(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】像加熱装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240325BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G03G15/20 515
H01R13/631
(21)【出願番号】P 2023005569
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2018232838の分割
【原出願日】2018-12-12
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸一
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-058229(JP,A)
【文献】特開2017-174644(JP,A)
【文献】特開2018-146957(JP,A)
【文献】特開平03-242668(JP,A)
【文献】特開平10-302868(JP,A)
【文献】特開平09-044011(JP,A)
【文献】特開平09-319240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/20
15/00
15/20
21/16-21/18
H01R 12/00-12/91
13/40-13/533
24/00-24/86
H05B 3/02- 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフィルムと、
前記フィルムの外周面に接触するローラと、
細長い板状の基板と、前記基板に設けられた発熱体と、前記基板に設けられており前記発熱体と電気的に接続された電極と、を有するヒータと、
前記電極に接触する導電性の電気接点部品と、
前記ヒータを前記基板の長手方向に亘って保持する保持部材と、
を有し、
前記フィルムの内部空間に前記ヒータと前記保持部材が配置されており、前記ヒータと前記ローラで前記フィルムを挟み込み、前記フィルムと前記ローラの間に記録材を搬送するニップ部が形成されており、
前記電気接点部品を介して供給される電力で前記ヒータが発熱し、
前記ニップ部で記録材を搬送しつつ前記ヒータの熱を利用して記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置であって、
前記電気接点部品も前記フィルムの内部空間に配置されており、
前記保持部材の前記フィルムの内部空間に位置する部分には前記電気接点部品を保持する接点保持部が設けられており、
前記電気接点部品は、前記電気接点部品を前記保持部材に位置決めするための位置決め部と、
前記保持部材の前記接点保持部に当接するベース部と、前記ベース部から延びており前記ヒータの電極に接触するバネ性を有する接触部と
、を有し、
前記電気接点部品が
、前記フィルム及び前記ヒータ
を介して、前記ローラと前記接点保持部に挟まれることによって前記接触部が撓み前記電極に対する接点圧が発生していることを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記
ベース部が接触する前記接点保持部の面は前記ヒータと対向する面であり、前記位置決め部を位置決めする前記保持部材の面は前記ヒータと対向する前記面とは反対方向に向く面であることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記電気接点部品は、前記位置決め部の部分と前記
ベース部の部分を接合した部品であ
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記ヒータは独立制御可能な複数の前記発熱体を有し、各発熱体に対応して前記電気接点部品が複数設けられていることを特徴とする請求項1から3何れか一項に記載の像加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式や静電記録方式を利用したプリンタ、複写機等の画像形成装置に関する。また、画像形成装置に搭載されている定着部や記録材に定着されたトナー画像を再度加熱することにより、トナー画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等の像加熱装置に関する。また、画像形成装置及び像加熱装置に用いられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置を搭載する画像形成装置では、小サイズ紙を連続通紙した場合に、ヒータの長手方向で紙が通過していない領域の温度が非常に高くなる端部昇温といわれる現象が発生する。端部昇温が発生すると、ローラやヒータなどの部品にダメージを与える可能性がある。特許文献1には、ヒータが有する基板上に設けられた発熱体をヒータの長手方向に複数のブロックに分割するヒータ(以下、分割ヒータと称する)について開示されている。分割ヒータでは、基板上の電極から供給された電力が、基板上の導電体を介して基板上の長手方向に複数配置された発熱体に供給されることにより、基板上の発熱体が発熱する。分割された各発熱体は独立制御が可能であり、紙サイズに応じてヒータ全体の発熱分布を調整ことにより、端部昇温を抑制することができる。この際、電極への電力供給は商用の交流電源から電気接点部材であるコネクタを介して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタを定着装置に搭載する場合、コネクタとヒータの相対的な位置関係を決める必要がある。コネクタをヒータに直接係合させることはできないので、ヒータを保持するホルダ部材にコネクタを係合させ、コネクタとヒータ電極とを接触させる構成が採用されている。このような構成を採用した場合、以下の課題がある。ヒータに電力を投入した際、ヒータからホルダ部材への熱伝導にはタイムラグがある。つまりヒータに電力を投入した瞬間はヒータがその長手方向に熱膨張し、その後にホルダ部材が熱膨張し始める。また、一般的にヒータとホルダ部材は互いに線膨張係数が異なるので、温度が飽和状態になったときにはヒータとホルダ部材の相対的な位置が異なる。このようにヒータやホルダ部材の温度が変化する過程において、ヒータとホルダ部材は相対的に変位する。コネクタはホルダ部材に係合しているので、コネクタはヒータと相対的に変位する。その結果、ヒータの電極とコネクタの接触部がプリント動作のたびに摺動を繰り返すことになる。近年、プリンタや複写機にはこれまで以上の長寿命化が要求されており、プリンタや複写機が長い寿命を有する場合、電極や電気接点が摩耗し電気的な接触が不安定となる可能性がある。またコネクタにはケーブルが接続されており、ケーブルの組立時の姿勢や動作時の位置変化によってコネクタが変位し、電極やコネクタが摩耗する可能性がある。
