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特許7459228電子モジュール、電子モジュールの製造方法および内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】電子モジュール、電子モジュールの製造方法および内視鏡
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240325BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20240325BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
H05K1/02 L
H05K3/00 W
H05K1/18 Q
H05K1/18 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022508632
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2020011566
(87)【国際公開番号】W WO2021186519
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】本原 寛幸
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-295038(JP,A)
【文献】特開平10-209413(JP,A)
【文献】特開2008-124923(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031276(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/133442(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/00
H05K 1/18
A61B 1/04
A61B 1/00
H01L 23/02
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と4つの壁面とが形成され、上記底面に複数の電極が設けられたキャビティ部を有する立体配線基板と、
上記複数の電極に実装された、複数のチップ部品および上記キャビティ部の開口部方向を撮像する撮像モジュールを含む複数の電子部品と、
を有し、
上記4つの壁面は、上記複数のチップ部品の並び方向に対応する第1の壁面と上記複数のチップ部品の並び方向に対応しない第2の壁面とを含み、上記第1及び第2の壁面は上記底面に対して傾斜している傾斜面であり、上記第1の壁面の傾斜角度は上記第2の壁面の傾斜角度よりも大きい
ことを特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
上記撮像モジュールが上記底面の中央部に実装され、上記複数のチップ部品が上記撮像モジュールの周囲に実装されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
上記第1の壁面に沿って上記底面に実装された配線パターンは、上記電子部品における実装面の裏面にまで延伸している
ことを特徴とする請求項2に記載の電子モジュール。
【請求項4】
上記キャビティ部と、上記複数の電子部品のうちの少なくとも1つの電子部品と、により形成される空間を充填される樹脂をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項5】
上記電子モジュールの少なくとも一部は、金属筐体内に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項6】
上記第1の壁面における当該傾斜する方向に配設された、上記電子モジュールが上記金属筐体内に配置されるときに当該電子モジュールを固定する組付け部をさらに有する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子モジュール。
【請求項7】
上記電子モジュールは、内視鏡先端部に配設され、
上記内視鏡先端部はチャンネルを有し、
当該電子モジュールと上記チャンネルとを、内視鏡挿入方向に対して直交するよう配置し、上記電子モジュールのキャビティ部の勾配方向は、隣接する上記チャンネルの並び方向と略直交方向である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項8】
上記チャンネルは可動部を備え、
上記可動部は鉗子起上台である
ことを特徴とする請求項7に記載の電子モジュール。
【請求項9】
射出成型において、ランナー方向に傾斜を有する4つの壁面であって上記傾斜の角度が相互に異なる第1及び第2の壁面および、上記ランナー方向に平行に広がる底部により形成されるキャビティ部を設けた構造に射出成型するステップと、
上記キャビティ部における上記底部から上記第1及び第2の壁面のうち上記傾斜が大きい壁面方向に沿って設けられた配線パターンを形成するステップと、
上記配線パターン上に配設された電極に複数の電子部品を実装するステップと、
を有することを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項10】
上記キャビティ部と、上記複数の電子部品における少なくとも1つの電子部品と、により形成される空間を樹脂により充填するステップ
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の電子モジュールの製造方法。
