(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/68 20140101AFI20240325BHJP
E05B 79/08 20140101ALI20240325BHJP
【FI】
E05B81/68
E05B79/08
(21)【出願番号】P 2023510298
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2022001053
(87)【国際公開番号】W WO2022209139
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2021057603
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】赤木 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩平
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-4537(JP,A)
【文献】米国特許第6848727(US,B1)
【文献】特開2016-53247(JP,A)
【文献】特開2010-121321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 81/68
E05B 79/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたストライカに係合するラッチ位置と、前記ストライカに対する係合が解除されるオープン位置との間を回転可能な、フォークと、
前記フォークを係止する係止位置と、前記フォークへの係止を解除する係止解除位置との間を回転可能な、クローと、
前記ストライカの移動方向に直交する方向における第1方向に位置する第1空間と、第1方向とは反対側の第2方向に位置する第2空間とを有しており、前記第1空間において前記フォーク及び前記クローが回転可能に保持された、フェンスブロックと、
前記フォーク及び前記クローの少なくとも一方に一体的に設けられており、前記第2方向へ延びる、磁性体と、
前記フォークが前記ラッチ位置及び前記オープン位置の少なくともいずれか一方に位置するとき、及び/又は、前記クローが前記係止位置及び前記係止解除位置の少なくともいずれか一方に位置するときに、前記磁性体に対して対向するように、前記フェンスブロックに対して前記第2方向に配置された、磁気検出部と
を備えたドアラッチ装置。
【請求項2】
前記フェンスブロックに対して前記第2方向に配置された回路基板をさらに備え、
前記磁気検出部は、前記回路基板に配置されている、
請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項3】
前記フェンスブロックの前記第2空間を前記第2方向から閉止する第1カバーと、
前記第1カバーに対して前記フェンスブロックとは反対側に取り付けられて、前記第1カバーとの間に周囲に対して隔離された第3空間を構成する、第2カバーと
をさらに備え、
前記回路基板は前記第3空間に収容されている、
請求項2に記載のドアラッチ装置。
【請求項4】
前記フォークを回転自在に支持しており、前記フェンスブロックに対して前記第1方向に位置するフォーク軸第1端部と、前記フォーク軸第1端部から前記フェンスブロックを前記第2方向に貫通して延びた端部に位置するフォーク軸第2端部とを有する、フォーク軸と、
前記クローを回転自在に支持しており、前記フェンスブロックに対して前記第1方向に位置するクロー軸第1端部と、前記クロー軸第1端部から前記フェンスブロックを前記第2方向に貫通して延びた端部に位置するクロー軸第2端部とを有する、クロー軸と、
前記フェンスブロックに対して前記第1方向に位置しており、前記フォーク軸第1端部及び前記クロー軸第1端部を支持する、第1プレートと、
前記フェンスブロックに対して前記第2方向に位置しており、前記フォーク軸第2端部及び前記クロー軸第2端部を支持する、第2プレートと
をさらに備え、
前記第2プレートは、前記フォーク軸及び前記クロー軸の少なくとも一方の回転に伴う、前記磁性体の移動軌跡に対向する部分が切り欠かれた切欠部が設けられている、
請求項1~3のいずれか1つに記載のドアラッチ装置。
【請求項5】
前記第2プレートは金属製であり、
前記磁性体は、前記切欠部よりも前記第2方向へ突出している、
請求項4に記載のドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラッチ位置とオープン位置との間を回転可能なフォークと、フォークに係止する係止位置と該係止を解除する係止解除位置との間を回転可能なクローとを備えたドアラッチ装置が開示されている。該ドアラッチ装置は、フォーク及びクローそれぞれと一体的に回転する一対のレバーと、該一対のレバーそれぞれに形成されたカム山によって操作される複数のスイッチとをさらに備えている。
【0003】
上記ドアラッチ装置では、フォーク及びクローの回転に伴って各レバーを介して各スイッチが操作されることにより、各スイッチがオン/オフ操作されて、該各スイッチのオン/オフに基づいて、フォーク及びクローの各回転位置が検出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ドアラッチ装置では、カム山を有するレバーを配設するためのスペースを要するため小型化しにくい。
