(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】オーステナイト化フェライト系ステンレス鋼および時計用部品、並びに電子時計
(51)【国際特許分類】
G04B 37/22 20060101AFI20240326BHJP
G04B 19/12 20060101ALI20240326BHJP
G04R 60/10 20130101ALI20240326BHJP
G04G 21/02 20100101ALI20240326BHJP
G04G 21/04 20130101ALI20240326BHJP
G04B 43/00 20060101ALI20240326BHJP
C22C 38/00 20060101ALN20240326BHJP
C22C 38/60 20060101ALN20240326BHJP
C21D 1/06 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
G04B37/22 A
G04B19/12 Z
G04R60/10
G04G21/02 J
G04G21/04
G04B43/00 A
C22C38/00 302Z
C22C38/60
C21D1/06 A
(21)【出願番号】P 2019225195
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼澤 幸樹
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-69049(JP,A)
【文献】特開2011-214154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G04R 60/10
C22C 38/00ー38/60
C21D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面とは反対側の面である第2面とを備えるオーステナイト化フェライト
系ステンレス鋼であって、
フェライト相で構成される第1軟磁性層と、
前記フェライト相がオーステナイト化されたオーステナイト化相で構成される第1非磁
性層と、
前記第1軟磁性層と前記第1非磁性層との間に形成され、前記フェライト相と前記オー
ステナイト化相とが混在する第1混在層と、
を前記第1面から前記第2面にわたって配置される第1領域と、
前記オーステナイト化相で構成され、前記第1非磁性層よりも厚さが大きい第2非磁性
層を前記第1面から前記第2面にわたって配置される第2領域と、
を備え
、
前記第1領域において、前記第1軟磁性層の厚さは前記第1非磁性層の厚さより厚い
ことを特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項2】
請求項1に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼において、
前記第2領域は、
前記フェライト相で構成される第2軟磁性層と、
前記第2軟磁性層と前記第2非磁性層との間に形成され、前記フェライト相と前記オー
ステナイト化相とが混在する第2混在層と、
を有することを特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項3】
請求項2に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼において、
前記第2軟磁性層と前記第2混在層とを合わせた厚さは、100μm以下であることを
特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレ
ス鋼において、
前記第1軟磁性層の厚さは、100μm以上である
ことを特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレ
ス鋼において、
前記第1領域は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有し、
前記第1非磁性層および前記第1混在層は、前記第1軟磁性層に対して、前記第1面側
と前記第2面側とに設けられ、
前記第1面側に形成された第1非磁性層の厚さは、前記第2面側に形成された第1非磁
性層の厚さよりも大きい
ことを特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレ
ス鋼において、
前記第1領域の厚さと、前記第2領域の厚さとが等しい
ことを特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレ
ス鋼において、
前記第1領域の厚さと、前記第2領域の厚さとが異なる
ことを特徴とするオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレ
ス鋼は、ケース本体、裏蓋、文字 板、ベゼル、ダイヤルリング、および、ムーブメント
の地板の少なくとも1つである
ことを特徴とする時計用部品。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のオーステナイト化フェライト系ステンレ
ス鋼を備えることを特徴とする時計用部品。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の時計用部品において、
アンテナコアと、前記アンテナコアに巻かれるコイルとを有するアンテナを備え、
前記アンテナの軸方向から見た側面視において、前記第2領域は前記アンテナと重なる
