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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】車両用電子ミラー
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240326BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240326BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26
B60R11/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020046532
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021150715
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀昭
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0239084(US,A1)
【文献】特開2018-024337(JP,A)
【文献】特開2012-030703(JP,A)
【文献】特開2016-022876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/64
H04N 5/66
G09G 3/00
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用電子ミラーであって、
前記車両の後方を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影した画像が表示される表示部と、
前記表示部の外周に設けられたフレームと、を備え、
前記フレームは、正面視において、前記車両の運転者が前記フレームおよび前記表示部を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点を形成する消失点形成形状を有するとともに、前記消失点形成形状により前記フレーム消失点が、前記表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するように構成され
前記フレームは、前記表示部の表示面を区画する前表面または前面を有し、
前記フレームの前記消失点形成形状は、前記フレームの前表面または前記フレームの前面に設けられた複数の線状構造部を有し、
前記複数の線状構造部から延ばした延長線の交点により前記フレーム消失点を形成するように構成されているか、または、前記フレームは、右側前表面および左側前表面が前記フレーム消失点を中心とした円弧形状を有するように構成されている、車両用電子ミラー。
【請求項2】
前記フレームは、前記表示部の表示面の下端を区画する下側前表面と、前記下側前表面に接触するとともに、前記表示部の表示面の左端および右端をそれぞれ区画する左側前表面および右側前表面とを含み、
前記複数の線状構造部は、前記下側前表面と前記左側前表面とが交わる第1境界部分と、前記下側前表面と前記右側前表面とが交わる第2境界部分とを有し、
前記第1境界部分の延長線と、前記第2境界部分の延長線との交点が、前記表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、前記フレーム消失点を形成するように構成されている、請求項に記載の車両用電子ミラー。
【請求項3】
前記下側前表面は、前記表示部の表示面の下端から離れる方向に向かって下方に傾斜している、請求項に記載の車両用電子ミラー。
【請求項4】
前記複数の線状構造部は、前記フレームの前表面のうち下側前表面、右側前表面または左側前表面に設けられた複数のリブまたは複数の溝により形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用電子ミラー。
【請求項5】
前記複数のリブまたは前記複数の溝は、前記表示部の表示面内の上下方向において前記フレーム消失点よりも下方に配置されている、請求項に記載の車両用電子ミラー。
【請求項6】
前記フレームの前記消失点形成形状は、前記フレーム消失点が、正面視において、前記表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、上下方向の前記表示部の表示面内の上下方向の上端から4分の1の領域内に位置するような形状を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の車両用電子ミラー。
【請求項7】
前記フレームの前記消失点形成形状は、前記フレーム消失点が、正面視において前記表示部の表示面内の左右方向の中央部に位置するような形状を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の車両用電子ミラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用電子ミラーに関し、特に、表示部を備える車両用電子ミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部を備える車両用電子ミラーが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、車両の後方や側方の様子を撮像する撮像装置(撮影部)と、撮像装置から出力された画像信号を画像として表示する表示装置(表示部)とを備える電子ミラーシステム(車両用電子ミラー)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-83618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている通り、ルームミラーの代わりに車両用電子ミラーが使用される。また、運転者は後方を確認するために、表示部に表示された画像を視認する。しかしながら、運転者が表示部の画像を確認するのは数秒程度の短時間であるため表示される画像が立体感に欠けると、運転者が後続車との車間距離を認知するのが難しいという問題点がある。
【0006】