【請求項11】
底面と4つの壁面とが形成され、上記底面に複数の電極が設けられたキャビティ部を有する立体配線基板と、上記複数の電極に実装された、複数のチップ部品および上記キャビティ部の開口部方向を撮像する撮像モジュールを含む複数の電子部品と、を有し、上記4つの壁面は、上記複数のチップ部品の並び方向に対応する第1の壁面と上記複数のチップ部品の並び方向に対応しない第2の壁面とを含み、上記第1及び第2の壁面は上記底面に対して傾斜している傾斜面であり、上記第1の壁面の傾斜角度は上記第2の壁面の傾斜角度よりも大きい電子モジュールと、
前記電子モジュールを有する挿入部と、
を有することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型高集積でありながら廉価で信頼性の高い電子モジュール、電子モジュールの製造方法および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末の普及に伴って電子部品の小型化の流れが加速しており、これらを実装する基板に所定の機能を持たせて小型化を追求する技術の提案が活発になっている。例えば、日本国特開2016-86068号公報には、基体部とその外面に形成された配線パターンを備え、かつ、実装面に凹所形成し、基板が発光素子のリフレクタ機能を兼用して小型化する技術が開示されている。また、この日本国特開2016-86068号公報においては、立体回路基板の凹部の方向を平面回路基板に当接させて実装時することで閉空間を形成して、部品の実装スペースを確保している。
【0003】
しかしながら、上述した日本国特開2016-86068号公報には、立体基板の凹部への電子部品の実装を廉価、高集積にて行う技術についての課題は考慮されていない。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、立体基板への高集積化、高性能かつ廉価な超小型の電子モジュール、電子モジュールの製造方法および内視鏡を提供するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の電子モジュールは、底面と4つの壁面とが形成され、上記底面に複数の電極が設けられたキャビティ部を有する立体配線基板と、上記複数の電極に実装された、複数のチップ部品および上記キャビティ部の開口部方向を撮像する撮像モジュールを含む複数の電子部品と、を有し、上記4つの壁面、上記複数のチップ部品の並び方向に対応する第1の壁面と上記複数のチップ部品の並び方向に対応しない第2の壁面とを含み、上記第1及び第2の壁面は上記底面に対して傾斜している傾斜面であり、上記第1の壁面の傾斜角度は上記第2の壁面の傾斜角度よりも大きい
【0006】
本発明の一態様の電子モジュールの製造方法は、射出成型において、ランナー方向に傾斜を有する4つの壁面であって上記傾斜の角度が相互に異なる第1及び第2の壁面および、上記ランナー方向に平行に広がる底部により形成されるキャビティ部を設けた構造に射出成型するステップと、上記キャビティ部における上記底部から上記第1及び第2の壁面のうち上記傾斜が大きい壁面方向に沿って設けられた配線パターンを形成するステップと、上記配線パターン上に配設された電極に複数の電子部品を実装するステップと、を有する。
【0007】
本発明の一態様の内視鏡は、底面と4つの壁面とが形成され、上記底面に複数の電極が設けられたキャビティ部を有する立体配線基板と、上記複数の電極に実装された、複数のチップ部品および上記キャビティ部の開口部方向を撮像する撮像モジュールを含む複数の電子部品と、有し、上記4つの壁面、上記複数のチップ部品の並び方向に対応する第1の壁面と上記複数のチップ部品の並び方向に対応しない第2の壁面とを含み、上記第1及び第2の壁面は上記底面に対して傾斜している傾斜面であり、上記第1の壁面の傾斜角度は上記第2の壁面の傾斜角度よりも大きい電子モジュールと、前記電子モジュールを有する挿入部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子モジュールを示した拡大斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電子モジュールを側方から示した側断面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る電子モジュールが適用される内視鏡における挿入部先端部の構成を示した要部拡大斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る電子モジュールが適用される内視鏡における挿入部先端部の一部を切り取って示した側断面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る電子モジュールのキャビティ内部にはんだペーストを供給する様子を示した側面図である。
図6図6は、電子モジュールが勾配の無い壁面により形成されたと仮定した際における電子モジュールのキャビティ部とディスペンサノズルとの位置関係を示した側面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る電子モジュールの製造方法を示したフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態に係る電子モジュールの製造工程を示した説明図である。
図9図9は、電子モジュールに係るレーザープロセスにおいて、電子モジュールの形状とレーザー光との関係を説明するための図である。
