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特許7459278予め血管新生された真皮-表皮組織を得るための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】予め血管新生された真皮-表皮組織を得るための方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/38 20060101AFI20240325BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20240325BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20240325BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61L27/38 200
A61L27/36 100
A61L27/52
A61L27/40
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022552818
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 FR2021050353
(87)【国際公開番号】W WO2021176177
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】20305213.9
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522348756
【氏名又は名称】アダラ
(73)【特許権者】
【識別番号】522348767
【氏名又は名称】サントル・デチュード・デ・セルレス・スーシュ・(セイセエス)
(73)【特許権者】
【識別番号】503119487
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・デヴリ・ヴァル・デソンヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーヌ・バルデュシ
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・ドミンゲス
(72)【発明者】
【氏名】クリステル・ロランス
(72)【発明者】
【氏名】マリエル・ブシュバシュル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・クレマン
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・オリーヴ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-518970(JP,A)
【文献】特表2017-525438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0072996(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の工程:
a)線維芽細胞、内皮細胞及び生物起源のみのヒドロゲルを混合する工程;
b)十分な時間にわたって、且つ好適な条件下で、工程a)で得られた混合物をインキュベートし、「予め血管新生された真皮」型の組織を得る工程;
c)工程b)の予め血管新生された真皮にケラチン生成細胞を添加して、代用皮膚を得る工程;
d)任意選択により、十分な時間にわたって、気液界面でインキュベートして、予め血管新生された真皮-多層化表皮組織を得る工程
を含代用皮膚を得るための方法であって、
前記線維芽細胞、内皮細胞及びケラチン生成細胞が、多能性幹細胞から得られ、
工程a)の混合物に血管平滑筋細胞が添加されない、方法。
【請求項2】
工程b)のインキュベーションが7日間にわたって行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
血管内皮増殖因子(VEGF)が、工程b)の培養培地中に存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
VEGFが、工程c)の培養培地中に存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程a)の線維芽細胞及び内皮細胞が、ヒト人工多能性幹細胞から得られることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程c)のケラチン生成細胞が、ヒト人工多能性幹細胞から得られることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法に従って得られる、予め血管新生された真皮、及びケラチン生成細胞の単層を含む代用皮膚。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法に従って得られる、予め血管新生された真皮、及び多層化表皮を含む代用皮膚。
【請求項9】
医薬としての使用のための、請求項7又は8に記載の代用皮膚。
【請求項10】
