(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】投写光学系およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20240326BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240326BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G02B17/08
G02B13/18
G03B21/14 D
(21)【出願番号】P 2020008955
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】守国 栄時
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-292813(JP,A)
【文献】特開2005-062803(JP,A)
【文献】特開2010-266577(JP,A)
【文献】特開2011-013469(JP,A)
【文献】特開2011-053663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系と、第2光学系と、を備える投写光学系
において、
前記第2光学系は、前記縮小側から前記拡大側に向かって順に、第1透過面、反射面、
および第2透過面を有する光学素子を備え、
前記第2透過面は、前記拡大側に突出する凸形状であり、非球面形状を備え、
前記第1光学系の光軸と一致する前記反射面の設計軸
と直交する軸を第1軸とし、前記
第2透過面の有効範囲の端部のうち、前記第1軸に沿った方向で前記光軸に近い端部を第
1端部とし、前記光軸から遠い端部を第2端部とすると、
前記第1端部の第1曲率半径は、前記第2端部の第2曲率半径よりも大きく、
前記第1端部の第1曲率中心は、前記第2端部の第2曲率中心よりも前記第1端部から
離間しており、
前記光学素子は、前記第1光学系の側を向く第1面を備え、
前記第1透過面は、前記第1面において前記光軸に対して一方側に設けられ、
前記第2透過面は、前記第1面において前記光軸に対して他方側に設けられていること
を特徴とする投写光学系。
【請求項2】
縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系と、第2光学系と、を備える投写光学系
において、
前記第2光学系は、前記縮小側から前記拡大側に向かって順に、第1透過面、反射面、
および第2透過面を有する光学素子を備え、
前記第2透過面は、前記拡大側に突出する凸形状であり、非球面形状を備え、
前記第1光学系の光軸と一致する前記反射面の設計軸
と直交する軸を第1軸とし、前記
第2透過面の有効範囲の端部のうち、前記第1軸に沿った方向で前記光軸に近い端部を第
1端部とし、前記光軸から遠い端部を第2端部とすると、
前記第1端部の第1曲率半径は、前記第2端部の第2曲率半径よりも大きく、
前記第1端部の第1曲率中心は、前記第2端部の第2曲率中心よりも前記第1端部から
離間しており、
前記反射面よりも前記縮小側に中間像が結像されることを特徴とする投写光学系。
【請求項3】
前記光学素子は、前記第1光学系の側を向く第1面を備え、
前記第1透過面は、前記第1面において前記光軸に対して一方側に設けられ、
前記第2透過面は、前記第1面において前記光軸に対して他方側に設けられていること
を特徴とする請求項2に記載の投写光学系。
【請求項4】
前記第1透過面は、非球面形状を備えることを特徴とする請求項1から3のうちのいず
れか一項に記載の投写光学系。
【請求項5】
前記第1透過面および前記第2透過面は、前記光軸を中心として180°回転した回転
対称であることを特徴とする請求項1か4のうちのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項6】
前記第1透過面、前記反射面、および前記第2透過面は、それぞれ前記光軸を中心とす
る回転対称な形状を備えることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか一項に記載
の投写光学系。
【請求項7】
前記光軸は、前記第1光学系の光軸と一致していることを特徴とする請求項1から6の
うちのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項8】
縮小側結像面から前記反射面までの軸上面間距離を、前記縮小側結像面のイメージサー
クルの半径で除算した値は、20より小さいことを特徴とする請求項1から7のうちのい
ずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項9】
開口数が0.25よりも大きいことを特徴とする請求項1から8のうちのいずれか一項
に記載の投写光学系。
【請求項10】
前記第1透過面は、前記縮小側に突出する凸形状であることを特徴とする請求項1から
9のうちのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項11】
前記第2透過面の前記有効範囲の前記第1軸方向の上端を通過する上端光束の上周辺光
線および当該有効範囲の前記第1軸方向の下端を通過する下端光束の上周辺光線が前記反
射面の光軸および前記第1軸を含む平面上で交差する上側交点と、前記上端光束の下周辺
光線および前記下端光束の下周辺光線が前記平面上で交差する下側交点とを結ぶ瞳は、前
記平面で前記第1軸方向に延びる仮想垂直線に対して傾斜していることを特徴とする請求
項1から10のうちのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項12】
前記反射面は、前記第1透過面を透過した光が入射されて反射する面が窪んでいる凹形
状であることを特徴とする請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の投写光学系。
【請求項13】
請求項1から12のうちのいずれか一項に記載の投写光学系と、