位置に配置される
ことを特徴とする電子時計。
【請求項11】
請求項10に記載の電子時計において、
前記側面視において、前記第2領域の面積は、前記アンテナコアの断面積よりも大きい
ことを特徴とする電子時計。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の電子時計において、
地磁気を検出可能に構成された磁気センサーを備え、
前記第1領域は、少なくとも前記磁気センサーの中心部から所定範囲内に配置されない
ことを特徴とする電子時計。
【請求項13】
請求項12に記載の電子時計において、
前記所定範囲は、平面視で前記磁気センサーの中心部を中心とした半径15mmの円の
内側の範囲である
ことを特徴とする電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用部品および電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐磁板とモーターとを有するムーブメントを備えた電波時計が開示されている。特許文献1では、ムーブメントを平面視した場合に、モーターの少なくとも一部と重なるように耐磁板を配置することにより、モーターが外部磁場による悪影響を受けることを抑制できるようにしている。さらに、特許文献1では、平面視した場合に、アンテナコアと耐磁板とを所定の距離を離して配置することにより、耐磁板に電波が吸収されてアンテナの受信感度が低下してしまうことを抑制できるようにしている。すなわち、特許文献1では、耐磁板の配置により、モーターに与える外部磁場の影響を抑制でき、かつ、アンテナの受信感度の低下を抑制できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、モーター等の外部磁場の影響を受け得る部品に対して、その影響を抑制するために耐磁板を設ける必要があるため、部品点数が多くなってしまうといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼は、第1面と該第1面とは反対側
の面である第2面とを備えるオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼であって、
フェライト相で構成される第1軟磁性層と、
前記フェライト相がオーステナイト化されたオーステナイト化相で構成される第1非磁
性層と、
前記第1軟磁性層と前記第1非磁性層との間に形成され、前記フェライト相と前記オー
ステナイト化相とが混在する第1混在層と、
を前記第1面から前記第2面にわたって配置される第1領域と、
前記オーステナイト化相で構成され、前記第1非磁性層よりも厚さが大きい第2非磁性
層を前記第1面から前記第2面にわたって配置される第2領域と、
を備え、
前記第1領域において、前記第1軟磁性層の厚さは前記第1非磁性層の厚さより厚い。
【0006】
本開示の時計は、前記時計用部品を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1実施形態の電子時計の要部を示す平面図。
【
図3】アンテナの軸方向から見た電子時計の側面図。
【
図4】第1実施形態に係るケース本体の要部を示す断面図。
【
図5】第1実施形態のケース本体の製造工程を示す概略図。
【
図6】第1実施形態のケース本体の製造工程を示す概略図。
【
図7】第1実施形態のケース本体の製造工程を示す概略図。
【
図8】第2実施形態のケース本体の要部を示す断面図。
【
図9】第3実施形態のケース本体の要部を示す断面図。
【
図10】第4実施形態のケース本体の要部を示す断面図。
【
図11】第5実施形態の電子時計の要部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態の電子時計1を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子時計1を示す正面図である。本実施形態では、電子時計1は、ユーザーの手首に装着される腕時計として構成される。
図1に示すように、電子時計1は、金属製のケース10を備える。そして、ケース10は、略リング状に形成されたケース本体100と、ケース本体100の表面側に装着されたカバーガラス11と、ケース本体100の裏面側に着脱可能に取り付けられた図示略の裏蓋とを備えている。なお、ケース本体100は、本開示の時計用部品の一例である。
【0009】
また、電子時計1は、ケース10の内部に配置される円板状の文字板2と、秒針3と、分針4と、時針5と、りゅうず6と、Aボタン7と、Bボタン8とを備える。
本実施形態では、電子時計1は、時刻情報を含む無線電波としての長波標準電波を受信し、受信した時刻情報に基づいて秒針3、分針4、時針5の指示位置を補正可能な電波時計として構成されている。
【0010】
図2は、電子時計1の要部を示す平面図である。具体的には、
図1に示すカバーガラス11および文字板2を外した状態の電子時計1の要部を示す平面図である。
図2に示すように、ケース本体100内には、アンテナユニット9が収納されている。
また、ケース本体100内には、モーター81,82、二次電池83、図示略の回路基板や輪列等が収納されている。
【0011】
[アンテナユニット]
アンテナユニット9は、アンテナ20と、第1アンテナ枠40と、第2アンテナ枠50とを備えて構成されている。
アンテナ20は、アンテナコア21と、アンテナコア21に巻かれたコイル25とで構成される。すなわち、アンテナ20はコイルアンテナとして構成されている。
