(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20240326BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A01M1/20 A
A01M1/00 L
(21)【出願番号】P 2020028179
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3182524(JP,U)
【文献】特開平10-025202(JP,A)
【文献】特開2017-099290(JP,A)
【文献】特開2002-209407(JP,A)
【文献】特開2019-009600(JP,A)
【文献】特開2016-022766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0353636(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/20
A01M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(T・R)を殺菌又は殺虫消毒する殺菌/殺虫装置(S1,S2)を装備し、
車両の走行車輪(1,2)を備える機体後部にロータリ耕耘装置(R)を装着し、
ロータリ耕耘装置(R)は、ロータリ軸(12)と、ロータリ軸(12)に固定された爪フォルダー(13)と、爪フォルダー(13)に固定された耕耘爪(14)を備え、
走行車輪(1,2)の上部を覆うフェンダー(6,7)を設け、
薬液を貯留する薬液タンクを機体に設け、
前記薬液タンク内の薬液をポンプにより、フェンダー(6,7)内とロータリ耕耘装置内とに散布する消毒液散布装置(S2)を装備し、
ロータリ軸(12)が回転中にロータリ耕耘装置(R)内に薬液を散布することを可能としたことを特徴とする
トラクタ。
【請求項2】
前記薬液タンク内の薬液を、第一の散布パイプ(20)及びノズル(18)を介してフェンダー(6,7)内に散布し、第二の散布パイプ(22)を介して前記ロータリ耕耘装置(R)内に散布することを特徴とする請求項1記載の
トラクタ。
【請求項3】
ロータリ軸(12)を薬液が通過可能な中空パイプで形成するとともに第二の散布パイプ(22)と連通させ、ロータリ軸(12)に固定された爪フォルダー(13)の底部に貫通孔を設けてロータリ軸(12)の中空部と連通させ、
耕耘爪(14)を中空とし、その耕耘爪(14)の基部の中空部を爪フォルダー(13)底部の貫通孔と連通させ、
耕耘爪(14)の回転方向の背面側に中空部に連通する孔を形成して、該孔から薬液を散布することを特徴とする請求項1記載又は請求項2記載の
トラクタ。
【請求項4】
前記
薬液タンクをロータリ耕耘装置(R)の上方に設け、
ロータリ耕耘装置(R)はメインフレーム(9)と、ロータリ軸(12)へ伝動する伝動ケース(10)を備え、前記ポンプは伝動ケース(10)からの駆動力をクラッチ機構で入り切りする構成とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
トラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦者や作業者が搭乗して走行し各種作業を行なう作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の作業車両としては、操縦者が搭乗して走行し圃場に薬剤を散布する薬剤散布作業車両がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の薬剤散布作業車両によれば、圃場の菌/害虫等は薬剤散布装置で殺菌/殺虫することができる。しかしながら、圃場に来るまでに作業車両の車輪に付着した菌/害虫等を圃場に持ち込んでしまって、悪質な菌/害虫等が繁殖してしまう恐れがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、車両に付着した菌/害虫等を作業域(圃場等)に持ち込むことを防止した作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
車両(T・R)を殺菌又は殺虫消毒する殺菌/殺虫装置(S1,S2)を装備し、
車両の走行車輪(1,2)を備える機体後部にロータリ耕耘装置(R)を装着し、
