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特許7459332生物学的組織を採取する方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】生物学的組織を採取する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/02 300D
A61B10/02 300Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016635
(22)【出願日】2023-02-07
(62)【分割の表示】P 2021037149の分割
【原出願日】2016-04-21
(65)【公開番号】P2023055911
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】62/151,209
(32)【優先日】2015-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/958,322
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/957,846
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/958,305
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514106214
【氏名又は名称】メドライン インダストリーズ エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ギレス マーヴィン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラボンバード デニス
(72)【発明者】
【氏名】シドティ チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン フィル
(72)【発明者】
【氏名】スウィスト トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サビール サメール
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526300(JP,A)
【文献】国際公開第2014/026044(WO,A1)
【文献】特開2000-139929(JP,A)
【文献】特表2005-517463(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014773(WO,A1)
【文献】特表2007-511300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00-10/06
17/00-17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的組織を得るためのデバイスであって、
複数の中空管の第1の列と、
前記中空管の第1の列に隣接する、複数の中空管の第2の列と、
前記中空管の第2の列に隣接する、複数の中空管の第3の列と
を備える中空管の2次元配列
備え、
各中空管は、前記中空管の遠位端に少なくとも1つの尖端を含
前記少なくとも1つの管の内径は約1mm未満であり、前記中空管の各々の前記遠位端は、生物学的組織のドナー部位に挿入されて、前記中空管の各々が前記ドナー部位から引き抜かれるときに、組織のポーションをそこから摘出するように構成されており、
前記デバイスは、前記第1、第2および第3の列の各々を個々に作動させて、それぞれの列の前記中空管を前記生物学的組織のドナー部位に挿入するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記配列が円をなしている、請求項に記載のデバイス。
【請求項3】
前記円の領域が約1平方インチを占める、請求項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ドナー部位が約1平方インチの領域を占めるか、または前記ドナー部位から引き抜かれる前記組織は約0.1平方インチを占める、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記中空管の配列が約300本の中空管を含んでいる、請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
複数のピンを備え、前記ピンの各々が前記中空管の各々の中心管腔の内部に設けられている、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記中空管の配列における前記中空管の各々の前記生物学的組織のドナー部位への挿入深さを制限するストッパを備える、請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
ソレノイドを備え、前記ソレノイドは、前記中空管の配列を作動させて前記中空管の配列を前記生物学的組織のドナー部位に挿入する、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
ばねを備え、前記ばねは、前記中空管の配列を作動させて前記中空管の配列を前記生物学的組織のドナー部位に挿入する、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
第1のソレノイドを備え、前記第1のソレノイドは前記中空管の第1の列を作動させる、請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
第2のソレノイドを備え、前記第2のソレノイドは前記第1のソレノイドとは反対方向に作動する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
力センサを備え、前記力センサは前記デバイスが前記生物学的組織のドナー部位に印加される力を検知する、請求項に記載のデバイス。
【請求項13】
各中空管が前記中空管の前記遠位端にある2つの尖端、および前記2つの尖端の間に位置付けされた狭いヒール部を含んでおり、前記狭いヒール部には、前記中空管の内径の約10%未満が占められている、請求項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記中空管が約0.8mm未満の内径を有している、請求項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記中空管の2次元配列の周りに配置され、前記生物学的組織のドナー部位を安定させるように構成されているハウジングをさらに備えている、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する装置および方法の実施形態は、一般的に、組織を採取して載せるデバイスに関する。
【0002】
相互参照
本出願は、2015年4月22日に出願された、MULTIPLE-POINT CORING NEEDLE WITH NARROW HEELSという名称の米国仮出願第62/151,209号、2015年12月3日に出願された、TWO DIMENSIONAL NEEDLE ARRAY DEVICE AND METHOD OF USEという名称の米国特許出願第14/958,322号、2015年12月3日に出願された、METHOD AND SYSTEM FOR HARVESTING BIOLOGICAL TISSUEという名称の米国実用特許出願第14/957,846号、および2015年12月3日に出願された、METHOD OF HARVESTING TISSUE USING SEQUENTIAL SECTIONS OF A TWO DIMENSIONAL ARRAY OF NEEDLESという名称の米国特許出願第14/958,305号に対する優先権を主張し、それらの全ての内容は参照により本願明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
皮膚もしくは他の組織を身体上の部位から芯取りし、またはそうでなければ取り除くためにニードル、管、カニューレ等を含む中空の器具を用いることができる。この組織は、いくつかの場合においては、1つの部位(例えば、ドナー部位)から他の部位(例えば、被移植者部位)に移植することができる移植片として、様々な目的のために用いることができる。
【0004】
組織の部位に管を挿入するために必要とする力が大きいほど、その部位およびドナー部位自体から取り除かれる組織が損傷する可能性が高い。ドナー部位により小さい力を印加しつつ、組織の完全性または可能性を維持し、そうでなければ組織の除去を容易にすることが望ましい場合、例えば多数の管を組織部位に同時に適用する場合、それらの管を組織部位に挿入するために必要とする力を低減させる管を用いることが有利であり得る。例えばニードルといった従来の中空管は、組織部位への挿入に必要とする力を低減することを様々な手法で試みている。例えば、ニードルは、単一のまたは二重に面取りされた端部を含むことができる。二重に面取りされたニードルは、そのニードルの両側に、2つの鋭い尖端と2つの楕円形のヒール部を含むことができる。代わりに、ゼロ、1つまたはより多くの尖端を有するニードルは、組織を芯取りするために回転させることができ、またはニードルは、低摩擦材料から形成し、または少なくとも部分的に潤滑剤で被覆することができる。しかしながら、これらの既知技術に関連する管は、組織を取り出すために管を挿入するときに皮膚の上により大きな量の力を印加し得る。
【0005】
現在利用可能な皮下注射針を用いての1次元、2次元、または3次元の配列の生成は、個々のニードルの位置付けまたは設置を含む。すなわち、プロセスのうちの配列を形成するいくつかの時点において、個々のニードルを取り扱いかつ位置付けしなければならない。そのような取り扱いおよび位置付けはかなりの労力を必要とし、それは、次には時間的および金銭的なコストが高いことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの態様において、本開示は二重(dual)斜面ニードルに関する。いくつかの実施形態において、二重(dual)斜面ニードルは、近位端、遠位端、第1の側部、および第1の側部とは反対側の第2の側部を有する中空管と、中空管の遠位端にある第1のニードル尖端と、中空管の遠位端にある第2の尖端と、第1の側部および第2の側部の各々の上にあり、管の長手方向軸に対して第1の斜面角度を有する第1の斜面と、第1の側部および第2の側部の各々の上にあり、管の前記長手方向軸に対して第2の斜面角度を有する第2の斜面と、を含むことができ、第1および第2の斜面はそれぞれ楕円のポーションを形成し、楕円は内側刃先を有するとともに管の遠位端における第1および第2のニードル尖端で終端し、第2の斜面角度は第1の斜面角度より浅く、第2の斜面は第1の斜面の前記近位端に隣接して位置付けされ、かつ内側刃先は狭いヒール部に収束する。
【0007】
いくつかの実施形態において、ヒール部は管のセクションを含むことができ、内側刃先の接線は管の軸から-45~-90度である。いくつかの実施形態において、ヒール部は管のセクションを含むことができ、内側刃先の接線は管の軸から+45~+90度である。いくつかの実施形態において、狭い、には、管の内径の約15%未満であるヒール部の幅を含むことができる。いくつかの実施形態において、狭いには、管の内径の約10%未満であるヒール部の幅を含むことができる。いくつかの実施形態において、第3の斜面は、第1および第2の斜面に対して直角方向に設けられることができる。いくつかの実施形態において、第4の斜面は、第3の斜面とは反対側で第1および第2の斜面に対して直角方向に配置することができる。いくつかの実施形態において、第3および第4の斜面は、鋭いニードル尖端をもたらしている。いくつかの実施形態において、鋭いニードル尖端は、単一尖端刃先を有するニードル尖端とすることができる。いくつかの実施形態において、第1の斜面は湾曲している。いくつかの実施形態において、第2の斜面は湾曲することができる。いくつかの実施形態において、ピンを中空管の中心管腔内に設けることができる。いくつかの実施形態において、デバイスは、管の遠位端に第3の尖端を含むことができる。
