(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】アダプターおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240326BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B41J2/175 133
B41J2/01 451
B41J2/175 175
B41J2/175 151
(21)【出願番号】P 2020090193
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小金平 修一
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062064(JP,A)
【文献】特開2009-279876(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01905596(EP,A1)
【文献】特開2018-052011(JP,A)
【文献】特開2005-153509(JP,A)
【文献】特開2018-161887(JP,A)
【文献】特開2021-070256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を格納する液体容器を印刷装置のタンクの注入口に装着する前に、前記印刷装置のホルダーに挿入するアダプターであって、
前記印刷装置と通信可能に構成され、前記液体に関する液体情報を格納するメモリーと、
前記メモリーに接続され、前記ホルダーのホルダー端子と電気的に接触可能なメモリー端子と、
前記アダプターと一体に設けられ、前記液体容器の注入ノズルを挿入可能な挿入口と、
前記ホルダーと接して、前記アダプターの挿入方向への移動を止める接触部と、
を備え、
前記挿入口は、前記アダプターの前記挿入方向への移動が止まると、前記注入口と鉛直方向に重なる位置に配置され、
前記接触部は、前記アダプターの前記挿入方向の先端のうちの少なくとも一部に配置され、
前記メモリー端子は、前記挿入口と前記接触部との間に配置される、
ことを特徴とするアダプター。
【請求項2】
請求項1に記載のアダプターであって、
前記メモリー端子から前記接触部までの距離よりも、前記メモリー端子から前記挿入口までの距離の方が長い、アダプター。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアダプターであって、
前記メモリー端子と前記接触部との間に設けられ、液体溜まり空間を構成する段差部を有する、アダプター。
【請求項4】
請求項3に記載のアダプターであって、
前記液体溜まり空間に液体吸収部材が配置される、アダプター。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のアダプターであって、
前記ホルダーに設けられる位置決め部と接し、前記挿入方向と交差する交差方向に動くことを規制する規制部を有する、アダプター。
【請求項6】
請求項5に記載のアダプターであって、
前記規制部は、前記液体容器に格納される液体の種類によって配置が異なる、アダプター。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のアダプターであって、
前記挿入口の周囲には、前記液体容器に備えられた液体容器側誤装着防止構造を挿入可能な、アダプター側誤装着防止構造が設けられる、アダプター。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のアダプターと、
印刷装置と、
を備える印刷システムであって、
前記印刷装置は制御部と表示部とを有し、
前記制御部は、前記ホルダーに装着されたアダプターが予め定められたアダプターと異なると判定した場合に、前記表示部に、異なるアダプターが装着されたことを示す情報を表示させる、
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アダプターおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体容器とともに用いられる記憶部保持部材が開示されている。この記憶部保持部材は、液体に関する情報を記憶している記憶部を保持している。記憶部保持部材は、液体容器に着脱可能に取り付けられ、液体容器とともに印刷装置に装着される。印刷装置は、記憶部保持部材に設けられた記憶部から情報を読み出すことによって、液体容器の誤装着を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、印刷装置に備えられたタンクに液体を補充するボトルタイプの液体容器が利用されている。ボトルタイプの液体容器は、一般に、液体が収容される容器本体と、容器本体の一端に設けられた注入ノズルとを備えており、記憶部は備えられていない。印刷装置のタンクへの液体補充時には、印刷装置に備えられた注入口に、注入ノズルが接続されることにより、容器本体内の液体が注入ノズルを通じてタンクに供給される。このような液体容器においても、印刷装置への液体の供給前に、液体容器の誤装着や液体の誤注入が生じることを抑制可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、液体を格納する液体容器を印刷装置のタンクの注入口に装着する前に、前記印刷装置のホルダーに挿入するアダプターが提供される。