(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240326BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20240326BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/17 207
B41J2/175 169
B41J2/175 119
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2019220240
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小橋 勝
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-237495(JP,A)
【文献】特開平05-162301(JP,A)
【文献】特開平05-162329(JP,A)
【文献】特開2013-159025(JP,A)
【文献】特開2019-084701(JP,A)
【文献】特開平08-230212(JP,A)
【文献】特表2003-531743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、を備え、
前記装着部は、
前記液体収容体に設けられた液体導出口に接続される液体導入部と、
前記液体収容体
を装着方向とは反対方向
に付勢する付勢機構と、
を有し、
前記付勢機構は、
前記液体収容体が前記装着部に装着された装着状態において、前記液体導入部と前記液体導出口との接続部分から漏れた液体を受ける受け部と、前記受け部における前記反対方向側の先端に設けられる弾性部材
と、を有
し、
前記受け部および前記弾性部材は前記液体導入部から離れた位置に設けられ、
前記装着状態において、前記弾性部材は、前記液体収容体の前記装着方向と交差する面に密着することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記装着方向及び重力方向と交差する方向において、前記弾性部材の長さは、前記液体導出口の長さよりも長く、前記液体導出口の両端は、前記弾性部材の両端の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記受け部および前記弾性部材は、重力方向に向けて凸となる形状で設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記液体導出口は、前記液体収容体の外面に凹設された凹部内において開口し、
前記装着状態において、前記弾性部材
が密着する前記面は、前記凹部の底面
であることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記付勢機構は、前記弾性部材と一体化された
前記受け部を含む押圧部材を有し、
前記押圧部材は、前記
受け部が受けた前記液体が流れる流路を有し、
前記流路は、前記液体収容体から離れるにつれて重力方向に傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記流路は、前記液体収容体から離れるにつれて幅が狭くなる幅狭部を有することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記
受け部から流路に沿って流れた前記液体を受容可能なトレイと、
前記トレイで受容した前記液体を検知する検知部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項6の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記付勢機構が受けた前記液体を吸収可能な吸収材を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項7の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容体が着脱可能に装着される装着部とを備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容体が着脱可能に装着される装着部とを備える液体吐出装置が知られている。装着部は、液体収容体に設けられる液体導出口に接続される液体導入部と、装着部に対する液体収容体の装着方向とは反対方向に液体収容体を付勢する付勢機構とを有する。このような液体吐出装置では、液体導出口と液体導入部との接続部分から、液体が漏れることがある。
【0003】
これに対し、特許文献1では、付勢機構内に吸収材を収容し、その吸収材の一部を付勢機構から液体収容体に向けて突出させることで、装着部に液体収容体が装着された状態において、吸収材における付勢機構から突出した部分が、液体収容体における液体導出口が形成された面に当接するようにした。これにより、液体導出口と液体導入部との接続部分から液体が漏れたとしても、漏れた液体は吸収材によって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液体導出口と液体導入部との接続部分から漏れた液体の量が、吸収材により吸収可能な液体の量を超えた場合には、吸収材から液体がオーバーフローし、液体収容体の外面に伝うことで、液体収容体の外面が広く汚れることがある。液体収容体の外面が汚れると、ユーザーが液体収容体を交換する際に、ユーザーの手が汚れる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、を備え、前記装着部は、前記液体収容体に設けられた液体導出口に接続される液体導入部と、前記液体収容体を前記装着部に装着する装着方向とは反対方向に前記液体収容体を付勢する付勢機構と、を有し、前記付勢機構は、前記装着部に装着された前記液体収容体に密着する弾性部材を、重力方向において前記液体導入部よりも下方に有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】液体収容体が装着される前の装着部及び液体収容体の断面図。
【
図4】液体収容体が装着された後の装着部及び液体収容体の断面図。
【
図7】
図2における一点鎖線で囲まれた部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、液体吐出装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に記載されているX軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する3つの空間軸である。なお、他の図のXYZ軸は、
