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特許74592821セットの飲料缶をまとめて輸送するための運搬デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】1セットの飲料缶をまとめて輸送するための運搬デバイス
(51)【国際特許分類】
   B65D 67/02 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
B65D67/02 A BRQ
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2022555097
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CL2020050018
(87)【国際公開番号】W WO2021179099
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】522362143
【氏名又は名称】エレラ ムニョス,ホルヘ フンダドール
【氏名又は名称原語表記】HERRERA MUNOZ, Jorge Fundador
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】エレラ ムニョス,ホルヘ フンダドール
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-518581(JP,A)
【文献】特表2020-505285(JP,A)
【文献】特表2019-514802(JP,A)
【文献】特公昭50-025223(JP,B1)
【文献】特開昭48-049596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージを形成する1セットの飲料の缶(A)をまとめて輸送するための運搬デバイス(1)であって、
前記缶は、上部平面(c)を画定する隆起した上部リング(b)を備えた円錐台状の上部(a)を有するタイプのものであり、
前記運搬デバイスは、単一の層状体から製造されており、缶ごとに受容開口部を有し、
前記受容開口部の輪郭は、前記運搬デバイスが1つのパッケージを形成するように複数の前記缶に取り付けられたときに前記缶の前記上部リングの下にフィットする一連の保持フィンを有し、
前記運搬デバイスは、少量の材料での耐久性のある締め付けを可能にするように、且つ、材料部分を横方向に突出させることなく複数の前記缶をまとめることを可能にするように構成されたものであり、
前記運搬デバイスは、前記缶(A)の前記上部平面(c)よりも上側の高さに配置された上部中央領域(10)を備え、
前記受容開口部(30)のそれぞれに関連付けられて、傾斜した近位端部(22)を有するいくつかの周縁締め付け用のフランジ(20)が設けられ、
前記上部中央領域(10)から径方向外側へ下向きに傾斜して延在するように前記フランジ(20)間に配置された遷移部(70)に、前記近位端部(22)を介して前記フランジ(20)が結合し、
前記受容開口部(30)は、前記保持フィン(50)を形成する放射状の切り込み(40)を有する外周輪郭(31)を備え、
前記フランジ(20)は、前記缶(A)の前記円錐台状の上部(a)に適合して該上部を取り囲み、
前記フランジ(20)は、比較的大きな下底部(24)と、前記受容開口部(30)のそれぞれの前記外周輪郭(31)を生じさせる多角形-楕円形の形状を有する比較的小さな上底部(23)とを有することを特徴とする、運搬デバイス。
【請求項2】
前記外周輪郭(31)は、前記運搬デバイス(1)の前記上部中央領域(10)に対してくっついたまま同一平面上に残るカバーフラップ(60)を生成するような不完全な切れ目(32)によって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項3】
前記不完全な切れ目(32)は、前記運搬デバイスの前記上部中央領域(10)に隣接して位置する中断部(33)を備え、
前記カバーフラップ(60)は、前記中断部(33)を介して前記運搬デバイスにくっついていることを特徴とする、請求項2に記載の運搬デバイス。
【請求項4】
前記受容開口部(30)は、該受容開口部の長さに沿った長径(34)と、該受容開口部の幅に沿った短径(35)とを有する楕円状であり、
前記受容開口部(30)は、前記運搬デバイス(1)内において、縦方向の中心軸(12)と横方向の中心軸(13)とに対して45度回転された仮想の斜線軸(11)に前記長径(34)が一致するように斜めに向けられていることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項5】
いくつかの前記受容開口部(30)は、前記運搬デバイス(1)内において、縦方向の中心軸(12)と横方向の中心軸(13)とに対して45度回転された仮想の斜線軸(11)に一致するように斜めに向けられていることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項6】
前記遷移部(70)は、凹状に湾曲した側縁(71)と、前記上部中央領域(10)に繋がる上端領域(72)と、該上端領域とは反対側において凹状に湾曲した縁を有する下端(73)とを有することを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項7】
前記一連の保持フィン(50)は、補助フラップの介在により拡張されたフラップで構成され、
前記保持フィン(50)は、対をなして対称かつ互いから等距離に配置された複数の放射状の切り込み(51)で構成され、
前記切り込み(51)のそれぞれは、一端(53)において前記受容開口部(30)の前記外周輪郭(31)に合致する直線末端部(52)と、前記一端とは反対側の湾曲端部(54)とを備え、
前記切り込みの各対を構成する2つの切り込み(51)の前記湾曲端部(54)は、互いに向かい合っていることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項8】
前記2つの切り込み(51)は、互いから、補助フランジ(55)を形成するための間隔を、前記切り込みの各対の間の離間距離(d2)よりも小さい距離(d1)だけ空けて配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の運搬デバイス。
【請求項9】
前記補助フランジ(55)間の前記離間距離(d2)は、前記補助フランジ(55)間に介在するクランプ台形締め付けフィン(56)を形成するものであり、
前記切り込み(51)の径方向寸法(h1)は、好ましくは、前記フランジの幅(h2)の半分に等しいことを特徴とする、請求項8に記載の運搬デバイス。
【請求項10】
前記一連の保持フィン(50)は、前記フランジ(20)の前記近位端部(22)にそれぞれ配置された2つの端部フィン(57)を備え、
前記端部フィン(57)は、前記切り込み(51)を欠いており、前記フランジの下方部分から上昇しながら前記運搬デバイスの前記上部中央領域(10)まで延びる歪んだ形状を有することを特徴とする、請求項7に記載の運搬デバイス。
【請求項11】
前記運搬デバイスは、好ましくは平行な2辺を対にした4つの辺(15)によって形成された外側輪郭(14)と、上面(16)と、下面(17)と、面取り頂点部(18)とを備え、
前記外側輪郭の前記4つの辺(15)に、前記フランジ間に配置された少なくとも1つの浸入凹部(19)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項12】