【0005】
本発明はヒータの電極とコネクタの接触部との摺動を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の像加熱装置は、
筒状のフィルムと、
前記フィルムの外周面に接触するローラと、
細長い板状の基板と、前記基板に設けられた発熱体と、前記基板に設けられており前記発熱体と電気的に接続された電極と、を有するヒータと、
前記電極に接触する導電性の電気接点部品と、
前記ヒータを前記基板の長手方向に亘って保持する保持部材と、
を有し、
前記フィルムの内部空間に前記ヒータと前記保持部材が配置されており、前記ヒータと前記ローラで前記フィルムを挟み込み、前記フィルムと前記ローラの間に記録材を搬送するニップ部が形成されており、
前記電気接点部品を介して供給される電力で前記ヒータが発熱し、前記ニップ部で記録材を搬送しつつ前記ヒータの熱を利用して記録材に形成された画像を加熱する像加熱装置であって、
前記電気接点部品も前記フィルムの内部空間に配置されており、
前記保持部材の前記フィルムの内部空間に位置する部分には前記電気接点部品を保持する接点保持部が設けられており、
前記電気接点部品は、前記電気接点部品を前記保持部材に位置決めするための位置決め部と、前記保持部材の前記接点保持部に当接するベース部と、前記ベース部から延びており前記ヒータの電極に接触するバネ性を有する接触部と、を有し、
前記電気接点部品が、前記フィルム及び前記ヒータを介して、前記ローラと前記接点保持部に挟まれることによって前記接触部が撓み前記電極に対する接点圧が発生していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒータの電極とコネクタの接触部との摺動を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】実施例1に係る電気接点部品の斜視図及び拡大図
【
図8】実施例2に係る電気接点部品の斜視図及び弾性部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
〈実施例1〉
<画像形成装置の概要>
まず、本発明を適用可能な画像形成装置について説明する。
図1は本実施例に係る画像形成装置(プリンタ)1の全体構成を示す縦断面図である。画像形成装置1の下部には、カセット2が引き出し可能に収納されている。そして、画像形成装置1の右側には手差し給送部3が配設されている。カセット2、手差し給送部3にそれぞれ記録材Pを積載収容し、記録材Pを1枚毎に分離し、レジストローラ4に給送するようになっている。画像形成装置1はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する画像形成ステーション5Y、5M、5C、5Kを、横一列に並設している画像形成部5を備えている。画像形成部5は、記録材P上にトナー画像を形成する。画像形成部5には、像担持体である感光体ドラム6Y、6M、6C、6K、感光体ドラム6の表面を均一に帯電する帯電装置7Y、7M、7C、7Kが配設されている。以下では、感光体ドラム6Y、6M、6C、6Kを総称する場合、これらを感光体ドラム6と表記する。また、画像形成部5には、画像情報に基づいてレーザービームを照射して感光体ドラム6上に静電潜像を形成するスキャナユニット8、静電潜像にトナーを付着させてトナー画像として現像する現像装置9Y、9M、9C、9Kが配設されている。更に、画像形成部5には、感光体ドラム6上のトナー
画像を転写ベルト10に転写する一次転写部11Y、11M、11C、11Kが配設されている。以下では、一次転写部11Y、11M、11C、11Kを総称する場合、これらを一次転写部11と表記する。
【0011】
一次転写部11でトナー画像が転写された転写ベルト10のトナー画像は、二次転写部12で記録材Pに転写される。その転写画像は定着装置100を通過する際に、加熱ユニット101と、加熱ユニット101に圧接する加圧ローラ102とによる圧熱により記録材Pに定着される。その後、両面フラッパ13によって搬送路が切り替えられ、排出ローラ対14又はスイッチバックローラ対15に搬送される。スイッチバックローラ対15側に搬送された記録材Pが、スイッチバックローラ対15で反転搬送され、再度レジストローラ4、二次転写部12、定着装置100を通過した後、排出ローラ対14側に搬送されることにより両面印刷される。最後に記録材Pが排出ローラ対14を通過後、記録材Pが積載部16に排出される。なお、画像形成装置1として感光体ドラム6を複数備えたフルカラーレーザービームプリンタについて説明しているが、感光体ドラム6を一つ備えたモノクロの複写機やプリンタに搭載する定着装置にも本発明を適用することができる。
【0012】
<定着装置>
次に、本実施例に係る定着装置100について
図2を用いて説明する。定着装置(像加熱装置)100は、記録材P上のトナー画像を記録材Pに加熱定着する定着部(像加熱部)である。定着装置100は、加熱ユニット101及び加圧ローラ102を有する。
図2は加熱ユニット101と加圧ローラ102を有する定着装置100の断面図である。
