(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ダンパアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/58 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
F16F9/58 A
(21)【出願番号】P 2022153671
(22)【出願日】2022-09-27
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202210951016.5
(32)【優先日】2022-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510288840
【氏名又は名称】ベイジンウェスト・インダストリーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJINGWEST INDUSTRIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.85 Puan Road,Doudian Town,Fangshan District,Beijing,The People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【氏名又は名称】三崎 正輝
(74)【代理人】
【識別番号】100219117
【氏名又は名称】金 亨泰
(72)【発明者】
【氏名】サイマン ルン
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-028167(JP,A)
【文献】特開2020-016287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ(74)を形成するよう軸に沿って延設される円筒状チューブ(32)と、
前記チャンバ(74)内に配置されるとともに前記軸に沿って圧縮方向および反発方向に移動可能であるピストンであって、前記ピストンが、第一端部(26)からピストンヘッド(38)へと延設されるピストンロッド(36)を有するピストンと、
前記第一端部(26)と前記ピストンヘッド(38)との間で前記ピストンロッド(36)に配置される反発ストップ部(72)と、
液圧反発ストップ(HRS)ピストン(80)であって、HRSピストンヘッド部(84)へと延設されるスリーブ部(82)を有するHRSピストン(80)と、
前記HRSピストン(80)を前記ピストンの前記第一端部(26)から前記反発ストップ部(72)への方向に押圧する反発バネ(78)と、
を備える車両のサスペンションシステムのためのダンパアセンブリ(20)であって、
前記反発ストップ部(72)が前記HRSピストン(80)に接触して、前記反発バネ(78)を圧縮させるまで、前記ピストンロッド(36)は前記HRSピストン(80)内で前記反発方向に摺動可能であ
り、
前記HRSピストン(80)は、内側反発シリンダ(64)によって形成されるHRSチャンバ(76)内に配置され、
前記内側反発シリンダ(64)の内径は、前記円筒状チューブ(32)の内径よりも小さい、
ダンパアセンブリ。
【請求項2】
請求項
1に記載のダンパアセンブリ(20)であって、前記円筒状チューブ(32)の前記チャンバ(74)は、アダプタープレート(66)によって前記HRSチャンバ(76)から分離されているダンパアセンブリ。
【請求項3】
請求項
2に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記アダプタープレート(66)は開口部(67)を有し、
前記反発ストップ部(72)は前記開口部(67)を通過できる大きさに構成され、前記HRSピストンヘッド部(84)は前記開口部(67)よりも大きく構成されているダンパアセンブリ。
【請求項4】
請求項
3に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記アダプタープレート(66)は、前記内側反発シリンダ(64)の端部を配置するための環状凹部を有する第一側(68)を有し、
前記アダプタープレート(66)は、さらに、前記円筒状チューブ(32)の端部を配置するための環状凹部を有する第二側(70)を有するダンパアセンブリ。
【請求項5】
請求項
3または
4に記載のダンパアセンブリ(20)であって、流体が前記HRSピストンヘッド部(84)の周囲を流れることができるよう、前記HRSピストンヘッド部(84)は、前記内側反発シリンダ(64)の内面より小さく構成されるダンパアセンブリ。
【請求項6】
請求項
3または
4に記載のダンパアセンブリ(20)であって、前記反発バネ(78)は、前記HRSピストン(80)を前記アダプタープレート(66)と当接させるよう押圧するダンパアセンブリ。
【請求項7】
請求項1~
4のいずれか
1項に記載のダンパアセンブリ(20)であって、前記反発バネ(78)は、前記HRSピストン(80)の前記スリーブ部(82)の周囲に延設されるダンパアセンブリ。
【請求項8】
請求項1~
4のいずれか
