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特許7459225内視鏡システム及び内視鏡画像表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】内視鏡システム及び内視鏡画像表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240325BHJP
   A61B 1/015 20060101ALI20240325BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61B1/00 550
A61B1/015 514
A61B1/045 622
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022501483
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006561
(87)【国際公開番号】W WO2021166127
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】522317246
【氏名又は名称】井上 晴洋
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】上杉 武文
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-004329(JP,A)
【文献】特開平11-347043(JP,A)
【文献】特開2006-020788(JP,A)
【文献】特開2006-061214(JP,A)
【文献】特開2015-058120(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0138586(US,A1)
【文献】特開2005-095567(JP,A)
【文献】特開2016-214516(JP,A)
【文献】特開平05-245100(JP,A)
【文献】INOUE, H., et al.,Diagnostic performance of the endoscopic pressure study integrated system (EPSIS): a novel diagnostic tool for gastroesophageal reflux disease,Endoscopy,2019年08月,Vol.51, No.8,pp.759-762,<PMID: 31216578>,<DOI: 10.1055/a-0938-2777>,<Epub 2019 Jun 19>
【文献】SUZUKI, T., et al.,Examination of visceral perception and gastric tone by gastric stimulation using air inflation during Endoscopy,The Journal of international medical research,2005年03月01日,Vol.33, No.2,pp.160-169,<DOI: 10.1177/147323000503300203>
【文献】KIRA, F., et al.,Response to air insufflation in patients with non-erosive gastro-oesophageal reflux disease (NERD).,The Journal of international medical research,2011年02月01日,Vol.39, No.1,pp.215-221,<DOI: 10.1177/147323001103900123>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の管腔内圧力の測定値から前記管腔内圧力の経時変化を表す第1の経時変化のグラフを生成し、前記第1の経時変化のグラフを生成する信号を出力する測定データ処理装置と、
前記被検体の管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで内視鏡にて撮像して得られた撮
像信号から前記管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで観察するための観察画像を生成し、前記第1の経時変化のグラフと時間的に同期して重畳させるための観察画像信号を出力する内視鏡画像処理装置と
前記第1の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第1の重畳画像を生成する表示制御装置と、
前記被検体の前記管腔内から放出されるガス放出音を測定する音圧測定部と、
を備え、
前記測定データ処理装置は、前記音圧測定部の測定値から前記ガス放出音の経時変化を表す第2の経時変化のグラフを生成し、
前記表示制御装置は、前記第1の経時変化のグラフと前記第2の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第2の重畳画像を生成することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記測定データ処理装置は、前記第1の経時変化のグラフにおいて、前記管腔への気体の送気が行なわれている時間帯を明示することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記測定データ処理装置は、前記管腔への前記気体の送気量を算出し、
前記表示制御装置は、前記第1の重畳画像に前記送気量を表示させることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記測定データ処理装置は、前記送気量が予め設定された閾値を超えた場合に、前記第1の経時変化のグラフに対して警告を示す表示を付加することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