前記凹部(19)は、前記遷移部(70)の前記下端(73)に一致していることを特徴とする、請求項6および請求項11に記載の運搬デバイス。
【請求項13】
前記上部中央領域(10)は、実質的に水平であり、
前記運搬デバイス(1)によってまとめられた缶のパッケージを使用者が指を入れて持ち上げるための取っ手として機能するのに適した中央穴(80)が、前記上部中央領域(10)に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項14】
前記中央穴(80)は、該中央穴を前記運搬デバイスの前記上部中央領域(10)に緩くくっついた状態に維持させる1つまたは複数の接続ブリッジ(82)を有する不完全な円形の切り込み(81)によって形成されていることを特徴とする、請求項13に記載の運搬デバイス。
【請求項15】
前記受容開口部(30)を備えた前記フランジ(20)と、これに対応するカバーフラップ(60)とのセットは、前記運搬デバイス(1)毎に少なくとも2つ設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の運搬デバイス。
【請求項16】
前記受容開口部(30)を備えた前記フランジ(20)と、これに対応するカバーフラップ(60)とのセットは、前記運搬デバイス(1)毎に4つ設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の運搬デバイス。
【請求項17】
前記受容開口部(30)を備えた前記フランジ(20)と、これに対応するカバーフラップ(60)とのセットは、前記運搬デバイス(1)毎に6つ設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の運搬デバイス。
【請求項18】
生分解性のリサイクル可能なセルロース材料の単一の層状部品からなることを特徴とする、請求項1に記載の運搬デバイス。
【請求項19】
前記セルロース材料は、1平方ミリメートル当たり250~600グラムの坪量のシートであることを特徴とする、請求項18に記載の運搬デバイス。
【請求項20】
パッケージを形成する1セットの飲料の缶(A)をまとめて輸送するための請求項1に記載のタイプの運搬デバイス(1)を形成するための、平らな積層板からなるテンプレート(100)であって、
前記テンプレートは、輪郭(140)と中央領域(101)とを備え、
前記輪郭(140)は、平行な2辺を対にした4つの側縁部(150)と、面取り頂点部(180)とを有し、
前記側縁部(150)のそれぞれの中央部に凹部(190)が設けられ、
前記中央領域(101)から放射状に複数のアーチ状部(200)が延在し、
前記アーチ状部の基部(201)は、前記中央領域(101)の方を向いており、
前記アーチ状部(200)のそれぞれは、多角形-楕円形の輪郭(310)の対応する受容開口部(300)を取り囲んでおり、
前記受容開口部(300)の輪郭(301)は、前記アーチ状部(200)内に延びる一連の放射状の切り込み(510)を備え、
前記切り込み(510)は、2つの異なるタイプの保持フィン(500)を形成するように、対をなしてグループ化されており、
前記アーチ状部(200)間に、前記テンプレートの前記中央領域(101)から前記側縁部(150)におけるそれぞれの前記凹部(190)に向かって延びる凹状の側部を有する放射状の遷移領域(700)が介在していることを特徴とする、運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項21】
前記受容開口部(300)は、多角形-楕円形のフラップ(600)によって部分的に覆われていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬装置形成用のテンプレート。
【請求項22】
前記中央領域(101)は、折り畳み式の円形片(800)の境界を定める不完全な円形の切り込み(801)を備えることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項23】
前記受容開口部(300)および前記カバーフラップ(600)は、前記中央領域(100)に隣接して位置する中断部(330)を有する多角形-楕円形の経路の切れ目(320)によって生成され、
前記カバーフラップ(600)は、前記中断部(330)を介して前記テンプレート(100)にくっついていることを特徴とする、請求項21に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項24】
前記保持フィン(500)を形成する前記切り込み(510)は、一端(530)において前記受容開口部(300)の前記輪郭(301)に合致する直線末端部(520)と、前記一端とは反対側の湾曲端部(540)とによってそれぞれ形成され、
前記切り込みの各対を構成する2つの切り込み(510)の前記湾曲端部(540)は、互いに反対の向きであることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項25】
前記切り込みの各対を構成する前記2つの切り込み(510)は、前記切り込みの各対の間の離間距離(d20)よりも小さい距離(d10)だけ互いから間隔を空けて配置されており、
前記2つの切り込み(510)間の前記距離(d10)は、補助フランジ(550)を形成するものであることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項26】
前記補助フランジ(550)間の前記離間距離(d20)は、前記補助フランジ(550)間に介在する台形締め付けフィン(560)を形成するものであり、
前記切り込み(510)の径方向寸法(h10)は、好ましくは、前記アーチ状部(200)の幅(h20)の半分に等しいことを特徴とする、請求項24に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項27】
前記切り込み(510)の対は、多角形-楕円形の前記受容開口部(300)の全周の少なくとも4分の3に相当する前記アーチ状部(200)の内周部分に分配されていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項28】
前記テンプレートの前記側縁部(150)のそれぞれの中央にある前記凹部(190)と、前記面取り頂点部(180)とは、滑らかな縁を有することを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項29】
前記テンプレートの前記側縁部(150)のそれぞれの中央にある前記凹部(190)と、前記面取り頂点部(180)とは、飲料缶への組付け中に前記テンプレートを掴みやすくするノッチ(900)を備えていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項30】
多角形-楕円形の輪郭の前記受容開口部(300)と、該受容開口部を取り囲む前記アーチ状部(200)と、前記カバーフラップ(600)とのセットは、テンプレート毎に少なくとも2つ設けられていることを特徴とする、請求項21に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項31】
多角形-楕円形の輪郭の前記受容開口部(300)と、該受容開口部を取り囲む前記アーチ状部(200)と、前記カバーフラップ(600)とのセットは、テンプレート毎に好ましくは4つ設けられていることを特徴とする、請求項21に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項32】