1項に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記HRSピストンヘッド部(84)によってHRSピストン外径が定義され、
前記ピストンヘッド(38)によって定義される主外径は前記HRSピストン外径より大きいダンパアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記HRSピストンヘッド部(84)は、流体の流れを許容する、軸方向に延びる1以上の孔を含むダンパアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記内側反発シリンダ(64)は、内面を軸方向に延びる、流体の流れを追加的に制御するためのテーパ状溝を有するダンパアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記ダンパアセンブリ(20)は、さらに、
液圧反発ストップ(HRS)チャンバ(76)と、
前記HRSチャンバ(76)を前記円筒状チューブ(32)の前記チャンバ(74)から分離するアダプタープレート(66)と、
を備えており、
前記HRSピストン(80)は前記HRSチャンバ(76)内に配置され、
前記反発バネ(78)は、前記HRSピストン(80)を前記アダプタープレート(66)へと向かって付勢し、
前記アダプタープレート(66)は、前記反発ストップ部(72)が前記HRSピストン(80)と接触して前記反発バネ(78)を圧縮するよう前記反発ストップ部(72)を通過させる開口部(67)を有するダンパアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記内側反発シリンダ(64)は、前記アダプタープレート(66)によって、前記円筒状チューブ(32)の一端に接続されており、
前記アダプタープレート(66)は、前記内側反発シリンダ(64)の端部を配置するための環状凹部を有する第一側(68)を有し、
前記アダプタープレート(66)は、さらに、前記円筒状チューブ(32)の端部を配置するための環状凹部を有する第二側(70)を有するダンパアセンブリ。
【請求項13】
請求項
11又は12に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記HRSピストン(80)は、前記アダプタープレート(66)の前記開口部(67)より大きく構成され、
前記反発バネ(78)は、前記HRSピストン(80)を前記アダプタープレート(66)と当接させるよう押圧するダンパアセンブリ。
【請求項14】
請求項
11又は12に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記反発バネ(78)は、前記HRSピストン(80)の前記スリーブ部(82)の周囲に延設される、かつ/または
前記HRSピストンヘッド部(84)によってHRSピストン外径が定義されるとともに、前記ピストンヘッド(38)によって定義される主外径は前記HRSピストン外径より大きい
、かつ/または、
前記反発バネ(78)は、前記HRSチャンバ(76)内に配置されるダンパアセンブリ。
【請求項15】
請求項
2又は1
1に記載のダンパアセンブリ(20)であって、
前記ダンパアセンブリ(20)は、
外側反発シリンダ(62)を
更に備え、
前記内側反発シリンダ(64)は、前記外側反発シリンダ(62)内に配置され、
前記外側反発シリンダ(62)及び前記内側反発シリンダ(64)は、前記アダプタープレート(66)によって、前記円筒状チューブ(32)に接続さ
れるダンパアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、サスペンションシステムのためのダンパアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車といった車両は、一般的に、車両の車輪と車体または基礎構造との間に装着される緩衝装置(アブソーバ)ユニットを有するサスペンションシステムを備える。車両の車輪または他の部分への力からエネルギーを吸収することによって車輪が走行面と接し続けるよう、サスペンションが、通常、車両と一体的に構成されている。技術の進歩に伴い、種々のタイプのアブソーバユニットが開発されている。特に普及している一のタイプのアブソーバユニットは、伸縮式(テレスコープ式)圧縮を用いて力を吸収する液圧シリンダとして構成されている。圧縮の後、液圧シリンダは「反発(リバウンド)」して、液圧シリンダが伸張し、これにより再び圧縮可能となる。
【0003】
