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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】テールゲートガーニッシュ
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20240326BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60R13/04 B
B60J5/10 F
B60J5/10 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020089661
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183453
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】坂本 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】太田 博之
(72)【発明者】
【氏名】井澤 尚久
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-200789(JP,A)
【文献】実開昭52-032826(JP,U)
【文献】実開昭63-089857(JP,U)
【文献】特開平10-175447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
B60J 5/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側を中心に下端側が上下方向に揺動開閉されるテールゲートの下部表面を覆うように装着され、前記テールゲートの下端に沿って車幅方向に延在されるテールゲートガーニッシュであって、
前記テールゲートの閉状態において、車両後方を向く後面部と、前記後面部の下端から車両前方へ向かって延びる下面部と、前記下面部の外面に車幅方向に亘って延設され、前記テールゲートの開状態において、前記下面部の外面を伝って上方から流れてきた水を受けて前記車幅方向両外側に向かって誘導する樋部と、を備え
前記樋部が、前記テールゲートの閉状態において前記後面部の下端の位置よりも上側にあることを特徴とするテールゲートガーニッシュ。
【請求項2】
前記樋部は、前記テールゲートの開状態において、その底面が車幅方向の中央部から車幅方向外側に向かうにつれて、地面からの高さが次第に低くなるよう傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載のテールゲートガーニッシュ。
【請求項3】
前記下面部の外側面には、前記テールゲートの開状態において、車両後方側に延びて段差を形成する上向きの段差面が車幅方向に延在されており、
前記樋部は、前記段差面を前記底面として前記段差の角部で形成された略V字状の溝で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のテールゲートガーニッシュ。
【請求項4】
前記段差面は、前記テールゲートの開状態において、車両後方側ほど上方に傾斜する傾斜面とされていることを特徴とする請求項3に記載のテールゲートガーニッシュ。
【請求項5】
前記樋部は、車幅方向外側に向かうにつれて前記底面の車両前後方向の幅が小さくなるよう形成されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のテールゲートガーニッシュ。
【請求項6】
前記下面部には、前記テールゲートガーニッシュ内に侵入した水を前記テールゲートの閉状態において外部へ排出する水抜き穴が貫通形成されており、
前記水抜き穴は、前記テールゲートの開状態において、前記樋部の車幅方向両端部間の範囲の上方に位置するよう配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のテールゲートガーニッシュ。
【請求項7】
前記下面部が、前記テールゲートの閉状態において、前記後面部の下端から車両前方側に向かって上方に傾斜するよう延設され、
前記下面部の後端に前記水抜き穴が形成されていることを特徴とする請求項に記載のテールゲートガーニッシュ。
【請求項8】
