(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサの動作のための電子制御ユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 27/419 20060101AFI20240325BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G01N27/419 327P
G01N27/416 331
(21)【出願番号】P 2022525506
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2020079994
(87)【国際公開番号】W WO2021083820
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102019216881.7
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート レーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウス ベヴォト
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン メツガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クネーア
(72)【発明者】
【氏名】アクセル アウエ
(72)【発明者】
【氏名】トアステン トレッフォン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス-ゲアハート ツォーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック ショーヴェ
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003354(JP,A)
【文献】特開2016-070883(JP,A)
【文献】特開2017-040506(JP,A)
【文献】特開2016-133306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0076741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/419
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定ガスチャンバ内の測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサ(100)の動作のための電子制御ユニット(10)であって、
前記センサ(100)は、センサ要素(102)を有しており、
前記センサ要素(102)は、固体電解質(104)と、少なくとも1つのポンプセル(106)と、少なくとも1つのネルンストセル(108)とを有しており、
前記電子制御ユニット(10)は、駆動制御回路及び評価回路(12)と、マイクロコントローラ(20)とを有しており、
前記マイクロコントローラ(20)は、前記駆動制御回路及び評価回路(12)と接続されており、
前記マイクロコントローラ(20)はさらに、前記ネルンストセル(108)のネルンスト電圧(U
N)を調整するネルンスト電圧レギュレータ(22)を有しており、
前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)は、前記マイクロコントローラ(20)のソフトウェア(24)内に実装されて
おり、
前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)のレギュレータ構造、ワード幅およびレギュレータタイプは、前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)のソースコードの調整によって変更可能である、
電子制御ユニット(10)。
【請求項2】
前記センサ(100)は、前記測定ガス中のガス成分の割合又は前記測定ガスの温度を検出するセンサ(100)である、請求項1に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項3】
前記駆動制御回路及び評価回路(12)は、ASICである、請求項1又は2に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項4】
前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)の入力変数は、前記ネルンストセル(108)のネルンスト電圧(U
N)であり、
前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)の出力変数は、前記ポンプセル(106)のポンプ電流(I
P)である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項5】
前記ネルンストセル(108)のネルンスト電圧(U
N)を検出するように構成されているアナログ-デジタル変換器(16)をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項6】
前記駆動制御回路及び評価回路(12)は、前記アナログ-デジタル変換器(16)を有しており、
前記マイクロコントローラ(20)は、データインタフェース(26)を有しており、
検出された前記ネルンスト電圧(U
