(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】排水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/30 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
E03C1/30
(21)【出願番号】P 2019230273
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】岩端 智大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】中安 渉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 理沙
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-062781(JP,A)
【文献】特開2004-324108(JP,A)
【文献】米国特許第06666966(US,B1)
【文献】特開2007-291817(JP,A)
【文献】特開2007-130552(JP,A)
【文献】特開2007-285097(JP,A)
【文献】実開昭53-021757(JP,U)
【文献】特開2005-026626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/22-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水受け部の下方に設けられる排水装置であって、
上記水受け部よりも下流に設けられ
た下降流路と上昇流路とにより流路が形成され、上記流路内に封水を形成する封水形成部と、
上記封水形成部内の水に超音波を照射する超音波発振器と、
上記封水形成部内に流入する水により、上記封水形成部内の水位が封水水位から上記封水水位より高い超音波洗浄水位までは上昇させるように形成されている水位調整部と、を
有し、
上記封水形成部は、
少なくとも上記封水水位において金属の内側面を備え、上記封水水位以外の部分において非金属の内側面を備え、
上記超音波発振器は、上記封水形成部の下降流路の底部に設けられ、上記下降流路の入口部分に向かって超音波を照射するように配置されていることを特徴とする排水装置。
【請求項2】
上記封水形成部は非金属の内壁面を備え、上記金属の内側面は、上記非金属の内壁面の内側に形成され、上記非金属の内側面は上記内壁面により形成されている、請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
上記封水形成部の上記金属の内側面の上端は、上記超音波洗浄水位よりも高い位置に形成されている、請求項1又は2に記載の排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置に係り、特に、水受け部の下方に設けられる排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、シンクの底面に設けられ且つ超音波発信器を備えている排水装置が知られている。このような排水装置においては超音波発振器により排水部内の洗浄を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に示すような、排水装置の排水トラップにおいては、封水水位付近に汚れがつきやすく、しかも封水水位付近に付着した汚れが乾燥して落としにくくなることが知られている。
このとき、特許文献1に示すように、排水装置は樹脂部材により形成されている。このため、封水水位付近の内壁面も樹脂部材により形成される。このような封水水位付近の内壁面の樹脂部材が超音波を吸収し、汚れが付着しやすい封水水位付近の内壁面の洗浄性能が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、汚れが付着しやすい封水水位付近における洗浄性能を向上できる排水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、水受け部の下方に設けられる排水装置であって、上記水受け部よりも下流に設けられ、内部に流路が形成され、上記流路内に封水を形成する封水形成部と、上記封水形成部内の水に超音波を照射する超音波発振器と、上記封水形成部内に流入する水により、上記封水形成部内の水位が封水水位から上記封水水位より高い超音波洗浄水位までは上昇させるように形成されている水位調整部とを備え、上記封水形成部は、少なくとも上記封水水位において金属の内側面を備えていることを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、封水形成部は、少なくとも上記封水水位において金属の内壁面を備えている。これにより、汚れが付着しやすい封水水位付近において金属の内壁面により超音波を反射させやすくできる。よって、汚れが付着しやすい封水水位付近における洗浄性能を向上できる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記封水形成部の上記金属の内側面は、金属部材を上記封水形成部の内壁よりも内側に設けることにより形成されている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、排水装置の封水形成部の内壁は、一般的には、樹脂で形成される。仮に金属の内側面を封水形成部に形成する場合に、封水形成部の内壁の一部を部分的に金属の内壁に変更しようとすると、金属の内壁と封水形成部の他の樹脂の内壁との間に接続部が必要となり、接続部からの漏水のリスクが生じる。仮にこのような接続部を採用する場合には、この接続部の水密性を担保するため、製造工程の手間がかかり、さらに排水装置の部品点数が増加する問題がある。一方で、本発明の発明者は、封水形成部のすべてを金属部材にしないために、封水形成部の内壁の全部に金属層を被覆することを検討した。しかしながら、このように封水形成部の内壁の全部に金属層を被覆することは製造性やコスト面から比較的困難という問題があった。これに対し、本発明の一実施形態の構成によれば、封水形成部の上記金属の内側面は、金属部材を上記封水形成部の内壁よりも内側に設けることにより形成されている。これにより、封水形成部の内壁の内側に金属の内側面が比較的簡単に取付けられる。よって、封水形成部の金属の内側面を形成するために、金属の内壁と封水形成部の他の樹脂の内壁との間の接続部を設ける必要がなくなる。従って、封水形成部の金属の内側面を形成するときに、漏水のリスクが抑制でき、また、製造性が低下することを抑制でき、さらに製造コストが増加することを抑制できる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記封水形成部の上記金属の内側面の上端は、上記超音波洗浄水位よりも高い位置に形成されている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、封水形成部の上記金属の内側面の上端は、上記超音波洗浄水位よりも高い位置に形成されているので、封水形成部内の水位が超音波洗浄水位まで上昇した場合に、汚れが付着しやすい超音波洗浄水位において金属の内壁面により超音波を反射させやすくできると共に、水面で反射された音波を金属の内側面によりさらに反射でき、超音波洗浄水位付近における洗浄性能を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排水装置によれば、汚れが付着しやすい封水水位付近における洗浄性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムを正面から見た正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムを側面から見た側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による排水装置がシンクに取付けられた状態でシンクの斜め上方から見た、蓋、網かごを封水形成部から取り外した状態を示す分解斜視図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿って見た断面図である。
