(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】多波長透過型光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20240325BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G02B5/28
G01J3/26
(21)【出願番号】P 2022520142
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 US2020070633
(87)【国際公開番号】W WO2021072432
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-08-25
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100226263
【氏名又は名称】中田 未来生
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディー フック
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513240(JP,A)
【文献】特表2004-530146(JP,A)
【文献】特開2017-161897(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03112828(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/28
G01J 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルタであって、
少なくとも2つの透過ピークに関連付けられた少なくとも2つのチャネルを通過させる干渉フィルタと、
複数のブロッカーと、
を備え、
前記複数のブロッカーの各ブロッカーは、前記干渉フィルタの同じ表面に取り付けられ、前記少なくとも2つの透過ピークのそれぞれの透過ピークに関連付けられたそれぞれのチャネルを通過させて、前記それぞれの透過ピークに関連付けられた前記それぞれのチャネル以外の1つ以上のチャネルを遮断するように構成されている、
光学フィルタ。
【請求項2】
請求項1に光学フィルタであって、前記少なくとも2つの透過ピークのうち、第1透過ピークが、前記少なくとも2つの透過ピークのうち、第2透過ピークの高調波透過ピークである、光学フィルタ。
【請求項3】
請求項1に記載の光学フィルタであって、前記複数のブロッカーは、第1ブロッカー及び第2ブロッカーを含み、前記少なくとも2つの透過ピークは、第1透過ピーク及び第2透過ピークを含み、
前記第1ブロッカーが、前記少なくとも2つのチャネルのうち、前記第1透過ピークに関連するチャネルを通過させ、前記少なくとも2つのチャネルのうち、前記第2透過ピークに関連するチャネルを遮断し、更に、
前記第2ブロッカーは、前記第2透過ピークに関連するチャネルを通過させ、前記第1透過ピークに関連するチャネルを遮断するように構成されている、光学フィルタ。
【請求項4】
請求項1に記載の光学フィルタであって、前記複数のブロッカーが互いに重なり合わない、光学フィルタ。
【請求項5】
請求項1に記載の光学フィルタであって、前記少なくとも2つの透過ピークが第1透過ピークのセット及び第2透過ピークのセットを含み、前記第2透過ピークのセットが前記第1透過ピークのセットの対応する透過ピークに調和的に関連している、光学フィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載の光学フィルタであって、前記複数のブロッカーは、第1ブロッカー及び第2ブロッカーを備え、
前記第1ブロッカーが、前記少なくとも2つのチャネルのうち、前記第1透過ピークのセットに関連するチャネルのセットを通過させ、前記少なくとも2つのチャネルのうち、前記第2透過ピークのセットに関連するチャネルのセットを遮断するように構成され、かつ、
前記第2ブロッカーは、前記第1透過ピークのセットに関連するチャネルのセットをブロックし、前記第2透過ピークのセットに関連するチャネルのセットを通過させるように構成されている、光学フィルタ。
【請求項7】
請求項1に記載の光学フィルタであって、前記少なくとも2つの透過ピークのうち、少なくとも1つの透過ピークが、前記干渉フィルタの自由スペクトル範囲外である、光学フィルタ。
【請求項8】
