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特許7459416リーク低減とラッチアップ防止のためにシリコン基板に局在絶縁を有する相補型MOSFET構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】リーク低減とラッチアップ防止のためにシリコン基板に局在絶縁を有する相補型MOSFET構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8238 20060101AFI20240326BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L27/092 B
H01L27/092 E
H01L29/78 301S
H01L29/78 301R
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022050169
(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公開番号】P2022160371
(43)【公開日】2022-10-19
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/171,133
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/318,097
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522085806
【氏名又は名称】インベンション アンド コラボレーション ラボラトリー プライベート リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】508059915
【氏名又は名称】エトロン テクノロジー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Etron Technology,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャオ チュン ル
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165480(JP,A)
【文献】国際公開第2011/064891(WO,A1)
【文献】特開2007-027199(JP,A)
【文献】特開平08-046202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/092
H01L 21/8238
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補型MOSFET構造であって、
半導体表面を有する半導体ウェハ基板と、
第1の導電領域(55)であって、高濃度ドープ半導体領域(552)と、前記高濃度ドープ半導体領域の側壁に横方向に当接する金属含有領域(553)を有する前記第1の導電領域を備えたP型MOSFET(72)と、
第2の導電領域を備えたN型MOSFET(71)と、
前記P型MOSFET(72)と前記N型MOSFET(71)との間の十字型局所絶縁領域(73)であって、前記十字型局所絶縁領域(73)は、前記半導体表面の下に水平方向に延在する絶縁領域(732、733)を含み、前記水平方向に延在する絶縁領域
(732、733)は前記第1の導電領域の底面および前記第2の導電領域の底面に接触する、十字型局所絶縁領域(73)と、
を備えた相補型MOSFET構造。
【請求項2】
前記相補型MOSFET構造はさらに、前記半導体表面の下に形成された第1のトレンチを備え、前記第1のトレンチは前記第1の導電領域を収容する、請求項1に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項3】
前記第1の導電領域は、前記半導体ウェハ基板から独立した低濃度ドープ半導体領域を備えている、請求項2に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項4】
前記低濃度ドープ半導体領域が、前記P型MOSFETのチャネル領域に当接している、請求項3に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項5】
記高濃度ドープ半導体領域は前記第1のトレンチ内に配置され、前記低濃度ドープ半導体領域及び前記高濃度ドープ半導体領域は同じ格子構造で形成されている、請求項3に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項6】
記金属含有領域は前記第1のトレンチ内に配置され、前記高濃度ドープ半導体領域に当接する、請求項5に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項7】
前記相補型MOSFET構造はさらに、前記半導体表面の下に形成された第1のトレンチを備え、前記第1のトレンチは、前記水平方向に延在する絶縁領域の第1の部分を収容する、請求項1に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項8】
前記P型MOSFETはさらにゲート構造を備え、前記第1のトレンチの側壁は前記ゲート構造のエッジと位置合わせまたは実質的に位置合わせされている、請求項7に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項9】
前記P型MOSFETはさらにゲート構造を備え、前記水平方向に延在する絶縁領域の前記第1の部分の全てが前記ゲート構造の直下にない、請求項7に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項10】
前記P型MOSFETはさらにゲート構造を備え、前記水平方向に延在する絶縁領域の前記第1の部分の5%未満が前記ゲート構造の直下にある、請求項7に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項11】
前記水平方向に延在する絶縁領域は複合絶縁領域である、請求項1に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項12】
前記水平方向に延在する絶縁領域は、第1の水平方向に延在する絶縁領域と第2の水平方向に延在する絶縁領域とを含み、前記第1の導電領域の底面は、前記第1の水平方向に延在する絶縁領域によって前記半導体ウェハ基板から遮蔽され、前記第2の導電領域の底面は、前記第2の水平方向に延在する絶縁領域によって前記半導体ウェハ基板から遮蔽されている、請求項1に記載の相補的MOSFET構造。