【
図6】
図4の封水形成部近傍を拡大して示す拡大断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムの構造を概略的に示すブロック図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
【
図10】本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の平面部の第1変形例において、封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
【
図11】本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の平面部の第2変形例において、封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
【
図12】本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の平面部の第3変形例において、封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本明細書に開示する本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、以下の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムについて説明する。
図1は本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムを正面から見た正面図であり、
図2は本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムを側面から見た側面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による排水装置1を備えた排水システムユニットである排水システム2は、キッチンに設けられる。排水システム2は、超音波洗浄を行うシステムである。
【0013】
排水システム2は、水を受ける水受け部であるシンク4と、このシンク4に水又は湯を吐水する吐水部であるキッチン用水栓装置6と、シンク4の底部4aの下方に設けられる排水装置1と、排水装置1の下流側に設けられる排水流路8とを備えている。
【0014】
シンク4は、キッチン用水栓装置6から吐水された水を下流側に排出するように形成される。キッチン用水栓装置6は、上流側において、給水源(図示せず)から水が供給される水給水路9及び、湯が供給される湯給水路11に接続される。キッチン用水栓装置6は、湯水混合栓6aを備え、水給水路9からの水と、湯給水路11からの湯とを混合し、吐水部6bから吐水させる。水給水路9及び湯給水路11は、一旦上方に延び、湯水混合栓6aに接続され、吐水側流路6cが湯水混合栓6aから下方側に延び、後述する流量センサ24を通り、吐水部6bまで再び上昇して延びている。キッチン用水栓装置6は、さらに、使用者の操作入力により封水形成部10への水の供給を開始させる手動操作部である操作レバー6dを備えている。
【0015】
排水流路8は、排水装置1の下流端に接続され、鉛直方向下方に延びている。排水流路8は、さらに下流側の排水配管(図示せず)に接続される。
【0016】
次に、
図3乃至
図8を参照して、本発明の一実施形態による排水装置について説明する。
図3は本発明の一実施形態による排水装置がシンクに取付けられた状態でシンクの斜め上方から見た、蓋、網かごを封水形成部から取り外した状態を示す分解斜視図であり、
図4は
図1のIV-IV線に沿って見た断面図であり、
図5は
図2のV-V線に沿って見た断面図であり、
図6は
図4の封水形成部近傍を拡大して示す拡大断面図であり、
図7は本発明の一実施形態による排水装置を備えた排水システムの構造を概略的に示すブロック図であり、
図8は
図6のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【0017】
封水形成部10は、底部4aに接続されている。先ず、排水装置1は、シンク4の底部4aよりも下流側に設けられる封水形成部10を備えている。封水形成部10は、内部に流路が形成される。封水形成部10の一部は、底部4aから下方に窪んだ円筒状の窪み部分4bにより形成されている。なお、封水形成部10は、窪み部分4bを介さずに底部4aに接続されてもよい。なお、封水形成部10には、シンク4からの流路とは別の水の供給流路が接続されていてもよい。この別の水の供給流路は、別の給水源(図示せず)又は同じ給水源に接続される。封水形成部10内に流入する水には、シンク4からの流路とは別の水の供給流路から供給される水も含まれる。また、封水形成部10内に流入する水には、洗剤、シャンプー、ボディーソープ、食器の汚れ、水受け部の汚れ等のいずれかを含むような水、例えば生活排水も含まれる。
【0018】
封水形成部10は、シンク4の下方側に設けられ、内側に網かごが配置される中空部である網かご収納部12と、入口側において下降する下降流路14と、下降流路14の下端から斜め上方に上昇する上昇流路16と、上昇流路16の上端から下降する出口流路18とを備えている。封水形成部10は下降流路14と、上昇流路16と、出口流路18とにより排水流路22を形成すると共に、流路内に封水を形成する。封水形成部10は、シンク4に吐水された水を排水するとともに、流入された水の一部を貯留させてその内部に封水水位W0で通常時の封水を形成する機能を有する。上昇流路16と、出口流路18との間の折り返し部分を形成する頂部17により封水水位W0が規定される。頂部17には、後述する水位調整部19が形成されている。出口流路18は、ほぼ鉛直方向下方に延び、排水流路8と接続される。封水形成部10は樹脂により形成されている。なお、樹脂と水との界面においては、樹脂の密度と水の密度との差が金属の密度と水の密度との差よりも比較的近いため、超音波が金属に比べて樹脂に吸収されやすく、封水形成部10の樹脂部材の近傍の超音波の音圧を低下させる。よって、樹脂部材の近傍の超音波洗浄性能は比較的低下されやすくなっている。
【0019】
図3及び
図5に示すように、網かご収納部12は、網かご21が内側に配置できるような大きさに形成されている。網かご収納部12の入口は、四角形状に開口され、シンク4の排水口部分を形成している。網かご収納部12は、底部4aの一部がさらに下方に窪むことにより形成されている。網かご収納部12は、四角形状の筒状に形成されている。
