(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240326BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G03G21/16 180
G03G21/16 133
G03G15/16 103
(21)【出願番号】P 2020041235
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2019053250
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】出口 宏治
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 努
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 響
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-065018(JP,A)
【文献】特開2006-011480(JP,A)
【文献】特開2011-154231(JP,A)
【文献】特開2002-148968(JP,A)
【文献】特開2013-003208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に開閉可能な開閉手段と、
前記装置本体に設けられ、転写位置で像保持手段から記録媒体に画像を転写する転写手段と、
前記開閉手段の開閉時前記転写位置と仮保持位置の間で移動可能に前記転写手段を前記開閉手段に取付ける取付手段と、
前記装置本体に設けられ、前記開閉手段の閉塞時前記取付手段と接触して回転する切欠部を有し前記転写手段を前記転写位置へ向けて移動させる回転手段と、
を備え
、
前記回転手段は、前記取付手段と当接して前記回転手段を回転させる当接部と、外径が次第に拡大するよう偏心した偏心部とを有するとともに、前記取付手段と接触した際の回転方向と逆方向に付勢部材によって付勢される画像形成装置。
【請求項2】
前記取付手段は、前記転写手段の軸方向に沿った両端部をそれぞれ回転可能に支持する一対の支持部材を有し、
前記一対の支持部材は、前記取付手段に設けられた支持軸に間隙を介して挿通される長孔と、前記取付手段に設けられた突当部材に突き当てられて位置が規制される規制部を介して、前記転写位置及び前記仮保持位置の間を移動可能となるよう前記開閉手段に取り付けられる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記長孔は、長径方向に沿った
開閉部材側の端部が鉛直方向の上方に位置するように設けられている
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉手段は、前記開閉手段の基板に沿って回転することで移動可能であり且つ前記取付手段を前記装置本体側へ向けて付勢するよう付勢する回転付勢手段を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転付勢手段は、前記開閉手段の基板に対して傾斜するよう前記取付手段に設けられた傾斜面に沿って回転する第1のコロと、前記第1のコロと同軸状に配置されて前記第1のコロより外径が小さく、前記開閉手段の基板に沿って回転する第2のコロと、前記第1及び第2のコロを前記取付手段の傾斜面及び前記開閉手段の基板に押圧するよう付勢する付勢部材とを有する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取付手段は、前記転写手段の軸方向に沿った両端部にそれぞれ設けられ、前記転写手段を前記装置本体の前記転写位置に位置決めする位置決め部材を有し、
前記装置本体は、前記位置決め部材と接触して前記転写手段を前記転写位置に位置決めする位置決め部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記位置決め部材は、前記転写手段を回転自在に支持する軸受部材であり、
前記位置決め部は、前記転写位置における前記像保持手段表面の接線に交差する方向に対して断面V字形状に開口した凹所である
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記位置決め部材は、前記開閉手段を閉じる際、前記断面V字形状の凹所のうち、鉛直方向に沿った下側に位置する第1の側面に接触した後、鉛直方向に沿った上側に位置する第2の側面に接触する
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記回転付勢手段は、前記開閉手段を閉じた際、前記位置決め部材が
凹所に位置決めされることで前記第1及び第2のコロが
付勢部材を圧縮する方向に移動し、前記第1及び第2のコロが前記付勢部材を圧縮する方向に移動することにより生じる押圧力によって前記位置決め部材を前記凹所に圧接させる予圧を付与する
請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置としては、装置本体に対して開閉可能に設けられたカバーに二次転写ロールを装着したものがある。この画像形成装置では、カバーを閉じた際に、二次転写ロールを適正な転写位置に位置決めさせる必要があるため、カバーを閉じる際の操作力が過大となる虞れがある。かかる画像形成装置に関連する技術としては、特許文献1に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、転写位置において像保持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写ロールを含み、被位置決め部を有する転写組立体と、被位置決め部の押し当てを受けて転写ロールを位置決めする位置決め部材とを備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、開閉手段を閉じる際に取付手段と接触し、取付手段に取り付けられた転写手段を仮保持位置から転写位置へ向けて移動させる手段が固定された円筒体からなる場合に比較して、開閉手段を閉じる際の操作性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、装置本体に開閉可能な開閉手段と、
前記装置本体に設けられ、転写位置で像保持手段から記録媒体に画像を転写する転写手段と、
前記開閉手段の開閉時前記転写位置と仮保持位置の間で移動可能に前記転写手段を前記開閉手段に取付ける取付手段と、
前記装置本体に設けられ、前記開閉手段の閉塞時前記取付手段と接触して回転する切欠部を有し前記転写手段を前記転写位置へ向けて移動させる回転手段と、
を備え、
前記回転手段は、前記取付手段と当接して前記回転手段を回転させる当接部と、外径が次第に拡大するよう偏心した偏心部とを有するとともに、前記取付手段と接触した際の回転方向と逆方向に付勢部材によって付勢される画像形成装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、前記取付手段は、前記転写手段の軸方向に沿った両端部をそれぞれ回転可能に支持する一対の支持部材を有し、
前記一対の支持部材は、前記取付手段に設けられた支持軸に間隙を介して挿通される長孔と、前記取付手段に設けられた突当部材に突き当てられて位置が規制される規制部を介して、前記転写位置及び前記仮保持位置の間を移動可能となるよう前記開閉手段に取り付けられる請求項1に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、前記長孔は、長径方向に沿った開閉部材側の端部が鉛直方向の上方に位置するように設けられている請求項2に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項4に記載された発明は、前記開閉手段は、前記開閉手段の基板に沿って回転することで移動可能であり且つ前記取付手段を前記装置本体側へ向けて付勢するよう付勢する回転付勢手段を有する請求項1に記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、前記回転付勢手段は、前記開閉手段の基板に対して傾斜するよう前記取付手段に設けられた傾斜面に沿って回転する第1のコロと、前記第1のコロと同軸状に配置されて前記第1のコロより外径が小さく、前記開閉手段の基板に沿って回転する第2のコロと、前記第1及び第2のコロを前記取付手段の傾斜面及び前記開閉手段の基板に押圧するよう付勢する付勢部材とを有する請求項4に記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項6に記載された発明は、前記取付手段は、前記転写手段の軸方向に沿った両端部にそれぞれ設けられ、前記転写手段を前記装置本体の前記転写位置に位置決めする位置決め部材を有し、