図10図10は、電子モジュールに係るレーザープロセスにおいて、電子モジュールの形状とレーザー光との関係を説明するための図である。
図11図11は、本発明の第2の実施形態に係る電子モジュールが適用される内視鏡における挿入部先端部の内部構成を示した要部拡大斜視図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る電子モジュールが適用される内視鏡における挿入部先端部の一部を切り取って示した側断面図である。
図13図13は、本発明の第3の実施形態に係る電子モジュールを示した斜視図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る電子モジュールを裏面側から示した斜視図である。
図15図15は、第3の実施形態に係る電子モジュールを側方から示した側断面図である。
図16図16は、電子モジュールに係るレーザープロセスにおいて、電子モジュールの形状とレーザー光との関係を説明するための図である。
図17図17は、第1~第3の実施形態の電子モジュールが適用される内視鏡システムを示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするために、構成要素毎に縮尺を異ならせることがあり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0011】
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態として、電子モジュールを小型化するために、キャビティ(くぼみ)部を有する成型部品の中に複数のチップ部品等を収めて実装した例について説明する。
【0012】
この電子モジュールは、内蔵する電子部品が、例えば、撮像モジュールである場合、撮像ユニットとして使用することが可能である。この場合、様々な小型カメラに利用でき、小型化することでウェアラブル端末、内視鏡先端部などに組み付けて、対象物の撮像が可能となる。
【0013】
なお、箱状成形品の金型で箱の外側部分が雌型でキャビティと呼ぶが、キャビティ(Cavity)とは,「空洞、穴、窪み」という意味があることから、ここでは、成型品のくぼみをキャビティ部と呼んでいる。
【0014】
本実施形態において、成型部品は、いわゆるMID(Molded Interconnect Devices)技術によって形成されている。ここで、MIDとは、射出成形品等の立体成形品の表面に電気回路用の配線を一体形成した3次元成形回路部品のことで、このMID技術を用いることで、従来の2次元回路とは異なり、傾斜面、垂直面、曲面、成形体内部の貫通孔等にも回路用配線を形成することができるようになる。
【0015】
なお、このMIDとしては、特に日本国特開2008-159942号公報、日本国特開2011-134777号公報に開示されている微細複合加工技術を用いることができる。この微細複合加工技術によれば、射出成形品の表面に電気回路を形成するMID技術に、成形表面活性化処理技術とレーザーパターニング工法等を用いることで、微細パターニング、かつ、ベアチップ実装が可能な、いわゆる3D実装デバイスを実現することができる。
【0016】
以下、本発明の第1の実施形態に係る電子モジュール50について、図1図2等を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子モジュールを示した拡大斜視図であり、図2は、第1の実施形態に係る電子モジュールを側方から示した側断面図である。
【0017】
図1図2に示すように、電子モジュール50は、底部52から延設された4つの壁面51a、51b、51c、51dにより形成されるキャビティ部55を有するMID枠部51を備える。
【0018】
また、電子モジュール50は、MID枠部51のキャビティ部55における底部52において、例えば、成形MID製造プロセスにより、壁面51a、51bの勾配方向に沿って配線パターンおよび電極が成形されている。
【0019】
具体的には、例えば、射出成型ステップにより成形されたMID枠部51に対して、成形品表面にレーザー光を照射してパターニングおよび活性化し、めっきを施すことで活性化された部分のみがメタライズされて、配線パターン(図示せず)を形成すると共に、配線パターンのランド(図示せず)上に複数の電子部品を実装可能としている。
【0020】
この実装される電子部品は、本実施形態においては、上述した撮像モジュール61の他、コンデンサ、抵抗等のチップ部品62、63等である。
【0021】
ここで撮像モジュール61は、撮像素子の受光面が実装面と並行で、撮像素子上に積層された光学系の光軸は実装面に対して略垂直の方向となるため底部52から立設する高さ方向の長さが比較的長い(すなわち、比較的高い)部品である。なお、ここでは撮像素子の例で説明しているが、撮像素子以外で高さ方向の長さが比較的長い部品でも同様に扱えることは言うまでもない。一方、チップ部品62、63は、同高さ方向の長さが比較的短い(比較的低い)部品である。
【0022】
また、本実施形態においては、撮像モジュール61は、キャビティ部55内において、制御信号もしくは出力信号を扱う配線を引き回す自由度確保、または光学的な影響をキャビティ部から受けないように、底部52の比較的中央部に実装される。チップ部品62、63は、配線が少なく、キャビティ部55からの影響もないので底部52における壁面51bの近傍の配線パターン上に配設される。
【0023】