請求項1に記載の光学フィルタであって、前記干渉フィルタが第1のミラー、第2のミラー、及び前記第1のミラーと前記第2のミラーとの間のスペーサーを備える、光学フィルタ。
【請求項9】
請求項8に記載の光学フィルタであって、前記スペーサーが水素化シリコンスペーサーを含む、光学フィルタ。
【請求項10】
センサーデバイスであって、該センサーデバイスは、
データを収集する光学センサーと、
光学デバイスと、
を備え、該光学デバイスは、
干渉フィルタ
を備え、該干渉フィルタは、
スペーサーと、
第1のミラー及び第2のミラーと、
を備え、
前記
干渉フィルタは、少なくとも2つの透過ピークに関連付けられ
た少なくとも2つのチャネルを通過させ、かつ複数のブロッカーは、前記
干渉フィルタに取り付けられ、
前記複数のブロッカーの各ブロッカーは、前記第1のミラーの表面に取り付けられ、かつ
、前記少なくとも2つの透過ピークのそれぞれの透過ピークに関連付けられたそれぞれのチャネルを通過するように構成されている、センサーデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のセンサーデバイスであって、前記光学デバイスは、前記スペーサーを含む複数のスペーサーを更に備え、前記複数のスペーサーの各スペーサーは、それぞれの透過ピークのセットに関連付けられている、センサーデバイス。
【請求項12】
請求項10に記載のセンサーデバイスであって、前記少なくとも2つの透過ピークのうち、第1透過ピークが近赤外線スペクトル範囲に関連付けられ、前記少なくとも2つの透過ピークのうち、第2透過ピークが可視スペクトル範囲に関連付けられる、センサーデバイス。
【請求項13】
分光フィルタであって、該分光フィルタは、
複数の干渉フィルタと、
複数のブロッカーと、
を備え、
前記複数の干渉フィルタの各干渉フィルタは、それぞれの透過ピークの対に関連付けられたそれぞれのチャネルの対を通過するように構成され、
前記複数の干渉フィルタの一つの干渉フィルタは、前記複数のブロッカーのうちの第1ブロッカーと関連付けられおり、該第1ブロッカーは、前記それぞれの透過ピークの対のうちの第1透過ピークに関連するチャネルを通過させ、かつ前記それぞれの透過ピークの対のうちの第2透過ピークに関連するチャネルを遮断するように構成されており、
前記
一つの干渉フィルタは、前記複数のブロッカーのうちの第2ブロッカーと関連付けられており、該第2ブロッカーは、前記第2透過ピークに関連するチャネルを通過させ、かつ前記第1透過ピークに関連するチャネルをブロックし、そして
前記第1ブロッカーと前記第2ブロッカーが、前記
一つの干渉フィルタの同じ表面に取り付けられるように構成されている、
分光フィルタ。
【請求項14】
請求項13に記載の分光フィルタであって、前記第2透過ピークは、前記第1透過ピークの高調波透過ピークである、分光フィルタ。
【請求項15】
請求項13に記載の分光フィルタであって、前記複数の干渉フィルタの各干渉フィルタは、それぞれのブロッカーの対と関連付けられる、分光フィルタ。
【請求項16】
請求項13に記載の分光フィルタであって、前記それぞれのブロッカーの対の各ブロッカーの対は、それぞれの第1ブロッカー及びそれぞれの第2ブロッカーを備え、
前記それぞれの第1ブロッカーは、対応する透過ピークの対のそれぞれの第1透過ピークに関連するチャネルを遮断し、前記対応する透過ピークの対のそれぞれの第2透過ピークに関連するチャネルを通過させるように構成され、更に、
前記それぞれの第2
ブロッカーは、前記それぞれの第2透過ピークに関連するチャネルを通過させ、前記それぞれの第1透過ピークに関連するチャネルを遮断するように構成されている、分光フィルタ。
【請求項17】
請求項13に記載の分光フィルタであって、前記第1透過ピークは近赤外線スペクトル範囲に関連し、前記第2透過ピークは可視スペクトル範囲に関連する、分光フィルタ。
【請求項18】
請求項1に記載の光学フィルタであって、前記干渉フィルタはミラーを備え、
前記同じ表面は、前記ミラー上にある、光学フィルタ。
【請求項19】
請求項13に記載の分光フィルタであって、前記
一つの干渉フィルタは第1のミラーと第2のミラーとを備え、
前記同じ表面は、前記第1のミラー上にある、光学フィルタ。
【請求項20】
請求項13に記載の分光フィルタであって、前記第1ブロッカーが前記同じ表面の第1の部分に取り付けられ、かつ