前記後面部は、前記テールゲートの閉状態において、車幅方向横断面が車幅方向両端部に対して車幅方向中央部が車両後方側に突出する湾曲形状とされ、車両上下方向縦断面が、前記後面部の下端から上方に向かうにつれて車両前方側に湾曲した凹状とされていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のテールゲートガーニッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のテールゲートに取り付けられるテールゲートガーニッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1、2に示すように、リクリエーショナルビークル等の車両には、上端側を中心に下端側が上下方向に揺動開閉されるテールゲート(リアゲート、バックドア等も同意)を備えたものが多い(特許文献1の図1、特許文献2の図7等参照)。このテールゲートを開放すると、車両の後部に大きな開口部を確保でき、ユーザーが、荷物等の出し入れの作業をスムーズに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-48498号公報
【文献】国際公開2015-98618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷物等の出し入れの作業は、車両の後部の開口部の中央付近で行うのが通常であるが、特許文献1、2に示すテールゲートにおいては、その開閉時に、テールゲートの表面に付着した雨水が後方に伝って流れ、このテールゲートの後方端部からそのまま落下するため、このテールゲートの下側中央付近で作業するユーザーが濡れる問題があった。
【0005】
そこで、この発明は、テールゲートの下側中央付近で作業するユーザーが、テールゲートを伝って垂れる雨水によって濡れないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明においては、
上端側を中心に下端側が上下方向に揺動開閉されるテールゲートの下部表面を覆うように装着され、前記テールゲートの下端に沿って車幅方向に延在されるテールゲートガーニッシュであって、
前記テールゲートの閉状態において、車両後方を向く後面部と、前記後面部の下端から車両前方へ向かって延びる下面部と、前記下面部の外面に車幅方向に亘って延設され、前記テールゲートの開状態において、前記下面部の外面を伝って上方から流れてきた水を受けて前記車幅方向両外側に向かって誘導する樋部と、を備えたことを特徴とするテールゲートガーニッシュを構成した。
【0007】
前記構成においては、
前記樋部は、前記テールゲートの開状態において、その底面が車幅方向の中央部から車幅方向外側に向かうにつれて、地面からの高さが次第に低くなるよう傾斜されている構成とするのが好ましい。
【0008】
前記構成においては、
前記下面部の外側面には、前記テールゲートの開状態において、車両後方側に延びて段差を形成する上向きの段差面が車幅方向に延在されており、
前記樋部は、前記段差面を前記底面として前記段差の角部で形成された略V字状の溝で構成されている構成とするのが好ましい。
【0009】
前記各構成においては、
前記段差面は、前記テールゲートの開状態において、車両後方側ほど上方に傾斜する傾斜面とされている構成とするのが好ましい。
【0010】
前記各構成においては、
前記樋部は、車幅方向外側に向かうにつれて前記底面の車両前後方向の幅が小さくなるよう形成されている構成とするのが好ましい。
【0011】
前記各構成においては、
前記樋部が、前記テールゲートの閉状態において前記後面部の下端の位置よりも上側にある構成とするのが好ましい。
【0012】
前記各構成においては、
前記下面部には、前記テールゲートガーニッシュ内に侵入した水を前記テールゲートの閉状態において外部へ排出する水抜き穴が貫通形成されており、
前記水抜き穴は、前記テールゲートの開状態において、前記樋部の車幅方向両端部間の範囲の上方に位置するよう配置される構成とするのが好ましい。
【0013】
この構成においては、
前記下面部が、前記テールゲートの閉状態において、前記後面部の下端から車両前方側に向かって上方に傾斜するよう延設され、
前記下面部の後端に前記水抜き穴が形成されている構成とするのが好ましい。
【0014】
前記各構成においては、
前記後面部は、前記テールゲートの閉状態において、車幅方向横断面が車幅方向両端部に対して車幅方向中央部が車両後方側に突出する湾曲形状とされ、車両上下方向縦断面が、前記後面部の下端から上方に向かうにつれて車両前方側に湾曲した凹状とされている構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
この発明では、上記のように樋部を形成して、下面部の外面を伝って上方から流れてきた水を受けて車幅方向の両外側に誘導するようにしたので、テールゲートの下側中央付近で作業するユーザーが水濡れするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明に係るテールゲートガーニッシュを装着した車両(要部)のテールゲートの開状態を示す側面図である。
