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特許7459471静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
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  • 特許-静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/113 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
G03G9/113 361
G03G9/113 351
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019173036
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051149
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 安章
(72)【発明者】
【氏名】角倉 康夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一綱
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 淳平
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-127737(JP,A)
【文献】特開平06-332268(JP,A)
【文献】特開2011-017937(JP,A)
【文献】特開2017-142387(JP,A)
【文献】特開2017-142393(JP,A)
【文献】特開2017-058468(JP,A)
【文献】特開2013-195698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、
無機粒子を含み、前記芯材を被覆する被覆樹脂層と、
を有し、
前記無機粒子の含有量が前記被覆樹脂層の全質量に対して10質量%以上60質量%以下であり、
前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と前記被覆樹脂層の厚みT(μm)とが、下記関係式(1)を満たし、
キャリアの表面粗さRaが0.1μm超え0.9μm未満であ
トナーの外添剤としてシリカ粒子を含む静電荷像現像剤から分離されたキャリア100質量部とモデルトナー10質量部とをターブラミキサーにより温度20℃、撹拌時間2分で撹拌して得た混合物を、メッシュ付ゲージにより前記キャリアと前記モデルトナーとに再度分離したときの、
前記静電荷像現像剤から分離後であり且つ前記モデルトナーと混合前のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1と、前記モデルトナーと分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S2と、から求める、前記キャリア表面からの前記シリカ粒子の遊離率(=(S1-S2)/S1×100)が、50%以上85%以下である、静電荷像現像用キャリア。
関係式(1)・・・ 0.007≦D/T≦0.24
【請求項2】
前記無機粒子の体積平均粒径Dが、1nm超え80nm以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項3】
前記無機粒子はシリカ粒子を含む、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項4】
前記シリカ粒子は、疎水化処理されたシリカ粒子を含む、請求項3に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項5】
前記被覆樹脂層は、脂環式(メタ)アクリル樹脂を含有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項6】
前記脂環式(メタ)アクリル樹脂が、重合成分としてシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含む、請求項5に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項7】
前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と、キャリア表面における表面粗さRa(μm)とが、下記関係式(2)を満たす、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の静電荷
像現像用キャリア。
関係式(2)・・・ 0.003<D/Ra<0.50
【請求項8】
前記芯材の表面粗さRaが、0.5μm以上1.5μm以下である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用キャリア。
【請求項9】
静電荷像現像用トナーと、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の静電荷像現像用キャリアと、
を含む静電荷像現像剤。
【請求項10】
請求項9に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項9に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項12】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項9に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用キャリア、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャリアとトナーとを有し、前記キャリアが、多孔質で表面に凹凸があるキャリア本体と、前記キャリア本体の表面に付着されたシリカとを含み、前記キャリア本体の空孔率が、5~25%であり、かつ、前記キャリア本体の表面に付着されたシリカの量が、前記キャリア本体1000重量部に対して、1~10重量部であることを特徴とする、2成分現像剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-041549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、「芯材と、無機粒子を含み、前記芯材を被覆する被覆樹脂層と、を有する静電荷像現像用キャリア」を含む静電荷像現像剤を用いると、画像の濃度ムラが発生することがあった。
そこで本発明では、
「前記無機粒子の含有量が前記被覆樹脂層の全質量に対して10質量%未満又は60質量%超えである静電荷像現像用キャリアの場合」、
「無機粒子の体積平均粒径D(μm)と被覆樹脂層の厚みT(μm)とが、下記関係式(1)を満たさない静電荷像現像用キャリアの場合」、
又は、
「トナーの外添剤としてシリカ粒子を含む静電荷像現像剤から分離されたキャリア100質量部とモデルトナー10質量部とをターブラミキサーにより温度20℃、撹拌時間2分で撹拌して得た混合物を、メッシュ付ゲージにより前記キャリアと前記モデルトナーとに再度分離したときの、前記モデルトナーとの分離前後のキャリア表面におけるシリカ粒子の遊離率が、50%未満である場合」
に比べて、画像の濃度ムラを抑制する静電荷像現像剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
【0006】
[1] 芯材と、
無機粒子を含み、前記芯材を被覆する被覆樹脂層と、
を有し、
