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特許7459368プローブカード用アライメントチップ、プローブカード及びプローブカード補修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】プローブカード用アライメントチップ、プローブカード及びプローブカード補修方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240325BHJP
【FI】
G01R1/073 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023500448
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006256
(87)【国際公開番号】W WO2022176143
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000232405
【氏名又は名称】日本電子材料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004196
【氏名又は名称】弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-330626(JP,A)
【文献】特開平1-96944(JP,A)
【文献】特開平11-154694(JP,A)
【文献】特開2011-117761(JP,A)
【文献】特開2017-118138(JP,A)
【文献】国際公開第2008/120575(WO,A1)
【文献】特開2007-184417(JP,A)
【文献】米国特許第6429671(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 31/26
G01R 31/28
H01L 21/66
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカードを構成する配線基板のプローブ設置面に対し、接着剤を介して貼付される貼付面を有する基板と、
前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、
前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、
前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有し、
前記シンボル周辺領域には、樹脂膜が形成されていることを特徴とするプローブカード用アライメントチップ。
【請求項2】
プローブカードを構成する配線基板のプローブ設置面に対し、接着剤を介して貼付される貼付面を有する基板と、
前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、
前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、
前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有し、
前記金属膜が、露出する第1金属層と、第1金属層及び前記基板の間に形成される第2金属層とを備え、
第2金属層が、第1金属層よりもヤング率の高い材料からなり、前記第1金属層よりも厚く形成されていることを特徴とするプローブカード用アライメントチップ。
【請求項3】
プローブカードを構成する配線基板のプローブ設置面に対し、接着剤を介して貼付される貼付面を有する基板と、
前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、
前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、
前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有し、
前記プローブ設置面に予め形成されたアライメントシンボルを覆うように貼付されることを特徴とするプローブカード用アライメントチップ。
【請求項4】
プローブ用電極パッドが形成されたプローブ設置面を有する配線基板と、
前記プローブ用電極パッドに取り付けられるプローブと、
前記プローブ設置面に貼付されるアライメントチップと、を備え、
前記アライメントチップが、接着剤を介して前記プローブ設置面に貼付される貼付面を有する基板と、
前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、
前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、
前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有し、
前記シンボル周辺領域には、樹脂膜が形成されていることを特徴とするプローブカード。
【請求項5】
プローブ用電極パッドが形成されたプローブ設置面を有する配線基板と、
前記プローブ用電極パッドに取り付けられるプローブと、
前記プローブ設置面に貼付されるアライメントチップと、を備え、
前記アライメントチップが、接着剤を介して前記プローブ設置面に貼付される貼付面を有する基板と、
前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、
前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、
前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有し、
前記金属膜が、露出する第1金属層と、第1金属層及び前記基板の間に形成される第2金属層とを備え、
第2金属層が、第1金属層よりもヤング率の高い材料からなり、前記第1金属層よりも厚く形成されていることを特徴とするプローブカード。
【請求項6】
プローブ用電極パッドが形成されたプローブ設置面を有する配線基板と、
前記プローブ用電極パッドに取り付けられるプローブと、
前記プローブ設置面に貼付されるアライメントチップと、を備え、