そこで、車両用電子ミラーにおいて車間距離を速やかに把握しづらい問題点について、本願発明者らが検討した結果、遠近法における消失点の認知の困難性を一つの要因として見出した。遠近法における消失点とは、遠近法において平行な線を一点で交わるように描写した際の交点のことである。消失点により、人は、遠近感を認知することができる。しかしながら、実際の消失点とフレーム消失点を一致させないといけないとすると、表示部に表示される画像の消失点は撮影部の配置の位置および角度によって異なるため、消失点の位置が定まらず、フレーム消失点の位置を設定できない。また、表示部に表示される画像の消失点は坂道と平坦な道とでは異なるため、地形の影響によっても消失点の位置が定まらず、フレーム消失点の位置を設定できない。そのため、運転者が立体感を認知することができないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、表示部に表示される画像において、運転者が立体感を容易に認知することが可能な車両用電子ミラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、消失点を認知するための手掛かりがあれば、人は消失点を認知することが可能であることを見出した。そこで、人は消失点の位置を実際の位置よりも上に認知する傾向があるという研究結果を用いることを検討し、本願発明を完成させた。つまり、本願発明の一の局面による車両用電子ミラーは、車両に搭載される車両用電子ミラーであって、前記車両の後方を撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影した画像が表示される表示部と、前記表示部の外周に設けられたフレームと、を備え、前記フレームは、正面視において、前記車両の運転者が前記フレームおよび前記表示部を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点を形成する消失点形成形状を有するとともに、前記消失点形成形状により前記フレーム消失点が、前記表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するように構成され、フレームは、表示部の表示面を区画する前表面または前面を有し、フレームの消失点形成形状は、フレームの前表面またはフレームの前面に設けられた複数の線状構造部を有し、複数の線状構造部から延ばした延長線の交点によりフレーム消失点を形成するように構成されているか、または、フレームは、右側前表面および左側前表面がフレーム消失点を中心とした円弧形状を有するように構成されている
【0009】
この発明の一の局面による車両用電子ミラーでは、上記のように、フレームは、正面視において、車両の運転者がフレームおよび表示部を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点を形成する消失点形成形状を有するとともに、消失点形成形状によりフレーム消失点が、表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するように構成されている。これにより、フレームが、正面視において、車両の運転者がフレームおよび表示部を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点を形成する消失点形成形状を有するため、消失点形成形状を手掛かりとして運転者はフレーム消失点を認知することができる。また、消失点形成形状によりフレーム消失点が、表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するように構成されていることにより、人間は消失点を実際の位置よりも上に認識する傾向があるため、表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するフレーム消失点を実際の消失点を認識する手がかりとすることができる。その結果、表示部に表示される画像において、運転者が立体感を容易に認知することができる。
また、フレームが、表示部の表示面を区画する前表面を有し、フレームの消失点形成形状は、前表面に設けられていることにより、表示部の表示面に表示された画像を視認する際に、消失点形成形状を同時に視認することができる。その結果、より短い時間でかつ容易に運転者は、表示部に表示された画像の立体感を認知することができる。
また、フレームの消失点形成形状が、フレームの前表面に設けられた複数の線状構造部を有し、複数の線状構造部から延ばした延長線の交点によりフレーム消失点を形成するように構成されていることにより、運転者が線状構造物を手掛かりにして、フレーム消失点を認知することができる。
また、フレームが、右側前表面および左側前表面がフレーム消失点を中心とした円弧形状を有するように構成されていることにより、円弧形状を手掛かりとして、中心であるフレーム消失点を運転者が認知することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、フレームは、表示部の表示面の下端を区画する下側前表面と、下側前表面に接触するとともに、表示部の表示面の左端および右端をそれぞれ区画する左側前表面および右側前表面とを含み、複数の線状構造部は、下側前表面と左側前表面とが交わる第1境界部分と、下側前表面と右側前表面とが交わる第2境界部分とを有し、第1境界部分の延長線と、第2境界部分の延長線との交点が、表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、フレーム消失点を形成するように構成されている。このように構成すれば、第1境界部分の延長線と、第2境界部分の延長線との交点が、表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、フレーム消失点を形成するように構成されているため、運転者は第1境界部分と第2境界部分とを手掛かりとしてフレーム消失点を認知することができる。また、第1境界部分と第2境界部分とを手掛かりとしてフレーム消失点を認知することができることにより、フレームにフレーム消失点を認知するための複雑な構造を設けなくてもよいため、フレームの構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による車両用電子ミラーにおいて、好ましくは、下側前表面は、前記表示部の表示面の下端から離れる方向に向かって下方に傾斜している。このように構成すれば、フレームの前表面に設けられた線状構造物を視認しやすくなる。その結果、運転者は、視認した線状構造物からフレーム消失点を認知することができるため、表示部の表示面に表示された画像の立体感をより容易に認知することができる。
