IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特許7459559投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム
<>
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図1
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図2
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図3
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図4
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図5
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図6
  • 特許-投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】投影装置、電源装置、異常検知方法、及び異常検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240326BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240326BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G03B21/14 C
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020031332
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135385
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 浩
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161916(JP,A)
【文献】特開2007-066878(JP,A)
【文献】特開2015-087575(JP,A)
【文献】特開2018-054796(JP,A)
【文献】特開2018-155974(JP,A)
【文献】特開2013-191945(JP,A)
【文献】特開2009-288753(JP,A)
【文献】特開2009-276705(JP,A)
【文献】特開2015-184299(JP,A)
【文献】特開2021-124672(JP,A)
【文献】特開2021-129258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
G09G5/00-5/36
5/377-5/42
G11B31/00
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影用光源の点灯用電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリ電源を、接続可能に構成されている投影装置であって、
外部機器を接続するコネクタと、
バッテリ電源が接続されているか否かを判定する制御手段と、
前記バッテリ電源が接続されていると判定された場合であって、且つ前記投影用光源を点灯させるための操作ボタンに対するユーザ操作を受け付けた場合に、前記コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否か、または前記コネクタから映像信号が入力されているか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により判定された前記電圧が前記所定の閾値以上の場合、または前記映像信号が入力されている場合に前記投影用光源の点灯を開始させ、前記判定手段により判定された前記電圧が前記所定の閾値未満の場合、または前記映像信号が入力されていない場合に前記投影用光源の点灯を禁止す
とを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記商用電源が接続されていると判定された場合であって、且つ前記投影用光源を点灯させるための操作ボタンに対するユーザ操作を受け付けた場合は、前記コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否かを判定せずに、前記投影用光源を点灯させることを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記外部機器は映像出力機器であり、
前記バッテリ電源の直流電力を投影部に供給する第1スイッチと、
を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ電源に接続され、第2スイッチの状態変化を示すタイミングで、前記第1スイッチを短絡させ、前記コネクタの電源ピンの電圧を検出しないとき、前記第1スイッチの短絡を禁止し、前記コネクタの電源ピンの電圧を検出するとき、前記第1スイッチの短絡を許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項4】
