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特許7459271無線充電回路、無線充電方法、デバイス、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】無線充電回路、無線充電方法、デバイス、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20240325BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240325BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022548938
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2020125829
(87)【国際公開番号】W WO2021159764
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202010089150.X
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521467113
【氏名又は名称】華為数字能源技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI DIGITAL POWER TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Office 01, 39th Floor, Block A, Antuoshan Headquarters Towers, 33 Antuoshan 6th Road, Futian District, Shenzhen, 518043, P.R.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲躍▼超
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0117755(US,A1)
【文献】特開2015-076801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/60
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む無線充電回路であって、
前記発振回路は、直列に接続されている励起電圧源と、フルブリッジ回路と、LC直列回路とを含み、前記励起電圧源は、前記LC直列回路に安定電圧を供給するように構成され、
前記フルブリッジ回路は、並列に接続されている第1のブリッジアームと第2のブリッジアームとを含み、前記第1のブリッジアームは、第1のスイッチングトランジスタQ1と、第3のスイッチングトランジスタQ3とを含み、前記第2のブリッジアームは、第2のスイッチングトランジスタQ2と、第4のスイッチングトランジスタQ4とを含み、
前記LC直列回路は、直列に接続されているインダクタと共振キャパシタとを含み、前記LC直列回路の一端は、前記第1のブリッジアームの位相中点に接続され、他端は、前記第2のブリッジアームの位相中点に接続され、
前記LC直列回路の位相中点は、前記モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号を前記モニタリング回路に出力するように構成され、
前記モニタリング回路は、比較モジュールと、処理モジュールとを含み、
前記比較モジュールは、前記共振電圧信号を受信し、前記共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換するように構成され、
前記処理モジュールは、
前記デジタル方形波信号を受信し、
減衰振動の期間、前記スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、
第1のプリセット条件を満たし、かつ前記共振電圧減衰波形内にある第1のパラメータを取得し、
前記第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定し、
前記品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するように構成され、
前記第1のパラメータはピークの数谷の数との和を含み、前記和は、前記第1のプリセット条件を満たす前記ピークの数と、前記第1のプリセット条件を満たす前記谷の数との前記和であり、前記品質因子Qは、前記発振回路に貯蓄された電力と、各サイクルにおける電力ロスとの比を表す、
無線充電回路。
【請求項2】
前記第1のプリセット条件は、各振動サイクルにおいて、減衰振動の期間に生成される共振電圧が基準電圧より大きいことであり、
前記LC直列回路の前記位相中点の対地電圧が前記励起電圧源の振幅電圧に到達するとき、前記減衰振動が前記発振回路で発生して前記共振電圧を生成する、
請求項1に記載の無線充電回路。
【請求項3】
順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む無線充電回路であって、
前記発振回路は、直列に接続されている励起電圧源と、ハーフブリッジ回路と、LC直列回路とを含み、前記励起電圧源は、前記LC直列回路に安定電圧を供給するように構成され、
前記ハーフブリッジ回路は、直列に接続されている第5のスイッチングトランジスタQ5と第6のスイッチングトランジスタQ6とを含み、
前記LC直列回路は、直列に接続されているインダクタと共振キャパシタとを含み、前記LC直列回路の一端は、前記ハーフブリッジ回路の位相中点に接続され、他端は接地され、
前記LC直列回路の位相中点は、前記モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号を前記モニタリング回路に出力するように構成され、
前記モニタリング回路は、電圧バイアスモジュールと、比較モジュールと、処理モジュールとを含み、
前記電圧バイアスモジュールは、前記発振回路に接続され、前記発振回路によって出力される前記共振電圧信号を受信し、前記共振電圧信号にバイアスをかけ、バイアスがかかった共振電圧信号を前記比較モジュールに送信するように構成され、
前記比較モジュールは、前記バイアスがかかった共振電圧信号を受信し、前記バイアスがかかった共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換し、前記デジタル方形波信号を前記処理モジュールに出力するように構成され、
前記処理モジュールは、
前記デジタル方形波信号を受信し、
減衰振動の期間、前記スイッチングトランジスタQ5及びQ6のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、
第2のプリセット条件を満たし、かつ前記共振電圧減衰波形内にある第2のパラメータを取得し、
前記第2のパラメータに基づいて品質因子Qを決定し、
前記品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得する
ように構成され、
前記第2のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含み、前記ピークの数と前記谷の数との前記和は、前記第2のプリセット条件を満たすものであり、かつ、前記第5のスイッチングトランジスタQ5がオンからオフに変化し、そして、前記第6のスイッチングトランジスタQ6がオフからオンに変化するときに、前記比較モジュールによって出力される前記デジタル方形波信号に基づいて、前記処理モジュールによって決定される前記ピークの数と前記谷の数との前記和であり、前記品質因子Qは、前記発振回路に蓄積された電力と、各サイクルにおける電力ロスとの比を表す、
無線充電回路。
【請求項4】
前記第2のプリセット条件は、Uc+Vref0>Vref1、又はUc+Vref0<Vref2であり、Ucは、減衰振動の期間に生成される共振電圧であり、Vref0は、バイアス電圧であり、Uc+Vref0は、前記電圧バイアスモジュールによってバイアスがかけられた共振電圧であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧であり、
前記LC直列回路の前記位相中点の対地電圧が前記励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、前記減衰振動が前記発振回路で発生して前記共振電圧を生成する、
請求項に記載の無線充電回路。
【請求項5】
前記比較モジュールの入力端子は、前記電圧バイアスモジュールの出力端子に接続され、出力端子は、前記処理モジュールに接続され、
前記比較モジュールは、第1のコンパレータと第2のコンパレータとを含み、
前記第1のコンパレータと前記第2のコンパレータとはそれぞれ、第1の入力端子と、第2の入力端子と、出力端子とを含み、
前記第1のコンパレータの前記第1の入力端子は、第1の電圧源に接続され、前記第1の電圧源によって供給される第1の基準電圧を取得するように構成され、
前記第1のコンパレータの前記第2の入力端子と、前記第2のコンパレータの前記第1の入力端子とは、互いに接続されて、前記比較モジュールの前記入力端子として利用され、
前記第2のコンパレータの前記第2の入力端子は、第2の電圧源に接続され、前記第2の電圧源によって供給される第2の基準電圧を取得するように構成され、前記第2の基準電圧は、前記第1の基準電圧より大きく、
前記第1のコンパレータの前記出力端子と、前記第2のコンパレータの前記出力端子とは互いに接続される、
請求項3又は4に記載の無線充電回路。
【請求項6】
前記処理モジュールは、前記第2のパラメータに基づいて、前記品質因子Q、即ち、
【数1】
を決定するように特に構成され、n及びmはいずれも正の整数であり、m≧1であり、U0は、前記励起電圧源の電圧振幅であり、ΔVは、バイアス電圧と基準電圧との間の電圧差であり、前記基準電圧は、第1の基準電圧又は第2の基準電圧である、
請求項3~5のいずれか1項に記載の無線充電回路。
【請求項7】
m=2のとき、前記品質因子Qは、
【数2】
であり、nは、前記ピークの数と前記谷の数との前記和である、
請求項に記載の無線充電回路。
【請求項8】
無線充電方法であって、前記方法は、無線充電回路に適用され、前記無線充電回路は、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含み、
前記発振回路は、直列に接続されている励起電圧源と、フルブリッジ回路と、LC直列回路とを含み、前記励起電圧源は、前記LC直列回路に安定電圧を供給するように構成され、
前記フルブリッジ回路は、並列に接続されている第1のブリッジアームと第2のブリッジアームとを含み、前記第1のブリッジアームは、第1のスイッチングトランジスタQ1と第3のスイッチングトランジスタQ3とを含み、前記第2のブリッジアームは、第2のスイッチングトランジスタQ2と第4のスイッチングトランジスタQ4とを含み、
前記LC直列回路は、直列に接続されているインダクタと共振キャパシタとを含み、前記LC直列回路の一端は、前記第1のブリッジアームの位相中点に接続され、他端は、前記第2のブリッジアームの位相中点に接続され、
前記LC直列回路の位相中点は、前記モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号を前記モニタリング回路に出力するように構成され、
前記モニタリング回路は、比較モジュールと処理モジュールとを含み、前記比較モジュールは、前記共振電圧信号を受信し、前記共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換するように構成され、
前記方法は、
前記処理モジュールによって、前記デジタル方形波信号を受信するステップであって、前記デジタル方形波信号は、前記共振電圧信号を変換することによって生成される、ステップと、
前記処理モジュールによって、減衰振動の期間、前記スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて、共振電圧減衰波形を取得し、前記共振電圧減衰波形に基づいて、第1のプリセット条件を満たす第1のパラメータを取得するステップであって、前記第1のパラメータはピークの数谷の数との和を含み、前記和は、前記第1のプリセット条件を満たす前記ピークの数と、前記第1のプリセット条件を満たす前記谷の数との前記和である、ステップと、
