(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】転写体製造装置及び転写体製造方法
(51)【国際特許分類】
B65H 41/00 20060101AFI20240326BHJP
B65C 9/18 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65H41/00 C
B65C9/18
(21)【出願番号】P 2019200176
(22)【出願日】2019-11-01
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 徳顕
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-294361(JP,A)
【文献】特開平09-300674(JP,A)
【文献】特開平11-035225(JP,A)
【文献】特開2013-067437(JP,A)
【文献】特開2006-225154(JP,A)
【文献】特開平11-300998(JP,A)
【文献】特開2010-123258(JP,A)
【文献】登録実用新案第3030524(JP,U)
【文献】特開2012-001285(JP,A)
【文献】特開2010-165835(JP,A)
【文献】特開2010-058869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 41/00
B65C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離フィルム及び転写膜を有するフィルムを紙の媒体に転写する転写体製造装置であって、
前記フィルムの進行方向側に位置し、前記フィルムを搬送する搬送ローラーと、
前記フィルムを
前記媒体に接触させて前記転写膜を前記媒体に転写する転写部と、
前記媒体に転写された前記転写膜と前記剥離フィルムとを剥離する剥離板と、を備え、
前記搬送ローラーは、転写が完了した前記フィルムの進行方向側に弛みを生成し、
前記媒体の四隅を押圧して前記媒体を固定する固定具をさらに備え、
前記剥離板の幅は、前記固定具の幅より小さく、前記フィルムの幅よりも大きく、
前記剥離板は、弛みを有した状態の前記フィルムに対して進行方向とは逆側に移動することで、前記転写膜と前記剥離フィルムとを剥離する、
転写体製造装置。
【請求項2】
前記転写部は、前記媒体上に位置した前記フィルムを前記媒体に面状に押圧することで、前記媒体に前記転写膜を転写する、
請求項1に記載の転写体製造装置。
【請求項3】
前記搬送ローラーは、前記転写が完了した前記フィルムを進行方向とは逆側に移動させることで、前記フィルムに弛みを生成する、
請求項1または請求項2に記載の転写体製造装置。
【請求項4】
剥離フィルム及び転写膜を有するフィルムと、搬送ローラーと、転写部と、
紙の媒体の四隅を押圧して前記媒体を固定する固定具と、前記固定具の幅より小さく、前記フィルムの幅よりも大きい幅の剥離板と、を備えた転写体製造装置を用いた転写体製造方法であって、
前記搬送ローラーが、前記フィルムを進行方向に移動させてて
前記媒体の上側に搬送するステップと、
前記転写部が、前記フィルムを前記媒体に接触させて前記転写膜を前記媒体に転写するステップと、
前記搬送ローラーが、前記フィルムの進行方向側に弛みを生成するステップと、
前記剥離板が、弛みを有した状態の前記フィルムに対して進行方向とは逆側に移動することで、前記転写膜と前記剥離フィルムとを剥離するステップと、を有する、
転写体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に転写膜を転写して転写体を製造する転写体製造装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
基体に転写フィルムを貼付して剥離フィルムを剥離する装置として、特許文献1及び特許文献2のような技術がある。特許文献1には、ガラス等の基体に転写フィルムを貼付し、剥離フィルムを剥離する転写体の製造方法等が開示されている。特許文献2には、ガラス等の基体に配線回路等の導電性パターン等を形成するための転写フィルム及び機能性パターン付き基体の形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-207618号公報
