(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-22
(45)【発行日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ビル運営管理装置およびビル運営管理装置システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240325BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023559272
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2021041419
(87)【国際公開番号】W WO2023084655
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2023-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-005149(JP,A)
【文献】特開2021-002128(JP,A)
【文献】特開2012-215940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルの運営管理業務を行うユーザが使用する端末からログイン可能なビル運営管理装置であって、
前記端末と通信する通信部と、
データベースおよび前記運営管理業務に使用するアプリケーション群に関する処理を行う処理部とを備え、
前記データベースは、
前記ビルに対応する位置情報を格納した所在地テーブルと、
ユーザIDと、前記ユーザが担当する担当ビルと、前記担当ビルにおける前記ユーザの担当業務とを含む情報を格納したユーザテーブルと、
前記アプリケーション群の各々のアプリケーションに対応する対象ビル、対象業務および
アクセス方法としてのリンクを含む情報を格納したアプリテーブルとを含み、
前記通信部は、前記ユーザが前記端末から前記ユーザIDでログインした際に、前記端末の位置情報を取得し、
前記処理部は、
取得した前記端末の位置情報と前記所在地テーブルとに基づき、前記ユーザが訪問中の訪問ビルを特定し、
ログインした前記ユーザの前記ユーザIDと前記ユーザテーブルとに基づき、前記ユーザの前記担当ビルおよび前記担当業務を特定し、
特定した前記訪問ビル、前記担当ビルおよび前記担当業務と、前記アプリテーブルとに基づき、前記アプリケーション群のうち前記訪問ビルにおいて前記ユーザが使用可能な対象アプリケーション群を特定し、
前記通信部は、前記端末に対して、アプリケーション選択メニューを前記端末に表示するためのデータを送信し、
前記アプリケーション選択メニューは、前記対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合に、当該アプリケーションを前記
リンクに基づいて前記端末上で起動するメニューである、ビル運営管理装置。
【請求項2】
前記アプリケーション選択メニューにおいて、前記対象アプリケーション群とともに前記対象アプリケーション群の各々の使用状況が表示される、請求項1記載のビル運営管理装置。
【請求項3】
前記アプリケーション選択メニューにおいて、優先順位が高い順に前記対象アプリケーション群が表示される、請求項1または請求項2に記載のビル運営管理装置。
【請求項4】
前記処理部は、気象情報、前記アプリケーション群の各々の、使用頻度、使用時間帯および使用状況に応じて前記優先順位を決定する、請求項3に記載のビル運営管理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
取得した前記端末の位置情報から前記ビル内の位置を特定し、
特定した前記ビル内の位置に応じて前記優先順位を決定する、請求項3に記載のビル運営管理装置。
【請求項6】
前記担当業務は、前記ビルの設備を管理する設備員と、前記運営管理業務に関する補助作業および事務作業を行う事務員と、前記ビルを警備する警備員と、前記ビルを清掃する清掃員とを含み、
前記アプリケーション群は、気象情報を表示する気象情報アプリと、各ビル専用の専用アプリと、前記ビルの設備の点検結果を記録する点検アプリと、前記ビルの設備の検針結果を記録する検針アプリと、前記運営管理業務の履歴を記録する日報アプリと、清掃結果を記録する清掃アプリと、落とし物に関する情報を記録する落とし物アプリとを含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のビル運営管理装置。
【請求項7】
ビルの運営管理業務を行うユーザが使用する端末と、
前記端末からログイン可能なビル運営管理装置と、
前記ビル運営管理装置からアクセス可能なデータベースと、
前記端末からアクセス可能であって、前記運営管理業務に使用するアプリケーション群とを備え、
前記データベースは、
前記ビルに対応する位置情報を格納した所在地テーブルと、
ユーザIDと、前記ユーザが担当する担当ビルと、前記担当ビルにおける前記ユーザの担当業務とを含む情報を格納したユーザテーブルと、
前記アプリケーション群の各々のアプリケーションに対応する対象ビル、対象業務および
アクセス方法としてのリンクを含む情報を格納したアプリテーブルとを含み、
前記ビル運営管理装置は、
前記ユーザが前記端末から前記ユーザIDでログインした際に、前記端末の位置情報を取得し、
取得した前記端末の位置情報と前記所在地テーブルとに基づき、前記ユーザが訪問中の訪問ビルを特定し、
ログインした前記ユーザの前記ユーザIDと前記ユーザテーブルとに基づき、前記ユーザの前記担当ビルおよび前記担当業務を特定し、
特定した前記訪問ビル、前記担当ビルおよび前記担当業務と、前記アプリテーブルとに基づき、前記アプリケーション群のうち前記訪問ビルにおいて前記ユーザが使用可能な対象アプリケーション群を特定し、
前記端末に対して、アプリケーション選択メニューを前記端末に表示するためのデータを送信し、
前記アプリケーション選択メニューは、前記対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションを選択可能なメニューであり、
前記端末は、
前記アプリケーション選択メニューを表示し、
前記対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合、当該アプリケーションを前記
リンクに基づいて起動する、ビル運営管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビルの運営管理業務を行うユーザが使用する端末からログイン可能なビル運営管理装置およびビル運営管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルの運営管理業務を行う管理者は、複数のビルの運営管理業務を担当し、かつ、担当ビルごとにその担当業務が異なることがある。たとえば、あるビルにおいてはビル設備の点検等を行う設備員、別のビルでは事務員、さらに別のビルでは清掃員といった業務をそれぞれ担当し、さらには1つのビルで複数の業務を担当することも想定される。