加熱ユニット101は筒状のフィルム103と、フィルム103の内面に摺動層207にて接触するヒータ200と、ヒータ200を保持する保持部材105と、金属製のステイ部材104とを有する。保持部材105は液晶ポリマー等の耐熱樹脂で形成されている。ステイ部材104は保持部材105を補強する役目を有する。ヒータ200は、基板201の摺動層207が設けられた面とは反対側の面(以下裏面と称する)に発熱体202A、202Bを有し、基板201と摺動層207とを介してフィルム103に熱を伝える。ヒータ200の長手方向が記録材Pの搬送方向と直交する方向を向くように、定着装置100にヒータ200が配置されている。したがって、ヒータ200の短手方向が記録材Pの搬送方向を向くように、定着装置100にヒータ200が配置されている。なお、ヒータ200の長手方向は、記録材Pの幅方向と同じ方向である。加圧ローラ102は金属性の芯金部とシリコーンゴム等からなるゴム層を有する。
保持部材105は不図示の加圧手段によってステイ部材104を介して加圧ローラ102側に付勢されている。すなわち、加熱ユニット101が加圧ローラ102側に付勢されており、加熱ユニット101と加圧ローラ102によって定着ニップが形成されている。加圧ローラ102は不図示の駆動手段によって回転方向R1に回転駆動され、加圧ローラ102の回転に伴いフィルム103が回転方向R2に回転駆動される。加熱ユニット101は、電気接点部品(電力供給用コネクタ)300を有している。電気接点部品300は、保持部材105の接点保持部105Aによって保持された状態で、ヒータ200上に設置される。電気接点部品300を介して供給される電力でヒータ200が発熱し、ヒータ200の熱を利用して記録材Pに形成されたトナー画像が加熱される。電気接点部品300の詳細については後述する。
【0013】
<ヒータ>
本実施例に係るヒータ200について
図3を用いて説明する。
図3(A)はヒータ200の短手方向(記録材Pの搬送方向)の断面図である。ヒータ200はセラミック製の細長い基板201を有し、基板201上の通電層210には発熱体202A、202Bが設けられている。通電層210には第1導電体203と第2導電体204がヒータ200の長手方向に沿って設けられている。第1導電体203は、第1導電体203から分岐した第1導電体203A、203Bを有している。第1導電体203A、203Bは、記録材
Pの搬送方向の上流側と下流側にそれぞれ配置されている。第2導電体204は発熱体202Aと202Bとの間に配置されている。ヒータ200の短手方向において、第1導電体203A、203Bが、発熱体202A、202B及び第2導電体204を挟むようにして配置されている。
図3(A)の配置例では、記録材Pの搬送方向の上流側から下流側に向かって、第1導電体203A、発熱体202A、第2導電体204、発熱体202B及び第1導電体203Bの順に配置されている。またヒータ200の裏面には発熱体202A、202Bや第1導電体203A、203B、第2導電体204を覆う絶縁性の保護層206が設けられている。ヒータ200がフィルム103と摺動する摺動面側には、摺動性の良好なガラスやポリイミド等を用いたコーティングによる摺動層207が設けられている。
【0014】
図3(B)及び(C)はヒータ200の平面図である。
図3(C)においては保護層206を透過して示している。ヒータ200は、基板201に設けられた複数の発熱ブロック202を有する。複数の発熱ブロック202は、ヒータ200の長手方向において並んで配置されている。本実施例のヒータ200は、5つの発熱ブロック202-1~202-5を有する。5つの発熱ブロック202-1~202-5は、互いに独立制御可能になっている。発熱ブロック202-1(第1発熱ブロック)は、ヒータ200の短手方向に対称に形成された発熱体202A-1及び202B-1を有する。同様に発熱ブロック202-2(第2発熱ブロック)は発熱体202A-2及び202B-2を有し、発熱ブロック202-3(第3発熱ブロック)は発熱体202A-3及び202B-3を有する。また、発熱ブロック202-4(第4発熱ブロック)は発熱体202A-4及び202B-4を有し、発熱ブロック202-5(第5発熱ブロック)は発熱体202A-5及び202B-5を有する。本実施例において、発熱ブロック202-1~202-5を総称して、発熱ブロック202と表記する場合がある。また、発熱ブロック202-1~202-5のうちの少なくとも一つを、発熱ブロック202と表記する場合がある。
【0015】
第1導電体203は、ヒータ200の長手方向に沿って設けられている。第1導電体203は、発熱体202A-1~202A-5に接続された第1導電体203Aと、発熱体202B-1~202B-5に接続された第1導電体203Bとで構成されている。第2導電体204は、発熱ブロック202-1~202-5にそれぞれ接続された第2導電体204-1~204-5を有する。第2導電体204-1~204-5は互いに離間して配置されている。従って、第2導電体204は、第2導電体204-1~204-5に分割されている。
【0016】
ヒータ200は、基板201に設けられており、発熱ブロック202-1~202-5のそれぞれと電気的に接続された電極205-1~205-5を有する。また、ヒータ200は、基板201に設けられた電極205C1、205C2を有する。電極205C1、205C2、205-1~205-5は、保護層206に設けられた複数の開口部208から露出している。保護層206の複数の開口部208から第1導電体203及び第2導電体204-1~204-5のそれぞれの一部が露出することで、ヒータ200に電極205C1、205C2、205-1~205-5が形成されている。電極205C1、205C2は、第1導電体203の一部である。電極205-1~205-5は、第2導電体204-1~204-5のそれぞれの一部である。電極205-1は、発熱ブロック202-1に電力を供給するための電極である。同様に、電極205-2は、発熱ブロック202-2に電力を供給するための電極であり、電極205-3は、発熱ブロック202-3に電力を供給するための電極である。電極205-4は、発熱ブロック202-4に電力を供給するための電極であり、電極205-5は、発熱ブロック202-5に電力を供給するための電極である。電極205C1及び205C2は、第1導電体203A、203Bを介して発熱ブロック202-1~202-5に電力を供給するための共通の電極である。本実施例において、電極205-1~205-5を総称して、電極205と表