リサイクル可能な生分解性のセルロース材料の単一の層状部品からなることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項33】
前記セルロース材料は、1平方ミリメートル当たり250~600グラムの坪量のシートであることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項34】
複数の前記テンプレートが、前記側縁部(150)において互いに結合されて、4つの缶用の少なくとも3つのテンプレートが線形に並ぶように配置されていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項35】
複数の前記テンプレートが、それぞれ3つのテンプレートが2列に整列された4つの缶用の少なくとも6つのテンプレートを含むように配置され、
前記テンプレートは、同じ列のテンプレートに対して互いに反対側の側縁部(150)において結合され、隣接する列のテンプレートに対して共通の側縁部(151)において結合されていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項36】
複数の前記テンプレートが、前記側縁部(150)において互いに結合されて、6つの缶用の少なくとも2つのテンプレートが線形に並ぶように配置されていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【請求項37】
複数の前記テンプレートが、それぞれ2つのテンプレートが2列に整列された6つの缶用の少なくとも4つのテンプレートを含むように配置され、
前記テンプレートは、同じ列のテンプレートに対して互いに反対側の側縁部(150)において結合され、隣接する列のテンプレートに対して共通の側縁部(151)において結合されていることを特徴とする、請求項20に記載の運搬デバイス形成用のテンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特許出願は、パッケージの技術分野に適用可能である。より具体的に、本発明は、消費者が複数の飲料缶を持ち上げて取り扱うことができるようにパッケージを形成する、1セットの飲料缶をまとめて輸送するための厚紙デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料業界では、飲料、清涼飲料、ビールなどを入れて輸送するために円筒形の缶が使用される。大量輸送の場合には、2~24缶で構成されるパッケージセットが提供される。ただし、店頭での消費者レベルでの取り扱いのためには、通常4つ又は6つの容器のパッケージに缶をまとめるための様々なタイプの手段がこれまで提供され、この場合、消費者は、これらを一緒に持ち上げて取り扱うことができる。
【0003】
従来技術では、開発された多くの手段は、プラスチック材料から製造され、例えば、包装される缶の周囲に拡がるプラスチックフィルムラップの形でパッケージを組み立てる手段として使用されることが分かる。
【0004】
複数列、通常は平行な2列に並ぶように接続された一連のプラスチックリングによって形成されるタイプの解決策もあり、この場合、プラスチックリングは、缶に通常設けられる上部リングの下の縮径部の周囲を掴むように、複数の缶の周囲に取り付けられる。この一例は、特許文献1(Illinois Tools Worksの米国特許第5305877号明細書)に開示されている。
【0005】
問題は、上記のようなプラスチック製のデバイスが、鳥、魚、水齧歯類などの動物がいる場所に散らばるゴミになる可能性があることである。それらの動物の多くがプラスチックリングに引っかかる可能性があり、残念ながら、一度引っかかると、負傷して死亡する可能性がある。同様に、魚や水生動物はリングに掛かって、しばしば解放されることができず、保持リングに掛かることで死に至ることがよくある。
【0006】
ボトルまたは飲料缶の飲料アセンブリを包装するためのさまざまなプラスチック製デバイスの製造業者は、人が使い捨てアイテムを不適切な場所に廃棄することが知られているという事実を適切に考慮していない。
【0007】
先行技術では、プラスチックデバイスにより上記のような負傷を低減できるようにする取り組みが見出されている。例えば、特許文献2(Thomas Rathboneの米国特許第5193673号明細書)に開示された缶ホルダーでは、プラスチックリングアセンブリに、缶を取り外すとリングを強制的に破壊するプレカットラインが組み込まれているため、リングが開いたままになり、デバイスに動物が掛からないようになっている。このことは改善点ではあるが、このデバイスもプラスチックであり、一度廃棄されると、やはりゴミとして環境に到達し、分解するのに何年もかかる可能性がある。
【0008】
他のタイプとして、厚紙(段ボール)とプラスチックの組み合わせから作られる缶ホルダーが導入されており、この場合、厚紙の底部と、伸張性または収縮性のラップが使用される。この解決策は、主として、24缶で構成される大型ユニットに使用される。この缶ホルダーは、厚紙の部品を含むが、プラスチックは、自然に影響を与える廃棄物にならないようにすることは不可能であるため、依然として環境リスクである。
【0009】
特許文献3(Riverwood International社のカナダ国特許発明第2124823号明細書)に開示されている解決策など、容器を完全に包む厚紙の缶パッケージデバイスもある。この解決策は、コストがかかるため、6缶又は4缶の小グループの輸送には適していないため、満足のいくものではない。ただし、プラスチックと比較して、厚紙(段ボール)の材料は自然界で分解され、リサイクル可能になる可能性があるため、環境にとって大きな利点がある。
【0010】
上記の製品の改良品として、缶の小径上部のみを包む厚紙デバイスを備えるタイプの被包装缶用の缶ホルダーがある。例えば、特許文献4(Michael Fred Joyceの英国特許第1604840号明細書)に開示されているデバイスでは、垂直に折り曲げられるフラップが設けられ、まっすぐ穿孔されたスロットを介して、缶の蓋が下側から保持される。すなわち、缶の蓋の縁が、缶の径方向両側において支持される。このタイプのデバイスの問題点は、組み立てに多くの時間と手順を要するいくつかの折り畳み部分があり、機能的に満足できないことである。なぜなら、使用者がアセンブリを持ち上げたり持ったりしなければならない方法では、折り畳み部分の展開が保証されないため、構造が失われて缶が緩んでしまう可能性がある。
【0011】
厚紙(段ボール)の小さな部品から缶アセンブリを形成するデバイスでよくある別の問題は、側面と上面の両方において、製品を識別するための広告情報を提供するのに適切または十分な表面積を確保すべきことである。特許文献5(Riverwood International社による米国特許第5503267号明細書)に開示されているように、開発されてきた解決策の中には追加のトップカバーを備えているものもあるが、結局は、広告サポート面を提供するために多くの材料を使用するという問題がある。
【0012】
特許文献6(Fishbone Packagingの米国特許出願公開第2018/362234号明細書)に開示されたいくつかの実施形態のように、広告サポートの問題を解決しようとするデバイスとしては、取っ手およびグラフィックサポートとして機能する缶アセンブリまたは中央プレートの側面を部分的に覆う追加の部品を組み込んだものがある。
【0013】