このアダプターは、前記印刷装置と通信可能に構成され、前記液体に関する液体情報を格納するメモリーと、前記メモリーに接続され、前記ホルダーのホルダー端子と電気的に接触可能なメモリー端子と、前記アダプターと一体に設けられ、前記液体容器の注入ノズルを挿入可能な挿入口と、前記ホルダーと接して、前記アダプターの挿入方向への移動を止める接触部と、を備え、前記挿入口は、前記アダプターの前記挿入方向への移動が止まると、前記注入口と鉛直方向に重なる位置に配置され、前記接触部は、前記アダプターの前記挿入方向の先端のうちの少なくとも一部に配置され、前記メモリー端子は、前記挿入口と前記接触部との間に配置される、ことを特徴とする。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、上記形態のアダプターと、印刷装置と、を備える印刷システムが提供される。この印刷システムにおいて、前記印刷装置は制御部と表示部とを有し、前記制御部は、前記ホルダーに装着されたアダプターが予め定められたアダプターと異なると判定した場合に、前記表示部に、異なるアダプターが装着されたことを表示させる、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】液体容器、アダプターおよびホルダーの構造を模式的に示す側面図である。
【
図3】液体容器およびアダプターの構造を模式的に示す正面図である。
【
図4】注入口付近の構造を模式的に示す平面図である。
【
図6】アダプターを介して液体容器が注入口に装着された様子を示す図である。
【
図8】アダプターを介在させずに液体容器を装着した比較例を示す図である。
【
図9】第2実施形態におけるアダプターを示す図である。
【
図10】第3実施形態におけるアダプターの平面図である。
【
図11】第4実施形態におけるアダプターの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の第1実施形態における印刷装置100の概略構成を示す模式図である。印刷装置100は、液体の一例であるインクを媒体に吐出して印刷するインクジェットプリンターである。媒体としては、印刷用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質の印刷対象を採用可能である。
図1には、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向が示されている。X方向およびY方向は水平方向に沿った方向であり、Z方向は重力方向に沿った方向である。+X方向は、印刷装置100の正面に向かって右側の方向であり、-X方向は、印刷装置100の正面に向かって左側の方向である。+Y方向は、印刷装置100の正面から背面に向かう方向であり、-Y方向は、その逆方向である。+Z方向は、重力方向であり、-Z方向は、その逆方向である。以下では、+Z方向のことを「下」、-Z方向のことを「上」ともいう。以下において、各方向に符号を付さない場合、その方向は、正方向と負方向の両方を含む方向とする。
図2以降に付すX,Y,Z方向は、
図1に示したX,Y,Z方向に対応している。
【0009】
図1において印刷装置100は、装置底部に、媒体の一例である記録用紙Pを収容する用紙カセット30を着脱自在に備えている。用紙カセット30はホッパー31を備えており、ホッパー31が不図示の駆動源から駆動力を受け、揺動軸31aを中心に揺動することで、用紙カセット30に収容された記録用紙Pが、図示しないモーターにより回転駆動される給送ローラー32に対し接離する。
【0010】
給送ローラー32により用紙カセット30から送り出された記録用紙Pは、送りローラー34と分離ローラー36とのニップ位置を通過することで分離されるとともに下流側に送られて、上流搬送ローラー対38に到達する。以下では用紙カセット30から上流搬送ローラー対38までの搬送経路を「供給搬送経路」と称する。上流搬送ローラー対38と下流搬送ローラー対40との間の用紙搬送経路は、記録用紙Pがヘッドユニット52と対向するヘッド対向領域43として構成されている。ヘッド対向領域43では、ヘッドユニット52による記録用紙Pへの記録が行われる。ヘッド対向領域43には、記録用紙Pを支持するプラテン42が配置される。以下では上流搬送ローラー対38から下流搬送ローラー対40までの搬送経路を「記録搬送経路」と称する。
【0011】
本実施形態では、印刷装置100の記録搬送経路を構成するヘッド対向領域43は、水平方向に対して傾斜している。また、供給搬送経路は、記録搬送経路の傾斜に沿う方向に傾斜して記録搬送経路に接続される。即ち、供給搬送経路と記録搬送経路とは略直線状に接続される。これらの供給搬送経路及び記録搬送経路と、後述する排出経路47とを総じて「用紙搬送経路」と称する。ガイド部材Gは、用紙搬送経路の一部を形成する。なお、ヘッド対向領域43および供給搬送経路は、傾斜していなくてもよい。
【0012】
印刷装置100の用紙搬送経路においてヘッド対向領域43から下流側は、ヘッドユニット52を内側に配置する湾曲経路を形成して記録用紙Pをフェイスダウンで排出する排出経路47として構成されている。記録が行われた記録用紙Pは、記録面を内側にして湾曲反転され、排出経路47を進む。排出経路47は、より具体的には、下流搬送ローラー対40から排出ローラー対48までの搬送経路である。下流搬送ローラー対40から排出ローラー対48までには、複数の送りローラー対44,45,46が設けられている。
【0013】
排出経路47を搬送される記録用紙Pは、用紙排出口49に設けられた排出ローラー対48によって、記録面を下側にした状態で、排出トレイ50に向けて排出される。
【0014】