また、本実施形態では、アンテナ20は、アンテナコア21のコイル巻部が直線状に形成されたバーアンテナとして構成されている。
【0012】
アンテナコア21は、例えば、磁性箔材としてのコバルト系のアモルファス金属箔を型で打ち抜くか、エッチングで成形したものを電子時計1の厚さ方向に10~30枚程接着して重ね合わせ、焼鈍等の熱処理を行って磁気特性を安定化させたものである。また、アンテナコア21は、第1リード部23と、第2リード部24とを備えて構成されている。
なお、アンテナ20における受信性能を向上させるために、第1リード部23、第2リード部24の表面に集磁板を貼り付けてもよい。
集磁板は、例えば、アモルファスシートからなる磁性箔体を数枚積層して構成できる。磁性箔体としては、例えばコバルト系アモルファス金属や鉄系アモルファス金属などが挙げられる。
【0013】
第1アンテナ枠40は、合成樹脂製の部材であり、アンテナコア21を保持する部材である。また、第2アンテナ枠50は、第1アンテナ枠40と同様に合成樹脂製の部材であり、前記アンテナコア21を保持する部材である。
すなわち、本実施形態では、アンテナコア21は、第1アンテナ枠40および第2アンテナ枠50により保持されている。
【0014】
[ケース本体100]
図3は、アンテナ20の軸方向Oから見た側面図である。ここで、アンテナ20の軸方向Oは、アンテナコア21の長手方向であり、アンテナ20において電波受信の指向性が最も強い方向に直交する方向を意味する。
図2、3に示すように、ケース本体100は、第1領域110と、第2領域120とを備えるオーステナイト化フェライト系ステンレス鋼にて構成される。なお、本実施形態では、
図2に示すように、第1領域110および第2領域120は、ケース本体100において、外側の面である第1面101から、当該第1面101とは反対側の面、すなわち、内側の面である第2面102にわたって配置される領域である。すなわち、第2領域120は、ケース本体100において、
図2に示す仮想線M、N、第1面101、第2面102により規定される領域である。本実施形態では、第2領域120は、軸方向Oに沿って、2つの領域がアンテナ20を挟んで互いに反対側に配置されている。そして、第1領域110は、ケース本体100において第2領域120を除いた領域となっている。
【0015】
第1領域110は、ケース本体100において、耐磁性を有しており、外部磁界等を遮断する領域である。そのため、ケース本体100の内部において、第1領域110に対応する位置に配置されたモーター81、82、二次電池83等は、外部磁界の影響を受けにくくなっている。
【0016】
第2領域120は、ケース本体100において、長波標準電波等の電波を透過可能に構成された領域である。本実施形態では、
図3に示すように、アンテナ20の軸方向Oから見た側面視において、アンテナ20と重なる位置に配置されている。そして、第2領域120は、上記側面視において、アンテナコア21よりも断面積が大きくなるように構成されている。
このように、本実施形態では、ケース本体100は、1つの部品の中に、外部磁界等を遮断する第1領域110と、電波を透過可能に構成された第2領域120とを備えている。
【0017】
[第1領域]
図4は、ケース本体100の要部を、文字板2と平行な方向に沿って切断した断面図である。なお、
図4では、ケース本体100において、
図2における仮想線Mを挟んで配置される第1領域110および第2領域120を拡大して示している。
図4に示すように、ケース本体100の第1領域110は、フェライト相で構成される第1軟磁性層111と、フェライト相がオーステナイト化されたオーステナイト相(以下、オーステナイト化相)で構成される第1非磁性層112と、第1軟磁性層111と第1非磁性層112との間に形成されフェライト相とオーステナイト化相とが混在する第1混在層113とを有する。
そして、本実施形態では、第1軟磁性層111に対して、第1面101側に第1非磁性層112および第1混在層113が設けられている。さらに、第1軟磁性層111に対して、第2面102側にも第1非磁性層112および第1混在層113が設けられている。つまり、ケース本体100の厚さ方向において、第1軟磁性層111は第1混在層113の間に設けられている。そして、第1混在層113は第1軟磁性層111と第1非磁性層112との間に設けられている。言い換えれば、第1面101側から第2面102側に向かって、第1非磁性層112、第1混在層113、第1軟磁性層111、第1混在層113、第1非磁性層112の順で積層されている。
また、
図2、4に示すように、第1領域110および第2領域120の厚さはt1とされている。すなわち、第1領域110と第2領域120とは厚さが等しくなるように構成されている。なお、第1領域110および第2領域120の厚さt1、すなわち、ケース本体100の厚さt1は、例えば、4mm程度とされる。
【0018】
[第1軟磁性層]
第1軟磁性層111は、前述したようにフェライト相で構成されている。これにより、第1軟磁性層111は、耐磁性を有する。
本実施形態では、第1軟磁性層111は、質量%で、Cr:18~22%、Mo:1.3~2.8%、Nb:0.05~0.50%、Cu:0.1~0.8%、Ni:0.5%未満、Mn:0.8%未満、Si:0.5%未満、P:0.10%未満、S:0.05%未満、N:0.05%未満、C:0.05%未満を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼により構成される。なお、第1軟磁性層111は、上記構成に限られるものではなく、フェライト相で構成されていればよい。