【0020】
図4に示すように、封水形成部10は、封水水位W0に封水を形成するようなトラップ形状の流路を形成する。排水装置1は、さらに、封水形成部10の網かご収納部12の入口の上方を覆うように形成される蓋部である蓋23と、網かご収納部12内の流路上に配置されると共に網目を有する網かご21と、キッチン用水栓装置6から吐水される水を検知する検知部である流量センサ24(
図1参照)と、封水形成部10内の水に超音波を照射する超音波発振器26と、超音波発振器26による超音波の照射を制御する制御装置28(
図1参照)とを備えている。
【0021】
蓋23は、網かご収納部12から取り外し可能に設けられている。蓋23は、網かご21が上方から見えにくくなるように、網かご21の上部に取付けられている。蓋23は、網かご収納部12の上端の入口との間に、水やごみ等の小物体が流入する孔(図示せず)を形成する。
【0022】
網かご21は、その上端が入口部の内側に配置され、その上端が入口部とほぼ合致するように形成されている。よって、網かご21は、入口部の下方側の流路全体を覆うように形成される。網かご21は、複数の細孔が形成されており、シンク4から流入した水を通過させる一方、シンク4から流入する水に含まれるごみ等の小物体を通過させずに網かご21内に捕集するようになっている。網かご21は、上面視で四角形状に形成されている。網かご21は、ごみ等を補足する機能を有する任意の形状のごみ捕捉部材に変更可能である。
【0023】
流量センサ24は、封水形成部10に供給される水の流れ又は封水形成部10から流出する水の流れを検知する。流量センサ24は、キッチン用水栓装置6の湯水混合栓6aと吐水部6bとの間に設けられる。流量センサ24は、キッチン用水栓装置6の吐水部6bから吐水される水の単位時間あたりの流量を検知できる。このように流量センサ24は、単位時間あたりの流量を検知することにより、吐水部6bから吐水がなされることを検知できる。このように、流量センサ24は、吐水部6bからの吐水を検知するので、封水形成部10への水の供給を検知できる。流量センサ24は、制御装置28と電気的に接続されている。
【0024】
超音波発振器26は、封水形成部10の下降流路14の下方に設けられている。超音波発振器26は、封水形成部10の底部に設けられ、主に下降流路14に向けて上方に超音波を照射するように配置されている。超音波発振器26は、超音波発振素子20と、振動部材31と、を備える。
【0025】
超音波発振素子20は、円形の板状の部材により形成される。超音波発振素子20は、例えば、接着剤や溶接などにより振動部材31の後述する平面部34に接触するように設けられている。超音波発振素子20は、例えば、圧電セラミクスやフェライト等からなり、交流電圧を加えるとキャビテーションにより直径方向に伸縮する。超音波発振素子20から一対の配線29が延びており、配線29は制御装置28に電気的に接続されている。超音波発振器26の振動数は20k~100kHz程度である。
【0026】
制御装置28は、CPU及びメモリ等を内蔵し、流量センサ24から送信される検知信号を受信する機能を有すると共にメモリに記憶された所定の制御プログラム等に基づいて超音波発振器26の動作を制御する。制御装置28は、超音波発振器26による超音波の照射及び照射の停止を制御する。制御装置28は、流量センサ24による水の検知に応じて、超音波発振器26の照射を自動的に行う自動洗浄モードを備え、この自動洗浄モードにより、キッチン用水栓装置6からの吐水の開始と超音波洗浄の開始とを自動的に連動させることができる。
【0027】
次に、
図6及び
図8を参照して、本発明の一実施形態による排水装置の水位調整部について説明する。
水位調整部19は、例えば封水形成部10内に流入する水が所定流量以上である場合に、封水形成部10内に流入する水により、封水形成部10内の水位が封水形成部10内の封水水位W0から封水形成部10内の封水水位W0より高い超音波洗浄水位W1までは上昇させるように形成されている。この所定流量は通常の使用態様において吐水部6bから吐水される吐水流量に対して比較的低い流量に設定されている。水位調整部19は、電動の電磁弁等による流路の開閉によらず、流路の構造により水位を調整する機能を有するので、使用者の操作等によらず、水の封水形成部10内への流入に応じて自動的に水位を調整できる。
【0028】
図8に示すように、水位調整部19は、封水水位W0を規定する頂部17に形成されている。水位調整部19は、封水形成部10内の流路を狭める壁30を備える。壁30は、封水形成部10内の流路の下部側を絞る絞り部を形成している。壁30は、正面視で頂部17から上方に立ち上がるように形成される。また、壁30は、側面視で頂部17から斜め後方上方に向けて立ち上がるように形成される。壁30の間に切欠き33が形成され、切欠き33の底部は、頂部17となっている。なお、壁30は、例えば、封水形成部10の頂部17より上方側の側壁が内側に突出して流路を狭めるように形成されてもよく、また例えば、側壁側に空間を残しながら頂部17から上方に向けて立ち上がることにより流路を狭めるように形成されてもよい。
【0029】
通常の使用態様において吐水部6bから吐水される吐水量(封水形成部10に流入する単位時間あたりの流入量)に対し、切欠き33を通過しきれない水が、封水形成部10内の水位を上昇させ、水位が上端30aを超えた場合には、壁30部分の上端30aを超える流れも形成する。壁30は水位が上端30a以下の高さにある場合には切欠き33を通過する単位時間の排水量を制限すると共に、水位が上端30aを超えた高さである場合には上端30aを超える流れを形成する特殊な堰を形成している。水位が上端30aを超えた場合には、吐水量(封水形成部10に流入する単位時間あたりの流入量)に対し、切欠き33を通過しきれない水が、上端30aを超える流れを形成するので、さらなる水位の上昇が抑制される。水位調整部19は超音波洗浄水位W1が網かご収納部12内に位置するように形成される。よって、超音波洗浄水位W1のときに付着する汚れは、網かご収納部12内に付着することにより、使用者が比較的容易に洗浄可能となる。
また、変形例として、水位調整部19は、壁30とは異なる手段、例えば電動式の電磁弁、流路調整弁等により形成することができる。このとき、制御装置28が水の検知を判断したことに基づいて、制御装置28が封水形成部10内に設けられた電磁弁又は流路調整弁等を閉弁させて封水形成部10内の水位を上昇させ、水位を超音波洗浄水位W1まで上昇させるように制御されてもよい。さらに、例えば、制御装置28が水位が超音波洗浄水位W1まで上昇するとき水がシンク4側に逆流しないように、この電磁弁等を開閉させる等の制御を行って封水形成部10内の水位上昇を抑制してもよい。
【0030】
次に、
図5及び
図6を参照して、本発明の一実施形態による排水装置の振動部材31及び封水形成部10における振動部材31について説明する。
振動部材31は、封水形成部10の底面に形成された連通孔10a内に配置された状態において封水形成部10の内部の排水流路22を形成する内壁の一部を構成する。振動部材31は、連通孔10a内に配置された状態において連通孔10aの内側における排水流路22を形成する内壁の一部を構成する振動板である平面部34と、平面部34の外縁に設けられる第1曲部36と、第1曲部36から平面部34とは異なる方向に向けて形成される取付面部38とを備えている。
