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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】カッター装置およびプリンター
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B41J11/70
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019057891
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157548
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼町 大介
(72)【発明者】
【氏名】石森 浩之
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-335315(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0014944(KR,A)
【文献】特開2011-136472(JP,A)
【文献】特開2015-163452(JP,A)
【文献】特開2008-168564(JP,A)
【文献】特開平04-099669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向と交差する第1方向へ第1の刃先を向けた第1刃と、
前記第1方向の逆方向である第2方向へ第2の刃先を向けて、前記第1方向への移動と
前記第2方向への移動とが可能であり、前記第2方向へ移動することにより、前記記録媒
体を、一部を切り残して切断する第2刃と、
前記第2方向において前記第2刃よりも前方に位置して前記第2刃と共に移動し、前記
第2刃が、前記記録媒体を切断する位置よりも前記第2方向において後方に位置する場合
に、少なくとも一部が前記第1の刃先よりも前記第1方向へ突出する位置、もしくは、前
記第1の刃先と同じ位置、であるガイド位置に在るガイド部と、
前記ガイド部を前記第1方向および前記第2方向に移動可能に保持する保持部と、
を備え、
前記第1刃、前記ガイド部および前記保持部は第1構造体に配置され、前記第2刃は第
1構造体とは別の第2構造体に配置され、
前記第2構造体は前記第1構造体に対して開閉可能であり、
前記第2構造体が閉じた位置にあるとき、前記第2刃の係合部が前記ガイド部の被係合
部に係合し、前記ガイド部は前記第2刃と共に移動可能に構成される、ことを特徴とする
カッター装置。
【請求項2】
記第2刃と前記ガイド部とにより、前記記録媒体を通過させる穴であって全周が閉じ
た穴を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のカッター装置。
【請求項3】
求項1または請求項2に記載のカッター装置を備えることを特徴とするプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を切断するカッター装置および、カッター装置を備えるプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドに対して記録紙搬送方向に隣接した位置に配置されたオートカッターを備える、オートカッター付きインクジェットプリンターが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
前記文献1によれば、オートカッターは、記録紙搬送路を挟んで配置された、固定刃と、固定刃より搬送方向の下流に在る可動刃とを備え、可動刃が固定刃に向かって移動すると、これらの間に位置している記録紙の部分が幅方向に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011‐143601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の構成においては、可動刃の移動により、記録媒体を、その一部を切り残して切断し、その後、搬送方向の下流から上流に向けた搬送であるバックフィードをする場合に、前記切断により固定刃の下流に発生した記録媒体の端部が、固定刃に当たるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
カッター装置は、記録媒体の搬送方向と交差する第1方向へ第1の刃先を向けた固定刃と、前記第1方向の逆方向である第2方向へ第2の刃先を向けて、前記第1方向への移動と前記第2方向への移動とが可能であり、前記第2方向へ移動することにより、前記第1の刃先と前記第2の刃先との間に位置する前記記録媒体を、一部を切り残して切断する可動刃と、前記第2方向において前記可動刃よりも前方に位置して前記可動刃と共に移動し、前記可動刃が、前記記録媒体を切断する位置よりも前記第2方向において後方に位置する場合に、少なくとも一部が前記第1の刃先よりも前記第1方向へ突出する位置、もしくは、前記第1の刃先と同じ位置、であるガイド位置に在るガイド部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】蓋が閉じた状態のプリンターの構成を簡易的に示す図。