【文献】特開2008-307729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記従来構成のように、ガラス等ではなく、紙で形成された冊子等を媒体として転写体を形成する場合がある。このような転写体製造装置では、ガラス等と比較して媒体が破損しやすいため、従来のような剥離フィルムの剥離方法では剥離フィルムをきれいに剥離することができず、媒体に破損が生じる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題などを解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
剥離フィルム及び転写膜を有するフィルム(2)を媒体(15)に転写する転写体製造装置(1)であって、
前記フィルムの進行方向側に位置し、前記フィルムを搬送する搬送ローラー(301)と、
前記フィルムを媒体に接触させて前記転写膜を前記媒体に転写する転写部(11)と、
前記媒体に転写された前記転写膜と前記剥離フィルムとを剥離する剥離板(14)と、を備え、
前記搬送ローラーは、転写が完了した前記フィルムの進行方向側に弛みを生成し、
前記剥離板は、弛みを有した状態の前記フィルムに対して進行方向とは逆側に移動することで、前記転写膜と前記剥離フィルムとを剥離する、
転写体製造装置である。
【0007】
上記構成の転写体製造装置によれば、剥離板を用いて剥離フィルムを剥離するため、進行方向とは略逆側に向かって剥離フィルムを引き剥がす構成にすることができる。これにより、剥離フィルムを剥離する際に媒体及び転写膜に過度な張力が発生することを抑制することができ、媒体及び転写膜が破損することを抑制することが可能となる。
【0008】
上記転写体製造装置において、好ましくは、
前記転写部(11)は、前記媒体上に位置した前記フィルムを前記媒体に面状に押圧することで、前記媒体に前記転写膜を転写する。
【0009】
上記構成の転写体製造装置によれば、転写の所要時間を短縮することなどが可能となる。
【0010】
上記転写体製造装置において、好ましくは、
前記搬送ローラーは、前記転写が完了した前記フィルムを進行方向とは逆側に移動させることで、前記フィルムに弛みを生成する。
【0011】
上記構成の転写体製造装置によれば、簡易な処理によりフィルムの進行方向側に弛みを生成し、剥離フィルムの剥離の際に媒体及び転写膜が破損することを効果的に抑制することができる。
【0012】
上記転写体製造装置において、好ましくは、
前記媒体の四隅を押圧して前記媒体を固定する固定具(13a~13d)をさらに備え、
前記剥離板の幅は、前記固定具の幅より小さく、前記フィルムの幅よりも大きい。
【0013】
上記構成の転写体製造装置によれば、幅方向において固定具とフィルムとの間に剥離板が入り込む形になるため、剥離板によって剥離フィルムをきれいに剥離することができる。
【0014】
本発明の他の手段は、
剥離フィルム及び転写膜を有するフィルムと、搬送ローラーと、転写部と、剥離板と、を備えた転写体製造装置を用いた転写体製造方法であって、
前記搬送ローラーが、前記フィルムを進行方向に移動させて媒体の上側に搬送するステップと、
前記転写部が、前記フィルムを前記媒体に接触させて前記転写膜を前記媒体に転写するステップと、
前記搬送ローラーが、前記フィルムの進行方向側に弛みを生成するステップと、
前記剥離板が、弛みを有した状態の前記フィルムに対して進行方向とは逆側に移動することで、前記転写膜と前記剥離フィルムとを剥離するステップと、を有する、
転写体製造方法である。
【0015】
上記の転写体製造方法によれば、剥離フィルムを剥離する際に媒体及び転写膜に過度な張力が発生することを抑制することができ、媒体が破損することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、転写体製造装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、転写体製造装置において転写部が降下した状態を示す図である。
【
図3】
図3は、転写体製造装置において転写部が上昇した状態を示す図である。
【
図4】
図4は、転写体製造装置において剥離板が転写部の下に差し込まれた状態を示す図である。
【
図7】
図7は、転写体製造装置の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の転写体製造装置は、剥離フィルム及び転写膜を有するフィルムを転写部によって媒体に押圧することで転写膜を媒体に転写した後に行われる、剥離フィルムを剥離するための剥離板の作動に特徴のひとつを有している。具体的には、転写後、フィルムの進行方向に弛みを生成し、弛みが生成された進行方向側から逆側に向かって、剥離フィルムと転写膜との間に剥離板を進入させる作動に特徴のひとつがある。