前記装置本体は、前記位置決め部材と接触して前記転写手段を前記転写位置に位置決めする位置決め部を有する請求項1に記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項7に記載された発明は、前記位置決め部材は、前記転写手段を回転自在に支持する軸受部材であり、
前記位置決め部は、前記転写位置における前記像保持手段表面の接線に交差する方向に対して断面V字形状に開口した凹所である請求項6に記載の画像形成装置である。
【0015】
請求項8に記載された発明は、前記位置決め部材は、前記開閉手段を閉じる際、前記断面V字形状の凹所のうち、鉛直方向に沿った下側に位置する第1の側面に接触した後、鉛直方向に沿った上側に位置する第2の側面に接触する請求項7に記載の画像形成装置である。
【0016】
請求項9に記載された発明は、前記回転付勢手段は、前記開閉手段を閉じた際、前記位置決め部材が凹所に位置決めされることで前記第1及び第2のコロが付勢部材を圧縮する方向に移動し、前記第1及び第2のコロが前記付勢部材を圧縮する方向に移動することにより生じる押圧力によって前記位置決め部材を前記凹所に圧接させる予圧を付与する請求項7に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、開閉手段を閉じる際に取付手段と接触し、取付手段に取り付けられた転写手段を仮保持位置から転写位置へ向けて移動させる手段が固定された円筒体からなる場合に比較して、開閉手段を閉じる際の操作性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項1に記載された発明によれば、回転手段は、取付手段と当接して回転手段を回転させる当接部と、外径が次第に拡大するよう偏心した偏心部とを有しない場合に比較して、取付手段と接触しつつ回転手段を確実に回転させることができる。
【0019】
さらに、請求項1に記載された発明によれば、回転手段は、取付手段と接触した際の回転方向と逆方向に付勢部材によって付勢されない場合に比較して、開閉手段を開ける際に回転手段を元の位置に確実に復帰させることができる。
【0020】
請求項2に記載された発明によれば、一対の支持部材は、取付手段に設けられた支持軸に間隙を介して挿通される長孔と、取付手段に設けられた突当部材に突き当てられて位置が規制される規制部を介して、転写位置及び仮保持位置の間を移動可能となるよう開閉手段に取り付けられない場合に比較して、取付手段を簡素に構成することができる。
【0021】
請求項3に記載された発明によれば、長孔は、長径方向に沿った開閉部材側の端部が鉛直方向の上方に位置するように設けられていない場合に比較して、一対の支持部材を転写位置及び仮保持位置へと安定して移動させることができる。
【0022】
請求項4に記載された発明によれば、開閉手段は、開閉手段の基板に沿って回転することで移動可能であり且つ取付手段を装置本体側へ向けて付勢するよう付勢する回転付勢手段を有しない場合に比較して、取付手段を転写位置へ向けて確実に移動させることができる。
【0023】
請求項5に記載された発明によれば、回転付勢手段は、開閉手段の基板に沿って回転する第1のコロと、第1のコロと同軸状に配置されて第1のコロより外径が大きく、開閉手段の基板に対して傾斜するよう取付手段に設けられた傾斜面に沿って回転する第2のコロと、前記第1及び第2のコロを前記取付手段の傾斜面に押圧するよう付勢する付勢部材とを有しない場合に比較して、取付手段を転写位置へ向けて確実に移動させることができる。
【0024】
請求項6に記載された発明によれば、装置本体は、位置決め部材と接触して転写手段を転写位置に位置決めする位置決め部を有しない場合に比較して、位置決め部材を転写位置に確実に位置決めすることができる。
【0025】
請求項7に記載された発明によれば、位置決め部材は、転写手段を回転自在に支持する軸受部材でない場合に比較して、転写手段を転写位置に精度良く位置決めすることができる。
【0026】
請求項8に記載された発明によれば、位置決め部材は、開閉手段を閉じる際、断面V字形状の凹所のうち、鉛直方向に沿った上側に位置する第2の側面に最初に接触する場合に比較して、位置決め部材が凹所と干渉するのを抑制することができる。
【0027】
請求項9に記載された発明によれば、位置決め部材を凹所に圧接させる予圧を付与しない場合に比較して、外力によって位置決め部材が凹所からずれるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る定着装置を示す正面構成図である。
【
図7】二次転写ロールを保持した保持部材を示す斜視構成図である。
【
図8】二次転写ロールを保持した保持部材を示す断面構成図である。
【
図9】保持部材の第1及び第2の装着部を示す斜視構成図である。
【
図12】側面カバーを閉じた状態におけるカラー画像形成装置の要部を示す断面構成図である。
【
図13】取付ハウジングに保持部材を装着した状態を示す断面構成図である。
【
図14】側面カバーの押圧機構を示す斜視構成図である。
【
図15】側面カバーの押圧機構を示す斜視構成図である。
【
図16】側面カバーを閉じる途中の状態を示す断面図である。
【
図17】従来の側面カバーを閉じる状態を示す模式図である。
【
図18】偏心カム部材の取付状態を示す斜視構成図及び正面構成図である。
【
図19】従来の定着装置の要部の作用を示す模式図である。
【
図20】この発明の実施の形態2に係る定着装置の要部を示す概略構成図である。
【
図21】側面カバーを閉じる途中の状態を示す断面図である。
【
図22】側面カバーを閉じる途中の状態を示す断面図である。
【
図23】この発明の実施の形態2に係る画像形成装置の回転手段を示す側面構成図である。
【
図24】この発明の実施の形態3に係る画像形成装置の回転手段を示す側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の一例としてのカラー画像形成装置の全体の概略を示している。なお、図中、矢印Xは水平方向に沿った幅方向を、Yは水平方向に沿った奥行方向を、Zは鉛直方向をそれぞれ示している。
【0031】
<カラー画像形成装置の全体の構成>
カラー画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。このカラー画像形成装置1は、
図1に示されるように、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の画像形成手段の一例としての作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置T2まで搬送する中間転写手段の一例としての中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置T2に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。符号1aは、支持構造部材や外装カバー等で形成される装置本体を示している。
【0032】
作像装置10は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(BK)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10BKで構成されている。これらの4つの作像装置10(Y,M,C,BK)は、装置本体1aの内部空間において水平方向Xに対して傾斜した状態で1列に配置されている。
【0033】
各作像装置10(Y,M,C,BK)は、
図1に示されるように、回転する像保持手段の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,BK)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃手段の一例としてのドラムクリーニング装置16等である。
【0034】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から駆動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0035】
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。帯電ロール12の背面側には、帯電ロール12の表面を清掃するクリーニングロール121が接触した状態で配置されている。