前記処理モジュールによって、前記第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定し、前記品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するステップであって、前記品質因子Qは、前記発振回路に蓄積された電力と、各サイクルにおける電力ロスとの比を表す、ステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記第1のプリセット条件は、各振動サイクルにおいて、減衰振動の期間に生成される共振電圧が基準電圧より大きいことであり、
前記LC直列回路の前記位相中点の対地電圧が前記励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、前記減衰振動が前記発振回路で発生して前記共振電圧を生成する、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
無線充電方法であって、前記方法は、無線充電回路に適用され、前記無線充電回路は、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含み、
前記発振回路は、直列に接続されている励起電圧源と、ハーフブリッジ回路と、LC直列回路とを含み、前記励起電圧源は、前記LC直列回路に安定電圧を供給するように構成され、
前記ハーフブリッジ回路は、直列に接続されている第5のスイッチングトランジスタQ5と第6のスイッチングトランジスタQ6とを含み、
前記LC直列回路は、直列に接続されているインダクタと共振キャパシタとを含み、前記LC直列回路の一端は、前記ハーフブリッジ回路の位相中点に接続され、他端は接地され、
前記LC直列回路の位相中点は、前記モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号を前記モニタリング回路に出力するように構成され、
前記モニタリング回路は、電圧バイアスモジュールと、比較モジュールと、処理モジュールとを含み、
前記電圧バイアスモジュールは、前記共振電圧信号を受信し、前記共振電圧信号にバイアスをかけ、バイアスがかかった共振電圧信号を前記比較モジュールに送信し、
前記比較モジュールは、前記バイアスがかかった共振電圧信号を受信し、前記バイアスがかかった共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換し、次いで、前記デジタル方形波信号を前記処理モジュールに出力し、
前記方法は、
前記処理モジュールによって、前記デジタル方形波信号を受信するステップと、
前記処理モジュールによって、減衰振動の期間、前記スイッチングトランジスタQ5及びQ6のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第2のプリセット条件を満たし、かつ前記共振電圧減衰波形内にある第2のパラメータを取得するステップであって、前記第2のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含み、前記ピークの数と前記谷の数との前記和は、前記第2のプリセット条件を満たすものであり、かつ、前記第5のスイッチングトランジスタQ5がオンからオフに変化し、そして、前記第6のスイッチングトランジスタQ6がオフからオンに変化するときに、前記比較モジュールによって出力される前記デジタル方形波信号に基づいて、前記処理モジュールによって決定される前記ピークの数と前記谷の数との前記和である、ステップと、
前記処理モジュールによって、前記第2のパラメータに基づいて品質因子Qを決定し、前記品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するステップであって、前記品質因子Qは、前記発振回路に蓄積された電力と、各サイクルにおける電力ロスとの比を示す、ステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記第2のプリセット条件は、Uc+Vref0>Vref1、又はUc+Vref0<Vref2であり、Ucは、減衰振動の期間に生成される共振電圧であり、Vref0は、バイアス電圧であり、Uc+Vref0は、前記電圧バイアスモジュールによってバイアスがかけられた共振電圧であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧であり、
前記LC直列回路の前記位相中点の対地電圧が前記励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、前記減衰振動が前記発振回路で発生して前記共振電圧を生成する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
デバイスであって、前記デバイスは、送信デバイス又は受信デバイスであり、
前記送信デバイス又は前記受信デバイスは、請求項1~7のいずれか1項に記載の前記無線充電回路を含み、請求項8~11のいずれか1項に記載の前記方法を実施するように構成される、
デバイス。
【請求項13】
無線充電システムであって、前記システムは、送信デバイスと受信デバイスとを含み、
前記送信デバイスは、請求項1~7のいずれか1項に記載の前記無線充電回路を含み、前記受信デバイスは、充電対象デバイスである、
システム。
【請求項14】
前記受信デバイスは、請求項1~7のいずれか1項に記載の前記無線充電回路を含む、
請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、無線充電技術の分野、特に、無線充電回路、無線充電方法、デバイス、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線充電は、電磁波誘導原理に基づいてデバイスが充電されるプロセスを指す。原理は、変圧器のものと類似している。送信端末のコイルと受信端末のコイルとがある。送信端末のコイルは、有線電源に接続され、電磁信号を生成する。受信端末のコイルは、送信端末からの電磁信号を誘導し、電磁信号を必要な直流に変換して、受信端末のバッテリを充電する。
【0003】
Qi標準規格は、無線電力コンソーシアム(Wireless Power Consortium, WPC)によって立ち上げられた“無線充電”標準規格であり、2つの特徴、即ち、利便性と普遍性とを有する。無線充電技術の発展及び普及に伴い、多くの無線充電製品が市場に出回っている。特に、WPCのQi標準規格に基づく無線充電製品は大きな市場シェアを有する。
【0004】
モバイルフォンなどの受信端末上で無線充電が実行されるとき、送信端末は、リアルタイムに受信端末をモニタリングして識別する必要がある。受信端末を識別したとき、送信端末は、無線充電コイルで電力を伝送し始める。加えて、無線充電コイルにおける充電環境もモニタリングされる必要がある。コイル内に異物、例えば、銀行カード、識別カード、又は他の金属異物がある場合、磁場が渦電流を生成し、これらの異物が無線充電コイル内で電力を消費する。このことは、充電効率を低減させ、また、発火などの事故の原因となる。従って、異物モニタリングは、無線充電プロセスにおける安全を保証するために主要な問題になる。
【発明の概要】
【0005】
この出願は、無線充電回路及び無線充電方法を提供する。無線充電回路は、Q値を利用して異物をより精度良くモニタリングすることができる。特に、この出願は、以下の技術的解決策を開示する。
【0006】
第1の態様によれば、この出願の実施形態は、無線充電回路を提供する。回路は、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む。発振回路は、直列に接続されている励起電圧源Usと、フルブリッジ回路と、LC直列回路とを含む。励起電圧源Usは、LC直列回路に安定電圧を供給するように構成される。
【0007】
さらに、フルブリッジ回路は、並列に接続されている第1のブリッジアームと第2のブリッジアームとを含む。第1のブリッジアームは、第1のスイッチングトランジスタQ1と、第3のスイッチングトランジスタQ3とを含む。第2のブリッジアームは、第2のスイッチングトランジスタQ2と、第4のスイッチングトランジスタQ4とを含む。LC直列回路は、直列に接続されているインダクタLpと共振キャパシタCpとを含む。LC直列回路の一端は、第1のブリッジアームの位相中点に接続され、他端は、第2のブリッジアームの位相中点に接続される。LC直列回路の位相中心は、モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号をモニタリング回路に出力するように構成される。
【0008】
モニタリング回路は、比較モジュールと、処理モジュールとを含む。比較モジュールは、発振回路によって出力される共振電圧信号を受信し、共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換するように構成される。処理モジュールは、デジタル方形波信号を受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第1のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にある第1のパラメータを取得し、第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定するように構成される。第1のパラメータは、ピークの数、谷(troughs)の数、又は、ピークの数と谷の数との和を含む。
【0009】
加えて、処理モジュールは、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するようにさらに構成される。品質因子Qは、発振回路に貯蓄された電力の、各サイクルにおける電力ロスに対する比を表す。Q値がより大きいほど、同じサイクルにおいて、この充電回路のロスがより小さく、より良い性能であることを示す。
【0010】
この実施形態において提供される無線充電回路によれば、第1のブリッジアームと第2のブリッジアームとを含むフルブリッジ回路の設計において、発振回路の充電及び放電を実施するように、フルブリッジ回路内のスイッチングトランジスタのターンオン及びターンオフが制御される。加えて、モニタリング回路は、発振回路によって出力される共振電圧の波形に基づいて、プリセット条件を満たすピークの数、谷の数、又は、ピークの数と谷の数との和を決定し、品質因子Qを計算して、Q値を用いて異物をモニタリングする。
【0011】
比較モジュールは、コンパレータを含む。さらに、コンパレータは、電圧コンパレータである。電圧コンパレータの1つの入力端子は、基準電源に接続され、基準電圧を取得するように構成され、他の端子は、発振回路の出力端子に接続され、発振回路によって生成される共振電圧を受信するように構成される。コンパレータの出力端子は、処理モジュールに接続される。
【0012】
加えて、コンパレータは、代替的に、他の回路、例えば、オペアンプに置き換えられうる。比較モジュールは、他の補助制御回路をさらに含みうる。このことは、この実施形態において限定されない。
【0013】
第1の態様において、第1のプリセット条件は、各振動サイクルにおいて、減衰振動の期間に生成される共振電圧が基準電圧より大きいことである。LC直列回路の位相中点の対地電圧が励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、減衰振動が発振回路で発生して共振電圧を生成する。
【0014】
さらに、第1の態様の具体的な実装において、第1のパラメータについて、以下の3つの可能な実装がありうる。
【0015】
第1の可能な実装において、第1のパラメータは、ピークの数を含む。第1のプリセット条件を満たすピークの数は、第1のプリセット条件を満たすものであり、かつ、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1がオフであり、第1のブリッジアームの第3のスイッチングトランジスタQ3がオンであり、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がオンからオフに変化し、そして、第2のブリッジアームの第4のスイッチングトランジスタQ4がオフからオンに変化するときに、比較モジュールによって出力されるデジタル方形波信号に基づいて、処理モジュールによって決定されるピークの数である。
【0016】