N)は、前記データインタフェース(26)を用いて前記マイクロコントローラ(20)に伝送可能である、請求項5に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項7】
前記マイクロコントローラ(20)は、前記アナログ-デジタル変換器(16)を有している、請求項5に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項8】
前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)の出力変数は、前記測定ガス中の酸素含有量を示す、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子制御ユニット(10)。
【請求項9】
前記駆動制御回路及び評価回路(12)は、デジタル-アナログ変換器(18)を有しており、
前記ネルンスト電圧レギュレータ(22)の出力変数は、前記デジタル-アナログ変換器(18)に供給可能である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子制御ユニット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
測定ガスチャンバ内の測定ガスの少なくとも1つの特性を検出する多数のセンサ及び方法が、従来技術から知られている。これは基本的に、測定ガスの任意の物理的特性及び/又は化学的特性であってよいものであり、ここでは、1つ又は複数の特性が検出され得る。本発明を、以下においては、特に、測定ガスのガス成分の割合の定性的検出及び/又は定量的検出に関して、特に、測定ガス部分中の酸素比率の検出に関して説明する。酸素比率は、例えば、分圧の形態で及び/又は百分率の形態で検出されるものとしてよい。しかし、選択的又は付加的に、温度などの測定ガスの他の特性も検出可能である。
【背景技術】
【0002】
特に、特定の固体の電解質特性の使用、即ち、これらの固体のイオン伝導特性に基づく、セラミックセンサ要素を備えたセンサが従来技術から知られている。特に、これらの固体は、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、特にイットリア安定化二酸化ジルコニウム(YSZ)、及び、少量の酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は酸化ケイ素(SiO2)を追加で含み得るスカンジウムドープ二酸化ジルコニウム(ScSZ)などのセラミック固体電解質であり得る。
【0003】
例えば、このようなセンサは、Konrad Reif(編集)「Sensoren im Kraftfahrzeug」(初版 2010年、第160~165頁)などから知られているように、いわゆるラムダゾンデとして構成されるものであり得る。広帯域ラムダゾンデ、特に平面広帯域ラムダゾンデを使用すると、例えば、排気ガス中の酸素濃度を広範囲にわたって特定することができ、従って、燃焼室内の空燃比を推測することができる。空気比λは、この空燃比を表す。
【0004】
広帯域ラムダゾンデは、測定ガス中の酸素濃度又は還元剤の濃度を測定する。排気ガス中の残留酸素の情報は、燃焼機関の、排出量が最適化された動作のために極めて重要である。広帯域ラムダゾンデの動作のために、広帯域ラムダゾンデは、この目的のために特別に構成された、制御装置の評価モジュール(ASIC)に接続される。このASICの主なタスクは、基準電極と内部ポンプ電極との間において測定されたネルンスト電圧を特定の目標値(通常は450mV)に調整することである。ネルンスト電圧を調整するための操作変数はポンプ電流であり、これは、ASICによって外側ポンプ電極と内側ポンプ電極との間において駆動される必要がある。ネルンスト電圧が目標値に近い場合、これに必要なポンプ電流は、排気ガス中の酸素濃度に対する尺度である。従って、ポンプ電流を正確に特定することは、排気ガス中のO2濃度を正確に特定するためのどうしても必要な前提条件である。
【0005】
ポンプ電流源は、ネルンスト電圧レギュレータからデジタルの目標ポンプ電流値を受け取り、ゾンデを通じてこれを駆動する。連続的な、調整可能な電流を駆動する電流源は、DAC電流源とも称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「Sensoren im Kraftfahrzeug」、Konrad Reif(編集)、初版 2010年、第160~165頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術から知られているセンサ及びセンサの動作方法の利点にもかかわらず、これらは、依然として改善の余地を含んでいる。種々の広帯域ラムダセンサは、それらに適合するようにそれぞれ調整されるネルンスト電圧レギュレータを必要とする、極めて異なる調整システムを表す。この場合、レギュレータパラメータの調整とレギュレータ構造の調整との両方が必要である。ネルンスト電圧レギュレータは、今日のASICにおいては、そのハードウェア内に固定的に実装されている。レギュレータ構造を変更するということは、新しいマスクを作製することによって、ASICを作り直すことを意味する。ソフトウェアを介してのみ、レギュレータパラメータを調整することができる。この解決策を含むレギュレータ構造の調整は、ハードウェアの作り直しによってのみ可能である。このような作り直しには、手間と費用とがかかる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