【0014】
上記一の局面による車両用電子ミラーにおいて、好ましくは、複数の線状構造部は、フレームの前表面のうち下側前表面、右側前表面または左側前表面に設けられた複数のリブまたは複数の溝により形成されている。このように構成すれば、フレームの前表面のうち下側前表面、右側前表面または左側前表面に設けられた複数のリブまたは複数の溝により形成されていることにより、運転者が溝またはリブを手掛かりとしてフレーム消失点を認知することが容易となる。また、複数のリブまたは複数の溝を設けることにより遠近感を認知できることにより、遠近感を認知するような複雑な構造を必要としないため、車両用電子ミラーの構造を簡素化することができる。
【0015】
上記一の局面による車両用電子ミラーにおいて、好ましくは、複数のリブまたは複数の溝は、表示部の表示面内の上下方向においてフレーム消失点よりも下方に配置されている。このように構成すれば、運転者は、車両用電子ミラーを下方から確認するため、複数のリブまたは複数の溝がフレーム消失点よりも下方に位置していることにより、フレーム消失点を認知しやすくなる。
【0017】
上記一の局面による車両用電子ミラーにおいて、好ましくは、フレームの消失点形成形状は、フレーム消失点が、正面視において、表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、上下方向の表示部の表示面内の上下方向の上端から4分の1の領域内に位置するような形状を有する。ここで、運転者は、消失点を実際の位置よりも上側に位置するように認知するため、このように構成すれば、運転者がフレーム消失点を認知することがより容易になる。
【0018】
上記一の局面による車両用電子ミラーにおいて、好ましくは、フレームの消失点形成形状は、フレーム消失点が、正面視において表示部の表示面内の左右方向の中央部に位置するような形状を有する。このように構成すれば、表示部の表示面の左右方向の中央部にフレーム消失点が配置されるため、運転者が表示部の表示面を視認しやすい位置にフレーム消失点を配置することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、表示部に表示される画像において、運転者が立体感を容易に認知することが可能な車両用電子ミラーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】車両用電子ミラーが設けられた車両を後方から示した図である。
図2】車両用電子ミラーに後方の画像が表示された様子を示す図である。
図3】第1実施形態による車両用電子ミラーの表示部およびフレームを示した図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】表示部に表示された画像の消失点とフレーム消失点との位置関係を示す図である。
図6】第2実施形態による車両用電子ミラーの表示部およびフレームを示した図である。
図7】第3実施形態による車両用電子ミラーの表示部およびフレームを示した図である。
図8】第4実施形態による車両用電子ミラーの表示部およびフレームを示した図である。
図9】第4実施形態による車両用電子ミラーのフレーム消失点について説明する図である。
図10】車両用電子ミラーの表示部およびフレームの変形例を示した図である。
図11】車両用電子ミラーの表示部およびフレームの別の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
(車両用電子ミラーの構成)
図1図4を参照して、本発明の第1実施形態による車両用電子ミラー100の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1実施形態による車両用電子ミラー100は、車両110に搭載される。車両用電子ミラー100は、車両110の運転者50が後方(Y2側)を確認するために用いられる。なお、本明細書では、車両110の前方をY1側、車両110の後方をY2側とし、Y1側とY2側とをまとめてY方向とする。また、Y2側からY1側を見て車両110の左側をX1側、右側をX2側とし、X1側とX2側とをまとめてX方向とするする。さらに、車両110の上側をZ1側、下側をZ2側とし、Z1側とZ2側とをまとめてZ方向とする。なお、第1実施形態では、表示部2の表示面21は、Y方向と平行である場合を例に説明するが、運転者50が表示面の角度を調整することにより、車両110のXY方向と平行にならない場合も同様である。
【0024】
図1に示すように、車両用電子ミラー100は、撮影部1と、表示部2と、フレーム3とを含む。
【0025】
撮影部1は、車体の後方に取り付けられる。図1では、撮影部1が車外に取り付けられている様子を示しているが、車内のリアウィンド付近に取り付けられていてもよい。撮影部1は、車両110の後方(Y2側)に向いたカメラである。
【0026】
図1および図2に示すように、撮影部1により撮影された画像は、画像処理部(図示せず)に送信される。画像処理部により、撮影部1により撮影した画像を左右反転した車両110の後方の鏡像画像が生成される。また、画像処理部は、表示部2に合わせた画角の画像に調整する。つまり、撮影部1により撮影される画像の画角は、表示部2に表示される画像の画角よりも大きい。そこで、撮影範囲の一部が通常時表示範囲として抽出される。
【0027】
表示部2は、撮影部1で撮影された画像を表示するように構成されている。表示部2は、車両110の後方確認用のルームミラーに代えて、車両110の後方を映すために用いられる。表示部2は、車両110内の前方(Y1側)の上方(Z1側)に設けられている。なお、表示部2は、ルームミラーとしての機能も有している。そのため、運転者50がエンジンをかけ始めてから車両用電子ミラー100が起動するまでの間などの撮影部1で撮影された画像が表示部2の表示面21に表示されていない場合においても、運転者50は車両110の後方(Y2側)を確認することができる。