所定の気体を送気する送気源に連通し、前記内視鏡に設けられた送気管路を介して前記被検体の前記管腔へ前記気体を供給する送気装置をさらに備え、
前記測定データ処理装置は、前記被検体の管腔内圧力を測定する圧力測定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
被検体の管腔内圧力の測定値から前記管腔内圧力の経時変化を表す第1の経時変化のグラフを生成し、
前記被検体の管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで内視鏡にて撮像して得られた撮像信号から前記管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで観察するための観察画像を生成し、
前記第1の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第1の重畳画像を生成し、
前記被検体の前記管腔内から放出されるガス放出音を測定し、
前記ガス放出音の経時変化を表す第2の経時変化のグラフを生成し、
前記第1の経時変化のグラフと前記第2の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第2の重畳画像を生成することを特徴とする内視鏡画像表示制御方法。
【請求項7】
前記管腔への気体の送気量を算出し、前記第1の重畳画像に前記送気量を表示させることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡画像表示制御方法。
【請求項8】
前記送気量が予め設定された閾値を超えた場合に、前記第1の経時変化のグラフに対して警告を示す表示を付加することを特徴とする請求項7に記載の内視鏡画像表示制御方法。
【請求項9】
被検体の管腔内圧力の測定値から前記管腔内圧力の経時変化を表す第1の経時変化のグラフを生成し、前記第1の経時変化のグラフを生成する信号を出力する測定データ処理装置と、
前記被検体の管腔内の弁部の開閉状態を内視鏡にて撮像して得られた撮像信号から前記管腔内の弁部の開閉状態を観察するための観察画像を生成し、前記第1の経時変化のグラフと時間的に同期して重畳させるための観察画像信号を出力する内視鏡画像処理装置と、
前記被検体の前記管腔内から放出されるガス放出音を測定する音圧測定装置と、
を備え、
前記測定データ処理装置は、前記音圧測定装置の測定値から前記ガス放出音の経時変化を表す第2の経時変化のグラフを生成することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項10】
前記第1の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第1の重畳画像を生成する表示制御装置を、さらに備えることを特徴とする請求項9に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記表示制御装置は、前記第1の経時変化のグラフと前記第2の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第2の重畳画像を生成することを特徴とする請求項10に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡システム及び内視鏡画像表示制御方法に関し、特に、逆流性食道炎の診断に用いる内視鏡システム及び内視鏡画像表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胃噴門部の機能が低下し、胃液が食道内に逆流してしまう疾患である、逆流性食道炎(以下、GERDと示す)に対する診断方法として、24時間食道pHモニタリング、あるいは、24時間食道インピーダンスpHモニタリングという手法が用いられている。しかし、これらの診断方法は、24時間にわたって鼻から測定用チューブを挿入する必要があり、患者への負担が大きく、また、診断結果を取得するまでに時間を要するという問題があった。
【0003】
これを改善すべく、近年では、患者への負担を軽減するため、内視鏡を用いて胃噴門部の下部食道括約筋(LES)の弛緩状態を観察する方法が適用されつつある。しかしながら、内視鏡を用いた観察だけでは、GERDと他の疾患との区別が困難である。一方、内視鏡による観察と嚥下音の評価を併用して、嚥下機能を評価する内視鏡システムが提案されている(例えば、実用新案登録第3209885号公報参照)。しかしながら、当該公報に記載された内視鏡システムでは、嚥下機能の評価を行なうことは可能であるが、やはりGERDと他の疾患との区別が困難であるという問題点の解決には至っていない。
【0004】
そこで、本発明は、逆流性食道炎の検査における患者への負担を軽減し、迅速に診断結果を得ることが可能な内視鏡システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の内視鏡システムは、被検体の管腔内圧力の測定値から前記管腔内圧力の経時変化を表す第1の経時変化のグラフを生成し、前記第1の経時変化のグラフを生成する信号を出力する測定データ処理装置と、前記被検体の管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで内視鏡にて撮像して得られた撮像信号から前記管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで観察するための観察画像を生成し、前記第1の経時変化のグラフと時間的に同期して重畳させるための観察画像信号を出力する内視鏡画像処理装置と、前記第1の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第1の重畳画像を生成する表示制御装置と、前記被検体の前記管腔内から放出されるガス放出音を測定する音圧測定部と、を備え、前記測定データ処理装置は、前記音圧測定部の測定値から前記ガス放出音の経時変化を表す第2の経時変化のグラフを生成し、 前記表示制御装置は、前記第1の経時変化のグラフと前記第2の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第2の重畳画像を生成する。