【0036】
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッド等からなる。露光装置13には、潜像形成時になると、カラー画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が送信される。なお、露光装置13としては、カラー画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成されるレーザ光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものを用いても勿論良い。
【0037】
現像装置14(Y,M,C,BK)はいずれも、
図1に示されるように、開口部と現像剤の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤を撹拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や撹拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置からの駆動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、4色の現像剤(Y,M,C,BK)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0038】
各現像装置14(Y,M,C,BK)には、中間転写装置20の上方の位置に配置されるイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(BK)の各トナーカートリッジ145(Y,M,C,BK)から図示しないトナー補給装置を介して対応する色のトナーがそれぞれ補給される。
【0039】
一次転写装置15は、一次転写位置T1において感光体ドラム11の周面に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧又は電流が高圧電源から供給される。
【0040】
ドラムクリーニング装置16は、容器状の本体160の内部に配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃するクリーニングブレード161と、クリーニングブレード161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162などで構成されている。
【0041】
中間転写装置20は、各作像装置10(Y,M,C,BK)の上方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置T1を通過しながら矢印Bで示す方向に循環移動する像保持手段の一例としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内周から所望の状態に保持して循環移動可能に支持する複数のベルト支持ロール22~25と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルトクリーニング装置26とで主に構成されている。
【0042】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の走行位置を保持する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写のバックアップロールとして構成されている。
【0043】
カラー画像形成装置1の中間転写装置20は、
図2に示されるように、中間転写ベルト21及び複数のベルト支持ロール22~25、更には一次転写装置15(Y,M,C,BK)を含めて中間転写ユニット200として一体的に構成されている。中間転写ユニット200は、装置本体1aに対して着脱可能となっている。
【0044】
中間転写ユニット200は、中間転写ベルト21の移動方向と交差する幅方向に沿った両端部に配置されたフロント側及びリア側のサイドフレーム201,202を備えている。両サイドフレーム201,202には、ベルト支持ロール22~25及び一次転写装置15(Y,M,C,BK)が回転可能に支持されている。フロント側及びリア側のサイドフレーム201,202には、その長手方向に沿った一端部であるバックアップロールとして機能するベルト支持ロール25に対応した端部に、二次転写装置30の二次転写ロール31を位置決めするための位置決め用凹部203,204が設けられている。中間転写ユニット200は、カラー画像形成装置1の装置本体1aの予め定められた位置に装着され固定される。その結果、位置決め用凹部203,204は、中間転写ユニット200と共にカラー画像形成装置1の装置本体1a側の所要位置に固定した状態で配置される。
【0045】
二次転写装置30は、
図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置T2において回転する二次転写ロール31を備えている。二次転写ロール31又は中間転写装置20のベルト支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。この実施の形態1では、中間転写装置20のベルト支持ロール25にトナーの帯電極性と同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として印加される。二次転写ロール31は、アースに接続(接地)されている。なお、二次転写装置30の構成については、後に詳述する。
【0046】
定着装置40は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう電磁誘導加熱や熱源等の加熱手段によって加熱されるベルト形態又はロール形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部Nとなる。
【0047】
給紙装置50は、作像装置10(Y,M,C,BK)の下方の位置に存在するよう配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載板51上に積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体52と、用紙収容体52から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置53とで主に構成されている。用紙収容体52は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるよう取り付けられている。
【0048】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいは合成樹脂(PETなど)製の透明なフィルム状の媒体からなるOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0049】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置T2まで搬送する単数(又は複数)の用紙搬送ロール対54や搬送ガイド材55,56で構成される給紙搬送路57が設けられている。給紙搬送路57において二次転写位置T2の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対54は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成される。
【0050】
また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30から送り出される記録用紙5を定着装置40まで搬送する搬送ガイド部材58等で構成される用紙搬送路59が設けられている。
【0051】
定着装置40の下流側には、定着装置40によりトナー像が定着された記録用紙5を、装置本体1aの上部に配置された用紙排出部60に排出するための用紙搬送ロール対61及び用紙排出ロール対62や搬送ガイド材63,64等を備えた排出搬送路65が設けられている。
【0052】
図1中、符号100は、カラー画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御手段の一例としての制御装置を示している。
【0053】
<カラー画像形成装置の基本的な動作>