【0008】
1つの態様において、本開示は、ニードルの列を製造する方法に関する。いくつかの実施形態において、その方法は、シート材料を準備する工程、シート材料にニードル設計を打ち抜き加工する工程であり、ニードル設計が複数のニードルと形成されるキャリアおよびニードルを含み、ニードルが少なくとも1つの狭いヒール部と少なくとも1つのニードル先端を含むことができる工程、打ち抜き加工されたニードル設計を処理する工程、および打ち抜き加工されて処理されたニードル設計を圧延し、少なくとも1つの鋭い先端と少なくとも1つの狭いヒール部とを有するニードルの列を形成する工程であり、ニードルがキャリアに取り付けられたままである工程、を含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、ニードルは2つの先端を含むことができる。いくつかの実施形態において、ニードルは2つのヒール部を含むことができる。いくつかの実施形態において、各ヒール部は狭いヒール部を含むことができる。いくつかの実施形態において、処理する工程は鋭くする工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、鋭くする工程はエッチングを含むことができる。いくつかの実施形態において、鋭くする工程は研削を含むことができる。いくつかの実施形態において、鋭くする工程は電解研磨を含むことができる。いくつかの実施形態において、ニードルは約1mm未満の内径を有することができる。いくつかの実施形態において、ニードルは約0.8mm未満の内径を有することができる。いくつかの実施形態において、材料は鋼を含むことができる。いくつかの実施形態において、材料はプラスチックを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、複数の列のニードルとキャリアによりニードルの配列を形成する工程を含む。いくつかの実施形態において、配列は約300本のニードルを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、ニードルの列からキャリアを取り除く工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、複数の列のニードルを2次元配列のニードルに形成する工程を含む。
【0010】
1つの態様において、本開示は、生物学的組織を採取する方法に関する。いくつかの実施形態において、この方法は、中空管の複数の列であって、各中空管が中空管の遠位端に少なくとも1つの尖端を含んでおり、複数の列が2次元配列の中空管を形成している中空管の複数の列と、複数のピンであって、ピンの各々が中空管の各々の中心管腔の内部に設けられている複数のピンと、を有しているデバイスを準備する工程、生物学的組織の上側表面の近位に2次元配列の中空管を位置付けする工程、デバイスを生物学的組織に固定する工程、ピンの遠位端が生物学的組織の上側表面の近位に位置付けされるように2次元配列の中空管を生物学的組織内に前進させて生物学的組織のポーションを周囲組織から切り離す工程、および生物学的組織が中空管の各々の内部に残るように、2次元配列の中空管とピンを同時に持ち上げる工程、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、固定する工程は、デバイスをストラップで生物学的組織に取り付ける工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、固定する工程は、ストラップ上の基部にデバイスを係止する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、ストラップは1つの基部を含むことができる。いくつかの実施形態において、ストラップは複数の基部を含むことができる。いくつかの実施形態において、固定する工程は、生物学的組織に隣接させて組織安定化ハウジングを位置付けする工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、固定する工程は、デバイスを接着剤で生物学的組織に取り付ける工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、固定する工程は、デバイスをクランプで生物学的組織に取り付ける工程を含む。いくつかの実施形態において、方法は、デバイスによって生物学的組織に印加される力の量を測定する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、最適な量の力が印加されているときにユーザに通知する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、デバイスが生物学的組織に適用される角度を測定する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、ユーザに角度を通知する工程を含むことができる。いくつかの実施形態において、生物学的組織は、皮膚組織と脂肪組織を含むことができる。
【0012】
他の態様において、本開示は、生物学的組織を採取するためのデバイスに関する。いくつかの実施形態において、デバイスは、複数の列の中空管であり、各中空管が中空管の遠位端に少なくとも1つの尖端を含んでおり、複数の列が2次元配列の中空管を形成している複数の列の中空管と、複数のピンであり、ピンの各々が中空管の各々の中心管腔の内部に設けられている複数のピンと、デバイスをドナー部位に固定するための取付デバイスと、デバイスがドナー部位に印加する力を検出するための力センサと、を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、取付デバイスはストラップを含むことができる。いくつかの実施形態において、ストラップは、ストラップにデバイスを受け入れるための基部を含むことができる。いくつかの実施形態において、ストラップは、ストラップに沿った様々な場所においてデバイスをストラップに受け入れるための複数のポートを含むことができる。いくつかの実施形態において、取付デバイスは接着剤またはクランプのうちの1つを含むことができる。いくつかの実施形態において、生物学的組織は、皮膚組織と脂肪組織を含むことができる。いくつかの実施形態において、デバイスは、ドナー部位に適用される角度を測定するためのセンサを含むことができる。いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスが容認できない角度で適用されていることをユーザに通知するための警報を含むことができる。
【0014】
1つの態様において、本開示は、生物学的組織を採取する方法に関する。いくつかの実施形態において、この方法は、中空管の複数の列を有するデバイスを準備する工程であり、各中空管が中空管の遠位端に少なくとも1つの尖端を含んでおり、複数の列が2次元配列の中空管を形成する工程と、生物学的組織の上側表面の近位に2次元配列の中空管を位置付けする工程と、少なくとも1つの中空管を振動させる工程と、少なくとも1つの中空管を振動させている間に、中空管を生物学的組織の内部に前進させて生物学的組織のポーションを周囲組織から切り離す工程と、生物学的組織が中空管の内部に残るように中空管を持ち上げる工程と、を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、中空管の各々は、中空管の遠位端に2つの尖端を含むことができる。いくつかの実施形態において、振動させる工程は、各中空管をストライク板で打つことを含むことができる。いくつかの実施形態において、各中空管は、ストライク板から独立して動くことができる。いくつかの実施形態において、中空管は、ストライク板の共振周波数で振動することができる。いくつかの実施形態において、中空管は、ストライク板の非共振周波数で振動することができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、ストライク板が中空管を打つようにすることができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、ストライク板に物理的に連結することができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、エネルギー的にストライク板に連結することができる。いくつかの実施形態において、生物学的組織は、皮膚組織と脂肪組織を含むことができる。
【0016】
本開示の他の態様は、生物学的組織を採取するためのデバイスに関する。いくつかの実施形態において、デバイスは、中空管の複数の列であり、各中空管は中空管の遠位端に少なくとも1つの尖端を含んでおり、複数の列が中空管の2次元配列を形成している列と、中空管の各々を囲むストライク板と、ストライク板に連結されたアクチュエータと、を含むことができ、アクチュエータはストライク板が中空管を打って振動させるようにする。
【0017】
いくつかの実施形態において、中空管の各々は中空管の遠位端に2つの尖端を含むことができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、ストライク板に物理的に連結することができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、エネルギー的にストライク板に連結することができる。いくつかの実施形態において、トランスデューサは、エネルギー的にアクチュエータをストライク板に連結することができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータはソレノイドとすることができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、電気機械式アクチュエータ、空圧アクチュエータ、流体アクチュエータ、機械アクチュエータ、または磁歪アクチュエータとすることができる。いくつかの実施形態において、各中空管は、ストライク板から独立して動くことができる。いくつかの実施形態において、中空管は、ストライク板の共振周波数で振動することができる。いくつかの実施形態において、中空管は、ストライク板の非共振周波数で振動することができる。いくつかの実施形態において、ストライク板は金属を含むことができる。いくつかの実施形態において、生物学的組織は、皮膚組織と脂肪組織を含むことができる。
【0018】
本開示の様々な目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を参照しつつ以下の図面とともに考慮するときにより十分に理解することができ、それらの図面における類似の参照符号は類似の要素を特定している。以下の図面は例示を目的とするものであって、本発明を限定することを目的としていない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】二重斜面ニードルの側面図である。
図1B】本開示の態様による、二重斜面ニードルの側面図である。
図1C】本開示の態様による、図1Bの二重斜面ニードルを90度回転させた側面図である。
図1D】本開示の態様による、二重斜面ニードルの他の実施形態の側面図である。
図1E】楕円と楕円の方程式を示している。
図2】本開示の実施形態による、ニードル配列の上面図である。
図3】本開示の実施形態による、ニードルを製造するための打ち抜き加工および圧延の技術を説明している。
図4】本開示の実施形態による、ニードルを製造するための打ち抜き加工および圧延の技術を説明している。
図5A】本開示の態様による、ニードルを製造するためのピックアンドプレイスアコーディオン法を描いている。
図5B】本開示の態様による、ピン配列を製造するためのピックアンドプレイスアコーディオン法を描いている。
図6】本開示の態様による、ニードルを製造するためのピックアンドプレイスアコーディオン法の様々な段階におけるニードル配列の写真である。
図7A】本開示の実施形態による、組織安定器を含む移植デバイスとその作動方法を描いている。
図7B】本開示の実施形態による、組織安定器を含む移植デバイスとその作動方法を描いている。