前記第2ブロッカーが前記同じ表面の第2の部分に取り付けられる、分光フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2019年10月9日に出願された「MULTI-TRANSMISSION OPTICAL FILTER」と題する米国仮特許出願第62/912,951号と、2020年10月7日に出願された「MULTI-TRANSMISSION OPTICAL FILTER」と題する米国非仮特許出願第16/948,960号の優先権を主張しており、これらは参照により明確に本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
干渉フィルタは、1つ以上のスペクトルバンド又はラインを反射し、他のものを透過させる光学フィルタである。干渉フィルタは、干渉フィルタの境界で入射波と反射波の間で起こる干渉効果によって、波長選択性を有することがある。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施態様によれば、本発明に係る光学フィルタは、少なくとも2つの透過ピークに関連付けられた少なくとも2つのチャネルを通過させる干渉フィルタ、及び複数のブロッカーを含んでもよく、前記複数のブロッカーの各ブロッカーは、前記少なくとも2つの透過ピークのそれぞれの透過ピークに関連付けられたそれぞれのチャネルを通過させて、前記それぞれの透過ピークに関連付けられた前記それぞれのチャネル以外の1つ以上のチャネルを遮断する。
【0004】
いくつかの実施態様によれば、本発明に係るセンサーデバイスは、複数のチャネルを使用してデータを収集する光学センサー、及び光学デバイスを含んでもよく、該光学デバイスは、スペーサー、及び第1のミラー並びに第2のミラーを備えており、前記光学デバイスは、少なくとも2つの透過ピークに関連付けられ、かつ複数のブロッカーは、前記光学デバイスに取り付けられ、前記複数のブロッカーの各ブロッカーは、前記複数のチャネルの、前記少なくとも2つの透過ピークのそれぞれの透過ピークに関連付けられたそれぞれのチャネルを通過する。
【0005】
いくつかの実施態様によれば、本発明に係るバイナリマルチスペクトルフィルタは、複数の干渉フィルタ、及び複数のブロッカーを含んでもよく、前記複数の干渉フィルタの各干渉フィルタは、それぞれの透過ピークの対(ペア)に関連付けられたそれぞれのチャネルの対を通過するように構成され、前記複数の干渉フィルタの干渉フィルタは、前記複数のブロッカーのうちの第1ブロッカーと関連付けられており、該第1ブロッカーは、前記それぞれの透過ピークの対のうちの第1透過ピークに関連するチャネルを通過させ、かつ前記それぞれの透過ピークの対のうちの第2透過ピークに関連するチャネルを遮断するように構成され、及び前記干渉フィルタは、前記複数のブロッカーのうちの第2のブロッカーと関連付けられており、該第2ブロッカーは、前記第2透過ピークに関連する前記チャネルを通過させ、かつ前記第1の透過ピークに関連する前記チャネルを遮断するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】干渉フィルタを組み込んだ例示的なデバイスの概要図である。
【
図3】干渉フィルタの透過率チャートの一例を示すグラフである。
【
図4】複数の異なる厚さのスペーサーに関連する干渉フィルタの透過率チャートの一例を示すグラフである。
【
図5】干渉フィルタの透過率チャートの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の実施例の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を識別することができる。
【0008】
光学センサーはフィルタを使用して、検出動作のために所望の周波数で光を透過させることができる。例えば、光センサーは、本明細書においてチャネルと呼ばれる1つ以上の周波数範囲に関して検出を実施してもよい。場合によっては、光センサーは、干渉フィルタを使用して、チャネルを透過し、不要な周波数の光を遮断してもよい。干渉フィルタ(例えば、干渉計、ファブリペロー干渉計、エタロン、及び/又はリオフィルターなど)は、干渉フィルタの形状及び材料組成に基づく透過ピークに関連する光を透過させてもよい。いくつかの実施態様では、干渉フィルタは、干渉フィルタの自由スペクトル範囲(FSR)内にある透過ピークに関連するチャネルを透過するように構成可能であり、光センサーがチャネルに関する検出を実施できるようにしてもよい。
【0009】