図2】蓋が開いた状態のプリンターの構成を簡易的に示す図。
図3】第1実施例にかかるカッター装置の動作を説明するための図。
図4】パーシャルカットされた記録媒体を上方からの視点により示す図。
図5】記録処理を示すフローチャート。
図6】移動部材の形状の変形例を示す図。
図7】第2実施例にかかるカッター装置の動作を説明するための図。
図8】第2実施例にかかるカッター装置の動作を説明するための図。
図9】第3実施例にかかるカッター装置の動作を説明するための図。
図10】第3実施例にかかるカッター装置の動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、形状や比率が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
1.プリンターの概略構成:
図1は、本実施形態にかかるプリンター10の内部構成を簡易的に示している。
プリンター10は、カッター装置26を備える。プリンター10を、印刷装置、記録装置、液体吐出装置、等と記載してもよい。プリンター10は、概略、プリンター本体11と、プリンター本体11の内側の一部を外部に対して開閉可能な蓋12と、を有する。図1は、蓋12が閉じた状態を示している。図1では、プリンター本体11と蓋12との境界を、破線で例示している。
【0010】
図2は、プリンター10の内部構成を図1と同様に示している。ただし図2は、蓋12が開いた状態を示している。また、図2では、図1に示した蓋12の内部の構成を省略している。蓋12がプリンター本体11に対して開閉するための具体的な機構は、特に問わない。図1,2の例では、蓋12は、プリンター本体11に支持された軸28を介してプリンター本体11と繋がっており、軸28を中心に回動することにより、プリンター本体11に対して開閉する構成である。あるいは、蓋12は、プリンター本体11から一定方向へ引き出されることで開き、前記一定方向と逆方向へ押し戻されることで閉じる構成であってもよい。プリンター本体11は、第1構造体の具体例に該当する。また、蓋12は、第1構造体とは別の第2構造体であって、第1構造体に対する姿勢を変更可能な第2構造体の具体例に該当する。
【0011】
プリンター本体11は、制御部13、収容部14、記録ヘッド15、キャリッジ16、固定刃19、ローラー24等を備える。制御部13は、例えば、プロセッサーとしてのCPUや、メモリー等を備える。制御部13では、メモリーに記憶されたプログラムに従った演算処理をプロセッサーが実行することにより、プリンター10を制御する。プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
【0012】
収容部14は、記録媒体30を収容するための空間を形成している。本実施形態では、記録媒体30として、長尺な記録媒体を想定する。長尺な記録媒体を、連続紙とも言う。長尺な紙である記録媒体30がロール状に巻かれたロール紙本体31が、収容部14に収容される。ユーザーは、蓋12を開けることにより収容部14へロール紙本体31を収容して、蓋12を閉じる。ただし、記録媒体30は、インクやトナー等の記録剤により記録可能であり、かつ、カッター装置26により切断可能な媒体であれば、紙以外の素材であってもよい。
【0013】
図1によれば、蓋12は、ローラー17、プラテン18、可動刃21、可動刃駆動部22等を備える。蓋12が閉じられたとき、プリンター本体11と蓋12との間に、記録媒体30の搬送経路としての隙間が生じる。符号D3による矢印は、このような搬送経路の方向、つまり、搬送方向D3を示している。搬送方向D3は、水平であったり、水平に対して傾いていたりする。ここでは、搬送方向D3は水平であると仮定する。搬送経路の最も下流は排出口25となっており、記録媒体30は、排出口25からプリンター10の外部へ排出される。プラテン18は、搬送経路の一部を形成する。プラテン18は、ロール紙本体31から搬送経路へ引き出された部分に該当する記録媒体30を、下方から支持する。
【0014】
プラテン18よりも搬送方向D3の下流の位置に、搬送経路を挟んで相対するローラー17,24によるローラー対が配置される。搬送方向D3の上流、下流を、以下では単に、上流、下流と記載する。ローラー17,24は、互いの間に記録媒体30を挟持しながら回転することにより、記録媒体30を搬送する。例えば、ローラー17,24のうち、蓋12に配置されたローラー17は、搬送モーター27による動力を受けて回転する能動ローラーである。一方、ローラー17,24のうち、プリンター本体11に配置されたローラー24は、能動ローラーの回転に応じて回転する従動ローラーである。
【0015】
図1の例では、ローラー17を回転させる搬送モーター27は、蓋12の内部に配置されている。ただし、搬送モーター27はプリンター本体11に配置されていてもよい。