しかしながら、上述のデバイスは、特許文献7(Alzamora Cartonのスペイン国発明特許第1208411号明細書)または特許文献8(Mead社の欧州特許出願公開第0595602号明細書)に記載されているものなど、単一のシートから形成される非常に単純な厚紙(段ボール)からなる他の解決策と同様に、次のような問題を有する。それらのデバイスは、単一のシートを使用するが、通常は蓋に蓄積する汚れから缶を保護するために缶の上面を覆う手段を欠いており、広告に適した表面を欠いており、最も重要なことに、缶の壁の側方に向かって突き出た平らなプレートであることにより、缶のパックが互いに隣り合って密に保管されるのを妨げるような広いマージンを形成してしまう。通常、この近接性により、突き出たエッジは、同じパック間で平たくされるか、又は折りたたまれる。
【0014】
一方、特許文献9(Smurfit Kappa Packagingによる欧州特許第1401728号明細書)、または、特許文献10(Enric Garciaによるスペイン国発明特許第2159235号明細書)に示されているデバイスなど、グラフィック情報のサポートとして機能しながら、缶の上面に保護カバーを提供しようとする解決策が開発されている。前者のデバイスの場合、缶を覆う上部バンドが設けられ、該バンドは長方形部分で連結された一連の円の形をしている。該バンドは、デバイスのベースの上に隆起した平面に配置されており、これにより、少なくとも中央にあり上面のかなりの割合を占める連続的な表面が生成されず、一貫した方法で広告情報を配置して認識可能とすることができない。同じことが後者のデバイスにも当てはまり、該デバイスは、缶の上面に残る複数の両凸形状を備え、それらのすべては、デバイスのベース面に対して持ち上げられた平面にある。そのため、まるで連続した表面上にあるように一貫して知覚できる広告を配置することができない。さらに、後者の場合、カバーフラップが、いくつかの対向する切り込みからなる展開機構によってベースに結合されており、製造が複雑になる。
【0015】
材料の使用を最適化し、側面から突き出るエッジまたはマージンを回避するかなり単純な部品を提案する先行技術として、特許文献11(WestRockの米国特許出願公開第2018/0222650号明細書)に既存のデバイスの1つが開示されている。特許文献11には、全周にフランジを有する円形の開口部を備えたシートが開示され、すべてのフランジは、そのベース領域に折り線を備えており、これにより、これらのフランジは、缶の上部リングの全周の下にフィット(嵌合)するように、ベースシートに対して展開できるようになっている。この解決策は単純であり、材料をほとんど使用しないが、実際に、これらの小さな寸法が機能するのは、材料が通常使用される厚紙(段ボール)に対してより大きな耐性を示す場合に限られる。このことは、本発明の説明において検証される。特許文献11では、より小さな断面での耐性を達成するために、同出願人によって開発されたNatralockと呼ばれる材料が使用されている。該材料は、少なくとも1つの厚紙の層に結合された1つまたは複数のポリマー層に基づいて、耐性を増大させる材料で作成またはコーティングされた厚紙で構成されている。
【0016】
見て分かるように、該製造材料はプラスチック層を含む複合材料であり、これらの材料はリサイクルできず、厚紙(段ボール)のみで作られた材料と比較して分解時間が大幅に長くなるため、やはり環境へのダメージを示す。
【0017】
したがって、不適切に廃棄された場合でも環境に有害な影響を及ぼさない、単一のユニットとして1つのパッケージにまとめられた複数の飲料缶を輸送するための運搬デバイスが求められている。主な技術的課題は、材料をほとんど使用せず、製造が安価で、組み立てが簡単で、厚紙(段ボール)などの生分解性材料のみを使用しているにもかかわらず、破損のストレスに耐え得る簡素なデバイスを実現することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許第5305877号明細書
【文献】米国特許第5193673号明細書
【文献】カナダ国特許発明第2124823号明細書
【文献】英国特許第1604840号明細書
【文献】米国特許第5503267号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/362234号明細書
【文献】スペイン国発明特許第1208411号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0595602号明細書
【文献】欧州特許第1401728号明細書
【文献】スペイン国発明特許第2159235号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0222650号明細書
【発明の概要】
【0019】
本発明は、概して、1つのパッケージにまとめられた複数の飲料缶を単一のユニットとして輸送するための運搬デバイスに関し、その主な目的の1つは環境的に安全であることである。
【0020】
本発明の別の主な目的は、缶の本体を覆う側壁がなく、一群の缶によって形成される外周から横方向に突出する材料部分がなく、使用材料が少なくても強力な取り付けを可能にする運搬デバイスを提供して、互いに衝突したりこすれたりすることによって互いに損傷するリスクなしに、店頭でのパッケージの保管と陳列を容易にすることである。
【0021】
本発明の別の目的は、少ない材料で形成されているにもかかわらず、缶に汚れが蓄積するのを防止することによって缶の上面を保護する上面を備えた缶運搬デバイスを提供することである。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、広告印刷に利用可能な連続した中央領域を備えた缶運搬デバイスを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、使用者が持ち上げて取り扱うための簡単な手段を備えた缶運搬デバイスを提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、まとめられる缶に取り付けるための操作を容易にし、理想的には材料の損失をほとんど生じさせない、缶運搬デバイスを形成するためのテンプレートを提供することである。
【0025】
このように、本発明は、1つのパッケージを形成する飲料缶の集合をまとめて運搬するための運搬デバイスを提供する。ここで、缶は、円錐台状の上側胴部を備えた円筒状本体によって形成され、上側胴部は、隆起した上部リングを有し、該上部リングの下に、上部リングよりも小径の首部が形成されたタイプのものである。
【0026】
運搬デバイスは、1平方ミリメートル当たり250~600グラムの重さ(坪量)のシートのような、半硬質材料で作られた積層板(層状体)状の単一部品からなる。さらに重要なことに、この材料は、100%分解可能でリサイクル可能なセルロースであってもよく、これにより、迅速に廃棄でき、野生生物を危険にさらすことがない。
【0027】
前記運搬デバイスは、基本的に、上部中央領域と、複数のクランプフランジと、複数の缶受容開口部と、放射状の遷移部(移行部)とを備えている。前記上部中央領域は実質的に水平であり、缶の上面よりも1段上に配置される。前記クランプフランジは、缶の円錐台状部を取り囲んで適合する。前記クランプフランジは、マント部からなり、下側が傾斜した点で終わる上向きの近位端部を備える。前記缶受容開口部は、2種類の保持フラップを形成する一連の放射状の切り込みを有する。各受容開口部は、多角形-楕円形(多角形的楕円形)(多角形部分を含む楕円形)の切れ目(切断線)によって生成された外周輪郭を備え、前記切れ目(切断線)によって、運搬デバイスの上部中央領域に対してくっついており同一平面上にあるカバーフラップが生成される。前記放射状遷移部は、上部中央領域の続きとして下向きに傾斜して延び、フランジの傾斜した近位端部に横方向に接続する。
【0028】