【0003】
管理者は、自己が携帯する端末上で、運営管理業務に使用するアプリケーションを起動する。このようなアプリケーションを提供するものとしては、利用権限のあるビル設備の操作メニューを生成して端末に表示させるビル管理システムがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このようなアプリケーションは複数種類あり、担当ビル、担当業務、作業内容によって使い分けが行われる。たとえば、設備員がビル設備の点検結果を記録する巡回点検アプリ、事務員がビル設備の検針結果を記録する検針アプリ、清掃員が使用する清掃アプリ等が使用される。これらのアプリケーションは、デスクワークにおいてではなく、歩行を伴う立ち仕事において使用される。管理者が業務のためアプリケーションを使用する場合、各業務の実施のたびに、業務に応じたアプリケーションを選択して起動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、1人の管理者(上記端末を使用するユーザ)が複数のビルを担当しかつ複数の業務を担当する場合、使用するアプリケーションの数は数十以上となり、その中から作業内容に合ったアプリケーションを選択するのは手間がかかる。特に、歩行を伴う立ち仕事において使用されるアプリケーションであるため、現場においては、画面上でアプリケーションの選択メニューをスクロールして選択するような手間は極力省きたいというニーズが強い。また、作業内容が多岐に亘るため、作業のために向かったビルにおいて、やるべき作業内容がなかなか思い出せない、すなわち、どのアプリケーションを選択すべきかがなかなか思い出せないようなこともある。
【0007】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ビルの運営管理業務に使用するアプリケーションを好適に起動することができるビル運営管理装置およびビル運営管理装置システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るビル運営管理装置は、ビルの運営管理業務を行うユーザが使用する端末からログイン可能である。ビル運営管理装置は、通信部と、処理部とを備える。通信部は、端末と通信する。処理部は、データベースおよび運営管理業務に使用するアプリケーション群に関する処理を行う。データベースは、所在地テーブルと、ユーザテーブルと、アプリテーブルとを含む。所在地テーブルは、ビルに対応する位置情報を格納したテーブルである。ユーザテーブルは、ユーザIDと、ユーザが担当する担当ビルと、担当ビルにおけるユーザの担当業務とを含む情報を格納したテーブルである。アプリテーブルは、アプリケーション群の各々のアプリケーションに対応する対象ビル、対象業務およびアクセス方法を含む情報を格納したテーブルである。通信部は、ユーザが端末からユーザIDでログインした際に、端末の位置情報を取得する。処理部は、取得した端末の位置情報と所在地テーブルとに基づき、ユーザが訪問中の訪問ビルを特定する。処理部は、ログインしたユーザのユーザIDとユーザテーブルとに基づき、ユーザの担当ビルおよび担当業務を特定する。処理部は、特定した訪問ビル、担当ビルおよび担当業務と、アプリテーブルとに基づき、アプリケーション群のうち訪問ビルにおいてユーザが使用可能な対象アプリケーション群を特定する。通信部は、端末に対して、アプリケーション選択メニューを端末に表示するためのデータを送信する。アプリケーション選択メニューは、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合に、当該アプリケーションをアクセス方法に基づいて端末上で起動するメニューである。
【0009】
本開示に係るビル運営管理システムは、端末と、ビル運営管理装置と、データベースと、アプリケーション群とを備える。端末は、ビルの運営管理業務を行うユーザが使用する。ビル運営管理装置は、端末からログイン可能である。データベースは、ビル運営管理装置からアクセス可能である。アプリケーション群は、端末からアクセス可能であって、運営管理業務に使用する。データベースは、所在地テーブルと、ユーザテーブルと、アプリテーブルとを含む。所在地テーブルは、ビルに対応する位置情報を格納したテーブルである。ユーザテーブルは、ユーザIDと、ユーザが担当する担当ビルと、担当ビルにおけるユーザの担当業務とを含む情報を格納したテーブルである。アプリテーブルは、アプリケーション群の各々のアプリケーションに対応する対象ビル、対象業務およびアクセス方法を含む情報を格納したテーブルである。ビル運営管理装置は、ユーザが端末からユーザIDでログインした際に、端末の位置情報を取得する。ビル運営管理装置は、取得した端末の位置情報と所在地テーブルとに基づき、ユーザが訪問中の訪問ビルを特定する。ビル運営管理装置は、ログインしたユーザのユーザIDとユーザテーブルとに基づき、ユーザの担当ビルおよび担当業務を特定する。ビル運営管理装置は、特定した訪問ビル、担当ビルおよび担当業務と、アプリテーブルとに基づき、アプリケーション群のうち訪問ビルにおいてユーザが使用可能な対象アプリケーション群を特定する。ビル運営管理装置は、端末に対して、アプリケーション選択メニューを端末に表示するためのデータを送信する。アプリケーション選択メニューは、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションを選択可能なメニューである。端末は、アプリケーション選択メニューを表示する。端末は、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合、当該アプリケーションをアクセス方法に基づいて起動する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ビルの運営管理業務に使用するアプリケーションを好適に起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ビル運営管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】ビル運営管理システムにおける処理の流れを説明するための図である。
【
図6】端末に表示される画面の一例を示す図である。
【
図7】担当者の移動先とアプリ選択メニューとの関係を説明するための図である。
【
図8】変形例に係るアプリ選択メニューの一例を示す図である。
【
図9】変形例に係るアプリ選択メニューの一例を示す図である。
【
図10】変形例に係るアプリ選択メニューの一例を示す図である。
【
図11】変形例に係るアプリ選択メニューの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
[ビル運営管理システム1]