搬送モーター27や、ローラー17,24を含む構成を、搬送部と呼ぶ。つまり、搬送部が記録媒体30を搬送する。図示は省略しているが、搬送部は、ローラー17,24以外にも、記録媒体30を搬送するためのローラーを、例えば、記録ヘッド15よりも上流の位置等に、幾つか有するとしてもよい。
【0016】
プラテン18の上方には、記録ヘッド15が配置されている。記録ヘッド15は、インクを吐出可能なノズルを複数有し、インクジェット方式により記録を行う。記録ヘッド15を、印刷ヘッド、印字ヘッド、液体吐出ヘッド、等と記載してもよい。記録ヘッド15は、不図示のインクカートリッジからインクの供給を受ける。記録ヘッド15は、キャリッジ16に搭載されている。キャリッジ16は、搬送方向D3と交差する主走査方向と平行に往復移動可能である。図1,2においては、図1,2の面に垂直な方向が主走査方向である。後述の図3等では、主走査方向を符号D4による矢印で示している。記録ヘッド15は、キャリッジ16の移動に伴ってノズルからインクを吐出することにより、プラテン18に支持されている記録媒体30に対する記録を行う。
【0017】
記録ヘッド15は、キャリッジ16に搭載されずに、プリンター本体11内に固定された、いわゆるラインヘッドであってもよい。つまり、記録ヘッド15は、上述の主走査方向における記録媒体30の幅に相当する範囲に亘って複数のノズルが並ぶノズル列を有し、移動することなく、記録媒体30への記録を行うものであってもよい。記録ヘッド15がラインヘッドである構成においては、キャリッジ16は不要である。
【0018】
ローラー17,24よりも下流の位置に、固定刃19、可動刃21およびガイド部20が配置されている。固定刃19、可動刃21およびガイド部20を少なくとも含む構成が、カッター装置26である。例えば、可動刃駆動部22も、カッター装置26の一部と解してもよい。固定刃19は、プリンター10内で固定されている。具体的には、固定刃19は、搬送方向D3と交差する第1方向D1へ刃先を向けた状態でプリンター本体11に配置されている。固定刃19の刃先は、第1の刃先である。
【0019】
可動刃21は、第1方向D1の逆方向である第2方向D2へ刃先を向けた状態で、蓋12に配置されている。可動刃21の刃先は、第2の刃先である。また、可動刃21は、固定刃19よりも下流に配置されている。可動刃21は、第1方向D1への移動と第2方向D2への移動とが可能である。可動刃21は、第2方向D2へ移動することにより、固定刃19の刃先と可動刃21の刃先との間に位置する記録媒体30を、一部を切り残して切断する。一部を切り残して記録媒体30を切断することを、パーシャルカットと呼ぶ。
【0020】
図1の例では、第1方向D1は下方向であり、第2方向D2は上方向である。よって、図1の例によれば、可動刃21の移動は上下移動である。ただし、下方向は厳密な鉛直下方向でなくてもよく、同様に、上方向は厳密な鉛直上方向でなくてもよい。可動刃21は、可動刃駆動部22によって移動させられる。可動刃駆動部22は、可動刃21の移動用のモーター23や、不図示の歯車等を有し、モーター23による動力を可動刃21に与えて可動刃21を第1方向D1や第2方向D2へ移動させる。可動刃駆動部22は、可動刃21を移動させることが可能な機構であればよい。可動刃駆動部22として、例えば、前記文献1のクランク機構を採用してもよい。
【0021】
ガイド部20は、パーシャルカットされた記録媒体30をガイドするための構成である。ガイド部20は、第2方向D2において可動刃21よりも前方に位置し、可動刃21と共に移動する。ガイド部20は、固定刃19よりも下流に配置されている。図1では、特に可動刃21およびガイド部20の形状を簡単に記載している。これら可動刃21やガイド部20を含むカッター装置26の詳細については、後述の各実施例により説明する。
【0022】
言うまでもなく、プリンター10は、コンピューター等の外部機器と通信するための通信インターフェイスや、ユーザーに対して視覚的情報を示すための画面やインジケーターや、ユーザーからの操作を受け付けるためのボタンやスイッチといった操作受付部等、公知の構成を適宜有する。
【0023】
2.実施例:
2‐1.第1実施例:
図3は、第1実施例のカッター装置26の動作が状態A1,A2,A3と遷移してく様子を示している。図3では、状態A1,A2,A3の夫々について、カッター装置26の正面図を左に示し、カッター装置26の側面図を右に示している。正面図は、下流から上流を向く視線による図である。側面図は、搬送方向D3に直交し、かつ、第1方向D1および第2方向D2に直交する視線による図である。以下では、簡単に、第1方向D1における前方および第2方向D2における後方を下、第2方向D2における前方および第1方向D1における後方を上、とそれぞれ表現することがある。
【0024】