記する場合がある。また、電極205-1~205-5のうちの少なくとも一つを、電極205と表記する場合がある。
【0017】
電極205-1~205-5が互いに離間して配置されているため、発熱ブロック202-1~202-5のうちの少なくとも一つに供給される電力と、他の発熱ブロック202に供給される電力とを独立して制御することができる。発熱ブロック202-1~202-5への電力供給比率をそれぞれ独立に設定することにより、記録材Pのサイズに適した発熱分布を形成し、記録材Pが通過しない非通紙領域の昇温(端部昇温)を抑制することができる。ヒータ200は、任意の発熱ブロック202に選択的に電力を供給することができるため、記録材Pのサイズに合わせて各発熱ブロックの発熱を制御する使い方以外にも、画像情報に応じて各発熱ブロックの発熱を制御する(記録材P上の画像があるエリアだけ加熱する)という使い方もできる。
【0018】
<電気接点部品(給電構成)>
ヒータ200の電極205に接続し、電極205に電力を供給するための電気接点部品300について
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、本実施例に係る電気接点部品300の斜視図である。電気接点部品300は板状の金属を折り曲げて加工されたプレス部品であり、ベース部(支持部)310と、接触部(端子部)311A、311Bを有する。ベース部310は、互いに直接接続されていない第1ベース部304Aと第2ベース部304Bを有している。第1ベース部304Aは、接触部311Aを支持し、第2ベース部304Bは、接触部311Bを支持する。第1ベース部304A及び第2ベース部304Bの形は、板状である。接触部311Aは、腕部301A及び接点ベース303Aから構成されている。第1ベース部304Aから腕部301Aが伸びており、腕部301Aの先端に接点ベース303Aが設けられている。接点ベース303Aの中央部分に電気接点部302Aが形成されている。接触部311Bは、腕部301B及び接点ベース303Bから構成されている。第2ベース部304Bから腕部301Bが伸びており、腕部301Bの先端に接点ベース303Bが設けられている。接点ベース303Bの中央部分に電気接点部302Bが形成されている。電気接点部302A、302Bは電極205に接触する部分である。
【0019】
第1ベース部304Aによって支持された接触部311Aは、第2ベース部304Bに近づく方向に伸びている。第2ベース部304Bによって支持された接触部311Bは、第1ベース部304Aに近づく方向に伸びている。ヒータ200に電気接点部品300を押し付けた場合、腕部301A及び腕部301Bが弾性変形する。腕部301Aが弾性変形するときの腕部301Aの弾性力により、接点ベース303Aが電極205に押圧される。これにより、電極205に対して電気接点部302Aが所定の荷重で押圧され、電気接点部302Aと電極205との間で電気接点が形成される。また、腕部301Bが弾性変形するときの腕部301Bの弾性力により、接触部311Bの接点ベース303Bが電極205に押圧される。これにより、電極205に対して電気接点部302Bが所定の荷重で押圧され、電気接点部302Bと電極205との間で電気接点が形成される。このように、接触部311A及び311Bから電極205に対して付勢力が加えられた状態で接触部311A及び311Bが電極205に接触し電極205と電気的に繋がる。
【0020】
電気接点部302A、302Bは、それぞれ接点ベース303A、303Bに絞り加工を施して形成されたR形状である。電極205に対してR形状の頂点で点接触するように電気接点部品300は設計されている。所定の荷重で電気接点部302A、302Bが電極205に押圧されて点接触部が微小につぶれることにより、良好な接触抵抗が得られる。また、電気接点部品300は、ベース部310と、固定部309と、ベース部310及び固定部309に接続された弾性部308と、固定部309に設けられたかしめ部305とを有する。弾性部308は、ベース部310を介して接触部311A、311Bに接続
されている。弾性部308は、接触部311Aと固定部309との間に設けられている。かしめ部305にて電線306がかしめられ、電気接点部品300は電線306を介して電源と電気的に接続される。固定部309は、平板部312と、平板部312に設けられた位置決め部307とを有する。後述するが、位置決め部307を、保持部材105に設けた位置決めボス105Bに挿入する電気接点部品300は、固定部309で保持部材105に固定される。
【0021】
次に
図5を用いて電気接点部品300の弾性部308について説明する。
図5(A)は電気接点部品300の斜視図であり、
図5(B)は弾性部308の拡大図である。
図5に示す座標系のX軸は記録材Pの搬送方向と平行な軸、Y軸はヒータ200の長手方向と平行な軸、Z軸は電極205の上面に対して垂直な軸である。電極205の上面は、記録材Pの搬送方向と平行な面であり、電極205における電気接点部302A、302Bとの接触面である。弾性部308は、板バネであり、U字状の屈曲部を有する。U字状の屈曲部の一端部がベース部310に接続され、U字状の屈曲部の他端部が固定部309に接続されている。U字状の屈曲部は、X方向(例えば、記録材Pの搬送方向)、Y方向(例えば、記録材Pの搬送方向と直交する方向であって電極205の上面と平行な方向)及びZ方向(例えば、電極205の上面の垂直方向)に変位可能である。U字状の屈曲部は、変位部308-1及び308-2を有する。変位部308-1及び308-2は、シート形状であり、XZ平面と略平行な面に延在している。変位部308-1の各面のうちの最大面積を有する面が、XZ平面と略平行である。変位部308-1における点308Aと点308Bとを結ぶ線、及び、変位部308-2における点308Cと点308Dとを結ぶ線が、X方向に向かって延伸している。このように、弾性部308におけるU字状の屈曲部は、X方向に向かって延伸する変位部308-1及び308-2を有する。変位部308-2及び308-2は、固定部309と電極205の相対位置の変化に伴って変位可能である。