以下、カラー画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0054】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,BK)を使用して、4色(Y,M,C,BK)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作について説明する。なお、4つの作像装置10(Y,M,C,BK)のうち、いずれか1つ以上の作像装置10を使用して単色又は複数色のトナー像を組み合わせた画像を形成するときの画像形成動作も基本的には同様である。
【0055】
カラー画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御装置100の制御によって、4つの作像装置10(Y,M,C,BK)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
【0056】
そして、各作像装置10(Y,M,C,BK)においては、
図1に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、カラー画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,BK)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0057】
続いて、各現像装置14(Y,M,C,BK)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,BK)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,BK)のトナー像として顕像化される。
【0058】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,BK)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置T1まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0059】
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,BK)では、ドラムクリーニング装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,BK)は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0060】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置T2まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路57に送り出す。給紙搬送路57では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対54が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置T2に送り出して供給する。
【0061】
二次転写位置T2においては、二次転写ロール31が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置20では、ベルトクリーニング装置26が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0062】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール31から剥離された後に用紙搬送路59に沿って定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の定着処理部Nに二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、排出搬送路65を介して用紙排出ロール対62により、装置本体1aの上部に設けられた用紙排出部60に排出される。
【0063】
以上の動作により、4色のトナーT(Y,M,C,BK)からなるトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が出力される。
【0064】
<二次転写装置の構成>
二次転写装置30は、
図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている像保持手段の一例としての中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置T2において回転する転写手段の一例としての二次転写ロール31を備えている。
【0065】
この実施の形態1では、
図3に示されるように、二次転写装置30が装置本体1aの開閉手段の一例としての側面カバー110に着脱可能に構成された交換ユニットの一例としての二次転写ユニット300を構成している。側面カバー110は、
図4に示されるように、装置本体1aの一側面の下部に設けられた支点111を中心にして開閉可能となるよう装置本体1aの側面に取り付けられている。
【0066】
側面カバー110には、
図3及び
図4に示されるように、二次転写ユニット300以外に、給紙搬送路57を構成する搬送ガイド材55,56や、用紙搬送ロール対54の一方の用紙搬送ロール54、二次転写ユニット300に設けられた用紙搬送路59を構成する搬送ガイド部材58、排出搬送路65の一部を構成する搬送ガイド部材63等が取り付けられている。側面カバー110の下端部には、当該側面カバー110を装置本体1aの支点111に開閉可能に取り付けるための凹形状の切欠部112が設けられている。また、側面カバー110の上端部には、
図3に示されるように、当該側面カバー110を開閉する際に、図示しない操作部を操作することによって装置本体1a側に設けられる円柱形状の係止部113に係止され、側面カバー110を閉じた状態に係止する係止部材114が設けられている。
【0067】
二次転写ユニット300は、
図5に示されるように、大別して、二次転写ロール31と、二次転写ロール31を保持する保持部材70と、保持部材70を介して二次転写ロール31を側面カバー110に取り付けるための取付手段の一例としての取付ハウジング80とから構成されている。なお、二次転写ロール31を交換する場合には、二次転写ユニット300の全体を交換する必要はなく、二次転写ロール31を保持した保持部材70のみを交換すれば良い。
【0068】
二次転写ロール31は、
図6及び
図8に示されるように、ステンレス等の金属からなる比較的外径の大きい円柱形状の芯金部材311と、芯金部材311の外周に被覆されるエピクロロヒドリンゴム及びニトリルゴムを配合した発泡ゴムなどからなる半導電性の弾性体層312と、芯金部材311の軸方向に沿った両端部に一体的に設けられた芯金部材311より外径が小さい回転軸313とを有している。二次転写ロール31は、弾性体層312に導電剤を添加することで所要の抵抗値を有するよう調整される。二次転写ロール31には、回転軸313の軸方向に沿った両端部にボールベアリング等からなる軸受部材314が装着されている。二次転写ロール31は、側面カバー110を閉じた際に、軸受部材314を介して装置本体1aの予め定められた二次転写位置T2に位置決めされ固定される。二次転写ロール31は、回転軸313を回転可能に保持する保持部材70を介して取付ハウジング80に取り付けられる。
【0069】
保持部材70は、
図7及び
図8に示されるように、二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置される左右の側板71,72と、二次転写ロール31の下部を覆う底板73と、二次転写ロール31の上部を覆う天井板74と、二次転写ロール31の背面を覆う背面板75とから装置本体1aの内部に面した側が開口された細長い略直方体状の箱体として構成されている。保持部材70の背面板75には、裏面側へ向けて当該保持部材70を取付ハウジング80に位置決め固定するための突起752(
図8参照)が設けられている。
図7中、符号731は、保持部材70を取付ハウジング80に取り付ける際に位置決めするため底板73に設けられた略V字形状の凸部を示している。
【0070】
保持部材70の両側板71,72には、
図7に示されるように、二次転写ロール31の軸方向に沿った外側に、当該保持部材70を介して二次転写ロール31を取付ハウジング80に着脱可能に取り付けるための着脱部材77,78が設けられている。着脱部材77,78には、
図9に示されるように、二次転写ロール31をその回転軸313を介して回転可能に保持する略円筒形状に形成された保持部771,781と、保持部771,781の二次転写ロール31の軸方向に沿った外側面に背面側に向けて側面矩形の平板状に突出するよう設けられた取付板部772,782と、保持部771,781の上下にそれぞれ設けられ、二次転写ロール31を保持した保持部材70を取付ハウジング80に着脱可能に装着するための第1及び第2の装着部773,783,774,784が一体的に形成されている。