前記運搬デバイスは、四角形の輪郭を有する。該輪郭は、長方形、ひし形、又は、これらに類似の形状であってもよく、好ましくは正方形である。運搬デバイスには、缶受容開口部が設けられている。缶受容開口部の輪郭は、一連の放射状の切り込みを有する。該切り込みは、運搬デバイスが1つのパッケージを形成するように複数の缶に取り付けられたときに、隆起した缶リングの下にフィット(嵌合)する保持フィンを形成する。
【0029】
前記運搬デバイスは、好ましくは、平行な2辺を対にした4つの辺によって形成された輪郭を備え、該輪郭は、丸みを帯びているか若しくは面取りされている角部(頂点部)、または、それらの組み合わせを有する。前記積層板(層状体)は、上面と、下面と、平行な2辺を対にした4つの辺によって形成された輪郭とを備え、前記積層板は、仮想的に、積層板の縦方向の中心軸と、横方向の中心軸と、中心点で交差する45度の対角線軸とに基づいて、4つ以上の部分に分割され得る。
【0030】
前記積層板(層状体)の4つの側面に、フランジ間に少なくとも1つの凹部が設けられる場合、該凹部は、三角形、台形、凹面、またはこれらの組み合わせであってもよく、好ましくは、底部に丸みを帯びた三角形である。
【0031】
前記缶受容開口部は、好ましくは2つ、4つ、6つ、またはそれ以上の偶数個であってもよく、より好ましくは4つである。缶受容開口部は、該開口部の長さに沿って配置された比較的大きな直径と、該開口部の幅に沿って配置された少なくとも1つの比較的小さな直径とを有する多角形-楕円形(多角形的楕円形)(多角形部分を含む楕円形)の輪郭を有する。缶受容開口部は、運搬デバイス内で斜めの向きで配置され、缶受容開口部の最大直径は、縦方向および横方向の中心軸に対して45度傾いた軸に一致する。缶受容開口部は、縦方向および横方向の中心軸に対して等距離かつ対称に配置されている。
【0032】
上記のように、受容開口部の輪郭は多角形-楕円形であり、一連の放射状の切り込みを有する。切り込みは、缶の隆起したリングの下にフィット(嵌合)する保持フィンを形成するものであり、保持フィンは、切り込みと一体的にフランジマントの上部まで延びる。つまり、保持フィンには、フランジマントとは異なる平面にフィンを傾けることを意図して放射状の切り込みを横切る折り目や切れ目が設けられていない。
【0033】
前記放射状の切り込みは、輪郭上、特に輪郭の中央領域および遠位領域に分布しており、積層板(層状体)の中心に隣接する受容開口部の近位領域には、切り込みは設けられない。そのため、近位領域では、保持フィンを欠くことにより、缶は受容開口部に保持されない。
【0034】
前記運搬デバイスは、缶の上面よりも1段上に配置された実質的に水平で連続的な中央領域を備え、該中央領域から放射状に、缶の円錐台状部に適合して該円錐台状部を取り囲む複数のクランプフランジが延びており、該フランジのマントは、上向きの近位端部を備える。複数のフランジは、放射状の遷移部(移行部)を介して運搬デバイスの上部中央領域に結合されている。
【0035】
前記フランジは、缶の円錐台状の上側胴部(円錐台状の上部)にしっかりとフィット(嵌合)する。楕円形の受容開口部の輪郭は、フラップを形成する領域を除く外周全体にわたって、缶の隆起したリングの下にフィット(嵌合)する。
【0036】
運搬デバイスは、フランジの近位端部に横方向に漸進的に結合するために、運搬デバイスの水平な中央領域から下向きに連続的に延びる遷移部(移行部)を有する。該遷移部は、凹状に湾曲した側縁と、前記上部中央領域に合流する丸みを帯びた上端領域と、該上端領域とは反対側において凹状に湾曲した縁からなる下端とを有し、該下端は、運搬デバイスの各側縁における凹入部に一致する。遷移部の上端領域は、クランプフランジの起点に一致する。
【0037】
受容開口部のそれぞれは、シート(運搬デバイス)の中央領域に隣接する部分で中断される多角形-楕円形の切れ目(切断線)によって生成される。前記切れ目(切断線)は、該切れ目の前記中断部を介してシートにくっついたままである同じく多角形-楕円形のカバーフラップを生成する。これにより、フラップを缶の上面に載せることができ、運搬デバイスの前記上部中央領域と同一平面上の位置を確保できる。
【0038】
カバーフラップは、缶の上部を汚れから保護すると同時に、層状体(運搬デバイス)の上部中央領域と同一平面上にあることにより、該層状体とともに、印刷グラフィックまたは広告情報のサポートとして利用可能なより大きな連続した上部を形成する。そのため、運搬デバイスは、汚れに対する保護と広告のための十分な連続領域の配置との両方を可能にし、別の上部シート、又は、缶の側面を囲む別のシート部分を追加する必要がない。
【0039】
層状体(運搬デバイス)の中央上部領域には、使用者が指を挿入し、運搬デバイスによって集められた缶のパッケージを持ち上げる取っ手として機能するのに適した中央穴がある。該中央穴は、切り取られた部分を中央穴の縁部に結合する1つまたは複数のブリッジ(橋部)を含む不完全な円形の切り込みによって形成される。これにより、最初、中央穴は、広告が配置される連続した上面の一部として覆われたままであり、使用者が缶のパッケージを手に取るときにのみ、前記切り取られた部分が落とし込まれて運搬デバイスの中に沈み込む。
【0040】
受容開口部は、2種類の保持フィンを形成する一連の放射状の切り込みを備え、該切り込みにより、フランジが位置する受容開口部の縁部を、缶の隆起したリングの下のくぼみに配置させることができる。一方、放射状の切り込みの対角線上の部分は、運搬デバイスの水平な上部中央領域と同じ高さのままである。
【0041】
2種類の保持フィンは、互いに間隔をあけて対称に配置された複数の対の放射状の切り込みで構成されている。該切り込みのそれぞれは、一端において受容開口部の多角形-楕円形の輪郭に重なる直線末端部と、基端側の湾曲端部とを備え、切り込みの各対における2つの切り込みの湾曲端部は、互いに反対の向きである。
【0042】
各対の2つの放射状の切り込みは、互いから、切り込みの各対の間の離間距離よりも短い距離だけ空けて配置されている。各対の2つの切り込み間の距離は、保持フィンの一方(第1)のタイプに相当する補助保持フランジ(補助フランジ)を形成し、補助フランジ間の離間距離は、他方(第2)のタイプの保持フィンに相当する台形の保持フィンを形成する。
【0043】
補助フランジは、互いに反対向きの(向かい合う)一対の湾曲端部間の離間によって与えられるフランジとの結合点を有する。ただし、切り込みは、径方向の全長にわたって切り込まれており、台形の保持フィン間に一種のノッチを生成する。これらのノッチにより、缶の円錐台状の胴部に対して、フランジが同じ円錐台形状を得ると、受容開口部の内縁部がより良好に適合できるようになる。このことは、これらのノッチが受容開口部の外周の変動を補正する理由になる。
【0044】
放射状の切り込みの径方向の寸法(高さ)は、フランジの幅の半分に等しいことが好ましい。これにより、フランジが適宜変形して、マントの上部で生じる折り目状の変形を調整できるようになる。
【0045】
各受容開口部の間の距離は、飲料缶を密に並べることができるように構成されており、クリアランスが生じて運搬デバイスの部品が損傷し、缶が外れたり倒れたりするような隙間は生じない。
【0046】
受容開口部の多角形-楕円形の形状により、台形フィンおよび補助フランジの末端の縁部になる複数の直線部が生成され、この末端の縁部は、缶の隆起したリングの下にフィット(嵌合)する部分になる。この縁部の直線形状により、該縁部と缶リングとの間の接触ゾーンが縁部の中央領域に確実に生成され、これにより、各フィンの耐圧縮性を高めることができる。なぜなら、仮に、受容開口部を生成する切れ目(切断線)が厳密に湾曲している場合、フィンとフランジの末端の縁部が凹面になる傾向があり、これにより、缶リングとの接触ゾーンが縁部の端部に生じ、該縁部の端部は、尖っていることにより、耐性が低くなり、圧縮によって変形しやすくなるためである。