【請求項13】
相補型MOSFET構造であって、
半導体表面、及び、前記半導体表面の下に形成されたトレンチを有する半導体ウェハ基板と、
第1の導電領域を備えたP型MOSFET(72)と、
第2の導電領域を備えたN型MOSFET(71)と、
前記P型MOSFETと前記N型MOSFETとの間の局在絶縁領域(73)と、を備え、
前記局在絶縁領域(73)は、垂直方向に延在する絶縁領域(731)と、L字形状の熱酸化物層(481,482)と誘電体層(483)を有する水平方向に延在する絶縁領域(732、733)とを含み、
前記L字形状の熱酸化物層は前記トレンチの底壁と側壁を覆い、前記誘電体層(483)は前記L字形状の熱酸化物層を覆い、前記L字形状の熱酸化物層の上面は前記誘電体層の上面と揃えられ、前記誘電体層の材質は前記L字形状の熱酸化物層の材質と異なり、
前記P型MOSFETと前記N型MOSFETとの間のラッチアップ経路は、少なくとも前記水平方向に延在する絶縁領域(732、733)の底の長さに依存する、相補型MOSFET構造。
【請求項14】
前記第1の導電領域が高濃度ドープP+領域を含み、
前記第2の導電領域が高濃度ドープN+領域を含み、
前記高濃度ドープP+領域と前記高濃度ドープN+領域の両方が前記半導体ウエハ基板から遮蔽されている、請求項13に記載の相補型MOSFET構造。
【請求項15】
前記P型MOSFETの前記第1の導電領域はさらに、前記高濃度ドープP+領域の第1の側面を前記半導体ウエハ基板から遮蔽する第1の低濃度ドープ半導体領域を有し、前記N型MOSFETの前記第2の導電領域はさらに、前記高濃度ドープN+領域の第2の側面を前記半導体ウエハ基板から遮蔽する第2の低濃度ドープ半導体領域を有し、前記第1の低濃度ドープ半導体領域(551)と前記高濃度ドープP+体領域(552)は、イオン実装されずに形成されている、請求項14に記載の相補型MOSFET構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相補型MOSFET(CMOS)構造に関し、特に、電流リークを低減し、ラッチアップを防止できる局在絶縁を有するCMOS構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、今日の集積回路(IC)に最も広く用いられている現行技術水準の相補型金属酸化物半導体電解効果トランジスタ(CMOSFET)10の断面図である。CMOSFET10は、NMOSトランジスタ11とPMOSトランジスタ12とを含み、NMOSトランジスタ11とPMOSトランジスタ12との間には、シャロートレンチ絶縁(STI)領域13が配置されている。絶縁体(酸化物、酸化物/窒化物または何らかの高誘電体など)の上に何らかの導電性材料(金属、ポリシリコンまたはポリサイドなど)を用いたNMOSトランジスタ11またはPMOSトランジスタ12のゲート構造14は、平面(平面CMOS)または3Dシリコン表面(例えば、トライゲートまたはフィン型FETまたはゲートオールアラウンド「GAA」CMOS)いずれかの上に形成され、シリコン表面の側壁は、絶縁材料(例えば、酸化物または酸化物/窒化物または他の誘電体)を使用することによって他のトランジスタの側壁から隔離されている。NMOSトランジスタ11には、p型基板(またはpウェル)にn型ドーパントを注入するイオン注入+熱アニール技術によって形成されたソース領域とドレイン領域があり、これによって2つの分離したn+/p接合領域が形成されている。PMOSトランジスタ12には、p型ドーパントをnウェルにイオン注入することにより、ソース領域とドレイン領域の両方が形成され、これにより2つのp+/n接合領域を形成している。さらに、高濃度ドープn+/pまたはp+/n接合の前に衝撃イオン化およびホットキャリア注入を低減するために、ゲート構造の下に低濃度ドープドレイン(LDD)領域15を形成することが一般的である。
【0003】
NMOSトランジスタ11とPMOSトランジスタ12は、近接して隣り合って形成されたp基板とnウェルの一部の隣接領域内にそれぞれ配置されているため、n+/p/n/p+(図1の点線で示した経路はn+/p/n/p+ラッチアップ経路と呼ばれる)寄生バイポーラデバイスと呼ばれる寄生接合構造が形成され、その輪郭は、NMOSトランジスタ11のn+領域から開始して、pウェル、隣接するnウェル、さらにPMOSトランジスタ12のp+領域に至る。
【0004】
n+/p接合またはp+/n接合に大きなノイズが発生すると、このn+/p/n/p+接合に異常な大電流が流れ、CMOS回路の一部の動作を停止させたり、チップ全体の誤動作を引き起こす可能性がある。このような異常現象はラッチアップと呼ばれ、CMOSの動作に悪影響を与えるため、回避する必要がある。正にCMOSの弱点であるラッチアップに対する耐性を高める1つの方法は、n+領域からp+領域までの距離(図1ではラッチアップ距離と表示)を長くすることであり、n+領域とp+領域の両方を、通常STI(シャロートレンチ絶縁)領域13と呼ばれる絶縁領域としての何らかの垂直配向酸化物(または他の適切な絶縁材料)により隔離するように設計しなければならない。ラッチアップを回避するより本格的な対策として、n+領域とp+領域間の距離をさらに広げるガードバンド構造の設計や、ノイズ源から異常電荷を収集するための追加のn+領域やp+領域の追加などが必要である。これらの隔離方式は、常に追加の平面領域を増やして、CMOS回路のダイサイズを犠牲にする。
【0005】
一方、CMOS技術の進歩は、デバイスの形状を水平・垂直方向に微細化(例えば、ラムダ(λ)と呼ばれる最小のフィーチャーサイズを28nmから5nmや3nmに縮小)することによって急速に進展している。また、トランジスタの構造も平面トランジスタから3次元トランジスタ(フィンガーFET構造と呼ばれる凸型チャネルを用いたトライゲートやFinFET構造、凹型チャネルを用いたU溝FET構造など)へと変化している。しかし、このようなデバイス形状の微細化に伴い、多くの問題が発生し、悪化している。
【0006】
(1)ゲート/チャネル長の微細化は短チャネル効果(SCE)を悪化させる、つまり、NMOSではn+ソース領域とn+ドレイン領域が接近するとトランジスタのターンオフモードでも、トランジスタチャネルに関連するリーク電流が増加し(サブスレッショルドリーク電流と呼ばれる)、また、PMOSの場合でも、p+ソース領域がp+ドレイン領域に接近すると、同様なことが発生する。
【0007】