【0071】
着脱部材77,78の取付板部772,782は、保持部771,781の外側面に比較的厚さが厚い側面矩形の平板状に形成された第1の平板部772a,782aと、第1の平板部772a,782aの外側に当該第1の平板部772a,782aより板厚が薄く且つ上下に突出し、取付ハウジング80の予め定められた取付位置に位置決めするため側面矩形の平板状に形成された第2の平板部772b,782bとから構成されている。
【0072】
着脱部材77,78の上部に設けられた第1の装着部773,783は、側面略Y字形状に形成されて保持部材70を取付ハウジング80に着脱する際に操作者が人差し指や親指などを掛けて把持する第1の把持部として機能する。第1の装着部773,783は、保持部材70の両側板71,72に固定した状態で設けられている。
【0073】
一方、着脱部材77,78の下部に設けられた第2の装着部774,784は、保持部771,781の下端から背面側へ向けて横向きの略U形状に配置され弾性変形が可能な板バネ部774a,784aと、板バネ部774a,784aの前面側に平板状に突出するよう設けられ、保持部材70を取付ハウジング80に装着する際に操作者が親指や人差し指などを掛けて把持する第2の把持部として機能する把持部774b,784bと、把持部774b,784bの下端面に下方へ向けて短い平板状に突出するよう設けられた係合片774c,784cから構成されている。第2の装着部774,784は、係合片774c,784cが取付ハウジング80の係止板部933,943(
図11参照)に係止されることで、保持部材70の両側板71,72を取付ハウジング80に装着する。
【0074】
二次転写ロール31の軸受部材314は、二次転写ロール31が保持部材70に保持された状態で、二次転写ロール31の軸方向に沿った着脱部材77,78の外側にそれぞれ配置されている。保持部材70の両側板71,72には、二次転写ロール31の回転軸313と接触しないよう図示しない切欠きが設けられている。
【0075】
保持部材70の天井板74には、
図7及び
図8に示されるように、二次転写ロール31の二次転写位置T2の出口側に配置され、記録用紙5の裏面と接触して除電する除電部材76が取り付けられている。除電部材76は、導電性を有する合成樹脂や金属等によって形成され接地されている。除電部材76には、記録用紙5の裏面に均一に接触するよう記録用紙5の搬送方向に沿って細長い環状に形成された複数の除電部761が、記録用紙5の搬送方向と交差する方向に沿って所要のピッチで配列されている。また、除電部材76は、複数の除電部761の背面側に配置された基板762を一体的に有している。除電部材76は、基板762を介してネジ止め等の手段により保持部材70の天井板74に取り付けられる。
【0076】
二次転写ユニット300の取付ハウジング80は、
図10及び
図11に示されるように、合成樹脂の射出成形などにより装置本体1aの内部へ向けた開口部86を有する略直方体状の枠体として一体的に構成されている。取付ハウジング80は、二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置される側面略矩形状の左右の側壁部81,82と、二次転写ロール31を保持した保持部材70の下部に配置される底壁部83と、保持部材70の上部に配置される天井壁部84と、保持部材70の背面側に配置される背面壁部85とを有している。取付ハウジング80には、その開口部86から二次転写ロール31が外部に露出するよう取り付けられている。
図10中、符号831は、保持部材70の略V字形状の凸部731と係合されて保持部材70を取付ハウジング80に取り付ける際に位置決めするため底壁部83に設けられた略V字形状の凹部を示している。
【0077】
取付ハウジング80の両側壁部81,82は、
図10及び
図12に示されるように、その外周端縁に全周にわたり厚さ方向に沿った外側へ向けて設けられたフランジ部811,821と、その外側の面に互いに交差する或いは平行な平板状に設けられた複数の補強リブ812,822により補強されている。取付ハウジング80は、
図11に示されるように、補強された両側壁部81,82を底壁部83、天井壁部84及び背面壁部85などによって互いに連結することで、外径が相対的に大きい芯金部材311を含み比較的重量が重い二次転写ロール31を保持した場合でも変形し難く構成されている。
【0078】
取付ハウジング80の両側壁部81,82には、側面カバー110側の下部に、長径方向に沿った側面カバー110側の端部が鉛直方向に沿った上方に位置し、長径方向に沿った装置本体1a側の端部が鉛直方向に沿った下方に位置するよう傾斜して配置された長孔87がそれぞれ設けられている。また、取付ハウジング80の両側壁部81,82には、長孔87の長径方向に沿った側面カバー110側の下方から長径方向に沿った下端縁の中央近傍にわたり切り欠かれた大きな切欠部88が設けられている。長孔87は、切欠部88を介して側面カバー110側の下端部に位置する外部と連通している。
【0079】
一方、側面カバー110には、
図12に示されるように、取付ハウジング80の両側壁部81,82の長孔87に挿入されて当該取付ハウジング80の両側壁部81,82の下部を支持する支持軸115がそれぞれ設けられている。支持軸115は、側面カバー110の板金等からなる基板(タイプレート)116に取り付けられた側面略三角形状の支持部材117の先端に二次転写ロール31の軸方向外側へ向けた短い円柱形状に形成されている。支持軸115を備えた支持部材117は、取付ハウジング80の両側壁部81,82に対応して二次転写ロール31の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置されている。側面カバー110の各支持軸115は、取付ハウジング80を側面カバー110に取り付ける際に切欠部88を介して取付ハウジング80の長孔87に挿入される。したがって、取付ハウジング80は、側面カバー110に固定されている訳ではなく、長孔87を介して移動可能に取り付けられている。なお、
図12は、側面カバー110が閉じられて二次転写ロール31が二次転写位置T2に位置決め固定された状態を示している。
【0080】
取付ハウジング80の両側壁部81,82には、装置本体1aの内側に位置する端面に二次転写ロール31を位置決めしつつ固定するための固定用凹所91,92が設けられている。固定用凹所91,92は、中間転写ユニット200のベルト支持ロール(バックアップロール)25に対応した位置に、上端部が側面カバー110側に向けて窪んだ位置から鉛直方向に沿って配置された垂直面911,921と、垂直面911,921の下端部から装置本体1aの内側へ向けて傾斜して配置された傾斜面912,922と、傾斜面912,922の下端部から装置本体1aの内側へ向けて水平方向に沿って配置された水平面913,923とを有している。固定用凹所91,92の傾斜面912,922は、二次転写ロール31とベルト支持ロール25の中心を結んだ直線Lに対して略直交するよう配置されている。固定用凹所91,92の傾斜面912,922には、取付ハウジング80に保持部材70を介して固定された二次転写ロール31の軸受部材314の外周面が接触するよう配置される。取付ハウジング80には、
図10に示されるように、一方の固定用凹所92における垂直面921から傾斜面922にわたり、軸受部材314を介して二次転写ロール31の芯金部材311をアースに接続するための金属製の接続板314aが設けられている。なお、
図12は、二次転写ロール31が動作位置である二次転写位置T2に固定された状態を示している。
【0081】
中間転写ユニット200のフロント側及びリア側のサイドフレーム201,202に設けられた位置決め用凹部203,204は、
図12に示されるように、二次転写ロール31の方向である斜め下方へ向けて開口された略V字形状に形成されている。位置決め用凹部203,204は、二次転写ロール31の軸受部材314の外周面とそれぞれ接触する上部及び下部の内周面203a,204a,203b,204bを有している。上部及び下部の内周面203a,204a,203b,204bが交わる位置決め用凹部203,204の中央は、二次転写ロール31の軸受部材314の外周面より曲率半径が小さく設定されている。そのため、位置決め用凹部203,204の中央には、二次転写ロール31の軸受部材314が接触しない僅かな間隙が形成されている。
【0082】
