等)、ならびに/またはこれらおよび/もしくは他の化合物の任意の組合せを含む。一酸化窒素供与体のさらに他の非限定的例は、S-ニトロソチオール、ニトリット(nitrite)、2-ヒドロキシ-2-ニトロソヒドラジン、または種々の形態の一酸化窒素シンターゼの基質を含む。いくつかの事例において、一酸化窒素供与体は、一酸化窒素の内因性産生をインビボで刺激する化合物であってよい。そのような化合物の例は、L-アルギニン、種々の形態の一酸化窒素シンターゼの基質、ある特定のサイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレティキュリン、ビサコジル、フェノールフタレイン、OH-アルギニンもしくはエンドセリン(endothelein)、ならびに/またはこれらおよび/もしくは他の化合物の任意の組合せを含むがこれらに限定されない。
【0040】
したがって、L-アルギニンおよび/またはL-アルギニン塩酸塩について記述する、本明細書において記述されている実施形態のいずれかにおいて、他の一酸化窒素供与体を代わりに、または本発明の他の実施形態におけるL-アルギニンおよび/もしくはL-アルギニン塩酸塩と組み合わせて使用してもよいことを理解すべきである。
【0041】
いくつかの事例において、組成物内の一酸化窒素供与体の濃度は、ある特定の場合において、少なくとも約3時間、少なくとも約5時間、または少なくとも約8時間以上の有効な処置の持続時間を有するように合わせることができる。持続時間は、例えば、一酸化窒素供与体と併せて使用される浸透剤の濃度を制御することによって制御することもできる。浸透剤については、本明細書において詳細に論じられている。特定の用途のための実際の濃度は、当業者により日常実験を超えるものを使用せずに、例えば、死体皮膚または適した動物モデル、植皮、合成モデル膜、ヒトモデル等にわたるインビトロでの濃度の関数として、一酸化窒素供与体の輸送量を測定することによって決定され得る。
【0042】
特定の非限定的例として、ある特定の実施形態において、一酸化窒素は、L-アルギニン、例えば、少なくとも約0.5重量%(wt%またはw/v)の濃度のL-アルギニンを(場合により、本明細書において論じられている1つまたは複数の浸透剤、例えば、適さない生物物理学的環境を作り出すことができる浸透剤とともに)使用して、少なくとも
【0043】
いかなる理論にも拘束されることは望まないが、概して、皮膚全体にわたる薬学的作用物質の流動は、組織内で増大するにつれて、減速し得ると考えられている。フィックの拡散の第一法則は、内側の濃度がその外側と実質的に等しくなったときに、受動的流動が停止することを示唆するものである。増加した局部的な血流は、薬学的作用物質の流動の停止を防止する、または少なくとも減少させることができる。故に、組成物が皮膚に塗布されると、薬学的作用物質は流動によって分散し、組織内で濃度を増大しないため、薬学的作用物質は、より容易にビヒクルから出て組織に入る。したがって、特定の実施形態では、薬学的作用物質は、皮膚に、例えばアバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アセチルデナフィルもしくはチオメチソシルデナフィルなどの、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤および/または5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩もしくは誘導体を導入することができる。したがって、組成物は、局部的にかつ/または全身的に送達され得、最初、送達のほとんどが初めは局部的(すなわち、皮膚を経由して)であるが、いくつかの事例において、薬学的作用物質は、例えば、血液供給への到達時に、全身的に分布されることもある。
【0044】
組成物は、いくつかの実施形態において、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤に適さない生物物理学的環境も含み得る。適さない生物物理学的環境において、薬学的作用物質(例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤など)の周囲の環境は、皮膚(例えば、適さない生物物理学的環境内の薬学的作用物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーは、皮膚内の薬学的作用物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーよりも大幅に大きく、故に皮膚への輸送にエネルギー的に有利に働く)、とりわけ角質層と比べて、薬学的作用物質が化学的にかつ/またはエネルギー的に好ましくない環境にあるようなものであってよい。
【0045】
そのような組成物の例は、参照により本明細書に組み込まれる、2005年4月19日に出願され、「Transdermal Delivery of Beneficial Substances Effected by a Hostile Biophysical Environment」と題された、E. Fosselによる、2005年11月3日にWO2005/102282として公開された、国際特許出願第PCT/US2005/013228号において論じられている。適さない生物物理学的環境のための他の技術については、本明細書において詳細に論じられている。したがって、本発明のある特定の実施形態は、概して、一酸化窒素供与体、適さない生物物理学的環境、ならびに、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤、または5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の塩もしくは誘導体等の薬学的作用物質を含む、被験体の皮膚への局所送達のための組成物を対象とする。
【0046】
本発明の適さない生物物理学的環境は、種々の実施形態において、高イオン強度、尿素、糖または炭水化物等の高濃度の浸透圧剤、高pH環境(例えば、約7より大きい、約8より大きい、約9より大きい、約10より大きい、約11より大きい、約12より大きい、または約13より大きい)、低pH環境(約5未満、約4未満、約3未満または約2未満)、高度に疎水性の成分、または高度に親水性の成分、または薬学的作用物質の化学ポテンシャルおよび/もしくは自由エネルギーにおける増加を引き起こす他の物質、あるいはこれらおよび/または他の化合物の2つ以上の任意の組合せを含み得る。疎水性成分は、いくつかの実施形態において、少なくとも約100、少なくとも約1000、少なくとも約104、少なくとも約105以上のオクタノール-水分配係数をいくつかの事例において有し得る。同様に、親水性成分は、約0.01未満、約10-3未満、約10-4未満、または約10-5未満のオクタノール-水分配係数をいくつかの事例において有し得る。
【0047】