単一の光学センサーを使用して複数のチャネルの検出を実施することが有益である場合がある。複数のチャネルの検出を容易にするために、干渉フィルタのFSRは、干渉フィルタの形状及び/又は材料組成を変えることによって操作することができる。しかし、FSRを大きくすると共振器の帯域幅が大きくなり、スペクトル分解能が低下することがあるため、アドレス可能なチャネルの範囲を広げるためにFSRを拡張することは、すべてのユースケースにおいて実施可能なソリューションではない可能性がある。光センサーが複数のチャネルの検出を実施する場合、干渉フィルタは、2つ以上の異なるスペーサーの厚さで製造することができ、これにより、干渉フィルタは、2つ以上の対応するチャネルを透過することができる。しかしながら、複数のスペーサーの厚さの使用は、光学フィルタの製造を複雑にし、いくつかの蒸着技術を使用して実現することが困難又は不可能である可能性がある。
【0010】
干渉フィルタが、FSRの特定の領域における透過ピークに関連するチャネルを透過するように構成される場合、干渉フィルタは、所望の透過ピークとは異なる周波数で(例えば、高調波効果により)第2透過ピークに関連する第2チャネルも通過させることができる。例えば、干渉フィルタが高調波効果の影響を受けやすいFSRの領域で発生する透過ピークを透過するように構成されている場合、干渉フィルタは、所望のチャネルと重なる可能性のある第2透過ピークも透過する可能性がある。そのような場合、干渉フィルタ(又は別のフィルタ)が不要な高調波透過ピークを遮断するように構成されていないと、光センサーは所望のチャネルでノイズを検出する可能性がある。
【0011】
本明細書に記載の実施態様は、光センサーによる測定のために、2つ以上の透過ピークである第1透過ピーク(例えば、干渉フィルタのFSRの高調波領域内)及び対応する第1の透過ピークに調和的に関連している第2透過ピークに関連するチャネルを透過する干渉フィルタを提供する。干渉フィルタは、2つ以上の透過ピークに対応する2つ以上のブロッカーを含んでもよい。各ブロッカーは、それぞれの2つ以上の透過ピークのうちの1つに関連するそれぞれのチャネルを通過させてもよく、2つ以上の透過ピークのうちの1つ以上の他の透過ピークをブロックしてもよい。ブロッカーは、そうでなければ高調波干渉を引き起こすFSRの領域における透過ピークの使用を可能にしてもよい。例えば、これにより、可変スペーサー設計と比較して設計の複雑さ又は製作の難易度を高めることなく、近赤外線(NIR)スペクトル範囲及び可視スペクトル範囲(例えば、赤色光波長範囲、並びに/若しくは生物学的に有意な波長範囲など)で検出を行う光センサーが可能になり得る。
【0012】
図1は、例示的な干渉フィルタ100の図である。いくつかの実施態様において、干渉フィルタ100は、スペクトルフィルタ、又はマルチスペクトルフィルタ(例えば、バイナリマルチスペクトルフィルタ及び/若しくはなど)などから構成されてもよい。いくつかの態様において、干渉フィルタ100は、生体認証センサーデバイス、セキュリティセンサーデバイス、健康監視センサーデバイス、物体識別センサーデバイス、分光識別センサーデバイス、及び/又は装着可能なデバイスのセンサーなどに含まれてもよい。図示するように、干渉フィルタ100は、1つ以上のスペーサー110と、ミラーのセット120と、及びブロッカーのセット130-1並びに130-2とを含む。スペーサー110を介した光の伝播及びミラー120による光の反射は、干渉を生じさせ、特定のチャネル又は周波数範囲(例えば、透過ピーク)だけに関連する光を通過させることができる。チャネルは、スペーサー110の厚さ、又はスペーサー110及び/若しくはミラー120の材料特性を変化させることによって構成可能であってもよい。例えば、スペーサー110の厚さを変化させると、干渉フィルタ100のチャネルは上方又は下方にシフトしてもよい。同様に、スペーサー110の異なる領域が異なる厚さを有する場合、又は干渉フィルタ100の異なるスペーサー110が異なる厚さを有する場合、異なる領域若しくは異なるスペーサー110は、異なる透過ピークに関連するチャネルを通過させてもよい。また、スペーサー110及び/又はミラー120の材料特性を変化させると、透過ピークを上方又は下方にシフトさせることができる。スペーサー110は、ガラス、ポリマー、及び/又は基板など、光を通過させることができる任意の材料で構成されてもよい。例えば、スペーサー110は、二酸化ケイ素(SiO2)、水素化ケイ素(Si:H)、ニオブ-チタン-酸化物(NbTiOx)、ニオブ-タンタル-酸化物(NbTaOx)、又は酸化亜鉛(ZnO)などを含んでもよい。Si:Hは、所定の設計について高調波透過ピークが発生しやすい領域で材料吸収を提供してもよく、Si:Hの使用は、高調波透過ピークに関してブロッカー130の機能性を提供し得ることを意味する。