前記無機粒子の含有量が前記被覆樹脂層の全質量に対して10質量%以上60質量%以下であり、
前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と前記被覆樹脂層の厚みT(μm)とが、下記関係式(1)を満たす、静電荷像現像用キャリア。
関係式(1)・・・ 0.007≦D/T≦0.24
[2] 芯材と、
無機粒子を含み、前記芯材を被覆する被覆樹脂層と、
を有し、
トナーの外添剤としてシリカ粒子を含む静電荷像現像剤から分離されたキャリア100質量部とモデルトナー10質量部とをターブラミキサーにより温度20℃、撹拌時間2分で撹拌して得た混合物を、メッシュ付ゲージにより前記キャリアと前記モデルトナーとに再度分離したときの、
前記静電荷像現像剤から分離後であり且つ前記モデルトナーと混合前のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1と、前記モデルトナーと分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S2と、から求める、前記キャリア表面からの前記シリカ粒子の遊離率(=(S1-S2)/S1×100)が、50%以上である、
静電荷像現像用キャリア。
[3] 前記無機粒子の体積平均粒径Dが、1nm超え80nm以下である、[1]又は[2]に記載の静電荷像現像用キャリア。
[4] キャリアの表面粗さRaが0.1μm超え0.9μm未満である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア。
[5] 前記無機粒子はシリカ粒子を含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア。
[6] 前記シリカ粒子は、疎水化処理されたシリカ粒子を含む、[5]に記載の静電荷像現像用キャリア。
[7] 前記被覆樹脂層は、脂環式(メタ)アクリル樹脂を含有する、[1]~[6]のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア。
[8] 前記脂環式(メタ)アクリル樹脂が、重合成分としてシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含む、[7]に記載の静電荷像現像用キャリア。
[9] 前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と、キャリア表面における表面粗さRa(μm)とが、下記関係式(2)を満たす、[1]~[8]のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア。
関係式(2)・・・ 0.003<D/Ra<0.50
[10] 前記芯材の表面粗さRaが、0.5μm以上1.5μm以下である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリア。
[11] 静電荷像現像用トナーと、
[1]~[10]のいずれか1つに記載の静電荷像現像用キャリアと、
を含む静電荷像現像剤。
[12] [11]に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
[13] 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
[11]に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
[14] 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
[11]に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0007】
[1]、[5]、[6]、[7]又は[8]に係る発明によれば、前記被覆樹脂層の全質量に対する前記無機粒子の含有量が10質量%未満又は60質量%超えである場合、又は、前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と前記被覆樹脂層の厚みT(μm)とが前記関係式(1)を満たさない場合に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
[2]、[5]、[6]、[7]又は[8]に係る発明によれば、前記キャリア表面からの前記シリカ粒子の遊離率が50%未満である場合に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
[3]に係る発明によれば、前記無機粒子の体積平均粒径Dが1nm以下又は80nm超えである場合に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
[4]に係る発明によれば、キャリアの表面粗さRaが0.1μm以下又は0.9μm以上である場合に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
[9]に係る発明によれば、前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と、キャリア表面における表面粗さRaとが、前記関係式(2)を満たさない場合に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
[10]に係る発明によれば、前記芯材の表面粗さRaが、0.5μm未満又は1.5μm超えである場合に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像用キャリアが提供される。
[11]、[12]、[13]又は[14]に係る発明によれば、
前記被覆樹脂層の全質量に対する前記無機粒子の含有量が10質量%未満又は60質量%超えである場合、
前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と前記被覆樹脂層の厚みT(μm)とが前記関係式(1)を満たさない場合、
又は、
前記キャリア表面からの前記シリカ粒子の遊離率が50%超えである場合
に比べて、画像の濃度ムラが抑制される静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0010】
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本明細書において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0012】
≪静電荷像現像用キャリア≫
第一の実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、芯材と、無機粒子を含み、前記芯材を被覆する被覆樹脂層と、を有し、前記無機粒子の含有量が前記被覆樹脂層の全質量に対して10質量%以上60質量%以下であり、前記無機粒子の体積平均粒径D(μm)と前記被覆樹脂層の厚みT(μm)とが、下記関係式(1)を満たす。
【0013】
関係式(1)・・・ 0.007≦D/T≦0.24
【0014】
長期にわたり画像を形成すると、現像装からトナーが飛散することがある。飛散したトナーは、現像装置の軸受け部に蓄積し易い。そのため、高温高湿環境下では、トナーが固着し、現像器のモータートルクが上がり易く、これによりモーター回転異常が引き起こされると、画像の濃度ムラが発生することがある。
特に、高温高湿環境下で低画像濃度連続印刷後に、1昼夜放置を経てふちなし印刷モードで高濃度の画像を連続して印刷すると、外添剤埋没が進行したトナーにフレッシュなトナーが追加されるため、トナー粒子とトナー粒子との間で、相互帯電による帯電分布が劣化しやすく、トナー飛散が発生しやすい。このとき、ふちなし印刷モードであると、非通紙部側へのトナー供給量が増加するため、より現像器の外側へのトナー飛散が増加する傾向にあり、結果として軸受け部においてトナーの固着が発生しやすくなる。この軸受け部におけるトナー固着が発生するとモータートルク異常となり、ハーフトーンの画像形成において濃度ムラが発生しやすい。
