IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ソレノイドバルブの駆動回路 図1
  • 特許-ソレノイドバルブの駆動回路 図2
  • 特許-ソレノイドバルブの駆動回路 図3
  • 特許-ソレノイドバルブの駆動回路 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ソレノイドバルブの駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/18 20060101AFI20240326BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01F7/18 L
F16K31/06 310A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020045312
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150315
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩之
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-044668(JP,A)
【文献】特開2000-110593(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0072696(KR,A)
【文献】特開2012-210135(JP,A)
【文献】特開2005-163625(JP,A)
【文献】特開昭60-227513(JP,A)
【文献】特開2016-192695(JP,A)
【文献】特開2010-080869(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006996(WO,A1)
【文献】特開2006-135242(JP,A)
【文献】特開2012-255468(JP,A)
【文献】特開2015-152160(JP,A)
【文献】特開平01-147815(JP,A)
【文献】実開平01-146504(JP,U)
【文献】実開昭52-159608(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/18
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの電力の供給を受けてソレノイドバルブの電磁部の通電制御を行なうソレノイドバルブの駆動回路であって、
前記直流電源と前記電磁部とを接続する電力ラインに前記直流電源側から順に配置される第1接続点、第2接続点、スイッチング素子と、
前記第2接続点に接続されるカソードを有するダイオードと、
を備え、
前記第1接続点は、他の電気回路に接続されており、
更に、前記電力ラインの前記第1接続点と前記第2接続点との間に設置され、前記第2接続点側から前記第1接続点側への通電を遮断可能な遮断回路を備え
前記遮断回路は、前記第1接続点側に接続されたソースと、前記第2接続点側に接続されたドレインと、ゲートとを有するPチャネル型の電界効果トランジスタと、第1抵抗素子と第2抵抗素子とを有し、
前記第1抵抗素子の一方は、前記ソースと前記第1接続点との間で前記電力ラインに接続されており、
前記第1抵抗素子の他方は、前記ゲートと前記第2抵抗素子の一方とに接続されており、
前記第2抵抗素子の他方は、接地されている、
ソレノイドバルブの駆動回路。
【請求項2】
請求項1記載のソレノイドバルブの駆動回路であって、
前記遮断回路は、コンデンサを更に有し、
前記コンデンサの一方は、接地されており、
前記コンデンサの他方は、前記第1抵抗素子の前記他方と前記ゲートと前記第2抵抗素子の前記一方とに接続されている、
ソレノイドバルブの駆動回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソレノイドバルブの駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のソレノイドバルブの駆動回路としては、直流電源とソレノイドバルブの電磁部とに直列に接続されたスイッチング素子と、電磁部およびスイッチング素子に並列に接続されたダイオードとを有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このソレノイドバルブの駆動回路では、スイッチング素子のスイッチングにより、ソレノイドバルブの電磁部の通電制御を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-27465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