従って、既知の駆動制御回路及び評価回路の欠点を少なくとも大部分回避し、種々のゾンデに適合させる調整など、ネルンスト電圧レギュレータのレギュレータ構造の迅速かつ低コストの調整が可能である、測定ガスチャンバ内の測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサの動作のための電子制御ユニットを提案する。
【0009】
測定ガスチャンバ内の測定ガスの少なくとも1つの特性を検出するセンサの動作のための、本発明に係る電子制御ユニットは、駆動制御回路及び評価回路と、マイクロコントローラとを含む。センサは、測定ガスの特性を検出するセンサ要素を有しており、センサ要素は固体電解質と、少なくとも1つのポンプセルと、少なくとも1つのネルンストセルとを有している。マイクロコントローラは、評価回路と接続されている。マイクロコントローラはさらに、ネルンストセルのネルンスト電圧を調整するネルンスト電圧レギュレータを有している。
【0010】
これに対応して、ネルンスト電圧レギュレータを、ASICなどの駆動制御回路及び評価回路からマイクロコントローラに移すことを提案する。ここでは、レギュレータ構造及びワード幅の変更を、低コストかつ迅速に行うことができる。ハードウェアを作り直す必要はない。これによって、ASIC内のリソースを節約することができる。マイクロコントローラのリソースは、レギュレータの計算に使用されるため、ASICには演算ユニットは必要ない。さらに、ASICのより単純な全体構造が可能になる。
【0011】
特に、ネルンスト電圧レギュレータは、マイクロコントローラのソフトウェア内に実装されるものとしてよい。この場合には、レギュレータ構造及びワード幅の変更を、ソフトウェアの調整によって、低コストかつ迅速に行うことができる。ハードウェアを作り直す必要はない。
【0012】
駆動制御回路及び評価回路は、ASICであるものとしてよい。ASIC(英語で、application-specific integrated circuit=特定用途向け集積回路)は、集積回路として実装される電子回路である。従って、ASICの機能を変更することは不可能になるが、高いコストがかかるのは1回限りで、製造コストは低くなる。この場合には、ASICにおける演算の必要性が低減されるため、これは、より小型化する。マイクロコントローラの半導体プロセスをデジタル構造用に最適化することができるため、マイクロコントローラにおける演算ユニットに対応して必要なシリコン面積は、格段に小さくなり、従って、より安価になる。
【0013】
ネルンスト電圧レギュレータの入力変数は、ネルンストセルのネルンスト電圧であるものとしてよく、この場合には、ネルンスト電圧レギュレータの出力変数は、ポンプセルのポンプ電流であるものとしてよい。従って、調整アルゴリズムはマイクロコントローラにおいて計算される。レギュレータの出力値は、極めて短いレイテンシを伴って、マイクロコントローラにおいて利用可能である。この値は、広帯域ラムダゾンデのメイン信号である、ポンプ電流源の操作変数である。ここからラムダ信号が計算されるため、これは、レイテンシを伴わずに、又は、極めて短いレイテンシを伴って、マイクロコントローラにおいて利用可能である。従って、ドライビングダイナミクスが高い場合にも、正確なラムダ調整が可能であり、これは、特にReal Driving Emissions(実路走行排気)において利点を供する。
【0014】
電子制御ユニットはさらに、ネルンストセルのネルンスト電圧を検出するように構成されているアナログ-デジタル変換器を含むものとしてよい。従って、ネルンスト電圧レギュレータの入力変数は、簡単な形式において、デジタル変数として表される。
【0015】
駆動制御回路及び評価回路は、アナログ-デジタル変換器を有するものとしてよく、この場合には、マイクロコントローラは、データインタフェースを有しており、検出されたネルンスト電圧は、このデータインタフェースを用いてマイクロコントローラに伝送可能である。この実施例においては、アナログ-デジタル変換器は、インタフェースASIC内に配置されている。電圧値はASICにおいて検出され、データインタフェースを介してマイクロコントローラに伝送される。
【0016】
選択的に、マイクロコントローラは、アナログ-デジタル変換器を有するものとしてよい。従って、電圧値は、マイクロコントローラにおいて直接的に検出され、これによって、マイクロコントローラにおいて直接的に利用可能である。
【0017】
ネルンスト電圧レギュレータの出力変数は、測定ガス中の酸素含有量を示すことができる。従って、レギュレータの出力値は、マイクロコントローラにおいて直接的に利用可能である。この値は、排気ガスなどの測定ガス中の酸素含有量に相当し、ラムダ調整に必要である。これが、より短いレイテンシで利用可能である場合には、ドライビングダイナミクスが高い場合にも、所望のラムダ値を調整することができるため、排出量を削減することができる。
【0018】
駆動制御回路及び評価回路は、デジタル-アナログ変換器を有するものとしてよく、この場合には、ネルンスト電圧レギュレータの出力変数は、デジタル-アナログ変換器に供給可能である。従って、ポンプ電流源におけるポンプ電流を調整するために、デジタル出力変数がアナログ変数に変換される。
【0019】