液圧シリンダは、多くの場合、液圧シリンダが最大限の反発位置の近くへと延びるに従い減衰力を増加させるための液圧反発ステップ(HRS)機能を有する。一つの従来技術のHRS機能は、主ピストンからある距離でピストンロッドに配置される追加ピストンを有する。動作時に、追加ピストンは、液圧シリンダの最上部に位置するテーパ状の溝を有する二次シリンダ内へと移動する。移動範囲の終端における衝撃を低減するために、反発の際に追加ピストンが二次シリンダに移動するに従って、増加していく液圧制限が生成される。他の従来技術のHRS機能は、HRSチャンバを形成するようピストンリングと係合する主ピストンを有する。反発の際に、ピストンリングは、主ピストンで流れを遮断し、流体を主ピストン周辺の環状フローパスを通ってHRSバルブ内へと強制的に通過させて、高めた減衰力を生成する。主ピストンが最大限の反発位置へと向かって移動するに従って、バネはピストンリングを配置させて圧縮する。これらの従来技術のHRS機能が最大限の液圧シリンダ伸張時の衝撃を感じる乗り心地の悪さ(衝撃ハーシュネス)を低減するが、衝撃ハーシュネスを完全には除去できず、例えば機械摩耗や引き裂きそして乗車時に受ける不快な乱れといった問題は引き続き残る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、動作寿命を長くできるとともに乗り心地が悪いと感じる不快な反発移動をさらに低減できるサスペンションシステムの反発停止機能の動作構成および効率を向上することが求められ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより理解しやすくするために、本発明の特徴および技術的利点を概括的に概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成している本発明のさらなる特徴および利点を以下に説明する。開示する概念および特定の態様を、本発明の同じ目的を実施するために変更し他の態様を設計することによってもそのまま利用できることは、当業者には理解されよう。また、添付の請求項に記載する本発明の精神および範囲から逸脱しないこのような均等物に相当する態様を、当業者は実現できよう。ここでの記載事項は、本開示の概略的要約を提供するものであって、本開示に関係する対象、面、特徴および利点のすべてを完全に包括的に列記するものではない。
【0006】
本発明は、動作寿命を長くできるとともに乗り心地が悪いと感じる不快な反発移動をさらに低減できる液圧反発ステップ(HRS)機能を有するダンパアセンブリを提供する。
【0007】
本発明の一の面では、車両のサスペンションシステムのためのダンパアセンブリを提供する。ダンパアセンブリは、チャンバを形成するよう軸に沿って延設される円筒状チューブを備える。ピストンが、チャンバ内に配置されるとともに軸に沿って圧縮方向および反発方向に移動可能である。ピストンは、第一端部からピストンヘッドへと延設されるピストンロッドを有する。反発ストップ部が、第一端部とピストンヘッドとの間でピストンロッドに配置される。液圧反発ストップ(HRS)ピストンが、HRSピストンヘッド部へと延設されるスリーブ部を有する。反発バネが、HRSピストンをピストンの第一端部から反発ストップ部への方向に押圧する。反発ストップ部がHRSピストンに接触して、反発バネを圧縮させるまで、ピストンロッドはHRSピストン内で反発方向に摺動可能である。言い換えれば、ピストンロッドはHRSピストン内で反発方向に摺動可能であり、反発ストップ部がHRSピストンに接触すると反発バネを圧縮させる。HRSピストンは、内側反発シリンダによって形成されるHRSチャンバ内に配置される。内側反発シリンダの内径は、円筒状チューブの内径よりも小さい。
【0008】
本発明の他の面では、車両のサスペンションシステムのためのダンパアセンブリを提供する。ダンパアセンブリは、チャンバを形成するよう軸に沿って延設される円筒状チューブを備える。ピストンは、チャンバ内に配置されるとともに軸に沿って圧縮方向および反発方向に移動可能である。ピストンは、第一端部からピストンヘッドへと延設されるピストンロッドを有する。反発ストップ部は、第一端部とピストンヘッドとの間でピストンロッドに配置される。液圧反発ストップ部(HRS)チャンバおよびアダプタープレートが、HRSチャンバを円筒状チューブのチャンバから分離する。HRSピストンがHRSチャンバ内に配置される。反発バネは、HRSピストンをアダプタープレートへと向かって押圧する。アダプタープレートは、反発ストップ部がHRSピストンと接触して反発バネを圧縮するよう反発ストップ部を通過させる開口部を有する。
【0009】
本発明のさらなる他の面では、車両のサスペンションシステムのためのダンパアセンブリを提供する。ダンパアセンブリは、チャンバを形成するよう軸に沿って延設される円筒状チューブを備える。ピストンは、チャンバ内に配置されるとともに軸に沿って圧縮方向および反発方向に移動可能である。ピストンは、第一端部からピストンヘッドへと延設されるピストンロッドを有する。反発ストップ部は、第一端部とピストンヘッドとの間でピストンロッドに配置される。内側反発シリンダは、液圧反発ストップ(HRS)チャンバを形成する。内側反発シリンダは、アダプタープレートによって円筒状チューブに接続され、HRSチャンバを円筒状チューブのチャンバから分離する。HRSピストンがHRSチャンバ内に配置される。また、反発バネが、HRSチャンバ内に配置され、HRSピストンをアダプタープレートへと向かって押圧する。アダプタープレートは、反発ストップ部がHRSピストンと接触して反発バネを圧縮するよう反発ストップ部を通過させる開口部を有する。
【0010】
適用可能性のあるさらなる分野があることは、ここで提供する記載から明らかとなろう。この要約における説明および具体例は、説明の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0011】