【0047】
一方、カバーフラップの楕円形状は、フラップの長径が缶の円形上部の直径よりも大きくなるように、缶のリングの上に取り付けられたときに被る変位を補償する。そのため、フラップが運搬デバイスの中央領域に向かって移動すると、フラップの輪郭の一部が缶の上部の縁の上に残り、フラップの輪郭の残りの部分が缶のリングの縁の内側に残り、これにより、大きな隙間を残すことなく缶の円形形状に適応する。
【0048】
フランジが円錐形になったときにフランジの外周を調整できるようにした後、補助フランジが受容開口部にくっついたままになるという事実は、フランジが協働して缶リングの下の周囲接触面を増大させることを可能にする。これにより、周囲接触面が台形フィンのみに生じるのを防ぎ、運搬デバイスの耐性を増大させる。
【0049】
運搬デバイスは、広告を配置するための大きな連続した上面を、カバーフラップに向かって同一平面上に延びる水平な中央領域によって形成することで提供可能となっている。連続した大きな表面である中央領域は、組立機によるテンプレートのグリップ領域または吸引領域として機能するため、組み立てラインでの運搬デバイスの取り扱いが容易になる。
【0050】
連続した水平の上部領域と、円錐台状の胴部における缶の外周に適合する缶用のクランプ手段とを提供する運搬デバイスのこの条件は、上記の特徴の組み合わせのおかげで可能になる。上記条件は、主に、非円形、特に楕円形の輪郭を有する受容開口部およびカバーフラップと、その輪郭に配置されたさまざまな保持フラップと、上部中央領域に連なるようにフランジ間に配置された遷移部(移行部)とによって与えられる。また、上記条件は、層状体において受容開口部が斜めに向けられることによっても与えられ、これにより、受容開口部は、缶リングの下に位置する外縁から同リングの上に位置する内縁まで通過するように、むしろ楕円形になることができ、これにより、缶のグリップを緩めることなく、フラップが上部中央領域と同一平面上にあることを可能にする。
【0051】
この構成により、運搬デバイスが缶のグループに取り付けられ、使用者が中央の穴に指を入れると、中心点から径方向の張力が発生し、遷移部(移行部)に均等に張力がかかる。フランジが漸進的に生まれるため、遷移部(移行部)が、中央に向かって斜めに上昇する力の組み合わせにおいてフランジを引っ張り、特に、最大の圧縮が生じるフランジの起点近くの最初のフランジにおいて、異なる保持フィンを缶リングの下にさらにフィット(嵌合)させ、フランジの残りの部分では、より多くの引張力が存在し、缶の円錐台状の胴部の周りでハグ効果(密着効果)が増大する。
【0052】
本発明はまた、前記運搬デバイスを形成するためのテンプレートを含み、該テンプレートは、輪郭と中央領域とを備える。テンプレートの前記輪郭は、平行な2辺を対にした4つの側縁部と、面取り角部(面取り頂点部)とを有する。前記側縁部のそれぞれは、その中央領域に少なくとも1つの凹部を備える。前記中央領域から放射状に複数のアーチ状部が延在している。該アーチ状部の基部は、前記中央領域の方を向いている。アーチ状部のそれぞれは、多角形-楕円形の対応する受容開口部を取り囲んでおり、該受容開口部は、多角形-楕円形のフラップによって部分的に覆われている。受容開口部の輪郭は、アーチ状部内に延びる一連の放射状の切り込みを備え、該切り込みは、2つの異なるタイプの保持フィンを形成するように、対をなしてグループ化されている。アーチ状部間に、中央領域から積層板の4つの側縁部におけるそれぞれの中間ゾーンまで延びる凹状の側部を有する放射状の遷移領域が介在している。
【0053】
中央領域は、使用者が指を挿入して缶のパックを持ち上げたときに内側に移動する円形のヒンジ付き部品を画定する少なくとも不完全な円形の切り込みを含む。受容開口部およびフラップは、楕円形、好ましくは多角形の切れ目(切断線)によって生成され、この切れ目(切断線)は、中央領域に隣接して位置する中断部を有し、該中断部において、カバーフラップが積層板にくっついている。
【0054】
保持フィンを形成する切り込みはそれぞれ、一端が受容開口部の外周輪郭に重なる直線末端部と、基端側の湾曲端部とで構成され、前記切り込みの各対を構成する2つの切り込みの湾曲端部は、互いに向かい合っている。
【0055】
切り込みの各対を構成する2つの切り込みは、切り込みの各対の間の離間距離よりも小さい距離だけ互いから間隔を空けて配置されており、前記2つの切り込み間の前記距離は、補助フランジを形成するためのものである。
【0056】
補助フランジ間の前記離間距離は、補助フランジ間に介在する台形のクランプフランジ(締め付けフィン)を形成するものであり、放射状の切り込みの径方向寸法(高さ)は、好ましくは、前記アーチ状部の幅の半分に等しい。
【0057】
放射状の切り込みの対は、多角形-楕円形の受容開口部の最大直径の長さの約4分の3であるアーチ状部の外周部分にわたって分配されている。
【0058】
多角形-楕円形の輪郭の受容開口部と該受容開口部を囲むアーチ状部とは、2つの缶を運搬するためにテンプレートごとに少なくとも2つ設けられ、好ましくは、テンプレートごとに4つ設けられ、あるいは、6缶の容量を備えたテンプレートを形成することもできる。
【0059】
これらのテンプレートは、缶に手動で取り付けることができ、半自動または完全自動の組立システムの一部であってもよい。この趣旨で、輪郭のいくつかの領域にいくつかのノッチがあり、これらのノッチにより、マシン内でのテンプレートの位置を固定でき、整列された缶の上に置くことができる。好ましくは、これらのノッチは、テンプレートの輪郭に現れる中央の凹部と、面取り角部(面取り頂点部)とに配置される。
【0060】
テンプレートは、それらの取り付けを容易にして最適化するために、いくつかのテンプレートを1つにまとめた構成の一部であってもよい。したがって、4缶用のテンプレートの場合、3つの該テンプレートを並べて1つの構成にまとめて、12本の缶を各列6缶の2列に並べて運搬できるようにしてもよい。あるいは、6個の4缶用のテンプレートを、各列3個の2列に並べて1つの構成にまとめてもよく、これにより、24缶のセットを覆うことができる。
【0061】
6缶用テンプレートの代替実施形態では、テンプレートは、6缶、12缶、または24缶のグループに同時に取り付けられ得るテンプレート構成を形成してもよい。したがって、12本の缶の場合、2個のテンプレートが長さ方向に並べられて、隣接する短辺同士で結合され、これにより、各列6本の缶が2列に取り付けられる。24本の缶のグループの場合、4つのテンプレートが、短辺同士で結合されつつ長辺同士を合わせ、これにより、各列6本の缶が4列に並べられた1まとめの缶に配置される。
【0062】
一連のテンプレートが複数の配列に配置されることにより、アセンブリを取り扱いやすくなり、より多くの缶へ同時に取り付けやすくなる。ここで、複数のテンプレートは、脆弱な(緩い)接合点によって互いに結合され、これにより、機械が缶の組立作業を行うとき、テンプレートのそれぞれが隣接するテンプレートから分離され、2本、4本、6本、またはそれ以上の缶を含む個々のパックが組み立てられる。
【0063】
機械の圧力により、缶の上面の上で、元々は平らなテンプレートが変形し、アーチ状部が下向きに折れ曲がって、缶の円錐台状部を取り囲む円錐台形状になる。これにより、楕円形である受容開口部が径方向に傾斜し、フラップの起点に一致する受容開口部の縁部は、缶の隆起したリングの縁の上にある。受容開口部は、傾斜しているため、缶のリングの下にフィット(嵌合)し、一連のフラップによって保持される。