【0028】
図3および図4に示すように、表示部2の表示面21は、フレーム3により区画されている。表示面21は、撮影部1で撮影された画像が表示される部分である。つまり表示面21は、表示部2のうち、画像が表示される部分であるとともに外部に露出している部分である。表示面21は、表示部2のY2側の面に設けられている。そのため、運転者50(図1参照)は、Y1側を向いて運転しているため、表示面21を視認することができる。なお、本明細書では、Y2側からY1側を見る場合を正面視とする。表示部2は、たとえば、液晶表示ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)モジュールである。表示部2は、矩形形状をしている。表示部2は、Y方向に直交するX方向およびZ方向に延びる表示面21を有している。また、表示面21は、Y2側に露出している。
【0029】
図3および図4に示すように、フレーム3は、枠状である。フレーム3は、表示部2をX方向およびZ方向から全周を覆うように表示部2の外周面に設けられている。また、フレーム3は、表示部2のY1側の面全体を覆う。フレーム3は、表示面21を区画するための前表面を有している。前表面は、車両用電子ミラー100の正面(Y2側の面)から表示部2の表示面21に向かって延びる、正面視で視認可能な面である。フレーム3の前表面のうち、X1側に位置する前表面を左側前表面31とする。フレーム3の前表面のうち、X2側に位置する前表面を右側前表面32とする。フレーム3の前表面のうち、Z2側に位置する前表面を下側前表面33とする。フレーム3の前表面のうち、Z1側に位置する前表面を上側前表面34とする。フレーム3は、たとえば、樹脂を成形して製造される。
【0030】
図1および図3に示すように、フレーム3は、正面視において、車両110の運転者50がフレーム3および表示部2を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点40を形成する消失点形成形状4を有する。フレーム3は、正面視において、フレーム消失点40が、表示部2の表示面21内の中央よりも上端22側(Z1側)に位置するように構成されている。ここで、遠近法の消失点とは、遠近法において平行な線を一点で交わるように描写した際の交点のことである。フレーム消失点40とは、フレーム3の形状により形成された消失点のことである。つまり、フレーム3自体が、フレーム3を正面から視認した場合に、表示部2に表示される画像とは無関係に消失点(フレーム消失点)を認知できる形状に形成されている。
【0031】
図3に示すように、フレーム3の消失点形成形状4は、フレーム消失点40が、正面視において、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部Cよりも上端側(Z1側)に位置するように形成されている。また、フレーム消失点40は、表示部2の表示面21上(表示領域)に位置しているが、表示面21の外側には設定されない。さらに、フレーム3は、表示部2の表示面21上の上下方向(Y方向)の上端22から中央部Cまでの間のうち4分の1の領域R1内にフレーム消失点40が位置するような形状を有する。フレーム3の消失点形成形状4は、フレーム消失点40が、正面視において表示部2の表示面21内の左右方向(X方向)の中央部Cに位置するような形状を有する。ここで、表示面21の上端22とは、正面視においてフレーム3の上側前表面34により区画される表示面21のZ1側の端のことである。
【0032】
消失点形成形状4は、複数の線状構造部である。図3に示すように、複数の線状構造部は、表示部2の表示面21の上端側(Z1側)にそれぞれ延長線(図3では破線で表す)を延ばした場合に交差するように形成されている。そして、複数の線状構造部から延ばした延長線の交点によりフレーム消失点40が形成される。なお、延長線は、説明するために図示しているが、延長線は、表示部2の表示面21に表示されない。
【0033】
図3に示すように、第1実施形態では、複数の線状構造部は、下側前表面33と左側前表面31とが交差する第1境界部分41と、下側前表面33と右側前表面32とが交わる第2境界部分42とを有する。第1境界部分41の延長線と、第2境界部分42の延長線との交点は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部Cよりも上端側(Z1側)に位置する。また、第1境界部分41の延長線と、第2境界部分42の延長線との交点は、フレーム消失点40を形成する。第1境界部分41および第2境界部分42は、フレーム消失点40に向かって延びるように構成されている。
【0034】
第1境界部分41と第2境界部分42とは、フレーム3の内周側の下側角部を形成する屈曲部分の線である。第1境界部分41と第2境界部分42とは、フレーム3の内周側の下側角部を構成する屈曲部分の線である。右側前表面32、左側前表面31、下側前表面33および上側前表面34は、図4のように表示面21からY2側に突出している。右側前表面32、左側前表面31、下側前表面33および上側前表面34は、表示面21からの突出高さが等しく、矩形状に連続した頂部35を有する。下側前表面33は、頂部35から表示面21の下端23に向けてY2方向、Z2方向へ延びる傾斜面を有する。右側前表面32は、上側前表面34の傾斜面と下側前表面33の傾斜面との傾斜角度の違いにより、下端23側のY方向の長さが上端22側よりも長くなる。
【0035】
また、左側前表面31は、上側前表面34の傾斜面と下側前表面33の傾斜面との傾斜角度の違いにより、下端23側のY方向の長さが上端22側よりも長くなる。そのため、正面視で、傾斜面の部分が視認できる。第1境界部分41と第2境界部分42とは、傾斜面同士の角部によって形成された線であるので、正面視で、フレーム消失点40に向けて延びる線として視認される。第1境界部分41と第2境界部分42とは、頂部35の角部と表示面21の下側角部とを接続するように延びる線である。フレーム3は、上側前表面34の幅(Z方向の長さ)よりも下側前表面33の幅が大きい。第1境界部分41と第2境界部分42とは、フレーム3の上側角部を構成する屈曲部分の線よりも長い。右側前表面32と左側前表面31とは、上端22から下端23に向かうに従って、幅が大きくなる。これにより、第1境界部分41と第2境界部分42とが上側角部の線よりも長くなっている。また、下側前表面33の幅と、左側前表面31または右側前表面32の下端部の幅とによって、第1境界部分41と第2境界部分42との傾斜角度が調節できる。