【0031】
平面部34は、円形の平板状に形成されている。平面部34は、封水形成部10の流路の底部に設けられ、下降流路14及び上昇流路16の底面を形成する。また、
図6に示すように、超音波発振素子20が平面部34の外側(排水流路22に対して外側)の面に取り付けられる。この外側の面は、封水と接触する面と逆側の面である。平面部34は、ステンレス鋼等の金属材料の薄板により形成されている。平面部34は、ほぼ水平に配置される。平面部34は、超音波発振素子20が直径方向に伸縮するのに応じて、直径方向と鉛直な方向に(例えば上下方向に)振動する。よって、平面部34は超音波発振素子20と共に振動することにより、水に超音波を照射する超音波発振器26を構成している。
【0032】
次に、
図6及び
図9を参照して、平面部34と封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面との関係を説明する。
図9は、本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
図9においては、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と、平面部34との位置関係を分かりやすく示すため、これらの部分以外の封水形成部10の構造は図示を省略している。
【0033】
図6に示すように、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32は、下降流路14の中心方向に向かって突出する突出部40を形成している。突出部40は、下降流路14の入口部分に設けられ、封水水位W0よりも上方側にその内側端40aが形成されている。封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32の全周が、封水形成部10内の流路の中心側に向けて突出する。よって、突出部40は、内壁面32の全周にわたって管状に形成されている。突出部40は、内壁面32から中心向きに形成されるため、突出部40の内側端40aは、内壁面32よりも内側において環状に形成され、下流側の内壁面32における下降流路14よりも縮径された下降流路14を形成している。突出部40は、封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32が内側に突出する部分である。突出部40は、突出部40の内側端40aから下流側の下流端40bに向かって延び且つ下流端40bから上方且つ内側に向けて傾斜する傾斜面42を備える。よって傾斜面42は、環状に形成されると共に斜め下方向きに形成されている。傾斜面42は、底部の超音波発振器26側に向けられている。
【0034】
封水形成部10の封水水位W0付近とは、例えば、少なくとも封水水位W0であり、また、例えば封水水位W0から上下方向にそれぞれ約0乃至約1センチの範囲内の領域であり、また、例えば封水水位W0から窪み部分4bの下端部までの領域であってもよい。また、突出部40が形成される封水水位W0付近は、封水水位W0より上方側の領域のみで形成されてもよい。
【0035】
図9に示すように、平面部34は、平面視において平面部34の中心位置C1が封水形成部10の封水水位W0における下降流路14の中心位置C2とは異なる位置となっている。平面部34の中心位置C1は、円形の平面部34の中心の位置となっている。平面部34は円形に限られず他の形状でもよい。また、平面部34の中心位置は他の方法により定義されてもよい。封水形成部10の封水水位W0における流路の中心位置C2は、封水水位W0におけるほぼ円形の下降流路14の中心の位置(封水水位W0と下降流路14の中心軸の交差する位置)である。平面視で中心位置C1は、中心位置C2から封水形成部10の下流側(
図4の頂部17側)にずれた位置に配置されている。
【0036】
図9に示すように、平面視において平面部34の中心位置C1と封水水位W0における下降流路14の中心位置C2とを結ぶ第1仮想線D1(点線により示す)と、第1仮想線D1と直交する第2仮想線D2とが仮想的に規定される。第2仮想線D2は封水水位W0における下降流路14の中心位置C2を通る。平面視において、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32のうち、第2仮想線D2に対して平面部34の中心位置C1が位置する側とは反対側における内壁面32の少なくとも一部は、突出部40を形成し、下降流路14の中心側に向けて突出している。第2仮想線D2に対して平面部34の中心位置C1が位置する側とは反対側の領域Eは、
図9に示される。
平面視において、封水水位W0付近の内壁面32のうち、平面部34と重ならない部分(領域A1により示す部分)は、突出部40を形成する。また、平面視において、封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32のうち、平面部34と重なる部分(領域A2により示す部分)についても、突出部40を形成する。
【0037】
図6において、本願の技術との比較の目的のため突出部40が形成されていない場合の内壁面32の形状が仮想線Bにより示されている。領域A1の突出部40と、平面部34(例えば平面部34の端部)との距離L1は、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部34(例えば平面部34の端部)との距離L2と比べて短くされている。このように、突出部40が内壁面32から突出しているので、傾斜面42と平面部34との間の距離が内壁面32に突出部40が形成されていない場合(内壁面32が仮想線Bとなる場合)と比べて短くなっている。距離L1と距離L2との差が比較的小さくとも、内壁面32に到達する超音波の音圧の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。また、領域A2における大部分の突出部40と、平面部34(例えば平面部34の端部)との距離も、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部34(例えば平面部34の端部)との距離と比べて短くされている。仮に一部の突出部40と平面部34との距離が、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部34との距離とに比べて長くなっていたとしても、突出部40全体としては内壁面32に到達する超音波の音圧の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0038】