状態A1は、カッター装置26が記録媒体30のパーシャルカットを実行する前の状態である。第1実施例では、可動刃21とガイド部20とは、一体の部材29により形成されている。部材29を、移動部材29と呼ぶ。つまり、可動刃駆動部22によって、移動部材29が第1方向D1や第2方向D2へ移動する。移動部材29は、板状部材であり、移動部材29のほぼ中央には、移動部材29を搬送方向D3に貫通する穴であって、上の端部が水平であり下の端部がV字形状である、全周が閉じた穴が形成されている。このような穴を形成するV字形状の端部が、可動刃21の刃先21aである。V字形状の刃先21aの最も下の部位、つまりV字形状の底に当たる部位を、刃先21aの最深部21bと呼ぶ。記録媒体30は、移動部材29に形成された前記穴を通過する。
【0025】
移動部材29における、刃先21aおよび、刃先21aよりも下の部位が、可動刃21に該当する。移動部材29における、可動刃21よりも上の部位が、ガイド部20に該当する。図1では、可動刃21とガイド部20とは分離して記載されているが、第1実施例では、可動刃21とガイド部20とは一体的に形成されている。移動部材29は、蓋12に配置されつつ一部がプリンター本体11へ進入した状態となっている。
【0026】
ガイド部20は、記録媒体30を、記録媒体30と相対する端部によりガイドする。記録媒体30をガイドするとは、記録媒体30の位置や姿勢を規制することである。そのため、図3や他の図においてガイド部20を指し示す場合に、一部例外はあるものの、基本的には、ガイド部20における記録媒体30と相対する端部を指し示す。第1実施例では、移動部材29の前記穴の一部を形成する上の端部が、ガイド部20における記録媒体30と相対する端部である。
【0027】
状態A1では、ガイド部20は、ガイド位置P1に在る。ガイド位置P1とは、ガイド部20の少なくとも一部が固定刃19の刃先19aよりも第1方向D1へ突出する位置である。あるいは、ガイド位置P1は、刃先19aと同じ位置であってもよい。より詳細には、ガイド位置P1は、ガイド部20における記録媒体30と相対する端部が刃先19aよりも第1方向D1へ突出しているときのガイド部20の位置、あるいは、当該端部が第1方向D1において刃先19aと同位置となるガイド部20の位置、である。
ガイド部20がガイド位置P1に在る場合、可動刃21は、記録媒体30を切断する位置よりも第2方向D2において後方に位置する。可動刃21が記録媒体30を切断する位置とは、刃先21aが記録媒体30と接触する位置である。記録媒体30を切断する位置よりも第2方向D2において後方の位置を、可動刃21の非切断位置とも呼ぶ。
【0028】
状態A1における移動部材29を第2方向D2へ移動させた状態が、状態A2である。移動部材29が第2方向D2へ移動することにより、固定刃19の刃先19aと可動刃21の刃先21aとの間に位置する記録媒体30が切断される。移動部材29の移動は、刃先21aの最深部21bが記録媒体30へ到達するよりも早いタイミングで停止する。従って、記録媒体30は幅の一部が切り残される。つまり、状態A2は、カッター装置26が記録媒体30をパーシャルカットした状態である。本実施形態において、幅とは、主走査方向D4と平行な向きにおける長さや範囲を言う。パーシャルカットによって切り残された部分を、切り残し部34と呼ぶ。パーシャルカットを終えた状態A2においては、ガイド部20は、退避位置P2に在る。
【0029】
なお、最深部21bを含む刃先21aの形状は、図示したようなV字形状に限定されず、切り残し部34が発生するように記録媒体30をパーシャルカットする形状であればよい。例えば、最深部21bを含む刃先21aの形状は、一部あるいは全部がカーブしていてもよい。
【0030】
記録媒体30がパーシャルカットされることにより、固定刃19より下流に、記録媒体30の端部32が新たに生じる。端部32は上流を向いている。可動刃21の第2方向D2への移動による記録媒体30の切断で発生した端部32は、可動刃21の移動に引きずられて第2方向D2へ移動する。状態A2では、このように端部32が第2方向D2へ移動したことにより端部32を含む記録媒体30の一部領域が上方へ押し上げられた様子を例示している。端部32を含む記録媒体30の一部領域が上方へ押し上げられたままの記録媒体30をバックフィードすると、端部32が固定刃19に接触してしまう。そこで、本実施形態では、カッター装置26は、ガイド部20を端部32に作用させる。
【0031】
状態A2における移動部材29を第1方向D1へ移動させて、ガイド部20の位置を再びガイド位置P1とした状態が、状態A3である。パーシャルカット後に、移動部材29を第1方向D1へ移動させることにより、ガイド部20が端部32を第1方向D1へ押し戻す。この結果、ガイド部20がガイド位置P1に到達したとき、端部32を含む記録媒体30の一部領域は、固定刃19の刃先19aと可動刃21の刃先21aとの間の元の位置に戻り、上述したような接触が起きなくなる。
【0032】
図4および図5を参照して、第1実施例をさらに説明する。
図4は、パーシャルカットされた記録媒体30を上方からの視点により示す図である。