図1のXYZ軸に対応している。液体吐出装置は、X軸に沿う方向であるX方向と、Y軸に沿う方向であるY方向とを含む水平面に配置されている。X方向は、液体吐出装置が有する装着部に対する液体収容体(何れも後述)の着脱方向である。装着部に対して液体収容体を装着する方向を+X方向とし、装着部から液体収容体を取り外す方向を-X方向とする。言い換えると、+X方向は、液体収容体から装着部に向かう方向である。また、Z軸に沿う方向のうち、重力方向を-Z方向とし、重力方向の反対方向を+Z方向とする。
【0009】
図1に示すように、液体吐出システム100は、液体吐出装置10と、液体吐出装置10に装着される液体収容体80とを備える。液体吐出装置10は、用紙などの媒体に対して液体の一例であるインクを吐出することにより、媒体に文字や画像等を印刷するインクジェット式のプリンターである。液体収容体80は、液体吐出装置10に供給される液体を収容するカートリッジである。液体吐出装置10には、互いに異なる性質を有するインク、例えば色の異なるインクを収容する複数の液体収容体80が装着される。本実施形態の液体吐出装置10には、例えばシアン、マゼンタ、イエローの液体収容体80が1つずつと、ブラックの液体収容体80が2つ、装着されている。
【0010】
液体吐出装置10は、箱状の筐体11と、筐体11に収容されたヘッド保持部12とを備える。ヘッド保持部12には、液体吐出ヘッド13とバルブユニット14とが搭載されている。液体吐出ヘッド13は、媒体に対して液体を吐出する。バルブユニット14は、液体吐出ヘッド13から吐出される液体を貯留する。本実施形態の液体吐出装置10には、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックに対応するように、4つのバルブユニット14が搭載されている。
【0011】
液体吐出ヘッド13は、ラインヘッドでもシリアルヘッドでもよい。液体吐出ヘッド13がラインヘッドである場合、媒体の幅と略同じ範囲に配列された複数のノズルから、一定速度で搬送される媒体に向けて一斉に液滴を吐出する。また、液体吐出ヘッド13が媒体に対して走査するシリアルヘッドである場合、ヘッド保持部12は走査方向に移動するキャリッジである。キャリッジが走査方向に移動する途中で液体吐出ヘッド13がノズルから媒体に向かって液滴を吐出する。シリアル記録方式である場合、液体吐出ヘッド13が移動する途中に液滴を吐出する1走査分の記録動作と、媒体を次の記録位置まで搬送する搬送動作とが交互に行われる。
【0012】
液体吐出装置10は、装着部15と、加圧機構16と、接続流路17とを備える。装着部15、加圧機構16、及び接続流路17は、筐体11に収容されている。装着部15には、液体収容体80が着脱可能に装着される。加圧機構16は、装着部15に装着された複数の液体収容体80に対し、個別に加圧流体を供給可能である。加圧機構16は、ポンプ16aと、加圧流体用流路16bと、後述する加圧部24とを有する。接続流路17は、装着部15と液体吐出ヘッド13とを接続する。詳しくは、接続流路17は、装着部15が有する後述の液体導入部30(
図2参照)と、液体導入部30に導入された色と同じ色の液体を貯留するバルブユニット14とを個別に接続する。
【0013】
液体吐出装置10は、液体吐出装置10を統括的に制御する制御部18を有する。制御部18は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成されている。制御部18は、メモリーに記憶されたプログラムに従って、液体吐出ヘッド13や加圧機構16等の動作を制御する。制御部18は、加圧機構16の動作を制御することで液体収容体80に対する加圧流体の供給を制御する。
【0014】
次に、
図2~
図4を参照して、装着部15について詳述する。
図2に示すように、装着部15は、支持部材20を備える。支持部材20は、第1支持部21及び第2支持部22を有する。第1支持部21は、Y方向及びZ方向を含む壁部である。第1支持部21の長手方向はY方向であり、第1支持部21の短手方向はZ方向である。第2支持部22は、X方向及びY方向を含む壁である。第2支持部22の長手方向はY方向であり、第2支持部22の短手方向はX方向である。
【0015】
図3及び
図4に示すように、第1支持部21のX方向の両面のうち、-X方向に位置する面を装着面21aとし、+X方向に位置する方の面を反装着面21bとする。第1支持部21には、装着面21aから+X方向に凹む収容凹部23が形成されている。
図2に示すように、本実施形態の第1支持部21には、5つ収容凹部23がY方向に並ぶように形成されている。
図3及び
図4に示すように、各収容凹部23の底面23aには、第1支持部21をX方向に貫通する第1挿通孔21hが形成されている。
【0016】
装着部15は、加圧部24を備える。本実施形態の装着部15は、Y方向に並べて配置された5つの加圧部24を備える。上述したように、加圧部24は、加圧機構16の一部であり、液体収容体80に加圧流体を供給する。各加圧部24は、軸方向がX方向に沿って延びる円筒状の部材を有する。各加圧部24の-X方向の端部は、第1支持部21の装着面21aよりも-X方向に突出している。各加圧部24は、各収容凹部23に対して-Z方向に位置している。
【0017】
装着部15は、第1位置決め凸部25及び第2位置決め凸部26を備える。本実施形態の装着部15は、Y方向に並んで配置された5つの第1位置決め凸部25と、Y方向に並んで配置された5つの第2位置決め凸部26とを備える。第1位置決め凸部25及び第2位置決め凸部26は、装着部15に対する液体収容体80のY方向及びZ方向の位置決めを行う。第1位置決め凸部25及び第2位置決め凸部26は、第1支持部21の装着面21aから-X方向に突出する棒状の部材である。各第1位置決め凸部25は、各収容凹部23に対して+Z方向に位置している。各第2位置決め凸部26は、各加圧部24に対して-Z方向に位置している。
【0018】
装着部15は、規制部27を備える。本実施形態の装着部15は、Y方向に並んで配置された5つの規制部27を備える。規制部27は、装着部15に液体収容体80が装着された状態において、液体収容体80が-X方向に移動することを規制する。規制部27は、X方向及びY方向を含む長方形状の板である。規制部27の長手方向はX方向である。
図3に示すように、規制部27の+X方向の端部は、第1支持部21の-Z方向の端面に取り付けられている。規制部27の長手方向の大部分は、第1支持部21の装着面21aよりも-X方向に突出している。規制部27における第1支持部21の装着面21aよりも突出した部分は、-Z方向に弾性変形可能である。規制部27は、-X方向の端部に+Z方向に突出するピン27aを有する。
【0019】