本発明の他の利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明からより理解され、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の原理にかかる車両のサスペンションシステムのためのダンパアセンブリの断面側面図である。
【
図2】第一反発段階における、反発アセンブリを有するダンパアセンブリの断面側面図である。
【
図3】反発アセンブリが第二反発段階である場合のダンパアセンブリの断面側面図である。
【
図4】反発アセンブリがさらに第二反発段階に進んだ場合のダンパアセンブリの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、例示の実施形態を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。概して、本実施形態は、車両のサスペンションシステムのためのダンパアセンブリに適用されたものである。なお、例示の実施形態を、本開示が詳細でありその範囲を当業者に十分に伝えるためにのみ、提供する。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、例えば構成部品、デバイスおよび方法の例といった多数の具体的な細部を説明する。具体的な細部を必ずしも用いる必要はなく、例示の実施形態をいくつかの異なる態様で実現でき、本開示の範囲を限定するものではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示の実施形態において、周知のプロセス、周知のデバイス構造および周知の技術は詳細には説明しない。
【0014】
図面を参照して、車両のサスペンションシステムに提供されるダンパアセンブリを概略的に示す。図面では、対応する部品には同じ符号を付している。本ダンパアセンブリは、サスペンションシステムの液圧反発ステップ(HRS)機能の動作構成および効率を向上し、動作寿命を長くできるとともに乗り心地が悪いと感じる不快な反発移動をさらに低減できる。ある態様において、ダンパアセンブリは双管(ツインチューブ)ダンパとして構成される。
【0015】
まず
図1~
図4を参照して、ダンパアセンブリ20は、軸Aに沿って第一端部26と第二端部28との間で延設されるよう延びている外側貯留管(リザーバチューブ)24を有する。ダンパアセンブリ20は、外側リザーバチューブ24に配置されるとともに軸Aに沿って延設されるシリンダーチューブアセンブリ30を有する。シリンダーチューブアセンブリ30は、円筒状チューブ32と、円筒状チューブ32内に配置されるピストン・ロッド組立体(アセンブリ)34と、円筒状チューブ32の第二端部28にある基礎側弁(ベースバルブ)アセンブリ31と、を有する。ピストン・ロッド・アセンブリ34は、円筒状チューブ32の内径と同様な大きさに構成されるピストンヘッド38へと延設されるピストンロッド36を有する。ピストンヘッド38は、圧縮時には第一端部26から第二端部28へと向かって(すなわち圧縮方向に)移動し、反発時には第二端部28から第一端部26へと向かって(すなわち反発方向に)移動する。
【0016】
ダンパアセンブリ20はさらに、第一端部26に配置される遮断封止(カバーシール)アセンブリ50を有する。第一端部26は、径方向内側に延設されるフランジ42を有することができる。フランジを圧延で形成することもできる。シールカバーアセンブリ50は、外側リザーバチューブ24内に配置されて、環状シール52を用いて外側リザーバチューブ24を封止するとともに、ロッドシール53を用いてピストンロッド36を封止する。シールカバーアセンブリ50は、第一周面56と第二周面58とを有する環状段部54を有する。第二周面58は、第一周面56の径方向内側で軸方向に第二端部28へと向かって延設される。
【0017】
ダンパアセンブリ20は、シールカバーアセンブリ50と接して配置されるとともに軸方向に第二端部28へと向かって延設される液圧反発アセンブリ60を有する。液圧反発アセンブリ60は、外側反発シリンダ62と、外側反発シリンダ62内に配置される内側反発シリンダ64と、を有する。外側反発シリンダ62は、シールカバーアセンブリ50の第一周面56と当接する。内側反発シリンダ64は、シールカバーアセンブリ50の第二周面58と当接する。外側反発シリンダ62の内径は、シールカバーアセンブリ50の環状段部54の周囲を囲繞して嵌合するよう、シールカバーアセンブリ50の環状段部54と同じかまたはわずかに大きい。内側反発シリンダ64は、内面に、液圧反発アセンブリ60から流体の流れを追加的に制御するための軸方向に延びる一以上のテーパ状溝を有することができる。
【0018】