図2図1に示すテールゲートガーニッシュを装着したテールゲートの背面図である。
図3】テールゲートガーニッシュのテールゲートへの固定状態を示す断面図である。
図4】(a)は図2中のIV-IV線に沿う断面図、(b)は(a)の要部の拡大図である。
図5図2中のV-V線に沿う断面図である。
図6図2中のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図2中のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図3に示したテールゲートガーニッシュの変形例を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係るテールゲートガーニッシュ1を図面に基づいて説明する。なお、以下においては、車両の前方を「前」、後方を「後」、ルーフ側を「上」、路面側を「下」と定義した上で各部材を説明する。このテールゲートガーニッシュ1は、図1及び図2に示すように、車両Vの後端開口部にヒンジHによって上端側を中心に下端側が上下方向に揺動開閉されるテールゲートTの下部表面を覆うように装着される。
【0018】
テールゲートガーニッシュ1は、図3に示すように、テールゲートTの下端に沿って車幅方向に延在される、装飾性の向上を主目的とする部材である。このテールゲートガーニッシュ1は、テールゲートTの閉状態において車両後方を向く後面部2と、後面部2の下端から車両前方に向かって延びる下面部3と、下面部3の外面に車幅方向に亘って延設され、テールゲートTの開状態において、下面部3の外面を伝って上方から流れてきた水を受けて車幅方向の両外側に向かって誘導する樋部4と、を備える。後面部2と下面部3の車幅方向の両端には、側面部5がそれぞれ設けられている。
【0019】
後面部2の裏面側には、複数のクリップ等の固定手段6が設けられている。この固定手段6をテールゲートTに形成された固定穴に嵌入することによって、このテールゲートTにテールゲートガーニッシュ1が取り付けられる。
【0020】
図2に示すように、樋部4は、テールゲートTの開状態において、その底面7が車幅方向の中央部から車幅方向外側に向かうにつれて、地面からの高さが次第に低くなるように傾斜されている。これにより、樋部4内の水を、その中央部から車幅方向外側にスムーズに誘導することができる(図2中の矢印f参照)。
【0021】
図4(a)に示すように、下面部3の外側面には、テールゲートTの開状態において、車両後方側に延びて段差を形成する上向きの段差面が車幅方向に延在されている。この段差面は、テールゲートの開状態において、車両後方側ほど上方に傾斜する傾斜面(傾斜角θ)とされている。樋部4は、この段差面を底面7として、この段差の角部8で形成された車幅方向に垂直な断面が略V字状の溝で構成されている。
【0022】
このように傾斜面を形成することにより、図4(b)に示すように、この樋部4を通って車幅方向の左右両端に向かって水を流すことができる。この傾斜角θの大きさは0度より大きければ特に限定されないが、十分な通水量を確保するために例えば5度とすることができる。
【0023】
樋部4は、車幅方向の中央部に近い誘導部4aと、誘導部4aの左右両端部に連続する排水部4bから構成される。
【0024】
誘導部4aは、車幅方向の全体に亘って、底面7の車両前後方向の幅(図4(a)中の符号d参照)が一定となっている。このため、誘導部4a内に流れ込んだ水をスムーズに車幅方向の左右両側に誘導することができる(図2中の矢印fを参照)。この誘導部4aの長さは適宜決定することができるが、ユーザーの水濡れを確実に防止するため、その作業範囲を十分カバーする長さ(例えば、車幅方向長さが1メートル)とするのが好ましい。
【0025】
これに対して、図5に示すように、誘導部4aに連続する排水部4bは、車幅方向外側に向かうにつれて底面7の車両前後方向の幅(図5中の符号d参照)が小さくなるよう形成されている。このため、誘導部4aから流れてきた水が、次第に排水部4bから溢れ出て排水される。このとき、テールゲートガーニッシュ1の下面部3から水が垂れ落ちるが、この排水部4bはユーザーの作業スペース外となるように予め設計されているため、ユーザーが水濡れする虞はない。排水部4bの端部で樋部4は終端しており、図6に示すように、それよりも車幅方向の外側は、樋部4がないフラット面となっている。
【0026】