【0015】
第一の実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、上記構成を有することにより、現像器軸受け部の固着を抑制し、濃度ムラの発生を抑制する。この理由は必ずしも明らかではないが、次のように推測される。
【0016】
第一の実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、前記関係式(1)を満たす。つまり、被覆樹脂層への無機粒子の分散性が高く、且つ、高い密度で含まれている。そのため、長期にわたり画像を形成した際に、被覆樹脂層がキャリア本体からけずれ、現像装置内で発生した被覆樹脂層の欠片(以下、「樹脂片」とも称す。)が、トナーと一緒に現像される。このとき、無機粒子を含む樹脂片はトナーと逆帯電する。特に、被覆樹脂層における無機粒子の割合が10質量%以上60質量%以下であると、樹脂片に適度な硬度が付与される。このトナーに対する逆帯電性と適度な硬度を有する樹脂片は、現像装置から現像されると非画像部、非通紙部などへ供給されやすいことから、現像装置の外側に飛散しやすい。そのため現像器の軸部へ供給されやすく、一旦軸へ付着すると、トナーを静電的にはじくため、トナーが蓄積することを抑制する傾向にある。その結果、軸受け部のトナー固着の進行が抑制されるため、画像に濃度ムラの発生が抑制されると考えられる。
【0017】
第二の実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、芯材と、無機粒子を含み、前記芯材を被覆する被覆樹脂層と、を有し、トナーの外添剤としてシリカ粒子を含む静電荷像現像剤から分離されたキャリア100質量部とモデルトナー10質量部とをターブラミキサーにより温度20℃、撹拌時間2分で撹拌して得た混合物を、メッシュ付ゲージにより前記キャリアと前記モデルトナーとに再度分離したときの、前記静電荷像現像剤から分離後であり且つ前記モデルトナーと混合前のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1と、前記モデルトナーと分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S2と、から求める、前記キャリア表面からの前記シリカ粒子の遊離率(=(S1-S2)/S1×100)が、50%以上である。
【0018】
従来の、芯材と、無機粒子を含み且つ前記芯材を被覆する被覆樹脂層とを有する静電荷像現像用キャリアは、前記シリカ粒子の遊離率が50%未満である。つまり、キャリアの被覆樹脂層が比較的柔らかく、樹脂片が形成され難い傾向にある。そのため、現像装置を高温高湿環境下で使用したときに、軸受け部におけるトナー固着が進み易く、これによりモータートルク異常が引き起こされ、画像に濃度ムラが発生することがある。
【0019】
一方、第二の実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、上述の通り、被覆樹脂層が無機粒子を含み、且つ、前記シリカ粒子の遊離率が、50%以上である。つまり、キャリアの被覆樹脂層が適度に硬く、樹脂片が形成され易い傾向にある。また、無機粒子を含む樹脂片はトナーと逆帯電する。そのため、トナーに対する逆帯電性と適度な硬度を有する樹脂片は、現像器の軸に一旦付着すると、トナーを静電的にはじくため、軸受け部のトナー固着の進行が抑制される傾向にある。その結果、軸受け部のトナー固着によるモータートルク異常も発生し難く、画像に濃度ムラの発生が抑制されると考えられる。
【0020】
以下、第一の本実施形態と第二の本実施形態とに共通する事項については、本実施形態と総称して説明する。以下、静電荷像現像用キャリアを、単に「キャリア」とも称す。
【0021】
(静電荷像現像用キャリアの性質)
本実施形態に係るキャリアは、画像の濃度ムラをより抑制する観点から、表面粗さRa1が、0.1μm超え0.9μm未満であることが好ましく、0.11μm以上0.85μm未満であることがより好ましく、0.12μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましい。
【0022】
キャリアの表面粗さRaを制御する手法は、特に制限されないが、例えば、芯材の表面粗さRaを調整する手法;被覆樹脂層の厚みを調整する手法;キャリアを製造する際に、被覆樹脂層を構成する樹脂と芯材と無機粒子と必要に応じて加える溶媒とを混合し撹拌する撹拌速度、撹拌温度及び撹拌時間を調整する手法;などが挙げられる。
【0023】
本実施形態において、キャリアの表面粗さRaの測定は、以下の方法で行うものとする。キャリア表面のRa(算術平均粗さ)の測定方法は、キャリアを2,000個、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK9700、(株)キーエンス製)を用い、倍率1,000倍で表面を換算して求める方法であり、JIS B0601(1994年度版)に準じて行う。具体的には、キャリア表面のRaは、前記顕微鏡にて観察したキャリア表面の3次元形状から粗さ曲線を求め、該粗さ曲線の測定値と平均値までの偏差の絶対値を合計し、平均することにより求められる。キャリア表面のRaを求める際の基準長さは10μmであり、カットオフ値は0.08mmである。
【0024】
本実施形態に係るキャリアは、画像の濃度ムラをより抑制する観点から、後述する被覆樹脂層に含まれる無機粒子の体積平均粒径D(μm)と、キャリア表面における表面粗さRa(μm)とが、下記関係式(2)を満たすことが好ましく、下記関係式(2-2)を満たすことがより好ましく、下記関係式(2-3)を満たすことがさらに好ましい。
関係式(2) 0.003<D/Ra<0.50
関係式(2-2) 0.005≦D/Ra≦0.40
関係式(2-3) 0.010≦D/Ra≦0.20
【0025】
被覆樹脂層に含まれる無機粒子の体積平均粒径D(μm)と、キャリア表面における表面粗さRa(μm)とが、前記関係式(2)、(2-2)及び(2-3)を満たすように制御する手法は、特に制限されないが、例えば、芯材の表面粗さRaを調整する手法;被覆樹脂層の厚みを調整する手法;無機粒子の体積平均粒径Dを調整する手法;などが挙げられる。
【0026】
第二の実施形態に係るキャリアは、
トナーの外添剤としてシリカ粒子を含む静電荷像現像剤から分離されたキャリア100質量部とモデルトナー10質量部とをターブラミキサーにより温度20℃、撹拌時間2分で撹拌して得た混合物を、メッシュ付ゲージにより前記キャリアと前記モデルトナーとに再度分離したときの、
前記静電荷像現像剤から分離後であり且つ前記モデルトナーと混合前のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1と、前記モデルトナーと分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S2と、から求める、前記キャリア表面からの前記シリカ粒子の遊離率(=(S1-S2)/S1×100)が、
50%以上であり、55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
【0027】
上記遊離率は、以下のようにして求める。
(1)エアジェットシーブにより、トナーの外添剤としてシリカ粒子を含む静電荷像現像剤からトナーとキャリアとを分離する。