【0064】
テンプレートは、100%生分解性でリサイクル可能なセルロース材料の単一の積層部品からなり、好ましくは、1平方ミリメートル当たり250~600グラムの重さ(坪量)のシートからなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明は、その目的を達成するために、添付の図面に示される形態でなされ得る。ただし、図面は単なる例示であり、発明の範囲を限定するものではなく、共通の発明概念の下にある限り、種々の実施形態を得ることができる。したがって、本発明の詳細な説明は、この説明の不可欠な部分である図とともに行われる。
図1】4本の飲料缶のグループに取り付けられた運搬デバイスの等角投影上面図を示す。
図2】4本の飲料缶のグループに取り付けられた運搬デバイスの上面図を示す。
図3】運搬デバイスの正面断面図を示す。
図4】運搬デバイスの等角投影断面図を示す。
図5】運搬デバイスの上面図を示す。
図6】運搬デバイスの細部を拡大した上面図を示す。
図7】運搬デバイスの細部を拡大した正面断面図を示す。
図8】運搬デバイスの上面図を示す。
図9】4本の飲料缶のグループに取り付けられた運搬デバイスの等角投影上面図を示す。
図10】運搬デバイスを形成するためのテンプレートの等角投影上面図を示す。
図11】運搬デバイスを形成するためのテンプレートの上面図を示す。
図12】運搬デバイスを形成するためのテンプレートの細部を拡大した上面図を示す。
図13】6缶用デバイスの上面図を示す。
図14】4缶用の3つのテンプレートの等角投影図を示す。
図15】4缶用の6つのテンプレートの上面図を示す。
図16】6缶用の2つのテンプレートが並べられた12缶用の配置の上面図を示す。
図17】6缶用の4つのテンプレートを使用した24缶用の配置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1に見られるように、本発明は、1つのパッケージを形成する飲料缶(A)のアセンブリをまとめて輸送するための運搬デバイス(1)に関する。ここで、缶は、缶の上部平面(c)を画定する隆起した上部リング(b)を備えた円錐台状の上部(a)を有するタイプのものである。運搬デバイスは、単一の層状体(積層体)から製造される。運搬デバイスは、1缶ごとに、フラップを有する受容開口部を備えている。1つのパッケージを形成するために複数の缶(A)に運搬デバイスが取り付けられたとき、缶(A)の隆起したリング(b)の下に受容開口部がフィット(嵌合)する。運搬デバイスは、すくない材料で強力なグリップを缶に提供し、これにより、缶の縁から横方向に材料がはみ出すことなく、複数の缶を1つにまとめることが可能になり、缶を保護するとともに広告印刷に利用可能な上部領域を増大させる連続した上面を提供できる。
【0067】
運搬デバイス(1)は、上部中央領域(10)、クランプフランジ(20)、マント部(21)、缶受容開口部(30)、及び遷移部(移行部)(70)を備えている。部中央領域(10)は、缶(A)の上面(c)よりも1段上に、実質的に水平に配置される。クランプフランジ(20)は、缶の円錐台状部(a)を取り囲み、円錐台状部(a)の形状に合致(適合)する。マント部(21)は、上向きの近位端部(22)を有する。缶受容開口部(30)は、2種類の保持フィン(50)を形成する一連の放射状の切り込み(40)を備える。各受容開口部(30)は、多角形-楕円形(多角形的楕円形)(多角形部分を含む楕円形)の切れ目(切断線)(32)によって生成された外周輪郭(31)を有する。さらに、切れ目(32)は、運搬デバイス(1)の中央領域(10)に対してくっついており同一平面上にあるカバーフラップ(60)を生成する。遷移部(70)は、フランジ(20)の間に配置されており、上部中央領域(10)の続きとして下向きに傾斜して延び、フランジ(20)の近位端部(22)に横方向に結合する。
【0068】
図2を参照すると、遷移部(70)は、凹状に湾曲した側縁(71)と、上部中央領域(10)に合流する丸みを帯びた上端領域(72)と、該上端領域とは反対側において凹状に湾曲した縁を有する下端(73)とを備える。
【0069】
図3に示すように、クランプフランジ(20)のそれぞれは、缶(A)の上部(a)の円錐台形状に沿った形状を取得する。クランプフランジ(20)のそれぞれは、受容開口部(30)の各々の外周輪郭(31)に対応する多角形-楕円形の形状を有する比較的小さな上底部(23)と、比較的大きな下底部(24)とを有する。
【0070】
図4に示すように、受容開口部(30)を形成する多角形-楕円形の切れ目(切断線)(32)は、運搬デバイスの上部中央領域(10)に隣接して位置する中断部(33)を有する。該中断部(33)を介して、カバーフラップ(60)が運搬デバイスにくっついている。図5に適切に示されるように、受容開口部(30)は、その長さに沿って配置された比較的大きな長径(34)と、その幅に沿って配置された少なくとも1つの比較的小さな短径(35)とを有する。受容開口部(30)は、運搬デバイス(1)内で斜めに向けられている。受容開口部(30)の長径(34)は、方向の中心軸(12)と横方向の中心軸(13)とに対して45度回転された仮想の対角線軸(11)に一致している。受容開口部(30)は、これらの軸に対して等距離かつ対称に分布している。
【0071】
ここで図6を参照すると、2種類の保持フィン(50)が、複数対の切り込み(51)で構成されており、各対の切り込み(51)は、径方向に対して対称でかつ互いに離間している。切り込み(51)のそれぞれは、一端(53)において受容開口部(30)の外周輪郭(31)に重なるように合致する直線末端部(52)と、前記一端とは反対側の湾曲基端部(54)とを備えている。切り込みの各対における両方の切り込み(51)の湾曲基端部(54)は、互いに反対の向きである(向かい合っている)。各対の2つの切り込み(51)は、切り込みの各対の間の距離(d2)よりも小さい距離(d1)だけ互いに離間している。各対の2つの切り込み(51)間の距離(d1)は、補助フランジ(55)を形成するためのものである。一方、補助フランジ(55)間の間隔であるより大きい距離(d2)は、補助フランジ(55)間に介在する台形の翼部(締め付けフィン)(56)を形成するためのものである。放射状の切り込み(51)の径方向寸法(高さ)(h1)は、フランジ(20)の幅(h2)の半分に等しいことが好ましい。
【0072】
図7に示すように、保持フィン(50)のアセンブリは、2つの端部フィン(57)を備え、端部フィンのそれぞれは、フランジ(20)の各近位端部(22)に位置する。端部フィン(57)は、最後の放射状切り込み(51)を欠いており、フランジの底部(下方部分)から運搬デバイスの上部中央領域(10)まで延びる湾曲した形状を有する。
【0073】
他方、図8によりよく示されるように、運搬デバイス(1)は、好ましくは平行な2辺を対にした4つの辺(15)によって形成された外側輪郭(14)と、上面(16)と、下面(17)と、面取り角部(面取り頂点部)(18)とを備える。外側輪郭の4つの辺(15)には、フランジ(20)間に配置された少なくとも1つの浸入凹部(19)が設けられている。凹部(19)は、遷移部(70)の下端(73)に一致する。一方、実質的に水平な上部中央領域(10)は、使用者が指を挿入し、運搬デバイス(1)によって組み立てられた缶のパッケージを持ち上げる取っ手として機能するのに適したヒンジ付きの中央穴(80)を備える。この穴(80)は、1つ又は複数の接続ブリッジ(82)を備えた不完全な円形の切り込み(81)から構成されており、接続ブリッジ(82)によって、運搬デバイスの上部中央領域(10)に脆弱に(緩く)くっついた状態に維持される。
【0074】
