(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】燃焼器およびこれを含むガスタービン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20240326BHJP
F23R 3/32 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F23R3/28 D
F23R3/32
(21)【出願番号】P 2022103195
(22)【出願日】2022-06-28
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0124573
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ウン ソン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ヨン ジュン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070551(JP,A)
【文献】特開2011-075271(JP,A)
【文献】特開2013-231583(JP,A)
【文献】特開2014-040998(JP,A)
【文献】特開2010-281566(JP,A)
【文献】特開2012-241982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0258409(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0084534(US,A1)
【文献】米国特許第04845952(US,A)
【文献】実開昭61-034325(JP,U)
【文献】米国特許第11674476(US,B2)
【文献】特開2018-189285(JP,A)
【文献】米国特許第4262482(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/12
F23R 3/28
F23R 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させる燃焼器において、
外部から燃料が流入するアウター缶と、
前記アウター缶の前方に設けられるアウターヘッドと、
前記アウター缶の内部に配置され、前記アウター缶との間に圧縮空気が流動し、燃料および圧縮空気の混合物が燃焼される燃焼チャンバが内部に形成されたインナー缶と、
前記インナー缶の前方に設けられ、供給された燃料と圧縮空気とを混合して前記インナー缶の内部に供給するインナーヘッドとを含み、
前記インナーヘッドは、
前記インナー缶の前方を覆うヘッドプレートと、
前記ヘッドプレートの前方に設けられ、燃料と圧縮空気とを混合させて後方に供給する複数のノズルアセンブリとを含み、
前記複数のノズルアセンブリのそれぞれは、
中空のプレート形状に形成され、前方に燃料が流入するノズルヘッドと、
前方端部が前記ノズルヘッドに結合され、後方端部が前記ヘッドプレートに結合され、供給された燃料と圧縮空気とを混合して後方に供給し、後方へいくほど直径が減少後増加する形状に形成された複数のノズル手段と、を含み、
前記複数のノズル手段のそれぞれは、後方へいくほど直径が減少
し、前方から供給される前記圧縮空気が半径方向の全体にわたって後方に向かって流れる中空の筒形状を有し、前記ノズルヘッドの内部に配置され、
前記ノズルヘッドの内部に流入した燃料が内部に供給されるように壁体に燃料流入ホールが形成されたノズル減少部を含む、
燃焼器。
【請求項2】
前記複数のノズルアセンブリは、前記ヘッドプレートの中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズルアセンブリを半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられ、
前記複数のノズル手段は、前記ノズルヘッドの中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズル手段を半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられる、請求項1に記載の燃焼器。
【請求項3】
前記ノズル手段は、