第2の可能な実装において、第1のパラメータは、谷の数を含む。第1のプリセット条件を満たす谷の数は、第1のプリセット条件を満たすものであり、かつ、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がオフであり、第2のブリッジアームの第4のスイッチングトランジスタQ4がオンであり、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1がオンからオフに変化し、そして、第1のブリッジアームの第3のスイッチングトランジスタQ3がオフからオンに変化するときに、比較モジュールによって出力されるデジタル方形波信号に基づいて、処理モジュールによって決定される谷の数である。
【0017】
第3の可能な実装において、第1のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含む。和は、第1のプリセット条件を満たすピークの数と、第1のプリセット条件を満たす谷の数との和である。
【0018】
第1の態様に関連し、第1の態様の可能な実装において、処理モジュールは、第1のパラメータに基づいて、品質因子Q、即ち、
【0019】
【数1】
【0020】
を決定するように特に構成され、m及びnはいずれも正の整数であり、m≧1であり、U1及びU2は、共振電圧減衰波形のいずれかのピークの電圧又はいずれかの谷の電圧である。
【0021】
さらに、第1のパラメータがピークの数又は谷の数であり、かつm=1であるとき、品質因子Qは、
【0022】
【数2】
【0023】
であり、nは、ピークの数又は谷の数である。
【0024】
第1のパラメータがピークの数と谷の数との和であり、かつm=2であるとき、品質因子Qは、
【0025】
【数3】
【0026】
であり、nは、ピークの数と谷の数との和である。
【0027】
この実施形態において提供される方法によれば、具体的なQ値の下で、測定ステップ単位がmに基づいて決定される。mの値がより大きいほど、より小さなステップ単位及びより高い測定精度を示す。第1のパラメータがピークの数と谷の数との和であるとき、mの値は2である。Q値がピークの数又は谷の数のいずれかに基づいて決定されるケースに比べると、このケースでは、測定ステップ単位が半分になり、Q値の精度が2倍になり、異物を識別する能力が向上する。例えば、Q値の測定ステップ単位が元の整数から、その整数の半分に変化するように、フルブリッジ回路内の4つのスイッチングトランジスタのターンオン及びターンオフが制御される。ステップ単位が低減されるため、測定結果はより正確になり、コイル内に異物が存在するかどうかが、より正確に決定でき、測定精度が向上する。
【0028】
上記のQ値計算式において、
【0029】
【数4】
【0030】
であり、Q値が具体的であるとき、nは、mに比例し、nは、1/mに反比例する。
【0031】
加えて、
【0032】
【数5】
【0033】
であり、振動波形のピーク又は谷の電圧U1は、時点t1に対応し、振動波形のピーク又は谷の電圧U2は、時点t2に対応する。t1及びt2について、以下の4つのシナリオがありうる。t1が振動波形のピークの時点であり、かつt2が振動波形の他のピークの時点である、t1が振動波形のピークの時点であり、かつt2が振動波形の谷の時点である、t1が振動波形の谷の時点であり、かつt2が振動波形の他のピークの時点である、又はt1が振動波形の谷の時点であり、かつt2が振動波形の他の谷の時点である。
【0034】
mの値がより大きいほど、より小さなステップ単位、より高い測定精度、そして、より正確な測定結果を示す。
【0035】
第2の態様によれば、この出願の実施形態は、他の無線充電回路をさらに提供する。回路は、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む。発振回路は、直列に接続されている励起電圧源Usと、ハーフブリッジ回路と、LC直列回路とを含む。励起電圧源Usは、LC直列回路に安定電圧を供給するように構成される。
【0036】
さらに、ハーフブリッジ回路は、直列に接続されている第5のスイッチングトランジスタQ5と第6のスイッチングトランジスタQ6とを含む。LC直列回路は、直列に接続されているインダクタLpと共振キャパシタCpとを含む。LC直列回路の一端は、ハーフブリッジ回路の位相中点に接続され、他端は接地される。LC直列回路の位相中心は、モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号をモニタリング回路に出力するように構成される。
【0037】
モニタリング回路は、電圧バイアスモジュールと、比較モジュールと、処理モジュールとを含む。電圧バイアスモジュールは、発振回路に接続され、発振回路によって出力される共振電圧信号を受信し、共振電圧信号にバイアスをかけ、バイアスがかかった共振電圧信号を比較モジュールに送信するように構成される。比較モジュールは、バイアスがかかった共振電圧信号を受信し、バイアスがかかった共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換し、デジタル方形波信号を処理モジュールに出力する。処理モジュールは、デジタル方形波信号を受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第2のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にある第2のパラメータを取得し、第2のパラメータに基づいて品質因子Qを決定するように構成され、第2のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含む。処理モジュールは、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するようにさらに構成される。品質因子Qは、発振回路に蓄積された電力の、各サイクルにおける電力ロスに対する比を表す。
【0038】
この態様において、ハーフブリッジ回路は、発振回路内に設計される。ハーフブリッジ回路内の第5のスイッチングトランジスタQ5及び第6のスイッチングトランジスタQ6のターンオン及びターンオフが制御され、ハーフサイクル発振回路を実装する。比較モジュールは、発振回路によって出力される共振電圧を処理して第2のパラメータ及び振動周波数を取得し、Q値を計算して、無線充電コイル内の異物をモニタリングする。
【0039】
加えて、この回路は、ハーフサイクルにおけるピークの数と谷の数との和を測定及び取得して、Q値を計算することもできる。電圧コンパレータがQ値の計算に利用されるケースに比べると、このケースでは、測定ステップ単位が半分になる。ステップ単位がより小さくなるため、測定結果がより正確になり、コイル内に異物が存在するかどうかが、より正確に決定でき、Q値のモニタリング精度が2倍になり、異物を識別する能力が向上する。
【0040】
第2のプリセット条件は、Uc+Vref0>Vref1又はUc+Vref0<Vref2であり、Ucは、減衰振動の期間に生成される共振電圧であり、Vref0は、バイアス電圧であり、Uc+Vref0は、電圧バイアスモジュールによってバイアスがかけられた共振電圧であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧であり、LC直列回路の位相中点の対地電圧が励起電圧源Usの振動電圧に到達するとき、減衰振動が発振回路で発生して共振電圧を生成する。
【0041】
第2の態様に関連し、第2の態様の可能な実装において、ピークの数と谷の数との和は、第2のプリセット条件を満たすものであり、かつ、第5のスイッチングトランジスタQ5がオンからオフに変化し、そして、第6のスイッチングトランジスタQ6がオフからオンに変化するときに、比較モジュールによって出力されるデジタル方形波信号に基づいて、処理モジュールによって決定されるピークの数と谷の数との和である。
【0042】
スイッチングトランジスタQ5及びQ6は、スイッチングトランジスタQ5及びQ6に接続された制御回路によって制御されうる。例えば、スイッチングトランジスタQ5及びQ6はいずれも、ダイオード、MOSFETトランジスタ、IGBTなどであり、制御回路は、各スイッチングトランジスタのゲートに接続され、ターンオン又はターンオフすべくスイッチングトランジスタQ5及びQ6を駆動するように構成される。
【0043】
第2の態様に関連し、第2の態様の可能な実装において、比較モジュールの入力端子は、電圧バイアスモジュールの出力端子に接続され、出力端子は、処理モジュールに接続される。
【0044】
比較モジュールは、第1のコンパレータと第2のコンパレータとを含む。具体的には、第1のコンパレータと第2のコンパレータとはそれぞれ、第1の入力端子と、第2の入力端子と、出力端子とを含む。第1のコンパレータの第1の入力端子は、第1の電圧源に接続され、第1の電圧源によって供給される第1の基準電圧を取得するように構成される。第1のコンパレータの第2の入力端子と、第2のコンパレータの第1の入力端子とは、互いに接続されて、比較モジュールの入力端子として利用される。第2のコンパレータの第2の入力端子は、第2の電圧源に接続され、第2の電圧源によって供給される第2の基準電圧を取得するように構成される。第1のコンパレータの出力端子と、第2のコンパレータの出力端子とは互いに接続され、比較モジュールの出力端子として利用される。
【0045】
任意選択で、第1の基準電圧と第2の基準電圧とは、正の値であってよいし、又は負の値であってよい。
【0046】
第2の態様に関連し、第2の態様の他の可能な実装において、処理モジュールは、第2のパラメータに基づいて、下記の品質因子Qを決定するように特に構成される。
【0047】
【数6】
【0048】
n及びmはいずれも正の整数であり、m≧1であり、U0は、励起電圧源Usの電圧振幅であり、ΔVは、バイアス電圧と基準電圧との間の電圧差であり、基準電圧は、第1の基準電圧又は第2の基準電圧である。
【0049】
さらに、m=2のとき、品質因子Qは、下記のようになる。
【0050】
【数7】
【0051】
nは、ピークの数と谷の数との和である。
【0052】
各ハーフサイクルにおいて、Uc+Vref0>ΔV、かつΔV=Vref1-Vref0である場合、又は、Uc+Vref0<ΔV、かつΔV=Vref0-Vref2である場合、第2のプリセット条件が満たされ、ハイレベルが出力され、立ち上がりエッジが生成される。ここで、Ucは、発振回路によって出力される共振電圧であり、ΔVは、電圧差であり、ΔV=Vref1-Vref0=Vref0-Vref2であり、Vref0は、バイアス電圧であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧である。
【0053】
ref2≦Uc+Vref0≦Vref1である場合、第2のプリセット条件は満たされず、ハイレベルが生成されず、ローレベル信号が出力される。
【0054】
第3の態様によれば、この出願の実施形態は、無線充電方法をさらに提供する。方法は、無線充電回路に適用される。この回路と第1の態様による無線充電回路とは同じ構造を有する。具体的には、無線充電回路は、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む。
【0055】
発振回路は、直列に接続されている励起電圧源Usと、フルブリッジ回路と、LC直列回路とを含む。励起電圧源Usは、LC直列回路に安定電圧を供給するように構成される。フルブリッジ回路は、並列に接続されている第1のブリッジアームと第2のブリッジアームとを含む。第1のブリッジアームは、第1のスイッチングトランジスタQ1と第3のスイッチングトランジスタQ3とを含む。第2のブリッジアームは、第2のスイッチングトランジスタQ2と第4のスイッチングトランジスタQ4とを含む。LC直列回路は、直列に接続されているインダクタLpと共振キャパシタCpとを含む。LC直列回路の一端は、第1のブリッジアームの位相中点に接続され、他端は、第2のブリッジアームの位相中点に接続される。LC直列回路の位相中点は、モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号をモニタリング回路に出力するように構成される。モニタリング回路は、比較モジュールと処理モジュールとを含む。比較モジュールは、共振電圧信号を受信し、共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換するように構成される。
【0056】
方法は、以下のことを含む。
【0057】