【0006】
本発明は、ドアラッチ装置を小型化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
車体に設けられたストライカに係合するラッチ位置と、前記ストライカに対する係合が解除されるオープン位置との間を回転可能な、フォークと、
前記フォークを係止する係止位置と、前記フォークへの係止を解除する係止解除位置との間を回転可能な、クローと、
前記ストライカの移動方向に直交する方向における第1方向に位置する第1空間と、第1方向とは反対側の第2方向に位置する第2空間とを有しており、前記第1空間において前記フォーク及び前記クローが回転可能に保持された、フェンスブロックと、
前記フォーク及び前記クローの少なくとも一方に一体的に設けられており、前記第2方向へ延びる、磁性体と、
前記フォークが前記ラッチ位置及び前記オープン位置の少なくともいずれか一方に位置するとき、及び/又は、前記クローが前記係止位置及び前記係止解除位置の少なくともいずれか一方に位置するときに、前記磁性体に対して対向するように、前記フェンスブロックに対して前記第2方向に配置された、磁気検出部と
を備えたドアラッチ装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、磁性体を磁気検出部によって検出することにより、フォーク及び/又はクローの位置を容易に検出できる。しかも、フォーク及び/又はクローにレバーを設けることを要しない。よって、ドアラッチ装置は、配設スペースを多く要するレバーが不要になるので、部品点数が低減すると共にレイアウト性を向上でき、小型化しやすい。また、磁気検出部は、フォーク及び/又はクローと非接触であるため、ドア閉め時に発生するストライカとフォークとの衝突による衝撃を直接受けることはなく、耐久性を向上できる。
【0009】
さらに、磁性体はフォーク及び/又はクローに一体的に設けられているので、磁性体を強度部材としても使用することができる。例えば、磁性体に、クローを係止解除位置から係止位置へ付勢するスプリングの一端部を係止したり、クローを係止位置から係止解除位置へ回転させるための外力が作用する入力部を構成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドアラッチ装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るドアラッチ装置の正面斜視図。
【
図2】第1プレートが省略されたドアラッチ装置の正面図。
【
図3】回路部が省略されたドアラッチ装置の背面斜視図。
【
図5】フェンスブロックと分解された回路部を示す斜視図。
【
図6】第2プレート、磁性体及び回路部を示す、正面図。
【
図7】フェンスブロックが省略されたドアラッチ装置の側面図。
【
図8A】オープン位置における、フォーク及びクローの正面図。
【
図8B】ハーフラッチ位置における、フォーク及びクローの正面図。
【
図9A】変形例に係るドアラッチ装置の、オープン位置におけるフォーク及びクローの正面図。
【
図9B】変形例に係るドアラッチ装置の、ハーフラッチ位置におけるフォーク及びクローの正面図。
【
図10】さらなる変形例に係るドアラッチ装置の背面斜視図。
【
図11】さらなる他の変形例に係るドアラッチ装置の
図7と同様の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にドアラッチ装置を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るドアラッチ装置100を正面側から見た斜視図である。
図1に示されるように、ドアラッチ装置100は、フェンスブロック40と、フェンスブロック40の正面側に配置された第1プレート1と、フェンスブロック40の背面側に配置された回路部50とを有している。
図2は、第1プレートを省略して示すドアラッチ装置100の正面図である。
図2に示されるように、ドアラッチ装置100は、フォーク10とクロー20とを有している。
【0014】
後述するように、フォーク10は、車体に設けられたストライカ91に係合するラッチ位置(
図2)と、ストライカ91に対する係合が解除されるオープン位置(
図8A参照)との間を回転自在に設けられている。クロー20は、フォーク10に係止する係止位置(
図2)と、フォーク10への係止を解除する係止解除位置(
図8A参照)との間を回転自在に設けられている。
【0015】
ドアラッチ装置100は、ストライカ91に係合したフォーク10を、係止位置に位置するクロー20によってラッチ位置に保持することにより、不図示のドアが閉状態に維持されている。一方、クロー20を係止解除位置に位置させることによってフォーク10をオープン位置に移動させることにより、フォーク10によるストライカ91の係合が解除され、不図示のドアを開くことができる。
【0016】
以下の説明では、
図1において、ドアラッチ装置100の正面側から背面側へ向かう方向をX方向、X方向に直交しておりドアの開閉にしたがってストライカ91が移動する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向(