いくつかの事例において、組成物は、生物物理学的な適さない環境を定義する。他の事例において、薬学的作用物質は、該作用物質が組織の中に運び入れられる、かつ/またはその電荷が誘導体化によっておよび/もしくは中性塩を形成することによって中和されるような手法で包装され得る。生物物理学的に適さない環境の例は、高イオン強度環境(例えば、尿素、糖、炭水化物、および/または塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化コリン、フッ化ナトリウム、臭化リチウム等のイオン性塩等の添加によって)、ならびに例えば高イオン強度(例えば、約0.25Mより大きい、約1Mより大きい、約2Mより大きい、約3Mより大きい、約5Mより大きい、約10Mより大きい、約15Mより大きい、約20Mより大きい、約25Mより大きい等、またはいくつかの事例において、約0.25Mから約15Mの間、約5Mから約15Mの間、約10Mから約15Mの間等)のこれらおよび/または他の作用物質の組合せ;高または低pH環境(例えば、pHが約3から約7の間、約3から約6の間、約3から約5の間、約4から8の間、約5から約8の間、約5から8.5の間、約7から約11の間、約8から約11の間、約9から約11の間等であるような薬学的に許容される酸または塩基を添加することによって);あるいは高度に疎水性の環境(例えば、環境の水分含有量を減少させ、脂質、油および/またはロウ含有量を増加させることによって)を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、イオン強度は、血液の生理的イオン強度よりも2倍大きい任意の量である。組成物のイオン強度は、ある特定の実施形態において、組成物中に存在する塩の1つまたは複数の量または濃度を制御することによって、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化コリン等、および/または他の塩の量を制御することによって容易に制御され得る。
【0048】
適さない生物物理学的環境を作り出すために、ある特定の実施形態において、ポリリシン、ポリグルタミン、ポリアスパルテート等の他の高電荷分子、またはそのような高電荷アミノ酸のコポリマーも使用され得る。組織の中に運び入れられる送達ビヒクルの非限定的例は、コラーゲンのリポソームもしくはエマルション、コラーゲンペプチド、または皮膚もしくは基底膜の他の成分を含む。電荷の中和の非限定的例は、電子的に中性である形態またはエステルもしくは塩での薬学的作用物質の送達を含む。いくつかの実施形態において、適さない生物物理学的環境は、これらの条件の任意の2つ以上を含み得る。例えば、適さない生物物理学的環境は、高イオン強度および高pHまたは低pH、高度に疎水性の環境および高pHまたは低pH、リポソームを含む高度に疎水性の環境等を含み得る。
【0049】
適さない生物物理学的環境は、いくつかの実施形態において、比較的高電荷の薬学的作用物質を、水をほとんどまたは全く含有しない油ベースのクリームまたはローション中等、疎水性の油性環境に入れることによって作り出すこともできる。吸収は、本明細書においてさらに記述されている通り、適さない生物物理学的環境の使用と浸透剤の使用とを組み合わせることによってさらに補助され得る。
【0050】
1セットの実施形態において、組成物はエマルションとして存在し得る。当業者に公知の通り、エマルションは、典型的には、第二の流体相(例えば、連続相)の中に含有された第一の相(例えば、不連続相)を含む。薬学的作用物質(例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤)は、いずれかまたは両方の相に存在し得る。加えて、本明細書において記述されているもの等の他の材料が、薬学的作用物質として同じ相内に存在し得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、エマルションは、適さない生物物理学的環境中に関心対象の薬物(または他の薬学的作用物質)を、ならびに場合により、安定化ポリマー、プロピレングリコールおよび/またはポリソルベート界面活性剤の1つまたは複数を含有するように調製され得る。エマルションは、いくつかの実施形態において、一酸化窒素供与体、例えば、L-アルギニンおよび/またはL-アルギニン塩酸塩も含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明の種々の態様は、局所送達用の薬物製剤を調製および/または製造するための方法および組成物に関する。1セットの実施形態において、本発明は、概して、局所塗布のための本明細書において記述されている1つまたは複数の薬物または他の薬学的作用物質を含有するエマルションを対象とする。いくつかの実施形態において、本発明のある特定の態様は、適さない生物物理学的環境中に1つまたは複数の薬物(または他の薬学的作用物質)を含有するエマルションを調製するために有用である。いくつかの実施形態において、適さない生物物理学的環境は、本明細書において記述されている通り、例えば、高塩濃度(例えば、高濃度の1つまたは複数の塩)である。
【0053】
いくつかの実施形態において、エマルションは、第一の水性調製物(例えば、水相)を第二の非水性調製物(例えば、油または脂質相)と混合することによって調製される。水溶性である薬物または他の薬学的作用物質は、第一の水性調製物に(例えば、第二の非水性調製物と混合する前に)添加され得る。不水溶性(または比較的不水溶性)である薬物または他の薬学的作用物質は、第二の非水性調製物に(例えば、第一の水性調製物と混合する前に)添加され得る。部分的に水溶性である薬物または他の薬学的作用物質は、1つの相に添加され得る、または混合する前に2つの相に分割され得る。2つの相への分割は、添加されている薬物(または他の薬学的作用物質)の量、第一および第二の調製物の組成(例えば、他の化学物質または作用物質の性質および量)、pH、温度、他の物理的もしくは化学的要因、ならびに/またはそれらの組合せによって決まることになる。例えば、関心対象の薬物が、水性(例えば、水またはバッファー)相には1%レベルで可溶性であるが、エマルション中に2%レベルの薬物が必要とされるのであれば、薬物を1%レベルで非水性(例えば、脂質)相に添加してもよい。いくつかの実施形態において、水性相への可溶性が1%未満である薬物が、混合する前に非水性相中に提供される。しかしながら、他の百分率および/または2つの相への分割を使用してよいことを理解すべきである。
【0054】
いくつかの実施形態において、第一および第二の調製物の一方または両方のpHは、使用されている薬物の溶解度を最適化するように調整される。いくつかの実施形態において、高塩濃度が使用される。高塩濃度がエマルションを分解するのを防止するために、1つまたは複数の乳化剤がいくつかの事例において使用され得る。いくつかの実施形態において、混合時間は、適切な混合および/またはエマルション形成を促進するように調整され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、第一および/または第二の調製物の温度は、溶解度、混合および/またはエマルション形成を促進するために制御され得る。いくつかの実施形態において、一方もしくは両方の調製物のおよび/または混合の温度は、25℃以上(例えば、30℃以上、40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、または80℃以上)に設定され得る。例えば、温度は、30℃から90℃の間、40℃から80℃の間、50℃前後、60℃前後、または70℃前後であってよい。
【0056】