前記アライメントチップが、接着剤を介して前記プローブ設置面に貼付される貼付面を有する基板と、
前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、
前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、
前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有し、
前記アライメントチップが、前記プローブ設置面に予め形成されたアライメントシンボルを覆うように貼付されていることを特徴とするプローブカード。
【請求項7】
プローブを取り付けるためのプローブ用電極パッドと、検査前に位置合わせを行うための第1アライメントシンボルとが形成されたプローブ設置面を有する配線基板を備えたプローブカードを補修するプローブカード補修方法であって、
接着剤を用いて前記プローブ設置面にアライメントチップを貼付し、前記アライメントチップが前記第1アライメントシンボルを覆うとともに、前記アライメントチップの前記配線基板とは反対側のシンボル面に形成された第2アライメントシンボルが、前記第1アライメントシンボルに重ねて配置されることを特徴とするプローブカード補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカード用アライメントチップ、プローブカード及びプローブカード補修方法に係り、更に詳しくは、プローブカードの配線基板に貼付され、配線基板上にアライメントシンボルを表示するためのアライメントチップ、当該アライメントチップを備えたプローブカード、並びに、当該アライメントチップを用いてプローブカードを補修する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プローブカードは、半導体ウエハ上に形成された半導体デバイスの電気的特性を検査する際に使用される検査装置であり、半導体ウエハ上の電極パッドにそれぞれ接触させる多数のプローブが配線基板上に設けられている。また、配線基板のプローブ設置面には、位置合わせのためのアライメントシンボルが形成されている。
【0003】
半導体デバイスの検査は、プローブカードに半導体ウエハを近づけてプローブの先端を半導体ウエハ上の電極パッドに接触させ、プローブ及び配線基板を介してテスター装置を半導体デバイスと導通させることにより行われる。また、検査前にアライメントシンボルをカメラで撮影することにより、プローブの先端が電極パッドに接触するようにプローブカードと半導体ウエハの位置合わせ(アライメント)が行われる。
【0004】
図8は、従来のプローブカードを構成する配線基板14の一例を示した図であり、プローブが設置されるプローブ設置面17を平面視した様子を示した図である。プローブ設置面17上には、多数のプローブ用電極パッド15と、4つのアライメントシンボル30とが形成され、各プローブ用電極パッド15には、プローブ16がそれぞれ取り付けられている。プローブ16は、検査対象物である半導体ウエハの電極パッドに対応する位置に配置されている。アライメントシンボル30は、配線基板14の外周縁部に略等間隔となるように形成されている。
【0005】
プローブ用電極パッド15及びアライメントシンボル30は、電気めっき法やエッチング法を用いたフォトリソグラフィ処理によりプローブ設置面17上に形成される金属膜である。アライメントシンボル30は、高い反射率を有する金属材料からなり、予め定められた幾何学図形の平面形状を有する薄膜、例えば、円環形状のAu膜である。
【0006】
シンボル周辺領域31は、アライメントシンボル30を取り囲む領域であり、アライメントシンボル30よりも低い反射率を有する。アライメントシンボル30及びシンボル周辺領域31の反射率を異ならせることにより、カメラ撮影で取得した撮影画像からアライメントシンボル30を容易に識別することができる。
【0007】
図9の(a)~(d)は、アライメントシンボル30及びシンボル周辺領域31に生じ得る様々な状態を示した図である。図中の(a)は、正常なアライメントシンボル30の様子が示されている。図中の(b)は、シンボル周辺領域31内に異物32が付着した場合の例である。異物32の反射率が高い場合、アライメントシンボル30が正しく認識できないおそれがある。図中の(c)は、シンボル周辺領域31にシミ33が発生し、シンボル周辺領域31内において反射率のばらつきが発生した場合の例である。この場合も、アライメントシンボル30が正しく認識できないおそれがある。図中の(d)は、アライメントシンボル30に傷34が発生した場合の例である。アライメントシンボルの形状が変化し、アライメントシンボル30が正しく認識できないおそれがある。
【0008】
アライメントシンボル30又はシンボル周辺領域31に傷や汚れなどの欠陥が発見された場合、配線基板14の全体を再製作する必要があるという問題があった。アライメントシンボル30は、フォトリソグラフィ処理により配線基板14上に形成されるため、欠陥が見つかったアライメントシンボル30を補修することができない。このため、アライメントシンボル30などに欠陥があれば、プローブ用電極パッド15には問題がない場合であっても、不良品として破棄する必要があり、配線基板14の歩留まりを低下させる一因になっているという問題があった。
【0009】
アライメントシンボルを形成する従来の方法として、シート状部材を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、光非反射面又は光拡散面を有するシート状部材を貼着して配線基板の光反射面を覆った後、レーザー加工によりシート状部材に開口を形成して光反射面を部分的に露出させることにより、配線基板上にアライメントシンボルを形成する方法が記載されている。
【0010】
この方法によりアライメントシンボルを形成しようとすれば、シート状部材を貼着する工程や、レーザー照射により開口する工程が必要になる。その結果、製造工程が複雑化するとともに製造工程を自動化することが難しくなり、生産効率の低下や歩留まりの低下を招くと考えられる。
【0011】