処置方法での使用のための、請求項7又は8に記載の代用皮膚。
【請求項11】
皮膚との接触が意図される化合物及び分子に対するスクリーニングのためのin vitroの方法での、請求項7又は8に記載の代用皮膚の使用。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって得られる代用皮膚の集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物起源のみのヒドロゲルのマトリックスにおいて、胚性幹細胞又は人工多能性幹細胞由来のケラチン生成細胞から、線維芽細胞から、及び内皮細胞から、予め血管新生された真皮-表皮組織を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の文脈
代用皮膚は、細胞化又は非細胞化マトリックスから構成される、実験室で作製される人工組織である。これらの代用皮膚は、熱傷、慢性創傷等に罹患した患者で欠損しているか又は欠陥がある皮膚の一部分を置き換えることが可能であり;「標準」処置が失敗する場合の必須の代替手段を構成する。これらの創傷を処置するための現行の標準処置は、自家皮膚移植片であり、これは患者の皮膚組織を使用して組織の欠損部を覆い、バリア機能を修復することが可能であるが、創傷部位が無視できない収縮及び不揃いな組織の再構成を被るという欠点を有する。
【0003】
患者の傷害部分が患者の全体表の60%を超える場合には、自家皮膚の利用可能性もまた制限になり;これらの場合には、採取可能な組織の不足を理由として、傷害部分を自家移植片により適切に覆うことができない。したがって、通常は遺体の同種移植片である代替的戦略の使用が、処置に必要とされる。後者は、自家移植片の配置前に創傷の底部を保護し、そこで治癒を刺激するための一時的なドレッシング材として主に機能する。
【0004】
重度熱傷、外傷後の軟組織の壊死性感染、又は腫瘍切除の場合、採取される組織の量が重要である。臨床的実務では、そのような採取箇所は、一般的に、2倍の厚さの自家皮膚移植片を用いて処置される。しかしながら、これらの移植片の限定的治癒及び重度熱傷患者でのドナー部位の限られた容量によって、代替的な治療アプローチに対する高い要求がある。皮膚組織工学は、形成再建外科において急速に成長している分野である。この技術は、人工代用皮膚の移植に集中し、これにより、創傷の迅速な治癒が促進され、液体の喪失及び感染が防止されるはずである。更に、代用皮膚は、目立った瘢痕及び収縮を回避するはずである。
【0005】
市場には多数の代用皮膚がある:Dermagraft(登録商標)(コラーゲン、エラスチン及び同種線維芽細胞に基づく細胞性代用真皮)、MatriDerm(登録商標)(非架橋エラスチン及びコラーゲンに基づく凍結乾燥無細胞代用真皮)、Apligraf(登録商標)(ヒト初代ケラチン生成細胞及び線維芽細胞を含むコラーゲンに基づく代用真皮-表皮)等。しかしながら、全てのこれらのドレッシング材は、罹患領域の迅速な血行再建を可能にする細胞の欠損をはじめとする、いくつかの欠点を有する。実際には、代用皮膚の臨床的変遷は、移植片における酸素及び栄養素の不十分な拡散により制限されてきた。150~200μmを超える拡散距離では、かん流可能な血管ネットワークを含まない組織構築物は、急速な細胞死及び壊死を受ける。結果として、移植を成功させるために、人工的代替物は、レシピエント脈管系との迅速なかん流及び一体化を必要とする。
【0006】
多数の研究チームが、in vitroで生成された組織(皮膚又は他の組織/器官)への内皮細胞の添加が、移植片の取得を改善し、壊死を制限することを可能にすることを示している。これらの内皮細胞の存在は、宿主の組織との吻合による、移植組織の迅速なかん流を可能にする。
【0007】
国際出願WO2016/209166は、全てが多能性幹細胞由来の以下の細胞型を組み合わせることにより、血管新生された真皮の層を得るための方法を記載している:内皮細胞、血管平滑筋細胞/周皮細胞、及び任意選択により線維芽細胞。
【0008】
特に、国際出願WO2016/209166は、機能的且つ持続的な血管新生を得るためには、平滑筋細胞/周皮細胞を内皮細胞と組み合わせることが不可欠であることを教示する。
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、血管平滑筋細胞/周皮細胞の非存在下で、多能性幹細胞由来の内皮細胞及び線維芽細胞から、予め血管新生された真皮、及び予め血管新生された真皮-表皮組織を得ることが可能であることを実証した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO2016/209166
【文献】EP3327118
【文献】WO2018101466
【文献】US20180023051
【文献】WO2009/156398
【非特許文献】
【0011】
【文献】Shamis Y、Silva EA、Hewitt KJ、Brudno Y、Levenberg S、Mooney DJら、(2013) Fibroblasts Derived from Human Pluripotent Stem Cells Activate Angiogenic Responses In Vitro and In Vivo. PLoS ONE 8(12): e83755