本発明の方法および組成物は、任意の適した薬物または薬学的作用物質とともに使用され得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態において、例えば、経口薬物は、本明細書において記述されている1つまたは複数の組成物または方法を使用して、局所送達のために製剤化され得る。局所製剤は、薬物が経口投与される際に、有効性のために必要とされる全身レベルに関連する無用な副作用を引き起こすことなく、局部的に有効な量の薬物(または他の薬学的作用物質)を被験体(例えば、ヒト)に送達するために有用となり得る。したがって、局所製剤は、所望の効果(例えば、治療効果)を引き起こすのに十分であるが、経口で提供されたならば被験体(例えば、ヒト)に投与されるであろう薬物の総量よりも低い量の薬物を送達するために有用となり得る。
【0057】
本発明のエマルションは、本発明のある特定の実施形態において、任意の適した形式を使用して(例えば、管、ポンプ作動式容器、または任意の他の適した形態で)包装され得る。例えば、いくつかの実施形態において、エマルションは、パッチまたは包帯の表面に添加され得る。エマルションは、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアゾール等として被験体の皮膚に塗布されてもよい。
【0058】
本明細書において論じられているもののいずれか等の方法および組成物を使用して、無菌である、または低い微生物含有量を有する組成物を、いくつかの実施形態において調製することができる。
【0059】
本発明のいくつかの態様において、本発明の組成物は、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアゾールまたは経皮パッチ等の送達ビヒクルを使用して被験体に投与される。1セットの実施形態において、本発明の組成物は、被験体の皮膚に塗布するか、または被験体の皮膚に適用される包帯もしくはパッチに含浸させてよい。いくつかの実施形態において、パッチは、本明細書において記述されているクリームまたはエマルションで覆われた、またはそれらに含浸させた任意の適した材料で作製された皮膚接触部を有し、ここで、該皮膚接触部は、裏当てによって支持されていてよく、その一方または両方は、接着切片、または被験体の皮膚表面に付着するための他の形状を有し得る。「被験体」は、本明細書において使用される場合、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。被験体の例は、イヌ、ネコ、ウマ、ロバ、ウサギ、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラット(例えば、Rattus Norvegicus)、マウス(例えば、Mus musculus)、モルモット、ハムスター、霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ヒヒ、類人猿、ゴリラ等)等の哺乳動物を含むがこれらに限定されない。そのような送達ビヒクルは、ヒト被験体等の被験体の皮膚に塗布され得る。送達ビヒクルの例については、本明細書において論じられている。送達ビヒクルは、直接的にまたは間接的に、有効濃度の一酸化窒素供与体および/または薬学的作用物質の皮膚への移行を促進し得る。例えば、送達ビヒクルは、本明細書においてさらに記述されている通り、1つまたは複数の浸透剤を含み得る。当業者であれば、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアゾール、または経皮パッチ等の送達ビヒクル内に一酸化窒素供与体および/または薬学的作用物質を組み込むためのシステムおよび技術について知っているであろう。いくつかの事例において、送達ビヒクル中の一酸化窒素供与体および/または薬学的作用物質の濃度は、より大きい量もしくは濃度の浸透剤の含有により低減されてよく、または有益な効果を延ばすために増加されてよい。1セットの実施形態において、一酸化窒素供与体および/または薬学的作用物質は、テオフィリン等の付加物と(例えば、10重量/体積%(10% weight by volume)で)併せて使用され得る。
【0060】
他の材料、例えば、バッファー、保存剤、界面活性剤等が送達ビヒクル内に存在し得る。例えば、クリームは、水、鉱油、グリセリルステレエート(stereate)、スクアレン、ステアリン酸プロピレングリコール、小麦胚種油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル(steryl)、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ステアリン酸ソルビタン、ビタミンAおよびD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PND、ならびに/またはBHAの1つまたは複数を含み得る。
【0061】
具体的な非限定的例として、クリームは、(w/v):水(20~80%)、ホワイトオイル(3~18%)、ステアリン酸グリセリル(0.25~12%)、スクアレン(0.25~12%)、セチルアルコール(0.1~11%)、ステアリン酸プロピレングリコール(0.1~11%)、小麦胚種油(0.1~6%)、ポリソルベート60(0.1~5%)、プロピレングリコール(0.05~5%)、コラーゲン(0.05~5%)、ステアリン酸ソルビタン(0.05~5%)、ビタミンA(0.02~4%)、ビタミンD(0.02~4%)、ビタミンE(0.02~4%)、トリエタノールアミン(0.01~4%)、メチルパラベン(0.01~4%)、アロエベラ抽出物(0.01~4%)、イミダゾリジニル尿素(0.01~4%)、プロピルパラベン(0.01~4%)、BHA(0.01~4%)、L-アルギニン塩酸塩(0.25~25%)、塩化ナトリウム(0.25~25%)、塩化マグネシウム(0.25~25%)、および/または塩化コリン(0.25~25%)の1つまたは複数を有し得る。各化合物の百分率は、変動し得(または化合物はいくつかの事例において存在しないことがあり)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%等である。
【0062】
別の実施形態において、クリームは、薬学的作用物質(例えば、本明細書に記載されるもののような5型ホスホジエステラーゼ阻害剤)、ならびに下記:水(例えば、20~80%)、L-アルギニン塩酸塩(例えば、0~25%)、塩化ナトリウム(例えば、0~25%)、塩化カリウム(例えば、0~25%)、ステアリン酸グリセリル(glyeryl steareate)(例えば、0~15%)、セチルアルコール(例えば、0~15%)、スクアレン(例えば、0~15%)、ミリスチン酸(mysterate)イソプロピル(例えば、0~15%)、オレイン酸(例えば、0~15%)、ツイン20(Tween 20)(例えば、0~10%)および/またはブタンジオール(例えば、0~10%)の1つまたは複数を任意の適した量で含み得る。各化合物の百分率は、変動し得(または化合物はいくつかの事例において存在しないことがあり)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%等である。
【0063】