図5は、制御部13が実行する記録処理をフローチャートにより示している。制御部13は、記録ヘッド15、キャリッジ16、搬送部、カッター装置26のそれぞれを制御することにより、記録媒体30に対する記録処理を実行する。図5のフローチャートは、ステップS100,S110,S120,S130,S140のサイクルにより実現されるが、ここでは、ステップS100から説明する。
【0033】
制御部13は、記録データに基づく記録媒体30への記録を実行する(ステップS100)。この場合、制御部13は、キャリッジ16を移動させるともに、記録データに基づくインク吐出を、記録ヘッド15に実行させる。この結果、プラテン18に支持されている記録媒体30の領域に対して記録が実行される。記録データは、例えば、文書やイラストや写真等の何らかのオブジェクトを表現した画像データであり、画素毎にインクのドットの吐出または非吐出を規定している。制御部13は、記録データを、外部のコンピューター等との通信により入力したり、ユーザーの指示に従って生成したりして、取得すればよい。
【0034】
ステップS100の後、制御部13は、搬送部つまり搬送モーター27の駆動を制御することにより、記録媒体30の正方向搬送を実行する(ステップS110)。正方向搬送とは、搬送方向D3への搬送、つまり上流から下流への搬送である。ステップS140の逆方向搬送と区別するために、便宜的に正方向という表現を用いている。ステップS110では、制御部13は、ステップS100で記録した記録媒体30の領域が可動刃21よりも下流へ到達する位置へ、記録媒体30を搬送させる。
【0035】
ステップS110の後、制御部13は、可動刃駆動部22つまりモーター23の駆動を制御することにより、移動部材29を移動させて、図3で説明した状態A1から状態A2への動作を実行させる(ステップS120)。これにより、パーシャルカットが実行される。
【0036】
ステップS120の後、制御部13は、可動刃駆動部22つまりモーター23の駆動を制御することにより、移動部材29を移動させて、図3で説明した状態A2から状態A3への動作を実行させる(ステップS130)。ステップS130を戻し処理と呼ぶ。パーシャルカットにより第2方向D2へ押し上げられた、端部32を含む記録媒体30の一部領域が、戻し処理により第1方向D1へ押し戻される。
【0037】
図4では、パーシャルカットされた記録媒体30の切れ目を、符号CLにより示している。図4では記載を省略しているが、切れ目CLの近傍には、当然、固定刃19や可動刃21やガイド部20が存在している。図4では、固定刃19の刃先19aの搬送方向D3における位置を、2点鎖線で示している。記録媒体30の幅において、切れ目CLと切れ目CLとの間には、切り残し部34が存在している。記録媒体30の切れ目CLよりも下流の領域が、ステップS100において記録データに基づいてオブジェクトが記録された記録済み領域33である。記録済み領域33内に施されたハッチングは、記録された何らかのオブジェクトを表している。
【0038】
切れ目CLを挟んで、記録媒体30の端部32および端部35が発生している。端部32は、記録済み領域33の終端である。端部35は、次に記録される記録媒体30の先端である。パーシャルカットが行われた時点では、搬送方向D3において、記録ヘッド15と端部35との間に距離L1が発生している。記録媒体30における距離L1に対応する領域は白紙領域である。制御部13は、このような白紙領域を次の記録に利用するために、ステップS130の後、搬送部を制御することにより記録媒体30の逆方向搬送を実行する(ステップS140)。逆方向搬送は、下流から上流への搬送、つまりバックフィードである。ステップS140では、制御部13は、例えば、距離L1あるいは距離L1から所定のマージンを引いた距離のバックフィードをさせる。
【0039】
ステップS130の戻し処理により、端部32は固定刃19と接触しない位置へ戻されている。そのため、ステップS140によるバックフィードは、端部32の固定刃19への引っ掛かりが発生せず、円滑に実行される。ステップS140の後、制御部13は、ステップS100以下を実行する。
【0040】
図6は、移動部材29の形状の変形例を示している。図6は、状態A2におけるカッター装置26の正面図である。図6に示すように、ガイド部20は、記録媒体30の幅の内側で一部が途切れていてもよい。つまり、移動部材29に形成されたガイド部20の端部と可動刃21の刃先21aとを含む前記穴は、全周の一部が開放された形状であってもよい。図6に示す形状であっても、ガイド部20は、戻し処理(ステップS130)において記録媒体30の端部32に作用して、端部32を押し戻すことができる。
【0041】
2‐2.第2実施例:
図7および図8は、第2実施例のカッター装置26の動作が状態B1,B2,B3,B4,B5と遷移してく様子を示している。図7,8においても、状態B1,B2,B3,B4,B5の夫々について、カッター装置26の正面図を左に示し、カッター装置26の側面図を右に示している。第2実施例および後述の第3実施例では、第1実施例と共通の内容については説明を適宜省く。