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、生物起源のみのヒドロゲルのマトリックスにおいて、多能性幹細胞に由来する細胞から、好ましくは、ヒト多能性幹細胞(hPSC)に由来する細胞から、予め血管新生された真皮-表皮組織を調製するためのプロセスを記載する。
【0013】
より詳細には、本発明は代用皮膚を得るための方法であって、以下の工程:
a)線維芽細胞、内皮細胞及び生物起源のみのヒドロゲルを混合する工程;
b)十分な時間にわたって、且つ好適な条件下で、工程a)で得られた混合物をインキュベートし、「予め血管新生された真皮」型の組織を得る工程;
c)工程b)の予め血管新生された真皮にケラチン生成細胞を添加して、代用皮膚を得る工程;
d)任意選択により、十分な時間にわたって気液界面でインキュベートして、予め血管新生された真皮-多層化表皮組織を得る工程
を含み、このとき、前記線維芽細胞、内皮細胞及びケラチン生成細胞は、多能性幹細胞から得られた、方法に関する。
【0014】
1つの特に好ましい実施形態に従えば、前記線維芽細胞、内皮細胞及びケラチン生成細胞は、ヒト多能性幹細胞から得られた。
【0015】
1つの特に好ましい実施形態に従えば、工程a)の混合物に、血管平滑筋細胞(又は周皮細胞)は添加されない。
【0016】
本発明に従えば、工程b)のインキュベーションは、予め血管新生された真皮を得るために、十分な時間にわたって、且つ好適な条件下で行われる。
【0017】
用語「予め血管新生された真皮」又は「予め血管新生された真皮等価物」又は「代用真皮」とは、マトリックス中に含まれる線維芽細胞及び内皮細胞を含む組織を意味することが意図される。
【0018】
用語「予め血管新生された真皮-表皮組織」、「真皮-表皮組織」又は「代用皮膚」とは、その上にケラチン生成細胞の単層が載った予め血管新生された真皮を含む組織を意味することが意図される。
【0019】
用語「予め血管新生された真皮-多層化表皮組織」とは、数層の分化したケラチン生成細胞を含む多層化表皮がその上に載った予め血管新生された真皮を含む組織を意味することが意図される。
【0020】
用語「生物起源のみのヒドロゲル」とは、キトサン、コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、フィブリン、又はグリコサミノグリカン等の、動物又は植物起源のタンパク質を含む任意のヒドロゲルを意味することが意図される。本発明の文脈では、好ましいヒドロゲルは、ヒト血漿フィブリンである。
【0021】
本発明に従えば、ヒドロゲルは、ポリエチレングリコール(PEG)又は代用組織マトリックスで通常使用される他の合成ポリマーを含有しない。
【0022】
一実施形態では、工程b)は、少なくとも4日間、好ましくは少なくとも6日間、更により好ましくは少なくとも7日間にわたって行われる。
【0023】
一実施形態では、工程b)は、少なくとも14日間、好ましくは最大12日間、更により好ましくは最大10日間、9日間、8日間又は7日間にわたって行われる。
【0024】
本発明の1つの好ましい実施形態では、工程b)は、約7日間にわたって行われる。
【0025】
本発明の一実施形態に従えば、工程b)の培養培地は、線維芽細胞及び内皮細胞の増殖及び成熟に寄与する増殖因子から構成される。用語「成熟」は、線維芽細胞に対して:細胞外マトリックスの産生及びマトリックスの再構成;並びに内皮細胞に対して、マトリックスの再構成及び一次血管ネットワークの構築を意味すると理解される。
【0026】
本発明の一実施形態に従えば、工程b)の培養培地は、血管内皮増殖因子(VEGF)、好ましくは安定化VEGFを含む。好ましくは、VEGF又は安定化VEGFは、5~60ng/mL、好ましくは45~55ng/mL、更により好ましくは約50ng/mLの濃度で、工程b)の培養培地中に存在する。
【0027】
本発明の一実施形態に従えば、工程c)の培養培地は、ケラチン生成細胞の増殖及び引き続くそれらの最適な層化及び工程b)中に生成される一次血管ネットワークの安定化に寄与する増殖因子を含む。
【0028】
本発明の一実施形態に従えば、工程c)の培養培地は、VEGF、好ましくは安定化VEGFを含む。好ましくは、VEGF又は安定化VEGFは、5~60ng/mL、好ましくは45~55ng/mL、更により好ましくは約50ng/mLの濃度で、工程c)の培養培地中に存在する。
【0029】
有利なことに、使用される様々な細胞型(線維芽細胞、内皮細胞、ケラチン生成細胞)は、多能性幹細胞、好ましくはヒト人工多能性幹細胞の分化により得られる。
【0030】
一実施形態では、本発明は、胚の破壊を必要とする細胞の使用に基づかない。
【0031】
当業者は、自由に用いることができる、ヒト多能性幹細胞由来の均一な分化細胞集団を得るためのいくつかの方法を有する。
【0032】
線維芽細胞、内皮細胞又はケラチン生成細胞へとヒト多能性幹細胞を分化させるための多数のプロセスが、文献に記載されている。
【0033】