(2)基板/ウェル領域へのLDD(低濃度ドープドレイン)構造の形成、p基板へのn+ソース/ドレイン構造の形成、およびnウェルへのp+ソース/ドレイン構造の形成等の接合形成プロセスによって生じる全ての接合リークは制御しにくくなっているが、それは、イオン注入によって生じた格子欠陥により、正孔や電子のトラップが空くなどの追加の損傷が修復されにくい周辺部や底面を介してリーク電流が発生するためである。
【0008】
(3)トランジスタをオンにしたとき、3Dフィンガーシェープ凸型チャネルは、結晶性の良い格子構造でソース/ドレイン構造にできるだけ接近させて接続する必要がある。しかし、多くのFinFETでは、ソースおよびドレインの両方のシリコン材料は、最初は(100)結晶構造を備えた露出した底面のシリコン表面から成長し、すると、露出したトランジスタのチャネル/ボディ領域から横方向に成長した垂直面と、底面(100)から成長したn+およびp+のソース/ドレイン領域両方の垂直面との接触界面には、それぞれ垂直方向と水平方向に成長したシリコン材料両方から継承した格子構造(100)と(110)が混在しているはずであり、これは、最良の期待される単一結晶格子のシリコン構造とは言えない。
【0009】
(4)また、LDD構造(あるいはn+/p接合またはp+/n接合)を形成するためのイオン注入は、シリコン表面の上部から基板に向かって真直ぐイオンを挿入するボンバードメントのように動作するので、ソース、ドレイン領域からチャネル、基板-ボディ領域にかけて欠陥の少ない均一な材料界面を作ることが困難であるが、それは、ドーパント濃度が、ドーピング濃度の高い上面からドーピング濃度の低い接合領域まで垂直方向に非一様に分布するためである。
【0010】
(5)デバイスの微細化に伴い、従来のゲート、スペーサ、イオン注入形成によるセルフアライメント手法だけでは、LDD接合エッジとトランジスタのゲート構造エッジの完全な位置合わせが難しくなってきている。また、イオン注入ダメージを除去するための熱処理工程は、各種エネルギー源を用いたラピッドサーマルアニール法などの高温処理技術やその他の熱処理技術を駆使しなければならない。その結果生じる問題の1つはゲート誘導ドレインリーク(GIDL)電流である。図2に示すように(引用元:A. Sen and J.Das,「不純物ドーピングでのMOSFETGIDL電流変動―新規理論的アプローチ(MOSFET GIDL Current Variation with Impurity Doping Concentration―A Novel Theoretical Approach」IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS,VOL.38,NO.5,MAY 2017)、ゲートとドレイン/ソース領域に近い薄い酸化膜を備えたMOSFET構造には寄生金属ゲーテッドダイオードが存在し、リーク電流を減らすために最小化すべきにもかかわらず、ゲート-ソース/ドレイン領域に形成された寄生金属ゲーテッドダイオードにより、制御困難なGIDLの発生、さらに有効チャネル長制御困難によるSCE最小化困難という別の問題も生じている。
【0011】
(6)STI構造の垂直方向の長さを深くすることは難しく、デバイスの絶縁の平面幅は縮小しなければならないので(そうしないと、エッチング、充填、平坦化の統合プロセスで深さと開口のアスペクト比が悪くなる)、ラッチアップ防止のために確保した隣接トランジスタのn+領域とp+領域の平面隔離距離と縮小λの比例比は縮小できず、大きくなるのでCMOSデバイス縮小時にダイ面積縮小に支障をきたす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、インバータ、NANDゲート、NORゲート、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、クロスカップリング増幅器、および様々な回路構成を実装することができる新しい相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造を提供するものである。新規のCMOS構造は、デバイスと回路の両方のスケーリング中にCMOS設計をさらに強化することで、上記のような問題の少なくとも1つを大幅に改善、さらには解決し、特に、電流リークを最小化し、チャネル伝導性能と制御を高め、また、金属配線へのコンダクタンスを高めシームレスで規則正しい結晶格子のマッチアップでチャネル領域への最も密接な物理的完全性を高める等でソース・ドレイン領域の機能を最適化し、CMOS回路のラッチアップに対する耐性を高め、ラッチアップを避けるためにNMOSとPMOS間のレイアウト絶縁に用いる平面領域を最小にする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの目的によれば、相補型MOSFET構造は、半導体表面を有する半導体ウェハ基板と、第1の導電領域を備えたP型MOSFETと、第2の導電領域を備えたN型MOSFETと、前記P型MOSFETと前記N型MOSFETとの間の十字型局在絶縁領域とを備えている。前記十字型局在絶縁領域は、前記半導体表面の下に水平方向に延在する絶縁領域を含み、前記水平方向に延在する絶縁領域は、前記第1の導電領域の底面および前記第2の導電領域の底面に接触する。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記相補型MOSFET構造はさらに、前記半導体表面の下に形成された第1のトレンチを備え、前記第1のトレンチは前記第1の導電領域を収容する。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記第1の導電領域は、前記半導体ウェハ基板から独立した低濃度ドープ半導体領域を備えている。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記低濃度ドープ半導体領域は前記P型MOSFETのチャネル領域と当接している。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記第1の導電領域は高濃度ドープ半導体領域をさらに備え、前記高濃度ドープ半導体領域は前記第1のトレンチ内に配置され、前記低濃度ドープ半導体領域と前記高濃度ドープ半導体領域は同じ格子構造で形成されている。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記第1の導電領域はさらに金属含有領域を備え、前記金属含有領域は前記第1のトレンチ内に配置され、前記高濃度ドープ半導体領域に当接している。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記相補型MOSFET構造はさらに、前記半導体表面の下に形成された第1のトレンチを備え、前記第1のトレンチは、前記水平方向に延在する絶縁領域の第1の部分を収容する。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記P型MOSFETはさらにゲート構造を備え、前記第1のトレンチの側壁は前記ゲート構造のエッジと位置合わせまたは実質的に位置合わせされている。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記P型MOSFETはさらにゲート構造を備え、前記水平方向に延在する絶縁領域の前記第1の部分は全て前記ゲート構造の直下にない。