前記コネクタは、HDMI(登録商標)コネクタ又はDP(商標)コネクタであり、
前記第1スイッチの出力側に、第2制御部をさらに備え、
前記判定手段は、前記コネクタを介し、前記映像出力機器との接続を判定する
ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段が前記外部機器との接続完了を判定してから、前記投影用光源を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項6】
前記外部機器は映像出力機器であり、
前記バッテリ電源の直流電力を投影部に供給する第1スイッチと、
を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ電源に接続され、第2スイッチが短絡したタイミングで、前記第1スイッチを短絡させ、前記コネクタから映像信号が入力可能にならないとき、前記第1スイッチの短絡を禁止し、前記コネクタから映像信号が入力しているとき、前記第1スイッチの短絡を許可する
ことを特徴とする請求項に記載の投影装置。
【請求項7】
外部制御機器を接続するコネクタと、
バッテリ電源の直流電力を駆動回路に供給する第1スイッチと、
前記バッテリ電源が接続されているか否かを判定し、前記バッテリ電源接続されていると判定された場合であって、且つ前記コネクタの電源ピンの電圧を検出できないとき、前記直流電力の供給を禁止する制御手段と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
外部制御機器を接続するコネクタと、直流電力を駆動回路に供給する電源回路とを備えた電源装置のバッテリ電源に接続された制御部が実行する電源制御方法であって、
前記バッテリ電源が接続されているか否かを判定し、前記バッテリ電源が接続されていると判定された場合であって、且つ前記コネクタの電源ピンの電圧を検出できないとき、前記直流電力の供給を禁止する
ことを特徴とする電源制御方法。
【請求項9】
外部制御機器を接続するコネクタと、直流電力を駆動回路に供給する電源回路とを備えた電源装置のバッテリ電源に接続された制御部に実行させる電源制御プログラムであって、
前記バッテリ電源が接続されているか否かを判定し、前記バッテリ電源が接続されていると判定された場合であって、且つ前記コネクタの電源の電圧を検出できないとき、前記直流電力の供給を禁止する
ことを特徴とする電源制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置、電源装置、電源制御方法、及び電源制御プログラムに関し、例えば、バッテリ電源で駆動可能な小型軽量な投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、投影装置の開発が行われている。(例えば、特許文献1)。このような投影装置は、近年、持ち運びが可能な携帯型の投影装置についても検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-198439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯型の投影装置を鞄に入れて持ち運ぶ場合、ものに押されて間違って電源ボタンが押下される可能性がある。鞄内部で投影が始まると、不必要に消費電力を使用してしまう。また、光源および投影光による蓄熱により不具合が生じる。
【0005】
本発明の目的は、投影装置を持ち運ぶ際、電源ボタンが押下されても投影装置が誤操作による点灯をしないことである。
【0006】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、投影装置を持ち運ぶ際、電源ボタンが押下されても誤操作による点灯を防止することができる、投影装置、電源装置の制御方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の投影装置又は電源装置は、投影用光源の点灯用電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリ電源を、接続可能に構成されている投影装置であって、外部機器(例えば、映像出力機器)を接続するコネクタと、バッテリ電源が接続されているか否かを判定する制御手段と、前記バッテリ電源が接続されていると判定された場合であって、且つ前記投影用光源を点灯させるための操作ボタンに対するユーザ操作を受け付けた場合に、前記コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否か、または前記コネクタから映像信号が入力されているか否かを判定する判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記判定手段により判定された前記電圧が前記所定の閾値以上の場合、または前記映像信号が入力されている場合に前記投影用光源の点灯を開始させ、前記判定手段により判定された前記電圧が前記所定の閾値未満の場合、または前記映像信号が入力されていない場合に前記投影用光源の点灯を禁止することを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は例示である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、投影装置を持ち運ぶ際、電源ボタンが押下されても投影装置が誤操作による点灯をしないことである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の投影装置の構成図である。