前記投写光学系の縮小側結像面に投写画像を形成する画像形成部と、
を有することを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写光学系、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成部が形成した投写画像を、投写光学系により拡大して投写するプロジェクターは特許文献1に記載されている。同文献の投写光学系は、縮小側から拡大側に向かって順に第1光学系と、第2光学系と、からなる。第1光学系は複数枚のレンズを有する屈折光学系を備える。第2光学系は凹形状の反射面を備える反射ミラーからなる。画像形成部は、光源とライトバルブとを備える。画像形成部は、投写光学系の縮小側結像面に投写画像を形成する。投写光学系は、第1光学系と反射面との間に中間像を形成し、拡大側結像面に配置されたスクリーンに最終像を投写する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投写光学系およびプロジェクターには、投写距離を短くすることが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学
系と、第2光学系と、を備える投写光学系において、前記第2光学系は、前記縮小側から
前記拡大側に向かって順に、第1透過面、反射面、および第2透過面を有する光学素子を
備え、前記第2透過面は、前記拡大側に突出する凸形状であり、非球面形状を備え、前記
反射面の光軸と直交する軸を第1軸とし、前記第2透過面の有効範囲の端部のうち、前記
第1軸に沿った方向で前記光軸に近い端部を第1端部とし、前記光軸から遠い端部を第2
端部とすると、前記第1端部の第1曲率半径は、前記第2端部の第2曲率半径よりも大き
く、前記第1端部の第1曲率中心は、前記第2端部の第2曲率中心よりも前記第1端部か
ら離間していることを特徴とする。
また、本発明は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系と、第2光学系と、を
備える投写光学系において、前記第2光学系は、前記縮小側から前記拡大側に向かって順
に、第1透過面、反射面、および第2透過面を有する光学素子を備え、前記第2透過面は
、前記拡大側に突出する凸形状であり、非球面形状を備え、前記第1光学系の光軸と一致
する前記反射面の設計軸と直交する軸を第1軸とし、前記第2透過面の有効範囲の端部の
うち、前記第1軸に沿った方向で前記光軸に近い端部を第1端部とし、前記光軸から遠い
端部を第2端部とすると、前記第1端部の第1曲率半径は、前記第2端部の第2曲率半径
よりも大きく、前記第1端部の第1曲率中心は、前記第2端部の第2曲率中心よりも前記
第1端部から離間しており、前記光学素子は、前記第1光学系の側を向く第1面を備え、
前記第1透過面は、前記第1面において前記光軸に対して一方側に設けられ、前記第2透
過面は、前記第1面において前記光軸に対して他方側に設けられていることを特徴とする
。
また、本発明は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系と、第2光学系と、を
備える投写光学系において、前記第2光学系は、前記縮小側から前記拡大側に向かって順
に、第1透過面、反射面、および第2透過面を有する光学素子を備え、前記第2透過面は
、前記拡大側に突出する凸形状であり、非球面形状を備え、前記第1光学系の光軸と一致
する前記反射面の設計軸と直交する軸を第1軸とし、前記第2透過面の有効範囲の端部の
うち、前記第1軸に沿った方向で前記光軸に近い端部を第1端部とし、前記光軸から遠い
端部を第2端部とすると、前記第1端部の第1曲率半径は、前記第2端部の第2曲率半径
よりも大きく、前記第1端部の第1曲率中心は、前記第2端部の第2曲率中心よりも前記
第1端部から離間しており、前記反射面よりも前記縮小側に中間像が結像されることを特
徴とする。
【0006】
次に、本発明のプロジェクターは、上記の投写光学系と、前記投写光学系の縮小側結像面に投写画像を形成する画像形成部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】投写光学系を備えるプロジェクターの概略構成図である。
【
図2】実施例1の投写光学系の全体を模式的に表す光線図である。
【
図4】実施例1の投写光学系の第2光学系の光線図である。
【
図5】第2透過面の高さ位置と接線の傾き角度との関係を示すグラフである。
【
図6】実施例1の投写光学系の拡大側のMTFを示す図である。
【
図7】像高位置ごとの集光の様子を示すスポットダイアグラムである。
【
図8】実施例2の投写光学系の全体を模式的に表す光線図である。
【
図10】実施例2の投写光学系の第2光学系の光線図である。
【
図11】第2透過面の高さ位置と接線の傾き角度との関係を示すグラフである。
【
図12】実施例2の投写光学系の拡大側のMTFを示す図である。
【
図13】像高位置ごとの集光の様子を示すスポットダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係る投写光学系およびこれを備えるプロジェクターについて詳細に説明する。
【0009】
(プロジェクター)
図1は本発明の投写光学系3を備えるプロジェクターの概略構成図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、スクリーンSに投写する投写画像を生成する画像形成部2と、投写画像を拡大してスクリーンSに拡大像を投写する投写光学系3と、画像形成部2の動作を制御する制御部4と、を備える。
【0010】
(画像生成光学系および制御部)
画像形成部2は、光源10、第1インテグレーターレンズ11、第2インテグレーターレンズ12、偏光変換素子13、重畳レンズ14を備える。光源10は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。第1インテグレーターレンズ11および第2インテグレーターレンズ12は、アレイ状に配列された複数のレンズ素子をそれぞれ有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10からの光束を複数に分割する。第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子は、光源10からの光束を第2インテグレーターレンズ12の各レンズ素子の近傍に集光させる。