また、この方法は、アライメントシンボル又はシンボル周辺領域に欠陥がある場合の補修方法ではないが、シート状部材を貼着することにより、シンボル周辺領域の欠陥の補修にも適用可能であると考えられる。しかしながら、レーザーによる開口工程が必要であることに変わりはなく、補修コストを抑制することが難しいと考えられる。また、シート状部材の開口がアライメントシンボルの外縁を規定していることから、アライメントシンボルの補修に適用した場合、元のアライメントシンボルの外縁と、シート状部材の開口とが完全に一致していなければ、アライメントシンボルの形状に歪みが生じると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2001-330626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、プローブカードの配線基板上にアライメントシンボルを形成するためのアライメントチップを提供することを目的とする。特に、アライメントシンボル又はその周辺領域に発生した欠陥を補修するためのアライメントチップを提供することを目的とする。
【0014】
また、アライメントチップを用いて、配線基板上にアライメントシンボルが形成されたプローブカードを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、アライメントチップを用いて、アライメントシンボル又はその周辺領域に欠陥が発生したプローブカードを補修するプローブカード補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の本発明の実施態様によるプローブカード用アライメントチップは、プローブカードを構成する配線基板のプローブ設置面に対し、接着剤を介して貼付される貼付面を有する基板と、前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有するように構成される。
【0017】
このような構成を採用することにより、配線基板上の所定の位置にアライメントチップを貼付することにより、配線基板上にアライメントシンボルを容易に形成することができる。また、アライメントシンボル又はシンボル周辺領域に欠陥がある配線基板に対し、アライメントチップを貼付することにより、配線基板を容易に補修することができる。
【0018】
第2の本発明の実施態様によるプローブカード用アライメントチップは、上記構成に加えて、前記シンボル周辺領域には、樹脂膜が形成されているように構成される。
【0019】
第3の本発明の実施態様によるプローブカード用アライメントチップは、上記構成に加えて、前記金属膜が、露出する第1金属層と、第1金属層及び前記基板の間に形成される第2金属層とを備え、第2金属層が、第1金属層よりもヤング率の高い材料からなり、前記第1金属層よりも厚く形成されている。このような構成を採用することにより、アライメントチップの強度を確保することができる。
【0020】
第4の本発明の実施態様によるプローブカード用アライメントチップは、上記構成に加えて、前記基板が、厚さが450μm以下であるように構成される。
【0021】
第5の本発明の実施態様によるプローブカード用アライメントチップは、上記構成に加えて、前記アライメントチップが、前記プローブ設置面に予め形成されたアライメントシンボルを覆うように貼付される。
【0022】
第6の本発明の実施態様によるプローブカードは、プローブ用電極パッドが形成されたプローブ設置面を有する配線基板と、前記プローブ用電極パッドに取り付けられるプローブと、前記プローブ設置面に貼付されるアライメントチップとを備え、前記アライメントチップが、接着剤を介して前記プローブ設置面に貼付される貼付面を有する基板と、前記基板の貼付面とは反対側のシンボル面に形成された金属膜からなるアライメントシンボルとを備え、前記シンボル面が、前記アライメントシンボルを取り囲むシンボル周辺領域を備え、前記シンボル周辺領域が、前記アライメントシンボルよりも低い反射率を有する。
【0023】
第7の本発明の実施態様によるプローブカード補修方法は、プローブを取り付けるためのプローブ用電極パッドと、検査前に位置合わせを行うための第1アライメントシンボルとが形成されたプローブ設置面を有する配線基板を備えたプローブカードを補修するプローブカード補修方法であって、接着剤を用いて前記プローブ配置面にアライメントチップを貼付し、前記アライメントチップが前記第1アライメントシンボルを覆うとともに、前記アライメントチップの前記配線基板とは反対側のシンボル面に形成された第2アライメントシンボルが、前記第1アライメントシンボルに重ねて配置されるように構成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プローブカードの配線基板上にアライメントシンボルを形成するためのアライメントチップを提供することができる。特に、アライメントシンボル又はその周辺領域に発生した欠陥を補修するためのアライメントチップを提供することができる。
【0025】
また、アライメントチップを用いて、配線基板上にアライメントシンボルが形成されたプローブカードを提供することができる。
【0026】
さらに、アライメントチップを用いて、アライメントシンボル又はその周辺領域に欠陥が発生したプローブカードを補修するプローブカード補修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態1によるアライメントチップが適用されるプローブカード10の概略構成の一例を示した図である。
図2】アライメントチップ5Aの一構成例を示した図である。
図3】プローブカード補修方法の概要を示した図である。
図4】アライメントチップ5Aを用いたプローブカード補修方法の一例を示した図である。
図5】アライメントチップ5Aの製造工程の一例を順に示した図である。
図6】本発明の実施の形態2によるアライメントチップ5Bの一構成例を示した図である。
図7】アライメントチップ5Bの製造工程の一例を順に示した図である。
図8】従来のプローブカードを構成する配線基板の一例を示した図である。
図9】アライメントシンボル30及びシンボル周辺領域31に生じ得る様々な状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1.