【0022】
本発明の一態様によれば、前記P型MOSFETはさらにゲート構造を備え、前記水平方向に延在する絶縁領域の前記第1の部分の5%未満は前記ゲート構造の直下にある。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記水平方向に延在する絶縁領域は複合絶縁領域である。
【0024】
本発明の一態様によれば、前記複合絶縁領域は、酸化物層と、前記酸化物層上の窒化物層とを含む。
【0025】
本発明の一態様によれば、前記酸化物層の垂直方向深さは、前記窒化物層の垂直方向深さよりも小さい。
【0026】
本発明の一態様によれば、前記水平方向に延在する絶縁領域は、第1の水平方向に延在する絶縁領域と第2の水平方向に延在する絶縁領域とを含み、前記第1の導電領域の底面は、前記第1の水平方向に延在する絶縁領域によって前記半導体ウェハ基板から遮蔽され、前記第2の導電領域の底面は、前記第2の水平方向に延在する絶縁領域によって前記半導体ウェハ基板から遮蔽されている。
【0027】
本発明の一態様によれば、前記十字型局在絶縁領域は、前記第1の水平方向に延在する絶縁領域と前記第2の水平方向に延在する絶縁領域との間に垂直方向に延在する絶縁領域を含み、前記垂直方向に延在する絶縁領域の垂直方向深さは、前記第1の水平方向に延在する絶縁領域または前記第2の水平方向に延在する絶縁領域の垂直方向深さよりも高い。
【0028】
本発明の一目的によれば、本発明の相補型MOSFET構造は、半導体表面を有する半導体ウェハ基板と、第1の導電領域を備えたP型MOSFETと、第2の導電領域を備えたN型MOSFETと、前記P型MOSFETと前記N型MOSFETとの間の局在絶縁領域とを備えている。前記局在絶縁領域は、垂直方向に延在する絶縁領域と水平方向に延在する絶縁領域とを含み、前記P型MOSFETと前記N型MOSFETとの間のラッチアップ経路は、少なくとも前記水平方向に延在する絶縁領域の底の長さに依存する。
【0029】
本発明の一態様によれば、前記水平方向に延在する絶縁領域は、前記垂直方向に延在する絶縁領域の第1の側面に接続された第1の水平方向に延在する絶縁領域と、前記垂直方向に延在する絶縁領域の第2の側面に接続された第2の水平方向に延在する絶縁領域とを含む。
【0030】
本発明の一目的によれば、本発明の相補型MOSFET構造は、半導体表面を有する半導体ウェハ基板と、第1の導電領域を含むP型MOSFETと、第2の導電領域を含むN型MOSFETと、前記P型MOSFETと前記N型MOSFETの間の局在絶縁領域とを備えている。前記第1の導電領域は高濃度ドープP+領域を含み、前記第2の導電領域は高濃度ドープN+領域を含み、高濃度ドープP+領域及び高濃度ドープN+領域は両方とも前記半導体ウェハ基板から遮蔽される。
【0031】
本発明の一態様によれば、前記高濃度ドープP+領域の底面及び前記高濃度ドープN+領域の底面は、局在絶縁領域によって前記半導体ウェハ基板から遮蔽される。
【0032】
本発明の一態様によれば、前記P型MOSFETの前記第1の導電領域はさらに、前記高濃度ドープP+領域の第1の側面を前記半導体ウェハ基板から遮蔽する第1の低濃度ドープ半導体領域を備え、前記N型MOSFETの前記第2の導電領域はさらに、前記高濃度ドープN+領域の第2の側面を前記半導体ウェハ基板から遮蔽する第2の低濃度ドープ半導体領域を備えている。
【0033】
本発明の一態様によれば、前記第1の低濃度ドープ半導体領域と前記第2の低濃度ドープ半導体は、前記半導体ウェハ基板から独立している。
【0034】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には間違いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来のCMOS構造の断面を示す図である。
図2】MOSFETのゲート-ソース/ドレイン間領域に形成される寄生金属ゲーテッドダイオードとMOSFETのGIDL問題を示す図である。
図3A】本発明による新規CMOS構造を示す上面図である。
図3B図3Aにおける切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造のPMOSトランジスタの断面を示す図である。
図3C図3Aにおける切断線2(x軸)に沿った新規CMOS構造のNMOSトランジスタの断面を示す図である。
図3D図3Aにおける切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造の断面を示す図である。
図4A】本発明によるCMOS構造の別の実施形態を示す上面図である。
図4B図4Aにおける切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造のPMOSトランジスタの断面を示す図である。
図4C図4Aにおける切断線2(x軸)に沿った新規CMOS構造のNMOSトランジスタの断面を示す図である。
図4D図4Aにおける切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造の断面を示す図である。
図5A】本発明によるCMOS構造の別の実施形態を示す上面図である。
図5B図5Aにおける切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造のPMOSトランジスタの断面を示す図である。
図5C図5Aにおける切断線2(x軸)に沿った新規CMOS構造のNMOSトランジスタの断面を示す図である。
図5D図5Aにおける切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造の断面を示す図である。
図6】n+領域とp+領域が絶縁体によって完全に絶縁されていない従来のCMOS構造を示す図である。
図7A】PMOS及びNMOSトランジスタが横方向に並んで配置されている、本発明によるCMOS構造の他の実施形態の上面図である。