図7C】本開示の実施形態による、組織安定器を含む移植デバイスとその作動方法を描いている。
図7D】本開示の実施形態による、組織安定器を含む移植デバイスとその作動方法を描いている。
図8A】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8B】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8C】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8D】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8E】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8F】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8G】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
図8H】本開示の実施形態による、ニードルの振動する作動のための装置を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、皮膚組織の微小サイズのコラムをドナー部位から抽出するとともに採取した組織を創傷上に載せおよび/または分散させるためのデバイスおよび方法に関する。載せた組織は創傷部位の治癒を助長する。このデバイスは、数百本のニードルを用いることにより、ドナー部位からほぼ1平方インチを採取できる。いくつかの実施形態において、組織を採取するために用いるニードルは、ドナー部位へのより容易な挿入をもたらすために、狭いヒール部を有することができる。いくつかの実施形態において、ニードルは打ち抜きおよび圧延法を用いて製造できるが、他の実施形態において、ニードルはアコーディオン法を用いて製造できる。他の実施形態において、個々のニードルを鋭くし、切断して配列に組み立てることができる。いくつかの実施形態において、全てのニードルをドナー部位に同時に挿入できるが、他の実施形態において、選択されたグループのニードルを順次挿入できる。いくつかの実施形態において、ニードルは、ドナー部位に挿入しおよび/または採取した組織を創傷に挿入する際に振動させることができる。いくつかの実施形態において、ニードルは、ドナー部位に挿入する際に回転させることができる。
【0021】
狭いヒール部を有する複数尖端芯取りニードル
図1Aは、二重斜面ニードル100の側面図である。ニードル100は、円筒または管102とすることができるとともに、1つ以上の尖端、例えば2つの尖端104および106を含むことができるが、それらは斜面108を形成するために管102の長手方向軸に対して両側部において、ある角度でニードルを研削しまたは切断することによって、形成できる。中空管102は、金属または任意の他の構造的に堅固な材料から形成できる。斜面108は、本明細書において、楕円形のヒール部114と称するものを形成している。ヒール部は、ニードルのセクションとして定義され、刃先の接線はニードルの軸から-45~-90度および+45~+90度である。単一斜面ニードルは、斜面を有した1つの側面を有することができる。二重斜面ニードルは、ニードルの一方の側に1つの斜面を、そしてニードルの反対側に第2の斜面を有することができる。ニードルの先端を形成する斜面角度は変化させることができ、他のより大きいまたはより小さい角度を用いることができるが、1つの例におけるその角度は約30度である。例えば、角度は約10~35度の範囲とすることができる。ニードル尖端104および106は、管102の壁の厚さに等しい長さの平らな刃先110、112をそれぞれ有することができる。この実施形態において、ニードルを組織に挿入するときに、ニードル102の尖端104、106が鋭いことにより、鋭い尖端104、106を相対的に低い力で組織に挿入できるが、2つ尖端の近位側のポーションがニードル本体に収束するところに形成されている楕円形のヒール部114は、それらが組織に接触して進入する鈍い角度により、より高い挿入力に帰着し得る。多数のニードルを、例えばニードル配列として組織に同時に当てがう場合、配列を挿入するために必要な力は、配列のニードル数に関連して増加し得るとともに、ユーザが組織部位に配列を挿入することを著しく妨げ、または挿入の際に著しい痛みを生じさせ得る。組織の完全性または生存性を維持することが望ましい場合、ニードルのヒール部を挿入するために必要とする追加の力は、ドナー部位の組織並びに取り出す組織を損傷させ得る。
【0022】
図1Bは、本開示の態様による二重斜面ニードルの側面図である。図1Cは、本開示の態様による、90度回転させた図1Bの二重斜面ニードルの側面図である。このニードルは、ニードルの各側面に2つの斜面を有していて合計4つの斜面をニードル上に有する点において、図1Aに示されているニードルとは異なっている。各側面上に2つの斜面を用いることは、かなり狭いヒール部122に帰着している。より狭いヒール部122は先行技術のニードルより鋭い刃先をもたらすことができ、したがってドナー部位へのニードルの挿入の際により少ない組織の損傷および痛みを生じさせる。本開示の実施形態によると、記載されるニードルの刃先は、ニードルの先端のうちの1つに始まりヒール部122に向かって後方に延び、ヒール部122を通って連続して他の先端に戻る。周囲の組織に対する影響を最も小さくしかつ患者に対する痛みが最も少なくなるようにして組織を採取するために、刃先は鋭くなければならない。本明細書において用いる、鋭いとは、管材料が刃先の全体にわたってできる限り薄い尖端となることを意味する。例えば、先端は、その刃先が単一の尖端または管の壁厚より短い線のいずれかである。更に、本明細書において用いる、狭いとはヒール部の幅を指し、鋭いとは刃先、例えばナイフエッジの鋭さの幅を指す。狭いとは、カニューレまたはニードルの内径のほぼ15%、または10%、またはそれ以下であるヒール部の幅と定義される。本開示は、1つの側面に2つの斜面があってそれぞれのヒール部を生じさせるニードルが示されているが、開示されている狭いヒール部は3つ以上の斜面によって、または湾曲する斜面によって、達成できる。開示されている実施形態は狭いヒール部を達成しているが、ヒール部と先端との間に過大な距離を必要としない。したがって、管の内径を横切る斜面角度は、合理的に可能である限り浅くなければならない。いくつかの実施形態において、合理的に可能とは、ヒール部から先端まで受け入れられる長さを指す。より浅い角度はより狭いヒール部をもたらすが、ヒール部から先端にまた、より長い距離を生じさせる。ニードルの使用目的は、許容できる長さを決定し得る。皮膚の採取については、その距離が約2mm未満に保たれ得る。
【0023】
図1Eに示されている楕円の方程式を参照すると、「狭い」ヒール部を達成するために、本開示はc(中心から楕円の焦点のうちの1つまでの距離、すなわち斜面)を、ニードル先端をあまり長くすることなく合理的に長くするとともに、cに対するaの比率を合理的に可能に1に近づけることを追求している。これは、デバイスが芯取りする際に、ニードルが組織に押し込まれるからである。したがって、組織がヒール部から上に離れるときに、移動方向はナイフと同様なスライス効果を生じさせる。ヒール部の基部に達するときに、刃先は押し付け方向に対して垂直となり、組織を切断するためにより多くの力を必要とする。「狭いヒール部」は、刃先とニードル軸との間の角度を、可能な限り長く(可能な限りヒール部に近付く)45度未満に保つ。これは、スライス効果を可能な限り長く保つ。
【0024】
図1Bおよび図1Cから分かるように、管102の遠位端は、尖端110、112を形成するように形作ることができる。図1Cに示すように、第1の斜面124および第2の斜面120は、管102の遠位端の前側面および後側面に形成されている。第2の斜面120は、ニードルの先端110、112または尖端を形成している。第1の斜面124は、第2の斜面120とともに狭いヒール部122を形成している。
【0025】
続いて図1Cを参照すると、第1の斜面120を形成するために、例えば管102の遠位端に斜面構造を形成するために、管102の遠位端の前側面および後側面は管102の軸に対してある角度でそれぞれ研削しまたは切断できる。例えば、例示的な先端角度は図1Cに示すように約30度であり、管の軸に対する角度αは約15度に相当する。この例の角度αは約15度であるが、角度αは15度より大きくまたは小さくすることができる。例えば、角度αは約10度から約18度にわたるものとすることができる。
【0026】
管102の各側面上の第2の斜面124の角度は、一般に第1の斜面120より浅く、図1Bに示される鋭いヒール部122を形成する。管102の長手方向軸に対する第2の斜面124の角度は、6度とすることができ、かつ図1Bの前側の側面図に示すように、ニードルの各側面上のヒール部122における点に接近するタイトで狭い楕円を生じさせることができる。
【0027】
一実施形態において、第2の斜面124は、管102の遠位端における前側および後側を、管102の軸に対して角度βで研削しまたは切断することにより形成できる。第2の角度βは、ニードル先端のヒール部122における点に接近する狭い楕円を形成するために、第1の角度αより浅くなっている。第2の角度βはこの例では約6度であるが、第2の角度βが第1の角度αより浅い限り、角度βは変動させることができる。代替の実施形態において、ニードルは3つ以上の斜面を有するように形成できる。例えば、管の各側面上には、管の遠位端から斜面が遠くなるほど斜面角度が減少するようにしつつ、3つ以上の斜面を形成できる。更なる代替の実施形態において、湾曲の角度が管の長さに沿って変動する湾曲面を管の各側面上に形成することにより、管の各側面上に2つ以上の角度を形成できる。いくつかの実施形態において、ニードルの1つの側面につき1つの斜面のみにより、狭いヒール部を達成できる。しかしながら、単一の斜面は、ニードルの先端まで浅い角度であることを必要とすることになり、それはヒール部から斜面の先端までの距離を大幅に増加させ得る。
【0028】
図1Bおよび図1Cを続けて参照すると、管102は、管102の長い軸に対し第1の斜面角度αで管102の両側面を研削することによって形成できる2つの先端110、112を有している。2つの先端110、112は、ニードル先端のヒール部にある点122に、またはほぼ点122に収束する内側刃先111、113を有している。内側刃先111、113は、第1の斜面120によって、露出している管の内壁面から形成される。2つの先端110、112を有する管は、2つがそれぞれの点に関連する4つの内側刃先を備えている。管126の前側の刃先111、113は図1Bに示されているが、管102の後側の対応する刃先は図示されていない。いくつかの実施形態において、内側刃先は、管の内壁または外壁の表面に、または内壁および外壁の表面の両方に、追加の斜面を付加することにより更に鋭くすることができる。内壁の刃を更に鋭くすることは、より小さい力のスライス運動で管が組織を通過できるようにする。ヒール部122にある狭い点は、図1Cを参照して説明した浅い第2の斜面124から形成される。ヒール部122にある点に、またはほぼその点へと刃先111、113を狭くすることにより、ニードルを挿入するときにニードルの刃先は組織をスライスし続けることができ、かつ鋭くしたヒール部のない二重斜面ニードルに比べて組織にニードルを挿入するために必要な力が減少する。ヒール部114が湾曲しており、かつ頂点が先端110、112の平らな遠位端とほぼ平行な図1Aとは異なり、図1B図1Dに図示されている実施形態においては、楕円の頂点における刃先の小さなセクションのみが組織内に垂直に押し込まれる。頂点の領域を最小化するとともに角度を付けて形成することにより、組織に管を挿入するために必要とする力は低下し、かつ管を組織に挿入するときに、管は内側刃先111、113により、それらの長さに沿って組織をスライスすることができる。
【0029】