本発明の一態様の内視鏡画像表示制御方法は、被検体の管腔内圧力の測定値から前記管腔内圧力の経時変化を表す第1の経時変化のグラフを生成し、前記被検体の管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで内視鏡にて撮像して得られた撮像信号から前記管腔内の弁部の開閉状態をリアルタイムで観察するための観察画像を生成し、前記第1の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第1の重畳画像を生成し、前記被検体の前記管腔内から放出されるガス放出音を測定し、前記ガス放出音の経時変化を表す第2の経時変化のグラフを生成し、前記第1の経時変化のグラフと前記第2の経時変化のグラフと前記観察画像とを時間的に同期して重畳させた第2の重畳画像を生成する。
本発明の第2の一態様の内視鏡システムは、被検体の管腔内圧力の測定値から前記管腔内圧力の経時変化を表す第1の経時変化のグラフを生成し、前記第1の経時変化のグラフを生成する信号を出力する測定データ処理装置と、前記被検体の管腔内の弁部の開閉状態を内視鏡にて撮像して得られた撮像信号から前記管腔内の弁部の開閉状態を観察するための観察画像を生成し、前記第1の経時変化のグラフと時間的に同期して重畳させるための観察画像信号を出力する内視鏡画像処理装置と、前記被検体の前記管腔内から放出されるガス放出音を測定する音圧測定装置と、を備え、前記測定データ処理装置は、前記音圧測定装置の測定値から前記ガス放出音の経時変化を表す第2の経時変化のグラフを生成する
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図。
図2】内視鏡システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図3】検査情報画像の一例を示す図。
図4】内視鏡画像と検査情報画像の重畳画像の一例を示す図。
図5】検査情報画像の一例を示す図。
図6】内視鏡画像と検査情報画像の重畳画像の一例を示す図。
図7】過送気状態における検査情報画像の一例を示す図。
図8】記録再生画像の一例を示す図。
図9】第2実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図。
図10】第2実施形態に係わる検査情報画像の一例を示す図。
図11】第3実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図。
図12】第3実施形態に係わる検査情報画像の一例を示す図。
図13】第4実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図。
図14】第4実施形態に係わる内視鏡システムの機能構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図である。図1に示すように、本実施形態の内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源装置3と、ビデオプロセッサ4と、送気装置5と、表示装置6と、を有して構成される。また、内視鏡システム1は、圧力センサ7と、圧力測定用プローブ8と、信号変換装置9と、マイク10と、測定データプロセッサ11も有する。
【0009】
内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部を有する。挿入部内には、照明光を伝送する図示しないライトガイドケーブルが挿通されている。ライトガイドケーブルの後端は、ビデオプロセッサ4に着脱自在に接続されており、光源装置3から供給される照明光を伝送し、内視鏡2の先端部に設けられた図示しない照明窓に取り付けられた先端面から、更に照明レンズを経て、体腔内の内部などの被写体を照明する。
【0010】
内視鏡画像処理装置としてのビデオプロセッサ4は、内視鏡画像を表示する表示装置6と電気的に接続され、内視鏡2に搭載されているCMOSセンサ24などの撮像手段によって光電変換された撮像信号を処理して、映像信号として表示装置6に出力する。
【0011】
送気装置5は、図示しないガス供給源(例えば、炭酸ガスボンベ)から供給される気体を、内視鏡2に接続されたユニバーサルケーブル15内に挿通されている送気チューブ51を介して、体腔内の検査部位に供給する。送気装置5における気体の送気流量は、信号変換装置9を介して測定データプロセッサ11へ出力される。
【0012】
表示制御装置としての表示装置6は、ビデオプロセッサ4から入力された内視鏡画像や、後述する測定データプロセッサ11から入力された検査情報画像を表示する表示部6Aを有する。表示部6Aには、内視鏡画像と検査情報画像を重畳して表示させることができる。
【0013】
圧力測定部としての圧力センサ7は、圧力測定用プローブ8を介して、体腔内の検査部位の圧力を測定する。圧力センサ7での測定結果は、信号変換装置9を介して測定データプロセッサ11へ出力される。圧力測定用プローブ8は、フィルタ付きのディスポ―サルプローブであり、検査ごとに新しいものと交換して使用される。なお、圧力測定用プローブ8には、従来から使用されている圧力測定用プローブにディスポーザブルのフィルタを装着したものを用いてもよい。この場合、検査ごとにフィルタのみを交換すればよいので、安価な構成で内視鏡システムを実現することができる。
【0014】
音圧測定部としてのマイク10は、検査中における被検査者からの発音を集音する。例えば、逆流性食道炎の検査の場合、被検査者の口腔から発せられる音(ゲップ音)をモニタする。マイク10で集音した音声データは、測定データプロセッサ11へ出力される。