【0022】
固定部309と電極205の相対位置が、Y方向に広がる方向にヒータ200や固定部309が移動する場合、変位部308-1及び308-2が、Y方向であってベース部310から離れる方向に変位する。固定部309と電極205の相対位置が、Y方向に近づく方向にヒータ200や固定部309が移動する場合、変位部308-1及び308-3が、Y方向であってベース部310に近づく方向に変位する。
【0023】
固定部309と電極205の相対位置が、Z方向に広がる方向にヒータ200や固定部309が移動する場合、変位部308-1及び308-2が、Z方向であってヒータ200から離れる方向に変位する。固定部309と電極205の相対位置が、Z方向に近づく方向に移動する場合、変位部308-1及び308-2が、Z方向であってヒータ200に近づく方向に変位する。
【0024】
変位部308-1の両端部がX方向を向いており、かつ、変位部308-1の一端部がベース部310に接続され、変位部308-1の他端部が変位部308-2に接続されている。変位部308-1は、Y方向及びZ方向に変位可能であり、変位部308-1の最大変位方向がY方向である。すなわち、変位部308-1は、Z方向よりもY方向に変位し易い。変位部308-2の両端部がX方向を向いており、かつ、変位部308-2の一端部が変位部308-1に接続され、変位部308-2の他端部が固定部309に接続されている。変位部308-2は、Y方向及びZ方向に変位可能であり、変位部308-2の最大変位方向がY方向である。すなわち、変位部308-2は、Z方向よりもY方向に変位し易い。
【0025】
図6は、ヒータ200の長手方向に沿った電気接点部品300の部分断面図である。
図6には、5つの電極205のうちの一つの電極205に電気的に接続された電気接点部品
300の保持構成が示されている。
図6におけるX軸、Y軸及びZ軸は
図5におけるX軸、Y軸及びZ軸と同一である。接触部311A、弾性部308及び固定部309が、記録材Pの搬送方向(ヒータ200の短手方向)と直交する方向であって電極205の上面と平行な方向に並んで配置されている。平板部312に設けられた位置決め部307と保持部材105の位置決めボス105Bとが嵌合することにより、電気接点部品300が、保持部材105により保持される。位置決めボス105Bから位置決め部307が抜けるのを防止するために、プッシュナット106が位置決めボス105Bに取り付けられている。位置決め部307の位置を固定することにより、組立時に電線306を介して電気接点部品300に加わるY方向の力が電気接点部302Aや302Bの位置の変動に影響することが抑止される。
第1ベース部304A及び第2ベース部304Bは、保持部材105の接点保持部105Aに当接している。第1ベース部304A及び第2ベース部304Bが接点保持部105Aに当接していない場合、腕部301Aと301Bとで発生している電極205への押圧力により、第1ベース部304A及び第2ベース部304Bがヒータ200から離れる方向に動く。第1ベース部304A及び第2ベース部304Bが接点保持部105Aに当接することにより、第1ベース部304A及び第2ベース部304Bがヒータ200から離れる方向に動くことが抑止される。なお、ヒータ200と保持部材105は不図示の加圧手段によって密着している。
【0026】
<弾性部>
図6を用いてヒータ200に電力が投入された際の弾性部308の変位について説明する。ヒータ200が発熱することにより、ヒータ200はY方向に膨張し、電極205の位置が瞬時にY方向に変位する。一方で保持部材105に対する熱の伝わり始めにおいては、保持部材105はすぐには膨張しないため、位置決めボス105Bの位置はほとんど変化しない。従って、ヒータ200の熱膨張により、位置決めボス105Bに対して電極205がY方向に相対的に変位する。ところで、位置決め部307と位置決めボス105Bとが嵌合することにより、電気接点部品300が保持部材105により保持されている一方で、弾性部308は弾性変形可能である。位置決めボス105Bと電極205の位置関係が相対的に変化しても、弾性部308がY方向に弾性変形することにより、電気接点部302A及び302Bの位置が電極205の変位に追従する。従って、電気接点部302A及び302Bと電極205の位置関係が相対的に変化するのを抑えられる。つまり、電気接点部302A及び302Bと電極205が同時にY方向に移動し、互いの摺動を抑えられる。この動作は、ヒータ200の収縮時やヒータ200の温調温度を変化させた時においても同様である。
【0027】
次に電線306の姿勢変化に対する弾性部308の変位について説明する。電源までの電線306の引き回し処理の際に、電線306が位置決め部307の近傍を支点として
図6中の矢印W1やW2方向に傾いた状態で、電気接点部品300がヒータ200に配置される可能性がある。さらに画像形成装置1の動作中に電線306の姿勢が変化する可能性がある。例えば電線306が矢印W1方向に傾いた場合、固定部309が矢印W1方向に傾く。固定部309が矢印W1方向に傾くことにより、腕部301A、301Bの撓み量が変化する場合がある。腕部301A、301Bの撓み量が変化すると、電気接点部302A、302BがY方向に変位する。従って、腕部301の撓み量が変化することにより、電極205と電気接点部302A、302Bとの位置関係が相対的に変化し、電極205と電気接点部302の摩耗が発生する。本実施例では、弾性部308はY方向だけでなくZ方向にも変位可能であり、弾性部308がZ方向に縮むことにより、固定部309の矢印W1方向の傾きを吸収することができる。矢印W1方向における電線306の姿勢変化を弾性部308が吸収することにより腕部301A、301Bの撓み量は変化せず、電極205と電気接点部302A、302Bとの摺動を抑止することができる。本実施例によれば、ヒータ200の電極205と電気接点部品300の接触部311A、311Bと
の摺動を抑止することができる。
【0028】
