(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 305
B41J2/14 603
(21)【出願番号】P 2020019425
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 暁良
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-055493(JP,A)
【文献】特開2019-089222(JP,A)
【文献】特開2004-042390(JP,A)
【文献】特開2018-158568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し
、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅の3倍よりも大きい
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体に圧力を付与する第3圧力室と、
液体に圧力を付与する第4圧力室と、
前記第1方向に延在し、液体を吐出する第2ノズルが設けられる第2ノズル流路と、
前記第2方向に延在し、前記第3圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第3連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第4圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第4連通流路と、をさらに具備し、
前記第2ノズル流路は、前記第2ノズル流路の一端部を含む第3部分と、前記第2ノズル流路の他端部を含む第4部分と、を有し、
前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第3部分の前記第2方向における幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1ノズルと前記第2ノズルは、前記第1方向において同じ位置に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第1ノズル流路と前記第2ノズル流路は、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に隣接する
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
液体に圧力を付与する第3圧力室と、
液体に圧力を付与する第4圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向に延在し、液体を吐出する第2ノズルが設けられる第2ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第3圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第3連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第4圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第4連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2ノズル流路は、前記第2ノズル流路の一端部を含む第3部分と、前記第2ノズル流路の他端部を含む第4部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく、
前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第3部分の前記第2方向における幅よりも小さく、
前記第1部分と前記第3部分は、前記第1方向において、少なくとも一部が重なり、
前記第2部分と前記第4部分は、前記第1方向において、少なくとも一部が重なる
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第3部分は、前記第1方向において全てが前記第1部分と重なり、
前記第2部分は、前記第1方向において全てが前記第4部分と重なる
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
液体に圧力を付与する第3圧力室と、
液体に圧力を付与する第4圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向に延在し、液体を吐出する第2ノズルが設けられる第2ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第3圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第3連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第4圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第4連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2ノズル流路は、前記第2ノズル流路の一端部を含む第3部分と、前記第2ノズル流路の他端部を含む第4部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく、
前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第3部分の前記第2方向における幅よりも小さく、
前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅と同じである
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項8】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
液体に圧力を付与する第3圧力室と、
液体に圧力を付与する第4圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向に延在し、液体を吐出する第2ノズルが設けられる第2ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第3圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第3連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第4圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第4連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2ノズル流路は、前記第2ノズル流路の一端部を含む第3部分と、前記第2ノズル流路の他端部を含む第4部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく、
前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第3部分の前記第2方向における幅よりも小さく、
前記第3部分の前記第2方向における幅は、前記第2部分の前記第2方向における幅と同じである
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
液体に圧力を付与する第3圧力室と、
液体に圧力を付与する第4圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向に延在し、液体を吐出する第2ノズルが設けられる第2ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第3圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第3連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第4圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第4連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2ノズル流路は、前記第2ノズル流路の一端部を含む第3部分と、前記第2ノズル流路の他端部を含む第4部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく、
前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第3部分の前記第2方向における幅よりも小さく、
前記第3部分の前記第1方向における幅は、前記第2部分の前記第1方向における幅と同じであり、
前記第4部分の前記第1方向における幅は、前記第1部分の前記第1方向における幅と同じである
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記第1圧力室に連通し、前記第1圧力室に液体を供給する第1個別供給流路と、
前記第3圧力室に連通し、前記第3圧力室に液体を供給する第2個別供給流路と、
前記第1個別供給流路と前記第2個別供給流路に共通に液体を供給する共通供給流路と、
前記第2圧力室に連通し、前記第2圧力室から液体が排出される第1個別排出流路と、
前記第4圧力室に連通し、前記第4圧力室から液体が排出される第2個別排出流路と、
前記第1個別排出流路と前記第2個別排出流路から共通に液体が排出される共通排出流路と、をさらに具備する
ことを特徴とする請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記第1部分は、前記第1連通流路と連通し、
前記第2部分は、前記第2連通流路と連通する
ことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記第1部分は、前記第2連通流路と連通し、
前記第2部分は、前記第1連通流路と連通する
ことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく
、
前記第2部分の前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向における幅は、前記第1部分の前記第3方向における幅よりも小さい
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記第1ノズル流路から見て、前記第2方向において前記第1圧力室および前記第2圧力室が位置する側を第1側、前記第2方向において前記第1ノズルが位置する側を第2側としたとき、
前記第1部分の前記第2側の流路壁面と、前記第2部分の前記第2側の流路壁面は、前記第2方向において同じ位置にあり、
前記第1部分の前記第1側の流路壁面と、前記第2部分の前記第1側の流路壁面は、前記第2方向において異なる位置にある
ことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく
、
前記第1ノズル流路から見て、前記第2方向において前記第1圧力室および前記第2圧力室が位置する側を第1側、前記第2方向において前記第1ノズルが位置する側を第2側としたとき、
前記第1部分の前記第2側の流路壁面と、前記第2部分の前記第2側の流路壁面は、前記第2方向において異なる位置にあり、
前記第1部分の前記第1側の流路壁面と、前記第2部分の前記第1側の流路壁面は、前記第2方向において同じ位置にある
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項16】