いくつかの実施形態において、クリームは、薬学的作用物質、および1つまたは複数のイオン性塩を、少なくとも薬学的作用物質に対して適さない生物物理学的環境を生成するのに十分な濃度で含み得る。例えば、クリームは、(w/v):電荷および/または水素結合実体(0.001~30%)、塩化コリン(1~30%)、塩化ナトリウム(2~30%)、および/または塩化マグネシウム(1~20%w/v)の1つまたは複数を含み得る。別の例において、クリームは、(w/v):L-アルギニン塩酸塩(2.5~25%)、塩化コリン(10~30%)、塩化ナトリウム(5~20%)、および/または塩化マグネシウム(5~20%)の1つまたは複数を含み得る。さらに別の例において、クリームは、(w/v):クレアチン(0.001~30%)、イノシン(0.001~30%)、塩化コリン(1~30%)、塩化ナトリウム(2~30%)、塩化マグネシウム(1~20%)、L-アルギニン(0.1~25%)、および/またはテオフィリン(0.1~20%)の1つまたは複数を含み得る。いくつかの事例において、クリームは、L-アルギニン塩酸塩(0~12.5%w/v)および/またはテオフィリン(0~10%w/v)も含有し得る。各化合物の百分率は、変動し得(または化合物はいくつかの事例において存在しないことがあり)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%等である。これらの例において、塩化コリン、塩化ナトリウムおよび/または塩化マグネシウムを使用して、高イオン強度環境を提供することができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、組成物は、該組成物内の他の分子の酸化を低減させるまたは阻害することができる酸化防止剤を含み得る。適した酸化防止剤の例は、グルタチオン、ビタミンCおよびビタミンE、ならびにカタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼおよび種々のペルオキシダーゼ等の酵素を含むがこれらに限定されない。酸化防止剤は、任意の適した濃度で存在し得る。例えば、酸化防止剤は、組成物の重量で少なくとも約0.1%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.7%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、または少なくとも約5%の濃度で存在し得る。ある特定の実施形態において、薬学的作用物質は、組成物の重量で約0.2%以下、約0.5%以下、約1%以下、約2%以下、約3%以下、約4%以下、または約5%以下の濃度で存在し得る。
【0065】
別のセットの実施形態は、概して、比較的高い温度安定性を有する組成物を対象とする。例えば、組成物は、少なくとも約1日にわたって、少なくとも40℃(少なくとも約104°F)等の高温で安定となり得る。いくつかの実施形態において、例えば、本発明の組成物は、安定化ポリマー、プロピレングリコールおよびポリソルベート界面活性剤をさらに含み得る。安定化ポリマーの非限定的例は、キサンタンガム、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDを含み、ポリソルベート界面活性剤の例はポリソルベート20である。追加例が本明細書において論じられている。
【0066】
高温安定性を作り出すための成分のそのような組合せは、これらの成分のいずれか2つ(但し第三を除く)に関わる組成物がそのような高温安定化特性を欠いていることが判明したため、驚くべきことである。これらの成分が任意の有意な化学反応において互いに関わり合っていることは知られておらず、かつ、成分の1つが除去される際に高温安定性が大きく低減されるため、本明細書において論じられている組成物の比較的高い温度安定性を推進するのになぜこの成分の組合せが著しく有効であるのかは、現在のところ知られていない。加えて、プロピレングリコールが医薬組成物中で安定剤として働くことは知られていない。
【0067】
例えば、1セットの実施形態において、組成物は、比較的長期間にわたって、例えば、少なくとも1時間、少なくとも約2時間、少なくとも1日、少なくとも約1週間、少なくとも約4週間等にわたって組成物が相分離を呈するかを決定することによって、高温安定性を有するものであることが決定され得る。例えば、いくつかの実施形態において、組成物を周囲温度および圧力に少なくとも1時間暴露し、次いで組成物を分析して、組成物が相分離または相の変化を呈するかを決定する。安定な化合物は相分離を呈しないものであるのに対し、不安定な化合物は相分離を呈し得る。そのような安定性は、例えば、組成物の貯蔵、組成物の輸送、保存可能期間等のために有用である。
【0068】
本明細書において使用される場合、「安定化ポリマー」は、キサンタンガム、キサンタンガム誘導体、および/またはキサンタンガム同等物、例えば、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RD、KELZAN(登録商標)XC、KELZAN(登録商標)XCD、KELZAN(登録商標)D、KELZAN(登録商標)CC、XANTURAL(登録商標)180、XANTURAL(登録商標)75等を含むポリマーであり、これらはいずれも、種々の供給業者から市販のものを入手することができる。いくつかの実施形態において、これらおよび/または他のポリマーの組合せも可能である。いくつかの事例において、安定化ポリマーは、少なくとも概してヒトへの使用に安全とみなされるものとなるように選定される。加えて、ある特定の実施形態において、安定化ポリマーは合成的に生成され、かつ/またはある程度まで精製されたものである。安定化ポリマーは、任意の適した、例えば、少なくとも約100万、少なくとも約200万、少なくとも約500万、少なくとも約1000万、少なくとも約2500万、または少なくとも約5000万の分子量を有し得る。
【0069】
安定化ポリマーは、組成物内に任意の適した濃度で存在し得る。例えば、安定化ポリマーは、組成物の重量で少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、または少なくとも約1%の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、安定化ポリマーは、組成物の重量で約0.1%以下、約0.2%以下、約0.4%以下、約0.6%以下、約0.8%以下、約1%以下、約2%以下、約3%以下、約4%以下、約5%以下、約7%以下、約10%以下、約12%以下、約15%以下、または約20%以下の濃度で存在し得る。いくつかの事例において、1つを超える安定化ポリマーが存在し得、各安定化ポリマーは、任意の適した量で存在し得る。具体例として、ある特定の実施形態において、安定化ポリマーは、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDから本質的になる。ある特定の場合において、安定化ポリマーは、KELTROL(登録商標)BTおよび/またはKELTROL(登録商標)RDの固定比率、例えば、重量で1:1または3:5を有し得る。別の例において、KELTROL(登録商標)BTは約0.3重量%の濃度で存在し得、かつKELTROL(登録商標)RDは組成物の0.5重量%の濃度で存在し得る、またはこれらの一方もしくは両方は、上述した他の濃度の1つで存在し得る。これらおよび/または他の安定化ポリマー、例えば、KELTROL(登録商標)BTおよびキサンタンガム、KELTROL(登録商標)RDおよびキサンタンガム等の組合せも、他の実施形態において企図される。いくつかの事例において、安定化ポリマーの代わりにまたはそれと併せて、増粘剤が使用され得る。多くの増粘剤は、市販のものを入手することができる。増粘剤は、食品業界において使用されているものを含むか、または、GRAS剤(概して安全とみなされる)、例えば、アルギニン(alginin)、グァーガム、ローカストビーンガム、コラーゲン、卵白、ファーセレラン、ゼラチン、寒天および/またはカラギーナン、ならびにこれらおよび/または他の安定化ポリマーの組合せである。故に、本明細書で、他の実施形態における安定化ポリマーへの言及は、安定化ポリマーと併せてまたはそれの代わりに増粘剤も含むと理解すべきであることを理解すべきである。