上述したように、ヒータ200の熱膨張や電線306の姿勢変化により、固定部309と電極205の相対位置が変化する。ここで、固定部309と電極205の相対位置の変化に伴う弾性部308の移動について説明する。弾性部308は、X方向に延伸する変位部308-1を有する第1板部381及びX方向に延伸する変位部308-2を有する第2板部382を備える。変位部308-1は、第1部分の一例である。変位部308-2は、第2部分の一例である。第1板部381の第1端部が、ベース部310を介して接触部311A、311Bに接続されている。第2板部382の第1端部が、固定部309に接続されている。第1板部381の第2端部及び第2板部382の第2端部同士が接続されている。変位部308-1及び308-2が、X方向に見た時に、Z方向に沿って平行に並んで配置されている。また、変位部308-1及び308-2が、Y方向に見た時に、Z方向に沿って平行に並んで配置されている。固定部309と電極205の相対位置の変化に伴って、変位部308-1が、Y方向及びZ方向の少なくとも一方に向かって移動する。固定部309と電極205の相対位置の変化に伴って、変位部308-2が、Y方向及びZ方向の少なくとも一方に向かって移動する。
【0029】
なお、Y方向とZ方向に弾性変形可能な弾性部308を、本実施例で示したようなXZ平面に略平行な面に延在する形状で構成することで、ヒータ200の長手方向における電気接点部品300のサイズを小型化できる。ヒータ200の長手方向における電気接点部品300の長さが長いと、電気接点部品300をヒータ200の長手方向の領域内で密に配置することができずヒータ200の発熱体の分割数が制限される。電気接点部品300のヒータ200の長手方向のサイズを小さくすることにより、ヒータ200の発熱体の分割数を増やすことができる。
【0030】
以上説明したように、弾性部308がY方向に弾性変形することにより、ヒータ200の熱膨張及び収縮時における電極205と電気接点部302A、302Bの摺動を抑止できる。また、電線306の姿勢が変化しても弾性部308がZ方向に弾性変形することにより、電極205と電気接点部302A、302Bの摺動を抑止できる。すなわち本実施例によれば、ヒータ200の電極205や電気接点部品300の電気接点部302A、302Bの摺動による摩耗を抑止でき、耐久性と信頼性の高い画像形成装置1、定着装置100及び電気接点部品300を提供することができる。
【0031】
〈実施例2〉
次に本発明の第2の実施例について説明する。実施例1と同一の構成要素には実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本実施例に係る電気接点部品(電力供給用コネクタ)600の斜視図である。電気接点部品600は電気接点部品本体400と弾性部材500とに分かれており、
図7は、電気接点部品本体400と弾性部材500が接続されていない状態の電気接点部品600を示している。実施例1の電気接点部品300と同様に、電気接点部品600は、保持部材105の接点保持部105Aによって保持された状態で、ヒータ200上に設置される。
【0032】
電気接点部品本体400は板状の金属を折り曲げて加工されたプレス部品であり、ベース部(支持部)410と、接触部(端子部)411A、411Bを有する。ベース部410は、互いに直接接続されていない第1ベース部404Aと第2ベース部404Bを有している。第1ベース部404Aは、接触部411Aを支持し、第2ベース部404Bは、接触部411Bを支持する。第1ベース部404A及び第2ベース部404Bの形は、板状である。接触部411Aは、腕部401A及び接点ベース403Aから構成されている。第1ベース部404Aから腕部401Aが伸びており、腕部401Aの先端に接点ベー
ス403Aが設けられている。接点ベース403Aの中央部分に電気接点部402Aが形成されている。接触部411Bは、腕部401B及び接点ベース403Bから構成されている。第2ベース部404Bから腕部401Bが伸びており、腕部401Bの先端に接点ベース403Bが設けられている。接点ベース403Bの中央部分に電気接点部402Bが形成されている。電気接点部402A、402Bは電極205に接触する部分である。
【0033】
第1ベース部404Aによって支持された接触部411Aは、第2ベース部404Bに近づく方向に伸びている。第2ベース部404Bによって支持された接触部411Bは、第1ベース部404Aに近づく方向に伸びている。ヒータ200に電気接点部品本体400を押し付けた場合、腕部401A及び腕部401Bが弾性変形する。腕部401Aが弾性変形するときの腕部401Aの弾性力により、接点ベース403Aが電極205に押圧される。これにより、電極205に対して電気接点部402Aが所定の荷重で押圧され、電気接点部402Aと電極205との間で電気接点が形成される。また、腕部401Bが弾性変形するときの腕部401Bの弾性力により、接触部411Bの接点ベース403Bが電極205に押圧される。これにより、電極205に対して電気接点部402Bが所定の荷重で押圧され、電気接点部402Bと電極205との間で電気接点が形成される。このように、接触部411A及び411Bから電極205に対して付勢力が加えられた状態で接触部411A及び411Bが電極205に接触し電極205と電気的に繋がる。電気接点部402A、402Bは、それぞれ接点ベース403A、403Bに絞り加工を施して形成されたR形状である。電極205に対してR形状の頂点で点接触するように電気接点部品600は設計されている。所定の荷重で電気接点部402A、402Bが電極205に押圧されて点接触部が微小につぶれることにより、良好な接触抵抗が得られる。
【0034】