印刷装置100には、1または複数のプロセッサーおよびメモリーからなる制御部10が備えられている。制御部10は、ヘッドユニット52を制御する。本実施形態のヘッドユニット52は、ラインヘッドである。ヘッドユニット52は、ヘッド対向領域43に対向するノズル面20を備えている。ノズル面20には、記録用紙Pの幅方向に沿って、インクを液滴状に吐出するノズルが複数備えられている。各ノズルには、インクを吐出するためのアクチュエーターが備えられている。アクチュエーターとしては、例えば、ピエゾ素子やヒーターが用いられる。制御部10は、ノズルに設けられたアクチュエーターを制御することで、記録用紙Pに対して印字を行う。なお、ヘッドユニット52は、シリアルヘッドでもよい。この場合、制御部10は、ヘッドユニット52を記録用紙Pの幅方向に沿って往復移動させることで、記録用紙Pへの記録を行う。
【0015】
印刷装置100には、液晶ディスプレイ等によって構成された表示部60が備えられている。表示部60は、制御部10によって表示内容が制御される。表示部60は、制御部10によって制御されることで、各種エラーやメッセージの表示を行う。
【0016】
印刷装置100は、インクを貯留するタンク70を備えている。タンク70は、ヘッドユニット52にインクを供給する。タンク70の上部には、印刷装置100の外部に露出するように上方に延びる円筒状の注入口71が備えられている。タンク70には、注入口71を通じて後述する液体容器からインクが充填される。注入口71の近傍には、
図2以降に示すアダプター90が挿入されるホルダー80が備えられている。なお、タンク70、ホルダー80、アダプター90は、印刷装置100で吐出可能なインクの種類毎に設けられる。
【0017】
図2は、液体容器200、アダプター90およびホルダー80の構造を模式的に示す側面図である。
図3は、液体容器200およびアダプター90の構造を模式的に示す正面図である。
図4は、注入口71付近の構造を模式的に示す平面図である。
図5は、アダプター90の平面図である。
図6は、アダプター90を介して液体容器200が注入口71に装着された様子を示す図である。印刷装置100とアダプター90とを備えるシステムのことを、印刷システム300ともいう。アダプター90は、例えば、対応する液体容器200のパッケージに同梱されて出荷される。
【0018】
図2および
図3に示すように、液体容器200は、インクが収容された有底筒状の容器本体部201と、容器本体部201よりも径の小さい円筒状の注入ノズル202とを備えている。注入ノズル202の内部には、注入ノズル202が延びる方向に沿って流路が形成されており、その流路は、容器本体部201の内部空間に連通している。注入ノズル202は、タンク70へのインク補充時において、印刷装置100に備えられた注入口71に接続される。液体容器200は、保管時には、注入ノズル202が容器本体部201の上方に位置する第1姿勢とされ、インク補充時には、注入ノズル202が容器本体部201の下方に位置する第2姿勢とされる。
図2および
図3には、インク補充時の第2姿勢が表されている。注入ノズル202内には、注入口71が挿入されることによって開く弁体が備えられている。弁体としては、例えば、スリット弁を用いることができる。注入ノズル202には、弁体に換えて、注入口71が挿入されることによって破られる封止膜が設けられてもよい。
【0019】
注入ノズル202の周囲には、液体容器側誤装着防止構造210が備えられている。液体容器側誤装着防止構造210は、注入ノズル202が伸びる方向に沿って突出する第1凸部211および第2凸部212によって構成されている。本実施形態では、第1凸部211および第2凸部212は、注入ノズル202を挟む位置に配置されている。第1凸部211および第2凸部212の断面形状は、液体容器200の種類毎に異なる。本実施形態では、第1凸部211の形状と第2凸部212の形状とは、異なる形状である。これに対して、第1凸部211の形状と第2凸部212の形状とは、注入ノズル202が延びる方向を中心に点対称となる形状であってもよい。また、本実施形態における第1凸部211と第2凸部212とは、注入ノズル202から径方向に離間している。これに対して、第1凸部211および第2凸部212は、径方向において注入ノズル202に連結されていてもよい。
【0020】
容器本体部201と注入ノズル202との間には、インク補充時においてアダプター90の上面に接触する接触面203が備えられている。インク補充時には、アダプター90の上面に、接触面203が接触することによって、液体容器200のZ方向の位置が位置決めされる。
【0021】
図2,3,5に示すように、アダプター90は、略直方体形状を有している。アダプター90は、例えば、樹脂または金属によって形成されている。アダプター90は、インクを格納する液体容器200を印刷装置100のタンク70の注入口71に装着する前に、印刷装置100のホルダー80に挿入される。
【0022】
本実施形態では、アダプター90は、Z方向に沿った高さが、X方向に沿った幅よりも小さくなっており、略平板状の形態となっている。本実施形態では、アダプター90は、水平方向に沿って、ホルダー80に挿入される。アダプター90がホルダー80に挿入される方向のことを、挿入方向と呼ぶ。挿入方向は、本実施形態では、+Y方向である。
【0023】
ホルダー80には、挿入方向と逆方向である-Y方向に向けて開口する凹部86が形成されている。アダプター90は、凹部86を通じてホルダー80に挿入される。凹部86は、Z方向において対向する上壁77および下壁78と、凹部86の開口部よりも+Y方向側に位置する奥壁79とによって構成されている。なお、凹部86は、上壁77、下壁78、奥壁79に加えて、Y方向に沿って対向する2つの側壁によって構成されてもよい。