図1における上下方向)をZ方向と称する。また、X方向について、正面側をX1方向とし、背面側をX2方向とする。Y方向について、
図1において、左側をY1方向とし、右側をY2方向とする。Z方向について、
図1において、上側をZ1方向とし、下側をZ2方向とする。
【0017】
図1に示されるように、第1プレート1は、Y方向及びZ方向に平行な平面に沿って概ね延びて、フェンスブロック40をX1方向から覆っている。第1プレート1には、Z方向の略中央部にY方向に延びておりX方向に貫通したストライカ挿通切欠1aと、ストライカ挿通切欠1aに対して、Z1方向に位置しておりX方向に貫通した第1挿通孔1bと、Z2方向に位置しておりX方向に貫通した第2挿通孔1cとが形成されている。ストライカ挿通切欠1aには、ドアの開閉時にストライカ91(
図2参照)がY方向に移動する。
【0018】
図3はドアラッチ装置100を背面側から見た斜視図であり、
図4はフェンスブロック40の単体をX1方向からみた斜視図である。なお、
図3において回路部50が省略されている。
図3及び
図4に示されるように、フェンスブロック40は、X方向から見て矩形状の断面形状を有しておりX方向に延びる外周壁部41と、外周壁部41のX方向の略中央に位置しており外周壁部41の内側をX方向の両側に隔てる隔壁部42とを有している。
【0019】
フェンスブロック40の内側には、隔壁部42に対して、X1方向に第1空間V1が構成されており、X2方向に第2空間V2が構成されている。
【0020】
フェンスブロック40には、第1空間V1において、X2方向に凹設されており、外周壁部41を貫通してY方向に延びるストライカ挿通溝43が形成されている。ストライカ挿通溝43は、第1プレート1に形成されたストライカ挿通切欠1aに対してX方向に対向している。
【0021】
図4に示されるように、隔壁部42には、ストライカ挿通溝43に対してZ1方向側においてX方向に貫通する第1挿通孔44と、ストライカ挿通溝43に対してZ2方向側においてX方向に貫通する第2挿通孔45とが形成されている。さらに、隔壁部42には、第1挿通孔44の周囲においてX方向に貫通した第1開口部47と、第2挿通孔45の周囲においてX方向に貫通した第2開口部48とが、形成されている。
【0022】
第1開口部47は、第1挿通孔44を中心とする円弧方向に延びており、第1挿通孔44に対してZ1方向に位置する一端部からY2方向に向かってZ2方向に湾曲している。第2開口部48は、第2挿通孔45を中心とする円弧状に延びており、第2挿通孔45に対してY2方向に位置する一端部から、Z2方向に向かってY1方向に湾曲している。
【0023】
図2を併せて参照して、フェンスブロック40には、隔壁部42をX方向に貫通する、フォーク軸3及びクロー軸4が配置されている。フォーク軸3は第1挿通孔44(
図4参照)に挿通されている。クロー軸4は第2挿通孔45(
図4参照)に挿通されている。フォーク10は、第1空間V1においてフォーク軸3に回転可能に軸支されている。クロー20は、第1空間V1においてクロー軸4に回転可能に軸支されている。よって、第1空間V1にフォーク10およびクロー20が回転可能に保持されている。
【0024】
図3に示されるように、第2空間V2には、第2プレート2が配置されている。本実施形態では、第2プレート2は金属製である。第2プレート2は、Y方向及びZ方向に平行な平面に沿って概ねZ方向に延びている。第2プレート2には、Z1方向の端部にX方向に貫通した第1挿通孔2aと、Z2方向の端部にX方向に貫通した第2挿通孔2bとが形成されている。第1挿通孔2a及び第2挿通孔2bはそれぞれ、第1プレート1に形成された第1挿通孔1b(
図1参照)及び第2挿通孔1c(
図1参照)にX方向に対向している。
【0025】
図1及び
図3を参照して、フォーク軸3及びクロー軸4は、X方向の両端部が第1プレート1及び第2プレート2に対して固定されている。具体的には、フォーク軸3及びクロー軸4は、第1プレート1の第1挿通孔1b及び第2挿通孔1cをX1方向に貫通したフォーク軸第1端部3a及びクロー軸第1端部4aにおいて第1プレート1に対して加締めにより固定されている。また、フォーク軸3及びクロー軸4は、第2プレート2の第1挿通孔2a及び第2挿通孔2bをX2方向に貫通したフォーク軸第2端部3b及びクロー軸第2端部4bにおいて第2プレート2に対して加締めにより固定されている。
【0026】
上述したように、
図2は、フォーク10がストライカ91に係合した状態を示している。
図2示す状態において、フォーク10は、ラッチ位置に位置しており、下方が開いたU字状に形成されている。クロー20は、係止位置に位置しており、Y方向に延びるI字状に形成されている。
【0027】
フォーク10は、Y1方向側においてZ方向に延びる第1フォーク11と、Y2方向側おいてZ方向に延びる第2フォーク12と、第1フォーク11及び第2フォーク12のZ1方向の端部をY方向に連結するフォーク連結部13とを有している。
【0028】
第1フォーク11は、Z2方向の端部におけるY1方向の側面に第1当接部11aが形成されている。第2フォーク12は、Z2方向の端部におけるY1方向の側面に第2当接部12aが形成されている。
【0029】