【0070】
プロピレングリコールは市販のものを入手することができ、任意の立体異性体または異性体のラセミ混合物として存在し得る。プロピレングリコールはまた、任意の適した濃度で存在し得る。例えば、プロピレングリコールは、組成物の重量で少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、または少なくとも約10%の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、プロピレングリコールは、組成物の重量で約2%以下、約4%以下、約6%以下、約8%以下、約10%以下、約12%以下、約15%以下、約20%以下、または約25%以下の濃度で存在し得る。いくつかの事例において、プロピレングリコールと併せてまたはその代わりに、ブチレングリコール等の他のグリコールが使用され得る。したがって、このように、本明細書で、他の実施形態におけるプロピレングリコールへの言及は、プロピレングリコールと併せてまたはそれの代わりに他のグリコール(例えば、本明細書において記述されている通りの低分子量グリコールまたはポリグリコール)も含むと理解すべきであることを理解すべきである。
【0071】
加えて、ポリソルベート界面活性剤も、組成物内に任意の適した濃度で存在し得る。例えば、いくつかの事例において、ポリソルベート界面活性剤は、組成物の重量で少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、または少なくとも約10%の濃度で存在し得る。ある特定の実施形態において、ポリソルベート(polylsorbate)界面活性剤は、組成物の重量で約2%以下、約4%以下、約6%以下、約8%以下、約10%以下、約12%以下、約15%以下、約20%以下、または約25%以下の濃度で存在し得る。「ポリソルベート界面活性剤」は、本明細書において使用される場合、ポリソルベートを含む界面活性剤である。例えば、界面活性剤は、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、または別のソルビタン塩を含み得る。いくつかの事例において、ポリソルベート界面活性剤は、分子式:
【0072】
【化3】
[式中、w、x、yおよびzは、任意の適した正の整数である]を有する。w、x、yおよびzは、それぞれ独立に、同じであっても異なっていてもよい。1セットの実施形態において、w+x+y+zは20である(例えば、ポリソルベート20のように)。いくつかの事例において、ポリソルベート界面活性剤の代わりにまたはそれと併せて、他のポリマー糖が使用され得る。故に、本明細書で、ポリソルベート界面活性剤への言及は一例にすぎず、他の実施形態において、ポリソルベート界面活性剤への言及は、ポリソルベート界面活性剤と併せてまたはその代わりに他のポリマー糖を含み得ると理解すべきであることを理解すべきである。
【0073】
いくつかの事例において、組成物は、安定化ポリマー対プロピレングリコール対ポリソルベート界面活性剤の固定比率を有し得る。例えば、これらの比率は、約1:1:1、約1:6:3、約1:6:2、約1:7:2、約1:7:3、約1.5:1:1、約1.5:6:3、約1.5:6:4、約1:6:2.5、約1:6.25:2.5、約1:6.25:2.5等であってよい。前述の通り、そのような比率は、本発明のある特定の実施形態において、組成物に温度安定性を提供するのに有用となり得る。
【0074】
本発明のある特定の態様において、薬学的作用物質を、浸透剤、すなわち、浸透剤が存在しない輸送と比べて皮膚への薬学的作用物質の輸送を増加させる作用物質と組み合わせてよい。いくつかの実施形態において、浸透剤は、適さない生物物理学的環境を定義し得、かつ/またはそれと組み合わせてよい。浸透剤の例は、オレオレジンカプシカムもしくはその構成要素、または炭化水素鎖が結合している複素環式環を含有するある特定の分子を含む。
【0075】
浸透剤の非限定的例は、カチオン性、アニオン性もしくは非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー(polyoxamers)等);脂肪酸およびアルコール(例えば、エタノール、オレイン酸、ラウリン酸、リポソーム等);抗コリン剤(例えば、臭化ベンジロニウム、臭化オキシフェノニウム);アルカノン(例えば、n-ヘプタン);アミド(例えば、尿素、N,N-ジメチル-m-トルアミド);脂肪酸エステル(例えば、n-ブチレート);有機酸(例えば、クエン酸);ポリオール(例えば、エチレングリコール、グリセロール);スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド);テルペン(例えば、シクロヘキセン);尿素;糖;炭水化物または他の作用物質を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、浸透剤は、例えば本明細書において記述されている通りの塩を含む。
【0076】
故に、本発明の別の態様は、体内への薬学的作用物質(例えば、薬物、生体化合物等)の送達を提供し、そのような処置は全身性であっても限局性であってもよく、例えば、具体的な用途に応じて、頭部、1つまたは複数の特異的な筋肉、腕、脚、生殖器等、被験体の体の特異的な場所を対象としてよい。
【0077】
1セットの実施形態において、医学的状態または疾患、およびそれらに関連する症状の処置を補助するために、薬学的作用物質が導入される。いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的作用物質を使用する医学的状態または疾患および/または病気の処置を提供し(例えば、医学的状態または疾患と診断された被験体を処置するために)、いくつかの事例において、本発明は、副作用を限定しながら有効レベルの医薬を影響を受けた箇所に局所的に提供するための、最少量の薬学的作用物質の送達を提供する。いくつかの事例において、薬学的作用物質の有効な投薬量は、経口摂取される場合の薬学的作用物質の有効な投薬量よりも低くなり得る。本発明の他の実施形態は、勃起不全を処置するための方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、組成物は、体の特異的な場所に、例えば陰茎に局所的に塗布され得る。また、ある特定の事例において、本明細書において記述されている通りの組成物は、勃起不全、または本明細書において論じられている通りの他の疾患もしくは状態の処置用薬剤の調製においても使用され得る。
【0078】