装着部15は、液体導入部30を備える。本実施形態の装着部15は、5つの液体導入部30を備える。液体導入部30は、液体収容体80に設けられた後述の液体導出口93a(
図3及び
図4参照)に接続される。液体導入部30は、軸方向がX方向に沿って延びる円筒状の部材である。液体導入部30は、第1支持部21の第1挿通孔21hに挿通されることにより、支持部材20に組み付けられている。よって、5つの液体導入部30は、Y方向に並んでいる。液体導入部30が支持部材20に組み付けられた状態において、液体導入部30の-X方向の端部は、第1支持部21の装着面21aよりも-X方向に突出し、液体導入部30の+X方向の端部は、第1支持部21の反装着面21bよりも+X方向に突出している。液体導入部30の-X方向の端部は、先細り形状になっている。液体導入部30の内部は、液体が導入される導入流路31になっている。液体導入部30の-X方向の端部には、導入流路31と液体導入部30の外部とを連通させる連通孔32が形成されている。
【0020】
装着部15は、付勢機構40を有する。付勢機構40は、液体収容体80を-X方向に付勢する。言い換えると、付勢機構40は、装着部15に対する液体収容体80の装着方向とは反対方向に液体収容体80を付勢する。付勢機構40は、押圧部材41と、付勢部材42と、弾性部材43とを有する。本実施形態の付勢部材42は、コイルばねである。また、本実施形態の弾性部材43は、エラストマーからなる。押圧部材41と弾性部材43とは二色成形によって形成されている。押圧部材41と弾性部材43とは一体化されている。
【0021】
図5及び
図6に示すように、押圧部材41は、カバー部44と、押圧部45とを有する。カバー部44は、軸方向がX方向に沿って延びる略円筒状である。カバー部44は、周方向の一部が途切れた不連続部44aを有する。不連続部44aは、カバー部44において-Z方向に位置する。押圧部45は、カバー部44の-X方向の端部に連なる板状の部材である。押圧部45には、押圧部45をX方向に貫通する第2挿通孔45hが形成されている。押圧部45は、-Z方向に延出する垂れ壁45aを含む。
【0022】
図7に示すように、押圧部材41は、受け部46を有する。受け部46は、液体導入部30と液体収容体80の液体導出口93aとの接続部分から液体が漏れた場合に、漏れた液体を受ける部分である。受け部46は、X方向及びY方向を含む板状の第1部位46aと、第1部位46aの-Y方向の端部から+Z方向に立設された板状の第2部位46bと、第1部位46aの+Y方向の端部から+Z方向に立設された板状の第3部位46cとを有する。つまり、受け部46は、-Z方向に向けて凸となる形状で設けられている。受け部46の受け面Rを含む上面は、凹面となり、受け部46の上面と反対側の面である下面は、下方に向けて凸となる凸面形状をなしている。第1~第3部位46a~46cはそれぞれ、押圧部45の-X方向の端面45bよりも-X方向に突出している。押圧部材41において、受け部46は、第1部位46aが第2挿通孔45hに対して-Z方向に位置するように配置されている。
【0023】
第1部位46aの+Z方向に位置する面を受け面Rとする。受け面Rは、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する傾斜面である。言い換えると、受け面Rは、液体収容体80から離れるにつれて、重力方向に傾斜する傾斜面である。
【0024】
弾性部材43は、受け部46の-X方向の端部に設けられている。弾性部材43は、受け部46の-X方向の端部のうち、第1部位46a全体と、第2部位46bの-Z方向の端部と、第3部位46cの-Z方向の端部とに設けられている。つまり、弾性部材43は、-Z方向に向けて凸となる形状で設けられている。
図10に示すように、弾性部材43のY方向の長さをW43とする。なお、
図10では、弾性部材43以外の部分は、
図4における10-10線断面で示されているが、弾性部材43が位置する部分は、弾性部材43をX軸と直交する面で切断した断面で示されている。
【0025】
ここで、弾性部材43が-Z方向に向けて凸となる形状であることから、弾性部材43の上面が凹面となる。また、弾性部材43が-Z方向に向けて凸となる形状であることから、弾性部材43の上面と反対側の面である下面が下方に向けて凸となる凸面形状をなしている。万一、漏れた液体が弾性部材43の下方へ回り込んでも、その漏れた液体は弾性部材43の下面を伝って弾性部材43の下面の幅中央付近から滴下する。この滴下位置は、漏れた液体が通る想定された経路である。弾性部材43の幅中央位置よりも-Z方向(下方)となる位置には、液体をトレイ62(
図1参照)へ誘導可能な図示しない誘導路が設けられている。
【0026】
図7に示すように、押圧部材41は、押圧部45の端面45bから-X方向に突出する第1~第3突出部47~49を有する。第1突出部47は、受け部46に対して+Z方向に位置する。第1突出部47は、第2挿通孔45hに対して-Y方向に位置する部分、+Y方向に位置する部分、及び+Z方向に位置する部分を有する。つまり、第1突出部47は、+Z方向に凸となる形状で設けられている。第1突出部47は、-X方向の端面から突出する第1凸部47a及び第2凸部47bを有する。第2突出部48及び第3突出部49は、略直方体状である。第2突出部48及び第3突出部49は、Z方向において受け部46と同じ高さに配置されている。第2突出部48及び第1凸部47aは、受け部46に対して-Y方向に位置し、第3突出部49及び第2凸部47bは、受け部46に対して+Y方向に位置する。すなわち、第2突出部48及び第3突出部49は、受け部46をY方向に挟むように位置する。受け部46は、第1~第3突出部47~49よりも-X方向に突出する。
【0027】
図5、
図6、
図8、及び
図9に示すように、押圧部材41は、誘導部50を有する。誘導部50は、受け部46が受けた液体を+X方向に誘導する。すなわち、誘導部50は、受け部46が受けた液体を液体収容体80から離れる方向に誘導する。誘導部50は、第1流路形成部51及び第2流路形成部52を有する。
【0028】
第1流路形成部51は、垂れ壁45aから+X方向に突出する第1~第4壁部51a~51dを有する。第1壁部51a及び第2壁部51bは、X方向及びZ方向を含む壁であり、Y方向に対向する。第1壁部51aは、カバー部44の不連続部44aを形成する周方向の両端部のうち、-Y方向に位置する方の端部と連続している。第2壁部51bは、カバー部44に対して+Y方向に位置している。第3壁部51cは、第1壁部51aの-Z方向の端部と連続する壁であり、第4壁部51dは、第2壁部51bの-Z方向の端部と連続する壁である。第3壁部51cの+Y方向の端部と、第4壁部51dの-Y方向の端部とは連続している。第1壁部51aの-Z方向の端部と第2壁部51bの-Z方向の端部とは、第3壁部51c及び第4壁部51dにより、Y方向に接続されている。