【0011】
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12からの光を所定の直線偏光に変換させる。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズ素子の像を、第2インテグレーターレンズ12を介して、後述する液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bの表示領域上で重畳させる。
【0012】
また、画像形成部2は、第1ダイクロイックミラー15、反射ミラー16およびフィールドレンズ17R、および、液晶パネル18Rを備える。第1ダイクロイックミラー15は、重畳レンズ14から入射した光線の一部であるR光を反射させ、重畳レンズ14から入射した光線の一部であるG光およびB光を透過させる。第1ダイクロイックミラー15で反射されたR光は、反射ミラー16およびフィールドレンズ17Rを経て、液晶パネル18Rへ入射する。液晶パネル18Rは光変調素子である。液晶パネル18RはR光を画像信号に応じて変調することにより、赤色の投写画像を形成する。
【0013】
さらに、画像形成部2は、第2ダイクロイックミラー21、フィールドレンズ17G、および、液晶パネル18Gを備える。第2ダイクロイックミラー21は、第1ダイクロイックミラー15からの光線の一部であるG光を反射させ、第1ダイクロイックミラー15からの光線の一部であるB光を透過させる。第2ダイクロイックミラー21で反射されたG光は、フィールドレンズ17Gを経て、液晶パネル18Gへ入射する。液晶パネル18Gは光変調素子である。液晶パネル18GはG光を画像信号に応じて変調することにより、緑色の投写画像を形成する。
【0014】
また、画像形成部2は、リレーレンズ22、反射ミラー23、リレーレンズ24、反射ミラー25、およびフィールドレンズ17B、および、液晶パネル18Bを備える。第2ダイクロイックミラー21を透過したB光は、リレーレンズ22、反射ミラー23、リレーレンズ24、反射ミラー25、およびフィールドレンズ17Bを経て、液晶パネル18Bへ入射する。液晶パネル18Bは光変調素子である。液晶パネル18BはB光を画像信号に応じて変調することにより、青色の投写画像を形成する。
【0015】
液晶パネル18R、液晶パネル18G、および、液晶パネル18Bは、クロスダイクロイックプリズム19を3方向から囲んでいる。クロスダイクロイックプリズム19は、光合成用のプリズムであり、各液晶パネル18R、18G、18Bで変調された光を合成した投写画像を生成する。
【0016】
ここで、クロスダイクロイックプリズム19は投写光学系3の一部分を構成する。投写光学系3は、クロスダイクロイックプリズム19が合成した投写画像(各液晶パネル18R、18G、18Bが形成した画像)をスクリーンSに拡大して投写する。スクリーンSは、投写光学系3の拡大側結像面である。
【0017】
制御部4は、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される画像処理部6と、画像処理部6から出力される画像信号に基づいて液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bを駆動する表示駆動部7と、を備える。
【0018】
画像処理部6は、外部の機器から入力された画像信号を各色の階調等を含む画像信号に変換する。表示駆動部7は、画像処理部6から出力された各色の投写画像信号に基づいて液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bを動作させる。これにより、画像処理部6は、画像信号に対応した投写画像を液晶パネル18R、液晶パネル18Gおよび液晶パネル18Bに表示する。
【0019】
(投写光学系)
以下では、プロジェクター1に搭載される投写光学系3の実施例として、実施例1の投写光学系3A、および実施例2の投写光学系3Bを説明する。なお、以下の説明および図では、液晶パネル18R、液晶パネル18G、液晶パネル18Bを、液晶パネル18として表す。
【0020】
(実施例1)
図2は、実施例1の投写光学系3Aの全体を模式的に表す光線図である。
図3は実施例1の投写光学系3Aの光線図である。
図4は実施例1の投写光学系3Aの第2光学系の光線図である。
図2では、本例の投写光学系3AからスクリーンSに到達する光束を、光束F1~F5により模式的に示す。光束F1は最も像高が低い位置に達する光束である。光束F5は最も像高が高い位置に達する光束である。光束F3は光束F1と光束F5との中間の位置に達する光束である。光束F2は光束F1と光束F3との中間の位置に達する光束である。光束F4は光束F3と光束F5との中間の位置に達する光束である。
【0021】
図3に示すように、本例の投写光学系3Aは、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31と、第2光学系32と、からなる。第1光学系31は、複数枚のレンズを備える屈折光学系である。第2光学系32は、一つの光学素子33からなる。光学素子33は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1透過面35、反射面36、および第2透過面37を有する。第1透過面35は、縮小側に突出する凸形状である。反射面36は凹形状を備える。第2透過面37は、拡大側に突出する凸形状である。第2光学系32を構成する光学素子33は、第1光学系31の第1光軸N1上に配置される。第2光学系32では、反射面36の第2光軸N2(光軸)が、第1光軸N1と一致する。
【0022】
投写光学系3Aの縮小側結像面には、画像形成部2の液晶パネル18が配置されている。液晶パネル18は、第1光学系31の第1光軸N1の一方側に投写画像を形成する。