別の態様において、本発明は、本明細書において論じられている組成物の1つまたは複数を含むキットを対象とする。「キット」は、本明細書において使用される場合、典型的には、本発明の組成物、および/または、例えば本明細書において記述されている通りの、本発明に関連する他の組成物の1つまたは複数を含む包装または構築物を定義する。キットの組成物のそれぞれは、液体形態(例えば、溶液中)で、または固体形態(例えば、乾燥粉末)で提供され得る。ある特定の事例において、組成物のいくつかは、例えば、キットを備えていても備えていなくてもよい適した溶媒または他の種の添加によって、(例えば、活性形態に)構成可能または別様に加工可能となり得る。本発明に関連する他の組成物または成分の例は、例えば特定の使用のための、例えば試料および/または被験体への組成物成分を、使用し、投与し、改変し、構築し、貯蔵し、包装し、調製し、混合し、希釈し、かつ/または保存するための、溶媒、界面活性剤、賦形剤、塩、バッファー、乳化剤、キレート剤、充填剤、酸化防止剤、結合剤、増量剤、保存剤、乾燥剤、抗菌剤、針、シリンジ、包装材料、管、ボトル、フラスコ、ビーカー、シャーレ、フリット、フィルター、リング、クランプ、ラップ、パッチ、容器等を含むがこれらに限定されない。
【0079】
本発明のキットは、いくつかの事例において、本発明の組成物と関係して提供される任意の形態の説明書を、該説明書が本発明の組成物に関連していることを当業者であれば認識するであろうような様式で含み得る。例えば、説明書は、該組成物および/またはキットに関連する他の組成物の、使用、改変、混合、希釈、保存、投与、構築、貯蔵、包装および/または調製のための説明書を含み得る。いくつかの事例において、説明書は、例えば特定の使用のための、例えば試料および/または被験体への組成物の送達および/または投与のための説明書も含み得る。説明書は、そのような説明書を含有する適したビヒクルとして当業者によって認識可能な任意の形態で、例えば、任意の様式で提供される、書面によるもしくは刊行された、口頭の、音声の(例えば、電話による)、デジタルの、光学的な、視覚的な(例えば、ビデオテープ、DVD等)または電子通信(インターネットまたはウェブベースの通信を含む)で提供され得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書において論じられている通りの本発明の1つまたは複数の実施形態を促進する方法、例えば、上記で論じたもの等の組成物の作製または使用を促進する方法、上記で論じた通りのキットを促進する方法等を対象とする。本明細書において使用される場合、「促進される」は、本明細書において論じられている通りの本発明のシステム、デバイス、装置、物品、方法、組成物、キット等に関連する、販売、広告、譲渡、ライセンス供与、契約、指導、教育、研究、輸入、輸出、交渉、資金調達、融資、貿易、行商、再販、流通、補修、交換、付保、訴訟、特許付与等の方法を含むがこれらに限定されない、ビジネスを行うすべての方法を含む。販売促進の方法は、個人的な関係者、企業(公営または民営)、合名会社、法人、企業合同、契約または下請契約機関、単科大学および総合大学等の教育施設、研究施設、病院または他の臨床施設、行政機関等を含むがこれらに限定されない任意の関係者によって実施され得る。販売促進活動は、本発明と明確に関連する任意の形態の通信(例えば、書面による、口述、および/またはe-メール、電話による、インターネット、ウェブベース等であるがこれらに限定されない電子通信)を含み得る。
【0081】
1セットの実施形態において、販売促進の方法は、1つまたは複数の説明書を伴い得る。本明細書において使用される場合、「説明書」は、説明書の実用性の成分(例えば、指示、指針、警告、ラベル、注記、FAQつまり「よくある質問」等)を定義することができ、典型的には、本発明および/または本発明の包装についての、またはそれらに関連する書面による説明書を伴い得る。説明書は、該説明書が例えば本明細書において論じられている通りの本発明に関連していることをユーザーが明確に認識するような任意の様式で提供される、任意の形態(例えば、口述、電子、音声、デジタル、光学的、視覚的等)での説明書の通信も含み得る。
【0082】
下記の文書は、参照により本明細書に組み込まれる:1998年9月17日に出願され、「A Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された、E.T. Fosselによる、1999年3月25日にWO99/13717として公開された、国際特許出願第PCT/US98/19429号;2006年10月19日に出願され、「Transdermal Delivery of Beneficial Substances Effected by a Hostile Biophysical Environment」と題された、E.T. Fosselによる、2008年11月13日に米国特許出願公開第2008/0280984号として公開された、米国特許出願第11/587,323号;および、2006年10月19日に出願され、「Beneficial Effects of Increasing Local Blood Flow」と題された、E.T. Fosselによる、2009年4月23日に米国特許出願公開第2009/0105336号として公開された、米国特許出願第11/587,328号。
【0083】
また、2005年2月23日に出願され、「Topical Delivery of a Nitric Oxide Donor to Improve Body and Skin Appearance」と題された、E. Fosselによる、2005年9月9日にWO2005/081964として公開された、国際特許出願第PCT/US2005/005726号;2005年4月19日に出願され、「Transdermal Delivery of Beneficial Substances Effected by a Hostile Biophysical Environment」と題された、E. Fosselによる、2005年11月3日にWO2005/102282として公開された、国際特許出願第PCT/US2005/013228号;2005年4月19日に出願され、「Beneficial Effects of Increasing Local Blood Flow」と題された、E. Fosselによる、2005年11月3日にWO2005/102307として公開された、国際特許出願第PCT/US2005/013230号;1997年9月17日に出願され、「Topical Delivery of Arginine of Cause Beneficial Effects」と題された、E.T. Fosselによる、2002年4月11日に2002/0041903として公開された、米国特許出願第08/932,227号;2002年7月22日に出願され、「Topical Delivery of L-Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された、E.T. Fosselによる、2003年2月6日に2003/0028169として公開された、米国特許出願第10/201,635号;2002年8月5日に出願され、「Topical and Oral Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された、E.T. Fosselによる、2003年1月23日に2003/0018076として公開された、米国特許出願第10/213,286号;1999年4月20日に交付され、「Topical Delivery of L-Arginine to Cause Tissue Warming」と題された、E.T. Fosselによる、米国特許第5,895,658号;1999年7月13日に交付され、「Topical Delivery of Arginine to Overcome Pain」と題された、E.T. Fosselによる、米国特許第5,922,332号;2001年3月27日に交付され、「Topical and Oral Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された、E.T. Fosselによる、米国特許第6,207,713号;および、2002年10月1日に交付され、「Topical and Oral Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された、E.T. Fosselによる、米国特許第6,458,841号も参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