フォーク連結部13には、X方向に貫通した挿通孔13aが形成されている。挿通孔13aにフォーク軸3が挿通している。フォーク10は、挿通孔13aにおいてフォーク軸3周りに回転自在に軸支されている。フォーク連結部13には、挿通孔13aを挟んで第1フォーク11及び第2フォーク12とは反対側に、Z1方向に延びる延設部14が形成されている。
【0030】
延設部14には、X方向に貫通した挿通孔14aが形成されている。挿通孔14aには、X方向に延びる第1ピン15が固定されている。第1ピン15は、第1開口部47を通って隔壁部42をX2方向に貫通している。第1ピン15は磁性材料によって構成されている。本実施形態では、第1ピン15は、X1方向側の端部において挿通孔14aに対して加締められることにより、延設部14に対して相対変位不能に固定されている。第1ピン15の延設部14に対する固定は、加締めの他、圧入、セレーションによる嵌合等、任意の手段を採用できる。
【0031】
クロー20は、Y方向の略中央部に位置する基部23と、基部23からY2方向に延びる第1クロー21と、基部23からY1方向に延びる第2クロー22とを有している。基部23には、X方向に貫通した挿通孔23aが形成されている。挿通孔23aにクロー軸4が挿通している。クロー20は、挿通孔23aにおいてクロー軸4周りに回転自在に軸支されている。
【0032】
第1クロー21のY2方向の端面には、フォーク10に係合するフォーク係止部21aが形成されている。また、第1クロー21には、フォーク係止部21aのZ2方向側においてX方向に貫通する挿通孔21bが形成されている。
【0033】
挿通孔21bには、X方向に延びる第2ピン25が固定されている。第2ピン25は、第2開口部48を通って隔壁部42をX2方向に貫通している。第2ピン25は磁性材料によって構成されている。本実施形態では、第2ピン25は、X1方向側の端部において挿通孔21bに対して加締められることにより、第1クロー21に対して相対変位不能に固定されている。第2ピン25の第1クロー21に対する固定は、加締めの他、圧入、セレーションによる嵌合等、任意の手段を採用できる。
【0034】
図示は省略するが、第2クロー22には、クロー20を係止解除位置へ回転させる外部操作が入力される。例えば、第2クロー22は、ワイヤを介して機械的に連結されたドアハンドルを操作することにより回転駆動されるように構成してもよく、又は電機的に駆動されるモータにより回転駆動されるように構成してもよい。
【0035】
図3に示されるように、第1ピン15及び第2ピン25はそれぞれ、X2方向に向かって段階的に細くなる段付き形状の円柱状に形成されている。なお、第1ピン15及び第2ピン25は、円柱状に限らず、多角形等種々の断面形状を採用できる。
【0036】
図2に示されるように、ドアラッチ装置100は、フォーク10をフォーク軸3周りに時計回りに付勢する第1スプリング5と、クロー20をクロー軸4周りに反時計回りに付勢する第2スプリング6とをさらに有している。第1スプリング5は、一端部がフェンスブロック40に係止されており、他端部がフォーク10に係止されている。
図3に明瞭に示されるように、第2スプリング6は、一端部がフェンスブロック40に係止されており、他端部が第2ピン25に係止されている。
【0037】
図5は、フェンスブロック40及び回路部50の分解斜視図である。回路部50は、フェンスブロック40に対してX2方向に取り付けられる第1カバー51と、第1カバー51に対してX2方向に取り付けられる第2カバー52とを有している。第1カバー51及び第2カバー52は、非磁性体により構成されている。本実施形態では、第1カバー51及び第2カバー52は樹脂製である。
【0038】
第1カバー51は、フェンスブロック40の第2空間V2(
図3参照)をX2方向から閉止している。第1カバー51は、外周縁部51aよりも内側においてX1方向に凹設された第1凹部51bを有している。第2カバー52は、外周縁部52aよりも内側においてX2方向に凹設された第2凹部52bを有している。
【0039】
第1凹部51b及び第2凹部52bは、X方向から見て概ね重複するように構成されており、これらの間に周囲に対して隔離された第3空間V3が構成されている。第3空間V3には、ドアラッチ装置100の操作を制御する制御部が構成される回路基板53が収容されている。回路基板53には、X1方向の端面に複数の磁気検出部70が実装されている。磁気検出部70としては、ホールIC、MR素子等、磁気を検出することができる種々のものを採用できる。
【0040】
複数の磁気検出部70には、第1ピン15のX2方向端部にX方向に対向する位置に設けられた第1磁気検出部71及び第2磁気検出部72と、第2ピン25のX2方向端部にX方向に対向する位置に設けられた第3磁気検出部73が含まれる。
【0041】
図6は、回路部50と、第1及び第2ピン15,25と、第2プレート2とを、X1方向から見た正面図である。
図6において、フォーク10及びクロー20の回転に伴う第1及び第2ピン15,25の移動軌跡が二点鎖線で示されている。
【0042】
第1ピン15の移動軌跡において、Y1方向の端部における第1ピン15は、ラッチ位置に位置することを示しており、Y2方向の端部における第1ピン15は、第1ピン15がオープン位置に位置することを示しており、これらの中間に位置する第1ピン15は、ハーフラッチ位置に位置することを示している。一方、第2ピン25の移動軌跡において、Z1方向の端部における第2ピン25は、係止位置に位置することを示しており、Z2方向の端部における第2ピン25は、係止解除位置に位置することを示している。