前記ノズル減少部の後方に配置され、前方から燃料と圧縮空気を受け、前記ノズルヘッドとヘッドプレートとの間で前記ヘッドプレートに結合され、後方へいくほど直径が増加するノズル増加部をさらに含む、請求項1に記載の燃焼器。
【請求項4】
前記ノズル手段は、
前記ノズル減少部の前方に連結され、前記ノズルヘッドの前方に突出し、前後に直径が一定に形成され、前方から流入する圧縮空気を前記ノズル減少部に伝達するノズル流入部をさらに含む、請求項1に記載の燃焼器。
【請求項5】
前記ノズル手段は、
前記ノズル減少部とノズル増加部との間で前記ノズル減少部とノズル増加部にそれぞれ連結され、前記ノズル減少部からノズル増加部に燃料と圧縮空気を供給し、前後に直径が一定に形成されたノズル連結部をさらに含む、請求項3に記載の燃焼器。
【請求項6】
前記ノズル増加部は、半径方向外側から内側に圧縮空気が流入する空気流入ホールが壁体に貫通形成され、
前記空気流入ホールは、前後に互いに離隔配置される複数個で備えられ、前記ノズル増加部の半径方向を基準として外側から内側へいくほど円周方向に沿って曲がった形状に形成されて、前記ノズル増加部の内部に供給される圧縮空気にスワール(Swirl)を形成する、請求項3に記載の燃焼器。
【請求項7】
前記燃料流入ホールは、前記ノズル減少部の半径方向を基準として外側から内側へいくほど、前記ノズル減少部の内部で流動する圧縮空気の流動方向を基準として後方に傾斜して形成された、請求項1に記載の燃焼器。
【請求項8】
外部から供給された空気を圧縮させる圧縮機と、
前記圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器から供給された燃焼ガスを内部に通過させて電力生成のための動力を発生させるタービンとを含み、
前記燃焼器は、
外部から燃料が流入するアウター缶と、
前記アウター缶の前方に設けられるアウターヘッドと、
前記アウター缶の内部に配置され、前記アウター缶との間に圧縮空気が流動し、燃料および圧縮空気の混合物が燃焼される燃焼チャンバが内部に形成されたインナー缶と、
前記インナー缶の前方に設けられ、供給された燃料と圧縮空気とを混合して前記インナー缶の内部に供給するインナーヘッドとを含み、
前記インナーヘッドは、
前記インナー缶の前方を覆うヘッドプレートと、
前記ヘッドプレートの前方に設けられ、燃料と圧縮空気とを混合させて後方に供給する複数のノズルアセンブリとを含み、
前記複数のノズルアセンブリのそれぞれは、
中空のプレート形状に形成され、前方に燃料が流入するノズルヘッドと、
前方端部が前記ノズルヘッドに結合され、後方端部が前記ヘッドプレートに結合され、供給された燃料と圧縮空気とを混合して後方に供給し、後方へいくほど直径が減少後増加する形状に形成された複数のノズル手段と、を含み、
前記複数のノズル手段のそれぞれは、後方へいくほど直径が減少
し、前方から供給される前記圧縮空気が半径方向の全体にわたって後方に向かって流れる中空の筒形状を有し、前記ノズルヘッドの内部に配置され、
前記ノズルヘッドの内部に流入した燃料が内部に供給されるように壁体に燃料流入ホールが形成されたノズル減少部を含む、
ガスタービン。
【請求項9】
前記複数のノズルアセンブリは、前記ヘッドプレートの中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズルアセンブリを半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられ、
前記複数のノズル手段は、前記ノズルヘッドの中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズル手段を半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられる、請求項8に記載のガスタービン。
【請求項10】
前記ノズル手段は、
前記ノズル減少部の後方に配置され、前方から燃料と圧縮空気を受け、前記ノズルヘッドとヘッドプレートとの間で前記ヘッドプレートに結合され、後方へいくほど直径が増加するノズル増加部をさらに含む、請求項8に記載のガスタービン。
【請求項11】
前記ノズル手段は、
前記ノズル減少部の前方に連結され、前記ノズルヘッドの前方に突出し、前後に直径が一定に形成され、前方から流入する圧縮空気を前記ノズル減少部に伝達するノズル流入部をさらに含む、請求項8に記載のガスタービン。
【請求項12】
前記ノズル手段は、