同様に、領域A1の突出部40と、平面部34の中心位置C1との距離L3は、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部34の中心位置C1との距離L4と比べて短くされている。距離L3と距離L4との差が比較的小さくとも、比較的強い音圧の超音波を照射する平面部34の中心位置C1から内壁面32に到達する比較的強い音圧の超音波の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。また、領域A2における大部分の突出部40と、平面部34の中心位置C1との距離も、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部34の中心位置C1との距離と比べて短くされている。仮に一部の突出部40と平面部34の中心位置C1との距離が、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部34の中心位置C1との距離に比べて長くなっていたとしても、突出部40全体としては比較的強い音圧の超音波を照射する平面部34の中心位置C1から内壁面32に到達する比較的強い音圧の超音波の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0039】
次に、
図6を参照して、封水形成部10に設けられた金属面を説明する。
封水形成部10は、さらに、少なくとも封水水位W0において金属の内側面である金属面50を備えている。金属面50は、その部分を分かりやすく示すため、
図6において、斜線によりその領域が図示されている。金属面50は、薄板状の金属部材52を封水形成部10の内壁面32よりも内側に設けることにより形成されている。金属面50は、金属部材52の内側表面を形成している。金属部材52は、環状に形成されている。金属面50は封水形成部10の内壁の一部に被覆された金属箔により形成されてもよい。金属部材52(金属面50)はステンレス等の金属により形成されている。これに対し、封水形成部10のうち金属面50以外の部分は、非金属である樹脂により形成されている。金属面50は、封水形成部10の内壁面32よりも内側に設けられるのみならず、封水形成部10の内壁面32の一部が部分的に金属により形成されることにより形成されてもよい。
【0040】
金属面50は、全周にわたって形成されている。変形例として、金属面50は、全周のうち一部に切り欠きが設けられる等全周にわたって形成されていなくてもよい。
【0041】
金属部材52(金属面50)の下端は、封水水位W0とほぼ同じ高さに位置している。金属部材52(金属面50)の下端は、封水水位W0よりも下方に位置することが好ましい。また、金属部材52の下端の一部が封水水位W0近傍に位置し、他の部分が封水水位W0近傍に位置していなくてもよい。例えば、設置時の封水形成部10の傾きにより金属部材52の下端の一部が封水水位W0に位置しているものの、他の部分が封水水位W0より上方に位置していてもよい。
【0042】
金属部材52(金属面50)の上端は、超音波洗浄水位W1よりも高い位置に形成されている。網かご収納部12内の空間は使用者が比較的洗浄しやすい空間であり、使用者が清潔に維持しやすいこと、金属板の製造コスト等を抑制できること等から、金属部材52(金属面50)の上端は、超音波洗浄水位W1と同じ高さ位置又は超音波洗浄水位W1より低い位置に形成されていてもよい。例えば、金属部材52(金属面50)の上端は、使用者が清掃しにくくなる網かご収納部12の下端、すなわち下降流路14の入口となる突出部40の先端に形成されてもよい。
【0043】
このように本実施形態においては、金属部材52は、封水水位W0とほぼ同じ高さから超音波洗浄水位W1より高い高さまで形成されている。よって、突出部40の内側も金属部材52が覆っている。例えば、このような金属部材52は、少なくとも封水水位W0より上方側から突出部40の先端より下方側までの高さ領域を含むように形成されている。
【0044】
このように、金属面50を形成することにより、金属面50と水との界面において、金属面の密度と水の密度との差が比較的大きくなり、超音波が金属面50により反射されやすくでき、金属面50の近傍の超音波の音圧を高めることができる。よって、金属面50近傍の超音波洗浄性能が向上される。
【0045】
次に、
図4、
図6、
図8により、上述した本発明の一実施形態による排水装置1を備えた排水システムの動作(作用)を説明する。
【0046】
図4には、キッチン用水栓装置6から吐水がなされる前の待機状態が示されている。待機状態においては封水形成部10内の水位は封水形成部10の頂部17の位置における封水水位W0となっている。待機状態において、キッチン用水栓装置6は止水された状態であり、超音波発振器26も停止された状態である。
【0047】
例えば、待機状態において、操作レバー6dの操作により、使用者が汚れを含むような水をシンク4に流すと、この水が封水形成部10に流入する。例えば、汚れが網かご21、網かご収納部12、封水形成部10等に付着した状態となる。
【0048】
キッチン用水栓装置6からの吐水が行われると、水がシンク4の底部4aから封水形成部10に供給される。封水形成部10内に水が流入するので、水位が封水水位W0から上昇を開始し、
図8に示すような封水形成部10の頂部17を超えた水が水位調整部19の切欠き33を通って排水流路8側に排出される。
【0049】
ここで、水位調整部19の切欠き33を通過できる単位時間あたりの第1排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が封水形成部10内に流入する場合、水が切欠き33から流出しきれず、封水形成部10内の水位を自動的に上昇させる。このように、水位を上昇させるための使用者の操作がなくとも水位が自動的に上昇する。よって、封水形成部10内に水が供給されることにより、水位調整部19の構成に基づいて、封水形成部10内の水位が超音波洗浄水位W1まで自動的に到達し、封水水位W0近傍の内壁面等まで自動的に超音波洗浄を行うことができる。
【0050】
図8に示すように、水位調整部19は、封水形成部10内に流入する水により、封水形成部10内の水位を、上端30aより高い超音波洗浄水位W1まで上昇させる。封水形成部10内の水位が壁30の上端30aより高くなるとき、水が上端30aを乗り越えるように封水形成部10の左右方向の幅の全体から下流側に排出される。よって、排出可能な単位時間あたりの排水量が増加するため、水位のさらなる上昇が抑えられる。
【0051】
封水形成部10内の水位が、超音波洗浄水位W1に到達している状態で、制御装置28は、超音波発振器26を照射させる。これにより、汚れの付着しやすい封水水位W0近傍が浸水された状態で超音波洗浄が行われることができ、汚れの付着しやすい封水水位W0近傍を使用者が手清掃しなくとも超音波洗浄により洗浄することができる。
【0052】
超音波洗浄水位W1は、網かご収納部12内に位置されるので、超音波洗浄水位W1近傍において汚れが残存してしまう範囲を使用者が簡易に清掃可能な網かご収納部12内にコントロールできる。一方で、超音波洗浄水位W1より下方側(特に下降流路14から下流側)の封水形成部10内の使用者が清掃しにくい部分は、超音波発振器26による洗浄力を高めることができる。本実施形態においては、上述の通り、突出部40が形成されることにより、突出部40近傍に到達する超音波の音圧の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0053】
封水形成部10内への水の流入が終了する場合、封水形成部10内の水位は、超音波洗浄水位W1から自動的に下降を開始する。
図6に示すように、封水形成部10内の水位が封水水位W0まで低下すると、切欠き33からの水の流出が終了し、排水装置1は待機状態に戻る。
【0054】
次に、
図6及び
図10を参照して、本発明の一実施形態による排水装置1の振動部材31の第1変形例について説明する。