また、本実施形態では、第1軟磁性層111の厚さaは、100μm以上となるように、第1領域110は構成されている。これにより、第1領域110は、時計として要求される所定の耐磁性能を有している。
【0019】
[第1非磁性層]
第1非磁性層112は、第1軟磁性層111を構成する母材に窒素吸収処理を施すことで、フェライト相がオーステナイト化されることにより形成される。
そして、本実施形態では、第1面101側に設けられた第1非磁性層112の厚さbが約350μmとされ、第2面102側に設けられた第1非磁性層112の厚さcが約350μmとされている。すなわち、本実施形態では、第1面101側に設けられる第1非磁性層112の厚さbと、第2面102側に設けられる第1非磁性層112の厚さcとが、略等しくなるように第1領域110は構成されている。
なお、第1非磁性層112の厚さb,cは、オーステナイト化相で構成された層の厚さであり、例えば、500から1000倍でSEM観察したときの視野内において、第1面101、または、第2面102から第1混在層113のフェライト相までの最短距離である。あるいは、第1面101、または、第2面102から最も浅いオーステナイト化相である。また、第1面101、または、第2面102からフェライト相までの距離が短い複数点の距離を測定し、その平均値を第1非磁性層112の厚さとしてもよい。
【0020】
また、本実施形態では、第1非磁性層112における窒素の含有量は質量%で1.0~1.6%とされている。
なお、第1非磁性層112は、上記構成に限られるものではなく、例えば、上記した厚さが350μm以上となるように構成されていてもよく、また、350μm以下となるように構成されていてもよく、時計として要求される硬度や耐食性に応じて設けられていればよい。
【0021】
[第1混在層]
第1混在層113は、第1非磁性層112の形成過程において、フェライト相で構成された第1軟磁性層111に進入する窒素の移動速度のばらつきによって生じる。すなわち、窒素の移動速度の速い箇所では、フェライト相の深い箇所まで窒素が進入してオーステナイト化され、窒素の移動速度の遅い箇所では、フェライト相の浅い箇所までしかオーステナイト化されないので、深さ方向に対してフェライト相とオーステナイト化相とが混在した第1混在層113が形成される。なお、第1混在層113は、断面視においてオーステナイト化相の最も浅い部位から最も深い部位を含む層であり、第1非磁性層112よりも薄い層である。
【0022】
[第2領域]
第2領域120は、オーステナイト化相で構成される第2非磁性層122により構成されている。すなわち、第2領域120では、ケース本体100の外側の面である第1面101から、内側の面である第2面102にわたって、第2非磁性層122が形成されている。これにより、当該第2領域120は、長波標準電波等の電波を透過可能に構成されている。
【0023】
[第2非磁性層]
第2非磁性層122は、前述した第1非磁性層112と同様に、窒素吸収処理によってフェライト相がオーステナイト化されることにより形成される。
ここで、本実施形態では、前述したように、ケース本体100において、第1面101から第2面102にわたって第2非磁性層122が設けられている。すなわち、第2領域120には、フェライト相で構成される層が存在しない。そのため、第2非磁性層122は、第1非磁性層112よりも厚さが大きくなっている。
また、本実施形態では、前述した第1非磁性層112と同様に、第2非磁性層122における窒素の含有量は質量%で1.0~1.6%とされている。
【0024】
[ケース本体の製造方法]
次に、ケース本体100の製造方法について説明する。
図5~7は、ケース本体100の製造工程を示す概略図である。
図5に示すように、先ず、フェライト系ステンレス鋼を機械加工し、母材200を形成する。この際、第1領域110に対応する箇所の厚さが、第2領域120に対応する箇所よりも、所定の寸法だけ厚くなるように、母材200を形成する。
【0025】
次に、
図6に示すように、上記のように機械加工した母材200に窒素吸収処理を行う。これにより、母材200には、表面から窒素が進入して、フェライト相がオーステナイト化される。この際、第1領域110に対応する箇所は第2領域120に対応する箇所よりも寸法が厚くなるように、母材200が形成されているので、窒素吸収処理にて窒素が進入しきらず、フェライト相が所定の厚さ分だけ残存する。一方、第2領域120に対応する箇所は、全層にわたって窒素が進入し、フェライト相がオーステナイト化される。すなわち、本実施形態の窒素吸収処理は、第2領域120に対応する箇所において、全層にわたって窒素が進入するように行われる。
【0026】
最後に、
図7に示すように、母材200の表面側を所定の分だけ切削することで、前述したようなケース本体100が形成される。すなわち、本実施形態では、第1領域110において、第1非磁性層112の厚さb,cが約350μmとなるように、母材200の表面側を切削する。これにより、ケース本体100は、時計として要求される硬度や耐食性を得ることができる。
【0027】
[第1実施形態の作用効果]