図2】HDMIコネクタのピンアサインを示す図である。
図3】本発明の投影装置の起動時の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】HDMIのネゴシエーションフローを説明するための説明図である。
図5】本発明の第2実施形態の投影装置の構成図である。
図6】DPコネクタのピンアサインを示す図である。
図7】VGAコネクタのピンアサインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である投影装置の構成図である。
投影システムSは、投影装置100と、映像出力機器200(外部機器)と、これらを接続するHDMI(登録商標)ケーブル150と、投影装置100に直流電力を供給するバッテリ電源Eとを有する。
【0012】
投影装置100は、待機電源制御部11と、メインCPU20と、投影部30と、HDMIレシーバ40と、半導体スイッチ12と、機械スイッチ13と、FAN60とを備える。半導体スイッチ12としては、過電流や過熱に対する保護回路を内蔵し、誘導性負荷等のエネルギーを吸収する回路を内蔵した高性能半導体パワースイッチであり、ショート等の異常状態でも破壊せず、スイッチとしての機能を保つことができる、IPD(Intelligent Power Device)、IPS(Intelligent Power switch)、スマートスイッチ(Smart Switch)、ハイサイド/ローサイドスイッチ(Hi-side/Lo-side switch)を用いることができる。
【0013】
バッテリ電源Eは二次電池であるが、一次電池でも構わない。バッテリ電源Eの負極は、待機電源制御部11、メインCPU20、投影部30及びFAN60に接続されている。バッテリ電源Eの正極は、待機電源制御部11と半導体スイッチ12の一端とに接続されている。半導体スイッチ12の他端は、メインCPU20、投影部30及びFAN60に接続されている。機械スイッチ13の両端は、待機電源制御部11に接続されている。
【0014】
投影装置100は、投影用光源の点灯用電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリ電源を、接続可能に構成されている。待機電源制御部11(制御手段、判定手段)は、投影用光源を点灯させるための操作ボタンに対するユーザ操作を受け付けた場合に、コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否かを判定する。
【0015】
しかし、メインCPU20(制御手段)は、バッテリ駆動されているか否かを先に判定することができる。メインCPU20(制御手段)は、例えば、電源から入力される電圧値により、バッテリ駆動されているか否かを判定することができる。或いは、バッテリ駆動されている場合は、AC電源による駆動時と異なり、バッテリからパルス信号が出力されるため、バッテリ駆動されているか否かを判定することができる。
【0016】
このように、バッテリ駆動されているか否かを、コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否かを判定するよりも先に判定することで、投影装置100が、投影用光源の点灯用電源として、AC電源としての商用電源と接続されていると判定された場合には、投影用光源を点灯させるための操作ボタン(電源ボタン)に対するユーザ操作を受け付けた場合に、コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否かを判定する必要が無い。AC電源としての商用電源が投影用光源の点灯用電源として接続されている場合には、投影用光源の点灯を禁止する必要は無いので、ユーザ操作によって電源ボタンが押下されると、速やかに光源が点灯する。よって、ユーザは違和感なく投影装置100を使用することができる。
【0017】
待機電源制御部11には、HDMIケーブル150及びHDMIレシーバ40を介して、映像出力機器200から+5Vの電源電圧(5VPower)が入力される。また、待機電源制御部11には、機械スイッチ13の両端が接続されている。この状態で、待機電源制御部11は、機械スイッチ13がOFF状態からON状態に遷移した場合において、映像出力機器200からの+5Vの電源電圧を検出できたときに半導体スイッチ12をON状態に設定する。
【0018】
一方、待機電源制御部11は、映像出力機器200からの+5Vの電源電圧が検出できないときには、半導体スイッチ12をOFF状態に維持する。言い換えれば、待機電源制御部11は、映像出力機器200からの+5Vの電源電圧を検出できないときには、メインCPU20、投影部30及びFAN60の駆動を禁止する。