【0024】
図2~4に示すように、印刷装置100の上面には、挿入方向に沿ってレール81が備えられている。レール81は、注入口71付近において分断されている。分断されている間隔は、液体容器200に備えられた第1凸部211の最も外側の面から第2凸部212の最も外側の面までの距離以上の距離である。Z方向に沿ったレール81の高さは、注入口71の高さ以上である。また、X方向に沿ったレール81の幅は、注入口71の直径以上である。アダプター90の下面には、レール81の幅と略同じ幅を有する溝部82が形成されている。アダプター90をホルダー80に装着する際には、レール81にアダプター90の溝部82を嵌めた状態で、レール81上を挿入方向にスライドさせてアダプター90をホルダー80に挿入する。レール81は、アダプター90のホルダー80への装着時、および、アダプター90のホルダー80への装着中におけるアダプター90のX方向の動きを規制する。
【0025】
アダプター90は、ホルダー80と接する接触部92を備えている。接触部92は、ホルダー80の奥壁79に接触する。接触部92は、アダプター90をホルダー80に挿入する際に、アダプター90の挿入方向への移動を止める。接触部92は、アダプター90の挿入方向の先端のうちの少なくとも一部に配置される。本実施形態では、挿入方向におけるアダプター90の先端面の全体が接触部92に相当する。アダプター90がホルダー80に挿入されて、接触部92がホルダー80に接した状態を、以下では装着状態という。
【0026】
アダプター90は、メモリー95を備えている。メモリー95は、印刷装置100と通信可能に構成され、インクに関する液体情報を格納する。また、アダプター90は、ホルダー80に設けられたホルダー端子83と電気的に接触可能なメモリー端子96を備えている。メモリー端子96は、装着状態においてホルダー端子83と接触する接触領域を有する。本実施形態では、メモリー95およびメモリー端子96は、アダプター90に取り付けられた基板97に設けられている。より具体的には、基板97の表面にメモリー端子96が形成され、基板97の裏面にメモリー95が配置されており、これらが基板97に形成された配線によって電気的に接続されている。なお、他の実施形態では、メモリー95およびメモリー端子96は、基板97ではなく、アダプター90に直接設けられていてもよい。
【0027】
本実施形態では、メモリー端子96は、アダプター90の上面に設けられている。メモリー端子96は、後述する挿入口91と接触部92との間に配置されている。
図5に示すように、本実施形態では、メモリー端子96から接触部92までの最短の距離L1よりも、メモリー端子96から挿入口91までの最短の距離L2の方が長い。
図2に示すように、ホルダー80には、装着状態において、メモリー端子96に対向して接触する位置に、ホルダー端子83が設けられている。ホルダー端子83は、制御部10に接続されている。制御部10は、装着状態において、ホルダー端子83およびメモリー端子96を通じて、メモリー95にアクセスし、メモリー95に格納された液体情報を読み込むことができる。
【0028】
アダプター90には、アダプター90と一体的に挿入口91が設けられている。挿入口91の大きさは、注入口71の直径および注入ノズル202の直径よりも大きい。装着状態では、アダプター90を上面視した場合において、挿入口91からは、注入口71が露出する。つまり、挿入口91は、アダプター90の挿入方向への移動が止まると、注入口71と鉛直方向に重なる位置に配置されている。タンク70にインクを充填する際には、挿入口91に、液体容器200に設けられた注入ノズル202が挿入され、挿入口91を通じて注入ノズル202がタンク70の注入口71に装着される。
【0029】
本実施形態において、アダプター90の挿入口91の周囲には、液体容器200に備えられた液体容器側誤装着防止構造210を挿入可能な、アダプター側誤装着防止構造94が設けられている。本実施形態において、アダプター側誤装着防止構造94は、Y方向において挿入口91を挟む位置に設けられた第1凹部941および第2凹部942によって構成されている。本実施形態では、第1凹部941および第2凹部942は、アダプター90をZ方向に貫く貫通孔として構成されている。なお、第1凹部941および第2凹部942は、X方向において挿入口91を挟む位置に設けられてもよい。また、第1凹部941および第2凹部942は、水平方向において挿入口91と繋がっていてもよい。
【0030】
液体容器側誤装着防止構造210の第1凸部211の断面形状は、第1凹部941の断面形状と略一致した形状であり、液体容器側誤装着防止構造210の第2凸部212の断面形状は、第2凹部942の断面形状と略一致した形状である。本実施形態において、液体容器200に備えられた第1凸部211および第2凸部212は、注入ノズル202よりも突出している。そのため、液体容器200を注入口71に装着する際には、まず、第1凸部211および第2凸部212が、それぞれ、第1凹部941および第2凹部942に挿入され、その後、注入ノズル202が挿入口91に挿入される。そして、そのまま、液体容器200を下方に移動させていくと、注入ノズル202が注入口71に接続され、液体容器200が注入ノズル202に装着される。なお、他の実施形態では、注入ノズル202の方が、第1凸部211および第2凸部212よりも突出していてもよい。
【0031】