ロータリ耕耘装置(R)は、ロータリ軸(12)と、ロータリ軸(12)に固定された爪フォルダー(13)と、爪フォルダー(13)に固定された耕耘爪(14)を備え、
走行車輪(1,2)の上部を覆うフェンダー(6,7)を設け、
薬液を貯留する薬液タンクを機体に設け、
前記薬液タンク内の薬液をポンプにより、フェンダー(6,7)内とロータリ耕耘装置内とに散布する消毒液散布装置(S2)を装備し、
ロータリ軸(12)が回転中にロータリ耕耘装置(R)内に薬液を散布することを可能としたことを特徴とするトラクタである。
第2の本発明は、
前記薬液タンク内の薬液を、第一の散布パイプ(20)及びノズル(18)を介してフェンダー(6,7)内に散布し、第二の散布パイプ(22)を介して前記ロータリ耕耘装置(R)内に散布することを特徴とする第1の本発明のトラクタである。
第3の本発明は、
ロータリ軸(12)を薬液が通過可能な中空パイプで形成するとともに第二の散布パイプ(22)と連通させ、ロータリ軸(12)に固定された爪フォルダー(13)の底部に貫通孔を設けてロータリ軸(12)の中空部と連通させ、
耕耘爪(14)を中空とし、その耕耘爪(14)の基部の中空部を爪フォルダー(13)底部の貫通孔と連通させ、
耕耘爪(14)の回転方向の背面側に中空部に連通する孔を形成して、該孔から薬液を散布することを特徴とする第1又は第2の本発明のトラクタである。
第4の本発明は、
前記薬液タンクをロータリ耕耘装置(R)の上方に設け、
ロータリ耕耘装置(R)はメインフレーム(9)と、ロータリ軸(12)へ伝動する伝動ケース(10)を備え、前記ポンプは伝動ケース(10)からの駆動力をクラッチ機構で入り切りする構成とすることを特徴とする第1から第3のいずれかの本発明のトラクタである。
本発明に関連する第1の発明は、車両T・Rを殺菌又は殺虫消毒する殺菌/殺虫装置S1,S2を装備した作業車両である。
【0007】
本発明によれば、車両T・Rを殺菌又は殺虫消毒して作業域Hに菌又は害虫を持ち込むことを防止できる。特に、ロータリ耕耘装置(R)や圃場を殺菌又は殺虫消毒できる。
本発明に関連する第1の発明によれば、車両T・Rを殺菌又は殺虫消毒する殺菌/殺虫装置S1,S2を装備しているので、車両T・Rを殺菌又は殺虫消毒して作業域Hに菌又は害虫を持ち込むことを防止できる。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、殺菌/殺虫装置S1,S2が、車両T・Rの走行車輪1,2を殺菌又は殺虫消毒する本発明に関連する第1の発明の作業車両である。
【0009】
本発明に関連する第2の発明によれば、直接走行路や圃場に接する走行車輪1,2を殺菌又は殺虫消毒するので、効率的に作業域Hに菌又は害虫を持ち込むことを防止することができる。
【0010】
本発明に関連する第3の発明は、殺菌/殺虫装置S1,S2が、紫外線により殺菌消毒する発光消毒装置S1又は消毒液により殺菌/殺虫消毒する消毒液散布装置S2である本発明に関連する第1又は2の発明の作業車両である。
【0011】
本発明に関連する第4の発明は、トラクタTに作業装置Rを装着した本発明に関連する第1~3のいずれかの発明の作業車両である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態にかかる、トラクタTの後部にロータリ耕耘装置Rを装着した作業車両の全体斜視図である。
【
図2】同トラクタTの後輪部分の要部側面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態(1)の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を、作業車両としての後部に作業装置としてロータリ耕耘装置Rを装着したトラクタTに適用した例を図面に基づいて説明する。
【0014】
(全体構成)
図1に示すように、トラクタTの後部に三点リンク機構を介してロータリ耕耘装置Rを装着し、油圧装置(油圧シリンダ)にて三点リンク機構を昇降動させることによりロータリ耕耘装置Rは上下昇降自在である。
【0015】
紫外線により走行車輪としての前輪1及び後輪2を殺菌消毒する消毒装置としての発光消毒装置S1と、消毒液により前輪1、後輪2及びステップ3を殺菌/殺虫消毒する消毒液散布装置S2とを装備している。なお、消毒液散布装置S2は、ロータリ耕耘装置Rにて作業域としての耕耘される圃場Hも消毒する。
【0016】