前記第2部分の前記第1方向における幅は、前記第1部分の前記第1方向における幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項17】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく、
前記第2部分の前記第1方向における幅は、前記第1部分の前記第1方向における幅よりも大きい
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項18】
前記第1ノズルは、前記第1部分に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項19】
液体に圧力を付与する第1圧力室と、
液体に圧力を付与する第2圧力室と、
第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、
前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、
前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、
前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、
前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きく、
前記第1ノズルは、前記第2部分に設けられる
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項20】
駆動電圧が印可されることで前記第1圧力室内の液体に圧力を付与するためのエネルギーを生成する第1エネルギー生成素子と、
駆動電圧が印可されることで前記第2圧力室内の液体に圧力を付与するためのエネルギーを生成する第2エネルギー生成素子と、をさらに具備する
ことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれかの液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドの吐出動作を制御する制御部と
を具備する液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドおよび液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクなどの液体を複数のノズルから吐出する液体吐出ヘッドが従来から提案されている。例えば特許文献1には、圧力室内の液体の圧力を圧電素子によって変化させることにより、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドが開示されている。この液体吐出ヘッドは、ノズルが設けられたノズル流路を複数有し、それらの複数のノズル流路が所定方向に沿って配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の液体吐出ヘッドでは、互いに隣接する2つのノズル流路の間で、一方のノズル流路における振動が他方のノズル流路に伝搬し、他方のノズル流路内のノズルからのインクの吐出特性を低下せしめる、いわゆる構造クロストークが発生する虞がある。
【0005】
一方で、ノズル流路の流路抵抗が大きくなると、液体の供給に時間がかかり、吐出不良や記録時間の延長が発生し得る。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明はノズル流路の流路抵抗の増加を抑制しつつ、構造クロストークの発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体吐出ヘッドは、第1方向に延在し、液体に圧力を付与する第1圧力室と、前記第1方向に延在し、液体に圧力を付与する第2圧力室と、前記第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の部分的な構成例を示す模式図である。
【
図2】液体吐出ヘッド内の流路構造を示す模式図である。
【
図9】本発明の比較例に係る
図5および
図6のd-d線の断面図である。
【
図11】本発明の他の比較例に係る
図5および
図6のd-d線の断面図である。
【
図13】第2実施形態に係る液体吐出ヘッド内の流路構造を示す模式図である。
【
図14】第3実施形態に係る液体吐出ヘッド内の流路構造を示す模式図である。
【
図16】第3実施形態に係る
図14のb-b線の断面図である。
【
図17】第4実施形態に係る
図14のa-a線の断面図である。
【
図18】第4実施形態に係る
図14のb-b線の断面図である。
【
図19】第5実施形態に係る
図14のa-a線の断面図である。
【
図20】第5実施形態に係る
図14のb-b線の断面図である。
【
図21】第6実施形態に係る液体吐出ヘッド内の流路構造を示す模式図である。
【
図24】第7実施形態に係る液体吐出ヘッド内の流路構造を示す模式図である。
【
図27】任意の1個のノズルを拡大した断面図である。
【
図28】変形例に係る液体吐出ヘッド内の流路構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1実施形態
以下の説明では、相互に交差するX軸、Y軸およびZ軸を想定する。X軸、Y軸およびZ軸は、以降の説明で例示される全図において共通である。
図1に例示される通り、任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向と反対の方向をX2方向と表記する。X1方向は、「第1方向」に相当する。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向およびY2方向と表記する。Y2方向は、「第3方向」に相当する。また、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向およびZ2方向と表記する。Z1方向は、「第2方向」に相当する。さらに、X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線であり、Z2方向は鉛直方向の下方向に相当する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置100の部分的な構成例を示す模式図である。液体吐出装置100は、インクなどの液体の液滴を媒体11に対して吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体11は、例えば、印刷用紙である。媒体11は、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象であってもよい。
【0011】
液体吐出装置100には、液体容器12が設けられる。液体容器12は、インクを貯留する。液体容器12は、例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクであってもよい。なお、液体容器12に貯留されるインクの種類は任意である。
【0012】
液体吐出装置100は、
図1に示すように、制御ユニット21と、搬送機構22と、移動機構23と、液体吐出ヘッド24とを有する。制御ユニット21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体吐出ヘッド24の吐出動作等、液体吐出装置100の各要素を制御する。制御ユニット21は、「制御部」の一例である。
【0013】
搬送機構22は、制御ユニット21の制御に基づき、媒体11をY軸に沿って搬送する。移動機構23は、制御ユニット21の制御に基づき、液体吐出ヘッド24をX軸に沿って往復させる。移動機構23は、液体吐出ヘッド24を収容する略箱型の搬送体231と、搬送体231が固定された無端の搬送ベルト232とを有する。なお、本実施形態では、複数の液体吐出ヘッド24を搬送体231に搭載した構成、および、液体容器12を液体吐出ヘッド24と共に搬送体231に搭載した構成が採用され得る。
【0014】
液体吐出ヘッド24は、制御ユニット21の制御に基づき、液体容器12から供給されるインクを複数のノズルの各々から媒体11に吐出する。搬送機構22による媒体11の搬送と搬送体231の反復的な往復とに並行して液体吐出ヘッド24が媒体11にインクを吐出することで、媒体11の表面に画像が形成される。
【0015】
図2は、液体吐出ヘッド24をZ軸方向に見たときの液体吐出ヘッド24内の流路構造を示す模式図である。液体吐出ヘッド24の媒体11に対向する表面には、
図2に示すように、複数のノズルNaと複数のノズルNbが形成される。複数のノズルNaおよび複数のノズルNbは、Y軸に沿って配列する。複数のノズルNaおよび複数のノズルNbの各々は、Z軸方向にインクを吐出する。従って、Z軸方向は、複数のノズルNaおよび複数のノズルNbの各々からインクが吐出される方向に相当する。ノズルNaは「第1ノズル」の一例であり、ノズルNbは「第2ノズル」の一例である。
【0016】
図2に示すように、複数のノズルNaは第1ノズル列Laを構成し、複数のノズルNbは第2ノズル列Lbを構成する。第1ノズル列Laは、Y軸に沿って直線状の配列する複数のノズルNaの各々の集合である。同様に、第2ノズル列Lbは、Y軸に沿って直線状に配列する複数のノズルNbの各々の集合である。第1ノズル列Laと第2ノズル列Lbは、
図2に示すように、X軸方向に所定の間隔をあけて並設される。また、Y軸方向における各ノズルNaの位置と、Y軸方向における各ノズルNbの位置とは相違する。
図2に示すように、ノズルNaとノズルNbとを含む複数のノズルNはピッチ(周期)θで配列する。ピッチθは、Y軸方向におけるノズルNaの中心とノズルNbの中心との間の距離である。以下の説明においては、第1ノズル列LaのノズルNaに関連する要素の符号に添字aを付加し、第2ノズル列LbのノズルNbに関連する要素の符号に添字bを付加する。なお、第1ノズル列LaのノズルNaと第2ノズル列LbのノズルNbとを特に区別する必要がない場合には、単に「ノズルN」と表記する。
【0017】
液体吐出ヘッド24には、
図2に示すように、個別流路列25が設けられる。個別流路列25は、複数の個別流路Paおよび複数の個別流路Pbの集合である。複数の個別流路Paの各々はX1方向に延在し、相異なるノズルNaに対応する。複数の個別流路Paの各々は、ノズルNaに連通する。同様に、複数の個別流路Pbの各々はX1方向に延在し、相異なるノズルNbに対応する。複数の個別流路Pbの各々は、ノズルNbに連通する。個別流路Paおよび個別流路Pbの詳細な構成については後述する。なお、以降の説明においては、個別流路Paと個別流路Pbとを特に区別する必要がない場合には、単に「個別流路P」と表記する。
【0018】
Y軸方向に互いに向い合う個別流路Paと個別流路Pbは、互いにZ軸を中心として反転させた関係となっている。具体的には、個別流路Paは自身をZ軸回りに180°回転すると個別流路Pbと同じ配置となり、個別流路Pbは自身をZ軸回りに180°回転すると個別流路Paと同じ配置となる。
【0019】
図2に示すように、個別流路Paは圧力室Ca1と圧力室Ca2とを有する。個別流路Pa内の圧力室Ca1および圧力室Ca2はX1方向に延在する。圧力室Ca1および圧力室Ca2には、個別流路Paに連通するノズルNaから吐出されるインクが貯留される。圧力室Ca1および圧力室Ca2内の圧力が変化するとノズルNaからインクが吐出される。圧力室Ca1は「第1圧力室」の一例であり、圧力室Ca2は「第2圧力室」の一例である。
同様に、個別流路Pbは圧力室Cb1と圧力室Cb2とを有する。個別流路Pbの圧力室Cb1および圧力室Cb2はX1方向に延在する。圧力室Cb1および圧力室Cb2には、個別流路Pbに連通するノズルNbから吐出されるインクが貯留される。圧力室Cb1および圧力室Cb2内の圧力が変化するとノズルNbからインクが吐出される。圧力室Cb1は「第3圧力室」の一例であり、圧力室Cb2は「第4圧力室」の一例である。