前記ノズル減少部とノズル増加部との間で前記ノズル減少部とノズル増加部にそれぞれ連結され、前記ノズル減少部からノズル増加部に燃料と圧縮空気を供給し、前後に直径が一定に形成されたノズル連結部をさらに含む、請求項10に記載のガスタービン。
【請求項13】
前記ノズル増加部は、半径方向外側から内側に圧縮空気が流入する空気流入ホールが壁体に貫通形成され、
前記空気流入ホールは、前後に互いに離隔配置される複数個で備えられ、前記ノズル増加部の半径方向を基準として外側から内側へいくほど円周方向に沿って曲がった形状に形成されて、前記ノズル増加部の内部に供給される圧縮空気にスワール(Swirl)を形成する、請求項10に記載のガスタービン。
【請求項14】
前記燃料流入ホールは、前記ノズル減少部の半径方向を基準として外側から内側へいくほど、前記ノズル減少部の内部で流動する圧縮空気の流動方向を基準として後方に傾斜して形成された、請求項8に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器およびこれを含むガスタービンに関し、圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させる燃焼器、および燃焼器で発生した燃焼ガスをタービンに通過させて電力生成のための動力を発生させるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボマシンとは、ターボマシンを通過する流体(特に、気体)を通して、電力生成のための動力を発生させる装置を意味する。したがって、ターボマシンは、通常、発電機と共に設けられて用いられる。このようなターボマシンには、ガスタービン(Gas turbine)、スチームタービン(Steam turbine)、風力タービン(Wind power turbine)などが相当できる。ガスタービンは、圧縮空気と天然ガスとを混合して燃焼させて燃焼ガスを生成し、このように生成された燃焼ガスを用いて発電のための動力を生成する装置である。スチームタービンは、水を加熱して生成される蒸気を利用して発電のための動力を生成する装置である。風力タービンは、風力を発電用動力に変換させる装置である。
【0003】
ターボマシンのうち、ガスタービンについて説明すれば、ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、圧縮機ケーシング内に複数の圧縮機ベーンと圧縮機ブレードが交互に配置される。そして、圧縮機は、圧縮機入口スクロールストラット(Compressor inlet scroll strut)を介して外部の空気を吸入する。このように吸入された空気は、圧縮機の内部を通過しながら前記圧縮機ベーンと圧縮機ブレードによって圧縮される。燃焼器は、前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を受けて燃料と混合させる。また、燃焼器は、圧縮空気と混合された燃料を点火器で点火して高温高圧の燃焼ガスを生成する。このように生成された燃焼ガスはタービンに供給される。タービンは、タービンケーシング内に複数のタービンベーンとタービンブレードが交互に配置される。そして、タービンは、燃焼器で生成された燃焼ガスを受けて内部に通過させる。タービンの内部を通過する燃焼ガスはタービンブレードを回転させ、タービンの内部を完全に通過した燃焼ガスはタービンディフューザを介して外部に吐出される。
【0004】
ターボマシンのうち、蒸気タービンについて説明すれば、蒸気タービンは、蒸発器と、タービンとを含む。前記蒸発器は、外部から供給された水を加熱して蒸気を生成する。前記タービンは、ガスタービンでのタービンと同じく、タービンケーシング内に複数のタービンベーンとタービンブレードが交互に配置される。ただし、蒸気タービンでのタービンは、燃焼ガスではない、前記蒸発器で生成された蒸気を内部に通過させて、タービンブレードを回転させる。
【0005】
一方、ガスタービンの燃焼器は、外部から供給された燃料と、圧縮機から供給された燃料とを混合して、燃焼器の内部に噴射するノズルを備える。そして、燃焼器で燃料と圧縮空気との混合物が燃焼される燃焼チャンバは、ノズルより後方、すなわち燃料-圧縮空気の混合物の流動方向を基準として下流(Downstream)側に配置される。
【0006】