加えて、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるのは、2010年12月29日に出願され、「Treatment of Erectile Dysfunction and Other Indications」と題された、E.T. Fosselによる、米国仮特許出願第61/427,999号;および、2010年12月29日に出願され、「Methods and Compositions for Preparing Emulsions for Topical Drug Delivery」と題された、E.T. Fosselによる、米国仮特許出願第61/428,213号である。
【0085】
下記の実施例は、本発明のある特定の実施形態を例証することを意図するものであり、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
この机上の実験例は、シルデナフィル、タダラフィルまたはバルデナフィルを含む本発明の経皮製剤(formula)を調製する1つの方法を例証するものである。最終組成を表1に示す。当然ながら、本発明の他の実施形態によれば、以下に列挙するもの以外の百分率も可能であることを、当業者は理解するであろう。
【0087】
【表1】
この例における製剤を調製するために、塩化ナトリウム、塩化カリウム、L-アルギニンおよびシルデナフィル、タダラフィルまたはバルデナフィルを水中で混合し、次いで急速混合しながら74℃に加熱した。別個の容器内に、残った原料を一緒に混合し、74℃に加熱した。次いで、他の原料を水相に74℃で急速混合しながら添加した。次いで、混合を継続しながら混合物を室温に冷却した。この時点で、エマルションが比較的薄い粘稠度で形成された。次いで、エマルションを、高速、室温で均質化して、粘稠度を濃くした。
【0088】
(実施例2)
最初に、イブプロフェンとともに使用するための第一の水性および第二の非水性調製物について、この例において記述されている組成物は、本明細書において記述されているもの(例えば、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤)等の他の薬物または他の薬学的作用物質に使用され得、あるいは、異なる薬物または他の薬学的作用物質とともに使用するための同等物または同様の化合物(またはそれらのサブセット)を含有するように改変され得、かつ、各薬物または他の薬学的作用物質は、第一の調製物、第二の調製物、または両方において個々に提供され得ることを理解すべきである。
【0089】
イブプロフェンナトリウム塩はpH7.0で水溶性であり、水相に添加される。任意の適したイブプロフェン塩が使用され得る。例えば、市販のイブプロフェン塩が使用され得る。いくつかの実施形態において、イブプロフェン調製物は、下記の相対組成(表2)を有するように製造される。
【0090】
【表2】
基本的な製造プロセスは、水相および油相を高温で急速混合しながら混合することによってエマルションを形成することである。2つの相が混合されたら、混合物を室温に冷却する。冷却を遂行しながら、垂直コロイドミルでホモミキシングを遂行する。例えば、1セットの実施形態において、下記の製造ステップが使用され得る。
【0091】
ステップ1:キサンタンガムをプロピレングリコールおよび水に分散させ、混合して完全に水和させる。
【0092】
ステップ2:上記の混合物にイブプロフェンおよび水酸化ナトリウムを添加してナトリウムイブプロフェンを生成し、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよびL-アルギニンHClを添加する。この混合物を75℃から80℃に加熱する。
【0093】
ステップ3:ステアリン酸グリセリルSE、セチルアルコール、スクアラン、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸およびポリソルベート-20を添加し、この混合物を75℃から80℃に加熱する。
【0094】
ステップ4:ステップ2およびステップ3において生成された混合物を合わせ、温度を維持しながらよく混合する。
【0095】
ステップ5:垂直コロイドミルを経由して循環させながら、ステップ4の混合物を25℃から30℃に冷却する。
【0096】
得られた滑らかなエマルションは、6.50から7.50のpHを有する。いくつかの事例において、調製物は、微生物含有量を最小化するための条件下で(例えば、完全に無菌、または約100CFU/g未満の微生物学的含有量で)製造され得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、経皮イブプロフェンクリームは、エアレスポンプである100mlの「マジックスターディスペンサー」内に包装される。ポンプは、ポンプヘッドの下降毎に1.45mlを分注する。
【0098】
本明細書において記述されている他の化合物のエマルションを調製するために同様の手順が使用され得る。いくつかの実施形態において、化合物は、水性相との混合前に油相に添加される。いくつかの実施形態において、化合物は、油相との混合前に水性相に添加される。
【0099】
(実施例3)
局所用シルデナフィル組成物の使用
勃起不全の66歳の男性に、10%塩化ナトリウム、5%塩化カリウムおよび2.5%塩化マグネシウムを添加した、油/水エマルション中5%シルデナフィルを含有するクリームを与えた。pHは6.5であった。性的活動を開始する15分前に、クリーム1グラムを陰茎に塗布し、それが吸収されるまで穏やかに擦り込んだ。性的活動を行う際には、完全な機能的勃起が達成され、成功に終わるまで性的活動は進行した。
【0100】
シルデナフィルに対して使用した局所組成物の処方を、以下の表3に提示する(重量%として示す)。いくつかの実施形態では、各成分の相対量は変わり得る(例えば約10%だけ)ことを理解されたい。この局所組成物は、他の阻害剤(例えば、それに限定されるものではないが、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アセチルデナフィルまたはチオメチソシルデナフィルを含む、5型ホスホジエステラーゼ阻害剤の1つまたは複数の例)に対して使用できることも理解されたい。いくつかの実施形態では、活性化合物(例えば、シルデナフィル)は、水相と混合する前に油相に添加することができる。しかし、他の化合物は、油相と混合する前に水相に添加することができる。
【0101】
【表3】