このような第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のケース本体100は、フェライト相で構成される第1軟磁性層111と、オーステナイト化相で構成される第1非磁性層112と、第1軟磁性層111と第1非磁性層112との間に形成されフェライト相とオーステナイト化相とが混在する第1混在層113とを有する第1領域110を備える。さらに、ケース本体100は、オーステナイト化相で構成され、第1非磁性層112よりも厚さが大きい第2非磁性層122を有する第2領域120を備える。
これにより、第2領域120は、電波を透過可能なオーステナイト化相で構成される第2非磁性層122の厚さを大きくできるので、長波標準電波等の電波を透過しやすくすることができる。さらに、本実施形態では、第2領域120は、オーステナイト化相で構成される第2非磁性層122のみで構成される、すなわち、第2領域120にはフェライト相が存在しないので、長波標準電波等の電波をより透過しやすくすることができる。
また、第1領域110は、フェライト相で構成される第1軟磁性層111を備えるので、耐磁性を得ることができる。すなわち、本実施形態では、ケース本体100の1部品だけで、電波受信の感度向上と耐磁性向上とを両立でき、かつ、耐磁板等を不要とできるので、部品点数を少なくすることができる。なお、第2領域120にはフェライト相が存在しないとしたが、フェライト相が層を形成せず、第2領域120に残存している形態も含んでもよい。この場合、第1領域110のフェライト相に比べ、第2領域120に残存するフェライト相が十分に小さければ、上述の作用効果を得ることができる。
【0028】
本実施形態では、第1軟磁性層111の厚さaは、100μm以上である。
これにより、第1領域110では、時計として要求される所定の耐磁性能を得ることができる。
【0029】
本実施形態では、第1領域110の厚さと、第2領域120の厚さとが等しい。
これにより、ケース本体100の製造工程において、第1領域110と第2領域120とを同時に切削できるので、ケース本体100の製造を容易にすることができる。
【0030】
本実施形態では、電子時計1は、アンテナコア21を有するアンテナ20を備え、アンテナ20の軸方向Oから見た側面視において、第2領域120はアンテナ20と重なる位置に配置される。さらに、上記側面視において、第2領域120の面積は、アンテナコア21の断面積よりも大きい。
これにより、ケース本体100の第2領域120を透過した長波標準電波等の電波を受信するアンテナ20の受信感度を高くすることができる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を
図8に基づいて説明する。
第2実施形態では、第2領域120Aに第2軟磁性層121Aおよび第2混在層123Aが形成される点で前述した第1実施形態と異なる。
なお、第1実施形態のケース本体100と同じ構成については、同じ符号を付けて説明は省略する。
【0032】
図8は、第2実施形態のケース本体100Aの要部を示す断面図である。
図8に示すように、ケース本体100Aの第2領域120Aは、フェライト相で構成される第2軟磁性層121Aと、オーステナイト化相で構成される第2非磁性層122Aと、第2軟磁性層121Aと第2非磁性層122Aとの間に形成されフェライト相とオーステナイト化相とが混在する第2混在層123Aとを有する。
第2非磁性層122Aは、前述した第1実施形態の第2非磁性層122と同様に、フェライト相がオーステナイト化されることにより設けられており、窒素の含有量が質量%で1.0~1.6%とされている。また、前述した第1実施形態と同様に、第2非磁性層122Aは、第1非磁性層112よりも厚さが大きくなっている。
【0033】
第2軟磁性層121Aは、前述した第1実施形態の第1軟磁性層111と同様のフェライト系ステンレス鋼により構成されている。
また、第2混在層123Aは、前述した第1実施形態の第1混在層113と同様に、フェライト相で構成された第2軟磁性層121Aに進入する窒素の移動速度のばらつきによって生じ、深さ方向に対してフェライト相とオーステナイト化相とが混在して形成される。
そして、本実施形態では、第2軟磁性層121Aと第2混在層123Aとを合わせた厚さdは、第1領域110の第1軟磁性層111の厚さaよりも小さく、また100μm以下となるように、第2領域120Aが構成されている。
これにより、電波を吸収し得るフェライト相が存在する第2軟磁性層121Aおよび第2混在層123Aの厚さを小さくできるので、アンテナ20の受信感度への影響を小さくすることができる。
【0034】
このように、本実施形態の第2領域120Aでは、前述した第1実施形態とは異なり、窒素吸収処理において第2非磁性層122Aがケース本体100Aの全層にわたって形成されるわけではなく、一部に第2軟磁性層121Aと第2混在層123Aとが残存する。すなわち、本実施形態では、前述した第1実施形態よりも、窒素の進入深さが小さくなるように、窒素吸収処理が行われる。
【0035】
[第2実施形態の作用効果]
このような第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、第2領域120Aは、フェライト相で構成される第2軟磁性層121Aと、第2軟磁性層121Aと第2非磁性層122Aとの間に形成されフェライト相とオーステナイト化相とが混在する第2混在層123Aとを有する。
これにより、窒素吸収処理にて第2非磁性層122Aを形成する場合に、窒素の進入深さを小さくできるので、窒素吸収処理の処理時間を短くすることができる。
【0036】
本実施形態では、第2軟磁性層121Aと第2混在層123Aとを合わせた厚さdは、100μm以下である。
これにより、アンテナ20の受信感度への影響を小さくすることができる。