この時、従来のガスタービンによれば、水素のように速い火炎速度を有する物質を燃料として用いる場合、燃焼チャンバで発生する火炎が前方、すなわち燃料-圧縮空気の混合物の流動方向を基準として上流(Upstream)側に逆流することにより、ノズルで逆火(Flashback)が発生し、ノズルが損傷を受けるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国公開特許第2012/0111013号(発明の名称:System for directing air flow in a fuel nozzle assembly)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するために開発されたものであって、ノズルの構造を改善することで、燃焼チャンバで発生した火炎がノズル側に逆流してノズルで逆火が発生するのを防止する燃焼器およびこれを含むガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させる燃焼器において、外部から燃料が流入するアウター缶と、前記アウター缶の前方に設けられるアウターヘッドと、前記アウター缶の内部に配置され、前記アウター缶との間に圧縮空気が流動し、燃料および圧縮空気の混合物が燃焼される燃焼チャンバが内部に形成されたインナー缶と、前記インナー缶の前方に設けられ、供給された燃料と圧縮空気とを混合して前記インナー缶の内部に供給するインナーヘッドとを含み、前記インナーヘッドは、前記インナー缶の前方を覆うヘッドプレートと、前記ヘッドプレートの前方に設けられ、燃料と圧縮空気とを混合させて後方に供給する複数のノズルアセンブリとを含み、前記ノズルアセンブリは、燃料が流入するノズルヘッドと、前方端部が前記ノズルヘッドに結合され、後方端部が前記ヘッドプレートに結合され、供給された燃料と圧縮空気とを混合して後方に供給し、後方へいくほど直径が減少後増加する形状に形成された複数のノズル手段とを含む燃焼器を提供する。
【0010】
また、本発明は、外部から供給された空気を圧縮させる圧縮機と、前記圧縮機から供給された圧縮空気を燃料と混合して燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器から供給された燃焼ガスを内部に通過させて電力生成のための動力を発生させるタービンとを含み、前記燃焼器は、外部から燃料が流入するアウター缶と、前記アウター缶の前方に設けられるアウターヘッドと、前記アウター缶の内部に配置され、前記アウター缶との間に圧縮空気が流動し、燃料および圧縮空気の混合物が燃焼される燃焼チャンバが内部に形成されたインナー缶と、前記インナー缶の前方に設けられ、供給された燃料と圧縮空気とを混合して前記インナー缶の内部に供給するインナーヘッドとを含み、前記インナーヘッドは、前記インナー缶の前方を覆うヘッドプレートと、前記ヘッドプレートの前方に設けられ、燃料と圧縮空気とを混合させて後方に供給する複数のノズルアセンブリとを含み、前記ノズルアセンブリは、燃料が流入するノズルヘッドと、前方端部が前記ノズルヘッドに結合され、後方端部が前記ヘッドプレートに結合され、供給された燃料と圧縮空気とを混合して後方に供給し、後方へいくほど直径が減少後増加する形状に形成された複数のノズル手段とを含むガスタービンを提供する。
【0011】
前記複数のノズルアセンブリは、前記ヘッドプレートの中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズルアセンブリを半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられ、前記複数のノズル手段は、前記ノズルヘッドの中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズル手段を半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられる。
【0012】
前記ノズルヘッドは、中空のプレート形状に形成され、前方に燃料が流入し、前記ノズル手段は、後方へいくほど直径が減少し、前記ノズルヘッドの内部に配置され、前記ノズル手段の内部に流入した燃料が内部に供給されるように壁体に燃料流入ホールが形成されたノズル減少部を含むことができる。
【0013】
前記ノズル手段は、前記ノズル減少部の後方に配置され、前方から燃料と圧縮空気を受け、前記ノズルヘッドとヘッドプレートとの間で前記ヘッドプレートに結合され、後方へいくほど直径が増加するノズル増加部をさらに含むことができる。
【0014】