(2)静電荷像現像剤から分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1を、X線光電子分光法(XPS)により、以下の方法で求める。
【0028】
キャリアを、エネルギー分散型X線分析装置(EDX装置)(堀場製作所製、EMAX Evolution X-Max80mm2)を取り付けた走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ製、S-4800)を用いて観察し、倍率4万倍で画像を撮影する。この際、EDX分析によって、Siの存在に基づき、一視野内からシリカの一次粒子を特定する。SEMは、加速電圧15kV、エミッション電流20μA、WD15mmで観察し、EDX分析は、同条件で検出時間60分とする。得られた画像を、画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、画像解析により、各粒子の面積を求める。
キャリアの全表面積に占める、シリカ粒子の面積の総和の割合(シリカ粒子の面積の総和/キャリアの全表面積×100)を、静電荷像現像剤から分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1とする。
【0029】
(3)モデルトナーは、以下の構成を有し、且つ、外添剤を有しないトナーを用いる。
結着樹脂:非晶性ポリエステル樹脂
体積平均粒径:5.7μm
体積平均粒度分布指標(GSDv):1.20
平均円形度:9.55以上9.74以下
(4)工程(1)により分離されたキャリア100質量部と、工程(3)に記載のモデルトナー10質量部と、を混合し、混合物をターブラミキサーにより温度20℃、湿度50%RH、撹拌時間2分で撹拌する。
(5)メッシュ付ゲージ(アサダメッシュ社製)を用いて、混合物を、モデルトナーとキャリアとに分離する。
(6)モデルトナーと分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S2を、前記シリカ粒子の被覆率S1と同様にして、XPSにより求める。
(7)「静電荷像現像剤から分離後であり且つモデルトナーと混合前のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S1」と、「モデルトナーと分離後のキャリアの表面を被覆するシリカ粒子の被覆率S2」と、から、キャリアの表面を被覆するシリカ粒子の遊離率(=(S1-S2)/S1×100)を求める。
【0030】
〔芯材〕
本実施形態に係る静電荷像現像用キャリアは、芯材を含む。
芯材は、磁性を有するものであれば特に制限されず、キャリアの芯材として用いられる公知の材料が適用される。
芯材としては、例えば、粒子状の磁性粉(磁性粒子);多孔質の磁性粉に樹脂を含侵させた樹脂含浸磁性粒子;樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散樹脂粒子;などが挙げられる。
【0031】
磁性粉としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属の粒子;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられ、磁性酸化物であることが好ましい。磁性粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
芯材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、芯材を構成する樹脂には、導電性粒子等の添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0032】
芯材は、粒子状の磁性粉、つまり、磁性粒子であることが好ましい。
【0033】
芯材の表面粗さRaは、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.6μm以上1.2μm以下であることがより好ましく、0.7μm以上1.0μm以下であることがさらに好ましい。
【0034】
芯材の表面粗さRaを上記範囲とする手法は、特に制限されないが、例えば、芯材の製造を湿式ボールミルによる製法とし、芯材の原材料又はその焼成物を粉砕したときの粒径を調整する手法;などが挙げられる。
【0035】
芯材の表面粗さRaは、先述のキャリアの表面粗さRaと同様にして測定する。
【0036】
磁性粒子の体積平均粒径は、例えば20μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0037】
〔被覆樹脂層〕
本実施形態に係る被覆樹脂層は、無機粒子を含む。
本実施形態に係る被覆樹脂層は、前記芯材を被覆する樹脂層である。
【0038】
第一の実施形態に係る被覆樹脂層は、無機粒子の体積平均粒径D(μm)と被覆樹脂層の厚みT(μm)とが、下記関係式(1)を満たし、画像の濃度ムラをより抑制する観点から、下記関係式(1-2)を満たすことが好ましく、下記関係式(1-3)を満たすことがより好ましい。
関係式(1) 0.007≦D/T≦0.24
関係式(1-2) 0.007≦D/T≦0.2
関係式(1-3) 0.007≦D/T≦0.05
【0039】
第二の実施形態に係る被覆樹脂層は、無機粒子の体積平均粒径D(μm)と被覆樹脂層の厚みT(μm)とが、前記関係式(1)を満たすことが好ましく、前記関係式(1-2)を満たすことがより好ましく、前記関係式(1-3)を満たすことがさらに好ましい。
【0040】
上記関係式(1)、(1-2)及び(1-3)を満たす被覆樹脂層とする手法は特に制限されないが、例えば、被覆樹脂層を構成する樹脂の種類を調整する手法;無機粒子の粒径を調整する手法;などが挙げられる。
【0041】
(樹脂)
被覆樹脂層を構成する樹脂としては、スチレン・アクリル酸共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル系又はポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性物;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素・ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂;などが挙げられる。
【0042】
被覆樹脂層は、脂環式(メタ)アクリル樹脂を含有することが好ましい。被覆樹脂層が脂環式アクリル樹脂を含有することにより、被覆樹脂層に含まれる無機粒子の分散性がより高くなり易く、無機粒子を含む樹脂片が効率よく発生する傾向にある。その結果、画像の濃度ムラがより抑制される傾向にある。
【0043】
脂環式(メタ)アクリル樹脂の重合成分としては、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル(例えば、アルキル基の炭素数が1以上9以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル)が好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)クリレート等が挙げられる。
上記の中でも、脂環式アクリル樹脂の重合性分としては、画像の濃度ムラをより抑制する観点から、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)クリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、メチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートの少なくとも一方を含むことがより好ましい。脂環式アクリル樹脂の重合成分は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