処理モジュールが、デジタル方形波信号を受信することであって、デジタル方形波信号は、共振電圧信号を変換することによって生成される、こと。
【0058】
処理モジュールが、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて、共振電圧減衰波形を取得し、共振電圧減衰波形に基づいて、第1のプリセット条件を満たす第1のパラメータを取得することであって、第1のパラメータは、ピークの数、谷の数、又は、ピークの数と谷の数との和を含む、こと。
【0059】
処理モジュールが、第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定すること。
【0060】
処理モジュールが、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得すること。
【0061】
第1のプリセット条件は、各振動サイクルにおいて、減衰振動の期間に生成される共振電圧が基準電圧より大きいことである。LC直列回路の位相中点の対地電圧が励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、減衰振動が発振回路で発生して共振電圧を生成する。
【0062】
第3の態様に関連し、第3の態様の可能な実装において、第1のパラメータは、ピークの数を含み、第1のプリセット条件を満たすピークの数は、第1のプリセット条件を満たすものであり、かつ、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1がオフであり、第1のブリッジアームの第3のスイッチングトランジスタQ3がオンであり、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がオンからオフに変化し、そして、第2のブリッジアームの第4のスイッチングトランジスタQ4がオフからオンに変化するときに、比較モジュールによって出力されるデジタル方形波信号に基づいて、処理モジュールによって決定されるピークの数であるか、
第1のパラメータは、谷の数を含み、第1のプリセット条件を満たす谷の数は、第1のプリセット条件を満たすものであり、かつ、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がオフであり、第2のブリッジアームの第4のスイッチングトランジスタQ4がオンであり、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1がオンからオフに変化し、そして、第1のブリッジアームの第3のスイッチングトランジスタQ3がオフからオンに変化するときに、比較モジュールによって出力されるデジタル方形波信号に基づいて、処理モジュールによって決定される谷の数であるか、又は
第1のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含み、和は、第1のプリセット条件を満たすピークの数と、第1のプリセット条件を満たす谷の数との和である。
【0063】
第3の態様に関連し、第3の態様の他の可能な実装において、処理モジュールが第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定することは、処理モジュールが、第1のパラメータに基づいて、下記の品質因子Qを決定することを含む。
【0064】
【数8】
【0065】
n及びmはいずれも正の整数あり、m≧1であり、U1及びU2は、共振電圧減衰波形のいずれかのピークの電圧又はいずれかの谷の電圧である。
【0066】
さらに、m=2であるとき、品質因子Qは、下記のようになる。
【0067】
【数9】
【0068】
nは、ピークの数と谷の数との和である。
【0069】
加えて、第3の態様に関連し、第3の態様のさらに他の可能な実装において、異物をモニタリングすることは、品質因子Qが第1の閾値以下である場合に、無線充電コイル内に異物が存在すると決定すること、品質因子Qが第1の閾値より大きく、かつ第2の閾値以下である場合に、無線充電コイル内に異物が存在する可能性があり、さらに詳しく調べる必要があると決定すること、又は品質因子Qが第2の閾値より大きい場合に、無線充電コイル内に異物が存在しないと決定すること、を含む。第1の閾値と第2の閾値とはユーザによって設定されてよい。
【0070】
第4の態様によれば、この出願の実施形態は、他の無線充電方法をさらに提供する。方法は、無線充電回路に適用される。この回路と第2の態様による無線充電回路とは同じ構造を有する。無線充電回路は、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む。
【0071】
発振回路は、直列に接続されている励起電圧源Usと、ハーフブリッジ回路と、LC直列回路とを含む。励起電圧源Usは、LC直列回路に安定電圧を供給するように構成される。ハーフブリッジ回路は、直列に接続されている第5のスイッチングトランジスタQ5と第6のスイッチングトランジスタQ6とを含む。LC直列回路は、直列に接続されているインダクタLpと共振キャパシタCpとを含む。LC直列回路の一端は、ハーフブリッジ回路の位相中点に接続され、他端は接地される。LC直列回路の位相中点は、モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号をモニタリング回路に出力するように構成される。モニタリング回路は、電圧バイアスモジュールと、比較モジュールと、処理モジュールとを含む。電圧バイアスモジュールは、共振電圧信号を受信し、共振電圧信号にバイアスをかけ、バイアスがかかった共振電圧信号を比較モジュールに送信する。比較モジュールは、バイアスがかかった共振電圧信号を受信し、バイアスがかかった共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換し、次いで、デジタル方形波信号を処理モジュールに出力する。
【0072】
方法は、以下のことを含む。
【0073】
処理モジュールが、デジタル方形波信号を受信すること。
【0074】
処理モジュールが、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第2のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にある第2のパラメータを取得することであって、第2のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含む、こと。処理モジュールが、第2のパラメータに基づいて品質因子Qを決定すること。
【0075】
処理モジュールは、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するようにさらに構成される。
【0076】
さらに、第2のプリセット条件は、Uc+Vref0>Vref1、又はUc+Vref0<Vref2であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧であり、Vref0は、バイアス電圧であり、Ucは、減衰振動の期間に生成される共振電圧であり、Uc+Vref0は、電圧バイアスモジュールによってバイアスがかけられた共振電圧である。
【0077】
LC直列回路の位相中点の対地電圧が励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、減衰振動が発振回路で発生して共振電圧を生成する。
【0078】
第4の態様に関連し、第4の態様の可能な実装において、ピークの数と谷の数との和は、第2のプリセット条件を満たすものであり、かつ、第5のスイッチングトランジスタQ5がオンからオフに変化し、そして、第6のスイッチングトランジスタQ6がオフからオンに変化するときに、比較モジュールによって出力されるデジタル方形波信号に基づいて、処理モジュールによって決定されるピークの数と谷の数との和である。
【0079】
第4の態様に関連し、第4の態様の他の可能な実装において、処理モジュールが、第2のパラメータに基づいて品質因子Qを決定することは、処理モジュールが、第2のパラメータに基づいて、下記の品質因子Qを決定することを含む。
【0080】
【数10】
【0081】
n及びmはいずれも正の整数であり、m≧1であり、U0は、励起電圧源Usの電圧振幅であり、ΔVは、バイアス電圧と基準電圧との間の電圧差であり、基準電圧は、第1の基準電圧又は第2の基準電圧である。
【0082】
さらに、m=2のとき、品質因子Qは、下記のようになる。
【0083】
【数11】
【0084】
nは、ピークの数と谷の数との和である。
【0085】
第5の態様によれば、この出願の実施形態は、処理装置をさらに提供する。処理装置は、プロセッサとメモリとを含む。プロセッサは、メモリに結合される。さらに、プロセッサは、メモリ内に格納されたコンピュータプログラム命令を走らせ又は実行し、メモリ内のデータを呼び出して、第3の態様又は第4の態様の実装における方法を実行し、Q値に基づいて、充電コイル内に異物が存在するかどうかをモニタリングするように構成される。
【0086】
任意選択で、プロセッサは、処理チップ又は処理モジュールである。
【0087】
任意選択で、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は、フラッシュメモリ又はハードディスクなどの不揮発性メモリである。
【0088】
第6の態様によれば、この出願の実施形態は、デバイスをさらに提供する。デバイスは、送信デバイス又は受信デバイスである。送信デバイス又は受信デバイスは、第1の態様及び第1の態様の実装における無線充電回路を含む。加えて、無線充電回路は、第2の態様及び第2の態様の実装による方法を実施し、異物をモニタリングするために利用される。
【0089】
具体的には、モニタリングプロセスは、品質因子Q値と、第1の閾値及び第2の閾値の両方との間の関係を決定することを含む。
【0090】
品質因子Qが第1の閾値以下である場合、無線充電コイル内に異物が存在すると決定される。
【0091】
品質因子Qが第1の閾値より大きく、かつ第2の閾値以下である場合、無線充電コイル内に異物が存在する可能性があり、さらに詳しく調べる必要があると決定される。
【0092】
品質因子Qが第2の閾値より大きい場合、無線充電コイル内に異物が存在しないと決定される。
【0093】
加えて、異物が存在するかどうかは、代替的に、他の方法又は方策を利用してモニタリングされてよい。
【0094】
第7の態様によれば、この出願の実施形態は、無線充電システムをさらに提供する。システムは、送信デバイスと受信デバイスとを含む。送信デバイスは、第1の態様又は第2の態様による無線充電回路を含む。受信デバイスは、充電対象デバイスである。
【0095】
任意選択で、受信デバイスは、第1の態様又は第2の態様による無線充電回路をさらに含み、異物をモニタリングする。
【0096】
第8の態様によれば、この出願の実施形態は、コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。記憶媒体は、命令を格納する。命令がコンピュータ又はプロセッサ上で実行されるとき、第3の態様又は第4の態様の実装による方法が実行される。
【0097】
さらに、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ命令を含む。命令がコンピュータ又はプロセッサによって実行されるとき、第3の態様又は第4の態様の実装による方法が実行されうる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】この出願の実施形態による無線充電回路の構造の模式図である。
図2】この出願の実施形態による他の無線充電回路の構造の模式図である。
図3】この出願の実施形態によるフルブリッジ回路の構造の模式図である。
図4a】この出願の実施形態によるQ値を決定するための方法のフローチャートである。
図4b】この出願の実施形態によるピークの数を決定するための方法のフローチャートである。
図5a】この出願の実施形態による共振回路の等価回路図である。
図5b】この出願の実施形態による発振回路によって生成される共振電圧の減衰波形の模式図である。
図6a】この出願の実施形態による他の共振回路の等価回路図である。
図6b】この出願の実施形態による発振回路によって生成される共振電圧の他の減衰波形の模式図である。
図7】この出願の実施形態による他の無線充電回路の構造の模式図である。