また、このようにキャビティ内の比較的中央部にチップを実装し、キャビティ内を樹脂86で充填した場合、温度特性で樹脂の膨張収縮がある場合に、壁面とチップ間の膨張収縮によるバランスを整えて、電子部品への偏ったストレスを軽減する設計が可能である。すなわち、立体基板のキャビティ部において、それぞれ対向するキャビティ壁面の形状を、センサなど電子部品実装部を中心に対称な形状にして(例えば同様の傾き、勾配にするなど)、ストレスの偏りをなくす設計が考えられる。
【0024】
また、電子モジュール50は、撮像モジュール61における撮像素子を制御する信号または撮像素子で生成された撮像信号を伝達するための撮像ケーブル71の先端部が配設されるようになっている。
【0025】
ところで、本実施形態に係る電子モジュール50は小型で単純な構成であるために、様々な機器に搭載可能である。例えば、図3に示すように、本実施形態における電子モジュールを、内視鏡先端部23に搭載するもできる。この先端部23は、図示しない内視鏡の挿入部の先端部分であり、例えば金属製の硬質の先枠部23aを有する。なお、この先枠部23aは、電子モジュールの複数の面をガードして、たとえば、取り扱い時に衝突の衝撃を受けにくくなるという利点がある。硬質の先枠部23aの材質は金属に限らない。
【0026】
先枠部23aには、光源装置からのライトガイド経由で伝送された照明光を照射する照明光学系41が配設されると共に、前記ライトガイドに並設される処置具挿通チャンネル26の開口部が配設されている。なお処置具挿通チャンネル26には、所定の処置具が挿入可能となっている。電子モジュールが小型であるので、こうしたレイアウトでの設計が可能となる。
【0027】
撮像ケーブル71は、図示はしないがケーブル本体(被覆部)とケーブル本体の先端部に形成された電気接点部(芯線部)とを有し、図示しない内視鏡挿入部の例えば図示しない可撓管部内を延設され、撮像モジュール61における図示しない撮像素子によって生成された撮像信号を伝達する。
【0028】
また、撮像ケーブル71の信号線(導体電線、電気伝導体)は、図4に示すようにMID電極へのはんだ付け部72にはんだ付けされる。このように、電子モジュール実装方向から、その背面まで立体構造を回り込むように導電パターンを形成できるのは、MIDならではの特性を生かした設計と言える。
【0029】
ここで、図4は、図3で説明した電子モジュールを組み込んだ内視鏡挿入部における先端部の一部を切り取って示した側断面図である。
【0030】
撮像ケーブル71は、図示はしないがケーブル本体(被覆部)とケーブル本体の先端部に形成された電気接点部(芯線部)とを有し、図示しない内視鏡挿入部における図示しない可撓管部内を延設される。また撮像ケーブル71は、撮像モジュール61の電子部品実装面から背面までパターンを形成した、図示していない電極部(電気接点部、はんだ付け用ランド)とはんだ付けにて電気的に接続され、制御信号および撮像信号が通信できるようになっている。
【0031】
このように先端部23の組み込みにおいて、はんだ付け用のスペースを、撮像の邪魔になることなく、また、撮像部の径方向(光軸に垂直な方向あるいは内視鏡挿入方向と垂直な方向)に厚みを増すことなく設けることが可能となる。さらに、MID特有の立体形状の工夫によりはんだ付け用のスペースを確保することができ、作業性も向上し、小型化を実現することができる。
【0032】
このような接続として、例えばコネクタなどを設ける場合もあるが、配置スペースもない場合に有効である。また、コネクタ配置のスペースとする応用も可能である。
【0033】
また、上述した径方向の寸法を小さくして、内視鏡の挿入時の容易さを増す設計にでき、併設した光源装置からのライトガイドまたは照明光学系のスペースを確保すると共に、処置具挿通チャンネル26のスペースを確保して、明るく照明範囲が適切な光源とすることができ、複雑な処置に対応可能な高性能、高機能内視鏡とすることに寄与している。つまり、キャビティ部の開口の大きさに影響を受けない凹部、へこみ部を設けることによって、電気的接続用のスペースを設けたことに特徴を有するものである。
【0034】
上述したように、本実施形態の電子モジュール50によると、MID枠部51におけるキャビティ部55は、例えば4つの壁面により全周が覆われている。これは撮像素子およびチップ部品が一般に実装面上で四角い範囲を占めるからであるが、これら部品の安定用に封止用樹脂をキャビティ部55内部に充填した場合においても、当該樹脂が外部に流れ出ることがない。
【0035】
なお、底面が三角形なら壁面は3つでもよく、封止用樹脂のこぼれ対策を行って封止すれば、本実施形態のようなキャビティ部の壁のいくつかの辺はなくとも良い。また、上記4つの壁面のうち、少なくとも1面について、キャビティ部の開口が広がるように勾配を形成することで(本実施形態においては、壁面51aと51bとが勾配を有する)、開口が広く、また、MID枠部51の成形、配線パターンの作成、電子部品の実装がしやすく、信頼性の向上も期待できる。内視鏡先端部に本実施形態の電子モジュールを設ける場合は、内視鏡挿入部の挿入方向に対して勾配を有するように形成している。
【0036】
この壁面51a、51bの勾配は、壁面51c、51dより傾斜角度が大きく設定されている。この壁面51a、51bの勾配は、後述する実装ツールの形状またはレーザー加工を容易にし、樹脂の流し込みをしやすくするための勾配で、おおよそ5°以上を想定し、壁面51c、51dの一般的な射出成型の抜き勾配である3°以下より傾斜している。
【0037】
この壁面51a、51bの傾斜角度が大きいと、レーザー加工または樹脂充填が容易になるが、電子モジュール全体のサイズが大きくなってしまう。そのため、必要な方向の壁面にのみ勾配をつけることで影響を抑えることが可能である。例えば、撮像素子の実装面または受光面が長方形の場合などは、傾斜角度が大きい方に素子受光面、実装面の長手方向に合わせて実装することで、光学的なケラレの影響を軽減しつつ、電子モジュールサイズの拡大を最小限にできる。