【0029】
第3壁部51cは、+Z方向の端面である第1誘導面G1を有する。
図9に示すように、押圧部材41を-Z方向に見たとき、第1誘導面G1は略台形状である。第1誘導面G1のX方向の寸法は、第1誘導面G1においてY方向の中央よりも-Y方向に位置する部分では一定であり、第1誘導面G1においてY方向の中央よりも+Y方向に位置する部分では、+Y方向に向かうにつれて小さくなる。
図8に示すように、第1誘導面G1は、+Y方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する傾斜面である。なお、第1誘導面G1は、X方向には傾斜していない。
【0030】
第4壁部51dは、+Z方向の端面である第2誘導面G2を有する。
図9に示すように、押圧部材41を-Z方向に見たとき、第2誘導面G2は略三角形状である。第2誘導面G2のY方向の寸法は、+X方向に向かうにつれて小さくなる。つまり、第2誘導面G2のY方向の幅は、+X方向に向かうにつれて狭くなっている。
図8に示すように、第2誘導面G2は、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する傾斜面である。言い換えると、第2誘導面G2は、液体収容体80から離れるにつれて、重力方向に傾斜する傾斜面である。また、第2誘導面G2は、液体収容体80から離れるにつれて、幅が狭くなる幅狭部の一例を構成している。なお、第2誘導面G2は、Y方向には傾斜していない。
【0031】
第1流路形成部51は、第1誘導流路53を有する。第1誘導流路53は、第1壁部51aの+Y方向の面と、第2壁部51bの-Y方向の面と、第3壁部51cの第1誘導面G1と、第4壁部51dの第2誘導面G2とによって囲まれた空間である。
【0032】
第2流路形成部52は、第1流路形成部51から+X方向に突出する第1~第3突出片52a~52cを有する。第1突出片52aは、第3壁部51cの+Y方向の端部と連続する。第2突出片52bは、第2壁部51bと連続する。第1突出片52aと第2突出片52bとは、Y方向に対向する。本実施形態では、第1突出片52aの+Y方向の面と、第2突出片52bの-Y方向の面との間隔は、X方向において一定である。第3突出片52cは、第4壁部51dと連続する。第1突出片52aの-Z方向の端部と第2突出片52bの-Z方向の端部とは、第3突出片52cにより、Y方向に接続されている。
【0033】
第3突出片52cは、+Z方向の端面である第3誘導面G3を有する。
図9に示すように、押圧部材41を-Z方向に見たとき、第3誘導面G3は長方形状である。第3誘導面G3の長手方向はX方向であり、第3誘導面G3の短手方向はY方向である。第3誘導面G3は、第2誘導面G2に対して-Z方向に位置する。第3誘導面G3は、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する傾斜面である。言い換えると、第3誘導面G3は、液体収容体80から離れるにつれて、重力方向に傾斜する傾斜面である。
【0034】
第2流路形成部52は、第2誘導流路54を有する。第2誘導流路54は、第1突出片52aの+Y方向の面と、第2突出片52bの-Y方向の面と、第3突出片52cの第3誘導面G3とによって囲まれた空間である。第2誘導流路54は、第1誘導流路53と連通している。
【0035】
図3及び
図4に示すように、押圧部材41のカバー部44及び付勢部材42は、第1支持部21の収容凹部23に収容される。この状態において、付勢部材42は、液体導入部30の周囲を取り囲み、押圧部材41のカバー部44は、付勢部材42の周囲を取り囲む。受け部46及び弾性部材43は、液体導入部30に対して-Z方向に位置する。言い換えると、付勢機構40は、重力方向において液体導入部30よりも下方に弾性部材43を有する。また、付勢部材42は、X方向において押圧部材41の押圧部45と収容凹部23の底面23aとの間に位置する。
【0036】
規制部27の-X方向の端部は、第1位置決め凸部25及び第2位置決め凸部26の-X方向の端部よりも-X方向に突出している。第1位置決め凸部25及び第2位置決め凸部26の-X方向の端部は、加圧部24の-X方向の端部、及び液体導入部30の-X方向の端部よりも-X方向に突出している。また、加圧部24の-X方向の端部、液体導入部30の-X方向の端部は、弾性部材43よりも-X方向に突出している。
【0037】
図1に示すように、液体吐出装置10は、案内部材61と、トレイ62とを備える。本実施形態の液体吐出装置10は、5つの液体導入部30に対応するように、5つの案内部材61を備える。5つの案内部材61は、Y方向に並んで配置されている。各案内部材61は、付勢機構40が受けた液体をトレイ62に案内する。各案内部材61は、X方向において装着部15とトレイ62との間に配置されている。各案内部材61の-X方向の端部は、装着部15の第2流路形成部52に対して-Z方向に位置している。各案内部材61の+X方向の端部は、トレイ62に対して+Z方向に位置している。
【0038】
トレイ62は、案内部材61により案内された液体を受容可能である。すなわち、トレイ62は、付勢機構40が受けた液体を受容可能である。トレイ62は、板状の底壁62aと、底壁62aの周縁から立設するように形成された側壁62bとを備える。また、トレイ62は、底壁62aにおいて側壁62bが立設された側の面に、液体を受ける受容領域A1と、受けた液体を検知する検知領域A2とを有する。
【0039】
トレイ62は、検知領域A2が受容領域A1よりも+X方向に位置するように配置されている。トレイ62は、受容領域A1から検知領域A2に向かって下り勾配となるように配置されている。つまり、底壁62aにおいて側壁62bが立設された側の面は、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する傾斜面になっている。
【0040】
受容領域A1には、底壁62aにおいて側壁62bが立設された側の面から-Z方向に凹む複数の溝63が形成されている。複数の溝63は、検知領域A2を中心に放射状に伸びている。図示しないが、溝63の幅は、受容領域A1から検知領域A2に向かうにつれて狭くなる。
【0041】
液体吐出装置10は、吸収材64と、検知部65とを備える。吸収材64及び検知部65は、検知領域A2に配置されている。吸収材64及び検知部65は、X方向に並べて配置されている。検知部65は、吸収材64に対して+X方向に位置している。吸収材64は、トレイ62が受容した液体を吸収可能である。すなわち、吸収材64は、付勢機構40が受けた液体を吸収可能である。検知部65は、トレイ62が受けた液体を検知する。検知部65は、液体を検知すると、液体の漏れが発生しているとして制御部18に信号を送信する。制御部18は、液体の漏れがあった旨の信号を検知部65から受信すると、加圧機構16による液体収容体80への加圧流体の供給を停止し、液体の漏れが拡大しないようにする。