図1Dは、本開示の態様による二重斜面ニードルの他の実施形態の側面図である。図1Dに更に示すように、第3の斜面144および第4の斜面146は、第1および第2の斜面120、124に対して垂直な方向において選択的にもたらすことができる。これらの追加の斜面は、管102の両側の側面の各々を管102の長手方向軸に対して研削しまたは切断できる角度を表す角度λによって、特徴づけられる。例示的な実施形態において、角度λは約6度とすることができるが、より大きくまたはより小さくする、例えば約3度~約9度とすることができる。これらの斜面144、146は、管102の端部に形成されている先端136、138の鋭い刃の寸法または幅を小さくし、管102のドナー部位の組織への挿入を更に容易にするために設けることができる。斜面の深さは変化させることができる。例えば、尖端136、138に平らな刃先を残すように斜面は浅くすることができ、または図1Dに示すように先端が鋭い尖端を形成するように斜面をより深くすることができる。斜面角度は同様に変化させることができる。図1Dに示すようにそれらの先端に狭い角度を形成する角度λから形成された尖端または延長部分136、138は、λより大きな角度から形成された尖端に比べ、より小さい力を用いて組織に挿入できるが、この力は、管102の組織への完全な挿入を達成するために、より大きな角度λから形成されて角度が付けられた先端領域の長さが短い先端について用いるよりも、より長い距離および/または時間の間にわたって印加できる。
【0030】
図1B図1Dに示されている例示的な実施形態は、2つの尖端と2つのヒール部を有した管を開示しているが、更なる実施形態は、1つより大きい任意の数の尖端およびヒール部を有する管を含むことができる。例えば、更に例示的な実施形態において、遠位端に設けられた3つの尖端または延長部分を管に設けることができる。この例示的な構成は、例えば、その長い軸に対し第1の角度αで管の3つのポーションを研削することにより形成できるが、その3つのポーションは管の外周周りに約120度離間させることができる。更に他の実施形態において、その遠位端に設けられた4つ以上の尖端または延長部分を含む管、例えば4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはより多くの尖端を有している管をもたらすことができる。この構成において、本開示に記載するように1つ以上の鋭いヒール部を形成するために、第1の角度αに対してより浅い第2の角度で1つ以上のヒール部を形成できる。第2の角度は、管の上のヒール部毎に異なるものとすることができる。管が組織を貫通するために必要な第1の力は、尖端または延長部分の角度が一定に保たれる場合、尖端の数にほぼ比例し得る。より大きい数の尖端または延長部分を管の遠位端にもたらすことは、管の機械的な安定性および/または切り離される組織の幾何学的な制御を改善できるが、組織を貫通するためにより大きい力を用いることになり得る。しかしながら、角度がより小さいことによりニードルの尖端がより鋭い場合、より大きい数のニードル尖端を含むシステムは、より少ない、より鈍いニードル尖端を有する既存のシステムよりも低い全体的な力を実際に有することができる。
【0031】
本明細書に記載される様々なジオメトリおよび尖端は、例えば、本明細書に記載する様々なデバイスおよび方法について、本開示の例示的な実施形態のいずれにも用いることができる。例えば、中空管は、約15度未満、例えば約12度の斜面角度αでもたらすことができる。そのような鋭角の先端角度は、生物学的組織または基質の材料をより容易に貫通できる尖端または延長部分の鋭い先端をもたらすことができる。より狭い先端角度α、例えば約6度は、微小移植片の採取および/またはより高い密度もしくはより堅い組織または基質の材料への挿入のために好ましいものとなり得るが、尖端または延長部分のより狭い先端は、管をその内部に挿入するときに、組織または基質の材料をより容易に切断するように構成できる。例えば図1Dに示されている尖端または延長部分の例示的な先端といった角度λを有する第2の斜面は、より小さくより尖った尖端または延長部分の先端をもたらすことにより、様々な材料への管の遠位端の挿入を更に容易にすることができる。しかしながら、例えば小さい先端角度αおよび/または角度λの第2の斜面を有する、より鋭くおよび/またはより狭い尖端または延長部分の先端は、管が組織または基質に繰り返し挿入される場合、より摩耗し、曲がりまたは他の変形をし易いものであり得る。したがって、特定の用途のために選択される先端ジオメトリは、装置を用いる材料または組織のタイプ並びに管の所望の寿命に基づいて選択できる。
【0032】
管の内径は、ドナー部位から取り出される微小移植片といった組織のポーションの特定の直径にほぼ対応して選択しまたは構成できる。1つの例示的な実施形態によると、管の内径は約1mm未満とすることができる。例えば、管を形成するために(例えばそれぞれが0.838mmおよび0.564mmの内径を有する)18または20ゲージの生体組織検査ニードル等を用いることができる。より大きいゲージの(より小さい内径の)生体組織検査管を用いることもできる。管の間の相互作用に基づいて、採取された組織の幅または直径は、それを採取するために用いる装置の内径よりわずかに小さくすることができる。
【0033】
生体組織には、約0.1mmの距離にわたる拡散輸送により栄養分を与えることができる。したがって、本開示による管は、生存するための改良された生存性および可能性を呈することができ、かつ移植片に用いられたときに成長できる約0.6mm未満、例えば約0.3mm未満または例えば約0.2mm未満の少なくとも1つの寸法を有する例示的な微小移植片を抽出するように構成できる。そのような例示的な微小移植片は、組織の血管再生の前に被移植者部位に置かれたときに(例えば、酸素を含む)栄養分を受け入れることがより可能であり得る。
【0034】
本開示による管は、そのような栄養分の拡散輸送の利益を受けることができ、かつ移植片組織の著しくより大きいポーション(例えば、従来の全層、分層または網目状移植片)よりも生存の可能性があり得る、例えば約1~2mmの幅を有する、より大きい微小移植片を抽出するように構成することもできる。これらのより大きなサイズは、異質な、例えば単一の微小移植片の内部に保存できるある種の構造を含み得る組織である、採取された組織にとって好ましいものとなり得る。例えば、皮膚組織は毛包、皮脂腺といったある種の構造を有しており、採取されて移植されるときにこれらの組織構造を保存するために、皮膚からいくらかより大きな微小移植片を採取することは助けとなり得る。他方で、例えば約0.6mm未満または約0.2mmの幅のより小さい微小移植片は、組織内に保存されるべきより大きな構造がほとんどまたは全くない、例えば筋組織といった相対的に均一な組織に適したものとなり得る。
【0035】
本開示に記載したような管を微小移植片の採取に用いる実施形態において、採取の間に生成されるドナー部位のホールの幅または直径(採取された微小移植片のポーションの直径にほぼ対応し得る)は、約2mm未満、または約1mm未満とすることができる。本開示のいくつかの例示的な実施形態において、管は、約0.6mm未満、約0.3mm未満、または約0.2mmの直径または幅を有する微小移植片を抽出するように構成できる。ドナー部位における例示的なホールのサイズは、例えば、急速に治癒することができおよび/または瘢痕化することがない小さな損傷領域をドナー部位に生じさせることの効果に基づいて、および成長媒体に移植または置かれたときの生存性を助長するのに十分に小さく、かつ移植用提供組織内に存在できる移植片組織および/または取得組織構造の十分な量を形成するのに十分に大きいものとし得る組織のポーションを生じさせることに基づいて、選択することができる。本開示に記載される有利な鋭いヒール部設計は、ドナー部位に管を挿入するために必要とする力の量を制限することによりドナー部位の組織の損傷を更に最小化することができ、それによって組織の不健全を低下させる。
【0036】
本明細書に記載した特性を有するカニューレ、管またはニードルの他の態様も、同様に実現できる。一実施形態において、移植片組織を採取しまたは抽出するためにカニューレを用いることができる。この実施形態において、カニューレは、ドナー部位から組織を取り出すとともに、被移植者部位における組織の配置を容易にするように構成される。被移植者部位における組織の配置は、被移植者部位にカニューレを挿入することにより、そうでなければ組織をカニューレから放出しかつ載せて、それを置き、そうでなければ被移植者部位に組織を分配することにより実行できる。被移植者部位は、ドナー部位と同じ個体上の他の場所、異なる個体、またはそれは例えば基質といった他の材料であってもよい。いくつかの場合において、その基質は、例えば米国特許出願第13/102,711号に記載されているように、移植片または移植用提供組織のより大きなコピーを形成し得る、生体適合性基質とすることができ、この特許出願の内容の全体が参照により本明細書に援用される。米国特許出願第12/936,173号についても、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0037】
いくつかの実施形態において、管は、管の挿入の深さをそれが制限するように、管の内側または外側の表面に設けられたカラーまたはストッパ等を含むこともでき、またはそうでなければ管を保持する装置に固定されてもよい。いくつかの実施形態において、ストッパは、管が特定の深さを過ぎて延びることを防止するセンサ、カメラまたは他の機構を含むことができる。一実施形態において、先端の端から特定の距離にストッパまたは他の機構を管に固定することができ、またはこの距離は、例えば長さの範囲にわたって、管の軸に沿ってストッパを移動することにより、調節可能とし得る。1つの例において、ストッパは、皮膚の真皮/脂肪層に至る管の挿入を可能にするために、管に位置付けされることができる。
【0038】
1つの例において、管はドナー部位の組織に挿入することができ、そして管がドナー部位の組織に貫通する際に、先端および刃先は周囲の組織から組織のポーションを切り離すことができる。管は、例えばストッパがドナー部位の表面に接触するまでといった、特定の深さに挿入できる。組織のポーションは、管の下側部分の内部に存在し得る。そのような組織は、管の内部に留まることができ、その管がドナー部位から取り出されるときに管とともにドナー部位から分離して微小移植片を形成することができる。したがって、形成された例示的な微小移植片は、表皮組織および真皮組織の両方を含むことができる。例えば、微小移植片は、その軸周りに管を回転させることなくかつ吸引なしに微小移植片を含む管をドナー部位から取り出すことにより、ドナー部位から取り出すことができる。管に設けられている尖端または延長部分は、ドナー部位における周囲組織からの微小移植片組織のそのような取り出しを容易にすることができる。
【0039】
微小移植片または他の組織は、様々な手法で管から取り出すことができる。例えば、管の近位端の開口に圧力をもたらすことによる。そのような圧力は、機械的なもの、油圧、空圧等とすることができる。例えば、その圧力は、開口内に空気を送り込むことによって、管の近位端に取り付けた柔軟な球状物を圧搾することによって、例えば小型ポンプ等といった高圧供与源からつながる弁を開くこと等によって、もたらすことができる。他の実施形態において、組織は、管の内部に配置されたピンを用いて移植片を管から押し出すことにより管から取り出すことができる。代わりに、微小移植片のような組織は、ドナー部位の複数の場所に管を挿入することによって採取できる。次に、管の内部の各微小移植片は、それより上方の任意の微小移植片を管の近位端に向けて押すことができ、管は開放されているか、または微小移植片を輸送用に貯蔵するように構成された容器に連結されている。採取された組織で管が実質的に満たされると、ドナー部位への管の追加の挿入のそれぞれは、管の内部で一番上の微小移植片の近位端からの、または容器もしくは他の収集デバイス内への押し出しを容易にすることができる。管から微小移植片を取り出すために、例えば振動といった他の機構も同様に用いることができる。
【0040】
組織を取り出すためにカニューレを被移植者部位に挿入しおよび/または貫通させる実施形態において、可能な限り長く切断面が組織に対してある角度を取るように、ヒール部のある点またはその点の近くへの距離が短いことを含む、管の遠位端の例示的な構成は、ドナー部位において実現される利点に加えて、被移植者部位において有利である。例えば、ドナー部位について前に論じたのと同じ理由により、カニューレをその内部に挿入するときの外傷は、被移植者部位においても低減される。