本実施形態のアダプター90は、メモリー端子96と接触部92との間に設けられた段差部98を有している。段差部98が形成されている部分は、他の部分よりも高さが低くなっている。つまり、+Z方向に窪んでいる。この段差部98は、インクが溜まる液体溜まり空間99を構成する。ホルダー80には、装着状態において段差部98に対向する部分に、スポンジ等で形成された液体吸収部材84が配置されている。アダプター90の挿入前あるいは挿入中において液体溜まり空間99に溜まったインクは、アダプター90がホルダー80に挿入されることで液体吸収部材84により吸収される。なお、液体吸収部材84は、ホルダー80ではなく、アダプター90の段差部98に配置されてもよい。
【0032】
アダプター90は、ホルダー80に設けられる位置決め部85と接し、挿入方向と交差する交差方向に動くことを規制する規制部93を備えている。交差方向とは、本実施形態では、X方向およびZ方向である。本実施形態における位置決め部85は、ホルダー80の凹部86の最も奥に位置する奥壁79から-Y方向に延びる円柱状の突起として構成されている。位置決め部85の-Y方向の先端はテーパー状に形成されている。アダプター90の規制部93は、アダプター90の先端面から-Y方向に延びる穴部により構成されている。規制部93に位置決め部85が挿入された状態で、位置決め部85の+X方向、-X方向、+Z方向、-Z方向に位置する外面は、規制部93の内面に接触する。そのため、装着状態では、位置決め部85が規制部93に接触することにより、アダプター90のX方向およびZ方向への動きが規制される。なお、位置決め部85は、装着状態において、鉛直上方から見たときに、メモリー端子96に重ならない長さであることが好ましい。このような長さであれば、アダプター90がホルダー80に誤装着されたときに、位置決め部85がメモリー端子96に接触してメモリー端子96を破損させることを防止できる。
【0033】
ホルダー80の位置決め部85の配置は、そのホルダー80に装着されるべきアダプター90の種類によって異なる。また、アダプター90における規制部93の配置は、そのアダプター90が挿入されるべきホルダー80によって異なる。従って、ホルダー80に装着されるべきアダプター90とは異なるアダプター90がホルダー80に挿入された場合には、位置決め部85の先端がアダプターの接触部92に突き当たり、アダプター90をホルダー80に適正に装着することができなくなり、また、メモリー端子96もホルダー端子83に適正に接触することができなくなる。これにより、異なるアダプター90のホルダー80への誤装着を物理的および電気的に防止できる。
【0034】
図7は、インクの補充手順を示す工程図である。まず、ステップS10において、アダプター90がホルダー80に挿入されて装着される。ステップS20では、制御部10が、メモリー95から液体情報を読み取る。そして、ステップS30において、読み取った液体情報が、予め定められた情報と異なるか否かを判定する。例えば、制御部10は、読み取った液体情報に含まれるインクの色を表す情報が、予め定められた色を表す情報と異なる場合に、読み取った液体情報が、予め定められた情報と異なると判定する。
【0035】
ステップS30において、読み取った液体情報が予め定められた情報と異なると判定された場合、制御部10は、ステップS40において、表示部60を制御し、異なるアダプターが装着されたことを示す情報を表示させる。例えば、制御部10は、「異なるアダプターが装着されました。指定のアダプターを装着して下さい。」とのメッセージを表示部60に表示させる。異なるアダプターが装着されたことを示す情報を表示部60に表示させた場合、当該補充手順は、インクの補充が行われることなく終了する。
【0036】
一方、ステップS30において、読み取った液体情報が予め定められた情報と一致すると判定された場合、制御部10は、ステップS50において、表示部60を制御し、次の手順を示すメッセージを表示させる。例えば、制御部10は、「アダプターと同梱のインクボトルを本体に装着して下さい。」とのメッセージを表示部60に表示させることにより、ユーザーに、液体容器200の注入口71への装着を促す。
【0037】
ステップS60において、アダプター90の挿入口91を通じて、液体容器200の注入ノズル202が注入口71に接続されることにより、液体容器200が注入口71に装着される。すると、ステップS70において、液体容器200内のインクが、タンク70に補充される。
【0038】
タンク70へのインクの補充が完了すると、ステップS80において、液体容器200およびアダプター90が印刷装置100から取り外される。なお、アダプター90は、ホルダー80に装着したままであってもよい。
【0039】
図8は、アダプター90を介在させずに注入口71に液体容器200を装着した比較例を示す図である。この図のように、アダプター90を用いない場合、液体容器200を注入口71に装着しても、液体容器200が注入口71のみによって支持されるため不安定な姿勢となる。これに対して本実施形態では、
図6に示すように、アダプター90を介して液体容器200を注入口71に装着するため、液体容器200の液体容器側誤装着防止構造210がアダプター90のアダプター側誤装着防止構造94によって支持され、また、容器本体部201がアダプター90上面に支持される状態となるため、液体容器200を安定した姿勢で注入口71に装着することができる。そのため、インクの補充を安定して行うことができる。また、アダプター90を介して液体容器200を注入口71に装着するため、液体容器側誤装着防止構造210や注入ノズル202が、レール81や注入口71に接触して、これらを破損させることを抑制できる。
【0040】