直流電源からみてソレノイドバルブの駆動回路と他の電気回路とが並列に接続されている場合、ソレノイドバルブの電磁部の通電中に直流電源からソレノイドバルブの駆動回路に電力が供給されなくなると、電磁部に電流が流れ続けようとして電磁部の直流電源側の電位が負に低下する。これに伴って、他の電気回路側からソレノイドバルブの駆動回路側に電流が流れようとし、他の電気回路(スイッチング素子など)に不適切な影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本開示のソレノイドバルブの駆動回路は、直流電源からみてこの駆動回路とは並列に接続された他の電気回路に不適切な影響を及ぼすのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のソレノイドバルブの駆動回路は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のソレノイドバルブの駆動回路は、
直流電源からの電力の供給を受けてソレノイドバルブの電磁部の通電制御を行なうソレノイドバルブの駆動回路であって、
前記直流電源と前記電磁部とを接続する電力ラインに前記直流電源側から順に配置される第1接続点、第2接続点、スイッチング素子と、
前記第2接続点に接続されるカソードを有するダイオードと、
を備え、
前記第1接続点は、他の電気回路に接続されており、
更に、前記電力ラインの前記第1接続点と前記第2接続点との間に設置され、前記第2接続点側から前記第1接続点側への通電を遮断可能な遮断回路を備える、
ことを要旨とする。
【0008】
本開示のソレノイドバルブの駆動回路では、直流電源と電磁部とを接続する電力ラインに直流電源側から順に配置される第1接続点、第2接続点、スイッチング素子と、第2接続点に接続されるカソードを有するダイオードとを備える。そして、第1接続点は、他の電気回路に接続されている。さらに、電力ラインの第1接続点と第2接続点との間に設置され、第2接続点側から第1接続点側への通電を遮断可能な遮断回路を備える。これにより、電磁部の通電中に直流電源からソレノイドバルブの駆動回路に電力が供給されなくなったときに、遮断回路により第2接続点側(電磁部側)から第1接続点側(他の電気回路側)への通電を遮断することができるから、他の電気回路に電流が流れるのを抑制し、他の電気回路に不適切な影響を及ぼすのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のソレノイドバルブSLの駆動回路30を有する駆動装置10の概略構成図である。
図2】第1比較形態の駆動装置10Bの概略構成図である。
図3】第2比較形態の駆動装置10Cの概略構成図である。
図4】ソレノイドバルブSLの電磁部EMの通電中に直流電源12から駆動回路30などに電力が供給されなくなったときのFET42のソースおよびゲートの電位Vs1,Vg1,Vs2,Vg2の様子の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
図1は、本開示のソレノイドバルブSLの駆動回路30を有する駆動装置10の概略構成図である。本開示の駆動装置10は、動力伝達装置を介して駆動源からの動力を駆動輪に連結されたドライブシャフトに伝達する車両に搭載され、図示するように、直流電源12と、ソレノイドバルブSLおよびそれ以外の各負荷LD[i](i:各負荷に対応する変数)と、電子制御ユニット(ECU)20とを備える。ここで、動力伝達装置としては、例えば、有段変速機や、前後進切替機構および無段変速機、デュアルクラッチトランスミッション、ハイブリッドトランスミッションなどを挙げることができる。動力伝達装置には、油圧制御装置により作動油が供給される。油圧制御装置は、複数の油路が形成されたバルブボディや、レギュレータバルブ、調圧バルブ、切替バルブ、ソレノイドバルブSLを含む複数のソレノイドバルブを有する。
【0012】
直流電源12は、例えば12Vの定格電圧を有する鉛蓄電池やリチウムイオン二次電池として構成されている。この直流電源12の正極端子は、コネクタ13を介して電力ライン14に接続されており、直流電源12の負極端子は、接地されている(金属製のケースなどの電力ライン(電力ライン14とは異なる電力ライン)に接続されている)。電力ライン14は、直流電源12と電磁部EMとを接続し、この電力ライン14には、スイッチ15が設けられている。このスイッチ15は、イグニッションスイッチ(スタートスイッチ)に連動してオンオフする。
【0013】
電子制御ユニット20は、ソレノイドバルブSLの駆動回路30と、各負荷LD[i]の駆動回路DC[i]と、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)50とを備える。ここで、駆動回路30は、電力ライン14におけるスイッチ15よりも電磁部EM側の接続点P1と電磁部EMとの間に設けられ、各駆動回路DC[i]は、電力ライン14の接続点P1に接続されている。したがって、駆動回路30および各駆動回路DC[i]は、直流電源12からみて互いに並列に接続されている。ここで、本開示の「他の電気回路」、即ち、接続点P1に接続されている電気回路としては、各駆動回路DC[i]や、図示しない電源生成回路や回転センサ回路、通信回路などが該当する。