【0043】
したがって、第1磁気検出部71は、ハーフラッチ位置に位置する第1ピン15に対してX方向に対向している。第2磁気検出部72は、オープン位置に位置する第1ピン15に対してX方向に対向している。第3磁気検出部73は、係止解除位置に位置する第2ピン25に対してX方向に対向している。
【0044】
図6を参照して、第2プレート2について詳述する。第2プレート2は、Z1方向の端部に位置しており第1挿通孔2aが形成された第1面部61と、Z2方向の端部に位置しており第2挿通孔2bが形成された第2面部62と、第1面部61と第2面部62との間に位置する第3面部63とを有している。
【0045】
図3を併せて参照して、第3面部63は、第1面部61及び第2面部62よりもX2方向へ一段突出している。すなわち、第1面部61と第3面部63との間に第1曲げ稜線2cが形成され、第2面部62と第3面部63との間に第2曲げ稜線2dが形成されている。
【0046】
また、第2プレート2は、第1挿通孔2aからZ1方向に位置する第1部分66と、第1部分66からZ2方向に延びる第2部分67と、第2曲げ稜線2dから第1挿通孔2aの中心と第2挿通孔2b中心とを結ぶ仮想線L1に概ね平行に第1挿通孔2aに向かって延びる第3部分68と、第2曲げ稜線2dから仮想線L1に概ね平行に第2挿通孔2bに向かう方向に延びる第4部分69とを有している。
【0047】
第1部分66は第1面部61に構成されている。第2部分67は第1面部61と第3面部63とにわたって構成されている。第3部分68は第3面部63に構成されている。第4部分69は第2面部62に構成されている。
【0048】
第1部分66は、第2部分67をZ1方向に延長した形状に対して切り欠かれた形状に形成されている。具体的には、第1部分66は、X方向から見て、Z1方向の端部に位置する第1外周縁部66aが、第1挿通孔2aと、フォーク軸3の回転に伴う第1ピン15の移動軌跡との間に位置している。換言すれば、第1外周縁部66aには、第1ピン15の移動軌跡に対して、X2方向に対向する部分が切り欠かれた切欠部66bが形成されている。
【0049】
同様に、第4部分69は、第3部分68を仮想線L1に平行な方向に延長した形状に対して切り欠かれた形状に形成されている。具体的には、第4部分69は、X方向から見て、Y2方向の端部に位置する第2外周縁部69aが、第2挿通孔2bと、クロー軸4の回転に伴う第2ピン25の移動軌跡との間に位置している。換言すれば、第2外周縁部69aには、第2ピン25の移動軌跡に対して、X2方向に対向する部分が切り欠かれた切欠部69bが形成されている。
【0050】
なお、第2プレート2は、第2部分67のY方向における幅W2が、第3部分68の仮想線L1に直交する方向における幅W3よりも幅広に形成されている。すなわち、第2プレート2は、第1曲げ稜線2cと第2曲げ稜線2dと協働して第3面部63がリブのように作用することによりX方向への曲げ剛性が高められている。
【0051】
特に、第2プレート2は、幅広に形成された第2部分67によって、第1挿通孔2aの周辺における剛性が高められている。その結果、第2プレート2は、ドア閉め時におけるストライカ91からフォーク10に入力されるY方向への荷重に対して、効果的に抗しやすい。
【0052】
図7は、ドアラッチ装置100をY2方向から見た側面図であり、フェンスブロック40が省略されると共に、第1カバー51及び第2カバー52が二点鎖線で示されている。
図7に示されるように、第1ピン15は、第2プレート2の第1外周縁部66aよりもX2方向へ突出している。第2ピン25は、第2プレート2の第2外周縁部69aよりもX2方向へ突出している。
【0053】
磁気検出部70は、第1カバー51を間に挟んで、第1ピン15又は第2ピン25に対向している。磁気検出部70と第1ピン15又は第2ピン25との間のX方向における距離Dは、非磁性体である第1カバー51を間に挟んでも、対向する第1ピン15又は第2ピン25をこれらから生じる磁気により検出できる長さに設定されている。したがって、第1ピン15及び第2ピン25の磁気の強さを考慮して、距離Dを適宜設定できる。
【0054】
上記説明したドアラッチ装置100の作動を説明する。
【0055】
図2に示す状態では、フォーク10がラッチ位置に位置すると共にクロー20が係止位置に位置しており、フォーク10にストライカ91が係合することによって不図示のドアが車体に対して閉状態に維持されている。このとき、クロー20のフォーク係止部21aが、フォーク10の第1当接部11aに対してY1方向から当接しており、これによって第1スプリング5によるフォーク10のオープン位置への回転が防止されている。
【0056】
このとき、第1ピン15及び第2ピン25はいずれの磁気検出部70に対してもX方向に対向していない。よって、ドアが閉状態に維持されたラッチ状態では、いずれの磁気検出部70も第1ピン15及び第2ピン25を検出しない。
【0057】
次に、