図1は、ビル運営管理システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施の形態においては、ビル運営管理システム1は、端末900と、ビル運営管理装置(「Webサーバ」とも称する)100と、データベース230と、アプリケーション群とを備える。ここで、「アプリケーション群」とは、ビル運営管理装置100や端末900からアクセス可能であって、運営管理業務に使用する複数のアプリケーション(以下、「アプリ」とも略称する)である。
【0014】
本実施の形態においては、ビル運営管理センター10内には、ビル運営管理装置(Webサーバ)100、データベースサーバ200およびアプリケーションサーバ300が設置されている。データベースサーバ200は、記憶部(図示せず)にデータベース230を記憶している。データベースサーバ200のデータベース230は、ビル運営管理装置100からアクセス可能である。データベース230は、所在地テーブル231と、ユーザテーブル232と、アプリテーブル233とを含む。これらのテーブルの詳細は、
図2以降を用いて後述する。
【0015】
アプリケーションサーバ300は、記憶部314を備え、記憶部314には上述のアプリケーション群の一部が記憶されている。たとえば、記憶部314には、アプリケーション群として巡回点検アプリ331および検針アプリ332等(アプリの説明は後述する)が記憶されている。
【0016】
このように、ビル運営管理センター10において、アプリケーション群の一部が管理されている。また、アプリケーション群としては、ビル運営管理センター10の外部で管理されているものも使用可能である。たとえば、アプリケーション群は、WebサーバA500において管理されている「路線情報サイト」、WebサーバB600において管理されている「天気予報サイト」、WebサーバC700において管理されている「外部アプリX」を含んでもよい。
【0017】
巡回点検アプリ331や検針アプリ332等は、所定のURLを指定してアプリケーションサーバ300にアクセスすることで端末900から利用可能である。路線情報サイトは、所定のURLを指定してWebサーバA500にアクセスすることで端末900から利用可能である。天気予報サイトは、所定のURLを指定してWebサーバB600にアクセスすることで端末900から利用可能である。外部アプリXは、所定のURLを指定してWebサーバC700にアクセスすることで端末900から利用可能である。
【0018】
端末900は、ユーザ(「管理者」または「担当者」とも称する)41が使用する端末である。ユーザ41は、ビルの運営管理業務を行う管理者あるいは担当者である。端末900は、たとえば、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等である。ビル運営管理装置100は、端末900からログイン可能であり、端末900とは無線で接続する。
【0019】
ユーザ41は、ユーザ41が担当する各ビルに端末900を持ち運んで、端末900を使用する。たとえば、ユーザ41は、D1地区にあるAビル21、D2地区にあるBビル22およびD3地区にあるCビル23等を担当している。
図1の例では、ユーザ41は、Aビル21からビル運営管理装置100にアクセスしている。本実施の形態においては、ユーザ41が端末900からビル運営管理装置100にログインすると、ユーザ41が利用可能なアプリケーション群のリストが端末900上に表示されるように構成されている。詳細な内容については、
図2以降を用いて後述する。
【0020】
ビル運営管理装置100は、CPU(Central Processing Unit:本開示に係る「処理部」)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、記憶部114と、通信インターフェイス115(本開示に係る「通信部」)とを備える。
【0021】
CPU111は、ビル運営管理装置100全体を総括的に制御し、データベース230および運営管理業務に使用するアプリケーション群に関する処理を行う。CPU111は、ROM112に格納されているプログラムをRAM113に展開して実行する。ROM112は、ビル運営管理装置100の処理手順が記されたプログラムを格納する。RAM113は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0022】
通信インターフェイス115は、端末900や各種サーバと通信するためのインターフェイスである。記憶部114は、不揮発性の記憶装置である。記憶部114は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であってもよい。
【0023】
端末900は、CPU911と、ROM912と、RAM913と、記憶部914と、通信インターフェイス915と、入力部920と、表示部921とを備える。
【0024】
CPU911は、端末900全体を総括的に制御する。CPU911は、ROM912に格納されているプログラムをRAM913に展開して実行する。ROM912は、端末900の処理手順が記されたプログラムを格納する。RAM913は、CPU911がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0025】
通信インターフェイス915は、ビル運営管理装置100や各種サーバと通信するためのインターフェイスである。記憶部914は、不揮発性の記憶装置である。記憶部914は、たとえば、HDDやSSD等であってもよい。
【0026】
入力部920は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部920は、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネルである。表示部921は、各種情報の表示を行う(たとえば、アプリ選択メニュー等の表示)。表示部921は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0027】
同様に、データベースサーバ200、アプリケーションサーバ300、WebサーバA500、WebサーバB600、WebサーバC700も、CPU、ROM、RAM、記憶部および通信インターフェイスを備える。
【0028】
なお、ビル運営管理装置100は、データベースサーバ200に接続することで、データベース230にアクセスする構成としたが、これに限らない。たとえば、ビル運営管理装置100の記憶部114にデータベース230を記憶するようにしてもよいし、ビル運営管理装置100と接続する外部記憶装置内にデータベース230を記憶するようにしてもよい。
【0029】
また、巡回点検アプリ331等は、所定のURLを指定してアプリケーションサーバ300にアクセスすることで端末900から利用する構成としたが、これに限らない。たとえば、ビル運営管理装置100の記憶部114またはビル運営管理装置100と接続する外部記憶装置内に巡回点検アプリ331等を記憶してもよい。そして、所定のURLを指定してビル運営管理装置100にアクセスすることで、端末900からこれらのアプリケーションを利用する構成としてもよい。また、本実施の形態においては、アプリケーションは、URLを指定してブラウザ上で実行するようなものを想定しているが、これに限らず、事前に端末900内にインストールするものであってもよい。