【0037】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を
図9に基づいて説明する。
第3実施形態では、第1領域110Bにおいて、第1面101側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さeが、第2面102側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さfよりも大きい点で前述した第1実施形態と異なる。
なお、第1実施形態のケース本体100と同じ構成については、同じ符号を付けて説明は省略する。
【0038】
図9は、第3実施形態のケース本体100Bの要部を示す断面図である。
図9に示すように、ケース本体100Bの第1領域110Bは、フェライト相で構成される第1軟磁性層111Bと、オーステナイト化相で構成される第1非磁性層112Bと、第1軟磁性層111Bと第1非磁性層112Bとの間に形成されフェライト相とオーステナイト化相とが混在する第1混在層113Bとを有する。
【0039】
そして、本実施形態では、第1面101側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さeが、第2面102側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さfよりも大きくなるように、第1領域110Bが構成されている。具体的には、第1面101側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さeは約350μmとされ、第2面102側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さfは約100μmとされている。
これにより、ケース本体100Bの外側の面である第1面101側には、十分な厚さの第1非磁性層112Bが設けられるので、時計として要求される硬度や耐食性を得ることができる。一方、ケース本体100Bの内側の面である第2面102側では、第1非磁性層112Bの厚さを小さくできるので、ケース本体100Bの内側のスペースを大きくできる。そのため、モーター81、82や二次電池83等の部品の配置の自由度を高くできたり、電子時計1を小型化したりすることができる。
【0040】
[第3実施形態の作用効果]
このような第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、第1領域110Bは、第1面101と、第1面101とは反対側に位置する第2面102とを有し、第1面101側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さeは、第2面102側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さfよりも大きい。
これにより、時計として要求される硬度や耐食性を得ることができ、かつ、ケース本体100Bの内側のスペースを大きくできるので、モーター81,82や二次電池83等の部品の配置の自由度を高くできたり、電子時計1を小型化したりすることができる。
【0041】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を
図10に基づいて説明する。
第4実施形態では、ケース本体100Cにおいて、第1領域110Cの厚さと、第2領域120Cの厚さとが異なる点で前述した第1実施形態と異なる。
なお、第1実施形態のケース本体100と同じ構成については、同じ符号を付けて説明は省略する。
【0042】
図10は、第4実施形態のケース本体100Cの要部を示す断面図である。
図10に示すように、ケース本体100Cは、第1領域110Cと、第2領域120Cとを備える。
第1領域110Cは、前述した第1実施形態と同様に、第1軟磁性層111Cと、第1非磁性層112Cと、第1混在層113Cとを有する。また、第2領域120Cは、前述した第1実施形態と同様に、第2非磁性層122Cを有する。
【0043】
ここで、本実施形態では、第1領域110Cの厚さと、第2領域120Cの厚さとが異なるようにケース本体100Cが構成されている。
具体的には、第2領域120Cにおいて、第1面101C側および第2面102C側が、第1領域110Cよりも切削されて、第1面101Cおよび第2面102Cに段差が生じている。すなわち、本実施形態では、第2領域120Cは、第1領域110Cよりも厚さが小さくなるように形成されている。これにより、長波標準電波等の電波が第2領域120Cを通過する際に、第1領域110Cを通過する部分の距離が短くなるので、電波の減衰をより小さくすることができる。
【0044】
[第4実施形態の作用効果]
このような第4実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、第1領域110Cの厚さと、第2領域120Cの厚さとが異なる。具体的には、第2領域120Cは、第1領域110Cよりも厚さが小さくなるように設けられている。
これにより、長波標準電波等の電波の減衰をより小さくできるので、アンテナ20の受信感度をより向上させることができる。
【0045】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を
図11に基づいて説明する。
第5実施形態では、ケース本体100Dにおいて、磁気センサー60Dの中心部61Dから所定範囲内に第1領域110Dが配置されない点で前述した第1実施形態と異なる。