【0038】
また、キャビティ部を構成する複数の壁面のうち、いくつかの壁面に傾斜をつけることによって、封止樹脂が温度によって膨張収縮するときの応力を開口部に逃げるように設計することが出来る。本実施形態においては、壁面51a、51bに、この傾斜による応力分散の機能を持たせている。こうして、壁面51a、51bに設けた勾配によって、加工性および信頼性に優れた電子モジュールにすることが可能となる。
【0039】
ここで、本実施形態における、MID利用のキャビティ部付き電子モジュールへの各部品の実装方法を説明するが、実装部品のはんだ付けのためにはまず、正しい位置にはんだペーストが塗布できる必要がある。そのため、壁面51a、51bの近傍に配設されるチップ部品62、63をはんだ付けするためのはんだペーストの供給について図5図6を参照して説明する。
【0040】
図5は、第1の実施形態に係る電子モジュールのキャビティ内部にはんだペーストを供給するためのディスペンサノズルを示し、はんだペーストを供給する様子も示した側断面図である。
【0041】
図5に示すように、本実施形態の電子モジュール50に対応するはんだ付け用のディスペンサノズル81は、ノズル内径部82の精密ノズルであり、先端部において所定の角度を有するテーパー81aが形成される。なお、電子モジュール50のMID枠部51における上記壁面51aの勾配角度は、上記テーパー81aの角度に対応した角度に設定されている。
【0042】
キャビティ部55における配線パターン上の電極に対してはんだペースト83を供給する際は、図5に示すように、ディスペンサノズル81におけるノズル内径部82の先端82aを、所定の電極上に位置決めした後、当該先端82aからはんだペースト83を塗布する。
【0043】
また、上述したようにディスペンサノズル81の先端部にはテーパー81aがつけられ、すなわち基端部にかけて末広がりの形状を呈するが、このテーパー81aの角度は壁面51aに係る勾配角度に対応しているので、キャビティ部55の底部52における壁面51aの近傍に配設されたチップ部品62に対応する電極に対してはんだペーストを供給する場合においても、当該壁面51aによってディスペンサノズル81の先端部が干渉されることはなく、実装面の壁の際近くまでスムースなはんだ供給を実施することができる。
【0044】
一方、図6に示すように、仮に、電子モジュールが勾配の無い壁面により形成されたと仮定すると、キャビティ部内部の底部にはディスペンサノズル102の先端面と壁との干渉により、壁近傍にははんだ塗布ができない無駄なスペースが生じてしまう。そして、電子モジュールが勾配の無い壁面により形成された場合であっても、壁面の強度を考慮すると一定の肉厚は確保しなければならないため、電子部品の実装エリアを確保すると全体が大きくなってしまう。一方で、MIDの壁に勾配がある場合は、最上位の肉厚は底部付近の肉厚より薄いが底部の肉厚を確保して成形されるので、強度的にも有利となる。
【0045】
<電子モジュール50の製造工程>
次に電子モジュール50の製造工程について図7図8を参照して説明する。
【0046】
図7は、第1の実施形態に係る電子モジュールの製造方法を示したフローチャートであり、図8は、電子モジュールの製造工程を示した説明図である。なお、ここで示す壁面などの記号は図1等を参照するものとし、主な部位のみ記号を記すことによって図が煩雑にならないようにした。
【0047】
電子モジュール50を製造する場合、まず、所定の樹脂材料を金型にセットし、射出成型において、多数個取りする場合は、ランナー方向に直交する方向、かつ、多数個取りの配列方向に直交する方向に、勾配を有する壁面51a、51bを含む複数の壁面(51a、51b、51c,51d)および底部52により形成されるキャビティ部55の開口部を設けたMID枠部51に射出成型する(ステップS1)。
【0048】
次に、キャビティ部55における底部52において、壁面51a、51bの勾配が形成された面に配線パターンが形成される(ステップS2)。
【0049】
このステップS2においては、例えば、上述した射出成型ステップにより成形されたMID枠部51に対して、成形品表面にレーザー光を照射してパターニングおよび活性化し、めっきを施すことで活性化された部分のみがメタライズされて、配線パターン253を成形すると共に、配線パターン上に複数の電極を形成する。
【0050】
次に、配線パターン上に成形された複数の電極のそれぞれに、対応する電子部品(撮像モジュール61、チップ部品62、63)を実装するためのはんだペーストを供給する(ステップS3)。
【0051】
このステップS3においてキャビティ部55における配線パターン上の電極に対してはんだペーストを供給する際は、図5に示すように、ディスペンサノズル81におけるノズル内径部82の先端82aを、所定の電極上に位置決めした後、当該先端82aからはんだペースト83を塗布する。
【0052】
次に、電子部品、例えば撮像モジュール61、チップ部品62、63を対応する電極にマウントして実装する(ステップS4)。
【0053】
次に、キャビティ部55の内部において、上記壁面51a、51b、51c、51dと、上記複数の実装部品(撮像モジュール61、チップ部品62、63)と、により形成される空間に所定の樹脂86で充填して封止する(ステップS5;図2参照)。
【0054】