円環状である反発接合板(アダプタープレート)66が、外側反発シリンダ62と内側反発シリンダ64とを円筒状チューブ32に接続する。より具体的には、反発アダプタープレート66は、第一側68と第二側70とを有する。第一側68は、外側反発シリンダ62と内側反発シリンダ64との両方を位置決めする環状凹部を有する。第二側70は、円筒状チューブ32を位置決めする環状凹部を有する。反発アダプタープレート66は、径方向内側へ軸Aへと向かって延設される。また、反発アダプタープレート66は、ピストンロッド36を収容するための開口部67を有する。ピストンロッド36上には、反発ステップ部72が配置される。反発ストップ部72は、ピストンヘッド38と第一端部26との間でピストンロッド36上に配置される。こうして、円筒状チューブ32によって、主室(メインチャンバ)74が形成される。そして、内側反発シリンダ64によって、液圧反発ストップ(HRS)チャンバ76が形成される。反発バネ78が、HRSチャンバ76内に配置されるとともに、シールカバーアセンブリ50からHRSピストン80へと延設される。反発バネ78は、HRSピストン80をアダプタープレート66へと押圧する。必要とされる反発制御のための種々の大きさの力を提供するよう、反発バネ78のバネ剛性を調整できる。
【0019】
HRSピストン80はスリーブ部82を有する。スリーブ部82がピストンロッド36に対して摺動可能となるようピストンロッド36を受けるための通路83を、スリーブ部82は有する。HRSピストン80はさらに、径方向外側へ延設されるHRSピストンヘッド部84を有する。HRSピストンヘッド部84は、反発アダプタープレート66の開口部67より大きく、したがって、HRSチャンバ76内に保持される。ある態様では、流体がHRSピストンヘッド部84と内側反発シリンダ64の内径との間で流れることができるよう、HRSピストンヘッド部84は、内側反発シリンダ64の内径よりわずかに小さいHRSピストン外径を有する。ある態様では、HRSピストンヘッド部84は、内部を流体が流れることができる軸方向に延びる一以上の孔を有する。ある態様では、ピストンヘッド38の主外径はHRSピストン外径より大きい。
【0020】
次に特に
図1を参照して、圧縮状態にあるまたは部分的に圧縮状態あるダンパアセンブリ20を説明する。ダンパアセンブリ20に連結される車輪(図示せず)が何らかの力を受けるような場合、例えば関連の車両がカーブを曲がるよう走行する場合や凹凸がある走行面を走行する場合に、一般的に圧縮状態となる。ピストンヘッド38が円筒状チューブ32内で第二端部28へと向かって軸Aに沿って移動するにことによって、この力は散逸される。圧縮されると、反発の際に、メインチャンバ74に蓄積される圧力によって、ピストンヘッド38が円筒状チューブ32内で第一端部28へと向かって戻るようピストンヘッド38に力が働く。ダンパアセンブリ20は常に重量を受けているので、荷重が低減された場合にも反発は生じうる。例えば、関連の車両がくぼみの上を走行する場合には、荷重の急激な低下により、ピストンヘッド38は円筒状チューブ32内で第一端部28へと向かって移動する。
【0021】
次に
図2を参照して、第一反発段階(リバウンドステージ)にあるダンパアセンブリ20を説明する。第一反発段階において、メインチャンバ74に蓄積される圧力によって、ピストンヘッド38が円筒状チューブ32内で第一端部26へと向かって戻るようピストンヘッド38に力が働く。ピストンロッド36は、反発アダプタープレート66の開口部67内、HRSピストン80のスリーブ部82の通路83内、および封止部47の孔48内で移動する。
図3は、液圧反発アセンブリ60が第二反発段階である場合のダンパアセンブリ20の断面側面図である。第二反発段階において、反発ストップ部72は、反発アダプタープレート66の開口部67へと入ってHRSピストン80と接触し、これにより、反発バネ78のバネ荷重を介したさらなる反発移動に必要とされる力を増加させ、ピストンヘッド部84の周囲でのHRSチャンバ76内における流体の移動を増加させる。
図4は、液圧反発アセンブリ60がさらに第二反発段階に進んだ場合のダンパアセンブリ20の断面側面図である。図示する通り、反発ストップ部72は、HRSピストン80をさらにHRSチャンバ76内へと押し込んでいる。
【0022】
実施形態に関する上記の説明は例示のためのものであることは理解されよう。つまり、本開示の主題は、他を排除するものではなく、本開示にのみ限定されるものではない。特定の実施形態のそれぞれの要素または特徴はその特定の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、特段の定めや記載がない限り、適用可能な場合には実施形態間で置き換え可能である。それぞれの要素または特徴は、種々の変形が可能である。このような変形は、本開示から逸脱するものではなく、このような変更はすべて本開示の範囲内にある。
【符号の説明】
【0023】
20 ダンパアセンブリ
24 外側リザーバチューブ
26 第一端部
28 第二端部
30 シリンダーチューブアセンブリ
31 ベースバルブアセンブリ
32 円筒状チューブ
34 ピストン・ロッド・アセンブリ
36 ピストンロッド
38 ピストンヘッド
42 フランジ
50 シールカバーアセンブリ
52 環状シール
53 ロッドシール
54 環状段部
56 第一周面
58 第二周面
60 液圧反発アセンブリ
62 外側反発シリンダ
64 内側反発シリンダ
66 アダプタープレート
67 開口部
68 第一側
70 第二側
72 反発ストップ部
74 チャンバ
76 HRSチャンバ
78 反発バネ
80 HRSピストン
82 スリーブ部
83 通路
84 HRSピストンヘッド部
A 軸