前記ノズル手段は、前記ノズル減少部の前方に連結され、前記ノズルヘッドの前方に突出し、前後に直径が一定に形成され、前方から流入する圧縮空気を前記ノズル減少部に伝達するノズル流入部をさらに含むことができる。
【0015】
前記ノズル手段は、前記ノズル減少部とノズル増加部との間で前記ノズル減少部とノズル増加部にそれぞれ連結され、前記ノズル減少部からノズル増加部に燃料と圧縮空気を供給し、前後に直径が一定に形成されたノズル連結部をさらに含むことができる。
【0016】
前記ノズル増加部は、半径方向外側から内側に圧縮空気が流入する空気流入ホールが壁体に貫通形成され、前記空気流入ホールは、前後に互いに離隔配置される複数個で備えられ、前記ノズル増加部の半径方向を基準として外側から内側へいくほど円周方向に沿って曲がった形状に形成されて、前記ノズル増加部の内部に供給される圧縮空気にスワール(Swirl)を形成することができる。
【0017】
前記燃料流入ホールは、前記ノズル減少部の半径方向を基準として外側から内側へいくほど、前記ノズル減少部の内部で流動する圧縮空気の流動方向を基準として後方に傾斜して形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による燃焼器およびこれを含むガスタービンによれば、インナー缶の前方に設けられるノズル手段が前方から後方へいくほど直径が減少後増加する形状に形成され、燃料はノズル手段における直径の減少する部位に供給されることにより、ノズル手段における直径の減少する部分での流体の流速が速くなることを利用して、燃焼チャンバで発生した火炎が逆流してノズル手段で逆火が発生するのを防止することができる。
【0019】
また、本発明によれば、2次圧縮空気がノズル手段における直径の増加する部位に供給されることにより、ノズル手段の内周面に隣接して流動する流体の燃料/空気の比率を減少させて、燃焼チャンバで発生した火炎がノズル手段の内周面に沿って逆流するのを防止することができる。具体的には、前記2次圧縮空気は、ノズル手段の内部でスワール(Swirl)効果を誘発して燃料と空気との混合効率を増加させるが、ノズル手段の内部中の中心部位の1次圧縮空気と半径部位の燃料、そしてノズル手段の外部の2次圧縮空気によってノズル手段の出口部位の燃料/空気の比率がM字状になり、このため、ノズル手段の中心部位の低い燃料/空気の比率がスワール(Swirl)によって発生する内部再循環(inner recirculation)の影響によりノズル手段の中心部分の火炎がノズルの内部に入り込む問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】
図2に示したノズルアセンブリを前方からみた様子を示す部分切開斜視図である。
【
図4】
図3の正面図であって、本発明の第1実施例を示す図である。
【
図7】
図6におけるC-C線に沿ったノズル増加部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は添付した特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【0022】
図1を参照すれば、ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器100と、タービン12とを含む。気体(圧縮空気または燃焼ガス)の流動方向を基準とした時、ガスタービン10の上流側には圧縮機11が配置され、下流側にはタービン12が配置される。そして、圧縮機11とタービン12との間には燃焼器100が配置される。
【0023】
圧縮機11は、圧縮機ケーシングの内部に圧縮機ベーンと圧縮機ロータとを収容し、タービン12は、タービンケーシングの内部にタービンベーンとタービンロータとを収容する。このような圧縮機ベーンと圧縮機ロータは、圧縮空気の流動方向に沿って多段(Multi-stage)に配置され、タービンベーンとタービンロータも、燃焼ガスの流動方向に沿って多段に配置される。この時、圧縮機は、吸入された空気が圧縮できるように前段(Front-stage)から後段(Rear-stage)側へいくほど内部空間が減少し、逆に、タービン12は、燃焼器から供給された燃焼ガスが膨張できるように前段から後段側へいくほど内部空間が大きくなる構造に設計される。
【0024】
一方、圧縮機11の最後段部側に位置した圧縮機ロータと、タービン12の最前段部側に位置したタービンロータとの間には、タービン12で発生した回転トルクを前記圧縮機11に伝達するトルク伝達部材としてのトルクチューブが配置される。前記トルクチューブは、