【0019】
メインCPU20は、起動後、HDMIレシーバ40及びHDMIケーブル150を介して映像出力機器200にHPD(Hot Plug Detect)信号を送信する。これにより、投影装置100と映像出力機器200との接続が確立する。メインCPU20は、HDMIレシーバ40が出力する映像信号を処理して、処理画像を投影部30に出力する。なお、メインCPU20は、映像出力機器200との間で、CEC(Consumer Electronics Control)信号を用いて、各種の情報を交換する。
【0020】
投影部30は、メインCPU20が処理した処理画像を外部の被投影体(スクリーン等)に投影する。なお、投影部30は、不図示の光源を含み、発熱し易い。FAN60は、投影部30を空冷する。
【0021】
HDMIレシーバ40は、映像出力機器200から映像信号を受信し、受信した映像信号をメインCPU20に出力する。また、HDMIレシーバ40は、DDC(Display Data Channel)信号を用いて、投影装置100の機器情報を映像出力機器200に送信する。
【0022】
映像出力機器200は、例えば、PC(Personal Computer)やBD(Blu-ray Disc)プレーヤ等であり、CPU220と、画像処理部230と、HDMIトランスミッタ240と、コネクタ250とを備える。CPU220は、映像出力機器200の全体を制御する。画像処理部230は、図示しないVRAMを備え、CPU220の制御に基づいてVRAMに格納された画像を処理する。HDMIトランスミッタ240は、投影装置100のHDMIレシーバ40に対して映像信号を送信する。
【0023】
HDMIケーブル150は、映像出力機器200から投影装置100まで映像信号を伝送する。また、HDMIケーブル150は、映像出力機器200と投影装置100との間で機器情報や認証情報を伝送する。コネクタ50,250は、19ピンのコネクタであり、ピンアサインを図2に示す。例えば、1番ピン~9番ピンまでがTMDS_DATAであり、10番ピン~12番ピンがTMDS_CLOCKである。また、17番ピンがグランドであり、18番ピンが「5V」Powerであり、19番ピンが「HPD」である。なお、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)では、「リンク」と呼ばれる単位に4本のチャネルがまとめられて使用されている。4つのチャネルはそれぞれ、映像信号をRGBに各1チャネル割り当てられており、クロック周波数を同期するための信号に1チャネル割り当てられている。
【0024】
図3は、本発明の投影装置の動作を説明するためのフローチャートである。
このフローは、バッテリ電源Eの取付時に起動し、バッテリ電源Eが消耗したり、取り外されたりするまで繰り返す。
待機電源制御部11(判定手段)は、まず、一般的な初期化処理(S1)を行った後、機械スイッチ13の投入(PowerキーIN)を判定する(S2)。つまり、待機電源制御部11は、機械スイッチ13がOFF状態からON状態への遷移を判定する。機械スイッチ13がOFF状態からON状態に遷移しなければ(S2でNo)、待機電源制御部11は、定期的に問い合わせを行う他のポーリング処理を実行し(S3)、機械スイッチ13の投入判定を繰り返す(S2)。
【0025】
一方、機械スイッチ13がOFF状態からON状態に遷移すれば(S2でYes)、待機電源制御部11(判定手段)は、映像出力機器200からの5V電源電圧(5V Power)を検出したか否かを判定する(S4)。5V電源電圧を検出しなければ(S4でNo)、待機電源制御部11は、他のポーリング処理を実行し(S3)、機械スイッチ13の投入判定を繰り返す(S2)。一方、5V電源電圧を検出すれば(S4でYes)、待機電源制御部11は、半導体スイッチ12をON状態に設定する(S5)。
【0026】
S4で、待機電源制御部11(判定手段)は、映像出力機器200からの5V電源電圧(5V Power)を検出したか否かを判定する際、投影装置100と映像出力機器200とがHDMIケーブル150で接続されているため、映像出力機器200から映像ソースが出力されていない場合でも、電源電圧は完全に0Vではない。従って、例えば、投影装置100のコネクタ50の電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否かにより判定することができる。
【0027】
これにより、メインCPU20、投影部30、及びFAN60が起動し、投影部30の光源が点灯する。つまり、待機電源制御部11は、機械スイッチ13の遷移及び5V電源電圧の検出を行ったときに、メインCPU20、投影部30、及びFAN60を起動させる。S5の処理後、待機電源制御部11(判定手段)は、他のポーリング処理を実行し(S3)、機械スイッチ13の投入判定を繰り返す(S2)。
【0028】
図4は、HDMIのネゴシエーションフローを説明するための説明図である。