なお、以降の説明では、第1ノズル列Laに対応する圧力室Ca1およびCa2と、第2ノズル列Lbに対応する圧力室Cb1および圧力室Cb2とを特に区別する必要がない場合には、単に「圧力室C」と表記する。
【0020】
液体吐出ヘッド24には、
図2に示すように、第1共通液室R1と第2共通液室R2とが設けられる。第1共通液室R1と第2共通液室R2との各々は、複数のノズルNが分布する全範囲に亘ってY軸方向に延在する。Z軸方向に見た平面視において、第1共通液室R1と第2共通液室R2との間に個別流路列25と複数のノズルNが位置する。以降の説明では、Z軸方向に見た平面視を単に「平面視」と述べる。
【0021】
複数の個別流路Pは、第1共通液室R1に共通に連通する。具体的には、各個別流路PのX2方向に位置する端部E1が第1共通液室R1に接続される。同様に、複数の個別流路Pは、第2共通液室R2に共通に連通する。具体的には、各個別流路PのX1方向に位置する端部E2が第2共通液室R2に接続される。液体吐出ヘッド24においては、各個別流路Pが第1共通液室R1と第2共通液室R2とを相互に連通させる。これにより、第1共通液室R1から各個別流路Pに供給されるインクがノズルNから吐出される。吐出されなかったインクは第2共通液室R2に排出される。
【0022】
液体吐出ヘッド24は、
図2に示すように、循環機構26を有する。循環機構26は、各個別流路Pから第2共通液室R2に排出されるインクを第1共通液室R1に還流させる機構である。循環機構26は、第1供給ポンプ261と、第2供給ポンプ262と、貯留容器263と、循環流路264と、供給流路265とを有する。
【0023】
第1供給ポンプ261は、液体容器12に貯留されたインクを貯留容器263に供給するポンプである。貯留容器263は、液体容器12から供給されるインクを一時的に貯留するサブタンクである。
【0024】
循環流路264は、第2共通液室R2と貯留容器263とを連通させる流路であり、第2共通液室R2を介して後述する排出流路Ra2と排出流路Rb2とから共通にインクが排出される。循環流路264および第2共通液室R2は、「共通排出流路」の一例である。
【0025】
貯留容器263には、液体容器12に貯留されたインクが第1供給ポンプ261から供給されるほか、各個別流路Pから第2共通液室R2に排出されたインクが循環流路264を介して供給される。
【0026】
第2供給ポンプ262は、貯留容器263に貯留されたインクを送出するポンプである。第2供給ポンプ262から送出されたインクは、供給流路265を介して第1共通液室R1に供給される。供給流路265は、後述する供給流路Ra1と供給流路Rb1とに共通に液体を供給する。供給流路265および第1共通液室R1は、「共通供給流路」の一例である。
【0027】
個別流路列25の複数の個別流路Pは、複数の個別流路Paと複数の個別流路Pbとを有する。複数の個別流路Paの各々は、第1ノズル列Laの1個のノズルNaに連通する個別流路Pである。複数の個別流路Pbの各々は、第2ノズル列Lbの1個のノズルNbに連通する個別流路Pである。個別流路Paと個別流路Pbとは、Y軸に沿って交互に配列する。これにより、個別流路Paと個別流路PbとはY軸方向に相互に向い合う構成となる。
【0028】
個別流路Paは、
図2に示すように、ノズル流路Nfaを有する。ノズル流路NfaはX1方向に延在し、同図に示すように、Z2方向に見て圧力室Ca1と圧力室Ca2との間に位置する。ノズル流路Nfaは、圧力室Ca1と圧力室Ca2とに連通し、圧力室Ca1から供給されたインクを吐出するノズルNaが設けられる。ノズル流路Nfaは、「第1ノズル流路」の一例である。
【0029】
個別流路Pbは、
図2に示すように、ノズル流路Nfbを有する。ノズル流路NfbはX1方向に延在し、同図に示すように、Z2方向に見て圧力室Cb1と圧力室Cb2との間に位置する。ノズル流路Nfbは、圧力室Cb1と圧力室Cb2とに連通し、圧力室Cb1から供給されたインクを吐出するノズルNbが設けられる。ノズル流路Nfbは、「第2ノズル流路」の一例である。
【0030】
ノズル流路Nfaとノズル流路Nfbは、Y軸方向に沿って直列状に配列する。ノズル流路Nfaとノズル流路Nfbは、Y軸方向に所定の間隔をあけて並設される。Y軸方向に隣接するノズル流路Nfaとノズル流路Nfbは、互いにZ軸を中心として反転させた関係となっている。なお、本願において、要素Aと要素Bとが「隣接する」とは、要素Aと要素Bとを特定の方向に沿ってみた場合に、要素Aの少なくとも一部と要素Bの少なくとも一部が互いに向い合うことを意味する。要素Aの全部と要素Bの全部が相互に向い合う必要はなく、要素Aの少なくとも一部と要素Bの少なくとも一部が向い合えば、「要素Aと要素Bとが隣接する」と解釈される。
【0031】
本実施形態の液体吐出ヘッド24においては、
図2に示すように、第1ノズル列Laの相異なるノズルNaに対応する複数の圧力室Ca1と、第2ノズル列Lbの相異なるノズルNbに対応する複数の圧力室Cb1は、Y軸方向に沿って直列状に配列する。同様に、第1ノズル列Laの相異なるノズルNaに対応する複数の圧力室Ca2と、第2ノズル列Lbの相異なるノズルNbに対応する複数の圧力室Cb2は、Y軸方向に沿って直列状に配列する。複数の圧力室Ca1と複数の圧力室Cb1とから構成される配列と、複数の圧力室Ca2と複数の圧力室Cb2とから構成される配列は、X軸方向に所定の間隔をあけて並設される。ここではY軸方向における各圧力室Ca1の位置と、Y軸方向における各圧力室Ca2との位置は同一であるが、異なっていてもよい。また、ここではY軸方向における各圧力室Cb1の位置と、Y軸方向における各圧力室Cb2との位置も同一であるが、異なっていてもよい。
【0032】
次に、液体吐出ヘッド24の詳細な構成について述べる。
図3は、
図2のa-a線の断面図であり、
図4は
図2のb-b線の断面図である。
図3では個別流路Paを通過する断面が示され、
図4では個別流路Pbを通過する断面が示される。
【0033】
液体吐出ヘッド24は、
図3および
図4に示すように、流路構造体30と、複数の圧電素子41と、筐体部42と、保護基板43と、配線基板44とを有する。流路構造体30は、第1共通液室R1と、第2共通液室R2と、複数の個別流路Pと、複数のノズルNとを有する流路が形成された構造体である。
【0034】
流路構造体30は、Z1方向に向かって、ノズルプレート31と、連通板33と、圧力室基板34と、振動板35とが順に積層された構造体である。流路構造体30を構成するこれらの要素は、例えば半導体を製造する一般的な加工方法によりシリコンの単結晶基板を加工することによって製造される。
【0035】
ノズルプレート31には、複数のノズルNが形成される。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円筒状の貫通孔である。ノズルプレート31は、
図3および
図4に示すように、Z2方向を向く表面Fa1とZ1方向を向く表面Fa2とを有する板状部材である。連通板33は、Z2方向を向く表面Fc1とZ1方向を向く表面Fc2とを有する板状部材である。
【0036】
流路構造体30を構成する各要素は、Y軸方向に長尺な矩形状に形成され、例えば接着剤により相互に接合される。例えば、ノズルプレート31の表面Fa2は連通板33の表面Fc1に接合され、連通板33の表面Fc2は圧力室基板34の表面Fd1に接合される。圧力室基板34の表面Fd2は、振動板35の表面Fe1に接合される。
【0037】
連通板33には、空間O12と空間O22とが形成される。空間O12および空間O22の各々は、Y軸方向に長尺な開口である。連通板33の表面Fc1には、空間O12を閉塞する吸振体361と空間O22を閉塞する吸振体362とが設置される。吸振体361および吸振体362は、弾性材料で形成された層状部材である。
【0038】
筐体部42は、インクを貯留するためのケースである。連通板33の表面Fc2に筐体部42が接合される。筐体部42には、空間O12に連通する空間O13と、空間O22に連通する空間O23とが形成される。空間O13および空間O23の各々は、Y軸方向に長尺な空間である。空間O12と空間O13とは、相互に連通することで第1共通液室R1を構成する。同様に、空間O22と空間O23とは、相互に連通することで第2共通液室R2を構成する。吸振体361は第1共通液室R1の壁面を構成し、第1共通液室R1内のインクの圧力変動を吸収する。吸振体362は第2共通液室R2の壁面を構成し、第2共通液室R2内のインクの圧力変動を吸収する。
【0039】
筐体部42には供給口421と排出口422とが形成される。供給口421は、第1共通液室R1に連通する管路であり、循環機構26の供給流路265に連結される。第2供給ポンプ262から供給流路265に送出されたインクは、供給口421を経由して第1共通液室R1に供給される。他方、排出口422は、第2共通液室R2に連通する管路であり、循環機構26の循環流路264に連結される。第2共通液室R2内のインクは排出口422を経由して循環流路264に供給される。
【0040】
圧力室基板34には、圧力室Ca1および圧力室Ca2と、圧力室Cb1および圧力室Cb2とが設けられる。各圧力室Cは、連通板33の表面Fc2と振動板35との間隔である。各圧力室Cは、平面視でX軸に沿う長尺状に形成され、X1方向に延在する。
【0041】
振動板35は、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板35は、例えば、酸化シリコン(SiO2)の第1層と、酸化ジルコニウム(ZrO2)の第2層との積層で構成される。なお、所定厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について厚さ方向の一部を選択的に除去することで、振動板35と圧力室基板34とを一体に形成してもよい。また、振動板35を単層で形成してもよい。
【0042】
振動板35の表面Fe2には、相異なる圧力室Cに対応する複数の圧電素子41が設置される。各圧力室Cに対応する圧電素子41は、平面視で圧力室Cに重なる。具体的には、各圧電素子41は、相互に対向する第1電極および第2電極と、両電極間に形成された圧電体層との積層により構成される。各圧電素子41は、エネルギーを発生させて、圧力室C内のインクの圧力を変動させることで圧力室C内のインクをノズルNから吐出させるエネルギー生成素子である。圧電素子41は、駆動信号を受信することで自身を変形させることにより振動板35を振動させる。振動板35が振動すると圧力室Cが膨張および伸縮する。圧力室Cが膨張および伸縮することによって、圧力室Cからインクに圧力が付与される。これにより、ノズルNからインクが吐出される。
【0043】
保護基板43は、振動板35の表面Fe2に設置された板状部材であり、複数の圧電素子41を保護するとともに振動板35の機械的な強度を補強する。保護基板43と振動板35との間に複数の圧電素子41が収容される。また、振動板35の表面Fe2には配線基板44が実装される。配線基板44は、制御ユニット21と液体吐出ヘッド24とを電気的に接続するための実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板44が好適に利用される。配線基板44には各圧電素子41に駆動信号を供給するための駆動回路45が実装される。
【0044】
次に、個別流路Pの詳細な構成について述べる。
図5は個別流路Paの構成例を示す側面図であり、個別流路Paと個別流路Pbとが向い合っている状態を示す図である。
図5および後述する
図6に示すように、個別流路Paの形状と個別流路Pbの形状とは、平面視において、Z軸に平行な対称軸を中心とした回転対称な関係にある。