図2、
図3、および
図4に示すように、投写光学系3Aの拡大側結像面には、スクリーンSが配置されている。スクリーンSには、最終像が投写される。スクリーンSは第1光軸N1に対して液晶パネル18の投写画像と同じ側に位置する。第1光学系31と光学素子33の反射面36との間には、縮小側結像面および拡大側結像面と共役な中間像39が結像される。中間像39は最終像に対して上下が反転した共役像である。本例において、中間像39は、光学素子33の内側に形成される。より具体的には、中間像39は、光学素子33の第1透過面35と反射面36との間に形成される。
【0023】
以下の説明では、便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸(第1軸)、およびZ軸とする。また、拡大側結像面であるスクリーンSの幅方向をX軸方向、スクリーンSの上下方向をY軸方向、スクリーンSと垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向においてスクリーンSが位置する側を第1方向Z1、その反対側を第2方向Z2とする。また、第1光学系31の第1光軸N1、光学素子33の反射面36の第2光軸N2を含みY軸方向に延びる平面をYZ平面とする。
図2、
図3、
図4は、それぞれYZ平面上の光線図である。第1光軸N1および第2光軸N2は、Z軸方向に延びる。液晶パネル18は、第1光学系31の第1光軸N1の上方Y1に投写画像を形成する。スクリーンSは、第1光学系31の第1光軸N1の上方Y1に配置される。中間像39は、第1光軸N1の下方Y2に形成される。
【0024】
図3に示すように、第1光学系31は、クロスダイクロイックプリズム19と、14枚のレンズL1~L14を有する。レンズL1~レンズL14は縮小側から拡大側に向かってこの順に配置されている。本例では、レンズL2とレンズL3は接合された第1接合レンズL21である。レンズL4とレンズL5は接合された第2接合レンズL22である。レンズL9とレンズL10は、接合された第3接合レンズL23である。レンズL11とレンズL12は接合された第4接合レンズL24である。レンズL7とレンズL8との間には、絞りOが配置されている。
【0025】
ここで、第1光学系31では、レンズL13が、正のパワーを備える。また、第1光学系31は、全体として、正のパワーを備える。これにより、第1光学系31と第2光学系32の間において、主光線同士の間隔が第2光学系32に接近するのに伴って狭くなる。
【0026】
光学素子33は、反射面36の第2光軸N2を設計軸として設計されている。言い換えれば、第2光軸N2は、第1透過面35、第2透過面37および反射面36の設計上の光軸である。
図3、
図4に示すように、第1透過面35および反射面36は、第2光軸N2の下方Y2に位置し、第2透過面37は、第2光軸N2の上方Y1に位置する。すなわち、光学素子33は、第1光学系31の側を向く第1面33aを備える。第1透過面35は、第1面33aにおいて第2光軸N2の下方Y2に設けられ、第2透過面37は第1面33aにおいて第2光軸N2の上方Y1に設けられる。第1透過面35と第2透過面37とは、連続している。ここで、第1透過面35および第2透過面37は、第2光軸N2を中心として180°回転した回転対称な形状である。
【0027】
また、本例では、光学素子33の第1透過面35、反射面36、および第2透過面37は、第2光軸N2を中心とする回転対称な形状を備える。第1透過面35、反射面36、および第2透過面37は、それぞれ第2光軸N2を中心とする180°の角度範囲に設けられている。
【0028】
光学素子33の第1透過面35、反射面36および第2透過面37は、いずれも非球面である。反射面36は、光学素子33の第1透過面35とは反対側の面に設けた反射コーティング層である。なお、第1透過面35、反射面36および第2透過面37のそれぞれは、自由曲面とすることができる。この場合に、各自由曲面は、第2光軸N2を設計軸として設計される。従って、投写光学系3Aでは、第1透過面35、反射面36および第2透過面37のいずれかが自由曲面の場合でも、反射面36の第2光軸N2を光学素子33の光軸という。
【0029】
図4に示すように、第2光学系32の瞳40は、光学素子33の内側に位置する。YZ平面における第2光学系32の瞳40は、第2透過面37の有効光線範囲GのY軸方向の上端を通過する上端光束の上周辺光線および当該有効光線範囲GのY軸方向の下端を通過する下端光束の上周辺光線がYZ平面上で交差する上側交点Q1と、上端光束の下周辺光線および下端光束の下周辺光線がYZ平面上で交差する下側交点Q2とを結ぶ線で規定される。
【0030】
瞳40は、YZ平面上で第2光軸N2と垂直な仮想垂直線Vに対して傾斜している。本例では、瞳40が仮想垂直線Vに対して傾斜する傾斜角度θが90°以上である。傾斜角度θは、仮想垂直線Vから
図4の図面上を時計回りに取った角度である。
【0031】
(レンズデータ)
投写光学系3Aの開口数は0.264である。投写光学系3Aのレンズデータは以下の
とおりである。面番号は、拡大側から縮小側に順番に付してある。非球面は、面番号に*
を付している。符号は、レンズおよびミラーの符号である。レンズおよびミラーに対応し
ない面番号のデータは、ダミーデータである。rは曲率半径である。dは軸上面間隔であ
る。ndは、屈折率である。vdは、アッベ数である。Yは有効半径である。r、d、Y
の単位はmmである。投写光学系3Aの投写距離は、面番号30からスクリーンSまでの
距離である。
【0032】
面番号 名称 r d nd vd モード Y
物体面 18 0 8.5 屈折
1 19 0 35.95 1.51633 64.14 屈折 12.884
2 0 5 屈折 16.164
3 L01 87.70723 6.286115 1.804198 46.5 屈折 17
4 -57.08763 0.1 屈折 17.289
5 L02 50.11481 8.933336 1.70122 51.06 屈折 16.372