また、取付ハウジング80の両側壁部81,82には、
図10に示されるように、二次転写ロール31の軸方向に沿った内側に、当該両側壁部81,82と僅かな間隙Gを介して平行に配置された左右の取付板部93,94がそれぞれ設けられている。左右の取付板部93,94は、
図11に示されるように、取付ハウジング80の底壁部83、天井壁部84及び背面壁部85などと一体的に連結されている。両取付板部93,94には、両側壁部81,82の固定用凹所91,92に対応した位置に、保持部材70の着脱部材77,78を固定するための側面矩形状の取付凹部931,941が設けられている。取付凹部931,941には、
図13に示されるように、着脱部材77,78の取付板部772,782のうち、第1の平板部772a,782aが嵌め合された状態で固定される。着脱部材77,78の取付板部772,782のうち、第2の平板部772b,782bは、両側壁部81,82と取付板部93,94との間に形成された間隙G(
図10参照)に挿入され位置決めされる。
【0083】
また、両取付板部93,94の内側には、着脱部材77,78の第2の装着部774,784が係合される第2の係合部933,943がそれぞれ設けられている。第2の係合部933,943は、取付ハウジング80の底壁部83の長手方向に沿った両端に一段低く設けられた段差部に起立するように設けられた起立板から構成されている。第2の係合部933,943には、第2の装着部774,784の係合片774c,784cが係合されることで固定される。
【0084】
また、取付ハウジング80の両側壁部81,82の上部には、
図10及び
図12に示されるように、取付ハウジング80の長手方向に沿った内側に、上端部が側面カバー110側に位置し、下端部が装置本体1a側に位置するよう傾斜した傾斜板部95,96がそれぞれ設けられている。各傾斜板部95,96には、
図14及び
図15に示されるように、その裏面側に配置された回転付勢手段の一例としての押圧機構97,98の第1及び第2のコロ971,981,972,982から押圧力を受けることにより、取付ハウジング80を支持軸115を支点として時計回り方向に回転させる回転力が常時作用している。
【0085】
押圧機構97,98は、
図14及び
図15に示されるように、取付ハウジング80の両傾斜板部95,96に沿って回転する第1の回転体の一例としての第1のコロ971,981と、第1のコロ971,981の両側に同軸状に配置され第1のコロ971,981より外径が小さいく側面カバー110の基板116に沿って回転する第2のコロ972,982と、第1及び第2のコロ971,981,972,982を個別に回転可能となるよう支持する可動部材973,983と、可動部材973,983を上下方向に沿って移動可能に支持する固定部材974,984と、可動部材973,983と固定部材974,984の間に介在されて可動部材973,983を上方へ向けて付勢する付勢手段の一例としてのコイルスプリング975,985とを備えている。
【0086】
可動部材973,983は、その上端部に第1及び第2のコロ971,981,972,982を回転可能に支持するとともに、上端部が閉塞された円筒形状に形成されている。固定部材974,984は、側面カバー110側の面が開口された有底の円筒形状に形成されている。可動部材973,983の一側面には、
図14に示されるように、固定部材974,984の開口部974a,984aに配置され、当該可動部材973,983の上下方向に沿った移動範囲を規制する規制用凸部973a,983aが設けられている。固定部材974,984の底部には、コイルスプリング975,985を位置決めするための突起974b,984bが設けられている。
【0087】
側面カバー110の基板116には、第1のコロ971,981を非接触状態で上下に移動させるためのスリット116aが設けられている。第2のコロ972,982は、スリット116aの両側において側面カバー110の基板116の内面と接触して回転する。
【0088】
このように、押圧機構97,98を外径が異なる第1のコロ971,981と第2のコロ972,982から構成している理由は、次の通りである。押圧機構97,98を単一の回転体から構成した場合には、単一の回転体が側面カバー110の基板116と取付ハウジング80の両傾斜板部95,96の背面とから形成される断面略三角形状(楔状)の空間に入り込み、側面カバー110の基板116と取付ハウジング80の両傾斜板部95,96の背面によって挟み込まれ移動不可能となる事態を回避するためである。押圧機構97,98を外径が異なる第1のコロ971,981と第2のコロ972,982から構成することにより、第1のコロ971,981は、取付ハウジング80の両傾斜板部95,96の背面と接触して上下方向に沿って移動し、第2のコロ972,982は、側面カバー110の基板116と接触して第1のコロ971,981とは独立して上下方向に沿って移動することが可能となる。
【0089】
側面カバー110には、取付ハウジング80の両傾斜板部95,96にそれぞれ当接して、取付ハウジング80の上端部の傾斜移動を規制する規制板131,132が設けられている。規制板131,132は、
図15に示されるように、側面カバー110の基板116にボルト133により固定された垂直板部131a,132aと、垂直板部131a,132aの上端に水平方向に沿って折り曲げられた水平板部131b,132bと、水平板部131b,132bの先端に両傾斜板部95,96と略平行に斜め下方へ向けて傾斜した傾斜板部131c,132cとを有している。なお、傾斜板部131c,132cの先端131d,132dは、水平方向へ沿って短く折り曲げられている。
【0090】
取付ハウジング80は、
図16に示されるように、側面カバー110を開いた状態では、その下部が自重によって両傾斜板部95,96の長孔87の上端部が側面カバー110の支持軸115に接触した状態で停止し、その上部は、両傾斜板部95,96が押圧機構97,98の第1のコロ971,981から押圧力を受けて時計回り方向に回転し、両傾斜板部95,96の表面が側面カバー110の規制板131,132の傾斜板部131c,132cと当接した状態で停止している。このとき、二次転写ロール31は、装置本体1aから離間していることは勿論のこと、側面カバー110に対して
図12に示す動作位置と異なる仮保持位置に移動している。取付ハウジング80は、長孔87と側面カバー110の規制板131,132によって、側面カバー110の開閉時に転写位置と仮保持位置の間で移動可能となるよう二次転写ロール31を側面カバー110に対して取付ける取付手段として機能する。
【0091】
取付ハウジング80の天井壁部84には、
図10に示されるように、用紙搬送路59を構成する搬送ガイド部材58が装着されている。
【0092】
取付ハウジング80の両側壁部81,82には、
図12に示されるように、その底面の装置本体1a側の端部に、側面カバー110を閉じる際、取付ハウジング80を装置本体1aに対して案内するとともに位置決めする案内位置決め部151,152が設けられている。案内位置決め部151,152は、両側壁部81,82の底面に装置本体1a側へ向けて突出した下端面が平坦な側面略三角形状に形成されている。案内位置決め部151,152は、両側壁部81,82の固定用凹所91,92の先端から装置本体1aの内部下方へ向けて傾斜した傾斜部151a,152aと、傾斜部151a,152aと鋭角をなすように交差し、両側壁部81,82の底面に沿って直線状に設けられた底面部151b,152bとから側面略三角形状に形成されている。案内位置決め部151,152の底面部151b,152bには、側面カバー110側の中間位置に下向きの略V形状に形成された切欠き部151c,152cが設けられている。
【0093】
ところで、二次転写ユニット300は、
図4に示されるように、側面カバー110の開閉動作に伴って当該側面カバー110とともに移動して、側面カバー110を閉じたとき装置本体1aの予め定められた二次転写位置T2に位置決めされ固定される。
【0094】
そのため、カラー画像形成装置1の装置本体1aには、
図4及び
図12に示されるように、側面カバー110を閉じる際に、側面カバー110に設けられた取付ハウジング80の両側壁部81,82の案内位置決め部151,152と接触して、取付ハウジング80に取り付けられた二次転写ロール31を仮保持位置から動作位置である二次転写位置T2へと案内する案内手段の一例としての案内部材400が設けられている。
【0095】