【0030】
なお、ビル運営管理装置100は、1つのサーバ装置によって構成されるものに限らず、複数のサーバ装置によって構成されるものであってもよい。たとえば、地域ごとにサーバ装置を設置して各地域からのアクセス要求に応じるものであってもよい。この場合、各地域のサーバ装置が互いに通信し、互いの情報(データベースやアプリケーション群)を共有可能に構成するものであってもよい。あるいは、各地域のサーバを管理するメインサーバ装置を備え、メインサーバ装置が各地域の情報を管理するものであってもよい。
【0031】
上記各地域は、日本国内の各地域に限らず、日本国外の地域を含むものであってもよい。たとえば、日本国内外の1以上の国または地域にサーバ装置を設置するようにしてもよい。この場合、日本国内にサーバ装置を置いて、日本国外に設置されたサーバ装置と情報(データベースやアプリケーション群)を共有するように構成してもよい。また、いずれかの国にメインサーバ装置を設置し、各国に設置されたサーバ装置からメインサーバ装置に記憶された情報を参照させるようにしてもよい。
【0032】
各国において設置されたサーバ装置は、管理する国または地域ごとに、言語コードを有する。たとえば、日本国内の建物を管理するサーバ装置には、言語コードとして「日本語」が設定される。中国国内の建物を管理するサーバ装置には、言語コードとして「中国語」が設定される。英語圏の国の建物を管理するサーバ装置には、言語コードとして「英語」が設定される。
【0033】
サーバ装置は、各言語コードに対応した言語データを有する。たとえば、日本国内の端末からアクセスがあった場合は、これらの端末上には日本語で情報が表示される。中国国内の端末からアクセスがあった場合は、これらの端末上には中国語で情報が表示される。また、言語ごとに情報(データベースやアプリケーション群など)を管理するようにしてもよい。
【0034】
[ビル運営管理システム1における処理の流れ]
以下、
図2を用いてビル運営管理システム1における処理の流れを説明する。
図2は、ビル運営管理システム1における処理の流れを説明するための図である。
【0035】
本例では、現在、ユーザ(担当者)41は、ビルの運営管理業務を行うために、ユーザ41が担当するビルA21に出向いているとする。そして、ビルA21において、ユーザ(担当者)41は、端末900からビル運営管理装置(Webサーバ)100にアクセスしたとする。
【0036】
本実施の形態においては、ビル運営管理装置100はWebサーバである。ユーザ41は端末900上でブラウザを起動し、所定のURLを指定してビル運営管理装置100に接続する。その際、ブラウザの画面にはログイン画面(図示せず)が表示される。
【0037】
ここで、端末900とのデータの送受信は、ビル運営管理装置100が備える通信インターフェイス115が実行し、端末900から受信したデータの処理および端末900に対して出力するデータの生成は、ビル運営管理装置100が備えるCPU111が実行する。
【0038】
ログイン画面において、ユーザID(以下、単に「ID」とも称する)およびパスワードを入力すると、ビル運営管理装置100のCPU111は、認証処理を行う。認証処理において、入力されたIDに対するパスワードが事前に登録されたものと一致すると、ユーザ41はログイン状態となる。
【0039】
さらに、ビル運営管理装置100は、端末900の位置情報を取得する。通信インターフェイス115は、ユーザ41が端末900からユーザIDでログインした際に、端末900の位置情報を取得する。端末900からは、端末900の位置情報としてGPSデータを取得可能に構成されている。
【0040】
CPU111は、取得した端末900の位置情報(GPSデータ)と所在地テーブル231とに基づき、ユーザ41が訪問中のビル(以下、「訪問ビル」と称する)を特定する。
図3は、所在地テーブル231の一例を示す図である。所在地テーブル231は、ビルに対応する位置情報等を格納したテーブルである。
【0041】
所在地テーブルには、「ビル名称」と、ビルの「住所」と、ビルの「位置情報」として緯度および経度が記録されている。たとえば、所在地テーブルには、ビル名称「Aビル」に対応して、住所「東京都D1地区E1x-xx-x」、位置情報「35.741xxx(緯度),139.78xxx(経度)」が記録されている。ビル名称「Bビル」に対応して、住所「東京都D2地区E2y-y-y」、位置情報「35.123xxx(緯度),139.123xxx(経度)」が記録されている。ビル名称「Cビル」に対応して、住所「東京都D3地区E3z-z-zz」、位置情報「35.456xxx(緯度),139.456xxx(経度)」が記録されている。
【0042】
本例においては、端末900から取得したGPSデータと上述の位置情報(緯度,経度)とを照らし合わせた結果、ユーザ41が訪問中のビル(訪問ビル)が「Aビル」であることが特定されたとする。
【0043】
図2に戻り、次に、CPU111は、ログインしたユーザ41のユーザIDとユーザテーブル232とに基づき、ユーザ41の担当ビルおよび担当業務を特定する。
図4は、ユーザテーブル232の一例を示す図である。ユーザテーブル232は、「ユーザID」と、ユーザの「氏名」と、ユーザ41が担当する「担当ビル」と、担当ビルにおけるユーザ41の「担当業務」とを含む情報を格納したテーブルである。
【0044】
ここで、担当業務は、設備員と、警備員と、清掃員と、事務員とを含む。設備員は、ビルの設備を管理する業務を担当する。警備員は、ビルを警備する業務を担当する。清掃員は、ビルを清掃する業務を担当する。
【0045】
事務員は、運営管理業務に関する補助作業および事務作業を行う業務を担当する。設備員は設備に関する専門知識や特別なスキルを有するが、事務員はこういった専門知識や特別なスキルを有さない。このため、たとえば、検針の際にメータの数値を記録したり、ビル運営管理に関する書類の受け渡しを行ったり、落とし物の受け付け、電話番などの、補助的な作業や事務作業を行っている。なお、「事務員」は、「補助員」と言い換えてもよい。
【0046】
図4において、たとえば、ユーザテーブルには、ID「123」、氏名「NM1」、担当ビル:担当業務「Aビル:設備員,Bビル:設備員、事務員,Cビル:清掃員」が記録されている。また、ID「456」、氏名「NM2」、担当ビル:担当業務「Bビル:設備員」が記録されている。ID「789」、氏名「NM3」、担当ビル:担当業務「Cビル:清掃員」が記録されている。
【0047】