脂環式(メタ)アクリル樹脂は、脂環式官能基の立体障害によって、炭素原子と酸素原子の結合の分極成分に対する水の影響を遮蔽する。環境変化に対する水分影響を抑制することができることから、重合成分としてシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0045】
脂環式(メタ)アクリル樹脂に含まれるシクロヘキシル(メタ)アクリレートの含有量は、75モル%以上100モル%以下であることが好ましく、90モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましい。
【0046】
被覆樹脂層に含まれる全樹脂に占める脂環式(メタ)アクリル樹脂の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0047】
(無機粒子)
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン(チタニア)、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の粒子が挙げられる。これらの中でも、無機粒子としては、画像の濃度ムラをより抑制する観点から、シリカ、アルミナ及び酸化チタンからなる群より選択される1種以上の粒子を含むことが好ましく、シリカの粒子を含むことがより好ましい。
【0048】
無機粒子は、疎水化処理剤により疎水化処理された無機粒子を含むことが好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子を含むことがより好ましい。
【0049】
疎水化処理剤としては公知の表面処理剤が挙げられ、具体的には、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0050】
上記の中でも、疎水化処理剤としては、ヘキサジメチルジシラザン(HMDS)及びジメチルポリシロキサン(PDMS)の少なくとも一方を含むことが好ましく、HMDSを含むことがより好ましい。
【0051】
無機粒子の体積平均粒径Dは、1nm以上80nm以下であることが好ましく、5nm以上50nm以下であることがより好ましく、5nm以上30nm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
無機粒子の体積平均粒径Dは、キャリアの表面を走査型顕微鏡で観察し、被覆層に付着した無機粒子の画像解析を行うことで測定する。具体的には、キャリア一つ当たり50個の無機粒子を走査型顕微鏡により観察し、無機粒子の画像解析によって粒子ごとの最長径、最短径を測定し、この中間値から球相当径を測定する。この球相当径の測定をキャリア100個分について行う。そして、得られた球相当径の体積基準の累積頻度における50%径(D50v)を無機粒子の体積平均粒径Dとする。
【0053】
第一の実施形態に係る無機粒子の含有量は、被覆樹脂層の全質量に対する無機粒子の含有量が10質量%以上60質量%以下であり、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
第二の実施形態に係る無機粒子の含有量は、被覆樹脂層の全質量に対する無機粒子の含有量が10質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
【0054】
被覆樹脂層を芯材表面に形成する方法としては、例えば、湿式製法及び乾式製法が挙げられる。湿式製法は、被覆樹脂層を構成する樹脂を溶解又は分散させる溶剤を用いる製法である。一方、乾式製法は、上記溶剤を用いない製法である。
【0055】
湿式製法としては、例えば、芯材を被覆樹脂層形成用樹脂液中に浸漬して被覆する浸漬法;被覆樹脂層形成用樹脂液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動床中に流動化させた状態で被覆樹脂層形成用樹脂液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中で芯材と被覆樹脂層形成用樹脂液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法;などが挙げられる。
湿式製法において用いられる被覆樹脂層形成用樹脂液は、樹脂及びその他の成分を溶剤に溶解又は分散させて調製する。溶剤としては、樹脂を溶解又は分散するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;などが使用される。
【0056】
乾式製法としては、例えば、芯材と被覆樹脂層形成用樹脂の混合物を乾燥状態で加熱して被覆樹脂層を形成する方法が挙げられる。具体的には例えば、芯材と被覆樹脂層形成用樹脂とを気相中で混合して加熱溶融し、被覆樹脂層を形成する。
【0057】
被覆樹脂層の厚みT(μm)は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上3μm以下であることがさらに好ましい。
【0058】
被覆層の厚さTは、次の方法により測定する。キャリアをエポキシ樹脂などに包埋し、ダイヤモンドナイフなどで切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察、複数のキャリア粒子の断面画像を撮影する。キャリア粒子の断面画像から被覆層の厚さを20か所測定して、その平均値を採用する。
【0059】
≪静電荷像現像剤≫
本実施形態に係る現像剤は、トナーと、本実施形態に係るキャリアとを含む。
【0060】
本実施形態に係る現像剤は、トナーと本実施形態に係るキャリアとを適切な配合割合で混合することにより調製される。トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0061】
[静電荷像現像用トナー]
トナーとしては、特に制限はなく、公知のトナーが用いられる。例えば、結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子を含む着色トナーが挙げられ、着色剤の代わりに赤外線吸収剤を用いた赤外線吸収トナーも挙げられる。トナーは、離型剤や各種の内添剤、外添剤等を含んでいてもよい。
【0062】
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0064】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0065】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0066】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0067】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0069】
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0070】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0071】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0072】
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0073】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0074】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0075】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