図7B図7Aにおける切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造の断面を示す図である。
図7C】さらに、本発明による図7Bの潜在的なラッチアップ経路を示す図である。
図8】n+/p接合からpウェル/nウェル接合を経て遷移型CMOS構造のn/p+接合構造に至る可能なラッチアップ経路を示す図である。
図9図5Bの切断線2(x軸)に基づく、異なるドレイン領域の複数のドーピング濃度プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
p型基板(またはpウェル)およびnウェルでそれぞれ作られるNMOSトランジスタ31とPMOSトランジスタ32を接続する単純なCMOS構造30を例として使用して、本発明の主要な属性を説明する。本発明の第1の実施形態による図3A図3Dを参照されたい。図3Aは、新規CMOS構造30の上面図であり、図3Bは、図3Aの切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造30のPMOSトランジスタ32の断面を示す図であり、図3Cは、図3Aにおける切断線2(x軸)に沿った新規CMOS構造30のNMOSトランジスタ31の断面を示す図であり、図3Dは、図3Aにおける切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造30の断面を示す図である。PMOSトランジスタ32に関して図3Bに示すように、半導体基板(シリコン基板等)の水平面または原面の上方に、ゲート絶縁層331及びゲート導電層332(ゲート金属等)を備えたゲート構造33が形成される。ゲート導電層332の上に誘電体キャップ333(酸化物層と窒化物層の複合体など)がある。さらに、酸化物層341と窒化物層342の複合体を含み得るスペーサが、ゲート構造33の側壁の上に使用されている。シリコン基板にはトレンチが形成され、ソース領域35及びドレイン領域36の全てまたは少なくとも一部は、それぞれ対応するトレンチ内に配置される。PMOSトランジスタ32におけるソース(またはドレイン)領域は、P+領域または他の適切なドーピングプロファイル領域(P-領域とP+領域との漸次または段階的な変化など)を含んでもよい。さらに、1つの局在絶縁(窒化物または他の高誘電体材料など)が、1つのトレンチ内に配置されてソース領域の下に配置され、別の局在絶縁が、別のトレンチ内に配置されてドレイン領域の下に配置されている。このような局在絶縁は、シリコン基板の水平シリコン表面(HSS)の下にあり、シリコン基板への局在絶縁(LISS)37と呼ばれ得る。LISS37は、厚い窒化物層または誘電体層の複合体であり得る。
【0037】
同様に、NMOSトランジスタ31に関する図3Cにおいて、NMOSトランジスタ31におけるソース領域35またはドレイン領域36は、N+領域または他の適切なドーピングプロファイル領域を含んでもよい。1つの局在絶縁(窒化物または他の高誘電体材料など)も、1つのトレンチ内に配置されてNMOSトランジスタ31のソース領域35の下に配置され、また、別の局在絶縁が、別のトレンチ内に配置されて同様にNMOSトランジスタ31のドレイン領域36の下に配置される。さらに、SOI(シリコン・イン・アイソレーション)構造とは異なり、本発明による図3B及び図3Cでは、全てのLISS局在絶縁は、トランジスタのゲート構造またはチャネルの直下にない。したがって、LISS局在絶縁は、チャネル領域から基板への熱放散を遮断することはない。もちろん、別の実施形態では、LISS局在絶縁のほとんどは、トランジスタのゲート構造またはチャネルの直下になく、LISS局在絶縁の5%未満(または5%~10%未満)だけが、トランジスタのゲート構造33またはチャネルの直下になり得る。
【0038】
図3Aの切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造の断面を示す図である図3Dに示すように、PMOSのP+ソース/ドレイン領域とn型Nウェルとの間に1つの局在絶縁(またはLISS)が存在し、NMOSのN+ソース/ドレイン領域とp型Pウェルまたは基板との間に別の局在絶縁(またはLISS)が存在している。したがって、PMOSのP+領域の底面からNMOSのN+領域の底面に至る可能性のあるラッチアップ経路は、局在絶縁によってブロックされる。したがって、ラッチアップ距離Xp+Xn(平面で測定)は、深刻なラッチアップの問題を発生させることなく、可能な限り小さくすることができる。
【0039】
本発明の別の実施形態による図4A図4Dを参照されたい。図4Aは、NMOSトランジスタ41及びPMOSトランジスタ42を有する新規CMOS構造40の上面図であり、図4Bは、図4Aにおける切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造40のPMOSトランジスタ42の断面を示す図であり、図4Cは、図4Aにおける切断線2(x軸)に沿った新規CMOS構造40のNMOSトランジスタ41の断面を示す図であり、図4Dは、図4Aにおける切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造40の断面を示す図である。図4B図3Bとの大きな違い(または図4C図3Cとの違い)は、図4B(または図4C)の局在絶縁またはLISS47が複合局在絶縁を備え得るという点である。複合局在絶縁48は、トレンチの少なくとも一部の側壁を覆う1つの酸化物層(酸化物-3V層481と呼ぶ)と、トレンチの少なくとも一部の底壁を覆う別の酸化物層(酸化物-3B層482)とを含む。酸化物-3V層481及び酸化物-3B層482は、熱酸化処理によって形成され得る。複合局部絶縁48はさらに、酸化物-3B層482の上にあり、酸化物-3V層481と接触する窒化物層483(窒化物-3と呼ぶ)を含む。窒化物層483または窒化物-3は、酸化物-3V層がほぼ設計通りを保つ限り、任意の適切な絶縁材料によって置き換えられ得ることに言及しておく。さらに、図4B(または図4C)のSTI(シャロートレンチ絶縁)領域は、STI-1層491およびSTI-2層492を含む複合STI49を備え得るものであり、STI-1層491およびSTI-2層492は、それぞれ異なるプロセスによって厚い酸化物材料で形成され得る。
【0040】
図4Bまたは図4Cに描かれた酸化物-3V層481及び酸化物-3B層482の厚さは、例示の目的で示されているに過ぎず、その形状は、それらの図に示された複合STI49(STI-1層491及びSTI-2層492を含む)の寸法に比例しないことに留意されたい。例えば、酸化物-3V層及び酸化物-3B層の厚さは2~5nm程度であるが、複合STI層の垂直高さは200~300nm程度であり得る。