【0018】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付している。
1.実施形態
2.本発明の特徴
3.補足事項
【0019】
<1.実施形態>
図1は、本実施形態の転写体製造装置1の構成を示す図である。
図2~
図4は、転写体製造装置1の作動状態を示す図である。
図2は、転写部11が降下した状態を示している。
図3は、転写部11が上昇した状態を示している。
図4は、剥離板14が転写部11の下に差し込まれた状態を示している。
図5は、転写部11の近傍の拡大図である。
【0020】
図示されるように、転写体製造装置1は、リボン供給ローラー201、フィルム供給ローラー202、リボン巻取ローラー203、補助ローラー204、プリントヘッド401、進入側ローラー205、排出側ローラー302、剥離フィルム巻取ローラー301、転写部11、載置台12、媒体固定具13a~13d、剥離板14を含んで構成される。載置台12には、転写対象の媒体である冊子15が載置されている。
【0021】
<リボン供給ローラー201、フィルム供給ローラー202>
図1に示されるように、転写体製造装置1には、リボン2b及び新フィルム2aが供給される。リボン供給ローラー201には、プリントヘッド401によって新フィルム2aの転写膜に画像を形成するための、特定の色に着色されたリボン2bが巻回されている。リボン2bは、例えば、三色のリボンを含む。フィルム供給ローラー202には、新フィルム2aが巻回されている。新フィルム2aは、剥離フィルム2cの上に転写膜(受像層)が形成された構成である。新フィルム2aの転写膜には画像は形成されていない。剥離フィルム2cは、転写膜のベースとなるフィルムであるため、「フィルムベース」と呼ばれることがある。リボン供給ローラー201及びフィルム供給ローラー202は、それぞれリボン2b及び新フィルム2aを供給する際に、それぞれリボン巻き取りローラー203及び剥離フィルム巻取ローラー301の回転に伴って回転する。
【0022】
<プリントヘッド401、補助ローラー204>
リボン供給ローラー201から供給されたリボン2bは、補助ローラー204の位置で、プリントヘッド401によって新フィルム2a上に加熱されながら接触させられる。これにより、新フィルム2a上の転写膜に画像が形成される。転写膜に画像が形成された新フィルム2aを、フィルム2と呼ぶ。フィルム2は、剥離フィルム巻取ローラー301の回転によって進行方向に向かって移動する。進行方向は、
図5及び
図6に矢印Aとして示されるように、進入側ローラー205から排出側ローラー302に向かう方向である。
【0023】
なお、新フィルム2a、リボン2b、及びフィルム2の搬送系には、搬送方向を規定し、張りを維持するための複数のローラー等が任意に配置される。
【0024】
<リボン巻取ローラー203>
リボン巻取ローラー203は、回転することでリボン供給ローラー201からリボン2bを進行方向に搬送するとともに、転写膜の形成が完了した後のリボン2bを巻き取って回収する。
【0025】
<進入側ローラー205、排出側ローラー302>
進入側ローラー205は、転写部11に対して進行方向とは逆側に位置しており、転写部11の下側に向かって搬送されるフィルム2を支持する。排出側ローラー302は、転写部11に対して進行方向に位置しており、転写部11の下側を超えて剥離フィルム巻取ローラー301に向かって搬送される剥離フィルム2cを支持する。フィルム2から転写膜が冊子15に転写されたものを、剥離フィルム2cとする。すなわち、剥離フィルム2cは、転写膜に画像が形成されたフィルム2から、画像形成済みの転写膜が剥離されたものであって、新フィルム2aを構成する剥離フィルム2cである。
【0026】
フィルム2の進行方向において、進入側ローラー205と排出側ローラー302との間には、転写部11、載置台12、及び媒体固定具13a~13dが位置する(
図5参照)。
【0027】
<載置台12>
載置台12には、冊子15が載置される。載置台12は、例えば金属または樹脂で平板状に形成されている。
【0028】
<転写部11>