【0076】
-外添剤-
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0077】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部である。
【0078】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0079】
外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0080】
-トナーの製造方法-
トナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0081】
≪画像形成装置及び画像形成方法≫
本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0082】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0083】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0084】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0085】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0086】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0087】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
【0088】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
【0089】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0090】
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0091】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
【0092】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0093】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0094】
第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0095】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する支持ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0096】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0097】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0098】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0099】
≪プロセスカートリッジ≫
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0100】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像手段と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0101】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0102】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【実施例
【0103】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0104】
<トナーの作製>
[樹脂粒子分散液(1)の調製]
・エチレングリコール(富士フイルム和光純薬(株)) 37部
・ネオペンチルグリコール(富士フイルム和光純薬(株)) 65部
・1,9-ノナンジオール(富士フイルム和光純薬(株)) 32部
・テレフタル酸(富士フイルム和光純薬(株)) 96部
上記の材料をフラスコに仕込み、1時間かけて温度200℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2部投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃で4時間攪拌を継続し、ポリエステル樹脂(酸価9.4mgKOH/g、重量平均分子量13,000、ガラス転移温度62℃)を得た。このポリエステル樹脂を溶融状態のまま、乳化分散機(キャビトロンCD1010、ユーロテック社)に毎分100gの速度で移送した。別途、試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37%濃度の希アンモニア水をタンクに入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度でポリエステル樹脂と同時に乳化分散機に移送した。乳化分散機を回転子の回転速度60Hz、圧力5kg/cmの条件で運転し、体積平均粒径160nm、固形分30%の樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0105】
[樹脂粒子分散液(2)の調製]
・デカン二酸(東京化成工業(株)) 81部
・ヘキサンジオール(富士フイルム和光純薬(株)) 47部
上記の材料をフラスコに仕込み、1時間かけて温度160℃まで上げ、反応系内が均一に攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを0.03部投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて200℃まで温度を上げ、200℃で4時間攪拌を継続した。次いで、反応液を冷却し、固液分離を行い、固形物を温度40℃/減圧下で乾燥し、ポリエステル樹脂(C1)(融点64℃、重量平均分子量15,000)を得た。
【0106】
・ポリエステル樹脂(C1) 50部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)) 2部
・イオン交換水 200部
上記の材料を120℃に加熱して、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社(株))で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理した。体積平均粒径が180nmになったところで回収し、固形分20%の樹脂粒子分散液(2)を得た。
【0107】
[着色剤粒子分散液(1)の調製]
・シアン顔料(PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)) 10部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)) 2部
・イオン交換水 80部
上記の材料を混合し、高圧衝撃式分散機(アルティマイザーHJP30006、スギノマシン社)により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20%の着色剤粒子分散液(1)を得た。