【0041】
代替の実施形態において、カニューレは、貫通カニューレとともに用いることができる。この実施形態において、カニューレは、貫通カニューレの内部に配置することができ、かつ貫通カニューレを通って前進して被移植者部位に組織を載せる。貫通カニューレは、本開示に記載したような少なくとも1つの狭いヒール部を含むこともできる。
【0042】
従来の切断しもしくは貫通する管またはカニューレに勝る多くの利点は、本開示の装置によって実現できる。一実施形態において、本開示に記載するように鋭くしたヒール部をそれぞれが有する複数の管を含む装置が提供されてよい。複数の管は、管の配列を形成するためにベースに機械的に固定されるか、またはそうでなければ連結されてよい。この構成においては、管の配列のドナー部位への1回の挿入により、多数のポーションの組織を同時に、またはほぼ同時に、ドナー部位から採取できる。配列は、線形の配列、またはベースに沿った任意の形態のパターンを含む、多数の構成に形成できる。そのパターンにおける管の間隔は規則的もしくはいくらか不規則であるか、または変化させることができ、ドナー部位における配列の挿入を容易にするとともにドナー部位におけるパターンの形成を防止することもできる。ニードル配列の間隔は、挿入を容易にするために、更に、いくつかの実施形態においては周囲組織への副次的な損傷、例えば引き裂きを防止するように、選択されることができる。
【0043】
一般的に、配列におけるより大きい数の管は、組織または基質に管を同時に挿入するために必要なより大きな力に対応し、力があまりに大きい場合は望ましくないものとなり得る。しかしながら、本開示において論じた狭いヒール部を有するニードルが組織を採取するためにドナー部位に挿入されるニードル配列に組み立てられたとき、患者に配列を挿入するために必要とされる力の量は、狭いヒール部を有していない従来のニードル配列に比べて不釣り合いなほど低い。本開示の装置はまた、従来の道具を用いて実行した場合よりも実質的にかなり少ない創傷をドナー部位に生じさせ、したがって、ドナー部位における外傷が極めて少なくかつ患者の快適さがより大きいことに結びつく。これらの予想外の利点は、数十本または数百本を上回るニードルを有し得るより大きな配列を可能とし、より大きい領域の組織を採取できるとともにドナー部位の不健全性および患者の痛みを最小化する道具に結びつく。ニードル配列の分散は、組織の損傷を低減するとともに、ドナー部位のよりきれいな芯取りをもたらすことができる。
【0044】
例えば図2は、本開示の実施形態によるニードル200の配列の上面図である。配列200は、円形で316本のニードルを含むとともに、ほぼ1平方インチの領域を有している。図2の例においては、約0.018インチの外径を有するピンとともに、21ゲージの通常の壁ハイポチューブニードルが用いられている。ニードルは中心から0.056インチの間隔が開けられ、かつ円は約1.13インチの直径を有している。ニードルのこの構成は、採取部位の10%の面積に対応する採取に結びつく。すなわち316組織コラムの総断面積は0.1平方インチに等しく、それは1インチの10%である。ニードル配列の密度は、約1%から最大で約20%の範囲である可能性があり、例えば10%の密度である。
【0045】
円形の配列は、複数の列のニードルを水平または垂直な列に組み立てることにより形成される。この設計はモジュール式であり、その構成は、様々なサイズの列をモジュールとして用いることにより、任意の形状またはサイズを取ることができる。いくつかの実施形態において、ニードルの全てを作動させる、例えば同時に組織に挿入できる。他の実施形態において、ニードルのグループまたはセクションを順次作動させることができる。例えば、配列を四分円に分割することができ、かつ四分円の各々を順次作動させることができる。順次とは、各列を直線方向の順序(例えば、列1、列2、列3)、または直線方向でない順序(例えば列1、列10、列3)で作動させることを指す。または、ニードルの各列を別々にかつ順次作動させることができる。最後に、単一のニードルの各々を、別々にかつ順次作動させることができる。いくつかの実施形態において、ニードルの円形配列は、複数のくさび形、例えば3つ、4つ、5つ、6つ、またはより多くのくさび形のパイに分割することができ、かつ各くさび形は順次作動させることができる。いくつかの実施形態において、全てのニードルが作動するまで、2つ以上の配列を同時に作動させることができ、かつ他の配列は個別にまたはグループで作動させることができる。いくつかの実施形態において、1つの列が一時に作動し、例えば20の列が順番に個々に作動する、一方、他の実施形態において、2つ、3つ、4つ、またはより多くの列を一時に作動させることができる。配列のセグメントを順次作動させることの利点は、セグメントの挿入は、配列全体の挿入よりも少ないドナー部位上への力を必要とし、それがドナー部位の外傷がより少ないことに結びつき得ることである。いくつかの実施形態において、配列はソレノイドを用いて駆動する。ソレノイドを用いた多数の作動は、ラインからラインの挿入を順序付けることができる。いくつかの実施形態において、2つのソレノイドを用いることができ、デバイスのキックバックを防止するために各ソレノイドを反対方向に作動させ、かつドナー部位に印加する力を更に低減させ、それによって、周囲組織への外傷を低減させる。
【0046】
一般的に、例示的な管は、管の中心管腔または開口内に設けられたピンを含むことができる。ピンの直径は、ピンが管の内側管腔のほとんどまたは全てを充填または閉塞しながら、管の軸に沿って平行移動できるように、管の内径と実質的に同じまたはわずかに小さくすることができる。いくつかの実施形態において、管の内部でのピンの運動を容易にし、および/またはピンに対する生物学的材料の蓄積もしくは付着を妨げるために、ピンは低摩擦材料から形成し、または例えばテフロン(登録商標)等の低摩擦材料でコーティングすることができる。ピンの遠位端は、ピンが平行移動するときに管の内部の微小移植片組織の変位を容易にするために実質的に平坦とすることができる。本開示の更に例示的な実施形態において、装置には複数の管とピンを設けることができる。単一のアクチュエータを用いることにより管の全てをピンに関して一体に平行移動させることができ、または複数のアクチュエータを用いることによりいくつかの管を同時におよび/または順次平行移動させることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、組織を採取するために、ニードルは、採取のために選択された場所において、最初に特定の深さ一杯に挿入される。いくつかの実施形態において、挿入深さはハブの使用により制限できる。ニードルの全ては「ハブ」または(上述した)「ストッパ」に接合することができ、かつハブは、それが皮膚に当たったときにニードルの貫通が停止することにより深さを制限する。いくつかの実施形態において、ニードルは、ソレノイドを用いることにより高い速度で皮膚に挿入できる。いくつかの実施形態において、ニードルは、負荷されたばね、または高エネルギーの力を放出しまたはもたらす任意の他の手段を用いて、挿入できる。ニードルが採取場所に入るときに、ニードルの中空空間の内部に皮膚のコラムが形成される。ニードルが適切な深さで組織に挿入されて組織のコラムがニードルの内部に存在すると、ユーザは採取領域からデバイスを取り出す。組織コラムは、ニードルの内部の適所に残留している。続いて、ユーザは、デバイスを採取したコラムとともに、載せるための創傷部位に輸送する。載せる工程は、組織のコラムを創傷または創傷の基質に挿入することにより、または創傷の表面上に組織コラムを落下させる(分散させる)ことにより達成できる。
【0048】
挿入のために、ユーザは創傷の上方にデバイスを位置付けし、創傷、創傷被覆材または創傷の基質内にニードル配列を押圧する。組織のコラムとともにニードルが挿入されると、ニードルは引っ込み、創傷場所の表面にピンの先端を維持する。これは、ニードルが引っ込んでいる間に、以前に採取した組織コラムを適所に保持する。続いて、デバイスは創傷場所から引き離され、そして組織コラムは創傷部位に挿入される。ニードルが引っ込むことで組織のコラムがニードルから押し出される。分散のために、ユーザは創傷の上方にデバイスを位置付けし、ニードルを引っ込ませ、ソレノイド(または他の作動方法)を再び作動させると、それによってニードル先端がピンの長さに沿って降下して組織のコラムをピンから押し出す。続いてニードルがすぐに停止して再び引っ込むと、それは組織のコラムをニードルの先端から投げ出す。
【0049】
本開示の例示的な管は、好ましくは生物学的組織に関して生物学的に適合性または不活性な、例えば304ステンレス鋼、手術用ステンレス鋼等の、任意の十分に強い材料から形成できる。いくつかの実施形態において、管は、組織を貫通する管の移動を更に容易にするために、潤滑剤または例えばテフロン(登録商標)といった低摩擦材料でコーティングすることができる。斜面およびその他の鋭い刃は、切断、研削、エッチング、フォトエッチング、電解研磨等によって形成できる。刃先の鋭さを高めるための、例えば電解研磨、または材料強度を高めるためのME-92(登録商標)クロムコーティングといった更なる仕上げプロセスを、管20に適用できる。そのような仕上げプロセスは、切断効果を高めおよび/または管の有用なサービス寿命を改善できる。
【0050】
組織を採取して分散させる上記の方法は、記載した狭いヒール部のニードル、または他のタイプの採取装置、例えばただ1つまたは2つの斜面を有するが狭いヒール部のないニードルを用いて実行できる。
【0051】
芯取りニードルを製造する方法
以前に記載したニードルは、(1)個々の管の研削、(2)打ち抜きおよび圧延技術、並びに(3)アコーディオン法を含む複数の方法により製造できる。後者の2つの方法を以下に論じる。
【0052】
打ち抜きおよび圧延
一実施形態において、平らなシート材料からニードル構造を生じさせるために、打ち抜きおよび圧延の方法を用いることができる。打ち抜きおよび圧延の方法により、ニードルの1次元、2次元、および3次元配列と関連する構造を生成できる。この議論のために、1次元配列は、ニードル尖端を空間内で直線または曲線に位置付けし、かつニードル尖端の間の間隔を等しくし、または様々な間隔が反復するパターンのニードル構成として定義できる。2次元配列は、ニードル尖端が空間内の平面に位置付けされ、かつニードル尖端の間の間隔が反復するパターンのニードル構成として定義できる。3次元配列は、ニードル尖端が空間内の3次元表面上に位置付けされ、かつニードル尖端の間の間隔が反復するパターンのニードル構成として定義できる。
【0053】
現在、中空ニードル、特に皮下注射針は、円筒状の管類から製作されている。このことは、ニードルの完成ジオメトリおよび中空管の構造的な完全性に、中空管を製造する方法に基づく制限を課す。加えて、現在利用可能な皮下注射針を用いる1次元、2次元、または3次元配列の生成は、個々のニードルの位置付けまたは設置を含んでいる。すなわち、配列を形成するプロセスのいくつかの時点において、個々のニードルを取り扱って位置付けしなければならない。
【0054】
記載する方法は、切断し、折り重ね、圧延、曲げ、捩り、または他の方法で形成される、材料の平らなシートから考えられる限り導き出すことができる任意のジオメトリのニードルの生成を許容する。更にまた、記載する打ち抜きおよび圧延の設計は、多数のそのようなニードルを空間内に通常のパターンで配置することを高い精度で、個々のニードルを取り扱いまたは位置付けする必要なしに、達成する。
【0055】