【0042】
第2実施例では、可動刃21とガイド部20とは別体の部材である。連結した可動刃21とガイド部20とによる、刃先21aおよびガイド部20の記録媒体30と相対する端部の形状は、第1実施例の移動部材29の穴の形状とほぼ同じと解してよい。第2実施例では、可動刃21は蓋12に配置され、ガイド部20はプリンター本体11に配置されている。
【0043】
状態B1は、可動刃21とガイド部20とが連結していない状態を示している。記録媒体30は、可動刃21とガイド部20との間を通過する。状態B1では、ガイド部20は、ガイド位置P1に在る。第2実施例では、ガイド部20は、ガイド位置P1よりも第1方向D1へ移動しないように保持されている。このようにガイド部20を保持するための手段は特に問わない。
【0044】
一例として、ガイド部20は、ガイド部20の幅の両端の外に配設された保持部40によって保持される。保持部40は、プリンター本体11に固定されている。ガイド部20は、幅の両端から外へ突出する突起20bを有する。突起20bは保持部40内に形成された溝に挿入されており、これにより、ガイド部20はガイド位置P1よりも下への移動が禁止される。一方で、保持部40内の前記溝は、第2方向D2へ連続して形成されている。そのため、ガイド部20は、保持部40に保持された状態でガイド位置P1よりも上へ移動することが可能である。図7,8において、各状態の側面図では、保持部40の記載を省略している。
【0045】
第2実施例では、ガイド部20および可動刃21は、互いに連結するための係合部を有する。ガイド部20は、幅の両端近傍における、記録媒体30と干渉しない各位置から第1方向D1へ延出する係合部20aを有する。一方、可動刃21は、幅の両端近傍における、記録媒体30と干渉しない各位置から第2方向D2へ延出する係合部21cを有する。状態B1や状態B5の側面図には、このような係合部20a,21cの形状を例示している。状態B2,B3,B4の側面図では、係合部20a,21cの形状の記載を省略している。むろん、係合部20a,21cの形状は、図示したものに限定されない。係合部20a,21cは、可動刃21がガイド部20へ接近したときに一方が他方に引っ掛かる等して、ある程度の強度で互いを連結可能な構造であれば良い。
【0046】
状態B1における可動刃21を第2方向D2へ移動させることにより、係合部20a,21c同士を係合させて、可動刃21とガイド部20とを連結させた状態が、状態B2である。状態B2においては、ガイド部20は、状態B1と同様にガイド位置P1に在る。ガイド部20がガイド位置P1に在る場合の可動刃21の位置は、上述したように、非切断位置である。
【0047】
状態B2における可動刃21を第2方向D2へ移動させた状態が、状態B3である。つまり、ガイド位置P1に在るガイド部20と連結した可動刃21が、さらに第2方向D2へ移動することにより、可動刃21がガイド部20を押しながら、可動刃21とガイド部20とが共に移動する。可動刃21の第2方向D2への移動は、刃先21aの最深部21bが記録媒体30へ到達するよりも早いタイミングで停止する。つまり、状態B2から状態B3へ遷移する過程で、記録媒体30のパーシャルカットが実行される。パーシャルカットを終えた状態B3においては、ガイド部20は、退避位置P2に在る。
【0048】
状態B3における可動刃21を第1方向D1へ移動させると、可動刃21と連結しているガイド部20は、可動刃21と共に第1方向D1へ移動する。このような第1方向D1への移動によりガイド部20の位置を再びガイド位置P1とした状態が、状態B4である。パーシャルカット後に、ガイド部20を第1方向D1へ移動させることにより、ガイド部20が記録媒体30の端部32を第1方向D1へ押し戻す。ガイド部20がガイド位置P1に到達したとき、端部32を含む記録媒体30の一部領域は、固定刃19の刃先19aと可動刃21の刃先21aとの間の元の位置に戻り、上述したような接触が起きなくなる。
【0049】
状態B4における可動刃21を更に第1方向D1へ移動させると、ガイド部20は、ガイド位置P1よりも第1方向D1への移動が禁止されているため、可動刃21とガイド部20との連結が解ける。このような可動刃21の第1方向D1への移動によりガイド部20との連結を解いた状態が、状態B5である。
【0050】
図4,5に基づく説明は、第2実施例にも適用される。つまり、ステップS120では、制御部13は、可動刃駆動部22を制御することにより、可動刃21を移動させて、状態B1から状態B2を経た状態B3への動作または、状態B2から状態B3への動作を実行させる。また、ステップS130では、制御部13は、可動刃駆動部22を制御することにより、可動刃21を移動させて、状態B3から状態B4を経た状態B5への動作または、状態B3から状態B4への動作を実行させる。
【0051】
2‐3.第3実施例:
図9および図10は、第3実施例のカッター装置26の動作が状態C1,C2,C3,C4と遷移してく様子を示している。図9,10においても、状態C1,C2,C3,C4の夫々について、カッター装置26の正面図を左に示し、カッター装置26の側面図を右に示している。ただし、状態C4に関して、カッター装置26を上方からの視点により示した上面図も併せて記載している。
【0052】
第3実施例では、第2実施例と同様に、可動刃21とガイド部20とは別体の部材である。連結した可動刃21とガイド部20とによる、刃先21aおよびガイド部20の記録媒体30と相対する端部の形状は、第1実施例の移動部材29の穴の形状とほぼ同じと解してよい。第3実施例では、可動刃21は蓋12に配置され、ガイド部20はプリンター本体11に配置されている。
【0053】
状態C1は、可動刃21とガイド部20とが連結していない状態を示している。記録媒体30は、可動刃21とガイド部20との間を通過する。状態C1では、ガイド部20は、ガイド位置P1に在る。第2実施例と同様に、第3実施例においても、ガイド部20は、ガイド位置P1よりも第1方向D1へ移動しないように保持されている。図9,10では、ガイド部20をガイド位置P1よりも第1方向D1へ移動しないように保持する手段の記載を、省略している。ガイド部20は、例えば、固定刃19に備えられた不図示のストッパーによって、ガイド位置P1よりも第1方向D1へ移動できないように保持されていてもよい。
【0054】
第3実施例では、蓋12が図2で説明したように回動してプリンター本体11に対して閉じられたときに、ガイド部20と可動刃21とが連結する。ガイド部20は、幅の両端を、記録媒体30および固定刃19の幅よりも外へ延出させており、このように延出させた延出部20dに、下流を向いて突出する突起20eを有する。一方、可動刃21は、幅の両端近傍における、記録媒体30と干渉しない各位置から第2方向D2へ延出する延出部21dを有する。可動刃21の延出部21dには、可動刃21の厚みを貫通する向きに、穴21eが形成されている。蓋12に配置された可動刃21は、蓋12と共に回動し、蓋12がプリンター本体11に対して閉じられたときに、延出部21dの穴21eが、ガイド部20の延出部20dの突起20eと嵌合するように形成されている。このような、ガイド部20の突起20eおよび可動刃21の穴21eは、ガイド部20と可動刃21とを連結するための係合部の一種である。むろん、ガイド部20に係合部としての穴が形成され、可動刃21に係合部としての突起が形成されていてもよい。
【0055】
状態C1の側面図に示す可動刃21が、蓋12とともに回動してガイド部20と連結した状態が、状態C2である。状態C2においては、ガイド部20は、状態C1と同様にガイド位置P1に在る。ガイド部20がガイド位置P1に在る場合の可動刃21の位置は、上述したように、非切断位置である。
【0056】
状態C4に示した上面図を参照することで、固定刃19とガイド部20と可動刃21との位置関係が、より理解できる。この上面図により示した固定刃19とガイド部20と可動刃21との位置関係は、状態C2および状態C3でも同様である。ガイド部20は、固定刃19よりも下流に位置するガイド部本体20cと、ガイド部本体20cの幅の両端から外へ延出する延出部20dとを有する。ガイド部本体20cは、第1実施例や第2実施例で説明したガイド部20と同じ役割を担う部分であり、記録媒体30と相対する端部により、記録媒体30をガイドすることが可能である。
【0057】
延出部20dは、ガイド部本体20cよりも上流に位置し、ガイド部本体20cと繋がっている。そして、延出部20dの下流を向く面から、突起20eが下流へ突出している。このような、延出部20dの下流を向く面に、可動刃21の延出部21dが当接したとき、上述したように突起20eと穴21eとが嵌合して可動刃21とガイド部20とが連結される。可動刃21とガイド部20とが連結した状態では、ガイド部本体20cと可動刃21とが、搬送方向D3においてほぼ同一の位置となる。
【0058】
状態C2における可動刃21を第2方向D2へ移動させた状態が、状態C3である。つまり、ガイド位置P1に在るガイド部20と連結した可動刃21が、さらに第2方向D2へ移動することにより、可動刃21がガイド部20を押しながら、可動刃21とガイド部20とが共に移動する。可動刃21の第2方向D2への移動は、刃先21aの最深部21bが記録媒体30へ到達するよりも早いタイミングで停止する。つまり、状態C2から状態C3へ遷移する過程で、記録媒体30のパーシャルカットが実行される。パーシャルカットを終えた状態C3においては、ガイド部20は、退避位置P2に在る。
【0059】
状態C3における可動刃21を第1方向D1へ移動させると、可動刃21と連結しているガイド部20は、可動刃21と共に第1方向D1へ移動する。このような第1方向D1への移動によりガイド部20の位置を再びガイド位置P1とした状態が、状態C4である。パーシャルカット後に、ガイド部20を第1方向D1へ移動させることにより、ガイド部20のガイド部本体20cが記録媒体30の端部32を第1方向D1へ押し戻す。ガイド部20がガイド位置P1に到達したとき、端部32を含む記録媒体30の一部領域は、固定刃19の刃先19aと可動刃21の刃先21aとの間の元の位置に戻り、上述したような接触が起きなくなる。ユーザーが蓋12を開けた場合に、可動刃21はガイド部20から離間し、可動刃21とガイド部20との連結が解かれる。