図8】この出願の実施形態によるQ値を決定するための他の方法のフローチャートである。
図9】この出願の実施形態による発振回路によって生成される共振電圧のさらに他の減衰波形の模式図である。
図10】この出願の実施形態による、さらに他の無線充電回路の構造の模式図である。
図11】この出願の実施形態による発振回路によって生成される共振電圧のさらに他の減衰波形の模式図である。
図12】この出願の実施形態による処理モジュールの構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
この出願の実施形態における技術的解決策について、当業者により良く理解させ、目的、機能、及びこの出願の実施形態の利点をより明確にするため、以下では、添付図を参照しながら、この出願の実施形態における技術的解決策について、さらに詳細に説明する。
【0100】
初めに、この出願の実施形態で利用される技術的シナリオについて説明する。
【0101】
この出願の技術的解決策は、無線充電技術のシナリオに適用される。シナリオは、無線充電デバイスと、充電対象デバイスとを含む。無線充電デバイスは、無線での充電が可能な充電対象デバイスを充電するように構成される。例えば、無線充電デバイスは、無線充電モバイル電源、無線充電基板、無線充電器などであってよい。充電対象デバイスは、モバイルフォン、タブレット、ノートブックコンピュータ、車載装置、又はデジタルカメラなど、組み込み型再充電可能バッテリを持つ電子デバイスを含む。
【0102】
無線充電デバイスは、送信デバイスと称されることもある。充電対象デバイスは、受信デバイスと称されることもある。
【0103】
任意選択で、無線充電デバイスは、ハウジング、無線充電コイル、搬送装置などを含む。具体的には、充電対象デバイスを搬送するための充電面は、ハウジングの表面に配置される。従って、充電対象デバイスは、ハウジングの充電面上に配置されうる。加えて、この出願のこの実施形態において、バッテリ及び回路基板が、ハウジング内にさらに配置される。バッテリは、電気エネルギーを蓄積し、電気エネルギーを出力するように構成される。無線充電回路は、回路基板上に配置される。無線充電回路は、無線充電コイルに電気的に接続され、無線充電デバイスの充電及び放電プロセスを制御し、無線充電デバイス全体の動作状態を制御するように構成される。
【0104】
無線充電コイルは、ハウジング内に配置され、バッテリの電気エネルギーを、伝送及び放射のために磁気エネルギーに変換するように構成される。搬送装置は、ハウジング内に配置され、無線充電コイルを搬送及び固定し、無線充電コイルを保護するように構成される。
【0105】
この出願のこの実施形態において、電磁波誘導原理に基づいて充電対象デバイスが充電されるとき、充電環境が良好かどうかをどのようにモニタリングするかが、主に解決されるべき技術的課題である。言い換えると、充電品質に影響する異物が無線充電コイル内に存在するかどうかがモニタリングされる。
【0106】
技術的課題を解決するため、この出願の実施形態は、品質因子Q(又は“Q値”と称される)を決定するための方法を提供する。品質因子は、蓄電デバイス(インダクタ又はキャパシタなど)又は共振回路に蓄積される電力の、各サイクルにおける電力ロスに対する比を表す。直列共振ループ内のリアクタンス素子のQ値は、リアクタンス素子の等価直列抵抗に対する、リアクタンス素子のリアクタンスの比に等しい。加えて、素子のQ値がより大きいほど、より小さいロス、及び、素子を含む回路又はネットワークのより良好な性能を示す。従って、品質因子Qは、ループロスの大きさを評価するために利用されうる。一般に、Q値は、数十から数百までの範囲内になる。この出願のこの実施形態において、Q値は、減衰振動を通じて取得されうる。具体的には、無線充電回路は、減衰振動がLC直列回路で発生するときに生成される共振電圧減衰波形を取得してQ値を決定するように設計される。
【0107】
無線充電デバイス内の無線充電回路については、以下の実施形態において詳細に説明される。
【0108】
図1は、この出願の実施形態による無線充電回路の構造の模式図である。回路は、発振回路10と、モニタリング回路20とを含む。発振回路10は、順に接続されている電源1001と、検出及び制御回路1002と、LC直列回路1003とを含む。モニタリング回路20は、比較モジュール2001と、処理モジュール2002とを含む。
【0109】
電源1001は、励起電圧源Usであってよく、発振回路10に電圧を供給するように構成される。検出及び制御回路1002は、電源1001及びLC直列回路1003に直列に接続され、電圧を検出して、LC直列回路1003の充電及び放電を制御するように構成される。検出及び制御回路1002は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを含む。スイッチングトランジスタは、スイッチ、ダイオード、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFETトランジスタ)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor, IGBT)などを含み、又は、スイッチングトランジスタは、他の物質をさらに含んでよい。LC直列回路1003は、減衰振動プロセスにおいて共振電圧信号を出力し、共振電圧信号は、比較モジュール2001及び処理モジュール2002へと出力される。比較モジュール2001及び処理モジュール2002は、共振電圧信号上でのサンプリング処理を実行し、Q値を計算し、Q値を利用して異物をモニタリングする。
【0110】
さらに、無線充電回路内の回路コンポーネントは、以下の具体的な実装を含みうる。
【0111】
実施形態1
【0112】
図2は、実施形態による他の無線充電回路の構造の模式図である。回路は、発振回路10と、モニタリング回路20とを含む。発振回路10は、モニタリング回路20に接続される。さらに、発振回路10は、励起電圧源Usと、フルブリッジ回路と、LC直列回路と、LC直列回路の等価インピーダンスRとを含む。等価インピーダンスRは、図2に示されていない。励起電圧源Usの電圧振幅はU0である。加えて、無線充電回路は、充電制御レジスタR0をさらに含む。レジスタR0は、LC直列回路が充電されるとき、発振回路10の振動を抑制するように構成される。
【0113】
さらに、図3に示すように、フルブリッジ回路は、並列に接続されている第1のブリッジアーム11と第2のブリッジアーム12とを含む。第1のブリッジアーム11は、第1のスイッチングトランジスタQ1と、第3のスイッチングトランジスタQ3とを含む。第2のブリッジアーム12は、第2のスイッチングトランジスタQ2と、第4のスイッチングトランジスタQ4とを含む。加えて、Q1は、Q3に直列に接続され、Q2は、Q4に直列に接続される。第1のブリッジアーム11の位相中点はO1であり、第2のブリッジアーム12の位相中点はO2である。各ブリッジアームの位相中点の2つの端部での電位は等しい。フルブリッジ回路の一端は、充電制御レジスタR0を通じて励起電圧源Usの正極に接続され、他端は、励起電圧源Usの負極に接続される。励起電圧源Usは、LC直列回路に安定電圧を供給するように構成される。
【0114】
図1に示した検出及び制御回路1002の機能は、この実施形態においてフルブリッジ回路によって実装されると理解すべきである。フルブリッジ回路は、励起電圧源Usを制御してLC直列回路を充電し、LC直列回路を制御して放電するように構成されうる。
【0115】
図2に示すように、LC直列回路は、直列に接続されているインダクタLpと共振キャパシタCpとを含む。インダクタLp及び共振キャパシタCpは、直列に接続される。加えて、インダクタLp及び共振キャパシタCpの位相中点は、Mである。加えて、LC直列回路は、等価インピーダンスRをさらに含む。等価インピーダンスは、図2に示されていない。LC直列回路は、フルブリッジ回路に接続される。具体的には、フルブリッジ回路の第1のブリッジアームの位相中点O1は、LC直列回路の一端に接続され、フルブリッジ回路の第2のブリッジアームの位相中点O2は、LC直列回路の他端に接続される。LC直列回路の位相中点Mのグランド(GND)に対する電圧は、Ucである。位相中点Mでの出力であるピンは、モニタリング回路20に接続される。
【0116】
モニタリング回路20は、比較モジュールと、処理モジュールとを含む。
【0117】
比較モジュールは、コンパレータを含む。コンパレータは、“Com”と表現されることがある。さらに、コンパレータComは、電圧コンパレータである。この実施形態における比較モジュールは、コンパレータComの例で説明される。
【0118】
コンパレータは、第1の入力端子(入力端子1とも称される)と、第2の入力端子(入力端子2とも称される)と、出力端子とを含む。入力端子1は、非反転入力端子+であり、入力端子2は、反転入力端子-である。加えて、入力端子1は、LC直列回路の位相中点Mでの出力であるピンに接続される。入力端子2は、基準電源に接続される。基準電源は、基準電圧を供給する。コンパレータの出力端子は、処理モジュールに接続される。
【0119】
基準電圧は、“Vref”と表現されることがある。基準電圧は、正値又は負値でありうる。
【0120】
コンパレータは、減衰振動が発振回路で発生するときに出力される共振電圧信号を取得し、共振電圧信号(即ち、LC直列回路の位相中点Mの対置電圧Uc)をデジタル方形波信号に変換し、デジタル方形波信号を処理モジュールに送信するように構成される。
【0121】
処理モジュールは、コンパレータの出力端子に接続され、コンパレータによって出力されるデジタル方形波信号を受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第1のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にある第1のパラメータを取得し、第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定し、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するように構成される。品質因子Qは、発振回路に貯蓄された電力の、各サイクルにおける電力ロスに対する比を表す。Q値がより大きいほど、より小さいロス、及びより良い充電性能を示す。
【0122】
第1のプリセット条件は、各振動サイクルにおいて、減衰振動の期間に生成される共振電圧が基準電圧より大きいことである。LC直列回路の位相中点Mの対地電圧が励起電圧源Usの振幅電圧に到達するとき、減衰振動が発振回路で発生して共振電圧を生成する。
【0123】
加えて、第1のパラメータは、ピークの数、谷の数、又はピークの数と谷の数との和を含む。加えて、第1のパラメータは、他のパラメータをさらに含んでよい。具体的には、以下の3つの実装がある。
【0124】
第1の可能な実装において、第1のパラメータは、ピークの数である。図4aに示すように、方法は、以下のステップを含む。
【0125】
401:処理モジュールは、第1のプリセット条件を満たすピークの数を取得する。ピークの数は、“n1”と表現される。
【0126】
フルブリッジ回路の第1のブリッジアームのスイッチングトランジスタQ1又はスイッチングトランジスタQ3のいずれかがターンオンされる。同様に、第2のブリッジアームのスイッチングトランジスタQ2又はスイッチングトランジスタQ4のいずれかがターンオンされる。さらに、図4bに示すように、ステップ401は、以下のステップを含む。
【0127】
4011:フルブリッジ回路のスイッチングトランジスタQ1からQ4を制御して、励起電圧源UsがLC直列回路を充電できるようにする。
【0128】
具体的には、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1がターンオフするように制御され、第3のスイッチングトランジスタQ3がターンオンするように制御される。加えて、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がターンオンするように制御され、第4のスイッチングトランジスタQ4がターンオフするように制御される。この場合、発振回路は、第1のループ、即ち、Us→Q2→Cp→Lp→Q3→グランド(GND)→Usを形成し、励起電圧源Usは、キャパシタCpを充電する。
【0129】
4012:LC直列回路の位相中点Mの対地電圧が励起電圧源Usの振幅電圧U0に到達するとき、フルブリッジ回路のスイッチングトランジスタQ1からQ4を制御して、LC直列回路が放電できるようにし、それにより、発振回路は、減衰振動を実行し始める。