(1)プローブカード10
図1は、本発明の実施の形態1によるアライメントチップが適用されるプローブカード10の概略構成の一例を示した図である。プローブカード10は、プローブ設置面17を下に向けた状態でウエハプローバーに取り付けられ、ステージ26上に載置された半導体ウエハ20の電極パッド21と対向し、ステージ26を上下動することにより、プローブ16を電極パッド21に接触させることができる。
【0029】
プローブカード10は、メイン基板11、補強板12、インターポーザー13、ST(Space transformer)基板14及び2以上のプローブ16により構成される。
【0030】
メイン基板11は、ウエハプローバーに着脱可能に取り付けられる配線基板であり、例えば、円板状のガラスエポキシ基板が用いられる。メイン基板11は、下面の外周縁部がウエハプローバーのカードホルダ25により支持され、略水平に配置される。メイン基板11の上面の中央部には、メイン基板11の歪みを抑制するための補強板12が取り付けられ、上面の外周縁部には、テスター装置(不図示)の信号端子が接続される2以上の外部端子11tが設けられている。
【0031】
インターポーザー13は、メイン基板11及びST基板14間に配置され、メイン基板11の配線及びST基板14の配線を導通させる基板間の接続手段であり、例えば、多数のポゴピンを備えている。
【0032】
ST基板14は、電極ピッチを変換する多層配線基板、例えば、2以上のセラミック板を貼り合わせた積層板である。ST基板14は、インターポーザー13を介して、メイン基板11の下面側に配置される。プローブ設置面17は、ST基板14の下面であり、多数のプローブ用電極パッド15と、4つのアライメントシンボル30とが形成されている。プローブ用電極パッド15及びアライメントシンボル30は、電気めっき法又はエッチング法を用いたフォトリソグラフィ処理によりプローブ設置面17上に形成される金属膜である。プローブ用電極パッド15は、プローブが接続される電極であり、半導体ウエハ20上の電極パッド21に対応するように形成されている。
【0033】
ステージ26は、半導体ウエハ20の載置台であり、水平面内における移動及び回転、並びに、上下方向の移動が可能である。カメラ27は、アライメントシンボル30を撮影する撮像手段であり、ステージ26を移動させながら撮影することにより、アライメントシンボル30の位置を検知し、プローブカード10に対する半導体ウエハ20の位置合わせを行う。
【0034】
アライメントシンボル30又はその周辺領域に欠陥があり、撮影画像からアライメントシンボル30を抽出することができない場合、後述するアライメントチップを用いた補修が行われる。補修は、4つのアライメントシンボル30のうち、欠陥が生じている1又は2以上のアライメントシンボル30に対して行われ、欠陥が生じていない他のアライメントシンボル30に対しては行われない。
【0035】
(2)アライメントチップ5A
図2は、アライメントチップ5Aの一構成例を示した図であり、図中の(a)は、シンボル面を平面視した図であり、(b)は、A-A切断線により切断したときの様子を示した断面図(A-A断面図)である。
【0036】
アライメントチップ5Aは、プローブカード10を補修するための補修部材であり、アライメントシンボル501が形成されたシンボル面と、シンボル面とは反対側の面であって、ST基板14に貼付される貼付面とを有する。シンボル面は、高い反射率の領域であるアライメントシンボル501と、低い反射率の領域であるシンボル周辺領域502とに区分されている。
【0037】
アライメントシンボル501は、高い反射率を有する金属材料からなり、予め定められた幾何学図形の平面形状を有する薄膜、例えば、円環形状のAu膜である。アライメントシンボル501の平面形状は、ST基板14上に形成された元のアライメントシンボル30と同一であることが望ましく、また、金属材料及び表面状態も同一であることが望ましい。