【0108】
[離型剤粒子分散液(1)の調製]
・パラフィンワックス(HNP-9、日本精蝋(株)) 50部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬(株)) 2部
・イオン交換水 200部
上記の材料を120℃に加熱して、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社)で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理した。体積平均粒径が200nmになったところで回収し、固形分20%の離型剤粒子分散液(1)を得た。
【0109】
[トナー(1)の作製]
・樹脂粒子分散液(1) 150部
・樹脂粒子分散液(2) 50部
・着色剤粒子分散液(1) 25部
・離型剤粒子分散液(1) 35部
・ポリ塩化アルミニウム 0.4部
・イオン交換水 100部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社)を用いて十分に混合分散した後、フラスコ内を攪拌しながら加熱用オイルバスで48℃まで加熱した。反応系内を48℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を緩やかに70部追加した。次いで、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.0に調整し、フラスコを密閉し攪拌軸のシールを磁力シールし、攪拌を継続しながら90℃まで加熱して30分間保持した。次いで、降温速度5℃/分で冷却し、固液分離し、イオン交換水で十分に洗浄した。次いで、固液分離し、30℃のイオン交換水に再分散し、回転速度300rpmで15分間攪拌し洗浄した。この洗浄操作をさらに6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度が6.5μS/cmとなったところで固液分離し、真空乾燥を24時間継続して、体積平均粒径5.7μmのトナー粒子(1)を得た。
【0110】
上記のトナー粒子(1)100部と、疎水性シリカ(日本アエロジル社製RY50)0.7部とをヘンシェルミキサーで混合し、トナー(1)を得た。
【0111】
<キャリアの作製>
[芯材の準備]
-フェライト粒子(1)-
Feを74部、Mg(OH)を4部、MnOを21部混合し、ロータリーキルンを用いて温度950℃/7時間の条件で仮焼成した(1回目)。得られた仮焼成物を、湿式ボールミルを用いて7時間粉砕し、平均粒径を2.0μmとした後、スプレードライヤーを用いて造粒した。得られた造粒物を、ロータリーキルンを用いて温度950℃/6時間の条件で仮焼成した(2回目)。得られた仮焼成物を、湿式ボールミルを用いて3時間粉砕し、平均粒径を5.6μmとした後、スプレードライヤーを用いて造粒した。得られた造粒物を、電気炉を用いて温度1300℃/5時間の条件で本焼成した。得られた焼成物を解砕及び分級して、体積平均粒径32μmのフェライト粒子(1)を得た。
【0112】
-フェライト粒子(2)-
2回目の仮焼成後の仮焼成物を湿式ボールミルを用いて2時間粉砕し平均粒径を6.5μmとしたこと、及び、本焼成の条件を温度1200℃/4時間に変更したこと以外はフェライト粒子(1)の作製と同様にしてフェライト粒子(2)を作製した。
【0113】
-フェライト粒子(3)-
2回目の仮焼成後の仮焼成物を湿式ボールミルを用いて5時間粉砕し平均粒径を4.7μmとしたこと、及び、本焼成の条件を温度1350℃/5.5時間に変更したこと以外はフェライト粒子(1)の作製と同様にしてフェライト粒子(3)を作製した。
【0114】
各芯材の種類、体積平均粒径及び芯材の表面粗さを表1に示す。芯材の体積平均粒径及び表面粗さRa(μm)は、先述の測定方法により求めた。
【0115】
【表1】
【0116】
[無機粒子の準備]
シリカ粒子、チタニア粒子、及びアルミナ粒子は、以下に示す材料を用いた。
【0117】
・シリカ粒子
疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン、
体積平均粒径D:12nm
トクヤマ株式会社製、製品番号HM20S
【0118】
・シリカ粒子
疎水化処理剤:デシルシラン
体積平均粒径D:40nm
日本アエロジル社製、製品番号OX50を用いて、デシルシラン処理をしてシリカ粒子を作製した。
【0119】
・シリカ粒子
疎水化処理剤:なし
体積平均粒径D:40nm
日本アエロジル社製、製品番号OX50
【0120】
・シリカ粒子
疎水化処理剤:ポリジメチルシロキサン
体積平均粒径D:40nm
日本アエロジル社製、製品番号RY50
【0121】
・シリカ粒子
疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン
体積平均粒径D:200nm
CABOT社製、製品番号TG-6020N
【0122】
・シリカ粒子(下記に示す合成方法により合成された合成品1)
疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン
体積平均粒径D:7nm
(シリカ粒子分散液(1)の調整)
撹拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール890部、9.8%アンモニア水210部とを添加して混合し、アルカリ触媒溶液を得た。
このアルカリ触媒溶液を45℃に調整した後、撹拌しながら、テトラメトキシシラン550部と7.6%アンモニア水140部とを同時に450分で滴下を行い、粒子径7nm、粒度分布は1.2の親水性のシリカ粒子分散液(1)を得た。
【0123】
(表面処理シリカ粒子(S1)の作製)
シリカ粒子分散液(1)を用いて、以下に示すようにして、シリカ粒子に対し超臨界二酸化炭素雰囲気下でシロキサン化合物による表面処理を行った。なお、表面処理には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
まず、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)へ、シリカ粒子分散液(1)を300部投入し、撹拌機を100rpmで回転させた。その後、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を150℃、15MPaの超臨界状態とした。圧力弁でオートクレーブ内を15MPaに保ちながら二酸化炭素ポンプより超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液(1)からメタノールと水を除去し(溶媒除去工程)、シリカ粒子(未処理のシリカ粒子)を得た。
次に、流通した超臨界二酸化炭素の流通量(積算量:標準状態の二酸化炭素の流通量として測定)が900部となった時点で、超臨界二酸化炭素の流通を停止した。
その後、ヒーターにより温度150℃、二酸化炭素ポンプにより圧力15MPaを維持し、オートクレーブ内で二酸化炭素の超臨界状態を維持させた状態で、上記シリカ粒子(未処理のシリカ粒子)100部に対して、予め疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS:有機合成薬品工業社製)50部をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に注入した後、撹拌しながら、180℃で20分間反応させた。その後、再度超臨界二酸化炭素を流通させ、余剰の処理剤溶液を除去した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、溶媒除去工程、シロキサン化合物による表面処理を順次行い、体積粒径7nmの表面処理シリカ粒子(S1)を得た。