【0130】
具体的には、LC直列回路の位相中点Mの対地電圧Ucが振幅電圧U0であるとき、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がターンオフするように制御され、第4のスイッチングトランジスタQ4がターンオンするように制御され、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1と第3のスイッチングトランジスタQ3との状態は、変更されずに維持される。この場合、発振回路は、第2のループ、即ち、GND→Q3→Lp→Cp→Q4→GNDを形成し、LC直列回路のキャパシタCpは放電する。
【0131】
等価回路が図5aに示されている。Q3をターンオンし、Q4をターンオンし、Q2をターンオフするように制御することは、等価回路のスイッチKを接点aから接点b(t>0)にサミング(thumbing)して第2のループを形成することに等しい。LC直列回路は、共振電圧Ucをコンパレータへと出力する。共振電圧は、振幅電圧U0から減衰し始める。
【0132】
ステップ4011及びステップ4012は、スイッチングトランジスタQ1からQ4に接続された制御回路によって実行されうる。例えば、スイッチングトランジスタQ1からQ4は全てMOSFETトランジスタであり、制御回路は、各MOSFETトランジスタのゲートに接続され、スイッチングトランジスタQ1からQ4を駆動してターンオン又はオフするように構成される。
【0133】
4013:コンパレータは、発振回路によって出力される共振電圧信号Ucを取得し、共振電圧信号Ucをデジタル方形波信号に変換し、デジタル方形波信号を処理モジュールに送信する。
【0134】
コンパレータは、各振動サイクルにおいて発振回路によって出力される共振電圧信号の値と、基準電圧の値とを比較するように構成される。減衰振動の期間に生成される共振電圧Ucが、各振動サイクルにおいて基準電圧Vrefより大きいかどうかがさらに決定される。もしYESならば、第1のプリセット条件は満たされ、そうでなければ、第1のプリセット条件は満たされない。
【0135】
図5bは、発振回路によって生成される共振電圧の減衰波形の模式図である。励起電圧源Usは、一次ステップ励起信号e(t)を生成する。励起電圧源Usの発振回路によって出力される共振電圧の減衰波形がコンパレータを通過後、出力された共振電圧Ucは、特定の時間内に徐々に減衰する。図5bにおいて、波線は、共振電圧減衰曲線を表し、方形波線は、変換を通じて得られるデジタル方形波信号を表す。振動サイクルの周波数は、f1である。各振動サイクル(1/f1)において、減衰振動の期間に生成される、出力された共振電圧UcがVrefより大きい場合、Vrefは、直流レベルである。この実施形態において、直流レベルは、正のレベルであり、方形波信号が生成され、方形波の立ち上がりエッジが現れると仮定する。立ち上がりエッジの開始時点は、共振電圧減衰曲線と基準電圧との交点である。Uc≦Vrefの場合、方形波信号は生成されず、減衰振動は終了する傾向にある。第1のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰曲線内にあるピークの数は、方形波の立ち上がりエッジの数と同じである。
【0136】
4014:処理モジュールは、デジタル方形波信号をコンパレータから受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第1のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にあるピークの数n1を取得する。
【0137】
具体的には、発振回路の減衰振動の期間、LC直列回路によって出力される共振電圧Ucは、振幅電圧U0から0へと徐々に減少する。処理モジュールは、コンパレータによって出力されるデジタル方形波信号に基づいてピークの数n1を決定し、ここで、n1は、方形波における立ち上がりエッジの数と同じである。図5bに示した例において、第1のプリセット条件を満たすピークの数は5である。言い換えると、n1=5である。
【0138】
第2の可能な実装において、第1のパラメータは、谷の数である。図4aに示すように、方法は、以下のステップを含む。
【0139】
402:処理モジュールは、第1のプリセット条件を満たす谷の数を取得する。谷の数は、“n2”と表現される。
【0140】
具体的には、谷の数n2を取得するための方法は、ステップ401におけるピークの数n1を取得するための方法と同様である。方法は、具体的には、以下のステップを含む。
【0141】
第1:フルブリッジ回路のスイッチングトランジスタQ1からQ4を制御して、励起電圧源UsがLC直列回路を充電できるようにする。
【0142】
具体的には、第1のブリッジアームの第1のスイッチングトランジスタQ1がターンオンするように制御され、第3のスイッチングトランジスタQ3がターンオフするように制御される。加えて、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2がターンオフするように制御され、第4のスイッチングトランジスタQ4がターンオンするように制御される。この場合、発振回路は、第3のループ、即ち、Us→Q1→Lp→Cp→Q4→GND→Usを形成し、励起電圧源Usは、キャパシタCpを充電する。
【0143】
第2:LC直列回路の位相中点の対地電圧Ucが励起電圧源Usの振幅電圧U0に到達するとき、フルブリッジ回路のスイッチングトランジスタQ1からQ4を制御して、LC直列回路が放電できるようにし、それにより、発振回路は、減衰振動を実行し始める。具体的には、共振電圧信号Ucが振幅電圧U0であるとき、第1のブリッジアームの第3のスイッチングトランジスタQ3がターンオンするように制御され、第1のスイッチングトランジスタQ1がターンオフするように制御される。加えて、第2のブリッジアームの第2のスイッチングトランジスタQ2はオフで維持され、第4のスイッチングトランジスタQ4はオンで維持される。この場合、発振回路は、第4のループ、即ち、GND→Q3→Lp→Cp→Q4→GNDを形成し、LC直列回路のキャパシタCpが放電する。
【0144】
等価回路が図6aに示されている。Q3がターンオンし、Q4がターンオンし、Q1がターンオフし、Q2がターンオフするように制御することは、等価回路のスイッチKを接点aから接点b(t>0)にサミングして第4のループを形成することに等しい。LC直列回路は、共振電圧信号Ucをコンパレータへと出力する。
【0145】
第3:コンパレータは、発振回路によって出力される共振電圧信号Ucを取得し、共振電圧信号Ucをデジタル方形波信号に変換し、デジタル方形波信号を処理モジュールに送信する。
【0146】
コンパレータは、各振動サイクルにおいて発振回路によって出力される電圧信号Ucの値と、基準電圧Vrefの値とを比較するように構成される。図6bは、発振回路によって出力される共振電圧の減衰波形の模式図である。励起電圧源Usは、一次ステップ励起信号e(t)を生成する。励起電圧源UsのLC発振回路の減衰振動信号が電圧コンパレータを通過後、出力された電圧は、特定の時間内に徐々に減衰する。図6bにおいて、波線は、共振電圧減衰波形の曲線を表し、この波形及び図5bに示した波形は、水平軸に関して対称であり、方形波線は、変換を通じて得られるデジタル方形波信号を表す。振動サイクルの周波数は、f2である。各振動サイクル(1/f2)において、減衰振動によって生成される共振電圧UcがVrefより大きい場合、方形波信号が生成され、方形波の立ち上がりエッジが現れる。Uc≦Vrefの場合、方形波信号は生成されず、減衰振動は終了する傾向にある。第1のプリセット条件を満たし、かつ図6bに示した波形内にあるピークの数は、図5bに示した減衰波形における谷の数に等しい。谷の数は、方形波における立ち上がりエッジの数と同じである。
【0147】
第4:処理モジュールは、コンパレータからデジタル方形波信号を受信し、デジタル方形波信号に基づいて谷の数n2を決定する。図6bに示した例において、第1のプリセット条件を満たす谷の数は、6である。言い換えると、n2=6である。対応する振動周波数は、f2である。
【0148】
第3の可能な実装において、第1のパラメータは、ピークの数と谷の数との和である。図4aに示すように、方法は、以下のステップを含む。
【0149】
403:処理モジュールは、ピークの数と谷の数との和を取得する。和(又は合計数と称される)は、nと表現されることがある。
【0150】
ピークの数と谷の数との和は、n=n1+n2であり、振動周波数は、
【0151】
【数12】
【0152】
である。さらに、ピークの数n1を取得するプロセスについては、ステップ401の詳細な説明を参照されたい。谷の数n2を取得するプロセスについては、ステップ402の詳細な説明を参照されたい。詳細については、ここでは再び説明されない。
【0153】
第1のパラメータがさらに他のパラメータを含む場合、第1のパラメータは、これらのパラメータを取得するプロセスをさらに含みうると理解されるべきである。
【0154】
404:処理モジュールは、ピークの数と谷の数との和n(第1のパラメータ)に基づいて品質因子Qを決定する。
【0155】
具体的には、図6aに示すように、Kが作動する前、即ち、t≦0の時点では、LC直列回路の入力源は、励起電圧源Usであり、励起電圧源Usの出力される直流電圧振幅はU0であり、完全に充電されたキャパシタCpの電圧はU0である。
【0156】
Kが作動した後、t>0であり、LC入力源の電圧値は、U0から0にジャンプし、キャパシタCpの電圧u(t)は、フリーラン方式で減衰し始める。フリーラン方程式は、
【0157】
【数13】
【0158】
である。
【0159】
上記の二次微分方程式(1)は解かれる。
【0160】
【数14】
【0161】
であるとき、即ち、Q>1/2であるとき、初期条件、即ち、
【0162】
【数15】
【0163】
に基づいて、
【0164】
【数16】
【0165】
が解かれ、共振回路の品質因子Q(Q値と称される)は、以下のように定義される。
【0166】
【数17】
【0167】
共振発生条件は、
【0168】
【数18】
【0169】
であり、ここで、
【0170】
【数19】
【0171】
であり、ω0は、角周波数であり、f0は、周波数である。
【0172】
【数20】
【0173】
である。等価インピーダンスRが十分に小さいとき、即ち、Qが十分に大きいとき、
【0174】
【数21】
【0175】
であり、即ち、式(3)において
【0176】
【数22】
【0177】
であり、
【0178】
【数23】
【0179】
を得る。
【0180】
【数24】
【0181】
即ち、
【0182】
【数25】
【0183】
が、式(7)に代入されて
【0184】
【数26】
【0185】
を取得しうる。
【0186】
nが自然数であるとき、即ち、n≧0であるとき、上記の式(8)は、
【0187】
【数27】
【0188】
になる。nが奇数であるとき、u(t)は、負のピーク値である。nが偶数であるとき、u(t)は、正のピーク値である。任意の2つのピークの時点t1及びt2に対応するピーク又は谷の電圧は、U1及びU2として選択され、ここで、t1及びt2は、共鳴電圧減衰波形内の任意の2つのピーク又は谷の時点である。
【0189】
例えば、t1は、振動波形のピークの時点であり、t2は、振動波形の他のピークの時点である、
t1は、振動波形のピークの時点であり、t2は、振動波形の谷の時点である、
t1は、振動波形の谷の時点であり、t2は、振動波形の他のピークの時点である、又は
t1は、振動波形の谷の時点であり、t2は、振動波形の他の谷の時点である。
【0190】
この場合、
【0191】
【数28】
【0192】
である。従って、
【0193】
【数29】
【0194】
である。式(10)の両辺で対数をとり、
【0195】
【数30】
【0196】
を得る。
【0197】
m及びnがいずれも正の整数であり、m≧1であり、
【0198】
【数31】
【0199】
であり、Qは、品質因子であり、振動波形のピーク又は谷の電圧U1に対応する時点はt1であり、振動波形のピーク又は谷の電圧U2に対応する時点はt2であり、U1又はU2は、それが谷の電圧である場合に負の値であり、それがピークの電圧である場合に正の値である。加えて、Q値が具体的であるとき、nは、mに比例し、nは、1/mに反比例する。
【0200】