いくつかの態様において、干渉フィルタ100は、第1透過ピークを遮断する単一のブロッカー130、及び第2透過ピークを遮断するSi:Hで部分的に構成されたスペーサー110を備えてもよい。例えば、単一のブロッカー130によって覆われていない干渉フィルタ100の領域は、Si:Hから構成されるスペーサー110を含んでもよく、したがって、複数のブロッカーを実装することに関連するコストを低減することができる。したがって、ブロッカーは、干渉フィルタ100の水素化シリコンスペーサー110に実装されてもよい。ミラー120は、反射ガラス層及び/又はなどの反射層を備えてもよい。ミラー120は、スペーサー110の反対の面に取り付けられてもよい。いくつかの態様において、ミラー120は、銀層及び/又はなどの反射材料で構成されてもよい。いくつかの態様において、ミラー120及びスペーサー110は、集合的に閾値未満の厚さを有していてもよい。例えば、ミラー120及びスペーサー110は、約3ミクロン未満の厚さを有するファブリペロー干渉計を形成してもよい。
【0013】
図示するように、干渉フィルタ100は、複数のブロッカー130を含む。ブロッカー130は、第1周波数に関連する光を遮断し(例えば、反射、吸収、又はそれらの組み合わせ)、第2周波数に関連する光を通過させる(例えば、透過)ことが可能なデバイスを含む。例えば、ブロッカー130は、光学フィルタを含んでもよい。いくつかの実施態様では、ブロッカー130は、干渉フィルタ100の表面に取り付けられてもよい。いくつかの実施態様では、ブロッカー130は、干渉フィルタ100の表面上で互いに重なり合わない場合がある。
【0014】
図1に示す例では、ブロッカー130-1は、約1100nm(透過チャート150の右側の透過ピークの周りに破線の楕円で示す)のチャネルを通過するように構成され、ブロッカー130-2は、約775nm(透過チャート150の左側の透過ピークの周りに破線の楕円で示す)のチャネルを通過するように構成される。透過チャート150は、
図3に関連してより詳細に説明される。
【0015】
各ブロッカー130は、そのブロッカー130によって通過されるチャネル以外の1つ以上のチャネルをブロックするように構成されてもよい。例えば、ブロッカー130-1は、ブロッカー130-2に関連する波長(例えば、約775nm)の光をブロックするように構成されてもよく、ブロッカー130-2は、ブロッカー130-1に関連する波長(例えば、約1100nm)の光をブロックするように構成されてもよい。このようにして、干渉フィルタ100は、ブロッカー130を使用して不要な周波数を遮断することによって高調波透過ピークに関連する透過ピークを利用し、それによって干渉を低減し、干渉フィルタ100に関連する光学センサーによって実施される測定精度を向上させることが可能である。
【0016】
成層媒体を通る電磁波の伝搬を分析するための方法を用いて、透過ピーク、及び透過ピークに関連する対応する高調波透過ピークを識別することができる。一例では、伝達ピーク及び対応する高調波伝達ピークは、伝達マトリクス法を用いて決定することができる。例えば、トランスファーマトリクス法は、ミラー120及びスペーサー110の形状及び材料組成に少なくとも部分的に基づいて、ミラー120及びスペーサー110に関連する高調波応答を識別し得る。高調波応答は、透過ピーク及び1つ以上の対応する高調波透過ピークを示し得る。
【0017】
干渉フィルタ100は、複数の異なる厚さのスペーサー110を含むことができる。スペーサー110の各厚さは、それぞれの透過ピークの対(又はそれぞれの複数の透過ピーク)及び対応するブロッカー130のセットと関連付けてもよい。そのような実施態様に関連する透過チャートの例が、
図4及び
図5に示されている。いくつかの態様において、スペーサー110及びミラー120は、スペーサー110並びにミラー120が透過ピーク並びに対応する高調波透過ピークを作成するように構成されてもよい。例えば、スペーサー110及びミラー120の厚さ、並びに/又はスペーサー110及びミラー120の材料特性などは、スペーサー110及びミラー120が透過ピーク並びに1つ以上の対応する高調波透過ピークを透過するように構成されてもよい。
【0018】
上記に示したように、
図1は単に例として提供されるものである。他の例は、
図1に関して説明されるものと異なる場合がある。
【0019】