このステップS5において樹脂による封止が完了すると、切り離し工程(個片化)を実行し(ステップS6)、上記各電子部品が実装された電子モジュール50が完成する。なお、切り離し工程はプロセスの最後でなくてもよく、例えば、成型工程の直後でも良い。電子モジュール製造プロセス全体を俯瞰し、適切なタイミングで実施される。
【0055】
次に、上述したように、MID枠部51の壁面51a、51bには、所定の勾配がつけられているが、この壁面51a、51bに勾配がつけられていることの効果について、図9図10および図16を用いて説明する。
【0056】
図9図10および図16は、電子モジュールに係るレーザープロセスにおいて、電子モジュールの形状と電気的接続パターン形成用のレーザー光照射との関係を説明するための図である。
【0057】
本実施形態の如き電子モジュール50をレーザープロセスにより作製する場合においては、理想的には電気的導通パターン(配線パターン)の形成対象となる樹脂面に対して適切な角度を保ってレーザー照射されることが望ましいが、図9のような切り立った壁面であると、壁部の陰となってレーザー照射ができず、キャビティ底部から壁面を乗り上げるパターン形成が出来ない。
【0058】
そこで、本実施形態の如く壁面を勾配させた構成とすると、図10に示すように、レーザー光を矢印方向にスキャンして一度のスキャンで手間をかけずにキャビティ底部の部品実装部から連続した配線パターンをキャビティ部外まで引き回すことが可能となる。このように壁部勾配によって、レーザープロセスを単純化して、確実な配線で信頼性が高く、廉価なモジュールが製造可能となる。
【0059】
レーザー照射角度は、対象となる樹脂面に対して90°で照射されることが理想的であり、照射角度が浅くなるにつれ品質は劣化する。
【0060】
また、例えば、図16に示すように、電子モジュールのキャビティ部が勾配の無い壁面により形成され、かつ、キャビティの深さが深い場合は、レーザー光が壁面によりけられてしまうため、すなわち、作製の自由度が低い。
【0061】
これに対して、例えば本実施形態の如き電子モジュール50は、上述したように、キャビティ部55を形成する4つの壁面のうち、壁面51a、51bについては勾配をつけたので、この勾配の存在によりキャビティ部55の形状の自由度が高くなる。レーザースキャンのみならず、MID部材側を動かして照射位置を切り替えて配線パターンを作ってもよく、これらを組み合わせてもよい。実装部の反対の方向まで照射するには、複数のレーザー光源を使用、または、部品の傾きを変えてもよい。
【0062】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡における挿入部先端部の内部構成を示した要部拡大斜視図であり、図12は、挿入部先端部の一部を切り取って示した側断面である。
【0063】
図11に示すように、本第2の実施形態は、内視鏡の挿入時に側面を撮像するように図1で示したようなMID枠部151で囲まれた電子モジュール150を配置している。
【0064】
図示しない挿入部の先端部123には、光源装置からのライトガイド124を経由して伝送された照明光を照射する照明光学系132と、撮像モジュール161と、が配設されている。
【0065】
先端部123における電子モジュール150は、(例えば金属製の)硬質の先枠部123aのくぼみに収められ、電子モジュールの複数の面をガードして、たとえば、取り扱い時に衝突の衝撃を受けにくくなるという利点がある。
【0066】
さらに、硬質の先枠部123aには、電子モジュール150に対して処置具挿通チャンネル131が並設され、所定の処置具が挿入可能となっている。このように、内視鏡挿入方向と異なる方向の処置具の動きの様子を確認できる位置に電子モジュール150(と照明光学系132)が配設するため、処置具挿通チャンネル131と共にこの電子モジュール150を小型にする必要がある。
【0067】
特に内視鏡挿入方向に対して直交する方向は、挿入部を被検体の体腔に挿入する場合の苦痛を減らし、その他の検査でも小さな穴からの挿入を可能にするため、小さくすることが重要である。そのため、勾配のある壁面151a、151bを内視鏡挿入方向に合わせるようなレイアウトにしてある。
【0068】
処置具挿通チャンネル131の前方には、いわゆる処置具の起上台が配設されており処置具挿通チャンネル131に挿通された処置具が当該起上台の動作において、処置具先端部の向きを変更可能となっている。ここからさらに小型の内視鏡を突出させることも出来る。このような挿通チャンネルは、操作性に富む処置具が出入りする、あるいは起上台の上で向きを変える時の変形を防止するため、金属または樹脂などの硬質の材料を使った部材となっている。
【0069】
この方向変更の際には、例えば、ワイヤを使ってこしの強い部材をけん引する必要があり、その力を受けても変形が抑えられ、正しい位置に処置具を制御できることが重要となる。この時の力の影響またはメカニズム配置の影響を受けないように、電子モジュールは挿入方向(これがけん引方向ともなる)に対して直交する方向に、挿通チャンネル131と並べて配置してある。
【0070】
図12には、図4と同様に、撮像素子などを制御し、撮像信号を通信するケーブル線からの配線をはんだ付けするはんだ付け部172を設けるスペースが電子モジュール150にあることを示している。このように、シールド等の効果のあるケーブル線をなるべく電子部品の近くまで持ってくる配置によってノイズなどの影響を受けにくい、信頼性が高く高画質の設計にできる。
【0071】
ここでは、ケーブル171をなるべく電子モジュール150に近づけることが出来るように、電子モジュールの実装面の反対の部分にへこみ部(凹部)を設けて、MIDならではの立体形状の工夫で小型化を達成している。