転写部11は、載置台12の上側に位置しており、上下に移動自在である。フィルム2の転写膜を冊子15に転写する際、転写部11は載置台12に向かって降下し、所定の圧力で冊子15上に位置したフィルム2を所定の圧力で面状に押圧する。このとき、転写部11は熱せられていてもよい。これにより、フィルム2の転写膜が冊子15に転写される。この状態では、フィルム2の転写膜は、剥離フィルム2cとともに冊子15に貼り付けられている。転写が完了したら、転写部11は上昇する。
【0029】
<媒体固定具13a~13d>
媒体固定具13a~13dは、それぞれ円柱状に形成され、載置台12の上側に位置しており、転写部11とは独立して上下に移動自在である。媒体固定具13a~13dは、転写が完了した冊子15の四隅を押さえることで冊子15が移動しないように固定する。媒体固定具13a~13dは、転写の際に転写部11とともに降下するが、転写が完了して転写部11が上昇する際には冊子15を押圧したままの状態を維持する。
【0030】
<剥離板14>
剥離板14は、転写部11及び載置台12の進行方向側に配置された板状の部材である(特に
図2~
図5参照)。剥離板14は、
図2及び
図3に示された退避位置から、転写部11の下側に向かって、すなわちフィルム2の進行方向とは逆側に向かって、水平に移動自在である。剥離板14は、冊子15に転写され貼り付けられた転写膜と剥離フィルム2cとの間に進入し、冊子15に転写された転写膜から剥離フィルム2cを剥離する。剥離が完了したら、剥離板14は進行方向に移動して
図2及び
図3の退避位置に移動する。
【0031】
図6は、載置台12を上側から見た図である。
図6に示されるように、載置台12は、冊子15よりも広く、冊子15の全体が載置可能に形成される。冊子15の四隅には、媒体固定具13a~13dが位置している。進行方向Aに対して垂直な幅方向において、フィルム2は媒体固定具13aと13cとの間の距離(または媒体固定具13bと13dとの間の距離)よりも小さい幅を有する。また、幅方向において、剥離板14は、媒体固定具13aと13cとの間の距離よりも小さく、フィルム2の幅よりも大きい。
【0032】
<剥離フィルム巻取ローラー301>
剥離フィルム巻取ローラー301は、転写部11及び載置台12の進行方向側に位置しており、回転することでフィルム2及び剥離フィルム2cを進行方向に搬送するとともに、剥離フィルム2cを巻き取って回収する。剥離フィルム巻取ローラー301は、前述の方向とは逆方向に回転することで、フィルム2及び剥離フィルム2cに弛みを生成する。剥離フィルム巻取ローラー301は、本発明における「搬送ローラー」の一具体例である。
【0033】
<転写体製造装置1の作動>
ここで、本実施形態の転写体製造装置1による転写体製造の作動について説明する。
図7は、本実施形態の転写体製造装置1の作動を示すフローチャートである。
【0034】
まず、プリントヘッド401が、新フィルム2aの転写膜に画像を形成する(S110)。このとき、リボン巻取ローラー203及び剥離フィルム巻取ローラー301が回転し、新フィルム2aの画像を形成する部分と、リボン2bの使用する部分とを補助ローラー204の位置まで搬送する。そして、プリントヘッド401が、リボン2bを加熱しながら新フィルム2aに接触させることで、新フィルム2aの転写膜に画像が形成される。
【0035】
次に、剥離フィルム巻取ローラー301が回転して、フィルム2を冊子15と転写部11との間の位置まで搬送する(S120)。次に、転写部11が降下し、冊子15にフィルム2を押圧して、冊子15にフィルム2上の転写膜を転写する(S130)。
図2は、転写部11が降下した状態の転写体製造装置1を示している。転写膜の転写が完了したら、転写部11が上昇する。
図3は、転写部11が上昇した状態を示す図である。
【0036】
次に、剥離フィルム巻取ローラー301が、フィルム2及び剥離フィルム2cを進行方向とは逆方向に回転し、フィルム2(剥離フィルム2c)の進行方向側に弛みを生成する(S140)。次に、剥離板14を進行方向とは逆側に移動させることで、剥離板14を、フィルム2と、冊子15に転写され貼り付けられた転写膜との間に差し込み、冊子15及び転写膜から剥離フィルム2cを剥離させる(S150)。
図3は、剥離板14が転写部11と載置台12との間に移動した状態を示す図である。この図では、冊子15とフィルム2とが省略されている。
【0037】
図8は、剥離板14によって剥離フィルム2cが剥離される際の動きを示す図である。冊子15に転写膜の転写が完了した
図8(a)の状態から、剥離フィルム巻取ローラー301が回転して、