図8Aに示すように、不図示のドアハンドルを操作すること又は不図示のアクチュエータによってクロー20を係止解除位置に回転させると、クロー20によるフォーク10の係止が解除されて、フォーク10が第1スプリング5(
図2参照)によって付勢されてオープン位置へ回転する。その結果、フォーク10によるストライカ91の係合が解除されて、不図示のドアが車体に対して開閉可能となる。
【0058】
このとき、第1ピン15が第2磁気検出部72にX方向から対向すると共に、第2ピン25が第3磁気検出部73にX方向から対向する。よって、ドアが開閉可能とされたオープン状態では、第2磁気検出部72が第1ピン15を検出すると共に、第3磁気検出部73が第2ピン25を検出している。
【0059】
次に、
図8Bに示すように、クロー20の係止解除位置への回転を解除すると、クロー20は第2スプリング6(
図3参照)によって付勢されて係止位置に回転する。この状態から、不図示のドアを閉じ方向に移動させると、ストライカ91(
図2参照)がフォーク10に係合して、フォーク10を反時計回りに回転させる。
【0060】
このとき、まず第2フォーク12がクロー20を第2スプリング6による付勢力に抗して時計回りに押し下げて、第2フォーク12がクロー20をY2方向に乗り越える。次いで、クロー20のフォーク係止部21aが、フォーク10の第2当接部12aに対してY1方向から当接している。これによって、ハーフラッチ状態が構成され、フォーク10のオープン位置への回転が防止されている。
【0061】
このとき、第1ピン15が第1磁気検出部71にX方向から対向しているが、第2及び第3磁気検出部72,73には、第1ピン15及び第2ピン25のいずれも対向しない。よって、ハーフラッチ状態では、第1磁気検出部71が第1ピン15を検出し、第2及び第3磁気検出部72,73は第1ピン15及び第2ピン25のいずれも検出しない。
【0062】
この状態から、ストライカ91がさらにY2方向へ押し込まれると、フォーク10がさらに反時計回りに回転する。このとき、第1フォーク11がクロー20を第2スプリング6(
図3参照)による付勢力に抗して時計回りに押し下げて、第1フォーク11がクロー20をY2方向に乗り越える。その結果、クロー20のフォーク係止部21aがフォーク10の第1当接部11aに対してY1方向から当接して、フォーク10がラッチ位置に保持される。
【0063】
すなわち、第1~第3磁気検出部71~73による、第1ピン15及び第2ピン25の検出結果に基づいて、フォーク10が、ラッチ位置、ハーフラッチ位置及びオープン位置のいずれに位置しているのか、及びクロー20が係止位置及び係止解除位置のいずれに位置しているのか、回路基板53に備えた制御部によって検出できる。
【0064】
上記説明した実施形態に係るドアラッチ装置100によれば以下の効果を奏する。
【0065】
(1)第1ピン15及び第2ピン25を磁気検出部70によって検出することにより、フォーク10及び/又はクロー20の各回転位置を容易に検出できる。しかも、フォーク10及び/又はクロー20にカムを設けることを要せず、さらに該カムによって操作されるスイッチを設けることを要しない。よって、ドアラッチ装置100は、配設スペースを多く要するカム及びスイッチが不要になるので、部品点数が低減すると共にレイアウト性を向上でき、小型化しやすい。また磁気検出部70は、フォーク10及び/又はクロー20とは非接触であるため、ドア閉め時に発生するストライカ91とフォーク10との衝突による衝撃を直接に受けることはなく、耐久性を向上できる。
【0066】
さらに、フェンスブロック40に対して、第1空間V1にフォーク10及びクロー20を保持し、X2方向に磁気検出部70を設けているので、フォーク10へのストライカ91の係合時に異物が侵入し得る第1空間V1からX2方向に離間した位置に磁気検出部70を配置することができる。これによって、磁気検出部70を異物から保護しやすい。
【0067】
さらにまた、第1ピン15及び第2ピン25はフォーク10及びクロー20に一体的に設けられているので、第1ピン15及び第2ピン25を強度部材としても使用することができる。例えば、第1ピン15及び第2ピン25に、外力が入力される被入力部を兼用させてもよい。また、本実施形態のように、第2ピン25に、第2スプリング6の一端部を係止させることができる。これによって、クロー20に第2スプリング6の一端部を係止させる被係止部を設けることを要しないので、クロー20を単純化できる。同様に、第1ピン15に、第1スプリング5の一端部を係止させてもよい。
【0068】
(2)フェンスブロック40に対してX2方向に配置された回路基板53をさらに備え、磁気検出部70は回路基板53に配置されている。
【0069】
本構成によれば、磁気検出部70を回路基板53に直接に実装できるので、磁気検出部70と回路基板53とを接続するハーネスが不要になる。よって、ドアラッチ装置100は、磁気検出部70から延びるハーネスを配策するスペースが不要となるのでさらに小型化しやすい。
【0070】
(3)フェンスブロック40の第2空間V2をX2方向から閉止する第1カバー51と、第1カバー51に対してフェンスブロック40とは反対側に取り付けられて、第1カバー51との間に周囲に対して隔離された第3空間V3を構成する、第2カバー52とをさらに備え、回路基板53は第3空間V3に収容されている。
【0071】