受容開口部(30)を備えたクランプフランジ(20)と、これに対応するカバーフラップ(60)とによって形成される組み合わせ(セット)は、1つの運搬デバイス(1)当たり少なくとも2つ設けられている。図9に示される好ましい実施形態では、受容開口部(30)を備えたクランプフランジ(20)と、これに対応するカバーフラップ(60)とによって形成される組み合わせ(セット)は、1つの運搬デバイス(1)当たり少なくとも4つである。
【0075】
運搬デバイス(1)は、生分解性セルロース材料の単一の層状部品から作られる。セルロース材料は、好ましくは、1平方ミリメートル当たり250~600グラムの重さ(坪量)のシートである。
【0076】
本発明はまた、1つのパッケージを形成する飲料缶のセットをまとめて輸送するための運搬デバイス(1)に適合するテンプレート(100)を備える。図10に見られるように、テンプレート(100)は、輪郭(140)と中央領域(101)とを含む平らなプレートで構成されている。輪郭(140)は、平行な2辺を対にした4つの側縁部(150)を有する。側縁部(150)のそれぞれは、その中央部に設けられた凹部(190)と、面取り角部(面取り頂点部)(面取り縁部)(180)とを有する。中央領域(101)から放射状に複数のアーチ状部(200)が延在している。アーチ状部の基部(201)は、中央領域(101)の方を向いている。アーチ状部(200)のそれぞれは、多角形-楕円形(多角形的楕円形)(多角形部分を含む楕円形)(310)の対応する受容開口部(300)を取り囲んでおり、受容開口部(300)は、同じく多角形-楕円形のフラップ(600)によって部分的に覆われている。これらの凹部(190)は、テンプレートの側縁部(150)のそれぞれの中央部にあり、これらの面取り角部(180)は滑らかな縁を有してもよい。
【0077】
図11に見られるように、受容開口部(300)の輪郭(310)は、アーチ状部(200)内に延びる一連の放射状の切り込み(510)を含む。アーチ状部(200)は、2つの異なる種類の保持フィン(500)を形成するように対をなしてグループ化されている。アーチ状部(200)間には、凹状の側部(710)を有する放射状の遷移領域(700)が介在している。側部(710)は、テンプレートの中央領域(101)から側縁部(150)の凹部(190)のそれぞれまで延びている。同様に、中央領域(101)は、折り曲げ可能な(折り畳み式の)円形片(800)を定める不完全な円形の切り込み(801)を備える。受容開口部(300)およびカバーフラップ(600)は、中央領域(100)に隣接して位置する中断部(330)を有する多角形-楕円形の経路の切れ目(切断線)(320)によって生成され、カバーフラップ(600)は、中断部(330)を介してテンプレート(100)に結合されている。この実施形態において、テンプレートの側縁部(150)のそれぞれの中央部にある凹部(190)と、面取り角部(180)とは、缶への組付け中におけるテンプレートの取り扱いおよび取付機械上での位置決めを容易にするノッチ(900)を備える。
【0078】
図12に示すように、保持フィン(500)を形成する放射状の切り込み(510)はそれぞれ、一端(530)が受容開口部(300)の外周輪郭(310)に重なるように合致する直線末端部(520)と、前記一端とは反対側の湾曲端部(520)とからなる。切り込みの各対を構成する2つの切り込み(510)の湾曲端部(540)は、互いに向かい合っている。切り込みの各対を構成する2つの切り込み(510)は、切り込みの各対の間の離間距離(d20)よりも小さい距離(d10)だけ互いから間隔を空けて配置されている。各対の2つの切り込み(510)間の距離(d10)は、補助クランプフランジ(補助締め付けフランジ)(補助フランジ)(550)を形成するためのものである。補助フランジ(550)間の離間距離(d20)は、補助フランジ(550)間に介在する台形のフラップ(締め付けフィン)(560)を形成するためのものである。放射状の切り込み(510)の径方向寸法(高さ)(h10)は、アーチ状部(200)の幅(h20)の半分に等しいことが好ましい。放射状の切り込み(510)の対は、多角形-楕円形の受容開口部(300)の最大直径(340)の長さの約4分の3であるアーチ状部(200)の外側部分にわたって分配されている。
【0079】
別の構成例において、多角形-楕円形状の受容開口部(300)、受容開口部を取り囲むアーチ状部(200)、およびカバーフラップ(600)は、2本の缶を運搬できるようにテンプレート(100)ごとに2つずつ設けられる。あるいは、図13に示すように、6本の缶のパッケージを作るように、受容開口部(300)、アーチ状部(200)、およびカバーフラップ(600)が6つ設けられてもよい。この場合、6缶用のテンプレートでは、2つの中央領域(101)があり、それぞれが、折り曲げ可能な(折り畳み式の)円形片(800)の境界を定める不完全な円形の切り込み(801)を含む。一方、受容開口部(300)およびカバーフラップ(600)は、多角形-楕円形の切れ目(切断線)(320)によって生成される。切れ目(320)は、中央領域(101)に隣接して位置する中断部(330)を有し、中断部(330)を介して、カバーフラップ(600)がテンプレート(100)に結合されている。
【0080】
テンプレート(100)は、100%生分解性でリサイクル可能なセルロース材料の単一の層状部品(積層部品)でできている。該層状部品は、好ましくは1平方ミリメートル当たり250~600グラムの重さ(坪量)のシートである。
【0081】
テンプレートは、いくつかのテンプレートからなる配列で製造されてもよく、これにより、特に自動組立システムにおいて、アセンブリの取り扱いと多数の缶への同時取り付けを容易にすることができる。複数のテンプレートは、テンプレート配列に圧力がかかると割れるような脆弱な(緩い)結合点によって互いに結合されている。これにより、複数のテンプレートは、分離されて、各テンプレートは、対応する缶のグループに取り付けられ、その結果、2本、4本、6本、またはそれ以上の缶の個別のパックになる。
【0082】
図14に示されるように、4本の缶を運搬するためのテンプレート(100)は、テンプレートの両側縁部(150)によって互いに結合された少なくとも3つのテンプレート(100)を含む1列(F1)の線形配列にて配置されてもよい。一方、図15に示されるように、同じテンプレート(100)が、それぞれ3つのテンプレート(100)からなる2列(F1、F2)に配置された6つのテンプレート(100)からなる配列にて配置されてもよい。この場合、同じ列(F1)における複数のテンプレートは、反対側の側縁部(150)で互いに結合され、一方の列(F1)のテンプレート(100)は、これに取り付けられる他方の列(F2)に対して、共通の側縁部(151)によって結合される。
【0083】
同様に、図16に見られるように、6本の缶を運搬するためのテンプレート(100)は、テンプレートの側縁部(150)によって結合された2つのテンプレート(100)を含む1列(F1)の線形配列にて配置されてもよい。一方、図17に示すように、同じテンプレート(100)が、それぞれ2つのテンプレート(100)からなる2列(F1、F2)に配置された6つのテンプレート(100)からなる配列にて配置されてもよい。この場合、同じ列(F1)における複数のテンプレートは、反対側の側縁部(150)で互いに結合され、一方の列(F1)のテンプレート(100)は、これに取り付けられる他方の列(F2)に対して、共通の側縁部(151)によって結合される。
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