【0045】
個別流路Paは、
図5に示すように、供給流路Ra1と、圧力室Ca1と、第1連通流路Na1と、ノズル流路Nfaと、第2連通流路Na2と、圧力室Ca2と、排出流路Ra2とを有する。個別流路Paは、これらの要素が一体的に構成された流路であり、前述した要素が前述した順番に連結された流路である。
図5に示すように、後述するノズル流路Nfaの第1部分Pa1とノズル流路Nfbの第3部分Pb1は、X1方向において、少なくとも一部が重なる。第3部分Pb1は、同図に示すように、X1方向において全てが第1部分Pa1と重なる。
【0046】
供給流路Ra1は、連通板33に形成された空間である。具体的には、供給流路Ra1は、
図3に示すように、第1共通液室R1を構成する空間O12から連通板33の表面Fc2までZ軸に沿って延在する。供給流路Ra1の空間O12に連結される端部が個別流路Paの端部E1である。供給流路Ra1は圧力室Ca1に連通し、第1共通液室R1から供給されたインクを圧力室Ca1へ導く流路である。供給流路Ra1は、「第1個別供給流路」の一例である。
【0047】
第1連通流路Na1は、
図3に示すように、連通板33を貫通する空間である。第1連通流路Na1は、Z軸に沿う長尺な流路である。第1連通流路Na1はZ1方向に延在し、圧力室Ca1とノズル流路Nfaとに連通する。第1連通流路Na1は、圧力室Ca1から押し出されたインクをノズル流路Nfaへ導く流路である。
【0048】
ノズル流路Nfaは連通板33に設けられ、X軸方向に延在する流路である。ノズル流路Nfaは、
図3に示すように、第1部分Pa1と、第2部分Pa2とに区分される。本実施形態では、ノズル流路Nfaから見て、Z1方向において圧力室Ca1および圧力室Ca2が位置する側を第1側、Z2方向においてノズルNaが位置する側を第2側とする。第1部分Pa1の第1側の流路壁面Sa1と第2部分Pa2の第1側の流路壁面Sa2とがZ1方向において異なる位置にある。また、第1部分Pa1の第2側の流路壁面Sa3と第2部分Pa2の第2側の流路壁面Sa4とがZ2方向において同じ位置にある。
換言すると、第1部分Pa1は、流路壁面Sa1と流路壁面Sa3とを有する。Z1方向において、ノズルNaのインクが吐出する面と流路壁面Sa1との間に流路壁面Sa3が位置する。同様に、第2部分Pa2は、流路壁面Sa2と流路壁面Sa4とを有する。Z1方向において、ノズルNaのインクが吐出する面と流路壁面Sa2との間に流路壁面Sa4が位置する。
【0049】
第1部分Pa1は、X軸方向において第1連通流路Na1と第2部分Pa2との間に位置し、X軸方向に延在する流路である。第1部分Pa1は、第1連通流路Na1と第2部分Pa2とに連通し、ノズルNaが設けられる。第1部分Pa1は、X2方向に位置する端部E3とX1方向に位置する端部E4とを有する。ノズル流路Nfaの第1連通流路Na1に連結される端部は、第1部分Pa1の端部E3である。即ち、第1部分Pa1は、ノズル流路NfaのX2方向に位置する端部を含む。第1部分Pa1は、第1連通流路Na1から供給され、ノズルNaから吐出されなかったインクを第2部分Pa2へ導く流路である。第1部分Pa1のX1方向の幅W1は、
図3に示すように、第2部分Pa2のX1方向の幅W3よりも大きい。
【0050】
第2部分Pa2は、X軸方向において第1部分Pa1と第2連通流路Na2との間に位置し、X軸方向およびZ軸方向に所定量延在する流路である。第2部分Pa2は、第1部分Pa1と第2連通流路Na2とに連通し、X2方向に位置する端部E5とX1方向に位置する端部E6とを有する。ノズル流路Nfaの第2連通流路Na2に連結される端部は第2部分Pa2の端部E6であり、第1部分Pa1の第2部分Pa2に連結される端部E4は第2部分Pa2の端部E5である。即ち、第2部分Pa2は、ノズル流路NfaのX1方向に位置する端部を含む。第2部分Pa2は、第1部分Pa1から供給されたインクを第2連通流路Na2へ導く流路である。
【0051】
第2部分Pa2のX1方向の幅W3は、
図3に示すように、第1部分Pa1のX1方向の幅W1よりも小さい。また、第2部分Pa2のZ1方向の幅W10は、
図3に示すように、第1部分Pa1のZ1方向の幅W9よりも大きい。これにより、構造クロストークを低減できる。この詳細については後述する。なお、前述した「構造クロストーク」とは、一方の個別流路の内圧変化に起因する振動が他方の個別流路に伝搬し、当該個別流路に連通するノズルの吐出特性が低下する現象を言う。この構造クロストークの定義は、以下の説明においても同様である。
【0052】
第2連通流路Na2は、連通板33を貫通する空間である。第2連通流路Na2は、Z軸に沿う長尺な流路である。第2連通流路Na2はZ1方向に延存し、圧力室Ca2とノズル流路Nfaとに連通する。第2連通流路Na2は、第2部分Pa2から供給されたインクを圧力室Ca2へ導く流路である。
【0053】
排出流路Ra2は、連通板33に形成された空間である。具体的には、排出流路Ra2は、第2共通液室R2を構成する空間O22から連通板33の表面Fc2までZ軸に沿って延在する。排出流路Ra2の空間O22に連結される端部が個別流路Paの端部E2である。排出流路Ra2は圧力室Ca2に連通し、圧力室Ca2から押し出されたインクを第2共通液室R2へ導く流路である。排出流路Ra2は、「第1個別排出流路」の一例である。
【0054】
以上の構成において、液体吐出ヘッド24は、液体吐出装置100の稼動時において、インクを循環させながらインクの吐出を行う。具体的には、液体容器12からのインクを、供給流路265を介して第1共通液室R1に供給する。その後、駆動回路45などを含む駆動手段が圧電素子41を駆動させる駆動信号を圧力室Ca1側の圧電素子41と圧力室Ca2側の圧電素子41とに出力することで、圧力室Ca1側の圧電素子41と圧力室Ca2側の圧電素子41とを同時に駆動させる。これにより、第1共通液室R1に供給されたインクがノズルNaから吐出される。また、第1部分Pa1に供給されるインクのうちノズルNaから吐出されないインクは、排出流路Ra2を経由して第2共通液室R2に供給される。以上の説明から理解されるとおり、第1部分Pa1はノズル流路Nfaの上流側の流路であり、第2部分Pa2はノズル流路Nfbの下流側の流路である。なお、前述した、圧力室Ca1側の圧電素子41は「第1エネルギー生成素子」の一例であり、圧力室Ca2側の圧電素子41は「第2エネルギー生成素子」の一例である。
【0055】
図6は個別流路Pbの構成例を示す側面図であり、個別流路Paと個別流路Pbとが向い合っている状態を示す図である。個別流路Pbは、個別流路Paを180°反転させた構成である。従って、
図4に示すように、第4部分Pb2のZ1方向の幅W9は、第3部分Pb1のZ1方向の幅W10よりも小さい。また、第4部分Pb2のX1方向の幅W7は、第3部分Pb1のX1方向の幅W5よりも大きい。さらに、第4部分Pb2のZ1方向の幅W9は第1部分Pa1のZ1方向の幅W9と同じであり、第3部分Pb1のZ1方向の幅W10は第2部分Pa2のZ1方向の幅W10と同じである。加えて、第3部分Pb1のX1方向の幅W5は、第2部分Pa2のX1方向の幅W3と同じであり、第4部分Pb2のX1方向の幅W7は、第1部分Pa1のX1方向における幅W1と同じである。
具体的には、個別流路Pbは、
図6に示すように、供給流路Rb1と、圧力室Cb1と、第3連通流路Nb1と、ノズル流路Nfbと、第4連通流路Nb2と、圧力室Cb2と、排出流路Rb2とを有する。ノズル流路Nfbは、第3部分Pb1と第4部分Pb2とを有する。個別流路Pbは、これらの要素が一体的に構成された流路であり、前述した要素が前述した順番に連結された流路である。
図6に示すように、第2部分Pa2と第4部分Pb2は、X1方向において、少なくとも一部が重なる。第2部分Pa2は、同図に示すように、X1方向において全てが第4部分Pb2と重なる。
【0056】
個別流路Paの構造に関する説明は、個別流路Paを構成する各要素の符号の添字aを添字bに置換することによって、個別流路Pbを構成する各要素の説明として同様に成立する。なお、供給流路Rb1は「第2個別供給流路」の一例であり、排出流路Rb2は「第2個別排出流路」の一例である。
【0057】
以上の構成において、液体吐出ヘッド24は、液体容器12からのインクを、供給流路265を介して第1共通液室R1に供給する。その後、駆動回路45などを含む駆動手段が圧電素子41を駆動させる駆動信号を圧力室Cb1側の圧電素子41と圧力室Cb2側の圧電素子41とに出力することで、圧力室Cb1側の圧電素子41と圧力室Cb2側の圧電素子41とを同時に駆動させる。これにより、第1共通液室R1に供給されたインクがノズルNbから吐出される。また、第3部分Pb1に供給されるインクのうちノズルNbから吐出されないインクは、排出流路Rb2を経由して第2共通液室R2に供給される。以上の説明から理解されるとおり、第3部分Pb1はノズル流路Nfbの上流側の流路であり、第4部分Pb2はノズル流路Nfbの下流側の流路である。
【0058】
本実施形態の液体吐出ヘッド24は、インク吐出時にインクを循環させることで、ノズルNaおよびノズルNbの近傍のインクの増粘や成分の沈殿を抑制してインクの吐出特性の悪化を防止することができる。これにより、インクの吐出特性をほぼ一定にそろえることができ、吐出特性のバラつきを抑制してインクの吐出品質を向上させることができる。なお、前述した「吐出特性」とは、例えば、インクの吐出量または吐出速度である。
【0059】
図7は
図5および
図6のd-d線の断面図であり、
図8は
図5および
図6のc-c線の断面図である。
図5~
図7に示すように、d-d線の断面図においては、第1部分Pa1と第3部分Pb1とがY軸方向に沿って交互に並んでいる。また、
図5、
図6および
図8に示すように、c-c線の断面図においては、第2部分Pa2と第4部分Pb2とがY軸方向に沿って交互に並んでいる。
【0060】
図7および
図8に示すように、第1部分Pa1と第4部分Pb2は、Y軸方向における幅がW2であり、Z軸方向における幅がW9である。また、第2部分Pa2と第3部分Pb1は、Y軸方向における幅がW4であり、Z軸方向における幅がW10である。幅W4は幅W2と同一であり、幅W10は、幅W9よりも大きい。
【0061】
ここで、ノズル流路NfaをX軸方向から見たときの流路断面積は、第1部分Pa1ではW2×W9と小さいが、第2部分Pa2ではW4×W10と大きくなるため、ノズル流路Nfa全体の流路抵抗は比較的小さくなる。同様に、ノズル流路NfbをX軸方向から見たときの流路断面積は、第4部分Pb2ではW2×W9と小さいが、第3部分Pb1ではW4×W10と大きくなるため、ノズル流路Nfb全体の流路抵抗は比較的小さくなる。
【0062】
また、
図7のd-d線の断面に着目すると、Z軸方向における幅がW9である第1部分Pa1と、Z軸方向における幅がW9より長いW10である第3部分Pb1とが、Y軸方向において隣接するように設けられる。従って、
図7に示すように、範囲Eb1内には、第3部分Pb1は存在するが、第1部分Pa1は存在しない。換言すると、Y軸方向における幅がW10とW9との差分である範囲Eb2内にはY軸方向に互いに隣接する位置に流路が存在するが、範囲Eb1内にはY軸方向に隣接する位置に流路が存在しない。従って、範囲Eb1内の第3部分Pb1においてインクの流動に伴う振動が生じたとしても、Z軸方向に重なる位置に第1部分Pa1が存在しないため、当該振動が第1部分Pa1に伝わりにくくなり、ノズルNaの吐出に与える影響が少なくなる。即ち、構造クロストークが生じにくい。
図8のd-d線の断面についても同様に、範囲Ea1内の第2部分Pa2とZ軸方向に重なる位置に第4部分Pb2が存在しないため、範囲Ea1内の第2部分Pa2からの振動が第4部分Pb2に伝わりにくくなるため、構造クロストークが生じにくくなる。