以上で説明した本実施形態では、液体容器200から印刷装置100のタンク70へのインクの補充が開始される前に、メモリー95や挿入口91を備えるアダプター90をホルダー80に挿入する。そのため、メモリー95に記録された液体情報に基づいて、適切なアダプター90が挿入されているか否かを判定でき、また、液体容器200を安定した姿勢で注入口71に装着することができる。従って、液体容器200の誤装着やインクの誤注入が発生することを、実際にインクの補充が始まる前に抑制できる。
【0041】
また、本実施形態では、
図5に示したように、アダプター90に備えられたメモリー端子96から接触部92までの距離L1よりも、メモリー端子96から挿入口91までの距離L2の方が長い。そのため、液体容器200あるいはタンク70から漏れたインクがメモリー端子96に届きにくくなるので、漏れたインクによってメモリー端子96に接触不良が生じることを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、
図2に示したように、メモリー端子96と接触部92との間に、液体溜まり空間99を構成する段差部98が設けられている。そのため、アダプター90をホルダー80に装着する際にインクがアダプター90の先頭側に付着しても、そのインクがメモリー端子96に届きにくくなる。従って、アダプター90の先頭側に付着したインクによってメモリー端子96に接触不良が生じることを抑制できる。しかも、本実施形態では、液体溜まり空間99に液体吸収部材84が配置されているので、メモリー端子96に液体が付着することを更に効果的に抑制できる。
【0043】
また、本実施形態では、挿入方向においてメモリー端子96よりも先端側に段差部98を配置することにより、メモリー端子96を段差部98よりも後端側に配置している。そのため、アダプター90をその先端部において位置決めした後で、メモリー端子96とホルダー端子83との接点を取ることができ、これらの端子に電気的な故障が生じることを抑制できる。
【0044】
また、本実施形態では、アダプター90は、ホルダー80に設けられる位置決め部85と接し、挿入方向と交差する交差方向に動くことを規制する規制部93を有している。そのため、メモリー端子96とホルダー端子83との接触不良を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、規制部93は、液体容器200に格納されるインクの種類によって配置が異なっている。そのため、異なる種類のインクを格納する液体容器200に対応するアダプター90がホルダー80に挿入された場合には、位置決め部85の先端がアダプターの接触部92に突き当たり、アダプター90をホルダー80に適正に装着することができない。従って、異なる種類のアダプターがホルダーに誤装着されることや、異なる種類のインクがタンクに補充されることを抑制できる。
【0046】
また、本実施形態では、アダプター90に設けられた挿入口91の周囲には、液体容器200に備えられた液体容器側誤装着防止構造210を挿入可能な、アダプター側誤装着防止構造94が設けられている。そのため、印刷装置100の注入口71に、異なる液体容器200が装着されることを効果的に抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では、印刷装置100は、制御部10を備えており、制御部10は、ホルダー80に装着されたアダプター90が予め定められたアダプター90と異なると判定した場合に、表示部60に、異なるアダプター90が装着されたことを示す情報を表示させる。そのため、アダプター90が本来使用すべきものと異なるアダプター90であることをユーザーに知らせることができる。また、アダプター90が本来使用すべきものである場合は、同梱の液体容器200のように、そのアダプター90に対応する液体容器200を装着するように促すことができる。
【0048】
B.第2実施形態:
図9は、第2実施形態におけるアダプター90bを示す図である。第1実施形態におけるアダプター90は、略平板状の形態である。これに対して、第2実施形態のアダプター90bは、アダプター側誤装着防止構造94よりも接触部92側の部分の厚みが大きく形成されている。このような形態であれば、ホルダー80内において、位置決め部85のZ方向への配置自由度を高めることができる。従って、アダプター90bの誤装着を効果的に抑制できる。
【0049】
C.第3実施形態:
図10は、第3実施形態におけるアダプター90cの平面図である。第1実施形態のアダプター90は、挿入方向におけるアダプター90の先端面全体が接触部92として構成されている。これに対して、第3実施形態では、接触部92が、挿入方向に向けて突出した突起の先端に位置している。このような形態であっても、アダプター90の挿入方向への移動を接触部92cによって止めることができる。
【0050】
D.第4実施形態:
図11は、第4実施形態におけるアダプター90dの平面図である。第4実施形態におけるアダプター90dは、メモリー端子96およびメモリー95の周囲に、切り取り線CLを備えている。切り取り線CLは、例えば、溝状あるいはミシン目状に形成されている。ユーザーは、アダプター90dの使用後に切り取り線CLに沿ってメモリー端子96およびメモリー95をアダプター90から切り離すことによって、メモリー端子96およびメモリー95に含まれる金属を容易にリサイクルすることができる。
【0051】
E.他の実施形態:
(E-1)上記実施形態では、アダプター90に形成された規制部93は、アダプター90の先端面から-Y方向に延びる穴部として構成されている。これに対して規制部93は、アダプター90の先端面から-Y方向に延びる溝部として構成され、溝部は、アダプター90をZ方向に貫いていてもよい。このような構成によれば、ホルダー80に設けられた位置決め部85とアダプター90に設けられた規制部93とにより、装着状態においてアダプター90のX方向の動きを規制することができる。
【0052】
(E-2)上記実施形態において、液体容器側誤装着防止構造210は2つの凸部を有しており、アダプター側誤装着防止構造94は2つの凹部を有している。これに対して、凸部および凹部の数は、1つでもよいし3つ以上であってもよい。また、凸部の側面および凹部の内面には、対応する凹凸形状が形成されていてもよい。
【0053】
(E-3)上述した実施形態において、レール81の幅および高さの少なくとも一方は、アダプター90の種類に応じて異なっていてもよい。こうすることにより、異なるアダプター90がホルダー80に装着されることをより効果的に抑制できる。
【0054】
(E-4)上記実施形態では、メモリー端子96がアダプター90の上面に水平に配置されている。これに対して、メモリー端子96は、アダプター90に傾斜部を設けることによって、挿入方向側に傾斜して配置されてもよい。この場合、ホルダー80側に設けられるホルダー端子83も、メモリー端子96と同様に傾斜して配置される。
【0055】
(E-5)上記実施形態では、メモリー端子96から接触部92までの距離L1よりも、メモリー端子96から挿入口91までの距離L1の方が長い。これに対して、メモリー端子96から接触部92までの距離L1よりも、メモリー端子96から挿入口91までの距離L1の方が短くてもよい。また、これらの距離は同じでもよい。
【0056】
(E-6)上記実施形態では、アダプター90は、メモリー端子96と接触部92との間に段差部98を備えている。これに対して、アダプター90は、段差部98を備えていなくてもよい。また、ホルダー80は、液体吸収部材84を備えていなくてもよい。
【0057】
(E-7)上記実施形態において、ホルダー80に設けられた位置決め部85、および、アダプター90に設けられた規制部93は、省略してもよい。これらが省略された場合であっても、メモリー95に記憶された液体情報を制御部10が読み込むことで、ホルダー80に装着されたアダプター90が、対応するアダプター90であるか否かを判断できるので、液体容器200の誤装着を抑制できる。
【0058】
(E-8)上記実施形態において、アダプター90に設けられた規制部93の配置、および、ホルダー80に設けられた位置決め部85の配置は、液体容器200に格納される液体の種類にかかわらず、同一であってもよい。このような場合であっても、装着状態におけるアダプター90の挿入方向に交差する交差方向への動きを規制することができる。
【0059】
(E-9)上記実施形態において、液体容器200に備えられた液体容器側誤装着防止構造210と、アダプター90に備えられたアダプター側誤装着防止構造94とは、省略してもよい。これらが省略された場合であっても、メモリー95に記憶された液体情報を制御部10が読み込むことで、ホルダー80に装着されたアダプター90が、対応するアダプター90であるか否かを判断できるので、液体容器200の誤装着を抑制できる。
【0060】
(E-10)上記実施形態では、制御部10は、ホルダー80に装着されたアダプター90が予め定められたアダプター90と異なると判定した場合に、表示部60に、異なるアダプター90が装着されたことを示す情報を表示させる。これに対して、制御部は、このような処理を省略してもよい。このような処理を省略した場合であっても、位置決め部85と規制部93との配置を液体容器200に格納される液体の種類によって異ならせることで、ユーザーは、アダプター90が奥壁79まで到達するか否かによって、異なるアダプター90を挿入しようとしていることを理解することができる。
【0061】
(E-11)上記実施形態では、印刷装置100は、アダプター90を挿入方向に移動させるためにレール81を備えている。これに対して、印刷装置100はレール81を備えていなくてもよい。例えば、注入口71をレールの代用として用いることも可能である。また、注入口71を下壁78よりも低い位置に設ければ、アダプター90の溝部82も省略可能である。この場合、アダプター90が挿入されるホルダー80の凹部86は、アダプター90のY方向の動きを規制するために、上壁77、下壁78、奥壁79だけではなく、Y方向においてアダプター90を挟むように設けられた2つの側壁を備えていることが好ましい。
【0062】
(E-12)上記実施形態では、レール81は注入口71付近において分断されている。これに対して、例えば、レール81は分断されず、レール81に、注入口71が配置される穴部と、液体容器側誤装着防止構造210が挿入される穴部とが形成されていてもよい。このようにすることで、アダプター90を液体容器200よりも先に装着する使用方法を知らないユーザーが、誤って注入口71に異なる液体容器200を装着することを抑制できる。
【0063】
(E-13)上記実施形態では、アダプター90に形成されたアダプター側誤装着防止構造94は、アダプター90を厚み方向に貫く貫通孔として構成されている。これに対して、アダプター側誤装着防止構造94は、窪みとして形成され、アダプター90を貫かなくてもよい。この場合、液体容器200に備えられた液体容器側誤装着防止構造210は、アダプター側誤装着防止構造94の深さに対応する長さがあればよい。
【0064】