6 L03 -31.33958 1 2.0297 22.486 屈折 15.935
7 -743.77014 0.1 屈折 15.489
8 L04 33.3983 10 1.609833 57.68 屈折 14.749
9 L05 -36.95306 1 2.0508 26.942 屈折 13.522
10 22.94065 0.712798 屈折 12.535
11 L06 26.07013 3.050884 1.907998 17.47 屈折 12.692
12 68.49901 0.2 屈折 12.646
13 L07 26.30055 7.536026 1.531802 37.64 屈折 12.827
14 -33.7375 5.5 屈折 12.577
絞り面 O 0 5.1014 屈折 8.335
16 L08 139.13247 2 2.0508 26.942 屈折 6.044
17 22.61295 1.279802 屈折 6.296
18 L09 38.82127 5.472202 1.827946 18.85 屈折 6.836
19 L10 -10.25786 2 2.0508 26.942 屈折 7.171
20 -103.80704 15.256816 屈折 8.308
21 L11 67.45796 15.249276 1.721004 21.74 屈折 18
22 L12 -21 2 1.986125 16.48 屈折 18.365
23 -85.63363 1 屈折 21.704
*24 L13 89.39521 6 1.531131 55.75 屈折 24.789
*25 135.83386 10.821826 屈折 25.484
*26 L14 -40.60878 6 1.531131 55.75 屈折 25.821
*27 75.15821 3.949519 屈折 26.404
*28 35 75 40 1.509398 56.47 屈折 25.031
*29 36 -20.69003 -40 1.509398 56.47 反射 20.434
*30 37 75 -340 屈折 36.918
像面 S 0 0 屈折 1896.639
【0033】
各非球面の非球面係数は以下のとおりである。
【0034】
面番号 24
コーニック定数 5.77429E+00
4次の係数 -1.277984E-05
6次の係数 4.854237E-08
8次の係数 -4.719966E-11
面番号 25
コーニック定数 1.554549E+01
4次の係数 -1.429342E-05
6次の係数 5.874813E-08
8次の係数 -6.402841E-11
面番号 26
コーニック定数 -1.853268E+01
4次の係数 1.768906E-05
6次の係数 -2.148942E-08
8次の係数 1.683947E-12
面番号 27
コーニック定数 6.360499E+00
4次の係数 -2.834254E-05
6次の係数 1.085867E-08
8次の係数 -7.956799E-12
面番号 28
コーニック定数 2.73436E+00
4次の係数 1.999342E-06
6次の係数 5.655581E-10
8次の係数 -1.110814E-12
10次の係数 5.978994E-16
面番号 29
コーニック定数 -3.946039E+00
4次の係数 -2.068501E-05
6次の係数 6.298578E-08
8次の係数 -1.022231E-10
10次の係数 8.568319E-14
面番号 30
コーニック定数 2.73436E+00
4次の係数 1.999342E-06
6次の係数 5.655581E-10
8次の係数 -1.110814E-12
10次の係数 5.978994E-16
【0035】
ここで、面番号30、すなわち第2透過面37は、第2光軸N2から上方Y1に離間するのに伴って、第2方向Z2に湾曲するカーブが急になる。詳細には、
図4に示すように、YZ平面上における第2透過面37の有効光線範囲GにおいてY軸方向で第2光軸N2に最も近い端部を第1端部37aとし、Y軸方向で第2光軸N2から最も遠い端部を第2端部37bとする。この場合に、第1端部37aの第1曲率半径Hは、第2端部37bの第2曲率半径Iよりも大きい。また、第1端部37aの第1曲率中心H0および第2端部37bの第2曲率中心I0は第2光軸N2上に位置し、第1曲率中心H0は第2曲率中心I0よりも第1端部37aから離間している。すなわち、第1曲率半径Hの第1曲率中心H0は、第2曲率半径Iの第2曲率中心I0よりも第2方向Z2に位置する。
図5は、光線有効径における高さ位置Yと、高さ位置Yにおける接線の傾き角度Angとの関係を示すグラフである。
図5では、横軸が高さ位置Yであり、縦軸が傾き角度Angである。第2光軸N2上の高さ位置Yは0である。高さ位置Yの単位はmmである。
【0036】
なお、第2透過面37が自由曲面からなる場合には、第1曲率半径Hは、第2透過面37の第1端部37aを円弧で近似した接触円に基づいて求められる。第2曲率半径Iは、第2透過面37の第2端部37bを円弧で近似した接触円に基づいて求められる。これらの場合でも、第1曲率半径Hの第1曲率中心H0および第2曲率半径Iの第2曲率中心I0は、第2光軸N2上に位置する。また、第1曲率半径Hの第1曲率中心H0は、第2曲率半径Iの第2曲率中心I0よりも第2方向に位置する。
【0037】
また、
図3に示すように、投写光学系3Aは、縮小側結像面であ
る液晶パネル18から
反射面36までの軸上面間距離Kを、縮小側結像面のイメージサークルの半径Jで除算し
た値が20よりも小さい。すなわち、軸上面間距離Kは、210mmであり、半径Jは、
11.7mmである。よって、軸上面間距離Kを半径Jで除算した値は17.94であり
、20よりも小さい。なお、軸上面間距離Kは、投写光学系3Aの全長である。
【0038】
(作用効果)
本例の投写光学系3Aは、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31と、第2光学系32と、を備える。第2光学系32は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1透過面35、反射面36、および第2透過面37を有する光学素子33を備える。第2透過面37は、拡大側に突出する凸形状であり、非球面形状を備える。