【0041】
同様に、図4Aの切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造40の断面を示す図である図4Dに示すように、PMOSのP+ソース/ドレイン領域とn型Nウェルとの間に複合局在絶縁(またはLISS48)が存在し、NMOSのN+ソース/ドレイン領域とp型Pウェルまたは基板との間に別の複合局在絶縁(またはLISS48)が存在する。したがって、PMOSのP+領域の底面からNMOSのN+領域の底面に至る可能性のあるラッチアップ経路は、局在絶縁によって完全にブロックされる。したがって、ラッチアップ距離Xp+Xn(平面で測定)は、深刻なラッチアップの問題を発生させることなく、可能な限り小さくされ得る。
【0042】
本発明の別の実施形態による図5A図5Dを参照されたい。図5Aは、NMOSトランジスタ51及びPMOSトランジスタ52を有する新規CMOS構造50の上面図であり、図5Bは、図5Aにおける切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造50のPMOSトランジスタ52の断面を示す図であり、図5Cは、図5Aにおける切断線2(x軸)に沿った新規CMOS構造50のNMOSトランジスタ51の断面を示す図であり、図5Dは、図5Aにおける切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造50の断面を示す図である。図5B図4Bとの大きな違い(または図5C図4Cとの違い)は、図5B(または図5C)のソース(またはドレイン)領域が複合ソース領域55および/またはドレイン領域56を備え得るという点である。例えば、図5Bに示すように、本実施形態によるCMOS構造50のPMOSトランジスタ52では、複合ソース領域55(またはドレイン領域56)は、少なくともトレンチ内の低濃度ドープドレイン(LDD)551と高濃度P+ドープ領域552とを備えている。特に、低濃度ドープドレイン(LDD)551は、均一な(110)結晶方位を有する露出したシリコン表面と当接していることに留意されたい。露出したシリコン表面は、図5BにおいてTEC(鋭角の有効チャネル長となるように明確なエッチング除去したトランジスタボディの厚さ)としてラベル付けされているゲート構造のエッジとは対照的に、適切な凹んだ厚さのその垂直境界を有する。露出したシリコン表面は、ゲート構造と実質的に整列している。露出したシリコン表面は、トランジスタのチャネルの端面であり得る。
【0043】
さらに低濃度ドープドレイン(LDD)551及び高濃度P+ドープ領域552は、選択的エピタクシャル成長(SEG)技術(または、原子層堆積ALDまたは選択的成長ALD-SALDであり得る他の適切な技術)に基づいて形成することが可能であり、露出TEC領域からシリコンを成長させて、それを結晶種として用い、複合ソース領域55またはドレイン領域56の新たに形成される結晶の(110)結晶構造の変化へのシーディング効果を有さない、LISS領域にわたって新たな十分に整った(110)格子を形成する。そのような新たに形成された結晶(低濃度ドープドレイン(LDD)551及び高濃度P+ドープ領域552を含む)は、図5Bに記すように、TEC-Siと命名され得る。一実施形態では、TECは、ゲート構造33のエッジに位置合わせ、または実質的に位置合わせされ、LDD551の長さは調整可能であり、TECと反対側のLDD551の側壁は、スペーサ34の側壁と位置合わせされ得る。同様に、NMOSトランジスタ51の複合ソース/ドレイン領域のTEC-Si(LDD領域と高濃度N+ドープ領域を含む)を図5Cに示す。
【0044】
従来のSEG成長ソース/ドレイン領域では、それらのソース/ドレイン領域は、(100)結晶構造を有する露出した底面シリコン表面から成長するだけでなく、(110)結晶構造を有する露出したトランジスタのチャネル/ボディ領域から横方向に成長するので、それらの従来の成長ソース/ドレイン領域は(110)と(100)の混合格子構造を有し、そこに欠陥と転位を引き起こす可能性がある。
【0045】
一方、本発明における複合ソース/ドレイン領域のTEC-Siは、(110)結晶構造の変化へのシーディング効果のないLISS領域全体にわたって、十分に整った(110)格子のみから成長する。したがって、いくつかの新規な結果が達成された。(1)複合ソース/ドレイン領域の新たなTEC-Siは、全て(110)結晶シリコンで形成されており、(100)シリコンと(110)シリコンが格子状に混在する従来の2種類のシード領域からのソース/ドレイン領域の成長方法を改善した。(2)有効チャネル長と新たに形成された(110)ソース/ドレイン領域との間の明確な結晶シリコン構造は、新たに成長した(110)ソース/ドレイン領域界面と完全に原形のままでFin構造を密着してシームレスに完全被覆する結果となり、さらに、所謂Finまたはトライゲート構造のゲート絶縁膜に包囲された有効チャネル伝導領域は、複合ソース/ドレイン領域のLDD領域によって水平方向導電延長部のように強固に接続されており、トライゲート形状のようにトランジスタ幅を正確に制御できるため、従来のトライゲートトランジスタよりも均一にオン電流を流すことが可能である。(3)NMOSにはリン/ヒ素原子を、PMOSにはボロン原子をインサイチュでドープしたTEC-Siが成長可能である。このようなインサイチュ・ドープシリコン成長TEC技術により、ソース/ドレインは適切に設計されて、横方向の距離を制御できるLDD(低濃度ドープドレイン)構造を有し、その後、複合ソース/ドレイン領域の高濃度ドープ領域に変更することが可能である。(4)LDDを形成するためにイオン注入を行う必要がないため、欠陥低減のための熱アニーリング処理が不要である。したがって、一度誘起されるとアニール処理でも完全に除去することは難しい余分な欠陥がないため、予期せぬリーク電流の発生を大幅に抑制することができるはずである。(5)従来の導電路形成法のように(110)と(100)の混合格子構造をハンドリングしなければならないのとは対照的に、ハンドリングされなければならないのは、チャネル-ソース/ドレイン領域に沿った(110)格子構造のみである。このため、正確に制御可能なSEGでの横方向成長TEC-Siは、より高品質/高性能なソース/ドレイン-チャネル間導通機構を生み出すと期待される。サブスレショルドリークは低減できるはずである。チャネルからLDDを経て複合ソース/ドレイン領域の高濃度ドープ領域に至る伝導機構は、ホリスティックな設計が可能であり、さらにはソース/ドレイン領域に均一に外来原子/イオンを挿入することでストレスチャネル移動度増強技術を含み、オン伝導性能増強のための相乗効果を有し得るので、チャネル伝導性能は向上する。(6)もう1つの大きな利点は、ゲートとエッジ及びTECとエッジの間の垂直境界を熱酸化制御性によって明確にできるため、従来のLDD注入によるゲート-エッジとLDDの位置合わせとは異なり、GIDL効果を低減できることである。(7)ソース/ドレイン領域のほとんどがLISSによる底面構造を含む絶縁材料で隔離されているため、TEC-チャネル領域のごく一部にしか接合リークの可能性がなく、従って著しく低減された。