また、電気接点部品本体400は、ベース部410に接続された接合部405を有する。第1ベース部404Aから接合部405が伸びている。接合部405は、腕部401Aが伸びている方向の反対方向に向かって伸びている。弾性部材500は、固定部509と、固定部509に接続された弾性部508と、固定部509に設けられたかしめ部505とを有する。弾性部508は弾性変形可能である。弾性部508の先端に接合部501が設けられている。電気接点部品本体400の接合部405と弾性部材500の接合部501とを溶接接合することにより、電気接点部品本体400と弾性部材500とが接続される。また、電気接点部品本体400の接合部405と弾性部材500の接合部501とを締結合することにより、電気接点部品本体400と弾性部材500とを接続してもよい。電気接点部品本体400と弾性部材500とが接続された状態において、弾性部508が、接触部411Aと固定部509との間に設けられている。電気接点部品本体400と弾性部材500とが接続された状態において、弾性部508は、ベース部410を介して接触部411A、411Bに接続されている。かしめ部505にて電線506がかしめられ、電気接点部品600は電線506を介して電源と電気的に接続される。固定部509は、平板部512と、平板部512に設けられた位置決め部507とを有する。位置決め部507を、保持部材105に設けた位置決めボス505Bに挿入する電気接点部品600は、固定部509で保持部材105に固定される。平板部512に設けられた位置決め部507と保持部材105の位置決めボス105Bとが嵌合することにより、電気接点部品600が、保持部材105により保持される。実施例1と同様に、位置決めボス105Bから位置決め部507が抜けるのを防止するために、プッシュナット106が位置決めボス105Bに取り付けられてもよい。
【0035】
次に
図8を用いて電気接点部品600の弾性部508について説明する。
図8(A)は電気接点部品本体400と弾性部材500が接続された場合の電気接点部品600の斜視図であり、
図8(B)は弾性部508の拡大図である。
図8に示す座標系のX軸は記録材Pの搬送方向と平行な軸、Y軸はヒータ200の長手方向と平行な軸、Z軸は電極205の上面に対して垂直な軸である。電極205の上面は、記録材Pの搬送方向と平行な面で
あり、電極205における電気接点部402A、402Bとの接触面である。電気接点部品600がヒータ200上に設置された場合、接触部411A、弾性部508及び固定部509が、記録材Pの搬送方向(ヒータ200の短手方向)と直交する方向であって電極205の上面と平行な方向に並んで配置される。弾性部508は、板バネであり、L字状の複数の屈曲部及びU字状の屈曲部を有する。L字状の第1屈曲部の一端部がベース部410に接続され、L字状の第1屈曲部の他端部がU字状の屈曲部に接続されている。U字状の屈曲部の一端部がL字状の第1屈曲部に接続され、U字状の屈曲部の他端部がL字状の第2屈曲部に接続されている。L字状の第2屈曲部の一端部がU字状の屈曲部に接続され、L字状の第2屈曲部の他端部が固定部509に接続されている。L字状の第1屈曲部は、変位部508-1及び508-2を有する。U字状の屈曲部は、変位部508-3、508-4及び508-5を有する。L字状の第2屈曲部は、変位部508-6及び508-7を有する。変位部508-1~508-7は、固定部509と電極205の相対位置の変化に伴って変位可能である。
【0036】
変位部508-1、508-3、508-4、508-5及び508-7は、シート形状であり、YZ平面と略平行な面に延在している。例えば、変位部508-1の各面のうちの最大面積を有する面が、YZ平面と略平行である。変位部508-2及び508-6は、シート形状であり、XZ平面と略平行な面に延在している。例えば、変位部508-2の各面のうちの最大面積を有する面が、XZ平面と略平行である。変位部508-1における点508Aと点508Bとを結ぶ線、及び、変位部508-3における点508Eと点508Fとを結ぶ線が、Y方向に向かって延伸している。また、変位部508-5における点508Gと点508Hとを結ぶ線、及び、変位部508-7における点508Kと点508Lとを結ぶ線が、Y方向に向かって延伸している。変位部508-2における点508Cと点508Dとを結ぶ線、及び、変位部508-6における点508Iと点508Jとを結ぶ線が、X方向に向かって延伸している。変位部508-4における点508Fと点508Gとを結ぶ線がZ方向に向かって延伸している。弾性部508におけるL字状の第1屈曲部は、Y方向に向かって延伸する変位部508-1と、X方向に向かって延伸する変位部508-2を有する。弾性部508におけるU字状の屈曲部は、Y方向に向かって延伸する変位部508-3及び508-5と、X方向に向かって延伸する変位部508-4を有する。弾性部508におけるL字状の第2屈曲部は、X方向に向かって延伸する変位部508-6及びY方向に向かって延伸する変位部508-7を有する。
【0037】
変位部508-1の両端部がY方向を向いており、かつ、変位部508-1の一端部がベース部410に接続され、変位部508-1の他端部が変位部508-2に接続されている。変位部508-1は、X方向及びZ方向に変位可能であり、変位部508-1の最大変位方向がX方向である。すなわち、変位部508-1は、Z方向よりもX方向に変位し易い。変位部508-2の両端部がX方向を向いており、かつ、変位部508-2の一端部が変位部508-1に接続され、変位部508-2の他端部が変位部508-3に接続されている。変位部508-2は、Y方向及びZ方向に変位可能であり、変位部508-2の最大変位方向がY方向である。すなわち、変位部508-2は、Z方向よりもY方向に変位し易い。変位部508-3、508-5及び508-7は、変位部508-1と同様に、X方向及びZ方向に変位可能であり、変位部508-3、508-5及び508-7のそれぞれの最大変位方向がX方向である。すなわち、変位部508-3、508-5及び508-7は、Z方向よりもX方向に変位し易い。変位部508-4の両端部がZ方向を向いており、かつ、変位部508-4の一端部が変位部508-3に接続され、変位部508-4の他端部が変位部508-5に接続されている。変位部508-4は、X方向及びY方向に変位可能であり、変位部508-4の最大変位方向がX方向である。すなわち、変位部508-4は、Y方向よりもX方向に変位し易い。変位部508-6は、変位部508-2と同様に、Y方向及びZ方向に変位可能であり、変位部508-5の最大変位方向がY方向である。すなわち、変位部508-5は、Z方向よりもY方向に変位
し易い。
【0038】