ネルンスト電圧レギュレータのレギュレータ構造は、ネルンスト電圧レギュレータのソースコードの調整によって変更可能であるものとしてよい。レギュレータがマイクロコントローラ内に実現される場合、ソースコードの調整によって、レギュレータをいつでも、新しい要件に適合するように調整することができる。このようにして、レギュレータ構造は、新しい要件、例えば、異なるワード幅、異なるレギュレータタイプに適合するように調整される。
【0020】
本発明の文脈において、固体電解質本体は、電解質特性、即ち、イオン伝導特性、例えば、酸素イオン伝導特性を備える本体又は物体を意味すると理解されるべきである。特に、これは、セラミック固体電解質であるものとしてよい。例えば、固体電解質本体は、安定化二酸化ジルコニウム及び/又はスカンジウム安定化二酸化ジルコニウムを含むものとしてよい。固体電解質本体は、複数の固体電解質層から構成されるものとしてもよい。この場合には、ある1つの層は、他の要素の上、下又は間にある、特定の高さにおいて面状に広がる均一な塊を意味すると理解されるべきである。
【0021】
本発明の文脈において、電極は、一般に、固体電解質と電極とを通して電流を維持することができるように、又は、電圧を測定することができるように、固体電解質を接触させることができる要素を意味すると理解されるべきである。従って、電極は、イオンが固体電解質に組み込まれ得る及び/又は固体電解質から除去され得る要素を含むものとしてよい。電極は、典型的には貴金属電極を含み、これは、例えば、金属セラミック電極として固体電解質に被着されているものとしてよく、又は、他の態様により固体電解質と接続されているものとしてよい。典型的な電極材料は白金サーメット電極である。しかし、基本的には、金又はパラジウムなどの他の貴金属も使用可能である。
【0022】
本発明の文脈において、ネルンストセルは、2つの電極間の膜として固体電解質を使用する電気化学的測定セルを意味すると理解されるべきである。ここでは、固体電解質の特性を利用して、特定の温度から、測定対象の測定ガスのイオン、例えば酸素イオンを、一方の電極から他方の電極へ電解質輸送することができ、これによって、いわゆるネルンスト電圧が発生する。この特性によって、膜の異なる側における、測定ガスの分圧の差が特定される。ラムダゾンデの場合には、膜の一方の側が測定ガスにさらされ、他方の側は基準となる。
【0023】
本発明の文脈において、ポンプセルは、次のような電気化学セルを意味すると理解されるべきである。即ち、測定ギャップ内の酸素などの測定ガスの成分の含有量が、一方では、拡散チャネル通じて作用する測定ガスを介して特定され、他方では、ポンプセルの電流の流れによって影響される電気化学セルを意味すると理解されるべきである。ポンプ電流によって、極性に応じて、測定ガスが固体電解質膜の測定ガス側から測定ギャップに送り込まれ又はここから押し出される。ポンプ電流は、ここで、測定ガスのラムダ値が拡散チャネルを通る測定ガスの流れと正確に釣り合い、測定ギャップ内の測定ガスをλ=1などの所定の値で一定に保持するように、外部のレギュレータによって調整される。例えば、ネルンストセルの電圧が0.45Vの場合、測定ギャップにおけるラムダ値は、例えば、常に1になる。ポンプ電流は、混合気がリッチな場合には、測定ガスイオンを測定ギャップ内の測定ガスに送り込み、混合気がリーンな場合には、測定ガスイオンをそこから押し出す。
【0024】
本発明の文脈において、マイクロコントローラは、プロセッサを含み、同時に周辺機能も含む半導体チップを意味すると理解されるべきである。多くの場合、メインメモリ及びプログラムメモリは、部分的に又は完全に同一のチップ上にある。マイクロコントローラは、シングルチップコンピュータシステムである。システムオンチップ又はSoCという用語も、一部のマイクロコントローラに対して使用される。近年のマイクロコントローラ上には、しばしば、複雑な周辺機能、例えば、CAN(Controller Area Network コントローラエリアネットワーク)インタフェース、LIN(Local Interconnect Network ローカル相互接続ネットワーク)インタフェース、USB(Universal Serial Bus ユニバーサルシリアルバス)インタフェース、I2C(Inter-Integrated Circuit 相互統合回路)インタフェース、SPI(Serial Peripheral Interface シリアル・ペリフェラル・インタフェース)インタフェース、シリアル又はイーサネットインタフェース、PWM出力端、LCDコントローラ及びLCDドライバ並びにアナログ-デジタル変換器も配置されている。一部のマイクロコントローラには、プログラム可能なデジタル機能ブロック及び/又はアナログ機能ブロック又はハイブリッド機能ブロックもある。
【0025】
本発明の文脈において、駆動制御回路及び評価回路は、センサ要素の測定信号を評価するために又は評価のために処理するために、及び、得られた制御信号に基づいてセンサ要素の動作を制御するために適している電子回路、特に集積回路を意味すると理解されるべきである。
【0026】
本発明の文脈において、マルチプレクサは、アナログ電子装置及びデジタル電子装置における選択回路を意味すると理解されるべきであり、この選択回路を用いて、いくつかの入力信号から1つの入力信号が選択され、出力側に通され得る。マルチプレクサは、手動ではなく電子信号により設定されるロータリスイッチに相当する。リレーとの相違は、接続が機械的に行われるのではなく、(現在は)統合された半導体回路によって行われることである。
【0027】