図10は本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の平面部の第1変形例において、封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
図10においては、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と、平面部134との位置関係を分かりやすく示すため、これらの部分以外の封水形成部10の構造は図示を省略している。後述するように平面部134の位置以外の封水形成部10の構造は、一実施形態による排水装置1の封水形成部10と同様であるので、
図6を参照して説明する。
【0055】
本発明の一実施形態による排水装置1の振動部材31の平面部34は、平面視において、下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と重なるように配置されているのに対し、第1変形例においては、振動部材131の平面部134は、平面視において、下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と重ならないように配置されている。
【0056】
一実施形態の第1変形例による排水装置1は、上述した一実施形態による排水装置1と基本構造が類似しているため、本発明の一実施形態の第1変形例の一実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面等に同じ参照符号を付して説明を省略する。本発明の一実施形態の第1変形例による排水装置1の動作(作用)については、一実施形態による排水装置1の動作(作用)と同様であるので説明を省略する。
【0057】
振動部材131は、連通孔10a内に配置された状態において封水形成部10の内部の排水流路22を形成する内壁の一部を構成する。振動部材131は、連通孔10a内に配置された状態において連通孔10aの内側における排水流路22を形成する内壁の一部を構成する振動板である平面部134と、第1曲部36と、取付面部38とを備えている。
【0058】
一実施形態の第1変形例における平面部134は、一実施形態による平面部34と、封水形成部10の流路の底部に設けられる位置が異なっている。平面部134は、下降流路14の真下よりも上昇流路16側にずれた位置の底面を形成する。なお、平面部134の外形は、平面視において、封水水位W0付近の内壁面32の外形とほぼ同じ大きさに限られず、内壁面32の外形よりも小さく形成されてもよく、又は内壁面32の外形よりも大きく形成されてもよい。
【0059】
次に、
図6及び
図10を参照して、平面部134と封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32との関係を説明する。
図10に示すように、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32は、下降流路14の中心方向に向かって突出する突出部40を形成している。封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32の全周が、封水形成部10内の流路の中心側に向けて突出する。平面部134は、平面視において平面部134の中心位置C1が封水形成部10の封水水位W0における下降流路14の中心位置C2とは異なる位置となっている。平面部134の中心位置C1は、円形の平面部134の中心の位置となっている。平面部134は円形に限られず、他の形状でもよい。また、平面部134の中心位置は他の方法により定義されてもよい。平面視で中心位置C1は、中心位置C2から封水形成部10の下流側(
図6の頂部17側)にずれた位置に配置されている。平面部134は、平面視において封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と重ならないように配置されている。
【0060】
図10に示すように、平面視において平面部134の中心位置C1と封水水位W0における下降流路14の中心位置C2とを結ぶ第1仮想線D1(点線により示す)と、第1仮想線D1と直交する第2仮想線D2とが仮想的に規定される。第2仮想線D2は封水水位W0における下降流路14の中心位置C2を通る。平面視において、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32のうち、第2仮想線D2に対して平面部134の中心位置C1が位置する側とは反対側における内壁面32の少なくとも一部は、突出部40を形成し、下降流路14の中心側に向けて突出している。第2仮想線D2に対して平面部134の中心位置C1が位置する側とは反対側の領域Eは、
図10に示される。平面視において、封水水位W0付近の内壁面32のうち、平面部134と重ならない部分(領域A1により示す部分)は、突出部40を形成する。領域A1は全周にわたって形成されている。
【0061】
図6において、本願の技術との比較の目的のため突出部40が形成されていない場合の内壁面32の形状が仮想線Bにより示されている。領域A1の突出部40と、平面部134(例えば平面部34の端部)との距離L1(
図6参照)は、仮想線Bにより示される内壁面32(
図6参照)と、平面部134(例えば平面部34の端部)との距離L2(
図6参照)と比べて短くされている。このように、突出部40が内壁面32から突出しているので、傾斜面42と平面部134との間の距離が内壁面32に突出部40が形成されていない場合(内壁面32が仮想線Bとなる場合)と比べて短くなっている。距離L1と距離L2との差が比較的小さくとも、内壁面32に到達する超音波の音圧の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0062】
同様に、領域A1の突出部40と、平面部134の中心位置C1との距離L3(
図6参照)は、仮想線Bにより示される内壁面32(
図6参照)と、平面部134の中心位置C1との距離L4(
図6参照)と比べて短くされている。距離L3と距離L4との差が比較的小さくとも、比較的強い音圧の超音波を照射する平面部34の中心位置C1から内壁面32に到達する比較的強い音圧の超音波の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。仮に一部の突出部40と平面部134の中心位置C1との距離が、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部134の中心位置C1との距離に比べて長くなっていたとしても、突出部40全体としては比較的強い音圧の超音波を照射する平面部134の中心位置C1から内壁面32に到達する比較的強い音圧の超音波の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0063】
次に、
図6及び
図11を参照して、本発明の一実施形態による排水装置1の振動部材31の第2変形例について説明する。
図11は本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の平面部の第2変形例において、封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