【0015】
測定データ処理装置としての測定データプロセッサ11は、送気装置11から入力される気体の送気流量や送気のオン/オフの切替タイミング、圧力センサ7から入力される検査部位の圧力や、マイク10から入力される音声データに対して所定の信号処理を行い、検査情報画像を生成する。検査情報画像は、測定結果表示部11Aに表示されると共に、表示装置6に出力される。
【0016】
図2は、内視鏡システムの機能構成の一例を示すブロック図である。以下、内視鏡システム1を構成する各装置について、図2を用いて詳細な構成を説明する。
【0017】
内視鏡2の先端部には、照明窓に隣接して、図示しない観察窓が設けられている。観察窓には、対物光学系としてのレンズ23が取り付けられている。レンズ23の結像位置には、固体撮像素子として、例えば、CMOSセンサ24が配置されている。CMOSセンサ24は、結像された光学像を光電変換して撮像信号を生成する。撮像信号は、A/D変換部25を介してデジタル信号に変換された後、ビデオプロセッサ4へ出力される。内視鏡2に接続されたユニバーサルケーブル15内に挿通されている送気チューブ51は、先端部に設けられた送気チャネル26を挿通されている。従って、送気チューブ51を介して、内視鏡2の先端部から体腔内へ気体の供給が行われる。また、内視鏡2には処置具チャネル27も設けられており、圧力測定用プローブ8は処置具チャネル27内を挿通されている。従って、内視鏡2の先端部から体腔内の圧力が測定可能である。
【0018】
ビデオプロセッサ4は、内視鏡画像などを表示する表示装置6と電気的に接続され、内視鏡2に搭載されているCMOSセンサ24などの撮像手段によって光電変換された撮像信号を処理して、映像信号として表示装置6に出力する。ビデオプロセッサ1は、映像信号処理部41と、制御部としてのCPU42とを備える。
【0019】
映像信号処理部41は、内視鏡2から入力された撮像信号に各種画像処理を施して、表示装置6に表示可能な映像信号を生成し、出力する。映像信号処理部41は、CPU42と接続されており、CPU42の制御指示に従って各種処理を行う。
【0020】
映像信号処理部41は、撮像信号入力部111と、第一の画質改善処理部112と、前処理部113と、拡大縮小部114と、後処理部115と、第二の画質改善処理部116と、映像出力部117とを備える。内視鏡2から出力された撮像信号は、撮像信号入力部111に入力され、上述のユニットをこの順に通過しながら所定の画像処理が施され、映像出力部117から表示装置6に出力される。
【0021】
画質改善処理部112は、基本出画に影響しない画質改善処理が行われる。画質改善処理部112では、例えば、イメージャの傷補正処理や、ノイズリダクション処理、フリーズ処理などが行われる。画質改善処理部112は、メモリ118と接続されており、メモリ118に格納されているパラメータや情報を用いて、各種処理が行われる。
【0022】
例えば、画質改善処理部112で傷補正処理が行われる場合、メモリ118には欠陥画素情報や、補正係数などの補正情報が格納されている。画質改善処理部112では、メモリ118から読みだした欠陥画素情報と補正係数とに基づき、撮像信号入力部111から入力されたデジタル映像信号に含まれる白キズ画素と、その周囲の画素について、画素値を補正あるいは補間する。
【0023】
ノイズリダクション処理が行われる場合、メモリ118に格納されているノイズリダクションのレベルに応じたパラメータを用い、映像信号中のノイズを低減する。具体的には、1フレーム(または1フィールド)前の映像信号と、現在のフレーム(またはフィールド)の映像信号とを用いて、メモリ118から読みだした設定パラメータを用いて時間平均処理を施し、画像中のランダムノイズを低減する。
【0024】
フリーズ処理が行われる場合、メモリ118に、現在のフレームから複数フレーム分の映像信号を格納する。そして、メモリ118に格納されている複数フレームの中から、最も画質の良い1つのフレームの映像信号を選択し、フリーズ画像(静止画)として出力する。
【0025】
なお、メモリ118には、駆動電圧を供給するための電源120と、所定の駆動周波数を生成し供給するための発信器119とが接続されている。
【0026】
前処理部113は、画質改善処理部112により各種処理が施された映像信号に対し、ホワイトバランス処理、カラーマトリクス処理、ガンマ処理など、基本出画に必要な各種画像処理が行われる。
【0027】
拡大縮小部114は、前処理部113により各種画像処理が行われた映像信号に対し、ユーザから指示された倍率に応じ、拡大・縮小処理を施す。拡大縮小部114は、メモリ121と接続されており、メモリ121に格納されているパラメータや情報を用いて、拡大縮小処理が行われる。また、メモリ121は、拡大縮小処理を行うにあたり、一時的にフレーム映像を格納するために用いることもできる。なお、メモリ121には、駆動電圧を供給するための電源123と、所定の駆動周波数を生成し供給するための発信器122とが接続されている。
【0028】
後処理部115は、拡大縮小部114により必要に応じて拡大縮小処理が行われた映像信号に対し、色調調整処理など、基本出画に必要な各種画像処理が行われる。
【0029】
画質改善処理部116は、基本出画に影響しない画質改善処理が行われる。画質改善処理部116では、例えば、構造強調処理などが行われる。なお、画質改善処理部116にも、必要に応じてメモリを接続して処理に必要な情報を格納するようにしてもよい。
【0030】
画質改善処理部112から画質改善処理部116までの各処理部により各種画像処理が施された映像信号は、映像出力部117において、表示装置6で表示可能な信号に変換された後、表示装置6に出力される。
【0031】
映像信号処理部41はCPU42と接続されており、映像信号処理部41の各ユニットの動作は、CPU42によって制御される。なお、映像信号処理部41の各ユニットにおける具体的な画像処理内容は、上述の一例に限定されるものではなく、例えば、調光処理やなど、必要に応じて他の処理を加えてもよい。また、個々の画像処理の順序も、上述の一例に限定されるものではなく、可能な範囲で順序を入れ替えてもよい。