405:処理モジュールは、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得する。
【0201】
具体的には、モニタリング方法では、2つの閾値、即ち、第1の閾値と第2の閾値とを設定している。第1の閾値は、第2の閾値より小さい。モニタリング結果は、以下の条件が満たされるときに上記のステップで取得されるQ値に基づいて取得される。
【0202】
品質因子Qが、第1の閾値以下である場合、無線充電コイル内に異物が存在すると決定される。
【0203】
品質因子Qが第1の閾値より大きく、かつ第2の閾値以下である場合、無線充電コイル内に異物が存在する可能性があり、さらに詳しく調べる必要があると決定される。
【0204】
品質因子Qが第2の閾値より大きい場合、無線充電コイル内に異物が存在しないと決定される。
【0205】
さらに、第1のパラメータの上述した3つの可能な実装において、第1のパラメータは、ピークの数n1又は谷の数n2を含む。言い換えると、n=n1又はn=n2である。この場合、m=1である。上記の式(11)に基づいて、Q値は、
【0206】
【数32】
【0207】
になる。代替的に、第1のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含む。言い換えると、n=n1+n2である。この場合、m=2である。上記の式(11)に基づいて、Q値は、
【0208】
【数33】
【0209】
になる。加えて、式(11)から、
【0210】
【数34】
【0211】
及び
【0212】
【数35】
【0213】
であるため、Q=n・kであることが理解できる。
【0214】
この場合、Qの精度は、ステップ値kによって制限される。kの値がより小さいほど、mの値がより大きく、Qの精度がより高いことを示す。
【0215】
上記の第3の実装において、式(8)から、
【0216】
【数36】
【0217】
即ち、
【0218】
【数37】
【0219】
であり、式(13)、即ち、
【0220】
【数38】
【0221】
を得て、精度は、
【0222】
【数39】
【0223】
であり、n=n1+n2であることが理解できる。
【0224】
この実施形態において提供される方法において、mの値は2である。mの値が1であるケースと比べると、このケースでは、サンプリングされるピークの数が2倍になり、具体的なQ値の下で測定ステップ単位が半分になり、Q値の精度が2倍になり、異物を識別する能力が向上する。例えば、mの値が1であるとき、可能な測定精度は1である。mの値が2であるとき、得られる測定精度は0.5である。このように、Q値の測定ステップ単位が元の整数から、その整数の半分に変更される。ステップ単位が低減されるため、測定結果はより正確になり、コイル内に異物が存在するかどうかが、より精度良く決定でき、測定精度を改善する。
【0225】
第1のパラメータは、他のパラメータをさらに含んでもよく、それにより、mの値は2より大きくなり、より小さな測定精度単位及びより正確な測定結果を得ると理解されるべきである。
【0226】
この方法において、フルブリッジ回路は、LC直列回路の出力電圧を出力し、ピークの数、谷の数、又はピークの数と谷の数との和に基づいてQ値を計算して、充電コイル内の異物をモニタリングする。
【0227】
実施形態2
【0228】
この実施形態は、他の無線充電回路を提供する。この実施形態で、発振回路10のフルブリッジ回路がハーフブリッジ回路に置き換えられ、かつ電圧バイアスモジュールがモニタリング回路に追加されていることを除いて、無線充電回路は、実施形態1と構造が類似している。加えて、比較モジュールは、2つ以上のコンパレータを含む。さらに、2つ以上のコンパレータは、統合型電圧コンパレータと称されることがある。
【0229】
具体的には、図7に示すように、無線充電回路は、発振回路10と、モニタリング回路20とを含む。さらに、発振回路10は、励起電圧源Usと、ハーフブリッジ回路と、LC直列回路と、LC直列回路の等価インピーダンスRとを含む。等価インピーダンスRは、図7に示されていない。U0は、可変周波数を持つ励起電圧源Usの電圧振幅である。加えて、無線充電回路は、LC直列回路が充電されるときに、発振回路10の振動を抑制するように構成された充電制御レジスタR0をさらに含む。
【0230】
さらに、ハーフブリッジ回路は、第5のスイッチングトランジスタQ5と、第6のスイッチングトランジスタQ6とを含む。加えて、Q5は、Q6に直列に接続される。ハーフブリッジ回路の位相中点は、O3である。ハーフブリッジ回路の一端は、充電制御レジスタR0に接続され、他端は、励起電圧源Usの負極に接続される。
【0231】
LC直列回路の一端は、ハーフブリッジ回路の位相中点O3に接続され、他端は、グランドに接続される。LC直列回路は、インダクタLpと、共振キャパシタCpとを含む。加えて、インダクタLpと共振キャパシタCpとの位相中点は、Mである。加えて、LC直列回路は、等価インピーダンスRをさらに含む。
【0232】
LC直列回路の位相中点Mは、モニタリング回路20に接続され、減衰振動の期間に生成される共振電圧信号をモニタリング回路20へと出力するように構成される。共振電圧信号は、LC直列回路の位相中点Mの対地電圧とも称される。
【0233】
モニタリング回路20は、電圧バイアスモジュールと、比較モジュールと、処理モジュールとを含む。電圧バイアスモジュールは、発振回路に接続され、発振回路によって出力された共振電圧信号を受信し、共振電圧信号にバイアスをかけ、バイアスがかかった共振電圧信号を比較モジュールに送信するように構成される。比較モジュールは、バイアスがかかった共振電圧信号を受信し、出力されたバイアスがかかった共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換し、デジタル方形波信号を処理モジュールへと出力するように構成される。
【0234】
共振電圧信号Ucが電圧バイアスモジュールによって処理された後、バイアスがかかった共振電圧Uc+Vref0が出力され、ここで、Vref0は、バイアス電圧である。
【0235】
比較モジュールの出力端子は、処理モジュールに接続される。さらに、比較モジュールは、第1のコンパレータ(“Com1”と表現されることがある)と、第2のコンパレータ(“Com2”と表現されることがある)とを含む。Com1は、入力端子d1と、入力端子d2と、出力端子h1とを含む。Com2は、入力端子g1と、入力端子g2と、出力端子h2とを含む。LC直列回路の位相中点Mは、電圧バイアスモジュールを通じて、Com1の入力端子d2とCom2の入力端子g1とに接続される。入力端子d1は、第1の電圧源に接続される。入力端子g2は、第2の電圧源に接続される。Com1の出力端子h1は、Com2の出力端子h2に接続され、接続点はPである。
【0236】
第1の電圧源は、Com1に第1の基準電圧Vref1を供給するように構成される。第2の電圧源は、Com2に第2の基準電圧Vref2を供給するように構成される。入力端子d1及びg1は、非反転入力端子+であり、入力端子d2及びg2は、反転入力端子-である。比較モジュールは、バイアスがかかった共振電圧Uc+Vref0が第1の基準電圧Vref1と第2の基準電圧Vref2との間にあるかどうかを決定するように構成される。もしYESである場合、Vref2≦Uc+Vref0≦Vref1である。この場合、出力電圧は、ローレベルである。そうでなければ、出力電圧は、ハイレベルである。方形波信号は、ハイレベルが出力されるときに生成され、立ち上がりエッジが形成される。比較モジュールは、生成されたデジタル方形波信号を処理モジュールに送信する。
【0237】
LC直列回路の位相中点Mの対地電圧Ucが励起電圧源Usの振幅電圧U0に到達するとき、減衰振動が発振回路で発生して共振電圧を生成する。共振電圧には、電圧バイアスモジュールによってバイアスがかけられて、共振電圧Uc+Vref0が得られ、ここで、Ucは、減衰振動の期間に生成される共振電圧であり、Vref0は、バイアス電圧である。第2のプリセット条件は、Uc+Vref0>Vref1又はUc+Vref0<Vref2であり、ここで、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧である。
【0238】
処理モジュールは、比較モジュールによって出力されたデジタル方形波信号を受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第2のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にある第2のパラメータを取得し、第2のパラメータに基づいてQ値を決定し、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得する。第2のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含む。
【0239】
具体的には、図8に示すように、処理モジュールによって、第2のパラメータに基づいて、Q値を決定するための方法は、以下のステップを含む。
【0240】
801:第5のスイッチングトランジスタQ5をターンオンし、第6のスイッチングトランジスタQ6をターンオフするように制御して、第5のループ、即ち、Us→Q5→Lp→Cp→GND→Usを形成して、励起電圧源UsがLC直列回路を充電できるようにする。
【0241】
802:LC直列回路の位相中点Mの対地電圧が振幅電圧U0まで増加するとき、Q5をターンオフし、Q6をターンオンするように制御する。この場合、発振回路は、第6のループ、即ち、GND→Q6→Lp→Cp→GNDを形成し、LC直列回路のキャパシタCpが放電し、それにより、発振回路は、減衰振動を実行し始め、共振電圧信号Ucを出力する。共振電圧信号Ucは、U0から減衰し始める。等価回路が、図5aに示されている。時点t=0でQ6をターンオンし、かつQ5をターンオフするように制御することは、等価回路のスイッチKを接点aから接点bにサミングして第6のループを形成することに等しい。LC直列回路は、共振電圧信号Ucをモニタリング回路の電圧バイアスモジュールへと出力する。
【0242】
803:電圧バイアスモジュールは、発振回路によって出力された共振電圧信号を受信し、共振電圧信号にバイアスをかけ、バイアスがかかった共振電圧信号を比較モジュールに送信する。
【0243】
804:比較モジュールは、バイアスがかかった共振電圧信号を受信し、バイアスがかかった共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換し、デジタル方形波信号を処理モジュールへと出力する。
【0244】
805:処理モジュールは、デジタル方形波信号を受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第2のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内になる第2のパラメータを取得する。第2のパラメータは、ピークの数と谷の数との和を含む。
【0245】
図9は、発振回路における共振電圧Ucの減衰波形の模式図である。Vref0は、バイアス電圧であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧であり、U0+Vref0は、発振回路によって生成される振幅電圧U0がバイアス電圧Vref0を利用して処理された後に出力される電圧を表す。Ucは、LC直列回路の位相中点Mの対地電圧であり、共振電圧とも称される。共振電圧の最大振幅は、U0である。加えて、バイアス電圧と、第1の基準電圧及び第2の基準電圧のそれぞれとの間の電圧差は、ΔV=Vref1-Vref0=Vref0-Vref2を満たし、fは、共振周波数である。
【0246】
各ハーフサイクルにおいて、第2のプリセット条件が満たされる場合、即ち、Uc+Vref0>Vref1である場合、ハイレベルが出力され、立ち上がりエッジが生成される。立ち上がりエッジの開始時点は、バイアスがかかった共振電圧と、第1の基準電圧Vref1との交点である。図9に示すように、実線の方形波信号が生成される。Uc+Vref0<Vref2である場合、ハイレベルが出力され、立ち上がりエッジが生成される。立ち上がりエッジの開始時点は、バイアスがかかった共振電圧と、第2の基準電圧Vref2との交点である。図9に示すように、破線の方形波信号が生成される。第2のプリセット条件が満たされない場合、即ち、Vref2≦Uc+Vref0≦Vref1である場合、ハイレベルが生成されず、ローレベル信号が出力される。ピークの数と谷の数との和nは、立ち上がりエッジの数に等しい。