図11においては、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と、平面部234との位置関係を分かりやすく示すため、これらの部分以外の封水形成部10の構造は図示を省略している。後述するように平面部234の位置以外の封水形成部10の構造は、一実施形態による排水装置1の封水形成部10と同様であるので、
図6を参照して説明する。
【0064】
一実施形態による排水装置1の振動部材31の平面部34は、平面視において、下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と一部重なるように配置されているのに対し、第2変形例においては、振動部材231の平面部234は、平面視において、下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32の内側の位置に配置されている。
【0065】
一実施形態の第2変形例による排水装置1は、上述した一実施形態による排水装置1と基本構造が類似しているため、本発明の一実施形態の第2変形例の一実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面等に同じ参照符号を付して説明を省略する。本発明の一実施形態の第2変形例による排水装置1の動作(作用)については、一実施形態による排水装置1の動作(作用)と同様であるので説明を省略する。
【0066】
振動部材231は、封水形成部10の底面に形成された連通孔10a内に配置された状態において封水形成部10の内部の排水流路22を形成する内壁の一部を構成する。振動部材231は、連通孔10a内に配置された状態において連通孔10aの内側における排水流路22を形成する内壁の一部を構成する振動板である平面部234と、第1曲部36と、取付面部38とを備えている。
【0067】
平面部234は、円形の平板状に形成されている。平面部234は、封水形成部10の流路の底部に設けられ、下降流路14の真下の底面を形成する。なお、平面部234の外形は、平面視において、封水水位W0付近の内壁面32の外形よりも小さく、平面部234は内壁面32の内側の領域内に含まれている。平面部234の大きさは、変更可能であり、平面部234の一部が内壁面32の一部と重なるように形成されてもよい。
【0068】
次に、
図6及び
図11を参照して、平面部234と封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32との関係を説明する。
図11に示すように、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32は、下降流路14の中心方向に向かって突出する突出部40を形成している。封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32の全周が、封水形成部10内の流路の中心側に向けて突出する。平面部234は、平面視において平面部234の中心位置C1が封水形成部10の封水水位W0における下降流路14の中心位置C2とは異なる位置となっている。平面部234の中心位置C1は、円形の平面部234の中心の位置となっている。平面部234は円形に限られず、他の形状でもよい。また、平面部234の中心位置は他の方法により定義されてもよい。平面視で中心位置C1は、中心位置C2から封水形成部10の下流側(
図6の頂部17側)にわずかにずれた位置に配置されている。平面部234は、平面視において封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32の内側領域に重なるように配置されている。
【0069】
図11に示すように、平面視において平面部234の中心位置C1と封水水位W0における下降流路14の中心位置C2とを結ぶ第1仮想線D1(点線により示す)と、第1仮想線D1と直交する第2仮想線D2とが仮想的に規定される。第2仮想線D2は封水水位W0における下降流路14の中心位置C2を通る。平面視において、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32のうち、第2仮想線D2に対して平面部234の中心位置C1が位置する側とは反対側における内壁面32の少なくとも一部は、突出部40を形成し、下降流路14の中心側に向けて突出している。第2仮想線D2に対して平面部234の中心位置C1が位置する側とは反対側の領域Eは、
図11に示される。平面視において、封水水位W0付近の内壁面32のうち、平面部34と重ならない部分(領域A1により示す部分)は、突出部40を形成する。
【0070】
図6において、本願の技術との比較の目的のため突出部40が形成されていない場合の内壁面32の形状が仮想線Bにより示されている。領域A1の突出部40と、平面部234(例えば平面部34の端部)との距離L1(
図6参照)は、仮想線Bにより示される内壁面32と、平面部234(例えば平面部34の端部)との距離L2(
図6参照)と比べて短くされている。このように、突出部40が内壁面32から突出しているので、傾斜面42と平面部234との間の距離が内壁面32に突出部40が形成されていない場合(内壁面32が仮想線Bとなる場合)と比べて短くなっている。距離L1と距離L2との差が比較的小さくとも、内壁面32に到達する超音波の音圧の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0071】
領域A1の突出部40と、平面部234の中心位置C1との距離L3(
図6参照)は、仮想線Bにより示される内壁面32(
図6参照)と、平面部234の中心位置C1との距離L4(
図6参照)と比べて短くされている。距離L3と距離L4との差が比較的小さくとも、比較的強い音圧の超音波を照射する平面部234の中心位置C1から内壁面32に到達する比較的強い音圧の超音波の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0072】
次に、
図12を参照して、本発明の一実施形態による排水装置1の振動部材31の第3変形例について説明する。
図12は本発明の一実施形態による排水装置の封水形成部の平面部の第3変形例において、封水形成部の下降流路を上方から見た平面視において、下降流路における封水水位W0付近の内壁面と、平面部との位置関係を示す概略構成図である。
図12においては、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と、平面部334との位置関係を分かりやすく示すため、これらの部分以外の封水形成部10の構造は図示を省略している。後述するように平面部334の位置以外の封水形成部10の構造は、一実施形態による排水装置1の封水形成部10と同様であるので、
図6を参照して説明する。
【0073】
一実施形態による排水装置1の振動部材31の平面部34の中心位置が、平面視において、下降流路14の中心位置C2と異なるのに対し、第3変形例においては、振動部材131の平面部334の中心位置は、平面視において、下降流路14の中心位置C2とほぼ同じ位置となっている。
【0074】
一実施形態の第3変形例による排水装置1は、上述した一実施形態による排水装置1と基本構造が類似しているため、本発明の一実施形態の第3変形例の一実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面等に同じ参照符号を付して説明を省略する。本発明の一実施形態の第3変形例による排水装置1の動作(作用)については、一実施形態による排水装置1の動作(作用)と同様であるので説明を省略する。