【0032】
送気装置5は、送気部52と、流量測定部53と、制御部54とを有している。送気部52は、1次減圧器と、2次減圧器と、流量制御弁とが設けられており、シリコンやフッ素樹脂などで形成された送気管路によって、これらの部位はこの順に接続されている。図示しないガス供給源から供給された気体は、送気管路によって、1次減圧器、2次減圧器、流量制御弁をこの順に通過し、所定の圧力・流量に調整された後、流量測定部53を介して送気チューブ51から吐出される。
【0033】
制御部54は、送気部52に設けられた流量制御弁を制御し、内視鏡2に供給する気体の流量を所定の値に調整する。流量制御弁は、例えば、電磁駆動弁の一種であり、駆動部に電磁コイルを用いた調節弁で構成される。電磁コイルに電流を流すと磁力が生じ、プランジャを吸引して弁の開閉を行う。電磁コイルに流す電流の大きさによりプランジャの位置を制御することで、弁部の開度を制御し、送気管路内を流れる気体の流量を所定の値に調整する。制御部54は、流量測定部53の測定結果を弁部の開度調整にフィードバックする。また、流量測定部53の測定結果である体腔内への送気流量は、制御部54を介して信号変換装置9へ出力される。また、送気のオン/オフの切替タイミングに関する情報も、制御部54から信号変換装置9へ出力される。
【0034】
信号変換装置9は、信号変換部91を有する。信号変換部91は、送気装置5から入力される送気流量やオン/オフの切替タイミングに関する情報、圧力センサ7から入力される体腔内圧を、測定データプロセッサ11でデータ処理可能な信号に変換し、出力する。なお、信号変換装置9は、情報処置装置11内部に設けてもよい。
【0035】
測定データプロセッサ11は、音声信号処理部101と、信号処理部102と、記憶部103と、画像生成部104と、表示部11Aとを有する。音声信号処理部101は、マイクから入力される音声データ(音声波形信号)を、音圧データ(数値データ)に変換する。音圧データは、信号処理部102へ出力される。信号処理部102は、信号変換装置101から時系列で入力される測定データ(送気流量、送気のオン/オフの切替タイミング情報、及び、体腔内圧)や、音声信号処理部101から時系列で入力される音圧データを分析し、各データの最大値を算出したり、術者などが診断に必要とする各種データを算出したりする。信号処理部102に入力されるデータや、信号処理部102で生成されるデータは、記憶部103に格納されると共に、画像生成部104に出力される。
【0036】
画像生成部104は、入力される各種データに基づき、表示部11Aに表示させる検査情報画像を生成する。図3は、検査情報画像の一例を示す図である。表示部11Aに表示させる検査情報画像G2は、複数のエリアに分割されている。各エリアには、画像生成部104に入力された測定データに基づく数値やグラフが表示される。図3に示す一例では、検査情報画像G2は、画面縦方向に2分割、横方向に2分割、すなわち、4つのエリアに分割されている。
【0037】
画面上部に位置する2つのエリアには、体腔内圧に関する測定データが表示される。すなわち、信号変換装置101から時系列で入力される測定データ(送気流量、及び、体腔内圧)が表示される。具体的には、画面左上部に位置するエリアには、体腔内圧の経時変化のグラフ(圧力推移グラフG11)と、送気情報(送気がオンに切り替えられたタイミングからオフに切り替えられたタイミングまでの間である、送気を行なっている時間を示す範囲横棒グラフG15)とが表示される。なお、圧力推移グラフG11の横軸である時間軸と、送気情報を示す範囲横棒グラフG15の時間軸とは、同一の時間軸を用いている。画面右上部に位置するエリアには、体腔内圧に関する数値データG13(例えば、送気開始から現在までの体腔内圧の最大値、体腔内圧の現在値、及び、送気開始から現在までの送気量)が表示される。
【0038】
画面下部に位置する2つのエリアには、マイク10から入力される音声に関する測定データが表示される。具体的には、画面左下部に位置するエリアには、音声データ(音声波形信号)に基づく音声波形グラフG12が表示される。なお、音声波形グラフG12の横軸である時間軸は、圧力推移グラフG11の横軸である時間軸と同一の時間軸を用いている。また、画面右下部に位置するエリアには、音声信号処理部101で変換された音圧に関する数値データG14(例えば、現在までの最大音圧)が表示される。なお、図3に示す各エリアの配置はあくまでも一例であり、ユーザの好みや見易さなどに応じて自由に変更可能である。画像生成部104で生成された検査情報画像は、表示部11Aに表示させるとともに、表示装置6にも出力される。
【0039】
表示装置6は、信号A入力部61と、信号B入力部62と、映像重畳処理部63と、表示部6Aとを有する。信号A入力部61は、ビデオプロセッサ4から出力される内視鏡映像信号(時系列で入力される内視鏡画像)が入力される。信号B入力部62は、測定データプロセッサ11から出力される検査情報画像が入力される。映像重畳処理部63は、信号A入力部61から入力される内視鏡画像と、信号B入力部から入力される検査情報画像とを、時間的に同期させて重畳させ、重畳画像を生成する。なお、映像重畳処理部63は、信号A入力部61から入力される画像と、信号B入力部62から入力する画像のいずれか一方を選択して、表示部6Aに出力ことも可能である。すなわち、映像重畳処理部63は、内視鏡画像と検査情報画像との重畳画像、内視鏡検査画像、検査情報画像、のいずれかを、表示部6Aに出力する。映像重畳処理部63から表示部6Aに出力する画像は、検査者が指定することができる。
【0040】