【0036】
図5に示すように、フレーム消失点40は、表示面21に表示された画像の実際の消失点Vよりも上端側に位置している。これにより、フレーム消失点40を手掛かりとして実際の消失点Vが認識される。
【0037】
第1実施形態では、第1境界部分41および第2境界部分42が設けられているため、上記の通り車両用電子ミラー100をルームミラーとして使用する場合でも、運転者50は、表示面21に映し出された後方の画像の立体感を短時間で認知することができる。
【0038】
図4に示すように下側前表面33は、表示部2の表示面21の下端23から前方(Y2側)および下方(Z2側)に傾斜している。傾斜の角度は、たとえば、40度以上50度以下に設定される。図4に示すように、下側前表面33が傾斜していることにより、Z方向に対して垂直である表示面21が、正面視では表示面21の下方(Z2側)が奥まっているように見えるため、運転者50(図1参照)に立体感を認知させる。
【0039】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、フレーム3が、正面視において、車両110の運転者50がフレーム3および表示部2を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点40を形成する消失点形成形状4を有するため、消失点形成形状4を手掛かりとして運転者50はフレーム消失点40を認知することができる。また、消失点形成形状4によりフレーム消失点40が、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するように構成されていることにより、人間は消失点Vを実際の位置よりも上に認識する傾向があるため、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するフレーム消失点40を実際の消失点Vを認識する手がかりとすることができる。その結果、表示部2に表示される画像において、運転者50が立体感を容易に認知することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、フレーム3は、表示部2の表示面21を区画する前表面を有し、フレーム3の消失点形成形状4は、前表面に設けられている。これにより、フレーム3の消失点形成形状4が前表面に設けられていることにより、表示部2の表示面21に表示された画像を視認する際に、消失点形成形状4を同時に視認することができる。その結果、より短い時間でかつ容易に運転者50は、表示部2に表示された画像の立体感を認知することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、フレーム3の消失点形成形状4は、フレーム3の前表面に設けられた複数の線状構造部を有し、複数の線状構造部から延ばした延長線の交点によりフレーム消失点40を形成するように構成されている。これにより、運転者50が線状構造物を手掛かりにして、フレーム消失点40を認知することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、フレーム3は、表示部2の表示面21の下端23を区画する下側前表面33と、下側前表面33に接触するとともに、表示部2の表示面21の左端および右端をそれぞれ区画する左側前表面31および右側前表面32とを含み、複数の線状構造部は、下側前表面33と左側前表面31とが交わる第1境界部分41と、下側前表面33と右側前表面32とが交わる第2境界部分42とを有し、第1境界部分41の延長線と、第2境界部分42の延長線との交点が、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部Cよりも上端22側(Z1側)に位置するとともに、フレーム消失点40を形成するように構成されている。これにより、第1境界部分41の延長線と、第2境界部分42と延長線の交点が、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部Cよりも上端22側(Z1側)に位置するとともに、フレーム消失点40を形成するように構成されているため、運転者50は第1境界部分41と第2境界部分42とを手掛かりとしてフレーム消失点40を認知することができる。また、第1境界部分41と第2境界部分42とを手掛かりとしてフレーム消失点40を認知することができることにより、フレーム3にフレーム消失点40を認知するための特別な構造を設けなくてもよいため、フレーム3の構造が複雑化するのを抑制することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、下側前表面33は、表示部2の表示面21の下端23から離れる方向に向かって下方に傾斜している。これにより、フレーム3の前表面に設けられた線状構造物を視認しやすくなる。その結果、運転者50は、視認した線状構造物からフレーム消失点40を認知することができるため、表示部2の表示面21に表示された画像の立体感をより容易に認知することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、フレーム3の消失点形成形状4は、フレーム消失点40が、正面視において、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部Cよりも上端22側(Z1側)に位置するとともに、上下方向(Z方向)の表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の上端22から4分の1の領域内に位置するような形状を有する。ここで、運転者50は、消失点を実際の位置よりも上側に位置するように認知するため、これにより、運転者50がフレーム消失点40を認知することがより容易になる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、フレーム3の消失点形成形状4は、フレーム消失点40が、正面視において表示部2の表示面21内の左右方向(X方向)の中央部に位置するような形状を有する。これにより、表示部2の表示面21の左右方向(X方向)の中央部にフレーム消失点40が配置されるため、運転者50が表示部2の表示面21を視認しやすい位置にフレーム消失点40を配置することができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、図1および図6を参照して、第2実施形態による車両用電子ミラー200の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、複数の線状構造部は、複数の溝43により形成されている。