図1に示されるように、計3つの段からなる複数のトルクチューブディスクで構成されるが、これは、本発明の様々な実施例のうちの1つに過ぎず、前記トルクチューブは、4つ以上の段または2つ以下の段からなる複数のトルクチューブディスクで構成されてもよい。
【0025】
前記圧縮機ロータは、圧縮機ディスクと、圧縮機ブレードとを含む。前記圧縮機ケーシングの内部には、複数(例えば、14枚)の圧縮機ディスクが備えられ、前記それぞれの圧縮機ディスクは、タイロッドによって軸方向に離隔しないように締結される。さらに詳しくは、前記それぞれの圧縮機ディスクは、中心部が前記タイロッドによって貫通した状態で互いに軸方向に沿って整列される。そして、隣接するそれぞれの圧縮機ディスクは、対向する面が前記タイロッドによって圧着されて、互いに相対的な回転ができないように配置される。
【0026】
前記圧縮機ディスクの外周面には、複数の圧縮機ブレードが放射状に結合される。また、前記圧縮機ブレードの間には、同じ段(Stage)を基準とした時、前記圧縮機ケーシングの内周面に環状に設けられる複数の圧縮機ベーンがそれぞれ配置される。前記圧縮機ベーンは、前記圧縮機ディスクとは異なって回転しないように固定された状態を維持し、圧縮機ブレードを通過した圧縮空気の流れを整列して、下流側に位置する圧縮機ブレードに圧縮空気を案内する役割を果たす。この時、前記圧縮機ケーシングと圧縮機ベーンは、前記圧縮機ロータと区分するために、圧縮機ステータという包括的な名称で定義される。
【0027】
前記圧縮機ステータは、前記圧縮機ケーシングと圧縮機ベーンのほか、圧縮機入口スクロールストラットをさらに含む。前記圧縮機入口スクロールストラットは、前記圧縮機ケーシングの前段に連結され、外部の空気を前記圧縮機ケーシングの入口にガイドする。一方、前記圧縮機ベーンのうち、最も前段に位置したものをインレットガイドベーンという。前記インレットガイドベーンは、前記圧縮機ケーシングに流入する空気を、後段に配置された圧縮機ブレードと圧縮機ベーンにガイドする役割を果たす。
【0028】
前記タイロッドは、前記複数の圧縮機ディスクと、後述するタービンディスクの中心部とを貫通するように配置され、一側端部は圧縮機11の最前段部側に位置した圧縮機ディスク内に締結され、他側端部は固定ナットによって締結される。
【0029】
前記タイロッドの形態は、ガスタービンによって多様な構造からなるので、必ずしも
図1に提示された形態に限定されるものではない。すなわち、図示のように、1つのタイロッドが圧縮機ディスクとタービンディスクの中央部とを貫通する形態を有してもよく、複数のタイロッドが円周上に配置される形態を有してもよいし、これらの混用も可能である。
【0030】
図示しないが、ガスタービンの圧縮機には、流体の圧力を高めた後、燃焼器の入口に入る流体の流動角を設計流動角に合わせるために案内羽根の役割を果たすデスワーラ(Deswirler)が設けられる。
【0031】
前記燃焼器100から出た高温、高圧の燃焼ガスは、上述したタービン12に供給される。タービン12に供給された高温高圧の燃焼ガスは、タービン12の内部を通過しながら膨張し、それによって、後述するタービンブレードに衝動および反動力を加えて回転トルクを発生させる。このように得られた回転トルクは、上述したトルクチューブを経て圧縮機に伝達され、圧縮機の駆動に必要な動力を超える部分は発電機などを駆動するのに使用される。
【0032】
前記タービン12は、基本的には圧縮機11の構造と類似する。すなわち、前記タービン12にも、圧縮機11の圧縮機ロータと類似する複数のタービンロータが備えられる。したがって、前記タービンロータも、タービンディスクと、これから放射状に配置される複数のタービンブレードとを含む。前記タービンブレードの間にも、同じ段を基準とした時、前記タービンケーシングに環状に設けられる複数のタービンベーンが備えられ、前記タービンベーンは、タービンブレードを通過した燃焼ガスの流動方向をガイドする。この時、前記タービンケーシングとタービンベーンも、前記タービンロータと区分するために、タービンステータという包括的な名称で定義される。
【0033】