【0039】
従って、本例の投写光学系3Aは、第2光学系32において、反射面36で反射した光束を、第2透過面37で屈折させることができる。よって、第2光学系32が、反射面36のみを備える場合と比較して、投写光学系3Aの投写距離を短くすることができる。言い換えれば、本例の投写光学系3Aは、第2光学系32が反射面36のみを備える場合と比較して、投写光学系3Aを短焦点化することができる。
【0040】
また、第2光学系32は、第2透過面37の有効光線範囲Gにおいて第2光軸N2に近い第1端部37aの第1曲率半径Hは、第2光軸N2から離間する第2端部37bの第2曲率半径Iよりも大きい。また、第1端部37aの第1曲率中心H0および第2端部37bの第2曲率中心I0は第2光軸N2上に位置し、第1端部37aの第1曲率中心H0は、第2端部37bの第2曲率中心I0よりもZ軸方向で第1端部37aから離間している。言い換えれば、第2透過面37は、第2光軸N2から上方Y1に離間する各高さ位置Yにおける接線の傾きが、第2光軸N2から離間するのに伴って大きくなり、かつ、接線が傾斜する傾きの増加率が、第2光軸N2から上方Y1に離間するのに伴って増大する。これにより、第2透過面37の凸形状は、第2光軸N2から上方Y1に離間するのに伴って、上方Y1に向かって第2方向Z2に湾曲するカーブが急になる。よって、有効光線範囲Gの第2端部37bを通過する光線を、スクリーンSの上部に到達させることが容易となる。これにより、投写光学系3Aの投写角度が広がるので、投写距離を、より、短くすることができる。
【0041】
また、第2透過面37の凸形状は、第2光軸N2から上方Y1に離間するのに伴って、第2方向Z2に湾曲するカーブが急になる。従って、第2透過面37において、第2光軸N2から離間する第1端部37aの光束を、第2光軸N2に近い第2端部37bの光束よりも大きな角度で屈折させることができる。これにより、スクリーンSと共役となる中間像39が、反射面36の第2光軸N2に沿って傾斜して大きくなることを抑制できる。よって、投写距離を短くする場合でも、中間像39の拡大側に配置された反射面36が大型化することを抑制できる。よって、投写光学系3AをZ軸方向で小型化できる。
【0042】
また、本例では、中間像39は、光学素子33における第1透過面35と反射面36との間に位置する。従って、中間像39が第1光学系31と光学素子33との間に形成される場合と比較して、第1光学系31と光学素子33とを接近させることができる。これにより、投写光学系3AをZ軸方向で小型化できる。
【0043】
また、光学素子33は、第1光学系31の側を向く第1面33aを備える。第1透過面35は、第1面33aにおいて第2光軸N2の下方Y2に設けられ、第2透過面は、第1面33aにおいて第2光軸N2の上方Y1に設けられ、第1透過面と第2透過面とは、連続している。従って、一つの光学素子33に、第1透過面35および第2透過面37を備えることが容易である。
【0044】
また、第1透過面35および第2透過面37は、いずれも光学素子33の第1面33aに形成されており、第2光軸N2を中心として180°回転した回転対称な形状である。さらに、光学素子33では、第1透過面35、反射面36、および第2透過面37が、第2光軸N2を中心として回転対称な形状を備える。従って、これらの面が回転対称ではない場合と比較して、光学素子33の製造が容易である。
【0045】
ここで、第2光学系32の瞳40は、第2光軸N2と垂直な仮想垂直線Vに対して傾斜している。これにより、投写光学系3Aでは、瞳40が仮想垂直線Vと平行な場合と比較して、スクリーンSの上方Y1の周辺部の光量が低下することを抑制できる。すなわち、瞳40が第2光軸N2と垂直な仮想垂直線Vに対して傾斜すれば、瞳40が仮想垂直線Vと平行な場合と比較して、スクリーンSの上部へ達する光束F1の光量が多くなる。また、スクリーンSの上部へ達する光束F1の光量が多くなれば、スクリーンSの下部へ達する光束F3の光量との差が小さくなる。従って、スクリーンSの上部の周辺部の光量が、下部と比較して低下することを抑制できる。
【0046】
また、本例では、第1光学系31と第2光学系32の間において、主光線同士の間隔が第2光学系32に接近するのに伴って狭くなる。従って、中間像39の形成が容易であり、かつ、中間像39を小さくできる。よって、中間像39の拡大側に位置する反射面36の小型化が容易である。
【0047】
さらに、本例では、投写光学系3Aは、縮小側結像面である液晶パネル18から反射面36までの軸上面間距離Kを、縮小側結像面のイメージサークルの半径Jで除算した値が20よりも小さい。よって、投写光学系3Aの全長が短い。
【0048】
また、本例では、開口数が0.25よりも大きいので、投写光学系3Aが明るい。
【0049】
さらに、本例では、光学素子33において、中間像39の縮小側に位置する第1透過面35が非球面なので、中間像39での収差の発生を抑制できる。また、光学素子33の反射面36、および第2透過面37は、非球面である。従って、拡大側結像面において、収差の発生を抑制できる。
【0050】
図6は投写光学系3Aの拡大側のMTFを示す図である。MTFを示す
図6の横軸は空間周波数である。縦軸はコントラスト再現比である。
図7は、像高位置ごとの集光の様子を示すスポットダイアグラムである。
図6、
図7に示すように、本例の投写光学系3Aは、高い解像度を有する。
【0051】
(実施例2)
図8は、実施例2の投写光学系3Bの全体を模式的に表す光線図である。
図9は実施例2の投写光学系3Bの光線図である。
図10は実施例2の投写光学系3Bの第2光学系の光線図である。
図8では、本例の投写光学系3BからスクリーンSに到達する光束を、光束F1~F5により模式的に示す。
【0052】