(トラクタ)
トラクタTは、機体前部のボンネット4内にエンジンを搭載し、該エンジンの駆動力をトランスミッションにて変速して、機体上のキャビン5内に設けたステアリングハンドルの操作にて左右操舵される左右前輪1と左右後輪2を回転駆動して、走行する。
【0017】
左右前輪1の上方及び側方上部を覆う左右前部フェンダー6が、機体側に固定されて設けられている。なお、左右前部フェンダー6は、左右前輪1の左右操舵と一体に向きを変えるように左右前輪1側のケースに設けても良い。
【0018】
左右後輪2の上方及び側方上部を覆う左右後部フェンダー7が、機体側に固定されて設けられている。
【0019】
キャビン5は、左右に搭乗用の左右ドア8を開閉自在に設け、下部に乗降用の左右ステップ3を設けている。
【0020】
(ロータリ耕耘装置)
ロータリ耕耘装置Rは、メインフレーム9の左右に伝動サイドケース10と支持フレーム11の上部を固定し、該伝動サイドケース10と支持フレーム11の下部間にロータリ軸12を回転自在に支持し、該ロータリ軸12に千鳥状に固定した爪フォルダー13に耕耘爪14の基部をボルトにて固定している。トラクタTのトランスミッションからの駆動力は、PTO軸を介して伝動サイドケース10に入力され、伝動機構を介してロータリ軸12が駆動回転される。
【0021】
リアカバー15が、メインフレーム9に上端部が枢支され後端部が上下動自在に設けられている。なお、左右サイドカバー16の前端部が、それぞれ伝動サイドケース10と支持フレーム11に固定支持されている。
【0022】
(発光消毒装置)
図1、
図2、
図3に示すように、発光消毒装置S1は、左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7に複数個の紫外線ランプ17を装着し、圃場への移動時(路上走行時、圃場間移動時)に紫外線を左右前輪1及び左右後輪2に照射して殺菌する。なお、紫外線ランプ17は、トラクタTのバッテリーからの電力にて発光する。
【0023】
紫外線ランプ17は、左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7の上面部及び側面部の内側に複数個千鳥状に設け、照射方向は、前輪1及び後輪2の推進ラグの死角とならないように車輪中心方向から角度をつけて設ける。
【0024】
また、左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7は、上面部と側面部で前輪1及び後輪2の上部を覆うような形状にし、紫外線ランプ17の紫外線が外部にあまり漏れないようにしている。なお、左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7の内面をミラー加工すれば、紫外線の有効活用が図れる。左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7を着脱式とすれば、既存のトラクタにも後付け可能になる。
【0025】
左右前部フェンダー6を左右前輪1の左右操舵と一体に向きを変えるように左右前輪1側のケースに設けた場合、紫外線ランプ17は操向操作しても常に左右前輪1に紫外線を照射し、殺菌消毒作用が効率的である。左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7の側面部を着脱自在とすれば、左右前輪1及び左右後輪2の交換が容易に行える。
【0026】
左右前輪1及び左右後輪2は、耐紫外線タイプのタイヤを用いている。
【0027】
圃場への移動時に紫外線ランプ17を点灯する手段としては、副変速が「路上速」又は「移動側」により点灯する。また、ロータリ耕耘装置Rの上昇操作検知又は最上昇検知により点灯するようにしても良い。
【0028】
作業者の安全性の為に、紫外線ランプ17は、左右ドア8を開けた時に消灯、エンジン停止時に消灯、操縦座席に着座センサを設けて操縦者が着座していない時に消灯及び走行停止時に消灯する。また、作業者が必要に応じて紫外線ランプ17を点灯/消灯できるメインスイッチをキャビン5内の操作パネルに設ける。また、キャビン5は、紫外線カット用のガラスを用いる。また、紫外線ランプ17が点灯している際には、注意を喚起する為に、トラクタT機外に紫外線ランプ点灯中であることを表示/注意ランプ点灯するようにすれば、安全である。
【0029】