【0042】
次に、液体収容体80について詳述する。
図3及び
図10に示すように、液体収容体80は、ケース81と、加圧流体導入部82と、収容容器83と、液体導出部90とを備える。
【0043】
ケース81は、軸方向がX方向に沿って延びる四角筒状の周壁81aと、周壁81aの+X方向の端部に連なる第1端壁81bと、周壁81aの-X方向の端部に連なる不図示の第2端壁とを有する直方体状である。
図3に示すように、ケース81は、周壁81aの内面と、第1端壁81bの内面と、第2端壁の内面とによって区画された第1収容空間80aを有する。周壁81aを形成する壁部のうち、-Z方向に位置する壁部の外面には、規制凹部81dが凹設されている。
【0044】
ケース81は、第1端壁81bの外面から+X方向に突出するブロック状の突出部84を有する。突出部84は、+X方向の端面として先端面84aを有する。先端面84aは、Y方向及びZ方向を含む面である。先端面84aは、液体収容体80の外面でもある。
【0045】
突出部84は、先端面84aから-X方向に凹む第1収容凹部85及び第2収容凹部86を有する。第1収容凹部85及び第2収容凹部86は、Z方向に並ぶように形成されている。第2収容凹部86は、第1収容凹部85に対して-Z方向に位置している。突出部84の内部には、第2収容空間80bが形成されている。第2収容空間80bは、第1収容空間80aと連通する。第1収容凹部85の底面85aには、第2収容空間80bと第1収容凹部85の内側とを連通させる連通孔85hが形成されている。
【0046】
加圧流体導入部82は、第2収容凹部86の底面86aから+X方向に延出する円筒状をなしている。加圧流体導入部82は、ケース81の外部と第1収容空間80aとを連通させる。装着部15に液体収容体80が装着された状態において、装着部15の加圧部24は、加圧流体導入部82を通じて第1収容空間80a内に加圧流体を供給する。
【0047】
図10に示すように、突出部84は、先端面84aから-X方向に凹む第1位置決め凹部87及び第2位置決め凹部88を有する。第1位置決め凹部87及び第2位置決め凹部88は、Z方向に並ぶように形成されている。第1位置決め凹部87は、第1収容凹部85に対して+Z方向に位置している。第2位置決め凹部88は、第2収容凹部86に対して-Z方向に位置している。
【0048】
図3に示すように、収容容器83は、液体吐出ヘッド13に供給する液体を収容する。つまり、液体収容体80は、液体吐出ヘッド13に供給する液体を収容する。収容容器83は、可撓性を有する材料によって袋状に形成されている。収容容器83は、ケース81の第1収容空間80aに収容される。収容容器83に収容された液体は、液体導出部90を通じて装着部15に導出される。
【0049】
液体導出部90は、軸方向がX方向に沿って延びる第1円柱部91と、第1円柱部91の+X方向の端面から突出するとともに、外径が第1円柱部91よりも小径の第2円柱部92とを有する。液体導出部90は、第1円柱部91及び第2円柱部92をX方向に貫通する導出流路93を有する。第1円柱部91の-X方向の端部は、収容容器83に接続されている。よって、収容容器83に収容された液体は、導出流路93に流出可能である。導出流路93は、第2円柱部92の+X方向の端面において開口する液体導出口93aを有する。
図10に示すように、液体導出口93aのY方向の長さをW93aとする。弾性部材43のY方向の長さW43は、液体導出口93aのY方向の長さW93aよりも長い。
【0050】
図3に示すように、第1円柱部91は、第2収容空間80bに収容され、第2円柱部92は、連通孔85hに挿通されるとともに第1収容凹部85内に収容される。突出部84は、その先端面84aが、第2円柱部92の+X方向の端面よりも+X方向に位置するように突出している。よって、液体導出口93aは、第1収容凹部85内において開口している。
【0051】
導出流路93の内部には、弁部94がX方向にスライド可能に設けられている。また、導出流路93の内部には、弁部94を+X方向に付勢する不図示のばねが設けられている。
図3に示すように、装着部15に対して液体収容体80が装着されていない状態では、弁部94は、ばねにより付勢されることで、導出流路93の+X方向の端に位置する閉位置に配置されている。このとき、導出流路93は、ケース81の外部と連通しない。一方、
図4に示すように、装着部15に液体収容体80が装着された状態では、導出流路93内に液体導入部30が挿入されることで、弁部94は、液体導入部30に押圧されて閉位置から-X方向にスライドされる。これにより弁部94が開位置に配置される。
【0052】
液体収容体80は、第2円柱部92の+X方向の端面を覆うフィルム89を有する。すなわち、液体導出口93aは、フィルム89によって覆われている。本実施形態のフィルム89は、正方形である。
図10に示すように、フィルム89は、第1の角部89aが+Z方向に位置し、第1の角部89aと対角に位置する第2の角部89bが-Z方向に位置し、第3の角部89cが-Y方向に位置し、第3の角部89cと対角に位置する第4の角部89dが+Y方向に位置するように配置される。
【0053】
図3に示すように、液体収容体80は、装着部15に対して-X方向に配置される。このとき、液体収容体80のフィルム89と、液体導入部30の-X方向の端部とは対向する。加圧流体導入部82の+X方向の端部と、加圧部24の-X方向の端部とは対向する。第1位置決め凹部87と、第1位置決め凸部25とは対向する。第2位置決め凹部88と、第2位置決め凸部26とは対向する。
【0054】
装着部15に対して液体収容体80を装着する際には、液体収容体80を装着部15に向けて+X方向に移動させる。すると、周壁81aのうち、-Z方向に位置する壁部の外面が、規制部27のピン27a対して摺動するように、規制部27は-Z方向に弾性変形する。そして、
図4に示すように、ピン27aが規制凹部81dに嵌合されると、規制部27は+Z方向に弾性復帰する。これにより、装着部15に対する液体収容体80の-X方向の移動が規制される。また、第1位置決め凸部25は、第1位置決め凹部87に挿入され、第2位置決め凸部26は、第2位置決め凹部88に挿入される。これにより、装着部15に対する液体収容体80のY方向及びZ方向の位置決めが完了する。
【0055】
液体導入部30は、液体導出部90の液体導出口93aに接続される。詳しくは、液体導入部30の-X方向の先端部は、液体収容体80のフィルム89を突き破った後、閉位置にある弁部94を-X方向に押圧する。これにより、弁部94は、閉位置から-X方向にスライドされて開位置に移動する。液体導入部30の-X方向の一部は、導入流路31内に挿入される。導出流路93と導入流路31とは、連通孔32を通じて連通する。