本発明のさらなる任意選択的な詳細及び特徴は、図面に概略的に示されている好ましい実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施形態による電子制御ユニットを示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による電子制御ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
発明の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による電子制御ユニット10を示している。電子制御ユニット10は、測定ガスチャンバ内の測定ガスの少なくとも1つの特性を検出する、特に、測定ガス中のガス成分の割合又は測定ガスの温度を検出するセンサ100の動作のために構成されている。センサ100は、センサ要素102を有している。
図1に示されているセンサ要素102は、測定ガスの物理的特性及び/又は化学的特性を検出するために使用されるものとしてよく、ここでは、1つ又は複数の特性を検出することができる。本発明を、以下においては、特に、測定ガスのガス成分の定性的検出及び/又は定量的検出に関して、特に測定ガス中の酸素比率の検出に関して説明する。酸素比率を、例えば、分圧の形態で及び/又は百分率の形態で検出することができる。しかし、基本的には、窒素酸化物、炭化水素及び/又は水素など、他の種類のガス成分も検出可能である。しかし、選択的及び/又は付加的に、測定ガスの他の特性も検出可能である。本発明は、特に自動車技術の分野において使用可能であるので、測定ガスチャンバは、特に、内燃機関の排気管であるものとしてよく、測定ガスは、特に、排気ガスであるものとしてよい。
【0030】
センサ要素102は、固体電解質本体又は固体電解質104と、ポンプセル106と、ネルンストセル108とを含む。センサ要素を、ピン110を介して電気的に接触させることができる。センサ100は、単に例として広帯域ラムダゾンデとして構成されているので、その動作方式及び詳細な構造に関しては、上述の先行技術、特に、Konrad Reif(編集)「Sensoren im Kraftfahrzeug」(初版 2010年、第160~165頁)を参照することができる。
【0031】
電子制御ユニット10は、駆動制御回路及び評価回路12を含む。駆動制御回路及び評価回路12は、ASICである。駆動制御回路及び評価回路12は、センサ要素102のピン110と接続可能である。例えば、駆動制御回路及び評価回路12は、ピン110と電気的に接触しているマルチプレクサ14を含む。駆動制御回路及び評価回路12はさらに、マルチプレクサと接続されているアナログ-デジタル変換器16を含む。アナログ-デジタル変換器16は、ネルンストセル108のネルンスト電圧UNを検出するように構成されている。駆動制御回路及び評価回路12はさらに、マルチプレクサ14の出力端又はピン110の少なくとも1つと接続されているデジタル-アナログ変換器18を含む。
【0032】
電子制御ユニット10はさらに、マイクロコントローラ20を含む。マイクロコントローラ20は、駆動制御回路及び評価回路12と接続されており、又は、駆動制御回路及び評価回路12と通信する。マイクロコントローラ20は、ネルンストセル108のネルンスト電圧を調整するネルンスト電圧レギュレータ22を含む。ネルンスト電圧レギュレータ22は、マイクロコントローラのソフトウェア24内に実装されている。
図1に示されているように、ネルンスト電圧レギュレータの入力変数は、ネルンストセル108のネルンスト電圧U
Nである。ネルンスト電圧レギュレータ22の出力変数は、ポンプセル106用のポンプ電流I
Pである。
図1からさらに見て取れるように、ネルンスト電圧レギュレータ22の出力変数は、例えばラムダ値λの形態で、測定ガス中の酸素含有量を示す。ネルンスト電圧レギュレータ22の出力変数は、デジタル-アナログ変換器18に供給され得る。マイクロコントローラ20は、データインタフェース26を有しており、データインタフェース26を用いて、ネルンスト電圧U
Nが測定信号としてマイクロコントローラ20に伝送されるものとしてよい。ネルンスト電圧レギュレータ22は、従来の制御ユニットと比較して、ASIC内には実装されておらず、マイクロコントローラ20内に又はマイクロコントローラ20のソフトウェア24内に実装されているので、ネルンスト電圧レギュレータ22のレギュレータ構造を、ネルンスト電圧レギュレータ22のソースコードの調整を用いて変更することができる。
【0033】
図2は、本発明の第2の実施形態による電子制御ユニット10を示している。以下においては、第1の実施形態との相違のみを説明し、同一又は同等の構成要素には、同一の参照符号が付されている。第2の実施形態の電子制御ユニット10においては、マイクロコントローラ20が、アナログ-デジタル変換器16を有している。従って、ネルンスト電圧値は、マイクロコントローラ20において直接的に検出されるため、マイクロコントローラ20において直接的に利用可能である。
【0034】
本発明に係る電子制御ユニットは、間接的に検証可能である。例えば、ASICのデジタル部分のサイズの分析を行うことができる。ASIC上のネルンスト電圧レギュレータには、特定のサイズのデジタル部分が必要である。ASIC上のデジタル部分が小さ過ぎる場合は、ネルンスト電圧レギュレータは、マイクロコントローラ内に配置されなければならない。第2の実施形態においては、ネルンスト電圧は、マイクロコントローラにアナログ伝送され、又は、相応の高周波によりデジタル伝送される。両方の実施形態において、伝送は、制御値IPの相応の高周波伝送によって行われる。