【0072】
第1の実施形態では、このへこみ部にはんだの盛り上がりを収める例を示したが、ここでは、ケーブルそのものを収めるスペースとした。このケーブルと電子モジュール150の電極とのはんだ付け部は、第3の実施形態において説明する。
【0073】
また、先のけん引のメカニズムのレイアウトに邪魔することなくケーブル配線が可能となっている。このように、本発明の特徴である小型電子モジュールを提供することによって側視型の内視鏡を小型化することが出来る。さらに、確実な処置具制御や撮像素子制御で、信頼性の高い、使いやすい内視鏡製品を提供可能となる。
【0074】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図13図15は、本発明の第3の実施形態を示すものであるが、これらの図面を用いて、上述した第1実施形態および第2の実施形態についても併せて説明できるように、ここでは配線パターンもわかりやすく図示している。すなわち、上述した第1の実施形態および第2の実施形態に係る図面において記載していない部分は、ここで説明する内容に準ずるものとする。
【0075】
図13に示すように、この第3の実施形態は、電子モジュール250を内視鏡先端部などに組み付けやすくするための組付け部256を有する。
【0076】
この組付け部256は、例えば、ビス等を使って位置決めが出来るように、凹部を有している。これはこの電子モジュール250のキャビティ部の勾配と同じ方向に延長部を設けて成型された部分に設けられ、例えば内視鏡挿入方向に合わせることによって、挿入時の障害となる径方向を抑えた寸法にしている。
【0077】
組付け作業で金属配線パターンを触って欠けなどの不具合を生じないように、この部分をハンドリングすることが出来るので、製品製造時、あるいはモジュール検査時の取り扱いを改善した設計になっている。
【0078】
また、図15は、本第3の実施形態に係る電子モジュールの側断面図であり、第1、第2の実施形態と同様、枠部材(MID)のキャビティ部の勾配と、電子部品の関係も、勾配のある方向の実装面を有効に利用して並んでいる。
【0079】
積層レンズなどで実装面に対して高さのある撮像モジュール261は、必要に応じてキャビティ内に封止樹脂を充填することで封止されている。樹脂充填時も、この勾配部に沿っての樹脂の流し込みによって気泡の発生等を防止でき、あふれ出しやこぼれだしを防いで、周囲に充填される封止樹脂の量が略均一になるように管理した、信頼精向上の観点からも好ましい製造が可能となる。
【0080】
本実施形態は、樹脂、光学系の材料または設計上の工夫により水密構造にすることも可能で、小型であるがゆえに様々な用途に展開が可能である。
【0081】
また、この勾配がある壁が並んだ方法に延長した延長部の方向は、図8で説明したランナーが伸びる方向でもある。さらにこれは、内視鏡先端部などに、当該電子モジュール(撮像ユニット)を組み付けるときに、挿入方向を伸ばした形状となり、狭いところに入るための小型化に寄与している。つまり、組付け部を設けることによって、挿入方向に直行する方向の長さが長くなることがない設計になっている。
【0082】
射出成型時にはこのランナー方向から樹脂が注入される。フィラーを含む樹脂は、流動方向の線膨張係数が直角方向に対して小さいことが一般的に知られている。キャビティの壁が流動方向に直角である、すなわち、電子部品が実装されるキャビティの底面は樹脂の流動方向と平行になるため、線膨張係数が小さく、信頼性の観点で有利である。
【0083】
また、キャビティ内の比較的中央部に電子部品を実装し、キャビティ内を樹脂で満たして充填した場合、温度特性で樹脂の膨張収縮がある場合を想定し、立体基板のキャビティ部において、対向するそれぞれのキャビティ壁面の形状をセンサなど電子部品実装部を中心に対称な形状にしてもよい。これによって、壁面と電子部品間の膨張収縮によってかかる力のバランスを整えて、電子部品への偏ったストレスを軽減することが期待できる。
【0084】
また、このような延長部があると、キャビティ部から勾配のある壁面に沿ったケーブル(図4参照)までの配線パターンが長くなって信号の質が劣化してしまうので、短い距離での撮像素子等の実装面の裏にある配線引き回しが出来るように、貫通孔252を設けている。この孔252を使って短い配線ではんだ付け部までのパターン253が作れるうえ、パターンに沿って連続的に照射するレーザー光のスキャン範囲の単純化を可能にしている。また、このような工夫で製造を容易にしている。
【0085】
すなわち、立体基板のキャビティ部と異なる部位には、立体基板表裏面に貫通する貫通孔を有しており上記開口部表面を介してセンサ実装部端子と外部端子を接続するためのパターンを形成した。貫通孔によって、配線工程作成の手間を省いて製造を容易に、かつ配線そのものを短くして、当該モジュールの検査時または実使用時に、信号線に入るノイズなどの影響を低減している。また、配線の一部が貫通孔を形成する部分でぶつかりにくくなっており、取り扱いもよくなり、生産性向上に寄与している。
【0086】
さらに図15に示すように、この延長部を把持して当該電子モジュール250が取り扱われるときに、枠部材底部が平らになっていて、作業台などに乗せやすい構造であることもわかる。
【0087】
また、図14に示す本第3の実施形態に係る電子モジュールにおける背面の斜視図でも明らかなように、この第3の実施形態では、第1、第2の実施形態においては説明を省略した配線パターン253が、どのようにキャビティ部から這いまわされているかも確認できるようにしている。
【0088】