しかしながら、カラー画像形成装置1の装置本体1a側に設けられる案内部材400の構成によっては、側面カバー110を閉じる際に、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端と案内部材400とが干渉して、取付ハウジング80に装着された二次転写ロール31を仮保持位置から二次転写位置T2へ確実に案内することができない虞れを有している。
【0096】
更に説明すると、従来の案内部材400’は、
図17に模式的に示されるように、円筒形状に形成されており、装置本体1aの内側面の予め定められた位置に固定して配置されている。そのため、従来の案内部材400’は、側面カバー110を閉じる際に、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が案内部材400’と当接する虞れを有していた。取付ハウジング80の案内位置決め部151,152は、案内部材400’と当接して当該案内部材400’に乗り上げるように案内される場合がある。すると、取付ハウジング80は、側面カバー110を閉じる際に、案内部材400’を支点として時計回り方向に沿って回転するよう案内されてしまい、
図17(b)に示されるように、取付ハウジング80に装着された二次転写ロール31の軸受部材314が中間転写ユニット200に設けられた位置決め用凹部203,204の上端に位置する略垂直な側面に当接し、側面カバー110を閉じる際の操作力が過大となったり、最終的に軸受部材314が位置決め用凹部203,204に正しく位置決めされず、二次転写ロール31が二次転写位置T2からずれて二次転写不良が発生する虞れを有していた。
【0097】
そこで、この実施の形態1では、
図4及び
図18に示されるように、装置本体1aに設けられ、側面カバー110の閉塞時に取付ハウジング80の両側壁部81,82の案内位置決め部151,152と接触して回転する切欠部の一例としての当接部401を有し、取付ハウジング80に取り付けられた二次転写ロール31を仮保持位置から二次転写位置T2へと移動させるよう案内する回転手段の一例としての偏心カム部材400を備えるように構成されている。偏心カム部材400は、側面カバー110を閉じる際に、側面カバー110に装着された二次転写ユニット300の取付ハウジング80の長手方向に沿った両側にそれぞれ位置する装置本体1aの内部フレーム1a’に固定された支持軸410を介して回転可能に取り付けられている。
【0098】
偏心カム部材400は、
図18に示されるように、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端と当接して当該偏心カム部材400を回転させる当接部401と、当接部401から反時計回り方向に沿って外径が次第に拡大するよう偏心した偏心部402を有するよう構成されている。
【0099】
偏心カム部材400の当接部401は、中心から半径方向に沿った外方へ向けて形成された当接面401aと、当接面401aの外周端から時計回り方向に沿って次第に外径が縮小するように形成された偏心部402の一部402aとから半径方向に沿った外方へ向けて突出した側面湾曲形状の凸部として構成されている。
【0100】
また、偏心カム部材400の偏心部402は、当接面401aの下端部から略180度の中心角にわたり円弧形状に形成された円弧状部402bと、円弧状部402bから反時計回り方向に沿って当接面401aまでの領域にわたり次第に外径が拡大するよう偏心した拡径偏心部402aとから構成されている。そのため、偏心カム部材400には、当接部401の当接面401aの外周端と円弧状部402bとの間に、偏心カム部材400の外径が急激に変化する段差部から構成される切欠部としての当接部401が設けられている。
【0101】
偏心カム部材400は、
図18に示されるように、当接面401aが鉛直方向に沿った上方を向いて停止し、且つ取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が当接して時計回り方向に回転した際に、偏心カム部材400を反時計回り方向に付勢して初期の位置に復帰させる復帰手段としてのトーションスプリング411を備えている。偏心カム部材400には、当接面401aの下端部にトーションスプリング411の先端部411aを係止する係止溝403が設けられている。また、トーションスプリング411の基端部411bは、装置本体1aの内部フレーム1a’に設けられた挿通孔412に挿通されている。
【0102】
<画像形成装置の動作>
カラー画像形成装置1は、
図4に示されるように、二次転写位置T2や定着装置40において記録用紙5の所謂ジャムなどの搬送不良が発生した場合や、二次転写ロール31を交換する場合など、装置本体1aの側面に設けられた側面カバー110が開閉される。
【0103】
ユーザーは、
図3に示されるように、側面カバー110に設けられた図示しない操作部を操作して、装置本体1a側に設けられる円柱形状の係止部113と側面カバー110側に設けられる係止部材114との係止を解除し、
図4に示されるように、当該側面カバー110を支点111を中心にして反時計回り方向に回転させる。こうすることにより装置本体1aの側面に設けられた側面カバー110が開かれる。側面カバー110を完全に開いた状態では、側面カバー110が所要の角度だけ反時計回り方向に回転した位置で停止する。
【0104】
このとき、
図3及び
図4に示されるように、カラー画像形成装置1の二次転写ユニット300が外部に露出した状態となり、しかも二次転写ロール31と中間転写ベルト21を支持するバックアップロール25のニップ(圧接)が解除される。そのため、ユーザーは、二次転写位置T2などにおいて搬送不良が発生した記録用紙5を容易に除去することが可能となる。また、ユーザーにより必要に応じて二次転写ロール31の交換作業などが行われる。二次転写ロール31の交換は、
図5及び
図13に示されるように、二次転写ユニット300のうち、保持部材70の着脱部材77,78に設けられた第1及び第2の装着部773,783,774,784を操作し、保持部材70とともに二次転写ロール31を取付ハウジング80から取り外すことにより行われる。
【0105】
その後、ユーザーによる搬送不良が発生した記録用紙5の除去や二次転写ロール31の交換などの作業が終了すると、ユーザーによって側面カバー110が閉じられる。
【0106】
ユーザーによって側面カバー110が閉じる方向に回転されると、
図16に示されるように、側面カバー110と共に二次転写ユニット300が時計回り方向に沿って支点111を中心にして回転する。すると、二次転写ユニット300は、
図19に示されるように、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が装置本体1aに設けられた偏心カム部材400と接触する。
【0107】
このとき、偏心カム部材400は、当接部401の当接面401aと偏心部402の円弧状部402bが、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端及び底面部151b,152bと接触した位置で停止している。
【0108】
次に、側面カバー110が更に閉じる方向に回転されると、偏心カム部材400は、
図20に示されるように、当接部401の当接面401aが取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端によって押されて時計回り方向に回転する。
【0109】
すると、側面カバー110に取り付けられた取付ハウジング80は、その底面部151b,152bが偏心カム部材400の当接面401aの上端部と円弧状部402bに接触した状態で、偏心カム部材400によって装置本体1aの内部へと案内される。
【0110】
その後、側面カバー110が更に閉じる方向に回転されると、
図21に示されるように、偏心カム部材400が取付ハウジング80の切欠き部151c,152cの内部へと移動して、取付ハウジング80が側面カバー110に対して下方へと変位する。同時に、取付ハウジング80に取り付けられた二次転写ロール31の軸受部材314が、装置本体1a側の位置決め用凹部203,204の下部の内周面203b,204bに当接する。
【0111】
更に、側面カバー110が更に閉じる方向に回転されると、
図22に示されるように、二次転写ロール31の軸受部材314が装置本体1a側の位置決め用凹部203,204の下部の内周面203b,204b及び上部の内周面203a,204aの双方に当接して、二次転写ロール31の軸受部材314が装置本体1a側の位置決め用凹部203,204に位置決めされる。このとき、側面カバー110は、まだ完全には閉じられていない状態にある。
【0112】
その後、側面カバー110が完全に閉じられると、