図4は、内視鏡画像と検査情報画像の重畳画像の一例を示す図である。図4に示す重畳画像は、表示装置6の表示部6Aに表示される画像の一例である。図4に示すように、内視鏡画像G1と検査情報画像G2とを重畳して表示させる場合、検査情報画像G2は内視鏡画像G1よりも小さなサイズの領域に表示させることが好ましい。なぜなら、表示装置6の表示部6Aは、内視鏡画像G1において胃噴門部の下部食道括約筋(LES)の弛緩状態を観察するのが主な目的であり、また、検査情報画像G2は、測定データプロセッサ11の表示部11Aにも表示されるため、表示部6Aに表示させる検査情報画像G2は補助的な情報として用いられるからである。
【0041】
なお、表示装置6の表示部4Aに表示させる検査情報画像G2は、内視鏡画像G1と時間的に同期させて表示させているので、内視鏡画像G1を撮像した時点における各種測定データ(体腔内圧に関する測定データや、被検査者の口腔から発せられる音(ゲップ音)に関する音声データを一目で把握することができる。例えば、内視鏡画像G1において、胃噴門部の下部食道括約筋(LES)が、収縮状態から弛緩状態に変化したことが観察された場合、体腔内圧の変化や、ゲップ音の有無を併せて観察することにより、逆流性食道炎(以下、GERDと示す)の診断を迅速に行なうことができる。
【0042】
図3に示す検査情報画像G2と、図4に示す重畳画像は、健常者の検査画像の一例である。健常者を検査した場合、内視鏡画像G1において、送気開始直後は噴門部の弁は閉じた状態であるが、送気を継続していくと、ある時点で弁が開放し、下部食道括約筋(LES)が収縮状態から弛緩状態に変化する。また、体腔内圧は、送気開始直後から徐々に上昇し、噴門部の弁が開放した時点で一気に低下する。更に、送被検査者の口腔から発せられる音は、送気開始直後から無音状態が継続し、噴門部の弁が開放した時点で大きなガス放出音が発音される。
【0043】
図5は、検査情報画像の一例を示す図であり、図6は、内視鏡画像と検査情報画像の重畳画像の一例を示す図である。図5図6とは、GERD罹患者を検査した場合の画像の一例を示している。GERD罹患者を検査した場合、内視鏡画像G1において、送気開始直後から噴門部の弁は緩く開いており、送気を継続しても下部食道括約筋(LES)の弛緩状態にほとんど変化はみられない。また、体腔内圧も、送気開始直後からほとんど変化がみられず、急激な上昇や低下はみられない。更に、被検査者の口腔から発せられる音は、送気開始直後から常に低く弱い放出音が発音される。
【0044】
このように、本実施形態の内視鏡システムは、観察部位である胃噴門部に対して送気を行いながら、内視鏡2及びビデオプロセッサ4により検査部位の内視鏡画像を取得し、また、圧力センサ7により検査部位の体腔内圧を取得し、更に、マイク10によって被検査者の口腔から発せられる音声データを取得することができる。そして、測定データプロセッサ11において、体腔内圧の経時変化と音声データの経時変化と送気情報とを時間的に同期させた検査情報画像G2を生成する。更に、内視鏡画像G1と検査情報画像G2とを時間的に同期させ、診断に必要な情報を一元的に表示装置6に表示させることで、検査者が迅速に診断結果を得ることが可能となる。また、短時間で検査を行なうことができるので、患者への負担を軽減することができる。
【0045】
なお、本実施形態の内視鏡システムは、上述したGERD診断のための胃噴門部の検査に用いるだけでなく、肛門括約筋や尿道括約筋などの弛緩状態の検査に用いることもできる。
【0046】
また、体腔内への過送気を防止するため、体腔内圧の閾値圧力を予め設定し、検査中に圧力センサ7の測定値が閾値圧力以上になった場合に、検査情報画像G2において警告状態を示す表示をさせてもよい。図7は、過送気状態における検査情報画像の一例を示す図である。図7においては、圧力推移グラフG11における体腔内圧の測定値が、閾値圧力(圧力推移グラフG11において、点線で示す圧力値)を超えている。このような場合、例えば、体腔内圧に関する数値データG13の、送気開始から現在までの体腔内圧の最大値や、体腔内圧の現在値の表示色を通常の表示色と異なる色に変更したり、表示サイズを大きくしたり、数値を点滅させたり太字にするなど表示形式を変更したりする。このように、検査情報画像G2について通常とは異なる表示を行なうことにより、検査者に過送気の危険性を認識させ、安全に検査を行なうことができる。
【0047】
なお、警告状態を示す表示は、上述の表示方法に限定されず、例えば、警告メッセージを表示させるなど他の表示方法を用いてもよい。また、体腔内圧に閾値を設けるだけでなく、送気量や送気時間にも閾値を設けてもよい。
【0048】
また、測定データプロセッサ11の表示部11Aには、取得中のデータに基づき生成された検査情報画像G2だけでなく、記録部103に記録されているデータを読み出し、記録再生画像G3を表示させてもよい。図8は、記録再生画像の一例を示す図である。記録再生画像G3は、検査情報画像G2と同様のレイアウト構成を有する。すなわち、画面縦方向に2分割、横方向に2分割の4つのエリアに分割されている。画面左上部に位置するエリアには、圧力推移グラフG11と、送気情報(送気を行なっている時間を示す、範囲横棒グラフG15)とが表示される。画面右上部に位置するエリアには、体腔内圧に関する数値データG13が表示される。画面左下部に位置するエリアには、音声データ(音声波形信号)に基づく音声波形グラフG12が表示される。画面右下部に位置するエリアには、音声信号処理部101で変換された音圧に関する数値データG14が表示される。
【0049】
音声波形グラフG12の左側の領域には、再生ボタン132と停止ボタン133とが設けられている。また、圧力推移グラフG11と音声波形グラフG12には、カーソル131A、131Bが表示されている。すなわち、再生ボタン132を押下することにより、時間経過に従って、カーソル131A、131Bがグラフの時間軸上を右側に移動するとともに、カーソル131A、131Bが位置する時間における、体腔内圧に関する数値データと音圧に関する数値データとが、所定のエリアに表示される。また、停止ボタン133を押下すると、カーソル131A、131Bの移動が停止する。なお、カーソル131A、131Bは、再生ボタン132や停止ボタン133によって移動動作や停止動作を行なうだけでなく、ドラッグ動作などによって検査者が所望の時間位置に移動させることができるようにしてもよい。なお、表示部11Aに表示させる画像は、検査情報画像G2と記録再生画像G3を検査者が選択し、適宜切り替えて表示させることを可能とする。