紫外線ランプ17の表面を洗浄する洗浄ノズルを左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7内に設け、紫外線ランプ17の表面に付着した泥土を洗浄する構成とすれば、赤外線ランプ17の殺菌消毒作用が付着泥土により阻害されることを防止できる。なお、洗浄ノズルは、専用洗浄ノズルを設けても良いし、後述の消毒液散布装置S2のノズル18を兼用しても良い。
【0030】
また、左右ステップ3に紫外線ランプ17を設けて、左右ステップ3の側面板3aや踏板3bの表面/裏面等を殺菌消毒するようにすると良い。この場合、ステップ3から漏れた紫外線が左右前輪1及び左右後輪2に照射し、左右前輪1及び左右後輪2も殺菌消毒できる。
【0031】
(消毒液散布装置)
消毒液散布装置S2は、ロータリ耕耘装置Rのメインフレーム9上に伝動サイドケース10からの駆動力をクラッチ機構で入/切できるギアポンプと殺菌液と殺虫液の混合液(以下、薬液という)を貯留する薬液タンクを内蔵した散布ケース19を設けている。
【0032】
左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7の後部それぞれに左右2個のノズル18を並べて設け、該各ノズル18と散布ケース19内のギアポンプとを散布パイプ20で連結している。また、左右ステップ3の側面板3aや2段の踏板3bにそれぞれノズル18を設け、各ノズル18と散布ケース19内のギアポンプとを散布パイプ21で連結している。また、ロータリ軸12を中空パイプで形成し、ロータリ軸12に設けた爪フォルダー13底部に貫通孔を設けてロータリ軸12の中空部と連通させ、ロータリ軸12左端部の中空と散布ケース19内のギアポンプとを伝動サイドケース10内を通した散布パイプ22で連結している。
【0033】
従って、散布ケース19内のギアポンプにより薬液タンク内の薬液が、散布パイプ20及びノズル18を介して左右前部フェンダー6及び左右後部フェンダー7内に散布されて、左右前輪1と左右後輪2にかかって殺菌及び殺虫消毒される。
【0034】
また、散布ケース19内のギアポンプにより薬液タンク内の薬液が、散布パイプ21及びノズル18を介して左右ステップ3の側面板3aと2段の踏板3bに散布されて、殺菌及び殺虫消毒される。
【0035】
なお、踏板3bに散布される薬液は、踏板3b上面から少し上方に向けて噴出するようにしてあり、踏板3bに作業者が足を載せた時に靴も殺菌及び殺虫消毒される。
【0036】
更に、2段の踏板3bは、下段3bと上段3bの2段あるが、下段3bのノズル18には絞り弁が装着されており、下段3bの薬液吐出量は、上段3bの薬液吐出量よりも少なく設定されている。換言すると、踏板3bが複数段であれば、上段ほど吐出量が多くなるように設定して、ステップ3を作業者が上がるにつれて徐々に薬液量が増えて、靴を適切に殺菌/殺虫できるようにしている。
【0037】
また、左右ステップ3用の専用ギアポンプを設けて、左右ステップ3の踏板3bに感圧センサを設けて作業者がステップ3を上がる際に踏板3bに足を載せたのを検出して、作業者がステップ3を上がる際に踏板3bに足を載せた時のみ専用ギアポンプを駆動して薬液を吐出するようにしても良い。なお、踏板3bに感圧センサに替えて、作業者がキャビン5に搭乗する際に把持する乗降用グリップ31にセンサを設けて、作業者がステップ3を上がる際に乗降用グリップ31を把持したのを検出して、専用ギアポンプを駆動してステップ3に薬液を吐出するようにしても良い。更に、キャビン5のドア8を開けたことを検出するセンサを設けて、キャビン5のドア8を開けたことを検出して、且つ、前記踏板3bの感圧センサ又は乗降用グリップ31のセンサが作業者を検出した時に、専用ギアポンプを駆動してステップ3に薬液を吐出するようにしても良い。
【0038】
また、散布ケース19内のギアポンプにより薬液タンク内の薬液が、散布パイプ22を介してロータリ軸12左端部の中空に送り込まれる。そして、ロータリ軸12の中空に送り込まれた薬液は、ロータリ軸12の中空部と連通した各爪フォルダー13底部の貫通孔を介して各爪フォルダー13内に送り込まれ、耕耘作業時のロータリ軸12の回転に伴い各爪フォルダー13から圃場に薬液が散布されて圃場の泥土が殺菌及び殺虫消毒される。なお、ロータリ軸12が低速回転の時は、薬液は耕耘爪14を伝わって圃場の泥土に散布され、ロータリ軸12が高速回転の時は、薬液は遠心力によって更に泥土中への浸透力が増す。なお、耕耘爪14を中空とし、爪基部の中空部を前記爪フォルダー13底部の貫通孔と連通し、耕耘爪14の回転方向の背面側に中空に連通する孔を形成して、該孔から薬液を散布するようにしても良い。