なお、この実施形態においては、誘導部4aの両端に排水部4bを連続させた構成としたが、樋部4の長さ等によっては、排水部4bがない誘導部4aのみの構成、すなわち、車幅方向の全長に亘って樋部4の車両前後方向の幅を一定とした構成とすることができる場合もある。
【0027】
図3に示したように、この樋部4は、テールゲートTの閉状態において、この樋部4の後面部2の下端の位置(図3中に破線Pで示す位置)よりも上側にある。このため、この閉状態において車両Vの後方側(図3中に矢印で示す方向を参照)から樋部4が見えず、樋部4の形成に伴う外観デザインの低下を防止することができる。
【0028】
なお、この実施形態においては、樋部4をV字溝としたが、所定の通水量を確保し得る限りにおいて、U字溝や矩形溝のように溝形状を適宜変更することができる。
【0029】
下面部3は、テールゲートTの閉状態において、後面部2の下端から車両前方側に向かって上方に傾斜(図3中の傾斜角θ参照)するように延設された傾斜面9を有する。この下面部3(傾斜面9)の後端には、図7に示すように、テールゲートガーニッシュ1内に侵入した水をテールゲートTの閉状態において外部に排出する水抜き穴10が、下面部3の内面側から外面側に貫通して形成されている。この水抜き穴10は、テールゲートTの開状態において、樋部4の車幅方向両端部間の範囲の上方に位置するように配置されている。この実施形態においては、水抜き穴10は、樋部4の誘導部4aの両端近傍に1か所ずつ形成されている。
【0030】
テールゲートTの閉状態で、このテールゲートTとテールゲートガーニッシュ1の間の隙間から水が入り込むと、この水はテールゲートガーニッシュ1の裏面等を伝って傾斜面9の後端に至る。そして、この後端に形成された水抜き穴10を通って、テールゲートガーニッシュ1の外側に排水される。このため、テールゲートTとテールゲートガーニッシュ1との間に水が溜まることに起因する腐食等のトラブルを防止することができる。また、下面部3の後端(テールゲートTの閉状態における最下部)に水抜き穴10を形成したことにより、テールゲートガーニッシュ1内に侵入した水を効率的に排水することができる。
【0031】
水抜き穴10を通った水の大部分は、テールゲートTの閉状態でそのまま路面に落下するが、一部の水滴は、テールゲートTが開くときに樋部4の誘導部4a内に流れ込み、排水部4bから排水される。このため、テールゲートTとテールゲートガーニッシュ1との間に溜まった水が排出される際も、ユーザーが水濡れする虞はない。また、水抜き穴10を樋部4の車幅方向両端部間の範囲のテールゲートTの開状態における上方に形成したので、その開状態において樋部4を流れる水が、この水抜き穴10を通ってテールゲートガーニッシュ1内に逆流する虞はない。
【0032】
図3に示したテールゲートガーニッシュ1の変形例を図8に示す。このテールゲートガーニッシュ1は、テールゲートTの下端後側を覆う後面部2と、この後面部2の下端からテールゲートTの下端に向かって延設される下面部3とを有する点で図3に示したものと共通するが、後面部2が、テールゲートTの閉状態において、車幅方向横断面が車幅方向両端部に対して車幅方向中央部が車両後方側に突出する湾曲形状とされ(図8中に示した湾曲形状の破線矢印wを参照)、車両上下方向縦断面が、後面部2の下端から上方に向かうにつれて車両前方側に湾曲した凹状となっており、その車幅方向に亘って凹部11が形成されている点で相違する。
【0033】
このように、車幅方向横断面を湾曲形状とすることにより、テールゲートTを開くときに、その表面に付着していた水を車幅方向の左右にスムーズに分岐させて排水することができる(図8中の矢印fを参照)。しかも、後面部2に凹部11を形成したことにより、大雨等によってテールゲートTに大量の水が付着しているときに、この大量の水が下面部3に形成された樋部4に一気に到達するのを回避することができる。これにより、この樋部4から水が溢れ出ないため、ユーザーが水濡れするのを防止することができる。
【0034】
上記の各実施形態は、単なる例示に過ぎず、テールゲートTの下側中央付近で作業するユーザーがテールゲートTを伝って垂れる雨水によって濡れないようにする、というこの発明の課題を解決し得る限りにおいて、各構成要素の形状、配置等に適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 テールゲートガーニッシュ
2 後面部
3 下面部
4 樋部
4a 誘導部
4b 排水部
5 側面部
6 固定手段
7 底面
8 角部
9 傾斜面
10 水抜き穴
11 凹部
V 車両
H ヒンジ
T テールゲート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8