【0124】
・シリカ粒子(下記に示す合成方法により合成された合成品2)
疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン
体積平均粒径D:1nm
【0125】
(シリカ粒子分散液(2)の調整)
撹拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール890部、9.8%アンモニア水210部を添加して混合し、アルカリ触媒溶液を得た。
このアルカリ触媒溶液を47℃に調整した後、撹拌しながら、テトラメトキシシラン550部と7.6%アンモニア水140部を同時に450分で滴下を行い、粒子径1nm、粒度分布は1.25の親水性のシリカ粒子分散液(2)を得た。
【0126】
(表面処理シリカ粒子(S2)の作製)
シリカ粒子分散液(2)を用いて、以下に示すようにして、シリカ粒子に対し超臨界二酸化炭素雰囲気下でシロキサン化合物による表面処理を行った。なお、表面処理には、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素ポンプ、エントレーナポンプ、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)、圧力弁を具備した装置を用いた。
まず、撹拌機付きオートクレーブ(容量500ml)へ、シリカ粒子分散液(2)を300部投入し、撹拌機を100rpmで回転させた。その後、オートクレーブ内に液化二酸化炭素を注入し、ヒーターにより昇温しながら二酸化炭素ポンプにより昇圧し、オートクレーブ内を150℃、15MPaの超臨界状態とした。圧力弁でオートクレーブ内を15MPaに保ちながら二酸化炭素ポンプより超臨界二酸化炭素を流通させ、シリカ粒子分散液(2)からメタノールと水を除去し(溶媒除去工程)、シリカ粒子(未処理のシリカ粒子)を得た。
次に、流通した超臨界二酸化炭素の流通量(積算量:標準状態の二酸化炭素の流通量として測定)が900部となった時点で、超臨界二酸化炭素の流通を停止した。
その後、ヒーターにより温度150℃、二酸化炭素ポンプにより圧力15MPaを維持し、オートクレーブ内で二酸化炭素の超臨界状態を維持させた状態で、上記シリカ粒子(未処理のシリカ粒子)100部に対して、予め疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS:有機合成薬品工業社製)100部をエントレーナポンプにてオートクレーブ内に注入した後、撹拌しながら、180℃で20分間反応させた。その後、再度超臨界二酸化炭素を流通させ、余剰の処理剤溶液を除去した。その後、撹拌を停止し、圧力弁を開けてオートクレーブ内の圧力を大気圧まで開放し温度を室温(25℃)まで下げた。
このように、溶媒除去工程、シロキサン化合物による表面処理を順次行い、体積粒径1nmの表面処理シリカ粒子(S2)を得た。
【0127】
・チタニア粒子、疎水化処理剤:イソブチルシラン、体積平均粒径D:20nm
チタン工業社製、製品番号STT100H
【0128】
・アルミナ粒子、疎水化処理剤:デシルシラン、体積平均粒径D:13nm
日本アエロジル社製、製品番号C805
【0129】
[実施例1]
・フェライト粒子(1) 100部
・シリカ粒子(HM20S、トクヤマ株式会社製) 0.7部
・シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体
(共重合比95モル:5モル) 3部
・トルエン 14部
上記の材料のうち、シリカ粒子とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体とトルエンとガラスビーズ(直径1mm、トルエンと同量)とをサンドミル(関西ペイント社)に投入し、回転速度1200rpmで30分間攪拌し、樹脂層形成用溶液(1)とした。真空脱気型ニーダーにフェライト粒子(1)を入れ、さらに樹脂層形成用溶液(1)を入れ、攪拌しながら昇温及び減圧してトルエンを留去させ、フェライト粒子(1)を樹脂で被覆した。次いで、エルボジェットにて微粉及び粗粉を取り除き、キャリア(1)を得た。キャリア(1)の性質を表2に示す。
【0130】
[実施例2~25、比較例1~6]
芯材、無機粒子、樹脂の種類及び量;被覆樹脂層の厚み、D/T、D/Ra、遊離率、又はキャリアの表面粗さを表2に示すように変更した以外は、キャリア(1)の作製と同様にして各例のキャリアを作製した。表中の略称は、以下に示すとおりである。
CHMA:シクロヘキシルメタアクリレート
MMA:メタアクリレート
DMAEMA:2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート
HMDS:ヘキサメチルジシラザン
PDMS:ポリジメチルシロキサン(シリコーンオイル)
【0131】
【表2】
【0132】
<初期濃度ムラ及びかぶり評価>
22.5℃50%RHの環境下でDocuCentreColor400(富士ゼロックス(株)製)の改造機を用いて、A4サイズの普通紙(富士ゼロックス(株)製、C2紙)を使用し、画像濃度1%となるように長方形パッチを有する画像を500枚の画像を連続出力する試験を行った後に28℃90%RHの環境に変更した後に、翌日の朝一運転で日本画像学会テストチャート番号5-1を出力し画質を評価した。
【0133】
-かぶり評価-
連続印刷後、28℃90%RHの環境に変更した後の翌日の朝一に日本画像学会テストチャート番号5-1を5枚出力した際の非画像部、印刷後の機内汚染を目視官能評価した。許容できるのはA~Cである。
A:画像上には非画像部の汚染は観察されず、画質に問題はない。
B:機内にトナー飛散が発生しているが、画質には問題ない。
C:画像上にわずかな非画像部の汚染が観察される。
D:画像上にはっきりとした非画像部の汚染が観察される。
【0134】
-濃度ムラ評価-
日本画像学会テストチャート番号5-1を5枚出力し、ベタ画像のパッチ部の濃度を測定した。ΔEは以下のように算出した。許容できるのはA~Cである。
ΔE=(5枚中最大画像濃度)-(5枚中最小画像濃度)
なお、画像濃度(=(L*2+a*2+b*20.5)は、画像濃度計X-RITE938(X-RITE社製)にて測定した。
A:画像上の濃度ばらつきΔEは0.3未満で、目視では判断できず、画質に問題はない。
B:画像上の濃度ばらつきΔEは0.3以上0.5以下で、わずかなムラがあるが、画質に問題はないレベルであった。
C:画像上の濃度ばらつきΔEは0.5以上1.0以下で、わずかなムラが観察される。
D:画像上の濃度ばらつきΔEは1.0を超える値で、画像上にはっきりとした濃度ムラが観察される。
【0135】
<経時濃度ムラ評価>
22.5℃50%RHの環境下でDocuCentreColor400(富士ゼロックス(株)製)の改造機を用いて、A4サイズの普通紙(富士ゼロックス(株)製、C2紙)を使用し、画像濃度1%となるように長方形パッチを有する画像を100,000枚の画像を10日間かけて出力する試験を行った。計100,000枚出力した後に28℃90%RHの環境に変更した後に、翌日の朝一運転で日本画像学会テストチャート番号5を出力し画質を評価した。
【0136】
表2に示すように、実施例の静電荷像現像用キャリアは、比較例の静電荷像現像用キャリアに比べて、画像の濃度ムラが抑制されることがわかった。
【符号の説明】
【0137】
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
P 記録紙(記録媒体の一例)
【0138】
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
図1
図2