【0063】
このように、本実施形態によれば、ノズル流路Nfaおよびノズル流路Nfbの流路抵抗の増加を抑制しつつ、構造クロストークを低減することが可能となる。
【0064】
1-1.比較例1
図9は、本発明の比較例に係る
図5および
図6のd-d線の断面図であり、
図10は当該比較例に係る
図5および
図6のc-c線の断面図である。比較例1では、第1部分Pa1と第4部分Pb2のZ軸方向における幅がW11であり、この点以外は、第1実施形態と同様である。幅W11は
図25に示すように幅W10と同一であり、
図7および
図8で示す幅W9よりも大きい。
【0065】
比較例1では、
図9のd-d線の断面からわかるように、Z軸方向における幅がW11である第1部分Pa1と第3部分Pb1とがY軸方向において隣接している。つまり、第1実施形態と異なり、Y軸方向に互いに隣接する位置に流路が設けられないような範囲Eb1が存在しない。一方で、互いに隣接する位置に流路が存在する範囲Eb2のY軸方向における幅は、第1実施形態では幅W10と幅W9との差分であるのに対し、比較例1ではW10となり大きくなる。従って、第3部分Pb1内で振動が生じた場合、第1部分Pa1に設けられたノズルNaの吐出に与える影響が大きくなる。即ち、構造クロストークが生じやすくなる。前述した構造クロストークが生じやすくなる原理は、
図10のc-c線の断面においても同様である。
【0066】
このように、液体吐出ヘッド24に比較例1に係る構成が採用された場合、構造クロストークが顕著に発生する虞がある。
【0067】
1-2.比較例2
図11は、本発明の他の比較例に係る
図5および
図6のd-d線の断面図であり、
図12は当該比較例に係る
図5および
図6のc-c線の断面図である。比較例2では、第2部分Pa2と第3部分Pb1のZ軸方向における幅がW12であり、この点以外は、第1実施形態と同様の構成である。幅W12は
図11に示すように幅W9と同一であり、
図7および
図8で示す幅W10よりも小さい。
【0068】
比較例2では、
図11および
図12からわかるように、ノズル流路NfaをX軸方向から見たときの流路断面積が、第1部分Pa1ではW2×W9となり、第2部分Pa2ではW4×W12となる。従って、第1部分Pa1および第2部分Pa2の流路断面積が小さくなるため、ノズル流路Nfa全体の流路抵抗が大きくなる。前述した原理により、流路抵抗が大きくなる点は、ノズル流路Nfbについても同様である。
【0069】
このように、比較例2では、流路抵抗が増大してしまうことがわかる。
【0070】
2.第2実施形態
図13は、第2実施形態に係る液体吐出ヘッド24をZ軸方向に見たときの液体吐出ヘッド24内の流路構造を示す模式図である。以下、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略または簡略化する。
【0071】
第2実施形態では、第1部分Pa1と第4部分Pb2のY軸方向における幅がW13であり、第2部分Pa2と第3部分Pb1のY軸方向における幅がW14である点以外は、第1実施形態と同様の構成である。幅W13は
図2で示す幅W2よりも大きく、幅W14は
図2で示す幅W4よりも小さい。
【0072】
第1実施形態では、ノズル流路Nfaについて、第2部分Pa2の流路断面積をある程度大きくすることでノズル流路Nfa全体の流路抵抗の増加を抑制することができるが、局所的にみると流路抵抗が大きくなる部分も生じる。つまり、第1部分Pa1では流路断面積が
図7に示すようにW2×W9と小さいため、第1部分Pa1での局所的な流路抵抗は多少大きくなってしまい、その部分が律速となりノズル流路Nfa全体の流路抵抗に対して影響を与える虞がある。
【0073】
そこで、第2実施形態では、第1部分Pa1および第4部分Pb2のY軸方向における幅W13を第1実施形態と比較して大きくする。これにより、第1部分Pa1および第4部分Pb2の流路抵抗を小さくすることができる。
【0074】
一方、第1部分Pa1および第4部分Pb2のY軸方向における幅を大きくするのみだと、例えば第1部分Pa1と第3部分Pb1との間の連通板33が薄くなり、構造クロストークが生じ易くなる。したがって、第2実施形態では、第2部分Pa2と第3部分Pb1のY軸方向における幅W14を第1実施形態と比較して小さくする。これにより、第1部分Pa1と第3部分Pb1との間の連通板33の厚さを第1実施形態と同程度にし、構造クロストークの発生を抑制できる。さらに、第2部分Pa2と第3部分Pb1はZ軸方向における幅がW10と大きいため、Y軸方向における幅をW14として多少小さくしたとしても局所的な流路抵抗はそれ程大きくならない。よって、第1実施形態に比べ、第2実施形態では局所的な流路抵抗の増加も抑制することができる。
【0075】
3.第3実施形態
図14は、第3実施形態に係る液体吐出ヘッド24をZ軸方向に見たときの液体吐出ヘッド24内の流路構造を示す模式図である。また、
図15は
図14のa-a線の断面であり、
図16は
図14のb-b線の断面図である。以下、第1および第2実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略または簡略化する。
【0076】
第3実施形態の液体吐出ヘッド24は、ノズルNaが個別流路Paの第2部分Pa2に設けられ、ノズルNbが個別流路Pbの第3部分Pb1に設けられる点で、第1実施形態と異なる。
【0077】
第3実施形態では、個別流路Paと個別流路Pbとが互いにZ軸を中心として180°反転させた関係となっており、さらに、Y軸方向から見た側面視(以下、側面視という)でノズル流路Nfaとノズル流路Nfbとが重なる。これにより、第1実施形態と同様に、個別流路Paの第2部分Pa2は、側面視で第4部分Pb2と完全に重なる部分と重ならない部分とを有する構成となる。さらに、個別流路Pbの第3部分Pb1は、側面視で第1部分Pa1と完全に重なる部分と重ならない部分とを有する構成となる。従って、第3実施形態の液体吐出ヘッド24においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0078】
4.第4実施形態
図17は第4実施形態に係る
図14のa-a線の断面図であり、
図18は第4実施形態に係る
図14のb-b線の断面図である。以下、第1~第3実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0079】
第4実施形態の液体吐出ヘッド24は、第2部分Pa2および第3部分Pb1の構成が第1実施形態と異なる。具体的には、第4実施形態の第2部分Pa2は、連通板33に設けられ、X軸方向に所定量延在する流路Pa21と、ノズルプレート31に設けられ、X軸方向に所定量延在する流路Pa22とから構成される。流路Pa22は、流路Pa21とノズルNaとの間においてノズルプレート31に設けられ、流路Pa21とノズルNaとに連通する。
同様に、第3実施形態の第3部分Pb1は、連通板33に設けられ、X軸方向に所定量延在する流路Pb11と、ノズルプレート31に設けられ、X軸方向の所定量延在する流路Pb12とから構成される。流路Pb12は、流路Pa11とノズルNbとの間においてノズルプレート31に設けられ、流路Pa11とノズルNbとに連通する。
【0080】
ここで、第4実施形態の液体吐出ヘッド24は、
図17に示すように、ノズルプレート31に流路Pa22が設けられる。これにより、ノズル流路Nfaから見て、Z1方向において圧力室Ca1および圧力室Ca2が位置する側を第1側、Z2方向においてノズルNaが位置する側を第2側としたとき、第1部分Pa1の第2側の流路壁面Sa7と、第2部分Pa2の第2側の流路壁面Sa8は、Z2方向において異なる位置にあり、第1部分Pa1の第1側の流路壁面Sa5と、第2部分Pa2の第1側の流路壁面Sa6は、Z1方向において同じ位置にある。
換言すると、第1部分Pa1は、流路壁面Sa5と流路壁面Sa7とを有する。Z1方向において、ノズルNaのインクが吐出する面と流路壁面Sa5との間に流路壁面Sa7が位置する。同様に、第2部分Pa2は、流路壁面Sa6と流路壁面Sa8とを有する。Z1方向において、ノズルNaのインクが吐出する面と流路壁面Sa6との間に流路壁面Sa8が位置する。
【0081】
また、ノズル流路Nfbから見て、Z1方向において圧力室Cb1および圧力室Cb2が位置する側を第1側、Z1方向においてノズルNbが位置する側を第2側としたとき、第3部分Pb1の第2側の流路壁面Sb7と、第4部分Pb2の第2側の流路壁面Sb8は、Z1方向において異なる位置にあり、第3部分Pb1の第1側の流路壁面Sb5と、第4部分Pb2の第1側の流路壁面Sb6は、Z1方向において同じ位置にある。
換言すると、第3部分Pb1は、流路壁面Sb5と流路壁面Sb7とを有する。Z1方向において、ノズルNbのインクが吐出する面と流路壁面Sb5との間に流路壁面Sb7が位置する。同様に、第4部分Pb2は、流路壁面Sb6と流路壁面Sb8とを有する。Z1方向において、ノズルNbのインクが吐出する面と流路壁面Sb6との間に流路壁面Sb8が位置する。
【0082】
第4実施形態では、個別流路Paと個別流路Pbとが互いにZ軸を中心として180°反転させた関係となっており、さらに、側面視でノズル流路Nfaとノズル流路Nfbとが重なる。この構成により、個別流路Paの第2部分Pa2における流路Pa21は、側面視で第4部分Pb2と完全に重なり、流路Pa22は側面視で第4部分Pb2とは重ならず、その全部がノズルプレート31に重なる。同様に、個別流路Pbの第3部分Pb1における流路Pb11は、側面視で第1部分Pa1と完全に重なり、流路Pb12は側面視で第1部分Pa1とは重ならず、その全部がノズルプレート31に重なる。
即ち、流路Pa22はZ1方向とY1方向とY2方向の3方向からノズルプレート31に覆われ、流路Pb12もZ1方向とY1方向とY2方向の3方向からノズルプレート31に覆われる。これにより、第4実施形態の液体吐出ヘッド24においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0083】
5.第5実施形態
図19は第5実施形態に係る
図14のa-a線の断面図であり、
図20は第5実施形態に係る
図14のb-b線の断面図である。以下、第1~第4実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0084】
第5実施形態の液体吐出ヘッド24は、第2部分Pa2および第3部分Pb1の構成が第1実施形態と異なる。具体的には、第5実施形態の第2部分Pa2は、流路Pa23と流路Pa24とから構成される。流路Pa23は、X軸方向において第1部分Pa1と第2連通流路Na2との間に位置し、X軸方向およびZ軸方向に所定量延在する流路である。流路Pa23は、第1部分Pa1と第2連通流路Na2とに連通する流路である。流路Pa24は、ノズルプレート31に設けられ、X軸方向に所定量延在する。流路Pa24は、流路Pa23とノズルNaとの間においてノズルプレート31に設けられ、流路Pa23とノズルNaとに連通する。
同様に、第5実施形態の第3部分Pb1は、流路Pb13と流路Pb14とから構成される。流路Pb13は、X軸方向において第4部分Pb2と第3連通流路Nb1との間に位置し、X軸方向およびZ軸方向に所定量延在する流路である。流路Pb13は、第4部分Pb2と第3連通流路Nb1とに連通する流路である。流路Pb14は、ノズルプレート31に設けられ、X軸方向に所定量延在する。流路Pb14は、流路Pb13とノズルNbとの間においてノズルプレート31に設けられ、流路Pb13とノズルNbとに連通する。
【0085】
第5実施形態の第2部分Pa2のZ1方向の幅W10は、第1部分Pa1のZ1方向の幅W9の3倍よりも大きい。同様に、第5実施形態の第3部分Pb1の幅W10は、第4部分Pb2の幅W9の3倍よりも大きい。