図2を参照すれば、本発明による燃焼器100は、アウター缶110と、アウターヘッド111と、インナー缶120と、インナーヘッド121とを含む。前記アウター缶110は、中空の円筒形状に形成され、外部から燃料が流入する。前記アウターヘッド111は、前記アウター缶110の前方から前記アウター缶110を覆う。前記インナー缶120は、前記アウター缶110の内部に配置され、中空の円筒形状に形成される。そして、前記インナー缶120とアウター缶110との間には、圧縮空気が後方から前方に移動し、前方を通して燃料と圧縮空気が内部に注入される。そして、前記インナー缶120の内部に注入された燃料と圧縮空気との混合物が燃焼されるにつれ、高温高圧の火炎および燃焼ガスが発生する。ここで、前記インナー缶120の内部で燃焼が行われる空間を燃焼チャンバ112という。前記インナーヘッド121は、前記インナー缶120の前方に設けられ、供給された燃料と圧縮空気とを混合して前記インナー缶120の内部に供給する。
【0034】
図3および
図4を参照すれば、前記インナーヘッド121は、ヘッドプレート122と、複数のノズルアセンブリ123とを含む。前記ヘッドプレート122は、前記インナー缶120の前方を覆う。前記複数のノズルアセンブリ123は、前記ヘッドプレート122の前方に設けられ、燃料と圧縮空気とを混合させて後方に供給する。前記ノズルアセンブリ123は、ノズルヘッド124と、複数のノズル手段130とを含む。前記ノズルヘッド124は、前記ヘッドプレート122の前方に離隔配置され、燃料が内部に流入する。前記複数のノズル手段130は、前方端部が前記ノズルヘッド124に結合され、後方端部が前記ヘッドプレート122に結合され、供給された燃料と圧縮空気とを混合して後方に供給する。この時、前記複数のノズル手段130は、前方端部から後方端部へいくほど直径が減少後増加する形状に形成される。
【0035】
図2および
図3を参照すれば、前記複数のノズルアセンブリ123は、前記ヘッドプレート122の中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズルアセンブリ123を半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられる。前記複数のノズル手段130は、前記ノズルヘッド124の中心部位に1個が配置され、前記中心部位のノズル手段130を半径方向外側で残りの複数個が取り囲む構造で設けられる。
【0036】
図3および
図4を参照すれば、前記ノズルヘッド124は、中空のプレート形状に形成され、前方に燃料が流入する。前記ノズル手段130は、ノズル減少部131と、ノズル増加部132と、ノズル流入部133と、ノズル連結部134とを含む。
【0037】
前記ノズル減少部131は、後方へいくほど直径が減少し、前記ノズルヘッド124の内部に配置され、前記ノズル手段130の内部に流入した燃料が内部に供給されるように壁体に燃料流入ホール135が形成される。前記燃料流入ホール135は、前記ノズル減少部131の円周方向に沿って離隔配置される複数個で備えられる。前記ノズル増加部132は、前記ノズル減少部131の後方に配置され、前方から燃料と圧縮空気を受け、前記ノズルヘッド124とヘッドプレート122との間で前記ヘッドプレート122に結合され、後方へいくほど直径が増加する。
【0038】
前記ノズル流入部133は、前記ノズル減少部131の前方に連結され、前記ノズルヘッド124の前方に突出し、前後に直径が一定に形成され、前方から流入する圧縮空気を前記ノズル減少部131に伝達する。前記ノズル連結部134は、前記ノズル減少部131とノズル増加部132との間で前記ノズル減少部131とノズル増加部132にそれぞれ連結され、前記ノズル減少部131からノズル増加部132に燃料と圧縮空気を供給し、前後に直径が一定に形成される。
【0039】
前記ノズル増加部132は、半径方向外側から内側に圧縮空気が流入する空気流入ホール136が壁体に貫通形成される。前記空気流入ホール136は、前記ノズル増加部132の円周方向に沿って互いに離隔配置される複数個で備えられる。そして、前記複数の空気流入ホール136は、前後に、すなわち前記ノズル増加部132の内部で流動する流体の流動方向に沿って互いに離隔配置される複数の列(Row)で備えられる。前記空気流入ホール136は、前記ノズル増加部132の半径方向を基準として外側から内側へいくほど円周方向に沿って曲がった形状に形成されて、前記ノズル増加部の内部に供給される圧縮空気にスワール(Swirl)を形成する。
【0040】
図2~