本構成によれば、回路基板53が周囲に対して隔離された第3空間V3に収容されているので、回路基板53に実装された磁気検出部70を異物からより好適に保護できる。
【0072】
(4)フォーク10を回転自在に支持しており、フェンスブロック40に対してX1方向に位置するフォーク軸第1端部3aと、フォーク軸第1端部3aからフェンスブロック40をX2方向に貫通して延びた端部に位置するフォーク軸第2端部3bとを有する、フォーク軸3と、クロー20を回転自在に支持しており、フェンスブロック40に対してX1方向に位置するクロー軸第1端部4aと、クロー軸第1端部4aからフェンスブロック40をX2方向に貫通して延びた端部に位置するクロー軸第2端部4bとを有する、クロー軸4と、フェンスブロック40に対してX1方向に位置しており、フォーク軸第1端部3a及びクロー軸第1端部4aを支持する、第1プレート1と、フェンスブロック40に対してX2方向に位置しており、フォーク軸第2端部3b及びクロー軸第2端部4bを支持する、第2プレート2とをさらに備え、第2プレート2は、第1外周縁部66a及び第2外周縁部69aに、フォーク軸3及びクロー軸4の回転に伴う、第1ピン15及び第2ピン25の移動軌跡に対向する部分が切り欠かれた切欠部66b,69bが設けられている。
【0073】
本構成によれば、フォーク軸3及びクロー軸4の回転に伴う第1ピン15及び第2ピン25の移動が、第2プレート2によって制限されることがない。さらに、第2プレート2は第1ピン15及び第2ピン25と磁気検出部70との間に配置されないので、磁気検出部70による第1ピン15及び第2ピン25の検出に対する第2プレート2の影響を低減できる。
【0074】
(5)第2プレート2は金属製であり、第1ピン15及び第2ピン25は、第1外周縁部66a及び第2外周縁部69aよりもX2方向へ突出している。
【0075】
本構成によれば、第2プレート2の第1外周縁部66a及び第2外周縁部69aは第1ピン15及び第2ピン25よりも磁気検出部70から離れて位置しているので、磁気検出部70は、金属製の第2プレート2によって生じ得る磁気の乱れを抑制でき、より近接した第1ピン15及び第2ピン25を精度よく検出できる。
【0076】
(6)第1ピン15は、フォーク10のうち、フォーク連結部13に対して、第1フォーク11及び第2フォーク12とは反対側に位置する、延設部14に設けられている。
【0077】
本構成によれば、フォーク連結部13に対して、フォーク10へのストライカ91の係合時に異物が侵入し得る第1フォーク11及び第2フォーク12とは反対側に、第1ピン15が設けられている。これによって、第1ピン15を異物による接触及び汚れから保護しやすく、磁気検出部70によって第1ピン15を精度よく検出できる。
【0078】
(7)第2ピン25は、クロー20のうち、基部23に対して、クロー20を操作する外力が入力される被操作部が構成された第2クロー22の反対側に位置する、第1クロー21に設けられている。
【0079】
本構成によれば、第2ピン25を、外力が入力される被操作部から離して設けることができる。これによって、第2ピン25の近傍に、被操作部に接続されて外力を入力する入力部材が配置されないので、磁気検出部70による第2ピン25の検出に対する、前記入力部材の影響を低減できる。
【0080】
なお、本発明のドアラッチ装置100は、上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0081】
上記実施形態では、1つの第1ピン15の回転位置を、第1磁気検出部71及び第2磁気検出部72によって、検出する場合を例にとって説明したが、これに限らない。
図9に示されるように、磁気の強さの異なる複数の第1ピン17,18を1つの第1磁気検出部71によって検出することによって、フォーク10の各回転位置を検出するように構成してもよい。
【0082】
例えば、
図9Aに示されるようにフォーク10がオープン位置に位置するときに、フォーク10に対して第1磁気検出部71に対向する位置にオープン位置第1ピン17を設け、
図9Bに示されるようにフォーク10がハーフラッチ位置に位置するときに、フォーク10に対して第1磁気検出部71に対向する位置にハーフラッチ位置第1ピン18を設けてもよい。
【0083】
ここで、オープン位置第1ピン17の磁気は、ハーフラッチ位置第1ピン18の磁気とは異なっている。例えば、オープン位置第1ピン17の磁気を、ハーフラッチ位置第1ピン18の磁気よりも強くしてもよい。これによって、第1磁気検出部71によって検出される、オープン位置第1ピン17又はハーフラッチ位置第1ピン18による磁気の強さに基づいて、制御部が、例えば所定の閾値に徴して、オープン位置第1ピン17又はハーフラッチ位置第1ピン18のいずれか検出されているのか判断するようにしてもよい。
【0084】
これによって、図示は省略するが、フォーク10がラッチ位置に位置するとき、第1磁気検出部71はオープン位置第1ピン17及びハーフラッチ位置第1ピン18のいずれも検出しない。
【0085】
また、
図9Aに示されるように、フォーク10がオープン位置に位置するとき、オープン位置第1ピン17が第1磁気検出部71に対向する一方で、ハーフラッチ位置第1ピン18は第1磁気検出部71に対向しない。このとき、第1磁気検出部71によって検出される磁気の強さに基づいて、制御部は、オープン位置第1ピン17が検出されていると把握して、フォーク10がオープン位置に位置すると判断できる。