本例においては、ユーザ41はID「123」でログインしているとする。この場合、ユーザ41は、A~Cビルを担当し、Aビルにおいては設備員、Bビルにおいては設備員および事務員、Cビルにおいては清掃員をそれぞれ担当業務としていることが特定される。なお、ユーザテーブル232には、「ID」に対応付けて「パスワード」を記録するようにしてもよい。この場合、CPU111は、ユーザテーブル232を用いて、IDとパスワードを照合する認証処理を行う。
【0048】
図2に戻り、次に、CPU111は、特定した訪問ビル、担当ビルおよび担当業務(これらを「特定データ」とも称する)と、アプリテーブル233とに基づき、アプリケーション群のうち訪問ビルにおいてユーザ41が使用可能なアプリケーション(以下、「対象アプリケーション群」と称する)を特定する。
【0049】
図5は、アプリテーブル233の一例を示す図である。アプリテーブル233は、アプリケーション群の各々のアプリケーション(「アプリ名」)に対応する「対象ビル」、「対象業務」およびアクセス方法として「リンク」を含む情報を格納したテーブルである。
【0050】
本実施の形態では、アプリケーションへのアクセス方法として、「リンク」が提示される。リンクは、アプリケーションを実行するためにアクセスするURLを示すものである。ブラウザ上で端末900から当該URLにアクセスすると、端末900上でアプリケーションが起動する。
【0051】
アプリケーション群は、点検アプリ(「巡回点検アプリ」とも称する)と、検針アプリと、落とし物アプリと、専用アプリと、清掃アプリと、気象情報アプリと、路線情報アプリと、日報アプリとを含む。
【0052】
巡回点検アプリは、ビルの設備の点検結果を記録するアプリである。アプリテーブル233に示すように、巡回点検アプリは、対象ビル「全ビル」であり、対象業務「設備員」であり、リンク「https://xxx.xxx.xxx/xxxx/junkai」である。ここで、「全ビル」とは、ビル運営管理を行う全てのビルを指す。つまり、巡回点検アプリは、ビル運営管理を行う全てのビルにおいて設備員が使用可能なアプリであって、「https://xxx.xxx.xxx/xxxx/junkai」にアクセスすることで使用することができる。
【0053】
検針アプリは、ビルの設備の検針結果を記録するアプリである。巡回点検アプリは、対象ビル「全ビル」であり、対象業務「事務員」である。落とし物アプリは、落とし物に関する情報を記録するアプリである。落とし物アプリは、対象ビル「全ビル」であり、対象業務「清掃員」である。
【0054】
専用アプリは、各ビル専用のアプリである。専用アプリは、ビル運営管理の業務のうち、各ビル固有の業務を行う際に使用するアプリである。専用アプリは、対象ビルごと、対象業務ごとに用意されている。たとえば、対象ビルが工場である場合、その工場固有の部品の在庫管理や固有の機械のチェックを行うようなものが専用アプリとして想定される。
【0055】
専用アプリは、Aビル専用S1アプリ(対象ビル「Aビル」、対象業務「警備員」)と、Cビル専用S2アプリ(対象ビル「Cビル」、対象業務「事務員」)と、Aビル専用S3アプリ(対象ビル「Aビル」、対象業務「設備員」)と、Bビル専用S4アプリ(対象ビル「Bビル」、対象業務「事務員」)と、Aビル専用S5アプリ(対象ビル「Aビル」、対象業務「事務員」)と、Aビル専用S6アプリ(対象ビル「Aビル」、対象業務「設備員」)と、Bビル専用S7アプリ(対象ビル「Bビル」、対象業務「設備員」)とを含む。
【0056】
清掃アプリは、清掃結果を記録するアプリである。清掃アプリは、対象ビル「全ビル」であり、対象業務「清掃員」である。
【0057】
気象情報アプリ(本実施の形態における「天気予報サイト」)は、気象情報を表示するアプリである。気象情報は、たとえば、地域の天気情報、地震情報、災害情報等である。気象情報アプリは、対象ビルをD1地区のビルかつ対象業務を設備員とした「天気予報サイト(D1地区)」と、対象ビルをD2地区のビルかつ対象業務を設備員とした「天気予報サイト(D2地区)」とを含む。
【0058】
路線情報アプリ(本実施の形態における「路線情報サイト」)は、路線情報を表示するアプリである。路線情報は、たとえば、乗り換え案内、運行情報、時刻表等の情報である。
【0059】
日報アプリ(図示せず)は、運営管理業務の履歴を日報として記録するアプリである。たとえば、利用者からのクレームや問合せの内容、その原因と対策を日報という形で文章として日報アプリに記録する。日報アプリは、ビル運営管理を行う全てのビルを対象ビルとするとともに、ユーザ41が所属する会社が入居するビルも対象ビルとしている。これにより、ユーザ41が運営管理業務を終わらせて、会社のオフィスに戻った場合においても、ユーザ41が利用可能なアプリケーション群(対象アプリケーション群)として、日報アプリが端末900上に表示される。
【0060】
なお、担当業務としては、他にも、電気点検等を行う電気技術者などがある。アプリケーションとしても、事務員が在庫管理を行うための在庫管理アプリ、設備員が温度計測を行うための温度計測アプリ、警備員の連絡用のコミュニケーションアプリなどが想定される。
【0061】
本例においては、ユーザ41が訪問中のビル(訪問ビル)が「Aビル」であり、ユーザ41は、Aビルにおいては設備員を担当業務としていることが特定されている。このため、アプリテーブル233に基づき、アプリケーション群のうち、対象ビルが「全ビル」または「Aビル」であり、対象業務が「設備員」であるアプリが、訪問ビルにおいてユーザ41が使用可能なアプリケーション(対象アプリケーション群)として決定される。
【0062】
図2に戻り、次に、CPU111は、端末900がアプリケーション選択メニュー(「アプリ選択メニュー」とも称する)を表示するための画面データ(たとえば、端末900のブラウザ上で表示するためのHTMLのソースコード)を生成する。
【0063】
通信インターフェイス115は、端末900に対して、画面データを送信する。端末900は、画面データ(HTMLソースコード)に基づき、アプリケーション選択メニューを表示する。端末900は、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合、当該アプリケーション(アプリ、Webサイト)がアクセス方法に基づいて呼び出される。
【0064】
たとえば、上述のアプリケーションサーバ300の巡回点検アプリ331等、Webサーバ500の路線情報サイト、Webサーバ600の天気情報サイト、Webサーバ700の外部アプリXなどが呼び出され、端末900では呼び出されたアプリのアプリ画面が表示される。
【0065】
以下、
図6を用いて具体例について説明する。
図6は、端末900に表示される画面の一例を示す図である。上述のアプリケーション選択メニューは、対象アプリケーション群を選択可能に表示するメニュー画面である。アプリケーション選択メニューにおいて、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合に、当該アプリケーションをアクセス方法に基づいて端末900上で起動する。具体的には、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合に、アプリテーブル233のURLにアクセスすることで、端末900上で当該アプリケーションが起動する。