図8(b)に示されるように剥離フィルム2cに弛みが生成される。次に、
図8(c)に示されるように、剥離フィルム2c(フィルム2)を押しながら、剥離板14が進行方向とは逆方向に移動する。さらに剥離板14が移動すると、
図8(d)に示されるように、冊子15に貼付された剥離フィルム2cが、冊子15及び転写膜から引き剥がされていく。このとき、剥離フィルム2cは、冊子15に向かって進行方向の略逆側に引き剥がされる。つまり、剥離フィルム2cが剥離されていくとき、転写膜と剥離フィルム2cとの内角は0度に近い鋭角をなしている。これによって、冊子15及び転写膜に過度の張力が発生することを抑えることができている。
【0038】
冊子15及び転写膜から剥離フィルム2cが完全に剥離されたら、剥離フィルム巻取ローラー301が回転して剥離フィルム2cを巻き取って回収する(S160)。
【0039】
<2.本発明の特徴>
以上、一実施形態を例示して説明した本発明は、以下のような特徴を有する。
【0040】
上記実施形態の転写体製造装置1では、剥離板14が進行方向とは逆方向に移動しながら冊子15に転写された転写膜から剥離フィルム2cを剥離する構成としている。そのため、進行方向とは略逆側に向かって剥離フィルム2cを引き剥がす構成にすることができる。これにより、剥離フィルム2cを剥離する際に、冊子15及び転写膜に過度な張力が発生することを抑制することができ、冊子15及び転写膜が破損することを抑制することが可能となる。
【0041】
なお、上記実施形態では転写対象となる媒体の例として冊子15を挙げて説明したが、媒体は任意に選択可能である。ただし、紙などの破損しやすい媒体を対象とする際に、本発明の転写体製造装置1はより効果的に作用する。
【0042】
また、上記実施形態の転写体製造装置1では、転写部11がフィルム2を冊子15に面状に押圧することで、冊子15に転写膜を転写する構成としている。この構成により、転写の所要時間を短縮することなどが可能となる。
【0043】
また、上記実施形態の転写体製造装置1では、剥離フィルム巻取ローラー301が、フィルム2を進行方向に搬送させる方向とは逆方向に回転することで、フィルム2に弛みを生成する構成としている。この構成により、簡易な処理によりフィルム2(剥離フィルム2c)の進行方向側に弛みを生成し、剥離フィルム2cの剥離の際に冊子15が破損することを効果的に抑制することができる。
【0044】
また、上記実施形態の転写体製造装置1では、剥離板14の幅が、媒体固定具13a~13dの幅よりも小さく、フィルム2の幅よりも大きい構成としている。言い換えれば、進行方向に対して垂直な幅方向において、剥離板14の幅方向の端部は媒体固定具13a~13dの内側に位置し、フィルム2の幅方向の端部は剥離板14の内側に位置している。この構成により、幅方向において媒体固定具13a~13dとフィルム2との間に剥離板14が入り込む形になるため、剥離板14によって剥離フィルム2cをきれいに剥離することができる。
【0045】
<3.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明では、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0046】
実施形態では、4つの媒体固定具13a~13dによって冊子15を固定する構成について説明したが、このような固定具は他の構成であってもよい。例えば、冊子15の進行方向に対して垂直な辺を全長にわたって固定する固定具を採用してもよい。
【0047】
また、新フィルム2a上に転写膜を生成する際に、リボン2bとプリントヘッド401によって転写膜を生成するのに代え、別の方向で転写膜を生成してもよい。また、予め転写膜が生成されたフィルム2を用いる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば紙で形成された冊子に転写膜を転写して剥離フィルムを剥離する転写体製造装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0049】
1…転写体製造装置
11…転写部
12…載置台
13a~13d…媒体固定具
14…剥離板
15…冊子
201…リボン供給ローラー
202…剥離フィルム供給ローラー
203…リボン巻取ローラー
204…補助ローラー
205…進入側ローラー
301…剥離フィルム巻取ローラー
302…排出側ローラー
401…プリントヘッド
2…フィルム
2a…新フィルム
2c…剥離フィルム
2b…リボン