図4を参照すれば、前記インナー缶120とアウター缶110との間を通して前記ノズルアセンブリ123の前方に流入した圧縮空気は、前記ノズル流入部133の前方に流入した後、前記ノズル減少部131に供給される。そして、燃料は、外部から前記アウター缶110の内部に流入した後、前記ノズルヘッド124の内部に流入する。参照として、図面では、外部から前記ノズルヘッド124に燃料を供給するパイプラインが省略されている。前記ノズルヘッド124の内部に流入した燃料は、前記複数の燃料流入ホール135を通して前記ノズル減少部131の内部に供給される。そして、前記ノズル減少部131の内部で燃料と圧縮空気とは混合された後、前記ノズル連結部134を介して前記ノズル増加部132に供給される。
【0041】
図5を参照すれば、前記ノズル減少部131は、後方へいくほど直径が次第に減少するので、前記ノズル減少部131での圧縮空気の流動は、前記ノズル減少部131の半径方向内側に収斂(Converging)する。そして、前記ノズル減少部131の後方へいくほど前記ノズル減少部131での圧縮空気の流速が速くなる。そして、燃料は、このように圧縮空気の流速が増加する部位に供給される。この場合、前記ノズル減少部131の内周面で逆火(Flashback)が発生するのを防止することができる。
【0042】
図6および
図7を参照すれば、前記ノズル増加部132に供給された燃料と圧縮空気との混合物は後方に供給された後、前記ヘッドプレート122を通過した後、前記燃焼チャンバ112に注入される。この時、前記インナー缶120とアウター缶110との間を通して前記ヘッドプレート122の前方に供給された圧縮空気中の一部は、前記複数の空気流入ホール136を通して前記ノズル手段130の外部から前記ノズル増加部132の内部に流入する。前記複数の空気流入ホール136は、それぞれ前記ノズル増加部132の半径方向を基準として外側から内側へいくほど円周方向に沿って曲がった形状に形成されるので、前記複数の空気流入ホール136を通して前記ノズル増加部132の内部に流入する圧縮空気の流動にはスワール(Swirl)が発生する。
【0043】
前記ノズル減少部131の内部空間は、中心部位が内周面と隣接した部位より空気に比べて燃料の量が相対的に低い。すなわち、前記ノズル減少部131の内部空間は、中心部位から内周面と隣接した部位へいくほど空気に比べて燃料の量が増加する。前記複数の燃料流入ホール135を通して前記ノズル減少部131の内周面に燃料が供給されるからである。前記ノズル増加部132の内部空間は、中心部位から内周面と隣接した部位へいくほど空気に比べて燃料の量が増加後減少する。前記ノズル減少部131とは逆に、前記ノズル増加部132は、内周面に、燃料ではない圧縮空気が供給されるからである。
【0044】
したがって、前記ノズル増加部132の内周面の隣接部位は、燃料に比べて空気の量が相対的に多いため、逆火(Flashback)が発生するのを防止することができる。また、前記複数の空気流入ホール136を通して前記ノズル増加部132の内部に流入する圧縮空気の流動にはスワール(Swirl)が形成されるので、前記ノズル増加部132の内部での燃料と圧縮空気とがより均一に効果的に混合されるようにし、前記燃焼チャンバ112で発生する火炎から前記ノズル増加部132の内周面を保護することができる。ノズル流入部133に流入する圧縮空気を1次圧縮空気とし、空気流入ホール136に流入する圧縮空気を2次圧縮空気とした時、2次圧縮空気によるスワール(Swirl)によって発生する内部再循環(inner recirculation)の影響によりノズル手段130の中心部位の火炎がノズルの内部に入り込む問題が発生しうるが、これは、ノズル手段130の中心部位の1次圧縮空気の軸方向速度によってノズル手段130の中心部位が低い燃料/空気の比率を維持させることができ、1次圧縮空気の軸方向速度によってノズル手段130の内部の空気再循環領域を後方に押し出して、上記のような問題を防止することができる。
【0045】
図5を参照すれば、本発明の第1実施例において、前記複数の燃料流入ホール135は、それぞれ前記ノズル減少部131の半径方向に沿って、すなわち前記ノズル減少部131の内部空間中の中心部位で流動する流体の流動方向に対して直交するように形成される。
図8を参照すれば、本発明の第2実施例において、前記複数の燃料流入ホール135は、それぞれ前記ノズル減少部131の半径方向を基準として外側から内側へいくほど、前記ノズル減少部131の内部で流動する圧縮空気の流動方向を基準として後方に傾斜して形成される。