アライメントシンボル501は、高い反射率を有する金属材料からなり、予め定められた幾何学図形の平面形状を有する薄膜、例えば、円環形状のAu膜である。アライメントシンボル501の平面形状は、ST基板14上に形成された元のアライメントシンボル30と同一であることが望ましく、また、金属材料及び表面状態も同一であることが望ましい。
【0038】
シンボル周辺領域502は、低い反射率を有する樹脂材料からなり、アライメントシンボル501以外の領域に形成される薄膜、例えば、ポリイミド膜である。シンボル周辺領域502は、少なくともアライメントシンボル501を取り囲む領域であり、アライメントシンボル501が円環形状である場合のように中空領域を有する場合、当該中空領域にも形成される。
【0039】
図2(b)に示した通り、アライメントチップ5Aは、セラミック又はシリコンの基板51と、基板51上に形成されたアライメントシンボル501に対応する金属膜52と、基板51上に形成されたシンボル周辺領域502に対応する樹脂膜53とを備える。金属膜52は、1又は2以上の金属層により構成することができ、樹脂膜53も1又は2以上の樹脂層により構成することができる。
【0040】
アライメントチップ5Aは、検査時において半導体チップウエハに接触しない厚さである必要がある。検査時は、プローブ16に半導体ウエハ20を近づけて行き、プローブ16の先端が半導体ウエハ20の電極パッド21に接触し始める位置に到達した後、更に一定距離だけ近づけてプローブ16を弾性変形させるオーバードライブが行われる。このため、プローブ設置面に貼付したアライメントチップ5Aが、オーバードライブにより弾性変形したプローブ16の高さを越えないようにする必要がある。例えば、アライメントチップの厚さは、500μm以下にすることが望ましく、基板51の厚さを450μm以下、金属膜52及び樹脂膜53の膜厚を50μm以下にすることが望ましい。
【0041】
(3)プローブ補修方法
図3及び図4は、アライメントチップ5Aを用いたプローブカード補修方法の一例を示した図である。
【0042】
図3には、プローブカード補修方法の概要が示されている。図示したST基板14は、シンボル周辺領域31の一つに高い反射率の異物32が付着する欠陥が発生している。このため、アライメントチップ5Aを貼付することにより、ST基板14の補修が行われる。補修対象となるST基板14は、プローブ16の取り付け前のものであることが望ましいが、プローブ16の取り付け後のものであってもよい。
【0043】
図4は、アライメントチップ5Aに垂直な切断したときの断面図であり、(a)は補修前の断面図、(b)は補修後の断面図が示されている。アライメントチップ5Aは、接着剤54を介して、ST基板14のプローブ設置面上に貼付され、欠陥が生じたアライメントシンボル30及びシンボル周辺領域31を覆う。
【0044】
アライメントチップ5Aの貼付面に接着剤54を塗布した後、ST基板14に対し正確に位置合わせを行いながら、ST基板14上の所定の位置にアライメントチップ5Aが貼付される。
【0045】
アライメントチップ5Aは、アライメントシンボル501がST基板14上の元のアライメントシンボル30と一致するように貼付される。ただし、貼付時には、元のアライメントシンボル30が、貼付しようとするアライメントチップ5Aによって隠れてしまう。このため、顕微鏡のターゲットマークをST基板14上におけるアライメントチップ5Aの貼付位置に合わせ、顕微鏡の接眼レンズを覗きながら、アライメントチップ5Aの貼付作業が行われる。
【0046】