【0060】
図4,5に基づく説明は、第3実施例にも適用される。つまり、ステップS120では、制御部13は、可動刃駆動部22を制御することにより、可動刃21を移動させて、状態C2から状態C3への動作を実行させる。また、ステップS130では、制御部13は、可動刃駆動部22を制御することにより、可動刃21を移動させて、状態C3から状態C4への動作を実行させる。
【0061】
3.まとめ:
本実施形態によれば、カッター装置26は、記録媒体30の搬送方向D3と交差する第1方向D1へ第1の刃先(刃先19a)を向けた固定刃19と、第1方向D1の逆方向である第2方向D2へ第2の刃先(刃先21a)を向けて、第1方向D1への移動と第2方向D2への移動とが可能であり、第2方向D2へ移動することにより、刃先19aと刃先21aとの間に位置する記録媒体30を、一部を切り残して切断する可動刃21と、を備える。さらに、カッター装置26は、第2方向D2において可動刃21よりも前方に位置して可動刃21と共に移動し、可動刃21が、記録媒体30を切断する位置よりも第2方向D2において後方に位置する場合に、少なくとも一部が刃先19aよりも第1方向D1へ突出する位置、もしくは、刃先19aと同じ位置、であるガイド位置P1に在るガイド部20、を備える。
【0062】
前記構成によれば、可動刃21とガイド部20とが共に移動する。そして、可動刃21が非切断位置に在るとき、ガイド部20はガイド位置P1に在る。従って、可動刃21を非切断位置に移動させることにより、ガイド部20を、パーシャルカットにより発生した記録媒体30の端部32に作用させ、端部32を、固定刃19と接触しない位置へ戻すことができる。これにより、パーシャルカット後に記録媒体30をバックフィードするときに、記録媒体30と固定刃19との接触が生じず、バックフィードを円滑に実行することができる。
【0063】
また、第1実施例によれば、可動刃21とガイド部20とは一体の部材により形成されている。
前記構成によれば、部品点数を減らした上で、確実に可動刃21とガイド部20とを一緒に移動させることができる。
【0064】
また、可動刃21とガイド部20とにより、記録媒体30を通過させる穴であって全周が閉じた穴を形成する、としてもよい。
前記構成によれば、一つの部材から可動刃21およびガイド部20を容易に形成することができる。
【0065】
また、第2実施例や第3実施例によれば、可動刃21とガイド部20とは別体の部材である。そして、ガイド部20は、ガイド位置P1を移動の開始位置とする第2方向D2への移動の期間および、ガイド位置P1を移動の終了位置とする第1方向D1への移動の期間は、可動刃21と連結して可動刃21と共に移動する。
前記構成によれば、ガイド部20がガイド位置P1に在る状態からのパーシャルカットの期間および、パーシャルカット後にガイド部20をガイド位置P1へ戻す期間に、可動刃21とガイド部20とを共に移動させることができる。
【0066】
また、可動刃21とガイド部20とが別体の部材である場合に、固定刃19およびガイド部20は第1構造体に配置され、可動刃21は第1構造体とは別の第2構造体に配置され、第2構造体は第1構造体に対する姿勢を変更可能である、としてもよい。
前記構成によれば、第1構造体と第2構造体との間に記録媒体30を通すことにより、固定刃19およびガイド部20と、可動刃21と、の間に記録媒体30をセットすることができる。
【0067】
本実施形態によれば、カッター装置26だけでなく、カッター装置26を備えるプリンター10も発明として捉えることができる。また、カッター装置26の動作や、カッター装置26を備えるプリンター10の動作を、方法として捉えることも可能である。
プリンター10は、インクジェット方式ではない方式により記録を行う装置であってもよい。例えば、プリンター10は、記録ヘッド15の替わりに、電子写真方式によりトナーを記録媒体30に付着させて記録を行うプリンターエンジンを備えるとしてもよい。また、プリンター10は、サーマルプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…プリンター、11…プリンター本体、12…蓋、13…制御部、14…収容部、15…記録ヘッド、16…キャリッジ、17…ローラー、18…プラテン、19…固定刃、19a…刃先、20…ガイド部、21…可動刃、21a…刃先、22…可動刃駆動部、23…モーター、24…ローラー、26…カッター装置、27…搬送モーター、29…移動部材、30…記録媒体、32…端部、34…切り残し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10