ここでは、投影装置100と映像出力機器200との間に、HDMIケーブル150が接続されているものとして説明する。
映像出力機器200は、電源投入により、コネクタ250の5V電源ピンがHIGHレベルになる。これにより、投影装置100のコネクタ50の5V電源ピンもHIGHレベルになる。投影装置100は、待機電源制御部11が5V電源ピンのHIGHレベル状態を検出し(S4)、メインCPU20がHPD信号を映像出力機器200に対して送信する(S10)。
【0029】
映像出力機器200は、HPD信号を検出し(S11)、EDID(Extended Display Identification Data)の送信を投影装置100に指示する(S12)。投影装置100は、EDIDを映像出力機器200に返す(S13)。映像出力機器200は、EDIDを読み込む(S14)ここで、EDIDは、投影装置100等のシンク機器に保存されているデータである。このデータには、投影装置100が表示することができる「解像度」、「リフレッシュレート」、「色深度」や対応する「オーディオ・フォーマット」などが含まれる。
【0030】
S14の処理後、映像出力機器200は、シンク機器の能力判定を行い(S15)、AVフォーマットの能力判定を行う(S16)。さらに、映像出力機器200及び投影装置100は、HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)認証を行う(S17,S18)。HDCP認証とは、著作権で保護された映像コンテンツが表示装置へ伝送される間に不正にコピーされるのを防止する暗号化技術のことである。HDCP認証では、コンピュータなど映像の送り出し側(HDCPトランスミッタ)とディスプレイなど受け側(HDCPレシーバ)がそれぞれ固有の暗号鍵を内蔵しており、これを利用して正規のHDCP対応機器であることの認証、暗号鍵の交換、映像データの暗号化と復号を行う。
【0031】
S17,S18のHDCP認証の終了後、映像出力機器200は、投影装置100に対して、TMDS伝送を行う(S19)。これにより、投影装置100は、TMDSを受信する(S20)。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の投影装置100によれば、映像出力機器200とHDMIケーブル150で接続され、映像出力機器200が駆動している場合、待機電源制御部11が機械スイッチ13の遷移及び映像出力機器200からの5V電源電圧の検出を行ったときに、半導体スイッチ12がON状態になる。これにより、メインCPU20、投影部30、及びFAN60が起動し、投影部30の光源が点灯する。
【0033】
(第2実施形態)
前記第1実施形態の待機電源制御部11は、映像出力機器200からの5V電源電圧を検出していたが、映像信号を検出しても構わない。
【0034】
図5は、本発明の第2実施形態の投影装置の構成図である。
本実施形態の投影装置101は、前記第1実施形態の投影装置100に比較して、HDMIレシーバ40と待機電源制御部11との間に+5V電源の信号線が接続されていない。つまり、+5V電源は、HDMIレシーバ40とHDMIトランスミッタ240との間を接続している。また、HDMIレシーバ40と待機電源制御部11との間は、各種信号線が接続されている。映像出力機器200が、投影装置101に対してTMDS伝送を行うことにより、投影装置101は、TMDSを受信し映像信号を検出する。このように、映像出力機器200からの映像信号の検出は、映像出力機器200のHDMIトランスミッタ240と、投影装置101のHDMIレシーバ40と、の間のTMDSチャンネルにより行う。
【0035】
また、待機電源制御部11は、EDID応答部11a及びHDCP認証部11bの機能部を有している。これにより、投影装置101の待機電源制御部11は、HDMIのネゴシエーションフロー(図4)の5V HIGH検出(S4)だけでなく、HPD送信(S10)、EDID応答(S13)、HDCP認証(S18)も実行する。
【0036】
HDCP認証(S18)が終了すると、待機電源制御部11は、半導体スイッチ12をON状態に設定する。これにより、メインCPU20、投影部30、及びFAN60が起動し、投影部30の光源が点灯する。そして、メインCPU20は、HDMIレシーバ40を介して映像信号を受信する。メインCPU20は、受信した映像信号を投影部30に送り、スクリーン等の被投影体に投影させる。
【0037】
以上説明したように、投影装置101によれば、待機電源制御部11がHDMIのネゴシエーションを行い、ネゴシエーション完了後に半導体スイッチ12をON状態に設定する。言い換えれば、映像信号が入力可能にならないときには、半導体スイッチ12がOFF状態であり、映像信号が入力可能になったとき半導体スイッチ12がON状態になる。従って、携帯型の投影装置101を鞄に入れて持ち運ぶ場合、ものに押されて間違って電源ボタンが押下されても、接続される映像出力機器200が駆動しない限り、直流電力を出力しないため、誤操作による点灯を防止することができる、