図2は、干渉フィルタ100を組み込んだ例示的なデバイス200の図である。デバイス200は、干渉フィルタ100及び光学センサー210を含む任意のデバイスを備える。いくつかの態様において、デバイス200は、光学デバイスである。干渉フィルタ100は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。いくつかの実施態様において、デバイス200は、分光器、及び/又はスペクトルセンサー(例えば、バイナリマルチスペクトル(BMS)センサー)などのセンサーデバイスであってもよい。図示するように、デバイス200は、干渉フィルタ100及び光学センサー210を含む。光学センサー210は、光を検出することができるデバイスを含む。例えば、光学センサー210は、画像センサー、マルチスペクトルセンサー、及び/又はスペクトルセンサーなどを含んでもよい。いくつかの実施態様では、光学センサー210は、電荷結合素子(CCD)センサー、及び/又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーなどを含んでもよい。いくつかの実施態様では、光学センサー210は、フロントサイド照明(FSI)センサー、及び/又はバックサイド照明(BSI)センサーなどを含んでもよい。参照番号220で図示するように、干渉フィルタ100の第1ブロッカー130は、第1透過ピークに関連するチャネルを通過させてもよい。参照番号230で図示するように、干渉フィルタ100の第2ブロッカー130は、第2透過ピークに関連するチャネルを通過させてもよい。
【0020】
上記に示したように、
図2は単に例として提供されるものである。他の例は、
図2に関して説明されるものと異なる場合がある。
【0021】
図3は、干渉フィルタ100のための例示的な透過チャート300(例えば、透過チャート150)を説明する図である。図示するように、透過チャート300は、第1透過ピーク310及び第2透過ピーク320を含む。例えば、第1透過ピーク310は、第1透過ピーク310の高調波透過ピーク(すなわち、第2透過ピーク320)に関連する干渉フィルタ100の自由スペクトル範囲(FSR)330の領域で発生し得る。
【0022】
高調波ピークは、センサーデバイス(例えば、デバイス200)の検出動作に干渉する可能性がある。例えば、約775nmの第1チャネル(例えば、別のチャネルの高調波としてではなく、プライマリチャネルとして)及び約1100nmの第2チャネルを通過するように構成されている干渉フィルタを考えてみる。この場合、干渉フィルタは、775nmの第1チャネルに加えて、775nmの第2チャネルの高調波透過ピークを通過させてもよい。したがって、干渉フィルタは、第1チャネルと高調波透過ピークとの重なりにより、775nmの第1チャネルとの干渉を引き起こし得る。
【0023】
ブロッカー130及び第1透過ピーク310に関連する高調波透過ピークを利用することによって、干渉フィルタ100は干渉を低減し、干渉フィルタ100の有効スペクトル範囲を増加させることができる。例えば、干渉フィルタの2つのスペーサーを構成して第1チャネル及び第2チャネルを通過させるのではなく(これは、第1チャネルと第2チャネルの高調波透過ピークとの間の干渉を引き起こし得る)、干渉フィルタ100は、単一のスペーサーを使用して第2チャネル(第1透過ピーク310と関連する)及び第2チャネルの高調波透過ピーク(第2透過ピーク320と関連する)を通過させてもよい。干渉フィルタ100のそれぞれのブロッカーは、第1チャネル及び第2チャネルのうちの1つを遮断してもよい。したがって、干渉フィルタ100は、単一のスペーサーの厚みで2つの透過ピークに関連する光を通過させることができ、それによって、干渉フィルタ100の製造を簡素化し、所定のスペーサーの厚さプロファイルに対して干渉フィルタ100が通過させることができるチャネルの数を増加させることができる。
【0024】
図4は、複数の異なる厚さのスペーサー110に関連する干渉フィルタ(例えば、干渉フィルタ100)についての例示的な透過チャート400を示す図である。ここでは、干渉フィルタの8つの領域のうち5つの領域が例としてのみ示されており、示されていない領域は、省略記号で示されている。参照番号410で図示するように、干渉フィルタは、複数の異なる厚さのスペーサー110を含んでもよい。図示するように、各スペーサー110は、それぞれのミラー120のセットと、それぞれの複数のブロッカー130(例えば、対応する対)とに関連付けられる。
【0025】