エレクトロニクス産業において、例えば導電コネクタピンは、時には「打ち抜きおよび圧延」と呼ばれるプロセスを用いて、平らな金属リボンから典型的に製造される。典型的に、金属リボンは、リールから繰り出され、連続的に機械に供給され、部品が切断されて成形され、そして完成した部品は巻き取りリール上に巻き取られる。この製造プロセスによって、完成した部品はリボンに沿って等しく間隔を開けられる。各コネクタピンはリボンから容易に分離されるように設計されており(リボンの利用されない部分は「キャリア」と呼ばれる)、そして遊離したピンはプラスチック製コネクタハウジングへの組み込みのために利用可能となる。キャリア、または保持ウェブは、成形部品がそれから取り除かれた後に、通常は打ち抜き加工および圧延において、放棄される処理アイテムである。しかしながら、いくつかの実施形態によると、本方法はキャリアからのニードルの除去を必要としない。代わりに、キャリアは、ニードルを配列内に一緒に保持するために用いることができるとともに、ニードルの配列と一体な部分とすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、キャリアは、打ち抜きおよび圧延で成形されたニードルのラインの一部に自動的になることができるとともに、他の配列形成プロセスにおいて、ニードルに追加できるキャリアと同じ目的の役割を果たすことができる。
【0056】
本明細書に開示されるニードルは、「打ち抜きおよび圧延」プロセスを用いて製造できるが、そのプロセスには限定されない。更にまた、本明細書に開示されるデバイスにおいては、キャリアが、廃棄されるのではなく、完成したアセンブリと一体な部品となるように選択的に(かつ有利に)設計できることに留意されたい。
【0057】
図3および図4は、本開示の実施形態による、ニードルを製造するための打ち抜きおよび圧延技術を説明している。図3および図4に図解するように、開示される打ち抜きおよび圧延技術は、以下の工程を含むことができる:
1.材料シートを供給する工程(302)-図4には示されていない
2.材料シートにニードル設計を打ち抜き加工する工程(304)
3.打ち抜き加工されたニードル設計を処理する工程(306)、および
4.打ち抜き加工されて処理されたニードル設計を圧延し、少なくとも1つの鋭い先端と少なくとも1つの狭いヒール部とを有するニードルの列を形成し、ニードルはキャリアに取り付けられたままである工程(308)
【0058】
いくつかの実施形態において、ニードル設計は、成形する複数のニードルを含むことができるとともに、キャリアおよびニードルの両方を含むことができる。いくつかの実施形態において、結果として生じるニードルは、少なくとも1つの狭いヒール部と、少なくとも1つのニードル先端を含むことができる。いくつかの実施形態において、上記の方法は、機械または製造装置を用いて実行できる。その機械または他の製造装置は、上記の工程を実行するようにプログラムされたプロセッサ、ソフトウェアまたは他の不揮発メモリを含むことができる。
【0059】
打ち抜きおよび圧延技術により、いくつかの利点を達成できる。例えば、ニードルのジオメトリは、中空管の製造上の拘束により制限されるのではなく、金属の平らなシートから形成することができ、かつ打ち抜きおよび圧延技術は複雑なニードルジオメトリを可能にし得る。例えば、一実施形態において、その設計は、構造の平らな部分を上部に、開放した漏斗状の構造を上部の下に、実質的に閉じた円筒状構造を中央に、かつ二重尖端構造を底部先端に有することができる。更に、これらの技術は、ニードル間の間隔を正確なものとしつつ多数のニードルが成形されることを可能にし得るとともに、1次元配列のニードルの数を任意の数とし得る。いくつかの実施形態において、1次元配列の所定の長さ(例えば20個の要素から成る長さ)を、追加の所定の長さに積み重ねまたは積層化して、2次元または3次元の配列を形成できる。2次元または3次元配列のうちの1次元ポーションの間の間隔は、層の間に材料スペーサを配置することによって、制御できる。更なる利点は、正方形の格子、三角形の格子、六角形の格子等を含め、隣接する層の多種多様な幾何学的な配置が可能であることである。例えば支持、強度、配向または他の特性を全体に与えるために、配列の任意のポーションを接合し、カプセルで包み、より大きな構造に結合できる。
【0060】
記載された製造方法の他の利点は、ニードルを成形する前に平らな出発原料の両方の表面に容易にアクセスすることができるので、コーティング、模様付け、リブ付け、陽極処理等を含む多種多様な表面処理が可能となり、それらの一部または全部をニードルの内側または外側の表面の設計に含め得ることである。更に、ニードルを成形する前にニードルの全ての刃にアクセスできるので、(例えば、単一および多数のニードル尖端、隣接、重なり、インターロック、波形の縫い目、螺旋形の縫い目等の)多種多様な刃形状、およびコイニング、面取り、ギザギザを付ける、鋭くする、バリ取り、電解研磨等を含む多種多様な刃処理が可能になる。
【0061】
いくつかの実施形態において、例えばそれ自体の上に戻して層をなした2次元または3次元配列を形成するために、1次元配列の所定の長さを更に湾曲させまたは成形できる。例えば、1次元配列の所定の長さは、半径方向に配向されたニードル尖端とともに例えば円形に、またはその円形の平面に対して垂直に配向されたニードル尖端とともに円形へと、または、一般的に、空間内の任意のカーブに沿って、更に湾曲させまたは成形できる。その結果、原則的に、いかなる3次元表面にもニードル尖端を配置できる。いくつかの実施形態において、打ち抜きおよび圧延法は、単一の尖端、二重の尖端または三重の尖端のニードルを生じさせることができる。結果として生じるニードルは、所望の任意の数の尖端も有することができ、圧延の前にシートに打ち抜かれる。いくつかの実施形態において、ニードルは尖端を全く有しない。
【0062】
いくつかの実施形態において、1次元のニードル配列は、一体的な構造として(例えば、浸漬またはスプレーコーティング、化学的な尖鋭化、溶接、または縫い目の二次的な閉鎖等の)第2のプロセスを受けることができ、多数の要素の並列処理を可能にする。本明細書に記載するように、打ち抜きおよび圧延技術は、管状ジオメトリの制限がないことにより、極めて狭いヒール部の形成を可能にする。この技術は円筒の切断を含まないので、ヒール部が楕円であることには制限されず、例えばヒール部は角形状に成形できる。したがって、これらの技術に従ってできたニードルのヒール部の狭さは、ニードルを形成する前に平らなシートを鋭くすると同時に、それがどれくらい狭く製造されるかに単に限られている。例えばヒール部は、ニードルの縫い目でヒール部を成形することにより、半径を有するヒール部に代えて、点の形状に製造できる。
【0063】
記載した打ち抜きおよび圧延法の更なる利点は、複雑なニードルジオメトリを成形する正確、反復可能、かつ低コストの手段を含む。様々なニードルジオメトリは、実質的に任意の形状の単一または多数の尖端を含むことができる。記載した方法は、円筒状でない断面、例えば正方形または任意の他の幾何学的形状、(ニードル本体への容易な挿入、例えば閉塞具の挿入のための)フレア付きの上部、および他の普通でないまたは困難なジオメトリを生じさせることができる。開示された方法はまた、ニードルの表面模様付きの内側および外側の表面をもたらすことができる。
【0064】
ピックアンドプレイスアコーディオン法
ニードルおよびニードル配列を製造する他の方法は、ピックアンドプレイスアコーディオン法を含むことができる。この方法は、ニードルおよび1次元、2次元、もしくは3次元配列および関連する構造を生じさせるために用いることができる。これらの方法によると、ニードルまたはそれらの前駆体物質は複数のニードルが含まれるグループで取り扱われ、その取り扱いは、それらに限定されるものではないが、位置付け、積み重ね、取り付けおよび固定が含まれる。いくつかの実施形態において、これらの方法は、機械または他の製造装置を用いて実行できる。この方法を用いることにより、ニードル間の間隔を効率的に、正確に、および精密に定めることができる。いくつかの実施形態において、その間隔は規則的またはパターン化したものとすることができ、かつ1次元、2次元、または3次元の空間にわたって延びることができる。
【0065】
この製造方法で用いるアコーディオン管は、ばねや他の複雑なワイヤ類似構造のために用いられる、様々な従来のワイヤ成形プロセスを用いて製造できる。これらのプロセスは、典型的に(1)原材料の連続供給のための機構をもたらすピンチローラ、並びに(2)コンピュータ数値制御(「CNC」)曲げおよび成形ツールを含み、原材料の連続長さの操作および成形を可能にする、自動化されたバージョンを含む。開示されるアコーディオン法は、本開示において、説明するように増強された、自動化ワイヤ成形プロセスを用いることができるが、それに限定されるものではない。
【0066】
この方法の態様によると、ニードルまたはそれらの前駆体物質は複数のニードルのグループで加工される。本明細書に用いるように、処理には研削、溶接、ろう付け、バリ取り、尖鋭化、模様付け、および磨きが含まれるが、これらに限定されるものではない。ニードルのグループは、より大きなグループまたは配列を形成するために一組にまとめまたは積み重ねることができるが、より大きなグループはまた、選択的に、正確かつ精密なニードル間隔を有する。
【0067】
図5Aおよび図5Bは、本開示の態様による、ニードルを製造するためのピックアンドプレイスアコーディオン法を描いている。いくつかの実施形態において、図5Aおよび図5Bの502に示すように、管類の長さは、折り重ねられまたはアコーディオン形状に曲げられる。屈曲の数は、単一の屈曲から多くのものにおよび得る。断面の完全性および折り重ねられた管類の直線性は、屈曲の間に位置する「重要ゾーン」の中で維持される。例えば、アコーディオン形状の屈曲において、管の断面は変形して丸くない。丸いピンを用いる場合はニードルが丸くなければならないので、いくつかの実施形態においては、真っ直ぐなセクションは十分に長いものとすることができ、屈曲、および屈曲の近くの何らかの変形セクションは取り除かれ、適切なニードル長さのための十分な材料を残している。
【0068】
折り重ねられた形状の曲げ半径は、504で示すように、ニードル配列スペーサまたはキャリア508へのピースの挿入を容易にするようなものとなっている。いくつかの実施形態において、曲げ半径はニードルの所望の中心と中心の間の間隔の約半分とすることができ、例えば約0.056インチである。いくつかの実施形態において、キャリアはステンレス鋼から構成できる。他の実施形態において、キャリアはプラスチック材料から製造できる。折り重ねられた形状をキャリア508内で一時的に固定するために、多くの異なる締付け構成を用いることができる。いくつかの実施形態において、図5Aに示すように、キャリア508は管類の端ポーションを含まない場所において、管類に固定される。図5Bにおいて、キャリア508は管類の1つの端部に固定できる。折り重ねられた形状は、(例えば、溝との締まり嵌め、または溝内へスナップ操作といった、機械的な手段により)キャリア508によって、きつく保持することができ、または溶接、接合、インサート成形およびろう付けを含む様々な手法で、キャリア508に永久的に固定できる。
【0069】
いくつかの実施形態において、キャリアは位置付けホールを含むことができる。位置付けホールは、キャリアを他のキャリアにまたは何か他のものに取り付けることができるようにする、キャリアのホールである。いくつかの実施形態において、位置付けホールは、ニードルの列を積み重ねて異なる形状を製造するために用いることができる。いくつかの実施形態において、多数のキャリアを積み重ねるときに、ニードルの列の間の間隔をより離してまたはより近づけることができるので、キャリアの厚みは重要であり得る。位置付けの他の手段、例えばショルダ、ピン等も同様に可能である。キャリアは、(キャリアの溝の中心と中心の間の距離によって)グループの範囲内と(キャリアの位置付けホール、厚み、長さ、および幅によって)グループの間との両方において、隣接する管状セクションの間に所望の間隔を与えるように設計される。
【0070】
単一の折り重ね形状(または選択的にいくつかの形状)が1つ以上のキャリア内に固定されると、506に示すように、折り重ねられた形状は処理される。処理の例は、これに限定されるものではないが、切断、研削、尖鋭化、面取り、模様付け、研磨、バリ取り、成形、接着、および溶接を含むことができる。いくつかの実施形態において、単一の折り重ね形状または多数の形状は、正確なニードル間の間隔およびキャリアに関する正確な幾何学的な関係でニードルの配列または部分配列を形成するために、処理できる。処理の間、単一の折り重ね形状(または多数の折り重ね形状)およびキャリアを含むサブアセンブリは、他の固定部品とともに一体構造として処理されて、多数のニードル要素の並列処理を可能にする。
【0071】