【0048】
図6に示すように、複数の線状構造部は、フレーム3の前表面のうち左側前表面31、下側前表面33および右側前表面32に設けられた複数の溝43により形成されている。複数の溝43は、線状である。複数の溝43を配置する間隔は、特に限定されない。また、複数の溝43の長さおよび幅の大きさは特に限定されない。また、複数の溝43は、フレーム消失点40に向かって延びるように形成されている。複数の溝43からそれぞれ延ばした延長線(破線で表す)は、フレーム消失点40で交わる。なお、延長線は、説明するために図示しているが、表示面21には表示されない。
【0049】
複数の溝43は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)においてフレーム消失点40よりも下方(Z2側)に配置されている。フレーム消失点40は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部よりも上端側に配置されているため、溝43は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部よりも下端側(Z2側)に配置される。
【0050】
第2実施形態では、複数の溝43が設けられているため、上記の通り車両用電子ミラー200をルームミラーとして使用する場合でも、運転者50は、表示面21に映し出された後方(Y2側)の画像の立体感を短時間で認知することができる。
【0051】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0052】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、フレーム3が、正面視において、車両110の運転者50がフレーム3および表示部2を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点40を形成する消失点形成形状4を有するため、消失点形成形状4を手掛かりとして運転者50はフレーム消失点40を認知することができる。また、消失点形成形状4によりフレーム消失点40が、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するように構成されていることにより、人間は消失点Vを実際の位置よりも上に認識する傾向があるため、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するフレーム消失点40を実際の消失点Vを認識する手がかりとすることができる。その結果、表示部2に表示される画像において、運転者50が立体感を容易に認知することができる。
【0053】
また、第2実施形態では、上記のように、複数の線状構造部は、フレーム3の前表面のうち下側前表面33、右側前表面32または左側前表面31に設けられた複数の溝43により形成されている。これにより、フレーム3の前表面のうち下側前表面33、右側前表面32または左側前表面31に設けられた複数の溝43により形成されていることにより、運転者50が溝43を手掛かりとしてフレーム消失点40を認知することが容易となる。また、複数の溝43を設けることで遠近感を認知できることにより、遠近感を認知するような複雑な構造を必要としないため、車両用電子ミラー200の構造を簡素化することができる。
【0054】
また、第2実施形態では、上記のように、複数の溝43は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)においてフレーム消失点40よりも下方(Z2側)に配置されている。これにより、運転者50は、車両用電子ミラー200を下方(Z2側)から確認するため、複数の溝43がフレーム消失点40よりも下方に位置していることにより、フレーム消失点40を認知しやすくなる。
【0055】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0056】
[第3実施形態]
次に、図1および図7を参照して、第3実施形態による車両用電子ミラー300の構成について説明する。第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、複数の線状構造部は、複数のリブ44により形成されている。
【0057】
図7に示すように、複数の線状構造部は、フレーム3の前表面のうち左側前表面31、下側前表面33および右側前表面32に設けられた複数のリブ44により形成されている。複数のリブ44を配置する間隔は、特に限定されない。また、複数のリブ44の長さおよび幅の大きさは特に限定されない。また、複数のリブ44は、フレーム消失点40に向かって延びるように形成されている。複数のリブ44からそれぞれ延ばした延長線(破線で表す)は、フレーム消失点40で交わる。なお、延長線は、説明するために図示しているが表示面21には表示されない。
【0058】
複数のリブ44は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)においてフレーム消失点40よりも下方に配置されている。フレーム消失点40は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部よりも上端側(Z1側)に配置されているため、リブ44は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)の中央部よりも下端側(Z2側)に配置される。