(E-14)上記実施形態において、アダプター90は、生分解性プラスチックにより形成されていてもよい。アダプター90が生分解性プラスチックにより形成されていれば、例えば、アダプター90の使用後に、アダプター90を花木の名称札などとして再利用することが容易である。
【0065】
(E-15)上記実施形態において、制御部10は、ヘッドユニット52に備えられたノズルからのインクの吐出回数をソフトカウントによってカウントし、そのカウント値を、制御部10に備えられたメモリーに記憶させることにより、インク消費量を管理してもよい。そして、制御部10は、ホルダー80に、指定のアダプター90が装着されたことを検出した場合に、当該カウント値を初期状態にリセットしてもよい。こうすることによって、インク消費量を適切に管理することが可能である。
【0066】
F.他の形態:
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、以下に記載する各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0067】
(1)本開示の第1の形態によれば、液体を格納する液体容器を印刷装置のタンクの注入口に装着する前に、前記印刷装置のホルダーに挿入するアダプターが提供される。このアダプターは、前記印刷装置と通信可能に構成され、前記液体に関する液体情報を格納するメモリーと、前記メモリーに接続され、前記ホルダーのホルダー端子と電気的に接触可能なメモリー端子と、前記アダプターと一体に設けられ、前記液体容器の注入ノズルを挿入可能な挿入口と、前記ホルダーと接して、前記アダプターの挿入方向への移動を止める接触部と、を備え、前記挿入口は、前記アダプターの前記挿入方向への移動が止まると、前記注入口と鉛直方向に重なる位置に配置され、前記接触部は、前記アダプターの前記挿入方向の先端のうちの少なくとも一部に配置され、前記メモリー端子は、前記挿入口と前記接触部との間に配置される、ことを特徴とする。
このような形態によれば、液体容器から印刷装置のタンクへの液体の補充が開始される前に、アダプターをホルダーに挿入することで、液体容器の誤装着や液体の誤注入が発生することを抑制できる。
【0068】
(2)上記形態において、前記メモリー端子から前記接触部までの距離よりも、前記メモリー端子から前記挿入口までの距離の方が長くてもよい。このような形態であれば、漏れた液体がメモリー端子に届きにくくなるので、漏れた液体によってメモリー端子に接触不良が生じることを抑制できる。
【0069】
(3)上記形態において、前記メモリー端子と前記接触部との間に設けられ、液体溜まり空間を構成する段差部を有してもよい。このような形態であれば、アダプターをホルダーに装着する際に液体がアダプターの先頭側に付着しても、その液体がメモリー端子に届きにくくなる。そのため、アダプターの先頭側に付着した液体によってメモリー端子に接触不良が生じることを抑制できる。
【0070】
(4)上記形態において、前記液体溜まり空間に液体吸収部材が配置されてもよい。このような形態であれば、メモリー端子に液体が付着することを更に効果的に抑制できる。
【0071】
(5)上記形態において、前記ホルダーに設けられる位置決め部と接し、前記挿入方向と交差する交差方向に動くことを規制する規制部を有してもよい。このような形態であれば、メモリー端子とホルダー端子との接触不良を抑制できる。
【0072】
(6)上記形態において、前記規制部は、前記液体容器に格納される液体の種類によって配置が異なってもよい。このような形態であれば、異なる種類のアダプターが装着される誤装着を抑制できる。
【0073】
(7)上記形態において、前記挿入口の周囲には、前記液体容器に備えられた液体容器側誤装着防止構造を挿入可能な、アダプター側誤装着防止構造が設けられてもよい。このような形態であれば、印刷装置のタンクの注入口に、異なる液体容器が装着されることを抑制できる。
【0074】
(8)本開示の第2の形態によれば、上記形態のアダプターと、印刷装置と、を備える印刷システムが提供される。この印刷システムにおいて、前記印刷装置は制御部と表示部とを有し、前記制御部は、前記ホルダーに装着されたアダプターが予め定められたアダプターと異なると判定した場合に、前記表示部に、異なるアダプターが装着されたことを示す情報を表示させる、ことを特徴とする。
このような形態であれば、アダプターが本来使用すべきものと異なるアダプターであることをユーザーに知らせることができる。また、アダプターが本来使用すべきものである場合は、そのアダプターに対応する液体容器を装着するように促すことができる。
【符号の説明】
【0075】
10…制御部、20…ノズル面、30…用紙カセット、31…ホッパー、31a…揺動軸、32…給送ローラー、34…送りローラー、36…分離ローラー、38…上流搬送ローラー対、40…下流搬送ローラー対、42…プラテン、43…ヘッド対向領域、44,45,46…送りローラー対、47…排出経路、48…排出ローラー対、49…用紙排出口、50…排出トレイ、52…ヘッドユニット、60…表示部、70…タンク、71…注入口、77…上壁、78…下壁、79…奥壁、80…ホルダー、81…レール、82…溝部、83…ホルダー端子、84…液体吸収部材、85…位置決め部、86…凹部、90…アダプター、91…挿入口、92…接触部、93…規制部、94…アダプター側誤装着防止構造、95…メモリー、96…メモリー端子、97…基板、98…段差部、99…液体溜まり空間、100…印刷装置、200…液体容器、201…容器本体部、202…注入ノズル、203…接触面、210…液体容器側誤装着防止構造、211…第1凸部、212…第2凸部、300…印刷システム、941…第1凹部、942…第2凹部