【0056】
このとき、第1突出部47の第1凸部47a及び第2凸部47bと、第2突出部48と、第3突出部49とは、突出部84の先端面84aに当接するとともに、受け部46は、第1収容凹部85に挿入される。受け部46の第1部位46aは、液体導出口93aと液体導入部30との接続部分に対して-Z方向に位置する。また、受け部46の第1部位46aは、フィルム89の第2の角部89bに対して-Z方向に位置する。
【0057】
押圧部材41は、液体収容体80に当接することで+X方向に移動する。付勢部材42は、+X方向に移動する押圧部材41の押圧部45と収容凹部23の底面23aとによって圧縮される。このため、付勢部材42は、押圧部材41を-X方向に付勢し、押圧部材41は、液体収容体80を-X方向に付勢する。また、付勢部材42が押圧部材41を-X方向に付勢することで、受け部46は、第1収容凹部85の底面85aに押し付けられる。これにより、弾性部材43は、第1収容凹部85の底面85aと受け部46の第1部位46aとによって押し潰されて、第1収容凹部85の底面85aに密着する。
図10に示すように、液体導出口93aのY方向の両端は、弾性部材43のY方向の両端の内側に位置する。
【0058】
第1突出部47の第1凸部47a及び第2凸部47bと、第2突出部48と、第3突出部49とが、突出部84の先端面84aに当接することで、弾性部材43が収容凹部23の底面23aに当たったときの弾性部材43の圧縮量が制限される。このとき、弾性部材43は、自然状態よりも圧縮されるものの完全には押し潰されていない状態にある。つまり、弾性部材43が完全に押し潰されたときの圧縮量をCFとすると、弾性部材43の圧縮量Cは、0<C<CFの条件を満たす範囲内にある。例えば、弾性部材43が完全に押し潰された状態が長期間維持されると、弾性部材43は潰れた状態に塑性変形してしまう。この場合、次回以降、ユーザーが液体収容体80を装着部15に装着したときに、潰れた弾性部材43は、収容凹部23の底面23aに密着できず、受け部46と液体収容体80との間に隙間が発生する心配がある。これに対して、本実施形態の弾性部材43は、収容凹部23の底面23aに当たったときの圧縮量が、完全に押し潰されたときの圧縮量CFよりも小さく制限されるので、弾性部材43が潰れた状態に塑性変形することが抑制される。よって、弾性部材43が液体収容体80の外面に接触したときの密着力が長期に亘り高く維持される。
【0059】
また、加圧部24は、加圧流体導入部82に接続される。これにより、装着部15に対する液体収容体80の装着が完了する。
そして、液体収容体80の液体導出部90から液体導入部30に液体を導入する際には、加圧機構16により、液体収容体80に加圧流体を供給する。詳しくは、制御部18は、加圧機構16の動作を制御することにより、複数の加圧部24のうちの所望の加圧部24に加圧流体を送る。加圧部24は、加圧流体導入部82を通じて、第1収容空間80aに加圧流体を供給する。これにより、第1収容空間80aに収容された収容容器83は押圧されて、収容容器83内部の液体は、導出流路93、連通孔32、導入流路31の順に流れる。そして、導入流路31に導入された液体は、接続流路17を通じて液体吐出ヘッド13に供給される。
【0060】
例えば、液体収容体80の交換時など、装着部15から液体収容体80を取り外す際には、液体収容体80を-X方向に移動させる。これにより、液体導入部30と液体導出口93aとの接続、及び加圧部24と加圧流体導入部82との接続が解除される。詳しくは、液体導入部30が導出流路93外に位置することで、導入流路31と導出流路93とは連通しなくなる。また、液体導入部30による弁部94の押圧状態が解除されることで、弁部94は、導出流路93内において+X方向の端に位置する閉位置に戻る。よって、液体導出口93aから液体が漏れることが回避される。
【0061】
第1位置決め凹部87から第1位置決め凸部25が引き抜かれ、第2位置決め凹部88から第2位置決め凸部26が引き抜かれる。また、規制部27が-Z方向に弾性変形することにより、ピン27aが規制凹部81dから脱出する。その後、ケース81の周壁81aのうち、-Z方向に位置する壁部の外面は、規制部27のピン27aに対して摺動する。ケース81の周壁81aとピン27aとが摺動しなくなると、規制部27は+Z方向に弾性復帰する。これにより、装着部15に対する液体収容体80の取り外しが完了する。
【0062】
次に、液体導出部90と液体導入部30との接続部分から液体が漏れてしまった場合の作用について説明する。
液体導出部90と液体導入部30との接続部分から漏れた液体は、フィルム89を伝って、フィルム89の第2の角部89bから受け面Rに垂れ落ちる。つまり、受け部46の受け面Rは、漏れた液体を受ける。ここで、液体導入部30に対して-Z方向に弾性部材43が設けられていない場合には、液体収容体80と受け部46との間に隙間が生じ、受け部46が受けた液体がその隙間から流れ出る虞がある。これに対し、本実施形態では、液体導入部30に対する-Z方向には、液体収容体80に密着する弾性部材43が配置されている。このため、液体導出口93aと液体導入部30との接続部分から漏れた液体は、弾性部材43により堰き止められる。つまり、漏れた液体は、受け部46により受け止められる。
【0063】
本実施形態の受け面Rは、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する傾斜面である。このため、受け面Rが受けた液体は、+X方向、すなわち液体収容体80から離れる方向に流れる。受け面Rに対する+X方向には、第1誘導流路53が設けられている。このため、受け面Rを流れる液体は、第1誘導流路53に誘導される。よって、付勢機構40が受けた液体は、第1誘導流路53を流れる。第1誘導流路53は、+Y方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する第1誘導面G1と、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する第2誘導面G2とを有する。第1誘導流路53に誘導された液体は、第1誘導面G1により+Y方向に流れた後、第2誘導面G2により+X方向、すなわち液体収容体80から離れる方向に流れる。第1誘導流路53に対する+X方向には、第2誘導流路54が設けられている。このため、第1誘導流路53を流れる液体は、第2誘導流路54に誘導される。よって、付勢機構40が受けた液体は、第2誘導流路54を流れる。第2誘導流路54は、+X方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜する第3誘導面G3を有する。第2誘導流路54に誘導された液体は、+X方向、すなわち液体収容体80から離れる方向に流れる。