干渉フィルタの各領域は、それぞれのスペーサー110の厚さ、及び/又はスペーサー110並びに/若しくはミラー120の材料特性に基づいて、それぞれのチャネルを通過し得る。それぞれのチャネルは、参照番号420で示されている。さらに、それぞれのチャネルがそれぞれの高調波透過ピークに関連するFSRの領域にある場合、干渉フィルタの各領域は、それぞれの高調波透過ピークに関連するチャネルを通過させてもよい。高調波透過ピークに関連するそれぞれのチャネルは、参照番号430によって示されている。図示するように、異なるスペーサー厚さに関連する干渉フィルタの各領域は、それぞれのスペーサー110の対に関連してもよい。各対の一方のスペーサー110は、参照番号420で示されるチャネルを遮断してもよく、各対の他方のスペーサー110は、参照番号430で示されるチャネルを遮断してもよい。このようにして、干渉フィルタによって通過されるチャネルの数は、干渉フィルタが高調波効果に関連するFSRの領域の外側の単一チャネルを通過させるように構成されるアプローチと比較して増加させる。
【0026】
図5は、干渉フィルタ(例えば、干渉フィルタ100)についての例示的な透過チャート500を示す図である。チャート500によって図示するように、いくつかの実施態様において、干渉フィルタは、複数の一次フィルタチャネル510及び複数の二次フィルタチャネル520を有してもよい。各二次フィルタチャネル520は、対応する一次フィルタチャネル510の高調波透過ピークと関連付けられてもよい。図示するように、一次フィルタチャネル510及び二次フィルタチャネル520は、互いに対して約5nmの間隔であってよい。これは、ミラー120又はスペーサー110の特性を構成することによって達成されてもよい。したがって、センサーデバイス(例えば、デバイス200)によってアドレス指定可能なチャネルの間隔及び数は、二次フィルタチャネル520を利用しないアプローチと比較して増加し得る。
【0027】
上記に示したように、
図5は例として提供されるものである。他の例は、
図5に関して説明されるものとは異なる場合がある。
【0028】
前述の開示は、例示及び説明を提供するが、網羅的であること又は開示された正確な形態に実施態様を限定することは意図していない。修正及び変形は、上記の開示に照らして行われてもよいし、又は実施態様の実践から獲得されてもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、閾値を満たすことは、文脈に応じて、値が閾値より大きい、閾値より多い、閾値より高い、閾値以上、閾値より小さい、閾値より低い、閾値以下、又は閾値と同じ等を指し得る。
【0030】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され、及び/又は明細書に開示されているとしても、これらの組み合わせは、様々な実施態様の開示を制限することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていない方法及び/又は本明細書に開示されていない方法で組み合わされ得る。以下に記載される各従属請求項は、1つの請求項にのみ直接的に依存することができるが、様々な実施態様の開示は、請求項セット内の他のすべての請求項との組み合わせで各従属請求項を含むものである。
【0031】
本明細書で使用されるいかなる要素、動作、又は指示も、そのように明示的に記述されない限り、重要又は必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」は、1つ以上の項目を含むことを意図しており、「1つ以上」と交換可能に使用される場合がある。さらに、本明細書で使用される場合、定冠詞「the」は、定冠詞「the」に関連して参照される1つ以上の項目を含むことが意図され、「1つ以上」と交換可能に使用されてもよい。さらに、本明細書で使用される場合、用語「セット」は、1つ以上の項目(例えば、関連項目、非関連項目、関連項目及び非関連項目の組み合わせなど)を含むことを意図しており、「1つ以上」と交換可能に使用されてもよい。1つの項目のみが意図される場合、「1つのみ」というフレーズ又は同様の言語が使用される。また、本明細書で使用される場合、用語「有する」、「持つ」、「有している」などは、制限のない用語であることが意図される。さらに、フレーズ「に基づく」は、明示的に別段の記載がない限り、「少なくとも部分的に基づく」を意味することが意図される。また、本明細書で使用される場合、用語「又は」は、シリーズで使用される場合、包括的であることが意図され、明示的に他に記載されない限り(例えば、「いずれか」又は「いずれか一方のみ」と組み合わせて使用する場合)、「及び/又は」と入れ替えて使用することができる。