【0014】
ソレノイドバルブSLとしては、例えば、オンオフソレノイドバルブやリニアソレノイドバルブなどを挙げることができる。このソレノイドバルブSLは、電磁部(ソレノイド部)EMと、電磁部EMにより軸方向に移動させられる可動部品であるプランジャおよびスプール(何れも図示省略)とを有する。電磁部EMの一方の端子は、接地されており、電磁部EMの他方の端子は、電力ライン14(駆動回路30)に接続されている。
【0015】
駆動回路30は、スイッチング素子32を有するスイッチング回路31と、ダイオード34と、遮断回路40とを備える。スイッチング回路31としては、例えば、過熱や過電流などに対する保護回路を内蔵するIC(Integrated Circuit)であるIPD(Intelligent Power Device)や、保護回路を有しない一般的なICなどを挙げることができる。スイッチング素子32は、ソレノイドバルブSLの電磁部EMに直列に接続されている。
【0016】
ダイオード34は、スイッチング回路31(スイッチング素子32)およびソレノイドバルブSLの電磁部EMに並列に接続されている。具体的には、ダイオード34のアノードは、接地されており、ダイオード34のカソードは、電力ライン12のスイッチング素子32と接続点P1との間の接続点P2に接続されている。
【0017】
遮断回路40は、電力ライン14の接続点P1と接続点P2との間に設けられ、Pチャネル型のFET(Field effect transistor)42と、抵抗素子44,46と、コンデンサ48とを備える。FET42は、ゲート-ソース間およびゲート-ドレイン間に寄生容量Cgs,Cgd(図示省略)を有する。FET42のソースは、接続点P1に接続されており、ドレインは、接続点P2に接続されている。抵抗素子44の一方の端子は、FET42のソースと接続点P1との間で電力ライン14に接続されており、抵抗素子44の他方の端子は、FET42のゲートと抵抗素子46の一方の端子とに接続されている。抵抗素子46の他方の端子は、接地されている。コンデンサ48の一方の端子は、接地されており、コンデンサ48の他方の端子は、抵抗素子44の他方の端子とFET42のゲートと抵抗素子46の一方の端子とに接続されている。コンデンサ48の容量は、FET42の寄生容量Cgs,Cgdに比して十分に大きい値に設定されている。
【0018】
この遮断回路40では、抵抗素子44および抵抗素子46は、FET42のソースと接地とに対して直列に接続されているから、直流電源12から駆動回路30に電力が供給されているときには、FET42のソースの電位Vsとゲートの電位Vgとの関係は、抵抗素子44,46の抵抗比に応じて定まる。
【0019】
負荷LD[i]としては、ソレノイドバルブSLと同様のソレノイドバルブや、各種補機などを挙げることができる。各駆動回路DC[i]としては、例えば、スイッチング回路31と同様のスイッチング回路を挙げることができる。
【0020】
マイコン50は、CPUやROM、RAM、入出力ポートを有し、直流電源12から図示しない電力ラインを介して電力の供給を受けて作動する。マイコン50には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力される。各種センサとしては、例えば、ソレノイドバルブSLの電磁部EMに流れる電流を検出する電流センサ(図示省略)や、直流電源12の電圧を検出する電圧センサ(図示省略)などを挙げることができる。マイコン50からは、各種制御対象への制御信号が出力ポートを介して出力される。各種制御対象としては、例えば、スイッチング回路31のスイッチング素子32や、駆動回路DC[i]などを挙げることができる。
【0021】
したがって、駆動装置10では、直流電源12と電磁部EMとを接続する電力ライン14には、直流電源12側から順に、スイッチ15、接続点P1、遮断回路40、接続点P2、スイッチング回路31のスイッチング素子32が配置されており、接続点P1には、各負荷LD[i]の駆動回路DC[i]などが接続されており、接続点P2には、ダイオード34のカソードが接続されている。
【0022】
こうして構成された駆動装置10では、マイコン50は、運転者のアクセル操作量や動力伝達装置の状態などに基づいてソレノイドバルブSLの電磁部EMの目標電流Iem*を設定し、電磁部EMの電流Iemが目標電流Iem*となるようにスイッチング素子32の目標デューティD*を設定し、設定した目標デュ-ティD*を用いてスイッチング素子32をスイッチング制御する。このようにして、電磁部EMの通電制御が行なわれる。また、マイコン50は、アクセル操作量や動力伝達装置の状態などに基づいて負荷LD[i]の目標状態(目標電流や目標電圧)を設定し、負荷LD[i]の状態(電流や電圧)が目標状態となるように駆動回路DC[i]を駆動制御する。