【0064】
第2誘導流路54の+X方向の端部は、案内部材61に対して+Z方向に位置している。このため、第2誘導流路54を流れる液体は、案内部材61に垂れ落ちる。案内部材61は、第2誘導流路54から垂れ落ちた液体を受ける。案内部材61が受けた液体は、毛細管現象により+X方向に向かって流れることで、トレイ62内に案内される。トレイ62の受容領域A1は、案内部材61によって案内された液体を受容する。受容領域A1に受容された液体は、毛細管現象によって溝63に引き込まれる。また、底壁62aは、受容領域A1から検知領域A2に向かう下り勾配の斜面である。これにより、毛細管現象によって溝63に引き込まれた液体は、溝63に沿って受容領域A1から検知領域A2に向かう方向へ、検知領域A2まで誘導される。検知領域A2まで誘導された液体は、吸収材64に吸収される。また、検知部65は、吸収材64に吸収された液体を検知する。制御部18は、検知部65から液体を検知した旨の信号を受信すると、加圧機構16による液体収容体80への加圧流体の供給を停止する。この結果、液体の漏れが拡大しない。
【0065】
本実施形態の効果について説明する。
(1)付勢機構40は、液体収容体80に密着する弾性部材43を、重力方向において液体導入部30よりも下方に有する。このため、液体導出口93aと液体導入部30との接続部分から液体が漏れた場合、漏れた液体は、弾性部材43により堰き止められる。よって、液体収容体80のケース81の外面が広く汚れてしまうことを抑制できる。
【0066】
(2)弾性部材43のY方向の長さW43は、液体導出口93aのY方向の長さW93aよりも長く、液体導出口93aのY方向の両端は、弾性部材43のY方向の両端の内側に位置する。このため、漏れた液体が弾性部材43よりも下方に回り込むことを抑制できる。
【0067】
(3)弾性部材43は、重力方向に向けて凸となる形状で設けられている。このため、漏れた液体が弾性部材43よりも下方に回り込むことを抑制できる。万一、漏れた液体が弾性部材43よりも下方に回り込んでも、弾性部材43の下面が下方に向けて凸となる凸面形状をなすため、漏れた液体は弾性部材43の下面を伝って下面幅中央位置から滴下する。滴下した液体は、その下方に設けられた誘導路を通ってトレイ62へ誘導される。
【0068】
(4)液体導出口93aは、突出部84の先端面84aに凹設された第1収容凹部85内において開口する。液体収容体80が装着部15に装着された状態において、弾性部材43は、第1収容凹部85の底面85aに密着する。よって、漏れた液体が液体収容体80のケース81の外面に伝うことを抑制できる。また、ユーザーが液体収容体80を交換する際に、液体導出口93aに誤って触れることを抑制できる。よって、ユーザーの手を汚す可能性も低くなる。
【0069】
(5)押圧部材41は、付勢機構40が受けた液体が流れる流路として第1誘導流路53及び第2誘導流路54を有する。第1誘導流路53は、液体収容体80から離れるにつれて重力方向に傾斜する第2誘導面G2を有する。また、第2誘導流路54は、液体収容体80から離れるにつれて重力方向に傾斜する第3誘導面G3を有する。第2誘導面G2及び第3誘導面G3により、漏れた液体を液体収容体80から離れる向きに流すことができる。
【0070】
(6)第1誘導流路53は、液体収容体80から離れるにつれて幅が狭くなる幅狭部の一例としての第2誘導面G2を有する。漏れた液体が第2誘導面G2を流れることにより、漏れた液体を液体収容体80から離れる向きにより流し易くなる。
【0071】
(7)液体吐出装置10は、付勢機構40が受けた液体を受容可能なトレイ62と、トレイ62で受容した液体を検知する検知部65とを有する。検知部65により、液体導出口93aと液体導入部30との接続部分から液体が漏れているか否かを検知できる。
【0072】
(8)液体吐出装置10は、付勢機構40が受けた液体を受容可能な吸収材64を備える。吸収材64により、漏れた液体を吸収できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0073】
・弾性部材43のY方向の長さW43は、液体導出口93aのY方向の長さW93aと同じでもよい。この場合、例えば、液体導出口93aのY方向の両端は、弾性部材43のY方向の両端と同じ位置に位置していてもよい。
【0074】
・弾性部材43のY方向の長さW43は、液体導出口93aのY方向の長さW93aより短くてもよい。この場合、例えば、液体導出口93aのY方向の両端は、弾性部材43のY方向の両端の外側に位置していてもよい。
【0075】
・受け部46は、-Z方向に向けて凸となるV字形状であってもよい。この場合、弾性部材43も、受け部46の形状に合わせて、-Z方向に向けて凸となるV字形状としてもよい。
【0076】
・受け部46は、-Z方向に向けて凸となる形状でなくてもよい。例えば、受け部46は、第1部位46aのみを有していてもよい。
・弾性部材43は、-Z方向に向けて凸となる形状でなくてもよい。例えば、弾性部材43は、Y方向に沿って直線状に延びている形状であってもよい。
【0077】
・受け部46の受け面Rは、Z方向の高さがX方向において一定である平坦面であってもよい。
・液体導出部90の第2円柱部92の+X方向の端面は、突出部84の先端面84aよりも突出していてもよい。この場合、液体導出口93aは、第1収容凹部85の外側で開口することとなる。
【0078】
・押圧部材41は、誘導部50を有していなくてもよい。
・誘導部50の構成は適宜変更してよい。
一例として、誘導部50は、第1流路形成部51のみを有していてもよい。
【0079】
他の例として、第2流路形成部52は、第1突出片52aの+Y方向の面と、第2突出片52bの-Y方向の面との間隔が、+X方向に向かうにつれて近付くように形成されていてもよい。この場合、第2誘導流路54のY方向の幅は、+X方向に向かうにつれて狭くなる。言い換えると、第2誘導流路54は、液体収容体80から離れるにつれて、Y方向の幅が狭くなる幅狭部を有する。幅狭部により、漏れた液体を液体収容体80から離れる向きにより流し易くなる。
【0080】
・第1収容凹部85の底面85aには、-X方向に凹む溝又は+X方向に突出するリブが設けられていてもよい。溝又はリブは、液体導出口93aから弾性部材43に向かって延びるとともに、Y方向に複数設けられる。この場合、漏れた液体は、溝又はリブ同士の隙間によって、弾性部材43及び受け部46に向けて案内され易くなる。
【0081】