いくつかの実施形態において、より大きな配列を形成するために、サブ配列を積み重ねまたは一組にまとめることができる。積み重ねは、サブ配列の処理の前か後に行うことができる。図2に関して上述したように、正方形の格子、三角形の格子、六角形の格子等を含む、隣接する層の多種多様な幾何学的配置が可能である。全体に対する支持、強度、配向、または他の特性を与えるために、配列の任意のポーションを、接合し、カプセル化し、またはより大きな構造に組み込むことができる。ワイヤ配列を形成するために(図5Bに示すような)同じ固定および成形方法を用いることができ、それは例えば精密にマッチングするエジェクタピンとしてニードル配列とともに用いることができる。ワイヤと管の配列は独立した工程において、または同じ工程において、形成される。同じ工程で形成する場合、ワイヤは形成する前に管類に螺合させることができる。管類とワイヤの組み合わせは、続いて一体に処理され(曲げ、研削等)、後段階の組み立て工程を省くという可能な利点がある。図6Aおよび図6Bは、それぞれ、キャリア内で折り畳まれた管類と処理されたニードルの写真である。いくつかの実施形態において、この「アコーディオン」法は、曲がったアコーディオンなしで行うこともできる。例えば、管の長くて真っ直ぐなセクションは、いくつかのキャリア上に一度に設置して接合できる。これらが形成されると、個々のセクションを個々に切断し(1つのセクションに1つのキャリア)、続いて尖鋭化できる。
【0072】
組織の安定化
いくつかの実施形態において、組織の安定化は、圧力を加えて、抽出の間にドナー部位の組織を安定させるために実行される。例えば組織安定器によるドナー部位へ圧力を加えることは、ニードルまたは配列をドナー部位に貫通させるために必要な力の量を低減することができ、それによって、ドナー部位の外傷を低減できる。図7A図7Dは、本開示の実施形態による、組織安定器を有する移植デバイスと、その操作方法を描いている。図7A図7Dは、組織安定器としてのストラップを描いている。しかしながら、ストラップを有しない実施形態において、移植デバイスは、ニードル配列の周りにあるプラスチックハウジングで安定させることができる。プラスチックハウジングは、多数回採取の場合に、採取領域/面積を最小化するために、先行する採取により残された輪郭にハウジングを揃えることができるように、硬いまたは柔らかい材料から構成し、皮膚に接触するより柔らかいフレア状の材料と結合し、かつ形作ることができる。プラスチックハウジングは皮膚に押し付けられて、採取の前および間に皮膚を安定させかつそれを押さえつける。プラスチックハウジングを皮膚に保持することを助けるために、ストラップを用いることができる。したがって、組織部位、例えば腕、脚、または任意の採取部位上に圧力とデバイスの安定をユーザに適用させることにより、デバイスは安定する。いくつかの実施形態において、デバイスは、ニードルの作動を可能にする前に、脚の上の適切な力を検知できる。
【0073】
図7Aは、工程700における、使い捨ての配列704、使い捨てのストラップ706、およびベース708を含んでいる使い捨てパッケージ702を描いている。使い捨ての配列704は、ドナー部位から組織を採取するためのニードルを含んでいる。工程700において、使い捨てのストラップ706およびベース708は、使い捨てパッケージ702から取り出される。工程710において、使い捨てのストラップ706およびベース708は、患者に(例えば、患者の脚712に)適用される。段階720において、最適な張力が得られたことをインジケータ722が示すまで、使い捨てストラップを締め付けることができる。
【0074】
図7Bは、使い捨て配列704へのデバイス732のアクセスを可能にするために、完全に開放した使い捨てパッケージ702を描いている。工程740は、デバイス732が音を発して使い捨て配列704にロックされたことを示している。工程750は、使い捨てストラップ706内に配置されたデバイス732と使い捨て配列704を描いている。
【0075】
図7Cは、組織を採取する順序を描いている。ボタン760がユーザにより押される。続いて、デバイス732は、ユーザからの更なる入力または力なしに、採取の間の適切な力を維持する。ユーザは単純に、採取の順序が完了するまで待つ。図7Dは、デバイスの取り外し(工程770)、採取した組織を有するデバイスの創傷上への位置付け(工程780)、および採取した組織の創傷上の分散(工程790)を描いている。795により詳細に示すように、ユーザはボタン760を押して採取した組織をニードルから治療部位上に分散させる。
【0076】
デバイスをドナー部位に固定するための手段としてストラップが上図に示されているが、デバイスを固定するための他の手段を用いることができる。例えば、いくつかの実施形態において、デバイスは接着剤またはクランプを用いて固定できる。更に、いくつかの実施形態において、ニードルのドナー部位に挿入する前に、デバイスの角度または垂直度を検査し、かつ組織がある角度で採取されないことを保証するために調整できる。例えば、デバイスは垂直方向から±10度の範囲内に維持される。
【0077】
いくつかの実施形態において、デバイスは力センサを有することができる。その力センサは、ユーザがデバイスを皮膚に当てている力を検出できる。ユーザが最適な力と考えられるものを達成すると、デバイスは、最適な力に達したこと、およびユーザがデバイスの配備を開始できることをユーザに通知する。デバイスは、採取の前に十分な力が印加されたことを知るために力センサを用いることができる。代わりに、(ストラップでまたはストラップなしに)ユーザが力を印加している場合、デバイスは、採取の前にうまくドナー部位を貫通するように、確かにユーザが十分ハードに押し付けていることをチェックする。いくつかの実施形態において、最適な力は約10~40ポンドの範囲とすることができる。デバイスはまた、採取シーケンスの全体にわたって力を測定しかつ監視できるとともに、適切な力が印加されている場合に、および/または印加している力が許容レベル以下に低下した場合に、ユーザに警告できる。警報は、視覚的または聴覚的なものとすることができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、ストラップは、多数の採取部位へのアクセスのための多数のポートを含むことができる。これらの実施形態において、使い捨てシールドをストラップ上の各ポートに含めることができ、それは採取の後にカートリッジにそれ自体を取り付けることができる。使い捨てシールドの目的は、分散の間にカートリッジが創傷と接触するようになる場合に、二度目の採取に戻るときのドナー部位の汚染を防止することにある。ユーザは、第2のポートにおいて、および追加のポートにおいて、再び採取する前に、使い捨てシールドを配置できる。使い捨てシールドはまた、ユーザが、同じポートに2回戻る、例えば同じ領域から2回採取することを防止する。
【0079】
振動アシスト芯取り
いくつかの実施形態において、ドナー部位への進入の際にニードルを振動させることはニードル挿入力の低減を助けることができ、したがって組織の損傷および患者の痛みを低減する。図8Aは、ニードルの振動作動のための装置800を描いている。図8Aは、同じ構成の3つの状態、第1の状態802/804、第2の状態810/812、および第3の状態ト820/822を描いている。各状態について、上面図(804、812、822)および側面断面図(802、810、820)が示されている。
【0080】
いくつかの実施形態において、装置800は、接触穴806を用いてニードル805を囲む振動(oscillating)ストライク板803を含むことができる。ストライク板803は、振動(oscillation)1回につきニードル805を1回または数回打つことができるように、ストライク板803の側方または横方向の運動を可能にしかつ促進する、1つまたは複数のプレート支持体807で支持できる。いくつかの実施形態において、ストライク板803は振動(oscillatory)運動に設定することができ、かつその運動は、それらには限定されないが圧電、電気機械、空圧、流体、機械式、磁歪のアクチュエータ808を含むいくつかの手段のいずれかにより維持される。1つ以上のアクチュエータ808を用いることができる。模式図は意図的に一定の比率で描画されておらず、実際には、ストライク板803の振動の振幅は数マイクロメートルと同じ程度に小さくすることができるが、同様にかなり大きくすることもできる。第1の状態802/804において、アクチュエータ808はストライク板803の振動(oscillating)を作動させて、ニードル805の側面がストライク板803に接触するようにする。第2の状態810/812において、ストライク板803はアクチュエータ808から離れるように移動し、ニードル805の周りに中心合わせされる。第3の状態820/822において、ストライク板803はニードル805の反対の側面に接触する。いくつかの実施形態において、ストライク板803は金属またはプラスチックから構成できる。
【0081】
この実施形態において、ストライク板803およびニードル805は独立して取り付けられて起動される。すなわち、ニードル805はストライク板803から独立して動くことができる。例えばニードル805は、ストライク板803およびその支持体807を垂直方向に平行移動させる必要なしに、接触穴806を通って垂直方向に(上方または下方に)平行移動できる。更に、図8Aに示すように、アクチュエータ808のエネルギーは、ニードル805に直接的にではなくストライク板803に導かれる。このことは、ストライク板803アセンブリについて、例えば共振周波数といった、ニードル作動方式から独立した設計と特定の振動特性の選択を可能にする。
【0082】
ストライク板にアクチュエータを連結する5つの一般的な方法が図8B図8Fに示されている。図示のために単一のアクチュエータと単一のニードルが示されているが、図8Gに示すように、いくつかのアクチュエータおよびいくつかのニードルを含むようにこの方式を拡張できることは理解されるであろう。図8Bは、振動作動システムの第1の状態802、第2の状態810および第3の状態820、固定ベース830に固定されるとともにストライク板803またはその支持構造807に柔軟に結合されたアクチュエータ808を描いている。アクチュエータの自由端は、ストライク板(またはその支持構造のポーション)に断続的に接触する。ストライク板およびその支持構造の共振特性は、アクチュエータから独立している。例えば、アクチュエータの接触点は、変位の増幅を生じさせるようなものとすることができる。例えば、図8Bにおいて、アクチュエータは、プレート支持体の振動のノードとアンチノードとの間の中間点に接触している。ストライク板の運動は1回の振動(oscillation)につき1回、1回の振動(oscillation)につき2回(図8Bに示すように)、または1回の振動(oscillation)につき多数回ニードルに接触するようにすることができる。アクチュエータのエネルギーは、導波管832または類似の伝達要素を介して接触点に運ぶことができるが、それは以下の第2の図に示すように変位増幅を含むこともできる。
【0083】
図8Cは、アクチュエータ808が固定ベース830に固定されるとともに(最上列836に示されている)ストライク板803または(最下列838に示されている)その支持構造807にきつく連結された構成における、振動作動システムを第1の状態802、第2の状態810、および第3の状態820で描いている。アクチュエータ(またはアクチュエータの導波管延長部)はストライク板803またはストライク板支持構造に取り付けられている。非共振振動モードは、緩く結合された方式より大きな制御で励起され得る。アクチュエータは同時にセンサとして用いることができ、その結果、振動のフィードバック制御が可能になる。図8Cにおいて、アクチュエータはストライク板に取り付けられているが、それはストライク板とともには移動しない。いくつかの実施形態において、それは、ストライク板(デバイスハンドル、例えば)より実質的に重い治具にも取り付けられ、その結果、この他の治具は基本的に「静止している」。このようにして、ストライク板は、アクチュエータがそれを動かすやり方で正確に動くだけであり、振動(oscillation)の周波数および振幅は制御できる。
【0084】