【0046】
別の実施形態では、複合ソース(またはドレイン)領域はさらに、図5Bおよび5Cに示すように、ソース/ドレイン領域全体の完成のためにTEC-Si部分に水平接続で形成されたいくつかのタングステン(または他の適切な金属材料)プラグ553を含み得る。図5Bに示すように、金属-1層のような将来の金属配線に流れる有効チャネル電流は、LDD551および高濃度ドープ導電領域552を通って、従来のシリコン-金属コンタクトよりもはるかに低い抵抗を有する何らかの良好な金属-金属オーミックコンタクトによって金属-1に直接接続されたタングステン553(または他の金属材料)に至る。
【0047】
ここでも、図5Aの切断線(Y軸)に沿った新規CMOS構造50の断面を示す図である図5Dに示すように、PMOSのP+ソース/ドレイン領域とn型Nウェルとの間に1つの複合局在絶縁(またはLISS48)が存在し、また、NMOSのN+ソース/ドレイン領域とp型Pウェルまたは基板との間に別の複合局在絶縁(またはLISS48)が存在する。図5Dに示すこの新規に発明されたCMOS構造において、n+およびp+領域の底面が絶縁体によって完全に絶縁されていること(図3Dおよび図4Dにおいても同様)、すなわち、PMOSのP+領域の底面からNMOSのN+領域の底面への可能なラッチアップ経路がLISSによって完全にブロックされていることが、利点として明確に示されている。一方、従来のCMOS構造では、図6に示すように、n+領域とp+領域が絶縁体で完全に絶縁されていないため、n+/p接合からpウェル/nウェル接合を経てn/p+接合へと存在する可能なラッチアップ経路は、長さ丸a、長さ丸b、長さ丸c(「丸X」は、文字「X」を丸で囲んだ囲み文字を指す)を有する(図6)。
【0048】
本発明の他の実施形態による図7A図7Cを参照されたい。図7Aは、NMOSトランジスタ71及びPMOSトランジスタ72を有する新規CMOS構造の上面図であり、図7Bは、図7Aの切断線1(x軸)に沿った新規CMOS構造の断面を示す図であり、図7Cは、さらに本発明による新規CMOS構造の潜在的ラッチアップ経路を示す。図7A図5Aとの大きな違い(または図7B図5Dとの違い)は、図7A(または図7B)のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタは横方向に並んで配置されているが、図5A(または図5D)のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタは縦方向に並んで配置されているという点である。図7Bに示すように、単純に言うと、PMOSトランジスタ72とNMOSトランジスタ71の間には、十字型のLISS73が存在する。十字型のLISS73は、垂直方向に延在する絶縁領域731(STI-1層491とSTI-2層を含む複合STIなど、垂直方向の深さは150~300nm程度、例えば200nm程度であり得る)と、垂直方向に延在する絶縁領域731の右側に水平方向に延在する第1の絶縁領域732(垂直方向の深さは50nm~120nm程度、例えば100nmであり得る)と、垂直方向に延在する絶縁領域731の左側に第2の水平方向に延在する絶縁領域733(垂直方向長さ深さは50nm~120nm程度、例えば100nmであり得る)とを含む。PMOS/NMOSトランジスタのソース/ドレイン領域(またはLDD領域)の垂直方向深さは、30nm~50nm程度、例えば40nm程度である。
【0049】
第1及び第2の水平方向に延在する絶縁領域は、トランジスタのゲート構造またはチャネルの下にはない。第1の水平方向に延在する絶縁領域732(垂直方向に延在する絶縁領域の右側)は、PMOSトランジスタ72のソース/ドレイン領域の底面に接触し、第2の水平方向に延在する絶縁領域733(垂直方向に延在する絶縁領域の左側)は、MMOSトランジスタ71のソース/ドレイン領域の底面に接触している。したがって、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタにおけるソース/ドレイン領域の底面側はシリコン基板から遮蔽される。さらに、第1または第2の水平方向に延在する絶縁領域732は、2つ以上の異なる絶縁材料(酸化物-3と窒化物-3など)を含み得る複合絶縁であってもよいし、2つ以上の同じ絶縁材料を含むが各絶縁材料は別々のプロセスで形成されるものであってもよい。同様に、図3D図4Dまたは図5Dにおいて、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタの間にもLISSの十字型があると見なされ得る。
【0050】
本文および図1で前述したように、CMOS構成/技術の欠点は、純粋なNMOS技術とは対照的に、n+/p-サブ/n-ウェル/p+接合のような寄生バイポーラ構造が存在すると、残念ながら一部の不良設計ではノイズによる大きな電流サージに耐えられず、チップ全体の動作停止やチップ機能への永久損傷を引き起こすラッチアップのトリガとなることである。しかし、CMOSはNMOSのみに比べ、特に電力削減の面でいくつかの利点があるが、CMOSのレイアウトとプロセスルールは、NMOSのn+ソース/ドレイン領域とPMOSのp+ソース/ドレイン領域を分離するために非常に大きなスペースを必要とし、それはラッチアップ距離(図1)と呼ばれ、ラッチアップの可能性を防止するために多くの平面が費やされることになる。また、ソース/ドレインのn+/pとp+/nの半導体接合面積が大きすぎる場合、順方向バイアス事故が発生してしまうと、大きなサージ電流が発生してラッチアップが発生する可能性がある。また、シリコンソース/ドレインと金属-1との接触抵抗が大きいと、ラッチアップを誘発する危険性がある。
【0051】