図12に示されるように、取付ハウジング80は、二次転写ロール31の軸受部材314が装置本体1a側の位置決め用凹部203,204の上下の内周面203a,204a,203b,204bに位置決めされるとともに、取付ハウジング80の両側壁部81,82の底面部151b,152b及び切欠き部151c,152cが偏心カム部材400の当接面401aと円弧状部402bの双方に接触して、当該取付ハウジング80に取り付けられた二次転写ロール31が装置本体1aの二次転写位置T2に固定される。
【0113】
このとき、取付ハウジング80は、両側壁部81,82の底面部151b,152b及び切欠き部151c,152cが偏心カム部材400によって位置決めされ、固定用凹所91,92の傾斜面912,922が二次転写ロール31の軸受部材314を介して装置本体1a側の位置決め用凹部203,204に位置決めされた二次転写位置T2に固定されている。
【0114】
同時に、取付ハウジング80は、装置本体1aに対する位置が固定された状態で、最終的に側面カバー110が完全に閉じられる。そのため、取付ハウジング80は、
図22に示された位置から、
図12に示された側面カバー110が完全に閉じられた状態までの間移動することがない。したがって、側面カバー110に設けられた押圧機構97,98の第1のコロ971,981は、側面カバー110が完全に閉じられる際に、取付ハウジング80の両傾斜板部95,96の裏面に沿って下方へ所要の距離だけ回転して移動する。この第1のコロ971,981の下方への移動に伴って、押圧機構97,98のコイルスプリング975,985は、その分だけ圧縮される。そのため、取付ハウジング80は、押圧機構97,98のコイルスプリング975,985の圧縮量に応じた反力として、両傾斜板部95,96を介して第1のコロ971,981から上方へ向けた押圧力を受け、当該押圧力を予圧として装置本体1aの位置決め用凹部203,204に二次転写ロール31の軸受部材314が圧接される。なお、二次転写ロール31の弾性体層312は、中間転写ベルト21を介してバックアップロールとして機能するベルト支持ロール25に圧接されて弾性変形する。
【0115】
第1のコロ971,981を介して取付ハウジング80の両傾斜板部95,96の背面に加えられる予圧は、側面カバー110を支点111を中心にして閉じる方向に回転させる動作によって付与される。側面カバー110の第1のコロ971,981が取付ハウジング80を押圧する位置は、
図4に示されるように、支点111から離れた位置に設定されているため、第1のコロ971,981によって取付ハウジング80に予圧が加えられても、側面カバー110を閉じる際の操作力はほとんど増加することがない。
【0116】
このように、上記実施の形態1では、
図18に示されるように、装置本体1a側に設けられる偏心カム部材400に当接面401aと円弧状部402bからなる切欠部が設けられているため、側面カバー110を閉じる際に取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が偏心カム部材400の当接面401aに当接して当該偏心カム部材400が確実に回転し、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152が適正な位置へと案内される。
【0117】
そのため、この実施の形態1に係るカラー画像形成装置1では、
図17に示されるように、側面カバー110の取付誤差や寸法誤差、或いは二次転写ユニット300や偏心カム部材400の取付誤差や寸法誤差などに起因して、側面カバー110を閉じる際に、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が偏心カム部材400と干渉して、二次転写ロール31の軸受部材314が装置本体1aの位置決め用凹部203,204以外の部分に当接する虞れがない。よって、この実施の形態1に係るカラー画像形成装置1では、二次転写ロール31の軸受部材314を装置本体1aの位置決め用凹部203,204に確実に案内して位置決めすることができ、二次転写ロール31の軸受部材314が装置本体1aの位置決め用凹部203,204以外に突き当たって側面カバー110を閉じる際の操作力が増大したり、二次転写ロール31を適正な二次転写位置T2に位置決めすることができずに転写不良などが生じることが抑制又は回避される。
【0118】
<実施の形態2>
図23はこの発明の実施の形態2に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【0119】
すなわち、この実施の形態2では、
図23に示されるように、偏心カム部材400の切欠部を構成する円弧状部402bの当接面401a側の端部402cが円弧状ではなく、円弧状部402bより外径が小さい曲面形状か又は平坦状に形成されており、当接面401a側の端部402cの切欠き領域が実施の形態1より大きく構成されている。
【0120】
そのため、この実施の形態2では、実施の形態1に比較して、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が偏心カム部材400の当接面401aに当接した際に、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端と偏心カム部材400が干渉するのをより一層回避乃至防止することができ、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152をより一層確実に案内することが可能となる。
【0121】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0122】
<実施の形態3>
図24はこの発明の実施の形態3に係る画像形成装置の要部を示す構成図である。
【0123】
すなわち、この実施の形態3では、
図24に示されるように、偏心カム部材400に偏心部402を設けるのではなく、偏心カム部材400は、外径が一定な円柱形状又は円筒形状に形成されており、その外周に側面略V字形状に切り欠いた切欠部420が設けられている。
【0124】
この実施の形態3においても、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端が偏心カム部材400に当接する際に、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152の先端を偏心カム部材400の切欠部420の端面420aに確実に突き当てて回転させることができ、取付ハウジング80の案内位置決め部151,152を確実に案内することが可能となる。
【0125】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0126】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置として、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(BK)の4つの作像装置10Y,10M,10C,10BKを備えたカラー画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置としては、ブラック(BK)の作像装置のみを備えたモノクロの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。この場合、転写手段としては、ブラック(BK)の作像装置から記録媒体に画像を転写する一次転写装置が用いられる。
【0127】
また、前記実施の形態では、開閉手段として側面カバーに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、開閉手段としては、転写手段が装着されるものであれば、正面カバーや背面カバーなど任意であることは勿論である。
【0128】
なお、上記実施例では、電子写真方式の画像形成装置を例として説明したが、電子写真方式以外の画像形成装置に本発明を適用してもよい。例えば、インクジェット方式の画像形成装置に適用してもよい。具体的には、インク吐出ヘッドを用いて中間転写体上にインク画像を描画し、このインク画像を中間転写体から用紙に転写する方式の画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1…カラー画像形成装置
1a…装置本体
30…二次転写装置
31…二次転写ロール
70…保持部材
80…取付ハウジング
81,82…側壁部
110…側面カバー
151,152…案内位置決め部
400…偏心カム部材
401…当接部
401a…当接面
402…偏心部
402b…円弧状部