【0039】
キャビン5内の操作パネルに散布ケース19内のクラッチ機構を操作する操作装置を設け、ギアポンプを作動状態と非作動状態とに切り換える。これにより、該操作装置にて薬液散布の作動/非作動を切り換えることができる。また、ギアポンプの駆動をロータリ軸12の駆動と連動させて、耕耘作業時に薬液散布をし、耕耘作業をしない時は薬液散布を停止することもできる。また、ギアポンプの駆動系に変速装置を設けて、薬液の吐出量を可変にしても良い。また、ギアポンプを可変速モータ駆動にして、薬液の吐出量を可変にしても良い。
【0040】
また、耕耘作業の為に圃場に入る前又は耕耘作業終了後圃場から出る前に、ロータリ耕耘装置Rを路面又は圃場から離れた少し上昇させた位置にして、ロータリ軸12を駆動回転させて薬液を吐出すると、薬液はロータリ耕耘装置Rに散布されてロータリ耕耘装置Rを殺菌/殺虫消毒することができる。従って、圃場に菌や害虫を持ち込むこと又は圃場から菌や害虫を圃場外に持ち出すことを防止できる。
【0041】
ロータリ耕耘装置Rの各部品は、ステンレス等の耐食金属製として、薬液に対する腐食耐性をもたせている。
【0042】
薬液タンクに加温機を装着して、薬液を適宜加温して散布しても良い。
【0043】
また、薬液タンクを内蔵した散布ケース19は、トラクタTのキャビン5の開閉する後窓30の近くに配置されているので、薬液を供給するのが容易である。
【0044】
以上要するに、発光消毒装置S1と消毒液散布装置S2とにより、前輪1、後輪2、ステップ3及びロータリ耕耘装置Rを殺菌/殺虫消毒するので、車両に付着した菌/害虫等を圃場Hに持ち込むこと又は圃場Hから菌/害虫等を持ち出すことを防止することができる。
【0045】
(別実施形態)
【0046】
(1)
図4は、発光消毒装置S1と消毒液散布装置S2により、ロータリ耕耘装置Rを殺菌/殺虫消毒する他の実施形態である。
【0047】
即ち、ロータリ耕耘装置Rのリアカバー15の回動枢支部側に左右方向に並べて紫外線ランプ17を外側からリアカバー15に嵌め込んで装着し、発光消毒装置S1にてリアカバー15内部に紫外線を照射し、耕耘作業をしながら圃場を殺菌消毒すると共に、ロータリ耕耘装置R自体を殺菌消毒する。
【0048】
紫外線ランプ17は、リアカバー15に軟質ゴム又はバネ材を介して装着しており、耕耘時のリアカバー15の振動で紫外線ランプ17に付着する泥土が落ち易くなっている。また、リアカバー15内面よりも紫外線ランプ17の発光面を凹ませた位置に配置しており、耕耘時に直接泥土が付着し難い構成となっている。また、紫外線ランプ17は、リアカバー15に外側から着脱自在に装着しており、清掃が容易である。
【0049】
なお、リアカバー15や左右サイドカバー16等のカバー類が紫外線が外部に漏れるのを防止する防護カバーを兼用する。
【0050】
また、ロータリ耕耘装置Rのリアカバー15の回動枢支部側に左右方向に並べてノズル18を設け、該各ノズル18と散布ケース19内のギアポンプとを散布パイプ23で連結し、消毒液散布装置S2にてリアカバー15内部に薬液を散布し、耕耘作業をしながら圃場を殺菌/殺虫消毒すると共に、ロータリ耕耘装置R自体を殺菌/殺虫消毒する。
【0051】
(2)発光消毒装置S1の紫外線ランプ17の発光時に合わせて、消毒液散布装置S2にて薬液を散布するようにしても良い。
【0052】
(3)発光消毒装置S1に替えて、機体にオゾン等の殺菌作用のある気体を貯留するタンクを装備し、紫外線ランプの位置にノズルを設け、タンクとノズルとを配管で連結し、配管途中にバルブを設けて、ノズルからオゾン等の殺菌作用のある気体を噴出して殺菌消毒しても良い。
【0053】
(4)キャビン5内の操作パネルのモニタに、消毒耕耘に適した車速を表示する。
【0054】
(5)車速と消毒の割合をグラフ等で表示する。
【0055】
(6)一定の消毒効率以下になると、モニタ又はアラームで作業者に報知する。
【符号の説明】
【0056】
1 前輪(走行車輪)
2 後輪(走行車輪)
H 圃場(作業域)
S1 発光消毒装置(殺菌/殺虫装置)
S2 消毒液散布装置(殺菌/殺虫装置)
T トラクタ(車両)
R ロータリ耕耘装置(作業装置、車両)