なお、第1実施形態のケース本体100と同じ構成については、同じ符号を付けて説明は省略する。
【0046】
図11は、第5実施形態の電子時計1Dの要部を示す平面図である。具体的には、
図1に示すカバーガラス11および文字板2を外した状態の電子時計1Dの要部を示す平面図である。
図11に示すように、電子時計1Dは、ケース本体100Dの内部に磁気センサー60Dを備えている。
本実施形態では、磁気センサー60Dは、12時位置に配置されている。また、磁気センサー60Dは、3軸タイプの磁気センサーであり、水平成分に加えて、鉛直成分の地磁気を検出可能に構成されている。
【0047】
ケース本体100Dは、第1領域110Dと、第2領域120Dとを備えている。
第1領域110Dは、前述した第1実施形態と同様に、第1軟磁性層、第1非磁性層、および、第1混在層を有する。
また、第2領域120Dは、前述した第1実施形態と同様に、第2非磁性層を有する。
【0048】
ここで、
図11に示すように、本実施形態では、第1領域110Dは、平面視で、少なくとも磁気センサー60Dの中心部61Dを中心とした半径Lの円Sの内側の範囲には配置されていない。つまり、平面視で、円Sの内側とケース本体100Dとが重なる範囲には、第2領域120Dが配置されている。より具体的には、ケース本体100Dの内縁と円Sとの交点から、当該交点におけるケース本体100Dの内縁の接線と直交する方向に延びる仮想線により、第2領域120Dが規定されている。なお、円Sの内側の範囲は、本開示の所定範囲の一例である。
これにより、磁気センサー60Dと第1領域110Dとは、所定の距離を離して配置されるので、磁気センサー60Dで地磁気を計測する際に、地磁気が第1領域110Dのフェライト相に吸収されてしまうことを抑制することができる。そのため、磁気センサー60Dによる地磁気の計測精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、第1領域110Dにおけるフェライト相が、磁気センサー60Dの計測に与える影響を考慮し、上記の半径Lを15mmとしている。
【0049】
[第5実施形態の作用効果]
このような第5実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、ケース本体100Dにおいて、第1領域110Dは、少なくとも磁気センサー60Dの中心部61Dから所定範囲内に配置されない。具体的には、平面視で磁気センサー60Dの中心部61Dを中心とした半径15mmの円Sの内側の範囲に、第1領域110Dが配置されない。
これにより、磁気センサー60Dによる地磁気の計測精度を向上させることができる。
【0050】
[変形例]
なお、本開示は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。
【0051】
前記各実施形態では、本開示の時計用部品はケース本体100,100A,100B,100C,100Dとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、本開示の時計用部品は、裏蓋、文字板、ベゼル、ダイヤルリング、および、ムーブメントの地板の少なくとも1つとして構成されていてもよい。また、電子時計は、上記のような時計用部品を複数有していてもよい。
【0052】
第3実施形態において、第1面101側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さeは、第2面102側に設けられた第1非磁性層112Bの厚さfよりも大きい、として構成されていたが、これに限定されない。例えば、第2面102側の第1非磁性層112Bおよび第1混在層113Bが設けられない構成としてもよい。つまり、切削により、第2面102側の第1非磁性層112Bおよび第1混在層113Bを削り取り、第1軟磁性層111Bが露出する構成としてもよい。このように構成することでフェライト相の近くにモーター等を配置することができるため、より耐磁性を向上させることができる。
【0053】
前記各実施形態では、アンテナ20は、アンテナコア21のコイル巻部が直線状に形成されるバーアンテナとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、アンテナは、円弧状に形成されていてもよい。この場合、アンテナの軸方向は、アンテナ20の端部の接線方向となる。
【0054】
前記各実施形態では、アンテナ20はコイルアンテナとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、アンテナは平面アンテナやモノポールアンテナとして構成されていてもよい。
【0055】
前記各実施形態では、電子時計1は長波標準電波を受信して時刻を修正する電波時計として構成されていたが、これに限定されない。例えば、電子時計は、GPS衛星からの電波を受信可能に構成された所謂GPS時計として構成されていてもよい。
【0056】
前記各実施形態では、ケース本体100,100A,100B,100C,100Dは、時計用部品として構成されていたが、これに限定されない。例えば、時計以外の電子機器のケース、つまり、ハウジング等の電子機器用部品として構成されていても良い。このように構成されるハウジングを備えることで、電子機器は、電波受信の感度向上と耐磁性向上とを両立でき、かつ、部品点数を少なくすることができる。
【0057】
[本開示のまとめ]