【0050】
また、表示部11Aに記録再生画像G3を表示させている間は、カーソル131A、131Bが位置する時間に取得した内視鏡画像G1をビデオプロセッサ4の図示しない記憶部から読み出して、表示装置6の表示部6Aに表示させるようにしてもよい。このような構成にすることで、検査者は、検査後の測定データと内視鏡画像とを時間的に同期させて観察することができる。診断のためのデータ分析を精緻に行なうことができ、診断の精度を向上させることができる。
【0051】
なお、記録部103に記録されている各種測定データや、ビデオプロセッサ4の図示しない記憶部に記録されている内視鏡画像は、表示装置6に表示させるだけでなく、有線通信、無線通信、USBなどの記録媒体などにより、外部のデータベースや解析装置に出力することができるように構成してもよい。また、検査情報画像G2と内視鏡画像G1との重畳画像や、記録再生画像G3と内視鏡画像G1との重畳画像は、画像データとして保存したり外部の機器に出力したりできるように構成してもよい。
【0052】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、送気装置5から測定データプロセッサ11に対して、送気情報が送信されていた。これに対し、本実施の形態では、送気装置5から測定データプロセッサ11に対しての情報入力がなされない点が異なっている。
【0053】
図9は、第2実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図である。本実施形態の内視鏡システム1Aの構成要素は、図1に示す第1実施形態の内視鏡システム1と同様である。ただし、送気装置5と信号変換装置9とが接続されていない点が異なっている。圧力測定用プローブ8は、第1実施形態と同様、フィルタ付きのディスポ―サルプローブを使用し、検査ごとに新しいものと交換してもよいし、従来から使用されている圧力測定用プローブにディスポーザブルのフィルタを装着したものを用いてもよい。信号変換部9は、圧力センサ7から入力される体腔内圧を、測定データプロセッサ11でデータ処理可能な信号に変換し、出力する。その他の構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
図10は、第2実施形態に係わる検査情報画像の一例を示す図である。図9に示すような内視鏡システムを用いてGERD検査を実施した際に、測定データプロセッサ11の表示部11Aに表示される検査情報画像G2Aは、送気を行なっている時間を示す範囲横棒グラフG15の表示がない点と、体腔内圧に関する数値データG13として、送気開始から現在までの体腔内圧の最大値、体腔内圧の現在値が表示されているが、送気開始から現在までの送気量の表示がない点とを除き、図3に示す第1実施形態の検査情報画像G2と同様である。すなわち、本実施形態の内視鏡システム1Aは、送気装置5から送気に関する情報(送気流量やオン/オフの切替タイミングに関する情報)が測定データプロセッサ11に入力されないため、これらに関する画像が生成されず、図10に示すような検査情報画像G2Aが生成され表示される。なお、体腔内圧の経時変化と音声データの経時変化とを時間的に同期させて検査情報画像G2Aを生成する点は、第1実施形態と同様である。また、表示装置6の映像重畳処理部63において、内視鏡画像G1と検査情報画像G2Aとを時間的に同期させて重畳画像を生成し、当該重畳画像を表示部6Aに表示させる点も、第1実施形態と同様である。
【0055】
このように、本実施形態の内視鏡システム1Aは、観察部位である胃噴門部に対して送気を行いながら、内視鏡2及びビデオプロセッサ4により検査部位の内視鏡画像を取得し、また、圧力センサ7により検査部位の体腔内圧を取得し、更に、マイク10によって被検査者の口腔から発せられる音声データを取得することができる。そして、測定データプロセッサ11において、体腔内圧の経時変化と音声データの経時変化とを時間的に同期させた検査情報画像G2Aを生成する。更に、内視鏡画像G1と検査情報画像G2Aとを時間的に同期させて、診断に必要な情報を一元的に表示装置6に表示させることで、検査者が迅速に診断結果を得ることが可能となる。また、短時間で検査を行なうことができるので、患者への負担を軽減することができる。
【0056】
(第3実施形態)
上述の第2実施形態では、マイク10から被検査者の口腔から発せられる音声データを取得し、測定データプロセッサ11に対して音声データが送信されていた。これに対し、本実施の形態の内視鏡システム1Bは、マイクが設けられていない点が異なっている。
【0057】
図11は、第3実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図である。本実施形態の内視鏡システム1Bの構成要素は、図9に示す第2実施形態の内視鏡システム1Aからマイク10を削除した構成である。圧力測定用プローブ8は、第2実施形態と同様、フィルタ付きのディスポ―サルプローブを使用し、検査ごとに新しいものと交換してもよいし、従来から使用されている圧力測定用プローブにディスポーザブルのフィルタを装着したものを用いてもよい。マイクが設けられていないので、測定データプロセッサ11には音声信号処理部101が設けられていない。測定データプロセッサ11は、信号変換部9を介して圧力センサ7から入力される体腔内圧を分析し、各データの最大値を算出したり、術者などが診断に必要とする各種データを算出したりする。その他の構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図12は、第3実施形態に係わる検査情報画像の一例を示す図である。図11に示すような内視鏡システム1Bを用いてGERD検査を実施した際に、測定データプロセッサ11の表示部11Aに表示される検査情報画像G2Bは、マイク10から入力される音声に関する測定データ、すなわち、音声データ(音声波形信号)に基づく音声波形グラフG12と、音圧に関する数値データG14とが表示されない点を除き、図310示す第2実施形態の検査情報画像G2Aと同様である。すなわち、本実施形態の内視鏡システム1Bは、マイク10がないため、被検査者の口腔から発せられる音声データが測定データプロセッサ11に入力されない。従って、これらに関する画像が生成されず、図12に示すような検査情報画像G2Bが生成され表示される。