また、制御手段が投影用光源の点灯を禁止するのは、バッテリ電源が投影用光源の点灯用電源として接続されている場合である。従って、投影装置101が、投影用光源の点灯用電源として、AC電源としての商用電源を接続している場合には、ユーザ操作によって電源ボタンが押下されると、速やかに光源が点灯する。よって、ユーザは違和感なく投影装置101を使用することができる。
【0038】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態の投影装置100は、HDMIを用いていたが、DP(Display Port(商標))やVGA(Video Graphics Array)を使用することもできる。図6にDPコネクタのピンアサインを示し、図7に、VGAコネクタのピンアサインを示す。但し、VGAは、VESA(Video Electronics Standards Association)規格に準拠したものであり、9番ピンを「DDC +5 volt load」としている。
【0039】
〔付記〕
<請求項1>
投影用光源の点灯用電源として、AC電源としての商用電源及びDC電源としてのバッテリ電源を、接続可能に構成されている投影装置であって、
外部機器を接続するコネクタと、
前記バッテリ電源が接続され、且つ前記投影用光源を点灯させるための操作ボタンに対するユーザ操作を受け付けた場合に、前記コネクタの電源ピンの電圧が所定の閾値以上か否か、または前記コネクタから映像信号が入力されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された前記電圧が前記所定の閾値以上の場合、または前記映像信号が入力されている場合に前記投影用光源の点灯を開始させ、前記判定手段により判定された前記電圧が前記所定の閾値未満の場合、または前記映像信号が入力されていない場合に前記投影用光源の点灯を禁止する制御手段と、
を備えることを特徴とする投影装置。
<請求項2>
前記外部機器は映像出力機器であり、
前記バッテリ電源の直流電力を投影部に供給する第1スイッチ(半導体スイッチ)と、
を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ電源に接続され、第2スイッチ(機械スイッチ)の状態変化を示すタイミングで、前記第1スイッチを短絡させ、前記コネクタの電源ピンの電圧を検出しないとき、前記第1スイッチの短絡を禁止し、前記コネクタの電源ピンの電圧を検出するとき、前記第1スイッチの短絡を許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
<請求項3>
前記コネクタは、HDMI(登録商標)コネクタ又はDPコネクタであり、
前記第1スイッチの出力側に、第2制御部をさらに備え、
前記判定手段は、前記コネクタを介し、前記映像出力機器との接続を判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
<請求項4>
前記制御手段は、前記判定手段が前記外部機器との接続完了を判定してから、前記投影用光源を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の投影装置。
<請求項5>
前記外部機器は映像出力機器であり、
前記バッテリ電源の直流電力を投影部に供給する第1スイッチと、
を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ電源に接続され、第2スイッチが短絡したタイミングで、前記第1スイッチを短絡させ、前記コネクタから映像信号が入力可能にならないとき、前記第1スイッチの短絡を禁止し、前記コネクタから映像信号が入力しているとき、前記第1スイッチの短絡を許可する
ことを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
<請求項6>
外部制御機器を接続するコネクタと、
バッテリ電源の直流電力を駆動回路に供給する第1スイッチと、
前記バッテリ電源に接続され、前記コネクタの電源ピンの電圧を検出できないとき、前記直流電力の供給を禁止する制御手段と
を備えることを特徴とする電源装置。
<請求項7>
外部制御機器を接続するコネクタと、直流電力を駆動回路に供給する電源回路とを備えた電源装置のバッテリ電源に接続された制御部が実行する電源制御方法であって、
前記コネクタの電源ピンの電圧を検出できないとき、前記直流電力の供給を禁止する
ことを特徴とする電源制御方法。
<請求項8>
外部制御機器を接続するコネクタと、直流電力を駆動回路に供給する電源回路とを備えた電源装置のバッテリ電源に接続された制御部に実行させる電源制御プログラムであって、
前記コネクタの電源の電圧を検出できないとき、前記直流電力の供給を禁止する
ことを特徴とする電源制御プログラム。
【符号の説明】
【0040】
10 電源装置
11 待機電源制御部(制御手段、判定手段)
12 半導体スイッチ(第1スイッチ)
13 機械スイッチ(機械スイッチ)
20 メインCPU(制御手段)
30 投影部
40 HDMIレシーバ
50 コネクタ
100,101 投影装置
150 HDMIケーブル
200 映像出力機器(外部機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7