図9に示すように、本例の投写光学系3Bは、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31と、第2光学系32と、からなる。第1光学系31は、複数枚のレンズを備える屈折光学系である。第2光学系32は、一つの光学素子33からなる。光学素子33は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1透過面35、反射面36、および第2透過面37を有する。第1透過面35は、縮小側に突出する凸形状である。反射面36は凹形状を備える。第2透過面37は、拡大側に突出する凸形状である。第2光学系32を構成する光学素子33は、第1光学系31の第1光軸N1上に配置される。第2光学系32では、反射面36の第2光軸N2(光軸)が、第1光軸N1と一致する。
【0053】
投写光学系3Bの縮小側結像面には、画像形成部2の液晶パネル18が配置されている。液晶パネル18は、第1光学系31の第1光軸N1の上方Y1に投写画像を形成する。投写光学系3Bの拡大側結像面には、スクリーンSが配置されている。スクリーンSには、最終像が投写される。スクリーンSは第1光軸N1の上方Y1に位置する。第1光学系31と光学素子33の反射面36との間には、縮小側結像面および拡大側結像面と共役な中間像39が結像される。中間像39は最終像に対して上下が反転した共役像ある。中間像39は、光学素子33の内側において、第1透過面35と反射面36との間に形成される。中間像39は、第1光軸N1の下方Y2に位置する。
【0054】
図9に示すように、第1光学系31は、クロスダイクロイックプリズム19と、14枚のレンズL1~L14を有する。レンズL2とレンズL3は接合された第1接合レンズL21である。レンズL4とレンズL5は接合された第2接合レンズL22である。レンズL9とレンズL10は、接合された第3接合レンズL23である。レンズL11とレンズL12は接合された第4接合レンズL24である。レンズL7とレンズL8との間には、絞りOが配置されている。第1光学系31では、レンズL13が、正のパワーを備える。また、第1光学系31は、全体として、正のパワーを備える。これにより、第1光学系31と第2光学系32の間において、主光線同士の間隔が第2光学系32に接近するのに伴って狭くなる。
【0055】
光学素子33は、反射面36の第2光軸N2を設計軸として設計されている。
図9、
図10に示すように、第1透過面35および反射面36は、第2光軸N2の下方Y2に位置し、第2透過面37は、第2光軸N2の上方Y1に位置する。すなわち、光学素子33は、第1光学系31の側を向く第1面33aを備える。第1面33aにおいて、第1透過面35は、第2光軸N2の下方Y2に設けられ、第2透過面37は第2光軸N2の上方Y1に設けられる。第1透過面35と第2透過面37とは、連続している。第1透過面35および第2透過面37は、第2光軸N2を中心として180°回転した回転対称な形状である。また、第1透過面35、反射面36、および第2透過面37は、第2光軸N2を中心とする回転対称な形状を備える。第1透過面35、反射面36、および第2透過面37は、それぞれ第2光軸N2を中心とする180°の角度範囲に設けられている。
【0056】
光学素子33の第1透過面35、反射面36および第2透過面37は、いずれも非球面である。反射面36は、光学素子33の第1透過面35とは反対側の面に設けた反射コーティング層である。なお、第1透過面35、反射面36および第2透過面37のそれぞれは、自由曲面の場合がある。
【0057】
図10に示すように、第2光学系32の瞳40は、光学素子33の内側に位置する。Y
Z平面における第2光学系32の瞳4
1は、第2透過面37の有効光線範囲GのY軸方向
の上端を通過する上端光束の上周辺光線および当該有効光線範囲GのY軸方向の下端を通
過する下端光束の上周辺光線がYZ平面上で交差する上側交点Q1と、上端光束の下周辺
光線および下端光束の下周辺光線がYZ平面上で交差する下側交点Q2とを結ぶ線で規定
される。瞳4
1は、YZ平面上で第2光軸N2と垂直な仮想垂直線Vに対して傾斜してい
る。本例では、瞳41が仮想垂直線Vに対して傾斜する傾斜角度θが90°以上である。
【0058】
(レンズデータ)
投写光学系3Bの開口数は、0.257である。投写光学系3Bのレンズデータは以下のとおりである。投写光学系3Bの投写距離は、面番号30からスクリーンSまでの距離である。
【0059】
面番号 名称 r d nd vd モード Y
物体面 18 0 8.5 屈折
1 19 0 35.95 1.51633 64.14 屈折 12.861
2 0 5 屈折 16.08
3 L01 84.24049 6.182427 1.78433 47.23 屈折 17
4 -60.46428 0.1 屈折 17.036
5 L02 52.68233 8.542616 1.687086 51.88 屈折 15.98
6 L03 -31.50464 1 2.0508 26.942 屈折 15.473
7 -539.06938 0.1 屈折 15.041
8 L04 37.63411 10.764813 1.618081 56.93 屈折 14.355
9 L05 -34.60962 3.83691 2.0508 26.942 屈折 12.765
10 22.29565 0.668661 屈折 11.563
11 L06 25.43621 3.010487 1.930449 17.16 屈折 11.701
12 73.69967 0.2 屈折 11.643
13 L07 25.84789 7.294718 1.547555 65.04 屈折 11.742
14 -33.05775 5.5 屈折 11.381
絞り面 0 5.1 屈折 7.8
16 L08 146.36652 2 2.0508 26.942 屈折 8.234
17 28.57796 1.306849 屈折 8.265
18 L09 58.63527 4.994942 1.830024 18.81 屈折 8.541
19 L10 -10.53022 2 2.0508 26.942 屈折 8.54
20 -84.82778 17.2598 屈折 9.92
21 L11 53.50377 20 1.73334 21.32 屈折 18