【0066】
図6に示すように、端末900のブラウザ上には、アプリケーション選択メニュー(アプリ選択メニュー)を含む画面が表示されている。画面上部には、「ビル業務管理システム」というタイトルとともに、ユーザID(ID)および氏名が表示される。本例では、ユーザ41のID「123」および氏名「MN1」が表示されている。また、右側には、「ログアウト」ボタンが表示されている。「ログアウト」ボタンがクリックされると、ログアウト状態となる。
【0067】
画面中央部の左側には「担当ビル/担当業務」、右側には「アプリ選択メニュー」がそれぞれ表示されている。「担当ビル/担当業務」には、ユーザ41が、A~Cビルを担当し、Aビルにおいては設備員、Bビルにおいては設備員および事務員、Cビルにおいては清掃員をそれぞれ担当業務としている旨が表示されている。
【0068】
そして、ユーザ41が訪問中のビル(訪問ビル)が「Aビル」であるため、「Aビル/設備員」の項目に星印が付されている。さらに、アプリ選択メニューにおいて、Aビルの対象アプリケーションとして、「天気予報サイト(D1地区)」、「Aビル専用S3アプリ」、「Aビル専用S6アプリ」、「巡回点検アプリ」へのリンクボタンが、対象アプリケーションの説明と共に表示されている。
【0069】
たとえば、「天気予報サイト(D1地区)」の説明として「天気予報サイトを表示する」、「巡回点検アプリ」の説明として「設備点検結果を記録する」が表示されている。各リンクボタンには、対象アプリケーションの各々のURLが対応付けられている。リンクボタンをクリックすると、リンクボタンに対応するURLにアクセスし、端末900において対応するアプリケーションが起動する。
【0070】
次に、担当者41の移動先とアプリ選択メニューとの関係について説明する。
図7は、担当者41の移動先とアプリ選択メニューとの関係を説明するための図である。
【0071】
前述のように、ユーザ(担当者)41は、担当するD1地区のAビル21においては担当業務が設備員であり、担当するD2地区のBビル22においては担当業務が設備員および事務員であり、担当するD3地区のCビル23においては担当業務が清掃員である。
【0072】
上述のように、ユーザ41がAビル21において設備員として作業を行う場合、端末900のGPSデータに基づいて端末900がAビル21に位置することが特定される。これにより、上述のように、アプリ選択メニューには、Aビル21の設備員が使用可能な「天気予報サイト(D1地区)」、「Aビル専用S3アプリ」、「Aビル専用S6アプリ」、「巡回点検アプリ」へのリンクボタンが表示される。いずれかのアプリを選択した場合、対応するアプリが起動する。
【0073】
一方、ユーザ41がBビル22に移動して設備員または事務員として作業を行う場合、端末900のGPSデータに基づいて端末900がBビル22に位置することが特定される。これにより、アプリ選択メニューには、Bビル22の設備員または事務員が使用可能な「Bビル専用S4アプリ」、「巡回点検アプリ」、「検針アプリ」、「天気予報サイト(D2地区)」へのリンクボタンが表示される。いずれかのアプリを選択した場合、対応するアプリが起動する。
【0074】
ユーザ41がCビル23に移動して清掃員として作業を行う場合、端末900のGPSデータに基づいて端末900がCビル23に位置することが特定される。これにより、アプリ選択メニューには、Cビル23の清掃員が使用可能な「落とし物アプリ」、「清掃アプリ」へのリンクボタンが表示される。いずれかのアプリを選択した場合、対応するアプリが起動する。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態においては、CPU111は、取得した端末900の位置情報と所在地テーブル231とに基づき訪問ビルを特定し、ユーザIDとユーザテーブル232とに基づき担当ビルおよび担当業務を特定し、訪問ビル、担当ビルおよび担当業務と、アプリテーブル233とに基づき、訪問ビルにおいてユーザ41が使用可能な対象アプリケーション群を特定する。端末900において、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合に、当該アプリケーションがアクセス方法に基づいて起動する。
【0076】
これらのアプリケーションは、歩行を伴う立ち仕事において使用されるため、極力簡易な操作により起動したいというニーズがある。上記のように構成することで、アプリ選択メニューの選択肢が必要最低限の数に減らせるため、ユーザ41は、画面スクロールしたり画面を次ページに送るといった煩雑な操作を極力減らすことができる。また、自動的に該当ビルの作業に必要なアプリ選択メニューが表示されるため、該当ビルで自分がやるべきことを思い出すきっかけとなる。これにより、ビルの運営管理業務に使用するアプリケーションを好適に起動することができる。
【0077】
[変形例]
以下、アプリ選択メニューの変形例について説明する。
図8~
図11は、変形例に係るアプリ選択メニューの一例を示す図である。
図8~
図11の説明においては、端末900のブラウザに表示される画面のうち、「アプリ選択メニュー」の表示のみを図示する。それ以外の画面構成については、
図6と同様である。
【0078】
変形例においては、ユーザ41は、「Dビル」において「設備員」および「清掃員」の業務を行うものとする。現在、ユーザ41は、Dビルにおいてビル運営管理装置100にログインしているものとする。
【0079】
「Dビル」において「設備員」および「清掃員」の業務を行う場合の対象アプリケーションは、「巡回点検アプリ」、「Dビル専用アプリ」、「天気予報サイト」、「落とし物アプリ」、「清掃アプリ」であるものとする。このため、
図8に示すように、アプリ選択メニューには、これらのアプリへのリンクボタンが表示されている。
【0080】
ここで、変形例においては、アプリケーション選択メニューにおいて、対象アプリケーション群とともに対象アプリケーション群の各々の「使用状況」が表示されるものとする。また、CPU111は、「気象情報」、アプリケーション群の各々の、「使用頻度」、「使用時間帯」および「使用状況」に応じて「優先順位」を決定する。そして、アプリケーション選択メニューにおいて、優先順位が高い順に対象アプリケーション群が表示される。
【0081】
具体的には、本変形例において、「使用状況」として、アプリ選択メニューには、「本日起動済」、「前回起動」が表示される。「起動頻度」として、アプリ選択メニューには、「1ヶ月あたり起動回数」が表示される。「本日起動済」は、本日アプリケーションが起動したか否かを示す。本日既にアプリケーションが起動されている場合は、チェックボックスにチェックマークが付される。「前回起動」は、前回アプリケーションが起動された日時を示す。「1ヶ月あたり起動回数」は、直近の1ヶ月においてアプリケーションが起動された回数を示す。