・液体収容体80が装着部15に装着されるときに、受け部46の弾性部材43が液体収容体80に当たる面は、第1収容凹部85の底面85aに限定されず、第1収容凹部85よりも下方に位置する先端面84aでもよい。この場合、弾性部材43が液体収容体80に当たる先端面84aにおける弾性部材43よりも上方の領域に、-X方向に凹む溝又は+X方向に突出するリブを設けてもよい。この場合、漏れた液体は、溝又はリブ同士の隙間によって、弾性部材43及び受け部46に向けて案内され易くなる。
【0082】
・案内部材61は無くてもよい。この場合、例えば、第2流路形成部52の+X方向の端部に対して-Z方向にトレイ62を配置することで、第2誘導流路54から流れ出た液体は、トレイ62によって直接受容される。
【0083】
・トレイ62、吸収材64及び検知部65を個別に設けてもよい。
例えば、案内部材61の+X方向の端部に対して-Z方向にトレイ62を配置するとともに、トレイ62の+X方向の端部に、液体が流出可能な出口を設けてもよい。吸収材64は、トレイ62の出口に対して+X方向に配置される。この場合、トレイ62が受けた液体は、出口からトレイ62外に流れた後、吸収材64によって吸収される。検知部65は、トレイ62内に設けられていてもよいし、トレイ62の出口と吸収材64との間に配置されてもよいし、吸収材64に接触する状態に配置されていてもよい。
【0084】
・トレイ62及び検知部65は無くてもよい。この場合、案内部材61の+X方向の端部に対して-Z方向に吸収材64を配置することで、案内部材61によって案内された液体は、吸収材64によって吸収される。
【0085】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を、その作用効果とともに以下に記載する。
(A)液体吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容体が着脱可能に装着される装着部と、を備え、前記装着部は、前記液体収容体に設けられた液体導出口に接続される液体導入部と、前記液体収容体を前記装着部に装着する装着方向とは反対方向に前記液体収容体を付勢する付勢機構と、を有し、前記付勢機構は、前記装着部に装着された前記液体収容体に密着する弾性部材を、重力方向において前記液体導入部よりも下方に有する。
【0086】
この構成によれば、液体導出口と液体導入部との接続部分から液体が漏れた場合、漏れた液体は、弾性部材により堰き止められる。よって、液体収容体の外面が広く汚れてしまうことを抑制できる。
【0087】
(B)上記液体吐出装置において、前記装着方向及び重力方向と交差する方向において、前記弾性部材の長さは、前記液体導出口の長さよりも長く、前記液体導出口の両端は、前記弾性部材の両端の内側に位置してもよい。
【0088】
この構成によれば、漏れた液体が弾性部材よりも下方に回り込むことを抑制できる。
(C)上記液体吐出装置において、前記弾性部材は、重力方向に向けて凸となる形状で設けられてもよい。
【0089】
この構成によれば、漏れた液体が弾性部材よりも下方に回り込むことを抑制できる。
(D)上記液体吐出装置において、前記液体導出口は、前記液体収容体の外面に凹設された凹部内において開口し、前記液体収容体が前記装着部に装着された状態において、前記弾性部材は、前記凹部の底面に密着してもよい。
【0090】
この構成によれば、漏れた液体が液体収容体の外面に伝うことを抑制できる。また、ユーザーが液体収容体を交換する際に、液体導出口に誤って触れることを抑制できる。よって、ユーザーの手を汚す可能性も低くなる。
【0091】
(E)上記液体吐出装置において、前記付勢機構は、前記弾性部材と一体化された押圧部材を有し、前記押圧部材は、前記付勢機構が受けた前記液体が流れる流路を有し、前記流路は、前記液体収容体から離れるにつれて重力方向に傾斜する傾斜面を有していてもよい。
【0092】
この構成によれば、漏れた液体を液体収容体から離れる向きに流すことができる。
(F)上記液体吐出装置において、前記流路は、前記液体収容体から離れるにつれて幅が狭くなる幅狭部を有していてもよい。
【0093】
この構成によれば、漏れた液体を液体収容体から離れる向きにより流し易くなる。
(G)上記液体吐出装置において、前記付勢機構が受けた前記液体を受容可能なトレイと、前記トレイで受容した前記液体を検知する検知部と、を更に備えていてもよい。
【0094】
この構成によれば、液体が漏れているか否かを検知できる。
(H)上記液体吐出装置において、前記付勢機構が受けた前記液体を吸収可能な吸収材を更に備えていてもよい。
【0095】
この構成によれば、漏れた液体を吸収材により吸収できる。
【符号の説明】
【0096】
10…液体吐出装置、11…筐体、12…ヘッド保持部、13…液体吐出ヘッド、14…バルブユニット、15…装着部、16…加圧機構、16a…ポンプ、16b…加圧流体用流路、17…接続流路、18…制御部、20…支持部材、21…第1支持部、21a…装着面、21b…反装着面、21h…第1挿通孔、22…第2支持部、23…収容凹部、23a…底面、24…加圧部、25…第1位置決め凸部、26…第2位置決め凸部、27…規制部、27a…ピン、30…液体導入部、31…導入流路、32…連通孔、40…付勢機構、41…押圧部材、42…付勢部材、43…弾性部材、44…カバー部、44a…不連続部、45…押圧部、45a…垂れ壁、45b…端面、45h…第2挿通孔、46…受け部、46a…第1部位、46b…第2部位、46c…第3部位、47…第1突出部、47a…第1凸部、47b…第2凸部、48…第2突出部、49…第3突出部、50…誘導部、51…第1流路形成部、51a…第1壁部、51b…第2壁部、51c…第3壁部、51d…第4壁部、52…第2流路形成部、52a…第1突出片、52b…第2突出片、52c…第3突出片、53…第1誘導流路(流路)、54…第2誘導流路(流路)、61…案内部材、62…トレイ、62a…底壁、62b…側壁、63…溝、64…吸収材、65…検知部、80…液体収容体、80a…第1収容空間、80b…第2収容空間、81…ケース、81a…周壁、81b…第1端壁、81d…規制凹部、82…加圧流体導入部、83…収容容器、84…突出部、84a…先端面(外面)、85…第1収容凹部(凹部)、85a…底面、85h…連通孔、86…第2収容凹部、86a…底面、87…第1位置決め凹部、88…第2位置決め凹部、89…フィルム、89a…第1の角部、89b…第2の角部、89c…第3の角部、89d…第4の角部、90…液体導出部、91…第1円柱部、92…第2円柱部、93…導出流路、93a…液体導出口、94…弁部、100…液体吐出システム、A1…受容領域、A2…検知領域、G1…第1誘導面、G2…第2誘導面(傾斜面、幅狭部)、G3…第3誘導面(傾斜面)、R…受け面、W43…長さ、W93a…長さ。