本開示の時計用部品は、フェライト相で構成される第1軟磁性層と、前記フェライト相がオーステナイト化されたオーステナイト化相で構成される第1非磁性層と、前記第1軟磁性層と前記第1非磁性層との間に形成され前記フェライト相と前記オーステナイト化相とが混在する第1混在層とを有する第1領域と、前記オーステナイト化相で構成され、前記第1非磁性層よりも厚さが大きい第2非磁性層を有する第2領域と、を備える。
これにより、第2領域は、電波を透過可能なオーステナイト化相で構成される第2非磁性層の厚さを大きくできるので、長波標準電波等の電波を透過しやすくすることができる。
また、第1領域は、フェライト相で構成される第1軟磁性層を備えるので、耐磁性を得ることができる。すなわち、本開示の時計用部品は、1部品だけで電波受信の感度向上と耐磁性向上とを両立でき、かつ、耐磁板等を不要とできるので、部品点数を少なくすることができる。
【0058】
本開示の時計用部品において、前記第2領域は、前記フェライト相で構成される第2軟磁性層と、前記第2軟磁性層と前記第2非磁性層との間に形成され前記フェライト相と前記オーステナイト化相とが混在する第2混在層とを有していてもよい。
これにより、窒素吸収処理にて第2非磁性層を形成する場合に、窒素の進入深さを小さくできるので、窒素吸収処理の処理時間を短くすることができる。
【0059】
本開示の時計用部品において、前記第2軟磁性層と前記第2混在層とを合わせた厚さは、100μm以下であってもよい。
これにより、例えば、時計用部品に収納されるアンテナの受信感度への影響を小さくすることができる。
【0060】
本開示の時計用部品において、前記第1軟磁性層の厚さは、100μm以上であってもよい。
これにより、第1領域では、時計として要求される所定の耐磁性能を得ることができる。
【0061】
本開示の時計用部品において、前記第1領域は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有し、前記第1非磁性層および前記第1混在層は、前記第1軟磁性層に対して、前記第1面側と前記第2面側とに設けられ、前記第1面側に形成された第1非磁性層の厚さは、前記第2面側に形成された第1非磁性層の厚さよりも大きくてもよい。
これにより、時計用部品として要求される硬度や耐食性を得ることができる。さらに、時計用部品の内側のスペースを大きくできる。そのため、例えば、時計用部品に収納されるモーターや二次電池等の部品の配置の自由度を高くできたり、時計を小型化したりすることができる。
【0062】
本開示の時計用部品において、前記第1領域の厚さと、前記第2領域の厚さとが等しくてもよい。
これにより、時計用部品の製造工程において、第1領域と第2領域とを同時に切削できるので、時計用部品の製造を容易にすることができる。
【0063】
本開示の時計用部品において、前記第1領域の厚さと、前記第2領域の厚さとが異なっていてもよい。
これにより、例えば、第1領域よりも厚さが小さくなるように第2領域を設ければ、当該第2領域を伝播する長波標準電波等の電波の減衰をより小さくできる。そのため、例えば、時計用部品に収納されるアンテナの受信感度をより向上させることができる。
【0064】
本開示の時計用部品は、ケース本体、裏蓋、文字板、ベゼル、ダイヤルリング、および、ムーブメントの地板の少なくとも1つであってもよい。
【0065】
本開示の電子時計は、前記時計用部品を備える。
【0066】
本開示の電子時計において、アンテナコアと、前記アンテナコアに巻かれるコイルとを有するアンテナを備え、前記アンテナの軸方向から見た側面視において、前記第2領域は前記アンテナと重なる位置に配置されていてもよい。
これにより、第2領域を透過した長波標準電波等の電波を受信するアンテナの受信感度を高くすることができる。
【0067】
本開示の電子時計において、前記側面視において、前記第2領域の面積は、前記アンテナコアの断面積よりも大きくてもよい。
これにより、第2領域を透過した長波標準電波等の電波を受信するアンテナの受信感度を高くすることができる。
【0068】
本開示の電子時計において、地磁気を検出可能に構成された磁気センサーを備え、前記第1領域は、少なくとも前記磁気センサーの中心部から所定範囲内に配置されなくてもよい。
これにより、磁気センサーによる地磁気の計測精度を向上させることができる。
【0069】
本開示の電子時計において、前記所定範囲は、平面視で前記磁気センサーの中心部を中心とした半径15mmの円の内側の範囲であってもよい。
これにより、磁気センサーによる地磁気の計測精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1D…電子時計、2…文字板、3…秒針、4…分針、5…時針、6…りゅうず、7…Aボタン、8…Bボタン、9…アンテナユニット、10…ケース、11…カバーガラス、20…アンテナ、21…アンテナコア、23…第1リード部、24…第2リード部、25…コイル、40…第1アンテナ枠、50…第2アンテナ枠、60D…磁気センサー、61D…中心部、100,100A,100B,100C,100D…ケース本体(時計用部品)、101,101C…第1面、102,102C…第2面、110,110B,110C,110D…第1領域、111,111B,111C…第1軟磁性層、112,112B,112C…第1非磁性層、113,113B,113C…第1混在層、120,120A,120C,120D…第2領域、121A…第2軟磁性層,122,122A,122C…第2非磁性層、123A…第2混在層。