これは図13と併せて、実装面から勾配部に沿って上った配線が、どのようにはんだ付けランド254に続いているかについても図示してあるが、第1、第2の実施形態も同様の配線を想定している。
【0089】
特に、第2の実施形態(図11)におけるケーブルは、この図14に図示したケーブル接続電極(はんだ付けランド)254にはんだ付けすることを想定している。
【0090】
第1の実施形態におけるはんだ付けランドは、図14で言えば、電子回路側に配線を辿って、モジュール底面と略直交する面の部分に設ければよい。
【0091】
また、検査台などに載置して、撮像素子などの機能、性能を検証できるように検査用電極255を、実装面の裏面に相当するモジュール底面に設けてある。これによって、検査時に撮像素子などに入射させる対象物の像に対して遮蔽などなく、撮像信号を含めた検査が可能となる。
【0092】
すなわち、撮像素子の視野方向の裏側に撮像素子等の信号用に延伸したパターンは、上記センサ実装部裏の平行な平面に設けられた検査用端子に電気的に接続されることで検査の工程で、検査用治具や回路、配線などの影響を受けにくくし、チェックピンなどの当てつけを確実にすることが出来る。
【0093】
次に、第1~第3の実施形態の電子モジュールが適用される内視鏡システムについて、図17を参照して説明する。
【0094】
図17に示すように、内視鏡システム9は、内視鏡2と、プロセッサ5Aと、光源装置5Bと、モニタ5Cと、を具備する。内視鏡2は、挿入部3を被検体の体腔内に挿入することによって、被検体の体内画像を撮像し撮像信号を出力する。すなわち、内視鏡2は挿入部3の先端部に、電子モジュール(撮像ユニット)50,150,250のいずれかを具備する。
【0095】
内視鏡2の挿入部3の基端側には、内視鏡2を操作する各種ボタン類が設けられた操作部4が配設されている。操作部4には、被検体の体腔内に、生体鉗子、電気メスおよび検査プローブ等の処置具を挿入するチャンネルの処置具挿入口4Aがある。先端にチャンネル開口部がある。
【0096】
挿入部3は、撮像装置1が配設されている先端部3Aと、先端部3Aの基端側に連設された湾曲自在な湾曲部3Bと、この湾曲部3Bの基端側に連設された可撓管部3Cとによって構成される。湾曲部3Bは、操作部4の操作によって湾曲する。
【0097】
操作部4の基端部側に配設されたユニバーサルコード4Bには、先端部3Aの撮像装置1と接続された信号ケーブル75が挿通している。
【0098】
ユニバーサルコード4Bは、コネクタ4Cを介してプロセッサ5Aおよび光源装置5Bに接続される。プロセッサ5Aは内視鏡システム9の全体を制御するとともに、撮像装置1が出力する撮像信号に信号処理を行い画像信号として出力する。モニタ5Cは、プロセッサ5Aが出力する画像信号を表示する。
【0099】
光源装置5Bは、例えば、白色LEDを有する。光源装置5Bが出射する白色光は、ユニバーサルコード4Bを挿通するライトガイド(不図示)を介して先端部3Aの照明光学系(不図示)に導光され、被写体を照明する。
【0100】
内視鏡2は、挿入部の先端部に小型撮像装置50、150、250を具備するため、細形化が可能となる。以上、説明したように、この撮像ユニット(電子モジュール)とチャンネルとを、内視鏡挿入方向に対して直交するように先端部に配置した内視鏡にすることで、チャンネル部を出し入れする部材のストレスを、この撮像ユニットは受けにくくなり、この撮像ユニットの底面と複数の壁とが形成されたキャビティ部を有する立体配線基板と、その底面に設けられた電極に実装された複数の電子部品などは安全に保護される。上記キャビティ部の複数の壁のうち、上記複数の電子部品の並び方向に対応する壁がキャビティ部底面に対して傾斜し、かつ、隣接する前記チャンネルの並び方向と略直交方向であることを特徴としたので、この内視鏡の先端を細くして挿入容易にすることが出来る。
【0101】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。例えば、内視鏡として説明した部分は、その他コンシューマ用カメラ、産業用カメラ、車載カメラ、監視カメラなどに置き換えた応用が可能である。つまり、本発明の小型化の特徴を活かせば、撮像ユニットを制御し、その信号を受け取るケーブル配線を含め、この配線の引き出し方向に直交する方向に対して、省スペース化が出来るので、小さなスペースに配置した撮像ユニットに対し、それを制御する制御回路が離れて配置されるようなシステムやレイアウトの場合でも、高性能の撮像装置を組み込む事が可能となる。したがって、車外、車内の死角なく、様々な場所を撮像するニーズがある自動車では、多くの撮像ユニットを搭載するため、本発明のような配線まで含めての小型化は重要で、組み込み時の設計が容易になる。また、携帯性ゆえに小型軽量化が求められる携帯端末、あるいは置き場所を小さくしたいAIスピーカーをはじめとするネット端末、IoT家電、日常を見守って対象の安全を保障する見守り用カメラにも応用することが出来る。さらに、移動機能が重要なため小型化、軽量化、さらに機器の重心やバランスも重要なロボット(掃除機なども含む)、ドローンなど移動体への組み込みも容易な撮像ユニットとなっている。
【0102】
また、上記記載で電子モジュール、撮像ユニットのキャビティ部を有する立体配線基板は、射出成型によるMID技術で作成されたものに限定する必要はなく、例えば、3Dプリンタによる加工または切削加工によって作成してもよい。材質も樹脂には限定されず、セラミックまたはガラスエポキシを用いても良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図17