【0075】
振動部材331は、封水形成部10の底面に形成された連通孔10a内に配置された状態において封水形成部10の内部の排水流路22を形成する内壁の一部を構成する。振動部材331は、連通孔10a内に配置された状態において連通孔10aの内側における排水流路22を形成する内壁の一部を構成する振動板である平面部334と、第1曲部36と、取付面部38とを備えている。
【0076】
一実施形態の第3変形例における平面部334は、一実施形態による平面部34と、封水形成部10の流路の底部に設けられる位置が異なっている。平面部334は、下降流路14の真下の位置の底面を形成する。なお、平面部334の外形は、平面視において、封水水位W0付近の内壁面32の外形より小さい大きさに限られず、内壁面32の外形とほぼ同じ大きさに形成されてもよく、又は内壁面32の外形よりも大きく形成されてもよい。
【0077】
次に、
図6及び
図12を参照して、平面部334と封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32との関係を説明する。
図12に示すように、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32は、下降流路14の中心方向に向かって突出する突出部40を形成している。封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32の全周が、封水形成部10内の流路の中心側に向けて突出する。平面部334は、平面視において平面部334の中心位置C1が封水形成部10の封水水位W0における下降流路14の中心位置C2と同じ位置に設けられている。平面部334の中心位置C1は、円形の平面部334の中心の位置となっている。平面部334は円形に限られず、他の形状でもよい。また、平面部334の中心位置は他の方法により定義されてもよい。平面部334は、平面視において封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32と重ならないように配置されている。なお、平面部334の大きさは、変更可能であり、平面部334の一部が内壁面32の一部と重なるように形成されてもよい。平面視において平面部334は下降流路14よりも小さく形成されているが、平面部334は下降流路14とほぼ同じか又はより大きく形成されてもよい。
【0078】
平面視において、封水形成部10の下降流路14における封水水位W0付近の内壁面32のうち、平面部334と重ならない部分は、突出部40を形成し、下降流路14の中心側に向けて突出している。平面視において、平面部34と重ならない部分に形成された突出部40の領域は、A1により示され、領域A1は全周にわたって形成されている。よって、封水形成部10の封水水位W0付近の内壁面32の全周又は大部分(例えば全周のうち50%より多い部分)が、封水形成部10内の下降流路14の中心側に向けて突出している。
【0079】
図6において、本願の技術との比較の目的のため突出部40が形成されていない場合の内壁面32の形状が仮想線Bにより示されている。領域A1の突出部40と、平面部334(例えば平面部334の端部)との距離L1(
図6参照)は、仮想線Bにより示される内壁面32(
図6参照)と、平面部334(例えば平面部34の端部)との距離L2(
図6参照)と比べて短くされている。このように、突出部40が内壁面32から突出しているので、傾斜面42と平面部334との間の距離が内壁面32に突出部40が形成されていない場合(内壁面32が仮想線Bとなる場合)と比べて短くなっている。距離L1と距離L2との差が比較的小さくとも、内壁面32に到達する超音波の音圧の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0080】
同様に、領域A1の突出部40と、平面部334の中心位置C1との距離L3(
図6参照)は、仮想線Bにより示される内壁面32(
図6参照)と、平面部334の中心位置C1との距離L4(
図6参照)と比べて短くされている。距離L3と距離L4との差が比較的小さくとも、比較的強い音圧の超音波を照射する平面部334の中心位置C1から内壁面32に到達する比較的強い音圧の超音波の減衰が抑制され、突出部40近傍の超音波による洗浄力が向上されている。
【0081】
次に、本実施形態の構成による効果を説明する。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、封水形成部10は、少なくとも封水水位W0において金属の内壁面を備えている。これにより、汚れが付着しやすい封水水位W0付近において金属の内壁面により超音波を反射させやすくできる。よって、汚れが付着しやすい封水水位W0付近における洗浄性能を向上できる。
【0082】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、排水装置1の封水形成部10の内壁面32は、一般的には、樹脂で形成される。仮に金属の内側面を封水形成部10に形成する場合に、封水形成部10の内壁の一部を部分的に金属の内壁に変更しようとすると、金属の内壁と封水形成部10の他の樹脂の内壁との間に接続部が必要となり、接続部からの漏水のリスクが生じる。仮にこのような接続部を採用する場合には、この接続部の水密性を担保するため、作業工程の手間がかかり、さらに排水装置の部品点数が増加する問題がある。
一方で、本発明の発明者は、封水形成部10のすべてを金属部材にしないために、封水形成部10の内壁の全部に金属層を被覆することを検討した。しかしながら、このように封水形成部10の内壁の全部に金属層を被覆することは比較的困難という問題があった。
これに対し、本発明の一実施形態の構成によれば、封水形成部10の金属の内側面は、金属部材52を封水形成部10の内壁よりも内側に設けることにより形成されている。これにより、封水形成部10の内壁の内側に金属の内側面が比較的簡単に取付けられる。よって、封水形成部10の金属の内側面を形成するために、金属の内壁と封水形成部10の他の樹脂の内壁との間の接続部を設ける必要がなくなる。従って、封水形成部10の金属の内側面を形成するときに、漏水のリスクが抑制でき、また、製造性が低下することを抑制でき、さらに製造コストが増加することを抑制できる。
【0083】
このように構成された本発明の一実施形態によれば、封水形成部10の金属の内側面の上端は、超音波洗浄水位W2よりも高い位置に形成されているので、封水形成部10内の水位が超音波洗浄水位まで上昇した場合に、汚れが付着しやすい超音波洗浄水位において金属の内壁面32により超音波を反射させやすくできると共に、水面で反射された音波を金属の内側面によりさらに反射でき、超音波洗浄水位付近における洗浄性能を向上できる。
【符号の説明】
【0084】
1 排水装置
4 シンク
4a 底部
10 封水形成部
19 水位調整部
26 超音波発振器
30 壁
31 振動部材
32 内壁面
34 平面部
40 突出部
42 傾斜面
131 振動部材
134 平面部
231 振動部材
234 平面部
331 振動部材
334 平面部
C1 中心位置
C2 中心位置
W0 封水水位
W1 超音波洗浄水位