【0059】
第3実施形態では、複数のリブ44が設けられているため、上記の通り車両用電子ミラー300をルームミラーとして使用する場合でも、運転者50は、表示面21に映し出された後方の画像の立体感を短時間で認知することができる。
【0060】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0061】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、フレーム3が、正面視において、車両110の運転者50がフレーム3および表示部2を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点40を形成する消失点形成形状4を有するため、消失点形成形状4を手掛かりとして運転者50はフレーム消失点40を認知することができる。また、消失点形成形状4によりフレーム消失点40が、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するように構成されていることにより、人間は消失点Vを実際の位置よりも上に認識する傾向があるため、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するフレーム消失点40を実際の消失点Vを認識する手がかりとすることができる。その結果、表示部2に表示される画像において、運転者50が立体感を容易に認知することができる。
【0062】
また、第3実施形態では、上記のように、複数の線状構造部は、フレーム3の前表面のうち下側前表面33、右側前表面32または左側前表面31に設けられた複数のリブ44により形成されている。これにより、フレーム3の前表面のうち下側前表面33、右側前表面32または左側前表面31に設けられた複数のリブ44により形成されていることにより、運転者50がリブ44を手掛かりとしてフレーム消失点40を認知することが容易となる。また、複数のリブ44を設けることにより遠近感を認知できることにより、遠近感を認知するような複雑な構造を必要としないため、車両用電子ミラー300の構造を簡素化することができる。
【0063】
また、第3実施形態では、上記のように、複数のリブ44は、表示部2の表示面21内の上下方向(Z方向)においてフレーム消失点40よりも下方(Z2側)に配置されている。これにより、運転者50は、車両用電子ミラー200を下方(Z2側)から確認するため、複数のリブ44がフレーム消失点40よりも下方(Z2側)に位置していることにより、フレーム消失点40を認知しやすくなる。
【0064】
また、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0065】
[第4実施形態]
次に、図1図8および図9を参照して、第4実施形態による車両用電子ミラー400の構成について説明する。第4実施形態では、第1実施形態とは異なり、左側前表面31および右側前表面32がフレーム消失点40を中心とした円弧形状を有するように構成されている。
【0066】
図8に示すように、右側前表面32および左側前表面31がフレーム消失点40を中心とした円弧形状を有する。一方で、下側前表面33および上側前表面34は、直線である。図9に示すように、フレーム消失点40は、曲率中心である。右側前表面32および左側前表面31の形状は、フレーム消失点40を中心とした円(破線で表す)の一部の円弧形状を有する。そのため、フレーム消失点40から右側前表面32および左側前表面31の角部までは同じ大きさの長さとなる。なお、破線で表した部分は説明のために記載したものであるため、表示面21には表示されない。右側前表面32および左側前表面31は、曲率半径が小さいほど下端側は上端側よりも左右方向の中央部に近づく。曲率半径を小さくすることにより下端側(Z2側)と上端側(Z1側)との表示部2の表示面21の左右方向の長さの大きさの差が大きくなり、表示された画像の立体感を運転者50が認識しやすくなる。
【0067】
第4実施形態では、右側前表面32および左側前表面31がフレーム消失点40を中心とした円弧形状を有するため、上記の通り車両用電子ミラー400をルームミラーとして使用する場合でも、運転者50は、表示面21に映し出された後方(Y2側)の画像の立体感を短時間で認知することができる。
【0068】
第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記第1実施形態と同様に、フレーム3が、正面視において、車両110の運転者50がフレーム3および表示部2を視認した場合に、遠近法の消失点であるフレーム消失点40を形成する消失点形成形状4を有するため、消失点形成形状4を手掛かりとして運転者50はフレーム消失点40を認知することができる。また、消失点形成形状4によりフレーム消失点40が、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するように構成されていることにより、人間は消失点Vを実際の位置よりも上に認識する傾向があるため、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端22側に位置するフレーム消失点40を実際の消失点Vを認識する手がかりとすることができる。その結果、表示部2に表示される画像において、運転者50が立体感を容易に認知することができる。
【0070】
また、第4実施形態では、上記のように、フレーム3は、右側前表面32および左側前表面31がフレーム消失点40を中心とした円弧形状を有するように構成されている。これにより、円弧形状を手掛かりとして、中心であるフレーム消失点40を運転者50が認知することができる。
【0071】
また、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0072】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0073】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、本発明の車両用電子ミラーを車両のルームミラーとして用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、本発明の車両用電子ミラーを車両のサイドミラー(ドアミラー、フェンダーミラー)として用いてもよい。また、本発明の車両用電子ミラーを2輪の車両のバックミラーとして用いてもよい。