図7Bの新規発明のCMOS構造70は、n+/p接合からpウェル(またはp基板)/nウェル接合を経てn/p+接合に至る経路がはるかに長くなっている。図7Cに示すように、本発明によれば、LDD-n/p接合からpウェル/nウェル接合を経てn/LDD-p接合に至る可能なラッチアップ経路は、長さ丸1、長さ丸2(1つのLISS領域の底壁の長さ)、長さ丸3、長さ丸4、長さ丸5、長さ丸6、長さ丸7(別のLISS領域の底壁の長さ)、および図7Cに記された長さ丸)を含む。一方、従来のCMOS構造では、n+/p接合からpウェル/nウェル接合を経てn/p+接合に至る可能なラッチアップ経路は長さ丸d、長さ丸e、長さ丸f、長さ丸gを含む(図8に示す)。このような図7Cの可能なラッチアップ経路は、図8の可能なラッチアップ経路よりも長くなっている。したがって、デバイスレイアウトの観点から、図7BのNMOSとPMOSとの間の留保エッジ距離(X+X)は、図8の留保エッジ距離よりも小さくすることができる。さらに、図7Cでは、潜在的なラッチアップ経路は、図8のn+/p接合からn/p+接合ではなく、LDD-n/p接合から開始してn/LDD-p接合に至る。図7CのLDD-nまたはLDD-p領域におけるドーピング濃度は、図8のn+またはp+領域におけるドーピング濃度よりも低いので、図7CのLDD-nまたはLDD-p領域から放出される電子または正孔の量は、図8のn+またはp+領域から放出される量よりもはるかに低くなるであろう。このような低いキャリアの放出は、ラッチアップ現象が誘発される可能性を効果的に減少させるだけでなく、ラッチアップ現象が誘発されたとしても、電流を劇的に減少させることができる。n+/pおよびp+/nの両接合領域が著しく減少しているので、これらの接合の何らかの急激な順方向バイアスでさえ、異常電流の大きさを減少させて、図7Cのラッチアップ形成の可能性を排除できる。さらに、複合ソース/ドレイン領域に基づく金属-1コンタクト(I×Rまたは電圧降下)に対する、より良いソース/ドレインのコンダクタンス改善も、ラッチアップに対するより高い耐性を付加するために、半導体接合の順方向バイアスの可能性を減少させる。
【0052】
再び図7Bを参照すると、本発明によれば、PMOSの複合ソースまたはドレイン領域は、第1の水平方向に延在する絶縁領域と垂直方向に延在する絶縁領域とによって包囲され、PMOSの複合ソースまたはドレイン領域のLDD領域(垂直方向の長さは30~50nm程度、例えば40nmであり得る)のみがシリコン基板に接触して、p+/n接合ではなくLDD-p/n接合を形成している。同様に、MMOSの複合ソースまたはドレイン領域は、第2の水平方向に延在する絶縁領域と垂直方向に延在する絶縁領域とによって包囲され、NMOSの複合ソースまたはドレイン領域のLDD領域(垂直方向の長さは40nm程度であり得る)のみがシリコン基板に接触し、p+/n接合ではなく、LDD-n/p接合を形成している。したがって、NMOSのn+領域とPMOSのp+領域は、両方とも基板またはウェル領域から遮蔽される。さらに、第1または第2の水平方向に延在する絶縁領域は複合絶縁であり、十分な厚みがあるので、ソース(またはドレイン)領域とシリコン基板との間に誘発される寄生金属ゲーテッドダイオードは最小化され得る。さらに、ゲート誘導ドレインリーク(GIDL)効果も改善される可能性がある。また、隣接するNMOS、PMOSトランジスタ用に留保された平面ラッチアップ距離を大幅に短縮し、CMOSの平面面積を大幅に縮小することが期待される。
【0053】
まとめると、ソース・ドレイン領域の活性電極は、トランジスタのチャネル領域とボディ領域両方の結晶面から直接成長するため、それらの界面は同じ(110)格子方位でシームレスに形成され、Fin構造の水平トップエッジと2つの垂直エッジを覆うデバイス幅は、最大限の均一性に正確に制御されている。さらに、LDD(低濃度ドープドレイン)の平面は、SEG中にインサイチュドーピング技術により、トランジスタチャネルとボディの両方から水平方向に成長しており、トップシリコンからソース/ドレイン領域に下降してのみ形成できるイオン注入プロセスや接合境界の定義と制御が困難な熱アニールプロセスは存在しない。本発明は、ソース/ドレイン領域の境界エッジから有効チャネル領域のエッジまでをより正確に定義することができ、この境界はSCE、GIDLおよび接合リーク電流を最小化するためにゲートエッジにうまく位置合わせできる。
【0054】
さらに、この新規発明のCMOS構造では、n+領域とp+領域が絶縁体で完全に隔離されており、提案するLISSは、NMOSおよびPMOSトランジスタの接合部を分離するためにシリコン基板への絶縁距離を長くして、接合部間の表面距離を短くすることが可能である。
【0055】
さらに、本発明では、LDDの水平SEG形成を、ゲルマニウムや炭素原子のような様々な非シリコンドーパントまで含めて高濃度ドープ領域とし、チャネル移動度を高めるために応力を増加させた。さらに、LISSの上のソース/ドレイン領域全体を完成させるために、金属プラグを提案する。本発明によるソース/ドレイン領域の水平SEG/ALD形成において、ドーピング濃度プロファイルは制御可能または調整可能である。図9は、図5Bの切断線-2(X軸)に基づく異なるドレイン領域の複数のドーピング濃度プロファイルを示しており、X軸はMOSFETのゲート構造エッジ(またはゲート構造エッジに近似する所定のエッジ)から測定した距離を表し、Y軸はドーピング濃度を表している。従来のMOSFET構造では、イオン注入と熱処理によるn-LDD領域の形成により、n-LDD領域がゲート構造下の一部の領域に横方向に侵入し(図9の点線)、その侵入部分が有効チャネル長を短くすることが避けられない。一方、本発明によれば、トランジスタ本体またはTECの垂直面から直接SEGまたはALDプロセスによりn-LDD領域を形成するため、n-LDD領域はゲート構造の下に侵入せず(図9の実線または破線)、それに応じて有効チャネル長も短くなることはない。さらに、ゲート構造のエッジからドレイン領域におけるドーピング濃度プロファイルは、例えば、n-LDD領域の1019から高濃度ドープ領域の1020まで徐々に増加するか(図9の徐々に変化する実線)、n-LDD領域の1019から高濃度ドープ領域の1020まで急変する(図9の急変する破線)ことになる。PMOSについても同様である。
【0056】
当業者ならば、本発明の教示を保持しながら、デバイスおよび方法の多数の修正および変更を行い得ることは容易にわかるであろう。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0057】
30 新規CMOS構造
31 NMOSトランジスタ
32 PMOSトランジスタ
33 ゲート構造
37 局在絶縁
71 N型MOSFET
72 P型MOSFET
73 十字型局所絶縁領域
331 ゲート絶縁層
332 ゲート導電層
341 酸化物層
342 窒化物層
551 低濃度ドープドレイン
552 高濃度ドープP+
732、733 水平方向に延在する絶縁領域

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9