アライメントチップ5Aの位置合わせは、例えば、XY方向のマイクロメータが取り付けられたステージと、ハイソメット(光学式焦点位置検出方式の非接触段差測定顕微鏡)を用いて行われる。ステージ上に載置されたST基板14をハイソメットで観察し、プローブ16の先端にターゲットマークを一致させる。その後、マイクロメータを操作し、プローブ16の先端からXY方向に所定の距離だけステージを移動させることにより、ターゲットマークがアライメントチップ5Aの貼付位置を指示している状態にする。この状態でハイソメットの接眼レンズを覗きながらアライメントチップ5Aの貼付作業が行われる。
【0047】
ここでは、接着剤54をアライメントチップ5Aの貼付面に塗布する方法について記載したが、ST基板14上のアライメントチップ5Aの貼付位置に塗布することもできる。また、これらの両方に塗布することもできる。
【0048】
(4)アライメントチップ5Aの製造方法
図5の(a)~(f)は、アライメントチップ5Aの製造工程の一例を順に示した図である。
【0049】
図5(a)には、基板51上にフォトレジスト60が選択的に形成された状態が示されている。フォトレジスト60は、基板51の全面に形成された後、選択的露光及び現像が行われて、アライメントシンボル501に対応する領域のみが残され、シンボル周辺領域502に対応する領域には、基板51を露出させる開口601が形成される。
【0050】
図5(b)には、基板51上に樹脂層61が選択的に形成された状態が示されている。フォトレジスト60が選択的に形成された基板51上に樹脂層61を形成し、フォトレジスト60を除去することにより、樹脂層61は、シンボル周辺領域502に対応する領域のみが残され、アライメントシンボル501に対応する領域には、基板51を露出させる開口602が形成される。
【0051】
図5(c)には、基板51の全面にシード層62が形成された状態が示されている。シード層62は、スパッタリングにより形成される薄い金属層である。
【0052】
図5(d)には、電気めっき法により、基板51の全面に第1金属層630が形成された状態が示されている。第1金属層630には、比較的大きなヤング率を有する金属材料、例えば、銅(Cu)やニッケル・コバルト合金(NiCo)が用いられる。
【0053】
図5(e)には、第1金属層630が形成された基板51の全面を研磨した状態が示されている。研磨処理により基板51の表面が平坦化される。この研磨処理は、樹脂層61が露出するまで行われ、第1金属層630は、シンボル周辺領域502に対応する領域から除去される一方、アライメントシンボル501に対応する領域において露出している状態になる。
【0054】
図5(f)には、アライメントシンボル501に対応する領域に第2金属層631及び第3金属層632が順に形成された状態が示されている。第2金属層631及び第3金属層632は、電気めっき法により形成される。露出する第3金属層632には、高い反射率を有する金属材料、例えば金(Au)が用いられている。
【0055】
シード層62及び第1~第3金属層630~632は、金属膜52を構成する。第1金属層630は、第3金属層632と比べて大きなヤング率を有する金属材料からなり、第3金属層632よりも厚い層として形成される。このため、金属膜52が、例えば、第3金属層632の金属材料のみで構成される場合に比べて、アライメントチップ5Aの機械的強度を確保することができる。
【0056】
アライメントチップ5Aは、基板51に対しフォトリソグラフィ処理を行うことにより形成することができる。このため、既存の製造技術を用いて容易に製造することができる。また、同一の基板51上に多数のアライメントチップ5Aを同時に形成した後、ダイシングにより各アライメントチップ5Aに分離することができる。このため、アライメントチップ5Aを安価に製造することができる。また、ST基板14への貼付後に、従来技術の場合のようなレーザー加工を行う必要がなく、簡便かつ安価に配線基板を補修することができる。
【0057】
実施の形態2.