【0086】
第5実施形態では、個別流路Paと個別流路Pbとが互いにZ軸を中心として180°反転させた関係となっており、さらに、側面視でノズル流路Nfaとノズル流路Nfbとが重なる。これにより、個別流路Paの第2部分Pa2における流路Pa23は側面視で第4部分Pb2と完全に重なる部分と重かさならない部分とを有する構成となり、流路Pa24は側面視で第4部分Pb2と重ならず、その全部がノズルプレート31に重なる。
同様に、個別流路Pbの第3部分Pb1における流路Pb13は側面視で第1部分Pa1と完全に重なる部分と重かさならない部分とを有する構成となり、流路Pb14は側面視で第1部分Pa1と重ならず、その全部がノズルプレート31に重なる。これにより、第5実施形態の液体吐出ヘッド24においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0087】
6.第6実施形態
図21は、第6実施形態に係る液体吐出ヘッド24をZ軸方向に見たときの液体吐出ヘッド24内の流路構造を示す模式図である。また、
図22は
図21のa-a線の断面であり、
図23は
図21のb-b線の断面図である。以下、第1~第5実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明を省略または簡略化する。
【0088】
第6実施形態の液体吐出ヘッド24は、ノズルNaおよびノズルNbの設けられる位置が第1実施形態と異なる。具体的には、第6実施形態のノズルNaは、
図22に示すように、ノズルプレート31のX軸方向中央に設けられる。当該ノズルNaは、同図に示すように、第1部分Pa1のX1方向に位置する端部近傍に設けられる。同様に、第6実施形態のノズルNbは、
図23に示すように、ノズルプレート31のX軸方向中央に設けられる。当該ノズルNbは、同図に示すように、第4部分Pb2のX2方向に位置する端部近傍に設けられる。
【0089】
図21に示すように、第6実施形態の複数のノズルNaおよび複数のノズルNbの各々は、同一直線上に位置し、ノズル列Lを構成する。ノズル列Lは、Y軸に沿って直線上に配列する複数のノズルNaおよび複数のノズルNbの各々の集合である。ノズルNaとノズルNbは、
図21に示すように、X1方向において同じ位置に位置する。また、同図に示すように、ノズルNaとノズルNbとを含むノズルNはピッチθで配列する。ピッチθは、Y軸方向におけるノズルNaの中心とノズルNbの中心との間の距離である。
【0090】
第6実施形態では、個別流路Paと個別流路Pbとが互いにZ軸を中心として180°反転させた関係となっており、さらに、側面視でノズル流路Nfaとノズル流路Nfbとが重なる。これにより、第1実施形態と同様に、個別流路Paの第2部分Pa2は、側面視で第4部分Pb2と完全に重なる部分と重ならない部分とを有する構成となる。さらに、個別流路Pbの第3部分Pb1は、側面視で第1部分Pa1と完全に重なる部分と重ならない部分とを有する構成となる。従って、第6実施形態の液体吐出ヘッド24においても、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0091】
7.第7実施形態
図24は、第7実施形態に係る液体吐出ヘッド24をZ軸方向に見たときの液体吐出ヘッド24内の流路構造を示す模式図である。
図24に例示される通り、液体吐出ヘッド24のうち媒体11に対向する表面には複数のノズルN(Na,Nb)が形成される。複数のノズルNはY軸に沿って配列する。複数のノズルNの各々からZ軸方向にインクが吐出される。すなわち、Z軸は、各ノズルNからインクが吐出される方向に相当する。
【0092】
第7実施形態における複数のノズルNは、第1ノズル列Laと第2ノズル列Lbとに区分される。第1ノズル列Laは、Y軸に沿って直線状に配列する複数のノズルNaの集合である。同様に、第2ノズル列Lbは、Y軸に沿って直線状に配列する複数のノズルNbの集合である。第1ノズル列Laと第2ノズル列Lbとは、X軸方向に所定の間隔をあけて並設される。また、Y軸方向における各ノズルNaの位置と、Y軸方向における各ノズルNbの位置とは相違する。
図24に例示される通り、ノズルNaとノズルNbとを含む複数のノズルNがピッチ(周期)θで配列する。ピッチθは、Y軸方向におけるノズルNaとノズルNbとの中心間の距離である。
【0093】
図24に例示される通り、液体吐出ヘッド24には個別流路列25が設置される。個別流路列25は、相異なるノズルNに対応する複数の個別流路P(Pa,Pb)の集合である。複数の個別流路Pの各々は、当該個別流路Pに対応するノズルNに連通する流路である。各個別流路Pは、X軸に沿って延在する。個別流路列25は、Y軸に沿って並設された複数の個別流路Pにより構成される。なお、
図24においては各個別流路Pを便宜的に単純な直線として図示したが、各個別流路Pの実際の形状については後述する。
【0094】
各個別流路Pは圧力室C(Ca,Cb)を含む。各個別流路P内の圧力室Cは、当該個別流路Pに連通するノズルNから吐出されるインクを貯留する空間である。すなわち、圧力室C内のインクの圧力が変化することでノズルNからインクが吐出される。
【0095】
図24に例示される通り、液体吐出ヘッド24には第1共通液室R1と第2共通液室R2とが設置される。第1共通液室R1および第2共通液室R2の各々は、複数のノズルNが分布する範囲の全域にわたりY軸方向に延在する。平面視において、第1共通液室R1と第2共通液室R2との間に個別流路列25と複数のノズルNとが位置する。
【0096】
複数の個別流路Pは、第1共通液室R1に共通に連通する。具体的には、各個別流路PのうちX2方向に位置する端部E1が第1共通液室R1に連結される。また、複数の個別流路Pは、第2共通液室R2に共通に連通する。具体的には、各個別流路PのうちX1方向に位置する端部E2が第2共通液室R2に連結される。以上の説明から理解される通り、各個別流路Pは、第1共通液室R1と第2共通液室R2とを相互に連通させる。第1共通液室R1から各個別流路Pに供給されるインクが当該個別流路Pに対応するノズルNから吐出される。また、第1共通液室R1から各個別流路Pに供給されるインクのうちノズルNから吐出されない部分が第2共通液室R2に排出される。
【0097】
図24に例示される通り、第7実施形態の液体吐出装置100は、循環機構26を具備する。循環機構26は、各個別流路Pから第2共通液室R2に排出されるインクを第1共通液室R1に環流させる機構である。具体的には、循環機構26は、第1供給ポンプ261と第2供給ポンプ262と貯留容器263と循環流路264と供給流路265とを具備する。
【0098】
第1供給ポンプ261は、液体容器12に貯留されたインクを貯留容器263に供給するポンプである。貯留容器263は、液体容器12から供給されるインクを一時的に貯留するサブタンクである。循環流路264は、第2共通液室R2と貯留容器263とを連通させる流路である。貯留容器263には、液体容器12に貯留されたインクが第1供給ポンプ261から供給されるほか、各個別流路Pから第2共通液室R2に排出されたインクが循環流路264を介して供給される。第2供給ポンプ262は、貯留容器263に貯留されたインクを送出するポンプである。第2供給ポンプ262から送出されたインクは、供給流路265を介して第1共通液室R1に供給される。
【0099】
個別流路列25の複数の個別流路Pは、複数の個別流路Paと複数の個別流路Pbとを含む。複数の個別流路Paの各々は、第1ノズル列Laの1個のノズルNaに連通する個別流路Pである。複数の個別流路Pbの各々は、第2ノズル列Lbの1個のノズルNbに連通する個別流路Pである。個別流路Paと個別流路Pbとは、Y軸に沿って交互に配列する。すなわち、個別流路Paと個別流路PbとはY軸方向に隣り合う。
【0100】
以上の説明から理解される通り、第1ノズル列Laの相異なるノズルNaに対応する複数の圧力室Caは、Y軸に沿って直線状に配列する。同様に、第2ノズル列Lbの相異なるノズルNbに対応する複数の圧力室Cbは、Y軸に沿って直線状に配列する。複数の圧力室Caの配列と複数の圧力室Cbの配列とは、X軸方向に所定の間隔をあけて並設される。Y軸方向における各圧力室Caの位置と、Y軸方向における各圧力室Cbの位置とは相違する。
【0101】
第7実施形態に係る液体吐出ヘッド24の具体的な構成を以下に詳述する。
図25は、
図24のa-a線の断面図であり、
図26は、
図24のb-b線の断面図である。個別流路Paを通過する断面が
図25に図示され、個別流路Pbを通過する断面が
図26に図示される。
【0102】
図25および
図26に例示される通り、液体吐出ヘッド24は、流路構造体30と複数の圧電素子41と筐体部42と保護基板43と配線基板44とを具備する。流路構造体30は、第1共通液室R1と第2共通液室R2と複数の個別流路Pと複数のノズルNとを含む流路が内部に形成された構造体である。
【0103】
流路構造体30は、ノズルプレート31と連通板33と圧力室基板34と振動板35とが、Z1方向に以上の順番で積層された構造体である。流路構造体30を構成する各部材は、例えば半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造される。
【0104】
ノズルプレート31には複数のノズルNが形成される。複数のノズルNの各々は、インクを通過させる円形状の貫通孔である。第1実施形態のノズルプレート31は、Z2方向に位置する表面Fa1とZ1方向に位置する表面Fa2とを含む板状部材である。
【0105】
図27は、任意の1個のノズルNを拡大した断面図である。
図27に例示される通り、1個のノズルNは第1区間n1と第2区間n2とを含む。第1区間n1は、ノズルNのうちインクが吐出される開口を含む区間である。すなわち、第1区間n1は、ノズルプレート31の表面Fa1に連続する区間である。他方、第2区間n2は、第1区間n1と個別流路Pとの間の区間である。すなわち、第2区間n2は、ノズルプレート31の表面Fa2に連続する区間である。第2区間n2は第1区間n1よりも大径である。
【0106】
図25および
図26で示される連通板33は、Z2方向に位置する表面Fc1とZ1方向に位置する表面Fc2とを含む板状部材である。
【0107】
圧力室基板34は、Z2方向に位置する表面Fd1とZ1方向に位置する表面Fd2とを含む板状部材である。振動板35は、Z2方向に位置する表面Fe1とZ1方向に位置する表面Fe2とを含む板状部材である。
【0108】
流路構造体30を構成する各部材は、Y軸方向に長尺な矩形状に成形され、例えば接着剤により相互に接合される。例えば、ノズルプレート31の表面Fa2は連通板33の表面Fc1に接合される。また、連通板33の表面Fc2は圧力室基板34の表面Fd1に接合され、圧力室基板34の表面Fd2は振動板35の表面Fe1に接合される。
【0109】
連通板33には、空間O12と空間O22とが形成される。空間O12および空間O22の各々は、Y軸方向に長尺な開口である。連通板33の表面Fc1には、空間O12を閉塞する吸振体361と空間O22を閉塞する吸振体362とが設置される。吸振体361および吸振体362は、弾性材料で形成された層状部材である。
【0110】
筐体部42は、インクを貯留するためのケースである。連通板33の表面Fc2に筐体部42が接合される。筐体部42には、空間O12に連通する空間O13と、空間O22に連通する空間O23とが形成される。空間O13および空間O23の各々は、Y軸方向に長尺な空間である。空間O12と空間O13とは、相互に連通することで第1共通液室R1を構成する。同様に、空間O22と空間O23とは、相互に連通することで第2共通液室R2を構成する。吸振体361は、第1共通液室R1の壁面を構成し、第1共通液室R1内のインクの圧力変動を吸収する。吸振体362は、第2共通液室R2の壁面を構成し、第2共通液室R2内のインクの圧力変動を吸収する。