典型的には、線維芽細胞へと幹細胞を分化させるためのプロセスが、Shamis Y、Silva EA、Hewitt KJ、Brudno Y、Levenberg S、Mooney DJら、(2013) Fibroblasts Derived from Human Pluripotent Stem Cells Activate Angiogenic Responses In Vitro and In Vivo. PLoS ONE 8(12): e83755に記載されている。
【0034】
典型的には、内皮細胞へと幹細胞を分化させるためのプロセスが、出願EP3327118、WO2018101466及びUS20180023051に記載されてきた。
【0035】
典型的には、ケラチン生成細胞へとIPS細胞を分化させるためのプロセスが、国際出願WO2009/156398に記載されている。
【0036】
本発明はまた、前記代用皮膚の様々な治療的及び非治療的使用にも関する。
【0037】
一態様では、本発明は、医薬としての、上記に記載される通りの代用皮膚に関する。
【0038】
一態様では、本発明は、熱傷及び慢性皮膚創傷の処置等の、処置方法での使用のための、上記に記載される通りの代用皮膚に関する。
【0039】
別の態様では、本発明は、皮膚との接触が意図される化合物及び分子に対するスクリーニングのため、とりわけ美容又は治療目的のための方法での、上記に記載される通りの代用皮膚の使用に関する。
【0040】
別の態様では、本発明は、上記に記載される方法に従って得られる代用皮膚の集団に関する。有利なことに、この代用皮膚の集団は、臨床的条件下で、大量に得られる、均一で再現可能なサンプルの集合を代表する。
【0041】
本発明の他の特徴、詳細及び利点が、添付の図面を読み取ることにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】内皮細胞、線維芽細胞及びフィブリンから真皮等価物を得るための方法を表す図である。
図2】本発明に従う真皮-表皮組織を得るためのプロセスの例を表す図である。
図3】マウスに縫合された本発明に従う真皮-表皮組織の例を表す図である。
図4】生体材料がフィブリンであり、且つヒトiPSC由来の線維芽細胞及び内皮細胞が1:40比(EC:CNT培地)で播種される、本発明のプロセスに従って得られる真皮-表皮組織中の内皮細胞から構成される円形構造の形成を表す図である。
【実施例
【0043】
(実施例1)
人工多能性幹細胞からの線維芽細胞、内皮細胞及びケラチン生成細胞の取得
ヒト系統の人工多能性幹細胞を、3種類の好適な分化プロセスを介して、線維芽細胞(FIB)、内皮細胞(EC)及びケラチン生成細胞(KER)を得るために使用した。
【0044】
(実施例2)
予め血管新生された真皮の取得
線維芽細胞(FIB)及び内皮細胞(EC):FIB及びECを、培養フラスコ中で、FIBに関してF-CnT培地(CellnTec社)及びECに関してVEGFを50ng/mLで添加したStemPro34(Invitrogen社)培地又はENDO-CnT(CellnTec社)培地中で、組織の調製の上流において予め増幅させた。2種類の細胞型が準備できたら、細胞を継代し、カウントした。1個のFIB対40個のECの比の細胞を、フィブリンと混合した。フィブリンは、Table 1(表1)に記載される条件下で血漿及び生理食塩溶液を混合することにより得られる。
【0045】
【表1】
【0046】
「細胞+フィブリン」溶液を、10000個のFIB+400000個のECを含めて、1cm2のインサートに、すなわち、600μL/インサートで入れた。続いて、プレートを+37℃に置いて、最小で1時間にわたって、マトリックスを凝固させた。フィブリンが硬化したら、培地を添加した:インサート中に1mL及びウェル中に2mL添加し、組織が完全に浸漬するようにした。使用した培地は、1/3のF-CnT培地と2/3の1日間「EC」培地との混合物である。次の日(D1)及びD7まで、記載されるのと同じ体積を用いて、1/3のF-CnT培地及び2/3のEC培地から構成される培地へと、2日毎に培地を交換した。
【0047】
(実施例3)
予め血管新生された真皮-表皮組織の取得
+37℃、5%CO2に調節されたインキュベーター中で、真皮組織に関して約14日間、及び真皮-表皮組織に関して21日間にわたって、培養を行った。混合物のF-CnT培地を、D1にECM培地と交換し、FIBに細胞外マトリックス及び50ng/mLの安定化VEGFを分泌させた。
【0048】
D7に、真皮単独での分析を行うために組織の一部分をD14まで同じ条件下に残し、他の部分を、100000個/cm2で24~48時間、1.6mg/mLのExacyl(登録商標)を含むCnT07.HC培地中のマトリックス上に、ケラチン生成細胞(KER)と共に播種した。D9に、KERを含む組織を気液界面に置いて、表皮を層化させた。そのとき、使用した培地は、70%Airlift培地、30%ENDO-CnT培地、並びに1.6mg/mLのExacyl(登録商標)及び50ng/mLの安定化VEGFから構成された。
【0049】
これらの実験は、予め血管新生された真皮-表皮組織を得ることを可能にし、この組織は、マウスへと移植した際に、いかなる壊死も示さなかった。
図1
図2
図3
図4