【0074】
また、上記第1実施形態~第4実施形態では、フレーム3の前表面が上側前表面34、下側前表面33、左側前表面31および右側前表面32を含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、図10に示すように、上側前表面が設けられていない、フレームが、表示部の表示面を3方向から区画するように構成されていてもよい。また、この場合、表示部の表示面の上端をテープなどで覆ってもよい。
【0075】
また、上記第1実施形態~第4実施形態では、表示部2の表示面21を区画する前表面を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、車両用電子ミラーの前面と表示部の表面とが同一平面上にあるような、前表面が設けられていないフレームであってもよい。この場合、消失点形成形状は、フレームの前面(正面視で視認される面)に設けられる。
【0076】
また、上記第1実施形態~第4実施形態では、消失点形成形状4は、前表面に設けられている例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、消失点形成形状は、フレームの前表面ではなく、フレームの前面(正面視で視認される面)に設けられてもよい。
【0077】
また、上記第1実施形態~第4実施形態では、下側前表面33は、表示部2の表示面21の下端から前方および下方に傾斜している例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、下側前表面は、表示部の表示面の下端から前方に延びるように形成されていてもよい。
【0078】
また、上記第1実施形態では、第1境界部分41の延長線と、第2境界部分42の延長線との交点が、表示部2の表示面21内の上下方向の中央部Cよりも上端側に位置するとともに、フレーム消失点40を形成するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上側前表面と左側前表面とが交わる第3の境界部分の延長線と、上側前表面と右側前表面とが交わる第4の境界部分の延長線とが表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、フレーム消失点を形成するように構成されていてもよい。また、第1~第4境界部分のうち少なくとも2つの延長線の交点が表示部の表示面内の上下方向の中央部よりも上端側に位置するとともに、フレーム消失点を形成するように構成されていてもよい。
【0079】
また、上記第2実施形態では、複数の溝43が、フレーム3の前表面のうち下側前表面33と右側前表面32と左側前表面31とに配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、下側前表面と右側前表面と左側前表面とのうちいずれか1つまたは2つの面に複数の溝が配置されていてもよい。
【0080】
また、上記第2実施形態では、複数の溝43が、フレーム3の前表面のうち下側前表面33と右側前表面32と左側前表面31とに配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上側前表面に複数の溝が配置されていてもよく、上側前表面および、下側前表面と右側前表面と左側前表面とのうちの1つ以上の面に複数の溝が配置されていてもよい。
【0081】
また、上記第2実施形態では、複数の溝43が、表示部2の表示面21内の上下方向においてフレーム消失点40よりも下方に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上下方向においてフレーム消失点と同じ位置または上方に配置されていてもよい。
【0082】
また、上記第3実施形態では、複数のリブ44が、フレームの前表面のうち下側前表面33と右側前表面32と左側前表面31とに配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、下側前表面と右側前表面と左側前表面とのうちいずれか1つまたは2つの面に複数のリブが配置されていてもよい。
【0083】
また、上記第3実施形態では、複数のリブ44が、フレーム3の前表面のうち下側前表面33と右側前表面32と左側前表面31とに配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上側前表面に複数のリブが配置されていてもよく、上側前表面および、下側前表面と右側前表面と左側前表面とのうちの1つ以上の面に複数のリブが配置されていてもよい。
【0084】
また、上記第3実施形態では、複数のリブ44が、表示部2の表示面21内の上下方向においてフレーム消失点40よりも下方に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上下方向においてフレーム消失点と同じ位置または上方に配置されていてもよい。
【0085】
また、上記第4実施形態では、下側前表面33および上側前表面34は、直線である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、下側前表面および上側前表面は、フレーム消失点を認知することを邪魔しない形状であれば、半径の大きい円弧形状であってもよい。
【0086】
また、上記第1実施形態~第4実施形態をそれぞれ独立した実施形態として記載しているが、本発明では、それぞれを組み合わせてもよい。たとえば、図11に示すように、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 撮影部
2 表示部
3 フレーム
4 消失点形成形状
21 表示面
31 左側前表面
32 右側前表面
33 下側前表面
40 フレーム消失点
41 第1境界部
42 第2境界部
43 溝
44 リブ
50 運転者
100、200、300、400 車両用電子ミラー
110 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11