【0111】
筐体部42には供給口421と排出口422とが形成される。供給口421は、第1共通液室R1に連通する管路であり、循環機構26の供給流路265に連結される。第2供給ポンプ262から供給流路265に送出されたインクは、供給口421を経由して第1共通液室R1に供給される。他方、排出口422は、第2共通液室R2に連通する管路であり、循環機構26の循環流路264に連結される。第2共通液室R2内のインクは排出口422を経由して循環流路264に供給される。
【0112】
圧力室基板34には複数の圧力室C(Ca,Cb)が形成される。各圧力室Cは、連通板33の表面Fc2と振動板35の表面Fe1との間隙である。各圧力室Cは、平面視でX軸に沿う長尺状に形成される。
【0113】
振動板35は、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板35は、例えば、酸化シリコン(SiO2)の第1層と、酸化ジルコニウム(ZrO2)の第2層との積層で構成される。なお、所定厚の板状部材のうち圧力室Cに対応する領域について厚さ方向の一部を選択的に除去することで、振動板35と圧力室基板34とを一体に形成してもよい。また、振動板35を単層で形成してもよい。
【0114】
振動板35の表面Fe2には、相異なる圧力室Cに対応する複数の圧電素子41が設置される。各圧力室Cに対応する圧電素子41は、平面視で当該圧力室Cに重なる。具体的には、各圧電素子41は、相互に対向する第1電極および第2電極と、両電極間に形成された圧電体層との積層により構成される。各圧電素子41は、圧力室C内のインクの圧力を変動させることで当該圧力室C内のインクをノズルNから吐出させるエネルギー生成素子である。すなわち、駆動信号の供給により圧電素子41が変形することで振動板35が振動し、振動板35の振動により圧力室Cが膨張および収縮することでノズルNからインクが吐出される。圧力室C(Ca,Cb)は、個別流路Pのうち、圧電素子41の変形により振動板35が振動する範囲として画定される。
【0115】
保護基板43は、振動板35の表面Fe2に設置された板状部材であり、複数の圧電素子41を保護するとともに振動板35の機械的な強度を補強する。保護基板43と振動板35との間に複数の圧電素子41が収容される。また、振動板35の表面Fe2には配線基板44が実装される。配線基板44は、制御ユニット21と液体吐出ヘッド24とを電気的に接続するための実装部品である。例えばFPC(Flexible Printed Circuit)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板44が好適に利用される。配線基板44には、各圧電素子41に駆動信号を供給するための駆動回路45が実装される。
【0116】
次に、個別流路Pの詳細な構成について述べる。個別流路Paの形状と個別流路Pbの形状とは、平面視において、Z軸に平行な対称軸を中心とした回転対称な関係にある。
【0117】
個別流路Paは、
図25に示すように、供給流路Ra1と、圧力室Ca1と、第1連通流路Na1と、ノズル流路Nfaと、第2連通流路Na2と、横連通流路Cq1と、排出流路Ra2とを有する。個別流路Paは、これらの要素が一体的に構成された流路であり、前述した要素が前述した順番に連結された流路である。
【0118】
供給流路Ra1は、連通板33に形成された空間である。具体的には、供給流路Ra1は、
図25に示すように、第1共通液室R1を構成する空間O12から連通板33の表面Fc2までZ軸に沿って延在する。供給流路Ra1の空間O12に連結される端部が個別流路Paの端部E1である。供給流路Ra1は圧力室Ca1に連通し、第1共通液室R1から供給されたインクを圧力室Ca1へ導く流路である。供給流路Ra1は、「第1個別供給流路」の一例である。
【0119】
第1連通流路Na1は、
図25に示すように、連通板33を貫通する空間である。第1連通流路Na1は、Z軸に沿う流路である。第1連通流路Na1はZ1方向に延在し、圧力室Ca1とノズル流路Nfaとに連通する。第1連通流路Na1は、圧力室Ca1から押し出されたインクをノズル流路Nfaへ導く流路である。
【0120】
ノズル流路Nfaは連通板33に設けられ、X軸方向に延在する流路である。ノズル流路Nfaは、
図25に示すように、第1部分Pa1と、第2部分Pa2とに区分される。第1部分Pa1は、X軸方向において第1連通流路Na1と第2部分Pa2との間に位置し、X軸方向に延在する流路である。第2部分Pa2は、X軸方向において第1部分Pa1と第2連通流路Na2との間に位置し、X軸方向に延在する流路である。ノズルNaは第1部分Pa1に設けられる。
【0121】
ここで、第1部分Pa1のZ軸方向の幅h1は、第2部分Pa2のZ軸方向の幅h2よりも小さい。また、第1部分Pa1のX1方向の幅W1は、
図25に示すように、第2部分Pa2のX1方向の幅W3よりも大きい。
【0122】
第2連通流路Na2は、連通板33に設けられた空間である。第2連通流路Na2は、Z軸に沿う流路である。第2連通流路Na2はZ1方向に延存し、横連通流路Cq1とノズル流路Nfaとに連通する。第2連通流路Na2は、第2部分Pa2から供給されたインクを横連通流路Cq1へ導く流路である。
【0123】
横連通流路Cq1は、連通板33に設けられた空間である。横連通流路Cq1は、X軸に沿う長尺な流路である。横連通流路Cq1はX1方向に延存し、第2連通流路Na2と排出流路Ra2とに連通する。横連通流路Cq1は、第2連通流路Na2から導かれたインクを排出流路Ra2へ導く流路である。
【0124】
排出流路Ra2は、連通板33に形成された空間である。排出流路Ra2の空間O22に連結される端部が個別流路Paの端部E2である。排出流路Ra2は横連通流路Cq1に連通し、横連通流路Cq1から導かれたインクを第2共通液室R2へ導く流路である。排出流路Ra2は、「第1個別排出流路」の一例である。
【0125】
個別流路Pbは、
図26に示すように、供給流路Rb1と、横連通流路Cq2と、第3連通流路Nb1と、ノズル流路Nfbと、第4連通流路Nb2と、圧力室Cb1と、排出流路Rb2とを有する。個別流路Pbは、これらの要素が一体的に構成された流路であり、前述した要素が前述した順番に連結された流路である。
【0126】
供給流路Rb1は、連通板33に形成された空間である。供給流路Rb1の空間O12に連結される端部が個別流路Pbの端部E1である。供給流路Rb1は横連通流路Cq2に連通し、第1共通液室R1から供給されたインクを横連通流路Cq2へ導く流路である。供給流路Rb1は、「第2個別供給流路」の一例である。
【0127】
横連通流路Cq2は、連通板33に設けられた空間である。横連通流路Cq2は、X軸に沿う長尺な流路である。横連通流路Cq2はX1方向に延存し、供給流路Rb1と第3連通流路Nb1とに連通する。横連通流路Cq1は、供給流路Rb1から導かれたインクを第3連通流路Nb1へ導く流路である。
【0128】
第3連通流路Nb1は、
図26に示すように、連通板33に設けられた空間である。第3連通流路Nb1は、Z軸に沿う流路である。第3連通流路Nb1はZ1方向に延在し、横連通流路Cq2とノズル流路Nfbとに連通する。第3連通流路Nb1は、横連通流路Cq2から導かれたインクをノズル流路Nfbへ導く流路である。
【0129】
ノズル流路Nfbは連通板33に設けられ、X軸方向に延在する流路である。ノズル流路Nfbは、
図26に示すように、第3部分Pb1と、第4部分Pb2とに区分される。第3部分Pb1は、X軸方向において第3連通流路Nb1と第4部分Pb2との間に位置し、X軸方向に延在する流路である。第4部分Pb2は、X軸方向において第3部分Pb1と第4連通流路Nb2との間に位置し、X軸方向に延在する流路である。ノズルNbは第4部分Pb2に設けられる。
【0130】
ここで、第3部分Pb1のZ軸方向の幅h2は、第4部分Pb2のZ軸方向の幅h1よりも大きい。また、第3部分Pb1のX1方向の幅W5は、
図26に示すように、第4部分Pb2のX1方向の幅W7よりも小さい。
【0131】
第4連通流路Nb2は、連通板33を貫通する空間である。第4連通流路Nb2は、Z軸に沿う流路である。第4連通流路Nb2はZ1方向に延存し、圧力室Cb1とノズル流路Nfbとに連通する。第4連通流路Nb2は、ノズル流路Nfbから供給されたインクを圧力室Cb1へ導く流路である。
【0132】
排出流路Rb2は、連通板33に形成された空間である。具体的には、排出流路Rb2は、
図26に示すように、第2共通液室R2を構成する空間O22から連通板33の表面Fc2までZ軸に沿って延在する。排出流路Rb2の空間O22に連結される端部が個別流路Pbの端部E2である。排出流路Rb2は圧力室Cb1に連通し、圧力室Cb1から押し出されたインクを第2共通液室R2へ導く流路である。排出流路Rb2は、「第2個別排出流路」の一例である。
【0133】
図25、
図26において、互いに隣接する個別流路Paと個別流路Pbについて、個別流路Paの圧力室Ca1や横連通流路Cq1にはY軸方向の隣接する位置に流路が存在しない。また、個別流路Pbの圧力室Cb1や横連通流路Cq2にもY軸方向の隣接する位置に流路が存在しない。よって、第6実施形態に比べて、ピッチθを小さくしたとしても、構造クロストークが発生しにくい。したがって、ピッチθを小さくし、Z軸方向におけるノズル解像度を高くすることができ、高画質画像を記録することができる。なお、本実施形態では第1連通流路Na1と第3連通流路Nb1がX軸方向に同じ位置に位置する場合について記載したが、これらをX軸方向に異なる位置に設けても良い。第2連通流路Na2と第4連通流路Nb2についても同様である。これらの位置を異ならせることにより、第1連通流路Na1と第3連通流路Nb1との間、および、第2連通流路Na2と第4連通流路Nb2との間での構造クロストークを発生しにくくすることができるため、ピッチθをより小さくすることが可能となる。
【0134】
ここで、上述のように、本実施形態ではノズル流路NfaにZ軸方向における幅が小さい第1部分Pa1と当該幅が大きい第2部分Pa2とが設けられる。また、ノズル流路NfbにもZ軸方向における幅が大きい第3部分Pb1と当該幅が小さい第4部分Pb2とが設けられる。そして、第1部分Pa1と第3部分Pb1とがX軸方向において少なくとも一部が重ならないようにしてノズル流路Nfaおよびノズル流路Nfbが設けられる。これにより、上述の各実施形態と同じように、流路抵抗の増加を抑制しつつ構造クロストークの発生を低減できる。
【0135】
8.他の実施形態
液体吐出ヘッド24は、前述の第1実施形態から第7実施形態で例示した構成に限定されない。液体吐出ヘッド24は、第1実施形態から第7実施形態で例示された構成のうちから任意の選択された2以上の構成が相互に矛盾しない範囲で組み合わされた構成であってもよい。
【0136】
9.変形例
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく種々の変更を加え得る。前述の態様に付与され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0137】
(1)
図28は、変形例に係る液体吐出ヘッド24をZ軸方向に見たときの液体吐出ヘッド24内の流路構造を示す模式図である。また、
図29は
図28のa-a線の断面図であり、
図30は
図28のb-b線の断面図である。
【0138】
液体吐出ヘッド24は、上述した各実施形態に示す構成に限定されず、例えば、ノズル流路Nfaの第1部分Pa1が第2連通流路Na2に連通し、第2部分Pa2は第1連通流路Na1に連通する構成であってもよい。同様に、ノズル流路Nfbの第3部分Pb1が第2連通流路Na2に連通し、第4部分Pb2が第1連通流路Na1に連通する構成であってもよい。