【0082】
アプリ選択メニューには、現在が「10月30日の14:10」であることが表示されるとともに、各対象アプリケーション群の「本日起動済」、「前回起動」、「1ヶ月あたり起動回数」が表示されている。対象アプリケーション群の優先順位は、「巡回点検アプリ」、「Dビル専用アプリ」、「天気予報サイト」、「落とし物アプリ」、「清掃アプリ」の順に高い。リンクボタンの左側の数値は、優先順位を示す。
【0083】
「巡回点検アプリ」は、前回10月29日の17:15に起動しており、直近の1ヶ月あたりの起動回数は29回である。「Dビル専用アプリ」は、前回10月29日の10:30に起動しており、直近の1ヶ月あたりの起動回数は15回である。「天気予報サイト」は、前回10月15日の15:22に起動しており、直近の1ヶ月あたりの起動回数は3回である。「落とし物アプリ」は、前回10月1日の15:52に起動しており、直近の1ヶ月あたりの起動回数は1回である。「清掃アプリ」は、前回10月30日の9:52に起動しており、直近の1ヶ月あたりの起動回数は30回である。また、「清掃アプリ」のみが本日起動済である。
【0084】
CPU111は、「使用状況」として、本日起動済である「清掃アプリ」の優先順位が最も低くなるように決定している(第5位)。CPU111は、「清掃アプリ」を除き、「使用頻度」の高い順に、「巡回点検アプリ」(第1位:1ヶ月あたり起動回数が29回)、「Dビル専用アプリ」(第2位:1ヶ月あたり起動回数が15回)、「天気予報サイト」(第3位:1ヶ月あたり起動回数が3回)、「落とし物アプリ」(第4位:1ヶ月あたり起動回数が1回)の優先順位付けを行っている。
【0085】
また、上述のように、CPU111は、「使用時間帯」に応じても「優先順位」を決定している。
図9に示すように、現在時刻は、10月30日の10:15(つまり、午前中)である。ここで、「巡回点検アプリ」は、午後のみにしか使用しないアプリであるとする。
【0086】
このため、CPU111は、午前中においては、午後にしか使用しない「巡回点検アプリ」の優先順位を下げている。具体的には、本日起動済である「清掃アプリ」の優先順位が最も低くなるように決定し(第5位)、午後にしか使用しない「巡回点検アプリ」の優先順位を次に低くなるように決定している(第4位)。
【0087】
また、上述のように、CPU111は、「気象情報」に応じても「優先順位」を決定している。気象情報は、天気情報や、地震、台風などの自然災害を含む。
図10に示すように、台風発生時において、「天気予報サイト」の優先順位が最も高くなるように決定している(第1位)。気象情報は、天気予報サイトにアクセスして取得するようにすればよい。
【0088】
また、CPU111は、取得した端末900の位置情報からビル内の位置を特定し、特定したCビル内の位置に応じて優先順位を決定するようにしてもよい。以下、
図11を用いて説明する。
【0089】
図11の右側にはDビル内のフロア60が示されている。Dビルは、たとえば、オフィスビルである。所定階のフロア60は、管理者使用エリア61と、一般利用者使用エリア62とに区画される。一般利用者使用エリア62は、オフィスビル(Dビル)に入居する会社の従業員などの一般利用者が使用するエリアである。管理者使用エリア61は、Dビルの管理者等が使用するエリアであって、一般利用者が立ち入ることのできないエリアである。
【0090】
本変形例においては、端末900はビル内の位置を特定可能であるとする。たとえば、ビル内の各所にはビーコンが設置されており、端末900はビーコン情報(ビーコン番号)を取得可能な構成であるとする。ビル運営管理装置100は、端末900からビーコン情報を取得する。ビル運営管理装置100は、ビーコン情報(ビーコン番号)とビル内の位置を対応付けたテーブルをデータベースとして記憶する。そして、当該テーブルに基づき、端末900のビル内での位置を特定する。これにより、ユーザ41が、管理者使用エリア61および一般利用者使用エリア62のいずれのエリアにいるのかを特定できるものとする。
【0091】
そして、現在、ユーザ41は、一般利用者使用エリア62にいることが特定されたとする。一般利用者が落とす落とし物は、一般利用者使用エリア62においてのみ発生する。本実施の形態において、落とし物アプリは、落とし物が発生した場所(一般利用者使用エリア62)において使用する(あるいは、使用頻度が高い)アプリであるとする。このため、CPU111は、ユーザ41が一般利用者使用エリア62にいるときは、管理者使用エリア61にいるときよりも、落とし物アプリの優先順位が高くなるように決定する。
【0092】
具体的には、
図11に示すように、ユーザ41が一般利用者使用エリア62にいるときは、落とし物アプリの優先順位が最も高くなるように決定している(第1位)。
【0093】
なお、たとえば、Dビル専用アプリが管理者使用エリア61でしか使用されない場合、CPU111は、ユーザ41が管理者使用エリア61にいるときは、一般利用者使用エリア62にいるときよりも優先順位が高くなるように、Dビル専用アプリの優先順位を決定するようにしてもよい。また、巡回点検アプリにおいて、巡回点検アプリを使用するエリアにいるときは、巡回点検アプリを使用しないエリアにいるときよりも、巡回点検アプリの優先順位が高くなるように決定するようにしてもよい。
【0094】
以上説明したように、本変形例においては、アプリ選択メニューにおいて、優先順位が高い順に対象アプリケーション群が表示されるとともに、対象アプリケーション群の各々の使用状況が表示される。このように使用状況および優先順位が表示されることで、ユーザ41は該当ビルで自分がやるべきことを思い出すきっかけとなる。また、CPU111は、アプリケーション群の各々の、使用頻度、使用時間帯および使用状況に応じて優先順位を決定するため、ユーザ41は使用すべきアプリケーションを素早く探し出すことができる。さらに、CPU111は、ビル内の位置に応じて優先順位を決定するため、ユーザ41がいる位置において使用される可能性の高いアプリケーションを素早く探し出すことができる。
【0095】
[主な構成および効果]
以下、前述した実施の形態の主な構成および効果を説明する。
【0096】