【0023】
次に、駆動装置10の動作、特に、ソレノイドバルブSLの電磁部EMの通電中に直流電源12から駆動回路30や各駆動回路DC[i]などに電力が供給されなくなったときの動作について説明する。直流電源12から駆動回路30などに電力が供給されなくなる要因としては、例えば、イグニッションスイッチのオフに伴うスイッチ15のオフ、車両の振動などによる直流電源12と電力ライン14との接続不良、電力ライン14のコネクタ13と接続点P1との間の部分の断線などを挙げることができる。
【0024】
図2は、第1比較形態の駆動装置10Bの概略構成図であり、図3は、第2比較形態の駆動装置10Cの概略構成図である。第1比較形態の駆動装置10Bは、電子制御ユニット20の駆動回路30が電子制御ユニット20Bの駆動回路30Bに置き換えられた点で、実施形態の駆動装置10とは異なる。駆動回路30Bは、遮断回路40を有しない(接続点P1と接続点P2とが直接に接続された)点で、駆動回路30とは異なる。第2比較形態の駆動装置10Cは、電子制御ユニット20の駆動回路30の遮断回路40が電子制御ユニット20Cの駆動回路30Cの遮断回路40Cに置き換えられた点で、実施形態の駆動装置10とは異なる。遮断回路40Cは、コンデンサ48を有しない点で、遮断回路40とは異なる。
【0025】
実施形態や第1比較形態、第2比較形態において、ソレノイドバルブSLの電磁部EMの通電中に直流電源12から駆動回路30,30B,30Cなどに電力が供給されなくなると、電磁部EMに生じる起電力(誘導起電力)により、ダイオード34、スイッチング素子32、電磁部EM、接地の回路で電流が流れ続けようとし、接続点P2の電位が負に低下する。このとき、マイコン50によりスイッチング素子32をオフにしても、電磁部EMに生じる起電力がスイッチング素子32の耐電圧よりも大きいと、上述の回路で電流が流れ続けようとする。
【0026】
第1比較形態では、遮断回路40,40Cを有しない(接続点P1と接続点P2とが直接に接続されている)から、各駆動回路DC[i]側から接続点P1を介して接続点P2側に電流が流れようとする。このため、各駆動回路DC[i]のスイッチング素子などに誤動作が生じて継続する可能性がある。これに対して、実施形態や第2比較形態では、遮断回路40,40Cを設けることにより、直流電源12から駆動回路30などに電力が供給されなくなってFET42のソースおよびゲートの電位Vs,Vgが低下して両者間の電圧Vgsが閾値未満に至ると、FET42がオフになり、接続点P1と接続点P2とが電気的に遮断される。これにより、各駆動回路DC[i]側から接続点P1を介して接続点P2側に電流が流れるのを抑制する(流れてもそれが継続するのを抑制する)ことができる。この結果、駆動回路DC[i]などに不適切な影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0027】
図4は、実施形態や第2比較形態の駆動装置10,10Cにおいて、ソレノイドバルブSLの電磁部EMの通電中に直流電源12から駆動回路30などに電力が供給されなくなったときのFET42のソースおよびゲートの電位Vs1,Vg1,Vs2,Vg2の様子の一例を示す説明図である。図中、実線は、実施形態のFET42のソースおよびゲートの電位Vs1,Vg1の様子を示し、破線は、第2比較形態のFET42のソースおよびゲートの電位Vs2,Vg2の様子を示す。
【0028】
実施形態や第2比較形態において、ソレノイドバルブSLの電磁部EMの通電中に直流電源12から駆動回路30などに電力が供給されなくなると(時刻t1)、FET42のソースおよびゲートの電位Vs1,Vg1,Vs2,Vg2が低下する。このとき、FET42のソースの電位Vs1,Vs2は、実施形態および第2比較形態で同様に低下する。また、第2比較形態では、遮断回路40Cがコンデンサ48を有しないから、FET42のゲート-ドレイン間の寄生容量Cgdの影響により、FET42のゲート電位Vg2が比較的迅速に低下する(単位時間当たりの低下量が大きい)。そして、FET42のソースおよびゲートの電位Vs2,Vg2が十分に低下して(負になって)両者間の電圧Vgsが閾値未満に至ると(時刻t3)、FET42がオフになり、接続点P1と接続点P2とが電気的に遮断される。これに対して、実施形態では、遮断回路40が寄生容量Cgdよりも十分に容量の大きいコンデンサ48を有するから、第2比較形態に比して、FET42のゲート電位Vg1が緩やかに低下する(単位時間当たりの低下量が小さい)。このため、FET42のソース-ゲート間の電圧Vgsが第2比較形態に比して早いタイミングで閾値未満になり(時刻t2)、FET42がオフになり、接続点P1と接続点P2とが電気的に遮断される。この結果、実施形態では、第2比較形態に比して、駆動回路DC[i]などに不適切な影響を及ぼすのをより十分に抑制することができる。