本発明の数種の実施形態を、本明細書において記述および例証してきたが、当業者であれば、機能を実施し、かつ/または結果および/もしくは本明細書において記述されている利点の1つもしくは複数を取得するための多様な他の手段および/または構造に容易に想到するであろうし、そのような変形形態および/または改変形態のそれぞれは、本発明の範囲内であると認められる。より一般的には、当業者であれば、本明細書において記述されているすべてのパラメーター、寸法、材料および構成が、例示的であるように意味付けられていること、ならびに実際のパラメーター、寸法、材料および/または構成が、本発明の教示を使用する具体的な用途(1つまたは複数)によって決まることが容易に分かるであろう。当業者であれば、日常実験を超えるものを使用することなく、本明細書において記述されている本発明の具体的な実施形態の多くの同等物を認識する、または解明することができるであろう。したがって、前述の実施形態は単なる一例として提示されていること、ならびに、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、本発明が、具体的に記述されかつ特許請求されているものとは別様に実践され得ることを理解されたい。本発明は、本明細書において記述されている、それぞれ個々の特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のそのような特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、そのような特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾するものでなければ、本発明の範囲内に含まれる。
【0102】
本明細書において定義され使用される通りのすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、および/または定義されている用語の普通の意味に優先すると理解すべきである。
【0103】
不定冠詞「a」および「an」は、本願において明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、明らかにそれに反する指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解すべきである。
【0104】
語句「および/または」は、本願において明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、そのように等位接続されている要素、すなわち、いくつかの事例においては接続的に存在し、他の事例においては離接的に存在している要素の、「いずれかまたは両方」を意味するものと理解すべきである。「および/または」を用いて列挙されている多数の要素は、同じ方式で、すなわち、そのように等位接続されている要素の「1つまたは複数」ととらえられるべきである。具体的に特定された要素と関係があるかないかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に特定されている要素以外の、他の要素が場合により存在し得る。故に、非限定的例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「を含む」等のオープンエンドな語と併せて使用される場合、一実施形態において、Aのみ(B以外の要素を場合により包含する);別の実施形態において、Bのみ(A以外の要素を場合により包含する);また別の実施形態において、AおよびBの両方(他の要素を場合により包含する);等を指すことができる。
【0105】
本願において明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、「または」は、上記で定義した通りの「および/または」と同じ意味を有するものと理解すべきである。例えば、一覧中の項目を分離する場合、「または」あるいは「および/または」は、包含的なもの、すなわち、少なくとも1であるが1つを超えるいくつもの要素または要素の一覧も包含する、ならびに場合により、付加的な列挙されていない項目の包含として解釈するものとする。「の1つのみ」または「の正確に1つ」等の明らかにそれに反する指示がある用語のみ、あるいは特許請求の範囲において使用される場合、「からなる」は、いくつもの要素または要素の一覧のうち正確に1つの要素の包含を指すことになる。概して、用語「または」は、本明細書において使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」または「の正確に1つ」等の排他性の用語が先行する際には、排他的代替(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を指示するものとして解釈するものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲中で使用される場合、特許法の分野において使用されている通りのその普通の意味を有するものとする。
【0106】
本願において明細書中および特許請求の範囲中で使用される場合、1つまたは複数の要素の一覧への言及における語句「少なくとも1つ」は、要素の一覧中の要素の任意の1つまたは複数から選択されるが、要素の一覧内に具体的に列挙されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも包含せず、かつ、要素の一覧中の要素の任意の組合せを排除しない、少なくとも1つの要素を意味するものと理解すべきである。この定義は、具体的に特定された要素と関係があるかないかにかかわらず、語句「少なくとも1つ」が指す要素の一覧内に、具体的に特定された要素以外の要素が場合により存在し得ることも可能にする。故に、非限定的例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(あるいは同等に「AまたはBの少なくとも1つ」あるいは同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、1つを超えるAを場合により包含する少なくとも1つのAであり、Bは存在しない(B以外の要素を場合により包含する);別の実施形態において、1つを超えるBを場合により包含する少なくとも1つのBであり、Aは存在しない(A以外の要素を場合により包含する);また別の実施形態において、1つを超えるAを場合により包含する少なくとも1つのA、および1つを超えるBを場合により包含する少なくとも1つのB(他の要素を場合により包含する);等を指すことができる。
【0107】
明らかにそれに反する指示がない限り、1つを超えるステップまたは行為を包含する本明細書において特許請求されている任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序は、方法のステップまたは行為が記載されている順序に必ずしも限定されないことも理解すべきである。
【0108】
特許請求の範囲において、および上記の明細書において、「を含む(comprising)」、「を包含する、を含む(including)」、「を所持する」、「を有する」、「を含有する」、「を伴う」、「を保持する」、「から構成される」等のすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、包含するがそれらに限定されないことを意味すると解釈されたい。移行句「からなる」および「から本質的になる」のみ、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、2111.03項において説明されている通り、それぞれクローズドまたはセミクローズドな移行句であるものとする。