(1) ビル運営管理装置100は、ビルの運営管理業務を行うユーザ41が使用する端末900からログイン可能である。ビル運営管理装置100は、通信インターフェイス115(本開示に係る通信部)と、CPU111(本開示に係る処理部)とを備える。通信インターフェイス115は、端末900と通信する。CPU111は、データベース230および運営管理業務に使用するアプリケーション群に関する処理を行う。データベース230は、所在地テーブル231と、ユーザテーブル232と、アプリテーブル233とを含む。所在地テーブル231は、ビルに対応する位置情報を格納したテーブルである。ユーザテーブル232は、ユーザIDと、ユーザ41が担当する担当ビルと、担当ビルにおけるユーザ41の担当業務とを含む情報を格納したテーブルである。アプリテーブル233は、アプリケーション群の各々のアプリケーションに対応する対象ビル、対象業務およびアクセス方法を含む情報を格納したテーブルである。通信インターフェイス115は、ユーザ41が端末900からユーザIDでログインした際に、端末900の位置情報を取得する。CPU111は、取得した端末900の位置情報と所在地テーブル231とに基づき、ユーザ41が訪問中の訪問ビルを特定する。CPU111は、ログインしたユーザ41のユーザIDとユーザテーブル232とに基づき、ユーザ41の担当ビルおよび担当業務を特定する。CPU111は、特定した訪問ビル、担当ビルおよび担当業務と、アプリテーブル233とに基づき、アプリケーション群のうち訪問ビルにおいてユーザ41が使用可能な対象アプリケーション群を特定する。通信インターフェイス115は、端末900に対して、アプリケーション選択メニューを端末900に表示するためのデータを送信する。アプリケーション選択メニューは、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合に、当該アプリケーションをアクセス方法に基づいて端末900上で起動するメニューである。
【0097】
これらのアプリケーションは、歩行を伴う立ち仕事において使用されるため、極力簡易な操作により起動したいというニーズがある。上記のように構成することで、アプリ選択メニューの選択肢が必要最低限の数に減らせるため、ユーザ41は、画面スクロールしたり画面を次ページに送るといった煩雑な操作を極力減らすことができる。また、自動的に該当ビルの作業に必要なアプリ選択メニューが表示されるため、該当ビルで自分がやるべきことを思い出すきっかけとなる。これにより、ビルの運営管理業務に使用するアプリケーションを好適に起動することができる。
【0098】
(2) アプリケーション選択メニューにおいて、対象アプリケーション群とともに対象アプリケーション群の各々の使用状況が表示される。このように使用状況が表示されることで、該当ビルで自分がやるべきことを思い出すきっかけとなる。
【0099】
(3) アプリケーション選択メニューにおいて、優先順位が高い順に対象アプリケーション群が表示される。このように優先順位が表示されることで、該当ビルで自分がやるべきことを思い出すきっかけとなる。
【0100】
(4) CPU111は、気象情報、アプリケーション群の各々の、使用頻度、使用時間帯および使用状況に応じて優先順位を決定する。このようすることで、使用すべきアプリケーションを素早く探し出すことができる。
【0101】
(5) CPU111は、取得した端末900の位置情報からビル内の位置を特定する。CPU111は、ビル内の位置に応じて優先順位を決定する。このようにすることで、ユーザ41がいるビル内の位置において使用される可能性の高いアプリケーションを素早く探し出すことができる。
【0102】
(6) 担当業務は、設備員と、事務員と、警備員と、清掃員とを含む。設備員は、ビルの設備を管理する。事務員は、運営管理業務に関する補助作業および事務作業を行う。警備員は、ビルを警備する。清掃員は、ビルを清掃する。アプリケーション群は、気象情報アプリと、専用アプリと、点検アプリと、検針アプリと、日報アプリと、清掃アプリと、落とし物アプリを含む。気象情報アプリは、気象情報を表示するアプリである。専用アプリは、各ビル専用のアプリである。点検アプリは、ビルの設備の点検結果を記録するアプリである。検針アプリは、ビルの設備の検針結果を記録するアプリである。日報アプリは、運営管理業務の履歴を記録するアプリである。清掃アプリは、清掃結果を記録するアプリである。落とし物アプリは、落とし物に関する情報を記録するアプリである。このようにすることで、ビルの運営管理業務固有の担当業務に対応した、運営管理業務固有のアプリケーションを好適に起動することができる。
【0103】
(7) ビル運営管理システム1は、端末900と、ビル運営管理装置100と、データベース230と、アプリケーション群とを備える。端末900は、ビルの運営管理業務を行うユーザ41が使用する。ビル運営管理装置100は、端末900からログイン可能である。データベース230は、ビル運営管理装置100からアクセス可能である。アプリケーション群は、端末900からアクセス可能であって、運営管理業務に使用する。データベース230は、所在地テーブル231と、ユーザテーブル232と、アプリテーブル233とを含む。所在地テーブル231は、ビルに対応する位置情報を格納したテーブルである。ユーザテーブル232は、ユーザIDと、ユーザ41が担当する担当ビルと、担当ビルにおけるユーザ41の担当業務とを含む情報を格納したテーブルである。アプリテーブル233は、アプリケーション群の各々のアプリケーションに対応する対象ビル、対象業務およびアクセス方法を含む情報を格納したテーブルである。ビル運営管理装置100は、ユーザ41が端末900からユーザIDでログインした際に、端末900の位置情報を取得する。ビル運営管理装置100は、取得した端末900の位置情報と所在地テーブル231とに基づき、ユーザ41が訪問中の訪問ビルを特定する。ビル運営管理装置100は、ログインしたユーザ41のユーザIDとユーザテーブル232とに基づき、ユーザ41の担当ビルおよび担当業務を特定する。ビル運営管理装置100は、特定した訪問ビル、担当ビルおよび担当業務と、アプリテーブル233とに基づき、アプリケーション群のうち訪問ビルにおいてユーザ41が使用可能な対象アプリケーション群を特定する。ビル運営管理装置100は、端末900に対して、アプリケーション選択メニューを端末900に表示するためのデータを送信する。アプリケーション選択メニューは、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションを選択可能なメニューである。端末900は、アプリケーション選択メニューを表示する。端末900は、対象アプリケーション群のいずれかのアプリケーションが選択された場合、当該アプリケーションをアクセス方法に基づいて起動する。このようにすることで、ビルの運営管理業務に使用するアプリケーションを好適に起動することができる。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1 ビル運営管理システム、10 ビル運営管理センター、21 Aビル、22 Bビル、23 Cビル、41 担当者(ユーザ)、60 フロア、61 管理者使用エリア、62 一般利用者使用エリア、100 ビル運営管理装置(Webサーバ)、111,911 CPU、112,912 ROM、113,913 RAM、114,914 記憶部、115,915 通信インターフェイス、200 データベースサーバ、230 データベース、231 所在地テーブル、232 ユーザテーブル、233 アプリテーブル、300 アプリケーションサーバ、314 記憶部、331 巡回点検アプリ、332 検針アプリ、500 WebサーバA、600 WebサーバB、700 WebサーバC、900 端末、920 入力部、921 表示部。