【0029】
実施形態では、FET42と抵抗素子44,46とコンデンサ48とを有する遮断回路40を備える駆動回路30を用いるものとした。しかし、FET42と抵抗素子44,46とを有する(コンデンサ48を有しない)第2比較形態の遮断回路40Cを備える駆動回路30Cを用いるものとしてもよい。この場合でも、ソレノイドバルブSLの電磁部EMの通電中に直流電源12から駆動回路30などに電力が供給されなくなったときに、遮断回路40,40Cを有しない第1比較形態の駆動回路30Bを用いる場合に比して、駆動回路DC[i]などに不適切な影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0030】
実施形態では、ソレノイドバルブSLの駆動回路30は、FET42と抵抗素子44,46とコンデンサ48とを有する遮断回路40を備えるものとした。しかし、遮断回路40の構成は、これに限定されるものではなく、電力ライン14の接続点P1と接続点P2との間に設けられ、接続点P2側から接続点P1側への通電を遮断可能なものであればよい。
【0031】
以上説明したように、本開示のソレノイドバルブの駆動回路は、直流電源(12)からの電力の供給を受けてソレノイドバルブ(SL)の電磁部(EM)の通電制御を行なうソレノイドバルブ(SL)の駆動回路(30)であって、前記直流電源(12)と前記電磁部(EM)とを接続する電力ライン(14)に前記直流電源(12)側から順に配置される第1接続点(P1)、第2接続点(P2)、スイッチング素子(32)と、前記第2接続点(P2)に接続されるカソードを有するダイオード(34)と、を備え、前記第1接続点(P1)は、他の電気回路(DC[i])に接続されており、更に、前記電力ライン(14)の前記第1接続点(P1)と前記第2接続点(P2)との間に設置され、前記第2接続点(P2)側から前記第1接続点(P1)側への通電を遮断可能な遮断回路(40,40C)を備えることを要旨とする。
【0032】
本開示のソレノイドバルブの駆動回路では、直流電源と電磁部とを接続する電力ラインに直流電源側から順に配置される第1接続点、第2接続点、スイッチング素子と、第2接続点に接続されるカソードを有するダイオードとを備える。そして、第1接続点は、他の電気回路に接続されている。さらに、電力ラインの第1接続点と第2接続点との間に設置され、第2接続点側から第1接続点側への通電を遮断可能な遮断回路を備える。これにより、電磁部の通電中に直流電源からソレノイドバルブの駆動回路に電力が供給されなくなったときに、遮断回路により第2接続点側(電磁部側)から第1接続点側(他の電気回路側)への通電を遮断することができるから、他の電気回路に電流が流れるのを抑制し、他の電気回路に不適切な影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0033】
本開示のソレノイドバルブの駆動回路において、前記遮断回路(40,40C)は、前記第1接続点(P1)側に接続されたソースと、前記第2接続点(P2)側に接続されたドレインと、ゲートとを有するPチャネル型の電界効果トランジスタと、第1抵抗素子(44)と第2抵抗素子(46)とを有し、前記第1抵抗素子(44)の一方は、前記ソースと前記第1接続点(P1)との間で前記電力ライン(14)に接続されており、前記第1抵抗素子(44)の他方は、前記ゲートと前記第2抵抗素子(46)の一方とに接続されており、前記第2抵抗素子(46)の他方は、接地されているものとしてもよい。こうすれば、電界効果トランジスタのソースとゲートとの間の電圧が閾値未満に低下したときに、第2接続点側から第1接続点側への通電を遮断することができる。
【0034】
この場合、前記遮断回路(40)は、コンデンサ(48)を更に有し、前記コンデンサ(48)の一方は、接地されており、前記コンデンサ(48)の他方は、前記第1抵抗素子(44)の前記他方と前記ゲートと前記第2抵抗素子(46)の前記一方とに接続されているものとしてもよい。こうすれば、他の電気回路に不適切な影響を及ぼすのをより十分に抑制することができる。
【0035】
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示は、ソレノイドバルブの駆動回路の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
10,10B,10C 駆動装置、12 直流電源、13 コネクタ、14 電力ライン、15 スイッチ、20,20B,20C 電子制御ユニット、30,30B,30C 駆動回路、31 スイッチング回路、32 スイッチング素子、34 ダイオード、40,40C 遮断回路、42 FET、44,46 抵抗素子、48 コンデンサ、50 マイコン、P1,P2 接続点。
図1
図2
図3
図4