図8Dは、アクチュエータ808が(最上列840に示されている)ストライク板803または最下列842に示されている)支持体構造にきつく連結されて、アクチュエータ808がストライク板803とともに移動する構成の振動作動システムを、第1の状態802、第2の状態810および第3の状態820で描いている。この実施形態において、極めて低い質量の方式が可能であり、かつ振動の複合モードが典型的である。いくつかの実施形態において、低い質量の方式とは、それを安定させるために実質的により重い何かに取り付けられていないアクチュエータを指す。この方式において、アクチュエータは単にストライク板に取り付けられる。振動の複合モードは単純な波形パターンより複雑なモードを指す。
ストライク板とアクチュエータが一緒に移動するので、多数の波が互いに相互作用する非常に複雑なモードが発生することになるからである。
【0085】
図8Eは、アクチュエータ808が固定ベース830に固定されるとともに、物理的接触のないトランスデューサ852によりストライク板803またはその支持構造807にエネルギー的に連結された850構成の振動作動システムを第1の状態802、第2の状態810および第3の状態820で描いている。誘導、静電、音響および空圧のものを含むエネルギー伝達のいくつかの手段のいずれもが可能である。用いる技術に応じて、トランスデューサ852は、圧電、機械、EMF、マグネト、または他のタイプのトランスデューサとすることができる。
【0086】
図8Fは、アセンブリ860の全般的な振動の結果として作動が間接的に生じる構成における振動作動システムを、第1の状態802、第2の状態810および第3の状態820で描いている。ストライク板803および関連する構造807は、例えば、アセンブリの中のどこかのソレノイドの作動により、またはアセンブリの中のどこかのばねおよびラチェット機構の作動により、全体的なアセンブリが震動するときに、調和振動するように設計されている。いくつかの実施形態において、ストライク板803の振動は、アセンブリの他の作動または動作と同期できる。いくつかの実施形態において、ストライク板803の振動は、手動でまたは自動的に起動させることができる。
【0087】
作動モードと構成
上に記載した方式のいずれかについて、振動モードは、共鳴または非共鳴となるように選択できる。いくつかの実施形態において、振動は他の動作に関連して生じ得る。例えば、振動は、ソレノイドといったニードルに直接適用できる衝撃エネルギーの供給源と連動して、必要に応じ、断続的にかつ短時間に適用できる。いくつかの実施形態において、振動動作の期間とタイミングを制御するために、(アクチュエータが同時にセンサとして用いられる実例については)フィードバック制御を用いることができる。更に、周波数および変位の振幅は、亜音速、音速、および超音波の極めて広い範囲にわたって選択できる。
【0088】
振動アシストは、ニードルの前進、引込み、または芯取りされた材料の放出のために生じさせることができる。いくつかの実施形態において、ストライク板の接触穴は、1回の振動(oscillation)につき1回の接触または数回の接触が生じるように形作ることができる。開口の粗さまたは尖鋭度は、ニードルに結果として生じる振動の品質に影響を与えるように構成できる。更に、いくつかの実施形態において、ストライク板とニードルの間の接触位置は、ニードルの振動の振幅およびモードに影響を与えるように選択できる。
【0089】
いくつかの実施形態において、ストライク板およびその関連する構造部品は、直接的または間接的な作動の結果として振動(oscillate)するように設計することができ、かつ作動は手動でまたは自動で(電子的に)生じさせることができる。直接的な作動は、それらに限定されるものではないが、例えば圧電素子、磁歪要素、電磁気ソレノイド、機械ばねとラチェット、空圧破裂、流体振動(oscillation)、音波エネルギー等の振動供給源を含む。間接的な作動には、例えばソレノイドの作動によって、生じ得るアセンブリ全体の何らかの不調和な運動が含まれる。したがって、いくつかの機械的な作動によるニードルの前進または引込みは、振動をニードルに与えることになる、ストライク板の機械的振動(oscillation)を同時に誘発するために用いることができる。直接的な作動方式は、物理的な接触の方法並びに非接触な方法を含む。例えば、アクチュエータはストライク板から離して位置付けすることができ、アクチュエータの振動エネルギーは、柔軟な導波管との直接接触により、または接触なしに電磁誘導、磁歪誘導、または音響的に空気を介して、ストライク板またはその構造部品に伝達できる。
【0090】
図8Gは、本開示のいくつかの態様による、ニードル配列870に対する振動(oscillatry)ストライク板803の使用を描いている。ストライク板803は、ニードル870の1次元または2次元の配列に衝突するように構成できる。任意の単一ニードルまたは多数ニードルを、接触穴の中にまたは外へといつでも移動させることができる。
【0091】
振動(oscillation)のモード
図8Hは、振動作動システムの2つの作動モードを描いている。いくつかのパラメータ(アクチュエータ要素の数、位置および作動の順序、ストライク板803の形状および質量、柔軟な支持体の剛性および配向等)に応じて、ストライク板803は、(左880に示されている)単純な直線から(右890に示されている)位相的な疑似円弧運動を含む、広範囲にわたる作動で振動(oscillated)できる。線形のモード880は、A←→Bとして示されているように、単一の線形平面内で動く1台のアクチュエータ808を含んでいる。位相的な疑似円弧モード890は、各アクチュエータが独立した平面A、BおよびC内で動くことができる3台のアクチュエータ808を有することができる。図8Hの振動はニードルの軸に対して垂直であるが、そうである必要はない。振動は、ニードルの軸を含む、任意の方向に適用できる。ニードルの軸に沿って振動させる1つの手法は、ソレノイドに極めて短く速い信号を送り、それによって、それを「チャタリング」させることである。
【0092】
幹細胞/脂肪組織
記載した微小移植片は皮膚組織を含むことができ、それは例えば表皮および真皮組織および/または他の身体器官から採取された組織を含むことができる。微小移植片は、相対的に小さい少なくとも1つの寸法、例えば、約1mm未満、約0.5mm未満、選択的に0.3mm以下、または約0.2mmを有することができる。微小移植片のそのような例示的な小さい寸法は、採取の後のドナー部位の治癒と、微小移植片組織のより大きな拡散栄養を可能にすることによる微小移植片の生存性との両方を促進する。組織ポーションの取り出しによって、生じたドナー部位における損傷の小さい領域は、目に見える瘢痕の形成がほとんどまたは全くなく、急速に治癒できる。皮膚組織から得られた微小移植片は、例えば表皮および真皮組織を含むことができるとともに、真皮/脂肪層の境界線の近位側に位置付けできる幹細胞を含むこともできる。
【0093】
例示的な微小移植片は、ほぼ円筒状であり得る細長い形を有することができる。微小移植片は、例示的なドナー部位からの表皮組織および真皮組織の両方を含むことができる。例えば、例示的な微小移植片の長さは約3mmとすることができ、それは皮膚層(例えば、表皮層および真皮層)の典型的なトータル深さに相当し得る。異なる長さは、ドナー部位の特定の皮膚または組織の特性に基づいて用いることができる。先行出願においては、皮下組織の著しい量の採取を防止することが好ましいものとなり得ることが注目されたため、採取される微小移植片は主として表皮組織および真皮組織を含むことができる。例えば、皮膚移植片を実行する先行技術は、移植片を創傷部位に適用する前に、皮膚移植片からあらゆる脂肪または脂肪組織を取り出しまたはこすり取る。これは、脂肪組織が、移植された皮膚の創傷部位における血液供給源にアクセスする能力を逆に妨げる、採取プロセスの副産物として一般的に見られるため、行われてきた。したがって、先行する方法においては、全ての脂肪組織が移植片から隔離される。
【0094】
しかしながら、本開示の態様によると、微小移植片コラムのサイズが小さいことにより、これらのコラムは一般的に、創傷場所における血液供給源との良好な接続を形成する必要なしに、拡散によって、創傷場所で生存できる。したがって、皮下組織内の脂肪組織が幹細胞を含むので、皮下組織を微小移植片に含むことは有用であり得る。したがって、微小移植片の深さをドナー部位の真皮層の下側部分(例えば、真皮/脂肪層の境界線の近く)へ、およびさらに真皮/脂肪層の境界線にまで延長できる場合、微小移植片は幹細胞、例えば間充織幹細胞を含むことができる。これらの幹細胞は、それらを被移植者部位に分散しまたは挿入するときに、例示的な微小移植片の治癒および一体化を容易にすることができる。
【0095】
加えて、脂肪由来の幹細胞を採取する先行技術の方法は、幹細胞を脂肪組織から分離して精製することを必要としてきた。例えば、Katzの米国特許第6,777,231号を参照されたい。しかしながら、本開示の態様によると、幹細胞の治癒の利益は、幹細胞の処理、分離または精製なしで実現できる。微小移植片単独の脂肪組織内での幹細胞の存在は、微小移植片の高められた治癒および一体化に結びつき得る。したがって、少なくとも5%または10%脂肪、脂肪組織を微小移植片に含むことは、被移植者部位における幹細胞の利益を実現するために有益であり得る。したがって、本開示のいくつかの実施形態によると、脂肪組織層の脂肪細胞にアクセスするために、微小移植片は最大で4~5mmの長さとすることができる。
【0096】
ニードルの回転および作動
いくつかの実施形態において、個々のニードルを回転させることができる。これは、ギヤもしくはOリング、または任意の他の回転手段を用いることにより、ニードル配列全体を回転させることによって、生じさせることができる。ドナー部位にニードルが進入する際のニードルの回転は、低い力での皮膚の芯取りを可能にする。いくつかの実施形態において、回転の使用は、ニードルの真っ直ぐに切断された、鋭い刃の良好な使用を可能にする。
【0097】
いくつかの実施形態において、ニードルは電気ハンマーを用いてドナー部位に打ち込むことができる。この電気ハンマーは、プランジャを打撃して1秒につき複数回ニードルを動かす回転カムを有することができる。この実施形態において、自動ハンマーの使用は、ソレノイド作動よりもゆっくりとニードルをドナー部位に打ち込むことができる。
【0098】
本開示の更に例示的な実施形態において、本明細書に記載した例示的な方法および装置は、皮膚組織に加え、他の組織、例えば肝臓、心臓、その他といった内臓にも適用できる。したがって、ドナー部位の損傷をほとんど生じさせることなしにその迅速な治癒を容易にし、被移植者部位へ置くことに適した移植片組織を生じさせつつ、移植片を様々な組織のために形成できる。
【0099】
本明細書に記載した主題は、単独で、もしくはドナー部位からの組織の取り出しを容易にし、および/または被移植者部位もしくは他の部位に組織を分散させもしくは置くシステムとともに実行できる。開示された主題がその出願において、先の記述に述べられたまたは図面によって説明された、構造の詳細および構成要素の配置に制限されないことを理解されたい。開示された主題は他の実施形態が可能であり、かつ種々の手法で実践しかつ実行できる。また、本明細書に用いる語法および用語は説明のためであって限定するものとみなされるべきでないことは理解すべきである。
【0100】
このように、開示された主題のいくつかの目的を実行するために、この開示が基礎とする概念を他の構造、方法およびシステムを設計するための基礎として容易に利用できることは、当業者が認めるところである。したがって、それらが開示された主題の趣旨および範囲から逸脱しない限り、請求の範囲がそのような等価な構造を含むものと考えることが重要である。
【0101】
開示された主題を上記の例示的な実施形態において、記載しかつ説明してきたが、本開示が単なる例示としてなされたものであり、かつ開示された主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示された主題の実施の詳細に多数の変更をなし得ることは理解されよう。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H