【0139】
(2)圧力室C内のインクの圧力を変化させるエネルギー生成素子は、前述の形態で例示した圧電素子41に限定されない。例えば、加熱により圧力室Cの内部に気泡を発生させることでインクの圧力を変動させる発熱素子をエネルギー生成素子として利用してもよい。発熱素子をエネルギー生成素子として利用する構成においては、個別流路Pのうち、発熱素子による加熱で気泡が発生する範囲が圧力室Cとして画定される。
【0140】
(3)前述の形態では、液体吐出ヘッド24を搭載した搬送体231を往復させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体11の全幅にわたり分布するライン方式の液体吐出装置にも本発明は適用される。
【0141】
(4)前述の形態では、第1部分Pa1のX1方向の幅W1が、第2部分Pa2のX1方向の幅W3よりも大きい場合について記載したが、本発明は必ずしも上記の場合に限られない。変形例として、第1部分Pa1のX1方向の幅W1が、第2部分Pa2のX1方向の幅W3よりも小さくてもよい。また、第4部分Pb2のX1方向の幅W7が、第3部分Pb1のX1方向の幅W5よりも小さくてもよい。その場合、W1=W7且つW3=W5であってもよい。前述の形態のように、W1>W3且つW7>W5であれば、第1部分Pa1と第4部分Pb2とがX軸方向に重なる部分が全くないため、構造クロストークの影響を大きく低減することができる。これに対し、本変形例にてW1<W3且つW7<W5とした場合、ノズル流路Nfaおよびノズル流路NfbのX軸方向中央領域で、第1部分Pa1と第4部分Pb2とがX軸方向で一部重なるため、前述の形態よりは構造クロストークの影響が生じる虞がある。しかし、第2部分Pa2と第3部分Pb1とが設けられている以上、
図9および
図10を用いて説明したような系に比べると構造クロストークの影響を小さくできる。また、本変形例では、前述の形態よりも第1部分Pa1および第4部分Pb2のX軸方向の距離を長くできるので、前述の形態に比べて流路抵抗を小さくすることができる。
【0142】
10.補足
液体吐出装置100は上述した実施形態に示す構成に限定されず、例えば、上述の各実施形態で例示された構成以外のインクを循環する一般的な液体吐出装置であってもよい。さらに、上述の各実施形態で例示した液体吐出装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用されてもよく、本発明の用途は特に限定されない。もっとも、液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を噴出する液体噴出装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
【0143】
加えて、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0144】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0145】
11.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0146】
なお、本願において、要素Aと要素Bとが特定の方向に見て「重なる」とは、当該方向に沿ってみた場合に、要素Aの少なくとも一部と要素Bの少なくとも一部とが相互に重複することを意味する。要素Aの全部と要素Bの全部とが相互に重なる必要はなく、要素Aの少なくとも一部と要素Bの少なくとも一部とが重なれば、「要素Aと要素Bとは重なる」と解釈される。
【0147】
本開示のひとつの態様(態様1)に係る液体吐出ヘッドは、第1方向に延在し、液体に圧力を付与する第1圧力室と、前記第1方向に延在し、液体に圧力を付与する第2圧力室と、前記第1方向に延在し、液体を吐出する第1ノズルが設けられる第1ノズル流路と、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第1連通流路と、前記第2方向に延在し、前記第2圧力室と前記第1ノズル流路とに連通する第2連通流路と、を具備し、前記第1ノズル流路は、前記第1ノズル流路の一端部を含む第1部分と、前記第1ノズル流路の他端部を含む第2部分と、を有し、前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅よりも大きい。この態様によれば、第1ノズル流路の流路抵抗の増加を抑制しつつ、構造クロストークを低減することが可能となる。
【0148】
態様1の具体例(態様2)によれば、前記第1方向に延在し、液体に圧力を付与する第3圧力室と、前記第1方向に延在し、液体に圧力を付与する第4圧力室と、前記第1方向に延在し、液体を吐出する第2ノズルが設けられる第2ノズル流路と、前記第2方向に延在し、前記第3圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第3連通流路と、前記第2方向に延在し、前記第4圧力室と前記第2ノズル流路とに連通する第4連通流路と、をさらに具備し、前記第2ノズル流路は、前記第2ノズル流路の一端部を含む第3部分と、前記第2ノズル流路の他端部を含む第4部分と、を有し、前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第3部分の前記第2方向における幅よりも小さい。この態様によれば、第1ノズル流路および第2ノズル流路の流路抵抗の増加を抑制しつつ、構造クロストークを低減することが可能となる。
【0149】
態様2の具体例(態様3)によれば、前記第1ノズルと前記第2ノズルは、前記第1方向において同じ位置に位置する。
【0150】
態様3の具体例(態様4)によれば、前記第1ノズル流路と前記第2ノズル流路は、前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に隣接する。
【0151】
態様2から態様4のいずれかの具体例(態様5)によれば、前記第1部分と前記第3部分は、前記第1方向において、少なくとも一部が重なり、前記第2部分と前記第4部分は、前記第1方向において、少なくとも一部が重なる。この態様によれば、第3部分においてインクの流動に伴う振動が生じたとしても、第3部分と第3方向に重なる位置に第1部分が存在しないため、当該振動が第1部分に伝わりにくくなり、第1ノズルの吐出に与える影響が少なくなる。即ち、構造クロストークが生じにくい。同様に、第2部分Pa2と第3方向に重なる位置に第4部分Pb2が存在しないため、第2部分Pa2からの振動が第4部分Pb2に伝わりにくくなるため、構造クロストークが生じにくくなる。
【0152】
態様5の具体例(態様6)によれば、前記第3部分は、前記第1方向において全てが前記第1部分と重なり、前記第2部分は、前記第1方向において全てが前記第4部分と重なる。
【0153】
態様2から態様6のいずれかの具体例(態様7)によれば、前記第4部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅と同じである。
【0154】
態様2から態様7のいずれかの具体例(態様8)によれば、前記第3部分の前記第2方向における幅は、前記第2部分の前記第2方向における幅と同じである。
【0155】
態様2から態様8のいずれかの具体例(態様9)によれば、前記第3部分の前記第1方向における幅は、前記第2部分の前記第1方向における幅と同じであり、前記第4部分の前記第1方向における幅は、前記第1部分の前記第1方向における幅と同じである。
【0156】
態様2から態様9のいずれかの具体例(態様10)によれば、前記第1圧力室に連通し、前記第1圧力室に液体を供給する第1個別供給流路と、前記第3圧力室に連通し、前記第3圧力室に液体を供給する第2個別供給流路と、前記第1個別供給流路と前記第2個別供給流路に共通に液体を供給する共通供給流路と、前記第2圧力室に連通し、前記第2圧力室から液体が排出される第1個別排出流路と、前記第4圧力室に連通し、前記第4圧力室から液体が排出される第2個別排出流路と、前記第1個別排出流路と前記第2個別排出流路から共通に液体が排出される共通排出流路と、をさらに具備する。
【0157】
態様10の具体例(態様11)によれば、前記第1部分は、前記第1連通流路と連通し、前記第2部分は、前記第2連通流路と連通する。
【0158】
態様10の具体例(態様12)によれば、前記第1部分は、前記第2連通流路と連通し、前記第2部分は、前記第1連通流路と連通する。
【0159】
態様1から態様12のいずれかの具体例(態様13)によれば、前記第2部分の前記第2方向における幅は、前記第1部分の前記第2方向における幅の3倍よりも大きい。
【0160】
態様1から態様13のいずれかの具体例(態様14)によれば、前記第2部分の前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向における幅は、前記第1部分の前記第3方向における幅よりも小さい。
【0161】
態様1から態様14のいずれかの具体例(態様15)によれば、前記第1ノズル流路から見て、前記第2方向において前記第1圧力室および前記第2圧力室が位置する側を第1側、前記第2方向において前記第1ノズルが位置する側を第2側としたとき、前記第1部分の前記第2側の流路壁面と、前記第2部分の前記第2側の流路壁面は、前記第2方向において同じ位置にあり、前記第1部分の前記第1側の流路壁面と、前記第2部分の前記第1側の流路壁面は、前記第2方向において異なる位置にある。
【0162】
態様1から態様14のいずれかの具体例(態様16)によれば、前記第1ノズル流路から見て、前記第2方向において前記第1圧力室および前記第2圧力室が位置する側を第1側、前記第2方向において前記第1ノズルが位置する側を第2側としたとき、前記第1部分の前記第2側の流路壁面と、前記第2部分の前記第2側の流路壁面は、前記第2方向において異なる位置にあり、前記第1部分の前記第1側の流路壁面と、前記第2部分の前記第1側の流路壁面は、前記第2方向において同じ位置にある。
【0163】
態様1から態様16のいずれかの具体例(態様17)によれば、前記第2部分の前記第1方向における幅は、前記第1部分の前記第1方向における幅よりも小さい。
【0164】
態様1から態様16のいずれかの具体例(態様18)によれば、前記第2部分の前記第1方向における幅は、前記第1部分の前記第1方向における幅よりも大きい。
【0165】
態様1から態様18のいずれかの具体例(態様19)によれば、前記第1ノズルは、前記第1部分に設けられる。
【0166】
態様1から態様18のいずれかの具体例(態様20)によれば、前記第1ノズルは、前記第2部分に設けられる。
【0167】
態様1から態様20のいずれかの具体例(態様21)によれば、駆動電圧が印可されることで前記第1圧力室内の液体に圧力を付与するためのエネルギーを生成する第1エネルギー生成素子と、駆動電圧が印可されることで前記第2圧力室内の液体に圧力を付与するためのエネルギーを生成する第2エネルギー生成素子と、をさらに具備する。
【0168】
本開示のひとつの態様(態様22)に係る液体吐出装置は、態様1から態様21のいずれかの液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドの吐出動作を制御する制御部とを具備する。
【符号の説明】
【0169】
41…圧電素子、264…循環流路、供給流路…265、圧力室…C,Ca,Cb,Ca1,Ca2,Cb1,Cb2、Na1…第1連通流路、Na2…第2連通流路、Nb1…第3連通流路、Nb2…第4連通流路、Nfa,Nfb…ノズル流路、Pa1…第1部分、Pa2…第2部分、Pb1…第3部分、Pb2…第4部分、Ra1…第1供給流路、Ra2…第1排出流路、Rb1…第2供給流路、Rb2…第2排出流路。