【0086】
また、
図9Bに示されるように、フォーク10がハーフラッチ位置に位置するとき、ハーフラッチ位置第1ピン18が第1磁気検出部71に対向する一方で、オープン位置第1ピン17は第1磁気検出部71に対向しない。このとき、第1磁気検出部71によって検出される磁気の強さに基づいて、制御部は、ハーフラッチ位置第1ピン18が検出されていると把握して、フォーク10がハーフラッチ位置に位置すると判断できる。
【0087】
また、別の実施形態として、第1ピン15と第2磁気検出部72とを1組だけ設け、制御部が、所定の閾値に徴して、フォーク10の回転に伴う第1ピン15の回動によって変化する磁気の強さに基いて、フォーク10の回転位置を判断するように構成してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、第1ピン15及び第2ピン25を、フェンスブロック40に対して第1開口部47及び第2開口部48において、X方向に貫通するように構成したが、これに限らない。例えば、
図10に示されるように、第1開口部47に換えて、隔壁部42をX2方向へ凹設し、隔壁部42をX方向に貫通していない溝部49として構成し、該溝部49内において第1ピン15をX2方向へ延びるように構成してもよい。
【0089】
この場合、第1ピン15と磁気検出部70との間に、第1カバー51に加えて溝部49の溝底部49aが位置することになる。第1ピン15の磁気の強さを、第1カバー51と溝部49の溝底部49aとを挟んだ状態でも、対向する磁気検出部70によって検出されるように適宜設定すればよい。第1開口部47に換えて溝部49を構成することによって、第1開口部47を介した第1空間V1から第2空間V2への異物等の侵入が防止されるので、回路基板53を異物からより一層保護しやすい。
【0090】
また、上記実施形態では、フォーク10がハーフラッチ位置及びオープン位置に位置するときに、磁気検出部70によって第1ピン15を検出するように構成したが、これに限らない。上記実施形態に加えて、フォーク10がラッチ位置に位置するときにも、第1ピン15が検出されるように、さらに磁気検出部70を設けてもよい。また、ラッチ位置、ハーフラッチ位置及びオープン位置の少なくとも1つを検出するようにしてもよい。
【0091】
同様に、上記実施形態では、クロー20が係止解除位置に位置するときに、磁気検出部70によって第2ピン25を検出するように構成したが、これに限らない。上記実施形態に加えて、クロー20が係止位置に位置するときにも、第2ピン25が検出されるように、さらに磁気検出部70を設けてもよい。また、係止解除位置に換えて係止位置のみを検出するように構成してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、クロー20を、ドアハンドルによる手動操作及び/又はアクチュエータによる操作によって、回転させる場合を例にとって説明したが、特にフォーク10及び/又はクロー20の回転が電動アクチュエータによって操作される、いわゆるeラッチと称されるラッチ装置において本発明が特に好適に実施される。
【0093】
また、上記実施形態では、フォーク10に第1ピン15を設け、クロー20に第2ピン25を設ける場合を例にとって説明したが、これに限らない。フォーク10およびクロー20のいずれか一方に、磁性体としての第1ピン15又は第2ピン25を設けてもよい。この場合、第1ピン15および第2ピン25のいずれか一方が設けられたフォーク10又はクロー20の回転位置を検出するように、磁気検出部70を設ければよい。
【0094】
また、上記実施形態では、第1ピン15及び第2ピン25をそれぞれ、第2プレート2よりもX2方向側へ突出させた場合を例にとって説明したが、これに限らない。
図11に示されるように、第1ピン15及び第2ピン25を、先端部15a,25aが第2プレート2よりもX1方向側に位置していてもよい。この場合、対応する磁気検出部70を、回路基板53から第2プレート2の切欠部66b、69bを通してX1方向側に位置するように設けてもよい。また、回路基板53自体を第2プレート2よりもX1方向側に位置させるように構成してもよい。
【0095】
これによっても、第1ピン15及び第2ピン25の回動位置を、磁気検出部70によって検出できる。
【0096】
上記実施形態のドアラッチ装置100は、ドアを開閉不可能にロック及び開放可能にアンロックするドアロック装置に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 第1プレート
2 第2プレート
3 フォーク軸
3a フォーク軸第1端部
3b フォーク軸第2端部
4 クロー軸
4a クロー軸第1端部
4b クロー軸第2端部
5 第1スプリング
6 第2スプリング
10 フォーク
15 第1ピン
20 クロー
25 第2ピン
40 フェンスブロック
42 隔壁部
47 第1開口部
48 第2開口部
50 回路部
51 第1カバー
52 第2カバー
53 回路基板
66a 第1外周縁部
69a 第2外周縁部
70 磁気検出部
91 ストライカ
100 ドアラッチ装置
V1 第1空間
V2 第2空間
V3 第3空間