【0247】
806:処理モジュールは、第2のパラメータ(ピークの数と谷の数との和)に基づいて品質因子Qを決定する。
【0248】
Q値は、下記の式に従って計算される。
【0249】
【数40】
【0250】
m及びnは、正の整数であり、m≧1であり、Ucは、発振回路によって出力される共振電圧であり、Ucの最大値はU0であり、U0は、励起電圧源Usの電圧振幅であり、ΔVは、電圧差である。加えて、ΔV=Vref1-Vref0=Vref0-Vref2であり、Vref0は、バイアス電圧であり、Vref1は、第1の基準電圧であり、Vref2は、第2の基準電圧である。
【0251】
さらに、この実施形態において、m=2のとき、品質因子Qは、下記のようになる。
【0252】
【数41】
【0253】
具体的に、上記の式(14)の計算プロセスについては、実施形態1の式の計算プロセスを参照されたい。詳細については、再び説明されない。
【0254】
807:処理モジュールは、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得する。
【0255】
具体的には、処理モジュールによって、Q値に基づいて、無線充電コイル内に異物が存在するかどうかを決定するための方法は、実施形態1のものと同じである。この実施形態において、詳細については、ここでは再び説明されない。
【0256】
この実施形態において提供される無線充電回路は、比較モジュールを利用してハーフサイクルにおけるピークの数と谷の数との和をモニタリングして、Q値を計算する。電圧コンパレータがQ値の計算に利用されるケースに比べると、このケースでは、測定ステップ単位が半分になる。ステップ単位がより小さくなるため、測定結果がより正確になり、コイル内に異物が存在するかどうかが、より正確に決定でき、Q値のモニタリング精度が2倍になり、異物を認識する性能が向上する。
【0257】
加えて、任意選択で、無線充電回路の他の構造において、図10に示すように、LC直列回路のインダクタLpと共振キャパシタCpとは、それらの位置を入れ替える。この場合、減衰振動の期間に生成される減衰振動電圧の減衰波形が伝送される。図11に示すように、バイアスがかかった共振電圧Uc+Vref0は、振動方式で-(U0-Vref0)から減衰し始める。Uc+Vref0>Vref1である場合、ハイレベルが出力され、立ち上がりエッジが生成される。立ち上がりエッジの開始時点は、バイアスがかかった共振電圧と、第1の基準電圧Vref1との交点である。図11に示すように、実線の方形波信号が生成される。Uc+Vref0<Vref2である場合、ハイレベルが出力される。この場合、第2のプリセット条件が満たされ、立ち上がりエッジが生成される。立ち上がりエッジの開始時点は、バイアスがかかった共振電圧と、第2の基準電圧Vref2との交点である。図11に示すように、破線の方形波信号が生成される。Vref2≦Uc+Vref0≦Vref1である場合、第2のプリセット条件が満たされず、ハイレベルは生成されず、ローレベル信号が出力される。
【0258】
加えて、上記の実施形態における処理モジュールは、処理チップ又は処理装置であってよい。図12に示すように、処理モジュールは、プロセッサ1201と、メモリ1202とを含む。プロセッサ1201は、メモリ1202に結合される。加えて、処理モジュールは、より多くの又はより少ないコンポーネントをさらに含んでよいし、又はいくつかのコンポーネントを結合してよいし、又は異なるコンポーネントの配置を有してよい。このことは、この出願において限定されない。
【0259】
さらに、プロセッサ1201は、処理モジュールの制御センタであり、様々なインターフェース及び回線を通じて装置全体の全ての部分に接続され、メモリ1202に格納されたソフトウェアプログラム又はモジュールを走らせ又は実行し、メモリ1202に格納されたデータを呼び出して、対応する機能を実装する。
【0260】
プロセッサ1201は、集積回路(integrated circuit, IC)を含んでよく、例えば、単一のパッケージ化されたICを含んでよいし、又は、接続され、かつ同じ機能又は異なる機能を有する複数のパッケージ化されたICを含んでよい。例えば、プロセッサ1201は、中央処理ユニット(central processing unit, CPU)などを含んでよい。
【0261】
メモリ1202は、揮発性メモリ(volatile memory)、例えば、ランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)を含んでよいし、さらに、不揮発性メモリ(non-volatile memory)、例えば、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスクドライブ(hard disk drive, HDD)、又はソリッドステートドライブ(solid-state drive, SSD)を含んでよい。メモリ1202は、上記のタイプのメモリの組み合わせをさらに含んでよい。メモリは、プログラム、コード、又はデータを格納しうる。
【0262】
加えて、この出願は、コンピュータ記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ記憶媒体は、プログラムを格納しうる。プログラムが実行されるとき、この出願、及び、図4a、図4b、及び図8に示した実施形態において提供される、Q値を決定するための方法のステップの一部又は全部が含まれうる。記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などであってよい。
【0263】
上記の実施形態の全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを利用して実装されうる。実施形態を実装するためにソフトウェアが利用されるとき、実施形態の全部又は一部は、コンピュータプログラム製品の形態で実装されうる。
【0264】
コンピュータプログラム製品は、計算命令などの1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータがコンピュータプログラムを読み出して実行するとき、手順又は機能の全部又は一部がこの出願の実施形態に従って生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であってよい。加えて、コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されうる。
【0265】
コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体、又は、1つ以上の利用可能な媒体を統合するサーバ又はデータセンタなどのストレージデバイスであってよい。利用可能な媒体は、磁気媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープであってよいし、光媒体(例えば、DVD)であってよいし、半導体媒体、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)などであってよい。
【0266】
この出願において提供される無線充電デバイスは、それらに限定されないが、実施形態1及び実施形態2の無線充電回路の回路構造を含むと理解すべきである。無線充電回路の処理モジュールは、図12に示した処理チップ又は処理装置であってよく、図4a、図4b、又は図8における、Q値を決定するための方法を実行するように構成される。
【0267】
加えて、この出願の実施形態における、Q値を決定するための方法は、送信端末デバイスに適用されうるし、受信端末デバイスにも適用されうることに留意すべきである。例えば、充電対象デバイスは、モバイルフォンである。加えて、Q値を決定するための方法、及び異物をモニタリングするための方法は、モバイルフォンの無線充電環境をモニタリングするために利用されるし、他の充電環境、例えば、車載充電をモニタリングするためにも利用されうる。
【0268】
この出願の実施形態は、無線充電システムをさらに提供する。システムは、送信デバイスと、受信デバイスとを含む。送信デバイスは、上記の実施形態における無線充電デバイスである。受信デバイスは、充電対象デバイスである。さらに、無線充電デバイスは、実施形態1又は実施形態2の無線充電回路を含み、この出願の実施形態における、Q値を決定するための方法を実施し、無線充電コイル内の異物をモニタリングするように構成される。
【0269】
送信デバイスは、無線充電デバイスである。受信デバイスは、充電対象デバイスである。
【0270】
任意選択で、受信デバイスは、実施形態1又は実施形態2の無線充電回路をさらに含み、この出願の実施形態における、Q値を決定するための方法を実施するように構成され、無線充電コイル内の異物をモニタリングする機能を有する。
【0271】
具体的には、受信デバイスは、順に接続されている発振回路とモニタリング回路とを含む。
【0272】
発振回路は、直列に接続されている励起電圧源と、フルブリッジ回路と、LC直列回路とを含む。励起電圧源は、LC直列回路に安定電圧を供給するように構成される。
【0273】
フルブリッジ回路は、並列に接続されている第1のブリッジアームと第2のブリッジアームとを含む。第1のブリッジアームは、第1のスイッチングトランジスタQ1と、第3のスイッチングトランジスタQ3とを含む。第2のブリッジアームは、第2のスイッチングトランジスタQ2と、第4のスイッチングトランジスタQ4とを含む。LC直列回路は、直列に接続されているインダクタと、共振キャパシタとを含む。LC直列回路の一端は、第1のブリッジアームの位相中点に接続され、他端は、第2のブリッジアームの位相中点に接続される。LC直列回路の位相中点は、モニタリング回路に接続され、減衰振動の期間、共振電圧信号をモニタリング回路へと出力するように構成される。
【0274】
モニタリング回路は、比較モジュールと、処理モジュールとを含む。比較モジュールは、共振電圧信号を受信し、共振電圧信号をデジタル方形波信号に変換するように構成される。処理モジュールは、デジタル方形波信号を受信し、減衰振動の期間、スイッチングトランジスタQ1からQ4のターンオン及びターンオフに基づいて共振電圧減衰波形を取得し、第1のプリセット条件を満たし、かつ共振電圧減衰波形内にある第1のパラメータを取得し、第1のパラメータに基づいて品質因子Qを決定するように構成される。第1のパラメータは、ピークの数、谷の数、又は、ピークの数と谷の数との和を含む。
【0275】
回路接続プロセス、及びQ値を決定するための方法については、上記の実施形態における説明を参照されたい。詳細については、ここでは再び説明されない。
【0276】
加えて、処理モジュールは、品質因子Qに基づいて異物をモニタリングして、モニタリング結果を取得するようにさらに構成される。品質因子Qが第1の閾値以下である場合、異物が存在すると決定される。品質因子Qが第1の閾値より大きく、かつ第2の閾値以下である場合、異物が存在する可能性があると決定される。品質因子Qが第2の閾値より大きい場合、異物が存在しないと決定される。
【0277】
この出願の明細書、特許請求の範囲、及び添付図において、用語“第1の”、“第2の”などは、類似の対象物を区別することを意図しており、必ずしも具体的な順序又は順番を示すものではない。加えて、用語“含む”、“包含する”、及びその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意味し、例えば、ステップ又はユニットの列挙を含むプロセス、方法、システム、製品、又はデバイスは、それらの表現上列挙されたステップ又はユニットに必ずしも限定されず、表現上列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、システム、又はデバイスに固有の、他のステップ又はユニットを含みうる。
【0278】
この明細書の実施形態における同じ又は類似の部分については、相互に参照されたい。特に、実施形態2と、受信デバイスの実施形態とは、基本的に、方法実施形態に類似しており、従って、簡単に説明されている。関連する部分については、方法実施形態における説明を参照されたい。
【0279】
上記の説明は、この出願の実装であり、この出願の保護範囲を限定することは意図されていない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12