22 L12 -21.07109 3.569619 1.991895 17.11 屈折 18.53
23 -158.04724 5.807116 屈折 22.087
*24 L13 148.47075 6 1.531131 55.75 屈折 26.209
*25 650.63668 9.065182 屈折 26.882
*26 L14 -40.83487 6 1.531131 55.75 屈折 26.371
*27 75.54135 3.815481 屈折 26.771
*28 35 75 40 1.509398 56.47 屈折 25.072
*29 36 -20.55626 -40 1.509398 56.47 反射 20.368
*30 37 75 -340 屈折 37.671
像面 S 0 0 屈折 1920.039
【0060】
各非球面の非球面係数は以下のとおりである。
【0061】
面番号 24
コーニック定数 5.515539E+00
4次の係数 -1.299777E-05
6次の係数 4.968559E-08
8次の係数 -4.431729E-11
面番号 25
コーニック定数 1E+02
4次の係数 -1.40102E-05
6次の係数 5.906768E-08
8次の係数 -6.10124E-11
面番号 26
コーニック定数 -1.760956E+01
4次の係数 1.78046E-05
6次の係数 -2.075195E-08
8次の係数 1.118352E-12
面番号 27
コーニック定数 6.356227E+00
4次の係数 -2.776687E-05
6次の係数 1.076245E-08
8次の係数 -7.204845E-12
面番号 28
コーニック定数 2.661693E+00
4次の係数 1.778649E-06
6次の係数 7.496096E-10
8次の係数 -1.182048E-12
10次の係数 5.865021E-16
面番号 29
コーニック定数 -2.055626E+01
4次の係数 -4.071838E+00
6次の係数 -2.121738E-05
8次の係数 6.316358E-08
10次の係数 -1.009726E-10
12次の係数 8.489819E-14
面番号 30
コーニック定数 7.5E+01
4次の係数 2.661693E+00
6次の係数 1.778649E-06
8次の係数 7.496096E-10
10次の係数 -1.182048E-12
12次の係数 5.865021E-16
【0062】
ここで、面番号30、すなわち第2透過面37は、第2光軸N2から上方Y1に離間するのに伴って、第2方向Z2に湾曲するカーブが急になる。より詳細には、
図10に示すように、YZ平面上における第2透過面37の有効光線範囲GにおいてY軸方向で第2光軸N2に最も近い第1端部37aの第1曲率半径Hは、Y軸方向で第2光軸N2から最も遠い第2端部37bの第2曲率半径Iよりも大きい。また、第1端部37aの第1曲率中心H0および第2端部37bの第2曲率中心I0は第2光軸N2上に位置し、第1曲率中心H0は第2曲率中心I0よりも第1端部37aから離間している。すなわち、第1端部37aの第1曲率中心H0は、第2端部37bの第2曲率中心I0よりも第2方向Z2に位置する。
【0063】
言い換えれば、第2透過面37は、第2光軸N2から上方Y1に離間する各高さ位置における接線の傾きが、第2光軸N2から離間するのに伴って大きくなる。また、第2透過面37は、第2光軸N2からの各高さ位置において接線が傾斜する傾きの増加率が、第2光軸N2から上方Y1に離間するのに伴って増大する。以下のデータは、光線有効範囲(光線有効径)における高さ位置Yと、高さ位置Yにおける接線の傾き角度Angとの関係を示す。
図11は、光線有効径における高さ位置Yと、高さ位置Yにおける接線の傾き角度Angとの関係を示すグラフである。
図11では、横軸が高さ位置Yであり、縦軸が傾き角度Angである。第2光軸N2上の高さ位置Yは0である。高さ位置Yの単位はmmである。
【0064】
ここで、
図9に示すように、投写光学系3
Bは、縮小側結像面であ
る液晶パネル18か
ら反射面36までの軸上面間距離Kを、縮小側結像面のイメージサークルの半径Jで除算
した値が、20よりも小さい。すなわち、軸上面間距離Kは、223.57mmであり、
半径Jは、11.7mmである。よって、軸上面間距離Kを半径Jで除算した値は19.
1であり、20より小さい。
【0065】
(作用効果)
本例の投写光学系3Bは、上記の投写光学系3Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
図12は、投写光学系3Bの拡大側のMTFを示す図である。
図13は、像高位置ごとの集光の様子を示すスポットダイアグラムである。
【0067】
なお、投写光学系3A,3Bでは、第2光学系32の拡大側に、レンズやミラーなどの光学部材を有する第3光学系を備えることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…プロジェクター、2…画像形成部、3,3A、3B…投写光学系、4…制御部、6…画像処理部、7…表示駆動部、10…光源、11…第1インテグレーターレンズ、12…第2インテグレーターレンズ、13…偏光変換素子、14…重畳レンズ、15…第1ダイクロイックミラー、16…反射ミラー、17B…フィールドレンズ、17G…フィールドレンズ、17R…フィールドレンズ、18,18B,18G,18R…液晶パネル、19…クロスダイクロイックプリズム、21…第2ダイクロイックミラー、22…リレーレンズ、23…反射ミラー、24…リレーレンズ、25…反射ミラー、31…第1光学系、32…第2光学系、33…光学素子、33a…光学素子の第1面、35…第1透過面、36…反射面、37…第2透過面、37a…第1端部、39…中間像、40…瞳、F1~F5…光束、G…有効光線範囲、L1~L14…レンズ、L21…第1接合レンズ、L22…第2接合レンズ、L23…第3接合レンズ、L24…第4接合レンズ、N1…第1光学系の第1光軸、N2…第2光学系の第2光軸、Q1…上側交点、Q2…下側交点。