本実施の形態では、アライメントチップ5Aの他の例として、アライメントシンボル501の形状が異なり、かつ、製造方法が異なるアライメントチップ5Bの例について説明する。なお、本実施の形態では、主にアライメントチップ5Aとの相違点について説明し、重複する説明は省略する。
【0058】
(5)アライメントチップ5B
図6は、実施の形態2によるアライメントチップ5Bの一構成例を示した図であり、図中の(a)は、シンボル面を平面視した図であり、(b)は、B-B切断線により切断したときの様子を示した断面図(B-B断面図)である。
【0059】
図6(a)に示す通り、アライメントシンボル501は、互いに直交する2つの長方形で構成される十字形状の平面形状を有する。
【0060】
図6(b)に示す通り、アライメントチップ5Aは、セラミック又はシリコンの基板51と、基板51上に形成されたベース金属膜55と、ベース金属膜55上に形成された金属膜52及び樹脂膜53とを備える。ベース金属膜55は、1又は2以上の金属層により構成することができる。
【0061】
(4)アライメントチップ5Bの製造方法
図7の(a)~(d)は、アライメントチップ5Bの製造工程の一例を順に示した図である。
【0062】
図7(a)には、基板51の全面にベース金属膜55が形成された状態が示されている。ベース金属膜55には、比較的大きなヤング率を有する金属材料、例えば、銅(Cu)が用いられる。
【0063】
図7(b)には、ベース金属膜55上にフォトレジスト60が選択的に形成された状態が示されている。フォトレジスト60は、基板51の全面に形成された後、選択的露光及び現像が行われて、アライメントシンボル501に対応する領域のみが残され、シンボル周辺領域502に対応する領域には、ベース金属膜55を露出させる開口601が形成される。
【0064】
図7(c)には、ベース金属膜55上に樹脂層61が選択的に形成された状態が示されている。フォトレジスト60が選択的に形成された基板51上に樹脂層61を形成し、フォトレジスト60を除去することにより、樹脂層61は、シンボル周辺領域502に対応する領域のみが残され、アライメントシンボル501に対応する領域には、ベース金属膜55を露出させる開口602が形成される。
【0065】
図7(d)には、アライメントシンボル501に対応する領域に第2金属層631及び第3金属層632が順に形成された状態が示されている。第2金属層631及び第3金属層632は、電気めっき法により形成される。露出する第3金属層632には、高い反射率を有する金属材料、例えば金(Au)が用いられている。
【0066】
第2及び第3金属層631,632は、金属膜52を構成する。ベース金属膜55は、第3金属層632と比べて大きなヤング率を有する金属材料からなり、第3金属層632よりも厚い層として形成される。アライメントシンボル501は、金属膜52と、金属膜52と重複するベース金属膜55の一部とにより構成され、アライメントシンボル501を構成する金属膜が、例えば、第3金属層632の金属材料のみで構成される場合に比べて、アライメントチップ5Bの機械的強度を確保することができる。
【0067】
上記実施の形態では、アライメントシンボル501の形状が円環形状及び十字形状である場合の例について説明したが、本発明はこのような場合のみに限定されない。アライメントシンボル501の継受として、任意の形状を採用することができる。
【0068】
また、上記実施の形態では、ST基板14上に形成されたアライメントシンボル30又はシンボル周辺領域31に欠陥があった場合に、アライメントチップ5A又は5Bを貼付し、当該欠陥を補修する場合の例について説明したが、本発明はこのような場合のみに限定されない。例えば、アライメントシンボル30が形成されていないST基板14に対し、アライメントチップ5A又は5Bを貼付し、ST基板14の製作後にアライメントシンボル501を追加的に形成することもできる。さらに、アライメントシンボル30が形成されたST基板14上に対し、異なる形状のアライメントシンボル501が形成されたアライメントチップ5A又は5Bを貼付し、ST基板14の製作後にアライメントシンボルの形状を変更することもできる。
【0069】
アライメントチップ5A,5Bは、プローブ16の取り付け前のST基板14に対し貼付することが望ましいが、プローブ16の取り付け後のST基板14に対し貼付することもできる。また、アライメントチップ5A,5Bは、元のアライメントシンボル30を完全に覆うものであることが望ましいが、元のシンボル周辺領域31を完全に覆うものでなくてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 プローブカード
11 メイン基板
13 インターポーザー
14 ST基板(配線基板)
15 プローブ用電極パッド
16 プローブ
17 プローブ設置面
20 半導体ウエハ
21 電極パッド
30 アライメントシンボル
31 シンボル周辺領域
5A,5B アライメントチップ
501 アライメントシンボル
502 シンボル周辺領域
51 基板
52 金属膜
53 樹脂膜
54 接着剤
55 ベース金属膜
60 フォトレジスト
601,602 開口
61 樹脂層
62 シード層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9