【0059】
なお、表示装置6の映像重畳処理部63において、内視鏡画像G1と検査情報画像G2Bとを時間的に同期させて重畳画像を生成し、当該重畳画像を表示部6Aに表示させる点は、第2実施形態と同様である。
【0060】
このように、本実施形態の内視鏡システム1Bは、観察部位である胃噴門部に対して送気を行いながら、内視鏡2及びビデオプロセッサ4により検査部位の内視鏡画像を取得し、また、圧力センサ7により検査部位の体腔内圧を取得することができる。そして、測定データプロセッサ11において、体腔内圧の経時変化をグラフ化及び数値化して表示する検査情報画像G2Bを生成する。更に、内視鏡画像G1と検査情報画像G2Bとを時間的に同期させて、診断に用いる情報のなかでも必要性が高い情報を一元的に表示装置6に表示させることで、検査者が迅速に診断結果を得ることが可能となる。また、短時間で検査を行なうことができるので、患者への負担を軽減することができる。
【0061】
なお、送気装置5における送気情報(送気流量や送気のオン/オフのタイミング情報など)を測定データプロセッサ11に入力し、検査情報画像G2Bに範囲横棒グラフG15を付加してもよい。また、検査情報画像G2Bにおける体腔内圧に関する数値データG13として、送気開始から現在までの体腔内圧の最大値、体腔内圧の現在値、に加え、送気開始から現在までの送気量を表示してもよい。
【0062】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態では、圧力センサ7で測定された体腔内圧データは、信号変換装置9を介して測定データプロセッサ11に送信されていた。これに対し、本実施の形態では、体腔内圧データは送気装置5Cを介して測定データプロセッサ11送信される点と、体腔内圧データと送気情報(送気流量や送気のオン/オフのタイミング情報など)とが信号変換装置9を介さず測定データプロセッサ11に送信される点が異なっている。
【0063】
図13は、第4実施形態に係わる内視鏡システムの全体構成の一例を説明する図である。本実施形態の内視鏡システム1Cの構成要素は、信号変換装置9が配置されていない点を除き、図1に示す第1実施形態の内視鏡システム1と同様である。構成要素の接続に関しては、送気装置5Cと測定データプロセッサ11とが直接接続されている点が、図1に示す第1実施形態の内視鏡システム1と異なっている。また、圧力センサ7は、送気装置5Cに接続されている点も異なっている。圧力測定用プローブ8は、第1実施形態と同様、フィルタ付きのディスポ―サルプローブを使用し、検査ごとに新しいものと交換してもよいし、従来から使用されている圧力測定用プローブにディスポーザブルのフィルタを装着したものを用いてもよい。その他の構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
図14は、第4実施形態に係わる内視鏡システムの機能構成の一例を示すブロック図である。圧力センサ7での体腔内圧の測定データは、送気装置5Cの制御部54に入力される。送気装置5Cの制御部54は、流量測定部53の測定データである体腔内への送気流量と、圧力センサ7から入力される体腔内圧の測定データとを、測定データプロセッサ11へ出力する。また、送気のオン/オフの切替タイミングに関する情報も、制御部54から測定データプロセッサ11へ出力される。その他の構成要素は、図2に示す第1実施形態に示す内視鏡システムの構成要素と同様であるので、説明を省略する。なお、測定データプロセッサ11で生成される検査情報画像は、図3に示す検査情報画像と同様であり、表示装置4で生成される重畳画像は、図4に示す重畳画像と同様である。
【0065】
このように、本実施形態の内視鏡システム1Cは、観察部位である胃噴門部に対して送気を行いながら、内視鏡2及びビデオプロセッサ4により検査部位の内視鏡画像を取得し、また、圧力センサ7により検査部位の体腔内圧を取得し、更に、マイク10によって被検査者の口腔から発せられる音声データを取得することができる。また、圧力センサ7で取得した体腔内圧を、送気装置5を介して測定データプロセッサ11に出力することで、送気流量や送気のオン/オフの切替タイミングに関する情報と体腔内圧とを一括して出力することができるので、体腔内圧と送気のオン/オフの切替タイミングとを時間的に同期させて出力することができる。従って、入力される各種データを時間的に同期させて検査情報画像G2を生成する処理が簡便になる。
【0066】
そして、測定データプロセッサ11において、体腔内圧の経時変化と音声データの経時変化とを時間的に同期させた検査情報画像G2を生成する。更に、内視鏡画像G1と検査情報画像G2とを時間的に同期させて、診断に必要な情報を一元的に表示装置6に表示させることで、検査者が迅速に診断結果を得ることが可能となる。また、短時間で検査を行なうことができるので、患者への負担を軽減することができる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1
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図10
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