変位部508-7が、XZ平面と略平行な面に延在し、変位部508-7がZ方向に向かって延伸してもよい。例えば、変位部508-7の両端部がZ方向を向いており、かつ、変位部508-7の一端部が変位部508-6に接続され、変位部508-7の他端部が固定部509に接続されてもよい。この場合、変位部508-7は、X方向及びY方向に変位可能であり、変位部508-7の最大変位方向がY方向である。すなわち、変位部508-7は、X方向よりもY方向に変位し易い。変位部508-7が、XY平面と略平行な面に延在し、変位部508-7がY方向に向かって延伸してもよい。例えば、変位部508-7の両端部がY方向を向いており、かつ、変位部508-7の一端部が変位部508-6に接続され、変位部508-7の他端部が固定部509に接続されてもよい。この場合、変位部508-7は、X方向及びZ方向に変位可能であり、変位部508-7の最大変位方向がZ方向である。すなわち、変位部508-7は、X方向よりもZ方向に変位し易い。変位部508-2が、XY平面と略平行な面に延在し、変位部508-2がX方向に向かって延伸してもよい。例えば、変位部508-2の両端部がX方向を向いており、かつ、変位部508-2の一端部が変位部508-1に接続され、変位部508-2の他端部が変位部508-3に接続されてもよい。この場合、変位部508-2は、Y方向及びZ方向に変位可能であり、変位部508-3の最大変位方向がZ方向である。すなわち、変位部508-3は、Y方向よりもZ方向に変位し易い。
【0039】
上述したように、ヒータ200の熱膨張や電線506の姿勢変化により、固定部509と電極205の相対位置が変化する。ここで、固定部509と電極205の相対位置の変化に伴う弾性部508の移動について説明する。弾性部508は、X方向に延伸する変位部508-2を有する第1板部581及びX方向に延伸する変位部508-6を有する第2板部582を備える。変位部508-2は、第1部分の一例である。変位部508-6は、第2部分の一例である。第1板部581の第1端部が、ベース部410を介して接触部411A、411Bに接続されている。第2板部582の第1端部が、固定部509に接続されている。第1板部581の第2端部及び第2板部582の第2端部同士が接続されている。変位部508-2及び508-6が、X方向に見たときに、Z方向に沿って平行に並んで配置されている。変位部508-2及び508-6が、Y方向から見たときに、Z方向に沿って平行に並んで配置されている。第1板部581は、Y方向に延伸する変位部508-1及び508-3を有する。変位部508-1及び508-3は、第3部分の一例である。第2板部582は、Y方向に延伸する変位部508-5及び508-7を有する。変位部508-5及び508-7は、第4部分の一例である。固定部509と電極205の相対位置の変化に伴って、変位部508-2が、Y方向及びZ方向の少なくとも一方に向かって移動する。固定部509と電極205の相対位置の変化に伴って、変位部508-6が、Y方向及びZ方向の少なくとも一方に向かって移動する。固定部509と電極205の相対位置の変化に伴って、変位部508-1及び508-3の少なくとも一方が、X方向及びZ方向の少なくとも一方に向かって移動する。固定部509と電極205の相対位置の変化に伴って、変位部508-5及び508-7の少なくとも一方が、X方向及びZ方向の少なくとも一方に向かって移動する。弾性部508に変位部508-1を設けずに、第1板部581の変位部508-2がベース部410を介して接触部411A、411Bに接続されてもよい。弾性部508に変位部508-7を設けずに、第2板部582の変位部508-6が固定部509に接続されてもよい。また、弾性部508に変位部508-3、508-4及び508-5を設けずに、変位部508-2の端部及び変位部508-6の端部同士を接続してもよい。
【0040】
実施例の弾性部308と比較して、弾性部508はZ方向への変位が可能な部分が多いため、固定部509のZ方向の変位をより吸収できる。また、弾性部508は、U字状の屈曲部を有すると共に、L字状の第1屈曲部及びL字状の第2屈曲部を有するため、弾性
部508の長さが、実施例1の弾性部308の長さよりも長い。その結果、実施例1の弾性部308と比較して、弾性部508は、同じスペースにおけるY方向への変位量が大きくなる。従って、弾性部508はY方向におけるヒータ200の熱膨張をより大きく吸収することができる。すなわち、弾性部508はY方向におけるヒータ200の熱膨張に対してより追従することができる。
【0041】
電気接点部品本体400と弾性部材500が一体となっている場合、弾性部508のような複雑な腕部の組合せ形状を加工することは困難である。本実施例のように、電気接点部品本体400と弾性部材500とを分離して加工することにより、弾性部508の加工が容易になる。以上説明したように、電気接点部品600を電気接点部品本体400と弾性部材500とに分離し、弾性部508の変位部を増加することにより、より弱い力でY方向及びZ方向に弾性部508を弾性変形することができる。従って、ヒータ200の熱膨張に対する電気接点部品600の電極205への追従性を向上することができる。また、電線506の姿勢の変化の吸収性を向上することができ、耐久性と信頼性がより高いヒータ給電構成及び定着装置を提供することができる。
実施例1及び2では、電極と接触部が接触部の弾性を利用して接触していた。その他に、接触部が電極と接合された構成に本発明を適用してもよい。例えば、実施例1において、電気接点部302A及び302Bが半田によって電極205に接合されてもよい。また、例えば、実施例2において、電気接点部402A及び402Bが半田によって電極205に接合されてもよい。このように、接触部311A)及び311Bが電極205に接合される構成の電気接点部品や、接触部411A及び411Bが電極205に接合される構成の電気接点部品に、実施例1や2に示したような弾性部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100…定着装置、105…保持部材、200…ヒータ、202A、202B…発熱体、205…電極、300、600…電気接点部品、308、508…弾性部、309、509…固定部、311A、311B…接触部